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  • 特許-抗微生物化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】抗微生物化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 243/26 20060101AFI20220419BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220419BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220419BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220419BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20220419BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20220419BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20220419BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
C07D243/26 CSP
A61P31/00
A61P31/12
A61P31/14
A61K31/5513
C07D401/12
C07D401/14
C07D403/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019508251
(86)(22)【出願日】2017-08-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 GB2017052393
(87)【国際公開番号】W WO2018033714
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】1613942.0
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517359543
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・ダラム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート・コッカリル
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-238069(JP,A)
【文献】特表平09-505598(JP,A)
【文献】特表平09-505595(JP,A)
【文献】特表2000-510155(JP,A)
【文献】国際公開第97/049690(WO,A1)
【文献】米国特許第05817658(US,A)
【文献】米国特許第05776930(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 243/00
A61K 31/00
C07D 401/00
C07D 403/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物であって、
式中、Rは、Hであり、
は、Hであり、
は、水素、メチル、イソプロピルもしくはベンジルであり、Rは、Hであるか、またはRおよびRは、これらが結合している原子と一緒になって、結合して5員複素環を形成し、
は、1つ以上の置換基で任意に置換された芳香族6員環であり、
前記置換基または各置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、OR、またはNRであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化2】
からなる群から選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化3】
からなる群から選択され、
かつ/あるいはRおよびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換された3~7員環を形成し、ここで、前記置換基または各置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、C(O)R10、SR10、SO10、OR10またはNR1011であり、
10または各R10は、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化4】
からなる群から選択され、
11または各R11は、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化5】
からなる群から選択され、
pは、1、2、3、4または5であり、
およびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、
以下の化合物
【化6】
ではない、
化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは多形結晶
【請求項2】
mが0であり、かつnが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、以下からなる群から選択され、
【化7】
式中、
qは、0、1、2、3または4であり、
rは、0、1、2または3であり、
sは、0、1、2、3、4または5であり、
は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRであり、
好ましくは、Rが、以下からなる群から選択され、
【化8】
場合により、Rが、フェニル基である、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、式(Ij):
【化9】
を有し、
好ましくは、少なくとも1つのX基がハロゲンであり、かつ前記ハロゲンまたは各ハロゲンが好ましくはフッ素であり、
さらに好ましくは、3つのX基がフッ素であり、1つのX基が、フッ素、OEt、SOMeおよびNRから選択され、RおよびRが、それぞれエチルであるか、またはRおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、前記置換基または各置換基が、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、C(O)R10、SR10、SO10、OR10またはNR1011である
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式(Ilh):
【化10】
を有し、
好ましくは、Xが、ハロゲンまたはSOである、
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、式(Im):
【化11】
を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
以下:
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の化合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは多形結晶と、薬学的に許容されるビヒクルを含む、薬学的組成物。
【請求項9】
治療に使用するための、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
ウイルス感染症の治療、改善、または予防に使用するための、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記ウイルス感染症が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項10に記載の薬学的組成物
【請求項12】
請求項に記載の組成物を作製するためのプロセスであって、治療有効量の請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは多形結晶と、薬学的に許容されるビヒクルと、を接触させることを含む、プロセス。
【請求項13】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法であって、式(II):
【化13】
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を、式(III):
【化14】
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物と接触させることを含み、式中、Rは、Hであり、
は、Hであり、
は、水素、メチル、イソプロピルもしくはベンジルであり、Rは、Hであるか、あるいはRおよびRは、これらが結合している原子と一緒になって、結合して5員複素環を形成し、
は、1つ以上の置換基で任意に置換された芳香族6員環であり、
前記置換基または各置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、OR、またはNRであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化15】
からなる群から選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化16】
からなる群から選択され、
かつ/あるいはRおよびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、
pは、1、2、3、4または5であり、
およびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、
12は、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであり、
好ましくは、R12が、水素である、方法。
【請求項14】
請求項13に規定された式(III):
【化17】
の化合物であって、
式中、R からR 及びR 12 は請求項13に規定されたとおりである、
化合物を調製する方法であって、式(V):
【化18】
の化合物を、
脱離基で置換され、かつ1つ以上のさらなる置換基で任意に置換されたベンゼン、ピリジンまたはピリミジンと接触させることを含み、
前記さらなる置換基または各さらなる置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、OR、またはNRであり、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化19】
からなる群から選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化20】
からなる群から選択され、
かつ/あるいはRおよびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、
pは、1、2、3、4または5であり、
およびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、
前記反応が密閉容器中で行われることを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物感染症の治療に使用するための抗微生物化合物に関する。本発明は、化合物自体、薬学的組成物、化合物の作製方法および微生物感染症の治療方法にまで及ぶ。
【背景技術】
【0002】
この40年間にわたって、フッ素含有化合物は、新規の医薬品、作物保護剤および殺虫剤の開発に重要な役割を果たしてきており2,3、これらの製品のかなりの数が、1つ以上のフッ素原子を含有する。医薬品化学における設計成分としてのフッ素の使用への関心は、主として、フッ素が組み込まれた化合物の物理化学的および生物学的特性に影響を及ぼすその能力によるものであった。フッ素の高電気陰性度に加えて小さいファンデルワールス比の低立体構造衝突、水素結合に関与する能力、および代謝変換に対する固有の炭素-フッ素結合安定性は、周知の特徴である。さらに、親油性に関しては、フッ素原子の組み込みおよびこの置換基の効果範囲の例が多く存在する。しかしながら、これにもかかわらず、フッ化ピリジンおよびピリミジン核は、比較的研究中のままであり、薬物特性に対するこれらの効果は、比較的文書化されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、フッ素を組み込んだ新規の抗微生物化合物を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、フッ化ピリジンおよびピリミジン核を新規のスクリーニング収集の開発の基礎として作用する強力な起源を有する薬物構造に組み込むための方法の開発に対する本発明者の関心によって生まれた。本発明者らは、特定した化合物群それ自体が新規であると考えている。
【0005】
したがって、本発明の第1の態様では、式(I):
【化1】
の化合物であって、
式中、Rは、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであり、
は、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであり、
は、任意のアミノ酸側鎖であり、Rは、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであるか、あるいはRおよびRは、これらが結合している原子と一緒になって、結合して5員複素環を形成し、
は、1つ以上の置換基で任意に置換された6員環であり、
ここで、置換基または各置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、OR、またはNRであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化2】
からなる群から選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化3】
からなる群から選択され、
かつ/あるいはRおよびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換された3~7員環を形成し、ここで、置換基または各置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、C(O)R10、SR10、SO10、OR10またはNR1011であり、
10または各R10は、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化4】
からなる群から選択され、
11または各R11は、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化5】
からなる群から選択され、
pは、1、2、3、4または5であり、
およびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成する、
化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形が提供される。
【0006】
本発明者らは、式(I)の化合物が、治療において、または薬物として有用であり得ることを見出した。
【0007】
したがって、第2の態様では、治療に使用するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形が提供される。
