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特許7060525HTRA1の発現を調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】HTRA1の発現を調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20220419BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20220419BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220419BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220419BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
C12N15/113 130Z
A61K31/7125 ZNA
A61P27/02
A61P43/00 111
A61K47/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018568277
(86)(22)【出願日】2017-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2017065937
(87)【国際公開番号】W WO2018002105
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】16177508.5
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17170129.5
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100164563
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 貴英
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト イアコーネ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ハーゲドルン
(72)【発明者】
【氏名】ズザネ カムラー
(72)【発明者】
【氏名】セーアン オトスン
(72)【発明者】
【氏名】シンドリ トラウスタソン
(72)【発明者】
【氏名】ハイディ フドルブシュ
(72)【発明者】
【氏名】ルゲ ピーダスン
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/006460(WO,A1)
【文献】特表2009-544317(JP,A)
【文献】国際公開第2008/094370(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/067040(WO,A2)
【文献】Dev. Cell,2007年,Vol. 13,pp. 226-241
【文献】日薬理誌,2016年08月01日,Vol. 148,pp. 100-104
【文献】GRAEFE'S ARCHIVE FOR CLINICAL AND EXPERIMENTAL OPHTHALMOLOGY,2014年,Vol. 253, No. 4,pp. 565-572
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:TsAsTststsascscstsgsgstsTsGsTsT (配列番号143)
(式中、大文字がLNAヌクレオシド単位を表し、小文字がDNAヌクレオシド単位を表し、下付きのsは、ホスホロチオエートのヌクレオシド間結合を表す)
からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記LNAヌクレオシドが、全てβ-D-オキシLNAヌクレオシドである、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記アンチセンスオリゴヌクレオシドが、以下の式:
【化1】
である、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの医薬として許容される塩。
【請求項5】
前記塩がナトリウム塩である、請求項4に記載の医薬として許容される塩。
【請求項6】
前記塩がカリウム塩である、請求項4に記載の医薬として許容される塩。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド;及び医薬として許容される希釈剤、キャリア、塩及び/又はアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が、医薬として許容される希釈剤を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬として許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが、医薬として許容される塩の形態である、請求項7~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬として許容される塩;及び医薬として許容される希釈剤、キャリア、塩及び/又はアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬として許容される塩が、ナトリウム塩又はカリウム塩である、請求項7~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬において使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬として許容される塩、請求項7~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
黄斑変性の治療において使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬として許容される塩、又は請求項7~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記黄斑変性が、wetAMD、dryAMD、地図状萎縮及び中間dAMDから選ばれる、請求項14に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、医薬として許容される塩、又は医薬組成物。
【請求項16】
黄斑変性の治療又は予防のための医薬の製造のための、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬として許容される塩、又は請求項7~12のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
前記黄斑変性が、wetAMD、dryAMD、地図状萎縮及び中間dAMDから選ばれる、請求項1に記載の使用。
【請求項18】
HTRA1を発現する標的細胞におけるHTRA1発現を調節するためのインビトロ方法であって、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬として許容される塩、又は請求項7~12のいずれか一項に記載の医薬組成物を、前記細胞に有効な量で投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HTRA1(高温要件A1:High temperature requirement A1)に対して相補的であり、HTRA1の発現を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチド(オリゴマー)に関する。HTRA1の発現を調節することは、様々な医的障害、例えば、加齢性黄斑変性などの黄斑変性、に有益である。
【背景技術】
【0002】
セリンプロテアーゼのヒト高温要件A(HTRA)ファミリーは、遍在的に発現されるPDZ-プロテアーゼである。このPDZ-プロテアーゼは、プロテアーゼとシャペロンのデュアル機能を併用して、細胞外区画におけるタンパク質の恒常性維持に関与する。HTRAハウスキーピングプロテアーゼは、細胞外マトリックスの編成、細胞増殖及び老化に関与している。HTRA活性の調節は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Bakay et al. 2002, Neuromuscul. Disord. 12: 125-141)、変形性関節症などの関節炎(Grau et al. 2006, JBC 281: 6124-6129)、癌、家族性虚血性大脳小血管疾患及び加齢性黄斑変性症のほか、パーキンソン病及びアルツハイマー病をはじめとする重篤な疾患に関連している。ヒトHTRA1には、インスリン様増殖因子(IGF)結合ドメインが含まれている。IGFの利用性及び細胞成長の制御(Zumbrunn and Trueb, 1996, FEES Letters 398: 189-192)、及び腫瘍抑制特性の発呈が、提案されてきた。転移性メラノーマにおいてHTRA1の発現は下方制御されるため、メラノーマの進行度が示される場合がある。転移性メラノーマ細胞株におけるHTRA1が過剰発現したため、異種移植マウスモデルにおけるインビトロでの増殖及び浸潤が低減したと共に、腫瘍増殖も低減した(Baldi et al., 2002, Oncogene 21: 6684-6688)。また、卵巣癌においてもHTRA1の発現が下方制御される。卵巣癌細胞株内では、HTRA1の過剰発現によって細胞死が誘発された一方、アンチセンスHTRA1の発現によって足場非依存性増殖が促進された(Chien et al., 2004, Oncogene 23: 1636-1644)。
【0003】
HTRA1は、IGF経路に影響を及ぼすばかりでなく、成長因子のTGFβファミリーを介したシグナル伝達の阻害も行う(Oka et al., 2004, Development 131: 1041-1053)。HTRA1は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を開裂させる可能性があることから、HTRA1阻害剤は培養細胞内にアミロイドβ(Aβ)ペプチドを蓄積させる原因となる。それゆえ、HTRA1はアルツハイマー病にも関与している(Grau et al., 2005, Proc.Nat. Acad. Sci. USA. 102: 6021-6026)。
【0004】
一方、HTRA1の上方制御が観察されており、これはデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Bakay et al. 2002, Neuromuscul. Disord.12: 125-141)及び変形性関節症(Grau et al. 2006, JBC 281: 6124-6129)、並びにAMD(Fritsche, et al.Nat Gen 2013 45(4): 433-9)に関連していると思われる。
【0005】
HTRA1プロモーター領域(rs11200638)における一塩基多型(SNP)は、加齢性黄斑変性症(AMD)の発症リスクが10倍増大することに関連している。そのうえ、HTRA1のSNPは、加齢性黄斑変性症(AMD)の発症リスクの増大に関連するARMS2のSNP(rs10490924)と連鎖不平衡にある。リスク対立遺伝子はHTRA1のmRNA及びタンパク質の発現が2~3倍増大することに関連しており、AMD患者のドルーゼン内にはHTRA1が存在している(Dewan et al., 2006, Science 314: 989-992; Yang et al., 2006, Science 314: 992-993)。様々な動物モデルによって確証されてきたように、マウスにおけるHtrA1の過剰発現によってAMD様表現型が誘発される。hHTRAトランスジェニックマウス(Veierkottn, PlosOne 2011)によって解明されてきたように、ブルッフ膜の弾性薄層を劣化させた場合、脈絡膜血管異常が判別され(Jones, PNAS 2011)、且つポリープ状脈絡膜血管症(PCV)病変が増大する(Kumar, IOVS 2014)。加えて、これまでに報告されてきたように、ブルッフ膜に損傷のあるhHTRA1 Tgマウスでは、タバコ煙に曝露させた際に、CNVが3倍増大することが認められた(Nakayama, IOVS 2014)。
【0006】
65歳を超える人々において不可逆的視力喪失の原因の首位を占めているのが、加齢性黄斑変性(AMD)である。AMDの発症に伴い、眼の後部にある光感受性光受容体細胞、それらの細胞を代謝的に支持する下層色素上皮細胞、及びそれらの細胞によって提供される鮮明な中心視力が徐々に失われていく。AMD発症リスクの主因子は加齢であり、55歳を過ぎるとAMDの発呈する確率は3倍に増すとされている。同様に、喫煙、光虹彩色(light iris color)、男女差(女性の方がリスクが高い)、肥満、及び紫外線照射の反復的曝露も、AMDリスクの増大に関わる。AMDの形態には、乾性AMDと湿性AMDの2通りがある。乾性AMDの場合、眼の黄斑にドルーゼンが出現し、黄斑の細胞が死滅して、視界がぼやける。乾性AMDは、1)初期、2)中期、及び3)進行型乾性AMDの、3段階で進行すると考えられている。また、これらの段階のいずれかにおいて、乾性AMDが湿性AMDに進行する可能性もある。湿性AMD(別称:滲出型AMD)は、病理学的な後区新血管形成に関連している。滲出型AMDにおいて見出される後区新血管形成(PSNV)は、病理学的脈絡膜血管新生として特徴付けられる。このプロセスで形成される異常な血管からの漏出物は、黄斑を損傷させ、視力を損ない、最終的には視覚消失に至らしめる。湿性AMDに対する治療戦略は僅かしか存在せず、しかもせいぜい症状緩和的であるにすぎない。したがって、湿性AMD及び乾性AMDのような黄斑変性病態の治療に有効な薬物を提供することに関して医療ニーズが存在するが、それに対する対応は未だ為されていない。国際公開第2008/013893号は、HTRA1遺伝子又はmRNAにハイブリダイズするアンチセンス配列を含んだ核酸分子を含む加齢性黄斑変性に罹患した被験者を治療する組成物に対する所有権を主張するものであるが、アンチセンス分子はいっさい開示されていない。
【0007】
国際公開第2009/006460号には、HTRA1を標的化するsiRNA、及びAMDの治療における低分子干渉RNA(siRNA)の使用が提供されている。
発明の目的
【0008】
本発明によって、インビボ又はインビトロでHTRA1を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。HTRA1の阻害を効果的なものとするためにアンチセンスオリゴヌクレオチドが標的化しうるヒトHTRA1 mRNA(プレmRNAを含む)において存在する潜在性標的配列モチーフが、本発明によって同定された。本発明はまた、HTRA1を阻害する機能を有する効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチド配列及び化合物、並びにHTRA1を適応とする疾患又は障害の治療におけるHTRA1の使用を提供するものである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、哺乳動物のHTRA1核酸を標的化するオリゴヌクレオチド、すなわち、HTRA1の発現を阻害する機能を有し、HTRA1の機能に関連する疾患を治療又は予防するオリゴヌクレオチドに関する。HTRA1を標的化するオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。すなわち、そのアンチオリゴヌクレオチドのHTRA1核酸標的に対して相補的である。
【0010】
本発明のオリゴヌクレオチドは、ナトリウム塩又はカリウム塩などの、医薬的に許容される塩の形態とされる場合がある。
【0011】
したがって、本発明は、哺乳動物HTRA1核酸に対して少なくとも90%の相補性を有する、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4、に対して完全に相補的である、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含んだアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0012】
更なる態様において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチド、並びに医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントを含む医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明によって、LNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドが提供されている。このLNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、HTRA1核酸、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4からなる群から選択される配列、に対して少なくとも90%の相補性を有する、例えば、完全に相補的である10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むものである。
【0014】
本発明は、配列番号147:
配列番号147:5’CCAACAACCAGGTAAATATTTG 3’
に対して少なくとも90%、例えば100%、相補的である10~22、例えば12~22ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0015】
本発明によって、配列番号148~155からなる群から選択される配列に対して相補的である10~17個(例えば、11個、12個、14個、15個、16個(例えば、12~16個もしくは12~17個)ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。
【0016】
本発明によって、配列番号148もしくは155に対して相補的である10~17個、例えば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、例えば12~16個もしくは12~17個のヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。
【0017】
本発明によって、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号147:
配列番号147:5’CCAACAACCAGGTAAATATTTG3’
に対して少なくとも90%(例えば100%)相補的である、10~22ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む。
【0018】
本発明によって、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されており、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号148~155から選択される配列内に存在する配列に対して相補的である少なくとも10個、例えば少なくとも12個の連続ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む。
本発明は、少なくとも12ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号146
配列番号146:5’TTTACCTGGTT3’
の連続配列を含む。
【0019】
本発明は、実施例において提供されているオリゴヌクレオチドを提供する。本発明は、オリゴヌクレオチド、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。このオリゴヌクレオチドは、配列番号5~145からなる群から選択される配列内に存在する少なくとも10個、例えば少なくとも12個を含む。
【0020】
本発明によって、本発明によるオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲート、及び前記オリゴヌクレオチドに共有結合された少なくとも1つのコンジュゲート残基が提供されている。
【0021】
本発明によって、本発明のオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートの、医薬的に許容される塩が提供されている。
【0022】
更なる態様において、本発明によって、本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート又は組成物を、発現している細胞におけるHTRA1の発現を調節するため、前記細胞に対し有効量にて投与するインビボもしくはインビトロの方法が提供されている。
【0023】
更なる態様において、本発明は、HTRA1のインビボ活性に関連する疾患、障害もしくは機能障害を治療又は予防するための方法を提供するものであり、本方法は、治療上もしくは予防上有効な量の本発明のオリゴヌクレオチド、又はそのコンジュゲートを、疾患、障害もしくは機能不全に罹患しているか又は感受性である被験者に投与することを含む。
【0024】
更なる態様において、本発明のオリゴヌクレオチド又は組成物は、黄斑変性症及びHTRA1が関与する他の障害の治療もしくは予防を目的に使用される。
【0025】
本発明によって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、家族性虚血性大脳小血管疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病を含むリストから選択される疾患又は障害の治療に使用することを目的としたものである、本発明のオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートが提供されている。
【0026】
本発明によって、黄斑変性、例えば、湿性もしくは乾性加齢性黄斑変性、例えば、wAMD、dAMD、地理的萎縮、中間体dAMD、又は糖尿病性網膜症の治療に使用することを目的としたものである、本発明のオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートが提供されている。
【0027】
本発明によって、黄斑変性、例えば、湿性もしくは乾性加齢性黄斑変性、例えば、wAMD、dAMD、地理的萎縮、中間体dAMD、又は糖尿病性網膜症の治療を目的とした薬品製造用の本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート又は組成物の使用が提供されている。
【0028】
本発明によって、本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート又は組成物の使用が提供されている。これらは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、家族性虚血性大脳小血管疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される疾患もしくは障害の治療を目的とした医薬品製造用のものである。
【0029】
本発明によって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、家族性虚血性大脳小血管疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される疾患又は障害に罹患している被験者の治療方法が提供されている。前記方法は、有効量の本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート又は組成物を被験者に投与する工程を含むものである。
