(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】光書込装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20220419BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20220419BHJP
G02B 27/18 20060101ALI20220419BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20220419BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
G02B27/18 A
G03G15/04 111
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2017043376
(22)【出願日】2017-03-08
【審査請求日】2019-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】植村 英生
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】佐々木 創太郎
【審判官】藤田 年彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-62468(JP,A)
【文献】特開2016-135546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G02B 27/18
G03G 15/04
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子をグループ化した発光素子群を複数配置した発光基板と、
複数の結像レンズを含んで構成され、前記発光素子から出射された光を像担持体上に集光させるレンズアレイと、
を備える光書込装置において、
前記発光素子は、OLEDであり、
前記発光素子群は、前記発光素子が、主走査方向及び副走査方向の二次元状に並べられて配置され、
前記発光素子群内の発光素子は、当該発光素子を主
走査方向の直線上に射影した際、前記主走査方向に等間隔に配置され、
前記発光素子群の各々は、それぞれ対応する前記結像レンズと正対するように配置され、
前記発光素子群内の発光素子は、発光
タイミングごとにチャネルとしてグループ化され、
前記チャネル内の発光素子の重心は、前記主走査方向と平行な直線上に並んでおり、
前記チャネル内の発光素子の重心を結ぶ直線を重心線としたとき、隣接する前記重心線の前記副走査方向の間隔は、前記副走査方向の解像度
で決まる間隔の整数倍を前記結像レンズの倍率
で割ったものに決定され、
前記発光素子群内の発光素子のうち前記主走査方向に最も離れた2つの発光素子をそれぞれ第1発光素子及び第2発光素子とし、前記結像レンズの重心点を前記発光基板上に射影した点をレンズ重心点としたとき、
前記第1発光素子又は前記第2発光素子は、前記発光素子群内の発光素子のうち最も前記レンズ重心点から離れた位置に配置され、
前記発光素子群内のチャネル数は4又は5であり、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、前記チャネルのうち、最も前記レンズ重心点に近く、発光素子数が奇数であるチャネル内に配置されており、
前記チャネルが前記レンズ重心点から遠ざかるにつれて、当該チャネル内の発光素子数が少なくなることを特徴とする光書込装置。
【請求項2】
前記発光素子は、面積光源であり、
前記レンズ重心点を通る前記主走査方向と平行な直線をレンズ重心線とし、前記発光素子の重心点から当該発光素子の発光領域の前記副走査方向端部までの距離を発光距離としたとき、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子を含むチャネルの重心線と前記レンズ重心線との間隔は、前記発光距離よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の光書込装置。
【請求項3】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子を含むチャネルの重心線と前記レンズ重心線とが一致していることを特徴とする請求項2に記載の光書込装置。
【請求項4】
前記発光素子群内のチャネル数は、
5であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光書込装置。
【請求項5】
像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記像担持体に対して光を照射することで前記像担持体上に静電潜像を形成する請求項1~
4のいずれか一項に記載の光書込装置と、
前記光を照射された前記像担持体に現像剤を供給することで前記静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部と、