【0008】
また、本発明者らは、式(I)の化合物が、微生物感染症の治療に有用であることを見出した。
【0009】
したがって、第3の態様では、微生物感染症の治療、改善、または予防に使用するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形が提供される。
【0010】
第4の態様では、微生物感染症を治療、改善または予防する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形を投与することを含む、方法が提供される。
【0011】
「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的特性を保持し、毒性ではない、または医薬用途に望ましくないものではない、本明細書で提供される化合物の任意の塩を指すと理解され得る。そのような塩は、当技術分野において既知の様々な有機および無機対イオンから誘導してもよい。そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタン硫酸、エタンスルホン酸、1、2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、樟脳スルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸および同様の酸などの有機酸もしくは無機酸で形成される酸付加塩、または(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、(a)金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオン、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、および水酸化バリウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアで置換される場合か、あるいは(b)アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの脂肪族、脂環式、もしくは芳香族の有機アミンなどの有機塩基と配位結合する場合に形成される塩基付加塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
薬学的に許容される塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが含まれ得、化合物が塩基性官能基を含有する場合は、ハロゲン化水素酸塩、例えば塩酸塩および臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1、2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩などの、非毒性の有機酸または無機酸の塩が含まれ得る。
【0013】
「溶媒和物」という用語は、非共有結合性分子間力によって結合した化学量論量または非化学量論量の溶媒をさらに含む、本明細書で提供される化合物またはその塩を指すと理解され得る。溶媒が水の場合、溶媒和物は水和物である。
【0014】
一実施形態では、式(I)の化合物によって治療され得る微生物感染症は、真菌感染症を含んでもよい。
【0015】
あるいは、好ましい実施形態では、式(I)の化合物によって治療され得る微生物感染症は、細菌感染症を含んでもよい。細菌感染症は、グラム陽性細菌感染症を含んでもよい。あるいは、細菌感染症は、グラム陰性細菌感染症を含んでもよい。
【0016】
しかしながら、好ましくは、治療され得る微生物感染症は、好ましくはウイルス感染症を含む。本発明の化合物で治療され得るウイルス感染症の例には、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デングウイルス、エボラウイルス、B型肝炎ウイルス、およびインフルエンザウイルスが含まれる。好ましい実施形態では、化合物は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)によって引き起こされる感染症の治療、改善、または予防に使用するためのものである。
【0017】
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であり得ることが理解されるであろう。好ましい一実施形態では、Rが、メチル基である。しかしながら、より好ましい実施形態では、Rが、水素であり、化合物は式(Ia):
【化6】
を有する。
【0018】
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であり得ることが理解されるであろう。同様に、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であり得ることが理解されるであろう。
【0019】
好ましい一実施形態では、Rが、メチル基である。好ましい一実施形態では、Rが、メチル基である。
【0020】
しかしながら、より好ましい実施形態では、Rが、水素である。より好ましい実施形態では、Rが、水素である。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、RとRの両方が水素であり、化合物が式(Ib):
【化7】
を有する。
【0022】
好ましい実施形態では、mが0であり、化合物が式(Ic):
【化8】
を有する。
【0023】
別の実施形態では、mが4である。したがって、X基は、ベンゾジアゼピン環構造の6、7、8および9位の炭素のそれぞれに存在することになる。
【0024】
mが1である実施形態では、X基は、ベンゾジアゼピン環構造の6、7、8および9位の炭素のうちの1つに結合してもよく、水素は残りの3つの炭素のそれぞれに結合することになる。mが2である実施形態では、X基は、ベンゾジアゼピン環構造の6、7、8および9位の炭素のうちの2つに結合してもよく、水素は残りの2つの炭素のそれぞれに結合することになる。mが3である実施形態では、X基は、ベンゾジアゼピン環構造の6、7、8および9位の炭素のうちの3つに結合してもよく、水素は残りの炭素に結合することになる。
【0025】
別の好ましい実施形態では、mが1であり、X基が7位の炭素に結合し、化合物が式(Id):
【化9】
を有する。
は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素などの任意のハロゲンであってもよい。好ましくは、Xは塩素またはフッ素である。好ましい実施形態では、mが1であり、Xが7位の炭素に結合した塩素である。
【0026】
好ましい実施形態では、nが0であり、化合物が式(Ie):
【化10】
を有する。
【0027】
nが5である実施形態では、X基は、フェニル環構造の2、3、4、5および6位の炭素のそれぞれに存在することになる。
【0028】
nが1である実施形態では、X基は、フェニル環構造の2、3、4、5および6位の炭素のうちの1つに結合してもよく、水素は残りの4つの炭素のそれぞれに結合することになる。nが2である実施形態では、X基は、フェニル環構造の2、3、4、5および6位の炭素のうちの2つに結合してもよく、水素は残りの3つの炭素のそれぞれに結合することになる。nが3である実施形態では、X基は、フェニル環構造の2、3、4、5および6位の炭素のうちの3つに結合してもよく、水素は残りの2つの炭素に結合することになる。nが4である実施形態では、X基は、フェニル環構造の2、3、4、5および6位の炭素のうちの4つに結合してもよく、水素は残りの炭素に結合することになる。
【0029】
別の好ましい実施形態では、nが1であり、X基が4位の炭素に結合している。
【0030】
は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素などの任意のハロゲンであってもよい。好ましくは、Xは、塩素である。あるいは、Xは、好ましくはフッ素である。あるいは、Xは、好ましくは臭素である。
【0031】
は任意のアミノ酸の側鎖であることが理解されるであろう。好ましくは、Rは、任意の天然に存在するアミノ酸の側鎖である。Rは、アルギニン側鎖、ヒスチジン側鎖、リジン側鎖、アスパラギン酸側鎖、グルタミン酸側鎖、セリン側鎖、トレオニン側鎖、アスパラギン側鎖、グルタミン側鎖、システイン側鎖、システイン側鎖、セレノシステイン側鎖、グリシン側鎖、プロリン側鎖、アラニン側鎖、バリン側鎖、イソロイシン側鎖、ロイシン側鎖、メチオニン側鎖、フェニルアラニン側鎖、チロシン側鎖またはトリプトファン側鎖であってもよい。
【0032】
例として、グリシン側鎖は水素であり、アラニンはメチルであり、バリンはイソプロピルであり、フェニルアラニンはベンジルであることが理解されるであろう。あるいは、Rがプロリン側鎖である場合は、RおよびRは、これらが結合している原子と一緒になって、結合して5員複素環を形成する。
【0033】
一実施形態では、Rは、セリン、トレオニンおよびシステインから選択され得る求核性アミノ酸側鎖であってもよい。しかしながら、好ましくは、Rは、システイン側鎖ではない。別の実施形態では、Rは、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンおよびプロリンから選択され得る疎水性アミノ酸側鎖であってもよい。さらに別の実施形態では、Rは、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸およびグルタミン酸から選択され得る芳香族アミノ酸側鎖であってもよい。さらに別の実施形態では、Rは、アスパラギンおよびグルタミンから選択され得るアミドアミノ酸側鎖であってもよい。さらに別の実施形態では、Rは、ヒスチジン、リジンおよびアルギニンから選択される塩基性アミノ酸側鎖であってもよい。さらに別の実施形態では、Rは、グリシンまたはアラニンのいずれかであり得る小さなアミノ酸の側鎖であってもよい。
【0034】
好ましい実施形態では、Rがグリシン側鎖であり、すなわち、Rが水素であり、化合物が式(Ifa):
【化11】
を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態では、Rがアラニン側鎖であり、すなわち、Rがメチルであり、化合物が式(Ifb):
【化12】
を有する。
【0036】
さらに別の好ましい実施形態では、Rがバリン側鎖であり、すなわち、Rがイソプロピルであり、化合物が式(Ifc):
【化13】
を有する。
【0037】
またさらに別の好ましい実施形態では、Rがフェニルアラニン側鎖であり、すなわち、Rがフェニルであり、化合物が式(Ifd):
【化14】
を有する。
【0038】
またさらに別の好ましい実施形態では、Rがプロリン側鎖であり、すなわち、RおよびRが、これらが結合している原子と一緒になって、結合して5員複素環を形成し、化合物が式(Ife):
【化15】
を有する。
【0039】
式(I)の化合物は、アミノ酸リンカー、すなわち以下:
【化16】
を含むことが理解されるであろう。
【0040】
アミノ酸リンカーが、Dアミノ酸リンカー、すなわち以下:であってもよい。
【化17】
【0041】
しかしながら、好ましい実施形態では、アミノ酸リンカーが、Lアミノ酸リンカー、すなわち以下:である。
【化18】
【0042】
好ましくは、Rは、1つ以上の置換基で任意に置換された芳香環である。したがって、Rは、1つ以上の置換基で任意に置換された、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはピリミジニル基であってもよい。より好ましくは、Rは、1つ以上の置換基で任意に置換された、フェニル、ピリジンまたはピリミジンである。したがって、Rは、以下:からなる群から選択されてもよく、
【化19】
式中、
qは、0、1、2、3または4であり、
rは、0、1、2または3であり、
sは、0、1、2、3、4または5であり、
は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRである。
【0043】
好ましくは、Rは、以下:からなる群から選択される。
【化20】
【0044】
好ましくは、フェニル、ピリジニルまたはピリミジニル基が、1つ以上のX基で置換されている。
【0045】
が、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルである場合は、Xは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよいことが理解されるであろう。
【0046】
がハロゲンである場合は、Xは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよいことが理解されるであろう。
【0047】
および/またはRが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルである場合は、Rおよび/またはRは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよいことが理解されるであろう。
【0048】
および/またはRが、C3-6シクロアルキルまたはシクロアルケニルである場合は、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニルまたは各C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニルは、独立して、シクロヘキシルまたはフェニルであってもよい。
【0049】
および/またはRが、C3-6ヘテロシクリルまたはヘテロアリールである場合は、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールまたは各C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールは、独立して、ピリジル、ピリミジル、フラニル、イミダゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、チオモルホリニルまたはチオモルホリニル-S,S-ジオキシドであってもよい。
【0050】
好ましくは、Xが、SRである場合は、Rが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルであり、より好ましくはRが、メチル基である。
【0051】
好ましくは、Xが、SOである場合は、Rが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルであり、より好ましくはRが、メチル基である。
【0052】
好ましくは、Xが、ORである場合は、Rが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルであり、より好ましくはRが、エチル基である。
【0053】
一実施形態では、Xが、NRである場合は、Rが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルであり、Rが、水素である。好ましくは、Rが、メチル基、エチル基またはプロピル基である。
【0054】
別の実施形態では、Xが、NRである場合は、Rが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルであり、Rが、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルである。好ましくは、RおよびRが、それぞれ独立して、メチル基、エチル基またはプロピル基である。一実施形態では、RとRの両方が、エチル基である。
