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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】車両ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/40 20150101AFI20220419BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20220419BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20220419BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20220419BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220419BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
E05F15/40
E05F15/73
E05F15/611
B60J5/10 K
B60J5/00 K
B60J5/04 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018553695
(86)(22)【出願日】2017-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2017036524
(87)【国際公開番号】W WO2018100886
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2016233217
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】徳留 哲夫
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521133(JP,A)
【文献】特許第5643129(JP,B2)
【文献】独国特許発明第102005032402(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/00
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアを開閉駆動する駆動手段と、
車外の被検出物までの距離をそれぞれ検出する第1検出センサ及び第2検出センサと、
前記第1検出センサと前記第2検出センサの検出結果に基づいて、前記駆動手段を駆動制御して前記ドアを開閉する制御手段と、
を備え、
前記第1検出センサ及び前記第2検出センサそれぞれの検出範囲は、前記第1検出センサ及び前記第2検出センサの双方によって1つの前記被検出物を検出できるように部分的に重複し、車幅方向の所定間隔の操作範囲内において、検出距離によってスタート区域と、前記スタート区域よりも前記車両に近いトリガ区域とに区画されており、
前記制御手段は、前記被検出物が前記スタート区域から前記トリガ区域に移動したことを、前記第1検出センサと前記第2検出センサによって検出することにより、前記駆動手段による前記ドアの開閉準備を行うことを特徴とする車両ドア開閉装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1検出センサと前記第2検出センサとにより、前記被検出物が前記トリガ区域から前記スタート区域に移動したことが検出されると、前記駆動手段による前記ドアの開閉動作を開始させることを特徴とする請求項1に記載の車両ドア開閉装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ドアが閉鎖位置に位置することにより、前記駆動手段による前記ドアの開放動作を開始させることを特徴とする請求項2に記載の車両ドア開閉装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ドアが開放位置に位置することにより、前記第1検出センサと前記第2検出センサとで、前記スタート区域において、前記被検出物が第1スタート区画から、前記第1スタート区画よりも離れた第2スタート区画に移動したことが検出されると、前記駆動手段による前記ドアの閉動作を開始させることを特徴とする請求項2に記載の車両ドア開閉装置。
【請求項5】