前記現像剤による像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部により転写された前記現像剤による像を前記用紙に定着する定着部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書込装置及び当該光書込装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光素子(例えば、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic Light-Emitting Diode))からなる発光素子群を主走査方向(主方向)及び副走査方向(副方向)にそれぞれ複数配置した発光基板と、上記発光素子群に対して一対一で結像レンズを対向配置したレンズアレイと、を備える光書込装置が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-207540号公報
【文献】特開2009-51194号公報
【文献】特開2016-135546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発光素子にOLEDを用いた場合、LEDを用いた場合と比べ、寿命が短いという課題がある。発光素子の寿命を長く維持しつつ発光量を増やすためには、発光素子の面積を大きくする必要がある。したがって、発光素子にOLEDを用いた場合、LEDを用いた場合と比べ、発光素子の大きさ(径)が大きくなる。よって、光書込装置及び当該光書込装置を備える画像形成装置が大型化しやすくなる。そこで、装置の大型化に対する対策として、発光基板において、発光時間に規則性がある順次選択回路を選択することで、発光基板及び回路のサイズダウンが行われている。この順次選択回路方式では、発光時間に規則性を持たせる必要があるため、発光素子の副方向の配置に制約が生じる。
【0005】
しかしながら、OLEDを用いた発光素子の径を大きくした場合、それに比例して結像レンズの物体高が広まるため、発光基板だけでなく、結像レンズ及びレンズアレイも大型化してしまう。そのため、光書込装置や画像形成装置の大型化を防ぐためには、レンズアレイも小型化する必要がある。なお、1つの結像レンズに対向する発光素子の数を減らすことで、物体高を狭めて結像レンズを小さくするという方法も考えられるが、画像形成に必要な結像レンズの数が多くなってしまうため、レンズアレイの小型化にはつながらなかった。
【0006】
本発明は、装置の小型化を実現することが可能な光書込装置及び当該光書込装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
複数の発光素子をグループ化した発光素子群を複数配置した発光基板と、
複数の結像レンズを含んで構成され、前記発光素子から出射された光を像担持体上に集光させるレンズアレイと、
を備える光書込装置において、
前記発光素子は、OLEDであり、
前記発光素子群は、前記発光素子が、主走査方向及び副走査方向の二次元状に並べられて配置され、
前記発光素子群内の発光素子は、当該発光素子を主走査方向の直線上に射影した際、前記主走査方向に等間隔に配置され、
前記発光素子群の各々は、それぞれ対応する前記結像レンズと正対するように配置され、
前記発光素子群内の発光素子は、発光タイミングごとにチャネルとしてグループ化され、
前記チャネル内の発光素子の重心は、前記主走査方向と平行な直線上に並んでおり、
前記チャネル内の発光素子の重心を結ぶ直線を重心線としたとき、隣接する前記重心線の前記副走査方向の間隔は、前記副走査方向の解像度で決まる間隔の整数倍を前記結像レンズの倍率で割ったものに決定され、
前記発光素子群内の発光素子のうち前記主走査方向に最も離れた2つの発光素子をそれぞれ第1発光素子及び第2発光素子とし、前記結像レンズの重心点を前記発光基板上に射影した点をレンズ重心点としたとき、
前記第1発光素子又は前記第2発光素子は、前記発光素子群内の発光素子のうち最も前記レンズ重心点から離れた位置に配置され、
前記発光素子群内のチャネル数は4又は5であり、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、前記チャネルのうち、最も前記レンズ重心点に近く、発光素子数が奇数であるチャネル内に配置されており、
前記チャネルが前記レンズ重心点から遠ざかるにつれて、当該チャネル内の発光素子数が少なくなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光書込装置において、
前記発光素子は、面積光源であり、
前記レンズ重心点を通る前記主走査方向と平行な直線をレンズ重心線とし、前記発光素子の重心点から当該発光素子の発光領域の前記副走査方向端部までの距離を発光距離としたとき、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子を含むチャネルの重心線と前記レンズ重心線との間隔は、前記発光距離よりも短いことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光書込装置において、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子を含むチャネルの重心線と前記レンズ重心線とが一致していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の光書込装置において、
前記発光素子群内のチャネル数は、5であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、
画像形成装置において、
像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記像担持体に対して光を照射することで前記像担持体上に静電潜像を形成する請求項1~4のいずれか一項に記載の光書込装置と、
