(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】スラリー氷の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
F25C 1/00 20060101AFI20220419BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20220419BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20220419BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20220419BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220419BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20220419BHJP
C02F 1/20 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
F25C1/00 D
B01D19/00 F
B01F1/00 A
B01F3/04 Z
B01F5/06
B01F5/10
C02F1/20 Z
(21)【出願番号】P 2018024962
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2017025583
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508091649
【氏名又は名称】有限会社浦野技研
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】浦野 隆実
(72)【発明者】
【氏名】茅野 義弘
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-155172(JP,A)
【文献】特開2007-040548(JP,A)
【文献】特開2014-124541(JP,A)
【文献】特開2013-217640(JP,A)
【文献】特開2007-278667(JP,A)
【文献】特開2013-036628(JP,A)
【文献】特開昭49-130958(JP,A)
【文献】特許第6044019(JP,B1)
【文献】国際公開第2016/017700(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00
B01F 1/00
B01F 3/04
B01F 5/00
B01F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩水からスラリー氷を製造するための製造装置であって、
塩水を貯留する貯留装置と、
塩水中に窒素ガスを主成分とする気泡を生成する気泡生成装置と、
該気泡生成装置により気泡が生成した状態で塩水を冷却する冷却装置と、
塩水が前記各装置を循環可能な循環路を形成する配管と、
該配管に接続され、前記貯留装置に貯留された塩水を前記気泡生成装置に供給するポンプと、を備え、
前記気泡生成装置が、第1室と、第2室と、第3室とを有し、
前記第1室が、前記貯留装置で貯留された塩水の供給口と、窒素ガスの供給口とを備えており、
前記第2室が、前記第1室と連通する第1の連通口と、前記第3室と連通する第2の連通口とを備えており、
前記第3室が、塩水の排出口を備えており、
前記第1の連通口及び前記第2の連通口がそれぞれ狭幅に形成されており、塩水及び窒素ガスが第1室、第2室、及び第3室の順序で移動することにより、塩水中で窒素ガスを主成分とする気泡が生成可能であ
り、
前記第1室と、前記第3室とが隣接しており、
前記第1室と前記第3室とで構成される外壁全体の中に、前記第2室が形成されている、スラリー氷の製造装置。
【請求項2】
前記第2室の容積が前記第1室の容積よりも小さく、かつ前記第3室の容積よりも小さい、請求項
1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記気泡生成装置が、前記気泡生成装置により気泡が生成した塩水を前記冷却装置に向かって供給可能に前記冷却装置と接続しており、
前記冷却装置が、前記冷却装置から前記貯留装置に向かって塩水を供給可能に前記貯留装置と接続している、請求項
1又は2に記載の製造装置。
【請求項4】
塩水を撹拌する撹拌装置を備えている、請求項
1乃至
3のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項5】
前記貯留装置の雰囲気を減圧する減圧装置を備えている、請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項6】
