(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】信号ドミナンスのためのデジタルDASの自動構成
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20220419BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20220419BHJP
H04W 52/18 20090101ALI20220419BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W88/08
H04W52/18
(21)【出願番号】P 2019546020
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018054409
(87)【国際公開番号】W WO2018153998
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-12-24
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519194423
【氏名又は名称】メイベン ワイヤレス スウェーデン アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル ルイス
【審査官】長谷川 篤男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0071112(US,A1)
【文献】国際公開第97/029608(WO,A1)
【文献】特表2014-517557(JP,A)
【文献】特表2013-541875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニット(201)で受信された少なくとも1つの基準信号を、前記DASの少なくとも1つのデジタルリモートユニット(204)に、ルーティングするDAS(デジタル分散アンテナシステム)(200)によって実行される方法であって、
前記方法は、
前記受信した基準信号が送信される通信システムのタイプを識別するステップ(S100)と、
受信した基準信号の強度を測定するステップ(S101)と、
前記少なくとも1つのデジタルリモートユニット(204)によりサービスされるカバレッジエリア(234)に位置するワイヤレス通信デバイス(224)に送信される際に前記受信した基準信号が有するべき要求された強度を決定するステップ(S102)であって、前記受信した基準信号が有するべき前記要求された強度を決定する該ステップが、通信システムの前記識別されたタイプによって規定されるように決定される、ステップ(S102)と、
前記受信した基準信号が、前記受信した基準信号の
前記強度の情報が前記少なくとも1つのデジタル
リモートユニット(204)から送信されるとき、前記要求された強度を達成するように、前記少なくとも1つのデジタルリモートユニットのアンテナポート(204)にルーティングされる際に経由する前記DAS(200)のルーティングパスの利得を調整するステップ(S103)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記受信された基準信号の前記強度を監視するステップ(S104)と、
前記監視された基準信号が、前記受信された基準信号の前記強度が変化したことを示す場合、さらに、前記ルーティングパスの利得を調整するステップ(S103)と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信した基準信号の前記測定された強度が、所定の範囲外である場合、DASスーパーバイザーに警告するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ルーティングパスの前記利得の前記調整するステップ(S103)は、前記受信した基準信号が経由した前記ルーティングパスに配置された可変利得増幅器(240)の前記利得を調整することにより実行される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記基準信号の前記要求された強度を決定するステップ(S102)は、前記DASによりアクセス可能なデータベースから、前記要求された強度の事前に設定された値を取得するステップによって実行される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニット(201)で受信された少なくとも1つの基準信号を、前記DASの少なくとも1つのデジタルリモートユニット(204)に、ルーティングするように構成されたDAS(デジタル分散アンテナシステム)(200)であって、
前記DASは、
前記DASに、前記受信した基準信号が送信された通信システムのタイプを識別させ、
受信した基準信号の強度を測定させ、
前記少なくとも1つのデジタルリモートユニット(204)によりサービスされるカバレッジエリア(234)に位置するワイヤレス通信デバイス(224)に送信される際に、受信した基準信号が有するべき要求された強度を決定させ、ここで、前記受信した基準信号が有するべき前記要求された強度を決定することは、通信システムの前記識別されたタイプによって規定されるように決定されるものであり、
受信した基準信号の強度が前記少なくとも1つのデジタル