【0030】
本発明によって、黄斑変性症などの眼疾患、例えば、湿性もしくは乾性加齢性黄斑変性症(例えば、wAMD、dAMD、地理的萎縮、中間体dAMD)又は糖尿病性網膜症などに罹患している被験者の治療方法が提供されている。前記方法は、有効量の本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート又は組成物を、被験者に投与する工程を含むものである。
【0031】
本発明によって、黄斑変性症などの眼疾患、例えば、湿性もしくは乾性加齢性黄斑変性症、例えば、wAMD、dAMD、地理的萎縮、中間体dAMD、又は糖尿病性網膜症などに罹患している被験者の治療方法が提供されている。前記方法は、本発明のオリゴヌクレオチドの少なくとも2つの投薬量又はその医薬的に許容される塩を約10μg~200μgの投薬量にて眼内注射で投与することを含み、連続投与間の投薬間隔は少なくとも4週間もしくは少なくとも毎月とされる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】n=129のHTRA1 LNAオリゴヌクレオチドのライブラリーを、U251細胞株及びARPE19細胞株25μMにてスクリーニングした。リードアウト:HTRA1の定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)。33042位~33064位の間に位置するn=6のオリゴは比較的活性であった。
図2】33042~33064ホットスポット中のn=116のHTRA1 LNAオリゴヌクレオチドのライブラリーを、U251細胞株及びARPE19細胞株(それぞれ5μM及び25μM)でスクリーニングした。以降の分析用に、n=7個のオリゴを選択した。リードアウト:HTRA1 qPCR。
図3】ヒト初代RPE細胞をLNAオリゴヌクレオチド139.1及び143.1で処置した際の、HTRA1 mRNAレベルの用量応答である。
図4】ラットのインビボ有効性試験、7日間の治療、硝子体内(IVT)投与、用量反応。
図5A】ラットのインビボ有効性試験、7日間の治療、硝子体内(IVT)投与、用量反応。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、140.1又は143.1で処置されたラットの眼から採取された網膜試料を分析した。AはHtra1のインシチュ・ハイブリダイゼーション(ISH)用RNAscopeを実施した際の、代表的な試料を示す。
図5B】Bは結果の概要を表に示す。また、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の免疫組織染色(IHC)も実施した。反応性神経膠症及び網状線維症に対するマーカーが、GFAPである。
図5C】CはHtra1 qPCRに供された網膜試料である。RE:右眼、LE:左眼。
図5D】オリゴ含量の生物分析を実施した際の、プロットされた生物分析及びmRNAの相対的な発現に対する用量反応曲線を示す。EC50の測定をGraph Pad Primsで行った。PBSで処置された試料については、組織1g当たりのオリゴ含量を0.01μgに設定した。
図6A】プルーフ・オブ・コンセプト(Poc)試験を受けたアルビノラットにおける青色光誘発性網膜変性である。青色光に曝露されてから14日後の網膜電図A波及びB波振幅の回復率(%)、群平均及び95%信頼区間(CI)を、棒グラフに示す。研究動物ごとの右眼及び左眼の値の平均を、各データポイントに示す。ISH用のRNAscope、網膜の2つの異なる領域を引用した例である。網膜試料のHtra1 qPCRである。薬物動態/薬力学(PK/PD)相関である。
図6B】プルーフ・オブ・コンセプト(Poc)試験を受けたアルビノラットにおける青色光誘発性網膜変性である。青色光に曝露されてから14日後の網膜電図A波及びB波振幅の回復率(%)、群平均及び95%信頼区間(CI)を、棒グラフに示す。研究動物ごとの右眼及び左眼の値の平均を、各データポイントに示す。ISH用のRNAscope、網膜の2つの異なる領域を引用した例である。網膜試料のHtra1 qPCRである。薬物動態/薬力学(PK/PD)相関である。
図6C】プルーフ・オブ・コンセプト(Poc)試験を受けたアルビノラットにおける青色光誘発性網膜変性である。青色光に曝露されてから14日後の網膜電図A波及びB波振幅の回復率(%)、群平均及び95%信頼区間(CI)を、棒グラフに示す。研究動物ごとの右眼及び左眼の値の平均を、各データポイントに示す。ISH用のRNAscope、網膜の2つの異なる領域を引用した例である。網膜試料のHtra1 qPCRである。薬物動態/薬力学(PK/PD)相関である。
図6D】プルーフ・オブ・コンセプト(Poc)試験を受けたアルビノラットにおける青色光誘発性網膜変性である。青色光に曝露されてから14日後の網膜電図A波及びB波振幅の回復率(%)、群平均及び95%信頼区間(CI)を、棒グラフに示す。研究動物ごとの右眼及び左眼の値の平均を、各データポイントに示す。ISH用のRNAscope、網膜の2つの異なる領域を引用した例である。網膜試料のHtra1 qPCRである。薬物動態/薬力学(PK/PD)相関である。
図7A】ラットにおけるインビボ有効性動態試験、硝子体内(IVT)投与、50μg/片眼、3日間、7日間、14日間の処置である。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルであり、図7BはISHによって定量化されたHTRA1 mRNAレベルである。A、B及びCに、残渣HTRA1 mRNAの発現レベルを対照(PBSで処置された細胞)の%として、個々の時点におけるオリゴ含有量とqPCRデータとを比較対照した用量反応曲線に示してある。
図7B】ラットにおけるインビボ有効性動態試験、硝子体内(IVT)投与、50μg/片眼、3日間、7日間、14日間の処置である。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルであり、図7BはISHによって定量化されたHTRA1 mRNAレベルである。A、B及びCに、残渣HTRA1 mRNAの発現レベルを対照(PBSで処置された細胞)の%として、個々の時点におけるオリゴ含有量とqPCRデータとを比較対照した用量反応曲線に示してある。
図7C】ラットにおけるインビボ有効性動態試験、硝子体内(IVT)投与、50μg/片眼、3日間、7日間、14日間の処置である。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルであり、図7BはISHによって定量化されたHTRA1 mRNAレベルである。A、B及びCに、残渣HTRA1 mRNAの発現レベルを対照(PBSで処置された細胞)の%として、個々の時点におけるオリゴ含有量とqPCRデータとを比較対照した用量反応曲線に示してある。
図8A】非ヒト霊長類(NHP)に対する薬物動態/薬力学(PK/PD)試験。硝子体内(IVT)投与、25μg/片眼。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルである。BはISHによって例証されたHTRA1 mRNAレベルである。C、Dは網膜及び硝子体の各々について免疫沈降-質量分析(IP-MS)で定量したHTRA1タンパク質レベルである。ドット(.)は、個々の動物のデータを示す。エラーバーに、技術的複製(n=3)に対する標準偏差を示してある。
図8B】非ヒト霊長類(NHP)に対する薬物動態/薬力学(PK/PD)試験。硝子体内(IVT)投与、25μg/片眼。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルである。BはISHによって例証されたHTRA1 mRNAレベルである。C、Dは網膜及び硝子体の各々について免疫沈降-質量分析(IP-MS)で定量したHTRA1タンパク質レベルである。ドット(.)は、個々の動物のデータを示す。エラーバーに、技術的複製(n=3)に対する標準偏差を示してある。
図8C】非ヒト霊長類(NHP)に対する薬物動態/薬力学(PK/PD)試験。硝子体内(IVT)投与、25μg/片眼。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルである。BはISHによって例証されたHTRA1 mRNAレベルである。C、Dは網膜及び硝子体の各々について免疫沈降-質量分析(IP-MS)で定量したHTRA1タンパク質レベルである。ドット(.)は、個々の動物のデータを示す。エラーバーに、技術的複製(n=3)に対する標準偏差を示してある。
図8D】非ヒト霊長類(NHP)に対する薬物動態/薬力学(PK/PD)試験。硝子体内(IVT)投与、25μg/片眼。AはqPCRで測定された網膜内HTRA1 mRNAレベルである。BはISHによって例証されたHTRA1 mRNAレベルである。C、Dは網膜及び硝子体の各々について免疫沈降-質量分析(IP-MS)で定量したHTRA1タンパク質レベルである。ドット(.)は、個々の動物のデータを示す。エラーバーに、技術的複製(n=3)に対する標準偏差を示してある。
図9】本発明の化合物(化合物番号143.1)。化合物は、ナトリウム塩又はカリウム塩などの医薬塩の形態とされる場合がある。
図10】本発明の化合物(化合物番号145.3)。化合物は、ナトリウム塩又はカリウム塩などの医薬塩の形態とされる場合がある。
図11】化合物143.1の医薬塩の例である。M+は、典型的には、例えばナトリウムイオン又はカリウムイオンのような、好適なカチオンである。オリゴヌクレオチドアニオンに対するカチオンの化学量論比は、使用されたカチオンの電荷に依存する。1つ、2つ又は3つの正電荷を有するカチオン(M+、M++又はM+++)が使用可能であれば好適である。例証の目的に、Na+又はK+のような正に荷電した単一の(一価)カチオンは、Ca2+のような二価カチオンと比較して2倍必要とされる。
図12】化合物145.3の医薬塩の例である。カチオンM+の説明については、図11の図の凡例を参照のこと。
【0033】
定義
オリゴヌクレオチド
当業者に遍く理解されているように、本明細書中に用いられている「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合されたヌクレオシドを含む分子として定義されている。また、そのような共有結合されたヌクレオシドは、核酸分子又はオリゴマーと呼ばれる場合もある。オリゴヌクレオチドは、実験室内で固相化学合成及び引き続いて精製を行うことによって作られるのが通例である。オリゴヌクレオチドの配列に関して言及されている場合、共有結合したヌクレオチドもしくはヌクレオシドの核酸塩基残基、又はその修飾物の配列もしくは順序を指すものとする。本発明のオリゴヌクレオチドは人造であって、化学的に合成されたものであり、精製又は単離されるのが通例である。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む場合がある。
【0034】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書中に用いられている「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、とりわけ標的核酸上の隣接する配列、にハイブリダイズすることによって、標的遺伝子の発現を調節できるオリゴヌクレオチドとして定義されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本質的に二本鎖ではないという点で、siRNAとは異なる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖であることが好ましい。
【0035】
連続ヌクレオチド領域
「連続ヌクレオチド領域」という用語は、標的核酸に対して相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指し、この用語は、本明細書中の「連続ヌクレオチド配列」又は「連続核酸塩基配列」という用語及び「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と同義に使用される場合がある。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドは連続ヌクレオチド領域内に存在する。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは連続ヌクレオチド領域を含むだけでなく、任意に更なるヌクレオチド、例えば、連続ヌクレオチド配列に官能基を結合させるために使用可能なヌクレオチドリンカー領域、も含む場合がある。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に対して相補的な場合もあれば相補的でない場合もある。幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域のヌクレオチドどうしの間に存在するヌクレオシド間結合はいずれもホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含む。
【0036】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドのビルディングブロックであり、本発明の目的に合わせて、天然ヌクレオチド及び非天然ヌクレオチドの両方が含まれている。自然界のDNA及びRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖残基、核酸塩基残基及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシド内に存在しないもの)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、「単位」又は「モノマー」と同義的に呼ばれる場合もある。
【0037】
修飾ヌクレオシド
本明細書中に用いられている「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖残基もしくは(ヌクレオ)塩基残基の1つ以上の修飾を導入することによって同等のDNA又はRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい実施形態において、修飾ヌクレオシドは修飾糖残基を含む。修飾ヌクレオシドという用語は、本明細書中で「ヌクレオシド類似体」、修飾「単位」又は修飾「モノマー」という用語と同義に使用される場合もある。
【0038】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを一体的に共有結合するホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に遍く理解されるものであるとして定義されている。修飾ヌクレオシド間結合を有するヌクレオチドはまた、「修飾ヌクレオチド」とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合は、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を、ホスホジエステル結合と比較して増強させる。天然起源のオリゴヌクレオチドの場合、ヌクレオシド間結合にリン酸基が含まれるため、隣接するヌクレオシドどうしの間にホスホジエステル結合が生ずる。修飾ヌクレオシド間結合は、インビボでの使用に向けてオリゴヌクレオチドを安定化するのに特に有用であり、本発明のオリゴヌクレオチド内、例えば、ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内、並びに修飾ヌクレオシドの領域内、のDNA又はRNAヌクレオシド領域においてヌクレアーゼが開裂するのを防ぐ役割を果たしうる。
【0039】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオシド間結合を含む。このヌクレオシド間結合は、天然ホスホジエステルに対し、例えばヌクレアーゼ攻撃に対する耐性を強化した結合となるように、修飾を施したものである。ヌクレアーゼ耐性の定量化を目的に、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートする場合もあれば、あるいはヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を使用する場合もある。これらの方法は両方とも当該技術分野において周知である。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増強しうるヌクレオシド間結合は、オリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と呼ばれる。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合はいずれも修飾される。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基(例えばコンジュゲート)に連結するヌクレオシドは、ホスホジエステルでありうることが、認識されるであろう。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合はいずれも、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。
【0040】
幾つかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合とされる場合がある。幾つかの実施形態において、修飾されたヌクレオシド間結合は、本発明のオリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオエート、のRNアーゼH補充と互換性がある。
【0041】
幾つかの実施形態において、ヌクレオシド間結合は、イオウ(S)、例えばホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0042】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態を備え、しかも製造が容易であるという点で、特に有用である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合はいずれも、ホスホロチオエートである。
【0043】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチド内に存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)、並びにピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)残基を含む。本発明との関連において、核酸塩基という用語には、天然起源の核酸塩基とは異なるが、核酸ハイブリダイゼーションの間に機能する修飾核酸塩基も包含される。これに関連して、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンのような天然起源の核酸塩基、並びに非天然起源の変種の両方を指す。そのような変種は、例えばHirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1. 4. 1に記載されている。
【0044】
幾つかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを、置換プリン又は置換ピリミジンなどの修飾プリン又はピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることによって修飾される。
【0045】
核酸塩基残基は、対応する各核酸塩基の英字コード、例えばA、T、G、C又はUで示すことができる。各文字は、任意に、同等な機能の改変核酸塩基を含みうる。例えば、例示的なオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基残基はA、T、G、C及び5-メチルシトシンから選択される。任意で、LNAギャップマーに、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドを使用しても差し支えない。幾つかの実施形態において、5’cg3’モチーフ内のシトシン核酸塩基は、5-メチルシトシンである。
【0046】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを表す。「キメラオリゴヌクレオチド」という用語は、修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドを表すために文献中に用いられている用語である。
【0047】
相補性
相補性という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン-クリック塩基対形成能力を表す。ワトソン-クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)、及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含みうる。例えば、5-メチルシトシンはシトシンの代わりに使用されることがしばしばであり、そのため、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソンクリック塩基対を包含することが理解されるであろう(例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1. 4. 1を参照)。
【0048】
本明細書中に用いられている用語「相補性(%)」は、別個の核酸分子(例えば標的核酸)の所与の位置にある連続ヌクレオチド配列に対して、所与の位置にて相補的な(すなわち、ワトソンクリック塩基対を形成する)、核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド領域又は配列のパーセントで表したヌクレオチドの数を指す。このパーセンテージは、アラインされた塩基の数を計数してから、2つの配列の間に対を形成するオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で除算して100を乗算することによって、計算される。そのような比較において、アラインされていない(塩基対を形成する)核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと呼ばれる。
【0049】
2つの配列間の相補性に言及されている場合、相補性の決定は、2つの配列のうちの短い方の長さ、例えば連続ヌクレオチド領域又は配列の長さ、にわたって測定されることが理解されるであろう。
【0050】
「完全に相補的」という用語は、100%の相補性を指す。項値(%)又はミスマッチの表示がない場合、相補的とは完全に相補的であることを意味する。
【0051】
同一性
本明細書中に用いられている「同一性」という用語は、別個の核酸分子(例えば標的核酸)の所与の位置にある連続ヌクレオチド配列に対して、所与の位置にて同一な(すなわち、相補的ヌクレオシドと一緒になってワトソンクリック塩基対を形成できるという点で)、核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列のパーセントで表したヌクレオチドの数を指す。このパーセンテージは、ギャップを含む2つの配列間で同一なアラインされた塩基の数を計数してから、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で除算して100を乗算することによって、計算される。同一性(%)=(一致×100)/アラインされた領域の長さ(ギャップあり)。
