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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】フードスライサ
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20220419BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B26D3/28 610C
B26D7/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018099046
(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2019202386
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敏和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0265666(US,A1)
【文献】実開昭55-055137(JP,U)
【文献】実開昭56-069339(JP,U)
【文献】実公昭35-021182(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/28
B26D 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライサ本体と、
前記スライサ本体に設けられた回転軸に取り付けられた回転刃と、を備え、
前記回転刃は、
前記回転軸に取り付けられる刃物部と、
前記刃物部より前記回転軸の突出方向側において、前記刃物部に取り付けられ、当該刃物部に臨む開口部が設けられた可動プレート部と、を備え、
前記開口部は前記回転軸と平行な方向において、前記刃物部に隣接する様に取り付けられ、
前記刃物部は、
刃先部を有する刃物と、
前記回転軸と嵌合し、前記刃物の回転中心である刃物基端部を固定する刃物固定具と、
前記刃物に重なった状態で前記刃物固定具に固定される補強部材と、を有し、
前記補強部材は、回転中心である補強部材基端部において前記刃物固定具に固定されるとともに、前記補強部材基端部とは回転の径方向において反対側にある補強部材先端部において、前記刃物の前記刃物基端部とは回転の径方向において反対側にある刃物先端部に固定される、
フードスライサ。
【請求項2】
請求項1に記載のフードスライサにおいて、
前記補強部材が、前記刃物の前記突出方向側に配置される、
フードスライサ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフードスライサであって、
前記補強部材が、前記刃物に重ねられる本体と、当該本体から斜め方向に起立し前記可動プレート部の前記開口部まで到達するフラップ部を備える、
フードスライサ。
【請求項4】
請求項に記載のフードスライサであって、
前記補強部材が、前記フラップ部の縁部と前記本体を接続するフラップ支持部材を更に備える、
フードスライサ。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のフードスライサであって、
前記刃物固定具を中心として、一対の前記刃物と一対の前記補強部材が点対称になるような位置に配置され、
前記一対の前記補強部材が個別に独立して設けられる、
フードスライサ。
【請求項6】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のフードスライサであって、
前記刃物固定具を中心として、一対の前記刃物と一対の前記補強部材が点対称になるような位置に配置され、
前記一対の前記補強部材が一体的に成形されている、
フードスライサ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか一項に記載のフードスライサであって、
前記刃物先端部及び前記補強部材先端部が、前記可動プレート部の周縁部に固定される、
フードスライサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードスライサに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアで食品を搬送し、カッタで切截する装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、ベルトコンベア上の食品を、前部に設置したロータリーカッタに給送し、自動切截するフードスライサであり、ロータリーカッタは、1枚刃、2枚刃など各種形態の切截刃を取付部材により回転軸に着脱可能に設置されていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-166395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1における切截刃は、その基端部のみが取付部材に固定されているため、ロータリーカッタが高速回転すると、その振動や野菜からの押圧などにより、切截刃自体にたわみ作用が働き、切截刃の先端部がブレてしまう恐れがある、結果として、野菜の切り口も変形してしまい、切截された野菜の形状がばらついてしