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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】移動ロボット及び防災システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/40 20060101AFI20220419BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20220419BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20220419BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20220419BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A62C37/40
G08B17/00 F
G08B17/00 J
G08B27/00 A
G05D1/00 Z
B64C39/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017241842
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2019107225
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 寛之
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-197361(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0101716(KR,A)
【文献】特開昭51-122997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00-99/00
B64C 27/08,39/02
G05D 1/00- 1/12
G08B 17/00,23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置されたスプリンクラヘッドを作動させるための制御手段と、
移動手段を備える本体と、
前記本体から延びるように設けられた支持部材であって、前記本体から水平方向に離れた位置において前記制御手段を支持するための支持部材と
を備え、
前記支持部材は、前記制御手段が前記スプリンクラヘッドを作動させる位置にある場合において、前記本体が前記スプリンクラヘッドの散水範囲に入らない長さを有する
移動ロボット。
【請求項2】
前記制御手段は、前記スプリンクラヘッドを加熱するための熱源又は前記スプリンクラヘッドに打撃を与えるための打撃手段であることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項3】
建物内で発生した火災を感知するための火災感知手段と、
前記火災感知手段が火災を感知した場合に、前記火災感知手段の設置位置から避難口に至る避難経路を設定する避難経路設定手段と、
前記設定された避難経路上に設置されたスプリンクラヘッドを作動させるための制御手段を備える移動ロボットと
を備える防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時にスプリンクラヘッドを作動させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、閉鎖型スプリンクラヘッドを用いたスプリンクラ設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-237340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閉鎖型スプリンクラヘッドは、周囲の温度が火災の熱により上昇し、ヘッド内部の感熱体が変形して、ヘッドの放水を阻止している栓が外れることで放水する。そのため、火災の火によりあぶられるまでは放水を行わない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、スプリンクラヘッドを強制的に作動させることで、延焼を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の課題を解決するため、本発明に係る移動ロボットは、建物に設置されたスプリンクラヘッドを作動させるための制御手段を備える。
【0007】
(2)前記制御手段は、前記スプリンクラヘッドを加熱するための熱源又は前記スプリンクラヘッドに打撃を与えるための打撃手段である。
【0008】
(3)好ましい態様において、前記移動ロボットは、移動手段を備える本体と、前記本体から延びるように設けられた支持部材であって、前記本体から水平方向または鉛直方向に離れた位置において前記制御手段を支持するための支持部材とをさらに備える。
【0009】