前記減圧装置が、駆動口、吸込口及び吐出口を有するエジェクターから構成され、
前記駆動口が、前記第3室の排出口から前記駆動口に向かって塩水を供給可能に前記第3室の排出口と接続しており、
前記吸込口が、前記貯留装置の雰囲気を減圧可能に前記貯留装置と接続しており、
前記吐出口が、前記吐出口から前記ポンプに向かって塩水を供給可能に前記ポンプと接続している、請求項
5に記載の製造装置。
【請求項7】
前記気泡の大きさが50μm以下である、請求項
1乃至
6のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項8】
前記ポンプから前記気泡生成装置に向かって吐出される塩水の圧力が、0.2×10
6Pa以上0.6×10
6Pa以下である、請求項
1乃至
7のいずれか1項に記載の製造装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のスラリー氷の製造装置を用いて、循環状態にある塩水からスラリー氷を製造する製造方法であって、
塩水中に窒素ガスを主成分とする気泡を生成させる気泡生成工程と、
該気泡生成工程により生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する冷却工程と、を含み、
前記気泡生成工程が、塩水及び窒素ガスを主成分とするガスを第1室に供給する第1の工程と、
前記第1室に供給した塩水及び前記ガスを、狭幅な連通口を介して、前記第1室と連通する第2室に供給する第2の工程と、
前記第2室に供給した塩水及び前記ガスを狭幅な連通口を介して、前記第2室と連通し、排出口を備えた第3室に供給する第3の工程と、を含む、スラリー氷の製造方法。
【請求項10】
塩水を貯留装置に貯留する貯留工程を含み、
前記第1の工程において供給される塩水が、前記貯留工程により貯留された塩水である、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記貯留工程において、雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行う
、請求項
10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記気泡生成工程前に、前記貯留装置の雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行う減圧工程を含む、請求項
11に記載の製造方法。
【請求項13】
循環状態にある塩水を撹拌する撹拌工程を含む、請求項
9乃至
12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記気泡生成工程において生成する気泡の大きさが50μm以下である、請求項
9乃至
13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項
9乃至
14のいずれか1項に記載の製造方法を用いて、スラリー氷中に氷粒子の生成を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリー氷の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚などの冷却対象物の鮮度を長時間保持するために、海水などのブラインからスラリー氷を製造し、このスラリー氷を用いて冷却対象物を冷却保存することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、製氷機から貯氷タンクへ移送されるスラリー氷と外気との接触面を軽減させ、ポンプを必要としない製氷構造とすることにより、製氷効率がよく、かつ簡略化した構造で小型化できるとともに、増加した氷粒子によって管が閉塞することもなく、スラリー氷を製氷する装置の能力を最大限に活かすことができるスラリー氷の製造装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、酸素量を軽減した海水からの氷によって、従来にも増して魚の保冷等、多様に利用できるようにすることを目的として、取水した海水を貯蔵タンクに貯蔵する工程と、前記貯蔵タンク内に窒素ガスを注入して酸素を放出する工程と、前記貯蔵した海水を殺菌する工程と、殺菌した海水を冷却タンクに移し、冷却装置との間を循環させて冷却する工程と、-2℃以下に過冷却した海水と発生した氷を氷分離タンクへ送り、発生した氷を分離して当該氷分離タンク外へ搬出する工程と、氷と分離された過冷却海水は戻し管で冷却タンクへ戻す工程とを順次行うことを特徴とする海水から氷を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-036628号公報
