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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】安全柵、および、シート構造体
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/00 20060101AFI20220419BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20220419BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20220419BHJP
【FI】
E01F13/00 301
E04G21/32 B
B65G1/00 511B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018113666
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019214901
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 輝也
(72)【発明者】
【氏名】村上 奨
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020781(JP,A)
【文献】特開平05-163833(JP,A)
【文献】実開昭53-099986(JP,U)
【文献】米国特許第05716154(US,A)
【文献】実開平05-089707(JP,U)
【文献】登録実用新案第3185802(JP,U)
【文献】登録実用新案第3163141(JP,U)
【文献】登録実用新案第3180343(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0079586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00-15/14
E04G 1/00-27/00
B65G 1/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能なシート部材と、このシート部材に対して、所定の方向に離れて複数配置された取付部材とを有するシート構造体と、
前記シート構造体を支持し、前記所定の方向に延在する支持フレームと、
前記支持フレームに前記取付部材をそれぞれ着脱可能に接続する接続部材とを備え
前記支持フレームは、所定の方向に対して交差する方向に互いに離れて対をなし、
前記シート構造体は、対をなす前記支持フレームそれぞれに対応する前記取付部材と、対をなす前記支持フレームそれぞれにて隣り合う前記取付部材の間に、一方または両方の前記取付部材に対して間隔をおいて前記シート部材に配置された中間部材と、を有し、前記所定の方向に隣り合う前記取付部材と前記中間部材との間隔の位置で前記シート部材を前記所定の方向に対して交差する方向の回りに屈曲可能である
ことを特徴とする安全柵
【請求項2】
請求項記載の安全柵に用いられる
ことを特徴とするシート構造体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート構造体を備える安全柵、および、安全柵に用いられるシート構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械装置の周囲に設置される安全柵として、遮蔽手段として四角形状に形成したネットを、支柱に対して上下左右の複数箇所でU形ボルトによって固定するものが知られている(下記特許文献1)。機械装置の周囲に設置される安全柵では、機械装置のメンテナンス等のために少なくとも一部を開放して作業員が安全柵の内側に入る場合がある。また、機械装置のラインが長い場合、それに応じて安全柵も長く設置する必要がある。上記の安全柵において、作業員がネットを取り外しまたは取り付ける際には、対応するネットを支柱に保持するU形ボルトの全てを取り外しまたは取り付ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-145580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、安全柵のネットは、必要に応じて着脱されることがあるため、容易にネットを着脱できる構成が求められている。