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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】家庭用薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20220419BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20220419BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 A
A47K10/42 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018038898
(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公開番号】P2019151387
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昭晃
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-001046(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185844(WO,A1)
【文献】特開2003-095301(JP,A)
【文献】特開2008-207833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 43/16
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に家庭用薄葉紙が収納され、当該家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有する容器本体と、
前記容器本体に回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体は、少なくとも一部が弾性材料によって形成され、前記開閉蓋を閉塞状態で係止すると共に、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段を備え、
前記弾性材料によって、前記容器本体の前記弾性材料によって形成された部分と接続されるようにして形成され、前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段を備え、
前記付勢手段は、前記容器本体の前記開閉蓋との接続部の近傍の部分及び前記開閉蓋の前記容器本体との接続部の近傍の部分と面一となるようにして前記容器本体及び前記開閉蓋と一体的に形成されていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
内部に家庭用薄葉紙が収納され、当該家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有し、少なくとも一部が弾性材料によって形成された容器本体と、
前記容器本体に回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
前記弾性材料によって、前記容器本体の前記弾性材料によって形成された部分と接続されるようにして形成され、前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記付勢手段は、前記容器本体の前記開閉蓋との接続部の近傍の部分及び前記開閉蓋の前記容器本体との接続部の近傍の部分と面一となるようにして前記容器本体及び前記開閉蓋と一体的に形成され、
前記容器本体は、
前記開閉蓋を閉塞状態で係止すると共に、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段と、
前記容器本体の上側を構成する容器本体上部と、
前記容器本体の下側を構成する容器本体下部と、
を備え、
前記容器本体上部は、下端部に、複数の凸部と複数の凹部とが交互に並ぶように形成された上部嵌合部を備え、
前記容器本体下部は、上端部に、複数の凸部と複数の凹部とが交互に並ぶように形成された下部嵌合部を備え、
前記上部嵌合部と前記下部嵌合部とは、前記上部嵌合部に形成された前記凸部と、前記下部嵌合部に形成された前記凹部とが組み合わさり、前記上部嵌合部に形成された前記凹部と、前記下部嵌合部に形成された前記凸部とが組み合わさることで嵌合することを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記開閉蓋は、少なくとも一部が前記弾性材料によって形成され、前記付勢手段は、前記開閉蓋の前記弾性材料によって形成された部分と接続されるようにして形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記弾性材料は、硬度が20以上、90以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項5】
前記容器本体には、前記弾性材料によって、前記取出孔を囲むように環状に上方へと突出する凸部である本体側密閉環部が形成され、
前記開閉蓋には、前記弾性材料によって、当該開閉蓋の閉塞時において環状に下方へと突出する凸部である開閉蓋側密閉環部が形成され、