【文献】特許第6044019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの文献に記載の方法により得られる、スラリー氷は、シャーベット状の形態であり、氷粒子が魚体と接触し、魚体を傷付けるという問題を解消できない。
【0007】
従って、本発明の目的は、魚などの冷却対象物の鮮度を十分に保持できるだけでなく、冷却対象物を傷付けにくい、スラリー氷(スラリーアイス)を製造するための製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のスラリー氷(スラリーアイス)製造方法は、循環状態にある塩水からスラリー氷を製造する製造方法であって、塩水中に窒素ガスを主成分とする気泡を生成させる気泡生成工程と、該気泡生成工程により生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する冷却工程と、を含み、前記気泡生成工程が、塩水及び窒素ガスを主成分とするガスを第1室に供給する第1の工程と、前記第1室に供給した塩水及び前記ガスを、狭幅な連通口を介して、前記第1室と連通する第2室に供給する第2の工程と、前記第2室に供給した塩水及び前記ガスを狭幅な連通口を介して、前記第2室と連通し、排出口を備えた第3室に供給する第3の工程と、を含む。
【0009】
本発明の製造方法では、第1室に供給された塩水及び窒素ガスを主成分とするガスを狭幅に形成された連通口を介して第2室に供給し、第2室に供給された塩水及び前記ガスを狭幅に形成された連通口を介して第3室に供給することにより、第3室に侵入する際、塩水中に窒素ガスを主成分とする微細な気泡が生成する。これにより、塩水中の酸素ガスが外部に追い出され、塩水中の酸素量を低減できる。そして、微細な気泡が生成した状態で塩水を冷却すると、塩水の氷点が低下して塩水中の水を過冷却状態(準安定状態)とすることができるため、氷粒子の生成が抑制され、粘性の極めて高いシェイク状のスラリー氷を製造できる。そして、酸素濃度が極めて小さく、氷粒子の生成が抑制されたシェイク状のスラリー氷を用いて魚などの冷却対象物を保存すると、冷却対象物が塩水により酸化されることが抑制されるため冷却対象物の鮮度を十分に保持できるとともに、魚などの冷却対象物を傷つけにくくすることができる。本明細書にいう「窒素ガスを主成分とするガス」とは、例えば、ガス全体(質量%)に対して窒素ガスを19質量%以上、好ましくは23質量%以上、より好ましくは26質量%以上含むガスをいう。
【0010】
本発明の製造方法は、塩水を貯留装置に貯留する貯留工程を含み、前記第1の工程において供給される塩水が、前記貯留工程により貯留された塩水であることが好ましい。前記貯留工程において、雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行うことがより好ましく、前記気泡生成工程前に、前記貯留装置の雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行う減圧工程を含むことがさらに好ましい。
【0011】
塩水は、塩水を貯留可能な貯留装置(例えば、チャンバーなどの貯留容器)内に貯留されてもよい。また、本明細書にいう「雰囲気」とは、例えば、貯留装置(例えば、チャンバー)内に貯留された塩水の上方に位置する上部空間をいう。また、本明細書にいう「減圧状態」とは、例えば、上部空間の圧力が大気圧未満であることをいい、できるだけ大気圧よりも低いことが好ましい。雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行うことにより、雰囲気中の酸素量が減少するため、貯留された塩水中に溶存する酸素ガスの溶存量をより一層低減できる。このため、冷却対処物が塩水により酸化されることをより一層抑制でき、冷却対象物の鮮度をより一層保持できる傾向にある。また、貯留された塩水中の酸素ガスの溶存量が低減できるため、気泡生成装置において供給された塩水に窒素ガスをより一層溶存させやすく、減圧時の塩水の沸点(0℃)をより一層低下することができる。このため、塩水中に氷粒子が生成したり、スラリー氷が固化したりすることをより一層抑制できる。尚、雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行った後は、雰囲気を加圧状態にするのが好ましい。
【0012】
本発明の製造方法は、循環状態にある塩水を撹拌する撹拌工程を含むことが好ましい。前記撹拌工程において、循環状態にある塩水中に、窒素ガスを主成分とする気泡を生成し、前記気泡が生成した状態で塩水を冷却する間、塩水を攪拌し続けることが好ましい。循環状態にある塩水を撹拌することにより、塩水中に氷粒子が生成したり、スラリー氷が固化したりすることをより一層抑制できるとともに、生成した気泡同士が合体して気泡が大きくなることをより一層抑制できる。また、塩水が過冷却状態(準安定状態)にある場合には塩水中に氷粒子が存在しない傾向にあるが、時間の経過に伴い、塩水中に氷粒子が生成し始める場合がある。この場合であっても、循環状態にある塩水を攪拌することにより、時間の経過に伴い、塩水中に氷粒子が生成することをより一層抑制できる。