前記光を照射された前記像担持体に現像剤を供給することで前記静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部と、
前記現像剤による像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部により転写された前記現像剤による像を前記用紙に定着する定着部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図5】従来の発光素子群における発光素子の配置パターンの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の発光素子群における発光素子の配置パターン及び各チャネルの発光タイミングを説明するタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図7】従来例及び実施形態における結像レンズの物体高とレンズアレイの副方向のサイズとの関係を示す図である。
【
図8】発光素子の配置例(実施例1)を示す図である。
【
図9】発光素子の配置例(実施例2)を示す図である。
【
図10】発光素子の配置例(実施例3)を示す図である。
【
図11】発光素子の配置例(実施例4)を示す図である。
【
図12】発光素子の配置例(実施例5)を示す図である。
【
図13】発光素子の配置例(実施例6)を示す図である。
【
図14】発光素子の配置例(実施例7)を示す図である。
【
図15】発光素子の配置例(実施例8)を示す図である。
【
図16】発光素子の配置例(実施例9)を示す図である。
【
図17】発光素子の配置例(実施例10)を示す図である。
【
図18】発光素子の配置例(実施例11)を示す図である。
【
図19】発光素子の配置例(実施例12)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[画像形成装置の構成]
本実施形態に係る画像形成装置1000は、例えば、プリンターやデジタル複写機等として用いられ、
図1に示すように、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色ごとに設けられた複数の光書込装置100と、光書込装置100に対応して設けられた感光体ドラム等の感光体(像担持体)200と、感光体200を帯電させる帯電部210と、光を照射された感光体200に現像剤を供給することで静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部220と、中間転写ベルト300と、現像剤による像を用紙Pに転写する転写ローラー(転写部)400と、転写ローラー400により転写された現像剤による像を用紙Pに定着する定着部500と、を備えて構成されている。
【0018】
画像形成装置1000は、光書込装置100より照射される光によって感光された感光体200でトナー像を形成し、中間転写ベルト300上に当該トナー像を転写させる。次に、画像形成装置1000は、中間転写ベルト300に転写されたトナー像を転写ローラー400によって用紙Pに押圧して転写させ、定着部500によって当該用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙P上に定着する。そして、画像形成装置1000は、用紙Pを排紙ローラー(図示省略)等により搬送してトレイ(図示省略)に排紙することで画像形成処理を行う。
【0019】
光書込装置100は、
図1~
図4に示すように、帯電部210により帯電された感光体200に対して光Lを照射することで、感光体200上に静電潜像を形成する装置である。光書込装置100は、光Lを出射させる複数の発光素子111をグループ化した発光素子群112を複数配置した発光基板11と、複数の発光素子111から出射された光Lを感光体200上に集光させるレンズアレイ12と、を備えて構成されている。
【0020】
以下の説明では、
図2~
図4等に示す発光基板11及びレンズアレイ12の長手方向(主方向)をX方向、短手方向(副方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。また、
図2~
図4等に示す光書込装置100において、レンズアレイ12が配置される側を上側、発光基板11が配置される側を下側とする。本実施形態では、光書込装置100の発光基板11から、Z方向上方に向けて光Lが出射されるようになっている。すなわち、Z方向は、光Lの光軸方向と一致する。
【0021】
発光基板11は、
図3に示すように、略矩形状に形成され、複数の発光素子群112が長手方向(X方向)に沿って略直線上に複数列(ここでは3列)並べられて配置されている。複数の発光素子群112は、発光基板11の短手方向(Y方向)で重ならないように、X方向に少しずつずらして配置される。なお、本実施形態では、複数の発光素子群112をY方向に沿って複数列並べるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の発光素子群112を1列並べるように構成してもよい。また、本実施形態では、発光素子111として、有機EL(OLED)が用いられており、発光基板11は、線膨張係数の小さいガラス(例えば、無アルカリガラス)により形成されている。また、発光素子111は、面積光源である。
【0022】
レンズアレイ12は、
