IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鬼怒川ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図1
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図2
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図3
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図4
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図5
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図6
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図7
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図8
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図9
  • 特許-自動車用ドアウエザーストリップ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】自動車用ドアウエザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/36 20160101AFI20220419BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20220419BHJP
   B60J 10/24 20160101ALI20220419BHJP
   B60J 10/21 20160101ALI20220419BHJP
【FI】
B60J10/36
B60J10/86
B60J10/24
B60J10/21
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018113300
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019214330
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓郎
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-189455(JP,A)
【文献】特開2016-074304(JP,A)
【文献】特開2010-052570(JP,A)
【文献】特開2014-227053(JP,A)
【文献】特開2000-296718(JP,A)
【文献】実開昭60-034922(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/36
B60J 10/86
B60J 10/24
B60J 10/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアの周囲に装着されるドアウエザーストリップの型成形部のうち中空リップに隣接して形成される板状の取付ベース部にアウトサートクリップを重ねて配置し、上記アウトサートクリップの一部が上記取付ベース部を貫通してドアパネル側の取付穴に係止されることで、上記ドアパネルと上記アウトサートクリップとの間に上記取付ベース部を挟み込んで固定するようにした自動車用ドアウエザーストリップの構造であって、
上記アウトサートクリップのクリップ本体部は非円形のものであって、
上記取付ベース部のうち上記クリップ本体部の着座領域と重合する位置に、上記クリップ本体部の角隅部を差し込む袋状のポケット部が形成されていて、
上記ポケット部と上記角隅部のそれぞれには、上記ポケット部に上記角隅部が差し込まれた時に、凹と凸の関係をもって互いにはまり合う凹凸係合部を有し、
上記角隅部には、当該角隅部側の上記凹凸係合部として、上記クリップ本体部の平面方向と平行であって、かつ上記ポケット部に対する上記角隅部の差し込み方向と概ね直交する方向へ突出する鉤状のフック部が形成されていると共に、
上記ポケット部内には、上記フック部の内側の鉤状空間にはまり合う凸部が設けられ、この凸部をもって当該ポケット部側の上記凹凸係合部として上記フック部と係合する係合溝部が形成されていることを特徴とする自動車用ドアウエザーストリップ。
【請求項2】
上記クリップ本体部の裏面に、上記取付ベース部を貫通して上記ドアパネル側の上記取付穴に係止される係止軸部が突出形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ドアウエザーストリップ。
【請求項3】
上記クリップ本体部は多角形のものであって、且つ多角の上記角隅部のうち直角または鋭角をなす複数の上記角隅部にそれぞれに上記フック部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の自動車用ドアウエザーストリップ。