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、切截した食品の形状が揃うとともに、切截された食品の厚みを所定の厚さに維持させるフードスライサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフードスライサは、スライサ本体と、前記スライサ本体に設けられた回転軸に取り付けられた回転刃と、を備え、前記回転刃は、前記回転軸に取り付けられる刃物部と、前記刃物部より前記回転軸の突出方向側において、前記刃物部に取り付けられ、当該刃物部に臨む開口部が設けられた可動プレート部と、を備え、前記開口部は前記回転軸と平行な方向において、前記刃物部に隣接する様に取り付けられ、前記刃物部は、刃先部を有する刃物と、前記回転軸と嵌合し、前記刃物の回転中心である刃物基端部を固定する刃物固定具と、前記刃物に重なった状態で前記刃物固定具に固定される補強部材と、を有し、前記補強部材は、回転中心である補強部材基端部において前記刃物固定具に固定されるとともに、前記補強部材基端部とは回転の径方向において反対側にある補強部材先端部において、前記刃物の前記刃物基端部とは回転の径方向において反対側にある刃物先端部に固定される。
【0008】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記補強部材が、前記刃物に重ねられる本体と、当該本体から斜め方向に起立し前記可動プレート部の前記開口部まで到達するフラップ部を備える。
【0009】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記補強部材が、前記フラップ部の縁部と前記本体を接続するフラップ支持部材を更に備える。
【0010】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記刃物固定具を中心として、一対の刃物と一対の補強部材が点対称になるような位置に配置され、前記一対の補強部材が個別に独立して設けられる。
【0011】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記刃物固定具を中心として、一対の刃物と一対の補強部材が点対称になるような位置に配置され、前記一対の補強部材が一体的に成形されている。
【0012】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記刃物先端部及び前記補強部材先端部が、前記可動プレート部の周縁部に固定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフードスライサは、回転刃の刃物の全体に亘って補強部材が固定されるため、高速回転時のたわみやブレが抑制され、回転刃の安定した回転と、切截された食品の厚みを常に所定の厚さに維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るフードスライサの一例を示す左側面斜視図。
図2図1のフードスライサのカバーを外した状態を示す左側面斜視図。
図3図1のフードスライサの要部正面図。
図4】本発明に係る回転刃の第1の実施形態の一例を示し、(a)正面斜視図、(b)正面図。
図5図4の回転刃の可動プレート部と刃物部との分解斜視図。
図6図4の回転刃の刃物と補強部材を示し、(a)刃物の正面斜視図、(b)補強部材の正面斜視図。
図7図4の回転刃の刃物部の分解斜視図。
図8図4の回転刃の刃物部を示し、(a)正面斜視図、(b)正面図、(c)背面図。
図9図4の回転刃を示し、(a)正面図、(b)(a)のA-A断面図。
図10図4の回転刃を示し、(a)正面図、(b)(a)のA-A断面図、(c)(a)のB-B断面図。
図11】本発明に係る回転刃の第2の実施形態の一例を示す刃物部の分解斜視図。
図12】本発明に係る回転刃の第3の実施形態の一例を示す分解斜視図。
図13図12の回転刃を示し、(a)正面斜視図、(b)(a)のA視野側面図。
図14図12の回転刃を示し、(a)正面図、(b)(a)のA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るフードスライサの好適な実施形態を、図1図14に基づいて詳述する。
【0016】
図1はフードスライサの一例を示す左側面斜視図である。図2は、図1のフードスライサのカバーを外した状態を示す左側面斜視図である。図3は、図1のフードスライサの右側面から見た分解斜視図である。図1から図3に基づいて本実施形態のフードスライサを説明する。
【0017】
本実施形態のフードスライサ1は、例えば野菜などの食品を細かく切断(切截)する装置であり、架台2に支持され機械室を収納するスライサ本体10と、スライサ本体10の側方に配置され食品を搬送する搬送部20と、搬送部20の終端近傍に配置され搬送された食品を切断する切截部30とを備えている。
【0018】
スライサ本体10には、操作盤11を有する制御部12が取り付けられ、スライサ本体10に収納された機械室の駆動モータを制御している。搬送部20は、上部を覆う第1のカバー21と、下部を覆う第2のカバー22とで覆われ、搬送部20の一端に配置された切截部30は、刃物カバー31で覆われ、回転刃40を収納している。また、搬送部20には、左右に立設するガイド板23が設けられ、食品の投入部が設けられている。
