(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】差動インパルスコンベヤ及び往復動可能な構造体を支持する方法
(51)【国際特許分類】
B65G 27/12 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B65G27/12
(21)【出願番号】P 2019500384
(86)(22)【出願日】2017-07-06
(86)【国際出願番号】 US2017040915
(87)【国際公開番号】W WO2018009675
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-07-03
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517398690
【氏名又は名称】スヴェイコフスキー、カレン スー
【氏名又は名称原語表記】SVEJKOVSKY,Karen Sue
(73)【特許権者】
【識別番号】518340533
【氏名又は名称】スヴェイコフスキー、ポール ブレイク
【氏名又は名称原語表記】SVEJKOVSKY,Paul Blake
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スヴェイコフスキー、ポール ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】ダナー、ジェイソン リー
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318823(JP,A)
【文献】米国特許第06098477(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/00-27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持装置を備える差動インパルスコンベヤ(70)であって、
前記支持装置は、
アパーチャ(34)が貫通している閉鎖部材(26)と、第一直径および第一の複数の歯(35)を有するピニオンギヤ(30)と、前記閉鎖部材(26)の前記アパーチャ(34)を貫通しかつ近位端(31)が前記閉鎖部材(26)の第一側でピニオンギヤ(30)に接続されたピニオンシャフト(33)と、前記閉鎖部材(26)の前記第一側とは反対の第二側で前記ピニオンシャフト(33)の遠位端に接続されたアーム部材(79)と、前記アーム部材(79)に接続されかつ前記ピニオンシャフト(33)と略平行に、しかし前記ピニオンシャフト(33)との整列位置から偏位して延びる支持部材(132)とを有し、前記偏位が前記支持部材(132)の軸線(37)を前記ピニオンギヤ(30)の外周上の一点(37A)と整列させるのに充分であるように構成された、第一本体(20)と、
前記第一直径の二倍である第二直径の内部リングギヤ(10)がある内部キャビティ(17)を有する第二本体(11)であって、前記内部リングギヤ(10)が前記内部リングギヤ(10)の外周に第二の複数の歯(15)を有し、前記第二の複数の歯(15)が前記ピニオンギヤ(30)の前記第一の複数の歯(35)と係合するように適応され、かつ前記第二の複数の歯の数が第一の複数の歯(35)の数の二倍であり、前記第二本体(11)の前記内部キャビティ(17)が開口を有するように構成された、第二本体(11)と、
前記ピニオンシャフト(33)が通過する前記アパーチャ(34)を囲む前記閉鎖部材(26)の突出部(27)であって、半径方向外壁を有する突出部(27)と、
前記閉鎖部材(26)が前記第二本体(11)の前記内部キャビティ(17)の前記開口と係合して、前記内部キャビティ(17)を閉鎖し、かつ前記ピニオンシャフト(33)の前記第一の複数の歯(35)を前記内部リングギヤ(10)の前記第二の複数の歯(15)と係合する状態に配置したとき、前記閉鎖部材(26)の前記突出部(27)を受容しかつ包囲するボアを有する軸受と、を備え、
前記ピニオンギヤ(30)が前記内部リングギヤ(10)との係合を維持しながら前記ピニオンシャフト(33)の軸線(32)を中心に自転しながら、前記ピニオンギヤ(30)の軸線が前記第二本体(11)の中心軸線(12)を中心に公転すると、前記ピニオンギヤ(30)の前記外周上の前記点(37A)と整列する前記支持部材(132)が直線経路に沿って往復動する、
差動インパルスコンベヤ。
【請求項2】
前記第二本体(11)の前記内部キャビティ(17)は、前記閉鎖部材(26)によって閉鎖される開口を有する、請求項1に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項3】