図2~
図4に示すように、発光基板11と感光体200との間に配置され、複数の結像レンズ121が発光基板11上の複数の発光素子群112と対向する位置、すなわち、光軸方向(Z方向)で重なり合う位置に並べられて配置されている(
図3及び
図4参照)。なお、
図3に示す符号113は、円形状に形成された複数の結像レンズ121を発光基板11上に射影した際の輪郭に相当する「射影部」を示しており、発光素子群112の各々は、対応する射影部113内に含まれている。したがって、
図3を参照すれば、複数の結像レンズ121が、複数の発光素子群112と対向する位置に並べられて配置されていることがわかる。すなわち、発光素子群112の各々は、それぞれ対応する結像レンズ121と正対するように配置されている。複数の結像レンズ121の各々は、中心軸、すなわち、光軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されている。発光基板11の複数の発光素子111から出射された光束は、レンズアレイ12の複数の結像レンズ121を透過し、感光体200の表面上に微小なスポットとして結像される。
【0023】
[発光素子の配置パターン]
図5に、従来の発光素子群112Aにおける発光素子111Aの配置パターンの一例を示す。また、
図6(a)に、本実施形態の発光素子群112における発光素子111の配置パターンの一例を示す。なお、
図6(b)は、
図6(a)に示す第1発光素子P1の拡大図である。
発光素子群112Aは、
図5に示すように、発光素子111Aが、X方向(主方向)及びY方向(副方向)の二次元状に並べられて配置されている。
図5に示す例では、発光素子111Aが、主方向、副方向とも、規則的に配置されている。また、発光素子111Aは、主方向の間隔と副方向の間隔とが略等しくなるように配置されている。
一方、
図6(a)に示す例においても、発光素子群112は、発光素子111が、主方向及び副方向の二次元状に並べられて配置され、発光素子111が、主方向、副方向とも、規則的に配置されている。ただし、
図5に示す発光素子111Aと異なり、発光素子111は、主方向の間隔と副方向の間隔とが異なるように配置されている。具体的には、発光素子111は、副方向の間隔が主方向の間隔よりも狭くなるように配置されている。また、発光素子群112内の発光素子111は、当該発光素子111を主線(主方向の直線)上に射影した際、主方向に等間隔に配置されている。
【0024】
また、
図6(a)には、さらに、5つのチャネル(Ch1~Ch5)と、各チャネルの発光タイミングを説明するタイミングチャートが示されている。ここで、チャネルとは、発光素子群112内の発光素子111を、発光時間(発光タイミング)ごとにグループ化したもののことである。
図6(a)に示す例では、Ch1~Ch5の順に、規則的に発光するようになっている。すなわち、本実施形態では、発光素子111を副方向に規則的に配置し、発光時間に規則性がある順次選択回路を選択可能な構成とすることで、回路のサイズダウンが可能となり、発光基板11の小型化を実現している。
【0025】
また、各チャネル(Ch1~Ch5)内の発光素子111の重心は、主方向と平行な直線(重心線)上に並んでいる。これにより、結像レンズ121によって結像される感光体200上のスポット位置も一直線上に並ぶため、画像品質を向上させることができる。
また、隣接する重心線の副方向の間隔、すなわち、隣接するチャネルの副方向の間隔は、副方向の解像度及び結像レンズ121の倍率の整数倍で決定される。例えば、画像の副方向解像度が1200dpi、結像レンズ121の倍率が1倍である場合、隣接する重心線の副方向の間隔は、21.2umの整数倍となる。
【0026】
ここで、発光素子群112内の発光素子111のうち主方向に最も離れた2つの発光素子111をそれぞれ第1発光素子P1及び第2発光素子P2とする。仮に、第1発光素子P1が第2発光素子P2よりも「レンズ重心点C1」から離れた位置に配置された場合、結像レンズ121の物体高は、「レンズ重心点C1」と「第1発光素子P1の重心点C2」の間隔と等しくなる。「レンズ重心点C1」とは、結像レンズ121の重心点を発光基板11上に射影した点のことである。
結像レンズ121の物体高Rは、主方向をx軸、副方向をy軸、レンズ重心点C1の座標を(x
0,y
0)、第1発光素子P1の重心点C2の座標を(x
1,y
1)としたとき、式(1)で表すことができる。
【数1】
【0027】
ここで、レンズ重心点C1の座標を原点(0,0)と仮定すると、物体高Rは、第1発光素子P1の重心点C2の座標(x1,y1)のみで求めることができる。したがって、物体高Rを狭めるには、x1及びy1の値を0に近づければよいことがわかる。
ところで、第1発光素子P1の重心点C2の主方向の位置x1は、発光素子数と主方向の解像度で決定されるため、第1発光素子P1の主方向の配置に自由度はない。そのため、本発明において、結像レンズ121の物体高Rをより狭める条件とは、第1発光素子P1の重心点C2の副方向の位置y1を0に近づけるように、発光素子111を配置することである。
【0028】
図6(a)に示す例では、第1発光素子P1及び第2発光素子P2は、全てのチャネル(Ch1~Ch5)のうち最もレンズ重心点C1に近いチャネル(
図6(a)ではCh3)内に配置されている。すなわち、第1発光素子P1及び第2発光素子P2は、全てのチャネルのうち最も副方向の位置が0に近いチャネル内に配置されている。これにより、第1発光素子P1の重心点C2の副方向の位置y