前記第1検出センサ及び第2検出センサは、車両の後方を監視するバックソナーを構成する複数の超音波センサのうち、隣り合う2つにより構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両ドア開閉装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1検出センサ、前記第2検出センサ、及び前記被検出物を結ぶ三角形状の各辺の長さから前記被検出物の座標を算出し、前記被検出物の位置を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドア開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドア開閉装置として、障害物が予め定められた複数条件を満たす検出パターンで検出された場合、後席ドア開閉駆動部に後席ドアの開動作を行わせるようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-221982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の車両ドア開閉装置では、検出パターンが複雑であり、使用者にとって使い勝手が悪かった。また、車両の後方を検出するバックソナーは検出範囲が広く、複雑な検出パターンでは使用者の動きを正確に検出するのが難しいという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成であるにも拘わらず、使用者の動きを正確に把握してドアを自動開閉することができる車両ドア開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、車両のドアを開閉駆動する駆動手段と、車の被検出物までの距離をそれぞれ検出する第1検出センサ及び第2検出センサ、前第1検出センサと前記第2検出センサの検出結果に基づいて、前記駆動手段を駆動制御して前記ドアを開閉する制御手段と、を備え、前記第1検出センサ及び前記第2検出センサそれぞれの検出範囲は、前記第1検出センサ及び前記第2検出センサの双方によって1つの前記被検出物を検出できるように部分的に重複し、車幅方向の所定間隔の操作範囲内において、検出距離によってスタート区域と、前記スタート区域よりも前記車両に近いトリガ区域とに区画されており、前記制御手段は、前記被検出物が前記スタート区域から前記トリガ区域に移動したことを、前記第1検出センサと前記第2検出センサによって検出することにより、前記駆動手段による前記ドアの開閉準備を行うことを特徴とする車両ドア開閉装置を提供する。
【0007】
この構成により、被検出物までの距離のみを検出可能なセンサであっても、被検出物の位置を特定することができる。これにより、簡単な構成であるにも拘わらず、被検出物の動きを正確に把握してドアの開閉制御をスムーズに行うことが可能となる。特に、車幅方向の所定間隔に制限した操作範囲を設定することで、被検出物の動きを的確に把握することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出センサは被検出物との距離を検出可能なものでよく、既存のバックソナー等を使用することができる。また、2つの検出センサによって被検出物の検出範囲を制限することができるので、簡単な構成であるにも拘わらず、被検出物である使用者の動きを正確に把握してドアを自動開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両の側面図。
図2】ドア開閉装置の構成を示すブロック図。
図3】ドア開閉装置の検出範囲と表示位置の関係を示す平面図。
図4A】制御手段によるドア開閉制御を示すメインフローチャート。
図4B図4Aの続きを示すフローチャート。
図5A】一対の検出センサ間の被検出物を検出する方法を示す概略図。
図5B】一対の検出センサ間外の被検出物を検出する方法を示す概略図。
図5C】一対の検出センサ間外の被検出物を検出する方法を示す概略図。
図6図4Aのアプローチ処理のフローチャート。
図7図4Aの第1接近処理のフローチャート。
図8図4Bの第2接近処理のフローチャート。
図9図4Bの開放処理のフローチャート。
図10図4Bの第1閉鎖処理のフローチャート。
図11図4Bの第2閉鎖処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るドア開閉装置2を採用した車両1の側面図である。ドア開閉装置2は、車両1の後部に設けたハッチバックドア(以下、単にドア3と記載する。)を自動開閉するためのものである。すなわち、ドア開閉装置2によれば、ドア3の後方側で使用者がある決められた動作を行えば、手を使わずにドア3を自動開閉することができる。ドア3を自動開閉する処理内容については後に詳述する。