【0052】
オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域の同一性を定量化する場合、連続ヌクレオチド領域の長さにわたる同一性を計算する。したがって、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列全体が連続ヌクレオチド領域である実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列の長さにわたる同一性が計算される。この点で、連続ヌクレオチド領域領域は、基準核酸配列の領域と同一である場合もあれば、あるいは幾つかの実施形態では、基準核酸全体と同一である場合もある。別途指示のない限り、参照配列に対して100%の同一性を有する配列は、同一であると称される。例えば、参照配列は、配列番号5~146及び156のうちのいずれか1つからなる群から選択可能である。
【0053】
しかしながら、オリゴヌクレオチドが、連続ヌクレオチド領域(例えば領域D’又はD”)に隣接する追加的なヌクレオチドを含む場合、これらの隣接する追加的なヌクレオチドは、同一性を決定する際に無視しても差し支えない。幾つかの実施形態において、同一性は、オリゴヌクレオチド配列全体にわたって計算できる。
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号156:
配列番号156:5’CAAATATTTACCTGGTTGTTGG 3’
に対して同一である連続ヌクレオチド領域10~22個の連続ヌクレオチドを含む。
【0054】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号156の少なくとも10個の連続ヌクレオチド、例えば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個の連続ヌクレオチド、例えば、12~22個、例えば、14~18個の連続ヌクレオチドからなるか又はその連続ヌクレオチドを含む。
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの連続配列全体は、少なくとも10個の連続ヌクレオチド、例えば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個の連続ヌクレオチド、例えば、12~22個、例えば、配列番号156の14~18個の連続ヌクレオチドからなるか又はその連続ヌクレオチドを含む。
【0055】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号156の少なくとも12個の連続ヌクレオチドである。幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号156の少なくとも14個の連続ヌクレオチドである。幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号156の少なくとも16連続ヌクレオチドである。
【0056】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号143に対して同一である少なくとも10個、12個、14個又は16個の連続ヌクレオチドである。
【0057】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号145に対して同一である少なくとも10個、12個、14個又は16個の連続ヌクレオチドである。
【0058】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号143に対して同一である少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個又は16個の連続ヌクレオチドである。
【0059】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号145に対して同一である少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個又は17個の連続ヌクレオチドである。
【0060】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチドは、配列番号143からなるか又はその配列番号を含む。
【0061】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号145からなるか又はその配列番号を含む。
【0062】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号138、139、140、141、142、143、144及び145からなる群から選択される配列に対して同一である少なくとも10個、12個、14個又は16個の連続ヌクレオチドである。幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号138、139、140、141、142、143、144及び145からなる群から選択される配列を含むか又はその配列からなる。
【0063】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド領域は、配列番号146の配列:TTTACCTGGTTを含む。
【0064】
本発明は、配列番号146の配列:TTTACCTGGTTを含む、11~30ヌクレオチド長、例えば12~20ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0065】
ハイブリダイゼーション
本明細書中に用いられている「ハイブリダイズする」又は「ハイブリダイズする」という用語は、反対側の鎖上の塩基対間に水素結合を形成し、それにより二本鎖を形成する、2つの核酸鎖(例えばオリゴヌクレオチド及び標的核酸)として理解すべきである。2つの核酸鎖間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、多くの場合、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と一緒になって二本鎖を生ずる温度として定義される融解温度(Tm)という観点から記載される。生理学的条件において、Tmは、親和性に対して厳密には正比例しない(Mergny and Lacroix, 2003, Oligonucleotides 13: 515-537)。標準状態のギブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性を精密化した表現であって、Rを気体定数とし、Tを絶対温度としたときに、反応の解離定数(Kd)に対し、ΔG°=-RTln(Kd)だけ関連する。ゆえに、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応のΔG°が極めて低いことに、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強力なハイブリダイゼーションが反映されている。ΔG°は、反応の水性濃度を1M、pHを7、及び温度を37℃とした場合に関連するエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは自発的反応である。自発的反応の場合、ΔG°はゼロ未満となる。Hansen et al., 1965, Chem.Comm.36-38及びHoldgate et al., 2005, Drug Discov Todayに記載されているようにして、ΔG°を、例えば等温滴定熱量測定(ITC)法を用い、実験的に測定できる。市販の機器がΔG°の測定に利用可能であることは、当業者に理解されるであろう。同様に、SantaLucia, 1998, Proc Natl Acad Sci USA. 95: 1460-1465が記載しているような最近傍モデルを使用し、Sugimoto et al., 1995, Biochemistry 34: 11211-11216及びMcTigue et al., 2004, Biochemistry 43: 5388-5405が記載している適切に導出された熱力学的パラメーターを用いて、ΔG°を数値的に推定することもできる。本発明のオリゴヌクレオチドは、その意図された核酸標的をハイブリダイゼーションで調節することを可能にするため、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドの場合、-10kcal未満の推定ΔG°値にて標的核酸にハイブリダイズする。幾つかの実施形態において、ハイブリダイゼーションの程度又は強度を、標準状態ギブス自由エネルギーΔG°で測定する。8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドの場合、-10kcal未満、例えば-15kcal未満、-20kcal未満、及び-25kcal未満など、の範囲の推定ΔG°値にて標的核酸にハイブリダイズしうる。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcal、例えば、-12~-40、例えば、-15~-30kcal又は-16~-27kcal、例えば-18~-25kcal、の推定ΔG°値にて標的核酸にハイブリダイズする。
【0066】
標的配列
オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子の部分配列に対して相補的又はハイブリダイズする、連続ヌクレオチド領域を含む。本明細書中に用いられている「標的配列」という用語は、本発明のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域又は配列に対して相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸内に存在するヌクレオチドの配列を指す。幾つかの実施形態において、標的配列は、本発明のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域又は配列に対して相補的な標的核酸上の領域からなる。幾つかの実施形態において、標的配列は、単一のオリゴヌクレオチドの相補的配列よりも長く、例えば本発明の幾つかのオリゴヌクレオチドによって標的化される可能性のある、標的核酸の好ましい領域を表しうる。
【0067】
本発明のオリゴヌクレオチドは、標的配列などの標的核酸に対して相補的な連続ヌクレオチド領域を含む。
【0068】
オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子内に存在する標的配列に対して相補的であるか又はそれにハイブリダイズする、少なくとも10ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む。連続ヌクレオチド領域(及びひいてはその標的配列)は、少なくとも10個の連続ヌクレオチド、例えば、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個の連続ヌクレオチド、例えば12~22個、14~18個の連続ヌクレオチドを含む。
【0069】
幾つかの実施形態において、標的配列は配列番号147であるか、あるいはその配列番号内に存在する。
【0070】
幾つかの実施形態において、標的配列は、
配列番号148、149、150、151、152、153、154及び155:
配列番号148:AACAACCAGGTAAATA
配列番号149:CAACCAGGTAAATATTTG
配列番号150:CCAACAACCAGGTAAA
配列番号151:AACCAGGTAAATATTTGG
配列番号152:ACAACCAGGTAAATATTTGG
配列番号153:CAACAACCAGGTAAATAT
配列番号154:ACAACCAGGTAAATAT
配列番号155:AACAACCAGGTAAATAT
からなる群から選択される。
【0071】
本発明によって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号147及び148~155から選択される配列内に存在する配列に対して相補的な少なくとも10個の連続ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。
【0072】
本発明によって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号147及び148~155から選択される配列内に存在する配列に対して相補的な少なくとも12個の連続ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む、12~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。
【0073】
本発明によって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号147及び148~155から選択される配列内に存在する配列に対して相補的な少なくとも14個の連続ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む、14~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供されている。
【0074】
本発明は、配列番号148~155から選択される配列に対して相補的である連続ヌクレオチド領域からなるか又はその連続ヌクレオチド領域を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0075】
標的配列は標的核酸の部分配列とされる場合がある。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド領域は、配列番号148~154からなる群から選択される配列などのHTRA1部分配列に対して完全に相補的であるか、あるいはそのHTRA1部分配列に対するミスマッチを1つ又は2つのみ含む。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド領域は、配列番号147のHTRA1部分配列に対して完全に相補的であるか、又はそのHTRA1部分配列に対するミスマッチを1つもしくは2つのみ含む。
【0076】
標的細胞
本明細書中に使用される標的細胞という用語は、標的核酸を発現する細胞を指す。幾つかの実施形態において、標的細胞はインビボ又はインビトロとされる場合がある。幾つかの実施形態において、標的細胞は、哺乳動物細胞(例えば、マウス細胞又はラット細胞などのげっ歯類細胞であるか、あるいはサル細胞又はヒト細胞などの霊長類細胞)である。幾つかの実施形態において、細胞は、ブタ細胞、イヌ細胞又はウサギ細胞とされる場合がある。幾つかの実施形態において、標的細胞は、網膜色素上皮(PRE)細胞などの網膜細胞とされる場合がある。幾つかの実施形態において、細胞は、RPE細胞、双極細胞、アマクリン細胞、内皮細胞、神経節細胞及び小膠細胞からなる群から選択される。インビトロ評価用の標的細胞は、初代細胞又は株化細胞、例えば、U251、ARPE19、HEK293もしくはラットC6細胞、とされる場合がある。
【0077】
標的核酸
本発明によると、標的核酸は、哺乳動物のHTRA1をコードする核酸である。例えば遺伝子、RNA、mRNA及びプレmRNA、成熟mRNA又はcDNA配列でありうる。したがって、標的はHTRA1標的核酸と呼ばれる場合がある。
【0078】
標的核酸は、特にヒトHTRA1のような哺乳動物のHTRA1をコードするHTRA1タンパク質であるのが好適である(例えばヒト及びラットHTRA1の、mRNA並びにプレmRNA配列が記載されている表1及び表2を参照)。
【0079】
幾つかの実施形態において、標的核酸は、配列番号:1、2、3及び4、又はその天然起源の変種(例えば、哺乳動物HTRA1タンパク質をコードする配列)からなる群から選択される。
【0080】
標的細胞は、HTRA1標的核酸を発現している細胞である。好ましい実施形態において、標的核酸は、HTRA1 mRNA、例えば、HTRA1のプレmRNA、又はHTRA1の成熟mRNAである。HTRA1 mRNAのポリAテールは典型的に、アンチセンスオリゴヌクレオチドターゲティングを無視する。
【0081】
本発明のオリゴヌクレオチドを研究又は診断において使用する場合、標的核酸を、cDNAもしくはDNAとする場合もあれば、又はRNA由来の合成核酸とする場合もある。
【0082】
標的配列は標的核酸の部分配列とされる場合がある。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド領域は、HTRA1部分配列、例えば、配列番号148、149、150、151、152、153、154及び155からなる群から選択される配列に対して完全に相補的であるか、又は単にそのHTRA1部分配列に対して1つもしくは2つのミスマッチを含む。
【0083】
標的又はその部分配列に対する相補性は、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド領域の長さにわたって測定される。
【0084】
インビボ又はインビトロで用いられた場合、本発明のオリゴヌクレオチドは典型的に、HTRA1標的核酸を発現している細胞内のHTRA1標的核酸の発現を阻害する機能を有する。本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は典型的に、任意で1もしくは2のミスマッチを除き、オリゴヌクレオチドの長さにわたって測定した場合にHTRA1標的核酸に対して相補的であり、任意の官能基、例えば、コンジュゲート又は他の非相補的な末端ヌクレオチド(例えば、領域D)にオリゴヌクレオチドを連結しうるヌクレオチドベースのリンカー領域を任意に除外する。幾つかの実施形態において、標的核酸は、RNA又はDNA、例えば、成熟mRNAもしくはプレmRNAなどのメッセンジャーRNAでありうる。幾つかの実施形態において、標的核酸は、ヒトHTRA1などの哺乳動物HTRA1タンパク質をコードするRNA又はDNA、例えば配列番号1(NM_002775.4、GI:190014575)などのヒトHTRA1 mRNA配列として開示されているものである。例示的な標的核酸に関する詳細情報は、表1及び表2に記載されている。
【0085】
【表1】
【0086】
Fwd=フォワード鎖。ゲノム座標に、プレmRNA配列(ゲノム配列)が提供されている。
NCBIのリファレンスには、mRNA配列(cDNA配列)が記載されている。
【0087】
*国立バイオテクノロジー情報センター(The National Center for Biotechnology Information)の参照配列データベースは、ゲノム、転写産物及びタンパク質を含む、包括的な統合型の非冗長且つ注釈豊富な参照配列セットであり、www.ncbi.nlm.nih.gov/refseqでホストされている。
【0088】
【表2】
【0089】
天然起源の変種
「天然起源の変種」という用語は、標的核酸と同じ遺伝子座に由来するHTRA1遺伝子又は転写物の変種ではあるが、例えば、遺伝暗号の縮重によって同じアミノ酸をコードする多様なコドンを生ずるのが原因で、あるいは、プレmRNAの選択的スプライシング、又は一塩基多型などの多型、及び対立遺伝子の変種が存在するのが原因で、異なりうるものを指す。ゆえに、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに対して充分相補的な配列が存在することを根拠とし、標的核酸及びその天然に存在する変種を標的化しうる。幾つかの実施形態において、天然起源の変種は、配列番号1、2、3もしくは4からなる群から選択される標的核酸などの哺乳動物HTRA1標的核酸に対して少なくとも95%、例えば少なくとも98%、又は少なくとも99%の相同性を有する。
【0090】
発現の調節
本明細書で使用される「発現の調節」という用語は、オリゴヌクレオチドを投与される前のHTRA1の量と比べてHTRA1の量を変化させるオリゴヌクレオチドの能力に関する総称として理解すべきである。代替的に、本発明のオリゴヌクレオチドを投与されない対照実験を参照することにより、発現の調節を算定する場合もある。1つのタイプの調節は、オリゴヌクレオチドがmRNAの分解又は転写の遮断によってHTRA1の発現を阻害、下方制御、減少、抑制、除去、中断、ブロック、防止、低減、低下、回避又は停止させる能力である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、HTRA1の発現を阻害、下方制御、低減、抑制、除去、中断、ブロック、予防、軽減、低下、回避また停止させる機能を有する。
【0091】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内に組み込まれた場合、例えば融解温度(Tm)で測定されるように、その相補的標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強させる修飾ヌクレオチドである。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、融解温度を、好ましくは修飾ヌクレオシド当たり+0.5~+12℃、より好ましくは+1.5~+10℃、最も好ましくは+3~+8℃上昇させる。当該技術分野において多数の高親和性修飾ヌクレオシドが公知である。高親和性修飾ヌクレオシドとしては、例えば、多くの2’置換ヌクレオシド及びロックド核酸(LNA)が挙げられる。Acid Res., 1997, 25, 4429-4443及びUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213を参照)。
【0092】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、DNA及びRNAに見られるリボース糖残基と比較して、修飾糖残基、すなわち糖残基の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含む場合がある。
【0093】
主に親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドの特定の特性を改善することを目的に、リボース糖残基を修飾した多数のヌクレオシドが製造されてきた。
【0094】
そのような修飾としては、リボース環構造が修飾されているもの、例えばヘキソース環(HNAもしくは二環式環で置換したもの)、典型的には、リボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間のビラジカル(biradicle)架橋、又は典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非結合リボース環(例えばUNA)を有するものが挙げられる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えばビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。また、例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合、修飾ヌクレオシドには、糖残基が非糖残基で置換されているヌクレオシドが含まれる。
【0095】