【0055】
別の実施態様では、Xが、NRである場合は、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換された3~7員環を形成する。3~7員環または各3~7員環が、1つ以上の置換基で任意に置換された、4員環、5員環または6員環であってもよい。4員環が、1つ以上の置換基で任意に置換されたアゼチジンであってもよい。5員環が、1つ以上の置換基で任意に置換されたピロリジンであってもよい。6員環が、1つ以上の置換基で任意に置換された、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンまたはチオモルホリン-S,S-ジオキシドであってもよい。
【0056】
3~7員環が、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルで置換されていてもよい。C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルが、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよい。
【0057】
3~7員環が、ハロゲンで置換されていてもよい。ハロゲンが、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。好ましくは、ハロゲンが、フッ素または塩素である。いくつかの実施形態では、3~7員環が、以下:であってもよい。
【化21】
【0058】
3~7員環が、C(O)R10で置換されていてもよい。R10が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよい。好ましくは、R10が、メチル基である。いくつかの実施形態では、3~7員環が、以下:であってもよい。
【化22】
【0059】
3~7員環が、SR10またはSO10で置換されていてもよい。R10が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよい。好ましくは、R10が、メチル基である。いくつかの実施形態では、3~7員環が、以下:であってもよい。
【化23】
【0060】
3~7員環が、OR10で置換されていてもよい。R10が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよい。
【0061】
3~7員環が、NR1011で置換されていてもよい。R10およびR11が、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であってもよい。
【0062】
および/またはRが、
【化24】
である場合は、RおよびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成する。3~7員環または各3~7員環が、4員環、5員環または6員環であってもよい。4員環が、アゼチジンであってもよい。5員環が、ピロリジンであってもよい。6員環が、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンまたはチオモルホリン-S,S-ジオキシドであってもよい。好ましくは、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になってモルホリンを形成する。
【0063】
好ましい一実施形態では、Rが、1つ以上のX基で任意に置換されたフェニル基であり、化合物が式(Ig):
【化25】
を有する。
【0064】
一実施形態では、sが5である。好ましくは、少なくとも1つのX基が、ハロゲンである。より好ましくは、少なくとも2つのX基がハロゲンであるか、少なくとも3つのX基がハロゲンであるか、または少なくとも4つのX基がハロゲンである。最も好ましくは、全てのX基が、ハロゲンである。好ましくは、ハロゲンまたは各ハロゲンが、フッ素である。
【0065】
しかしながら、より好ましい実施形態では、Rが、フェニル基であり、sが0であり、化合物が式(Ih):
【化26】
を有する。
【0066】
好ましい一実施形態では、Rが、1つ以上のX基で任意に置換されたピリジニル基である。化合物が、式(Ii):
【化27】
を有してもよい。
【0067】
あるいは、化合物が、式(Iia):
【化28】
を有してもよい。
【0068】
より好ましい実施形態では、Rが、ピリジニル基であり、qが4である。化合物が、式(Ij)または式(Ija):
【化29】
を有してもよい。
【0069】
好ましくは、少なくとも1つのX基が、ハロゲンである。より好ましくは、少なくとも2つのX基が、ハロゲンである。さらにより好ましくは、少なくとも3つのX基が、ハロゲンである。好ましくは、ハロゲンまたは各ハロゲンが、フッ素である。
【0070】
好ましい一実施形態では、Rが、ピリジニル基であり、qが4であり、3つのX基が、ハロゲンであり、1つのX基が、ORを含む。好ましくは、各ハロゲンが、フッ素である。好ましくは、Rが、エチル基である。好ましくは、化合物が、式(Ik):
【化30】
を有する。
【0071】
より好ましい実施形態では、Rが、ピリジニル基であり、qが4であり、4つのX基のそれぞれがハロゲンである。好ましくは、各ハロゲンが、フッ素である。化合物が、式(Il):
【化31】
を有してもよい。
【0072】
さらに好ましい実施形態では、Rが、ピリジニル基であり、qが4であり、3つのX基が、ハロゲンであり、1つのX基が、SOを含む。好ましくは、各ハロゲンが、フッ素である。好ましくは、Rが、メチル基である。好ましくは、各ハロゲンが、フッ素である。好ましくは、化合物が、式(Ila):
【化32】
を有する。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、Rが、ピリジニル基であり、qが4であり、3つのX基が、ハロゲンであり、1つのX基が、NRを含む。好ましくは、各ハロゲンが、フッ素である。RおよびRが、それぞれ独立して、水素またはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであってもよい。好ましくは、RおよびRが、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルであってもよい。より好ましくは、RおよびRが、それぞれエチルである。好ましくは、化合物が、式(Ilb):
【化33】
を有する。
【0074】
あるいは、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換された3~7員環を形成する。好ましくは、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換されたピペラジン環を形成する。好ましくは、ピペラジン環が、C(O)R10で置換され、より好ましくはR10が、メチルである。好ましくは、化合物が、式(Ilc):
【化34】
を有する。
【0075】
あるいは、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換されたチオモルホリニル-S,S-ジオキシド環を形成する。好ましくは、チオモルホリニル-S,S-ジオキシド環が非置換である。好ましくは、化合物が、式(Ild):
【化35】
を有する。
【0076】
あるいは、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換されたモルホリン環を形成する。好ましくは、モルホリン環が、非置換である。好ましくは、化合物が、式(Ile):
【化36】
を有する。
【0077】
あるいは、RおよびRが、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1つ以上の置換基で任意に置換されたピペリジン環を形成する。好ましくは、ピペリジン環が、少なくとも1つのハロゲンで置換されている。好ましくは、ピペリジン環が、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のハロゲンで置換されている。好ましくは、ハロゲンまたは各ハロゲンが、フッ素である。好ましくは、化合物が、式(Ilf):
【化37】
を有する。
【0078】
別の好ましい実施形態では、Rが、1つ以上のX基で任意に置換されたピリミジニル基である。化合物が、式(Ilg):
【化38】
を有してもよい。
【0079】
rは1、2または3であり得ることが理解されるであろう。好ましい実施形態では、Rが、ピリミジニル基であり、rが1である。化合物が、式(Ilh):
【化39】
を有してもよい。
【0080】
好ましくは、Xが、ハロゲンまたはSOである。より好ましくは、Xが、塩素またはSOMeである。
【0081】
本明細書に記載の化合物は、ベンゾジアゼピン環構造の3位の炭素にキラル中心を有することが理解されるであろう。したがって、好ましい一実施形態では、化合物が、Sキラル中心を有してもよく、式(Im):
【化40】
を有してもよい。
【0082】
好ましい実施形態では、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Lが存在せず、Rがフェニル基であり、mが0であり、nが0であり、sが0であり、化合物がSキラル中心を有する。したがって、化合物が、式(In):
【化41】
を有してもよい。
【0083】
別の好ましい実施形態では、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Lが存在せず、Rがピリジニル基であり、mが0であり、nが0であり、qが4であり、3つのX基がフッ素であり、1つのX基がORであり、Rがエチルであり、化合物がSキラル中心を有する。したがって、化合物が、式(Io):
【化42】
を有してもよい。
【0084】
さらに別の好ましい実施形態では、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Lが存在せず、Rがピリジニル基であり、mが0であり、nが0であり、qが4であり、全てのX基がフッ素である。したがって、化合物が、式(Ip):
【化43】
を有してもよい。
【0085】
最も好ましい実施形態では、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが水素であり、Lが存在せず、Rがピリジニル基であり、mが0であり、nが0であり、qが4であり、全てのX基がフッ素であり、化合物がSキラル中心を有する。したがって、化合物が、式(Iq):
【化44】
を有してもよい。
【0086】
あるいは、化合物が、以下:
【化45-1】
【化45-2】
【化45-3】
から選択されてもよい。
【0087】
本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形は、微生物感染症を治療、改善、または予防するための単独療法(すなわち、化合物単独の使用)において使用されてもよい薬剤に使用されてもよいことが理解されるであろう。あるいは、化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形は、微生物感染症を治療、改善、もしくは予防するために既知の療法に補助として、または既知の療法と組み合わせて使用されてもよい。例えば、式Iの化合物と共に投与されてもよい、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を治療するための既知の抗ウイルス薬は、リバビリンまたは気管支拡張薬を含む。
【0088】
特に組成物が使用される方法に応じて、化合物を多くの異なる形態を有する組成物と組み合わせてもよい。したがって、例えば、組成物は、粉末、錠剤、カプセル、液剤、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、エアロゾル、スプレー、ミセル溶液、経皮パッチ、リポソーム懸濁液、または治療を必要とするヒトまたは動物に投与できる他の任意の適切な形態であり得る。本発明による薬剤のビヒクルは、それが与えられる対象によって良好な忍容性が示されるものでなければならないことが理解されるであろう。
【0089】
本明細書に記載の化合物を含む薬剤は、多くの方法で使用されてもよい。例えば、経口投与が必要とされる場合があり、その場合、化合物は、例えば錠剤、カプセル剤または液剤の形態で経口摂取され得る組成物内に含まれ得る。本発明の化合物を含む組成物は、吸入(例えば、鼻腔内)によって投与されてもよい。組成物はまた、局所使用のためにも製剤化され得る。例えば、クリームまたは軟膏は、皮膚に塗布されてもよい。
【0090】
本発明による化合物はまた、徐放型または遅延型放出デバイスに組み込まれてもよい。そのようなデバイスは、例えば、皮膚の上または下に挿入されてもよく、薬剤は数週間または数ヶ月にわたって放出されてもよい。デバイスは、少なくとも治療部位に隣接して配置されてもよい。そのようなデバイスは、本発明に従って使用される化合物による長期治療が必要で、通常頻繁な投与を必要とする(例えば、少なくとも毎日の注射)場合に、特に有利であり得る。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明による化合物および組成物は、血流にまたは直接治療が必要な部位に注射することによって対象に投与されてもよい。注射は、静脈内(ボーラスまたは注入)、または皮下(ボーラスまたは注入)、または皮内(ボーラスまたは注入)であり得る。
【0092】
必要とされる化合物の量は、その生物学的活性および生物学的利用能によって決定され、次に投与方法、化合物の生理化学的特性、およびそれが単独療法として、または併用療法に使用されるかどうかによって決定されることが理解されるであろう。投与頻度はまた、治療される対象内の化合物の半減期によっても影響されるだろう。投与される最適用量は、当業者によって決定されてもよく、使用時の特定の化合物、薬学的組成物の強さ、投与方法、および微生物感染症の進行によって変動するであろう。対象の年齢、体重、性別、食事、および投与時間を含む、治療される特定の対象によるさらなる要因は、投与量を調整する必要性をもたらすであろう。
【0093】
一般に、どの化合物または類似物を使用するかに応じて、0.01μg/kg体重~500mg/kg体重という本発明による化合物の1日量が、生物感染症を治療、改善、または予防するために使用されてもよい。より好ましくは、1日量が、0.01mg/kg体重~400mg/kg体重であり、より好ましくは0.1mg/kg体重~200mg/kg体重であり、最も好ましくは約1mg/kg体重~100mg/kg体重である。
【0094】
化合物は、治療される微生物感染症の発症前、発症中または発症後に投与されてもよい。1日量は、単回投与(例えば、1日1回の注射)として与えられてもよい。あるいは、微生物感染症は、1日に2回以上の投与を必要とし得る。一例として、本発明による化合物は、25mg~7000mg(すなわち、70kgの体重と仮定)の1日量を2回(または治療される微生物感染症の重症度によってはそれ以上)投与されてもよい。治療を受けている患者は、起床時に最初の用量を服用し、次に夕方に(2回投与計画の場合)またはその後3~4時間間隔に2回目の用量を服用することができる。あるいは、徐放デバイスを使用して、反復投与を行う必要なく、本発明による化合物の最適用量を患者に提供してもよい。
【0095】