リモートユニット(204)からの送信時に要求された強度に達するように、受信した基準信号が、前記少なくとも1つのデジタルリモートユニット(204)のアンテナポートにルーティングされる、前記DAS(200)のルーティングパスの利得を調整させる
ように構成された少なくとも1つの処理ユニット(260)を備えることを特徴とする、DAS(200)。
【請求項7】
前記処理ユニット(260)は、
前記DASに、前記受信した前記基準信号の前記強度を監視させ、
監視された基準信号が、前記受信した前記基準信号の強度が変更されたことを示す場合、前記ルーティングパスの前記利得をさらに調整させる
ようにさらに構成されている、請求項6に記載のDAS(200)。
【請求項8】
前記処理ユニット(260)は、前記DASに、前記受信した基準信号の前記測定された強度が、事前定義された範囲外である場合に、DASスーパーバイザーに警告させるようにさらに構成されている、請求項6または7に記載のDAS(200)。
【請求項9】
前記処理ユニット(260)は、前記DASに、前記ルーティングパスの前記利得を調整する場合、前記受信した基準信号が経由した前記ルーティングパスに配置された可変利得アンプ(240)の前記利得を調整させるようにさらに構成されている、請求項6ないし8のいずれか1項に記載のDAS(200)。
【請求項10】
前記処理ユニット(260)は、前記DASに、前記基準信号の前記要求された強度を決定する場合、前記DASによりアクセス可能なデータベースから、前記要求された強度の事前に設定された値を取得させるようにさらに構成されている、請求項6ないし8のいずれか1項に記載のDAS(200)。
【請求項11】
コンピューター実行可能命令が、前記DAS(200)に含まれる処理ユニット(260)の上で実行されるとき、DAS(200)に、請求項1ないし5のいずれか1項に記載された方法を実行させるコンピューター実行可能命令を備える、コンピュータプログラム(261)。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを有するコンピュータ読取り可能メディア(262)を備えるコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散アンテナシステム(DAS)、および、DASの少なくとも1つのデジタル遠隔ユニットへのDASの少なくとも1つのデジタルマスタユニットによって受信された少なくとも一つの基準信号をルーティングするDASによって実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散アンテナシステム(DAS)は、直接、一般的な移動無線ネットワークから提供することができないエリア(例えば、地下鉄システムにおけるトンネル、または、建物複合体)に無線カバレッジを提供するための技術であり、単一DASは、多くの無線基地局で使用することができるので、複数の無線サービスのプロバイダが、カバレッジを提供する必要があるアプリケーションにおいて特に有利である。
【0003】
典型的なデジタルDASは、
図1に示されており、ヘッドエンド装置から構成されている。これは、デジタルマスタユニット(DMU)と呼ばれ、多数の無線基地局(RBS)10-13からダウンリンク信号を受信する。そして、それらを、1つまたは複数のルーティングユニット(RU)18を介して、複数のリモートノード19、20に、光ファイバー16、17上での搬送のために変換する。ここでは、リモートノードを、デジタルリモートユニット(DRU)と呼び、光信号を、スマートフォンやタブレットなど、ワイヤレス通信デバイス(WCD)21、22との間の送受信のために、DRU19、20によって駆動されるアンテナでブロードキャストできまる無線信号に変換するカバレッジエリアにある。各DRU19、20は、その接続されたアンテナからのアップリンク信号を受信し、DMU14、15に戻る、および、RBS10-13に進む、光ファイバ16、17を介した送信のためにそれらを変換する。
【0004】
現代のアクティブDASは、
図1に示されるように、常にではないが、通常、光ファイバ接続を介して、デジタルサンプルの形式で無線信号を搬送する。デジタルデータ伝送は、どの信号がどのDRUに送られるかをより細かく制御できる無線信号の柔軟なルーティングと配信を可能にする。
【0005】
基地局信号は、異なるキャリア周波数割り当てに対応するデジタルデータのフィルタリングされたストリームに変換され、アップリンク信号は、同様に、周波数の割当てにしたがってフィルタリングされ、基地局に送り返される。基地局インタフェースは、アナログ(例えば、無線周波数(RF)ダウンリンクおよびアップリンク信号)または、デジタル(ダウンリンクとアップリンク信号がデジタル形式でエンコードされている)であることができる。
【0006】
DASが正しく設定されている場合、それは、そこを通ってダウンリンクとアップリンク方向に、システムインストーラによって設定された各方向において、適切な利得を有する信号が転送される透明な「パイプ」として見える。
【0007】
