(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ベンジダミンを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/416 20060101AFI20220419BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220419BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220419BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20220419BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220419BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220419BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A61K31/416
A61P29/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P15/02
A61K47/14
A61K9/06
A61K9/10
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/18
(21)【出願番号】P 2018568731
(86)(22)【出願日】2017-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2017066438
(87)【国際公開番号】W WO2018007288
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-11
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592160973
【氏名又は名称】アジェンデ・キミケ・リウニテ・アンジェリニ・フランチェスコ・ア・チ・エレ・ア・エフェ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】AZIENDE CHIMICHE RIUNITE ANGELINI FRANCESCO A.C.R.A.F.SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ファツィオ アントネロ
(72)【発明者】
【氏名】トンジャーニ セレナ
(72)【発明者】
【氏名】ドナーティ ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ミラネーゼ クラウディオ
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101214218(CN,A)
【文献】特表2012-532173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/416
A61K 47/00
A61K 9/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、主として生殖器領域に局在する、炎症性および/または感染性状態の阻止よび治療のための膣クリーム医薬組成物:
(i)C
8-C
10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(ii)C
12-C
14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および
(iii)C
16-C
18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも1つのエステル、および
(iv)医薬組成物の全重量に対して、0.01%~0.5%(w/w)の量のベンジダミン。
ただし、ベンジダミンが、
3%(w/w)の量の
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、
18%(w/w)の量の
PEG-6およびPEG-32パルミトステアレート、および
3%(w/w)の量の
ラウロイルマクロゴール-6-グリセリドと共に、
ベンジダミン塩酸塩として、0.12%(w/w)の量で存在する場合には、前記組成物はエコナゾール硝酸塩を含まない。
【請求項2】
前記主として生殖器領域に局在する、炎症性および/または感染性状態が、膣症、膣炎および外陰部膣炎である、請求項1に記載の膣クリーム医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物が、医薬組成物の総重量に対して、10%(w/w)未満の量で、C
8~C
10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステルを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物が、医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)よりも多い量の、C
8-C
10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステルを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が、医薬組成物の総重量に対して、10%(w/w)未満の量の、C
12~C
14飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを、含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が、医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)より高い量で、C
12-C
14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が、医薬組成物の総重量に対して、30%(w/w)未満の量の、C
16-C
18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物が、医薬組成物の総重量に対して、1%(w/w)より高い量の、C
16-C
18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物が、以下の水性分散液を含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の医薬組成物:
(i)C
8-C