製薬業界によって従来用いられるもの(例えば、インビボ実験、臨床試験等)などの既知の手順は、本発明による化合物を含む特定の配合物および(化合物の1日量および投与回数などの)厳密な治療計画を形成するために使用されてもよい。本発明者らは、本発明の化合物の使用に基づいて、微生物感染症を治療するための薬学的組成物について説明する最初の者であると考えている。
【0096】
したがって、本発明の第5の態様では、第1の態様による化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形、および薬学的に許容されるビヒクルを含む薬学的組成物が提供される。
【0097】
薬学的組成物は、微生物感染症の対象における治療的改善、予防または治療に使用することができる。したがって、組成物は、好ましくは抗微生物薬学的組成物であり、最も好ましくは抗ウイルス薬学的組成物である。最も好ましい実施形態では、第5の態様の組成物は、抗RSV薬学的組成物である。好ましくは、化合物は、式I、Ia~Iqとして示される式のいずれかを有する。
【0098】
本発明は、第6の態様において、第5の態様による組成物を作製するためのプロセスであって、治療有効量の第1の態様の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形と、薬学的に許容されるビヒクルとを接触させることを含む、プロセスも提供する。
【0099】
好ましくは、化合物は、式I、Ia~Iqとして示される式のいずれかを有する。
【0100】
「対象」は、脊椎動物、哺乳動物、または家畜であり得る。したがって、本発明による化合物、組成物および薬剤は、例えば家畜(例えば、ウマ)、ペット等の任意の哺乳動物を治療するために使用されてもよいし、他の獣医学的用途に使用されてもよい。しかしながら、最も好ましくは、対象はヒトである。
【0101】
化合物の「治療有効量」は、対象に投与される際の任意の量であり、標的疾患を治療するために、または所望の効果を生む、すなわち微生物感染症、好ましくはRSV感染症を抑制するために必要とされる薬物の量である。
【0102】
例えば、使用される化合物の治療有効量は、約0.01mg~約800mgであってもよく、好ましくは約0.01mg~約500mgであってもよい。化合物の量は、約0.1mg~約250mgの量であることが好ましく、最も好ましくは約0.1mg~約20mgである。
【0103】
本明細書で言及される「薬学的に許容されるビヒクル」は、薬学的組成物を製剤するのに有用であることが当業者に知られている任意の既知の化合物または既知の化合物の組み合わせである。
【0104】
一実施形態では、薬学的に許容されるビヒクルは固体であってよく、組成物は粉末または錠剤の形態であってよい。固体の薬学的に許容されるビヒクルは、香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁剤、染料、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、不活性結合剤、甘味剤、防腐剤、染料、コーティング剤、または錠剤崩壊剤としても作用し得る1つ以上の物質を含んでもよい。ビヒクルは封入材料でもあり得る。粉末の場合、ビヒクルは、本発明による微粉化した活性物質(すなわち、第1、第2および第3の態様による化合物)との混合物中の微粉化した固体である。錠剤の場合、活性化合物は、適切な割合で必要な圧縮特性を有するビヒクルと混合され、所望の形およびサイズに固められてもよい。粉末および錠剤は、好ましくは最大で99%の活性化合物を含有する。適切な固体ビヒクルとしては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックス、およびイオン交換樹脂が挙げられる。別の実施形態では、薬学的ビヒクルはゲルであってよく、組成物はクリームなどの形態であってもよい。
【0105】
しかしながら、薬学的ビヒクルは液体であってもよく、薬学的組成物は溶液の形態である。液体ビヒクルは、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、および加圧組成物を調製するのに使用される。本発明による化合物は、水、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容される油もしくは脂肪などの薬学的に許容される液体ビヒクルに溶解または懸濁させてもよい。液体ビヒクルは、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味剤、香味剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘度調整剤、安定剤、または浸透圧調整剤などの他の適切な薬学的添加剤を含有することができる。経口および非経口投与のための液体ビヒクルの適切な例には、水(上記の添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を部分的に含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)、およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば分別ヤシ油および落花生油)が含まれる。非経口投与の場合、ビヒクルは、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルでもあり得る。滅菌液体ビヒクルは、非経口投与用の滅菌液体形態の組成物において有用である。加圧組成物用の液体ビヒクルは、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴射剤であり得る。
【0106】
滅菌溶液または懸濁剤である液体薬学的組成物は、例えば、筋肉内、髄腔内、硬膜外、腹腔内、静脈内、および特に皮下注射によって利用することができる。化合物は、滅菌水、食塩水、または他の適切な滅菌注射用媒体を使用して投与時に溶解または懸濁することができる滅菌固体組成物として調製することができる。
【0107】
本発明の化合物および組成物は、他の溶質または懸濁剤(例えば、等張液を作製するのに十分な生理食塩水またはグルコース)、胆汁塩、アカシア、ゼラチン、モンオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80(エチレンオキシドで共重合したソルビトールおよびその無水物のオレイン酸エステル)等を含有する滅菌した溶液または懸濁液の形態で投与されてもよい。本発明により使用される化合物は、液体か固体いずれかの組成物の形態で経口投与もされ得る。経口投与に適した組成物には、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、錠剤、および散剤などの固体形態、ならびに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、および懸濁剤などの液体形態が含まれる。非経口投与に有用な形態としては、滅菌溶液、乳剤、および懸濁剤が挙げられる。
【0108】
本発明者らは、第1の態様の化合物を調製する方法もまた新規であると考えている。
【0109】
第7の態様によれば、第1の態様の化合物を調製する方法であって、式(II):
【化46】
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を、式(III):
【化47】
の化合物であって、
式中、R、R、R、R、R、X、X、mおよびnは、上記で定義した通りであり、
12は、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルである、化合物、またはその塩もしくは溶媒和物と接触させることを含む、方法が提供される。
【0110】
12は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であり得ることが理解されるであろう。好ましい一実施形態では、R12が、メチル基である。しかしながら、より好ましい実施形態では、R12が、水素である。
【0111】
好ましくは、式(III)の化合物は、式(IIIa):
【化48】
の化合物である。
【0112】
より好ましくは、式(III)の化合物は、式(IIIb):
【化49】
の化合物である。
【0113】
最も好ましくは、式(III)の化合物は、式(IIIc):
【化50】
の化合物である。
【0114】
好ましくは、式(II)および式(III)の化合物を、塩基の存在下で接触させる。好ましくは、塩基は、トリメチルアミンである。
【0115】
好ましくは、式(II)および式(III)の化合物を、カップリング剤の存在下で接触させる。好ましくは、カップリング剤は、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)である。
【0116】
反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)および/またはアセトニトリルを含む溶液中で実施されてもよい。好ましくは、反応は、ジメチルホルムアミドを含む溶液中で実施される。
【0117】
好ましくは、溶液を少なくとも1時間撹拌する。より好ましくは、溶液を少なくとも2、3、4または5時間撹拌する。最も好ましくは、溶液を少なくとも10または15時間撹拌する。
【0118】
好ましくは、溶液を0℃~50℃の温度で撹拌する。より好ましくは、溶液を5℃~40℃または10℃~30℃の温度で撹拌する。最も好ましくは、溶液をほぼ室温で撹拌する。
【0119】
方法は、得られた化合物を、続いて求核剤と接触させることを含んでもよい。求核剤は、アルコール、チオール、チオレート、アミンまたはこれらの塩を含んでもよい。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはペンタノールを含んでもよい。チオールは、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオールまたはペンタンチオールを含んでもよい。チオレートは、メタンチオレート、エタンチオレート、プロパンチオレート、ブタンチオレートまたはペンタンチオレートを含んでもよい。アミンは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、またはチオモルホリン-S,S-ジオキシドを含んでもよい。
【0120】
好ましい化合物を調製することを可能にするために、本発明者らは、最初に中間化合物を調製してもよい。本発明者らは、中間化合物を調製するこれらの方法もまた新規であると考えている。
【0121】
第8の態様によれば、式(IV):
【化51】
の化合物であって、
式中、R、RおよびRは、上記で定義した通りであり、
13は、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルである、化合物を調製する方法であって、式(V):
【化52】
の化合物を、
脱離基で置換され、かつ1つ以上のさらなる置換基で任意に置換されたベンゼン、ピリジンまたはピリミジンと接触させることを含み、
ここで、さらなる置換基または各さらなる置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、OR、またはNRであり、RおよびRは、上記で定義した通りであり、
反応が密閉容器中で行われることを特徴とする、方法が提供される。
【0122】
有利には、密閉容器はベンゼン、ピリジンまたはピリミジンが大気中に逃げるのを防止する。
【0123】
好ましくは、R13が、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルケニルである。R13が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であり得ることが理解されるであろう。好ましい一実施形態では、R13が、メチル基である。
【0124】
脱離基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素などの任意のハロゲンであってもよい。好ましくは、Xは、フッ素である。
【0125】
好ましくは、ベンゼン、ピリジンまたはピリミジンが、以下:からなる群から選択され、
【化53】
式中、X、r、qおよびsは、上記で定義した通りであり、Xは脱離基である。
【0126】
好ましくは、方法が、式(V)の化合物を、ピリジンまたはピリミジンと接触させることを含む。より好ましくは、方法が、式(V)の化合物を、ピリジンと接触させることを含む。
【0127】
好ましくは、ピリジンが、以下:
【化54】
を含む。
【0128】
最も好ましくは、ピリジンが、ペンタフルオロピリジンである。
【0129】
好ましくは、式(V)の化合物とベンゼン、ピリジンまたはピリミジンとを塩基の存在下で接触させる。好ましくは、塩基は、トリメチルアミンである。
【0130】
反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)および/またはアセトニトリルを含む溶液中で実施されてもよい。好ましくは、反応は、ジメチルホルムアミドを含む溶液中で実施される。
【0131】
好ましくは、溶液を、1分~180分間撹拌する。より好ましくは、溶液を、5分~120分間、または10分~60分間撹拌する。最も好ましくは、溶液を、20分~40分間撹拌する。
【0132】
好ましくは、溶液を、0℃~50℃の温度で撹拌する。より好ましくは、溶液を、5℃~40℃または10℃~30℃の温度で撹拌する。最も好ましくは、溶液を、ほぼ室温で撹拌する。
【0133】
方法は、得られた化合物を、続いて金属水酸化物と接触させることを含んでもよい。
【0134】
有利には、方法は、式(IIIb)または式(IIIc)の化合物を調製してもよい。
【0135】
金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を含んでもよい。好ましくは、金属水酸化物が、水酸化リチウムを含む。
【0136】
得られた化合物を、続いて金属水酸化物と接触させる工程は、水溶液中で実施されてもよい。
【0137】
好ましくは、水溶液を、少なくとも1時間撹拌する。より好ましくは、水溶液を、少なくとも2、3、4または5時間撹拌する。最も好ましくは、水溶液を、少なくとも10または15時間撹拌する。
【0138】
好ましくは、水溶液を、0℃~50℃の温度で撹拌する。より好ましくは、水溶液を、5℃~40℃または10℃~30℃の温度で撹拌する。最も好ましくは、水溶液を、ほぼ室温で撹拌する。
【0139】
水溶液を、酸でクエンチしてもよい。酸は、好ましくは塩化水素である。
【0140】
さらなる態様では、式(I):
【化55】
の化合物であって、
式中、Rは、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであり、
は、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであり、
は、任意のアミノ酸側鎖であり、Rは、HまたはC1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニルであるか、あるいはRおよびRは、これらが結合している原子と一緒になって、結合して5員複素環を形成し、
は、1つ以上の置換基で任意に置換された6員環であり、
ここで、置換基または各置換基は、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、OR、またはNRであり、