【0013】
前記気泡生成工程において生成する気泡の大きさは、50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。50μm以下の大きさを有する気泡が生成した状態で塩水を冷却すると、塩水の氷点がより一層低下して塩水中の水をより一層確実に過冷却状態とすることができるため、氷粒子の生成がより一層抑制された粘性の高いシェイク状のスラリー氷を製造できる傾向にある。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明のスラリー氷(スラリーアイス)製造装置は、塩水からスラリー氷を製造するための製造装置であって、塩水を貯留する貯留装置と、塩水中に窒素ガスを主成分とする気泡を生成する気泡生成装置と、該気泡生成装置により気泡が生成した状態で塩水を冷却する冷却装置と、塩水が前記各装置を循環可能な循環路を形成する配管と、該配管に接続され、前記貯留装置に貯留された塩水を前記気泡生成装置に供給するポンプと、を備え、前記気泡生成装置が、第1室と、第2室と、第3室とを有し、前記第1室が、前記貯留装置で貯留された塩水の供給口と、窒素ガスの供給口とを備えており、前記第2室が、前記第1室と連通する第1の連通口と、前記第3室と連通する第2の連通口とを備えており、前記第3室が、塩水の排出口を備えており、前記第1の連通口及び前記第2の連通口がそれぞれ狭幅に形成されており、塩水及び窒素ガスが第1室、第2室、及び第3室の順序で移動することにより、塩水中で窒素ガスを主成分とする気泡が生成可能である。本発明の製造装置の気泡生成装置は、第1室と第2室とを連通する連通口、及び第2室と第3室とを連通する連通口が狭幅に形成されていることにより、塩水及び窒素ガスが第1室、第2室、及び第3室の順序で移動すると、第3室に侵入する際、塩水中に窒素ガスを主成分とする微細な気泡が生成する。これにより、塩水中の酸素ガスが外部に追い出され、塩水中の酸素量を低減することができる。そして、微細な気泡が生成した状態で塩水を冷却すると、塩水の氷点が低下して塩水中の水を過冷却状態(準安定状態)とすることができるため、氷粒子の生成が抑制され、粘性の極めて高いシェイク状のスラリー氷を製造できる。そして、酸素濃度が極めて小さく、氷粒子の生成が抑制されたシェイク状のスラリー氷を用いて魚などの冷却対象物を保存すると、冷却対象物が塩水により酸化されることが抑制されるため冷却対象物の鮮度を十分に保持できるとともに、魚などの冷却対象物を傷つけにくくすることができる。第1の連通口及び第2の連通口は、前述のように狭幅に形成されており、換言すれば第1の連通口及び第2の連通口はそれぞれ狭幅部を有している。
【0015】
前記気泡生成装置において、前記第2室の容積が前記第1室の容積よりも小さく、かつ前記第3室の容積よりも小さいことが好ましい。前記第2室の容積が前記第1の容積よりも小さいことにより、前記第2室に供給された塩水及び窒素ガスをより一層均一に混合できる。前記第2室の容積が前記第3室の容積よりも小さいことにより、前記第2室に供給された塩水及び窒素ガスを、前記第3室に移動する際にガス圧をより一層大きく変化させることができるため、微細な気泡をより一層安定にかつ確実に生成することができる。
【0016】
前記気泡生成装置において、前記第1室と、前記第3室とが隣接しており、前記第1室と前記第3室とで構成される外壁全体の中に、前記第2室が形成されていることが好ましい。前記第1室と、前記第3室とが隣接しており、前記第1室と前記第3室とで構成される外壁全体の中に、前記第2室が形成されていることにより、気泡生成装置を第1室から第3室までに塩水及び窒素ガスが移動する移動時間がより一層短縮にできるため、スラリー氷の製造効率をより一層向上できるとともに、気泡生成装置をより一層コンパクトにできる。
【0017】
前記気泡生成装置が、前記気泡生成装置により気泡が生成した塩水を前記冷却装置に向かって供給可能に前記冷却装置と接続しており、前記冷却装置が、前記冷却装置から前記貯留装置に向かって塩水を供給可能に前記貯留装置と接続していることが好ましい。
【0018】
これにより、前記気泡生成装置により気泡が生成した塩水を冷却装置に供給して、冷却し、冷却した塩水を貯留装置内に供給できる。
【0019】
本発明の製造装置は、塩水を撹拌する撹拌装置を備えていることが好ましい。例えば、貯留装置内に攪拌装置を備えることにより、貯留装置内で、時間の経過に伴い、塩水中に氷粒子が生成したり、スラリー氷が固化したりすることをより一層抑制できる。なお、本発明において、撹拌装置は気泡生成装置及び/又は冷却装置に備えていてもよい。
