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  • 特許-排泥収集装置および地盤改良方法 図1
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  • 特許-排泥収集装置および地盤改良方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】排泥収集装置および地盤改良方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018028302
(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2019143359
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391019740
【氏名又は名称】三信建設工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504158881
【氏名又は名称】東京地下鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】西青木 光則
(72)【発明者】
【氏名】山村 学
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸久
(72)【発明者】
【氏名】大栗 雅明
(72)【発明者】
【氏名】木村 敏之
(72)【発明者】
【氏名】萩原 耕太
(72)【発明者】
【氏名】新坂 孝志
(72)【発明者】
【氏名】杉原 喜代栄
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-150712(JP,A)
【文献】特開平05-112927(JP,A)
【文献】特開2001-271782(JP,A)
【文献】特開2000-110491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
5/22 - 5/80
29/00
29/045-37/00
E03F 1/00 -11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧噴射撹拌工法のガイドホールの孔口部に設けられる排泥収集装置であって、
注入ロッドが挿通される筒状の装置本体と、
前記装置本体の側面に形成された排泥を排出する排出口と、
前記装置本体の側面に形成されて希釈水を取り込む取水口と、を備え、
前記取水口は、前記装置本体の中心部を挟んで前記排出口と対向する位置に形成されており、
前記注入ロッドの外面と前記装置本体の内面との間に、前記取水口から取り込まれた希釈水を前記排出口に誘導する流路が形成されることを特徴とする、排泥収集装置。
【請求項2】
ガイドホールの孔口に請求項に記載の排泥収集装置を設置する作業と、
前記装置本体に挿通した前記注入ロッドを前記ガイドホールに挿入する作業と、
前記注入ロッドから前記ガイドホールの周囲の地盤に固化材を高圧噴射することにより前記地盤に柱状の改良体を形成する作業と、を備える地盤改良方法であって、 前記取水口から前記装置本体に希釈水を供給することで、前記装置本体内に前記取水口から前記排出口に向かう流れを形成し、前記固化材の高圧噴射に伴い前記ガイドホールから噴出した排泥を、前記希釈水とともに前記排出口から排出することを特徴とする、地盤改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泥収集装置および地盤改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設構造物の下方に液状化対策工(地盤改良)を行う方法として、高圧噴射撹拌工法により柱状の改良体を形成する場合がある。高圧噴射撹拌工法では、固化材などを地盤内に高圧で噴射することにより、地山を切削するとともに固化材を撹拌混合するため、排泥が発生する。また、高圧噴射撹拌工法では、固化材を注入するための注入ロッドを地中に配設するためのガイドホールを形成するため、前記排泥はガイドホールから噴出する。そのため、特許文献1には、ガイドホールから噴出した排泥が、周囲に飛散することとがないように、ガイドホールの孔口に設けられた排泥受槽に排泥を取り込む方法が開示されている。
ところが、既設構造物の下方の地盤に対して地盤改良を行う場合には、ガイドホールの周囲に排泥受槽を設置するスペースを確保できない場合がある。このような場合には、ガイドホールの孔口に排泥管が接続された排泥収集装置を設けておき、この排泥収集装置を介して排泥を所定の位置に輸送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-229729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高圧噴射撹拌工法によって発生する排泥は、地層等によって、地質、硬さ、粘性度等が異なっている。排泥の粘性が高い場合等には、排泥収集装置が閉塞するおそれがある。排泥収集装置が閉塞すると、施工を中断して障害物を取り除く必要があるため、手間と時間がかかる。また、排泥収集装置が閉塞すると、地盤内の圧力が増加し、基礎地盤が隆起することで既設構造物に変位が生じるおそれがある。