10飽和脂肪酸と、グリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(ii)C
12-C
14の飽和脂肪酸と、ポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、
(iii)C
16-C
18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステル、および
(iv)医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)以下の量のベンジダミン。
【請求項10】
前記組成物が、医薬組成物の全重量に対して、40%(w/w)より高い量の水を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記組成物が、局所用である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記組成物が、安息香酸、アスコルビン酸、没食子酸プロピルおよびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの保存剤を含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの安定化剤を含む、請求項1ないし12の何れか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ベンジダミンを含む医薬組成物に関する。
より詳細には、本発明は、主に、生殖器領域に局在する炎症性および/または感染性状態、特に、膣症、膣炎および外陰部膣炎の、予防および治療のための改善された忍容性および有効性を有するベンジダミンを含む、医薬クリーム、クリームゲルまたはゲル組成物に関する。
【0002】
(発明の背景)
女性の生殖器(genital apparatus)の感染、膣症(vaginosis)、膣炎(vaginitis)および外陰部膣炎(vulvo-vaginitis)は、発生率が増加しているように見える、最も広範な婦人科学的問題の1つである。
原因が異なり、そして、多数あり、そして必ずしも感染性起源でない場合でさえ、診断の大多数は、以下を特定する。
(i)細菌性膣症、すなわち、非常に頻繁に、ガルドネレラ(Gardnerella)感染によって引き起こされるかまたは複雑化する、特に、病原体(主に、嫌気性菌(anaerobes))による、正常な乳酸菌叢の置換において、膣生態系の過激な(radical)改変を特徴とする多微生物症候群;
(ii)カンジダ膣炎および外陰部膣炎;
(iii)トリコモナス膣症・膣炎(Trichomonas vaginalis vaginitis)。
細菌性膣炎は、妊娠可能な年齢の女性の中で、最も一般的な膣および/または外陰部膣感染症である。
たとえば、不適切な衛生、子宮内膜症(intrauterine diaphragm)、免疫不全、糖尿病、より多くのパートナーとの性行為など、細菌性膣内細菌叢のこれらの変化の多くの素因(predisposing factors)がある。
細菌性膣炎の最も典型的な症状は、豊富な、臭いがあり、そして灰色がかった膣の喪失であり、かゆみ、膣の灼熱感、および、性交中の痛みはほとんど経験できない。
正常な乳酸菌フローラを、ほぼ完全に置換する病原性細菌、一般的にはガドネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)は、膣炎の最も一般的な原因の1つである。
【0003】
膣炎は、あらゆる年齢の女性に影響を与えることができる膣の炎症である;外陰部、すなわち、外部性器にも影響を及ぼすとき、外陰部膣炎と呼ばれる。
外陰部膣炎では、カンジダ(Candida)属の真菌が、しばしば、感染性因子として重要な役割を果たす。
これらの炎症は、時々、繰り返し(すなわち、治療後に再び現れる)、場合によっては慢性でさえある。
【0004】
上記の状態の治療のための参照および統合療法(局所または全身のいずれか)は、抗真菌剤、抗菌剤、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬またはキシロカインおよびその誘導体(痒みがある場合)または抗ヒスタミン剤(経口のみ)に基づく。
【0005】
一時的な感染症では、潜在的なリスク(副作用、望ましくない局所毒性反応、感作性)よりも利点が大きいため、療法の変更は必要ない。代わりに、定期的な発症(episodes)は、予防が、間違いなく、成功のアプローチである。
いくつかの特許出願は、膣症、膣炎および外陰部膣炎の治療に有用な活性成分の組み合わせを開示している。
EP2014295は、Zanthoxylum bungeanum抽出物、18-β グリシルレン酸(18-beta glycyrrhetic acid)、Matricaria chamomilla エッセンシャルオイル、メラレウカ オルターニフォリア エッセンシャルオイル(Melaleuca alternifolia essential oil)、クルクマロンガ(Curcumalonga)またはクルクミン(curcumin)抽出物および乳酸またはプロピオン酸を含有する局所組成物に関する。
WO2007085020は、以下を含む膣内投与用の医薬組成物に関する:
エストロゲン化合物、プロゲステロン化合物、および膣投与用の薬学的に許容される担体。ここで、該組成物は、萎縮性膣炎(atrophic vaginitis)に関連する泌尿生殖器(urogenital)症状の治療に有用である。
EP0389924は、プルプロマイシンを含有する膣感染の治療のための局所投薬形態に関する。
EP0910377は、メトロニダゾールおよびミコナゾールのような、1つまたは複数の抗膣炎医薬品、およびリドカインまたはベンゾカインのような1つまたは複数の局所麻酔薬を含む、膣炎の治療における局所投与用の医薬組成物に関する。
EP2034984は、トリフェニルエチレン誘導体化合物を含む、萎縮性膣炎に関連する症状の治療のための、たとえば、膣座薬またはクリームのような医薬組成物に関する。
WO2016/113194は、
0.12%(w/w)の量のベンジダミン塩酸塩、
3%(w/w)の量のMiglyol 812(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、
18%(w/w)の量のTefose 63(PEG-6およびPEG-32パルミトステアレート)および、
3%(w/w)の量のLabrafil M2130CS(ラウロイルマクロゴール-6-グリセリド)を、
1%(w/w)の量のエコナゾール硝酸塩と共に含む、局所投与のためのクリームの形態のベンジダミン塩酸塩の処方を開示する。
【0006】
本出願人は、クリームゲルの総重量を基準にして、0.5%(w/w)の量で、ベンジダミンを含有する、非特異的膣炎の治療のために膣クリーム-ゲルを製造し、分配した。
