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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】第一スズ適合性シリカ
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/193 20060101AFI20220419BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220419BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220419BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
C01B33/193
A61K8/25
A61Q11/00
C01B33/18 E
C01B33/18 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019532989
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2017081091
(87)【国際公開番号】W WO2018114280
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】62/435,921
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/509,276
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カール ダブリュー. ギャリス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェイ. ヘイガー
(72)【発明者】
【氏名】テリー ダブリュー. ナシヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス エドワード ドラン
(72)【発明者】
【氏名】サンジーヴ ミダ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ シュナイダーマン
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-517903(JP,A)
【文献】特表2010-514660(JP,A)
【文献】特開2015-129082(JP,A)
【文献】特表2015-535262(JP,A)
【文献】特開2016-145358(JP,A)
【文献】特表2009-519199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 33/193
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ粒子であって:
(i)0.12/g~2/gの範囲内のBET表面積、
(ii)0.561g/cm 3 0.881g/cm 3 の範囲内の充填密度、
(iii)mg損失/100000回転~25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、
(iv)0.7cc/g~1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および
(v)70%~99%の範囲内の第一スズ適合性
を特徴とする、シリカ粒子。
【請求項2】
前記シリカ粒子は、1.52/g~2/gの範囲内のBET表面積を特徴とする、請求項1記載のシリカ粒子。
【請求項3】
前記シリカ粒子は、0.641g/cm 3 0.801g/cm 3 の範囲内の充填密度を特徴とする、請求項1または2記載のシリカ粒子。
【請求項4】
前記シリカ粒子は、10mg損失/100000回転~20mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値を特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のシリカ粒子。
【請求項5】
(i)前記BET表面積は、2/g~2/gの範囲内であり、
(ii)前記充填密度は、0.641g/cm 3 0.881g/cm 3 の範囲内であり、
(iii)前記アインレーナー研磨値は、mg損失/100000回転~20mg損失/100000回転の範囲内であり、
(iv)前記総水銀圧入細孔容積は、0.75cc/g~1.05cc/gの範囲内であり、かつ
(v)前記第一スズ適合性は、70%~95%の範囲内である、
請求項1記載のシリカ粒子。
【請求項6】
(i)前記BET表面積は、2/g~2/gの範囲内であり、
(ii)前記充填密度は、0.641g/cm 3 0.801g/cm 3 の範囲内であり、
(iii)前記アインレーナー研磨値は、10mg損失/100000回転~20mg損失/100000回転の範囲内であり、
(iv)前記総水銀圧入細孔容積は、0.9cc/g~1.1cc/gの範囲内であり、かつ
(v)前記第一スズ適合性は、70%~90%の範囲内である、
請求項1記載のシリカ粒子。
【請求項7】
前記シリカ粒子はさらに、75%~95%の範囲内のCPC適合性を特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のシリカ粒子。
【請求項8】
前記シリカ粒子はさらに、μm~10μmの範囲内の中央粒度(d50)を特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のシリカ粒子。
【請求項9】
前記シリカ粒子はさらに、75cc/100g~105cc/100gの範囲内の吸水量を特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のシリカ粒子。
【請求項10】
前記シリカ粒子は、沈降シリカ粒子である、請求項1から9までのいずれか1項記載のシリカ粒子。
【請求項11】
表面積縮小シリカ粒子の製造方法であって:
(a)水、硫酸ナトリウム、ならびに
(i)0.400g/cm 3 0.801g/cm 3 の範囲内の基礎的充填密度、
(ii)μm~10μmの範囲内の基礎的中央粒度(d50)、
(iii)μm~20μmの範囲内の基礎的d95粒度、および
(iv)0.8cc/g~cc/gの範囲内の基礎的総水銀圧入細孔容積
を特徴とする基礎的シリカ粒子を含む混合物を準備する工程と、
(b)前記混合物にアルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸を表面積縮小条件下で添加する工程であって、該アルカリ金属ケイ酸塩を、前記混合物に1分間当たり0.2質量%~0.8質量%の範囲内の平均シリカ添加速度で、かつ/または1分間当たり1.9質量%未満の最大シリカ添加速度で添加する工程と、
(c)前記アルカリ金属ケイ酸塩の添加を止め、そして前記混合物への鉱酸の添加を、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度より75%以下だけ大きい平均添加速度で継続することで、該混合物のpHを8.5の範囲内に調節する工程と、
を含み、これにより
(i)0.12/g~2/gの範囲内のBET表面積、
(ii)0.561g/cm 3 0.881g/cm 3 の範囲内の充填密度、
(iii)mg損失/100000回転~25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、
(iv)0.7cc/g~1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および
(v)70%~99%の範囲内の第一スズ適合性
を特徴とする表面積縮小シリカ粒子を製造する、方法。
【請求項12】
工程(a)において、前記基礎的シリカ粒子は、非凝集形で存在する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
工程(a)における前記混合物は、前記基礎的シリカ粒子を連続的ループ型反応器中で形成させることを含む方法により製造される、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
(i)前記基礎的充填密度は、0.400g/cm 3 0.641g/cm 3 の範囲内であり、
(ii)前記基礎的中央粒度(d50)は、μm~μmの範囲内であり、
(iii)前記基礎的d95粒度は、μm~20μmの範囲内であり、かつ
(iv)前記基礎的総水銀圧入細孔容積は、0.9cc/g~cc/gの範囲内である、
請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、PCT国際特許出願であり、2017年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/509,276号、および2016年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/435,921号に対する優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書で援用される。
【0002】
発明の背景
フッ化第一スズを含む第一スズを含有する組成物は、虫歯予防の向上、ならびに歯垢、歯肉炎、および知覚過敏の低下をもたらす歯磨き剤およびその他の最終用途で使用される非常に有効な治療剤である。しかしながら、歯磨き製剤における第一スズの有効性は、シリカ材料等の該製剤のその他の成分との相互作用により低減され得る。
【0003】
したがって、歯磨き剤組成物中の第一スズの全有効性を改善する改善された第一スズ適合性を有するシリカ材料を提供することが有益である。それに応じて、本発明は原則的にこの目的に向けられている。
【0004】
発明の概要
本概要は、概念の選択を、以下の詳細な説明にさらに記載される単純化された形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求の範囲に記載の発明主題の必要とされる特徴または必須の特徴を特定することを目的とするものではない。本概要は、特許請求の範囲に記載の発明主題の範囲を限定するために使用することを目的とするものでもない。
【0005】
改善された第一スズ適合性を有するシリカ粒子を、本明細書に開示および記載する。本発明の1つの態様によれば、そのようなシリカ粒子は、(i)約0.1m2/g~約7m2/gの範囲内のBET表面積、(ii)約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内の充填密度、(iii)約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー(Einlehner)研磨値、(iv)約0.7cc/g~約1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および(v)約70%~約99%の範囲内の第一スズ適合性を有し得る。
【0006】
また第一スズ適合性シリカ粒子等のシリカ粒子の製造方法を、本明細書に開示および記載する。シリカ粒子を製造するための1つのそのような方法は、(a)水、硫酸ナトリウム、ならびに(i)約25lb/ft3~約50lb/ft3の範囲内の基礎的充填密度、(ii)約1ミクロン~約10ミクロンの範囲内の基礎的中央粒度(d50)、(iii)約1ミクロン~約20ミクロンの範囲内の基礎的d95粒度、および(iv)約0.8cc/g~約3cc/gの範囲内の基礎的総水銀圧入細孔容積を特徴とする基礎的シリカ粒子を含む混合物を準備する工程と、(b)前記混合物にアルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸を表面積縮小条件下で添加する工程であって、該アルカリ金属ケイ酸塩を、前記混合物に1分間当たり約0.2質量%~約0.8質量%の範囲内の平均シリカ添加速度で、かつ/または1分間当たり約1.9質量%未満の最大シリカ添加速度で添加する工程と、(c)前記アルカリ金属ケイ酸塩の添加を止め、そして前記混合物への鉱酸の添加を、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度より75%以下だけ大きい平均添加速度で継続することで、該混合物のpHを約5~約8.5の範囲内に調節する工程とを含み、これにより(i)約0.1m2/g~約7m2/gの範囲内のBET表面積、(ii)約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内の充填密度、(iii)約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、(iv)約0.7cc/g~約1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および(v)約70%~約99%の範囲内の第一スズ適合性を特徴とする表面積縮小シリカ粒子を製造する。得られた非常に低い表面積のシリカ粒子は、予想外にもZeodent(登録商標)109シリカ歯科用研磨剤等の標準的な高洗浄性シリカの特性の多くを有するが、フッ化第一スズと適合性でもある。
【0007】
上述の概要および下記の詳細な説明の両方とも複数の例を示しており、例示的なものにすぎない。したがって、上述の概要および下記の詳細な説明は、限定的なものとはみなされるべきではない。さらに、特徴および変形形態は、本明細書に示されるもの以外にも提供され得る。例えば、特定の態様は、詳細な説明に記載される様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせに向けられるものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】表面積縮小シリカ粒子の歯磨き剤の放射性象牙質研磨(RDA)と充填密度との間の相関を示すグラフである。
図2】表面積縮小シリカ粒子の歯磨き剤のRDAと総水銀圧入細孔容積との間の相関を示すグラフである。
図3】実施例10のシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図4】実施例15のシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図5】実施例19Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図6】実施例22Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図7】実施例25Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図8】実施例28Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図9】実施例34Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図10】実施例34Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図11】実施例35Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図12】実施例35Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図13】実施例36Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
図14】実施例36Bのシリカの走査型電子顕微鏡写真である。
【0009】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために以下の定義が示される。特段の記載がない限り、本開示には以下の定義が適用され得る。ある用語が本開示において使用されるが本明細書で具体的に定義されていない場合には、その定義が、本明細書で適用されるその他のいかなる開示もしくは定義とも矛盾しないか、またはその定義が適用されるいかなる請求項を不明瞭にも無効にもしない限りにおいては、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,第2版(1997)からの定義を適用することができる。参照により本明細書で援用されるあらゆる文献によって示されるあらゆる定義または用法が、本明細書に示される定義または用法と矛盾する範囲では、本明細書に示される定義または用法が優先される。
【0010】
本明細書では、発明主題の特徴は、具体的な態様の範囲内で、種々の特徴の組み合わせも想定され得るように記載されている。本明細書に開示される各々の態様およびすべての態様ならびに各々の特徴およびすべての特徴について、本明細書に記載される設計、組成、過程、または方法に悪影響を及ぼさないあらゆる組み合わせが考慮に入れられ、それらの組み合わせは、具体的な組み合わせの明確な記載があってもなくても置き換えることができる。したがって、明示的に特段の記載がない限り、本明細書に開示されるあらゆる態様または特徴も、本開示に相当する本発明による設計、組成、過程、または方法を記載するために組み合わせることができる。
【0011】
組成物および方法は、本明細書では、様々な成分または工程を「含むこと」に関して記載されるが、組成物および方法は、特段の記載がない限り、様々な成分または工程「から本質的になる」、または「からなる」こともできる。
【0012】
語「a」、「an」および「the」は、特段の記載がない限り、複数の選択肢、例えば少なくとも1つの選択肢を含むものと解釈される。
【0013】
一般的に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985で発行された版の元素の周期律表に示される番号付けスキームを使用して示されている。幾つかの場合には、元素の族は、族に割り当てられた共通名、例えば第1族元素についてはアルカリ金属、第2族元素についてはアルカリ土類金属等を使用して示すことができる。
【0014】
以下で使用されるすべてのパーセンテージおよび比率は、特段の記載がない限り全組成物の質量を基準とするものである。本明細書で言及される成分のすべてのパーセンテージ、比率、および水準は、該成分の実際の量を基準とするものであり、特段の記載がない限り、一緒に該成分が市販製品として混和され得る溶剤、充填剤、またはその他の材料を含まない。
【0015】
本明細書で言及されるすべての測定は、特段の記載がない限り25℃(すなわち、室温)で行われる。
【0016】
本明細書で使用される場合に、語句「含む」およびその変形語は、列挙項目の詳説が本発明の材料、組成物、装置、および方法においても有用であり得るその他の同様の項目を排除しないように限定的なものではないと解釈される。
【0017】
本明細書で使用される場合に、語句「または」は、2つ以上の要素の接続詞として使用される場合に、それらの要素を個別にまたは組み合わせて含むことを意味する。例えばXまたはYは、XもしくはYまたは両方を意味する。
【0018】
本明細書で使用される「オーラルケア組成物」とは、通常の使用方針において特定の治療剤の全身投与の目的のために意図的に飲み込まれずに、むしろ歯面または口腔組織に接触するのに十分な時間にわたり口腔内に保留される製品を意味する。オーラルケア組成物の例としては、歯磨き剤、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、ロゼンジ、チュアブル錠、チューイングガム、トゥースホワイトニングストリップ、フロスおよびフロスコーティング、口臭消臭用溶解性ストリップ、または義歯ケアもしくは義歯接着製品が挙げられる。オーラルケア組成物は、口腔表面に直接的に適用または付着させるためにストリップまたはフィルム上にも導入され得る。
【0019】
本明細書で使用される用語「歯磨き剤」には、特段の記載がない限り、歯用または歯肉下用のペースト製剤、ゲル製剤、または液体製剤が含まれる。歯磨き剤組成物は、単相組成物であっても、または2種以上の個別の歯磨き剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨き剤組成物は、任意の所望の形、例えば深部までのストライプ形、表面上のストライプ形、多層形、ゲルがペーストを取り囲んだ形、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。2種以上の個別の歯磨き剤組成物を含む歯磨き剤中のそれぞれの歯磨き剤組成物は、ディスペンサーの物理的に隔離された区画中に収容され、隣り合って分配され得る。本明細書の場合に、用語「歯用ペースト」および「歯磨き剤」は区別なく使用され得る。
【0020】
本明細書で使用される用語「水」は、特段の記載がない限り米国薬局方の水を指す。
【0021】
本明細書に記載されるものと類似または同等のあらゆる方法および材料は、本発明の実施または試験において使用され得るが、一般的な方法および材料は、本明細書において記載されている。
【0022】
本明細書に挙げられるすべての文献および特許は、例えば本明細書に記載される発明と関連して使用され得る文献中に記載される構築物および方法論を記載および開示する目的のために、参照により本明細書で援用される。
【0023】