【請求項4】
上記クリップ本体部の一辺部とそれに隣接する二辺部となす二つの角隅部の角度が共に直角であって、
上記一辺部上において上記二つの角隅部に相当する位置に、上記フック部が互いに逆向きとなるようにそれぞれに形成されていることを特徴とする請求項に記載の自動車用ドアウエザーストリップ。
【請求項5】
上記係止軸部が上記取付ベース部を貫通し且つ上記ポケット部に差し込まれた上記フック部が上記係合溝部に係合した状態を、ドアウエザーストリップ単体で自己保持できるようになっていることを特徴とする請求項2~4のいずれか一つに記載の自動車用ドアウエザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアの周囲に装着されるドアウエザーストリップの改良に関し、特に型成形部のうち中空リップに隣接して形成される舌片状の取付ベース部が、それと広い面積で重なり合うクリップを用いてドアパネルに固定される自動車用ドアウエザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動車用ドアウエザーストリップの構造として例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載されたドアウエザーストリップの構造では、ドアウエザーストリップにおける形成形部の一部である取付ベース部にアウトサートクリップのクリップ本体部が重合配置され、クリップ本体部の裏面に突出形成された係止軸部が取付ベース部を貫通してドアパネル側に挿入・係止されることで、取付ベース部が押圧固定される。
【0004】
そして、取付ベース部には袋状のポケット部が形成されていて、アウトサートクリップのクリップ本体部のうち複数の角隅部を上記ポケット部に差し込むことで上記クリップ本体部が位置決めされる。その結果、アウトサートクリップの係止軸部を取付ベース部に貫通させ、且つクリップ本体部の複数の角隅部を上記ポケット部に差し込むことで、ドアウエザーストリップに対するアウトサートクリップのいわゆる仮止め状態を維持することができ、ひいてはアウトサートクリップの脱落非容易性を確保できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-189455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたドアウエザーストリップの構造では、アウトサートクリップが付帯した状態での部品流通過程あるいは部品搬送過程において外力が加わるようなことがあると、ポケット部がめくれ上がることでクリップ本体部の角隅部がポケット部から外れやすく、なおもアウトサートクリップがドアウエザーストリップから脱落してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、ドアウエザーストリップに対するアウトサートクリップの仮止め状態での保持性を高めて、その脱落防止を図ったドアウエザーストリップの構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、自動車のドアの周囲に装着されるドアウエザーストリップの型成形部のうち中空リップに隣接して形成される板状の取付ベース部にアウトサートクリップを重ねて配置し、上記アウトサートクリップの一部が上記取付ベース部を貫通してドアパネル側の取付穴に係止されることで、上記ドアパネルと上記アウトサートクリップとの間に上記取付ベース部を挟み込んで固定するようにした自動車用ドアウエザーストリップの構造である。
【0009】
そして、上記アウトサートクリップのクリップ本体部は非円形のものであって、上記取付ベース部のうち上記クリップ本体部の着座領域と重合する位置に、上記クリップ本体部の角隅部を差し込む袋状のポケット部が形成されている。さらに、上記ポケット部と上記角隅部のそれぞれには、上記ポケット部に上記角隅部が差し込まれた時に、凹と凸の関係をもって互いにはまり合う凹凸係合部を有し、上記角隅部には、当該角隅部側の上記凹凸係合部として、上記クリップ本体部の平面方向と平行であって、かつ上記ポケット部に対する上記角隅部の差し込み方向と概ね直交する方向へ突出する鉤状のフック部が形成されていると共に、上記ポケット部内には、上記フック部の内側の鉤状空間にはまり合う凸部が設けられ、この凸部をもって当該ポケット部側の上記凹凸係合部として上記フック部と係合する係合溝部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
この場合において、請求項2に記載のように、上記クリップ本体部の裏面に、上記取付ベース部を貫通して上記ドアパネル側の上記取付穴に係止される係止軸部が突出形成されているものとする。
【0011】
好ましい態様としては、請求項3に記載のように、上記角隅部には、当該角隅部側の凹凸係合部として鉤状のフック部が形成されていると共に、上記ポケット部内には、当該ポケット部側の凹凸係合部として上記フック部と係合する係合溝部が形成されている。
【0012】
同様に、好ましい態様としては、請求項4に記載のように、上記クリップ本体部は多角形のものであって、且つ多角の上記角隅部のうち直角または鋭角をなす複数の上記角隅部にそれぞれに上記フック部が形成されている。