【0007】
発明の概要
本出願人は、主に、生殖器領域に局在する、炎症性および/または感染性状態、特に膣症、膣炎および外陰部膣炎、の予防および治療のための、改善された忍容性および有効性を有するベンジダミンを含む医薬組成物を提供する問題に直面した。
【0008】
出願人は、
(i)C8-C10飽和脂肪酸と、グリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(ii)C12-C14の飽和脂肪酸と、ポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および
(iii)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステル、および
(iv)医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)以下の量のベンジダミン、
を含むその薬学的組成物が改善された忍容性を示すことを見出した。
【0009】
本出願人はまた、同様の改善された忍容性が、
(i)百万ダルトン以上の重量平均分子量を有する、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテル、
(ii)少なくとも1つのポリオール、および
(iii)医薬組成物の総重量に対して、0.5%(w/w)未満のベンジダミン、
を含む医薬組成物によって、提供されることも発見した。ここで、前記組成物は、セテアリルおよびステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルを含まず、そして、
前記組成物は、所望により、
(iv)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(v)C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および/または
(vi)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステル、
を含む。
【0010】
したがって、第1の態様では、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(i)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(ii)C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および
(iii)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも1つのエステル、および
(iv)医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)以下の量のベンジダミン。
ただし、ベンジダミンが、
3%(w/w)の量のMiglyol 812、
18%(w/w)の量のTefose 63、および
3%(w/w)の量のLabrafil M2130CSと共に、
ベンジダミン塩酸塩として、0.12%(w/w)の量で存在する場合には、その組成物はエコナゾール硝酸塩を含まない。
【0011】
第2の態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する。
(i)100万ダルトン以上の重量平均分子量を有する、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテル、
(ii)少なくとも1つのポリオール、および
(iii)医薬組成物の総重量に対して、0.5%(w/w)未満の量のベンジダミン。ここで、前記組成物は、セテアリルおよびステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルを含まず、そして、前記組成物は、所望により、以下を含んでもよい。
(iv)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(v)C12-C14の飽和脂肪酸と、ポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および/または
(vi)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステル。
【0012】
発明の詳細な説明
【0013】
第1の態様によれば、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(i)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステル、
(ii)C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および
(iii)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールの少なくとも1つのエステル、および
(iv)医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)以下の量のベンジダミン。ただし、ベンジダミンが、
3%(w/w)の量のMiglyol 812、
18%(w/w)の量のTefose 63、および
3%(w/w)の量のLabrafil M2130CSと共に、
ベンジダミン塩酸塩として、0.12%(w/w)の量で存在する場合には、その組成物はエコナゾール硝酸塩を含まない。
【0014】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、10%(w/w)未満の量の、C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステルを含む。
より好ましくは、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、7%(w/w)未満の量のC8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステルを含む。
さらにより好ましくは、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、5%(w/w)未満の量のC8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステルを含む。
好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)よりも多い量のC8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステルを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、1%(w/w)より多い量のC8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステルを含む。