前記ピニオンシャフト(33)を安定化し、かつ前記ピニオンシャフト(33)と前記閉鎖部材(26)との間の回転摩擦を低減させるように、前記ピニオンシャフト(33)と前記閉鎖部材(26)の前記アパーチャ(34)との中間に配置された軸受(38)をさらに備えた、請求項1に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項4】
前記第二本体(11)の前記内部キャビティ(17)内に配置されたある量の潤滑剤をさらに備え、前記第一本体(20)は前記量の潤滑剤を収容するように第二本体(11)を封止する、請求項3に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項5】
前記第二本体(11)はさらに、潤滑剤を収容するように前記内部リングギヤ(10)に近接して配置された底部(11C)を有する、請求項1に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項6】
前記第二本体(11)はさらに、前記第一本体(20)の一部分と係合してそれを支持し、前記装置によって支持される差動インパルスコンベヤ(70)を支持するように、前記内部リングギヤ(10)の周囲に配置されたランディング(198)を有する、請求項1に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項7】
前記装置によって支持される差動インパルスコンベヤ(70)の対応する構造(74)と係合するように、前記第一本体(20)の前記支持部材(132)に結合された遠位ロードプレート(77)をさらに備えた、請求項1に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項8】
前記内部リングギヤ(10)上の第一マーク(10A)と、
前記ピニオンギヤ(30)上の第二マーク(30A)と、をさらに備え、
前記ピニオンシャフト(33)および前記ピニオンギヤ(30)を持つ第一本体(20)を前記内部リングギヤ(10)を持つ前記第二本体(11)上に設置した後、前記装置は、前記第一マーク(10A)を前記第二マーク(30A)と位置合わせすることによって組み立てることができる、請求項1に記載の差動インパルスコンベヤ。
【請求項9】
差動インパルスコンベヤ(70)
の往復動可能な構造体を支持する方法であって、
閉鎖部材(26)と、前記閉鎖部材(26)を貫通するアパーチャ(34)と、近位端(31)および遠位端(39)を有するピニオンシャフト(33)と、前記ピニオンシャフト(33)の前記近位端(31)に接続された第一の複数の歯(35)を有するピニオンギヤ(30)と、前記ピニオンシャフト(33)の前記遠位端(39)上の荷重支持部(133)とを有する第一本体(20)を設けるステップと、
前記ピニオンギヤ(30)の第一の複数の歯(35)の二倍である第二の複数の歯(15)を持つ内部リングギヤ(10)を有する第二本体(11)であって、前記第一本体(20)と係合しかつそれを支持するように前記内部リングギヤ(10)の開口を囲むランディング(198)をさらに有する第二本体(11)を設けるステップと、
前記閉鎖部材(26)を前記ランディング(198)と整列させ、前記第一本体(20)を前記第二本体(11)上に配置して、前記第一本体(20)の前記ピニオンギヤの前記第一の複数の歯(32)を、前記第二本体(11)の前記内部リングギヤ(10)の前記第二の複数の歯(15)と係合させるステップと、
前記第二本体(11)をそれと係合した前記第一本体(20)により支持するステップと、
前記ピニオンシャフト(33)の前記遠位端
(39)の前記荷重支持部(133)により
前記往復動可能な構造体を支持するステップと、
前記ピニオンギヤ(30)が前記内部リングギヤ(10)内で公転しかつ自転するときに、前記
往復動可能な構造体を直線経路に沿って往復動させるステップと、を備える方法。
【請求項10】
前記ピニオンギヤ(30)および前記内部リングギヤ(10)を潤滑するために、前記第二本体
(11)内に潤滑剤を収容するように、前記第二本体(11)の前記開口から前記内部リングギヤ(10)の反対側に
底部(11C)を設けるステップをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記内部リングギヤ(10)上に第一マーク(10A)を配置するステップと、
前記ピニオンギヤ(30)上に第二マーク(30A)を配置するステップと、
前記第一本体(20)を前記第二本体(11)上に設置した後、前記第一マーク(10A)を前記第二マーク(30A)と位置合わせするステップと、をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第一本体(20)の前記閉鎖部材(26)