糖修飾はまた、リボース環上の置換基を水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシドにおいて天然に見出される2’-OH基に変更することによって為された修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’位、3’位、4’位又は5'位に導入することが可能である。また、修飾糖残基を有するヌクレオシドには、2’置換ヌクレオシドなどの2’修飾ヌクレオシドも含まれる。2’置換ヌクレオシドの開発にかなりの焦点が当てられてきたのが実情であり、オリゴヌクレオチド内に多数の2’置換ヌクレオシドを組み込むことによって、例えばヌクレオシド耐性及び親和性が増強されるなどの有益な特性が得られることが見出された。
【0096】
2’修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にH又は-OH以外の置換基を有する(2’置換ヌクレオシド)であるか又は2’結合ビラジカル(biradicle)を含むヌクレオシドであり、2’置換ヌクレオシドとLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドとを含む。例えば、2’修飾糖は、オリゴヌクレオチドに対する結合親和性の増強及び/又はヌクレアーゼ耐性を増強させる可能性がある。2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドは、2’置換修飾ヌクレオシドの例である。更なる例については、例えば、Freier & Altmann; Nucl.Acid Res., 1997, 25, 4429-4443、及びUhlmann; Curr.Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213、及びDeleavey and Damha, Chemistry and Biology 2012, 19, 937を参照。以下は、幾つかの2’置換修飾ヌクレオシドの例である。
【0097】
【化1】
【0098】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、ヌクレオチドのリボース糖環のC2’とC4’との間にリンカー基(ビラジカル又はブリッジと呼ばれる)を含む、修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドは、文献中で架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称されている。
【0099】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴマーの修飾ヌクレオシド又はLNAヌクレオシドは、式I又はIIの一般構造を有する。
【0100】
【化2】
【0101】
式中:Wは-O-、-S-、-N(Ra)-、-C(Rab)-から選択され(例えば、幾つかの実施形態では-O-であり)、
Bは核酸塩基残基を示し、
Zは隣接するヌクレオシドへのヌクレオシド間結合、又は5’末端基を示し、
*は、隣接ヌクレオシド、又は3’-末端基へのヌクレオシド間結合を示し、
Xは、-C(Rab)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、及び>C=Zからなる群から選択される基を示す。
【0102】
幾つかの実施形態において、Xは、-O-、-S-、NH-、NRab、-CH2-、CRab、-C(=CH2)-、及び-C(=CRab)-からなる群から選択される。
【0103】
幾つかの実施形態において、Xは、-O-
Yは-C(Rab)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、及び>C=Zからなる群から選択される基を示す。
【0104】
幾つかの実施形態において、Yは-CH2-、-C(Rab)-、-CH2CH2-、-C(Rab)-C(Rab)-、-CH2CH2CH2-、-C(Rab)C(Rab)C(Rab)-、-C(Ra)=C(Rb)-、及び-C(Ra)=N-からなる群から選択される。
【0105】
幾つかの実施形態において、Yは-CH2-、-CHRa-、-CHCH3-、CRab-からなる群から選択されるか、
あるいは-X-Y-が一体的に、-C(Rab)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、及び>C=Zからなる群から選択される1つ、2つ又は3つの基/原子からなる2価のリンカー基(別称:ラジカル)を示す。
【0106】
幾つかの実施形態において、-X-Y-は、-X-CH2-、-X-CRab-、-X-CHRa-、-X-C(HCH3)-、-O-Y-、-O-CH2-、-S-CH2-、-NH-CH2-、-O-CHCH3-、-CH2-O-CH2、-O-CH(CH3CH3)-、-O-CH2-CH2-、OCH2-CH2-CH2-、-O-CH2OCH2-、-O-NCH2-、-C(=CH2)-CH2-、-NRa-CH2-、N-O-CH2、-S-CRab-及び-S-CHRa-からなる群から選択されるビラジカルを示す。
【0107】
幾つかの実施形態において、-X-Y-は、-O-CH2-又は-O-CH(CH3)-を示す。
式中:Zは、-O-、-S-、及び-N(Ra)-から選択され、
且つRa及び、存在する場合Rbはそれぞれ独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたC2-6-アルキニル、ヒドロキシ、任意に置換されたC1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ及びジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ及びジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンから選択され、アリール及びヘテロアリールは任意に置換可能であり、且つ2つのジェミナル置換基Ra及びRbは一体的に、任意に置換されたメチレン(=CH2)を示す場合があり、全てのキラル中心に対してR又はS配向のいずれかに非対称基を見出すことが可能である。
1、R2、R3、R5及びR5*は独立に、水素、任意に置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意に置換されたC2-6-アルキニル、ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ及びジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ及びジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは任意に置換可能であり、且つ2つのジェミナル置換基は一体的にオキソ、チオキソ、イミノ、又は任意に置換されたメチレンを示しうる。
【0108】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3、R5及びR5*は独立にC1-6アルキル、例えば、メチル及び水素などから選択される。
【0109】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3、R5及びR5*はいずれも水素である。
【0110】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3はいずれも水素であり、且つR5及びR5*のいずれか一方もまた水素であり、且つR5及びR5*のうちの他方は水素以外、例えばメチルなどのC1-6アルキルである。
【0111】
幾つかの実施形態において、Raは、水素又はメチルのいずれかである。幾つかの実施形態において、Rbが存在する場合は、水素又はメチルのいずれかである。
【0112】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbのうちの一方又は両方は、水素である。
【0113】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbのうちの一方は水素であり、且つ他方は水素以外である。
【0114】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbのうちのうちの一方はメチルであり、且つ他方は水素である。
【0115】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbの両方はメチルである。
【0116】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、いずれも本明細書において参照により援用されている国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号及び国際公開第2004/046160号に開示されており、β-D-オキシLNAヌクレオシド及びα-L-オキシLNAヌクレオシドとして遍く知られているものが挙げられる。
【0117】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-S-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号及び国際公開第2004/046160号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0118】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-NH-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号及び国際公開第2004/046160号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0119】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH2-CH2-又は-O-CH2-CH2-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、本明細書において参照により援用されている国際公開第00/047599号及びMorita et al, Bioorganic及びMed. Chem. Lett.12 73-76に開示されており、2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として一般に知られているものが含まれる。
【0120】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3の全部、並びにR5及びR5*のうちの一方は水素であり、且つR5及びR5*のうちの他方は水素以外、例えばメチルなどのC1-6アルキルである。そのような5’置換LNAヌクレオシドは、国際公開第2007/134181号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0121】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CRab-であり、Ra及びRbのうちの一方又は両方は水素以外、例えばメチルであり、WはOであり、且つR1、R2、R3の全部、並びにR5及びR5*のうちの一方は水素であり、且つR5及びR5*のうちの他方は水素以外、例えばメチルなどのC1-6アルキルである。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは、国際公開第2010/077578号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0122】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、2価のリンカー基-O-CH(CH2OCH3)-(2’O-メトキシエチル二環式核酸を示す―Seth at al., 2010, J. Org. Chem. Vol 75(5) pp.1569-81)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、2価のリンカー基-O-CH(CH2CH3)-(2’O-エチル二環式核酸を示す―Seth at al., 2010, J. Org. Chem. Vol 75(5) pp.1569-81)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CHRa-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのような6’置換LNAヌクレオシドは、国際公開第10036698号及び国際公開第07090071号に開示されており、これらの文献は両方とも本明細書において参照により援用されている。
【0123】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH(CH2OCH3)-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのようなLNAヌクレオシドはまた当該技術分野において環状MOE(cMOE)としても知られており、且つ国際公開第07090071号に開示されている。
【0124】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、R-立体配座又はS-立体配座にある2価のリンカー基-O-CH(CH3)-を示す。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は一体的に、2価のリンカー基-O-CH2-O-CH2-を示す(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH(CH3)-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。また、そのような6’メチルLNAヌクレオシドは当該技術分野においてcETヌクレオシドとしても知られており、(S)cET又は(R)cET立体異性体のいずれかであると考えられる。国際公開第07090071号(β-D)及び国際公開第2010/036698号(α-L)に開示されており、これらの文献は両方とも本明細書において参照により援用されている。
【0125】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CRab-であり、Ra又はRbはいずれも水素でなく、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。幾つかの実施形態において、Ra及びRbは両方ともメチルである。そのような6’ジ置換LNAヌクレオシドは国際公開第2009006478号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0126】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-S-CHRa-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのような6’置換チオLNAヌクレオシドは、国際公開第11156202号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。幾つかの6’置換チオLNA実施形態において、Raはメチルである。
【0127】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-C(=CH2)-C(Rab)-(例えば、-C(=CH2)-CH2-、又は-C(=CH2)-CH(CH3)-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。そのようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、国際公開第08154401号及び国際公開第09067647号に開示されており、これらの文献は両方とも本明細書において参照により援用されている。
【0128】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-N(-ORa)-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、C1-6アルキル、例えばメチルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、N置換LNAとしても知られており、且つ国際公開第2008/150729号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は一体的に、2価のリンカー基-O-NRa-CH3-を示す(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-N(Ra)-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、C1-6アルキル、例えばメチルである。
【0129】
幾つかの実施形態において、R5及びR5*のうちの一方又は両方は、水素であり、且つ置換されている場合、R5及びR5*のうちの他方は、例えばメチルなどのC1-6アルキルである。そのような実施形態において、R1、R2、R3が水素である場合があり、且つビラジカル-X-Y-は-O-CH2-又は-O-C(HCRa)-、例えば-O-C(HCH3)-から選択される場合がある。
【0130】
幾つかの実施形態において、ビラジカルは、-CRab-O-CRab-、例えば、CH2-O-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、C1-6アルキル、例えばメチルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、立体配座的に制約されたヌクレオチド(CRN)としても知られており、且つ国際公開第2013036868号に開示されており、これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0131】
幾つかの実施形態において、ビラジカルは、-O-CRab-O-CRab-(例えば、O-CH2-O-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*の全部がいずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、C1-6アルキル、例えばメチルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、COCヌクレオチドとしても知られており、且つMitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009 37(4), 1225-1238に開示されている。これらの文献は本明細書において参照により援用されている。
【0132】
指定されない限り、LNAヌクレオシドはβ-D又はα-L立体異性体でありうることが認識されるであろう。
【0133】
LNAヌクレオシドの例は、スキーム1に示されている。
スキーム1
【0134】
【化3】
【0135】
実施例に例証されているように、本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド内のLNAヌクレオシドはβ-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0136】
ヌクレアーゼ媒介性分解
ヌクレアーゼ媒介性分解とは、そのような配列一緒になって二本鎖を形成するとき、相補的ヌクレオチド配列の分解を媒介できるオリゴヌクレオチドを指す。
【0137】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、本発明のオリゴヌクレオチドがヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはエンドヌクレアーゼ(RNアーゼ)、例えばRNアーゼHを補充する機能を有する標的核酸のヌクレアーゼ媒介性分解を介して機能しうる。ヌクレアーゼ媒介機構を介して作用するオリゴヌクレオチドのデザインの例は、典型的には少なくとも5個又は6個のDNAヌクレオシドを含み、且つ親和性増強ヌクレオシド、例えばギャップマー、ヘッドマー及びテールマーの領域を介して片側もしくは両側に隣接している、オリゴヌクレオチドである。
【0138】
RNアーゼHの活性及び補充
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNアーゼHの活性は、相補的RNA分子との二本鎖の場合にRNアーゼHを補充する機能を有することを指す。国際公開第01/23613号には、RNアーゼHの補充能力を定量化するために使用可能なRNアーゼH活性を測定するためのインビトロ方法が提供されている。オリゴヌクレオチドは典型的には、相補的な標的核酸配列と共に提供されていると想定した場合、pmol/l/分で測定される初期速度が、試験対象の修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、但しオリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含有するオリゴヌクレオチドを用い、且つ国際公開第01/23613号(本明細書において参照により援用されている)の実施例91~95により提供されている方法論を用いて測定された初期速度の、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%又は20%超であるときに、RNアーゼHを補充する機能を有すると見なされる。
【0139】
ギャップマー
本明細書中に用いられている「ギャップマー」という用語は、1つ以上の親和性増強修飾ヌクレオシド(フランクもしくはウイング)を含む領域を介して5’及び3’に隣接するRNアーゼH補充オリゴヌクレオチド(ギャップ)の領域を含んだアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。本明細書中に記載されているギャップマーデザインには様々な種類がある。ヘッドマー及びテールマーは、フランクの1つが欠落した、すなわち、オリゴヌクレオチドの末端のうちの一方のみが親和性増強修飾ヌクレオシドを含む、RNアーゼHを補充する機能を有するオリゴヌクレオチドである。ヘッドマーの場合、3’フランクが欠落しており(すなわち、5’フランクが親和性修飾ヌクレオシドを含み)、テールマーの場合、5’フランクが欠落している(すなわち、3’フランクが親和性修飾ヌクレオシドを含む)。
【0140】
LNAギャップマー
LNAギャップマーという用語は、親和性増強修飾ヌクレオシドのうちの少なくとも1つがLNAヌクレオシドである、ギャップマーオリゴヌクレオチドをいう。
【0141】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーという用語は、フランク領域が少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つの非LNA修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも1つのDNAヌクレオシド又は少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA及び2’-F-ANAヌクレオシド(類)である、LNAギャップマーを指す。幾つかの実施形態において、混合ウイングギャップマーの一方のフランクはLNAヌクレオシド(例えば5’又は3’)を含み、他方のフランク(それぞれ3’又は5’)は2’置換修飾ヌクレオシドを含む。
【0142】
コンジュゲート
本明細書中に用いられている「コンジュゲート」という用語は、非ヌクレオチド残基(コンジュゲート残基、又は領域Cもしくは第3の領域)に共有結合しているオリゴヌクレオチドを指す。
【0143】