1(第2発光素子P2の重心点の副方向の位置も同様)を0に近づけることができるので、結果として結像レンズ121の物体高Rを狭めることができる。したがって、結像レンズ121及びレンズアレイ12のサイズも、結像レンズ121の物体高Rに比例して小さくすることができる。
【0029】
図7に、従来例(
図5参照)及び実施形態(
図6(a)参照)における結像レンズ121の物体高Rとレンズアレイ12の副方向のサイズとの関係を示す。
図7に示すように、実施形態では、従来例と比べ、物体高R及びレンズアレイ12の副方向のサイズが小さくなっていることがわかる。
【0030】
[実施例]
次に、
図8~
図19及び表Iを参照して、本発明における発光素子111の配置例(実施例1~12)を説明する。
図8~
図19に、発光素子111の配置例(実施例1~12)を示す。また、表Iに、各実施例1~12の配置パラメーターを示す。
【表1】
【0031】
表Iにおいて、「Ch数」は、発光素子群112内のチャネルの数である。「P1、P2が存在するチャネルN」は、発光素子群112内のチャネルのうち第1発光素子P1及び第2発光素子P2が配置されているチャネルである。「チャネル内の発光素子数」は、各チャネル内の発光素子111の数及び発光素子群112内の発光素子111の総数である。「任意のチャネルにおける発光素子の主方向間隔」は、任意のチャネルを副方向からみたときに、発光素子111の(主方向の)間隔が均等であるか不均等であるかを示している。「チャネルNとレンズ重心点の一致」は、チャネルNとレンズ重心点C1とが重なっているか否かを示している。「チャネルN内の発光素子数」は、チャネルN内の発光素子111の数が偶数であるか奇数であるかを示している。なお、「チャネルN内の発光素子数」が偶数であれば、レンズ重心点C1とチャネルN内のいずれかの発光素子111とが重なることはなく、「チャネルN内の発光素子数」が奇数であれば、レンズ重心点C1とチャネルN内のいずれかの発光素子111とが重なることとなる。
【0032】
ここで、Ch数(発光素子群112内のチャネル数)は、
図8~
図15に示す例(実施例1~8)のように、奇数であることがより好ましい。これは、結像レンズ121の物体高Rを最小化しつつ、発光素子111をより多く配置することが可能であるからである。1つの結像レンズ121に対向する発光素子の数が多くなれば、その分だけレンズアレイ12全体の結像レンズ数を削減することができるため、結果として光書込装置100及び画像形成装置1000を小型化することが可能となる。
なお、Ch数(発光素子群112内のチャネル数)や発光素子群112内の発光素子111の総数は、主方向に最も離れた2つの発光素子111(第1発光素子P1、第2発光素子P2)が、最大物体高である限り、自由に設定することが可能である。
【0033】
図8~
図12に示す例(実施例1~5)では、各チャネル内の発光素子数を同一とした場合において、第1発光素子P1及び第2発光素子P2以外の発光素子111の配置の規則性を各々変化させたパターンが示されている。この場合、いずれの例であっても同一の効果を得ることができるため、配線パターンや発光素子111における光源の形成条件等に基づいて、配置パターンが決定されることとなる。
【0034】
図12に示す例(実施例5)では、チャネルがレンズ重心点C1から遠ざかるにつれて、チャネル内の発光素子数を少なくした場合を示している。このように、レンズ重心点C1から遠いチャネルほど発光素子数を少なくすることで、発光素子群112内において主方向端部に配される発光素子111の配置を結像レンズ121の外周円形状に倣わせることができるため、結像レンズ121の有効域を最大限に活用することが可能となる。
【0035】
図8~
図12及び
図14~
図18に示す例(実施例1~5、7~11)では、チャネルNとレンズ重心点C1とが一致する場合を示している。ここで、レンズ重心点C1を通る主方向と平行な直線を「レンズ重心線」とし、発光素子111の重心点から当該発光素子111の発光領域の副方向端部までの距離を「発光距離H(
図6(b)参照)」とする。この場合、第1発光素子P1を含むチャネルの重心線とレンズ重心線(y=0)との間隔は、0となっている。すなわち、第1発光素子P1の重心点C2の副方向の位置y
1が0となるように配置されている。このように、第1発光素子P1の重心点C2の副方向の位置y
1を0とすることで、結像レンズ121の物体高Rを最小化することが可能となる。
一方、
図13及び
図19に示す例(実施例6、12)では、チャネルNとレンズ重心点C1とが一致していない場合を示している。このように、製造バラつきや組み立て誤差又は設計上の都合等により、チャネルNとレンズ重心点C1との間にズレが生じた場合であっても、結像レンズ121の物体高Rを抑制する効果を得ることができる。
【0036】
図16~
図18に示す例(実施例9~11)では、Ch数(発光素子群112内のチャネル数)が偶数であり、かつ、チャネルNとレンズ重心点C1とが一致している場合を示している。この場合、レンズ重心点C1を中心として副方向プラス側(例えばCh1の方向)のチャネル数と副方向マイナス側(例えばCh4の方向)のチャネル数とが等しくならないため、対称性は崩れてしまうものの、最大物体高を抑制する効果を得ることは可能である。
【0037】
図8~
図11、
図13、
図14及び