によって前記第二本体(11)
の内部キャビティ(17)を閉鎖するステップをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記
荷重支持部(133)を
該荷重支持部(133)に支持される前記往復動可能な構造体に結合するステッ
プをさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電気モータを用いて前記往復動可能な構造体を往復動させるステップをさらに備える請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は線形支持軸受に関する。さらに詳しくは、本発明は、支持構造体に対する物体の往復運動ができるように、物体を支持するように適応された軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業および製造プロセスは往復動する構造体の使用を含む。例えば、限定ではないが、ある種のコンベヤは、コンベヤ表面を第一方向に第一加速度で移動させることによって、かつ次いでコンベヤ表面を逆転させて第一加速度より高い第二加速度で元の位置まで逆戻りさせることによって、箱、パッケージ、および商品を平滑なコンベヤ表面に沿って移動させる。この運動サイクルは差動インパルス運動と呼ばれ、この運動を使用するコンベヤは差動インパルスコンベヤとなる。この運動は、コンベヤ表面上に支持された箱、パッケージ、または他の物品をコンベヤ表面と共に第一方向に移動させ、次いでコンベヤが第二のより大きい加速度で元の位置に戻るときに、コンベヤ表面上で滑動または摺動させる。このサイクルを繰り返すことによって、物品はコンベヤ表面に沿って安定的に移動することができる。平滑なコンベヤ表面は、容易に清掃して汚染物質および細菌が無い状態にすることのできる材料から作ることができるので、この特定の種類の往復動コンベヤは清潔な環境において特に有用である。往復動コンベヤは、工業または製造環境で往復動することのできる多くの構造体のうちの一つにすぎないことは理解されるであろう。
【0003】
一部の往復動構造体は、近位端を往復動構造体にかつ遠位端を例えば床、壁、または天井のような固定構造体に枢結された支持ブレース、支持脚、支持アーム、または支柱を用いて、床、壁、もしくは天井から、または何らかの他の構造体から支持される。この種の支持では、枢結された近位端が円弧状に移動することになり、かつさらに往復動構造体も、往復動構造体を支持するブレース、脚、アーム、または支柱によって画定される円弧に沿って移動することになることは理解されるであろう。支持部材が長ければ長いほど、かつ支持部材が揺動または振動する角度範囲が小さければ小さいほど、往復動構造体の運動が円弧によって受ける影響は小さくなることは理解されるであろう。しかし、これは、往復動構造体およびそれに連結された支持部材がより大量の空間を占有することにつながる。空間が貴重である場合、より短い支持部材が必要とされ、これは結果的に、往復動構造体が往復動するときに往復動構造体にずっと大きい円弧をもたらす。
【0004】
必要とされるものは、直線経路に沿って移動するときに最も良く機能する往復動構造体を支持するために使用することのできる線形軸受である。
スヴェイコフスキー(Svejkovsky)らの特許文献1に開示されているような差動インパルスコンベヤは、差動インパルス運動を用いて平滑なコンベヤ表面に沿って物品を移動させるために利用可能な一種の往復動構造体である。特許文献1の閲覧は、支持されたコンベヤテーブルが往復動するときに、ある角度にわたって揺動または振動する枢動支持脚(特許文献1における要素番号18および22)を示す。
【0005】
これらの種類の往復動構造体は、直線状の経路に沿って往復動するのではなく、むしろ円弧状の経路に沿って前後動する。円弧によっては、これは、往復動コンベヤが前後動するときに、コンベヤ表面だけでなく、コンベヤ表面に支持されている物品をも上下動しながら移動させることになりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明の一実施形態は、ピニオンギヤと内部リングギヤとを備えた装置であって、ピニオンギヤが内部リングギヤの直径の半分の直径を有し、内部リングギヤ内でピニオンギヤが公転かつ自転する、装置を提供する。リングギヤは、内部リングギヤの複数の歯と係合するように適応された複数の歯を含む。ピニオンギヤは、ピニオンギヤが内部リングギヤの軸線を中心に1回公転する毎に2回自転する。この幾何学的組合せの場合、ピニオンギヤ上には常に内部リングギヤと係合する点が存在し、かつ、内部リングギヤの半径がピニオンギヤの直径に等しいため、ピニオンギヤ上には常に内部リングギヤの軸線と一直線上に並ぶ点が存在する。
