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特許7060610高い均一性および元素含量を有するアルミニウム-スカンジウム合金ならびにその物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】高い均一性および元素含量を有するアルミニウム-スカンジウム合金ならびにその物品
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20220419BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20220419BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20220419BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
C23C14/34 A
C23C14/14 B
C22C21/00 N
C22C28/00 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019550237
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018022237
(87)【国際公開番号】W WO2018169998
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】62/470,646
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ミャスニコフ, ヴィタリー ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ヒールデン, デイビッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】コメルツ, マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダイラグ, ウィースロウ
(72)【発明者】
【氏名】テスタネロ, アーサー ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガーディナー, キャサリン エス.
【審査官】山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-012673(JP,A)
【文献】特開2015-096647(JP,A)
【文献】特開2015-165659(JP,A)
【文献】特開2002-212717(JP,A)
【文献】特開2010-204291(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104805406(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00
C22C 21/00
C22C 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10at%よりも多くから50at%までのスカンジウム(Sc)と、残分としてのアルミニウム(Al)とを含む合金から形成されたスパッタリングターゲットであって、前記スパッタリングターゲットの表面の2つの直交する半径に沿って前記スパッタリングターゲットの表面の中心から測定される、水平方向および垂直方向の両方で表面の全半径にわたって最大で±0.5wt%のスカンジウムの差により示されるように、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたり、前記スカンジウムが均一に分布されており、前記差は、蛍光X線(XRF)を使用して決定され、
前記合金が、金属Al母材中の金属間Al-Sc相の形態であり、前記金属間Al-Sc相がAl Sc粒を含有し、前記スパッタリングターゲットが、400ppm未満の酸素を含有する、
前記スパッタリングターゲット。
【請求項2】
前記合金が、12at%から50at%までのスカンジウム(Sc)と、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項3】
前記合金が、12at%から17at%のスカンジウムを含有する、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項4】
前記合金の断面積の40%から68%が金属間Al-Sc粒である、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項5】
前記合金が、17at%から25at%未満のスカンジウムと、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有する、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項6】
前記合金の断面積の68%から100%未満が金属間Al-Sc粒である、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項7】