【0020】
本発明の製造装置は、前記貯留装置の雰囲気を減圧する減圧装置を備えていることが好ましく、前記減圧装置は、駆動口、吸込口及び吐出口を有するエジェクターから構成され、前記駆動口は、前記第3室の排出口から前記駆動口に向かって塩水を供給可能に前記第3室の排出口と接続しており、前記吸込口は、前記貯留装置の雰囲気を減圧可能に前記貯留装置と接続しており、前記吐出口は、前記吐出口から前記ポンプに向かって塩水を供給可能に前記ポンプと接続していることが好ましい。本発明の製造装置が減圧装置を備えていることにより、前記貯留装置の雰囲気を減圧状態にすることができる。これにより、貯留された塩水中に溶存する酸素ガスの溶存量をより一層低減できる。このため、冷却対処物が塩水により酸化されることがより一層抑制でき、冷却対象物の鮮度をより一層保持できる傾向にある。また、貯留された塩水中の酸素ガスの溶存量が低減できるため、気泡生成装置において供給された塩水に窒素ガスをより一層溶存させやすく、塩水中に窒素ガスを主成分とする微細な気泡をより一層安定にかつ確実に生成しやすい傾向にある。なお、駆動口は一次側、吐出口は二次側、吸込口は吸引側ということがあり、エジェクターは、アスピレータということがある。
【0021】
前記気泡の大きさは、気泡に光を当てた場合に目視にて散乱しない程度の大きさであればよく、50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。上記の大きさを有する気泡が生成した状態で塩水を冷却すると、塩水の氷点がより一層低下して塩水中の水をより一層確実に過冷却状態(準安定状態)とすることができるため、氷粒子の生成がより一層抑制された粘性の高いシェイク状のスラリー氷を製造できる傾向にある。
【0022】
本発明のスラリー氷製造装置において、気泡生成装置は、窒素ガス源を備えていることが好ましい。窒素ガス源は、例えば、空気から窒素ガスを分離する窒素ガス分離膜を有する窒素ガス分離装置から構成できる。
【0023】
前記ポンプから前記気泡生成装置に向かって吐出される塩水の圧力は、0.2×106Pa以上0.6×106Pa以下であることが好ましい。
【0024】
本発明は、本発明のスラリー氷の製造方法を用いて、スラリー氷中に氷粒子の生成を抑制する方法を含む。
【0025】
貯留装置(例えば、チャンバー)は、例えば、金属や合金(例えば、ステンレス鋼)、プラスチック材料から作製することができる。貯留装置は密閉形とすることが好ましい。貯留装置の容量は、例えば、要求されるスラリー氷の製造装置のスラリー氷の製造能力等によって、適宜決定すればよい。冷却装置(例えば、冷凍機)は、例えば、塩水を冷却できる構成又は構造の冷凍機であれば特に限定されず、冷凍能力(塩水を冷却する能力)は、要求されるスラリー氷の製造装置のスラリー氷の製造能力等によって、適宜決定すればよい。配管は、例えば、金属製、合金製(例えば、ステンレス鋼製)、プラスチック製の配管(パイプ)などから構成すればよい。ポンプは、例えば、故障が少なく、塩水中に気泡を容易に形成することができる渦巻きポンプを例示することができるが、これに限定されるものではなく、例えば、サイクロン型ポンプを挙げることもでき、塩水を搬送できる構成又は構造のポンプであれば特に限定されず、ポンプの能力は、要求されるスラリー氷の製造装置のスラリー氷の製造能力や要求される吐出圧等により適宜決定すればよい。
【0026】
本明細書にいう塩水(「ブライン」とも呼ばれる)とは、塩化ナトリウムの飽和水溶液又は飽和状態に近い水溶液を意味し、海水を含んでもよい。本発明により得られるスラリー氷は、窒素ガスを主成分とする気泡を含んだ状態にあるが、気泡には、窒素ガス以外に、例えば、酸素ガス等の空気を構成するガス成分を含んでもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、魚などの冷却対象物を傷つけにくく、かつ冷却対象物の鮮度を十分に保持できるすスラリー氷の製造装置及び製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本実施形態のスラリー氷の製造装置の構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すスラリー氷の製造装置における、気泡生成装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)に基づき図面を参照しながら説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。本実施形態における種々の数値や材料は、例示にすぎず本発明はこれらの例示に何ら限定されない。
【0030】