【0008】
この数学的かつ幾何学的現象は、13世紀のペルシャ人天文学者ナスィールッディーン・トゥースィー(Nasir al‐Din al‐Tusi)にちなんでトゥースィーの対円(Tusi Couple)と呼ばれる。トゥースィーは、直径が二倍の大きい円内で自転かつ公転する小さい円が、小さい円の外周の任意の選択された一点で、振動運動としても知られる、大きい円の直径を辿って大きい円を横切り、次いで引き返すことを発見した。外周に沿って歯を持つ歯車を使用することにより、二つの円の間の滑りを防止し、かつ確実な接触を維持し、それによって振動運動を生み出すことが可能になる。
【0009】
多くの機械は、一定方向に前後に往復動する構成部品を含む。例えば、限定ではないが、一部のコンベヤは、表面が第一方向に第一加速度で加速され、減速され、次いで停止され、第二の反対方向に第一加速度より高い第二加速度で加速され、減速され、次いで停止され、このサイクルを繰り返すため、所望の方向に移動する物品を支持するための平坦な水平面を含む。これらの種類の往復動コンベヤは、コンベヤが第一方向に第一加速度で加速されるときにコンベヤの表面上の物品の滑りが生じず、あるいは非常に限定された滑りが生じるように、かつ次いでコンベヤが第二の反対方向に第二のより大きい加速度で加速されるときに物品の大きい量の滑りが生じるように、第一方向および次いで第二方向の加速度が意図的に選択されるので、コンベヤの表面に沿って物品を移動させる。この繰返しサイクルが物品をコンベアに沿って第一方向に移動させることは理解されるであろう。この原理はポール・エイ.・スヴェイコフスキー、(Paul A.Svejkovsky)の米国特許第5,794,757号明細書でより詳細に説明され、使用可能になる。
【0010】
往復動コンベヤは従来、一定回転速度のモータ出力を周期的に可変の回転速度出力に変換する装置を使用する。電気モータからの一定の回転速度の変換は、例えば、偏心して装着された滑車および/またはプーリ等を使用することによって得ることができることは理解されるであろう。代替的に、電子制御式電気モータは現在、周期的に可変の回転出力を提供することができる。一定回転速度を周期的に可変の回転出力に変換する装置を伴う一定速度の回転出力、または直接可変の速度出力を持つ電子制御式電気モータのいずれかを使用して、コンベヤの往復動を駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の装置の実施形態の第一本体の斜視図である。
【
図2】
図1の第一本体を含む本発明の装置の実施形態の第二本体の斜視図である。
【
図4】ランディングの位置および第二本体の頂部付近のリム、ならびにリングギヤの内部キャビティ内の内部リングギヤを示す、
図2の第二本体の断面図である。
【
図5】
図2および
図4の第二本体の内部リングギヤと係合して配置された、
図1および
図3の第一本体のピニオンギヤの位置を示す図であり、第一本体のピニオンギヤの歯は第二本体のリングギヤの歯と係合している。
【
図6】ピニオンギヤの軸線が同時に内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤがその軸を中心に自転した後の
図5の図である。
【
図7】ピニオンギヤの軸線が内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進を続けながら、ピニオンギヤがその軸線を中心にさらに自転した後の
図6の図である。
【
図8】ピニオンギヤの軸線が同時に内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤがその軸線を中心に自転した後の
図7の図である。
【
図9】ピニオンギヤの軸線が同時に内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤがその軸線を中心に自転した後の
図8の図である。
【
図10】ピニオンギヤの軸線が同時に内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤがその軸線を中心に自転した後の
図9の図である。
【
図11】ピニオンギヤの軸線が同時に内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤがその軸線を中心に自転した後の
図10の図である。
【