このような観点から、本発明は、高圧噴射撹拌工法による地盤改良時に生じる排泥を効率的に排出することを可能とした排泥収集装置および地盤改良方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明は、高圧噴射撹拌工法のガイドホールの孔口部に設けられる排泥収集装置であって、注入ロッドが挿通される筒状の装置本体と、前記装置本体の側面に形成された排泥を排出するための排出口と、前記装置本体の側面に形成された希釈水を取り込むための取水口とを備えており、前記取水口は、前記装置本体の中心部を挟んで前記排出口と対向する位置に形成されており、前記注入ロッドの外面と前記装置本体の内面との間に、前記取水口から取り込まれた希釈水を前記排出口に誘導する流路が形成されることを特徴としている。なお、前記排泥収集装置は、前記取水口が2か所に形成されていて、2つの前記取水口と前記排出口とがY字状に配置されているのが望ましい。
【0006】
また、前記排泥収集装置を利用した地盤改良方法は、ガイドホールの孔口に前記排泥収集装置を設置する作業と、前記装置本体に挿通した注入ロッドを前記ガイドホールに挿入する作業と、前記注入ロッドから前記ガイドホールの周囲の地盤に固化材を高圧噴射することにより前記地盤に柱状の改良体を形成する作業とを備えており、前記取水口から前記装置本体に希釈水を供給することで、前記装置本体内に前記取水口から前記排出口に向かう流れを形成し、前記固化材の高圧噴射に伴い前記ガイドホールから噴出した排泥を、前記希釈水とともに前記排出口から排出することを特徴としている。
【0007】
本発明の排泥収集装置および地盤改良方法によれば、希釈水を利用して排泥を排出するため、装置内が排泥によって閉塞することが防止されている。すなわち、装置本体の内部では、希釈水による流れが形成されているため、ガイドホールから噴出した排泥が排出口に誘導されて、装置本体の内部で滞留することがない。また、取水口から排出口に向かう希釈水の流れによってガイドホールの孔口部が負圧状態となるため、排泥がガイドホールから装置本体に吸引されて、効率的に排出することができる。また、排泥の粘性が高い場合であっても、希釈水により希釈されるため、装置本体内部で付着することが防止されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の排泥収集装置および地盤改良方法によれば、高圧噴射撹拌工法による地盤改良時に生じる排泥を効率的に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る地盤改良方法の施工状況を示す断面図である。
図2】本実施形態の排泥収集装置を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図3】他の形態に係る排泥収集装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、既設構造物1の下方の地盤Gに、高圧噴射撹拌工法によって地盤改良体2を形成する場合について説明する。
本実施形態の既設構造物1は、いわゆるケーソンであって、地中に埋設された箱型のコンクリート部材である。既設構造物1は、鉄道のホームを形成している。本実施形態では、終電から始発までの間の時間帯に、線路脇から既設構造物1の底版を貫通するように配設した注入ロッド3を利用して、固化材を地盤Gに噴射撹拌することにより地盤改良体2を形成する。固化材の噴射撹拌は、地盤内圧力の上昇によって既設構造物1に変位が生じることがないように、地盤G内への噴射量と地盤G内から排出する排泥量とを調整しながら行う。なお、既設構造物1はケーソンに限定されるものではない。
【0011】
本実施形態の地盤改良方法では、既設構造物1の内部に据え付けた施工マシン4を利用してガイドホール5の削孔および固化材の噴射撹拌を行う。施工に伴って発生する排泥Dは、既設構造物1の外部へ排出する。本実施形態では、既設構造物1の内部に設けられた一次受タンク41に排泥Dを一時的に貯留した後、地上部に設けられた排泥タンク42に輸送する。排泥タンク42に貯留した排泥Dは、輸送車両等を利用して場外(処分場等)へ搬出する。なお、図1において、符号11は、施工に必要な機器設備(施工マシン4や注入ロッド3等)の搬入および搬出や、排泥管43の配管等に使用する立坑である。立坑11は、必要に応じて形成すればよい。また、一次受タンク41は必要に応じて設ければよく、一次受タンク41を省略する場合は、排泥Dを排泥管43を介して直接地上部に排出してもよい。
【0012】
以下、本実施形態の地盤改良方法について説明する。
まず、既設構造物1の底版上に据え付けた施工マシン4を利用して、ボーリングを行い、ガイドホール5を形成する。図2(a)に示すように、ガイドホール5の上端部には、口元管51を設けておく。
ガイドホール5を形成したら、ガイドホール5の上端(孔口部)にバルブ6を介して排泥収集装置7を固定する。