前記金属間Al-Sc粒が、100ミクロンよりも小さい平均粒径を有する、請求項からのいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項8】
前記金属間Al-Sc粒が、前記スパッタリングターゲットの厚みの端から端まで均一に分布される、請求項からのいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項9】
前記スパッタリングターゲットが、100ppm未満の酸素を含有する、請求項からのいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項10】
前記合金が、25at%から33.3at%未満のスカンジウムと、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有し、前記合金が、1つまたは2つの金属間Al-Sc相の形態である、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項11】
前記合金が、33.3at%から50at%のスカンジウムと、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有し、前記合金が、1つまたは2つの金属間Al-Sc相の形態である、請求項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項12】
前記1つまたは2つの金属間Al-Sc相が、300ミクロンよりも小さい、または1
00ミクロンよりも小さい平均粒径を有する、請求項10から11のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項13】
前記1つまたは2つの金属間Al-Sc相が、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたって、かつ前記スパッタリングターゲットの厚みの端から端まで均一に分布される、請求項10から12のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項14】
前記スパッタリングターゲットが、100ppm未満の酸素を含有する、請求項10から13のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項15】
10at%よりも多くから50at%までのスカンジウム(Sc)と、残分としてのアルミニウム(Al)とを含む合金から形成されたスパッタリングターゲットであって、前記スパッタリングターゲットの表面の2つの直交する半径に沿って前記スパッタリングターゲットの表面の中心から測定される、水平方向および垂直方向の両方で表面の全半径にわたって最大で±0.5wt%のスカンジウムの差により示されるように、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたり、前記スカンジウムが均一に分布され、前記差は、蛍光X線(XRF)を使用して決定され、前記スパッタリングターゲットが100ppm未満の酸素を含有する、前記スパッタリングターゲット。
【請求項16】
前記合金が、12at%から50at%のスカンジウムを含有する、請求項15に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項17】
請求項1に記載のスパッタリングターゲットから形成された薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、米国仮特許出願第62/470,646号(2017年3月13日出願)に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願の全体は、本明細書中に参考として完全に援用される。
【0002】
背景
本開示は、アルミニウムおよび第2の元素を含有する合金に関する。特定の実施形態では、第2の元素がスカンジウムである(Al-Sc合金)。合金は、その50at%までの、多量のスカンジウムを含有していてよい。スパッタリングターゲットなど、Al-Sc合金から形成される物品も開示される。特に、スカンジウムは、Al-Sc物品/スパッタリングターゲットの表面全体にわたって均一に分布される。そのようなAl-Sc合金、物品、およびスパッタリングターゲットを作製し使用するためのプロセスも開示される。
【背景技術】
【0003】
窒化アルミニウムスカンジウム(AlScN)は、様々な適用例に向けた薄膜圧電材料の製作で非常に興味が持たれているものである。
【0004】
これらの圧電薄膜を製造するための従来の方法は、反応性スパッタ堆積を使用することによる。スパッタリングターゲット、典型的には金属または金属合金は、スパッタリングされる材料で構築される。スパッタリングターゲットおよび基板は、チャンバ内で互いに近接して配置され、ターゲットに荷電粒子またはイオンを衝突させる。高エネルギーイオンは、スパッタリングターゲットの一部を取り出して基板上に再度堆積させる。スパッタリングは、被膜の組成制御を可能にし、被膜内の残留応力の制御を行い、薄膜の高速堆積を可能にし、基板の制御された加熱に容易に順応し、かつ薄膜の製作でこのプロセスを使用する強固な歴史が既にあるので、有利である。