前記本体側密閉環部と、前記開閉蓋側密閉環部とは、前記開閉蓋の閉塞時において嵌合することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項6】
前記容器本体は、前記開閉蓋との接続部分の近傍に、前記弾性材料によって形成された滑り止め部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェットティッシュ等の家庭用薄葉紙の収納容器としては、開閉蓋をバネ等の付勢部材によって開放方向に付勢しつつ、これを所定の係止部材によって閉塞状態で係止可能とすることで、使用者が係止部材に設けられたボタンを押圧した際に、ワンタッチで開閉蓋が開くようにしたものが知られている。
そして、このような家庭用薄葉紙収納容器においては、開閉蓋を付勢するための機構として、容器本体及び開閉蓋とは別体の金属製や樹脂製のバネを用い、これを容器本体及び開閉蓋にそれぞれ設けられたヒンジ部にセットして用いる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3962410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような家庭用薄葉紙収納容器においては、開閉蓋の開放動作は容易となるものの、容器本体及び開閉蓋とは別体の金属製や樹脂製のバネを備えることから、容器の構造が複雑になり、また部品点数が増加することから、生産性の低下を招いていた。
【0005】
本発明の課題は、開閉蓋の開放動作を容易としつつ、生産性の低下を抑制した家庭用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
内部に家庭用薄葉紙が収納され、当該家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有する容器本体と、
前記容器本体に回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体は、少なくとも一部が弾性材料によって形成され、前記開閉蓋を閉塞状態で係止すると共に、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段を備え、
前記弾性材料によって、前記容器本体の前記弾性材料によって形成された部分と接続されるようにして形成され、前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段を備え、
前記付勢手段は、前記容器本体の前記開閉蓋との接続部の近傍の部分及び前記開閉蓋の前記容器本体との接続部の近傍の部分と面一となるようにして前記容器本体及び前記開閉蓋と一体的に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、家庭用薄葉紙収納容器において、
内部に家庭用薄葉紙が収納され、当該家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有し、少なくとも一部が弾性材料によって形成された容器本体と、
前記容器本体に回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
前記弾性材料によって、前記容器本体の前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成され、前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記付勢手段は、前記容器本体の前記開閉蓋との接続部の近傍の部分及び前記開閉蓋の前記容器本体との接続部の近傍の部分と面一となるようにして前記容器本体及び前記開閉蓋と一体的に形成され、
前記容器本体は、
前記開閉蓋を閉塞状態で係止すると共に、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段と、
前記容器本体の上側を構成する容器本体上部と、
前記容器本体の下側を構成する容器本体下部と、
を備え、
前記容器本体上部は、下端部に、複数の凸部と複数の凹部とが交互に並ぶように形成された上部嵌合部を備え、
前記容器本体下部は、上端部に、複数の凸部と複数の凹部とが交互に並ぶように形成された下部嵌合部を備え、
前記上部嵌合部と前記下部嵌合部とは、前記上部嵌合部に形成された前記凸部と、前記下部嵌合部に形成された前記凹部とが組み合わさり、前記上部嵌合部に形成された前記凹部と、前記下部嵌合部に形成された前記凸部とが組み合わさることで嵌合することを特徴とする。
本発明によれば、開閉蓋の開放動作を容易としつつ、生産性の低下を抑制することができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記開閉蓋は、少なくとも一部が前記弾性材料によって形成され、前記付勢手段は、前記開閉蓋の前記弾性材料によって形成された部分と接続されるようにして形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、開閉蓋の開放動作を容易としつつ、さらに生産性の低下を抑制することができる。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記弾性材料は、硬度が20以上、90以下であることを特徴とする。