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、シート構造体を容易に着脱可能な安全柵、および、安全柵に用いられるシート構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の安全柵は、変形可能なシート部材と、このシート部材に対して、所定の方向に離れて複数配置された取付部材とを有するシート構造体と、前記シート構造体を支持し、前記所定の方向に延在する支持フレームと、前記支持フレームに前記取付部材をそれぞれ着脱可能に接続する接続部材とを備え、前記支持フレームは、所定の方向に対して交差する方向に互いに離れて対をなし、前記シート構造体は、対をなす前記支持フレームそれぞれに対応する前記取付部材と、対をなす前記支持フレームそれぞれにて隣り合う前記取付部材の間に、一方または両方の前記取付部材に対して間隔をおいて前記シート部材に配置された中間部材と、を有し、前記所定の方向に隣り合う前記取付部材と前記中間部材との間隔の位置で前記シート部材を前記所定の方向に対して交差する方向の回りに屈曲可能であるものである。
【0007】
求項記載のシート構造体は、請求項1記載の安全柵に用いられるものである
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート構造体を支持フレームに対して容易に着脱可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明の第1の実施の形態の安全柵の一部の正面図、(b)は(a)のI-I断面図である。
図2】(a)は同上安全柵の他の一部の正面図、(b)は(a)のII-II断面図である。
図3】同上安全柵の正面図である。
図4】同上安全柵の側面図である。
図5】(a)は同上安全柵の設置方法における取付部材のシート部材への取り付け状態を示す正面図、(b)は(a)のIII-III断面図である。
図6】同上安全柵の設置方法における中間部材のシート部材への取り付けを示す断面図である。
図7】(a)は同上安全柵の取付部材の支持フレームからの取り外しを示す正面図、(b)は同上安全柵においてシート部材の折り畳みを示す側面図である。
図8】本発明の第2の実施の形態の安全柵の正面図である。
図9】本発明の第3の実施の形態の安全柵の正面図である。
図10】本発明の第4の実施の形態の安全柵の正面図である。
図11】(a)は同上安全柵の図10のIV-IV断面図、(b)は図10の取付部材の位置での断面図である。
図12】本発明の第5の実施の形態の安全柵の一部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0011】
図3および図4において、1は安全柵である。この安全柵1は、例えば搬送装置の周辺を囲む搬送装置用として、あるいは建設現場の防護用等として用いられる。そして、この安全柵1は、枠体2と、シート部材であるネット3と取付部材である取付板4とを有するシート構造体5とを備えている。なお、以下、安全柵1により防護される被防護物に対して反対側、つまり安全柵1の外側を前側(矢印F方向)、その反対側である安全柵1の内側を後側(矢印R方向)として説明する。
【0012】
枠体2は、シート構造体5を保持する保持枠である。この枠体2は、安全柵1の専用のものでもよいし、例えば既設の安全柵から金網等を取り外したもの等でもよい。この枠体2は、第1の方向(矢印X方向)、本実施の形態では左右方向に対をなして配置される支持フレーム7を備えている。また、この枠体2は、対をなす支持フレーム7間を接続する接続フレーム8を備えている。さらに、この枠体2は、支持フレーム7の角度を維持し、転倒を防止するための補強フレーム9を備えている。これら支持フレーム7および接続フレーム8により、ネット3により覆われる開口部10が区画される。そして、支持フレーム7、接続フレーム8、および、補強フレーム9としては、ネット3よりも硬質の部材、例えばアルミニウム等の金属により形成された角材等が用いられる。
【0013】