【0005】
薄膜の、得られる特性は、Al-Sc合金の均一な堆積に強力に依存する。これは、スパッタリングターゲットの特性に、かなりの要求を課す。薄膜の圧電応答は、被膜のSc含量(化学量論)に強力に依存し、したがってスパッタリングターゲットの全体的な化学的化学量論が極めて重要である。均一な化学的化学量論を持つスパッタリングターゲットを提供できることが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単な説明
本開示は、アルミニウムおよびスカンジウムから形成されるアルミニウム合金と、それから形成される、高い均一性を有する物品とに関する。一部の実施形態では、合金は、12原子百分率から50原子百分率(at%)のスカンジウムを含有する。合金は、スパッタリングターゲットの表面全体にわたってかつその厚みの端から端まで高い化学的均一性を有する、スパッタリングターゲットなどの物品を作製するのに使用することができる。
【0007】
下記は、本明細書に開示される例示的な実施形態を示す目的で提示され、かつそれを限定することを目的とせずに提示された、図面の簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、粉末加工を介して作製された、かつ酸化物の包有を示す、Al-Scスパッタリングターゲットの断面図である。
【0009】
図2A図2Aは、アルミニウムおよびスカンジウムの状態図である。y軸は温度(℃)であり、0℃から1600℃まで200℃の間隔で目盛が振られている。y軸は、アルミニウムの融点である660℃で記号も含む。
【0010】
図2B図2Bは、0at%から30at%のスカンジウムに関する、図2Aの状態図の拡大図である。
【0011】
図3図3は、Al母材中にAlSc粒を有するミクロ構造の顕微鏡写真である。
【0012】
図4図4A~4Cは、鋳造物の厚みの端から端までミクロ構造を示す、顕微鏡写真である。図4Aは、型の壁に沿って撮影される。図4Bは、鋳造物のさらに内部である。図4Cは、鋳造物の中心で撮影される。
【0013】
図5図5は、全鋳造プロセス中の冷却速度の制御なしに作製されたスパッタリングターゲットに関する、Scのwt%対半径のグラフである。y軸は、Scのwt%であり、y軸に沿って増大する。x軸は、インチを単位とする半径であり、ターゲットの中心で値0である。
【0014】
図6A図6Aは、Scが10at%から15at%の間にあるターゲットを表すスパッタリングターゲットの断面図であり、均一なミクロ構造および金属間粒度を示す。
【0015】
図6B図6Bは、Scが18at%から23at%の間にあるターゲットを表すスパッタリングターゲットの断面図であり、均一なミクロ構造を示す。
【0016】
図7図7は、全鋳造プロセス中の冷却速度を制御して作製されたスパッタリングターゲットに関する、Scのwt%対半径のグラフである。y軸はScのwt%である。x軸は、インチを単位とする半径であり、-8インチから+8インチまで2の間隔で目盛が振られている。全半径にわたるScのwt%の差は、水平および垂直の両方向で0.5wt%であり、均一である。
【0017】
図8A図8Aは、Scが25at%から33at%の間にあるターゲットを表すスパッタリングターゲットの断面図であり、均一な金属間ミクロ構造を示す。
【0018】
図8B図8Bは、Scが33at%から50at%の間にあるターゲットを表すスパッタリングターゲットの断面図であり、均一な微粒二相金属間ミクロ構造を示す。
【0019】
図9図9は、スパッタリングターゲットの第1の面上の、従来のスパッタリングターゲットに関するScのwt%対半径のグラフである。スパッタリングターゲットは、5インチの半径および0.25インチの厚さを有し、10wt%のScを含有する。y軸は、Scのwt%であり、4から12まで1の間隔で目盛が振られている。x軸は、インチを単位とする半径であり、-2.5インチから+2.5インチまで0.5の間隔で目盛が振られている。ここに見られるように、全半径にわたるScのwt%の差は、水平および垂直の両方向で約4wt%である。
【0020】
図10図10は、スパッタリングターゲットの第2の面上の、図9の従来のスパッタリングターゲットに関するScのwt%対半径のグラフである。y軸はScのwt%であり、4から12まで1の間隔で目盛が振られている。x軸は、インチを単位とする半径であり、-2.5インチから+2.5インチまで0.5の間隔で目盛が振られている。ここに見られるように、全半径にわたるScのwt%の差は、水平および垂直の両方向で約2wt%である。
【0021】
図11図11は、第1の面上の、図9の従来のスパッタリングターゲットのミクロ構造を示す、顕微鏡写真である。
【0022】
図12図12は、第2の面上の、図9の従来のスパッタリングターゲットのミクロ構造を示す、顕微鏡写真である。
【0023】
図13図13は、スパッタリングターゲットの第1の面上の、従来のスパッタリングターゲットに関するScのwt%対半径のグラフである。スパッタリングターゲットは、5インチの半径および0.25インチの厚さを有し、12wt%のScを含有する。y軸は、Scのwt%であり、6から14まで1の間隔で目盛が振られている。x軸は、インチを単位とする半径であり、-2.5インチから+2.5インチまで0.5の間隔で目盛が振られている。ここに見られるように、全半径にわたるScのwt%の差は、水平および垂直の両方向で約3wt%である。