本発明によれば、開閉蓋の開放動作をさらに容易にすることができる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記容器本体には、前記弾性材料によって、前記取出孔を囲むように環状に上方へと突出する凸部である本体側密閉環部が形成され、
前記開閉蓋には、前記弾性材料によって、当該開閉蓋の閉塞時において環状に下方へと突出する凸部である開閉蓋側密閉環部が形成され、
前記本体側密閉環部と、前記開閉蓋側密閉環部とは、前記開閉蓋の閉塞時において嵌合することを特徴とする。
本発明によれば、容器本体内部の密閉性を改善することができる。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記容器本体は、前記開閉蓋との接続部分の近傍に、前記弾性材料によって形成された滑り止め部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、開放時の開閉蓋の安定性を改善することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開閉蓋の開放動作を容易としつつ、生産性の低下を抑制した家庭用薄葉紙収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る家庭用薄葉紙収納容器の斜視図である。なお、網掛け部分は弾性材料によって形成された部分を表す。
図2図1のY方向中央部における断面図である。なお、網掛け部分は弾性材料によって形成された部分を表す。
図3】開閉蓋を閉塞した状態における、図2と同一の部分における断面図である。なお、網掛け部分は弾性材料によって形成された部分を表す。
図4】容器本体上部と容器本体下部との嵌合を外した状態の、図2と同一の部分における断面図である。なお、網掛け部分は弾性材料によって形成された部分を表す。
図5】変形例に係る家庭用薄葉紙収納容器の斜視図である。なお、網掛け部分は弾性材料によって形成された部分を表す。
図6】開閉蓋を閉塞した状態における、図5のY方向中央部における断面図である。なお、網掛け部分は弾性材料によって形成された部分を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態である家庭用薄葉紙収納容器100の具体的な態様について、図1から図6に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
なお、以下においては、図1に示すように、X軸、Y軸及びZ軸並びに前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。すなわち、家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2が備えられた側を「上」、その反対側を「下」、容器本体1と開閉蓋2とが接続されている側を「後」、その反対側を「前」、後側を向いた状態における右手側を「右」、後側を向いた状態における左手側を「左」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向の沿った軸をZ軸とする。
【0016】
[実施形態の構成]
{全体構成}
家庭用薄葉紙収納容器100は、図1に示すように、内部の家庭用薄葉紙を取り出す取出孔112を備えた容器本体1と、取出孔112を覆うように開閉自在に容器本体1に接続された開閉蓋2と、容器本体1から開閉蓋2へと延在し、開閉蓋2を開放方向に付勢する付勢手段3とを備え、容器本体1の内部に家庭用薄葉紙Pが収納される収納空間Sが形成されている。
また、容器本体1と、開閉蓋2とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成することができる。
【0017】
{家庭用薄葉紙}
家庭用薄葉紙Pとしては、例えば、小型のウェットシート、ウェットティッシュ等が交互に折り重ねられた状態で積層され、1枚のウェットシート、ウェットティッシュ等を引き出した際に次のウェットシート、ウェットティッシュ等も引き出されるように形成された、所謂ポップアップ式のシートが用いられる。その他には、例えば、長さ方向に一定の間隔でミシン目が施された長大なウェットシート、ウェットティッシュ等がロール状に巻かれ、ミシン目に沿って切り離して使用するロールシートを用いることもできる。
【0018】
{容器本体}
容器本体1は、図1に示すように、全体として、X方向及びZ方向に比してY方向に長い略直方体状に形成され、これがZ方向中央部付近において上下に二分され、容器本体1の上側を構成する容器本体上部11と、容器本体1の下側を構成する容器本体下部12と、が形成されている。容器本体上部11と、容器本体下部12とは容器本体1の後側において接続されている。
容器本体1と、開閉蓋2とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成することができる。
【0019】
容器本体1は、全体が、X方向に好ましくは60mmから150mm、さらに好ましくは80mmから100mm、Y方向に好ましくは80mmから200mm、さらに好ましくは145mmから165mm、Z方向に好ましくは30mmから100mm、さらに好ましくは50mmから70mmの大きさとなるように形成されている。また、各面の厚みは、好ましくは0.5mmから3mm、さらに好ましくは1mmから2mmである。