【0013】
同様に、好ましい態様としては、請求項5に記載のように、上記クリップ本体部の一辺部とそれに隣接する二辺部となす二つの角隅部の角度が共に直角であって、上記一辺部上において上記二つの角隅部に相当する位置に、上記フック部が互いに逆向きとなるようにそれぞれに形成されている。
【0014】
なお、上記角隅部の角度である直角および鋭角については、多少の角度のばらつきは許容される。
【0015】
さらに好ましい態様としては、請求項6に記載のように、上記係止軸部が上記取付ベース部を貫通し且つ上記ポケット部に差し込まれた上記フック部が上記係合溝部に係合した状態を、ドアウエザーストリップ単体で自己保持できるようになっている。
【0016】
したがって、少なくもと請求項1に記載の発明では、クリップ本体部の角隅部が凹凸係合部とともにポケット部に差し込まれたことによる脱落非容易性と、角隅部側の凹凸係合部がポケット部側の凹凸係合部と凹凸係合したことによる脱落非容易性との相乗効果が期待できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クリップ本体部の角隅部がフック部とともにポケット部に差し込まれたことによる脱落非容易性と、角隅部側の凹凸係合部がポケット部側の凹凸係合部と凹凸係合したことによる脱落非容易性との相乗効果のために、ドアウエザーストリップ単体の状態でも、アウトサートクリップのクリップ本体部がポケット部から外れにくくなって保持性が高くなり、ドアウエザーストリップからのアウトサートクリップの脱落を防止できる。
【0018】
特に、請求項3に記載の発明のように、角隅部側の凹凸係合部を鉤状のフック部とし、ポケット部側の凹凸係合部を上記フック部と係合する係合溝部とすることにより、アウトサートクリップの保持性が一段と高いものとなる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、一対のフック部が互いに逆向きに形成されていることにより、外力の加わり方次第で一方のフック部が該当するポケット部から抜け出そうとした場合に、逆にもう一方のフック部は該当するポケット部にさらに押し込まれるかたちとなるため、クリップ本体部がポケット部から一段と外れにくくなって、アウトサートクリップの保持性がさらに高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】4ドア型車のリアドアを開いた状態を示す概略的な斜視図。
図2】本発明に係るドアウエザーストリップの第1の実施の形態として、図1のリアドアに適用されるドアウエザーストリップを拡大した概略説明図。
図3図2のB-B線に沿った拡大断面図。
図4図2のC-C線に沿った拡大断面図。
図5図2のA部に相当する部分を拡大した斜視図。
図6図5のD部をさらに拡大した斜視図。
図7図6のE-E線に沿った拡大断面図。
図8図6に示したアウトサートクリップのみを拡大した正面説明図。
図9図8のF-F線に沿った拡大断面図。
図10図8のG-G線に沿った拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1以下の図面は本発明に係る自動車用ドアウエザーストリップを実施するためのより具体的な第1の形態を示していて、特に図1は4ドア型車の左側のリアドアを開いた状態を示し、図2図1のリアドアに適用されるドアウエザーストリップ単体での概略説明図を示している。さらに、図3,4は図2のB-B線およびC-C線に沿った拡大断面図をそれぞれ示している。
【0022】
図1,2に示すように、略アーチ状のドアサッシュ1aを含むリアドア(以下、単にドアと言う。)1の室内側の周縁部には、長尺なドアウエザーストリップ2が例えば公知のクリップ等を用いて閉ループ状に装着される。ドア1の閉時には、図3,4に示すように、ドアウエザーストリップ2が車体側のドア開口部周縁に弾接することで車室内外がシールされる。これにより、気密性、水密性および遮音性等が確保されることになる。
【0023】
図2に示すドアウエザーストリップ2は、ドアサッシュ1aの上辺部に沿うかたちとなる略直線状の上辺相当部3のほか、ドア1の前後の縦辺部と下辺部にそれぞれ沿うかたちとなる前後の縦辺相当部4a,4bと下辺相当部4cとが一体となった一般部4とを含んでいて、上辺相当部3と一般部4とが前後のコーナー接続部5,50を介して相互に接続されている。
【0024】
上辺相当部3は、押出成形法により例えば図3に示すような均一断面形状のものとして形成されている一方、前後の縦辺相当部4a,4bと下辺相当部4cとを含む一般部4は、同様に押出成形法により例えば図4に示すような均一断面形状のものとして形成されている。そして、断面形状が微妙に異なる上辺相当部3の両端末と一般部4の両端末とを突き合わせた上で、前後のコーナー接続部5,50を金型成形法により形成形部として成形することで、図2に示すようにドアウエザーストリップ2が閉ループ状のものとして形成されている。その際に、前側のコーナー接続部5から垂下するかたちで、略板状のパーティングシール6が一体に形成されている。なお、図3,4の符号7は車体パネルを示し、図4の符号8はドア1のドアパネルを示す。
