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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】製造速度の改善されたガラス炉
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/237 20060101AFI20220419BHJP
   F27B 3/20 20060101ALI20220419BHJP
   F27B 3/22 20060101ALI20220419BHJP
   F27B 3/26 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
C03B5/237
F27B3/20
F27B3/22
F27B3/26
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018532033
(86)(22)【出願日】2016-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2016067778
(87)【国際公開番号】W WO2017112671
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2018-07-13
【審判番号】
【審判請求日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】62/387,125
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】392032409
【氏名又は名称】プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】関根 崇
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-37404(JP,B1)
【文献】国際公開第2011/152024(WO,A1)
【文献】特開平4-231328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B5/00-5/44
F27B3/20,3/22,3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスを製造する方法であって、
(A)後壁、前壁、及び互いに対面している一対の側壁であって、そのそれぞれが、前記後壁から前記前壁に延在している一対の側壁、並びにクラウンを有するガラス溶解炉に、ガラス製造材料を供給するステップであって、前記ガラス製造材料を、前記後壁から前記前壁の方向まで、前記炉の長さの最大30%まで前記後壁から延在しているフィードゾーンに供給するステップであって、
バーナーが側壁に配置されていないか、又は少なくとも1つのオキシ-燃料用又は空気-燃料用バーナーが、各側壁に配置されて、前記バーナーのそれぞれにおける燃焼によって、前記炉内のガラス製造材料に熱を供給し、
前記炉が、第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器を含み、これらの蓄熱器がそれぞれ、前記フィードゾーンに開放しているポートを有しており、(i)前記第1の蓄熱器ポートは、一方の側壁に配置されており、前記第2の蓄熱器ポートは、もう一方の側壁に配置されており、空気-燃料用バーナーは、前記蓄熱器ポートのどちらか一方と前記後壁との間に配置されていないか、又は(ii)前記第1及び第2の蓄熱器ポートは、前記後壁に配置されている、ステップと、このステップと同時に、
(B)存在している前記バーナーにおいて、前記炉中で燃料を燃焼するステップと、
(C)交互に、
(1)前記炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第1の蓄熱器内に入れて通過させ、前記第1の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、前記第1の蓄熱器からの前記冷却済みガス燃焼生成物の第1の部分及び改質用燃料を、加熱された第2の蓄熱器に通し、前記第2の蓄熱器において、前記ガス燃焼生成物と前記改質用燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、前記第2の蓄熱器からの前記合成ガスを前記フィードゾーン内に通し、前記合成ガスを前記フィードゾーン内で燃焼させるステップと、
(2)前記炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第2の蓄熱器内に入れて通過させ、前記第2の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、前記第2の蓄熱器からの前記冷却済みガス燃焼生成物の第1の部分及び前記改質用燃料を、加熱された第1の蓄熱器に通し、前記第1の蓄熱器において、前記ガス燃焼生成物と前記改質用燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、前記第1の蓄熱器からの前記合成ガスを前記フィードゾーン内に通し、前記合成ガスを前記フィードゾーン内で燃焼させるステップと、
を含み、
前記炉内での、前記第1及び第2の蓄熱器からの前記合成ガスの前記燃焼が、前記フィードゾーン上の前記クラウンの温度を、前記炉における前記フィードゾーンの外側の前記クラウンの最高温度から100℃以内に維持する条件下である、方法。
【請求項2】
前記炉内での、前記第1及び第2の蓄熱器からの前記合成ガスの前記燃焼が、前記フィードゾーン上の前記クラウンの温度を、前記炉における前記フィードゾーンの外側の前記クラウンの最高温度から75℃以内に維持する条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炉内での、前記第1及び第2の蓄熱器からの前記合成ガスの前記燃焼が、前記フィードゾーン上の前記クラウンの温度を、前記炉における前記フィードゾーンの外側の前記クラウンの最高温度から50℃以内に維持する条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の蓄熱器の前記ポートが、前記後壁に配置されており、目視可能な火炎長が、前記後壁から前記前壁までの前記炉の長手方向の長さの3分の2未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の蓄熱器の前記ポートが、前記後壁に配置されており、目視可能な火炎長が、前記後壁から前記前壁までの前記炉の長手方向の長さの半分未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの一対のオキシ-燃料用又は空気-燃料用バーナーが、各側壁に配置されており、前記第1の蓄熱器の前記ポートが、一方の側壁に配置されており、前記第2の蓄熱器の前記ポートがもう一方の側壁に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶融ガラスを製造する方法であって、