さらにより好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、2%(w/w)より高い量のC8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、1.5%から6%(w/w)の範囲の量で、C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0016】
本発明のより好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、2.5%~4%(w/w)の範囲の量の、C8~C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0017】
グリセリンとC8-C10飽和脂肪酸との有用なエステルは、カプリン酸および/またはカプリル酸のモノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、およびそれらの混合物である。
【0018】
C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルは、たとえば、
Captex(登録商標)300およびCaptex(登録商標)355(Abitec社)、
Myritol(登録商標)312およびMyritol(登録商標)318(BASF)、
Miglyol(登録商標)810およびMiglyol(登録商標)812(Sasol)、
Tegosoft(登録商標)CT(Evonik)、
Crodamol(商標)GTCC(Croda)、
BergaBest(商標)MCT-Oil(Berg & Schmidt)、および
Dermarol(商標)CCT(CISME イタリア)
のような異なる商品名の下に、いくつかの供給業者から市販されている。
【0019】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、10%(w/w)未満の量の、C12-C14飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドの少なくとも一つのエステルを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、7%(w/w)未満の量の、C12-C14飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、5%(w/w)未満の量の、C12-C14飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0020】
好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)より高い量で、C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、1%(w/w)より高い量で、C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、2%(w/w)より高い量で、C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、1.5%~6%(w/w)の範囲の量で、C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
本発明のより好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、2.5%~4%(w/w)の範囲の量で、C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0022】
C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの有用なエステルは、ラウリン酸および/またはミリスチン酸と、ポリエチレングリコールとの、モノ-またはジ-グリセリドおよびそれらの混合物である。
【0023】
グリセリドに結合したポリエチレングリコール鎖は、4~10個のオキシエチレンモノマー単位、好ましくは6~8個のモノマーオキシエチレン単位を有することができる。
【0024】
ポリエチレングリコールグリセリドと、C12-C14飽和脂肪酸とのエステルは、たとえば、
Acconon(登録商標)C-44(Abitec社)、
Labrafil(登録商標)M2130CS、および
Gelucire(登録商標)44/14(Gattefosse)
のような異なる商品名の下にいくつかの供給業者から市販されている。
【0025】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、30%(w/w)未満の量の、C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む。
本発明による医薬組成物は、より好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、25%(w/w)未満の量の、C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0026】
好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、1%(w/w)より高い量で、C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0027】
より好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、2%(w/w)より高い量で、C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、5%から20%(w/w)の範囲の量で、C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステルを含む。
【0029】
C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの有用なエステルは、パルミチン酸および/またはステアリン酸と、6~32個のオキシエチレンモノマー単位を有する、ポリエチレングリコールのエステル、およびそれらの混合物である。
【0030】
ポリエチレングリコールとC16-C18飽和脂肪酸とのエステルは、たとえば、
Mirj(商標)S8、S25、S40およびS100(Croda)、
Gelucire(登録商標)48/16、