幾つかの種類の範囲が本発明において開示されている。あらゆる種類の範囲が開示または特許請求の範囲に記載される場合に、そのような範囲が、その範囲の端点を含めて、適宜含み得るそれぞれの可能な数を個別に開示または特許請求の範囲に記載するだけでなく、任意の部分範囲およびそこに包含される部分範囲の組み合わせを開示または特許請求の範囲に記載することを意図している。代表的な一例としては、シリカ粒子のBET表面積は、本発明の様々な態様においては、特定の範囲内であり得る。BET表面積が約0.1m2/g~約5m2/gの範囲内にあるという開示により、その表面積が、その範囲内のあらゆる表面積であってよいこと、例えば約0.1m2/g、約0.2m2/g、約0.5m2/g、約1m2/g、約2m2/g、約3m2/g、約4m2/g、約4.5m2/g、または約5m2/gと等しくてよいことが示されると解釈される。さらに、該表面積は、約0.1m2/g~約5m2/g(例えば、約0.1m2/g~約4m2/g)のあらゆる範囲内であってよく、これはまた、約0.1m2/g~約5m2/gの間の範囲のあらゆる組み合わせも含む(例えば、該表面積は、約0.1m2/g~約2m2/gの範囲内、または約3m2/g~約4.5m2/gの範囲内であってよい)。同様に、本明細書に開示されるすべてのその他の範囲は、この例と同様に解釈されるべきである。
【0024】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメーター、ならびにその他の量および特性が正確ではなく、かつ正確である必要はなく、近似および/またはより大きくても、もしくはより小さくてもよく、所望であれば公差、換算係数、四捨五入、測定誤差等を反映するだけでなく、当業者に公知のその他の係数を反映することがある。一般的に、量、サイズ、配合、パラメーター、またはその他の量もしくは特性は、そのように明記されていようがなかろうが「約」または「ほぼ」が付くものである。また用語「約」は、特定の初期混合物から得られる組成に関する異なる平衡条件により異なる量も含む。用語「約」により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量に対する等価物を含む。用語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、改善された第一スズ適合性を有するシリカ粒子に関する。主な問題として、シリカ特性の以前の計量および特性は、第一スズ適合性を適切に予測するには不十分であることが判明した。例えば、シリカ材料とのCPC(塩化セチルピリジニウム)適合性は、しばしば既知の特性であるが、CPC適合性は、必ずしも第一スズ適合性の有用な基準ではない。第一スズイオンよりかなり大きいCPC分子は、米国特許第7,255,852号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に記載されるようなほぼ500オングストローム(Å)の小さな細孔(「小さな細孔」)に由来するシリカ粒子における表面積に到達することができない。それに対して、第一スズイオンは、そのような小さな細孔に由来する多孔性のほぼすべてに到達することができ、その小さな細孔内の表面と相互作用および結合することで、第一スズイオンの利用可能性および治療的有効性は制限される。したがって、CPC適合性の増進のための細孔サイズの表面積縮小は、第一スズ適合性を増進するための細孔サイズの表面積縮小と同じではない。
【0026】
以下の理論により縛られることを望むものではないが、シリカ粒子内から小さな細孔の多孔性を排除することは、高い第一スズ適合性の達成に重要な要因であると考えられる。しかしながら、前記粒子内の細孔のすべてが、表面積のサイズにかかわらず充填されている場合には、得られるシリカ粒子は、非常に硬質で、とても緻密で、かつとても研磨性である。予想外にそして有益なことに、小さな細孔に由来する表面積は、表面積縮小工程により充填および排除され得るが、シリカ粒子のほぼ1000Åより大きい細孔(「大きな細孔」)は排除されないことが判明した。小さな細孔の多孔性だけが排除された(ほぼ500Å~1000Åより小さな細孔)得られた表面積縮小シリカ粒子は、第一スズイオンと非常に適合性であり、さらに該シリカ粒子は、それらの粒子の充填密度および研磨性が劇的に増加しないように、大きな細孔に由来する十分な多孔性が維持されることが判明した。一般的に、最も効果的な表面積縮小シリカ粒子は、低いBET表面積(例えば、小さな細孔に由来する最小限の水準の多孔性)および低い粒子の充填密度と、低い研磨性(例えば、大きな細孔に由来する所望量の多孔性)とを有していた。
【0027】
一般的に、小さな細孔の多孔性は、低いBET表面積値が一般的により低い小さな細孔の多孔性を有することと相関し、その多孔性が第一スズイオンを吸収しないシリカ粒子をもたらし、こうして高い第一スズ適合性材料が製造されるようにBET表面積により特徴付けられ、または定量化され得る。大きな細孔の多孔性は、高い細孔容積値および低い充填密度値が一般的により高い大きな細孔の多孔性を有することと相関し、その多孔性が適切なRDA値を有する歯磨き剤組成物を生ずるシリカ粒子をもたらすように総圧入水銀容積および/または充填密度により特徴付けられ、または定量化され得る。
【0028】
RDA試験は一般的に、歯磨き剤組成物、すなわち歯用ペーストが、250の試験セットの上限で消費者使用のために安全であることを確認するために実施される。この試験の方法論における変動性のため、幾つかの製品は、約200より小さいRDA値を与える研磨性材料と一緒に配合されることから、通常の試験の変動性は、最大の許容値近くでまたはその許容値を超えて機能する歯用ペーストをもたらさない。予想外にも、歯磨き剤のRDA値とシリカ粒子の細孔容積との間、および歯磨き剤のRDA値とシリカ粒子の充填密度との間には、それぞれ図1および図2に示されるように強い相関が存在する。RDA試験は限られた数の外部試験研究所で実施され、高価かつ費用がかかるので、シリカ粒子の物理的特性と歯磨き剤のRDAとの相関は、RDAだけに頼ることなく、シリカ粒子の主要な特性の測定を可能とした。シリカ粒子の充填密度が増大すると、歯磨き剤のRDAは増大する。相応して、シリカ粒子の総水銀圧入細孔容積が増大すると、歯磨き剤のRDAは減少する。所望のRDA範囲内で機能するシリカ粒子を製造するために、前記相関は、充填密度値が望ましくは約55lb/ft3未満であり、かつ総水銀圧入細孔容積値が望ましくは約0.70cc/gより大きいことを示す。これらのパラメーターは、小さな細孔の多孔性(BET表面積)とは独立して制御され得るので、シリカ粒子は、大きな細孔の多孔性を導入してRDAを低下させることにより低減された充填密度で製造され得る一方で、高い第一スズ適合性の達成のために必要とされる小さな細孔の多孔性を減少させることにより低いBET表面積値は維持される。
【0029】
以下の理論により縛られることを望むものではないが、本発明の改善された表面積縮小シリカ粒子は少なくとも部分的に、特定の特性により規定される基礎的シリカ粒子の小さな細孔を主として、表面積縮小工程において追加のシリカ材料でゆっくりと充填することにより製造され得ると考えられる。特に望ましいことが判明した基礎的シリカ粒子の特性および表面積縮小シリカ粒子の特性の得られた予想外の組み合わせを、本明細書で以下に詳細に記載する。
【0030】
表面積縮小シリカ粒子
本発明の態様と一致して、改善された第一スズ適合性を有する表面積縮小シリカ粒子は、以下の特性、つまり(i)約0.1m2/g~約7m2/gの範囲内のBET表面積、(ii)約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内の充填密度、(iii)約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、(iv)約0.7cc/g~約1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および(v)約70%~約99%の範囲内の第一スズ適合性を有し得る。さらなる態様においては、本発明と一致する第一スズ適合性の表面積縮小シリカ粒子はまた、以下で示される特徴または特性のいずれかを任意の組み合わせで有し得る。
【0031】
1つの態様においては、前記表面積縮小シリカ粒子は、非常に低い表面積、一般的に約0.1m2/g~約7m2/gの範囲のBET表面積を有し得る。しばしば、BET表面積は、約3m2/g~約6m2/g、約0.1m2/g~約5m2/g、約1m2/g~約7m2/g、または約1.5m2/g~約7m2/gの範囲内に含まれ得る。さらなる態様においては、BET表面積は、約0.2m2/g~約4m2/g、約0.2m2/g~約3m2/g、約0.5m2/g~約5m2/g、約0.5m2/g~約4.5m2/g、約0.5m2/g~約4m2/g、または約0.5m2/g~約3.5m2/g等の範囲内であり得る。BET表面積はまた、約0.01m2/g~約10m2/g、約0.05m2/g~約8m2/g、約0.1m2/g~約9m2/g、または約1m2/g~約9m2/gの範囲内にも含まれ得る。BET表面積についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0032】
さらに、前記表面積縮小シリカ粒子は、約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲のアインレーナー研磨値により表されるより低い研磨性を有し得る。例えば、アインレーナー研磨値は、約8mg損失/100000回転~約20mg損失/100000回転、あるいは約10mg損失/100000回転~約20mg損失/100000回転、あるいは約15mg損失/100000回転~約22mg損失/100000回転の範囲内であり得る。アインレーナー研磨値はまた、約30mg損失/100000回転~約60mg損失/100000回転の範囲内であり得る。アインレーナー研磨値についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0033】
これらの表面積縮小シリカ粒子はまた、比較的低い充填密度を有する。1つの態様においては、充填密度は、約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内であり得る。もう1つの態様においては、充填密度は、約40lb/ft3~約55lb/ft3、約45lb/ft3~約55lb/ft3、または約40lb/ft3~約50lb/ft3の範囲内であり得る。さらにもう1つの態様においては、充填密度は、約30lb/ft3~約60lb/ft3の範囲内であり得る。充填密度についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0034】
本発明の態様による表面積縮小シリカ粒子は、優れた第一スズ適合性、優れたCPC適合性、または両方を有し得る。予想外にも、良好な第一スズ適合性を有するシリカは、一般的に良好なCPC適合性も有するが、良好なCPC適合性を有するシリカは、必ずしも良好な第一スズ適合性も有するとは限らないことが判明した。一般的に、本明細書に記載される表面積縮小シリカ粒子は、約70%~約99%、例えば約70%~約95%、約70%~約98%、約70%~約90%、または約72%~約95%等の第一スズ適合性を有する。さらに、表面積縮小シリカ粒子は一般的に、約70%~約99%、例えば約80%~約98%、または約75%~約95%等のCPC適合性を有する。第一スズ適合性およびCPC適合性についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0035】
それに限定されるものではないが、表面積縮小シリカ粒子の総水銀圧入細孔容積はしばしば、約0.7cc/g~約1.2cc/g、約0.75cc/g~約1.05cc/g、約0.75cc/g~約0.9cc/g、または約0.9cc/g~約1.1cc/gの範囲内に含まれ得る。もう1つの態様においては、表面積縮小シリカ粒子の総水銀圧入細孔容積は、約0.5cc/g~約1.7cc/g、約0.6cc/g~約1.5cc/g、または約0.4cc/g~約1.2cc/gであり得る。総水銀圧入細孔容積についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0036】
1つの態様においては、表面積縮小シリカ粒子は、比較的小さい平均粒度を有し得る。しばしば、中央粒度(d50)および/または平均粒度(代表値)は、約1μm~約20μm、約1μm~約15μm、約2μm~約15μm、約2μm~約12μm、約2μm~約10μm、または約4μm~約10μm等の範囲内に含まれ得る。中央粒度(d50)および/または平均粒度(代表値)は、約1μm~約20μm、または約2μm~約15μmの範囲内に含まれ得る。平均粒度および中央粒度についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0037】
もう1つの態様においては、表面積縮小シリカ粒子は、比較的低い吸油量、比較的低い吸水量、および/または非常に低いCTAB表面積を有し得る。例えば、吸油量は、約25cc/100g~約100cc/100g、約25cc/100g~約75cc/100g、または約27cc/100g~約60cc/100gの範囲内であり得る。それに加えてまたはそれに代えて、吸水量は、約50cc/100g~約130cc/100g、約60cc/100g~約120cc/100g、約65cc/100g~約110cc/100g、または約75cc/100g~約105cc/100gの範囲内であり得る。CTAB表面のための代表的な非限定的な範囲には、0m2/g~約10m2/g、0m2/g~約7m2/g、または0m2/g~約5m2/gが含まれる。吸油量、吸水量、およびCTAB表面積についてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0038】
さらに、表面積縮小シリカ粒子は、例えば約5.5~約9、約6~約8、または約6.2~約7.8のpH範囲を含む本質的に中性のpHを有し得る。pHについてのその他の適切な範囲は、本開示から容易に理解される。
【0039】
表面積縮小シリカ粒子は、一般的に約1.5質量%以下の325メッシュ残留物の質量パーセント(325メッシュ篩い中に残留する量)で比較的狭い粒度分布を有し得る。幾つかの態様においては、325メッシュ残留物は、約1質量%以下、約0.6質量%以下、約0.3質量%以下、または約0.2質量%以下であり得る。
【0040】
これらの態様とその他の態様においては、前記表面積縮小シリカ粒子のいずれかは、非晶質であってよく、合成されたものであってよく、または非晶質かつ合成されたものであってよい。さらに、表面積縮小シリカ粒子は、本発明の特定の態様において沈降シリカ粒子を含み得るが、それに限定されるものではない。
【0041】
表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤のペリクル洗浄比(PCR)は、歯磨き剤の洗浄特質の指標である。代表値のPCRは、約60超、約70超、約80超、約100超、約110超、約120超、および130超であり得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤の代表値のPCRは、約60~約200、約70~約170、約80~約160、約90~約150、および約100~約140であり得る。
【0042】
表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤の放射性象牙質研磨(RDA)は、歯磨き剤の洗浄特質の指標である。代表値のRDAは、約250未満、約225未満、約210未満、約200未満であり得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤の代表値のRDAは、約70~約250、約70~約225、約70~約200、約90~約200、および約110~約200であり得る。
【0043】
表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤の代表値のPCR/RDA比は、歯磨き剤中に導入された場合に、少なくとも0.25、少なくとも0.5、少なくとも0.7、少なくとも0.9、および少なくとも1であり得る。代表値のPCR/RDA比はまた、少なくとも約0.5であり得る。代表値のPCR/RDA比は、粒度、形状、テクスチャ、硬度、および濃度の関数である。
【0044】
表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、300ppm~1500ppmのフッ化物イオン、450ppm~1050ppm、約500ppm~約990ppm、約700ppm~約935ppmのフッ化物イオンの可溶性フッ化物濃度を有し得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、400ppm超のフッ化物イオン、600ppm超、700ppm超、800ppm超、900ppm超、950ppm超、1000ppm超、1300ppm超、1500ppm超、4500ppm超、5000ppm超、10000ppm超、15000ppm超、20000ppm超、および25000ppm超のフッ化物イオンの可溶性フッ化物濃度を有し得る。
【0045】
歯磨き剤組成物は、フッ化物イオン源を含まなくても、または本質的に含まなくてもよい。
【0046】
40℃で30日後の可溶性フッ化物のパーセントは、初期フッ化物濃度の70%超、約72%超、約75%超、約78%超、約80%超、約82%超、約85%超、約88%超、約90%超、および約95%超であり得る。
【0047】
表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、約500ppm~約4000ppm、約600ppm~約3500ppm、約800ppm~約3000ppm、約900ppm~約2500ppm、約1000ppm~約2000ppm、約1200ppm~約1900ppm、および約1400ppm~約1700ppmの抽出可能な第一スズイオン濃度を有し得る。該歯磨き剤組成物は、300ppm~約10000ppm、約500ppm~約8000ppm、約700ppm~約7000ppm、約1000ppm~約6000ppmの抽出可能な第一スズイオン濃度を含み得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、約500ppm超の第一スズイオン、約600ppm超、約700ppm超、約800ppm超、約900ppm超、約1000ppm超、約1200ppm超、約1500ppm超、約1700ppm超、約2000ppm超、約2200ppm超、約2500ppm超、約2700ppm超、約3000ppm超、約3200ppm超、約3300ppm超、約3400ppm超、および約3500ppm超の第一スズイオンの抽出可能な第一スズイオン濃度を有し得る。抽出可能な第一スズイオン濃度は、本明細書に記載される全組成物に関して抽出可能な第一スズイオン試験法を使用して測定することができる。
【0048】
40℃で30日後のパーセントの抽出可能な第一スズイオン濃度は、初期の抽出可能な第一スズイオン濃度の60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、83%超、85%超、87%超、90%超、91%超、92%超、93%超、95%超、97%超、98%超、および99%超であり得る。40℃で30日後のパーセントの抽出可能な第一スズイオン濃度は、初期の抽出可能な第一スズイオン濃度の約55%~約100%、約63%~約100%、約68%~約100%、約72%~約100%、約77%~約100%、約83%~約100%、約88%~約100%、約91%~約99%、約93%~約99%、約95%~約99%、および約96%~約98%であり得る。抽出可能な第一スズイオン濃度は、本明細書に記載される全組成物に関して抽出可能な第一スズイオン試験法を使用して測定することができる。
【0049】
歯磨き剤組成物は、亜鉛塩を含有し得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、約900ppm~約1750ppmの亜鉛イオン、約1000ppm~約1600ppm、約1200ppm~約1500ppm、および約1300ppm~約1400ppmの亜鉛イオンの可溶性亜鉛イオンを有し得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、約300ppm~約650ppmの亜鉛イオン、約400ppm~約600ppm、および約450ppm~約550ppmの亜鉛イオンの可溶性亜鉛イオン濃度を有し得る。表面積縮小シリカ粒子を含有する歯磨き剤組成物は、500ppm超の亜鉛イオン、550ppm超、600ppm超、700ppm超、900ppm超、1000ppm超、1250ppm超、1400ppm超、および1500ppm超の亜鉛イオンの可溶性亜鉛イオン濃度を有し得る。抽出可能な亜鉛イオン濃度は、本明細書に記載される全組成物に関して抽出可能な第一スズイオン試験法を使用して測定することができる。
【0050】
シリカ粒子の製造方法