バルブ6は、ガイドホール5の孔口(上端)を開閉する部材である。本実施形態では、バルブ6として、仕切弁を有するゲートバルブを採用するが、バルブ6の構成は限定されるものではなく、例えば、ボールバルブであってもよい。バルブ6は、口元管51に取り付けられた取付管52を介してガイドホール5に固定する。取付管52は、口元管51と同じ内径を有した管材からなる。なお、取付管52は、必要に応じて設ければよく、バルブ6は、口元管51に直接固定してもよい。バルブ6は、線路脇に形成されたピット12内に配設されている。ピット12は、枠状に形成されていて、バルブ6の周囲を囲っている。ピット12の上端は、線路の上面よりも低く、車両の通行に支障をきたすことがないように構成されている。なお、ピット12は必要に応じて形成すればよい。
【0013】
排泥収集装置7は、図2(a)および(b)に示すように、注入ロッド3が挿通される装置本体71と、装置本体71の側面に形成された排泥Dを排出する排出口72と、装置本体71の側面に形成されて希釈水Wを取り込む取水口73と、装置本体71の上部に形成されたプリベンダー74とを備えている。
装置本体71は、注入ロッド3の外径よりも大きな内径を有した円筒状部材により構成されている。装置本体71の上端および下端は開口している。装置本体71の下端はバルブ6の上端に固定されていて、装置本体71の上端にはプリベンダー74が固定されている。
プリベンダー74は、注入ロッド3を挿通可能な貫通孔が形成された環状部材である。貫通孔の内面には、ゴム材や樹脂材等が設置されていて、貫通孔に注入ロッド3を挿通させた際に、注入ロッド3の外面と密着するように構成されている。すなわち、プリベンダー74は、注入ロッド3の外面に沿って排泥D等が流出することを防止するための止水部材である。プリベンダー74の中心は、装置本体71の軸心と一致している。なお、プリベンダー74の構成は限定されるものではない。
【0014】
排出口72は、装置本体71の側面に形成された枝管であって、排泥管43が接続可能に構成されている。排出口72は、ガイドホール5から噴出した排泥Dを、排泥管43へ誘導する。排出口72の内径は限定されるものではないが、少なくともガイドホール5の内面と注入ロッド3の外面との間に形成された隙間の面積よりも大きな内空面積を確保できる大きさとすることが好ましい。
取水口73は、装置本体71の側面に形成された枝管であって、貯水槽(図示せず)から延設された送水管75が接続可能に構成されている。送水管75は、希釈水Wを圧送するための管路である。なお、本実施形態では、貯水槽から希釈水Wを採取する場合について説明するが、希釈水Wは水道から取得してもよい。貯水槽は、既設構造物1の内部に配設されていてもよいし、地上部に配設されていてもよい。本実施形態の取水口73は、装置本体71の中心部を挟んで排出口72と対向する位置に形成されている。すなわち、取水口73の中心軸と、排出口72の中心軸は、同じ直線上に配置されている。なお、取水口73は、必ずしも排出口72の延長線上に配置されている必要はなく、排出口72の中心軸に対して斜めに取り付けられていてもよい。
【0015】
排泥収集装置7をガイドホール5の孔口部に固定したら、注入ロッド3をガイドホール5に挿入する。注入ロッド3は、プリベンダー74および装置本体71を挿通させて、ガイドホール5に挿入する。プリベンダー74の中心と装置本体71の中心軸とが一致しているため、プリベンダー74を挿通した注入ロッド3は、装置本体71の中央部に配置される。すなわち、注入ロッド3の外面と、装置本体71の内面との間には、幅が一定の隙間が形成される。
【0016】
注入ロッド3をガイドホール5に挿入したら、注入ロッド3からガイドホール5の周囲の地盤Gに対して固化材を高圧噴射する。このとき、注入ロッド3を回転させながら固化材を噴射する。こうすることで、ガイドホール5の周囲の地盤Gが高圧噴射された固化材によって切削されるとともに、当該固化材が地盤G内に撹拌混合されるため、地盤G内には柱状に地盤改良体2が形成される。
固化材の噴射撹拌に伴い、取水口73から装置本体71内に希釈水Wを供給する。取水口73から取り込まれた希釈水Wは、注入ロッド3と装置本体71との隙間を通って、排出口72に流れる。すなわち、装置本体71の内面と注入ロッド3の外面との隙間は、取水口73から取り込まれた希釈水Wを排出口72に誘導する流路となり、当該流路には取水口73から排出口72に向かう流れが形成される。
【0017】
地盤G内に固化材を高圧噴射すると、地盤G内の地盤内圧力が上昇することで、地盤G内からガイドホール5と注入ロッド3との隙間に排泥Dが流入する。排泥Dは、地盤内圧力によって、装置本体71内に噴出する。また、装置本体71内には、取水口73から排出口72に向かう希釈水Wの流れが形成されるため、ガイドホール5の上端部(バルブ6と排泥収集装置7との接合部)は、負圧の状態となる。そのため、ガイドホール5内の排泥Dは、装置本体71内に吸引される。装置本体71に入り込んだ排泥Dは、希釈水Wとともに排出口72から排出される。排出口72から排出された排泥Dは、排泥管43を介して一次受タンク41に輸送した後、地上部の排泥タンク42に排出する。
【0018】
固化材の噴射撹拌が完了したら、バルブ6を閉じて、ガイドホール5の孔口を遮蔽する。バルブ6を閉じたら、排泥収集装置7を撤去する。なお、バルブ6を閉じるタイミングは限定されるものではなく、地盤G内の土圧が安定したことを確認してから閉じてもよい。また、排泥収集装置7は、バルブ6を閉じた後も残置しておいてもよい。