Tefose(登録商標)1500 CG、およびTefose 63(Gattefosse)、
Simulsol(商標)M45PHAおよびM52PHA(Seppic)、
のような異なる商品名で、いくつかの供給元から市販されている。
好ましくは、ベンジダミンが、Miglyol 812、Tefose 63およびLabrafil M2130CSと一緒に存在する場合、本発明の医薬組成物は、硝酸エコナゾールを含まない。
より好ましくは、本発明の医薬組成物は、硝酸エコナゾールを含まない。
【0031】
第2の態様において、本発明は、下記を含有する医薬組成物に関する:
(i)100万ダルトン以上の重量平均分子量を有する、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテル、
(ii)少なくとも1つのポリオール、および
(iii)医薬組成物の総重量に対して、0.5%(w/w)未満の量のベンジダミン。
ここで、前記組成物は、セテアリルおよびステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルを含まない。
【0032】
有用な非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルは、
(i)1~2の平均置換度および2~3の平均置換度を有する。置換度は、セルロース鎖中の置換ヒドロキシル基の平均数である。置換度は、セルロース鎖の各グルコース単位に結合したエチレンオキシド単位の平均数である。
【0033】
非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルは、好ましくは、1.0ないし1.5×106ダルトンの重量平均分子量を有する。
非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルは、たとえば、
Natrosol(登録商標)250HHR、
Natrosol(登録商標)250H4R、および
Natrosol(登録商標)250HR(Hercules社)、
のような異なる商品名の下にいくつかの供給業者から市販されている。
【0034】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、3%(w/w)より低い量の、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、2.5%(w/w)より低い量の、少なくとも1つの非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、2%(w/w)未満の量の、少なくとも1つの非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
【0035】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、0.5%(w/w)より高い量の、少なくとも1つの非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、1%(w/w)より高い量の、少なくとも1つの非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、1.5%(w/w)より高い量の、少なくとも1つの非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.8~2.7%(w/w)の量の、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
【0037】
本発明のより好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、1.3~2.3%(w/w)の量の、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルを含む。
【0038】
有用なポリオール(ii)は、3~6個の炭素原子を有する炭素鎖に結合した、2つまたはそれ以上のヒドロキシ基を有するポリアルコールであり、たとえば、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクシトール、およびノシトールが挙げられる。
グリセロールは、本発明において、有用な特に好ましいポリオールである。
【0039】
本発明に係る医薬組成物は、好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、20%(w/w)未満の量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
本発明に係る医薬組成物は、より好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、18%(w/w)未満の量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
本発明に係る医薬組成物は、さらにより好ましくは、医薬組成物の総重量に対して、15%(w/w)未満の量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
【0040】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、1%(w/w)よりも多い量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、3%(w/w)よりも多い量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、5%(w/w)よりも多い量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、6%~14%(w/w)の範囲の量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
【0042】
本発明のより好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して8%~12%(w/w)の範囲の量の、少なくとも1つのポリオールを含む。
【0043】
所望により、本発明の第2の態様による組成物は、さらに、以下を、上記と同じ量で含むことができる。
(iv)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステル、
(v)C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも一つのエステル、および/または、
(vi)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも一つのエステル。
【0044】