表面積縮小シリカ粒子の製造方法を本明細書に開示および記載する。表面積縮小シリカ粒子を製造するためのそのような方法は、(a)水、硫酸ナトリウム、ならびに(i)約25lb/ft3~約50lb/ft3の範囲内の基礎的充填密度、(ii)約1ミクロン~約10ミクロンの範囲内の基礎的中央粒度(d50)、(iii)約1ミクロン~約20ミクロンの範囲内の基礎的d95粒度、および(iv)約0.8cc/g~約3cc/gの範囲内の基礎的総水銀圧入細孔容積を特徴とする基礎的シリカ粒子を含む混合物を準備する工程と、(b)前記混合物にアルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸を表面積縮小条件下で添加する工程であって、該アルカリ金属ケイ酸塩を、前記混合物に1分間当たり約0.2質量%~約0.8質量%の範囲内の平均シリカ添加速度で、かつ/または1分間当たり約1.9質量%未満の最大シリカ添加速度で添加する工程と、(c)前記アルカリ金属ケイ酸塩の添加を止め、そして前記混合物への鉱酸の添加を、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度より75%以下だけ大きい平均添加速度で継続することで、該混合物のpHを約5~約8.5の範囲内に調節する工程とを含み、これにより(i)約0.1m2/g~約7m2/gの範囲内のBET表面積、(ii)約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内の充填密度、(iii)約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、(iv)約0.7cc/g~約1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および(v)約70%~約99%の範囲内の第一スズ適合性を特徴とする表面積縮小シリカ粒子を製造する。
【0051】
一般的に、これらの方法の特徴(例えば、なかでも、基礎的シリカ粒子の任意の特徴、表面積縮小シリカ粒子、アルカリ金属ケイ酸塩、および鉱酸材料、工程(b)および工程(c)が行われる条件のいずれかの特徴)は、本明細書に独立して記載されており、これらの特徴は、開示された方法をさらに記載するために、あらゆる組み合わせで組み合わされてよい。さらに、その他の方法工程を、特段の記載がない限り、開示された方法に挙げられる工程のいずれかの前に、その間に、および/またはその後に行ってよい。さらに、開示された方法のいずれかにより製造された表面積縮小シリカ粒子は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0052】
基礎的粒子 - 工程(a)
基礎的シリカ粒子は、最終的な第一スズ適合性表面積縮小シリカ粒子の特性に向ける前駆体としての役割を果たす。基礎的シリカ粒子は、表面積縮小工程の間にその上に堆積されるべきシリカ材料の骨格であり、したがって該基礎的シリカ粒子の正確な充填密度、中央粒度、粒度分布および総水銀圧入細孔容積の選択が重要となり得る。基礎的シリカ粒子の物理的特性が通常、例えば歯磨き剤用途で使用するためには研磨性が高すぎるシリカ粒子をもたらす場合に、得られる表面積縮小シリカ粒子も同様に許容できないものとなる。例えば、基礎的シリカ粒子の粒度および粒子の充填密度が高すぎると、許容不可能なほど緻密かつ研磨性の高い表面積縮小シリカ粒子が同様に得られることとなる。多孔性(総水銀圧入細孔容積により測定される)が、大きな細孔がとても少なく存在するようなものである場合に、高い密度および許容不可能なほど研磨性の高い表面積縮小シリカ粒子が同様に得られることとなる。一般的に、許容可能な表面積縮小第一スズ適合性シリカ粒子を製造するためには、正確な基礎的シリカ粒子が必要とされる。本発明と一致する適切な基礎的シリカ粒子は、以下で示される特徴または特性のいずれかを任意の組み合わせで有し得る。
【0053】
1つの態様においては、基礎的シリカ粒子は、約25lb/ft3~約50lb/ft3、約25lb/ft3~約45lb/ft3、約25lb/ft3~約40lb/ft3、または約30lb/ft3~約45lb/ft3等の範囲内の基礎的充填密度を有する。1つの態様においては、基礎的シリカ粒子はまた、約1μm~約10μm、約2μm~約8μm、約3μm~約7μm、または約3μm~約6μm等の範囲内の基礎的中央粒度(d50)を特徴とし得る。1つの態様においては、基礎的シリカ粒子のd95粒度は、約1μm~約20μm、約2μm~約20μm、約1μm~約15μm、約5μm~約20μm、または約5μm~約15μmの範囲内に含まれ得る。1つの態様においては、基礎的シリカ粒子の基礎的総水銀圧入細孔容積は、約0.8cc/g~約3cc/g、約0.8cc/g~約2.5cc/g、約0.9cc/g~約2.5cc/g、または約0.9cc/g~約2cc/gの範囲内であり得る。
【0054】
限定されるものではないが、工程(a)における基礎的シリカ粒子は、約100m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約25m2/g~約150m2/g、または約25m2/g~約100m2/g等の範囲内のBET表面積(基礎的BET表面積)を有し得る。一般的に、より高いBET表面積の範囲は、以下に記載される連続的ループ型反応器法により製造された基礎的シリカ粒子に該当し、より低いBET表面積の範囲は、以下に記載されるボール/ビーズ粉砕技術を使用して製造された基礎的シリカ粒子に該当する。
【0055】
さらに、基礎的シリカ粒子は、本発明の特定の態様においては、約60cc/100g~約125cc/100g、約70cc/100g~約110cc/100g、または約80cc/100g~約115cc/100gの範囲内の吸油量を有し得る。それに加えてまたはそれに代えて、基礎的シリカ粒子は、約60cc/100g~約130cc/100g、約70cc/100g~約110cc/100g、または約80cc/100g~約135cc/100gの範囲内の吸水量(AbC)を有し得る。
【0056】
シリカ粒子の製造方法における工程(a)に関して、工程(a)における混合物の基礎的シリカ粒子は、任意の様式で任意の適切な方法、例えば沈降シリカ製造法によって製造され得る。本開示と一致する特定の態様において、基礎的シリカ粒子は、連続的ループ型反応器(例えば、1つ以上のループ型反応器管の連続的ループ)、例えば米国特許第8,945,517号明細書および同第8,609,068号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に記載される連続的ループ型反応器中で基礎的シリカ粒子を形成させることを含む方法により製造され得る。一般的に、前記連続的ループ法は、(a)鉱酸およびアルカリ金属ケイ酸塩を液体媒体流を含むループ型反応ゾーンへと連続的に供給し、そこで鉱酸およびアルカリ金属ケイ酸塩の少なくとも一部分を反応させることで、シリカ生成物(例えば、基礎的シリカ粒子)がループ型反応ゾーンの液体媒体中で形成される工程と、(b)該液体媒体をループ型反応ゾーンを通して連続的に再循環させる工程と、(c)該ループ型反応ゾーンから前記シリカ生成物を含む液体媒体の一部分を連続的に排出する工程とを含む。一般的に、鉱酸およびアルカリ金属ケイ酸塩のループ型反応ゾーン中への供給位置は異なり、酸およびケイ酸塩の全供給速度は、シリカ生成物を含む液体媒体の排出速度と比例し、しばしばそれと等しい。ループ型反応ゾーン内の含分のすべてまたはその多くは、1分間当たり約50容量%(1分当たりの再循環速度は、該含分の全容量の1/2である)~約1000容量%(1分当たりの再循環速度は、該含分の全容量の10倍である)、または1分間当たり約75容量%~約500容量%の範囲の速度で再循環される。
【0057】
本開示と一致するもう1つの態様においては、工程(a)の基礎的シリカ粒子は、典型的な沈降シリカ製造法を使用して、前駆体の基礎的シリカ粒子の反応ウェットケークを形成し、引き続きその前駆体の基礎的粒子のスラリーを作製し、次いで湿式の前駆体の基礎的粒子をビーズミル粉砕して、本明細書に記載される所望の基礎的シリカ粒子のパラメーターにすることにより形成され得る。実例の方法は米国特許第6,419,174号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に記載されている。例えば、前記前駆体の基礎的粒子(水、硫酸ナトリウム、約6~約8.5のpH、圧力に応じて約80℃~約98℃の温度で)は、ジャケット式撹拌槽反応器等の回分式反応器中で製造され得る。該反応器からのシリカ前駆体の基礎的粒子は、フィルタープレスの使用による技術を一例とする任意の適切な技術を使用して濃縮されて、前駆体の基礎的シリカ粒子の反応ウェットケークが形成され得る。一般的に、前記シリカ前駆体の基礎的粒子は、以下で示される特徴または特性のいずれかを任意の組み合わせで有し得る。1つの態様においては、シリカ前駆体の基礎的粒子の中央粒度は、約10μm~約60μm、または約15μm~約30μm等の範囲内に含まれ得る。それに加えてまたはそれに代えて、前記シリカ前駆体の基礎的粒子は、約45cc/100g~約90cc/100g、または約50cc/100g~約65cc/100gの範囲内の吸油量を有し得る。それに加えてまたはそれに代えて、前記シリカ前駆体の基礎的粒子は、約50cc/100g~約120cc/100g、または約60cc/100g~約80cc/100gの範囲内の吸水量(AbC)を有し得る。ビーズミル粉砕の前に、シリカ前駆体の基礎的粒子のスラリーが、反応ウェットケークから作製される。次いで該前駆体の基礎的粒子は、該スラリー中で任意の適切な粉砕媒体を用いてビーズミル粉砕される。適切なミル粉砕媒体の代表的な例には、様々なセラミックビーズ、例えばジルコニアビーズが含まれる。
【0058】
前記の基礎的シリカ粒子の製造のための連続的ループ型反応器法は、追加の処理を一切必要とせずに適切な粒度特質を有する基礎的シリカ粒子の製造を可能にする。基礎的シリカ粒子の製造のためのその他の技術は、回分式反応器の再循環導管に取り付けられた高せん断装置を利用し、かつ/または表面積縮小工程の前にシリカスラリーをビーズミル粉砕する工程を必要とする。所望の基礎的シリカ粒子の特性を達成するためにシリカスラリーのビーズミル粉砕が使用され得る場合に、このアプローチのために追加の処理工程が必要とされる(例えば、適切なビーズミル粉砕効率のための固体の調節、それに続いての希釈、そしてイオン濃度の調節、その後の表面積縮小工程)。Silversonの高せん断ミキサーによるアプローチでは、小さな狭い粒度分布を達成することは困難であり、過度に研磨性の高い粒子が生じ得る(実施例9~17を参照)。
【0059】
表面積縮小 - 工程(b)
本明細書に開示される場合に、表面積縮小工程は、前記基礎的シリカ粒子内の小さな細孔に由来する表面積が選択的に充填されるが、大きな細孔は充填されず、表面積縮小シリカ粒子を過度に緻密化しないように実施される。基礎的シリカ粒子は一般的に、表面積縮小工程の間に使用するために非凝集状態で提供される。凝集されていない粒子は、小さな細孔の多孔性が優先的に充填されるが、最終的な表面積縮小シリカ粒子が適切な総水銀圧入細孔容積および充填密度を有することを可能にする到達可能性をもたらす。それに対して、凝集された粒子の表面積縮小は、大きな中央粒度および高い粒子の充填密度をもたらし得る。
【0060】
アルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸の添加速度、期間、pH、および温度は、粒度を増大させず、または密度を劇的に増大せずに所望の表面積を達成するための表面積縮小工程の間の制御変量である。以下の理論により縛られることを望むものではないが、表面積縮小工程が、粒子核形成に有利な原材料添加速度(すなわち、とても迅速)で行われる場合に、より高い表面積の新たなシリカ粒子が形成されることとなり、小さな細孔の多孔性は適切に充填されないこととなると考えられる。さらに、表面積縮小工程が短すぎる期間にわたり行われるのであれば、小さな細孔の多孔性は十分に充填され得ず、基礎的シリカ粒子の表面積は、第一スズイオンと適合性のシリカ粒子に至るほど十分に縮小しないこととなる。さらに、表面積縮小工程が長すぎる期間にわたり実施される場合に、小さな細孔および大きな細孔の両方の多孔性は充填され、こうして完成したシリカ粒子の粒度、充填密度、および研磨性の増大がもたらされる。したがって、表面積縮小工程は、第一スズイオンと適合性である低い表面積のシリカ粒子が生成されるかどうかと、これらの粒子が所望の充填密度、粒度、および研磨特質を有するかどうかに影響を及ぼし得る。
【0061】
工程(b)において、アルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸は、水、硫酸ナトリウム、および基礎的なシリカ粒子を含む混合物に、任意の適切な表面積縮小条件下で、または本明細書に開示される任意の表面積縮小条件下で添加される。本発明の態様と一致して、前記アルカリ金属ケイ酸塩は、前記混合物に1分間当たり約0.2質量%~約0.8質量%の範囲内の平均シリカ添加速度で、かつ/または1分間当たり約1.9質量%未満の最大シリカ添加速度で添加され得る。その平均値は、添加された基礎的シリカ粒子の質量(kg)から始めて、添加期間(分)により除算して、次いで表面積縮小工程の終わりに生成される表面積縮小シリカ粒子の全量(kg)により正規化することにより測定される。最大シリカ添加速度は、表面積縮小工程における任意の5分間の期間にわたる最大の平均シリカ添加速度である。幾つかの態様においては、前記アルカリ金属ケイ酸塩は、前記混合物に、1分間当たり約0.25質量%~約0.7質量%、または1分間当たり約0.3質量%~約0.55質量%の範囲内の平均シリカ添加速度で添加され得る。それに加えてまたはそれに代えて、前記最大シリカ添加速度は、1分間当たり約1.7質量%未満、約1.5質量%未満、約1.2質量%未満、約1質量%未満、または約0.9質量%未満であり得る。代表的な添加速度のデータは、以下の実施例において提供される。
【0062】
適切なアルカリ金属ケイ酸塩の例示的かつ非限定的な例としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、またはそれらの混合物が挙げられ、かつ適切な鉱酸の例示的かつ非限定的な例としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、またはそれらの混合物が挙げられる。例えば、前記アルカリ金属ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウムを含んでよく、かつ前記鉱酸は、硫酸を含んでよい。アルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸を前記混合物に添加するための具体的な方法論は全く限定されておらず、アルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸は、任意の順序で、同時に、連続的に、交互に、またはこれらの方法論の組み合わせのいずれにおいても添加され得る。
【0063】
工程(b)が実施され得る表面積縮小条件は、当業者によれば、本開示および以下に本明細書で提供される代表的な実施例を考慮して容易に認識されるであろう。それにもかかわらず、本発明の幾つかの態様においては、工程(b)の表面積縮小条件には、約75分間~約5時間、約75分間~約4時間、約90分間~約4時間、約2時間~約5時間、または約2時間~約4時間の範囲の期間、約9.2~約10.2、約9.3~約10、または約9.5~約9.8の範囲のpH、および約85℃~約100℃、約90℃~約100℃、または約95℃~約98℃の範囲の温度が含まれ得る。
【0064】
さらに、前記表面積縮小工程は一般的に、基礎的シリカ粒子のBET表面積より少なくとも約25%だけ小さいBET表面積を有する表面積縮小シリカ粒子を生成するのに十分な条件下で行われ得る。より頻繁には、前記表面積縮小シリカ粒子は、基礎的シリカ粒子のBET表面積よりも、少なくとも約50%だけ小さい、または少なくとも約75%だけ小さい、幾つかの態様においては、少なくとも約80%だけ小さい、少なくとも約90%だけ小さい、少なくとも約95%だけ小さい、少なくとも約97%だけ小さい、または少なくとも約99%だけ小さいBET表面積を有する。
【0065】
予想外にそして有益なことに、表面積縮小工程におけるpH(鉱酸の添加により制御される)および温度の正確な条件での正確な時間にわたるアルカリ金属ケイ酸塩の遅い添加速度は、BET表面積、充填密度、アインレーナー研磨値、総水銀圧入細孔容積、および第一スズ適合性により特徴付けられる属性の予想外かつ有益な組み合わせを有する表面積縮小シリカ粒子がもたらされ得る。
【0066】
pH調節 - 工程(c)
本明細書に開示される方法におけるpH調節工程の一般的な目的は、前記混合物(表面積縮小シリカ粒子を含有する)のpHを、該混合物に鉱酸のみを添加することにより約5~約8.5の範囲内に調節することである。表面積縮小工程の終わりに混合物中に存在する可溶性アルカリ金属ケイ酸塩がかなりのパーセンテージで存在するので、pH調節工程は一般的に、完成した第一スズ適合性(および表面積が縮小した)シリカ粒子の多孔性の分布に対する何らかの影響を最小化するために慎重に制御される。幾つかの態様においては、工程(c)における鉱酸の添加の平均速度は、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度よりも75%以下だけ大きく、一方でその他の態様においては、工程(c)における鉱酸の添加の平均速度は、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度よりも50%以下だけ大きく、25%以下だけ大きく、または10%以下だけ大きい。しばしば、工程(c)における鉱酸の添加の平均速度は、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度とほぼ同じであるか、またはそれより小さい。
【0067】
以下の理論により縛られることを望むものではないが、pH調節工程の間に酸の速度が速すぎる場合に、新たなシリカ粒子が、前記表面積縮小シリカ粒子よりも大きな表面積で形成し得るため、シリカ粒子のBET表面積の全体的な増大がもたらされる。以下の実施例の幾つかにおいては、より速い酸の流速がpH調節工程の間に使用され、こうして恐らく小さな細孔の多孔性において増大がもたらされる。しかしながら、CPC適合性に関しては、この増大した酸の速度は、CPC適合性シリカ粒子の生成に不利益をもたらさなかった。それというのもCPCは恐らく、形成された小さな細孔に到達することができなかったからである。
【0068】
それらに限定されるものではないが、バッチの終わりでの反応混合物のpHは、しばしば、最終用途の歯磨き剤およびその他の用途における適性のために、約5~約8.5の範囲内に、そして幾つかの場合には、約5.5~約8、または約6~約8の範囲内に調節される。
【0069】
pH調節工程の後に、かつ任意に、本明細書に開示される方法はさらに、表面積縮小シリカ粒子の単離のための濾過工程、表面積縮小シリカ粒子の洗浄のための洗浄工程、表面積縮小シリカ粒子の乾燥のための乾燥工程(例えば、噴霧乾燥)、または濾過工程、洗浄工程、および乾燥工程の任意の組み合わせを含んでよく、それらは任意の適切な順序で実施することができる。
【0070】
歯磨き剤組成物
前記表面積縮小シリカ粒子は、オーラルケア組成物、例えば歯磨き剤組成物中で使用され得る。該組成物は、第一スズイオン源および研磨剤を含有し得る。前記表面積縮小シリカ粒子は、歯磨き剤において通常使用される研磨剤の代わりに、またはそれと組み合わせて使用され得る。
【0071】
オーラルケア組成物は、第一スズイオン源を含有し得る。第一スズ源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ二水和物、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、乳酸第一スズ、および酒石酸第一スズからなる群から選択される第一スズ塩であり得る。1つの例においては、第一スズイオン源は、フッ化第一スズ、および/または塩化第一スズ二水和物である。混和された第一スズ塩は、全組成物の質量基準で約0.1%~約11%の量で存在し得る。第一スズ塩は、全組成物の質量基準で約0.05%~約7%、約0.1%~約5%、約0.25%~約3%、および約0.5%~約1.5%の量で存在する。配合物は、全組成物中の約3000ppm~約15000ppmの第一スズイオンの範囲のフッ化第一スズおよび/または塩化第一スズを含む第一スズ安定化塩によりもたらされる第一スズ濃度を含み得る。前記歯磨き剤は、0.454%のフッ化第一スズ、および/または0.56%の塩化第一スズを含有し得る。前記歯磨き剤組成物は、0.454%未満のフッ化第一スズ、および/または0.56%未満の塩化第一スズを含有し得る。該組成物は、塩化第一スズを含有しなくてよい。第一スズ塩、特にフッ化第一スズおよび塩化第一スズを含有する歯磨き剤は、Majetiらの米国特許出願第5,004,597号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に記載されている。第一スズ塩のその他の記載は、Prencipeらに交付された米国特許出願第5,578,293号明細書およびLukacovicらに交付された米国特許第5,281,410号明細書(それらは、参照によりその全体が本明細書で援用される)に見られる。第一スズイオン源に加えて、第一スズの安定化に必要とされるその他の成分、例えばMajeti et al.およびPrencipe et al.に記載される成分が含まれてもよい。
【0072】