本明細書中に用いられている「コンジュゲート」という用語は、非ヌクレオチド残基(コンジュゲート残基、又は領域Cもしくは第3の領域)に共有結合しているオリゴヌクレオチドを指す。
【0144】
幾つかの実施形態において、非ヌクレオチド残基は、酵素、抗体又は抗体フラグメント又はペプチドなどのタンパク質;脂質、リン脂質、ステロールなどの親油性残基;ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなどのポリマー;受容体リガンド;小分子;レポーター分子;及び非ヌクレオシド炭水化物からなる群から選択される。
【0145】
リンカー
連結基又はリンカーは、1つ以上の共有結合を介して関心対象の或る化学基もしくはセグメントを関心対象の別の化学基もしくはセグメントに連結する、2つの原子間の結合である。コンジュゲート残基は、オリゴヌクレオチドに対し直接的に、又は連結残基(例えば、リンカー又はテザー)を介して結合しうる。リンカーは、第3の領域(例えばコンジュゲート残基)を、オリゴヌクレオチド、例えば領域A又はCの末端に共有結合するのに役立つ。
【0146】
本発明の幾つかの実施形態において、本発明のコンジュゲート又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート残基との間に位置するリンカー領域を任意に含みうる。幾つかの実施形態において、コンジュゲートとオリゴヌクレオチドとの間のリンカーは生物学的に開裂可能である。
【0147】
生物学的に開裂可能なリンカーは、通常遭遇する又は哺乳動物の体内で遭遇するものと類似の条件下で開裂可能な生理学的に不安定な結合を含むか又はその結合からなる。生理的に不安定なリンカーが化学変換(例えば開裂)を受ける条件としては、pH、温度、酸化的もしくは還元的条件、又は薬剤などの化学的条件、並びに哺乳動物細胞に見られる、又はそれに類似の塩濃度が挙げられる。哺乳動物の細胞内条件としては、タンパク質分解酵素、哺乳動物細胞内に通常存在する加水分解酵素又はヌクレアーゼなどからの酵素活性の存在も挙げられる。一実施形態において、生物学的に開裂可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ開裂を受けやすい。好ましい実施形態において、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、1~10個のヌクレオシド、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個のヌクレオシド、より好ましくは2~6個のヌクレオシド、最も好ましくは2~4個の結合ヌクレオシドを含み、このヌクレオシドは、少なくとも2つの連続ホスホジエステル結合、例えば少なくとも3個、4個又は5個の連続ホスホジエステル結合を含む。ヌクレオシドはDNA又はRNAであることが好ましい。ホスホジエステル含有生分解性リンカーは、国際公開第2014/076195号(本明細書において参照により援用されている)に更に詳細に記載されており、本明細書中で領域Dとして言及される場合がある。
【0148】
コンジュゲートはまた、非生体開裂性リンカーを介してオリゴヌクレオチドに連結されてもよく、又は幾つかの実施形態において、コンジュゲートは、生体開裂性リンカーに共有結合している非開裂性リンカーを含む場合がある。必ずしも生物学的に開裂可能である必要はないが、主に、コンジュゲート残基をオリゴヌクレオチド又は生物学的に開裂可能なリンカーに共有結合させるのに役立つ。そのようなリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位もしくはアミノアルキル基などの繰り返し単位の、鎖状構造又はオリゴマーを含む場合がある。幾つかの実施形態において、リンカー(領域Y)は、アミノアルキル、例えば、C6~C12アミノアルキル基などのC2~C36アミノアルキル基である。幾つかの実施形態において、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。コンジュゲートリンカー基は、アミノ修飾オリゴヌクレオチド、及びコンジュゲート基上の活性化エステル基を使用してオリゴヌクレオチドにルーチン的に結合可能である。
【0149】
処置
本明細書中に用いられている「治療」という用語は、既存の疾患(例えば、本明細書中に言及されるような疾患もしくは障害)の治療、又は疾患予防、すなわち予防処置の両方を指す。したがって、幾つかの実施形態において本明細書中に言及されている治療は予防処置的でありうることが認識されるであろう。
【発明の詳細な説明】
【0150】
本発明のオリゴヌクレオチド
本発明は、HTRA1の発現を阻害する機能を有するオリゴヌクレオチドに関する。この調節は、HTRA1をコードするか又はHTRA1の調節に関与する標的核酸とハイブリダイズさせることによって、達成することが可能である。標的核酸は、哺乳動物HTRA1配列、例えば、配列ID1、2、3又は4からなる群から選択される配列でありうる。
【0151】
本発明のオリゴヌクレオチドは、HTRA1(例えば哺乳動物HTRA1)を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0152】
幾つかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的の発現を阻害又は下方制御によって調節する機能を有する。そのような調節によって、標的の正常な発現レベルと比較して発現が少なくとも20%阻害され、標的の通常の発現レベルと比較して例えば少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%阻害されることが好ましい。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、ARPE-19細胞を用いて、HTRA1 mRNAの発現レベルをインビトロで少なくとも60%又は70%まで阻害できる可能性がある。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、RPE-19細胞を用いて、HTRA1 mRNAの発現レベルをAインビトロで少なくとも60%又は70%まで阻害できる可能性がある。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、ARPE-19細胞を用いて、HTRA1タンパク質の発現レベルをインビトロで少なくとも50%まで阻害できる可能性がある。実施例は、HTRA1 RNA又はタンパク質の阻害の測定に使用可能なアッセイを提供するものが好適である(例えば実施例3)。標的調節は、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列と標的核酸との間のハイブリダイゼーションによって誘発される。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチを含む。ミスマッチにもかかわらず、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、HTRA1の発現の所望の調節を示すうえで依然として充分でありうる。ミスマッチに起因する結合親和性の低下は、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド数を増加させることによって、且つ/あるいは標的への結合親和性を増強する機能を有する修飾ヌクレオシド、例えば、オリゴヌクレオチド配列内に存在する、LNAなどの2’修飾ヌクレオシドの数を増加させることによって、補償するのが有利であると思われる。
【0153】
本発明の一態様は、配列番号1、2、3及び4からなる群から選択される核酸などのHTRA1標的配列に対して少なくとも90%相補的である、例えば、HTRA1標的配列に対して完全に相補的である、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド領域を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0154】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の領域に対して少なくとも90%相補的、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%もしくは100%相補的である連続配列を含む。
【0155】
幾つかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が標的核酸の領域に対して完全に相補的(100%相補的)である場合もあれば、あるいは、幾つかの実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含む場合もある。
【0156】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列番号147の領域に対して少なくとも90%相補的、例えば完全に(すなわち100%)相補的である。
【0157】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列番号148、149、150、151、152、153、154及び155からなる群から選択される配列の領域に対して少なくとも90%相補的、例えば、完全に(すなわち100%)相補的である。
【0158】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも14ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列ID147、又は配列番号148、149、150、151、152、153、154及び155からなる群から選択される配列に対して完全に(すなわち100%)相補的である。
【0159】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも16ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列ID147、又は配列番号148、149、150、151、152、153、154及び155からなる群から選択される配列に対して完全に(すなわち100%)相補的である。
【0160】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド領域は、配列番号148、149、150、151、152、153、154及び155からなる群から選択される配列に対して完全に(すなわち100%)相補的である。
【0161】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド領域は、配列番号143、138、139、140、141、142、144及び145
配列番号143:TATTTACCTGGTTGTT
配列番号138:CAAATATTTACCTGGTTG
配列番号139:TTTACCTGGTTGTTGG
配列番号140:CCAAATATTTACCTGGTT
配列番号141:CCAAATATTTACCTGGTTGT
配列番号142:ATATTTACCTGGTTGTTG
配列番号144:ATATTTACCTGGTTGT
配列番号145:ATATTTACCTGGTTGTT
からなる群から選択される配列を含むか又はその配列からなる。
【0162】
オリゴヌクレオチドモチーフ配列は、例えば、ヌクレアーゼ耐性及び/又は標的核酸に対する結合親和性を増強するように修飾できることが理解される。修飾は、「定義」及び「オリゴヌクレオチドのデザイン」の節に記載されている。
【0163】
本発明のオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド領域は、幾つかの実施形態において、標的核酸の領域に対して完全に相補的(100%相補的)であり、あるいは幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含む場合がある。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、標的核酸配列に対して少なくとも90%相補的、例えば、完全に(すなわち100%)相補的である。
【0164】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも12ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列番号5~107もしくは配列番号108~137からなる群から選択される配列に対して100%の同一性を有する。
【0165】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその少なくとも14ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列番号5~107もしくは配列番号108~137からなる群から選択される配列に対して100%の同一性を有する。
【0166】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又は少なくとも16ヌクレオチドのその連続ヌクレオチド配列は、配列番号5~107、又は配列番号108~137からなる群から選択される配列に対して100%の同一性を有する。
【0167】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド領域は、配列番号5~107もしくは配列番号108~137から選択される配列を含むか又はその配列からなる。
【0168】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、以下からなる群から選択される。
【0169】
【表3】
【0170】
配列中:大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、全てのLNAシトシンは5-メチルシトシン(上付き文字mで示す)であり、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である(下付き文字sで示してある)。
【0171】
オリゴヌクレオチドのデザイン
オリゴヌクレオチドのデザインは、オリゴヌクレオチド配列中のヌクレオシド糖修飾のパターンを指す。本発明のオリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシドを含み、且つまた、DNA又はRNAヌクレオシドを含む場合もある。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは糖修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。本発明のオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドを取り込むことによって、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強することが可能である。その事例において、修飾ヌクレオシドは、親和性増強修飾ヌクレオチドと称される場合がある。
【0172】
或る実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15又は少なくとも16個の修飾ヌクレオシドを含む。或る実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1~10個の修飾ヌクレオシド、例えば、2~9個の修飾ヌクレオシド、3~8個の修飾ヌクレオシド、4~7個の修飾ヌクレオシド、6個又は7個の修飾ヌクレオシドを含む。或る実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは修飾を含む場合があり、この修飾は独立に、これら3つのタイプの修飾(修飾糖、修飾核酸塩基及び修飾ヌクレオシド間結合)又はそれらの組み合わせから選択される。オリゴヌクレオチドは1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、例えば、糖修飾ヌクレオシドを含むことが好ましい。本発明のオリゴヌクレオチドは、独立に、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA及びLNAヌクレオシドからなる群から選択される1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含むことが好ましい。1つ以上の修飾ヌクレオシドがLNAであることは、更により好ましい。
【0173】
幾つかの実施形態において、修飾ヌクレオシドのうち少なくとも1個は、ロックド核酸(LNA)であり、例えば修飾ヌクレオシドのうち少なくとも2個(少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個もしくは少なくとも8個)はLNAである。更に別の実施形態において、全ての修飾ヌクレオシドはLNAである。
【0174】
更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。好ましい実施形態において、隣接ヌクレオチド配列内のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート又はボラノホスフェートのヌクレオシド間結合である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの連続配列内の全てのヌクレオチド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0175】
本発明のオリゴヌクレオチドの幾つかの実施形態において、少なくとも1つの修飾ヌクレオシドを含み、この修飾ヌクレオシドは2’-MOE-RNA、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個の2’-MOE-RNAヌクレオシド単位である。幾つかの実施形態において、前記修飾ヌクレオシドのうちの少なくとも1つは2’-フルオロDNA、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個の2’-フルオロ-DNAヌクレオシド単位である。
【0176】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個もしくは8個のLNA単位などの少なくとも1つのLNA単位、例えば2~6個のLNA単位、3~7個のLNA単位、4~8個のLNA単位又は3個、4個、5個、6個、7個のLNA単位などを含む。幾つかの実施形態において、全ての修飾ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。幾つかの実施形態において、全てのLNAシトシン単位は5-メチル-シトシンである。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド領域は、ヌクレオチド配列の5’末端に少なくとも1つのLNA単位を有し、且つ3’末端に少なくとも2つのLNA単位を有する。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド内に存在する全てのシトシン核酸塩基は、5-メチル-シトシンである。
【0177】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNA単位及び少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシドを含む。
【0178】
本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド及びDNA単位の両方を含む。
【0179】
本発明の一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHを補充する機能を有する。
【0180】
本発明のオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド領域は、幾つかの実施形態において、ギャップマーオリゴヌクレオチドである。
【0181】
ギャップマーデザイン
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド領域は、本明細書中で単に「ギャップマー」とも呼ばれる、ギャップマーデザイン又はギャップマー構造を有する。ギャップマー構造において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも5つの個別の構造領域、5’フランク、ギャップ及び3’フランク、F-G-F’を「5’→3’」の配向にて含む。このデザインにおいて、フランキング領域F及びF’(別称:ウイング領域)は、領域Gに隣接する少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを含み、幾つかの実施形態において、2~7個の糖修飾ヌクレオシドの連続ストレッチ、又は糖修飾及びDNAヌクレオシドの連続ストレッチ(糖修飾及びDNAヌクレオシドの両方を含む混合ウイング)を含む場合がある。結果として、ギャップ領域に隣接する5’フランキング領域及び3’フランキング領域のヌクレオシドは、2’修飾ヌクレオシドなどの糖修飾ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドがHTRA1標的核酸と二重鎖を成す場合、ギャップ領域Gは、RNアーゼHを補充する機能を有するヌクレオチドの連続ストレッチを含む。幾つかの実施形態において、領域Gは、5~16個のDNAヌクレオシドの連続ストレッチを含む。ギャップマー領域F-G-F’は、HTRA1標的核酸に対して相補的であり、それゆえ、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域でありうる。
【0182】
領域Gの5’末端及び3’末端に隣接する領域F及びF’は、1つ以上の親和性増強修飾ヌクレオシドを含む場合がある。幾つかの実施形態において、3’フランクに含まれるLNAヌクレオシドは少なくとも1つであり、少なくとも2つのLNAヌクレオシドが含まれることが好ましい。幾つかの実施形態において、5’フランクは、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態では、5’フランキング領域及び3’フランキング領域の両方が、LNAヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態では、フランキング領域の全てのヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである。他の実施形態において、フランキング領域は、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシドなどの他のヌクレオシド(混合フランク)の両方、並びに/又は2’置換ヌクレオシドなどの非LNA修飾ヌクレオシドを含む場合がある。この事例において、ギャップは、5’及び3’末端にLNA、例えばβ-D-オキシ-LNAなどの親和性増強修飾ヌクレオシドが隣接する少なくとも5つのRNアーゼH補充ヌクレオシド(5~16個のDNAヌクレオシドなど)の連続配列として定義される。
【0183】
領域F
領域Gの5末端に結合された領域F(5’フランクもしくは5’ウイング)は、少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個の修飾ヌクレオシドを含むか、含有するか、又はその糖修飾ヌクレオシドからなる。幾つかの実施形態において、領域Fは、1~7個の修飾ヌクレオシド、例えば2~6個の修飾ヌクレオシド、例えば2~5個の修飾ヌクレオシド、例えば2~4個の修飾ヌクレオシド、例えば1~3個の修飾ヌクレオシド、例えば1個、2個、3個もしくは4個の修飾ヌクレオシドを含むか、又はその修飾ヌクレオシドからなる。