mは、0、1、2、3または4であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Xは、独立して、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、ハロゲン、SR、SO、ORまたはNRから選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化56】
からなる群から選択され、
または各Rは、独立して、水素、C1-5の直鎖もしくは分岐のアルキルもしくはアルケニル、C3-6シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C3-6ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール、C2-4メタンスルホニルアルキル、C2-4ジアルキルアミノアルキルおよび
【化57】
からなる群から選択され、
かつ/あるいはRおよびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成し、
pは、1、2、3、4または5であり、
およびRは、独立して、これらが結合している窒素原子と一緒になって3~7員環を形成する、
化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体もしくは結晶多形が提供される。
【0141】
本明細書に記載される全ての特徴(添付されているあらゆる図面、特許請求の範囲、および要約を含む)、および/またはそのように開示されるいずれかの方法またはプロセスの工程の全ては、そのような特徴および/または工程の少なくともいくつかの互いに排他的な組み合わせを除き、任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかと組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0142】
図1図1は、N-{(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル](テトラフルオロピリジン-4-イルアミノ)アセトアミドの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0143】
実施例
実施例1:化合物の合成
融点は、解放毛細管において、Stuart SMP30デジタル融点装置を使用して決定され、補正されていない。周囲プローブ温度(公称295K)で、溶媒として重水素化クロロホルム(CDCl)かあるいはヘキサ重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を使用し、Bruker Avance-III-400(1H=400.06MHz;19F=376.4MHz;13C=100.6MHz)にNMRスペクトルが記録された。化学シフト(δ)は、内部基準としてppm対TMS(H NMR、13C NMR)で示される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で示される。LC ES MS(陽イオン)は、Acquity UPLC(Waters Corp.)を装備したQToF Premier質量分析計で実施された。LC分離は、0.6mL/分で、100%水性(水中0.1%ギ酸)~100%有機(アセトニトリル中0.1%ギ酸)の逆相勾配を使用して、C18 BEHクロマトグラフィーカラム(2.1mm×100mmおよび1.7um粒度)で達成された。Supelco.S-A(254nMでの蛍光指示薬)(Sigma-Aldrich Chemie GmbH Riedstr.2D-8955T,Steinheim 497329-970,Germany)のシリカゲルプレートを、TLC試験に使用した。Sigma-Aldrich(The Old Brickyard,Gillingham,SP8 4JL.UK)のシリカゲル(70~230メッシュ)を使用して、カラムクロマトグラフィーを実施した。試薬もSigma-Aldrichから入手し、さらに精製することなく使用した。
【0144】
中間体1:2-[(テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸メチル
【化58】
DMF(2ml)に溶かしたペンタフルオロピリジン(0.4ml)を、密封容器中、室温で、トリエチルアミン(0.5ml)およびグリシンメチルエステル塩酸塩(250mg)で処理し、そこで30分間撹拌した。混合物を水とEtOAcに分配した。層を分離し、EtOAc層を、水(5回)、ブラインの一部で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、デカントし、真空中で濃縮した。得られた固体をヘキサンで粉砕して、白色の固体として表題化合物を得た。収率:0.221g(87%);融点67~69℃;H NMR(400MHz、CDCl):δ=5.22(bs、1H、NH)、4.32(bt、2H、CH)、3.90(s、3H、OCH);19F(376MHz、CDCl)-93.61(m、2F)、-163.97(m、2F)。
【0145】
中間体2:2-[(テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸
【化59】
THF(9ml)に溶かした2-[(テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸メチル(中間体1)(119mg)を、室温で、水(9ml)に溶かした水酸化リチウム(164mg)で処理した。18時間後、9mlの3M HClを加え、続いて飽和するまで塩を加えた。この混合物を酢酸エチルで抽出し(3回)、合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、デカントし、真空中で濃縮した。
【0146】
化合物1:N-{(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル](フェニルアミノ)アセトアミド
【化60】
(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イルアミン(126mg)を、DMF(2.5ml)に溶かしたトリエチルアミン(190μl)、HBTU(190mg)、N-フェニルグリシン(76mg)と混合し、室温で18時間撹拌した。水(5ml)を添加し、得られた固体をろ過した。シリカ上のクロマトグラフィー(200:8:1、DCM、エタノール、アンモニア)により、所望の化合物を淡クリーム色の固体として得た。収率:0.045g(23%);H NMR(400MHz,CDCl):δ=10.92(s,1H,NH),8.94(d,1H,C(=O)NH),7.66(m,1H,ArH),7.54-7.43(m,5H,ArH),7.10(m,2H,ArH),6.60(d,2H,ArH),6.50(m,1H,ArH),6.06(t,1H,CHNHAr),5.26(d,1H,C=NCH(C=O)N),3.84(2H,m,CHC=O);)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ=171.2,168.1,167.3,148.8,139.1,138.5,132.6,131.1,130.9,129.9,129.3,128.8,126.6,123.8,122.0,117.1,113.0,56.5,47.3)。
【0147】
化合物2:N-{(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル](テトラフルオロピリジン-4-イルアミノ)アセトアミド
【化61】
上記化合物を、化合物1と同様の方法で、N-フェニルグリシンを2-[(テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸(中間体2)と置き換えて、調製した。収率:0.11g(48%);H NMR(400MHz,CDCl):δ=9.43(s,1H,CONH),8.25(d,1H,CHNHC=O)7.51(m,3H,ArH),7.44(m,1H,ArH),7.36(m,3H,ArH),7.22(m,2H,ArH),5.65(d,1H,C=NCH(C=O)N),5.55(m,1H,CHNHAr),4.38(2H,m,NHCHC=O)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ=168.9,168.7,168.5,145.2,142.8,138.2,137.3,137.0,132.5,132.47,131.5,130.9,130.0,129.8,128.3,127.5,124.4,121.6,67.6:19F(376MHz,CDCl)-94.07(m,1F),-163.77(m,1F)。
【0148】
化合物3:N-{2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル](フェニルアミノ)アセトアミド
【化62】
上記化合物を、化合物1と同様の方法で、N-フェニルグリシンを2-[(テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸(中間体2)と置き換えて、かつ(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イルアミンをそのラセミ体と置き換えて、調製した。H NMR(400MHz,CDCl):δ=10.90(s,1H,CONH),9.34(d,1H,CHNHC=O)7.65(d,1H,ArH),7.55(m,5H,ArH),7.48(m,3H,ArH)),5.25(d,1H,C=NCH(C=O)N),4.25(2H,m,NHCHC=O)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ=168.9,168.7,168.5,145.2,142.8,138.2,137.3,137.0,132.5,132.47,131.5,130.9,130.0,129.8,128.3,127.5,124.4,121.6,67.6:19F(376MHz,CDCl)-97.0(m,1F),-163.54(m,1F)。
【0149】
化合物4:2-[(2-エトキシ-3,5,6-トリフルオロピリジン-4-イル)アミノ]-N-{(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
【化63】
N-{(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル](テトラフルオロピリジン-4-イルアミノ)アセトアミド(化合物2)(100mg)を、室温で、エタノール(2ml)に溶解させ、ナトリウムエトキシド(135μl)で処理した。混合物を76℃に加熱した。この温度で12時間後、混合物を室温に冷却し、さらにナトリウムエトキシド(135μl)を加えた。混合物を、さらに18時間76℃に加熱した。希HCl(2N、3ml)を加え、混合物を酢酸エチルと水に分配した。水相を酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、デカントし、真空中で濃縮した。シリカ上のクロマトグラフィー(150:8:1;CHCl:EtOH:NHOH)により、所望の化合物を淡褐色の固体として単離した。収率:0.04g(39%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ=10.90(s,1H,CONH),9.34(d,1H,CHNHC=O)7.65(d,1H,ArH),7.55(m,5H,ArH),7.48(m,3H,ArH)),5.25(d,1H,C=NCH(C=O)N),4.25(2H,m,NHCHC=O)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ=168.9,168.7,168.5,145.2,142.8,138.2,137.3,137.0,132.5,132.47,131.5,130.9,130.0,129.8,128.3,127.5,124.4,121.6,67.6:19F(376MHz,CDCl)-97.0(m,1F),-163.54(m,1F)。
【0150】
実施例2:抗ウイルスおよび細胞毒性アッセイ
細胞をATCCから入手し、ウイルス調製物を40%(V/V)グリセロールを通して1回遠心分離して、感染細胞から産生されたインターフェロンを除去した。増殖培地は、10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)を有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)であり、ウイルス維持培地はDMEM+2%(v/v)FCSであった。
【0151】
細胞変性効果(CPE)アッセイ-IC50:
A549細胞およびHeLa細胞を使用して、50%コンフルエントになるまで増殖させて一連の96ウェルプレートに播種し、化合物の2倍連続希釈を、100μMの化合物で開始して対照としてDMSO(のみ)を用いて各細胞株に対して行った。使用した培地は、DMEM+2%FCS(ウイルス増殖用の通常の培地)であった。
【0152】
細胞を6~8日間増殖させてTCID50アッセイを模倣した後、細胞生存率を、Almar blur(XTTと同様)を加え、600nm(励起540nm)で読み取ることによって決定した。得られた結果を表1に示す。
【表1】
【0153】
結果は、3つの化合物全てが、RSVの治療に有効であることを示している。低いIC50値のために、化合物2は、RSVの治療において最も効果的な化合物である。化合物2が、化合物4(ラセミ体)よりもRSVの治療において十分より効果的であるという事実は、キラル選択があり、したがって化合物がウイルス内のタンパク質部位に直接結合することを示している。
【0154】
細胞毒性-CC50(50%の細胞毒性が観察される濃度):
A549細胞およびHeLa細胞を使用して、50%コンフルエントになるまで増殖させて一連の96ウェルプレートに播種し、化合物の2倍連続希釈を、100μMの化合物で開始して対照としてDMSO(のみ)を用いて各細胞株に対して行った。使用した培地は、DMEM+2%FCS(ウイルス増殖用の通常の培地)であった。
【0155】
細胞を6~8日間増殖させてTCID50アッセイを模倣した後、細胞生存率を、Almar blur(XTTと同様)を加え、600nm(励起540nm)で読み取ることによって決定した。
【0156】
得られた結果を表2に示す。
【表2】
【0157】
3つの化合物全てについてCC50は、CPE IC50値よりも有意に高かった。これは、化合物が、RSVを治療するために使用され得る濃度で毒性がないことを示唆している。
【0158】
プラーク減少アッセイ
ベロ細胞を、1ウェル当たり4×10細胞の濃度で、3%FCSを加えたオプティメム(Optimem)を100μL容量用い、96ウェルプレートに播種した。37℃で、加湿した5%COの雰囲気下で一晩培養した後に、細胞の単層は、ほぼ90%融合しているはずである。化合物2を、U型底の96ウェルプレートに入れ、予め加温した、血清を含まない(SF)オプティメム中で、滴定した。DMSO溶液中の化合物につき、最初に100%DMSOでの滴定を行い、それぞれ、SF培地中における4%DMSOでの最終濃度x2まで各濃度量加え、その後、最終のウイルスを含むDMSO濃度として2%となるように、ウイルスと混合した。次いで、培地を細胞から取り除き、PBS(100μl/ウェル)で置き換えた。保存したRSVを、自然に解かし、SFオプティメム培地に、4000PFU/mLになるように希釈した。等量のウイルスを滴定プレート上の化合物に加えた。細胞から、PBSを取り除いた後、ウイルス/化合物の溶液(50μL/ウェル)で、接種した。細胞を、37℃で、加湿した5%COの培養器で、2時間培養して、感染させた。接種材料を取り除き、培地(オプティメム+1%FCS)を、細胞に加えた(100μl/ウェル)。細胞は、その後48時間、37℃で、5%COを入れた加湿培養器で培養した。