【0024】
図14図14は、スパッタリングターゲットの第2の面上の、図13の従来のスパッタリングターゲットに関するScのwt%対半径のグラフである。y軸は、Scのwt%であり、6から14まで1の間隔で目盛が振られている。x軸は、インチを単位とする半径であり、-2.5インチから+2.5インチまで0.5の間隔で目盛が振られている。ここに見られるように、全半径にわたるScのwt%の差は、水平および垂直の両方向で約2.5wt%である。
【0025】
図15図15は、14の異なるスパッタリングターゲットの、基準からの偏差を示す、IMRチャートである。y軸は、基準からの偏差を示し、その単位はScのat%である。y軸は、-1.0から+1.0まで0.5の間隔で目盛が振られている。各スパッタリングターゲットごとに3回の観察を行い、x軸はその観察である。垂直線は、それぞれ個別のスパッタリングターゲットを示す。各スパッタリングターゲットごとに、UCLは信頼上限を示し、LCLは信頼下限を示す。観察40~42は、基準15at%のスカンジウム含量を有するスパッタリングターゲットに関する。
【0026】
図16図16は、本開示により作製されたスパッタリングターゲットに関する、Scのwt%対半径のグラフである。y軸はScのwt%であり、y軸に沿って増大する。x軸は、インチを単位とする半径であり、ターゲットの中心で値0である。Scのwt%は、手持ち式XRFユニットで、ターゲットの縁部から縁部に至る一本線に沿ったスポットで決定され、次いで第1の線に直交する別の線の端から端までで決定された。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
本明細書に開示される構成成分、プロセス、および装置のより完全な理解は、添付図面を参照することによって得ることができる。これらの図は、本開示を実証するのに都合の良い容易さに基づいた、単なる概略図であり、したがって、デバイスまたはその構成成分の相対的なサイズおよび寸法を示すものではなく、かつ/または例示的な実施形態の範囲を画定するものでも限定するものでもない。
【0028】
特定の用語が、明瞭にするために以下の記載で使用されるが、これらの用語は、図面に例示するために選択される実施形態の特定の構造のみ指すものとし、本開示の範囲を画定するものでも限定するものでもない。図面および以下に続く記載では、同様の数値表示が同様の機能の構成成分を指すことを理解されたい。
【0029】
単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、「~からなる」および「~から本質的になる」実施形態を含んでいてもよい。本明細書で使用される「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」という用語、およびこれらの変形例は、指名された成分/ステップの存在を必要としかつその他の成分/ステップの存在が可能である、オープンエンドな移行句、用語、または単語であるものとする。しかし、そのような記載は、列挙された成分/ステップ「からなる」および「から本質的になる」として組成物またはプロセスも記載すると解釈されるべきであり、そのことが、それらからもたらされ得る任意の不純物と共に、指名された成分/ステップのみの存在を可能にし、その他の成分/ステップを除外する。
【0031】
本出願の、本明細書および特許請求の範囲における数値は、同じ有効桁数に減じたときに同じになる数値、および値を決定するために本出願に記載されるタイプの従来の測定技法の実験誤差未満だけ、記載される値とは異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0032】
本明細書に開示される全ての範囲は、記載される端点を含み、独立して組合せ可能である(例えば、「2グラムから10グラム」の範囲は、端点である2グラムおよび10グラムと、全ての中間値とを含む。)。
【0033】
「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、値の基本機能を変更することなく変動させることができる、任意の数値を含むように使用することができる。ある範囲と共に使用されるとき、「約」および「およそ」は、2つの端点の絶対的な値によって画定された範囲も開示し、例えば「約2から約4」は、「2から4」の範囲も開示する。一般に、「約」および「およそ」という用語は、指示される数値のプラスまたはマイナス10%を指し得る。
【0034】
本開示は、平均粒径を有する金属間粒を指す。平均粒径は、粒子の総数の50%(体積による)の累積パーセンテージが実現される、粒子直径と定義される。言い換えれば、粒子の50%は、平均粒径よりも大きい直径を有し、粒子の50%は平均粒径よりも小さい直径を有する。
【0035】
本開示は、スパッタリングターゲットの表面全体にわたって均一に分布された、および/またはスパッタリングターゲットの厚みの端から端まで均一に分布された、スカンジウムにも言及する。スカンジウムは、水平方向および垂直方向の両方で測定して、表面の全半径にわたるその分布の差が最大で±0.5wt%である場合に(即ち、表面上で、合計で最大1wt%の差)、均一に分布されたと見なされる。水平方向および垂直方向は、互いに直交している。