DASインストールのコストの大部分は、DASのセットアップと委託に要求された工数から来ている。デジタルDASのために、主なタスクは、(DASのデジタルフィルタの中心周波数と帯域幅が適切に設定されているように)基地局によって使用されるキャリア周波数範囲を定義すること、および、カバレッジエリアのそれぞれにおいて、要求された信号レベルが達成されるように、正しい利得パラメータを設定することである。モバイルネットワークオペレーターによる周波数の再ファーミングが発生した場合、特定の技術への周波数範囲の割り当てが変更されるところ、たとえば、レガシーGSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)システムを、LTE(Long Term Evolution)システムに置き換える場合、この手作業を、さらに繰り返す必要があり、この間、DASは無線カバレッジを提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2013/071112号明細書
【文献】国際公開第1997/29608号
【0009】
[米国特許出願公開第2013/071112号明細書]
米国特許出願公開第2013/071112号明細書は、通信システム用の構成サブシステムを開示している。この構成サブシステムは、テスト信号発生器、電力測定デバイス、少なくとも1つの追加の電力測定デバイス、および、コントローラを備えている。このテスト信号発生器は、通信システムのコンポーネントに統合できる。このテスト信号発生器は、通信システムの信号パスにテスト信号を提供できる。電力測定デバイスと追加の電力測定デバイスは、それぞれ、通信システムのさまざまなコンポーネントに統合できる。電力測定デバイスと追加の電力測定デバイスは、それぞれ、信号パスにおける異なる測定ポイントで、テスト信号のパワーを測定できる。コントローラは、電力測定デバイスと追加の電力測定デバイスからの測定に基づいて、信号パスのパスゲインを調整することにより、通信システムを介して送信される信号を正規化できる。
[国際公開第1997/29608号]
国際公開第1997/29608号は、ケーブルテレビ・プラントでパーソナル通信システムを統合する方法および装置を開示している。無線アンテナデバイス(RAD)のセットが、ケーブル・プラントに接続されている。RADは、リモートユニットへの無線伝送のためにケーブル・プラントから受信した信号の周波数変換と電力制御を提供する。RADは、また、ケーブル・プラントへ、RADによって送信するために、リモートユニットから受信した無線信号の電力制御と周波数変換も提供する。標準の基地局と集中コントローラの機能に加えて、CATV基地局は、ケーブル・プラントのゲインの変動も補償しなければならない。ダウンストリーム電力制御は、効率を最大にするために、CDMA信号内に隠すことができるRAD基準信号によって規制されている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、この問題を解決する、あるいは少なくとも、軽減し、したがって、当技術分野において、改善された、1つ以上の基準信号を、DASを介して、目的の無線通信デバイスに送信するルーティング方法を提供する。
【0011】
この目的は、本発明の第1の態様において、DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニットにより受信した少なくとも1つの基準信号をDASの少なくとも1つのデジタルリモートユニットへルーティングのデジタル分散アンテナシステム(DAS)によって実行される方法によって達成される。この方法は、受信した基準信号の強度の測定するステップと、受信した基準信号が少なくとも1つのデジタルリモートユニットがサービスを提供するカバレッジエリアにある無線通信機器に送信されているときに有するべき要求された強度を決定するするステップと、前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニットから送信されるとき、受信した基準信号の強度が要求された強度に達するように、受信した基準信号が少なくとも1つのデジタルリモートユニットのアンテナポートにルーティングされるべきDASのルーティングパスの利得を調整するステップとを含む。
【0012】
この目的は、本発明の第2の態様において、DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニットで受信された少なくとも1つの基準信号を、DASの少なくとも1つのデジタルリモートユニットへルーティングするように構成されたDASによって達成される。このDASは、DASに、受信した基準信号の強度を測定させ、少なくとも1つのデジタルリモートユニットによりサービスされるカバレッジエリアにある無線通信デバイスに送信されるときに受信した基準信号が有するべき要求された強度を決定させ、受信した基準信号が受信した基準信号の強度が前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニットから送信されるとき要求された強度を達成するように、少なくとも1つのデジタルリモートユニットのアンテナポートにルーティングされるDASのルーティングパスの利得を調整ように構成された少なくとも1つの処理ユニットを備える。
【0013】
DASインストールにおいて、特定のカバレッジエリアのDASからの信号は、他の信号よりも優先してWCDが選択する必要がある。建物内設置の例では、これらの他の信号は、建物の外、または、その建物の別の階にあるDASから別のセクターの出力に位置するマクロ基地局から発信される場合がある。
【0014】