この大きさ及び厚みであれば、成形効率が高く、かつ実使用に問題ない強度を達成することができる。
【0020】
容器本体1は、図4に示すように、容器本体上部11と容器本体下部12とが接続された後側を支点とし、容器本体上部11を上方へと回動させることによって、内部の収納空間Sを外部に開放することができる。
容器本体1後側の、容器本体上部11と容器本体下部12との接続部分が、図2から図4に示すように、容器本体1の他の部分と比較して薄くなるように形成されていることによって、当該接続部分において容器本体の後面を容易に曲げることができ、容器本体上部11を、当該接続部分を支点として、容器本体下部12に対して回動させ易くなる。
【0021】
なお、生産性は低下するものの、容器本体上部11と、容器本体下部12とを別体として形成の上、これらをヒンジ等によって回動自在に接続することも可能である。
また、容器本体1が容器本体上部11と容器本体下部12とに二分される位置は、図においては、Z方向中央部付近とした場合につき図示したが、Z方向中央部よりも上部であれば、さらに好ましい。この場合、収納された家庭用薄葉紙Pが所定の包装体によって覆われた状態で、容器本体1内に収納される場合において、容器の閉塞時に包装体のエンドシール部等を挟み込んでしまうおそれを低減することができ、家庭用薄葉紙Pをさらに詰め替え易くなる。
【0022】
(容器本体上部)
容器本体上部11は、図1から図4に示すように、下面が開口部となった略直方体状に形成され、上部に下方に凹状となる凹部111が形成されている。凹部111には、中央部に収納空間Sの家庭用薄葉紙Pを取り出す取出孔112が備えられ、取出孔112を囲むようにして、本体側密閉環部113が形成されている。
また、上面の前側には、開閉蓋2を開閉するための係止手段114が形成され、後ろ側には開放時の開閉蓋2を安定させるための上部滑り止め部115が形成されている。
また、下面の開口部の周囲には、後述の容器本体下部12の下部嵌合部121と嵌合する上部嵌合部116が形成されている。
【0023】
(取出孔)
取出孔112は、容器本体上部の上面略中央に形成された、収納空間Sにつながる孔部である。
図1においては、十字型に2本の切り込みを入れることにより形成されている場合につき図示したが、これに限られず、切り込みの本数はこれより多数でもよく、また、例えば、直角三角形の重心点と各頂点とを結ぶように、3本の切り込みを形成するようにしてもよい。
この取出孔112は、後述のようにその周囲が弾性を有する材料によって形成されており、家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けることで、収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pが引き出された後に、次の家庭用薄葉紙Pを保持する機能を果たす。また、家庭用薄葉紙Pがロールシートである場合において、家庭用薄葉紙Pに設けられている切断用のミシン目で、これを切断することを可能とする。
【0024】
(本体側密閉環部)
本体側密閉環部113は、図1に示すように、取出孔112を囲むように環状に上方へと突出する凸部であり、図3及び図4に示すように、その外周側の面が後述の開閉蓋2に形成された開閉蓋側密閉環部22の内周側の面と嵌合するように形成されている。
【0025】
(係止手段)
係止手段114は、図1に示すように、本体側爪部1141を備えるボタン状に形成され、本体側爪部1141が後述の開閉蓋2に形成される開閉蓋側爪部21と係合することによって、これを閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段114を押圧した際には、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れ、開閉蓋2が開放状態となるように形成されている。
【0026】
(上部滑り止め部)
上部滑り止め部115は、図1に示すように、容器本体上部11上面の、開閉蓋2との接続部分後方に形成された、開放時の開閉蓋2を滑り難くするための部分であり、後述のように弾性部材によって形成されていることによって、蓋体との間の摩擦抵抗を高め、その揺れを防止する。
【0027】
(上部嵌合部)
上部嵌合部116は、図1から図4に示すように、容器本体上部11下部の開口部の周囲に、容器本体上部11と容器本体下部12とが接続された後側を除いて形成され、図2から図4に示すように、下端部が外周側のみ突出し、上部突出部1161が形成されており、上部突出部1161の内周側の面が、後述の容器本体下部12に形成される下部嵌合部121の下部突出部1211の外周側の面と嵌合するように形成されている。
上部嵌合部116は、上部突出部1161が、上下方向に好ましくは0.5mmから5mm、さらに好ましくは1mmから3mmの長さを有するように形成される。
【0028】
(容器本体上部の材質)