【0159】
免疫染色手順
培地を細胞から取り除き、単層をPBSで洗浄した。細胞を、20分間、-20℃で、氷冷したPBS(100μl/ウェル)中の80%アセトンを用いて、定着処理した。定着剤を取り除き、細胞を反転したプレートで、30分間乾燥させた。細胞(150μL/ウェル)に、ブロッキング溶液(PBS-T中に5%スキムミルク粉末含有)を加え、プレートを、室温で、30分間培養した。ブロッキング溶液を除去し、プレートを、PBS-Tで一回洗浄した。ブロッキング溶液中の一次抗体を、プレート(50μl/ウェル)に加え、37℃で、1時間培養した。その後プレートを、PBS-Tで3回洗浄した。ブロッキング溶液中の二次抗体をプレート(50μL/ウェル)に加え、暗がりで、37℃で1時間培養した。このプレートを洗浄し、10分間乾燥させた。プレートを、オディッセイイメージャー(Odyssey Imager)(Li-Cor Biosciences)を用い、800nMチャンネルで、中適度の品質の42μMの解像度、レベル5の強度でスキャンした。
【0160】
データ分析
得られた画像を保存し、コンピュータイメージングソフトウェアを用いてプラーク数をカウントした。化合物のIC50値は、Graphpad Prismソフトウェアを使用して得られた用量反応曲線[3変数log(阻害剤)対反応]から誘導した。
【0161】
結果を表3に示す。
【表3】
【0162】
プラーク減少アッセイは、化合物がRSVを治療するために使用され得ることを示すデータを支持する。この標準的なプラーク減少アッセイに加えて、化合物を2つのさらなるフォーマットでRSVに対して試験した:第1の化合物は、感染時のみ添加し、複製段階時に除去し、第2のフォーマットでは、化合物を複製段階時にのみ添加し、第2のプラーク減少のIC50値は標準プラーク減少アッセイよりもはるかに高いので、これは、化合物が感染の最初の2時間では有効ではないことを示唆している。同様に、標準および第2のフォーマットのプラーク減少アッセイのIC50値は類似しているので、それは化合物がウイルス生活環の比較的遅い時期に作用することを強く示唆している。言い換えると、これは、化合物がウイルス複製阻害剤であることを示唆している。いかなる仮説によっても束縛されることを望まないが、本発明者らは、本発明の化合物が、RSVのN-タンパク質に結合し、故にウイルスの複製を阻害し、化合物がウイルスの生活環のより早い段階で作用した場合にはそうであったかもしれない、ウイルス-宿主細胞融合阻害剤である可能性は低いと考えている。
【0163】
細胞毒性
MTT細胞毒性アッセイ
ベロ細胞を、1ウェル当たり1×10細胞の濃度で、1%FBSを加えた100μL容量のオプティメム(Optimem)培地中、96ウェルプレートに播種した。37℃で、加湿した5%COの雰囲気下で一晩培養した後に、細胞の単層は、ほぼ90%融合しているはずである。化合物2を、U型底の96ウェルプレートに入れ、予め加温した、血清を含まない(SF)オプティメム中で、滴定した。DMSO溶液中の化合物につき、最初に100%DMSOでの滴定を行い、それぞれ、4%DMSOでの最終濃度x2まで各濃度量加えた。次いで、培地を細胞から取り除き、滴定した化合物(100μl/ウェル)で置き換えた。細胞を、加湿した5%CO雰囲気で、37℃で48時間インキュベートした。
【0164】
オプティメム上のMTT溶液(4mg/ml)を調製し、2μlを各ウェルに添加した後、それを加湿した5%CO雰囲気で、37℃で2時間インキュベートした。次いで、培地を細胞から除去し、DMSOを加えた(50μl/ウェル)。Spectromaxにおいて570nmで読み取る前に、プレートをシェーカーに置いた。未処理の対照(1%DMSOのみ)と比較してデータを正規化し、Graphpad Prismソフトウェアを用いた非線形回帰分析を使用してCC50値を決定した。
【0165】
この方法を使用して、化合物2は、63μMのCC50値を有することが分かった。化合物2について観察された細胞毒性値の差は、生物学的変動性と結び付いた細胞株の差(VeroとA549)に起因し得る。また、異なる実験が異なるラボで異なる時間に行われたことにも注意する必要があり、それもまたある程度の変動性をもたらし得る。
【0166】
しかしながら、63μMのCC50値は、依然としてCPE IC50値よりも有意に高い。これは、化合物2がRSVを治療するために使用され得る濃度で毒性がないという結論をさらに支持する。
【0167】
結果および考察
結果は、化合物1、2および4がRSVを治療するために使用され得ることを示す。さらに、化合物は、非毒性濃度でも有効である。化合物が、タンパク質部位に直接結合し、ウイルスの複製を阻害すると考えられる。
【0168】
実施例3:透過性アッセイ
NIH(Rockville、MD、USA)から入手したMDR1-MDCK細胞を、継代数6~30の間で使用する。細胞を3.4x105細胞/cmでMillipore Multiscreen Transwellプレートに播種する。細胞をDMEMで培養し、培地を3日目に交換する。4日目に透過性試験を行う。細胞培養およびアッセイインキュベーションを、相対湿度95%、5%CO2雰囲気下、37℃で行う。アッセイの日に、37℃に昇温した所望のpHのハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で側底面および先端面を2回すすぐことにより単層を調製する。次いで、細胞を先端区画および側底区画両方で所望のpHのHBSSと40分間インキュベートし、生理学的パラメーターを安定させる。
【0169】
投与液を、アッセイバッファーで化合物2を希釈して10μMの最終化合物2濃度(1%v/vの最終DMSO濃度)を得ることにより調製する。蛍光インテグリティマーカーのルシファーイエローも投与液に含める。分析標準を試験化合物のDMSO希釈液から調製し、バッファーに移し、1%v/v DMSO濃度に維持する。
【0170】
A-B透過性の評価のために、HBSSを先端区画から除去して、化合物2の投与液に置き換える。次いで、先端区画のインサートを、新しいバッファーを含むコンパニオンプレート(1%v/v DMSO含有)に入れる。B-A透過性の評価のために、HBSSをコンパニオンプレートから除去して、化合物2の投与液に置き換える。新しいバッファー(1%v/v DMSO含有)を先端区画のインサートに加え、次いで、コンパニオンプレートに入れる。
【0171】
60分で、先端区画のインサートおよびコンパニオンプレートを分離し、先端および側底の試料を、分析のために希釈する。
【0172】
化合物2の透過性を2回評価する。透過特性が知られた化合物を、各アッセイプレート上で対照として用いる。
【0173】
化合物2および対照化合物を、試料の適切な希釈を伴う8点較正を用いるLC-MS/MSカセット分析により定量する。開始濃度(C)を投与液から決定し、実験的回復を、Cならびに先端区画および側底区画両方の濃度から計算する。
【0174】
蛍光分析を用いてルシファーイエローの透過率をモニタリングすることにより、実験を通して単層のインテグリティをチェックする。単分子層がダメージを受けた場合、ルシファーイエローの透過率は高くなる。
【0175】
透過性データを表4に示す。
【表4】
【0176】
このデータは、化合物2が、透過性化合物であるが、おそらくPGPなどの輸送体を介した排出機構に対する感受性を有することを示している。
【0177】
実施例4:クリアランスアッセイ
プールされたヒト肝ミクロソーム(プールされた男性および女性のもの)、プールされたラット肝ミクロソーム(オスのSprague Dawleyラット)およびプールされたイヌ肝ミクロソーム(オスのビーグル犬)を、信頼できる商業的供給業者から購入し、使用前に-80℃で保存する。
【0178】
ミクロソーム(最終タンパク質濃度0.5mg/mL)、0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)および化合物2(最終基質濃度3μM;最終DMSO濃度0.25%)を37℃で予めインキュベートし、その後、NADPH(最終濃度1mM)を加えて、反応を開始する。最終のインキュベーション容量は50μLである。対照インキュベーションは、0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)をNADPH(マイナスNADPH)の代わりに加える場合の試験された各化合物のために含まれる。2つの対照化合物は、それぞれの種に含まれる。全てのインキュベーションを各試験化合物について単独で行う。
【0179】
化合物を、0、5、15、30および45分間インキュベートする。対照(マイナスNADPH)は、45分間のみインキュベートする。適切な時点で、25μLのインキュベートを、50μLメタノールに移すことにより反応を停止させる。終結プレートを、2,500rpm、4℃で20分間遠心分離し、タンパク質を沈殿させる。タンパク質を沈殿させた後、試料の上清を、最大4つの化合物のカセットにまとめ、内部標準を加え、試料をLC-MS/MSにより分析する。時間に対してlnピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)をプロットすることにより、線の傾きを決定する。続いて、半減期および固有クリアランスを計算し、これを表5に示す。
【表5】
【0180】
このデータは、実施例が第1相代謝を受ける可能性を示している。例えば、ラットおよびイヌのミクロソーム調製物では中程度および低いクリアランスが観察され、ヒトのミクロソーム調製物ではより高いクリアランスが観察される。
【0181】
実施例5:マウスのインビボ薬物動態アッセイ
化合物2の薬物動態評価を、雄のCD-1マウスにおいて静脈内(IV)および経口(PO)投与後に行った。静脈内投与のために、化合物を、40:60のDMA:生理食塩水に溶かした溶液に処方し、尾静脈を介して1mg/kgで投与した。経口投与のために、化合物を、1%メチルセルロースおよび0.1%Tween80を含有する水に溶かした懸濁液に処方し、経口胃管栄養法により10mg/kgで投与した。IV投与後1分~24時間の間の10の時点、およびPO投与後5分~24時間の間の9の時点で、血液試料を末梢麻酔(イソフルラン)下の心臓穿刺により採取した(各時点につきn=3)。遠心分離によって血漿を直ちに得て、得られた試料を分析まで凍結した。試料を、化合物を対照血漿にスパイクすることによって調製した検量線と共に、続いてアセトニトリルを用いた血漿タンパク質の沈殿による定量分析のために調製した。分析は、エレクトロスプレーイオン化(Agilent 6550システム)を使用して、飛行時間型質量分析と組み合わせた超高速液体クロマトグラフィー(Agilent 1290システム)によって行われた。薬物動態パラメーターは、Phoenix WinNonlin v6.4を使用して、平均濃度データの非コンパートメント分析によって決定した。得られたデータを表6に示す。
【表6】
【0182】
このデータは、実施例2が、中程度のクリアランスで経口的に生物学的に利用可能であることを示している。
【0183】
実施例6:さらなる化合物の合成
試薬を、商業的供給源から入手し、さらに精製することなく使用した。無水反応は、オーブン乾燥ガラス器具中、窒素雰囲気下で実施した。TLCは、254nMの蛍光指示薬を用いたアルミニウム裏打ちシリカゲルプレート(平均細孔径60Å)で実施した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、KP-Sil、UltraまたはKP-NHカラムを使用してBiotage Isolera Oneシステムを用いて行った。NMRスペクトルは、周囲プローブ温度(公称295K)で、400MHz分光計で記録した。化学シフト(δ)は、ppmで与えられ、溶媒の残留ピークを内部標準として使用することによって較正される(CDCl,δ=7.26ppm,δ=77.16ppm;DMSO-d,δ=2.50ppm,δ=39.52ppm)。結合定数は、ヘルツ(Hz)で示される。LRMSは、APCIまたはESIイオン源のいずれかを備えたAdvion Plate Express expressionコンパクト質量分析計を使用して記録した。
【0184】
調製例
中間体:
3A:2-[(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル
【化64】
グリシンtert-ブチルエステル塩酸塩(2.514g、15mmol)およびトリエチルアミン(4.39mL、31.5mmol)をDMF(45mL)に溶かした冷却(0℃)溶液に、ペンタフルオロピリジン(3.293mL、30mmol)を添加し、0℃で6時間撹拌した。反応物を室温にし、18時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中0~45%EtOAc)により精製して、白色の固体を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ5.16(br s,1H),4.20-4.15(m,2H),1.50(s,9H)。LRMS(APCI-)m/z278.6[M-H]
【0185】
以下の中間体化合物を同じ一般的な手順により調製した。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0186】
4A:2-{[3,5,6-トリフルオロ-4-(チオモルホリン-4-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}酢酸エチル
【化65】
4-(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)チオモルホリン(中間体3K)(856mg、3.39mmol)、グリシンエチルエステル塩酸塩(947mg、6.79mmol)およびKCO(1.641g、11.88mmol)をN-メチル-2-ピロリジノン(NMP、10mL)に溶かした溶液を、密封管において、100℃で17時間加熱した。室温に冷却した後、飽和NaHCO水溶液(20mL)で反応をクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和NaHCO水溶液、水、次いでブライン(それぞれ20mL)で連続的に洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中0~30%EtOAc)による精製により、白色の固体(541mg、48%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ:7.11(t,J=6.3Hz,1H),4.09(d,J=7.1Hz,2H),3.92(d,J=6.2Hz,2H),3.54-3.48(m,4H),2.72-2.67(m,4H),1.17(t,J=7.1Hz,3H)。LRMS(APCI+)m/z336.0[M+H]
【0187】
以下の中間体化合物を同じ一般的な手順により調製した。
【表8】
【0188】