オペレーターのコアネットワークは、基地局によってブロードキャストされた特定の基準信号のWCDによる測定に基づいてWCDがどのRBS信号を使用すべきかについて決定を下す。RBSからDMUおよび特定のカバレッジエリアにサービスを提供するDRUに送信される基準信号の強度は、DASからの基準信号レベルが、隣接セルの代替参照信号よりも著しく高いように、十分に高くなければならない。これは、信号ドミナンス(signal dominance)と呼ばれる。
【0015】
有利なことに、本発明では、これは、受信した基準信号の強度を測定することにより、例えば、DASのDRUを介した特定のWCD向けの受信した基準信号の実際の電力レベルLAの形で、DASによって達成される。
【0016】
さらに、受信した基準信号がサービスされるカバレッジエリアに位置するWCDに送信される際に、有しているべき要求する強度は、DRUによって決定される。通常、この要求されたレベルは、DASを構成するとき、システムインストーラーによって既に決定されており、(たとえば、1つ以上のDMUおよびDRU内、または個別の制御ユニット内の)DASユニットからアクセス可能なデータベースに保存されている。したがって、受信した基準信号が到達する必要がある要求された電力レベルLRが決定される。
【0017】
その後、DASは、基準信号がDRUからWCDを提供するカバレッジエリアに送信されるとき実際の電力レベルLAが必要な電力レベルLRに達するように、受信信号がDRUアンテナポートにルーティングされるルーティングパスの利得を調整する。
【0018】
有利なことに、記述された実施形態では、DASは、これにより、DRUの信号ドミナンスが有効になる出力レベルを持つ出力信号を生成した。
【0019】
実施形態では、DASは、さらに、受信した基準信号が、送信された通信システムのタイプを識別する。ここで、受信した基準信号が持つべきである要求された強度の決定は、通信システムの識別されたタイプによって規定されていると判断される。有利なことに、これにより、システムインストーラーによるわずかな設定作業のみで、あらゆるタイプの無線通信システムに接続される本発明のDASが可能になる。
【0020】
さらなる実施形態では、DASは受信した基準信号の強度をさらに監視し、そしてさらに、監視された基準信号が受信した基準信号の強度が変化したことを示す場合、ルーティングパスのゲインを調整する。有利なことに、DASに入力される基準信号をDASで厳密に追跡させることにより、信号レベルの変化に迅速に適応し、信号ドミナンスが維持される。さらに、有利なことは、DASは迅速に機能するため、信号ドミナンスが一時的に失われるリスクがないことである。
【0021】
さらなる実施形態では、受信した基準信号の測定強度が事前に設定された範囲外の場合、たとえば、DASルーティングパスを介して要求された強度に到達できない場合に、DASはDASスーパーバイザーに警告する。したがって、DASに到達することからの信号を妨げるケーブルの破損などのシステム障害を、有利なことに、迅速に検出および報告できる。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、詳細な説明に記載される。
【0023】
一般的に、クレームで使用されるすべての用語は、ここで明示的に定義されていない限り、技術分野での通常の意味にしたがって解釈される「1つの/その(a/an/the)要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなど」へのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを参照しているとオープンに解釈される。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を例として説明する。
【
図1】
図1は、典型的なデジタルDASを示す図である。
【
図2】
図2は、無線基地局に接続して、本発明によるDASの例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明のDASを示す図である。各DRUは、それぞれ、少なくとも一つのWCDを提供するためのカバレッジエリアを提供する。
【
図4】
図4は、信号ドミナンスを達成するため、本実施形態に係るDASに基準信号をルーティングする方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、まだ実施形態に係るDASに基準信号をルーティングする方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、依然として実施形態に係るDASの信号をルーティングする方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、一方または両方の増幅器およびフィルタのいずれかが、ルーティングパスの利得を調整するためのルーティングパスに配置されている実施形態における、本発明のDASを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を、添付図面を参照して詳細に説明する。添付図面には、本発明の特定の実施形態が示されている。本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。この開示が徹底的かつ完全となり、当業者に完全に本発明の範囲を伝えるように、むしろ、これらの実施形態は例として提供される。同様の数字は、本願説明を通して同様の要素を指す。