【0012】
図2に示すように、ドア開閉装置2は、検出手段4、照明手段5、照合手段6、ドア駆動手段7、及び制御手段8を備える。但し、図2中、2点鎖線で囲まれた部分が今回追加した構成であり、検出手段4及び照合手段6については既存のものを利用する。
【0013】
図3を併せて参照すると、検出手段4は、リアバンパー30に取り付けられる合計4つの検出センサ9~12で構成されている。ここでは、各検出センサ9~12には、バックソナーセンサとして使用される超音波センサが兼用されている。車両の中心線を挟んで、第1検出センサ9、第3検出センサ11と、第2検出センサ10、第4検出センサ12とは線対称に配置されている。各検出センサ9~12は送波器13及び受波器14を備える。送波器13から発せられる超音波によって、車両後方に向かって円錐状に広がった検出範囲がそれぞれ形成される。地面においては、扇型の(中心角度が約80度に広がった)検出範囲となる。検出範囲に送波された超音波の反射波は受波器14で受波される。各検出センサ9~12での検出範囲からの反射波に基づく検出結果は、検出範囲内での被検出物の有無の判定と、被検出物の位置の計算に利用される。
【0014】
各検出センサ9~12によって検出される第1検出距離(例えば、120cm)までの範囲の全体がアプローチ領域15とされている。また、アプローチ領域15には、第1検出センサ9と第2検出センサ10の双方によって検出される次の区域が含まれている。すなわち、第2検出距離(例えば、20cm)から第3検出距離(例えば、40cm)の範囲であるトリガ区域17と、第4検出距離(例えば、50cm)から第1検出距離までの範囲であるスタート区域18とが含まれる。スタート区域18には、さらに第4検出距離から第5検出距離(例えば、80cm)の範囲である第1スタート区画18aと、第5検出距離から第1検出距離までの範囲である第2スタート区画18bとが含まれる。また、アプローチ領域15には、車両中心線を挟んで幅方向に所定間隔で均等に操作範囲16が設定されている。操作範囲16の決定方法については後述する。
【0015】
照明手段5はLEDで構成されている。詳細については図示しないが、LED5はリアバンパー30の中央部に取り付けたケーシング内の基板に実装されている。ケーシングには開口が形成され、そこにはレンズが設けられている。LED5からの光はレンズで集光され、車両1の周囲が暗いときは勿論、明るいときにも使用者が視認可能な照度で地面を照射できるようになっている。照射位置はトリガ区域17であり、使用者を誘導するための光学的な表示(操作マーク)となる。
【0016】
照合手段6は、キー(携帯機)からの信号を受ける車外LF(Low Frequency)アンテナを含む送受信機を備える。送受信機は、キーとLF信号による通信を行い、車内側の上位ECU(Electronic Control Unit)からの命令に応じて起動する。これにより、上位ECUでキー認証が行われる。
【0017】
ドア駆動手段7は、図示しないが、ドア3を開方向及び閉方向に回転可能なモータ、ギア機構、ダンパー等で構成されている。ドア駆動手段7は、通信ケーブルによって制御手段8と通信可能に接続されている。なお、ドア駆動手段7と制御手段8とは無線接続してもよい。
【0018】
制御手段8は、記憶部21、測定部22、判定部23、及び照明制御部24を備えたコントローラで構成されている。本実施形態では、制御手段8として1個のマイクロコンピュータを用いているが、測定部22、判定部23、及び照明制御部24を個別のマイクロコンピュータで構成してもよい。
【0019】
記憶部21には、制御プログラム、制御プログラムで使用する閾値や判定値等の設定データ、及び検出センサの検出結果から距離を演算する際に利用するデータテーブル等が記憶されている。
【0020】
測定部22は、各検出センサ9~12の送波器13から超音波を送波し、受波器14で反射波を受波できる領域を、図3に示す複数の区域、区画として判別する。また、第1検出センサ9と第2検出センサ10によって検出される被検出物までの距離を測定する。なお、被検出物が位置している区画又は区域と、第1検出センサ9と第2検出センサ10から被検出物までの距離と、第1検出センサ9又は第2検出センサ10から被検出物までの車幅方向の距離dとに関する情報は記憶部21に記憶される。
【0021】