(4)本発明に係る防災システムは、建物内で発生した火災を感知するための火災感知手段と、前記火災感知手段が火災を感知した場合に、前記火災感知手段の設置位置から避難口に至る避難経路を設定する避難経路設定手段と、前記設定された避難経路上に設置されたスプリンクラヘッドを作動させるための制御手段とを備える。
【0010】
(5)本発明に係る防災システムは、建物内で発生した火災を感知するための火災感知手段と、前記火災感知手段が火災を感知した場合に、前記火災感知手段の近傍に設置されたスプリンクラヘッドを作動させるための制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る移動ロボット又は防災システムによれば、スプリンクラヘッドを強制的に作動させることで、延焼を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】防災システム1の構成の一例を示す図である。
図2】無人航空機5の構成の一例を示すブロック図である。
図3】サーバ6の構成の一例を示すブロック図である。
図4】飛行要求動作の一例を示すフロー図である。
図5】飛行動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態
1-1.防災システム1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る防災システム1の構成の一例を示す図である。同図に例示する防災システム1は、火災感知機2と、火災受信機3と、スプリンクラヘッド4と、スプリンクラヘッド4を強制的に作動(散水)させるための無人航空機5(本発明に係る「移動ロボット」の一例)と、無人航空機5に対してスプリンクラヘッド4を強制的に作動させるよう指示するサーバ6とを備える。
【0014】
1-1-1.火災感知機2の構成
火災感知機2は、建物内で発生した火災を感知するための火災感知手段である。具体的には、煙感知器、熱感知器、炎感知器等の感知器である。火災感知機2は、建物の各所に設置され、火災を感知すると、自己のアドレスを含む火災感知信号を、図示せぬ信号線を介して火災受信機3に送信する。
【0015】
1-1-2.火災受信機3の構成
火災受信機3は、建物内の防災センタ等に設置され、火災感知機2から送信される火災感知信号に基づいて火災の発生を判定する。火災が発生したと判定すると、火災の発生を通知する火災確定信号を、無線LAN等の通信回線7を介してサーバ6に送信する。この火災確定信号には、火災の発生場所情報が含まれる。
【0016】
1-1-3.スプリンクラヘッド4の構成
スプリンクラヘッド4は、閉鎖型スプリンクラヘッドであり、建物の各所に設置される。スプリンクラヘッド4の周囲の温度が火災の熱により上昇すると、当該ヘッド内部の感熱体が変形し、当該ヘッドの放水を阻止している栓が外れて、放水口から加圧された水が流出する。流出した水は、デフレクタに当たって散水される。
【0017】
1-1-4.無人航空機5の構成
無人航空機5は、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機又は飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものである。本実施形態に係る無人航空機5は、その一例として、回転翼航空機(より具体的には、クアッドコプタ)である。無人航空機5は、主たる構成として、機体本体501と、機体本体501に取り付けられて、後述する駆動部510により回転駆動される4枚のプロペラ502と、機体本体501から延びるように設けられて、機体本体501から水平方向に離れた位置において熱源504を支持するための棒状の支持部材503とを備える。支持部材503の取り付け位置は、機体本体501の下部に限られず上部であってもよい。支持部材503の長さは、熱源504がスプリンクラヘッド4を加熱する際に、機体本体501が当該ヘッドの散水範囲に入らない程度の長さに設定される。支持部材503により支持される熱源504は、スプリンクラヘッド4を強制的に作動させるための制御手段である。具体的には、スプリンクラヘッド4を加熱するための電熱式又は燃焼式の点火装置である。
【0018】
図2は、無人航空機5の構成の一例を示すブロック図である。無人航空機5は、制御部505と、記憶部506と、通信部507と、撮影部508と、測位部509と、駆動部510と、センサ部511と、電源部512とを備える。
【0019】
制御部505は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部506に記憶される飛行プログラムを実行する。記憶部506は、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、制御部505により実行される飛行プログラムを記憶する。また、記憶部506は、サーバ6から提供される飛行経路情報を記憶する。この飛行経路情報は、無人航空機5がその待機場所を出発し、制御対象である複数のスプリンクラヘッド4の設置場所を経由して、再び待機場所に戻ってくるまでの飛行経路を示す情報である。この飛行経路情報には、制御対象であるスプリンクラヘッド4の設置場所(より正確には、設置場所の直下の位置)を示す位置情報が含まれる。通信部507は、サーバ6と通信回線7を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0020】