各支持フレーム7は、本実施の形態において、設置面FLに設置される縦フレームである。すなわち、支持フレーム7,7は、所定の幅で第1の方向である左右方向に離れて、この第1の方向に対して交差又は直交する所定の方向である第2の方向(矢印Y方向)、本実施の形態では上下方向に沿って配置されている。また、各支持フレーム7には、本実施の形態において、設置面FLに枠体2を安定的に設置するための設置部であるスタンド体11が取り付けられている。スタンド体11は、各支持フレーム7の下端部に取り付けられる脚部である。また、スタンド体11は、側方から見てL字状に形成され、各支持フレーム7に対して後側に延びている。そして、スタンド体11は、設置面FLに対して固定される。さらに、各支持フレーム7には、ネット3を支持フレーム7に対して着脱するための接続部材である締結具12がそれぞれ取り付けられている。締結具12は、ネット3を支持フレーム7に対して着脱可能に取り付けるものである。締結具12としては、例えばボルトが用いられる。締結具12は、各支持フレーム7において、第1の方向と交差する第2の方向、本実施の形態では上下方向に離れて配置されている。また、締結具12は、軸部12aが支持フレーム7の前部のねじ穴に対して螺合され、頭部12bが支持フレーム7の前部に位置するように配置されている。さらに、締結具12は、本実施の形態において、支持フレーム7に沿って形成されたスリット13に配置され、支持フレーム7が延在する方向に沿って任意に位置を変えることができるようになっている。
【0014】
接続フレーム8は、設置面FLに対して平行または略平行に設置される横フレームである。すなわち、この接続フレーム8は、第1の方向である左右方向に沿って配置されている。また、この接続フレーム8は、支持フレーム7,7の端部、本実施の形態では支持フレーム7,7の上端部間、および、下端部間を接続している。接続フレーム8、特に上端部の接続フレーム8には、例えばネット3が固定手段14により固定されていてもよい。固定手段14は、例えばインシュロック(登録商標)等の結束バンド、あるいは針金等の、手作業によりネット3の端部を接続フレーム8に固定するものが用いられる。この固定手段14は、ネット3とともに接続フレーム8に巻き付けられて、ネット3を接続フレーム8に固定している。また、固定手段14は、例えば第1の方向である左右方向に離れる複数の位置でネット3を接続フレーム8に固定していてもよい。
【0015】
補強フレーム9は、設置面FLに設置される上下方向のフレームに取り付けられている。すなわち、本実施の形態において、補強フレーム9は、支持フレーム7にそれぞれ配置されている。補強フレーム9は、支持フレーム7の後部にて、支持フレーム7に対して傾斜して取り付けられている。具体的に、補強フレーム9は、例えば上端部側が支持フレーム7にブラケットを介して固定され、下端部側が支持フレーム7に対して後方に離れてスタンド体11にブラケットを介して固定されている。
【0016】
ネット3は、被保護物を保護するものである。このネット3は、柔軟性を有し、変形可能となっている。本実施の形態のネット3は、例えば四角形状等の所定形状に切断されて用いられる。このネット3としては、例えば本実施の形態ではトリカルネット(登録商標)等の汎用のネットが用いられるが、その他、変形可能な、例えば布や紙等の任意のシート部材を用いてもよい。
【0017】
取付板4は、締結具12を介してネット3を枠体2に取り付けるものである。取付板4は、ネット3よりも硬質の金属等の部材により板状に形成されている。取付板4は、ネット3に対して、第1の方向である左右方向に対をなし、かつ、第2の方向である上下方向に離れて複数配置されている。すなわち、本実施の形態の取付板4は、ネット3の左右の縁部に取り付けられている。取付板4は、本実施の形態において、例えば四角形状に形成されている。また、例えば本実施の形態の取付板4は、図1(a)および図1(b)に示すように、ネット3を厚み方向である前後方向に挟む一対のブラケット体15a,15bにより構成され、これらブラケット体15a,15bがネット3の側縁部を挟んだ状態でボルト等の締結部材16により互いに締結固定されることでネット3の側縁部に取り付けられ、ネット3の側縁部から外方に一部が突出している。本実施の形態の取付板4の場合、ブラケット体15aがネット3の側縁部から外方に突出し、ブラケット体15bはネット3に重ねられて位置している。さらに、取付板4には、取付孔18が形成されている。