判定部23は、測定部22の判別結果に基づいて、被検出物である使用者がアプローチ領域15内のどの区域又は区画に位置しているのかを判断する。また、設定された操作範囲16内に使用者が位置しているのかを判断する。
【0022】
照明制御部24は、LED5を点灯状態、点滅状態、及び消灯状態に切り換える。例えば、使用者がスタート区域18に位置していると判断すれば、LED5の照射状態を消灯から点滅に切り換える。また、使用者がスタート区域18からトリガ区域17へ移動したと判断すれば、LED5の照射状態を点滅から点灯に切り換える。このようにして、使用者をトリガ区域17へと誘導したりする。
【0023】
次に、前記構成からなる車両ドア開閉装置2のドア開閉動作について図4Aから図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0024】
(メインフロー)
図4A及び図4Bに示すように、ドア開閉制御は、アプローチ処理(ステップS12)、スタート処理(ステップS13)、トリガ処理(ステップS14)、開放処理(ステップS15)、第1閉鎖処理(ステップS16)、及び、第2閉鎖処理(ステップS17)によって行われる。
【0025】
すなわち、ドア開閉処理で使用する各データを初期化した後(ステップS1)、検出時間が経過するまで待機する(ステップS2)。ここでは、検出時間を0.025秒に設定している。検出時間が経過すれば、各検出センサ9~12の送波器13から超音波を送波し(ステップS3)、受波器14でその反射波を受波する(ステップS4)。そして、被検出物の位置座標を算出する座標算出処理を実行する(ステップS5)。続いて、設定されている処理がいずれの処理であるのかを判断し(ステップS6~S11)、該当するモードに対応する処理を実行する(ステップS12~S17)。またこの間、いずれかの検出センサ9~12によって検出される使用者までの検出距離Dが設定値(ここでは、120cmに設定)未満となり、アプローチ領域15内であると判断すれば(ステップS18)、処理モードをアプローチモードに設定する(ステップS19)。いずれのモードでもなく、使用者がアプローチ領域15に進入している訳でもなければ、モードを全てクリアする(ステップS20)。
【0026】
(座標算出処理:ステップS5)
図3を併せて図5Aから図5Cを参照すると、操作範囲16は、車両中心線に対して第1検出センサ9と第2検出センサ10を通る平行線からさらに車幅方向外側に所定寸法離れた範囲に設定されており、記憶部22に記憶されている。被検出物の存在位置(座標)が操作範囲16内にあるか否かは、第1検出センサ9と第2検出センサ10によって検出される被検出物までの距離に基づいて次式によって算出する。
【0027】
【数1】
ここに、aは第1検出センサ9から被検出物までの距離である。bは第2検出センサ10から被検出物までの距離である。第1検出センサ9の検出中心軸と第2検出センサ10の検出中心軸の距離αは300mmである。dは第1検出センサ9の検出中心軸と第2検出センサ10の検出中心軸からそれぞれ車幅方向に拡張された範囲を区画するために設定された距離である。ここでは、dは第1検出センサ9と第2検出センサ10の検出中心軸から車幅方向外側に50mm未満の範囲である。検出センサ9,10間の距離αと距離dを含めた範囲を操作範囲16としている。なお、第1検出センサ9と第2検出センサ10の距離α(300mm)は、バックソナーセンサとして使用される超音波センサの配置に左右され、車両によって異なる。そのため、距離d(50mm)は、この値に限らず、距離αとの兼ね合いで自由に設定することができる。
【0028】
(数1(1))は次のようにして決定する。すなわち、第1検出センサ9、第2検出センサ10及び被検出物の位置を結ぶ三角形の各辺の長さa、b、300から、第1検出センサ9と第2検出センサ10を結ぶ直線と、第1検出センサ9と被検出物を結ぶ直線のなす角度をA、第2検出センサ10と被検出物を結ぶ直線のなす角度をBとしたとき、余弦定理により次式が成立する。
【0029】
【数2】
そして、次式を満足すれば、被検出物が第1検出センサ9と第2検出センサ10の間の車幅領域に位置することになる。
【0030】
【数3】
したがって、(数3)の(1)及び(2)に(数2)の(1)及び(2)をそれぞれ代入すると、次式が得られる。
【0031】
【数4】
そして、(数4)をまとめると(数1(1))となる。
また、距離dは、被検出物の位置が第1検出センサ9の左側に位置する場合と、第2検出センサ10の右側に位置する場合とで、それぞれ次式によって得られる。
【0032】
【数5】
それぞれ(数2)の(1)及び(2)を代入すると、次式が得られる。