【0019】
搬送部20は、スライサ本体10に固定されるコンベアフレーム24と、コンベアフレーム24に回動自在に取り付けられる駆動ローラ25と、先端ローラ26と、テークローラ27と、駆動ローラ25、先端ローラ26及びテークローラ27に掛け回された状態で、駆動ローラ25の回転駆動に伴い移動し、載置された食品を搬送する無端状の搬送用ベルト28とを備える。
【0020】
また、搬送部20には、搬送用ベルト28の搬送方向の終端近傍において、搬送用ベルト28で搬送されてきた食品を搬送方向の終端部において上部から押さえ、切截部30に確実に送り込むための押さえベルト29が備えられている。
【0021】
切截部30は、スライサ本体10に固定される仕切り板32に刃物カバー31が開閉自在に取り付けられ、回転刃40は、仕切り板32から搬送方向に突出する回転軸33に取り付けられている。また、仕切り板32には搬送用ベルト28で搬送されてきた食品を切截部30に送り込むための切欠き部34が設けられ、当該切欠き部34に搬送用ベルト28の搬送方向に対して側方方向に着脱可能な開口枠体35が取り付けられている。開口枠体35には食品を送り出すことが可能な正面視四角形状を呈する排出開口部36が形成されている。
【0022】
先端ローラ26を越えて搬送用ベルト28の外側へ送り出された食品が、回転可能な回転刃40に切断される際、排出開口部36の側面が食品を支持するため、確実な食品の切断が可能となる。
【0023】
スライサ本体10に収納された機械室には、駆動ローラ25、回転軸33などを駆動する駆動モータが収納され、搬送用ベルト28、押さえベルト29及び回転刃40の駆動、停止、搬送速度、などが、制御部12により制御されている。また、回転刃40の回転制御により、食品を所定の厚さに切断(切截)することが可能である。
【0024】
搬送用ベルト28使用時は、テークローラ27により搬送用ベルト28が張られた状態にある。テークローラ27を時計回りに回転させると、クランク機構により、テークローラ27が、搬送用ベルト28の搬送方向に移動するようにテークローラ27が回動し、テークローラ27の回転を支持しているテークフレーム20aと結合しているコンロッド20bとの連結部分が円周上を回転し、コンロッド20bと連結しているプッシュロッド20cが駆動ローラ25側へ移動して先端ローラ26の直進運動により、先端ローラ26が回転刃40から離間する。これにより、搬送用ベルト28は弛み、取り外しが容易となる。
【0025】
図4は、回転刃の第1の実施形態の一例を示し、(a)は正面斜視図、(b)は正面図である。図5は可動プレート部と刃物部との分解斜視図である。図6は刃物と補強部材を示し、(a)は刃物の正面斜視図、(b)は補強部材の正面斜視図である。図7は回転刃の刃物部の分解斜視図である。図8は刃物部を示し、(a)は正面斜視図、(b)は正面図、(c)は背面図である。図9は回転刃を示し、(a)正面図、(b)(a)のA-A断面図である。図10は回転刃を示し、(a)正面図、(b)(a)のA-A断面図、(c)(a)のB-B断面図である。図4から図10に基づいて、回転刃の第1の実施形態を説明する。
【0026】
回転刃40は、食品を切截し回転軸33に取り付けられる刃物部50と、刃物部50に固定される円板状の可動プレート部60とを備える。刃物部50は、食品を直接切截する刃物70と、刃物部50に固定される補強部材80と、回転軸33に直接取り付けられる刃物固定具90と、を有する。
【0027】
図5に示されるように、可動プレート部60は、平面視円形形状を呈するプレート本体61と、刃物部50に臨むようにプレート本体61の一周縁から反対側の周縁に向かって大きく開口された開口部62と、開口部62の中心近傍を覆いかつプレート本体61から離間するように前方に突出する円筒形状を呈するプレートホルダ63を有している。プレートホルダ63の側面には、一方が開口された切欠溝64と刃物部50との位置を固定するプレート位置固定ボルト63aが設けられている。プレートホルダ63の内面にはスライド溝63bが形成されている。また、プレートホルダ63は、プレート本体61とボルトなどにより固定されている。そして、プレート本体61の周縁近傍には、回転軸33から取り外す場合に、指などを掛ける指掛穴65が設けられている。
【0028】
図6に示されるように、刃物部50の刃物70は、平面視扇形状の両辺を有し、一辺は刃先部71であり、他辺は背部72を形成している。刃物70の長手方向両端部には、刃物基端部73と刃物先端部74が形成され、刃物先端部74は、刃物基端部73とは回転の径方向において反対側に位置している。また、背部72近傍には複数の取付孔75が形成され、当該取付孔75は、刃物基端部73に形成される第1の取付孔75a及び第2の取付孔75bと、刃物先端部74に形成される第3の取付孔75cとを有し、第3の取付孔75cは、刃物先端部74において刃先部71が形成されている領域よりも外側に突出する張り出し部76に形成されている。
【0029】
刃物部50の補強部材80は、刃物70に固定し刃物70の補強を行う補強板であり、本体81と、本体81から斜め方向に起立するフラップ部82と、フラップ部82の縁部83と本体81を接続する三角形状を呈するフラップ支持部材84とを有している。また、補強部材80の両端部には、補強部材基端部85と補強部材先端部86が形成され、補強部材先端部86は、補強部材基端部85とは回転の径方向において反対側に位置している。