取付孔18は、相対的に開口径(開口幅)が大きく締結具12の頭部12bが通過可能な大開口部18aと相対的に開口径(開口幅)が小さく締結具12の頭部12bが通過不可能な小開口部18bとが第2の方向である上下方向に連接する、いわゆるだるま穴状に形成されている。取付孔18は、取付板4において、ネット3に対して外方に突出する部分に形成されている。したがって、取付孔18は、ネット3の外側方に位置している。本実施の形態において、取付孔18はブラケット体15aに形成されている。なお、取付板4は、図2(a)および図2(b)に示すように、例えば支持フレーム7の端部においては、支持フレーム7に固定されていてもよい。そのため、取付板4には、支持フレーム7に取付板4を固定するための固定用の穴部19が形成されていてもよい。本実施の形態において、穴部19はブラケット体15aにて取付孔18を第2の方向である上下方向に挟む位置に形成されている。穴部19には、例えばボルト等の固定体20が挿入され、この固定体20が支持フレーム7の固定用ねじ穴に螺合されて固定されることにより、取付板4が支持フレーム7に固定されるようになっている。
【0018】
また、シート構造体5は、図3および図4に示す中間プレート21を有していてもよい。中間プレート21は、ネット3を保形し、枠体2に対してネット3が浮き上がったり、ネット3が歪んだりすることを抑制するものである。本実施の形態において、中間プレート21は、支持フレーム7に対してネット3の側縁部が浮き上がることを抑制する。中間プレート21は、ネット3よりも硬質の金属等の部材により長尺に形成されている。また、中間プレート21は、例えば断面コ字状又はC字状に形成され、ネット3の左右の縁部を挟むように、この縁部に沿って長手状に配置されている。さらに、中間プレート21は、ネット3に対して、対をなす取付板4の上下方向間に配置される。中間プレート21は、上下の取付板4の少なくともいずれか一方、本実施の形態では両方に対して間隔G1をおいて配置される。このため、中間プレート21の長手方向の一端部または両端部には、その近傍に位置する取付板4との間に間隔G1が形成されている。また、中間プレート21は、例えばネット3の側縁部に対して中間固定手段22により固定されていてもよい。中間固定手段22は、例えば結束バンド、あるいは針金等の手作業によりネット3の側縁部に中間プレート21を固定するものが用いられる。中間固定手段22は、ネット3とともに中間プレート21に巻き付けられて、ネット3に対して中間プレート21を固定している。
【0019】
さらに、シート構造体5は、保形部材である端部プレート23を備えていてもよい。端部プレート23は、ネット3を保形し、枠体2に対してネット3が浮き上がったり、ネット3が歪んだりすることを抑制するものである。端部プレート23は、支持フレーム7に対してネット3の端部が浮き上がることを抑制する。端部プレート23は、ネット3よりも硬質の金属等の部材により長尺に形成されている。また、端部プレート23は、中間プレート21と同様に、例えば断面コ字状又はC字状に形成され、ネット3の端部を挟むように、この端部に沿って長手状に配置されている。さらに、端部プレート23は、本実施の形態において、ネット3の下端部に沿って長手状に配置されている。本実施の形態の端部プレート23は、ネット3の下端部の左右両側部に位置する取付板4,4に対して両端部が間隔G2を置くように配置される。また、端部プレート23は、例えばネット3に対して端部固定手段24により固定されていてもよい。端部固定手段24は、例えば結束バンド、あるいは針金等の手作業によりネット3の下端部に端部プレート23を固定するものが用いられる。端部固定手段24は、ネット3とともに端部プレート23に巻き付けられて、ネット3に対して端部プレート23を固定している。また、端部固定手段24は、本実施の形態において、端部プレート23の長手方向である左右方向の複数箇所で端部プレート23をネット3に固定している。
【0020】
次に、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0021】
安全柵1を設置する際には、まず、設置面FLに対して枠体2を設置する。この枠体2は、安全柵1の専用のものである場合には、新たに設置するが、例えば既設の安全柵から金網等を取り外したもの等である場合には、新たに設置する必要はない。枠体2には、支持フレーム7に締結具12を取り付けておいてもよい。