【0025】
図2に示した上辺相当部3では、図3に示すように、中空部9a,9bを含む取付基部9と、取付基部9から室内側に向かって斜めに突出する中空シールリップ10と、取付基部9から室外側に向かって逆くの字状に屈曲した背面側のサブシールリップ11と、サブシールリップ11の下側で当該サブシールリップ11と平行なパネルリップ12と、を有している。そして、ドアサッシュ1aの上辺部に対して取付基部9とパネルリップ12が着座するように装着され、ドア1の閉時には、中空シールリップ10とサブシールリップ11の双方が車体パネル7に弾接して撓み変形することで、所定のシール機能が発揮されることになる。
【0026】
他方、図2に示した前後の縦辺相当部4a,4bと下辺相当部4cとを含む一般部4は、図4に示すように、中空部13aを含む略三角形の取付基部13と、取付基部13から突出形成された中空シールリップ14と、中空シールリップ14に隣接する背面シールリップ15と、を有している。そして、取付基部13と背面シールリップ15とがドア1におけるドアパネル8の周囲に着座するように装着され、ドア1の閉時には中空シールリップ14が車体パネル7に弾接して撓み変形することで、所定のシール機能が発揮されることになる。
【0027】
図5図2に示した前側のコーナー接続部5を中心としたA部を拡大した斜視図である。同図に示すように、前側のコーナー接続部5は、上辺相当部3と一般部4の一部である前側の縦辺相当部4aとの間に介在して所定曲率で湾曲している中空リップとしての徐変接続部16を有している。この徐変接続部16は、図3,4に示したように、互いに断面形状が微妙に相違する上辺相当部3の中空シールリップ10から縦辺相当部4a側の中空シールリップ14に向かって断面形状が徐変していて、両者を滑らかに接続している。それ故に、徐変接続部16のうち上辺相当部3に近い部分では、その上辺相当部3の図3に示した中空シールリップ10の断面形状に近似したものとなっている一方、縦辺相当部4aに近い部分では、その縦辺相当部4aの図4に示した中空シールリップ14の断面形状に近似したものとなっている。なお、コーナー接続部5と上辺相当部3との接合線を図2,5に符号Q1で示し、コーナー接続部5と前側の縦辺相当部4aとの接合線を符号Q2で示している。
【0028】
また、徐変接続部16の背面側には、前方側に向かって略矩形板状の取付ベース部17が突出形成されている。したがって、コーナー接続部5は、大別して、湾曲形状の徐変接続部16と、それと一体の板状の取付ベース部17と、から形成されていることになる。
【0029】
取付ベース部17と接続されている上辺相当部3では、先に図3に基づいて説明したように、中空シールリップ10のほか、背面側のサブシールリップ11とパネルリップ12と、を有している。これらの上辺相当部3側のサブシールリップ11とパネルリップ12は、そのまま取付ベース部17側まで延長されていて、取付ベース部17では、サブシールリップ延長部18とパネルリップ延長部21(図7参照)と、が形成されている。
【0030】
さらに、図5に示した取付ベース部17のうち前方側の端部には、図2にも示すように、比較的幅広で板状のパーティングシール6が垂下するようにして一体に形成されている。このパーティングシール6は、ドアサッシュ1aの前側の縦辺部に沿う取付基部6aと、この取付基部6aの前端から一体に形成されて略弓形状に湾曲したシールリップ6bと、を備えている。取付基部6aはドアサッシュ1aの前側の縦辺部の裏面(室内側の面)に重なるように図示外のクリップ等によりその縦辺部に装着される。
【0031】
そして、このパーティングシール6は、ドア1の閉時に、シールリップ6bがフロントドアにおける後側の縦辺部の端縁に圧接することで、双方のドア同士の間の隙間を埋めるようにして当該部位をシールする機能を有する。
【0032】
また、コーナー接続部5の取付ベース部17には、樹脂製のアウトサートクリップ19が重なり合うように配置されていて、このアウトサートクリップ19により、コーナー接続部5がドアパネルの一部であるドアサッシュ1aに固定される。
【0033】
図6図5のD部の拡大図を示していて、図7図6のE-E線に沿った拡大断面図を示している。また、図8はアウトサートクリップ19単独での正面図を示し、図9,10は図8のF-F線およびG-G線に沿った装着時の拡大断面図をそれぞれ示している。
【0034】
アウトサートクリップ19は、図6,7に示すように、コーナー接続部5側の取付ベース部17と略同形状の比較的大きなプレート状のクリップ本体部、より具体的には、変形矩形状または異形矩形状をなす横長のクリップ本体部20を母体として形成されいる。このクリップ本体部20の裏面の中央部に、例えば偏平軸状の係止軸部22が一体に突出形成されている。そして、図7に示すように、この係止軸部22を取付ベース部17の取付穴23を貫通させた上で、ドアサッシュ1aに形成された取付穴24に挿入・係止させることになる。これにより、ドアサッシュ1aとクリップ本体部20との間に取付ベース部17を挟み込んでコーナー接続部5を位置決め固定するようになっている。