C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルの有用な例は、
Captex(登録商標)300およびCaptex(登録商標)355(Abitec社)、
Myritol(登録商標)312およびMyritol(登録商標)318(BASF)、
Miglyol(登録商標)810およびMiglyol(登録商標)812(Sasol)、
Tegosoft(登録商標)CT(Evonik)、
Crodamol(商標)GTCC(Croda)、
BergaBest(商標)MCT Oil(ベルク&シュミット)、および
Dermarol(商標)CCT(CISME、イタリア)、
のような、上記と同じものである。
【0045】
C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステルの有用な例は、
Mirj(商標)S8、S25、S40およびS100(Croda)、
Gelucire(登録商標)48/16、Tefose(登録商標)1500CGおよびTefose 63(Gattefoss)、
Simulsol(商標)M45PHAおよびM52PHA(Seppic)、
のような、上記と同じものである。
【0046】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)より低い量のベンジダミンを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.4%(w/w)未満の量のベンジダミンを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.3%(w/w)未満の量のベンジダミンを含む。
【0047】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.01%(w/w)より高い量のベンジダミンを含む。
より好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.05%(w/w)より高い量のベンジダミンを含む。
さらにより好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.1%(w/w)より高い量のベンジダミンを含む。
【0048】
発明の好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.03%~0.3%(w/w)の範囲の量のベンジダミンを含む。
発明のより好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、0.1%~0.25%(w/w)の範囲の量のベンジダミンを含む。
【0049】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、以下の水性分散体を含む;
(i)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステル、
(ii)C12-C14飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、
(iii)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも1つのエステル、および
(iv)医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)以下の量のベンジダミン。
【0050】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、以下の水性分散体を含む;
(i)100万ダルトン以上の重量平均分子量を有する、少なくとも1つの非イオン性の水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテル、
(ii)少なくとも1つのポリオール、および
(iii)医薬組成物の全重量に対して、0.5%(w/w)未満の量のベンジダミン。
ここで、前記組成物は、セテアリルおよびステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルを含まず、そして、前記組成物は、所望により、以下を含む:
(iv)C8-C10飽和脂肪酸とグリセリンとの少なくとも1つのエステル、
(v)C12-C14の飽和脂肪酸とポリエチレングリコールグリセリドとの少なくとも1つのエステル、および/または
(vi)C16-C18飽和脂肪酸とポリエチレングリコールとの少なくとも1つのエステル。
【0051】
水性分散液の形態の本発明の医薬組成物は、医薬組成物の全重量に対して、40%(w/w)より高い量、好ましくは50%(w/w)より多い量、そして、より好ましくは60%(w/w)より多い量の水を含む。
最も好ましくは、水は、医薬組成物の全重量に対して、70%(w/w)より多い量で含まれる。
【0052】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、局所的使用のためのものである。
【0053】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、クリーム、軟膏、ローション、クリーム-ゲル、ゲル、フォーム、膣洗浄液(vaginal douche)、または外用の溶液などの適切な剤形で調製される。
より好ましくは、前記剤形は、クリーム、クリーム-ゲル、ゲル、膣洗浄液(vaginal douche)または外用の溶液である。
さらにより好ましくは、前記剤形は、クリーム、クリーム-ゲル、またはゲルである。
最も好ましくは、本発明の第1の態様による医薬組成物は、クリームの形態であり、そして、本発明の第2の態様による医薬組成物は、ゲルまたはクリーム-ゲルの形態である。
【0054】
本発明による医薬組成物は、他の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0055】
有用な薬学的に許容される賦形剤は、皮膚軟化剤(emollients)、増粘剤、保存剤、安定化剤、緩衝剤等を含む群から選択することができる。
【0056】
好適には、医薬組成物は、たとえば、安息香酸、アスコルビン酸および/または没食子酸プロピルのような少なくとも1つの保存剤を含む。
好適には、医薬組成物は、たとえば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、および/またはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のような少なくとも1つの安定化剤を含む。
【0057】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明のさらなる説明のために意図される。