【0022】
次いで、シート構造体5を準備する。シート構造体5は、枠体2の大きさや形状に応じて予め所定の大きさや形状に裁断したネット3に対して、第1の方向である左右方向に対をなし、かつ、第1の方向に対して交差する第2の方向である上下方向に離れる位置に、取付板4を複数配置する。取付板4は、図5(a)および図5(b)に示すように、ブラケット体15a,15bによりネット3を前後に挟み、これらブラケット体15a,15bを締結部材16等によって互いに固定することで、ネット3に取り付けられる。本実施の形態において、この取付板4は、例えばネット3の側縁部の上端部および下端部に配置するとともに、これら上端部と下端部との間に等間隔にそれぞれ配置する。
【0023】
また、シート構造体5は、ネット3に対して、左右方向に対をなす取付板4,4の第2の方向である上下方向間に、中間プレート21を、少なくともいずれかの取付板4に対して間隔G1をおくように配置する。この中間プレート21は、図6に示すように、中間固定手段22によりネット3に対して固定する。さらに、シート構造体5は、ネット3に対して、下端部の左右方向に対をなす取付板4,4間に、端部プレート23を、左右の取付板4,4に対してそれぞれ間隔G2をおくように配置する。この端部プレート23も、中間プレート21と同様に、端部固定手段24によってネット3に対して固定する。
【0024】
そして、設置されている枠体2の支持フレーム7に対して、シート構造体5の取付板4を取り付ける。具体的に、例えば図2(a)および図2(b)に示すように、シート構造体5のうち、最上部に位置する取付板4を、固定体20によって支持フレーム7に固定する。この状態で、ネット3の上端部は、上部の接続フレーム8に沿って位置するので、作業員は例えば固定手段14によりネット3の上端部を接続フレーム8に固定することができる。次いで、シート構造体5のネット3を枠体2の前側に沿って垂らすと、中間プレート21が支持フレーム7に沿って位置し、端部プレート23が下部の接続フレーム8に沿って位置する。そして、各取付板4の取付孔18の大開口部18aに対して、予め工具等により螺合を緩めておいた締結具12を通過させる。このとき、取付板4と中間プレート21との間に間隔G1が空いていることにより、この間隔G1の位置でネット3を変形させることができるので、取付板4を第2の方向に沿って上方向に容易にスライドさせ、大開口部18aに締結具12を容易に通過させることができる。この後、取付板4の取付孔18に対して、締結具12の軸部12aを大開口部18aから小開口部18bへと移動させるように取付板4をスライドさせる。そして、締結具12を工具等により締め付けて、各取付板4を締結具12によって支持フレーム7に締結することで、ネット3が開口部10を覆った状態でシート構造体5が枠体2に保持され、安全柵1として使用可能となる。なお、取付板4は、締結具12を取付孔18に通過させたものから順次、支持フレーム7に締結する等の任意の順番で作業を行ってもよい。
【0025】
ネット3により覆われた開口部10を開く際には、例えばすべての締結具12を、または締結具12を一つずつ等の任意の順番で、工具等により緩めた状態で、下側に位置する取付板4から順次、図7(a)に示すように、取付板4を上方へとスライドさせ、締結具12を取付孔18の小開口部18bから大開口部18aへと相対的に移動させる。このとき、取付板4と中間プレート21との間に間隔G1が空いていることにより、この間隔G1の位置でネット3を変形させることができるので、取付板4を第2の方向に沿って上方向に容易にスライドさせることができる。そして、締結具12の頭部12bを大開口部18aに通過させて取付板4の位置でネット3を支持フレーム7から容易に取り外すことができる。取付板4は、下端部に位置するものから必要な高さに位置するものまで、支持フレーム7から順次取り外す。さらに、図7(b)の想像線に示すように、作業員はネット3の下端部側を持ち上げて各間隔G1の位置で上方に巻き上げつつ折り畳むことで、省スペースでの作業が可能で、枠体2の開口部10を必要な大きさだけ開くことができる。このように、上記の安全柵1は、シート構造体5を枠体2に対して、容易に着脱できる構成である。
【0026】