図12】ピニオンギヤの軸線が同時に内部リングギヤの軸線を中心とする円形経路に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤがその軸線を中心に自転した後の
図11の図である。
【
図13】アームに接続された遠位端を有するピニオンシャフト33の近位端に回転自在に配置された第一本体のピニオンギヤの正面図である。
【
図14】本発明の装置の実施形態の上方から見た分解組立図である。
【
図16】装置の実施形態に支持されながら矢印で示すように往復動する往復動コンベヤの一部分の正面図である。
【
図17】支持部材の遠位端および/または装置の遠位ロードプレートと係合する形状およびサイズに作られた凹部を示す、
図16のブラケットの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の装置100の実施形態の第一本体20の上方斜視図である。第一本体20は、閉鎖部材26と、閉鎖部材26の下で軸線32を有するピニオンシャフト33(破線で示す)の近位端31に結合されたピニオンギヤ30とを含む。ピニオンギヤ30は、ピニオンシャフト33の軸線32と一致する軸線32Aを有する。ピニオンシャフト33は、閉鎖部材26の上でアーム部材79に接続された遠位端39と、ピニオンギヤ30に接続された近位端31とを含む。ピニオンシャフト33は閉鎖部材26のアパーチャ(
図1には図示せず)に回転自在に受容される。
【0013】
第一本体20の閉鎖部材26は、第二本体11(
図2に示す第二本体11を参照)の内部キャビティ17と係合しかつそれを閉鎖するように形作られる。
図1は、閉鎖部材26が近位部分24および隣接する遠位部分25を含むことができることを示す。
図1の第一本体20はさらに、アーム部材79に接続された支持部材132を含む。支持部材132は、ピニオンシャフト33の軸線32から偏位した位置でアーム部材79に接続される。支持部材132はピニオンシャフト33の軸線32と略平行に延びる。ピニオンギヤ30、ピニオンシャフト32、アーム部材79、および支持部材132は一緒にクランクを形成する。支持部材132は遠位ロードプレート77および近位ロードプレート78によって囲まれ、一緒により大きい荷重支持面を提供する。
【0014】
図2は、
図1に示した第一本体20を含む本発明の装置100の実施形態の第二本体11の上方から見た斜視図である。
図1の第一本体20の閉鎖部材26の近位部分24が
図2の第二本体11の内部キャビティ17と整列した状態で、第二本体11は
図1の第一本体20と整列した位置で示される。
図2の第二本体11の内部キャビティ17は、
図1に示す第一本体20のピニオンギヤ30の第一の複数のピニオンギヤ歯35と係合するように適応された第二の複数のリングギヤ歯15を持つ、内部リングギヤ10を含む。
図1の第二本体20の閉鎖部材26の遠位部分25は、
図2の第二本体11のリム14の頂部16と係合するように構成されたサイズおよび形状を有する。
図1の第一本体20の閉鎖部材26の近位部分24は、
図2の第二本体11の内部キャビティ17を囲むランディング19A上に着地しかつそれによって支持されるサイズに形成される。
【0015】
図3は、
図1の第一本体20の部分断面正面図である。
図3は、支持部材132の軸線37が、ピニオンシャフト33の軸線32およびそれと一致するピニオンギヤ30の軸線32Aから偏位しかつそれと平行することをより分かり易く示す。支持部材132の運動は、ピニオンギヤ30の自転と位置の両方および支持部材132の軸線37とピニオンシャフト33の軸線32との間の偏位の関数であるので、支持部材132、アーム部材79、ピニオンシャフト33、およびピニオンギヤ30の組合せは、クランク部材を形成する。
図3はさらに、ピニオンシャフト33を閉鎖部材26に対して回転自在に固定するように、閉鎖部材26に設けられた任意の軸受38の位置をも明示する。ピニオンシャフト33は、閉鎖部材26の遠位部分25および近位部分24におけるアパーチャ34に回転自在に受容される。軸受38は、ピニオンシャフト33の回転から生じる摩擦を最小化するために設けることができる。
【0016】
図4は、ランディング19Aの位置および第二本体11の頂部16付近のリム14、ならびに第二本体11の内部キャビティ17内の内部リングギヤ10を示す、
図2の第二本体11の断面図である。
図4は、
図3の閉鎖部材20の近位部分24を受容し、かつ
図3の閉鎖部材26の遠位部分25と係合するリム14のサイジングを示す。リム14は、閉鎖部材26の近位部分24を受容しかつ包囲するサイズに作られ、第二本体11のランディング19Bは、第二本体11の頂部16に対して相対的に、閉鎖部材26の近位部分24と係合しかつそれを支持する深さに位置する。
【0017】