前記口腔用組成物はまた、生体利用可能かつ効果的なフッ化物イオンを供給することが可能な可溶性フッ化物源も含有し得る。可溶性のフッ化物イオン源は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、フッ化銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。1つの例においては、前記組成物は、フッ化第一スズを含有してよく、この成分は、第一スズ源およびフッ化物源の両方としての役割を果たし得る。1960年7月26日に交付されたNorrisらの米国特許第2,946,725号明細書、および1972年7月18日に交付されたWidderらの米国特許第3,678,154号明細書は、そのようなフッ化物源だけでなく、その他の起源も開示している。両方の特許は、参照によりその全体が本明細書で援用される。
【0073】
本組成物は、約50ppm~約3500ppm、または約500ppm~約3000ppmの遊離のフッ化物イオンを供給することが可能な可溶性フッ化物イオン源を含有し得る。所望の量のフッ化物イオンを送達するためには、フッ化物イオン源は、全口腔用組成物中に、口腔に送達される全組成物の質量基準で約0.1%~約5%、約0.2%~約1%、または約0.3%~約0.60%の量で存在し得る。
【0074】
前記オーラルケア組成物は、ポリマー型表面活性剤(MSA)を含み得る。
【0075】
本明細書に記載されるオーラルケア組成物中に導入され得るポリマー型鉱物表面活性剤には、高分子電解質、例えば縮合されたリン酸化ポリマー、ポリホスホネート、ホスフェート含有モノマーまたはホスホネート含有モノマーまたはポリマーとその他のモノマー、例えばエチレン性不飽和モノマーおよびアミノ酸またはその他のポリマー、例えばタンパク質、ポリペプチド、多糖類、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(酢酸ビニル)、およびポリ(塩化ビニルベンジル)とのコポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。適切なポリマー型表面活性剤には、すべてDegenhardtらによる米国特許第5,292,501号明細書、同第5,093,170号明細書、同第5,009,882号明細書、および同第4,939,284号明細書に記載されるカルボキシ置換されたアルコールポリマー、ならびにBenedictらによる米国特許第5,011,913号明細書におけるジホスホネートで誘導体化されたポリマーが含まれる。適切な構造は、アクリル酸またはメタクリル酸とホスホネートとのコポリマーを含む。そして1つの例においては、該組成物は、ジホスホネート変性されたポリアクリル酸を含む。
【0076】
適切なホスホネート含有ポリマーは、Zakikhaniらによる米国特許第5,980,776号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に記載されている。
【0077】
1つの例においては、上記ポリマー型鉱物表面活性剤は、ポリホスフェートであり得る。ポリホスフェートは一般的に、主に線状構成で配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されるが、幾つかの環状誘導体も存在し得る。無機ポリホスフェート塩としては、なかでもテトラポリホスフェートおよびヘキサメタホスフェートを挙げることができる。テトラポリホスフェートより大きなポリホスフェートは通常は、非晶質のガラス様材料として存在する。1つの例においては、前記組成物は、式
XO(XPO3n
[式中、Xはナトリウムまたはカリウムであり、かつnは平均すると約6~約125である]を有する線状の「ガラス様」ポリホスフェートを含み得る。幾つかの例においては、ポリホスフェートは、FMC Corporation(米国、ペンシルベニア州、フィラデルフィア)により製造され、それらは商業的にSodaphos(n≒6)、Hexaphos(n≒13)、およびGlass H(n≒21)として知られている。1つの例においては、該組成物は、Glass Hを含み得る。
【0078】
必要とされる鉱物表面剤の量は、第一スズを結合し、適切な抗微生物活性を可能にし、歯の汚れおよび配合物の渋みを減らし、歯石を減らすことができる有効量である。鉱物表面活性剤の有効量は、一般的に、全口腔用組成物の質量基準で約1%~約35%、約2%~約30%、約5%~約25%、または約6%~約20%であることとなる。
【0079】
前記オーラルケア組成物はまた、水性担体を含有し得る。そのような材料は当該技術分野でよく知られており、当業者により、製造される組成物に望ましい物理的特性および美的特性に基づいて容易に選択される。水性担体は一般的に、前記口腔用組成物の質量基準で約50%~約99%、好ましくは約70%~約98%、より好ましくは約90%~約95%を構成する。
【0080】
商業的に適切な口腔用組成物の製造に使用される水は、好ましくはイオン含量が低く、かつ有機不純物を含まないことが望ましい。口腔用組成物が約4以上の平均鎖長を有するポリホスフェートを含む場合に、該ポリホスフェートを含む組成物または相は、より低い水準の水、一般的に約20%以下の全体の水を含むこととなる。全含水量は、前記口腔用組成物の質量基準で約2%~約20%、約4%~約15%、または約5%~約12%である。該組成物は、より高い水準の水、例えば約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約30%~約80%、40%~約70%、約50%~約60%等の水を有し得る。その水量は、添加される遊離水と、その他の材料、例えばソルビトール、シリカ、界面活性剤溶液、および/または着色溶液と一緒に導入される遊離水とを含む。
【0081】
本組成物は、緩衝剤を含み得る。本明細書で使用される緩衝剤は、前記組成物のpHを約pH3.0~約pH10の範囲に調節するために使用することができる剤を指す。前記口腔用組成物は、約3.0~約7.0、約3.25~約6.0、および約3.5~約5.5のスラリーのpHを有し得る。該オーラルケア組成物は、アルカリ性のスラリーのpH、例えば約8より大きい、約9より大きい、そして約10より大きいpHを有し得る。
【0082】
該緩衝剤には、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾール、およびそれらの混合物が含まれ得る。具体的な緩衝剤には、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロリン酸塩、クエン酸、および/またはクエン酸ナトリウムが含まれる。1つの例においては、前記緩衝剤は、酢酸、酢酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸塩、安息香酸、および/または安息香酸ナトリウムを含み得る。緩衝剤は、前記組成物の質量基準で約0.1%~約30%、約1%~約10%、約1.5%~約3%の水準であり得る。
【0083】
前記組成物は、歯石防止剤を含んでよく、該歯石防止剤には、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、および/またはポリアクリレートおよび無水マレイン酸またはマレイン酸およびメチルビニルエーテルのコポリマーを含む合成のアニオン性ポリマー、例えばGaffarらによる米国特許第4,627,977号明細書に記載されるGantrez(商標)、およびポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)が含まれ得る。また、クエン酸亜鉛三水和物、ジホスホネート、例えばEHDPおよびAHP、ならびにポリペプチド、例えばポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0084】
該組成物は、前記表面積縮小シリカに加えて研磨性のポリシング材料を含み得る。典型的な研磨性のポリシング材料には、ゲルおよび沈降物を含むシリカ、アルミナ、オルトホスフェート、ポリメタホスフェート、およびピロホスフェートを含むホスフェート、ならびにそれらの混合物が含まれ得る。具体的な例としては、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、不溶性のポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、β-ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、および樹脂性の研磨材料、例えば尿素およびホルムアルデヒドの粒状縮合生成物、ならびに1962年12月25日に交付された米国特許第3,070,510号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)においてCooleyらにより開示されたその他のものが挙げられる。研磨剤の混合物も使用され得る。前記口腔用組成物または特定の相は、約4以上の平均鎖長を有するポリホスフェートを含む場合に、カルシウム含有研磨剤およびアルミナは、好ましい研磨剤ではない。最も好ましい研磨剤はシリカである。
【0085】
前記組成物は、沈降シリカおよび/またはシリカゲル、例えば1970年3月2日に交付されたPaderらの米国特許第3,538,230号明細書、および1975年1月21日に交付されたDiGiulioの米国特許第3,862,307号明細書(両者とも、参照によりその全体が本明細書で援用される)に記載されるシリカキセノゲルを含み得る。本発明の組成物において有用であり得るシリカの歯科用研磨剤の種類は、1982年7月29日に交付されたWasonの米国特許第4,340,583号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)により詳細に記載されている。シリカ研磨材はまた、Riceの米国特許第5,589,160号明細書、同第5,603,920号明細書、同第5,651,958号明細書、同第5,658,553号明細書、および同第5,716,601号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)にも記載されている。前記口腔用組成物中の全研磨剤濃度は、該口腔用組成物の質量基準で約0.1%~約70%、約0.5%~約65%、約2%~60%、約6%~約55%等であり得る。前記オーラルケア組成物は、該口腔用組成物の質量基準で約10%~約50%の研磨剤を含有し得る。
【0086】
前記組成物は、該組成物の質量基準で約1%~約50%、約3%~約40%、約5%~約35%、約5%~約30%、約7%~約27%、約10%~約25%、約11%~約20%、および約13%~約18%の表面積縮小シリカ粒子を含み得る。該組成物は、その組成物の質量基準で約1%~約25%、約3%~約20%、または約5%~約15%の表面積縮小シリカ粒子を含有し得る。
【0087】
前記組成物は、ペルオキシド源を含み得る。該ペルオキシド源は、過酸化水素、過酸化カルシウム、尿素ペルオキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。本組成物は、該口腔用組成物の質量基準で約0.01~約10%、約0.1~約5%、および約0.2%~約3%、および約0.3%~約0.8%のペルオキシド源を含有し得る。
【0088】
本発明はまた、アルカリ金属重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウムも含み得る。本組成物は、該口腔用組成物の質量基準で約0.5%~約50%、約0.5%~約30%、約2%~約20%、および約5%~約18%のアルカリ金属重炭酸塩を含有し得る。
【0089】
前記組成物は、増粘剤、例えばカルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、およびセルロースエーテルの水溶性塩、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびナトリウムヒドロキシエチルセルロースを含み得る。天然ゴム、例えばカラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、およびトラガカントゴムも使用され得る。コロイド状のケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは微粉砕シリカは、テクスチャのさらなる改善のために増粘剤の一部として使用され得る。増粘剤は、前記口腔用組成物の質量基準で約0.1%~約15%の量で使用され得る。
【0090】
前記オーラルケア組成物は、湿潤剤を含んでよく、該湿潤剤には、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キシリトール、およびその他の可食性多価アルコールが含まれ得る。前記組成物は、該口腔用組成物の質量基準で約0%~70%、および約15%~55%の湿潤剤を含有し得る。
【0091】
本組成物は、界面活性剤も含み得る。該界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性、カチオン性、またはそれらの混合物であり得る。本明細書で有用なアニオン性界面活性剤には、アルキル基中に8個~20個の炭素原子を有するアルキル硫酸塩の水溶性塩(例えばアルキル硫酸ナトリウム)、および8個~20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が含まれる。
【0092】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびココナッツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。その他の適切なアニオン性界面活性剤は、サルコシン酸塩、例えばラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウリン酸塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。アニオン性界面活性剤の混合物も使用され得る。多くの適切なアニオン性界面活性剤は、1976年5月25日に交付されたAgricolaらの米国特許第3,959,458号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)により開示される。本発明の組成物において使用され得る非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基(親水性の性質)と脂肪族またはアルキル芳香族の性質であり得る有機疎水性化合物との縮合により製造される化合物として広く定義され得る。適切な非イオン性界面活性剤の例には、ポロキサマー(商品名Pluronicとして販売される)、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(商品名Tweenとして販売される)、ポリオキシル40水素化ひまし油、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、およびそのような材料の混合物が含まれ得る。1つの例においては、前記非イオン性界面活性剤のポロキサマー407を使用することができる。本発明において有用な両性界面活性剤は、脂肪族基が直鎖状または分枝鎖状であり得、かつ脂肪族置換基の1つが約8個~約18個の炭素原子を有し、そして1つがアニオン性の水溶性基、例えばカルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含む脂肪族の第二級および第三級のアミンの誘導体として広く記載され得る。その他の適切な両性界面活性剤は、ベタイン、特にコカミドプロピルベタインである。両性界面活性剤の混合物も使用され得る。適切な非イオン性および両性界面活性剤の多くは、1977年9月27日に交付されたGieskeらの米国特許第4,051,234号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)により開示される。本組成物は一般的に、1種以上の界面活性剤を、それぞれ該組成物の質量基準で約0.25%~約12%、約0.5%~約8%、約1%~約6%の濃度で含む。
【0093】
本組成物には二酸化チタンも添加され得る。二酸化チタンは一般的に、該組成物の質量基準で約0.25%~約5%を構成し得る。
【0094】
本組成物には着色剤も添加され得る。該着色剤は水溶液の形であり得、例えば水の溶液中の1%の着色剤であり得る。着色溶液は一般的に、該組成物の質量基準で約0.01%~約5%を構成する。
【0095】
前記組成物にはフレーバー系も添加され得る。適切なフレーバリング成分には、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カシア、1-メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-シス-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-t-ブチルフェニルアセテート、およびそれらの混合物が含まれる。清涼剤もフレーバー系の一部であり得る。本組成物中の好ましい清涼剤は、パラメンタンカルボキシアミド剤、例えばN-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(商業的に「WS-3」として知られる)およびそれらの混合物である。フレーバー系は一般的に該組成物中で、その組成物の質量基準で約0.001%~約5%の濃度で使用される。
【0096】
該組成物には甘味剤が添加され得る。これらには、サッカリン、デキストロース、スクロース、ラクトース、キシリトール、マルトース、レブロース、アスパルテーム、ナトリウムシクラメート、D-トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、およびそれらの混合物が含まれる。本発明においては、様々な着色剤も導入され得る。甘味剤および着色剤は一般的に歯用ペースト中で、該組成物の質量基準で約0.005%~約5%の濃度で使用される。
【0097】
本発明はまた、抗微生物性効果を与えるために第一スズに加えてその他の剤も含み得る。そのような抗微生物剤のなかでも、水不溶性の非カチオン性抗微生物剤、例えばハロゲン化されたジフェニルエーテル、フェノールおよびその同族体を含むフェノール性化合物、モノアルキルおよびポリアルキルならびに芳香族ハロフェノール、レゾルシノールおよびその誘導体、ビスフェノール性化合物、およびハロゲン化サリチルアニリド、安息香酸エステル、およびハロゲン化カルボアニリドが含まれる。水溶性抗微生物剤としては、なかでも第四級アンモニウム塩およびビスビグアニド塩が挙げられる。トリクロサンモノホスフェートは、さらなる水溶性の抗微生物剤である。前記第四級アンモニウム剤には、第四級窒素上の置換基の1つまたは2つが約8個~約20個、一般的に約10個~約18個の炭素原子の炭素鎖長(一般的にアルキル基)を有するが、残りの置換基(一般的にはアルキル基またはベンジル基)がより少ない数の炭素原子、例えば約1個~約7個の炭素原子(一般的にメチル基またはエチル基)を有するものが含まれる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、塩化N-テトラデシル-4-エチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2-フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、塩化セチルピリジウム、第四級化5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルヘキシル)-5-メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、および塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な第四級アンモニウム抗細菌剤の例である。その他の化合物は、1980年6月3日にBaileyに交付された米国特許第4,206,215号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に開示されるビス[4-(R-アミノ)-1-ピリジニウム]アルカンである。その他の抗微生物剤、例えばビスグリシン銅、グリシン銅、クエン酸亜鉛、および乳酸亜鉛も含まれ得る。またエンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、およびそれらの混合物を含む酵素も有用である。そのような剤は、Norrisらによる米国特許第2,946,725号明細書(1960年7月26日)およびGieskeらによる米国特許第4,051,234号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に開示されている。具体的な抗微生物剤としては、クロロヘキシジン、トリクロサン、トリクロサンモノホスフェート、およびフレーバー油、例えばチモールが挙げられる。トリクロサンおよびこの種のその他の剤は、Parran,Jr.らに交付された米国特許第5,015,466号明細書およびNabiらによる米国特許第4,894,220号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に開示されている。これらの剤は、前記口腔用組成物の質量基準で約0.01%~約1.5%の濃度で存在し得る。
【0098】
抗微生物効果はまた、ホップ、モクレン、およびそれらの組み合わせを含む植物抽出物等の天然起源からも得ることができる。