本実施形態では、本発明のスラリー氷の製造装置を用いたスラリー氷の製造方法について説明する。ただし、本発明のスラリー氷の製造方法は、本発明のスラリー氷の製造装置を用いることに限定されない。
【0031】
[スラリー氷の製造装置]
図1は、本実施形態のスラリー氷の製造装置の構成図である。
図1に示すスラリー氷の製造装置1(以下、「スラリー氷の製造装置」を単に「製造装置」ともいう。)は、塩水を貯留する貯留装置(チャンバー)10と、貯留装置10で貯留された塩水と窒素ガスとを混合し、塩水中に窒素ガスを主成分とする気泡を生成する気泡生成装置40と、気泡生成装置40で生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する冷却装置(冷凍機)20と、貯留装置10の雰囲気を減圧する減圧装置50と、循環する塩水を撹拌する撹拌装置(モータ)70と、塩水が各装置(貯留装置10,気泡生成装置40,冷却装置20,及び減圧装置50)を循環可能な循環路を形成する配管60と、配管60に接続され、貯留装置10に貯留された塩水を気泡生成装置40に供給するポンプ30と、を備えている。
【0032】
[配管60]
本実施形態の製造装置1の配管60は、貯留装置10とポンプ30とを接続し、貯留装置10からポンプ30に塩水を供給するための第1の配管61と、ポンプ30と気泡供給装置40とを接続し、ポンプ30から気泡供給装置40に塩水を供給するための第2の配管62と、一端が気泡供給装置40に接続し、他端側が分枝され、分枝された一方の他端が冷却装置20に接続し、分枝された他方側がさらに分枝され、分枝された一方の他端が貯留装置10に接続し、分枝された他方の他端が減圧装置50に接続され、気泡供給装置40から冷却装置20、貯留装置10、及び減圧装置50のそれぞれに塩水を供給するための第3の配管63と、冷却装置20と貯留装置10とを接続し、冷却装置20から貯留装置10に塩水を供給するための第4の配管64と、一端が減圧装置50に接続し、他端が第1の配管61の途中に接続し、減圧装置50から第1の配管61に塩水を供給するための第5の配管65と、を備えている。配管60が第1の配管61,第2の配管62,第3の配管63,第4の配管64,及び第5の配管65を備えることにより各装置(貯留装置10,気泡生成装置40,冷却装置20,及び減圧装置50)を循環可能な循環路が形成されている。
図1に示す各配管61~65は、例えば、ステンレス鋼のパイプから作製されている。
【0033】
本実施形態の製造装置1は、第1の配管61を介する貯留装置10からポンプ30への塩水の供給(流通)を制御するための第1のバルブ91と、第3の配管63を介する気泡供給装置40から貯留装置10への塩水の供給(流通)を制御するための第2のバルブ92と、第3の配管63を介する気泡供給装置40から減圧装置50への塩水の供給(流通)を制御するための第3のバルブ93と、第5の配管65を介する減圧装置50からポンプ30への塩水の供給(流通)を制御するための第4のバルブ95と、第3の配管63を介する気泡供給装置40から冷却装置20への塩水の供給を制御するための第5のバルブ96と、を備えている。
【0034】
[貯留装置10]
図1に示す貯留装置10は、ステンレス鋼から作製された密閉型のチャンバーで構成される。
【0035】
[気泡生成装置40]
図2は、
図1に示す製造装置1における、気泡生成装置40の模式断面図である。
図2に示す気泡生成装置40は、第1室45と、第2室46と、第3室48とから構成される気泡生成室42と、窒素ガス源41とを有し、第1室40と第3室48とが隣接しており、第1室45と第3室48とで構成される外壁全体の中に第2室46が形成され、第2室46の容積は、第1室45の容積よりも小さく、かつ第3室48の容積よりも小さく構成されている。
【0036】
第1室45は、貯留装置10で貯留された塩水を第2の配管62を介して供給する供給口44と、窒素ガス源41で生成した窒素ガスの供給口43とを備えている。第2室46は、第1室45と連通する第1の連通口(吸引側開口部)47Aを2つ備えるとともに、第3室48と連通する第2の連通口(排出側開口部)47Bを4つ備え、第1の連通口47A及び第2の連通口47Bは、それぞれ狭幅に形成されており、換言すれば第1の連通口47A及び第2の連通口47Bはそれぞれ狭幅部を有している。第3室48は、第3の配管63を介して冷却装置20に塩水を排出するための排出口(吐出部)49を備えている。
【0037】
窒素ガスの供給口43及び塩水の供給口44から第1室45に供給された窒素ガス及び塩水は、第1室45において混合され、渦状の形態となる。次に、窒素ガス及び塩水は、第1の連通口(吸引側開口部)47Aを介して、第1室45と連通した第2室46に供給される。第2の工程において、第2室46に供給された窒素ガス及び塩水は、より一層均一に混合される。次に、窒素ガス及び塩水は、第2の連通口(排出側開口部)47Bを介して、第2室46と連通した第3室48に供給される(侵入する)。塩水及び窒素ガスが第3室48に侵入した瞬間、ガス圧の急激な変化に起因して窒素ガスを主成分とする微細な気泡が生成する。そして、第3室48の排出口(吐出部)49から、第3の配管63へ流通する。