【0030】
フラップ支持部材84は、補強部材基端部85側に設けられ、本体81の形成面方向に対して垂直方向に起立しており、フラップ支持部材84の本体81から立ち上がる角度は、浅く形成されている。フラップ部82は、平面上の本体81の回転の径方向に沿った折り曲げ部87から起立している。
【0031】
また、本体81には、複数の固定穴88が形成され、当該固定穴88は、補強部材基端部85に形成される第1の固定穴88a及び第2の固定穴88bと、補強部材先端部86に形成される第3の固定穴88cとを有している。
【0032】
刃物部50の刃物固定具90は、可動プレート部60、刃物70及び補強部材80を固定し、回転軸33に取り付けられ、回転刃40の回転軸をなしている。刃物固定具90は、円筒形状の軸受け筒部91と、軸受け筒部91と一体に形成されるフランジ部92を備え、軸受け筒部91の側面には回転軸33に固定するボルトなどの取付具93が取り付けられる係止穴94と、刃物部50に対し可動プレート部60を回転方向に固定し、回転軸方向にスライド自在にガイドするスライドガイド95とが設けられている。
【0033】
刃物70、補強部材80及び刃物固定具90は、以下の手順で組み付けられる(図7図8及び図5参照)。
【0034】
刃物70と補強部材80は、まず、刃物固定具90のフランジ部92と刃物基端部73とで補強部材基端部85を挟み合わせて刃物固定具90に固定する。このとき刃物70の取付孔75と補強部材80の固定穴88が重ね合わさるように接合する。即ち、第1の取付孔75aは第1の固定穴88aと、第2の取付孔75bは第2の固定穴88bと、第3の取付孔75cは第3の固定穴88cと、それぞれ合わせる。そして、第1の取付孔75a、第2の取付孔75b、第1の固定穴88a及び第2の固定穴88bは、刃物固定具90のフランジ部92の裏面側にボルトなどで固定し、第3の取付孔75cと第3の固定穴88cは、ボルト及びナットなどで固定する。これにより、刃物70の全体に亘って補強部材80が固定され、刃物部50が完成する。
【0035】
次に、刃物部50を可動プレート部60に取り付ける。最初に、刃物固定具90の軸受け筒部91を可動プレート部60のプレートホルダ63に挿入させ、軸受け筒部91の先端をプレートホルダ63の内面に当接させる。挿入する際、スライド溝63bにスライドガイド95を嵌入させ、切欠溝64に係止穴94を位置づけると、刃物70及び補強部材80は、可動プレート部60の開口部62に臨む位置に位置づけられる。さらに軸受け筒部91をプレートホルダ63に挿入させ、プレート位置固定ボルト63aを締め付けると、刃物部50に可動プレート部60が固定される。
【0036】
可動プレート部60は、刃物部50に対してスライドガイド95に沿って相対的に位置を変更することが可能である。即ち、プレート位置固定ボルト63aを緩めることで、軸受け筒部91がプレートホルダ63をスライドし、可動プレート部60のプレート本体61と刃物部50の刃物70との距離dを決めることができ、当該距離dが食品の切載厚さとなる。
【0037】
組み立てられた回転刃40は、指掛穴65に指を掛けた状態で持ち上げられ、回転軸33に取り付けられる。本実施形態では、軸受け筒部91が回転軸33に周接するように嵌合し、取付具93を締め付けることにより回転軸33に固定され、回転軸33の回転運動が軸受け筒部91に伝達され回転刃40が回転する。このとき、刃物部50は、回転軸33と平行な方向において、切截部30の排出開口部36に隣接する様に回転軸33に取り付けられる。
【0038】
このようにして、刃物基端部73及び補強部材基端部85は、回転刃40の回転の中心にあり、刃物固定具90によって回転軸33に固定されている。そして、刃物基端部73及び補強部材基端部85の回転の径方向における反対側には、刃物先端部74及び補強部材先端部86がそれぞれ位置して互いに固定され、刃物70の両端部において補強部材80と固定されている。
【0039】
上述の通り、刃物部50である刃物70及び補強部材80は、可動プレート部60の開口部62に臨む位置に取り付けられており、可動プレート部60は、刃物部50よりスライサ本体10から遠い側、つまり刃物部50より回転軸33の突出方向側において、刃物部50に取り付けられている。そして、開口部62は、回転軸33と平行な方向において、刃物部50に隣接する様に取り付けられている。
【0040】
また、刃物70の刃先部71と可動プレート部60のプレート本体61とは、所定の間隔である距離dを維持しており、当該距離dが食品の切載厚さとなる。そして、補強部材80の起立しているフラップ部82の先端82aは、可動プレート部60の開口部62の開口端62aを越える位置まで伸び、フラップ部82が開口端62aを覆うようになっている。
【0041】
補強部材80のフラップ部82は、刃先部71の長さ方向に沿って起立し、刃先部71に対する補強の役目をしている。刃物70と補強部材80は、複数の取付孔75と固定穴88の締結により、刃物基端部73、補強部材基端部85から刃物先端部74、補強部材先端部86に掛けて密着状に固定され、刃物70の強度を維持している。また、補強部材80には、刃物70の長手方向に折り曲げ部87を有しているため、刃物70の長手方向における補強部材80のたわみ強度を上げている。そして、刃物70が切載した食品(野菜等)は、可動プレート部60の開口部62の開口端62aに当たることなく、フラップ部82の表面に浅い角度で当たり、食品の切截が安定して行われる。