(A)後壁、前壁、及び互いに対面している一対の側壁であって、そのそれぞれが、前記後壁から前記前壁に延在している一対の側壁、並びにクラウンを有するガラス溶解炉に、ガラス製造材料を供給するステップであって、前記ガラス製造材料を、前記後壁から前記前壁の方向まで、前記炉の長さの最大30%まで前記後壁から延在しているフィードゾーンに供給するステップであって、
バーナーが側壁に配置されていないか、又は少なくとも1つのオキシ-燃料用又は空気-燃料用バーナーが、各側壁に配置されて、前記バーナーのそれぞれにおける燃焼によって、前記炉内のガラス製造材料に熱を供給し、
前記炉が、第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器を含み、これらの蓄熱器がそれぞれ、前記フィードゾーンに開放しているポートを有しており、(i)前記第1の蓄熱器ポートは、一方の側壁に配置されており、前記第2の蓄熱器ポートは、もう一方の側壁に配置されており、空気-燃料用バーナーは、前記蓄熱器ポートのどちらか一方と前記後壁との間に配置されていないか、又は(ii)前記第1及び第2の蓄熱器ポートは、前記後壁に配置されている、ステップと、このステップと同時に、
(B)存在している前記バーナーにおいて、前記炉中で燃料を燃焼するステップと、
(C)交互に、
(1)前記炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第1の蓄熱器内に入れて通過させ、前記第1の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、ガス状改質反応剤及び改質用燃料を加熱された第2の蓄熱器に通し、前記第2の蓄熱器において、前記ガス状改質反応剤と前記改質用燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、前記第2の蓄熱器からの前記合成ガスを前記フィードゾーン内に通し、前記合成ガスをフィードゾーン内で燃焼させるステップと、
(2)前記炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第2の蓄熱器内に入れて通過させ、前記第2の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、ガス状改質反応剤及び改質用燃料を加熱された第1の蓄熱器に通し、前記第1の蓄熱器において、前記ガス状改質反応剤と前記改質用燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、前記第1の蓄熱器からの前記合成ガスを前記フィードゾーン内に通し、前記合成ガスを前記フィードゾーン内で燃焼させるステップと、
を含み、
前記炉内での、前記第1及び第2の蓄熱器からの前記合成ガスの前記燃焼が、前記フィードゾーン上の前記クラウンの温度を、前記炉における前記フィードゾーンの外側の前記クラウンの最高温度から100℃以内に維持する条件下である、方法。
【請求項8】
前記炉内での、前記第1及び第2の蓄熱器からの前記合成ガスの前記燃焼が、前記フィードゾーン上の前記クラウンの温度を、前記炉における前記フィードゾーンの外側の前記クラウンの最高温度から75℃以内に維持する条件下で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記炉内での、前記第1及び第2の蓄熱器からの前記合成ガスの前記燃焼が、前記フィードゾーン上の前記クラウンの温度を、前記炉における前記フィードゾーンの外側の前記クラウンの最高温度から50℃以内に維持する条件下で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の蓄熱器の前記ポートが、前記後壁に配置されており、目視可能な火炎長が、前記後壁から前記前壁までの前記炉の長手方向の長さの3分の2未満である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の蓄熱器の前記ポートが、前記後壁に配置されており、目視可能な火炎長が、前記後壁から前記前壁までの前記炉の長手方向の長さの半分未満である、請求項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの空気-燃料用バーナーが、各側壁に配置されており、前記第1の蓄熱器の前記ポートが、一方の側壁に配置されており、前記第2の蓄熱器の前記ポートがもう一方の側壁に配置されている、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉式炉が高温で操作されている、工業プロセスに関する。本発明は、特に、ガラスを製造するための炉に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、炉内において、砂、石灰岩及びソーダ灰(「バッチ」と呼ばれる)などの粗原料、及びガラスの再利用片(「カレット」と呼ばれる)を意味する、ガラス製造材料を溶融することにより慣用的に製造されている。ガラス製造材料は、溶融ガラスの均質なストリームが生じるよう、炉の一端(「後壁」)、又はその付近で、通常、供給され、この溶融ガラスは、たとえば、溶解ガス及び気泡を除去する(「清澄」)することにより、さらに加工され得、この溶融ガラスは炉に残って(通常、「前壁」の外)形成され、炉の下流で固体生成物に冷却される。
【0003】
ガラス製造材料の溶融には、固体のガラス製造材料を溶融し、炉内で溶融状態の溶融ガラス製造材料を維持するよう、及び溶融ガラス製造材料は炉内を通って外に出て行くので、炉内で高温を確立する必要がある。高温は、通常、炉内の複数のバーナーで燃料を燃焼することにより確立される。燃料は、酸素源として空気を用いて、又は本明細書に記載されているとおり、燃料が、空気の酸素含有量よりも高い酸素含有量を有するガス状酸化剤と一緒にされ得る、「オキシ-燃料」燃焼と称されるものの中で燃焼され得る。
【0004】
ガラス溶解炉内では、炉の最大製造速度が、通常、最大に利用可能なクラウンの耐火温度によって、通常、制限されるので、クラウンの温度は、ガラスを製造するための炉の最大操作能力を慣用的に規定する、クラウンのある場所(「ホットスポット」)のピークを通常、示すことになろう。より多量のガラスを溶融することにより、すなわち、ガラス炉へのより多量のバッチ及びカレット材料を投入することにより、製造量を向上する試みは、必要なさらなる熱を供給するため、及び溶融ガラス浴中の適切な温度プロファイルを維持するために、炉への燃料投入量を増加させる必要があると考えられる。しかし、より大量のガラスを製造するために、燃料投入量が増加するにつれて、クラウン温度が上昇する。燃焼の増大は、クラウンのホットスポットを向上させるので、上記は、実用的な解決策にはならず、クラウンのホットスポット温度は、クラウンにより耐容され得るその最大値又はその付近に既にあるので、クラウンを損傷するリスクなしに、ホットスポット付近の燃焼速度(firing rate)をさらに向上させることはできない。ホットスポットにおける温度を向上させずに、製造速度を向上させるために、エレクトリックブースティング法(投入される電極によって、溶融ガラスを直接、電気加熱する)、並びにバッチ及びカレット予備加熱法(batch and cullet preheating)などの他の方法が時として使用される。しかし、これらの方法は、高い投資費用及び高い操業コストを招く。
【0005】