図16に示す例(実施例1~4、6、7、9)では、各チャネル内の発光素子111が、主方向に等間隔に配置された場合を示している。この場合、各発光素子111に対して電気的な配線を通すために必要な間隔を十分に確保することができるので、配線作業を容易に行うことが可能となり、発光基板11を容易に成形することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1000の光書込装置100によれば、発光素子群112は、発光素子111が、主走査方向及び副走査方向の二次元状に並べられて配置されている。発光素子群112内の発光素子111は、当該発光素子111を主線上に射影した際、主走査方向に等間隔に配置されている。発光素子群112の各々は、それぞれ対応する結像レンズ121と正対するように配置されている。発光素子群112内の発光素子111は、発光時間ごとにチャネルとしてグループ化されている。チャネル内の発光素子111の重心は、主走査方向と平行な直線上に並んでいる。チャネル内の発光素子111の重心を結ぶ直線を重心線としたとき、隣接する重心線の副走査方向の間隔は、副走査方向の解像度及び結像レンズ121の倍率に基づいて決定されている。発光素子群112内の発光素子111のうち主走査方向に最も離れた2つの発光素子111をそれぞれ第1発光素子P1及び第2発光素子P2とし、結像レンズ121の重心点を発光基板11上に射影した点をレンズ重心点としたとき、第1発光素子P1又は第2発光素子P2は、発光素子群112内の発光素子111のうち最もレンズ重心点から離れた位置に配置されている。第1発光素子P1及び第2発光素子P2は、チャネルのうち最もレンズ重心点に近いチャネル内に配置されている。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、順次選択回路方式の制約を満足しつつ、1つの結像レンズ121に対向する発光素子111の数を減らすことなく物体高を狭めることができるので、結像レンズ121及びレンズアレイ12のサイズを小さくすることが可能となり、装置の小型化を実現することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、第1発光素子P1及び第2発光素子P2を含むチャネルの重心線とレンズ重心線とが一致している。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、結像レンズ121の物体高を最小化することができるので、結像レンズ121及びレンズアレイ12のサイズを最大限小さくすることが可能となり、装置を最大限小さくすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、発光素子群112内のチャネル数は、奇数である。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、結像レンズ121の物体高を最小化しつつ、発光素子111をより多く配置することが可能であるので、レンズアレイ12全体の結像レンズ数を削減することが可能となり、装置の小型化を実現することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、チャネルがレンズ重心点から遠ざかるにつれて、当該チャネル内の発光素子数が少なくなる。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、発光素子群112内において主方向端部に配される発光素子111の配置を結像レンズ121の外周円形状に倣わせることができるので、結像レンズ121の有効域を最大限に活用することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る光書込装置100によれば、チャネル内の発光素子111は、主走査方向に等間隔に配置されている。
したがって、本実施形態に係る光書込装置100によれば、各発光素子111に対して電気的な配線を通すために必要な間隔を十分に確保することができるので、配線作業を容易に行うことが可能となり、発光基板11を容易に成形することができる。
【0043】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0044】
例えば、第1発光素子P1及び第2発光素子P2を含むチャネルの重心線とレンズ重心線との間隔が、発光距離Hよりも短くなるように、配置するようにしてもよい。この場合、第1発光素子P1の重心点C2の副方向の位置y1が発光距離Hよりも短くなるように配置される。このように、第1発光素子P1の重心点C2の副方向の位置y1を発光距離Hよりも短くすることで、結像レンズ121の物体高Rを小さくすることが可能となる。
【0045】
以上のように、第1発光素子P1及び第2発光素子P2を含むチャネルの重心線とレンズ重心線との間隔を、発光距離Hよりも短くすることで、結像レンズ121の物体高Rをより小さくすることができるので、結像レンズ121及びレンズアレイ12のサイズをより小さくすることが可能となり、装置の小型化を実現することができる。
【0046】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1000 画像形成装置
100 光書込装置
11 発光基板
111 発光素子
112 発光素子群
113 射影部
12 レンズアレイ
121 結像レンズ
200 感光体(像担持体)
210 帯電部
220 現像部
300 中間転写ベルト
400 転写ローラー(転写部)
500 定着部