図5は、第一本体20のピニオンギヤ30の歯15が第二本体11のリングギヤ10の歯35と係合し、
図2および
図4の第二本体11の内部リングギヤ10と係合する状態に配置された、
図1および
図3の第一本体20のピニオンギヤ30の位置を示す図である。
図5は、ピニオンギヤ30と接続される支持部材133(
図5には図示せず)の軸線37と整列して配置された、ピニオンギヤ30上の一点37Aの位置を示す。支持部材133については後でさらに述べる。
図5で、ピニオンギヤ30の軸線32は円形経路88上を矢印99の方向に移動する。ピニオンギヤ30はその軸線32を中心に自転しながら、軸線32は円形経路88を辿る。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。遠位ロードプレート77は支持部材133(
図5には図示せず‐
図3参照)と中心を合わせ、次に支持部材133は常にピニオンギヤ30の外周の同じ一点32Aと整列する。
【0018】
図6は、ピニオンギヤ30の軸線32が同時に内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心に自転した後の
図5の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0019】
図7は、ピニオンギヤ30の軸線32が内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進を続けながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心にさらに自転した後の
図6の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0020】
図8は、ピニオンギヤ30の軸線32が同時に内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心に自転した後の
図7の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0021】
図9は、ピニオンギヤ30の軸線32が同時に内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心に自転した後の
図8の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0022】
図10は、ピニオンギヤ30の軸線32が同時に内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心に自転した後の
図9の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0023】
図11は、ピニオンギヤ30の軸線32が同時に内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心に自転した後の
図10の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0024】
図12は、ピニオンギヤ30の軸線32が同時に内部リングギヤ10の軸線12を中心とする円形経路88に沿って時計回り方向に並進しながら、ピニオンギヤ30がその軸線32を中心に自転した後の
図11の図である。(参照番号77で示された)均等破線の円は、内部リングギヤ10内のピニオンギヤ30の位置に対応する遠位ロードプレート77の位置を示す。
【0025】
図13は、アーム79に接続された遠位端39を有するピニオンシャフト33の近位端31に回転自在に配置された第一本体20のピニオンギヤ30の正面図である。荷重支持体133(
図13には図示せず‐
図3参照)と中心を合わせた遠位ロードプレート77の軸線37は、点37Aと整列して固定される。アーム部材79は、ピニオンシャフト33の遠位端39、および荷重支持体133の近位端131にも接続され、荷重支持体133の遠位端139は遠位ロードプレート77によって囲まれ、かつ近位端131と遠位端139の中間位置は近位ロードプレート78によって囲まれる。アーム部材79は、アーム部材79と閉鎖部材26(
図13には図示せず‐
図3参照)との間に大きい摺動係合接触領域を提供し、かつアーム部材79と近位ロードプレート78との間にも大きい摺動係合接触領域を提供するように形作ることができる。
【0026】
図13Aは、装置100の周期的動作中のピニオンギヤ30、ピニオンシャフト33の遠位端39、ピニオンシャフト33の軸線32、および支持部材133、ならびに支持部材133の軸線37の位置を示す図である。
図13Aにおける装置100のこれらの構成部品の位置は、