【0099】
前記口腔用組成物は、口腔、歯肉炎、歯垢、過敏性、歯石、着色、および酸蝕からの保護を補助し、またホワイトニング効果をもたらし、口臭の消臭もし得る。処置の方法は、第一スズイオン源および表面積縮小シリカ粒子を含有する口腔用組成物を調製し、該組成物を被験体に投与することを含む。被験体への投与は、歯磨き剤を用いた歯磨き、または歯磨き剤スラリーを用いたすすぎにより、該組成物を被験体の歯表面に接触させることとして定義され得る。投与はまた、局所的な口腔用ゲル、マウスリンス、義歯用製品、マウススプレー、口内錠、ロゼンジ、またはチューイングガムを歯表面と接触させることによるものである。前記被験体は、任意の人またはより下等な動物であり得、それらの歯表面に該口腔用組成物が接触する。
【0100】
以下の例Aは、表面積縮小シリカ粒子(シリカ)を含有する水性の歯磨き剤配合物を示す。
【0101】
【表1】
1ソルビトール溶液(USP)は、70%ソルビトールを含有する水溶液である。
2サッカリンナトリウム(USP、顆粒状、高水分)は、14%以下の水を含有する。
3Ashland(登録商標)(米国、デラウェア州、ウィルミントン)から入手可能。
【0102】
例Aは、以下のように調製した:個別の容器において、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)をフレーバー中に分散させ、混合物が均質になるまで混合した。次いでジャケット式の混合タンクをほぼ30℃に設定し、ソルビトールの第1の部分をそのタンクに加えた。次いでHEC/フレーバーのブレンドを撹拌および均質化をしながら添加および導入し、それに続けてソルビトールの第2の部分および水を加え、それらは均質化をしながら導入した。次いで、サッカリン、フッ化第一スズ、グルコン酸ナトリウム、キサンタンガム、およびカラギーナンを別個の容器中で混合し、次いでこれらの粉体を容器に添加し、均質化した。均質化が完了した後に、撹拌機を止め、真空を解放した。次いで、乳酸亜鉛無水物、Gantrez(商標)S-95、およびキシリトールを、撹拌および均質化をしながらその容器に添加し、次いで該混合物の脱気を行った。次いで、シリカをその混合物に加え、該混合物を混合し、脱気した。次いで、ラウリル硫酸ナトリウムをその容器に加え、該混合物を可能な限りの最高の真空で撹拌した。次いで、水酸化ナトリウムをその容器に加え、真空下で混合した。混合が完了した後に、バッチを均質化し、次いで混合し、脱気した。真空を解放することで、例Aが形成された。
【0103】
以下の例Bは、表面積縮小シリカ粒子(シリカ)を有する非水性の歯磨き剤配合物を示す。
【0104】
【表2】
4ICL Performance Products社(米国、ミズーリ州、セントルイス)から入手可能。
【0105】
例Bは、以下の通りに調製した:グリセリンを事前に量り、容器に加えた。ホモジナイザーを動かしながら、キサンタンガムおよびカラギーナンをその容器に添加し、均質化した。次いで、ラウリル硫酸ナトリウム溶液をその容器に加え、撹拌および均質化を行った。次いで、撹拌を停止し、真空を解放し、そして容器の蓋を開け、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、残りのグリセリン、および着色剤およびフレーバーをその容器に加え、蓋を閉め、撹拌機および真空を再始動させた。次いで、シリカをその容器に加え、混合した。次いで、サッカリン、乳酸亜鉛、フッ化第一スズ、およびグルコン酸ナトリウムをその容器に添加し、均質化した。次いで、ヘキサメタリン酸ナトリウムおよび三塩基性リン酸ナトリウムをその容器に加え、該混合物を可能な限り最高の真空で混合する。5分後に撹拌を止め、真空を解放し、そして蓋を持ち上げ、三塩基性リン酸ナトリウムを添加し、蓋を閉じ、撹拌機および真空を再始動させ、該混合物を真空下で混合した。最後にその生成物を、可能な限り最高の真空で少なくとも5分間にわたり混合および脱気した。次いで、例Bを生成物排出弁から排出した。
【0106】
実施例
本発明を、以下の実施例によって更に説明するが、実施例は、本発明の範囲に制限を課すものと決して解釈されるべきではない。様々なその他の態様、変形形態および均等物は、本明細書の説明を解釈した後に、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく当業者の念頭に浮かび得る。
【0107】
本明細書に開示されるBET表面積および細孔容積(総水銀圧入細孔容積)は、Micromeritics TriStar II 3020 V1.03において、それぞれBrunaur et al.,J.Am.Chem.Soc.,60,309(1938)のBET窒素吸着法、およびHalsey Faas Correction,Halsey,G.D.,J.Chem.Phys.(1948),16,pp.931によるBJH脱着等温線を用いて測定し、そのような技術は当業者によく知られている。
【0108】
本明細書に開示されるCTAB表面積は、シリカ表面上でのCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)の吸収量、遠心分離によって分離された過剰量、およびラウリル硫酸ナトリウムによる滴定によって界面活性剤電極を使用して測定された量によって測定した。具体的には、約0.5グラムのシリカ粒子を、100mLのCTAB溶液(5.5g/L)が入った250mL容のビーカー中に入れ、電気撹拌プレートで1時間にわたり混合し、次いで10000RPMで30分間にわたり遠心分離した。1mLの10%のTriton X-100を、100mL容のビーカー中の5mLの澄明な上清に添加した。pHを、0.1NのHClで3~3.5に調整し、試料を0.01Mのラウリル硫酸ナトリウムで界面活性剤電極(Brinkmann SUR1501-DL)を使用して滴定して、終点を測定した。
【0109】
中央粒度(d50)とは、試料の50%がそれより小さい粒度を有し、かつ試料の50%がそれより大きい粒度を有する粒度を指す。中央粒度(d50)、平均粒度(代表値)、d90、およびd95は、レーザ回折法によってHoriba LA 300計器を使用して測定した。乾燥粒子は分析のためにその計器に送られるが、ただし、基礎的シリカ粒子は水中の(湿式)スラリーとして送られた。
【0110】
盛込密度および充填密度のために、20グラムの試料を平らなゴム底を有する250mL容のメスシリンダー中に入れた。初期容量を記録し、それを使用して、使用された試料の質量でそれを割ることにより盛込密度を計算した。次いで該シリンダーを、カム上で60RPMで回転されるタップ密度装置上に置いた。そのカムは、一般的に15分間にわたり試料容量が一定になるまで、1秒間に1回5.715cmの距離で該シリンダーを持ち上げて落とすように設計されている。この最終容量を記録し、それを使用することで、使用された試料の質量でそれを割ることにより充填密度を計算した。
【0111】
アインレーナー研磨値は、シリカ粒子の硬度/研磨性の尺度であり、米国特許第6,616,916号明細書(参照によりその全体が本明細書で援用される)に詳細に記載されており、以下のように一般的に使用されるEinlehner AT-1000 Abraderを要する:(1)長網真鍮ワイヤスクリーンを秤量し、固定された時間長にわたり10%の水性シリカ懸濁液の作用にさらす、(2)次いで研磨の量を、長網ワイヤスクリーンから100000回転当たりに損失される真鍮のミリグラム数(mg損失/100000回転)として測定する。
【0112】
CPC適合性(%)は、以下のように測定した。27.00グラムの0.3%のCPC(塩化セチルピリジニウム)溶液を、試験されるべきシリカの3.00g試料に添加した。そのシリカは、105℃~150℃で2%以下の含水量にまで事前に乾燥され、該試料のpHは、その5%のpHが5.5~7.5の間であることを保証するために測定した。前記混合物を10分間の時間にわたり振り混ぜた。加速劣化試験は、試験片を140℃で1週間にわたり撹拌することを必要とする。撹拌が完了した後に、その試料を遠心分離し、5mLの上澄みを0.45μmのPTFE製のmilli-poreフィルタに導通させ、破棄した。次いで、追加の2.00gの上澄みを、同じ0.45μmのPTFE製のmilli-poreフィルタに導通させ、その後に38.00gの蒸留水を収容するバイアルに添加した。混合後に、該試料のアリコートをキュベット(メチルメタクリレート)中に入れ、紫外線吸収を268nmで測定した。ブランクとして水を使用した。CPC適合性(%)は、上記方法によるが、シリカを添加せずに調製したCPC標準溶液の吸収に対する試料の吸収のパーセンテージとして表現することにより測定された。
【0113】
第一スズ適合性(%)は、以下のように測定した。431.11gの70%ソルビトール、63.62gの脱酸素化された脱イオン水、2.27gの塩化第一スズ二水和物、および3.00gのグルコン酸ナトリウムを含有するストック溶液を調製した。34.00gのストック溶液を、6.00gの試験されるべきシリカ試料を収容する50mL容の遠心分離チューブに加えた。その遠心分離チューブを、5RPMの回転ホイール上に置き、40℃で1週間にわたりエージングした。エージング後に、該遠心分離チューブを、12000RPMで10分間にわたり遠心分離し、上澄み中の第一スズ濃度を、ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)により測定した。第一スズ適合性は、試料の第一スズ濃度を、同じ方法によるがシリカを添加せずに調製された溶液の第一スズ濃度のパーセンテージとして表現することにより測定された。
【0114】
吸油量値は、ASTM D281に記載される練り合わせ法にしたがってアマニ油を使用して測定した(100gの粒子当たりに吸収される油のcc)。一般的に、より高い吸油量水準は、大きな細孔の多孔性をより高い水準で有する(より高いストラクチャーとも記載される)粒子を示す。
【0115】
吸水量値は、C.W.Brabender Instruments,Inc.社製のAbsorptometer“C”トルクレオメーターで測定された。ほぼ1/3カップのシリカ試料を、そのAbsorptometerの混合チャンバーに移し、150RPMで混合した。次いで水を6mL/分の速度で加え、その粉体の混合に必要となるトルクを記録した。水が該粉体により吸収されると、該粉体は易流動性からペーストへと変化するので最大に達することとなる。最大トルクに達したときの添加された水の全体容量を、その際に100gの粉体により吸収され得る水の量に正規化した。該粉体は到着ベース(事前に乾燥させない)で使用したので、該粉体の遊離水分値を使用して、以下の等式
【数1】
により「水分較正された水AbC値」を計算した。
【0116】
前記Absorptometerは、ASTM D 2414の方法BおよびC、ならびにASTM D 3493に準じたカーボンブラックの吸油量(oil number)の測定のために一般的に使用される。
【0117】
本明細書に開示されるpH値(5%pH)は、脱イオン水中で5質量%の固体を含有する水性系においてpHメーターを使用して測定された。
【0118】
シリカ試料の325メッシュ残留物(質量%)は、44ミクロンまたは0.0017インチの開口部を有する米国標準篩い325番(ステンレス鋼ワイヤークロス)を使用して、10.0グラムの試料を0.1グラムの位まで1クォートのHamiltonミキサー(モデル番号30)のカップ中に量り取り、ほぼ170mLの蒸留水または脱イオン水を加え、そして該スラリーを少なくとも7分間にわたり撹拌することにより測定された。該混合物を、325メッシュのスクリーン上に移し、水をそのスクリーン上に直接的に20psigの圧力で、スプレーヘッドを該スクリーンから約4インチ~6インチに保って2分間にわたり吹きかけた。残った残留物を次いで、時計皿に移し、オーブンで150℃で15分間にわたり乾燥させ、その後に冷やして、分析天秤上で秤量した。
【0119】
PCR(ペリクル洗浄比)洗浄値は、「In Vitro Removal of Stain with Dentifrice」,G.K.Stookey,T.A.Burkhard and B.R.Schemerhorn,J.Dental Research,61,1236-9,1982に記載されるPCR試験のわずかに改良された方式により測定された。洗浄は、インビトロで改良型ペリクル洗浄比試験を使用することにより評価された。この試験は、Stookeyらにより記載された試験と同一であるが、以下の改良点を有する:(1)透明な人工的なペリクル被膜をボビンチップ(bovine chips)に適用してから染色被膜を適用したこと、(2)被膜の適用の間には放射熱ではなく溶解熱を使用したこと、(3)ブラシストロークの回数を800ストロークに減らしたこと、および(4)スラリー濃度を3部の水に対して1部の歯磨き剤にしたこと。該試験を少なくとも3回繰り返し、平均を計算することで、代表値のPCRを得た。
【0120】
放射性象牙質研磨(RDA)値は、国際標準化機構(ISO)11609:2010(E)のアネックスBにより測定された。該試験を少なくとも3回繰り返し、平均を計算することで、代表値のRDAを得た。
【0121】
抽出可能な第一スズイオンおよび抽出可能な亜鉛イオンの試験法を使用して、上澄み中の抽出可能な第一スズイオン濃度(ESCS)および上澄み中の抽出可能な亜鉛イオン濃度(EZCS)を、誘導結合プラズマ発光分光分析法を使用して測定した。本発明の目的のためには、本方法により測定されたどのスズも、第一スズイオン(Sn2+)の形であると考えられ、かつ本方法により測定されたどの亜鉛も、可溶性の亜鉛イオンの形であると考えられる。1点外部標準較正が、スズおよび亜鉛の両方に使用され、ガリウム内部標準が、試料および標準の両方に使用される。全歯磨き剤組成物における不溶性物(質量/質量)の割合が既知であれば、全組成物中の抽出可能な第一スズイオン濃度(ESCFC)および全組成物中の抽出可能な亜鉛イオン濃度(EZCFC)も測定される。
【0122】
1つのチューブ(または容器)全体の歯磨き剤を研究室用高速ミキサー(例えば、DAC250、Flacktek,Inc.社または同等物)を用いて1500rpmで120秒間にわたり均質化する。3部の水に対する1部の歯磨き剤のスラリー(質量基準)を、2.00gの均質化された試料および6.00gの脱イオン水を10個のガラスビーズ(4mm直径)を収容する遠心分離チューブ(全試料容量にとって適切なサイズを有する)に加えることにより調製した。該試料を、ボルテックスミキサーを用いて1200rpmで60分間にわたり混合する。得られたスラリーを、直ちに21000RCFで10分間にわたり遠心分離する。試料チューブを、遠心分離の完了の5分以内に遠心分離器から取り出す。上澄みを、15mL容のスクリューキャップ式の試料チューブ中に傾瀉する。液体/固体の界面の境界が明確でない試料については、あらゆるゼラチン質層または遷移層が遠心分離チューブ中に、存在するあらゆる遠心分離物と一緒に残留するように最大量の上澄みを傾瀉する。
【0123】
傾瀉された上澄みを、手で激しく振ることによりよく混ぜる。1アリコート(ほぼ0.5g、しかし±0.001gの範囲内まで正確に記録された質量)を、50mL容の円錐形のポリプロピレン製チューブに移す。このチューブに、2.5mLの濃硝酸(約70%(質量/質量))および2.5mLの濃塩酸(約35%(質量/質量))を添加する。該試料チューブを、ポリプロピレン時計皿で覆い、前記円錐形のポリプロピレン製チューブに適したサイズの予熱されたホットブロックダイジェスター(例えば、DigiPrep、SCP Science社)に90℃で30分間置いた。次いで時計皿を5mL未満の脱イオン水で3回すすぎ、すすぎ液を試料チューブに加える。内部標準として、2.00mLの100μg/mLのガリウム標準(例えばInorganic Ventures社から入手可能、または同等物)を前記チューブに加え、該チューブの全容量を、脱イオン水で50mLにする。
【0124】
スズおよび亜鉛の標準溶液を、内部標準として4.00ppmのガリウムを有する5%(容量/容量)濃硝酸および5%(容量/容量)濃塩酸の酸マトリックス中の市販のストック溶液(例えばInorganic Ventures社から入手可能、または同等物)を使用して、それぞれ10.0ppmで調製する。
【0125】
標準および試料を、クロスフローネブライザーおよびダブルパススプレーチャンバ(例えばGem Tipクロスフローネブライザー、Perkin Elmer,Inc.社、または同等物)、または強化型パラレルパスネブライザ(例えば、MiraMist、Glass Expansion社、または同等物)ネブライザおよびTraceyサイクロンスプレーチャンバ(Glass Expansion社から入手可能、または同等物)を装備したデュアルビュー式の誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えば、Optima 8300 ICP-OES、Perkin Elmer,Inc.社、または同等物)を使用して分析する。ICP-OESシステムは、最大のMg II(280nm)/Mg I(285nm)比について最適化される。スズは、アキシャルモードで189.9nmで測定される。亜鉛は、ラジアルモードで213.8nmで測定される。ガリウムは、アキシャルモードとラジアルモードの両方で417.2nmで測定される。スズおよび亜鉛のための定量化は、内部標準としてガリウムを使用して10ppmで作製された1点較正曲線を使用して行われる。
【0126】
ICP-OES試料分析から、上澄み中の抽出可能な第一スズイオン濃度(μg/g)は、
【数2】
から計算される。
【0127】
ICP-OES試料分析から、上澄み中の抽出可能な亜鉛イオン濃度(μg/g)は、
【数3】
から計算される。
【0128】
ESCSおよびEZCSは、有効数字3桁でμg/gの単位で報告される。
【0129】
歯磨き剤はしばしば、限定されるものではないが、シリカ、チタニア、マイカ、セチルアルコール、およびステアリルアルコール等の化合物を含む、水中に本質的に不溶性の粒子(「不溶性物」)を含有する。全歯磨き剤組成物における不溶性物の割合(質量/質量)が既知であれば、全組成物中の抽出可能な第一スズイオン濃度(質量/質量)(ppm)は、
【数4】
を介して計算され、かつ全歯磨き剤組成物における不溶性物の割合(質量/質量)が既知であれば、全組成物中の抽出可能な亜鉛イオン濃度(質量/質量)(ppm)は、
【数5】
を介して計算される。
【0130】
ESCFCおよびEZCFCは、有効数字3桁でppmの単位で報告される。
【0131】
抽出可能な第一スズイオン濃度(%)は、該組成物が製造された後すぐにESCFSを測定し、次いで該組成物を標準的な不透明な歯磨き剤用チューブ中で40℃で30日間にわたり貯蔵し、その後に再びESCFCを測定することにより測定される。
【0132】
実施例1~8
低いBET表面積を有する比較用シリカ粒子
表Iは、低いBET表面積を有する比較用シリカ材料の一定の特性をまとめたものである。低いBET表面積にかかわらず、これらのシリカ材料は、低いCPC適合性、高いアインレーナー研磨、高い総水銀圧入細孔容積、高いCTAB表面積、高い吸油量、高い325メッシュ残留物、および/または高い充填密度から選択される1つ以上の特性が不十分である。
【0133】
実施例9~17
Silversonの方法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
実施例9~17は低いBET表面積で製造されるが、実施例1~8において示された不十分な点の幾つかに改良を加えるために、ケイ酸塩の添加が完了した後にpHを下げるのに使用された酸添加速度を、バッチの表面積縮小工程の間に使用されたのと同じ速度で保った。これを行った結果として、小さな細孔に由来する多孔性の量は低減された。
【0134】
実施例9に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。198分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0135】
実施例10に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。198分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、そのシリカスラリーを、硫酸の添加により5.0(±0.2)へとpH調節し、その後に5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0136】
実施例11に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。168分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0137】
実施例12に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。138分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0138】
実施例13に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。108分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0139】