開いた開口部10からは、作業員が出入りしたり、資材を搬入・搬出したりすることが可能になる。そして、開口部10の利用後は、巻き上げたシート構造体5のネット3を解いて再びネット3により開口部10を覆い、各取付板4の取付孔18の大開口部18aに締結具12を挿通して取付板4をスライドさせ、締結具12を工具等により締め付けることで、シート構造体5を元通りに枠体2に取付保持できる。
【0027】
このように、第1の実施の形態によれば、変形可能なネット3に対し、取付板4を、所定の方向である上下方向に離れて複数設けたシート構造体5を準備し、支持フレーム7の延在する方向に沿って、取付板4をそれぞれが間隔を空けた状態に締結具12によって支持フレーム7に取り付ける。このため、取付板4と締結具12とによって、シート構造体5を枠体2に容易に着脱可能となる。
【0028】
さらに、例えば、基本的に変形しない金網の外縁部を鋼板で囲んだ上下一対のネットをコイル状鋼線で2つ折り可能に連結し、各ネットを、鋼板に設けた係止プレートの位置で、縦フレームおよび横フレームに対して蝶ボルトにより締結固定する構成があるものの、この構成では、作業員が出入りしたり、資材を搬入したりする際の開口部を形成するために、上下いずれかのネットを固定する蝶ボルトを全て取り外す必要があり、開口部の形成作業が煩雑であるとともに、開口部を形成する際のネットを旋回させる角度を大きく確保する必要があり、開放時に通路の邪魔になり、また、設備が隣接している場合には設置が困難である。これに対して、本実施の形態の安全柵1は、ネット3は変形可能なので折り畳みながら取り外すことができ、周囲に大きな空間を確保する必要がなく、省スペースでの着脱作業が可能である。
【0029】
また、例えば変形可能なネットをフレームに対して針金や結束バンド等で固定するものもあるが、この構成の場合、ネットに開口部を形成する際に、針金を解いたり、結束バンドを切断したりする必要があり、開口部の形成作業が容易とは言えず、また、針金や結束バンドを紛失しないように管理する必要がある。これに対して、本実施の形態の安全柵1は、ネット3と支持フレーム7との接合・解除は締結具12の締緩操作だけで行なわれるため、結束バンドや針金等のように、解いたり切断したりする必要がなく、部品が紛失しにくい。
【0030】
特に、本実施の形態では、取付板4を左右方向に対をなしてネット3に取り付け、左右方向に対をなす支持フレーム7に締結具12によってそれぞれ取り付けるので、ネット3を安定的に枠体2に取り付けることができる。
【0031】
さらに、シート構造体5は、上下方向に隣り合う取付板4,4の間に、一方または両方の取付板4に対して間隔G1をおいてネット3に中間プレート21を配置することで、ネット3の側縁部が支持フレーム7すなわち枠体2に対して浮き上がったり歪んだりすることを防止できる。
【0032】
シート構造体5が、対をなす支持フレーム7,7それぞれに対応する取付板4と中間プレート21とを有し、所定の方向に隣り合う取付板4,4と中間プレート21との間隔G1の位置でネット3を所定の方向に対して交差する方向の回りに屈曲可能であるため、中間プレート21と取付板4との間の間隔G1を利用してシート構造体5のネット3を容易に折り畳むことができる。
【0033】
枠体2は、対をなす支持フレーム7間を接続する接続フレーム8によって容易に補強できる。また、例えば上部に位置する接続フレーム8に対して、ネット3を固定手段14により固定することで、ネット3の上端部を枠体2に対して強固に取り付けでき、ネット3の上端部が接続フレーム8すなわち枠体2から浮き上がったり歪んだりすることを防止できる。
【0034】
取付板4の取付孔18を、開口径が大きい大開口部18aと開口径が小さい小開口部18bとを第2の方向である上下方向に連接して有するだるま穴とし、取付孔18の大開口部18aに挿通可能で小開口部18bに係合される頭部12bを有する複数の締結具12を用いて取付板4を支持フレーム7に接続することで、簡素な構成で取付板4を支持フレーム7に対して容易に係脱できる。また、中間プレート21と取付板4との間の間隔G1を利用することで、他の取付板4の取付孔18に締結具12が挿通されていても、取付板4の可動領域が確保でき容易に取付板4を着脱することができる。
【0035】
また、締結具12は、支持フレーム7のスリット13に配置することで、支持フレーム7が延在する方向に位置を容易に調整できる。
【0036】