撮影部508は、建物の天井に設置されたスプリンクラヘッド4を撮影するための撮影手段である。具体的には例えば、CCDカメラである。撮影部508は、鉛直方向上方を撮影可能なように機体本体501に取り付けられる。測位部509は、周知の屋内測位技術を用いて無人航空機5の現在位置を測定する測位手段である。具体的には例えば、UWB(Ultra Wideband)を利用して位置を測定する。なお、変形例として、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)やWi-Fi(登録商標)やIMES(Indoor Messaging System)を利用して位置を測定してもよい。なお、衛星からの電波を受信可能な環境であれば、衛星測位を行ってもよい。または、スプリンクラヘッド4に位置情報を知らせる機能、例えばBeaconを設けて現在地を無人航空機5に知らせるようにしても良い。
【0021】
駆動部510は、各々、プロペラ502を回転駆動させるモータ及び駆動回路を4組備える。センサ部511は、無人航空機5の姿勢を制御するために利用されるセンサ群を備える。具体的には例えば、加速度センサと、ジャイロスコープと、高度センサと、磁気センサとを備える。電源部512は、リチウムポリマーバッテリ等のバッテリである。
【0022】
無人航空機5の制御部505は、記憶部506に記憶される飛行プログラムを実行することにより、熱源制御部5051と、飛行制御部5052と、画像認識部5053という機能を実現する。
【0023】
熱源制御部5051は、熱源504を制御して熱を発生させる。
【0024】
飛行制御部5052は、記憶部506に記憶される飛行経路情報と、センサ部511により継続的に測定される各種のセンサ値と、測位部509により継続的に測定される位置とに基づいて、無人航空機5を所定の飛行経路に沿って自動的に飛行させる。その際、飛行制御部5052は、無人航空機5が制御対象のスプリンクラヘッド4の設置場所に到達する度に、スプリンクラヘッド4を探索するための探索飛行を行わせる。例えば、スプリンクラヘッド4の設置場所を中心として所定範囲内を渦巻き状に探索飛行させる。これは、飛行経路情報により示される位置から少しずれた位置にスプリンクラヘッド4が設置されている可能性があるからである。また、測位部509による測位結果に誤差が生じる可能性があるからである。探索飛行の結果、スプリンクラヘッド4が検出されると、飛行制御部5052は、熱源504が当該ヘッドの直下にくるように位置合わせを行い、当該ヘッドが作動するまでの所定時間、無人航空機5をホバリングさせる。
【0025】
画像認識部5053は、無人航空機5がスプリンクラヘッド4の設置場所に到達し、探索飛行を開始すると、撮影部508により継続的に撮影される画像に対して周知の画像認識技術を適用して、スプリンクラヘッド4の検出を試みる。
【0026】
1-1-5.サーバ6の構成
図3は、サーバ6の構成の一例を示すブロック図である。サーバ6は、制御部61と、記憶部62と、操作入力部63と、通信部64とを備える。
【0027】
制御部61は、CPU等の演算処理装置とRAM等の揮発性メモリとを備え、記憶部62に記憶される飛行要求プログラムを実行する。記憶部62は、HDD等の記憶装置であり、制御部61により実行される飛行要求プログラムを記憶する。また、記憶部62は、建物の平面図データを格納する平面図データベース621と、建物内に設置されている各スプリンクラヘッド4の設置位置を格納するスプリンクラヘッド情報データベース622とを記憶する。操作入力部63は、操作ボタンやタッチパネル等の入力装置である。通信部64は、無人航空機5と通信回線7を介して通信を行うための通信インタフェースである。
【0028】
サーバ6の制御部61は、記憶部62に記憶される飛行要求プログラムを実行することにより、避難経路設定部611と、飛行経路情報生成部612と、送信部613という機能を実現する。
【0029】
避難経路設定部611は、火災感知機2が火災を感知すると、当該感知器の設置位置から避難口に至る避難経路を設定する。その際、避難経路設定部611は、火災受信機3から送信される火災確定信号に基づいて、火災を感知した火災感知機2の設置位置を特定し、平面図データベース621を参照して、特定した設置位置から最寄りの避難口に至る最短の避難経路を設定する。
【0030】
飛行経路情報生成部612は、避難経路設定部611により避難経路が設定されると、設定された避難経路に基づいて飛行経路情報を生成する。生成される飛行経路情報は、無人航空機5がその待機場所を出発し、設定された避難経路上の複数のスプリンクラヘッド4の設置場所を経由して、再び待機場所に戻ってくるまでの飛行経路を示す情報である。この飛行経路情報は、スプリンクラヘッド情報データベース622を参照して生成され、設定された避難経路上のスプリンクラヘッド4の設置場所(より正確には、設置場所の直下の位置)を示す位置情報が含まれる。