オキシ-燃料燃焼炉及び燃料-空気燃焼炉中では、煙道ポートは、後壁、又は後壁付近の側壁、すなわち、炉の相対的に最も温度の低い領域に、通常、配置される。炉の最も温度の低い領域に煙道ポートを配置する理由は、炉に残る煙道ガスの検出可能な熱損失を最小限にするためである。炉に供給される追加のガラス製造材料を溶融するのに必要とされる、さらなる熱を供給するためのそのようなゾーンに、追加の空気-燃料用又はオキシ-燃料用バーナーを配置することができることが期待される。しかし、本発明者らは、フィードゾーンにおける燃焼速度が空気-燃料の燃焼又はオキシ-燃料の燃焼により向上すると、炉に残る煙道ガスの温度が、急速に向上し、溶融ガラスを製造するためのエネルギー消費が急速に向上することを見いだした。さらに、このように追加されたバーナーからの熱流束は、炉内部で起こる放射熱交換によるクラウンの「ホットスポット」を含めた、炉内の他の領域における温度を向上させることが予期される。安全域未満にホットスポット温度を維持するため、ホットスポット付近の燃焼速度は低下させなければならない。このホットスポット付近の燃焼速度の低下は、煙道ガス温度をさらに向上させる、フィードゾーンにおける燃焼速度の向上により補われなければならない。さらに、適切な長手方向のクラウン温度プロファイルが、良質なガラスの製造に必須であると一般に考えられており、ホットスポット温度を増加させずに、投入ゾーン温度を向上することは、これまで、ガラスの品質に悪影響を及ぼすと考えられている。
【0006】
したがって、ガラス製造材料が供給される、後壁付近のガラス溶解炉のゾーン内のバーナーを設けることは、炉のガラス製造能力を向上させる実用的な選択肢ではないことが予期される。
【発明の概要】
【0007】
本発明者は、予期されるものとは対照的に、炉のクラウンのホットスポット温度を向上させることなく、燃焼が、炉の後壁付近のゾーンにおいて実現され、炉からの良質なガラスの生産量の増加を可能にすることを発見した。
【0008】
この発見の一態様は、溶融ガラスを製造する方法であって、
(A)後壁、前壁、及び互いに対面している一対の側壁であって、そのそれぞれが、後壁から前壁に延在している一対の側壁を有するガラス溶解炉に、ガラス製造材料を供給するステップであって、該ガラス製造材料を、後壁から前壁の方向まで、炉の長さの最大30%まで後壁から延在しているフィードゾーンに供給するステップであって、
バーナーが側壁に配置されていないか、又は少なくとも1つのオキシ-燃料用又は空気-燃料用バーナーが、各側壁に配置されて、前記バーナーのそれぞれにおける燃焼によって、炉内のガラス製造材料に熱を供給し、
前記炉が、第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器を含み、これらの蓄熱器がそれぞれ、前記フィードゾーンに開放しているポートを有しており、(i)前記第1の蓄熱器ポートは、一方の側壁に配置されており、前記第2の蓄熱器ポートは、もう一方の側壁に配置されており、空気-燃料用バーナーは、前記蓄熱器ポートのどちらか一方と後壁との間に配置されておらず、オキシ-燃料用バーナーが、前記蓄熱器ポートと後壁との間に、場合により存在していてもよく、若しくは存在していなくてもよく、又は(ii)前記第1及び第2の蓄熱器ポートは、後壁に配置されている、ステップと、このステップと同時に、
(B)存在している前記バーナーにおいて、前記炉中で燃料を燃焼するステップと、
(C)交互に、
(1)炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第1の蓄熱器内に入れて通過させ、第1の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、前記第1の蓄熱器からの前記冷却済みガス燃焼生成物の第1の部分及び燃料を、加熱された第2の蓄熱器に通し、第2の蓄熱器において、ガス燃焼生成物と燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、第2の蓄熱器からの前記合成ガスをフィードゾーン内に通し、前記合成ガスをフィードゾーン内で燃焼させるステップと、
(2)炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第2の蓄熱器内に入れて通過させ、第2の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、前記第2の蓄熱器からの前記冷却済みガス燃焼生成物の第1の部分及び燃料を、加熱された第1の蓄熱器に通し、第1の蓄熱器において、ガス燃焼生成物と燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、第1の蓄熱器からの前記合成ガスをフィードゾーン内に通し、前記合成ガスをフィードゾーン内で燃焼させるステップと、
を含み、
炉内での、第1及び第2の蓄熱器からの合成ガスの燃焼が、フィードゾーンにおけるクラウンの温度を、100℃以内の炉におけるフィードゾーンの外側のクラウンの最高温度に維持する条件下である、方法を含む。
【0009】
本発明の別の態様は、溶融ガラスを製造する方法であって、
(A)後壁、前壁、及び互いに対面している一対の側壁であって、そのそれぞれが、後壁から前壁に延在している一対の側壁を有するガラス溶解炉に、ガラス製造材料を供給するステップであって、該ガラス製造材料を、後壁から前壁の方向まで、炉の長さの最大30%まで後壁から延在しているフィードゾーンに供給するステップであって、
バーナーが側壁に配置されていないか、又は少なくとも1つのオキシ-燃料用又は空気-燃料用バーナーが、各側壁に配置されて、前記バーナーのそれぞれにおける燃焼によって、炉内のガラス製造材料に熱を供給し、
前記炉が、第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器を含み、これらの蓄熱器がそれぞれ、前記フィードゾーンに開放しているポートを有しており、(i)前記第1の蓄熱器ポートは、一方の側壁に配置されており、前記第2の蓄熱器ポートは、もう一方の側壁に配置されており、空気-燃料用バーナーは、前記蓄熱器ポートのどちらか一方と後壁との間に配置されておらず、オキシ-燃料用バーナーが、前記蓄熱器ポートと後壁との間に、場合により存在していてもよく、若しくは存在していなくてもよく、又は(ii)前記第1及び第2の蓄熱器ポートは、後壁に配置されている、ステップと、このステップと同時に、
(B)存在している前記バーナーにおいて、前記炉中で燃料を燃焼するステップと、
(C)交互に、
(1)炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第1の蓄熱器内に入れて通過させ、第1の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、ガス状改質反応剤を加熱された第2の蓄熱器に通し、第2の蓄熱器において、ガス状改質反応剤と燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、第2の蓄熱器からの前記合成ガスをフィードゾーン内に通し、前記合成ガスをフィードゾーン内で燃焼させるステップと、
(2)炉に由来するガス燃焼生成物を、冷却された第2の蓄熱器内に入れて通過させ、第2の蓄熱器を加熱及び前記ガス燃焼生成物を冷却し、ガス状改質反応剤を加熱された第1の蓄熱器に通し、第1の蓄熱器において、ガス状改質反応剤と燃料とを吸熱反応で反応させて、水素及びCOを含む合成ガスを形成させて、第1の蓄熱器からの前記合成ガスをフィードゾーン内に通し、前記合成ガスをフィードゾーン内で燃焼させるステップと、