【0033】
【数6】
そして、数(6)をまとめると、次式となる。
【0034】
【数7】
この(数7)が50mm未満を満足すればよい。
【0035】
(数1)を満足すれば、被検出物は操作範囲16内に位置していると判断される。これにより被検出物の幅(x軸)方向の座標dが求められ、その過程で余弦定理により車両からの直線距離(y軸)方向の座標cを求めることができる(数式8)ことから、被検出物の存在位置を座標として正確に検出することができる。このように被検出物の座標位置を検出することで、後述するトリガ区域17やスタート区域18の操作範囲16を制限することができる。これらの区域を、第1検出センサ9と第2検出センサ10の検出距離のみによって決定していたのでは、検出範囲が広くなり過ぎ、誤動作の原因となり得る。そのため、被検出物の座標位置を正確に検出することで第1検出センサ9と第2検出センサ10の検出距離のみに依存することなく、操作範囲16を設定するようにしたものである。本実施形態では、直線距離(y軸)方向の座標cについては使用していないが、この座標cを利用して被検出物の直線距離を検出するようにしてもよい。
【0036】
【数8】
【0037】
(アプローチ処理:ステップS12)
ステップS19で、アプローチモードに設定されていれば、図6に示すアプローチ処理を実行する。アプローチ処理では、各検出センサ9~12で検出されるアプローチ領域15内に被検出物である使用者が位置しているか否かを判断する(ステップS12-1)。検出センサ9~12のいずれか1つによる検出信号があれば、アプローチ領域15内に使用者が位置していると判断する。
【0038】
アプローチ領域15内に使用者が位置していれば(ステップS12-1:YES)、カウンタNaに1を加算し(ステップS12-2)、カウンタNaが2を超えるまで待機する。そして、アプローチ領域15内に使用者が所定時間位置していると判断すれば(ステップS12-3:YES)、キー認証を要求する(ステップS12-4)。キー認証では、照合手段6により、キーに対して認証コードの送信要求を行い、キーから受信した認証コードを登録された正規コードと比較する。そして、認証コードが正規コードと合致すれば、使用者であると判断してアプローチモードをクリアしてスタートモードに設定する(ステップS12-5)。すなわち、処理モードをアプローチモードからスタートモードに変更する。
【0039】
アプローチ領域15内に使用者が位置していない、あるいは、位置していたとしても所定時間内にアプローチ領域15外に移動すれば(ステップS12-1:NO)、アプローチモードをクリアする(ステップS12-6)。
【0040】
このように、アプローチ処理では、予め設定した広い範囲のアプローチ領域15内に使用者が位置することによりキー認証を行うようにしている。これにより、使用者がドア3を自動開閉させる際、後述する特定の動作を実行する前に、予めキー認証処理を完了しておくことができる。また、使用者がアプローチ領域15内に所定時間継続して位置する場合にのみ認証を行い、通行人等、一時的にアプローチ領域15内に位置する者には認証を行わないようにすることで、消費電力を抑制できる。
【0041】
(スタート処理:ステップS13)
アプローチ処理でスタートモードに設定されていれば、図7に示すスタート処理を開始する。スタート処理では、アプローチ処理でキー認証が適切に行われているか否かを判断する(ステップS13-1)。認証が適切に行われていれば、ドア3の開閉状態(ドア3が開放位置又は閉鎖位置のいずれに位置しているのか)を読み込む(ステップS13-2)。このとき、LED5を点灯する。
【0042】
そして、第1検出センサ9又は第2検出センサ10からの検出信号に基づいて使用者がスタート区域18内に位置しているか否かを判断する(ステップS13-3)。前述の通り、スタート区域18は、第1検出センサ9と第2検出センサ10の検出距離によって決まる範囲内である。
【0043】
使用者がスタート区域18内に位置していれば、さらにその位置が操作範囲16内であるか否かを判断する(ステップS13-4)。すなわち、前記(数1)を満足する操作範囲16内に使用者が位置するか否かを判断している。これにより、スタート区域18の範囲をさらに車幅方向に制限して検出範囲を狭くすることにより使用者の位置を正確に把握することが可能となる。
【0044】
使用者がスタート区域18内の操作範囲16内に位置すれば、LED5を点滅させてスタートモードをクリアすると共にトリガモードに設定する(ステップS13-5)。
【0045】