実施例14に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。78分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0140】
実施例15に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。63分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0141】
実施例16に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。198分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、1500μS未満の導電率になるまで洗浄し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0142】
実施例17に関しては、38Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを50RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。反応器の再循環導管に取り付けられたSilversonの高せん断インラインミキサーを、3600RPMで作動させた。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ8.1L/分および3.6L/分で添加した。48分後に、Silversonのインラインミキサーを停止させ、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、2.3L/分および1.2L/分に低下させた。この時間の間に、pHは9.7(±0.2)の範囲に保った。必要に応じて、酸速度は、所望のpHを維持するように調節した。198分(全体)が経過した後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を1.2L/分で継続的に流してpHを5に調節した。次いで、そのバッチをpH5.0(±0.2)で20分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、その後に5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0143】
表IIは、実施例9~17で製造されたシリカ粒子の一定の特性をまとめたものである。実施例9~17で製造されたシリカの幾つかでは、改善された第一スズ適合性値(実施例9~11および16)が得られたが、これらの試料についてのアインレーナー研磨値および充填密度は、許容できないほど高かった。例えば、アインレーナー値が高すぎる場合、一般的に25mg損失/100000回転より大きい場合に、該シリカ粒子は、象牙質とシリカ粒子および歯磨き剤/歯用ペースト配合物の両者の製造に使用される加工装置とに対して非常に研磨性が高い。SEM像の調査により、大きな粒子と小さな粒子の両方の範囲を有する広い粒度分布と、非球形粒子形態とが裏付けられた。実施例9~17に関しては、代表的なSEM像は、図3(実施例10)および図4(実施例15)として示される。
【0144】
実施例18~22
連続的ループ型反応器法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
これらの実施例においては、連続的ループ型反応器法(例えば、米国特許第8,945,517号明細書および同第8,609,068号明細書を参照)を使用して基礎的シリカ粒子を製造し、それに続いて該基礎的シリカ粒子の引き続いての表面積縮小を行うことで、BET表面積を所望の範囲で有するシリカ粒子を製造した。ループ型反応器法を使用することで、上記の実施例よりも球形の形状を有し、かつより狭い粒度分布(例えば、最終シリカ生成物において325メッシュ残留物がより少ない)を有する基礎的シリカ粒子が製造された。
【0145】
実施例18Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を95℃に加熱した。95℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.50L/分および0.78L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで300Lのシリカスラリーを回収した。
【0146】
実施例18Bにおいては、表面積が縮小した。実施例18Aからの基礎的シリカ粒子の300Lのスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.87L/分および1.0L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから30分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.00L/分および0.60L/分に調節した。45分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.60L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0147】
実施例19Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を95℃に加熱した。95℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0148】
実施例19Bにおいては、表面積が縮小した。実施例19Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。同時添加を開始してから15分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で15分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0149】
実施例20Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を95℃に加熱した。95℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0150】
実施例20Bにおいては、表面積が縮小した。実施例20Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ3.11L/分および1.50L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから15分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分に調節した。30分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.60L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で15分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0151】
実施例21Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を95℃に加熱した。95℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0152】
実施例21Bにおいては、表面積が縮小した。実施例21Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ3.11L/分および1.50L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから30分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分に調節した。45分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.60L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で15分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0153】
実施例22Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を95℃に加熱した。95℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0154】
実施例22Bにおいては、表面積が縮小した。実施例22Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ3.11L/分および1.50L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから45分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分に調節した。60分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.60L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で15分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0155】
表IIIは、実施例18~22で製造されたシリカ粒子の一定の特性をまとめたものである。実施例18B~22Bに関しては充填密度、アインレーナー研磨、325メッシュ残留物、および粒度は、実施例9~17の場合よりも低減され、許容可能な第一スズ適合性、CPC適合性、およびBET表面積は十分に維持された。興味深いことに、総水銀圧入細孔容積は、0.6cc/g~0.7cc/gの範囲内であった。SEM像の調査により、狭い粒度分布と、球形粒子形態とが裏付けられた。実施例18~22に関して、代表的なSEM像は、図5(実施例19B)および図6(実施例22B)として示される。
【0156】
実施例23~25
連続的ループ型反応器法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
実施例18~22と同様に、これらの実施例は、連続的ループ型反応器法を利用して、基礎的シリカ粒子を製造し、それに続いて該基礎的シリカ粒子の引き続いての表面積縮小を行うことで、BET表面積を所望の範囲で有するシリカ粒子を製造した。
【0157】
実施例23Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0158】
実施例23Bにおいては、表面積が縮小した。実施例23Aからの500Lのシリカスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ3.11L/分および1.5L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから60分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分に調節した。75分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0159】
実施例24Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を50℃に加熱した。50℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0160】
実施例24Bにおいては、表面積が縮小した。実施例24Aからの500Lのシリカスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ3.11L/分および1.5L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから60分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分に調節した。90分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0161】
実施例25Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0162】
実施例25Bにおいては、表面積が縮小した。実施例25Aからの500Lのシリカスラリーを回分式反応器に加え、それを80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を、該反応器に9.5(±0.2)のpHに達するまで加えた。pH9.5(±0.2)に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分の速度で添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。180分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0163】
表IVは、実施例23~25で製造されたシリカ粒子の一定の特性をまとめたものである。実施例18B~22Bと比べて、実施例23B~25Bは、より高い総水銀圧入細孔容積およびより低い充填密度を有していた。さらに、実施例23B~25Bのそれぞれは、優れた第一スズ適合性およびCPC適合性を有していた。また、表IVに示されるように、302m2/gから0.6m2/gへの(実施例23A~23B)、および280m2/gから1.3m2/gへの(実施例24A~24B)、かなりの量の表面積縮小が明らかである。表面積縮小工程において、実施例23B~25Bについての平均シリカ添加速度は、1分間当たり0.36質量%~0.66質量%の範囲であり、最大シリカ添加速度は、1分間当たり0.50質量%~0.92質量%の範囲であった。SEM像の調査により、狭い粒度分布と、球形粒子形態とが裏付けられた。実施例23~25に関して、代表的なSEM像は、図7(実施例25B)として示される。
【0164】
実施例26~30
連続的ループ型反応器法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
実施例26~30は、実施例23~25と同様にして行われた。実施例26Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0165】
実施例26Bにおいては、表面積が縮小した。実施例26Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーおよび65Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を回分式反応器に加え、それらを、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ3.11L/分および1.4L/分の速度で添加した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから60分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)の速度を、それぞれ1.66L/分および0.80L/分に調節した。75分の全時間後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0166】
実施例27Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0167】
実施例27Bにおいては、表面積が縮小した。実施例27Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーおよび65Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を回分式反応器に加え、それらを、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.66L/分および0.8L/分の速度で添加した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから188分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0168】
実施例28Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0169】
実施例28Bにおいては、表面積が縮小した。実施例28Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーおよび65Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を回分式反応器に加え、それらを、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.66L/分および0.8L/分の速度で添加した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから161分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0170】
実施例29Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0171】
実施例29Bにおいては、表面積が縮小した。実施例29Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーおよび65Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を回分式反応器に加え、それらを、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.66L/分および0.8L/分の速度で添加した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから150分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0172】
実施例30Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループ型反応器に加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を60℃に加熱した。60℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.70L/分および0.87L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。20分間の運転後に、回収されたシリカを破棄し(パージ用材料)、次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0173】
実施例30Bにおいては、表面積が縮小した。実施例30Aからの基礎的シリカ粒子の500Lのスラリーおよび65Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)を回分式反応器に加え、それらを、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を、それぞれ1.66L/分および0.8L/分の速度で添加した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから135分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を0.80L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0174】
表Vは、実施例26~30で製造されたシリカ粒子の一定の特性をまとめたものである。実施例23B~25Bと同様に、実施例27B~30Bにより、BET表面積、充填密度、アインレーナー研磨、第一スズ適合性、および/またはCPC適合性の予想外の有益な組み合わせが裏付けられる。また、表Vに示されるように、232m2/gから8m2/gへの(実施例26A~26B)、かなりの量の表面積縮小が明らかである。表面積縮小工程において、実施例27B~30Bについての平均シリカ添加速度は、1分間当たりほぼ0.37質量%であり、最大シリカ添加速度は、1分間当たり0.50質量%であった。SEM像の調査により、狭い粒度分布と、球形粒子形態とが裏付けられた。実施例26~30に関して、代表的なSEM像は、図8(実施例28B)として示される。
【0175】
実施例31~33
ビーズミル粉砕法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
実施例31~33においては、前駆体の基礎的シリカ粒子を含有するバッチを反応器中で製造し、それに続いてビーズミル粉砕を行い、基礎的シリカ粒子を製造し、次いで該基礎的シリカ粒子の引き続いての表面積縮小を行うことで、所望の範囲のBET表面積を有するが、その他の所望の特性が不十分なシリカ粒子が製造された。
【0176】