5A:2-{[2,3,5-トリフルオロ-6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-4-イル]アミノ}酢酸tert-ブチル
【化66】
2-[(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル(中間体3A)(200mg、0.710mmol)およびモルホリン(71.8μL、0.820mmol)をDMF(4mL)に溶かした溶液を、80℃で7時間加熱した。追加のモルホリン(15.6μL、0.178mmol)を加え、反応物を85℃でさらに18時間加熱した。室温に冷却した後、反応物を水(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(3×20mL)およびブライン(20mL)で連続して洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中3~50%EtOAc)による精製により、生成物を白色の固体(120mg、48%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ4.84(br s,1H),4.13-4.10(m,2H),3.81-3.77(m,4H),3.35-3.30(m,4H),1.49(s,9H)。LRMS(APCI+)m/z347.8[M+H]
【0189】
6A:2-{[2,3,5-トリフルオロ-6-(メチルスルファニル)ピリジン-4-イル]アミノ}酢酸tert-ブチル
【化67】
2-[(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル(中間体3A)(200mg、0.710mmol)をDMF(4mL)に溶かした溶液に、ナトリウムメタンチオレート(58mg、0.820mmol)を添加し、80℃で7時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(4×30mL)およびブライン(15mL)で連続して洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中0~100%EtOAc)による精製により、生成物を黄色の油状物(182mg、83%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ4.89(s,1H),4.15-4.11(m,2H),2.49(s,3H),1.49(s,9H)。LRMS(APCI+)m/z308.8[M+H]
【0190】
7A:2-[(2,3,5-トリフルオロ-6-メタンスルホニルピリジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル
【化68】
2-[(2,3,5-トリフルオロ-6-メチルスルファニルピリジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル(中間体3A)(176mg、0.570mmol)をCHCl(5mL)に溶かした冷却(0℃)溶液に、メタクロロ過安息香酸(m-CPBA)(約77%の純度、384mg、1.710mmol)を加え、3時間撹拌した。反応物を、飽和NaHCO水溶液(15mL)で希釈し、CHCl(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、NaOH(0.5M水溶液)、飽和NaHCO水溶液(2回)およびブライン(それぞれ20mL)で連続して洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン中0~70%EtOAc)による精製により、生成物を白色の固体(149mg、76%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ5.31(br s,1H),4.22-4.18(m,2H),3.26(s,3H),1.51(s,9H)。LRMS(APCI-)m/z338.7[M-H]
【0191】
8A:2-{[3,5,6-トリフルオロ-4-(モルホリン-4-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}酢酸エチル
【化69】
4-(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)モルホリン(中間体3J)(180mg、0.760mmol)、2-アミノ酢酸エチル塩酸塩(128mg、0.910mmol)およびKCO(253mg、1.830mmol)をDMF(2.5mL)に溶かした溶液を、60℃で4時間、次いで100℃で44時間加熱した。反応混合物を、室温に冷却し、水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(4×15mL)およびブライン(15mL)で連続して洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中0~100%EtOAc)による精製により、生成物を白色の固体(84mg、34%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ4.88(br s,1H),4.23(q,J=7.1Hz,2H),4.12(d,J=5.6Hz,2H),3.82-3.77(m,4H),3.41-3.36(m,4H),1.29(t,J=7.1Hz,2H)。LRMS(APCI+)m/z319.8[M+H]
【0192】
9A:(2S)-2-[(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]プロパン酸
【化70】
(2S)-2-[(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)アミノ]プロパン酸tert-ブチル(中間体3B)(212mg、0.720mmol)の溶液を、CHCl/トリフルオロ酢酸(TFA;1:1、2mL)中で、室温で4時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、粗生成物を白色の固体(171mg、99.5%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ4.98(d,J=6.9Hz,1H),4.74-4.65(m,1H),1.64(d,J=7.1Hz,3H)。LRMS(APCI-)m/z236.9[M-H]
【0193】
以下の中間体化合物を同じ一般的な手順により調製した。
【表9-1】
【表9-2】
【0194】
10A:2-[(2,3,5-トリフルオロ-6-メタンスルホニルピリジン-4-イル)アミノ]酢酸
【化71】
中間体7Aから中間体9Aで記載した一般的な手順により調製した。R=0.17(EtOAc)。
【0195】
11A:2-{[2,3,5-トリフルオロ-6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-4-イル]アミノ}酢酸塩酸塩
【化72】
2-{[2,3,5-トリフルオロ-6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-4-イル]アミノ}酢酸tert-ブチル(中間体5A)(119mg、0.340mmol)を、HCl(1M水溶液)およびEtOの混合物(1:1、6mL)に懸濁させ、室温で24時間撹拌した。さらにHCl(EtO中2M、3mL)を加え、反応物を24時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、粗生成物を薄茶色の固体(97mg、86%)として得た。R=0.66(EtOAc)。LRMS(APCI+)m/z292.2[M+H]
【0196】
12A:2-{[3,5,6-トリフルオロ-4-(モルホリン-4-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}酢酸リチウム
【化73】
2-[(3,5,6-トリフルオロ-4-モルホリン-4-イルピリジン-2-イル)アミノ]酢酸エチル(中間体8A)(63mg、0.200mmol)をTHF(2.5mL)に溶かした溶液に、LiOH(1M水溶液、392μL、0.392mmol)を加え、室温で20時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をEtOで粉砕した。次いで、残渣を、CHCl:iPrOH:EtOH(約4:1:1)に溶解し、ろ過し、EtOHで洗浄し、溶媒を減圧下で除去して、粗リチウム塩を白色の固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ5.92(br s,1H),3.70-3.65(m,2H),3.42-3.26(m,8H)。LRMS(APCI+)m/z291.7[M+H]
【0197】
13A:2-{[4-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-3,5,6-トリフルオロピリジン-2-イル]アミノ}酢酸
【化74】
2-[[4-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-3,5,6-トリフルオロピリジン-2-イル]アミノ]酢酸エチル(中間体4B)(269mg、0.750mmol)をTHF(5mL)に溶かした溶液に、LiOH(1M水溶液、1.49mL、1.490mmol)を室温で加え、17時間撹拌した。反応混合物を、HCl水溶液(1M)でpH約6~7に酸性化してEtOAc(3×15mL)で抽出し、次いでHCl水溶液(1M)でpH約4~5に酸性化してEtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水およびブライン(それぞれ15mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。残渣をヘプタン(3回)で粉砕し、減圧下で乾燥させて、白色の固体(189mg、76%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ12.48(br s,1H),7.00(t,J=6.2Hz,1H),3.85(d,J=6.1Hz,2H),3.58-3.50(m,4H),3.28-3.22(m,2H),2.03(s,3H)。LRMS(APCI+)m/z333.1[M+H]
【0198】
以下の中間体化合物を同じ一般的な手順により調製した。
【表10】
【0199】
14A:(2S)-N-[(3S)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]-1-(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化75】
WO2005/090319に記載の手順に従って、(3S)-3-アミノ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(60mg、0.16mmol)を調製した。(3S)-3-アミノ-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(60mg、0.16mmol)および(2S)-1-(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボン酸(中間体9E)(64mg、0.24mmol)を、DMF(1mL)に溶解した。トリエチルアミン(0.07mL、0.48mmol)を加え、続いて1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)(123mg、0.32mmol)を加え、混合物を室温で17時間撹拌した。水(15mL)を加え、混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を、水(3×10mL)、ブライン(10mL)で連続して洗浄し、乾燥させた(MgSO)。SiOでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中35~60%EtOAc)により、所望の化合物を白色固体として得た(79mg、79%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.90(d,J=8.5Hz,1H),7.61-7.56(m,1H),7.54-7.48(m,2H),7.38(t,J=7.8Hz,2H),7.33-7.29(m,2H),7.22(d,J=4.1Hz,2H),6.95-6.84(m,2H),6.67-6.55(m,2H),5.65(d,J=8.4Hz,1H),5.61(d,J=14.9Hz,1H),4.91-4.80(m,1H),4.67(d,J=14.9Hz,1H),4.21-4.10(m,1H),3.93-3.81(m,1H),3.68(s,3H),2.48-2.39(m,1H),2.37-2.29(m,1H),2.25-2.14(m,1H),2.09-1.99(m,1H);LRMS APCI+618.7[M+H]
【0200】
以下の中間体化合物を同じ一般的な手順により調製した。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【表11-6】
【表11-7】
【0201】
脱保護の手順
化合物5:(2S)-N-[(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]-1-(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化76】
(2S)-N-[(3S)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2-オキソ-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]-1-(2,3,5,6-テトラフルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-2-カルボキサミド(中間体14C)(76mg、0.12mmol)を無水アニソール(1.5mL)に溶かした溶液に、AlCl(201mg、1.48mmol)を加え、混合物を室温で40時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、水(10mL)でクエンチし、CHCl(4×10mL)で抽出した。有機物をブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。SiOでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中30~45%EtOAc)により、所望の化合物を白色固体(24mg、39%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.59(s,1H),7.67-7.47(m,2H),7.45-7.34(m,3H),7.26-7.18(m,2H),5.55(d,J=8.4Hz,1H),4.91-4.79(m,1H),4.13-4.05(m,1H),3.94-3.78(m,1H),2.39(dt,J=14.9,7.5Hz,1H),2.24(dd,J=13.1,6.4Hz,1H),2.13(dt,J=13.1,6.4Hz,1H),2.03-1.95(m,1H)。LRMS APCI+498.8[M+H]
【0202】
以下の化合物を同じ一般的な手順により調製した。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【0203】