【0035】
先に説明したように、図6はコーナー接続部5の取付ベース部17に対してアウトサートクリップ19を重なり合うように配置した状態を示している。これにより、コーナー接続部5の一部である取付ベース部17とアウトサートクリップ19のクリップ本体部20とが互いに密着するように重合している。この状態で、アウトサートクリップ19におけるクリップ本体部20の三箇所の角隅部28,29,30が、取付ベース部17側のポケット部25,26,27で覆われるようになっている。
【0036】
具体的には、図6および図9,10に示すように、アウトサートクリップ19のクリップ本体部20が着座することになるコーナー接続部5側の取付ベース部17のうち、クリップ本体部20の三箇所の角隅部28,29,30と重なり合う位置には、取付ベース部17との間に袋状空間を形成するようにそれぞれに略三角形のポケット部25,26,27が一体に形成されている。各ポケット部25,26,27は三角形の一辺部を開口部25b,26b,27bとしてある。これにより、取付ベース部17と各ポケット部25,26,27との間の袋状空間に対して、開口部25b,26b,27b側からクリップ本体部20の角隅部28,29,30を差し込むようにしてそれぞれ挿入することができるようになっている。
【0037】
アウトサートクリップ19のクリップ本体部20は、図8に示すように、横長の変形矩形状または異形矩形状のものであって、図5に示したパーティングシール6のシールリップ6b側に沿うかたちとなる一つの辺部P1と、この一つの辺部P1に隣り合う二つの辺部P2,P3とのなす角隅部28,29に、凹凸係合部として鉤状またはL字状に屈曲したフック部31,32がそれぞれに突出形成されている。同様に、角隅部28とは反対側の鋭角な角隅部30にも凹凸係合部として鉤状またはL字状に屈曲したフック部33が突出形成されている。これらのフック部31,32,33は、該当する角隅部28,29,30と共にポケット部25,26,27に差し込まれることになる。
【0038】
より詳しくは、図8に示したクリップ本体部20は、パーティングシール6のシールリップ6b側に沿うかたちとなる一つの辺部P1と、この辺部P1に隣り合う互いに平行な二つの辺部P2,P3と、残る一つの円弧状の斜辺部P4と、を有している。一つの辺部P1と、それに隣り合う他の二つの辺部P2,P3とは、直角となっている。そして、二つのフック部31,32に着目した場合に、一つの辺部P1の延長線とそれに隣り合う他の二つの辺部P2,P3の延長線とで囲まれた領域内に収まるように、それぞれのフック部31,32が突出形成されている。この二つのフック部31,32は、一つの辺部P1の長手方向において互いに逆向きとなるように突出形成されている。
【0039】
同様に、一つの辺部P2とそれに隣り合う斜辺部P4とのなす角度は鋭角となっていて、一つの辺部P2の延長線と斜辺部P4の延長線とで囲まれた領域内に収まるように、フック部33が突出形成されている。
【0040】
その一方、各ポケット部25,26,27側においては、凹凸係合部としてのそれぞれのフック部31,32,33に対応して、各フック部31,32,33に合致する形状の凹凸係合部としての係合溝部25a,26a27aが形成されている。係合溝部25a,26a27aには各フック部31,32,33の内側の鉤状空間にはまり合う凸部34を含むものである。この係合溝部25a,26a,27aは各ポケット部25,26,27の内面に凸部34と共に突出形成されていて、それぞれのポケット部25,26,27の袋状空間に、対応する角隅部28,29,30がフック部31,32,33と共に挿入された時に、各フック部31,32,33と凹と凸の関係をもって互いにはまり合うように係合して、いわゆる引っ掛かりの関係をもって抜け止めを司るようになっている。
【0041】
なお、図8~10から明らかなように、各フック部31,32,33を含む角隅部28,29,30は、それにかぶさるポケット部25,26,27の肉厚に応じた厚み分だけ他の部位に比べて薄肉に形成されていて、両者の間に段差が生じないように考慮されている。また、取付ベース部17のうち各ポケット部25,26,27と対向する部分には、金型成形時の中子の配置関係上、不可避的に穴部35が形成される。
【0042】
したがって、このようなドアウエザーストリップ2の構造では、図5~7に基づいて先に説明したように、アウトサートクリップ19のクリップ本体部20をコーナー接続部5の取付ベース部17に着座させつつ、図7に示した係止軸部22をドアサッシュ1a側の取付穴24に嵌合または係止させることで、コーナー接続部5がドアサッシュ1aに位置決めされながら固定支持されることになる。その際に、ドアサッシュ1aに組み付ける前のドアウエザーストリップ2単体の状態で、コーナー接続部5に予めアウトサートクリップ19を付帯させておくものとする。
【0043】
具体的には、アウトサートクリップ19の係止軸部22をコーナー接続部5における取付ベース部17側の取付穴23(図7参照。)に挿入しつつ、取付ベース部17とクリップ本体部20の双方の輪郭を合致させるようにして、クリップ本体部20をコーナー接続部5の取付ベース部17に着座させる。