地盤改良体2の養生後、バルブ6および取付管52等を撤去する。
【0019】
以上、本実施形態の排泥収集装置7および地盤改良方法によれば、希釈水Wを利用して排泥Dを排出するため、排泥収集装置7内が排泥Dによって閉塞することが防止されている。すなわち、装置本体71の内部では、希釈水Wによる流れが形成されているため、ガイドホール5から噴出した排泥Dが排出口72に誘導されて、装置本体71の内部で滞留することがない。また、排泥Dが周囲に飛散することがないため、施工エリアの清掃作業等を最小限にすることができる。その結果、作業性が向上し、工事費の削減および工期短縮が可能となる。
注入ロッド3は、装置本体71の中心部に配設されているため、注入ロッド3の外面と装置本体71の内面との隙間は一定幅の環状を呈している。そのため、装置本体71の内部に、隙間の幅が狭くなる部位や、角部などが形成されず、したがって、排泥Dが詰まり難い。
また、排泥Dを効率的に排出させることができるため、希釈水Wの水量を最小限に抑えることができる。そのため、排泥量の削減も可能となり、ひいては、排泥Dの処分に要する手間や費用を削減することができる。
【0020】
また、取水口73から排出口72に向かう希釈水Wの流れによってガイドホール5の孔口部が負圧状態となるため、排泥Dがガイドホール5から装置本体71に吸引されて、効率的に排泥Dを排出することができる。
また、排泥Dの粘性が高い場合であっても、希釈水Wにより排泥Dが希釈されるため、装置本体71の内部に排泥Dが付着することが防止されている。
取水口73が排出口72に対して注入ロッド3を挟んで対向する位置に形成されているため、取水口73から流入した希釈水Wは、注入ロッド3によって二分された後、注入ロッド3の周囲を回って排出口72に流れる。そのため、注入ロッド3の全集にわたって希釈水Wの流れが形成されるため、排泥収集装置7の内部に入り込んだ排泥Dを確実に排出することができる。
【0021】
バルブ6によってガイドホール5の孔口の開閉が可能であるため、工事の中断および再開が可能である。供用中の鉄道や道路等のように、限られた時間帯にしか工事を行うことができない場合には、時間内に工事が完了しない場合がある。そのため、バルブ6によってガイドホール5を遮蔽すれば、排泥収集装置7や施工マシン4を撤去して、鉄道または道路を解放することができる。このとき、バルブ6は、ピット12内に配設されているため、車両の通行の妨げにならない。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、既設構造物1がケーソンの場合について説明したが、既設構造物1はケーソンに限定されるものではない。例えば、トンネル、ボックスカルバート、舗装、建築物等であってもよい。また、既設構造物1は、鉄道施設に限定されるものではない。
【0023】
前記実施形態では、排出口72の延長線上に取水口73が形成されている場合について説明したが、排出口72と取水口73の高さ位置は異なっていてもよい。 また、前記実施形態では、装置本体71に取水口73が1か所形成されている場合について説明したが、装置本体71に形成される取水口73の数は限定されるものではなく、複数形成されていてもよい。例えば、図3に示すように、取水口73を2か所形成してもよい。このとき、取水口73から取り込まれた希釈水Wの流れが排出口72の方向となるように、2つの取水口73,73と排出口72とをY字状に配置する(2つの取水口73,73の中心を通る法線と排出口72の中心を通る法線とが平面視Y字状に交わる)ことで、取水口73が排出口72に向かって開口しているのが望ましい。
また、取水口73を複数形成する場合には、各取水口73の高さ位置は異なっていてもよい。
【0024】
また、前記実施形態では、ガイドホール5が略鉛直であるが、ガイドホール5は傾斜していてもよい。
前記実施形態では、排泥収集装置7をバルブ6を介してガイドホール5の孔口部に取り付ける場合について説明したが、バルブ6を省略して排泥収集装置7をガイドホール5に直接取り付けてもよい。
また、希釈水Wに分散剤を混入しておけば、高粘性の排泥Dの流動性を向上させることができ、施工性がさらに向上する。
【0025】
また、装置本体71には、内部の圧力を計測する圧力計を設置しておいてもよい。このようにすれば、圧力計によって装置本体71内の圧力の増減が確認できるため、装置本体71内の閉塞の有無を確認することができる。また、圧力計の計測値に応じて希釈水Wの水量を調整することで、より効率的な施工が可能となる。すなわち、圧力計の計測値によって装置本体71内の閉塞が確認された場合には、希釈水Wの水量を調整して、排泥Dの流れを促進させる。さらに、圧力計の計測値に応じて、自動的に希釈水Wの水量を調整するようにしてもよい。
【0026】
装置本体71は、角筒状部材により形成されていてもよい。
また、排泥収集装置7の排出口72は、地下水位よりも高い位置となるように排泥収集装置7を設置するのが望ましい。このようにすれば、地下水位以下で高圧噴射撹拌を実施することが可能となり、施工性が向上する。
【符号の説明】
【0027】
1 既設構造物
2 地盤改良体
3 注入ロッド
4 施工マシン
5 ガイドホール
6 バルブ
7 排泥収集装置
71 装置本体
72 排出口
73 取水口
D 排泥
G 地盤
W 希釈水
図1
図2
図3