を含み、炉内での、第1及び第2の蓄熱器からの合成ガスの燃焼が、フィードゾーンにおけるクラウンの温度を、100℃以内の炉におけるフィードゾーンの外側のクラウンの最高温度に維持する条件下である、方法。
【0010】
上述の実施形態では、燃焼は、炉内での、第1及び第2の蓄熱器からの合成ガスの燃焼が、フィードゾーンにおけるクラウンの温度を、75℃以内、より好ましくは50℃以内の炉におけるフィードゾーンの外側のクラウンの最高温度に維持する条件下で、好ましくは行われる。
【0011】
他の好ましい実施形態では、熱化学式蓄熱器ポートは、後壁に配置されており、目視可能な火炎長が、炉の長手方向の長さの3分の2未満、又は半分未満にさえなる。
【0012】
本明細書で使用する場合、「ガラス製造材料」は、以下の材料のいずれか、及びそれらの混合物を含む:砂(ほとんどがSiO)、ソーダ灰(ほとんどがNaCO)、石灰岩(ほとんどが、CaCO及びMgCO)、長石、ホウ砂(水和ホウ酸ナトリウム)、ナトリウム及びカリウムの他の酸化物、水酸化物並びに/又はケイ酸塩、(これらは、「バッチ」とも呼ばれる)、並びに上記のいずれかを溶融及び固化することによって既に製造されたガラス(再利用されたガラスの固体片など)(「カレット」とも呼ばれる)。ガラス製造材料はまた、芒硝(硫酸ナトリウム、NaSO)及び/又は硝石(硝酸ナトリウム、NaNO、及び/又は硝酸カリウム、KNO)などのバッチ酸化剤などの機能性添加物、並びに酸化アンチモン(Sb)などの清澄剤(fining agent)も含むことができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、「オキシ-燃料用バーナー」は、バーナーであって、このバーナーを介して燃料、及び空気の酸素含有量よりも高い酸素含有量を有する、好ましくは、少なくとも50体積%、好ましくは少なくとも80体積%の酸素、より好ましくは少なくとも90体積%の酸素、及び少なくとも99体積%にもなる酸素を有する酸化剤が供給される上記のバーナーを意味する。
【0014】
本明細書で使用する場合、「オキシ-燃料の燃焼」は、燃料と、空気の酸素含有量より高い酸素含有量を有する、好ましくは、少なくとも50体積%、好ましくは少なくとも80体積%の酸素、より好ましくは少なくとも90体積%の酸素、及び少なくとも99体積%にもなる酸素を有する酸化剤との燃焼を意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、「空気-燃料用バーナー」は、バーナーであって、これを介して、燃料及び空気が供給されるバーナーを意味し、蓄熱器中で燃焼用空気を事前加熱する、蓄熱性空気燃焼システムを含む。
【0016】
本明細書で使用する場合、「空気-燃料の燃焼」は、燃料と空気との燃焼を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明が実施され得るガラス炉の内部の5種のさまざまな実施形態の上面図である。
図1B】本発明が実施され得るガラス炉の内部の5種のさまざまな実施形態の上面図である。
図1C】本発明が実施され得るガラス炉の内部の5種のさまざまな実施形態の上面図である。
図1D】本発明が実施され得るガラス炉の内部の5種のさまざまな実施形態の上面図である。
図1E】本発明が実施され得るガラス炉の内部の5種のさまざまな実施形態の上面図である。
図2】端部燃焼構成体における、熱化学式蓄熱器を備えたガラス炉の一実施形態の内部の上面図であり、熱化学式蓄熱が実施され得る、追加詳細を示している。
図3】熱化学式蓄熱器及び熱回収操作を実施するための、本発明の方法のさまざまな態様の略図である。
図4】熱化学式蓄熱器及び熱回収操作を実施するための、本発明の方法のさまざまな態様の略図である。
図5】端部燃焼構成体における、熱化学式蓄熱器を備えたガラス炉の代替実施形態の略図であり、代替的な実施形態が実施され得る、追加詳細を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ガラス製造炉それ自体の最初のものに目を向けると、図1Aは、本発明が実施され得る、典型的な十字燃焼フロートガラス炉(cross fired float glass furnace)(10)の上部平面図を示している。本発明は、フロートガラス炉に制限されず、たとえば、食器ガラス、板ガラス、ディスプレイ用ガラス及び容器用ガラスを製造する他のタイプのガラス溶融炉において実施することができる。炉(10)は、溶融ゾーン(11)及び改質ゾーン(12)を含む(本明細書では、清澄ゾーン(12)とも呼ばれる)。溶融ゾーン(11)及び改質ゾーン(12)は、後壁(3)、前壁(6)、並びに側壁(4)及び(5)内に取り囲まれている。クラウン又は屋根(図示せず)は、側壁(4)及び(5)、後壁(3)、並びに前壁(6)につながっている。炉(10)は、後壁(3)、側壁(4)及び(5)、並びに前壁(6)、並びにクラウン又は屋根と一緒に、溶融製造材料を保持する囲みを形成する底部も有する。炉(10)における開口部からの溶融ガラス製造材料の流れは、(90)として表されている。
【0019】
炉(10)はまた、通常、後壁(3)の内表面に沿って、又は他のタイプのガラス炉の場合、後壁(3)付近の側壁(4)及び/若しくは(5)中に、それを介してガラス製造材料(30)を、図2に見られる溶融ゾーン(11)内に供給することができる、少なくとも1つの材料投入口(20)を有する。さらに具体的には、ガラス製造材料は、フィードゾーン(13)に供給され、このフィードゾーンは、溶融ゾーン(11)の一部と見なされ、後壁(3)から前壁(6)までの長さの最大30%、後壁(3)から延在している。溶融ゾーン(11)内の燃料及び酸素の燃焼の生成物が、炉の内部から流れ出ることが可能な、1つ又は複数の煙道(19)も存在することができる。煙道(単数又は複数)は、後壁(3)に、又は側壁の1つ又は両方に、通常、配置される。
【0020】
炉の底部、後壁、前壁、側壁及びクラウンは、それが曝される温度、すなわち、通常、1300℃~1700℃で、その中実構造完全性を保持することができる耐火性材料から作製されるべきである。このような材料は、高温装置の構築の分野において幅広く知られている。例には、シリカ、ヒューズドアルミナ及びAZSが含まれる。
【0021】
図1C及び1Dにおいて示されている実施形態では、溶融ゾーン(11)は、いかなるバーナーも有していないか、又は場合により、図1A及び1Bに示されているとおり、溶融ゾーン(11)は、1つ若しくは複数の一対の対面式空気-燃料用バーナー及び/又はオキシ-燃料用バーナーを含み、これらのバーナーは、側壁(4)及び(5)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのバーナーを備えた、蓄熱器ポートとすることができる。「対向している」とは、所与の対のバーナー又は蓄熱器ポートにおいて、各側壁に、互いに面しており、かつ両方が溶融ゾーン(11)の内部に面している1つのポートが存在することを意味する。対向するポートは、実質的に同軸とすることができる、すなわち、それらは直接、互いに真向かいに面しているか、又はそれらは、図1Aにおける例に示されているとおり、1つの側壁における各ポートの軸が対向する側壁におけるいずれのポートの軸とも同軸でない、オフセットであり得る。