【0184】
或る実施形態では、領域F内の修飾ヌクレオシドのうちの1つ以上又は全部が、2’修飾ヌクレオシドである。
【0185】
更なる実施形態において、領域Fの1つ以上の2’修飾ヌクレオシドは、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位及び2’-フルオロ-ANA単位から選択される。
【0186】
本発明の一実施形態では、領域F内の全ての修飾ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、領域FのLNAヌクレオシドは独立に、β-D立体配座又はα-L立体配座のいずれかにおける、オキシ-LNA、チオ-LNA、アミノ-LNA、cET及び/もしくはENA、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態において、領域Fは、連続配列の5’末端に少なくとも1つのβ-D-オキシLNA単位を有する。
【0187】
領域G
領域G(ギャップ領域)は、RNアーゼHを補充する機能を有する5~16個の連続DNAヌクレオシドを含むか、含有するか、又はその連続DNAヌクレオシドからなる場合がある。更なる実施形態において、領域Gは、RNアーゼHを補充する機能を有する5~12個、もしくは6~10個、もしくは7~9個、例えば8個、の連続ヌクレオチド単位を含むか、含有するか、又はその連続ヌクレオチド単位からなる。
【0188】
更に別の実施形態では、領域G内の少なくとも1つのヌクレオシド単位が、DNAヌクレオシド単位、例えば4~20個又は6~18個、5~16個など、のDNA単位であり、幾つかの実施形態では、領域G内の全てのヌクレオシドがDNA単位である。
【0189】
更なる実施形態において、領域Gは、DNAと、RNアーゼHの開裂を媒介しうる他のヌクレオシドとの混合物からなる場合がある。幾つかの実施形態において、領域Gのヌクレオシドの少なくとも50%は、DNAで占められる、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%がDNAで占められる。
【0190】
領域F’
領域Gの3つの端部に付着された領域F’(3’フランクもしくは3’ウイング)は、少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個の修飾ヌクレオシドを含むか、含有するか、又はその糖修飾ヌクレオシドからなる。幾つかの実施形態において、領域F’は、1~7個の修飾ヌクレオシド、例えば、2~6個の修飾ヌクレオシド、2~5個の修飾ヌクレオシド、2~4個の修飾ヌクレオシド、1~3個の修飾ヌクレオシド、1個、2個、3個もしくは4個の修飾ヌクレオシドを含むか又はその修飾ヌクレオシドからなる。
【0191】
或る実施形態では、領域F’の修飾ヌクレオシドの1つ以上又は全部が、2’修飾ヌクレオシドである。
【0192】
更なる実施形態において、領域F’内の1つ以上の2’修飾ヌクレオシドは、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位及び2’-フルオロ-ANA単位から選択される。
【0193】
本発明の一実施形態では、領域F’内の全ての修飾ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、領域F’内のLNAヌクレオシドは独立に、β-D又はα-L立体配座のいずれかにおけるオキシ-LNA、チオ-LNA、アミノ-LNA、cET、及び/もしくはENA、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態において、領域F’は、連続配列の5’末端に少なくとも1つのβ-D-オキシLNA単位を有する。
【0194】
領域D、D’及びD”
本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して相補的である連続ヌクレオチド領域を含む。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、本明細書中で領域Dと称される連続ヌクレオチド領域の5’及び/又は3’に位置する追加的なヌクレオチドを更に含む場合がある。領域D’及びD”はそれぞれ、領域Fの5’末端又は領域F’の3’末端に結合することが可能である。D領域(領域D’又はD”)は、幾つかの実施形態では、標的核酸に対して相補的な連続ヌクレオチド配列の一部を形成する場合があり、あるいは他の実施形態では、標的核酸に対して非相補的である場合がある。
【0195】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド領域、及び任意で1~5個の追加的な5’ヌクレオチド(領域D’)からなるか又はその5’ヌクレオチドを含む。
【0196】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド領域、及び任意で1~5個の追加的な3’ヌクレオチド(領域D”)からなるか又はその3’ヌクレオチドを含む。
【0197】
領域D’又はD”は独立に1個、2個、3個、4個もしくは5個の追加的なヌクレオチドを含む場合があり、このヌクレオチド標的核酸に対して相補的又は非相補的でありうる。この点に関して、幾つかの実施形態における本発明のオリゴヌクレオチドは、追加的なヌクレオチドを介して5’及び/又は3’末端に隣接する標的を調節する機能を有する連続ヌクレオチド配列を含む場合がある。そのような追加的なヌクレオチドは、ヌクレアーゼ感受性の生体開裂性リンカーとして機能しうるため、本発明のオリゴヌクレオチドに対しコンジュゲート残基などの官能基を結合させる目的に使用される場合がある。幾つかの実施形態において、追加的な5’、及び/もしくは3’末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結され、DNA又はRNAでありうる。別の実施形態では、追加的な5’及び/又は3’末端ヌクレオチドは、例えば、ヌクレアーゼの安定性増強、又は合成の容易化を目的に取り入れられる場合のある、修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド領域だけでなく、領域D’及び/又はD”も含む。
【0198】
幾つかの実施形態において、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式で表すことができる。
F-G-F’;特にF1-7-G4-12~F’1-7
D’-F-G-F’、特にD’1-3-F1-7-G4-12~F’1-7
F-G-F’-D”、特にF1-7-G4-12~F’1-7-D”1-3
D’-F-G-F’-D”、特にD’1-3-F1-7-G4-12~F’1-7-D”1-3
【0199】
製造方法
更なる態様において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを製造する方法を提供する。本方法は、ヌクレオチド単位を反応させることによって、オリゴヌクレオチド内に含まれる共有結合された連続ヌクレオチド単位を形成することを含む。本方法は、フォフォラミダイト化学を用いるものであるのが好ましい(例えば、Caruthers et al, 1987, Methods in Enzymology vol. 154, pages 287-313を参照)。更なる実施形態において、本方法は更に、連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート残基(リガンド)と反応させることを含む。更なる態様では、本発明のオリゴヌクレオチド又は共役オリゴヌクレオチドを、医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/もしくはアジュバントと混合することを含む、本発明の組成物の製造方法が提供されている。
【0200】
医薬塩
本発明のオリゴヌクレオチドは、治療剤として用いることを目的に、ナトリウム塩又はカリウム塩などの好適な医薬塩として提供される場合がある。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドはナトリウム塩である。
【0201】
医薬組成物
更なる態様において、本発明は、前述のオリゴヌクレオチド、及び/又はオリゴヌクレオチドコンジュゲート、並びに医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントのいずれかを含む医薬組成物を提供する。医薬的に許容される希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。医薬的に許容される塩としては、限定されないが、ナトリウム及びカリウム塩が挙げられる。幾つかの実施形態において、医薬的に許容される希釈剤は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、50~300μMの濃度の医薬的に許容される希釈剤中に使用される。本発明のオリゴヌクレオチドの幾つかの実施形態において、10~1000μgの用量で投与される。
【0202】
本明細書において参照により援用されている国際公開第2007/031091号には、医薬的に許容される希釈剤、担体及びアジュバントの好適且つ好ましい例が提供されている。また、国際公開第2007/031091号には、好適な投薬量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との組み合わせ、プロドラッグ製剤も提供されている。
【0203】
本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートを、医薬的に許容される活性物質又は不活性物質と混合することによって、医薬組成物又は製剤を調製することが可能である。医薬組成物の製剤のための組成物及び方法は、限定されないが、投与経路、疾患の程度、又は投与すべき用量をはじめとする幾つかの基準に依存する。
【0204】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、プロドラッグである。特に、オリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、プロドラッグが作用部位、例えば標的細胞、に送達されると、コンジュゲート残基はオリゴヌクレオチドから開裂される。
【0205】
用途
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、診断薬、治療薬及び予防のための研究試薬として利用できる。
【0206】
そのようなオリゴヌクレオチドを研究に用いることで、細胞(例えばインビトロ細胞培養物)、及び実験動物におけるHTRA1タンパク質の合成を特異的に調節し、それにより、標的の機能分析又はその有用性の評価を、治療介入の標的として容易化することが可能である。典型的には、タンパク質を産生するmRNAを分解又は阻害し、それにより、タンパク質形成を妨げるか、あるいはタンパク質を産生する遺伝子もしくはmRNAのモジュレーターを分解又は阻害することによって、標的調節が達成される。
【0207】
ノーザンブロッティング、インシチュ・ハイブリダイゼーション又は類似の技術を介して細胞及び組織内でのHTRA1の発現を検出し定量することを目的に、診断にオリゴヌクレオチドが使用される場合もある。
【0208】
治療用に、疾患又は障害を有する疑いのある動物又はヒトは、HTRA1の発現を調節することによって治療可能である。
【0209】
本発明は、疾患を治療もしくは予防するための方法を提供する。本方法は、治療上もしくは予防上有効な量のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は本発明の医薬組成物を、疾患に罹患しているか又は罹患しがちな被験者に投与することを含む。
【0210】
本発明はまた、医薬品として用いるための、本明細書中に定義されているオリゴヌクレオチド、組成物又はコンジュゲートにも関する。
【0211】
本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は典型的に、有効量にて投与される。
【0212】
本発明はまた、本明細書中に言及されている障害を治療するための薬剤の製造、又は本明細書中に言及されている障害を治療するための方法に関して記載されている、本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用を提供する。
【0213】
本明細書中に言及されている疾患又は障害は、HTRA1の発現に関連する。幾つかの実施形態において、疾患又は障害は、HTRA1遺伝子における突然変異、又はそのタンパク質産物がHTRA1と関連もしくは相互作用する遺伝子における突然変異と関連する場合がある。したがって、幾つかの実施形態において、標的核酸は、HTRA1配列の変異型であり、他の実施形態では、標的核酸は、HTRA1配列のレギュレーターである。
【0214】
本発明の方法は、HTRA1のレベル及び/又は活性が異常になった場合に引き起こされる疾患の治療又は予防を目的に使用するのが好ましい。
【0215】
本発明は更に、HTRA1のレベル及び/又は活性の異常の治療を目的とした薬品製造用の本明細書中に定義されているオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物の使用に関する。
【0216】
一実施形態では、本発明は、乾性AMDもしくは湿性AMDなどの加齢性黄斑変性症(AMD)などの黄斑変性症、及び糖尿病性網膜症をはじめとする眼疾患から選択される疾患もしくは障害の治療に使用することを目的としたものである、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物に関する。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、地理学的萎縮もしくは中間体dAMDの治療において使用される場合がある。HTRA1は、アルツハイマー病及びパーキンソン病においても適応とされており、したがって、幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、アルツハイマー病又はパーキンソン病の治療において使用される場合がある。HTRA1は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、家族性虚血性大脳小血管疾患においても適応とされている。それゆえ、幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、又は家族性虚血性大脳小血管疾患において使用される場合がある。
【0217】
投与
本発明のオリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、局所的に(例えば、皮膚、吸入、眼又は耳に)、あるいは経腸(例えば、経口又は胃腸管経由で)、あるいは非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、大脳内、脳室内又は髄腔内に)投与することが可能である。
【0218】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、コンジュゲート又は医薬組成物は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射又は注入、くも膜下腔内又は頭蓋内、例えば、髄腔内又は頭蓋内、脳室内もしくは脳室内投与など、の経路を含む、非経口経路によって投与される。幾つかの実施形態において、活性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、静脈内投与される。別の実施形態において、活性オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、皮下投与する。
【0219】
黄斑変性症、例えばAMD(湿性又は乾性)などの眼疾患の治療用に、眼内注射が用いられる場合もある。
【0220】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物、又はその医薬的に許容される塩は、約50μg~約150μg/片眼、例えば約100μg/片眼(約10μg~約200μg/片眼)の用量の眼内注射によって投与される。幾つかの実施形態において、投薬間隔、すなわち連続投薬の間の期間は少なくとも毎月1回、例えば、少なくとも2か月毎に1回、又は少なくとも3か月毎に1回、である。
【0221】
併用療法
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、他の治療剤との併用治療に使用することを目的としたものである。治療剤は、例えば、上記疾患又は障害に対する標準治療とされる場合がある。
【0222】
本発明の実施形態
実施形態1
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号147:
配列番号147:5’CCAACAACCAGGTAAATATTTG3’に対して少なくとも90%、例えば100%、相補的である10~22個のヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む、10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0223】
実施形態2
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、HTRA1 mRNAの発現を阻害する機能を有する、実施形態1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0224】
実施形態3
連続ヌクレオチド領域が、配列番号138、139、140、141、142、143、144及び145:
配列番号138:CAAATATTTACCTGGTTG
配列番号139:TTTACCTGGTTGTTGG
配列番号140:CCAAATATTTACCTGGTT
配列番号141:CCAAATATTTACCTGGTTGT
配列番号142:ATATTTACCTGGTTGTTG
配列番号143:TATTTACCTGGTTGTT
配列番号144:ATATTTACCTGGTTGT
配列番号145:ATATTTACCTGGTTGTT
からなる群から選択される配列内に存在する配列と同一である、実施形態1又は2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
実施形態4
連続ヌクレオチド領域が、配列番号146:
配列番号146:TTTACCTGGTT
の配列を含む、実施形態1から3の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0225】
実施形態5
オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域が、配列番号138、139、140、141、142、143、144及び145のいずれか1つから選択される配列からなるか又はその配列を含む、実施形態1から4の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0226】
実施形態6
オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域が、1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含む、実施形態1から5の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0227】
実施形態7
1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドが独立に2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA及びLNAヌクレオシドからなる群から選択される、実施形態6に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0228】
実施形態8
1つ以上の修飾ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、実施形態5~7のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0229】
実施形態9
オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域が、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、例えば1つ以上のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、実施形態1から8の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0230】
実施形態10
連続ヌクレオチド領域内の全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態9に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0231】
実施形態11
オリゴヌクレオチドが、RNアーゼHを補充する機能を有する、実施形態1から10の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0232】
実施形態12
オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、ギャップマーであるか又はそのギャップマーを含む、実施形態1から11の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0233】
実施形態13
オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、式5’-F-G-F’-3’のギャップマーであり、領域F及びF’は独立に1~7個の糖修飾ヌクレオシドを含み、且つGが、RNアーゼHを補充する機能を有する領域6~16個のヌクレオシドであり、領域Gに隣接する領域F及びF’のヌクレオシドが糖修飾ヌクレオシドである、実施形態11又は12に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0234】
実施形態14
領域Gが6~16個のDNAヌクレオシドからなるか又はそのDNAヌクレオシドを含む、実施形態13に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0235】
実施形態15
領域F及びF’がそれぞれ少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む、実施形態13又は14に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0236】
実施形態16
sssssssssssssssssG(配列番号138、化合物番号138.1)
sssssssssssssssG(配列番号139、化合物番号139.1)
sssssssssssssssssT(配列番号140、化合物番号140.1)
sssssssssssssssssssT(配列番号141、化合物番号141.1)
sssssssssssssssssG(配列番号142、化合物番号142.1)
sssssssssssssssT(配列番号143、化合物番号143.1)
sssssssssssssssT(配列番号143、化合物番号143.2)
sssssssssssssssT(配列番号143、化合物番号143.3)
sssssssssssssssT(配列番号144、化合物番号144.1)
sssssssssssssssT(配列番号144、化合物番号144.2)