【0038】
気泡生成装置40は、ステンレス鋼から作製されている。
【0039】
窒素ガス源41は、例えば、空気から窒素ガスを分離する窒素ガス分離膜を備えた窒素ガス分離装置から構成されてもよい。本実施形態において、窒素ガス源は必ずしも気泡生成装置の構成要素ではなく、本実施形態の製造装置の外部から窒素ガスを第1室の供給口に供給する構成であってもよい。
【0040】
[冷却装置20]
冷却装置20は、一般的な冷凍機で構成されている。
【0041】
[ポンプ30]
ポンプ30は、渦巻きポンプから構成されている。
【0042】
[減圧装置50]
図1に示す減圧装置50は、駆動口(一次側)52、吸込口(二次側)53及び吐出口(吸引側)54を有するエジェクター(アスピレータ)51から構成されている。駆動口52は、気泡供給装置40の第3室48の排出口49と、第3の配管63を介して接続されており、第3室48の排出口49から駆動口52に向かって塩水を供給可能である。吸込口53は、貯留装置10の上部空間11と吸込用配管85(
図1では点線で示す)を介して接続されており、貯留装置10の雰囲気を減圧可能であり、貯留装置10の雰囲気内の吸込を制御するための吸込用バルブ94が配設されている。吐出口54は、ポンプ30のサクション部側と第5の配管65を介して接続されており、吐出口54からポンプ30に向かって塩水を供給可能である。
【0043】
エジェクター51は、ステンレス鋼から作製されている。
【0044】
本実施形態において、ポンプ30から気泡供給装置40に向かって吐出される塩水の圧力は、0.4×106Paであった。
【0045】
[撹拌装置70]
撹拌装置70は、貯留装置10に配設されており、貯留装置10内に貯留された塩水を撹拌する。撹拌装置70は、一般的なモータで構成されている。
【0046】
本実施形態のスラリー氷の製造方法において、例えば、循環状態にある塩水中に、窒素ガスを主成分とする気泡を生成させ、生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する。
【0047】
すなわち、本実施形態のスラリー氷の製造方法は、例えば、下記工程を含む。
【0048】
[気泡生成工程]
気泡生成工程では、循環状態にある塩水中に、窒素ガスを主成分とする気泡を生成させる。
【0049】
[冷却工程]
[気泡生成工程]の後、さらに塩水を循環し続け、窒素ガスを主成分とする気泡を生成させ、この状態を維持しながら、塩水を冷却する。より詳細には、例えば、本実施形態のスラリー氷の製造方法において、循環状態にある塩水中に、雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行い、その後加圧状態として、窒素ガスを主成分とする気泡を生成させ、塩水を冷却する。本実施形態では、気泡生成工程前に雰囲気を減圧状態とした後に窒素置換を行う(減圧工程)。また、循環状態にある塩水中に、窒素ガスを主成分とする気泡を生成し、前記気泡が生成した状態で塩水を冷却する間、塩水を攪拌し続ける(撹拌工程)。撹拌工程は、気泡生成工程及び/又は冷却工程と並行しながら行ってもよい。
【0050】
以下、本実施形態のスラリー氷の製造方法を具体的に説明する。
【0051】
(貯留工程)
まず、所定量の塩化ナトリウムを飲料水に溶解して得られる塩水を準備して貯留装置(チャンバー)10内に貯留する(貯留工程)。貯留工程に先立ち、あるいは並行して、第1のバルブ91,第2のバルブ92,第3のバルブ93,第4のバルブ95、第5のバルブ96、及び吸込用バルブ94を閉状態とする。貯留工程の後に、閉状態の第1のバルブ91,第2のバルブ92,第3のバルブ93,第4のバルブ95、及び吸込用バルブ94を開状態とし、ポンプ30を作動させて、
図1に示す循環路において、気泡供給装置40から冷却装置20への塩水の供給が停止された状態で、塩水の循環を開始する。貯留工程では、塩水を窒素置換しながら冷却してもよく、冷却温度としては、例えば、塩水中に気泡が発生していない状態で冷却する場合には、-30~2℃であり、後述する気泡生成工程により生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する場合には、例えば、-7~2℃である。
【0052】
(減圧工程)
また、第2の配管62を介して気泡供給装置40に向かって加圧された塩水を、第3の配管63を介して減圧装置50(エジェクター51)の駆動口52に供給し、駆動口52に供給された塩水が減圧装置50内を流通し、第5の配管65を介して、吐出口54から第1の配管61へ送り返す。こうして、吸込用配管85を介して、吸込口(二次側)53に接続された貯留装置(チャンバー)10の上部空間11を減圧する。