【0022】
任意選択のバーナーが、溶融ゾーン(11)に設置されている場合、燃焼は、これらのポートが溶融ゾーン(11)内に開放している場所又はその付近に天然ガス又は燃料油などの燃料が注入されて、温かい燃焼用空気又は酸化剤と混合されて火炎を形成し、溶融ゾーン内で熱を発生して、ガラス製造材料を溶融し、ガラス製造材料を溶融状態に維持するにつれて、溶融ゾーン(11)において燃焼が起こる。燃焼は、すべてのポートで同時に行われ得るか、又は蓄熱用バーナーを用いた場合のように、燃焼は一部のポートで、次に、一部の他のポートで交互に行われ得る。図1A及び1Bは、任意選択的な3つの対のポートを示しており、溶融ゾーンの一方の側のポートは、1L、2L及び3Lと番号が付与されており、溶融ゾーンのもう一方の側のポートは、1R、2R及び3Rと番号が付けられている。炉の所望のガラス溶融能力に応じて、2~10個、又は最大20個以上にもなる、任意の数のポート又はバーナーを使用することができる。
【0023】
溶融ガラスからのガス気泡の除去は、良質なガラスを製造するために、ガラス溶融炉では必須要件である。溶融ガラスは、ガス気泡が、清澄として知られている過程である、浮力によりガラスから出て行くのに十分な時間、炉内に留まらなければならない。ガラス溶融炉では、炉の操作条件は、通常、クラウン熱電対及び槽底部の熱電対をモニタリングすることによって、通常、制御される。本発明を組み込んでいない、既に公知の操作技法を使用する、高い製造速度を伴う最新の容器型ガラス炉は、後壁から炉の長手方向の長さの約3分の2から4分の3に配置されている、1550~1600℃のホットスポットクラウン温度で操作することができる。バッチ材料は、後壁付近で投入され、後壁付近のクラウン温度は、ホットスポット温度より100~200℃低い温度、又は通常、約1400~1450℃で操作することができる。前壁付近の清澄ゾーン(12)におけるクラウン温度は、ホットスポット温度よりも約50℃低い温度で操作することができる。バッチ投入器(20)(図2)から供給されたバッチ材料は、個別の「アイランド」として、溶融ガラス浴の上にフロートしており、それらが、加熱されて、溶融ゾーン(11)中の火炎によって溶融されるにつれて、前壁方向に移動する。フロートバッチアイランドの下にある溶融ガラスは、炉のホットスポットから後壁の方向に流れる。前方に移動するバッチアイランドと底部の後方に移動する溶融ガラスとのバランスは、清澄ゾーン(12)から溶融ゾーン(11)を分割する、いわゆる「バッチライン」を形成し、このバッチラインは、ホットスポット付近に、通常、配置されている。清澄ゾーン(12)では、溶融ガラスの上にフロートして、良質のガラスを確実なものとするバッチアイランドは存在しない。溶融ガラスの長手方向の循環パターンは、溶融ガラスの温度グラジエントによって推進されることが知られているので、適切な長手方向のクラウン温度プロファイルの維持が、良質なガラスを製造するのに不可欠であると、一般に考えられている。炉のある長手方向の位置の範囲内に、バッチラインを維持することが重要である。たとえば、米国特許第4,473,388号及び同第5,116,399号は、バッチライン又はその付近で、バッチラインの位置を維持する目的となる、オキシ-燃料の火炎の使用を教示している。しかし、バッチラインは、通常、炉のホットスポット付近に配置されており、ホットスポット付近でより多くの燃料が燃焼すると、クラウン温度が向上することになろう。したがって、炉が既に、ホットスポットクラウン温度の最大値で既に稼働している場合、こうした方法を使用することは不可能である。炉のバッチの大部分が回収されるゾーン、すなわちフィードゾーン(13)における温度は、ホットスポットクラウン温度よりもかなり低いので、このゾーンにおけるクラウンの最大耐火温度限界値を超えることなく、このゾーン中で燃料燃焼速度を向上することは可能である。しかし、フィードゾーン(13)の温度を向上させると、溶融ガラスの後方への再循環流を弱め、ガラスの品質に悪影響を及ぼすと、一般に考えられている。さらに、フィードゾーンにおける燃料燃焼ゾーンを増加すると、フィードゾーンに配置されている煙道ポートにおける煙道ガス温度が向上し、検出可能な熱損失を増大させる。
【0024】
図1A、1B、1C、1D及び1Eにおいて、(100)及び(200)は蓄熱器を表し、(101)及び(102)は、本明細書に記載されている、熱化学式蓄熱器及び熱回収及び再使用(「TCR」)操作において使用される、炉(10)に接続されているポートを表す。図1A及び1Cに示されているとおり、蓄熱器(100)及び(200)は、各側壁に1つが存在するよう、配置され得る。このような構成では、このような蓄熱器はそれぞれ、フィードゾーン(13)に開放しており、後壁(3)と、蓄熱器(100)及び(200)のどちらか一方との間に、空気-燃料用バーナー又は蓄熱器ポートは存在しない。場合により、オキシ-燃料用バーナーは、蓄熱器(100)及び(200)と後壁との間の側壁に存在することができる。図1Eは、オキシ-燃料用バーナー(F1)が、蓄積器(100)と後壁との間に存在しており、オキシ-燃料用バーナー(F2)が、蓄積器(200)と後壁との間に存在する、このような実施形態を示している。図1B及び1Dに示されているとおり、蓄熱器(100)及び(200)は、それらが後壁(3)にどちらも存在するよう、配置され得る。
【0025】
図2は、TCR操作において使用される蓄熱器(100)及び(200)がどちらも、後壁(3)に配置されている、端部ポート燃焼構成体として知られている実施形態を一層詳細に例示している。操作は、図2~4を参照して、一層、詳細に記載されている。これらの詳細はまた、蓄熱器(100)及び(200)が、炉の側壁(4)及び(5)に配置されている場合にも使用される。
【0026】
全過程のこの態様は、2つのサイクルで進行し、このサイクルは、本明細書において、煙道サイクル及び改質サイクルと呼ばれる。これらの2つのサイクルは、2つ以上のチェッカー充填蓄熱器(checker-filled regenerator)で交互に行われる。オキシ-燃料の燃焼により生成する煙道ガスは、より高いHO及びCO濃度を有しており、そのどちらも、本発明の方法において利用される、吸熱性の改質反応を促進するので、この過程は、オキシ-燃料の燃焼と連携して好ましくは実施される。この過程は、空気バーナーを備えた十字燃焼構成体で実施される場合(図1A及び1Bに示されている)、高濃度の窒素を含有する空気-燃料用バーナーからの煙道ガスは、オキシ-燃料で燃焼したTCR煙道ガスと混じり、煙道サイクルにおいて蓄熱器に入る煙道ガス中のHO及びCOの濃度を希釈する。煙道ガス中のHO及びCOの濃度の合計が、50体積%未満である場合、高いHO及び/又はCOを含有する別のガスストリームが吸熱性の改質反応に好ましくは使用される。(しかし、本明細書で定義されているRFGは、HO及びCOの合計濃度が、30体積%と低くても、依然として働くことができる)。煙道サイクルの間、第1の蓄熱器におけるチェッカーは、この蓄積器内に入りこれを通る、炉から供給される高温の煙道ガスからの熱を抽出して蓄える。次に、改質サイクルでは、第1の蓄熱器を出る冷却された煙道ガスから、一部(これは、本明細書において、再利用された煙道ガス又はRFGと呼ばれる)は、別(第2)の蓄熱器に供給されて、燃料(本明細書では、改質用燃料又はRFと呼ばれる)ストリームと混じる。例示目的として、以下の記載では、純粋なメタン(CH)は、改質用燃料と記載され、RFGは、改質反応剤として記載される。他の満足される燃料には、以下に限定されないが、天然ガス、プロパン及びLPG(液化石油ガス)を含めた、任意の可燃性ガス、ガス混合物又は揮発した液体燃料が含まれる。他の満足される改質反応剤には、以下に限定されないが、ボイラーから発生する蒸気を含めた、50体積%より高いHO及びCOを含有する任意のガス混合物が含まれる。