ssssssssssssssssT(配列番号145、化合物番号145.1)
ssssssssssssssssT(配列番号145、化合物番号145.2)
ssssssssssssssssT(配列番号145、化合物番号145.3)
から選択される群から選択される、実施形態1から15の何れか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0237】
配列中:大文字はLNAヌクレオシド単位を表し、小文字はDNAヌクレオシド単位を表し、下付き文字sはホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、全てのLNAシトシンは5-メチルシトシンとする。
【0238】
実施形態17
LNAヌクレオシドがいずれもβ-D-オキシLNAヌクレオシドである、実施形態16に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0239】
実施形態18
実施形態1から17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、及び前記オリゴヌクレオチドに共有結合された少なくとも1つのコンジュゲート残基を含む、コンジュゲート。
【0240】
実施形態19
実施形態1から17に記載のオリゴヌクレオチド又は実施形態18に記載のコンジュゲート、並びに医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントを含む医薬組成物。
【0241】
実施形態20
HTRA1を発現する標的細胞におけるHTRA1の発現を調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、実施形態1から17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態18に記載のコンジュゲート、又は実施形態19に記載の医薬組成物を、前記細胞に対し有効量にて投与することを含む、前記方法。
【0242】
実施形態21
治療上もしくは予防上有効な量の実施形態1から17の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチド、実施形態18に記載のコンジュゲート、又は実施形態19に記載の医薬組成物を、疾患に罹患しているか又は罹患しがちな被験者に投与することを含む、疾患を治療もしくは予防するための方法。
【0243】
実施形態22
本疾患が、黄斑変性(例えば、湿性AMD、乾性AMD、地理的萎縮、中間体dAMD、糖尿病性網膜症)、パーキンソン病、アルツハイマー病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、及び家族性虚血性大脳小血管疾患からなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
【0244】
実施形態23
薬品中に用いるための、実施形態1から17の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態18に記載のコンジュゲート、又は実施形態19に記載の医薬組成物。
【0245】
実施形態24
黄斑変性(例えば、湿性AMD、乾性AMD、地理的萎縮、中間体dAMD、糖尿病性網膜症)、パーキンソン病、アルツハイマー病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、及び家族性虚血性大脳小血管疾患からなる群から選択される疾患の治療もしくは予防に用いるための、実施形態1から17の何れか一項に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態18に記載のコンジュゲート、又は実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0246】
実施形態25
黄斑変性(例えば、湿性AMD、乾性AMD、地理的萎縮、中間体dAMD、糖尿病性網膜症)、パーキンソン病、アルツハイマー病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、変形性関節症などの関節炎、及び家族性虚血性大脳小血管疾患からなる群から選択される疾患の治療もしくは予防を目的とした医薬品調製用の、実施形態1から17に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態18に記載のコンジュゲート、又は実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【実施例
【0247】
材料及び方法
オリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野において遍く知られている。適用可能なプロトコルについては後述する。本発明のオリゴヌクレオチドは、使用された装置、支持体及び濃度の点で僅かに異なる方法で製造されたものであってもよい。
【0248】
Oligomaker 48で、ホスホルアミダイトアプローチを用いてウリジンユニバーサル支持体上で1μmolスケールにてオリゴヌクレオチドを合成する。合成終了時に、水性アンモニアを60℃にて5~16時間用い、固体支持体からオリゴヌクレオチドを開裂させる。逆相HPLC(RP-HPLC)又は固相抽出によってオリゴヌクレオチドを精製し、UPLCによって特性評価して、ESI-MSを介して分子量を更に確証する。
【0249】
オリゴヌクレオチドの伸長:
β-シアノエチル-ホスホラミダイト(DNA-A(Bz)、DNA-G(ibu)、DNA-C(Bz)、DNA-T、LNA-5-メチル-C(Bz)、LNA-A(Bz)、LNA-G(dmf)、LNA-T)の連結は、0.1Mの5’-O-DMT-保護アミダイトアセトニトリル溶液、及び活性化剤としてのDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)アセトニトリル(0.25M)溶液を用いて実施する。最終サイクル用に、所望の修飾を有するホスホラミダイト、例えば、コンジュゲート基を結合させるためのC6リンカー、又はそのようなコンジュゲート基、を使用してもよい。チオール化によるホスホロチオエート結合の導入は、水素化キサンタン(アセトニトリル/ピリジンを9:1とした0.01M溶液)を用いて実施する。ホスホジエステル結合は、ヨウ素をTHF/ピリジン/水が7:2:1中に溶かした0.02M溶液を用いて導入できる。残りの試薬は、オリゴヌクレオチド合成に用いられる典型的な試薬である。
【0250】
固相合成後の共役用に、市販のC6アミノリンカーフォルフォラアミダイトを固相合成の最後のサイクルで用い、脱保護して固体支持体から開裂させた後、アミノ結合脱保護オリゴヌクレオチドを単離することが可能である。標準的な合成方法を用い、官能基を活性化することによってコンジュゲートを導入する。
【0251】
RP-HPLCによる精製:
Phenomenex Jupiter C18の10μ150×10mmカラム上で、分取RP-HPLCによって粗化合物を精製する。0.1M酢酸アンモニウムpH8及びアセトニトリルを、5mL/分の流速で緩衝液として使用する。収集された画分を凍結乾燥すると、精製化合物が典型的には白色固体として得られる。
【0252】
略語:
DCI:4,5-ジシアノイミダゾール
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMT:4,4’-ジメトキシトリチル
THF:テトラヒドロフラン
Bz:ベンゾイル
Ibu:イソブチリル
RP-HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー
【0253】
mアッセイ:
オリゴヌクレオチド及びRNA標的(リン酸結合、PO)二本鎖を500mlのRNアーゼフリー水中に入れて3mMになるように希釈し、500mlの2×Tm緩衝液(200mMのNaCl、0.2mMのEDTA、20mMのリン酸、pH7.0)と混合する。溶液を3分間95℃に加熱し、次いで室温で30分間アニールさせる。PE Templabソフトウェア(Perkin Elmer)を用い、ペルチェ温度プログラマーPTP6付きLambda 40 UV/VIS分光光度計で、二本鎖融解温度(Tm)を測定する。温度を20℃から95℃に上昇させ、次いで再度25℃に低下させて、260nmにて吸光度を連続的に記録した。融解及びアニーリングの両方に対して一次導関数及び極大値を用い、二次Tmを評価する。
【0254】
実施例1:C6細胞株におけるラットHtra1を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドの、単回投与濃度でのインビトロ有効性試験
ラットのC6細胞株をATCCから購入し、サプライヤーの推奨事項に準じて加湿インキュベーター内で、37℃、5%CO2で維持した。アッセイ用に、96マルチウェルプレート内の培養培地に、1500個のC6細胞/ウェルを播種した。細胞を2時間インキュベートした後、オリゴヌクレオチドを溶解させたPBS溶液を加えた。オリゴヌクレオチドの濃度:25μM。オリゴヌクレオチドを加えてから4日後に細胞を回収した。PureLink Pro 96 RNA精製キット(Ambionをメーカーの指示に従って)を使用して、RNAを抽出した。次いで、M-MLT逆転写酵素、ランダムデカマーRETROscript、RNアーゼ阻害剤(Ambionををメーカーの指示に従って)を使用し、100mMのdNTPセットPCRグレード(Invitrogen)、及びDNアーゼ/RNアーゼフリー水(Gibco)を用いて、cDNAを合成した。遺伝子発現分析用に、TaqMan Fast Advanced Master Mix (2X)(Ambion)を用いて、qPCRをデュプレックスセットアップで行った。qPCRに使用されたTaqManプライマーアッセイは以下のとおりである。
Htra1、Rn00581870_m1(FAM-MGB);ハウスキーピング遺伝子、Tbp、Rn01455646_m1(VIC-MGB)。プライマーセットはいずれもLife Technologiesから購入されたものである。表中のHtra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBSで処理された細胞)の%として示してある。
【0255】
使用されたメチオリゴヌクレオチドは下掲のとおりである。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0256】
化合物に関して:大文字はLNAヌクレオシド(β-D-オキシLNAヌクレオシドが使用されていること)を表し、全てのLNAシトシンは5-メチルシトシンであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、上付き文字mで始まるDNAシトシンは5-メチルC-DNAヌクレオシドを表す。ヌクレオシド間結合はいずれもホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0257】
実施例2:C6細胞株内のラットHtra1を標的化する選択されたオリゴヌクレオチドの、インビトロ効力及び有効性試験の用量反応曲線
ラットC6細胞株は、実施例1に記載のものであった。アッセイは、実施例1に記載されているようにして実施された。オリゴヌクレオチドの濃度:50μM~、半対数希釈、8ポイント。オリゴヌクレオチドを加えてから4日後に細胞を回収した。RNA抽出、cDNAの合成及びqPCRは、実施例1に記載されているようにして実施された。n=2×生物学的複製。EC50の測定をGraphPad Prism 6で行った。50μMオリゴヌクレオチドで処理したときの、Htra1のmRNAの相対的なレベルを、対照(PBS)の%として表に示す。追加的なプライマーセット(Htra1、Rn00668987_m1[FAM-MGB]とその対照とされたPpia、Rn006900933_m1[VIC-MGB]及びHprt、Rn01527840_m1[VIC-MGB])に関しても同様に試験を実施し、これらのプライマーを用いて同じ傾向が観察された(データ不図示)。
【0258】
【表5】
【0259】
実施例3:U251細胞株におけるヒトHTRA1を標的化するオリゴヌクレオチドの、単回投与濃度でのインビトロ有効性試験
ヒト神経膠芽腫U251細胞株をECACCから購入し、サプライヤーの推奨事項に従って加湿インキュベーター内で、37℃、5%CO2にて維持した。アッセイ用に、15000個のU251細胞/ウェルを、96マルチウェルプレートに入れた飢餓培地(FBSを10%でなく1%としたこと以外はサプライヤーによって推奨される培地)に播種した。細胞を24時間インキュベートした後、オリゴヌクレオチドを溶解させたPBS溶液を加えた。オリゴヌクレオチドの濃度:5μM。化合物を添加してから3~4日後に、培地を除去し、新しい培地(オリゴヌクレオチドなし)を加えた。オリゴヌクレオチドを加えてから6日後に細胞を回収した。PureLink Pro 96 RNA精製キット(Ambionをメーカーの指示に従って)を使用して、RNAを抽出した。次いで、M-MLT逆転写酵素、ランダムデカマーRETROscript、RNアーゼ阻害剤(Ambionをメーカーの指示に従って)を使用し、100mMのdNTPセットPCRグレード(Invitrogen)、及びDNアーゼ/RNアーゼフリー水(Gibco)を用いて、cDNAを合成した。遺伝子発現分析用に、TaqMan Fast Advanced Master Mix (2X)(Ambion)を用いて、qPCRをデュプレックスセットアップで行った。TaqManプライマーアッセイ後、HTRA1、Hs01016151_m1(FAM-MGB);ハウスキーピング遺伝子、TBP、Hs4326322E(VIC-MGB)(Life Technologies製)を使用してqPCRを行った。表中のHTRA1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBSで処置された細胞)の%として示してある。
【0260】
【表6】
【0261】
化合物に関して:大文字はLNAヌクレオシド(β-D-オキシLNAヌクレオシドが使用されていること)を表し、全てのLNAシトシンは5-メチルシトシンであり、小文字はDNAヌクレオシドであり、上付き文字mで始まるDNAシトシンは5-メチルC-DNAヌクレオシドを表す。全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0262】
実施例4:ARPE19及びU251細胞株内のヒトHTRA1 mRNAを標的化するオリゴヌクレオチドライブラリーの、2通りの濃度でのインビトロ有効性試験
HTRA1に対する有望な「ホットスポット」領域の同定n=129のヒト/カニクイザル/ラットHTRA1 LNAオリゴヌクレオチドのライブラリーを、U251及びARPE19細胞株にてスクリーニングした。図1に示すように、本発明者らは、このライブラリーから33042位から33064位までのヒトHTRA1プレmRNA(配列番号2)を標的化する一連の活性オリゴヌクレオチドを同定した。
【0263】
ヒト網膜色素上皮ARPE19細胞株をATCCから購入し、DMEM-F12(Sigma、D8437)、10%FBS、1%pen/strep中に溶かし、37°C、5%CO2の加湿インキュベーター内で維持した。U251細胞株は、実施例3に記載のものであった。アッセイ用に、96マルチウェルプレートに入れた培養培地(ただし、FBSは10%ではなく5%のもの)中に、ARPE19細胞を5000/ウェルにて播種した。細胞を1時間インキュベートした後で、PBS中に溶解されたオリゴヌクレオチドを加えた。オリゴヌクレオチドを加えてから4日後に細胞を回収した。U251細胞株を用いたアッセイを、実施例3に記載されているようにして実施した。オリゴヌクレオチドの濃度:25及び2.5μM。RNeasy 96 Biorobot 8000キット(Qiagenを製造元の指示に従って)を、使用してRNAを抽出した。次いで、Retroscript cDNA合成キット(ThermoFisherを、製造元の指示に従って)を使用してcDNAを合成した。遺伝子発現分析については、Pluidigm Biomarkシステムを使用して、qPCRを実行された。qPCRに使用されたTaqManプライマーアッセイは、以下のとおりである。HTRA1、Hs01016151_m1;ハウスキーピング遺伝子TBP、Hs99999910_m1;PPIA、Hs99999904_m1(Life Technologies製)。n=2×生物学的複製。HTRA1 mRNAの相対的な発現レベルは、表中に対照(PBS)の%として示してある。追加的なHTRA1プライマーセット(Hs00170197_m1)も試験し、同じ傾向が観察された(データ不図示)。
【0264】
【表7】
【0265】
化合物に関して:大文字はLNAヌクレオシド(β-D-オキシLNAヌクレオシドが使用されていること)を表し、全てのLNAシトシンは5-メチルシトシンであり、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合。
【0266】
実施例5:ラットC6細胞株におけるLNAオリゴヌクレオチドを標的化する選択されたヒト/ラットHTRA1の、単回投与濃度でのインビトロ有効性試験
ラットC6細胞株は、実施例1に記載のものであった。アッセイは、実施例1に記載されているようにして実施された。オリゴヌクレオチドの濃度:25μM。n=2×生物学的複製。表中のHtra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBSで処理された細胞)の%として示してある。
【0267】
【表8】
【0268】
実施例6:用量反応において、ARPE19、U251及びC6細胞株内の選択されたヒト/カニクイザル/ラットLNAオリゴヌクレオチドのインビトロ効力及び有効性試験
ARPE19、U251及びC6細胞株はそれぞれ、実施例4、実施例3及び実施例1に記載のものであった。アッセイ用に、サプライヤーによって推奨された96マルチウェルプレートに入れた培養培地中に、2000×U251又はARPE19細胞/ウェルにて播種した。細胞を2時間インキュベートした後、オリゴヌクレオチドを溶解させたPBS溶液を加えた。C6細胞株アッセイは、実施例1~2に記載されているようにして実施された。オリゴヌクレオチドの濃度:50μM~、半対数希釈、8ポイント。オリゴヌクレオチドを加えてから4日後に細胞を回収した。RNA抽出、cDNAの合成及びqPCRは、全ての細胞株を対象とし、実施例1に記載されているようにして実施された。U251及びARPE19細胞に使用されたTaqManプライマーアッセイは以下のとおりである。
HTRA1、Hs01016151_m1(FAM-MGB);ハウスキーピング遺伝子、TBP、Hs4326322E(VIC-MGB)。プライマーセットはいずれもLife Technologiesから購入されたものである。n=2×生物学的複製。EC50の測定をGraphPad Prism 6で行った。50μMオリゴヌクレオチドで処理したときの、HTRA1のmRNAの相対的なレベルを、対照(PBS)の%として表に示す。
【0269】
【表9】
【0270】
実施例7:ARPE19及びU251細胞株における選択されたヒトHTRA1標的化オリゴヌクレオチドの、単回投与濃度でのインビトロ有効性試験
ARPE19及びU251細胞株及びアッセイは、実施例6に記載のものであった。RNA抽出を、実施例1に記載されているようにして実施した。cDNAの合成及びqPCRを、qScript XLT one-step RT-qPCR ToughMix Low ROX, 95134-100(Quanta Biosciences)を使用して行った。デュプレックスセットアップでU251及びARPE19細胞に使用されたTaqManプライマーアッセイは以下のとおりである。
HTRA1、Hs01016151_m1(FAM-MGB);ハウスキーピング遺伝子、GAPDH、Hs4310884E(VIC-MGB)。プライマーセットはいずれもLife Technologiesから購入されたものであった。n=1生物学的複製。表中のHTRA1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBSで処置された細胞)の%として示してある。また、追加的なプライマーセット(HTRA1、Hs00170197_m1[FAM-MGB]とその対照とされたTBP Hs4326322E[VIC-MGB])に関してもU251を試験し、これらのプライマーを用いて同じ傾向が観察された(データ不図示)。図2を参照のこと。
【0271】
【表10】
【0272】
実施例8:ヒト初代RPE細胞におけるインビトロ有効性及び効力試験
ヒト初代網膜色素上皮(hpRPE)細胞は、Sciencell(カタログ番号6540)から購入されたものであった。アッセイ用に、ラミニン(Laminin 521、BioLaminaカタログ番号LN521-03)でコーティングされた96マルチウェルプレート内の培養培地(EpiCM、Sciencellカタログ番号4101)中に、hpRPEを5000細胞/ウェルにて播種する。これらをこの培地中で1週間増殖させ、以下の培地:N1補助剤(Sigmaカタログ番号N-6530)を補給したMEMα培地(Sigmaカタログ番号M-4526)、グルタミン-ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigmaカタログ番号G-1146)、非必須アミノ酸(NEAA、Sigmaカタログ番号M-7145)、タウリン(Sigmaカタログ番号T-0625)、ヒドロコルチゾン(Sigmaカタログ番号H-03966)、トリヨード-サイロニン(Sigmaカタログ番号T-5516)、及びウシ血清アルブミン(BSA、Sigmaカタログ番号A-9647)を用いて2週間分化させる。細胞を、加湿インキュベーター内で37℃、5%CO2にて培養する。
【0273】
実験の当日に、細胞を新鮮な分化培地と共に1時間インキュベートした後、オリゴヌクレオチドを加える。0日目及び4日目に、これらをPBS中に溶解させ、そのPBS溶液を細胞に塗布する。7日目に、β-メルカプト-エタノールを含むRLT緩衝液(Qiagenカタログ番号79216)50μlを用いて、細胞を収集する。RNAの抽出を、DNアーゼI処理(カタログ番号79254;ロット151042674)付属のQiagen RNeasy Mini Kit(カタログ番号74104;ロット151048073)ユーザーズマニュアルに従って行う。RNA品質管理を、Agilent Bioanalyzer Nano Kit(Agilent;カタログ番号5067-1511;ロット1446)を用いて行う。cDNAへの全RNAの逆転写(cDNAの合成)を、メーカーの指示に従い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチドベースのHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号4368814;ロット00314158)を用いて行う。cDNA試料の測定を、7900HTリアルタイムPCR装置(Thermo Fisher Scientific)上で、384ウェルプレートフォーマットで3回にわたって実施する。qPCRに使用されたTaqManプライマーアッセイは以下のとおりである。
HTRA1、Hs01016151_m1;Hs00170197_m1、ハウスキーピング遺伝子、GAPDH、Hs99999905_m1;PPIA、Hs99999904_m1(Life Technologies製)。n=3生物学的複製。HTRA1 mRNAの相対的な発現レベルは、表中に対照(PBS)の%として示してある。図3を参照のこと。
【0274】
実施例9:ラットのインビボ有効性試験、7日間の治療、硝子体内(IVT)注射、30μg/片眼