化合物17:2-{[4-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-3,5,6-トリフルオロピリジン-2-イル]アミノ}-N-[(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
【化77】
(3S)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(90mg、0.36mmol)および2-[[4-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-3,5,6-トリフルオロピリジン-2-イル]アミノ]酢酸(中間体13C)(128mg、0.39mmol、1.1当量)を、DMF(2mL)に溶解した。トリエチルアミン(0.10mL、0.72mmol、2当量)を加え、続いてHATU(150mg、0.39mmol)を加えた。混合物を室温で17時間撹拌した。水(20mL)を添加し、混合物をEtOAc(3×15mL)で抽出した。有機物を、水(15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。SiOでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中50~80%EtOAc)により、所望の化合物を白色固体(144mg、72%)として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.90(s,1H),9.01(d,J=8.1Hz,1H),7.64(ddd,J=8.6,7.1,1.7Hz,1H),7.59-7.39(m,4H),7.36-7.23(m,3H),6.94(t,J=6.4Hz,1H),5.24(d,J=8.1Hz,1H),4.08-3.93(m,2H),3.50-3.38(m,4H),2.18-2.04(m,4H)。LRMS APCI+559.2[M+H]
【0204】
化合物18:2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]-N-[(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル
【化78】
4,6-ジクロロピリミジン(4.00g、26.9mmol)およびグリシンtertブチルエステル塩酸塩(5.50g、26.9mmol)を、EtOH(30mL)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(9.35mL、53.7mmol)を加え、得られた溶液を70℃で18時間加熱した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。SiOでのフラッシュクロマトグラフィー[20~50%(50:8:1CHCl:EtOH:CHCl中のNHOH)]により、所望の化合物を白色固体(4.85g、74%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.38(d,J=0.9Hz,1H),6.41(s,1H),5.53(s,1H),4.04(s,2H),1.49(s,9H)。LRMS APCI+243.8[M+H]
【0205】
2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]酢酸塩酸塩
【化79】
2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル(100mg、0.41mmol)に、HCl(EtO中2M、2mL、4.00mmol)を加え、続いて1,4-ジオキサン(5mL)を加えた。水(3mL)を添加して、溶液を得た。混合物を室温で48時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、所望の化合物の粗製物を白色固体として得た(110mg、120%)。LRMS APCI+541.9[M+H]。R=0.01(EtOAc)。
【0206】
2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]-N-[(3S)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
【化80】
中間体14Aで記載したものと同様の手順によって、2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]酢酸塩酸塩から調製した。LRMS APCI+541.9[M+H]。R=0.35(200:8:1CHCl:EtOH:NHOH)。
【0207】
2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]-N-[(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
【化81】
化合物5で記載されたものと同様の手順によって、2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]-N-[(3S)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2-オキソ-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミドから調製した。H NMR(400MHz,CDCl)δ10.90(s,1H),9.24(d,J=7.8Hz,1H),8.29(s,1H),7.96(t,J=5.9Hz,1H),7.64(ddd,J=8.6,7.2,1.7Hz,1H),7.58-7.35(m,5H),7.35-7.15(m,3H),6.69(s,1H),5.24(d,J=8.0Hz,1H),4.25-4.08(m,2H)。LRMS APCI+422.7[M+H]
【0208】
化合物19:2-{[6-(4-メタンスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}-N-[(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
2-{[6-(4-メタンスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}酢酸tert-ブチル
【化82】
1-(メチルスルホニル)ピペラジン(172.4mg、1.05mmol)および2-[(6-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]酢酸tert-ブチル(122mg、0.50mmol)を1-ブタノール(2mL)に溶かした溶液を、ACE圧力管において、150℃で22時間加熱した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。SiOでのフラッシュクロマトグラフィー[10~25%(50:8:1 CHCl:EtOH:CHCl中のNHOH)]により、所望の化合物をオフホワイトの固体(123mg、66%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.20(d,J=0.9Hz,1H),5.48(s,1H),5.12(s,1H),3.99(d,J=5.3Hz,2H),3.76-3.64(m,4H),3.33-3.18(m,4H),2.79(s,3H),1.48(s,7H)。LRMS APCI+371.7[M+H]
【0209】
2-{[6-(4-メタンスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}酢酸塩酸塩
【化83】
2-{[6-(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}酢酸tert-ブチル(126mg、0.34mmol)に、HCl(Et2O中2M;3.38mL、6.76mmol)を加え、混合物を室温で48時間撹拌した。水(3mL)を加えて溶液を得、混合物をさらに18時間撹拌した。混合物を濃縮し、精製せずに直接使用した。LRMS APCI+371.7[M+H].R=0.01(EtOAc)
【0210】
2-{[6-(4-メタンスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}-N-[(3S)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
【化84】
中間体14Aで記載したものと同様の手順によって、2-{[6-(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}酢酸塩酸塩から調製した。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.19(d,J=0.8Hz,1H),7.96(d,J=7.6Hz,1H),7.49(dd,J=6.5,2.1Hz,1H),7.47-7.41(m,2H),7.35-7.23(m,4H),7.23-7.12(m,3H),6.91-6.87(m,2H),6.64-6.60(m,2H),6.30(s,1H),5.57(d,J=7.5Hz,1H),5.51(d,J=15.1Hz,1H),4.71(d,J=15.1Hz,1H),4.22-4.00(m,2H),3.87-3.67(m,4H),3.67(s,3H),3.35-3.16(m,4H),2.80(s,3H)。R=0.09(200:8:1CHCl:EtOH:NHOH)
【0211】
2-{[6-(4-メタンスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}-N-[(3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]アセトアミド
【化85】
化合物5で記載したものと同様の手順によって、N-[(3S)-1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-2-オキソ-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]-2-{[6-(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]アミノ}アセトアミドから調製した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.91(s,1H),9.14(d,J=8.0Hz,1H),8.13(s,1H),7.70-7.62(m,1H),7.56-7.50(m,1H),7.50-7.43(m,4H),7.38-7.21(m,4H),5.23(d,J=7.9Hz,1H),4.29-4.11(m,2H),3.57-3.46(m,4H),3.39-3.31(m,1H),3.26-3.13(m,4H),2.90(s,3H)。R=0.03(200:8:1CHCl:EtOH:NHOH)。
【0212】
実施例7:抗ウイルスおよび細胞毒性アッセイ
細胞をATCCから入手し、ウイルス調製物を40%(V/V)グリセロールを通して1回遠心分離して、感染細胞から産生されたインターフェロンを除去した。増殖培地は、10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)を有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)であり、ウイルス維持培地はDMEM+2%(v/v)FCSであった。
【0213】
第2のプラーク減少アッセイ
RSVプラーク減少アッセイは、RSV感染の異なる病巣における感染単位の数の定量化を可能にする感染性アッセイである。これは、他の点では健康な組織培養細胞の単層内の特異的抗体染色によって検出されるウイルス抗原のゾーンによって示される。各プラークは単一の感染性ウイルス粒子に由来するので、抗ウイルス効果の正確な計算は、抗ウイルス化合物の存在下および非存在下でプラークを計測することによって得られ得る。HEp-2細胞(ATCC、CCL23)をフラスコで継代し、抗生物質を含有し、10%FBSを補充したDMEM中、96ウェルプレートに播種した。接種中およびその後のインキュベーション中に、3%FBSを含有するDMEM中で細胞を培養した。100プラーク形成単位(PFU)/ウェルのRSV(RSV A2 VR-1540)を、10段階希釈の化合物と混合した。続いて、100μLのウイルス/化合物混合物を、コンフルエントなHEp-2細胞単層に添加した。細胞およびウイルス/化合物混合物を、加湿した5%CO2インキュベーターにおいて、35℃で1日間インキュベートした。
【0214】
細胞をPBSで2回洗浄した後、50%v/vのEtOH/MeOHを添加し、次いで-20℃で保存した。染色の日に、最初に固定剤をプレートから除去した。プレートをPBSで3回洗浄した。60μLのPBS/2%粉乳中の予め滴定した量の一次抗体を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS/0.05%Tween20で3回洗浄した後、60μLのPBS/2%粉乳中のヤギ抗マウス西洋ワサビペルオキシダーゼを添加し、室温で1時間インキュベートした。PBS/0.05%Tween20を用いた3回の洗浄ステップの後、60μLのすぐ使用できるTrueBlueを添加し、プレートを室温で10~15分間インキュベートした後、MilliQ水を添加した。プレートを水で1回洗浄し、30~60分間インキュベートし、水を除去した後、暗所で風乾した。
【0215】
免疫染色プラーク(virospot)を計測するためのBioSpot分析ソフトウェアを備えたImmunospot S6 UV分析器を使用して、プレートをスキャンし、分析した。プラークカウントを使用して、RSVについてのウイルス対照ウェル中のスポットカウント(SC)の平均に対する感染%を計算した。IC50/IC90値は、GraphPad5.0(Prism)における可変勾配を有する4パラメーター非線形回帰を当てはめた阻害曲線の内挿により、それぞれシグナルの50%または90%減少として計算された。
【0216】
細胞毒性-CC50(50%の細胞毒性が観察される濃度):
10%ウシ胎児血清(FBS)を補充した培地中のHepG2細胞を、4×10細胞/ウェルで、白色壁96ウェルプレートに播種し、37℃、5%COでインキュベートした。播種後24時間で培地を除去し、2%FBSを補充した、並行のウイルスプラークアッセイで試験したものと等しい最終化合物濃度を含有する培地と交換した。さらに48時間インキュベートした後、CellTox(商標)Green(Promega)キットを使用して細胞毒性を測定し、GloMax(登録商標)Explorer System(Promega)の適切なプロトコルを使用して発光を読み取った。分析中、DMSO含有ウェルを陰性対照として使用し、溶解した細胞を陽性対照として使用した。
【表13】
【0217】
複数の値を複数の試験機会を実施した表12に示す。
【0218】
結果および考察
結果は、上記試験化合物がRSVを治療するために使用され得ることを示す。さらに、化合物は、非毒性濃度でも有効である。
【0219】
結論
本明細書に記載の化合物は、RSVの阻害剤であることが示された。さらに、化合物は、非毒性濃度でも有効である。これらの化合物の1つ(化合物2)は、マウスにおいて経口で生物学的に利用可能である。
図1