【0027】
改質サイクルでは、RFG/改質用燃料混合物は、第2の蓄積器に入り、ここで、本明細書に記載されているとおり、チェッカーが既に加熱されており、このチェッカーを通り炉の方向に流れる。第2の蓄熱器を通るRFG/RF混合物の温度は、既にあらかじめ加熱したチェッカーに由来する熱を抽出することにより昇温が続けられる。RGF/RF混合物は、第2の蓄熱器を通過するので、この混合物は、改質反応が起こり始める温度に到達して、継続して起こり、H及びCOを含む生成物を生成する。改質反応は吸熱であり、改質反応を促進するために必要な熱は、加熱されているチェッカーから吸収される。改質反応により生成するガス状組成物は、H、CO、未反応ガス(HO、CO、CH、窒素を含む)、任意の残留NOx、及びすすなどの1つ又は複数の構成成分を通常、含む。こうして生成したガス状組成物はまた、本明細書において、「合成ガス」と呼ばれることもある。合成ガスは、第2の蓄熱器から発生して炉に入り、炉内で酸化剤と一緒に燃焼されて、炉内の材料を加熱及び/又は溶融するための熱エネルギーを供給する。
【0028】
ある時間の長さの後に、2つの蓄熱器の操作が反対にされる。すなわち、煙道サイクルに使用された蓄熱器が改質サイクルに変更されて、改質サイクルに使用された蓄熱器は、煙道サイクルに変更される。さらなるある期間の後に、2つの蓄熱器の操作は、再び反対にされる。反対にするタイミングは、経過時間によって、又は煙道サイクルにある、第1の蓄熱器から出た煙道ガスの温度などの、他の基準によって決定することができる。反対にする過程は、所定の機構及び計画にしたがって行われ、この場合、弁は、指定タイミングに応じて、開く又は閉じるよう、順序付けられている。
【0029】
本発明のこの態様の操作及び制御は、図2~4と連携して以下に記載されており、ガラス炉(10)は、後壁(3)において、2つの蓄熱器(100)及び(200)に装備されている。
【0030】
図2に示されているとおり、ガラス炉(10)は、固体ガラス製造材料(バッチ及び/又はカレット)を含むフィード材料(30)が炉に投入され、加熱されて溶融される、フィードステーション(20)を有する。炉(10)は、炉の左側に第1の蓄熱器(100)、及び炉の右側に第2の蓄熱器(200)を装備している。2つの蓄熱器の垂直断面図が、図2及び3に、より詳細に表示されている。
【0031】
図3で分かるとおり、蓄熱器(200)は、煙道サイクルに存在しており、炉(10)の内部からの煙道ガスストリーム(50)は、ポートネック(240)に入り、次に、酸素分析器(250)を過ぎて蓄熱器(200)の上部空間(530)に流れる。煙道ガスストリームは、蓄積器(200)内部のチェッカー間の通路を通り、チェッカーの全ベッドの重量をやはり支持するアーク(510)の上に支持されているガス通路(515)を介してチャンバの底部空間(500)に入るにつれて、チェッカー((520)として表されている)を加熱する。図2で分かるとおり、炉(10)で生成する煙道ガスの一部(52)は、部分的に開放されている弁(350)を介して導管(70)へのバイパスを通過してもよく、次に、スタック(340)に入って排気され、これにより、煙道ガスの一部(52)は、炉に再度入ることはないが、代わりに、大気に排出される、並びに/或いは保管及び/若しくはさらなる処理のため、又はこのような行き先の任意の組合せのために、1つ又は複数の他のステーションに運搬される。最大熱回収に関すると、実質的にすべての炉において、煙道ガスは、煙道ガスストリーム(50)として蓄熱器(200)に向かうよう、弁(350)は閉じられている。
【0032】
図2及び3において分かりとおり、冷却された煙道ガスストリーム(201)は、導管(260)中の蓄熱器(200)を出て、開いた弁(210)及び酸素センサー(310)を通過し、次に、噴射器(300)の吸引側に入る。噴射器の圧力側を出る煙道ガス(301)の大部分は、ダンパー(330)、次に、流量計(332)を通過し、最後に、スタック(340)であって、ここを経由してこの煙道ガスがシステムから出て行く上記のスタック(340)に向かい、本明細書で定義されているとおり、排気される。煙道ガスの一部(303)は、導管(320)及び弁(360)を通過することにより、蓄熱器(100)の底部に再利用される。これが、再利用煙道ガス(RFG)である。その流れは、流量計(322)によって測定される。第2の蓄熱器(100)に供給されることになる改質用燃料は、弁(120)を介して導管(130)により供給される。
【0033】
図4で分かりとおり、ストリーム(130)からの改質用燃料(RF)は、蓄熱器(100)の底部空間(400)とやはり連通している導管(128)の場所(127)において、RFG(303)と交差して混じる。このRFG/RF混合物は、アーク(410)上のガス通路(415)を介して、蓄熱器(100)の既にあらかじめ加熱されている、チェッカーパック(420)に入る。蓄熱器(100)は、炉からの煙道ガスが蓄熱器(100)内に入り、そこを通過することにより、前のサイクルで既に加熱されている。RFG/RF混合物の温度は、この混合物が蓄熱器(100)のチェッカーパックを通って流れるにつれて、向上する。RFG/RFの温度が、改質温度に到達すると、吸熱の改質反応が起こり、ここで、改質用燃料(たとえば、CH)は、RFG中のCO及びHOと反応して、CO、H及びいくらかのすすを形成する。吸熱の改質反応に必要な熱は、加熱されたチェッカーから得られる。RFG/RF混合物は、上部空間(430)の方に移動し続けるので、この改質反応が継続する。ガスストリーム(425)(本明細書では、「改質済み」又は「合成ガス」のガスストリームと称される)は、チェッカーパック(420)の上部から出て行く。ストリーム(425)は高温を有しており、CO、H、すす、未反応CH、及び未反応CO及びHOなどの化学種を含む。合成ガスストリーム(425)は、ポートネック(140)、及び酸素センサー(150)を通過し、炉(10)に入る。合成ガスストリームは、たとえば、982~1371℃(1800~2500°F)の範囲の温度でチェッカーパック(420)を出る。この合成ガスは、火炎(40)として表される、炉(10)内で燃焼し、ガラス製造材料などの、炉内で加熱及び/又は溶融材料に有用な、さらなる燃焼熱を発生する。合成ガスの燃焼に必要な酸化剤は、開放されている弁(115)を介して、導管(135)によって供給される。この酸化剤は、空気とすることができるか、又は空気の酸素含有量より高い、すなわち、少なくとも21体積%、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上、又は少なくとも99体積%にもなる酸素含有量を有することができる。