【0026】
図1は、先に背景技術のセクションに記載されている一般的なデジタルDASを示す図である。
【0027】
図2は、複数のRBS250、251、252は、本発明の実施の形態におけるDAS200に接続することができる方法の一例を示している。RBS-DASインタフェースがアナログRF信号を使用する場合は、
図2に示すように、キャリア信号は、RBS無線ユニット(RU)から受信される。基地局ベンダーは、キャリアの送信を実装する方法について高い自由度を持っている。RBS251-252は、コアネットワーク280に接続されている。
【0028】
例えば、第1のRBS250に関しては、キャリアは、そのBBUに接続されたいくつかの異なるRU271、272の上で、DASトランスポートネットワーク203を介してキャリアをルーティングするDAS200の第1のDMU201へ、また、5つのDRU204-208の手段によって示されるこの特定の例示的な実施形態では1つ以上のDRUに、異なるキャリアを送信する単一のベースバンドユニット(BBU)270から生成される。それぞれが、携帯電話、スマートウォッチ、タブレット、自動車用のポータブルWiFiルーターなどのそれぞれのDRUが提供するように、カバレッジエリアに位置する1つ以上のワイヤレス通信デバイス(WCD)にサービスを提供する。
【0029】
さらに、第2のRBS251の場合、単一のBBU273で、DRU204-208の1つ以上へのさらなるルーティングのために,異なるRU274、275を介してDAS200の複数のDMU201、202に送信されるキャリアを生成できる。
【0030】
代替的に、第3のRBS252は、単一のRU277が複数のキャリアを、1つのBBU276からDAS200へ送信する場合がある。いくつかのBBUがオペレーターのコアネットワーク280を介して接続されており、1つのBBUが1セットのキャリアを送信し、もう1つのBBUが別のセットのキャリアを送信するように、互いに調整することも可能である。
【0031】
DAS200は無線信号をデジタル信号にエアインタフェース290を介して受信変換し、その後、DRUに接続されたDASアンテナを介した送信するために、次に、DRU204-208でRF信号に変換される各キャリアに対して個別のデジタルデータストリームを生成するために、ダウンリンク方向における、異なるキャリアをフィルタリングし除外する。
【0032】
この特定の例では、アナログRBS-DASのインターフェースが示されている。なお、本発明は、RBS-DASインターフェイスがデジタルである場合にも、同様に適用可能であることに留意する。
【0033】
図3は、各DRU204-208が、それぞれ、少なくとも一つのWCD234-238にサービスを提供するためのカバレッジエリア224-228を提供する、本発明のDAS200を示す。
【0034】
DASのインストールの目的の一つは、特定のカバレッジエリアのためのDASからの信号が、他の信号よりも優先にWCDによって選択されるべきであるということである。建物内での設置例では、これらの他の信号は、建物の外にあるマクロ基地局から、または、建物の別の階にあるDASからの異なるセクター出力から発信される可能性がある。
【0035】
例えば、第1のWCD224が第1のDRU204によって提供される第1のカバーエリア234に位置している限り、第1のWCD224は、第1のDRU204によって送信された信号を選択する必要がある。第1のDRU224が第2のカバレッジエリア235に交差する場合、および、そのとき、第1のWCD224は、好ましくは、第2のDRU205によって送信された信号を選択すべきである。
【0036】
事業者のコアネットワークは、基地局によってブロードキャストされた特定の基準信号のWCDによる測定に基づいて、WCDが、どのRBS信号を使用するべきかについて決定を下す。例えば、LTEシステムでは、特定の直交周波数分割多重(OFDM)キャリアとタイムスロットが、基準信号受信電力(RSRP)として知られる尺度を与えるためセル固有の基準信号(C-RS)用に予約されている。広帯域符号分割多元接続(WCDMA)システムでは、特定の拡散符号は、同様の目的を果たす共通パイロットチャネル(CPICH)を定義する。GSM(登録商標)において、RBS受信信号強度インジケータ(RSSI)は、RBSからのブロードキャストチャネル(BCH)で多重化された周波数制御チャネル(FCCH)の測定に基づいている。
【0037】
RBSからDMUに、また、特定のカバレッジエリアにサービスを提供するDRUへ送信される基準信号の強度は、DASからの基準信号レベルが、隣接セルの代替基準信号よりも著しく高いように、十分に高くなければならない。これは、信号ドミナンスと呼ばれる。
【0038】
図4は、信号ドミナンスを達成するために、本実施形態に係るDASに基準信号をルーティングする方法を示すフローチャートである。
【0039】
したがって、RBSからの基準信号を受信すると、DAS200は、ステップS101において、DASによって転送される変調波形の種類に応じて動作可能な追加の信号処理の手段によって、受信した基準信号の強度を決定する。したがって、第1のDMU201は基準信号を受信して、例えば、第1のDRU204がサービスを提供する第1のWCD224を対象として、受信した基準信号の実際の電力レベルLAを測定する。