【0044】
その上で、取付ベース部17を含むコーナー接続部5の可撓性を利用して、クリップ本体部20のそれぞれの角隅部28,29,30をフック部31,32,33と共に取付ベース部17側のポケット部25,26,27の開口部25b,26b,27bからそれらの袋状空間に差し込むように挿入する。さらに、図8~10に示したように、それぞれのポケット部25,26,27に挿入したフック部31,32,33をポケット部25,26,27側の係合溝部25a,26a,27aと凹凸係合させる。
【0045】
その結果、アウトサートクリップ19は、クリップ本体部20の裏面の係止軸部22がコーナー接続部5の取付ベース部17に形成された取付穴23に挿入支持されているだけでなく、その取付ベース部17に密着するように重合しているクリップ本体部20の複数の角隅部28,29,30がポケット部25,26,27に挿入されている。しかも、クリップ本体部20側のそれぞれの角隅部28,29,30が挿入されたポケット部25,26,27は、その袋状空間内において各角隅部28,29,30の先端側のフック部31,32,33がポケット部25,26,27側の係合溝部25a,26a,27aと凹凸係合している。
【0046】
これらにより、コーナー接続部5の取付ベース部17に対するアウトサートクリップ19の位置規制と、ドアウエザーストリップ2に対するアウトサートクリップ19の脱落非容易性付与のための自己保持性の向上が図られている。そのため、ドア1に組み付ける前のドアウエザーストリップ2単体の状態で特にコーナー接続部5に捻れ力等の外力や振動が加わったとしても、アウトサートクリップ19の姿勢や向きが変わってしまうこともなければ、アウトサートクリップ19がコーナー接続部5から脱落してしまうこともなくなる。
【0047】
そして、このようにドアウエザーストリップ2単独の状態でもコーナー接続部5にアウトサートクリップ19が安定して支持されていることにより、ドアウエザーストリップ2をドア1に組み付けるに際してコーナー接続部5をドアサッシュ1aに固定するには、コーナー接続部5の向きをドアサッシュ1aの向きと合わせた上で、図5~7に示すように、コーナー接続部5側に付帯しているアウトサートクリップ19の係止軸部22をドアサッシュ1a側の取付穴24に挿入し、クリップ本体部20側から押し込むものとする。こうすることにより、図7に示したように、ドアサッシュ1aとクリップ本体部20との間に取付ベース部17が挟み込まれて、コーナー接続部5がドアサッシュ1aに対して正しい位置に位置決めされながら組み付けられることになる。
【0048】
ここで、上記実施の形態では、クリップ本体部20における各角隅部28,29,30側の凹凸係合部をフック部31,32,33とし、取付ベース部17における各ポケット部25,26,27側の凹凸係合部を係合溝部25a,26a,27aとしているが、各角隅部28,29,30側および各ポケット部25,26,27側の凹凸係合部としては、上記フック部31,32,33と係合溝部25a,26a,27aには限定されない。要は、各ポケット部25,26,27に対し対応する角隅部28,29,30が挿入された状態で、両者が凹凸係合して抜け止め機能が発揮されるかぎりにおいて、上記フック部31,32,33と係合溝部25a,26a,27aに代わる他の形状のものを採用しても良い。
【0049】
このように本実施の形態によれば、クリップ本体部20の角隅部28,29,30がフック部31,32,33と共にポケット部25,26,27に差し込まれたことによる脱落非容易性と、角隅部28,29,30側のフック部31,32,33がポケット部25,26,27側の係合溝部25a,26a,27aと凹凸係合したことによる脱落非容易性との相乗効果のために、ドアウエザーストリップ2単体の状態でも、アウトサートクリップ19のクリップ本体部20がポケット部25,26,27から外れにくくなって自己保持性が高くなり、ドアウエザーストリップ2からのアウトサートクリップ19の脱落を防止できる。
【0050】
また、図8に示した二つのフック部31,32に着目した場合に、それらのフック部31,32が互いに逆向きに形成されていることにより、外力の加わり方次第で、例えば一方のフック部31が該当するポケット部25から抜け出そうとした場合に、逆にもう一方のフック部32は該当するポケット部26にさらに押し込まれるかたちとなるため、クリップ本体部20がポケット部25,26から一段と外れにくくなって、アウトサートクリップ19の自己保持性がさらに高いものとなる。
【符号の説明】
【0051】
1…リアドア
2…ドアウエザーストリップ
5…コーナー接続部(型成形部)
16…徐変接続部(中空リップ)
17…取付ベース部
19…アウトサートクリップ
20…クリップ本体部
22…係止軸部
24…取付穴
25,26,27…ポケット部
25a,26a,27a…係合溝部(凹凸係合部)
28,29,30…角隅部
31,32,33…フック部(凹凸係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10