容器本体上部は、図1に示すように、上面の本体側密閉環部113及び凹部111内における本体側密閉環部113によって囲まれた部分が、例えば、シリコンゴムや、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料(以下、「弾性材料」という。)によって形成されている。弾性材料の性質としては、硬度が20から90であることが望ましい。なお、上記硬度は、JIS K 6253(タイプAデュロメータ)によって測定されたものである。
また、容器本体上部11のうち、後述の付勢手段3を形成する部分、上部滑り止め部115、上部嵌合部116も、同様の弾性材料によって形成されている。
容器本体上部のその他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
なお、弾性材料の硬度が上記よりも低くなると、柔らか過ぎて成形が難しく、成形効率が悪くなる。さらに、付勢手段3が開閉蓋2を開放方向へと付勢する力が十分でなくなる。また、硬度が上記よりも高くなると、取出孔112周辺が硬くなり、抵抗が掛かり過ぎて、シートが一枚ずつ取り出しにくくなり、かつ、シートを引っ張り出す際に容器内部まで指を入れ難くなる。さらに、付勢手段3が開閉蓋2を開放方向へと付勢する力が強くなり過ぎる。
したがって、弾性材料の硬度は、上記範囲とすることが望ましい。
【0029】
(容器本体下部)
容器本体下部12は、図1から図4に示すように、上面が開口部となった略直方体状に形成され、上面の開口部の周囲には、容器本体上部11の上部嵌合部116と嵌合する下部嵌合部121が形成されている。また、下面には、下部滑り止め部122が形成されている。
【0030】
(下部嵌合部)
下部嵌合部121は、図1から図4に示すように、容器本体下部12上部の開口部の周囲に、容器本体下部12と容器本体上部11とが接続された後側を除いて形成され、図2から図4に示すように、上端部が内周側のみ突出し、下部突出部1211が形成されており、下部突出部1211の外周側の面が、容器本体上部11に形成される上部嵌合部116の上部突出部1161の内周側の面と嵌合するように形成されている。
下部嵌合部121は、下部突出部1211が、上下方向に好ましくは0.5mmから5mm、さらに好ましくは1mmから3mmの長さを有するように形成される。
【0031】
なお、上部嵌合部116の上部突出部1161が、内周側のみ突出するように形成され、下部嵌合部121の下部突出部1211が、外周側のみ突出するように形成され、上部突出部1161の外周側の面と、下部突出部1211の内周側の面とが嵌合するようにしてもよい。
また、上部突出部が、内周側と外周側の間の中央部が突出するように形成され、下部突出部が、内周側と外周側の両側において突出し、間に凹部が生じるように形成され、上部突出部と、下部突出部の間の凹部とが嵌合するようにしてもよい。反対に、上部突出部が、内周側と外周側の両側において突出し、間に凹部が生じるように形成され、下部突出部が、内周側と外周側の間の中央部が突出するように形成され、下部突出部と、上部突出部の間の凹部とが嵌合するようにしてもよい。
【0032】
(下部滑り止め部)
下部滑り止め部122は、家庭用薄葉紙収納容器100を載置した際にこれを滑りにくくするための部分であり、容器本体下部12の下面に、弾性材料によって形成された部分を、他の部分と一体的に設けることにより形成されている。
【0033】
(容器本体下部の材質)
容器本体下部12は、下部嵌合部121及び下部滑り止め部122が、容器本体上部11において用いられるのと同様の弾性材料によって形成され、その他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
【0034】
{開閉蓋}
開閉蓋2は、図1から図4に示すように、容器本体上部11の凹部111後方に回動自在に接続された扁平な略矩形状の部材であり、前側に開閉蓋側爪部21を備え、下面側に開閉蓋側密閉環部22を備える。
開閉蓋2は、図1から図4に示すように、閉塞時の平面視における形状が容器本体上部11の凹部111の平面視における形状と略同一となるように形成されており、閉塞時において、凹部111に嵌め込むことができるように形成されている。
【0035】
(開閉蓋側爪部)
開閉蓋側爪部21は、図1から図4に示すように、開閉蓋2の前方に突出する爪部であり、容器本体上部11の係止手段114に形成される本体側爪部1141と係合することによって、開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段114を押圧した際には、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れ、後述の付勢手段3によって、開閉蓋2が開放状態となるように形成されている。
【0036】
(開閉蓋側密閉環部)
開閉蓋側密閉環部22は、図1に示すように、開閉蓋2の閉塞時における下面側中央部に形成された、下方へと環状に突出する凸部であり、図3及び図4に示すように、その内周側の面が、容器本体上部11に形成された本体側密閉環部113の外周側の面と嵌合するように形成されている。
【0037】
(開閉蓋の材質)
開閉蓋2は、図1に示すように、開閉蓋側密閉環部22及び開閉蓋側密閉環部22に囲まれた部分が、容器本体上部11等において用いられるのと同様の弾性材料によって形成され、その他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