【0040】
さらに、ステップS102において、受信した基準信号が、第1のDRU204によってサービス第カバレッジエリア234に配置された第1のWCD224に送信される際に持つべきであることが要求される強度が、決定される。通常、DAS200を構成し、DMU201、202からアクセス可能なDASデータベースに保存されている場合、この必要なレベルはすでに決定されている。したがって、受信した基準信号が到達する必要がある必要な電力レベルLRが、決定される。
【0041】
DRUの出力で必要な基準信号レベルLRは、以下の、主に2つのパラメーターによって定義される。
● DAS信号が支配的である必要がある、他の潜在的な信号源のカバレッジエリアの端の信号強度、
● カバーするエリアのサイズと、その特定のDRUに接続されたアンテナシステムによる損失とに依存するカバレッジエリアの端にあるDRUからWCDへのパス損失。
【0042】
第1のパラメータは、信号レベルをログに記録するように設計された特別のWCDを用いて、システムのインストール時の歩行試験によって測定される。第2のパラメーターは、たとえば、DRUの出力で既知のレベルでパイロットトーンを生成することによって、測定可能である(DRUは通常、特定のデジタル信号レベルの出力が正確にわかるように工場で調整済みである)。
【0043】
したがって、ステップS102で基準信号の要求強度LRを決定すると、DAS200は、一実施形態では、例えば、DAS200からアクセス可能なデータベースからシステムインストーラーによって事前設定された値セットを検索することで、要求された強度LRを取得することができる。
【0044】
これは、ダウンリンク利得設定に必要な信号レベルを変換する現在のDASシステムにおいて非自明である。RBSは、典型的には、RBS-DASインタフェースにわたって未知の損失を引き起こす、ハイパワー減衰器と同軸RFケーブルを介して接続されている。RBSからの信号は、基準信号だけでなく、他の送信も含む。最新のデジタルDMUでは、入力電力レベルを正確に測定できるが、しかし、対象の特定の基準信号を他のトラフィック信号と区別することはできない(RBSに接続されているWCDの数によっても異なる)。送信される変調された波形の詳細を意識することなく、受信信号を転送するための「パイプ」としてのみ機能するためである。
【0045】
次に、ステップS103では、DAS200は、基準信号が第1のDRU204から、第1のWCD224にサービスを提供するカバレッジエリア224に送信されているとき、実際の電力レベルLAが必要な電力レベルLRに達するように、受信信号が、これを介して第1のDRU204にルーティングされるDAS200のルーティングパスの利得を調整する。
【0046】
有利には、本実施形態で、DAS200は、第1のDRU204のための信号ドミナンスを可能にする電力レベルを有する出力信号を生成した。
【0047】
再び、本発明の一実施形態におけるDAS200を示す
図3を参照すると、DAS200によって実行される方法のステップは、実際には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブなどの、マイクロプロセッサに関連付けられた記憶媒体262にダウンロードされた、コンピュータプログラム261を実行するように構成された、1つ以上のマイクロプロセッサの形で具体化された処理ユニット260によって実行される。処理ユニット260は、DAS200に、コンピュータ実行可能命令を含む適切なコンピュータプログラム261が記憶媒体262にダウンロードされ、処理ユニット260によって実行されるときに、実施形態による方法を実行させるように構成される。記憶媒体262は、コンピュータプログラム261を含むコンピュータプログラム製品であることができる。代替的に、コンピュータプログラム261は、デジタル多用途ディスク(DVD)やメモリースティックなど、適切なコンピュータープログラム製品を使用して、記憶媒体262に転送されることができる。さらに代替的に、コンピュータプログラム261は、ネットワークを介して記憶媒体262にダウンロードされることができる。あるいは、処理ユニット260は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)などの形で、具体化されることができる。
【0048】
通常、DMU201、202、およびDASトランスポートネットワーク203のそれぞれが、DRU204-208と同様に、適切な操作を実行するために、これらまたは類似のコンポーネントを構成する。
【0049】
次に、本発明では、これらの処理ユニット260は、有利に、それぞれの規格の受信基準信号を識別できるようにするため、DAS200が接続されている通信システムに必要な標準をサポートし、そして、意図されたWCDに送信されたときに、DRUのアンテナポートおいて、基準信号が有するべき必要な信号レベルLRを決定するように構成されている。
【0050】
図5は、さらに一実施形態によれば、信号ドミナンスを達成するための、DASにおいて基準信号をルーティングする方法を示すフローチャートを示している。
【0051】
この特定の実施形態では、ステップS101で受信信号の強度を決定する前または後に(この例示的な実施形態では、前に)、DAS200は、ステップS100で、受信信号の送信元である通信システムのタイプを識別する。