スマートエントリーの認証が適切に行われていないと判断すれば(ステップS13-1:No)、カウンタNbに1を加算する(ステップS13-6)。カウンタNbが3を超えるまでにスマートエントリーの認証が行われなければ(ステップS13-7)、スタートモードをクリアする(ステップS13-8)。
【0046】
スタート区域18内に使用者が位置していないと判断すれば(ステップS13-3:No)、カウンタNcに1を加算する(ステップS13-9)。カウンタNcが20を超えるまでに使用者がスタート区域18に位置していなければ(ステップS13-10)、スタートモードをクリアする(ステップS13-11)。また、操作範囲16内に使用者が位置していないと判断した場合も(ステップS13-4:No)、スタートモードをクリアする(ステップS13-11)。
【0047】
このように、スタート処理では、ドア開閉動作を開始してよいのか否かを、使用者がスタート区域18内であって、さらに車幅方向で制限された操作範囲内に停止しているか否かによって判定するようにしている。このため、使用者が位置すべき範囲を制限して確実なトリガ処理への移行を実現できる。また、LED5を点滅表示させることにより、使用者に移動を促すと共に移動すべき場所を一目で分かるように示すことができる。
【0048】
(トリガ処理:ステップS14)
スタート処理でトリガモードに設定されていれば、図8に示すトリガ処理を開始する。トリガ処理では、第1検出センサ9と第2検出センサ10での検出結果に基づいて、使用者がスタート区域18内の操作範囲16からトリガ区域17内に移動しているか否かを判断する(ステップS14-1)。使用者がトリガ区域17内に移動していれば、さらにその位置が操作範囲16内であるか否かを判断する(ステップS14-2)。トリガ区域は操作範囲16よりも狭い範囲であるが、このように算出した座標で使用者の位置を正確に検出することができる。そして、操作範囲16内に使用者が存在する場合、LED5を点滅状態から点灯状態とし、処理モードをトリガモードから開放モードに変更する(ステップS14-3)。
【0049】
使用者がトリガ区域17内に移動していなければ(ステップS14-1:No)、カウンタNdに1を加算する(ステップS14-4)。カウンタNdが20を超えるまでに使用者がトリガ区域17内に移動しなければ(ステップS14-5)、LED5を消灯すると共にトリガモードをクリアする(ステップS14-6)。
【0050】
このように、トリガ処理では、LED5を点滅状態から点灯状態に変化させることにより、スタート区域18内の操作範囲16からトリガ区域17への移動が完了したことを使用者に視覚により認識させることができる。
【0051】
以上のようにして、アプローチ処理からトリガ処理まで終了すれば、次のようにしてドア3が閉状態であればドア3を自動開放する開放処理を実行し、ドア3が開状態であればドア3を自動閉鎖する閉処理(第1閉鎖処理及び第2閉鎖処理)を実行する。
【0052】
(開放処理:ステップS15)
トリガ処理で開放モードに設定されていれば、図9に示す開放処理を開始する。開放処理では、LED5を点滅表示させ(ステップS15-1)、使用者にスタート区域18への移動を促す。
【0053】
続いて、ドア3が開放状態であるか否かを判断する(ステップS15-2)。ドア3が閉状態であれば、使用者がスタート区域18の第1スタート区画18aに移動しているか否かを判断する(ステップS15-3)。使用者が第1スタート区画18a内に移動していれば、さらにその位置が操作範囲16内であるか否かを判断する(ステップS15-4)。すなわち、前記(数1)を満足する操作範囲16内に使用者が位置するか否かを判断している。これにより、第1スタート区画18aの範囲をさらに車幅方向に制限して検出範囲を狭くすることにより使用者の位置を正確に把握することが可能となる。そして、操作範囲16内に使用者が存在する場合、ドア駆動手段7を駆動制御してドア3を開放させるドア開出力、LED5の消灯、及び、開放モードのクリアを実行する(ステップS15-5)。
【0054】
このように、開放処理では、LED5から地面を点滅状態で照射する光により、トリガ区域17に移動している使用者に対して第1スタート区画18aに移動するよう促すことができる。そして、使用者が第1スタート区画18aに移動して安全が確認できたところで、ドア3を開放するようにしている。このため、スムーズかつ安全にドア3を自動開放させることができる。
【0055】
ドア3が開放状態であれば(ステップS15-2:Yes)、処理モードを開放モードから第1閉鎖モードに変更する(ステップS15-6)。