【0031】
送信部613は、飛行経路情報生成部612により生成された飛行経路情報を含む飛行要求を無人航空機5に対して送信する。
【0032】
1-2.防災システム1の動作
サーバ6により実行される飛行要求動作と、無人航空機5により実行される飛行動作について説明する。
【0033】
1-2-1.飛行要求動作
図4は、飛行要求動作の一例を示すフロー図である。同図に例示する飛行要求動作は、火災受信機3から送信される火災確定信号がサーバ6により受信されて、サーバ6の制御部61が飛行要求プログラムを実行すると開始される。または、火災確定信号の受信後、操作入力部63を介して飛行要求を指示する操作が入力されて、サーバ6の制御部61が飛行要求プログラムを実行すると開始される。
【0034】
避難経路設定部611は、火災受信機3から送信された火災確定信号に基づいて、火災を感知した火災感知機2の設置位置を特定し、平面図データベース621を参照して、特定した設置位置から最寄りの避難口に至る最短の避難経路を設定する(Sa1)。避難経路が設定されると、飛行経路情報生成部612は、無人航空機5がその待機場所を出発し、設定された避難経路上の複数のスプリンクラヘッド4の設置場所を経由して、再び待機場所に戻ってくるまでの飛行経路を示す飛行経路情報を生成する(Sa2)。飛行経路情報は、スプリンクラヘッド情報データベース622を参照して生成され、設定された避難経路上のスプリンクラヘッド4の設置場所(より正確には、設置場所の直下の位置)を示す位置情報が含まれる。飛行経路情報が生成されると、送信部613は、生成された飛行経路情報を含む飛行要求を無人航空機5に対して送信する(Sa3)。
以上が、飛行要求動作についての説明である。
【0035】
1-2-2.飛行動作
図5は、飛行動作の一例を示すフロー図である。同図に例示する飛行動作は、サーバ6から送信された飛行要求が無人航空機5により受信されて、無人航空機5の制御部505が飛行プログラムを実行すると開始される。その際、無人航空機5により受信された飛行要求に含まれる飛行経路情報は、無人航空機5の記憶部506に記憶される。
【0036】
熱源制御部5051は、熱源504を制御して熱を発生させる(Sb1)。熱の発生が開始されると、飛行制御部5052は、記憶部506に記憶される飛行経路情報と、センサ部511により継続的に測定される各種のセンサ値と、測位部509により継続的に測定される位置とに基づいて、無人航空機5を、その待機場所から制御対象のスプリンクラヘッド4の設置場所まで自動的に飛行させる(Sb2)。スプリンクラヘッド4の設置場所に到達すると、飛行制御部5052は、スプリンクラヘッド4を探索するために、無人航空機5に探索飛行を行わせる(Sb3)。その際、画像認識部5053は、撮影部508により継続的に撮影される画像に対して周知の画像認識技術を適用し、スプリンクラヘッド4の検出を試みる。探索飛行の結果、画像認識部5053がスプリンクラヘッド4を検出すると(Sb4)、飛行制御部5052は、熱源504が当該ヘッドの直下にくるように位置合わせを行い、当該ヘッドが作動するまでの所定時間、無人航空機5をホバリングさせる(Sb5)。所定時間が経過し、スプリンクラヘッド4が作動すると、まだ作動していない防災設備が残っている場合には(Sb6のYES)、飛行制御部5052は、記憶部506に記憶される飛行経路情報に基づいて、無人航空機5を、次の制御対象のスプリンクラヘッド4の設置場所まで自動的に飛行させる(Sb2)。一方、避難経路上のすべてのスプリンクラヘッド4を作動させた場合には(Sb6のNO)、熱源制御部5051は、熱源504を制御して熱の発生を停止させ(Sb7)、飛行制御部5052は、記憶部506に記憶される飛行経路情報に基づいて、無人航空機5を待機場所まで自動的に飛行させる(Sb8)。
以上が、飛行動作についての説明である。
【0037】
なお、上記の飛行動作において、ステップSb3の探索飛行の結果、スプリンクラヘッド4が検出されなかった場合には、ステップSb4及びSb5を省略して、ステップSb6が実行されてもよい。
【0038】
以上説明した防災システム1によれば、避難経路上のスプリンクラヘッド4を強制的に作動させることで、避難経路への延焼を抑制することができる。また、無人航空機5の熱源504が機体本体501から水平方向に離れた位置において支持されているため、スプリンクラヘッド4から散水される水が、電子機器を収容する機体本体501にかかるのを防止することができる。
【0039】
2.変形例
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。なお、下記の2以上の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0040】
2-1.変形例1
図3に例示するサーバ6の構成は、火災受信機3が備えてもよい。すなわち、火災受信機3が、図4に例示する飛行要求動作を実行してもよい。
【0041】
2-2.変形例2