【0058】
実施例
忍容性試験1
異なる濃度の、ベンジダミンの、クリームゲルおよび水溶液を使用して、膣粘膜細胞に対するインビトロ試験を行った。塩酸ベンジダミンを含まないクリーム-ゲルのプラセボも試験した。ベースクリームゲルは、以下の表1に報告される組成を有していた。
調査中の試料は、以下の表2に報告した(reposted)、ベンジダミン塩酸塩の濃度を有していた。
セテアレス(Ceteareth)-20は、セテアリルおよびステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルであり、20は、ポリオキシエチレン鎖中のエチレンオキシド残基の平均数を示す。
HECは、約1.3 × 10
6 ダルトンの重量平均分子量を有する、非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルである。
中性油は、グリセリンと、カプリルおよびカプリン脂肪酸とのエステルの混合物である。
サンプルの膣粘膜への適用から1時間後および24時間後に細胞生存率を測定し、そして、その結果を、膣粘膜の未処置サンプル(CONTROL)に対して正規化した。
結果を以下の表3に報告する。
データは、0.50%(w/w)の濃度が、より低い忍容性を示し始める一方で、0.25%(w/w)までのベンジダミン水溶液が、膣粘膜によって非常に良好に忍容されることを明確に示す。
他方、ベンジダミンのクリーム-ゲル製剤は、いかなる濃度においても忍容されなかったが、これは、プラシーボサンプルによって示されるように、ベンジダミンよりもむしろクリーム-ゲルの組成によるものであった。
【0059】
忍容性試験2
忍容性試験1に示すように、異なる処方を調製し、そして、それらの忍容性について試験した。
ベース配合物の組成を、以下の表4に示す。
全ての量は、全組成物の重量に基づいて、重量%で表される。
Ceteareth-20は、セテアリルおよびステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルであり、20は、ポリオキシエチレン鎖中のエチレンオキシド残基の平均数を示す。
HECは、約百万ダルトンの重量平均分子量を有する、非イオン性水溶性ヒドロキシエチルセルロースエーテルである。
中性油は、グリセリンとカプリルおよびカプリン脂肪酸とのエステルの混合物である。
乳化剤は、PEG-6ステアレートおよびPEG-32ステアレートの混合物である。
界面活性剤は、ラウロイル マクロゴール-6グリセリドの混合物である。
【0060】
未処理の膣粘膜サンプル(コントロール)に対して、正規化した試験結果を、以下の表5に報告する。
結果は、驚くべきことに、Ceteareth-20の除去が、粘膜膣細胞に対する処方25(ゲルのコンシステンシー(consistency)を有する)の忍容性を大きく改善し、さらに、試料27および28(クリーム-ゲルのコンシステンシー(consistency)を有する)の乳化剤および界面活性剤の混合物の使用によって改善されたことを示した。
【0061】
忍容性試験3
種々の濃度のベンジダミン塩酸塩を含有する、処方25および処方27と同様の組成を有する処方54を調整し、そして、忍容性試験1に示すように、忍容性について試験した。
配合物の組成を以下の表6に示す。
全ての量は、全組成物の重量に基づいて、重量%で表される。
未処理の膣粘膜試料(コントロール)に対して正規化した、試験結果を、以下の表7に報告する。
【0062】
結果は、クリームの形態の処方物が、ベンジダミンの試験されたいかなる濃度においても忍容され、ベンジダミン塩酸塩の濃度が0.12%(w/w)である、試料58が、最適の結果を齎すことを明確に示した。
【0063】
さらに、結果はまた、より速い放出速度を有する、ゲルの形態の製剤は、塩酸ベンジダミンの濃度が0.12%(w/w)まで忍容されることを示した。
【0064】
安定性試験
処方58に基づく異なるクリーム製剤を、40℃の温度で2ヶ月間保存することによって安定性について試験した。
【0065】
保存後、エマルジョンを、視覚的に検査して、相分離または顆粒形成を検出し、ベンジダミン N-オキシドの存在を検出するために化学的に分析し、そして、忍容性試験1に示すように忍容性について試験した。
試験された処方の組成は、以下の表8Aおよび8Bに示されている。
全ての量は、全組成物の重量に基づいて、重量%で表される。
試験結果を次の表9に報告する。
安定性および忍容性は、以下のスコアを用いて評価した:
1 悪い
2 十分
3 良い
4 とても良い
BHAまたはピルビン酸を含有する処方60~62は、十分に安定であったが、非常に悪い忍容性を示した。
【0066】
ビタミンEおよび/またはアスコルビルパルミテートを、さらに、BHAと組み合わせて含む、処方63~67は、ベンジダミン N-オキシド(これらの組成物についてさえ、忍容性の試験は行われていない)が形成されて、化学的に安定ではないことが判明した。
【0067】
処方68および69は安定であったが、貯蔵後に黒色のドットおよび黄色の色の形成を伴った。
【0068】
処方70および71のように、緩衝液系(クエン酸ナトリウム/クエン酸)を除去すると、この欠点は改善されたが、エマルジョンの安定性は悪化した。
【0069】
緩衝系が除去され、安定剤EDTAが添加された、処方72~74が、驚くべきことに、最良の結果を提供した。
【0070】
インビボ前臨床試験
雌性ニュージーランド白ウサギを、1日1回、膣内経路で、1mlのプラセボの膣クリームまたはベンジダミン塩酸塩膣クリームによって、4週間(2週で途中屠殺した)、処理した(6匹の動物/処置群+回復の2匹)。
プラセボの膣クリームまたはベンジダミン塩酸塩の膣クリームの組成を以下の表10に示す。
全ての量は、全組成物の重量に基づいて、重量%で表される。
治療期間の終わりに、すべての動物は、回復した動物(2週間の無治療期間を保持した)を除いて屠殺した。
試験の結果を以下に要約する。
【0071】
BHVクリームの、雌ニュージーランド白ウサギへの、1日1回、2週間または4週間にわたる、膣内投与は、非常に限定された全身的曝露を齎した。
【0072】
死亡例、有害な臨床徴候または局所反応はなく、そして、検査されたパラメータの肉眼的変化は、BHVクリームに関連すると考えられなかった。
【0073】
組織学的には、炎症に伴う潰瘍性変化、腔内の細胞破片/炎症細胞および粘液量の減少は、プラセボまたはBHVクリームで処置した動物の両方の群において、観察された。
【0074】
2週間の無治療期間に続いて、明確な回復プロセスを示す、膣内の変化は、僅かなもののみが、膣内に見られた。
【0075】
結論として、BHVクリームは、主として生殖器領域に局在する、炎症性および/または感染性状態、特に膣症、膣炎および外陰部膣炎、の治療において十分に忍容性の高い製品であると考えられる。