【0053】
(気泡生成工程)
上部空間11の減圧状態を所望の状態とした後、上部空間11の減圧を継続しつつ、気泡生成装置40を作動させて、貯留装置10に貯留された塩水と、窒素ガス源41からの窒素とをそれぞれ気泡生成装置40の第1室45に供給する(気泡生成工程の第1の工程)。次に、窒素ガス及び塩水を、第1の連通口(吸引側開口部)47Aを介して、第1室45と連通した第2室46に供給する(気泡生成工程の第2の工程)。第2の工程において、第2室46に供給された窒素ガス及び塩水は、より一層均一に混合される。次に、窒素ガス及び塩水は、第2の連通口(排出側開口部)47Bを介して、第2室46と連通した第3室48に供給する(第3の工程)。第3の工程において、塩水及び窒素ガスが第3室48に侵入した瞬間、ガス圧の急激な変化に起因して窒素ガスを主成分とする微細な気泡が生成する。そして、第3室48の排出口(吐出部)49から、第3の配管63を介して、塩水及び窒素ガスを送り出し、貯留装置(チャンバー)10内の塩水に送り出す。貯留装置(チャンバー)10内の塩水の圧力は、0.4×106Pa程度であった。
【0054】
本実施形態において、生成した気泡の大きさを上述した測定方法により測定したところ、直径2μm程度であった。
【0055】
(撹拌工程)
循環状態にある塩水中に、窒素ガスを主成分とする気泡を生成し、前記気泡が生成した状態で塩水を冷却する間、塩水を攪拌し続ける(撹拌工程)。撹拌工程は、気泡生成工程及び/又は冷却工程と並行しながら行ってもよい。
【0056】
(冷却工程)
前記気泡生成工程を所定時間経過した後、冷却工程を行う。冷却工程では、塩水を循環し続け、かつ窒素ガスを主成分とする気泡を塩水中に生成させこの状態を維持しながら、第5のバルブ96を閉状態から開状態とし、冷却装置(冷凍機)20を作動させる。これにより、気泡生成装置40から冷却装置20に向かって、第3の配管63を介して、塩水及び窒素ガスが供給され、生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する。次に、冷却した塩水及び窒素ガスを第4の配管64を介して貯留装置(チャンバー)10に供給すると、貯留装置(チャンバー)10内の塩水が冷却され、貯留装置(チャンバー)内の塩水を、氷粒子の生成が抑制された粘性の極めて高いシェイク状のスラリー氷とすることができる。
【0057】
時間の経過に伴い、塩水中に氷粒子が生成し始める場合があるが、このような場合でも、塩水を循環し続け、かつ窒素ガスを主成分とする気泡を生成させ、この状態を維持しながら冷却することで、貯留装置10内の塩水中の氷粒子の生成を抑制できる。
【0058】
本実施形態のスラリー氷の製造方法において、循環状態にある塩水中に、窒素ガスを主成分とする気泡を生成させ、生成した気泡を維持した状態で塩水を冷却する。これにより、まず、塩水中の酸素ガスが外部に追い出され、塩水中の酸素量を低減できる。また、塩水の氷点が低下し、塩水は冷凍されず(固化されず)、塩水中の水は過冷却状態となる。その結果、氷粒子の生成が抑制され、得られるスラリー氷は、粘性の極めて高いシェイク状の形態を有する。このため、酸素濃度が極めて小さく、氷粒子の生成が抑制されたシェイク状のスラリー氷を用いて魚などの冷却対象物を保存すると、冷却対象物の鮮度を十分に保持できるとともに、魚などの冷却対象物を傷つけにくくすることができる。
【0059】
以上、本実施形態に基づき、本発明を説明したが、本発明は本実施形態に限定するものではない。本実施形態において説明したスラリー氷製造装置を構成する各種装置、部品、部材は例示であり、適宜、変更することができることは云うまでもないし、本実施形態において説明したスラリー氷の製造方法も例示であり、適宜、変更することができることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1…製造装置、10…貯留装置(チャンバー)、11…貯留装置(チャンバー)の上部空間、20…冷却装置(冷凍機)、30…ポンプ、40…気泡生成装置、41…窒素ガス源、42…気泡生成室、43…窒素ガスの供給口、44…塩水の供給口、45…第1室、46…第2室46、47A…第1の連通口(吸引側開口部)、47B…第2の連通口(排出側開口部)、48…第3室、49…排出口(吐出部)、50…減圧装置、51…エジェクター(アスピレータ)、52…駆動口(一次側)、53…吸込口(二次側)、54…吐出口(吸引側)、60…配管、61…第1の配管、62…第2の配管、63…第3の配管、64…第4の配管、65…第5の配管、70…攪拌装置、85…吸込用配管、91…第1のバルブ、92…第2のバルブ、93…第3のバルブ、94…吸込用バルブ、95…第4のバルブ、96…第5のバルブ