実施例31Aに関しては、69Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を同時に、それぞれ14.7L/分および6.5L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を6.5L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で20分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスにおいて脱水し、325メッシュ残留物が0%となり、かつ中央粒度が10μm未満となるまでビーズミル粉砕した。
【0177】
次に実施例31Bにおいては、表面積が縮小した。45Lのビーズミル粉砕された中間シリカスラリー(31%固体)および180Lの水から出発して、それらを反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ4.5L/分および2.2L/分で30分間にわたり添加した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。30分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)の流れを、それぞれ4.2L/分および2.0L/分にまで低下させた。60分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ3.6L/分および1.7L/分にまで低下させた。90分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ3.1L/分および1.5L/分にまで低下させた。120分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ2.3L/分および1.2L/分にまで低下させた。150分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を1.2L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで、次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0178】
実施例32Aに関しては、8Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および89Lの脱イオン水を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ12.5L/分および5.0L/分で48分間にわたり添加した。48分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を5.0L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で15分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、325メッシュ残留物が0%となり、かつ中央粒度が10μm未満となるまでビーズミル粉砕した。
【0179】
実施例32Bにおいては、表面積が縮小した。実施例32Aの45Lのビーズミル粉砕された中間シリカスラリー(31%固体)および180Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ4.2L/分および2.0L/分で30分間にわたり添加した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。30分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)の流れを、それぞれ3.6L/分および1.7L/分にまで低下させた。60分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ3.1L/分および1.5L/分にまで低下させた。90分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ2.3L/分および1.2L/分にまで低下させた。135分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を1.2L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0180】
実施例33Aに関しては、50Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および162Lの脱イオン水を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ11.6L/分および4.7L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を4.7L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で20分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、325メッシュ残留物が0%となり、かつ中央粒度が10μm未満となるまでビーズミル粉砕した。
【0181】
実施例33Bにおいては、表面積が縮小した。実施例33Aの45Lのビーズミル粉砕された中間シリカスラリー(31%固体)および180Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ4.5L/分および2.2L/分で30分間にわたり添加した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。30分後に、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)の流れを、それぞれ4.2L/分および2.0L/分にまで低下させた。60分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ3.6L/分および1.7L/分にまで低下させた。90分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ3.1L/分および1.5L/分にまで低下させた。120分後に、ケイ酸ナトリウムおよび硫酸の流れを、それぞれ2.3L/分および1.2L/分にまで低下させた。165分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を1.2L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0182】
表VIは、実施例31~33で製造されたシリカ材料の一定の特性をまとめたものである。実施例31Bのシリカ粒子は、改善された粒度分布(より低い325メッシュ残留物、およびより低いアインレーナー研磨)、僅かに低減された第一スズ適合性、およびCPC適合性を有するが、充填密度においてかなりの増大を伴った。実施例32Aおよび32Bにおいては、表面積縮小工程は、所望のシリカ粒子をもたらさなかった。それというのも、該表面積縮小は、素早く起こりすぎ(例えば、平均シリカ添加速度は、1分間当たり0.97質量%であり、最大シリカ添加速度は、1分間当たり2.46質量%であった)、こうして高いBET表面積および低い第一スズ適合性により示される新たな粒子が形成されたからである。実施例33Aおよび33Bにおいては、表面積縮小工程は、所望のシリカ粒子をもたらさなかった。それというのも、表面積縮小が大幅に起こりすぎたため、高い充填密度および高いアインレーナー研磨値がもたらされたからである。
【0183】
実施例34~39
ビーズミル粉砕法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
実施例34~39は、実施例32~33と同様にして行われた。実施例34Aに関しては、29Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および126Lの脱イオン水を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ12.1L/分および4.8L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を4.8L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で20分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、325メッシュ残留物が0%となり、かつ中央粒度が10μm未満となるまでビーズミル粉砕した。
【0184】
実施例34Bにおいては、表面積が縮小した。実施例34Aの100Lのビーズミル粉砕された基礎的シリカ粒子および380Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分で220分間にわたり添加した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。220分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を1.0L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、その表面積縮小シリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0185】
実施例35Aに関しては、8Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および89Lの脱イオン水を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ12.5L/分および5.0L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を5.0L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で20分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、325メッシュ残留物が0%となり、かつ中央粒度が10μm未満となるまでビーズミル粉砕した。
【0186】
実施例35Bにおいては、表面積が縮小した。実施例35Aの100Lのビーズミル粉砕された基礎的シリカ粒子および380Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分で170分間にわたり添加した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。170分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を1.0L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、その表面積縮小シリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0187】
実施例36Aに関しては、50Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および162Lの脱イオン水を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ11.6L/分および4.7L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を5.0L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で20分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、5μmの目標粒度となるまでビーズミル粉砕した。
【0188】
実施例36Bにおいては、表面積が縮小した。実施例36Aの100Lのビーズミル粉砕された基礎的シリカ粒子スラリー(31%固体)および380Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分で210分間にわたり添加した。210分後に、ケイ酸塩(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)の速度を、それぞれ1.15L/分および0.5L/分に調節した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。282分(全体)後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を0.5L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、その表面積縮小シリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0189】
実施例37Bにおいては、表面積が縮小した。実施例36Aの100Lのビーズミル粉砕された基礎的シリカ粒子スラリー(31%固体)および380Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分で165分間にわたり添加した。165分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を1.0L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、その表面積縮小シリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0190】
実施例38Aに関しては、71.5Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)、162Lの脱イオン水、および3.6kgの硫酸ナトリウムを反応器に加え、それを65RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ10.9L/分および4.6L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を4.6L/分で継続的に流してpHをpH6.0(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で15分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、5μmの目標粒度となるまでビーズミル粉砕した。
【0191】
実施例38Bにおいては、表面積が縮小した。実施例38Aの100Lのビーズミル粉砕された基礎的シリカ粒子スラリー(31%固体)および380Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分で165分間にわたり添加した。165分後に、ケイ酸塩(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)の速度を、それぞれ1.15L/分および0.5L/分に調節した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。210分(全体)後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を0.5L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、その表面積縮小シリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0192】
実施例39Aに関しては、50Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および162Lの脱イオン水を反応器に加え、それを60RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら85℃に加熱した。85℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、20.0%)および硫酸(17.1%)を同時に、それぞれ11.6L/分および4.7L/分で47分間にわたり添加した。47分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(17.1%)を5.0L/分で継続的に流してpHをpH5.8(±0.2)に調節した。次いで該バッチを、pH5.8(±0.2)に維持しながら93℃で20分間にわたり消化させた。次いで該バッチをフィルタープレスによって脱水し、5μmの目標粒度となるまでビーズミル粉砕した。
【0193】
実施例39Bにおいては、表面積が縮小した。実施例39Aの100Lのビーズミル粉砕された基礎的シリカ粒子スラリー(31%固体)および380Lの水を反応器に加え、80RPMで撹拌しつつ80L/分で再循環させながら95℃に加熱した。95℃に達したら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)を添加して、反応混合物のpHを9.75(±0.2)に至らしめた。所望のpHになったら、ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分で60分間にわたり添加した。60分後に、ケイ酸塩(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)の速度を、それぞれ1.15L/分および0.5L/分に調節した。必要に応じて、酸速度は、該バッチのpHが9.75(±0.2)を維持するように調節した。360分(全体)後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸を0.5L/分で継続的に流してpHを6.0(±0.2)にまで低下させた。所望のpHに達したら、該バッチを、pH6.0(±0.2)に維持しながら20分間にわたり消化させた。次いで該バッチを濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。次いで、その表面積縮小シリカスラリーのpHを、硫酸により5.0(±0.2)へと調節し、5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0194】
表VIIは、実施例34~39で製造されたシリカ粒子の一定の特性をまとめたものである。予想外にも、実施例34B~35Bにより、BET表面積、充填密度、アインレーナー研磨、総水銀圧入細孔容積、第一スズ適合性、および/またはCPC適合性の有益な組み合わせが裏付けられた。さらに、これらのシリカは、より低い中央粒度、および1%未満の325メッシュ残留物を有していた。また、表VIIに示されるように、74m2/gから4m2/gへの(実施例35A~35B)、かなりの量の表面積縮小が明らかである。実施例34B(図9~10)および実施例35B(図11~12)についてのSEM像の調査により、適切な開放構造および低い表面積を有し、過度な緻密化を有さず、実施例35Bの場合に実施例34Bより全体として改善された粒度分布を有することが裏付けられた。
【0195】
実施例34B~35Bと同様に、実施例36B~39Bにより、BET表面積、充填密度、アインレーナー研磨、総水銀圧入細孔容積、第一スズ適合性、および/またはCPC適合性、ならびにより低い中央粒度および1%未満の325メッシュ残留物の予想外の有益な組み合わせが裏付けられた。また、表VIIに示されるように、31m2/gから2m2/gへの(実施例36A~36B)、および29m2/gから3m2/gへの(実施例39A~39B)、かなりの量の表面積縮小が明らかである。表面積縮小工程において、実施例34B~39Bについての平均シリカ添加速度は、1分間当たり0.35質量%~0.48質量%の範囲であり、最大シリカ添加速度は、1分間当たり0.64質量%であった。SEM像の調査により、適切な開放構造および低い表面積を有し、過度な緻密化を有さず(例えば、低い充填密度)、狭い粒度分布を有することが裏付けられた。実施例36~39に関して、代表的なSEM像は、図13~14(実施例36B)として示される。
【0196】
表VIIIは、シリカの例を含有する歯磨き剤組成物(実施例A、本明細書に記載される水性歯磨き剤)における40℃で30日後のRDA、PCR、ならびに可溶性スズおよびフッ化物の%をまとめたものである。表VIIIにおけるデータは、該歯磨き剤を40℃の一定温度で30日間にわたり貯蔵した後に収集された。30日後に、RDA、PCR、可溶性スズイオン濃度、および可溶性フッ化物イオン濃度を、本明細書に記載される方法により測定した。40℃で30日後の可溶性スズの%は、可溶性スズの濃度(測定値)を可溶性スズの理論濃度(894ppm)により除算することによって測定され、40℃で30日後の可溶性フッ化物の%は、30日後の可溶性フッ化物の濃度(測定値)を理論的な可溶性フッ化物(1100ppm)により除算することによって測定された。
【0197】
実施例40~43
連続的ループ型反応器法により低いBET表面積で製造されたシリカ粒子
実施例40~43は、実施例23~25と同様にして行われた。実施例40Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループに加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を65℃に加熱した。65℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.55L/分および1.30L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0198】