図11に示す位置に対応する。
【0027】
図14は、本発明の装置100の実施形態の上方から見た分解組立図である。
図14は、装置100を提供するために組み付けることのできる多数の構成部品を示している。
図14の装置100の実施形態は、組立後にピニオンシャフト33が延在するアパーチャ34を有する閉鎖部材26を含む第一本体20を含む。ピニオンシャフト33は、ピニオンシャフト33を安定させ、かつピニオンシャフト30と閉鎖部材26との間の摩擦係合を緩和させる、一対の軸受38と整列する。
図14は、ピニオンシャフト33の遠位端39(
図14には図示せず)も接続されたアーム部材79を示す。支持部材133はアーム部材79から上方に延びる。支持部材133はピニオンシャフト33と略平行であるがそこから偏位しており、かつアーム部材79に接続される。支持部材79は摩擦を軽減するように軸受36を装着することができ、遠位ロードプレート77は、支持部材79に対しより大きい荷重支持領域を提供するように、フランジ78およびリングキャップ78Aを装着することができる。
【0028】
図14に示すピニオンギヤ30は、ピニオンシャフト33と共に自転するようにピニオンギヤ30を固定するためのキー溝30Bを有するボア30Aを含む。ピニオンシャフト33は、ピニオンギヤ30のボア30A内に受容されかつ固定される縮径部分33Aを含む。
【0029】
図14はさらに、軸受である閉鎖部材26の近位部分24を示す。近位部分24は、装置100の組立後に、閉鎖部材29の突出部27を近位部分24のボア23内に受容するサイズに形成される。ピニオンギヤ30は、装置100の組立後に、近位部分24の下で第二本体11の内部リングギヤ10と係合する。
【0030】
図14はさらに、装置100が往復動構造体を支持するための線形軸受として使用されることを可能にするために、組み立てられた装置100を支持構造体に固定するのに第二本体11の周りのフランジ11Aに締結具11Bを使用することをも示す。
【0031】
図15は、
図14の装置100の下方から見た分解組立図である。
図15は、アーム部材79から延びる隣接支持部材133から偏位した位置でアーム部材79に接続された、ピニオンシャフト30の遠位端39を明示する。
図15はまた、閉鎖部材26の近位部分24(軸受)のボア23内に受容されるサイズに形成された、閉鎖部材26の突出部27をも明示する。閉鎖部材26の突出部27は、閉鎖部材26および突出部27を装置100内の所定の位置に回転自在に固定するように、閉鎖部材26の近位部分24(軸受)と係合する円形外面29を含む。突出部27はさらに、閉鎖部材26を介してピニオンシャフト33を受容するためのアパーチャ233を含む。閉鎖部材26の突出部27の外面29、突出部27を受容しかつそれと係合するボア23を有する近位部分24(軸受)、およびピニオンシャフト33を回転自在に受容する突出部27のアパーチャ233の組合せは一緒に働いて、ピニオンシャフト33の動きを、ピニオンギヤ30と内部リングギヤ10との係合によって可能になるアパーチャ233内の自転に制約し、また、自転するピニオンギヤ30の軸線32A(
図15には図示せず)およびピニオンシャフト33の軸線32を
図5~
図12に示した円88によって画定される経路上に留まらせ続けることは理解されるであろう。さらに、ピニオンシャフト33の軸線32と支持部材133との間の偏位が、支持部材133をピニオンギヤ30の外周の点37A(
図5~
図12参照)と整列させ、かつ整列した状態に維持させる量であることは理解されるであろう。このようにして、支持部材133は、例えば往復動コンベヤのような往復動構造体を支持するときに、ピニオンギヤ30の外周の整列点37Aと一致して移動する。
【0032】
図15は、ピニオンギヤ30、内部リングギヤ10、およびピニオンシャフト33を潤滑するために第二本体11内に配置された潤滑剤が組み立てられた装置100内で隔離され、かつ外部デブリが入らない状態を維持するように、第二本体11がいかに底部11Cを含むことができるかを示す。
【0033】
図16は、装置100の実施形態に支持されながら矢印71で示すように往復動する往復動コンベヤ70の一部分の正面図である。装置100は、
図16に示すように適用される場合、コンベヤ70が周期的に往復動するときにコンベア70に支持を提供する線形軸受として機能する。
図16の装置100は、コンベヤ70の往復運動と略平行な略水平支持面76を有する支持フレーム73上、および締結具11B(
図16には図示せず‐