【0042】
本実施形態では、刃物70の全体に亘って補強部材80が固定されているため、刃物70が高速回転しても、刃物70のたわみ変形が抑制され、切截された食品の厚みを所定の厚さに維持し、均等に食品を切截することができる。また、フラップ部82を起立させることで、より確実に刃物70のたわみ変形を抑制することができる。そして、フラップ部82の先端が開口部62の開口端62aを乗り越えているため、切截された食品が開口部62の開口端62aに当たることがなく、切截食品の損傷、劣化を抑制することができる。さらに、フラップ部82により補強部材80のたわみ強度が増すため、不意な操作による変形が防止され、高速回転時の振動発生を防止することができる。
【0043】
第3の取付孔75cと第3の固定穴88cとの締結は、刃先部71が形成されている領域よりも外側に突出する張り出し部76で行われる。ボルト等が食品に衝突することを防ぐとともに、ボルトなどの締結を外して刃物70が取り外し可能としているため、刃先部71を研ぐ際、容易に着脱が行われる。
【0044】
図11は、回転刃の第2の実施形態の一例を示す刃物部の分解斜視図である。図11に基づいて回転刃40の第2の実施形態を説明する。
【0045】
第2の実施形態は、一対の補強部材80を一体形成した構成を有し、その他の構成は第1の実施形態と変わらない。第1の実施形態では、刃物固定具90を中心として、一対の刃物70と一対の補強部材80が点対称となるように位置に配置され、一対の補強部材80が個別に独立して設けられている。第2の実施形態では、刃物固定具90を中心として、一対の刃物70と一対の補強部材80が点対称となる様な位置に配置され、一対の補強部材80が一体的に成形されている。
【0046】
第2の実施形態の一体化された補強部材80により、対称性に優れ、バランスが取りやすく、刃物70を個別に調整することなくスムーズに回転させることができ、低コストで強固に刃物70を固定することができる。一枚の補強部材80での固定は、一対の刃物70のたわみを抑制し、互いの刃物70の切截形状が変わることなく均等な厚みで食品を切截することが可能である。
【0047】
図12は、回転刃40の第3の実施形態の一例を示す分解斜視図である。図13は、回転刃40を示し、(a)は正面斜視図、(b)は(a)のA視野側面図である。図14は回転刃40を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。図12から図14に基づいて、回転刃40の第3の実施形態を説明する。
【0048】
第3の実施形態では、刃物70の第3の取付孔75cと補強部材80の第3の固定穴88cとの締結において、可動プレート部60の周縁部と締結する場合も含まれている。可動プレート部60の開口部62には可動プレート部60の周縁部から中心方向に突出する一対の固定用突部66が設けられている。即ち、固定用突部66と、第3の取付孔75c及び第3の固定穴88cとがボルトなどの締結部材により締結される。本実施形態では、可動プレート部60と補強部材80との間にボス間座100を介在させ、所定の間隔に保持している。可動プレート部60の周縁部では、補強部材80との間に刃物間座103を設けて、ボルト101とナット102締め付けることにより、可動プレート部60と補強部材80と刃物70の3部材が締結される。また、第3の実施形態では、刃物固定具90とプレートホルダ63は一体的に形成されている。
【0049】
刃物先端部74及び補強部材先端部86が、可動プレート部60の周縁部にある固定用突部66に固定されるため、より一層、刃物70のブレが抑制されると共に、フラップ部82によりプレート本体61との衝突を防止し、切截した食品(野菜など)の破損、劣化を防止することができる。
【0050】
また、第1の実施形態では、可動プレート部60のプレート本体61と刃物部50の刃物70との距離dを変更することが可能である。第3の実施形態では、ボス間座100、刃物間座103により距離dが固定される(例えば10mm)。刃物70の位置が固定されるため、距離dを調節する必要がなく、一定の厚さの切截が可能となる。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るフードスライサは、食品を切截する回転刃が安定して回転することを望む分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 フードスライサ
2 架台
10 スライサ本体
20 搬送部
30 切截部
40 回転刃
50 刃物部
60 可動プレート部
61 プレート本体
62 開口部
63 プレートホルダ
64 切欠溝
66 固定用突部
70 刃物
71 刃先部
72 背部
73 刃物基端部
74 刃物先端部
75 取付孔
80 補強部材
81 本体
82 フラップ部
83 縁部
84 フラップ支持部材
85 補強部材基端部
86 補強部材先端部
88 固定穴
90 刃物固定具
91 軸受け筒部
92 フランジ部
図1
図2
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