【0038】
{付勢手段}
付勢手段3は、開閉蓋2を開放方向へと付勢し、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と、開閉蓋側爪部21との係合が外れた際に、開閉蓋2を後方の容器本体上部11との接続部分を回転軸として回転するようにして開放させるための部材である。
【0039】
付勢手段3は、図1から図4に示すように、容器本体上部11の本体側密閉環部113の後方と、開閉蓋2の開閉蓋側密閉環部22の開閉蓋2が閉塞された状態における後方とを繋ぐようにして、容器本体上部11及び開閉蓋2に、弾性材料によって形成された部分を設けることによって形成されている。すなわち、付勢手段3は、容器本体上部11の弾性材料によって形成された部分と、開閉蓋2の弾性材料によって形成された部分とを繋ぐようにして、容器本体上部11及び開閉蓋2に埋め込まれるようにして、これらと一体的に形成されている。
【0040】
付勢手段3は、容器本体上部11の本体側密閉環部113で囲まれた部分等で用いられるのと同様の、シリコンゴムや、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料によって形成されている。
付勢手段3は、幅が好ましくは2mm~30mm、さらに好ましくは8mm~10mm、厚みが好ましくは0.5mm~3mm、さらに好ましくは1mm~2mmの帯状となるように、容器本体上部11及び開閉蓋2に形成される。
付勢手段3がこのような大きさに形成されていることによって、開閉蓋2を無理なく押し上げることが可能であり、かつ、開閉蓋2の閉塞時において、凹部111内において付勢手段3を容易に折り畳むことができる。
【0041】
付勢手段3は、図3に示すように、開閉蓋2の閉塞時において、これが開閉蓋2の付け根において折り畳まれることとなる。そして、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と、開閉蓋側爪部21との係合が外れた際には、折りたたまれた付勢手段3が伸びようとする力によって、開閉蓋2が開放され、図2に示す状態となる。
また、使用者が開閉蓋2を閉塞する際には、開閉蓋を上方から押せば、付勢手段3が折り畳まれ、図3に示す状態となる。
【0042】
[実施形態の効果]
実施形態に係る家庭用薄葉紙収納容器100によれば、使用者が係止手段114を操作し、開閉蓋2の係止が外れると、付勢手段3によって、開閉蓋2が自動的に跳ね上げられることから、家庭用薄葉紙使用時の開閉蓋の開放が容易となる。
また、付勢手段3は、容器本体上部11及び開閉蓋2において、取出孔112周辺等の、他の弾性部材によって形成された部分と同一の弾性材料によって形成され、容器本体1及び開閉蓋2と一体的に形成することができる。したがって、異なる材料を用いる必要がなく、部品点数も増加しないことから、付勢手段3を備えることによって、生産性の低下を招くこともない。
【0043】
特に、容器本体上部11の取出孔112周辺は、家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けるためにも、弾性材料によって形成されることが望ましい。本実施形態によれば、このような取出孔112周辺から連続する形で、付勢手段3を形成することができ、取出孔112周辺と別途弾性材料を配置する必要がないことから、生産性の面でさらに好ましい。
【0044】
また、容器本体上部11に弾性材料によって本体側密閉環部113が形成され、開閉蓋2に弾性材料によって開閉蓋側密閉環部22が備えられ、これらが開閉蓋2の閉塞時に嵌合するように構成されていることで、取出孔112、ひいては容器本体1内部の収納空間Sの気密性を改善させることができる。この効果は、本体側密閉環部113及び開閉蓋側密閉環部22の双方が弾性材料によって形成されていることで、特に高めるこができる。
【0045】
また、容器本体1上面の、開閉蓋2の後方に、弾性材料によって上部滑り止め部115が形成されていることで、開放時の開閉蓋2の安定性を改善することができる。
【0046】
また、容器本体1が、容器本体上部11と容器本体下部12とによって構成され、これらが後面において接続されていることで、容器本体1をその中央部で開けて、内部の収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pを詰め替えることができる。
したがって、家庭用薄葉紙Pの詰め替えの際に、家庭用薄葉紙収納容器100を持ち上げることを要せず、テーブル等に載置した状態のままで、詰め替え作業を行うことができる。
【0047】
また、容器本体上部11と容器本体下部12とは、後面で接続されており、当該接続部分を支点として、容器本体上部11を、容器本体下部12に対して回動させるようにして、収納空間Sを開閉することができる。したがって、詰め替え後等において、容器本体上部11と容器本体下部12との位置を逐一合わせることなく、容易にこれらを嵌合させて容器本体を閉じた状態とすることができ、内部の家庭用薄葉紙Pの詰め替えの手間を低減することができる。
【0048】
また、容器本体上部11に弾性材料によって上部嵌合部116が形成され、容器本体下部12に弾性材料によって下部嵌合部121が形成され、容器本体1の閉塞時に、これらが嵌合することで、容器本体1の気密性も向上することができる。この効果は、上部嵌合部116及び下部嵌合部121の双方が弾性材料によって形成されていることで、特に高めることができる。