【0034】
通常、熱回収過程は、図2において分かるとおり、煙道サイクルにおける1つの蓄熱器、及び改質サイクルにおける1つの蓄熱器を用いて、約20~40分間、又は改質用蓄熱器におけるチェッカーの温度が低すぎるために、所望の吸熱性の化学反応を促進するほど十分な熱を供給しなくなるまで進められる。その時点、及び、蓄熱器(200)が煙道サイクルにあり、蓄熱器(100)が改質サイクルにある、本明細書における説明から継続して、炉(10)は、蓄熱器(200)が熱回収のための改質サイクルに変わり、蓄熱器(100)が熱蓄積のための煙道サイクルに変わる、反転を受ける。逆転する前に、蓄熱器(100)中の残存合成ガスは、炉(10)にパージされることになる。この場合、蓄熱器に供給される改質用燃料は、弁(120)を閉じることにより、最初に終了され、その間、噴射器(300)からのRFGの流れを継続させる。蓄熱器(100)中の残留合成ガスは、指定時間量の間、RFGによりパージされ、その結果、蓄熱器中の合成ガスはほとんどすべてが炉に追い出され、燃焼を完了する。
【0035】
逆転時に、炉からの煙道ガスは蓄熱器(100)を通り、その一部は、排気へと進む一方(本明細書で定義されているとおり)、一部又は残りは燃料と混合されて、この混合物は、蓄熱器(200)を通過して、炉に入る。閉じられていた弁(110)は開けられ、弁(210)は閉じられ、弁(360)は閉じられ、弁(380)は開けられて、加熱された煙道ガスが、蓄熱器(100)から噴射器(300)の方向に進んで通過することが可能になり、かつこの煙道ガスの一部(303)は、閉じられていたが今は開けられている弁(220)を通過して入る、改質用燃料(230)と混合された後、蓄熱器(200)に入ることが可能になる。開いていた弁(115)は閉められ、弁(115)を介して酸化剤によって補助される燃焼は、この相では起こらず、弁(225)は開放されている。改質用燃料及び再利用煙道ガスからなる得られた混合物は、蓄熱器(200)において、本明細書に記載されている前のサイクルで蓄熱器(100)に起こった吸熱反応を受けて、合成ガス(425)を生成し、この合成ガスは炉(10)に進み、この炉で、弁(225)から供給される酸化剤(235)と一緒に燃焼される。
【0036】
蓄熱器で冷却された煙道ガスであって、この蓄熱器から発生する、改質のために他の蓄熱器に再利用される上記の煙道ガスの量は、特定の炉及び煙道ガスの特定の特徴に適合され得るが、煙道サイクルにおいて稼働している蓄熱器から発生する煙道ガスの、通常で最大約40%(体積基準)、好ましくは約6%~27%が、再利用されて、改質サイクルで稼働している蓄熱器内に供給されてこれを通過すると言うことができる。
【0037】
改質サイクルにおいて稼働している蓄熱器に供給されるガスストリームの形成における、RFGとFGとの任意の比が、本発明の方法において効率よく利用され得るが、好ましいRFGとFGとの比(体積基準)は、0.5~2.0である。
【0038】
本発明の代替的な実施形態では熱化学式蓄熱器の1つから別の蓄熱器に交互に供給されるRFGは、以下に限定されないが、蒸気を含めた、50体積%超のHO及びCOを含有する個々の改質反応剤ストリームに置き換えることができる。この実施形態は、図5を参照しながら記載されており、ここでは、図2、3及び/又は4にもやはり現れている参照数字は、図2、3及び4の上述の説明におけるそれらの番号に割り当てられている意味を有する。
【0039】
図5を参照すると、蓄熱器(200)を出たガス燃焼生成物(260)(及び、交互に、蓄熱器(100)を出たガス燃焼生成物)は、他の蓄熱器を通過しない。したがって、ストリーム(303)、及び図2中の弁(360)及び(380)を通過するストリームは、存在する必要はない。代わりに、ストリーム(260)は、ストリーム(260A)として排気の方に、或いは採集されるか若しくはさらなる化学処理に供されるか、又はその両方となる別の方向に、ストリーム(260B)として進むことができる。同様に、煙道ガスが炉(10)から蓄熱器(100)を通過して、蓄積器(100)を加熱するサイクルでは、ストリームは、図5中の(128)となり、ストリーム(128A)として排気の方に、ストリーム(128)として他の採集若しくは処理、又はその両方に進むことができる。
【0040】
図5の実施形態では、改質用燃料及び改質反応剤を含むストリームは、ストリーム(130)として、弁(220)が閉じられており開放されている弁(120)を介して、加熱された蓄熱器(100)に交互に供給され、次に、他のサイクルでは、弁(220)は開けられており、弁(120)は閉じられており、ストリーム(230)は、加熱されている蓄熱器(200)に供給される。好適な改質反応剤は、30体積%超、好ましくは50体積%超、より好ましくは70体積%超のHO及び/又はCO(合わせて)を含み、窒素、アルゴン、一酸化炭素、水素及び/若しくはメタンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0041】
改質用燃料及び改質反応剤は、これらが交互に供給される、加熱されている蓄熱器のそれぞれにおいて改質反応を受け、加熱されている蓄熱器中で、吸熱反応により合成ガスを形成し、この合成ガスは、次に、図2~4に関して記載されている実施形態に関する場合とすべてと同様に、炉へと進んで燃焼する。
【0042】
本発明は、ガラス炉を操作する従来様式における、確立された結果及び限定と見なされているものに関する改善である。
【0043】
ガラス炉の1つの重大な操作条件は、炉内の温度が、炉が構成されている材料が破損されるほど、非常に高くあってはならないということである。炉内の温度は、通常、クラウンの内部表面において最高であるので、クラウンの内部温度における最も熱い点(「ホットスポット」)に到達する最高温度を制御することにより、操作を制御することが有益である。
【0044】
高い製造速度を伴う典型的な最新の容器型ガラス炉は、後壁から炉の長手方向の長さの約3分の2から4分の3に配置されている、1550~1600℃のホットスポットクラウン温度で稼働することができる。フィードゾーン(13)における温度は、通常、ホットスポット温度より100~200℃低いか、又は通常、約1400~1450℃である。
【0045】
ガラス炉にさらにバッチ材料及びカレット材料を投入することにより、ガラス炉の生産量を向上させるために、炉への燃料投入量を増加して、適切な溶融ガラスの浴温度プロファイルを維持しなければならない。しかし、燃料投入量は、より多量のガラスを製造するために増加されるので、クラウン温度が向上し、より大量の熱が、溶融ガラス製造材料の上の燃焼空間から、クラウンと溶融ガラスの表面との間のより大きな温度差により推進される、ガラス製造材料と溶融ガラスが入るフィードに伝わる。したがって、クラウンホットスポット温度は、その実用作業可能な最大値に既にあるか、又はその付近にある場合、クラウンの温度をその最高のホットスポットに向上させるリスクをもたらす程に、燃料の燃焼速度を向上させることにより、炉の生産速度を向上させることは不可能である。原理的には、十字燃焼炉中のフィードゾーン(13)における投入端部に最も近いバーナーの燃焼速度を向上させて、ホットスポットにおけるクラウン温度を大幅に向上させることなく、熱投入量を増大することができる。この手法には、2つの実用上の制限がある。第1に、十字燃焼炉におけるバーナーの最大燃焼速度は、炉の幅である、最大火炎長さにより、通常、制限を受ける。火炎長さが炉の幅を超過する場合、煙道ポートの耐火性材料は、過熱及び煙道ガス温度の上昇により損傷を受けることがあり、これにより、炉内の利用可能な熱量が低下する。第2に、火炎のガス速度が向上した場合、煙道ガスへの微細なバッチ材料の持ち越しが増大する。