動物
着色されたブラウンノルウェーラットに対して実験を行った。試験の各群に動物5匹が含まれ、合計15匹であった。
【0275】
化合物及び投与手順
実験の開始に際して、動物をイソフルランで麻酔し、眼を消毒して拡張してから、片眼当たり30μg(3μl中)の硝子体内注射を行った。
【0276】
安楽死
生活相の終了時(7日目)に、全てのラットをCO2で安楽死させてから、解剖用に眼を摘出した。網膜、強膜及び硝子体液を、更なる分析用に採取した。
【0277】
HTRA1 RNA発現の定量
網膜試料を解剖した。ラット網膜急速凍結組織を凍結保存し、試験施設においてRLT溶解緩衝液(Qiagen RNeasy Mini Kit)中に溶解させ、RNA抽出を、DNアーゼI処理(カタログ番号79254、ロット151048613)を含むQiagen RNeasy Mini Kit(カタログ番号74104;ロット151039852)の使用説明書に従って続行した。RNA品質管理は、Agilent Bioanalyzer Nano Kit(Agilent;カタログ番号5067-1511;ロット1446)を用いて実行された。cDNAへの全RNAの逆転写(cDNAの合成)は、メーカーの指示に従い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチドベースのHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号4368814、ロット00314158)を使用して実行された。cDNA試料の測定を、7900HTリアルタイムPCR装置(Thermo Fisher Scientific)上で、384ウェルプレートフォーマットにて3回実施した。qPCRに使用されたTaqManプライマーアッセイは、以下のとおりである。Htra1、Rn00581870_m1;ハウスキーピング遺伝子、Gapdh、Rn01775763_g1;Tbp、Rn01455646_m1(Life Technologies製)。ラット/群:5、n=10及び.各眼を個々の試料として処置した。Htra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBS)の%として示してある。図4を参照のこと。
【0278】
実施例10:ラットのインビボ有効性試験、7日間の処置、硝子体内(IVT)注射、用量反応
動物
全ての実験を、着色されたブラウンノルウェーラットに対して行った。試験の各群に動物17匹が含まれ、合計34匹であった。
【0279】
化合物及び投与手順
キシラジンとケタミンとの混合物を、動物に筋肉内注射して麻酔した。試験1日目に、麻酔動物の両眼に対し、試験アイテム及び陰性対照(PBS)を(投与当たり3μL)硝子体内投与した。
【0280】
安楽死
生活相の終了時(8日目)に、ペントバルビタールの腹腔内及び過剰投与により安楽死させた。
【0281】
オリゴ含量測定、及びHTRA1 RNA発現の定量
低用量群及び中用量群の全ての動物、並びに高用量群及びPBS群の最初の5匹の動物の、両方の眼球を生物分析に使用した。安楽死の直後に、硝子体(V)、網膜(R)及び脈絡膜(CH)を氷上で迅速且つ慎重に解剖し、出荷まで-80℃で貯蔵した。網膜試料をMagNa Pure 96 LC RNA Isolation Tissue Buffer70μL中に溶解し、2mLのチューブに1個のステンレス鋼ビーズを添加し、Precellys Evolutionホモジナイザーを使用して2×1.5分間、ホモジナイズし、続いて室温で30分間インキュベートしてホモジナイズした。試料を13000rpmで5分間遠心した。半分は生物分析用に取っておき、残りの半分に対しては直接的にRNA抽出を続行した。
【0282】
生物分析に備えて、ハイブリダイゼーションELISA法によるオリゴ含有量測定用に試料を10~50倍希釈した。ビオチン化LNA捕捉プローブ及びジゴキシゲニン共役LNA検出プローブ(両方とも5×SSCT中35nMで、それぞれ検出対象とされたLNAオリゴヌクレオチドの一端に対して相補的なもの)を、希釈ホモジネート又は関連標準と混合し、室温で30分間インキュベートした後、ストレプトアビジン被覆ELISAプレート(Nuncカタログ番号436014)に加えた。
【0283】
プレートを室温で1時間インキュベートし、2×SSCT(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、及び0.05%v/vのTween-20、pH7.0)中で洗浄した。捕捉されたLNA二本鎖を、アルカリホスファターゼ(Roche Applied Scienceカタログ番号11093274910)及びアルカリホスファターゼ基質系(BluePhos基質、KPL製品コード50-88-00)と共役された抗DIG抗体を使用して、検出した。Biotekリーダーで、オリゴ複合体の量を615nmでの吸光度として測定した。
【0284】
RNA抽出用に、Tissue FF standard LV3.1プログラムを用いたMagNA Pure 96システムで、Cellular RNA Large Volume Kit(05467535001、Roche)を、メーカーの指示に従って使用した。これには、DNアーゼ処理が含まれる。RNA品質管理及び濃度をEon Reader(Biotek)で測定した。試料中のRNA濃度を正規化し、以降のcDNAの合成及びqPCRを、qScript XLT one-step RT-qPCR ToughMix Low ROX, 95134-100(Quanta Biosciences)を使用して、一段階の反応で実行した。デュプレックス反応に使用されたTaqManプライマーアッセイは、以下のとおりである。Htra1、Rn00581870_m1;Rn00668987_m1;ハウスキーピング遺伝子、HPRT、Rn01527840_m1;Tbp、Rn01455646_m1(Life Technologies製)。qPCR分析は、ViiA7機(Life Technologies)上で行った。ラット/群:5、n=10眼。各眼を個々の試料として扱った。Htra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBS)の%として示してある。
【0285】
組織学的検査
高用量の残りの動物2匹及びPBS動物の、両方の眼球を取り出して10%中性緩衝ホルマリン中に24時間固定してから、トリミングしてパラフィン中に包埋した。
【0286】
ISH分析用に、RNAscope 2.5 VS Probe-Mmu-HTRA1(Cat No. 440959、Advanced Cell Diagnostics)を使用して、完全自動Ventana Dicovery ULTRA染色モジュール(プロシージャ:mRNA Discovery Ultra Red 4.0-v0.00.0152)を用いて、4μm厚のホルマリン固定パラフィン包埋ラット網膜組織切片を処理した。使用されたクロモゲンは、Fastred、ヘマトキシリンII対比染色である。
【0287】
実施例11:プルーフ・オブ・コンセプト(Poc)試験を受けたアルビノラットにおける青色光誘発性網膜変性
【0288】
動物
全ての実験をアルビノスプラーグドーリーラットに対して実施した。試験の各群に動物16匹が含まれ、合計42匹であった。
【0289】
化合物及び投与手順
キシラジンとケタミンとの混合物を、動物に筋肉内注射して麻酔した。試験-3日目に、麻酔動物の両眼に対し、試験アイテム及び陰性対照(PBS)を(投与当たり3μL)硝子体内投与した。
0日目に4回(露光を開始する0.5時間前、露光を開始してから2時間後及び4時間後t並びに露光終了直後に)、1mLプラスチック製の遮光性注射器に取り付けられた25ゲージ針を使用して、陽性対照アイテム(PBN)を2.5mL/kgの用量で腹腔内注射した。
【0290】
露光
ラットを36時間暗順応させてから、透明プラスチックケージ内で連続青色蛍光灯(400~540nm)に6時間曝露させた。曝露後、ラットを24時間暗室に入れてから、標準の循環光条件に戻した。
【0291】
網膜電図(ERG)
ベースライン時及び14日目に、両眼を一晩暗順応させてから網膜電図(ERG)を記録した。ERG記録ごとに、A波及びB波の振幅を測定した。
【0292】
安楽死
生活相の終了時(14日目)に、動物に麻酔をかけ、ペントバルビタールを腹腔内過剰投与して安楽死させた。
【0293】
外側核層(ONL)の厚さ測定
各群の主要動物10匹から両方の眼球を摘出し、ブアンオランド(Bouin Hollande)溶液に固定して、パラフィンに包埋した。薄い切片(厚さ5~7μm)を垂直子午線に沿って切り取り、トリクロームマッソン(Trichrome-Masson)で染色した。網膜の各部分(上及び下)において、視神経から末梢網膜までの7点(250μmごと)でONLの厚さを測定した。各点で外側核層の厚さを測定し、曲線下面積(AUC)を計算した。
【0294】
オリゴ含量測定、及びHtra1 RNA発現の定量
被験物質及びPBS群からのサテライト動物4匹の両方の眼球を、生物分析に使用した。安楽死の直後に、硝子体(V)、網膜(R)及び脈絡膜(CH)を氷上で迅速且つ慎重に解剖し、出荷まで-80℃で貯蔵した。網膜試料をMagNa Pure 96 LC RNA Isolation Tissue Buffer70μL中に溶解し、2mLのチューブに1個のステンレス鋼ビーズを添加し、Precellys Evolutionホモジナイザーを使用して2×1.5分間ホモジナイズし、続いて室温で30分間インキュベートしてホモジナイズした。試料を13000rpmで5分間遠心した。半分は生物分析用に取っておき、残りの半分に対しては直接的にRNA抽出を続行した。
【0295】
生物分析に備えて、ハイブリダイゼーションELISA法によるオリゴ含有量測定用に試料を10~50倍希釈した。ビオチン化LNA捕捉プローブ及びジゴキシゲニン共役LNA検出プローブ(両方とも5×SSCT中35nMで、それぞれ検出対象とされたLNAオリゴヌクレオチドの一端に対して相補的なもの)を、希釈ホモジネート又は関連標準と混合し、室温で30分間インキュベートした後、ストレプトアビジン被覆ELISAプレート(Nuncカタログ番号436014)に加えた。
【0296】
プレートを室温で1時間インキュベートし、2×SSCT(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、及び0.05%v/vのTween-20、pH7.0)中で洗浄した。捕捉されたLNA二本鎖を、アルカリホスファターゼ(Roche Applied Scienceカタログ番号11093274910)及びアルカリホスファターゼ基質系(BluePhos基質、KPL製品コード50-88-00)と共役された抗DIG抗体を使用して、検出した。Biotekリーダーで、オリゴ複合体の量を615nmでの吸光度として測定した。
【0297】
RNA抽出用に、Tissue FF standard LV3.1プログラムを用いたMagNA Pure 96システムで、Cellular RNA Large Volume Kit(05467535001、Roche)を、メーカーの指示に従って使用した。これには、DNアーゼ処理には含まれる。RNA品質管理及び濃度をEon Reader(Biotek)で測定した。試料中のRNA濃度を正規化し、以降のcDNAの合成及びqPCRを、qScript XLT One-StepRT-qPCR ToughMix LowROX, 95134-100(Quanta Biosciences)を使用して、一段階の反応で実行した。デュプレックス反応に使用されたTaqManプライマーアッセイは、以下のとおりである。Htra1、Rn00581870_m1;Rn00668987_m1;ハウスキーピング遺伝子、HPRT、Rn01527840_m1;Tbp、Rn01455646_m1(Life Technologies製)。qPCR分析は、ViiA7機(Life Technologies)上で行った。ラット/群:5、n=10×眼。各眼を個々の試料として処置した。Htra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBS)の%として示してある。
【0298】
組織学的検査
被験物質及びPBS群からの残りの2匹のサテライト動物の両方の眼球を取り出し、10%中性緩衝ホルマリン中で24時間固定して、トリミングしてからパラフィン中に包埋した。ISH用RNAscopeを、実施例10に記載されているようにして実施した。
【0299】
実施例12:ラットのインビボ有効性動態研究、3日間、7日間及び14日間の治療、硝子体内(IVT)注射、単回投与
33042位~33064位(配列番号147)の間のヒトHTRA1プレmRNAにおける「ホットスポット」を標的化する2つの選択されたHTRA1 LNAオリゴヌクレオチドについて網膜内で、mRNAレベルでのノックダウン(KD)が観察された。このノックダウンは、qPCR及びISHリードアウトの両方で観察された(図7A及び図7B、並びに下表を参照)。
【0300】
【表11】
【0301】
ノックダウンの変化は比較的大きい。表中の標準偏差を参照。この変化は、投与量レベルにおけるものと思われ、オリゴ含有量と残渣HTRA1 RNAレベルとを比較対照した用量反応曲線をプロットした際に見られる場合がある(図7C参照)。
【0302】
動物
全ての実験をアルビノスプラーグドーリーラットに対して実施した。
【0303】
化合物及び投与手順
動物をイソフルランで麻酔した。試験1日目に、麻酔動物の両眼に対し、試験アイテム及び陰性対照(PBS)を(投与当たり3μL)硝子体内投与した。
【0304】
安楽死
生活相の終了時(試験の4日目、8日目又は15日目)にラットに麻酔をかけ、断頭して安楽死させた。
【0305】
オリゴ含量測定、及びHtra1 mRNA発現の定量
オリゴ含量測定、及びHtra1 mRNA発現の定量を、実施例10に記載されているようにして実行した。
【0306】
残渣Htra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBS)の%として示してある。
【0307】
組織学的検査
組織学的検査を、実施例10に記載されているようにして実行した。
【0308】
実施例13:インビボ薬物動態学及び薬力学(PK/PD)試験におけるカニクイザル(非ヒト霊長類:NHP)、21日間の治療、硝子体内(IVT)注射、単回投与
33042位~33064位のヒトHTRA1プレmRNAの「ホットスポット」を標的化する1つの選択されたHTRA1 LNAオリゴヌクレオチド145.3に関して、網膜内のmRNAレベル、並びに網膜及び硝子体内のタンパク質レベルの両方でノックダウンが観察された(図8参照)。
【0309】
動物
全ての実験をカニクイザル(Cynomolgus monkeys)に対して行った(Macaca fascicularis)。
【0310】
化合物及び投与手順
ブプレノルフィン鎮痛剤を、試験化合物を注射する前及び注射してから2日後に投与した。動物にケタミン及びキシラジンを筋肉内注射して麻酔した。テトラカイン麻酔薬の局所投与後1日目に、試験アイテム及び陰性対照(PBS)を、(1回の投与につき50μL)麻酔動物の両眼に硝子体内投与した。
【0311】
安楽死
生活相の終了時(22日目)に、全てのサルに対しペントバルビタールを腹腔内投与及び過剰投与して、安楽死させた。
【0312】
qPCRによるHtra1 RNA発現のオリゴ含量測定及び定量
安楽死させた直後に、眼組織を迅速且つ慎重に氷上で解剖して、出荷まで-80℃で貯蔵した。網膜試料をMagNa Pure 96 LC RNA Isolation Tissue Buffer70μL中に溶解し、2mLのチューブに1個のステンレス鋼ビーズを添加し、Precellys Evolutionホモジナイザーを使用して2×1.5分間ホモジナイズし、続いて室温で30分間インキュベートしてホモジナイズした。試料を13000rpmで5分間遠心分離した。半分を生物分析用に取っておき、残りの半分に対してはRNA抽出を直接的に続行した。
【0313】
生物分析に備えて、ハイブリダイゼーションELISA法によるオリゴ含有量測定用に試料を10~50倍希釈した。ビオチン化LNA捕捉プローブ及びジゴキシゲニン共役LNA検出プローブ(両方とも5×SSCT中35nMで、それぞれ検出対象とされたLNAオリゴヌクレオチドの一端に対して相補的なもの)を、希釈ホモジネート又は関連標準と混合し、室温で30分間インキュベートした後、ストレプトアビジン被覆ELISAプレート(Nuncカタログ番号436014)に加えた。
【0314】
プレートを室温で1時間インキュベートし、2×SSCT(300mM塩化ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、及び0.05%v/vのTween-20、pH7.0)中で洗浄した。捕捉されたLNA二本鎖を、アルカリホスファターゼ(Roche Applied Scienceカタログ番号11093274910)及びアルカリホスファターゼ基質系(Blue Phos基質、KPL製品コード50-88-00)と共役された抗DIG抗体を使用して、検出した。Biotekリーダーで、オリゴ複合体の量を615nmでの吸光度として測定した。
【0315】
RNA抽出用に、Tissue FF standard LV3.1プログラムを用いたMagNA Pure 96システムで、Cellular RNA Large Volume Kit(05467535001、Roche)を、メーカーの指示に従って使用した。これにはDNアーゼ処理が含まれる。RNA品質管理及び濃度を、Eon Reader(Biotek)を用いて測定した。試料中のRNA濃度を正規化し、以降のcDNAの合成及びqPCRを、qScript XLT one-step RT-qPCR ToughMix LowROX, 95134-100(Quanta Biosciences)を使用して、一段階の反応で実行した。シンプレックス反応に使用されたTaqManプライマーアッセイは、以下のとおりである。
Htra1、Mf01016150_、Mf01016152_m1;
Rh02799527_m1;
ハウスキーピング遺伝子、ARFGAP2、Mf01058488_g1;
Rh01058485_m1;
ARL1、Mf02795431_m1(Life Technologies製)。qPCR分析は、ViiA7マシン(Life Technologies)上で行った。眼数/群:n=3×眼。各眼を個々の試料として処置した。Htra1 mRNAの相対的な発現レベルは、対照(PBS)の%として示してある。
【0316】
組織学的検査
眼球を取り出して10%中性緩衝ホルマリン中に24時間固定してから、トリミングしてパラフィン中に包埋した。
【0317】
ISH分析用に、RNAscope 2.5とその対照とされたProbe-Mmu-HTRA1、REF 486979、Advanced Cell Diagnostics, Inc.を使用して、完全自動Ventana Dicovery ULTRA染色モジュール(プロシージャ:mRNA Discovery Ultra Red 4.0-v0.00.0152)を用いて、4μm厚のホルマリン固定パラフィン包埋網膜組織切片を処置した。使用されたクロモゲンは、Fastred、ヘマトキシリンII対比染色である。
【0318】
プレートベースの免疫沈降質量分析(IP-MS)アプローチを用いた、HTRA1タンパク質の定量
網膜の試料調製
網膜を4容量(w/v)のRIPA緩衝液(50mMのTris-HCl、pH7.4、150mMのNaCl、0.25%デオキシコール酸、1%NP-40、1mMのEDTA、Millipore)中に入れ、Precellys 24(5500、15秒、2サイクル)を使用して、プロテアーゼ阻害剤(完全EDTAフリー、Roche)とホモジナイズした。ホモジネートを(13,000rpmで3分)遠心分離し、上清のタンパク質含有量を測定した(Pierce BCAタンパク質アッセイ)。
【0319】
硝子体の試料調製
硝子体液(300μl)を5×RIPA緩衝液で希釈し(最終濃度:50mMのTris-HCl、pH7.4、150mMのNaCl、0.25%デオキシコール酸、1%NP-40、1mMのEDTA)、Precellys 24(5500、15秒、2サイクル)を使用して、プロテアーゼ阻害剤(完全EDTAフリー、Roche)とホモジナイズした。ホモジネートを(13,000rpmで3分)遠心分離し、上清のタンパク質含有量を測定した(Pierce BCAタンパク質アッセイ)。
【0320】
プレートベースのHTRA1免疫沈降とトリプシン消化
96ウェルプレート(Nunc MaxiSorp)を抗HTRA1マウスモノクローナル抗体(R&D MAB2916、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)50μl中に500ng/well溶解したもの)で500ng/ウェルにてコーティングし、4℃にて一晩インキュベートした。プレートをPBS(200μl)で2回洗浄し、3%(w/v)BSAのPBS溶液で20℃にて30分間ブロックした後、PBSで2回洗浄した。試料(網膜75μg、硝子体100μgをPBS 50μl中に溶かしたもの)を無作為化してプレートに添加し、続いて振盪器(150rpm)で4℃にて一晩インキュベートした。次いで、プレートをPBSで2回洗浄し、水で1回洗浄した。続いて、10mMのDTT(30μl)を溶かした50mMのTEAB溶液を、各ウェルに加えてから、20℃で1時間インキュベートして、システインスルフヒドリルを還元した。その後、150mMのヨードアセトアミドを溶かした50mMのTEAB(5μl)溶液を、各ウェルに加えてから、暗所で20℃で30分間インキュベートして、システインスルフヒドリルをブロックした。10μlの消化溶液(最終濃度:1.24ng/μlのトリプシン、20fmol/μlのBSAペプチド、26fmol/μlの同位体標識HTRA1ペプチド、1fmol/μlのiRTペプチド、Biognosys)を各ウェルに加えてから、20℃で一晩インキュベートした。
【0321】
標的質量分析によるHTRA1ペプチドの定量(選択反応モニタリング、SRM)
TSQ Quantiva三連四重極質量分析計(Thermo Scientific)に連結されたUltimate RSLCnano LCで、質量分析を行った。免疫沈降(IP)に使用した96ウェルプレートから試料(20μL)を直接的に注入し、Acclaim Pepmap 100トラップカラム(100μm×2cm、C18、5μm、100Å、Thermo Scientific)のローディングバッファー(0.5%v/vのギ酸、2%v/vのACN)中に、5μL/分で6分間ロードした。次いで、40℃に加熱されたエレクトロスプレーエミッターを備えるPepMap Easy-SPRAY分析カラム(75μm×15cm、3μm、100Å、Thermo Scientific)上で、ペプチドを分離させた。250nL/分の流速で以下の勾配:6分、98%緩衝液A(2%ACN、0.1%ギ酸)、2%緩衝液B(ACN+0.1%ギ酸);36分、30%緩衝液B;41分、60%緩衝液B;43分、80%緩衝液B;49分、80%緩衝液B;50分、2%緩衝液B)を使用した。サイクルタイム1.5秒、スプレー電圧1800V、衝突ガス圧力2mTorr、Q1及びQ3分解能0.7FWHM、イオン移動管温度300℃のパラメータでTSQ QuantivaをSRMモードにて動作させた。HTRA1ペプチド「LHRPPVIVLQR」、及び内部標準として使用された同位体標識(L-[U-13C、U-15N]R)合成バージョンについて、SRM移行を獲得した。データ分析を、Skylineバージョン3.6を使用して実行した。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
【配列表】
0007060525000001.app