実施例40Bにおいては、表面積が縮小した。該シリカスラリーを回分式反応器中で、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。次いで、65Lのケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)を回分式反応器に加え、それに続いてケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分の速度で同時に添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから150分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を0.85L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0199】
実施例41Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループに加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を65℃に加熱した。次いでその連続的ループ型反応器を65℃に加熱した。65℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.55L/分および1.30L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0200】
実施例41Bにおいては、表面積が縮小した。該シリカスラリーを回分式反応器中で、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。次いで、65Lのケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)を回分式反応器に加え、それに続いてケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および1.0L/分の速度で同時に添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから165分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を0.85L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0201】
実施例42Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループに加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を65℃に加熱した。65℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(3.32MR、13.0%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.55L/分および1.07L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0202】
実施例42Bについては、表面積が縮小した。該シリカスラリーを回分式反応器中で、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。次いで、65Lのケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)を回分式反応器に加え、それに続いてケイ酸ナトリウム(3.32MR、13.0%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および0.83L/分の速度で同時に添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから165分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を0.83L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0203】
実施例43Aに関しては、前もって作られたほぼ10%の固体を有するほぼ15Lのシリカスラリーを再循環ループに加え、3600RPMで作動するSilversonの高せん断インラインミキサーを用いて80L/分で循環させた。次いでその連続的ループ型反応器を65℃に加熱した。65℃に達したら、次いでケイ酸ナトリウム(3.32MR、13.0%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.55L/分および1.07L/分の速度で連続的に添加した。必要に応じて、酸速度は、7.5の反応pHを維持するように調節した。次いで500Lのシリカスラリーを回収した。
【0204】
実施例43Bについては、表面積が縮小した。該シリカスラリーを回分式反応器中で、80RPMで撹拌しながら95℃に加熱した。次いで、65Lのケイ酸ナトリウム(2.55MR、13.3%)を回分式反応器に加え、それに続いてケイ酸ナトリウム(3.32MR、13.0%)および硫酸(11.4%)を、それぞれ2.3L/分および0.83L/分の速度で同時に添加した。必要に応じて、酸速度は、pH9.5(±0.2)を維持するように調節した。ケイ酸塩および酸の同時添加を開始してから175分後に、ケイ酸ナトリウムの流れを止め、硫酸(11.4%)を0.83L/分で継続的に添加してpHを7に調節した。次いで、そのバッチをpH7で10分間にわたり消化させ、その後に濾過して、洗浄することで1500μS未満の導電率にした。乾燥前に、そのシリカスラリーのpHを、硫酸により5へと調節し、そして5%の目標水分になるまで噴霧乾燥させた。
【0205】
表IXは、実施例40~43で製造されたシリカ粒子の一定の特性をまとめたものである。実施例23B~25Bおよび実施例27B~30Bと同様に、実施例40B~43Bにより、BET表面積、充填密度、アインレーナー研磨、第一スズ適合性、および細孔容積の予想外の有益な組み合わせが裏付けられる。シリカ粒子の製造のためにループ型反応器および表面積縮小法が使用されたため、実施例40B~43Bは、狭い粒度分布および球形粒子形態の両方を有すると予想される。
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】
【表7】
【0211】
【表8】
【0212】
【表9】
【0213】
【表10】
【0214】
【表11】
【0215】
本発明は、先に多くの態様および具体的な実施例を参照して説明されている。先の詳細な説明に鑑みて、当業者には多くの変形態様が想起されよう。そのようなすべての明らかな変形形態も、添付の特許請求の範囲に記載の範囲のすべての意図される範囲内である。本発明のその他の態様は、限定されるものではないが、以下の態様を含み得る(実施形態は、「含む」ものとして記載されているが、その一方で、それは「から本質的になる」または「からなる」であり得る)。
【0216】
態様1. シリカ粒子であって:
(i)約0.1m2/g~約7m2/gの範囲内のBET表面積、
(ii)約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内の充填密度、
(iii)約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、
(iv)約0.7cc/g~約1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および
(v)約70%~約99%の範囲内の第一スズ適合性
を特徴とする、シリカ粒子。
【0217】
態様2. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切なBET表面積、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約0.5m2/g~約3.5m2/g、約1.5m2/g~約5m2/g、もしくは約1.5m2/g~約7m2/gのBET表面積を特徴とする、態様1に規定されるシリカ粒子。
【0218】
態様3. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な充填密度、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約45lb/ft3~約55lb/ft3、もしくは約40lb/ft3~約50lb/ft3の充填密度を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0219】
態様4. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切なアインレーナー研磨値、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約10mg損失/100000回転~約20mg損失/100000回転、もしくは約15mg損失/100000回転~約22mg損失/100000回転のアインレーナー研磨値を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0220】
態様5. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な総水銀圧入細孔容積、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約0.75cc/g~約0.9cc/g、もしくは約0.9cc/g~約1.1cc/gの総水銀圧入細孔容積を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0221】
態様6. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な第一スズ適合性、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約70%~約98%、もしくは約70%~約95%の第一スズ適合性を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0222】
態様7. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切なCPC適合性、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約70%~約99%、もしくは約75%~約95%のCPC適合性を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0223】
態様8. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な中央粒度(d50)および/もしくは平均粒度(代表値)、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約1μm~約20μm、約2μm~約12μm、もしくは約4μm~約10μmの中央粒度(d50)および/もしくは平均粒度(代表値)を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0224】
態様9. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な吸水量、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約50cc/100g~約130cc/100g、もしくは約65cc/100g~約110cc/100gの吸水量を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0225】
態様10. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な吸油量、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約25cc/100g~約100cc/100g、もしくは約27cc/100g~約60cc/100gの吸油量を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0226】
態様11. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切なCTAB表面積、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば0m2/g~約10m2/g、もしくは約0m2/g~約5m2/gのCTAB表面積を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0227】
態様12. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切なpH、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約5.5~約9、もしくは約6.2~約7.8のpHを特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0228】
態様13. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な325メッシュ残留物、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約1.5質量%以下、約0.6質量%以下、もしくは約0.3質量%以下の325メッシュ残留物を特徴とする、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0229】
態様14. 前記シリカ粒子は非晶質であるか、または前記シリカ粒子は合成物であるか、または前記シリカ粒子は、非晶質および合成物の両方である、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0230】
態様15. 前記シリカ粒子は沈降シリカ粒子である、上記態様のいずれか1つに規定されるシリカ粒子。
【0231】
態様16. 表面積縮小シリカ粒子の製造方法であって:
(a)水、硫酸ナトリウム、ならびに
(i)約25lb/ft3~約50lb/ft3の範囲内の基礎的充填密度、
(ii)約1μm~約10μmの範囲内の基礎的中央粒度(d50)、
(iii)約1μm~約20μmの範囲内の基礎的d95粒度、および
(iv)約0.8cc/g~約3cc/gの範囲内の基礎的総水銀圧入細孔容積
を特徴とする基礎的シリカ粒子を含む混合物を準備する工程と、
(b)前記混合物にアルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸を表面積縮小条件下で添加する工程であって、該アルカリ金属ケイ酸塩を、前記混合物に1分間当たり約0.2質量%~約0.8質量%の範囲内の平均シリカ添加速度で、かつ/または1分間当たり約1.9質量%未満の最大シリカ添加速度で添加する工程と、
(c)前記アルカリ金属ケイ酸塩の添加を止め、そして前記混合物への鉱酸の添加を、工程(b)における鉱酸の添加の平均速度より75%以下だけ大きい平均添加速度で継続することで、該混合物のpHを約5~約8.5の範囲内に調節する工程と、
を含み、これにより
(i)約0.1m2/g~約7m2/gの範囲内のBET表面積、
(ii)約35lb/ft3~約55lb/ft3の範囲内の充填密度、
(iii)約8mg損失/100000回転~約25mg損失/100000回転の範囲内のアインレーナー研磨値、
(iv)約0.7cc/g~約1.2cc/gの範囲内の総水銀圧入細孔容積、および
(v)約70%~約99%の範囲内の第一スズ適合性
を特徴とする表面積縮小シリカ粒子を製造する、方法。
【0232】
態様17. 工程(a)において、前記基礎的シリカ粒子は、非凝集形で存在する、態様16に規定される方法。
【0233】
態様18. 工程(b)において、前記アルカリ金属ケイ酸塩は、1分間当たり約0.25質量%~約0.7質量%(または約0.3質量%~約0.55質量%)の範囲内の平均シリカ添加速度で、かつ/または1分間当たり約1.5質量%(または約1質量%未満)の最大シリカ添加速度で、前記混合物に添加される、態様17に規定される方法。
【0234】
態様19. 工程(b)において、前記表面積縮小シリカ粒子は、前記基礎的シリカ粒子のBET表面積よりも、本明細書に開示される任意の量だけ小さい、例えば少なくとも約50%だけ小さい、少なくとも約75%だけ小さい、または少なくとも約95%だけ小さいBET表面積を有する、態様17または18に規定される方法。
【0235】
態様20. 工程(b)の表面積縮小条件は、約75分~約5時間、または約75分~約4時間の範囲内の期間を含む、態様17~19のいずれか1つに規定される方法。
【0236】
態様21. 工程(b)の表面積縮小条件は、約9.2~約10.2、または約9.3~約10の範囲内のpHを含む、態様17~20のいずれか1つに規定される方法。
【0237】
態様22. 工程(b)の表面積縮小条件は、約90℃~約100℃の範囲内の温度を含む、態様17~21のいずれか1つに規定される方法。
【0238】
態様23. 工程(b)において、前記アルカリ金属ケイ酸塩および鉱酸は、前記混合物に任意の順序で、例えば同時に、連続的に、交互に、ならびにそれらの組み合わせにおいて添加される、態様17~22のいずれか1つに規定される方法。
【0239】
態様24. 工程(b)において、前記アルカリ金属ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、および/またはケイ酸カリウムを含む、態様17~23のいずれか1つに規定される方法。
【0240】
態様25. 工程(b)において、前記鉱酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、またはそれらの組み合わせを含む、態様17~24のいずれか1つに規定される方法。
【0241】
態様26. 工程(c)の後に濾過して、前記表面積縮小シリカ粒子を単離する工程をさらに含む、態様17~25のいずれか1つに規定される方法。
【0242】
態様27. 工程(c)の後に、前記表面積縮小シリカ粒子を洗浄する工程をさらに含む、態様17~26のいずれか1つに規定される方法。
【0243】
態様28. 工程(c)の後に、前記表面積縮小シリカ粒子を乾燥(例えば、噴霧乾燥)させる工程をさらに含む、態様17~27のいずれか1つに規定される方法。
【0244】
態様29. 工程(a)における混合物は、前記基礎的シリカ粒子を連続的ループ型反応器中で形成させることを含む方法により製造される、態様17~28のいずれか1つに規定される方法。
【0245】
態様30. 工程(a)における混合物は、沈降シリカ粒子のスラリーを基礎的中央粒度にまでビーズミル粉砕することにより前記基礎的シリカ粒子を形成させることを含む方法により製造される、態様17~28のいずれか1つに規定される方法。
【0246】
態様31. 前記基礎的シリカ粒子はさらに、任意の適切な基礎的充填密度、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約25lb/ft3~約45lb/ft3、もしくは約30lb/ft3~約45lb/ft3の基礎的充填密度を特徴とする、態様17~30のいずれか1つに規定される方法。
【0247】
態様32. 前記基礎的シリカ粒子はさらに、任意の適切な基礎的中央粒度(d50)および/もしくは基礎的平均粒度(代表値)、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約2μm~約8μm、もしくは約3μm~約6μmの基礎的中央粒度(d50)および/もしくは基礎的平均粒度(代表値)を特徴とする、態様17~31のいずれか1つに規定される方法。
【0248】
態様33. 前記基礎的シリカ粒子はさらに、任意の適切なd95粒度、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約1μm~約15μm、もしくは約5μm~約15μmのd95粒度を特徴とする、態様17~32のいずれか1つに規定される方法。
【0249】
態様34. 前記基礎的シリカ粒子はさらに、任意の適切な基礎的BET表面積、または本明細書に開示される範囲内、例えば約100m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約350m2/g、もしくは約25m2/g~約100m2/gの基礎的BET表面積を特徴とする、態様17~33のいずれか1つに規定される方法。
【0250】
態様35. 前記シリカ粒子はさらに、任意の適切な基礎的総水銀圧入細孔容積、または本明細書に開示される任意の範囲内、例えば約0.8cc/g~約2.5cc/g、もしくは約0.9cc/g~約2cc/gの基礎的総水銀圧入細孔容積を特徴とする、態様17~34のいずれか1つに規定される方法。
【0251】
態様36. 態様17~35のいずれか1つに規定される方法により製造される表面積縮小シリカ粒子。
図1
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