そして、設置した安全柵1のネット3の破損や劣化に伴う交換等、メンテナンスの際には、ネット3を取付板4、中間プレート21、および、端部プレート23等とともに枠体2から取り外し、取付板4、中間プレート21、および、端部プレート23をネット3から取り外した後、新たなネット3に対して取付板4、中間プレート21、および、端部プレート23を再度取り付けてシート構造体5を構成し、上記の取付方法を繰り返すことで、同様に容易に設置できる。このように、中間プレート21、取付板4がともに再利用可能であるため、シート構造体5のネット3の破損時等には、ネット3のみを交換することができる。
【0037】
なお、上記各実施の形態において、枠体2の大きさは、安全柵1の用途や設置環境等に応じて、任意に設定できる。例えば図8に示す第2の実施の形態のように、支持フレーム7,7間の第1の方向である左右方向の幅が大きいものを用いてもよいし、図9に示す第3の実施の形態、あるいは図10に示す第4の実施の形態のように、支持フレーム7の第2の方向である上下方向の長さ、すなわち高さが大きいものを用いてもよい。なお、第3および第4の実施の形態のように、枠体2の高さを大きくする場合には、上部寄りの位置に接続フレーム8によって桟部を形成して補強してもよい。
【0038】
また、枠体2の大きさによって、例えばネット3の幅や高さ(長さ)が不足する場合には、複数のネット3を継ぎ足して自在に対応することができる。例えばネット3の高さ(長さ)が不足する場合には、第2および第4の実施の形態のように、上下に一部を重ね合わせて複数のネット3を配置し、図11(a)に示すように、これらネット3を結束バンド、針金、あるいはステープラの針等の取付手段26によって連結して用いることができる。また、取付板4は、これらの連結部に位置する場合、図11(b)に示すように、複数のネット3の継ぎ目の位置を挟むようにブラケット体15a,15bを締結部材16によって共締めすることで、ネット3に対して容易に取り付けできる。同様に、例えばネット3の幅が不足する場合には、左右に一部を重ね合わせて複数のネット3を配置し、これらネット3を上記取付手段26等によって連結して用いることができる。例えば第2の実施の形態のように、第2の方向の大きさが互いに異なるネット3同士を第2の方向に連結してもよいし、第4の実施の形態のように、第2の方向の大きさが互いに等しいネット3同士を第2の方向に連結してもよい。端部プレート23は、それぞれのネット3の端部に取り付けられていてもよい。このように、安全柵1は、取付板4と締結具12とによって支持フレーム7に取り付ける簡素な構成であるため、多種多様な幅や高さに対応したネット3をそれぞれ用意することなく、1、2種類程度のネット3を継ぎ足して、異なる複数の幅や高さに容易に対応することができる。
【0039】
さらに、締結具12は、工具により締緩するボルト等としたが、例えば作業員が手動によって締緩可能な蝶ボルトや、プッシュリベット等を用いてもよい。
【0040】
また、取付板4を接続する接続部材としては、締結具12の他に、フックや磁石等を用いてもよい。
【0041】
さらに、接続部材は、支持フレーム7から一部または全部が取り外されるように構成されていてもよい。
【0042】
また、第1の方向を左右方向、第2の方向を上下方向としたが、例えば第1の方向を上下方向、第2の方向を左右方向等としてもよい。例えば、安全柵1を左右方向に長手状に形成する場合には、左右方向に延びる支持フレーム7に対してネット3の上端部を取付板4と締結具12とにより着脱可能とし、ネット3の下端部を自由端状に垂らすように構成してもよい。
【0043】
さらに、中間プレート21は、所定の方向に隣り合う取付板4,4間全てに配置されているものに限らず、所定の方向に隣り合う取付板4,4間のうちの少なくともいずれかに配置されていればよい。例えば図12に示す第5の実施の形態のように、上下方向に隣り合う取付板4,4間に中間プレート21の配置・非配置を上下方向に交互に設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 安全柵
3 シート部材であるネット
4 取付部材である取付板
5 シート構造体
7 支持フレーム
12 接続部材である締結
21 中間部材である中間プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12