【0056】
使用者が第1スタート区画18a内に移動していなければ(ステップS15-3:No)、カウンタNeに1を加算する(ステップS15-7)。カウンタNeが20を超えるまでに使用者がスタート区域18内に移動しなければ(ステップS15-8)、LED5を消灯すると共に開放モードをクリアする(ステップS15-9)。
【0057】
(第1閉鎖処理:ステップS16)
ドア3が開放状態にあり、開放処理で処理モードが第1閉鎖モードに設定されていれば、図10に示す第1閉鎖処理を開始する。第1閉鎖処理では、使用者が第1スタート区画18aに位置しているか否かを判断する(ステップS16-1)。この時点では、開放処理でLED5により点滅表示されており、使用者は第1スタート区画18a内に移動すればよいことが分かる。そして、使用者が第1スタート区画18aに位置すれば(ステップS16-1:YES)、さらにその位置が操作範囲16内であるか否かを判断する(ステップS16-2)。すなわち、前記(数1)を満足する操作範囲16内に使用者が位置するか否かを判断している。これにより、第1スタート区画18aの範囲をさらに車幅方向に制限して検出範囲を狭くすることにより使用者の位置を正確に把握することが可能となる。そして、操作範囲16内に使用者が存在する場合、処理モードを第1閉鎖モードから第2閉鎖モードに変更する(ステップS16-3)。
【0058】
使用者が第1スタート区画18a内に移動していなければ(ステップS16-1:No)、カウンタNfに1を加算する(ステップS16-4)。カウンタが20を超えるまでに使用者が第1スタート区画18a内に移動しなければ(ステップS36-5)、第1閉鎖モードをクリアすると共にLED5を消灯する(ステップS16-6)。
【0059】
(第2閉鎖処理:ステップS17)
第1閉鎖処理で第1閉鎖モードに設定されていれば、図11に示す第2閉鎖処理を開始する。第2閉鎖処理では、使用者が第1スタート区画18aから第2スタート区画18bに移動したか否かを判断する(ステップS17-1)。使用者が第2スタート区画18b内に移動していれば、さらにその位置が操作範囲16内であるか否かを判断する(ステップS17-2)。すなわち、前記(数1)を満足する操作範囲16内に使用者が位置するか否かを判断している。これにより、第2スタート区画18bの範囲をさらに車幅方向に制限して検出範囲を狭くすることにより使用者の位置を正確に把握することが可能となる。そして、操作範囲16内に使用者が存在する場合、ドア駆動手段7にドア閉出力信号を送信し、ドア3を閉動作させる。また、LED5を消灯し、第2閉鎖モードをクリアする(ステップS17-3)。
【0060】
使用者が第2スタート区画18b内に移動していなければ(ステップS17-1:No)、カウンタに1を加算する(ステップS17-4)。カウンタが20を超えるまでに使用者が第1スタート区画18aから第2スタート区画18bに移動しなければ(ステップS17-5)、第2閉鎖モードをクリアすると共にLED5を消灯する(ステップS17-6)。
【0061】
このように、第1閉鎖処理及び第2閉鎖処理では、使用者が第1スタート区画18aから第2スタート区画18bに移動することによりドア3を自動閉鎖するようにしている。したがって、使用者がドア3に挟まれることなく安全に、しかも簡単な動作で対処することができる。
【0062】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0063】
前記実施形態では、ドア3としてハッチバックドアについて説明したが、これに限らず、乗降用のヒンジ式ドアやスライド式ドアであってもよい。
【0064】
前記実施形態では、既存の4つのソナーセンサでの検出信号に基づいてドアを開閉制御するようにしたが、3つあるいは5つ以上のソナーセンサにより行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…車両
2…ドア開閉装置
3…ドア
4…検出手段
6…照合手段
7…ドア駆動手段
8…制御手段
9…第1検出センサ
10…第2検出センサ
11…第3検出センサ
12…第4検出センサ
13…送波器
14…受波器
15…アプローチ領域
16…操作範囲
17…トリガ区域
18…スタート区域
18a…第1スタート区画
18b…第2スタート区画
21…記憶部
22…測定部
23…判定部
30…リアバンパー
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11