図14参照)によって装置100の第二本体11上に係合された一対のブラケット89上に支持される。コンベヤ70は、装置100の支持部材133および/または遠位ロードプレート77を受容する凹部75を有するコンベヤブラケット74を含む。フレーム73は、支持フレーム73を床82上に支持するための調整可能な支持脚81を含むことができ、支持脚81は、コンベヤ70の平滑な往復動のために、コンベヤブラケット74に適切な支持を提供するように最適に調整することができる。往復動の各周期の各方向のコンベヤ70の移動距離であるコンベヤ70の往復動の行程は、遠位ロードプレート77が
図7に示す位置から
図11に示す位置まで移動する距離である装置100の行程に等しいことは理解されるであろう。
【0034】
図17は、
図16のブラケット74の拡大図であり、装置100(
図17には図示せず‐
図16参照)の支持部材133の遠位端139および/または遠位ロードプレート77と係合する形状およびサイズに形成される凹部75を示す。
【0035】
図5に戻って、第二本体11の内部リングギヤ10に対する第一本体20のピニオンギヤ30およびそれに接続された支持部材133の向きは、支持部材133の線形往復動が生じる線の向きを決定する。本発明の装置100は、所望の直線経路に沿った支持部材133の線形往復動がもたらされるように、第一本体20および第二本体11を向き付けることを可能にするため、組立後に割出しすることができる。例えば、限定ではないが、内部リングギヤ10は、
図5に示すようにリングギヤマーク10Aを含むことができる。同様に、ピニオンギヤ30は、
図5に示すように、第二本体11の内部リングギヤ10の軸線12に向かって半径方向のすぐ内側に、ピニオンギヤマーク30Aを含むことができる。
図5に示すようにリングギヤマーク10Aおよびピニオンギヤマーク30Aの位置合わせは、
図5~
図12に示す実施例では、支持部材133(
図5には図示せず)が、
図5~
図12に示すように、内部リングギヤ10を横切って水平方向に往復動する結果をもたらす。第二本体11および第二本体11の内部リングギヤ10内のピニオンギヤの向き付けは、装置100に支持された
図16のコンベヤ70のような構造体の往復動と共に支持部材133が適切に動くために必要であることは理解されるであろう。
【0036】
本発明の実施形態は、本明細書に添付する特許請求の範囲によってのみ限定されることは理解されるであろう。添付の図面に示された実施形態は、コンベヤブラケット74の凹部75内に受容することのできる遠位ロードプレート77を含む。しかし、
図13のアーム部材79上の支持部材133は、発明の使用から逸脱することなく、他のやり方で、支持部材133によって支持される往復動構造体70(コンベヤ)に結合することができる。
【0037】
本書で使用される用語は、特定の実施形態について記載することを目的とするものであって、発明を限定することを意図するものではない。本書で使用する場合、単数形および前記は、文脈上そうでないことが明瞭である場合を除き、複数をも含むことを意図している。さらに、用語「備える」および/または「備えている」は、本明細書で使用する場合、明記する特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部品、および/または群の存在を示しているが、それらの一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部品、および/または群の存在または追加を排除するものではないことは理解されるであろう。用語「好ましくは」、「好適な」、「好ましい」、「任意選択的に」、「~であってもよい/~することができる」および類似の用語は、言及される品目、状態、またはステップが本発明の任意の(必須ではない)特徴であることを示唆するために使用される。
【0038】
以下の特許請求の範囲における全ての手段またはステップおよび機能要素の対応する構造体、材料、行為、および均等物は、他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実施するための任意の構造体、材料、または行為をも、明確に特許請求されているものとして包含することを意図している。本発明の記載は例示および説明を目的として提示したが、網羅的であることを意図するものではなく、また開示した形態の発明に限定することも意図していない。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には多くの変形および変化形態が明白であろう。実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最もよく説明するため、また他の当業者が意図する特定の用途に適合する様々な変形を加えた様々な実施形態を思いつくように本発明を理解することを可能にするために、選択し記載したものである。