【0049】
また、容器本体1の下面に弾性材料によって下部滑り止め部122が形成されていることで、容器本体1をテーブルの上等に載置した際の安定性を向上させることができる。
【0050】
また、家庭用薄葉紙収納容器100は、全体が2種類の樹脂素材(シリコンゴムや、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料と、ポリエチレン、ポリプロピレン等の比較的硬質な材料)によって形成され、射出成形(2色成形)によって、これを一体的に形成することができることから、上記の付勢手段3の構成以外の面においても、生産性に優れる。
【0051】
[変形例]
実施形態に係る家庭用薄葉紙収納容器100においては、容器本体上部11と開閉蓋2とが一体的に形成され、付勢手段3もこれらの双方と一体的に形成された場合につき説明したが、容器本体上部11と開閉蓋2とが別体として形成され、これらがヒンジ等によって接続されるようにしてもよい。
【0052】
この場合、付勢手段3も容器本体上部11とのみ一体的に形成され、開閉蓋2とは別体として形成されていてもよい。
この場合、例えば、付勢手段3を容器本体上部11から突出するようにして形成すると共に、開閉蓋2にこれを嵌め込むための間隙を形成しておき、当該間隙に付勢手段3の突出部分を嵌め込む等の方法によって、付勢手段3を開閉蓋2に対して接続する。
この場合においても、付勢手段3は、少なくとも容器本体上部11とは一体的に形成されることから、両者と別体として形成される場合と比較すれば、生産性を改善することができる。
【0053】
付勢手段3の配置は、図示したものに限られない。図1においては、中央一か所にのみ備えられた場合につき図示したが、例えば、左右方向に複数箇所備えられてもよい。
【0054】
付勢手段3は、図1に示したように容器本体上部11の上面及び開閉蓋2と一体化して、これらに埋め込まれるように形成される場合に限られない。
例えば、図5及び図6に示す付勢手段3Aのように、一端部のみが容器本体上部11上面の弾性部材によって形成された部分に接続され、他端部のみが開閉蓋2の弾性部材によって形成された部分に接続され、容器本体上部11と開閉蓋2とを橋渡しするようにして、これらと一体的に形成されていてもよい。なお、容器本体上部11とのみ一体的に形成され、開閉蓋2とは、例えば、窪みに嵌るようにしたり、ヒンジを用いたりといった方法によって接続されるようにしてもよい。
【0055】
付勢手段3Aは、図6に示すように、開閉蓋2の閉塞時において、これが前方へと折り畳まれている。そして、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と、開閉蓋側爪部21との係合が外れた際には、折りたたまれた付勢手段3Aが伸びようとする力によって、開閉蓋2が開放され、図5に示す状態となる。
また、使用者が、開閉蓋2を閉塞する際には、使用者が開閉蓋を上方から押せば、自動的に付勢手段3Aが折り畳まれ、図6に示す状態となる。
このような付勢手段3Aによれば、上記実施形態に係る付勢手段3と比較すると、構造が複雑になるものの、付勢手段による付勢力を高めることができる。
【0056】
なお、この場合も付勢手段3Aの配置は図示したものに限られない。
図5においては2つの付勢手段3Aを備えた場合について図示したが、中央に一つのみ備えてもよいし、3つ以上備えてもよい。
また、図5及び図6においては、付勢手段3Aが本体側密閉環部113の内側と、開閉蓋側密閉環部22の内側とに接続される場合につき図示したが、弾性材料によって形成される部分をこれらの外側まで拡張した上で、付勢手段3Aが本体側密閉環部113の外側と、開閉蓋側密閉環部22の外側とに接続されるようにしてもよい。
【0057】
また、容器本体上部11の上部嵌合部116及び容器本体下部12の下部嵌合部121は、図1から図4に示したものに限らず、例えば図5に示すように、容器本体上部11に、一定の間隔で上部凸部1162と上部凹部1163とを有する上部嵌合部116Aを備え、容器本体下部12に、一定の間隔で下部凸部1212と下部凹部1213とを有する下部嵌合部121Aを備え、これらの凹部と凸部とが容器本体1の閉塞時において組み合わさることで、上部嵌合部116Aと下部嵌合部121Aとが嵌合するようにしてもよい。
この場合、上部嵌合部と下部嵌合部とを強固に嵌合させることができ、家庭用薄葉紙収納容器の使用中に容器本体上部と、容器本体下部とが外れてしまい難くなる。
【0058】
また、容器本体の構成は、図示した容器本体上部11と、容器本体下部12とが中央において開閉するものに限られず、例えば、容器の下面が開放可能に形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
100、100A 家庭用薄葉紙収納容器
1 容器本体
112 取出孔
113 本体側密閉環部
114 係止手段
115 上部滑り止め部(滑り止め部)
2 開閉蓋
22 開閉蓋側密閉環部
3、3A 付勢手段
P 家庭用薄葉紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6