【0052】
したがって、RBSから受信した信号は、DAS200によって分析される。これは、たとえば、GSM(登録商標)、LTE、WCDMA、または、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)システムなどの信号の発信元を特定する。
【0053】
識別されたネットワークシステムのタイプに応じて、信号の要求された強度が設定される。換言すれば、受信信号に要求された強度の決定は、通信システムの識別されたタイプによって規定されるように決定される。
【0054】
前述したように、例えばLTEシステムでは、特定のOFDMキャリアおよびタイムスロットは、基準信号受電電力(RSRP)として知られている尺度を与えるために、セル固有基準信号C-RSのために確保されている。
【0055】
したがって、DAS200は、ステップS100において、たとえば、事前設定により、DASが特定のキャリアをルーティングするように構成されている場合、基準信号の発信元の通信システムがLTEシステムであることを特定する。ここで、DAS200は、(制御データとペイロードデータを含む)受信したLTE送信からC-RSを抽出し、ステップS102において、特定の送信に関連付けられたLRの事前に保存された値と、DAS200のセットアップ時にシステムインストーラーによって設定される宛先DRUとを取得することによって、必要な基準信号レベルLRを決定する。
【0056】
LRを決定する前または後に、ステップS101において、C-RSの実際の信号レベルLAが測定され、そして、選択したルーティングパスの利得が、基準信号C-RSが、第1のDRU204から、第1のDRU204によってサービスされるカバレッジエリア234に位置する第1のWCD224に送信されるとき、LA=LDとなるように、調整される。
【0057】
有利なことに、本実施形態では、本発明のDAS200は、DAS200が、目的のWCDにルーティングすることで、信号の種類の観点から、純粋に透明な「パイプ」ではなくなるように増強されている。しかし、搬送される信号の特定のプロトコルを認識している。このプロトコルは、信号の発信元の通信システムのタイプの要件にしたがって構成されている。
【0058】
このように、
図3を参照して前述したように、DAS200は、(処理ユニット260を使用して)測定に必要な物理層信号処理を実装する。そして、基準信号レベルL
Aを決定する。この信号処理は、リアルタイムの要件がないため、DASに対して最適化することができる。単一の処理ユニット260で、多数の基地局入力に対して順次測定を順番に実行して、オフライン処理を実行できる。
【0059】
図6は、依然として実施形態に係るDASの信号をルーティングする方法を示すフローチャートである。
【0060】
次に、DAS200は、ステップS104で、受信した基準信号の強度を監視し、この信号は、RBSからDAS200に継続的に送信され、そして、DAS200が実際の電力レベルLAの変化を検出した場合、DAS200はステップS103に戻り、そして基準信号の電力レベルが必要なレベルLR、つまりLA=LRであることを保証するために、LAの変更に対応するために、ルーティングパスの利得をさらに調整する。実際の信号レベルLAに変化がない場合は、現在のルーティングパス利得が維持される。
【0061】
さらに別の実施形態では、受信した基準信号の測定強度LAが定義済みの範囲外の場合、たとえば、DASルーティングパスを介して要求された強度LRに到達できない場合、DASはDASスーパーバイザーに警告する。たとえば、信号がDAS200に到達するのを妨げるケーブル配線の破損など、スーパーバイザにシステム障害を示すので、これは有利である。
【0062】
図7は、一実施形態における本発明のDAS200を示す。ここで、第1のDRU204の出力において、必要な電力レベルL
Rを持つ基準信号を提供することを目的として、ルーティングパスの利得を調整するために、増幅器240がルーティングパスに配置されている。
【0063】
したがって、それを経由して受信した基準信号が第1DMU201から第1DRU204に搬送されるルーティングパスの利得は、可変利得増幅器240によって制御されることができる。増幅器240は、アナログまたはデジタルタイプのものであり得る。
図7の増幅器240は、DASのルーティングユニット内など、DASトランスポートネットワーク203に配置されるように示されているが、増幅器240は、たとえば、DMU201またはDRU204など、ルーティングパスのどこにでも配置することができることに、さらに留意する。増幅器240は、ルーティングパスの異なるセクションに物理的に配置された多数の個別のコンポーネントで構成された分布利得段(distributed gain stage)により具現化されることができることに、さらに留意する。
【0064】
本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して説明した。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上記で開示したもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲で定義されているような本発明の範囲内にあるのと同様に可能である。