【0046】
図1A及び図1C及び1E中で、(100)及び(200)と表されている位置において(すなわち、フィードゾーン)、オキシ-燃料用バーナー又は空気-燃料用バーナーを設置して操作することにより、さらなる熱がガラス炉に供給され得るが、これは、煙道ガス温度を急激に向上させて、明記されているとおり、フィードゾーン(13)にやはり通常、位置している煙道の外への熱の喪失をもたらすと考えられる。さらに、適切な長手方向のクラウン温度プロファイルが、良質なガラスの製造に必須であると一般に考えられており、ホットスポット温度を向上させることなく、フィードゾーン温度を向上することは、これまで、ガラスの品質に悪影響を及ぼすと考えられている。本発明は、上述の熱化学式蓄熱器(100)及び(200)を操作することにより、これらの欠点を回避すること、及びクラウンにおける最大の耐容可能な温度を超えることなく、ガラスの生産量の向上を実現することが予期しないことに見いだされ、その結果、第1及び第2の蓄熱器(100)及び(200)からの合成ガスの燃焼は、フィードゾーンの外側の炉の大気の最高温度が100℃以内となるフィードゾーン中の大気温度を維持する。これは、炉内の好適な温度センサーによって確立されてモニタリングされ得る。こうした結果をもたらす通常の条件は、これらの蓄熱器の一方又はもう一方から炉内に発生する合成ガスの燃焼によって形成される火炎(火炎(40)など)の長さが、図1B及び1Dの端部ポート燃焼構成体における、炉の長さの3分の2未満、好ましくは、その長さの半分未満となるよう操作することである。又は、側壁(図1A及び1C及び1E中で分かるとおり)における蓄熱器(100)及び(200)からの火炎は、十字燃焼構成体において、対向する側壁まで到達しない。それぞれの火炎の長さは、合成ガスが蓄熱器から炉に流れるポートのサイズ及び角度を制御する、並びに、炉内に注入された酸化剤ストリームの速度、角度、数及び位置を制御するなどの、周知の技法により、所望の長さに制御することができる。十字燃焼構成体におけるこの結果に関する典型的な流速は、3,000SCFH~100,000SCFH(合成ガス)及び2,000SCFH~60,000SCFH(酸化剤)である。
【0047】
これらの予期せぬ知見に対する特定の説明によって拘泥されることを意図するものではないが、TCR操作下で生成する合成ガスの燃焼火炎は、TCRからの合成ガスが、より高い水素濃度及び約1100~1300℃という高い事前加熱温度を有するので、周囲温度の天然ガス及び酸素の燃焼の通常の断熱的な火炎温度よりも、かなり高い断熱火炎温度を有すると考えられる。図2の構成では、燃焼熱の大部分は、後壁により近い炉の領域で放出され、その結果、ピーククラウン温度は、炉の後壁の方向にシフトし、クラウンのホットスポットと後壁付近のクラウンとの間の温度差は、慣用的なオキシ-燃料燃焼ガラス炉の場合の130℃から、本明細書に記載されている熱回収熱化学式蓄熱を使用する炉の場合、約50℃まで低下する。したがって、クラウンのホットスポットと後壁付近のクラウンとの間の温度差は、TCRからの火炎の燃焼速度及び火炎長さを制御することによる、100℃未満、又は75℃未満、又は50℃未満にもなるTCR操作によって、制御することができる。
【0048】
本発明のTCRの態様のない慣用的なオキシ-燃料燃焼ガラス炉では、燃焼速度が向上すると、炉に残る煙道ガス温度及びエネルギー消費も向上し、溶融ガラスの急激な向上をもたらす。製造されるガラスの単位あたりのエネルギー消費が向上するというこのような問題は、本発明の(TCR)熱化学式蓄熱過程及び燃焼過程を組み込んで、煙道ガス中の増加した廃熱を効率よく回収することにより解決される。すなわち、TCRは、煙道ガスの温度が向上するにつれて、熱回収の効率が向上するという特有の特徴を有することが発見された。慣用的な空気加熱蓄熱器では、熱回収効率(燃焼空気に伝わる事前加熱エネルギーとして回収される廃熱の%)は、煙道ガス温度が向上した場合、ほぼ同じままである。蓄熱器後の冷却された煙道ガスの温度は、蓄熱器を入る温かい煙道ガス温度が向上するにつれて向上する。対照的に、本明細書において使用されるTCR熱回収法では、熱回収効率は、煙道ガス温度が上昇すると増加し、蓄熱後の冷却された煙道ガスの温度は、蓄熱器に入る温かい煙道ガス温度が向上するにつれて、ほとんど向上しない。この特有の特徴に対する理由は、蓄熱器に蓄えられる熱は、一部、合成ガスを形成す吸熱化学反応により回収されるためと考えられる。吸熱化学反応の速度は、816℃(1500°F)超で大きくなり、温度と共に指数関数的に向上する。TCR蓄熱器ベッド(100)又は(200)に入る煙道ガス温度が向上すると、より多くの熱が、該ベッドのより高い温度ゾーンに蓄えられ、より多くの吸熱反応が熱回収サイクルの間に起こって、高温ゾーンに蓄えられた熱を回収する。蓄熱器から得られた温かい合成ガスは、より多くのエネルギーを含有し、フィードゾーン付近により多くのエネルギーを放出するより熱い火炎を生じ、投入材料のより迅速な溶融を促進する。
【0049】
これにより、炉のホットスポットにおいて示される最大の温度を向上させることなく、フィードゾーン中の温度を高めることが可能となる。
【0050】
したがって、本発明は、本明細書に記載されている熱化学式蓄熱器の操作及びオキシ-燃料の燃焼を使用することにより、良好な比エネルギー消費を維持しながらも、ホットスポット温度を上昇させることなく、あらかじめ高温に加熱されている合成ガス及び酸素により生じる火炎からの強力な熱により、後壁付近のフィードゾーンの温度を向上させることによって、十字燃焼構成体における、オキシ-燃料燃焼ガラス炉又は空気-燃料燃焼炉の比製造速度を向上させるための、改善された炉の操作方法を提供する。このように、より大量のバッチ/カレット材料を投入しながら、後壁付近の合成ガス燃焼速度を向上させることによってクラウン温度のプロファイルを平坦化した(すなわち、クラウンの一層長い範囲にわたり、高いクラウン温度が維持される)場合でさえも、良質なガラスを生産することができる。
【0051】
この観察された現象は、炉のフィードゾーン中の溶融ガラスの上のフロートバッチ材料により、フロートバッチアイランドの下の溶融ガラスと上の燃焼空間からの強力な放射熱とが隔離されて、溶融ガラス温度をホットスポット付近の溶融ガラス温度よりも低く維持させることと一致させた、コンピュータモデル検討によって示される。ホットスポットからの溶融ガラスの後壁への後方循環流は、ホットスポットと後壁との間の溶融ガラス温度差により推進されるので、良好な後方循環流は、平坦なクラウン温度プロファイルであるにもかかわらず、維持される。追加の比較的、温度の低いバッチ材料は、後壁付近に投入されるので、この材料は、このゾーンで循環している溶融ガラスを冷却し、炉のホットスポットからの溶融ガラスの必要な再循環流を生じるのに十分な温度グラジエントを維持する一助となる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5