無人航空機5に、操縦用の送信機から発信される電波を受信可能な受信機を備えさせ、無人航空機5を手動により操縦可能としてもよい。その場合、上記の飛行動作の1以上のステップを手動操作により実行してもよい。なお、手動操縦するにあたり、FPV(First Person View)用のカメラを無人航空機5に備えさせ、一人称視点で操縦してもよい。
【0042】
2-3.変形例3
探索飛行の際、無人航空機5で行われる画像認識処理を、サーバ6側で行うようにしてもよい。その場合、無人航空機5は、撮影部508により継続的に撮影される画像をサーバ6に送信し、サーバ6は、送信されてくる画像に対して周知の画像認識技術を適用し、スプリンクラヘッド4の検出を試みる。そして、スプリンクラヘッド4を検出すると、検出した旨を無人航空機5に通知する。
【0043】
2-4.変形例4
図5に例示する飛行動作において、無人航空機5は、スプリンクラヘッド4の作動を確認してから、当該ヘッドに対する加熱を終了するようにしてもよい。その場合、無人航空機5は、自機の周囲を撮影するための撮影部をさらに備え、画像認識部5053は、スプリンクラヘッド4の加熱中、当該撮影部により継続的に撮影される画像に対して周知の画像認識技術を適用して、散水の検出を試みる。そして、散水を検出すると、飛行制御部5052は、無人航空機5を、次の制御対象のスプリンクラヘッド4の設置場所まで自動的に飛行させる。
【0044】
本変形例に係る無人航空機5は、スプリンクラヘッド4を探索するための探索飛行の際、スプリンクラヘッド4の散水を検出した場合には(言い換えると、スプリンクラヘッド4がすでに作動している場合には)、当該ヘッドに対する加熱を省略するようにしてもよい。
【0045】
2-5.変形例5
無人航空機5の機体本体501を防水構造とし、熱源504を機体本体501の上部に取り付けるようにし、鉛直方向に支持部材503を伸ばして設けてもよいし、支持部材503の取り付けを省略しても良い。
【0046】
2-6.変形例6
無人航空機5は、熱源504に代えて、スプリンクラヘッド4に打撃を与えるための打撃手段(本発明に係る「制御手段」の一例)を備え、スプリンクラヘッド4を破壊又は変形させることで強制的に作動させるようにしてもよい。打撃手段は、熱源504と同様に、機体本体501から水平方向に離れた位置において支持部材503により支持され、スプリンクラヘッド4に対して横方向から打撃を与えることで当該ヘッドを破壊又は変形させる。打撃手段は、一例として、モータの回転によって往復角運動するてこクランク機構と、てこクランク機構の往復角運動に合わせてハンマーを揺動するハンマー揺動機構とにより構成される(例えば、特開2017-150883号公報参照)。
【0047】
2-7.変形例7
無人航空機5は、スプリンクラヘッド4を強制的に作動させるための移動ロボット(具体的には、遠隔操作又は自動操縦により移動させることができるロボット)の一例である。移動ロボットの移動手段はプロペラに限られず、車輪や無限軌道であってもよい。
【0048】
2-8.変形例8
無人航空機5が備える熱源504を各スプリンクラヘッド4に備えさせ、サーバ6からの作動指示に応じて強制的に作動可能なようにしてもよい。その場合、スプリンクラヘッド4は、当該ヘッドを加熱して強制的に作動させるための制御手段として熱源504を備え、さらに、サーバ6と通信回線7を介して通信を行うための通信インタフェースである通信部と、熱源504を制御して熱を発生させるための制御部とを備える。この制御部は、設定された避難経路上のスプリンクラヘッド4に対してサーバ6から送信される作動要求を受信すると、熱源504を制御して熱を発生させ、当該ヘッドを強制的に作動させる。なお、サーバ6から作動要求が送信される対象は、避難経路上のスプリンクラヘッド4に限られず、火災を感知した火災感知機2の近傍(例えば、火元に隣接する防火区画)に設置されたスプリンクラヘッド4としてもよい。また、スプリンクラヘッド4に備えさせる制御手段として、熱源504に代えて、変形例6に記載の打撃手段や、スプリンクラヘッド4が開放型の場合は、水供給用配管に設けられてスプリンクラヘッド4の放水口を開閉(放水を開始又は停止)するための電磁弁を採用してもよい。
上記電磁弁を採用した場合、スプリンクラヘッド4に無人航空機5が近づいたことを認識することで、電磁弁を開放してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…防災システム、2…火災感知機、3…火災受信機、4…スプリンクラヘッド、5…無人航空機、6…サーバ、7…通信回線、61…制御部、62…記憶部、63…操作入力部、64…通信部、501…機体本体、502…プロペラ、503…支持部材、504…熱源、505…制御部、506…記憶部、507…通信部、508…撮影部、509…測位部、510…駆動部、511…センサ部、512…電源部、611…避難経路設定部、612…飛行経路情報生成部、613…送信部、621…平面図データベース、622…スプリンクラヘッド情報データベース、5051…熱源制御部、5052…飛行制御部、5053…画像認識部
図1
図2
図3
図4
図5