【0036】
本開示は、ある特定のプロセスステップに関する温度に言及し得る。これらは一般に、熱源(例えば、炉、オーブン)が設定される温度を指し、熱に曝露される材料によって実現されなければならない温度を必ずしも指すものではないことに留意されたい。「室温」という用語は、20℃から25℃の範囲を指す。
【0037】
本開示は、スカンジウムを含有するアルミニウム合金(即ち、Al-Sc合金)に関する。Al-Sc合金は、高い均一性を有するスパッタリングターゲットなどの物品を製造するのに使用することができる。一部の実施形態では、Al-Sc合金は、12at%またはそれよりも多くのスカンジウムを含めた10at%を上回るスカンジウムおよび50at%までのスカンジウムと;残分としてのアルミニウムとを含有することができる(不可避の不純物と一緒に)。これらのAl-Sc合金は、それらの表面全体にわたりかつ厚みの端から端まで、高い化学的均一性を有するスパッタリングターゲットを作製するのに使用される。
【0038】
このことに関し、スパッタリングターゲットは、薄膜を基板上に堆積するのに使用される。基板上の個々のデバイスの圧電特性は、個々のデバイス内に含有される被膜の局所化学量論に極度に依存する。したがって、Al-Scスパッタリングターゲットを通したスカンジウムの分布は、スパッタリングターゲットの平面内(即ち、表面上)および厚さを通した両方で、可能な限り均一であるべきである。表面および厚さを通した両方のこの化学的均一性は必要であるが、それはターゲットからスパッタリングされるスカンジウムの量がターゲットの寿命にわたって変化し、かつ堆積された被膜の圧電特性がターゲットの寿命にわたって変化し、その結果、デバイス性能のむらがもたらされ、かつ生成物収率の損失がもたらされるからである。
【0039】
スパッタリングターゲットのミクロ構造は、ターゲット(典型的には、直径が5インチから18インチまたは約125mmから約450mmのディスク)の表面積全体にわたってかつその全厚(典型的には、およそ4分の1インチ、すなわち1/4インチ、または約6mmから約7mm)の端から端まで均一でなければならない。スパッタリングターゲットにおけるミクロ構造の規模も重要である。細孔、難燃性(refractory)または誘電性包有物、および大きな金属間相粒などの欠陥は、典型的には、ミクロアーク放電および粒子化などの望ましくない事象に関連付けられ、被膜の特性に極めて有害であるので、回避されるべきである。25at%未満のスカンジウムを含有する合金の場合、その合金は通常、第1の母材相内で金属間第2相の形態である。それらの合金において、第2の相は可能な限り微細であることが望ましく、より詳細には平均粒径が100ミクロン未満である。
【0040】
スパッタリングターゲットは、高純度のものであるべきであり、可能な限り少ない汚染物質を含有すべきである。例えば、酸素は、母材に優先的に結合することによりかつその他の非圧電相を安定化させることにより、圧電被膜の特性に極めて有害である。したがってスパッタリングターゲットは、可能な限り少ない酸素を含有すべきである。その他の遷移金属元素、例えば鉄(Fe)の存在も、最小限であるべきである。
【0041】
典型的には、スパッタリングターゲットを形成するための粉末加工は、1000ppmよりも多い酸素含量をもたらす。図1は、粉末加工により作製されたAl-Scターゲットの断面図である。暗部領域は、誘電性酸化物を含む。これらは、この断面図の表面積の有意な量を構成することがわかり、これは望ましくない。
【0042】
図2Aは、アルミニウムおよびスカンジウムに関する状態図である。x軸は、原子百分率(at%)でスカンジウムの量を示し、この状態図の最も左ではスカンジウムがゼロ/アルミニウムが100at%である。Al-Sc状態図の検査は、0から25at%のScで、平衡合金が、金属Al母材中の金属間AlSc相からなることを明らかにする。より高いSc含量では、合金は、1つの金属間相または金属間相の組合せのいずれかからなることになる。
【0043】
図2Bは、0at%から30at%のスカンジウムに関する、図2Aの状態図の拡大図である。この状態図は、融解物の冷却時に<25at%のScを含有する合金に関し、溶体から凝固する第1の相がAlScであることを示す。冷却を継続するにつれ、この相の量が徐々に増加し、一方、アルミニウム相は液体のままである。660℃よりも下の温度でのみ、アルミニウム相は凝固する。アルミニウム相内で、Scの比較的低い溶解度があることに留意されたい。得られるミクロ構造は、10at%未満のScを含有するスパッタリングターゲットに関して図3に見られるように、Al母材中に埋め込まれたAlSc粒からなる。
【0044】
この状態図は、Scが合金に添加されるにつれて、AlSc相が融解物から凝固し始める温度(いわゆる液相線温度)が上昇するが、アルミニウム相が凝固し始める温度(固相線温度)は660℃で一定のままであることも明らかにする。液相線と固相線との間のこのギャップは、5at%のScを含有する合金に関する350℃から、10at%のScでの490℃、20at%のScでの630℃まで増大する。
【0045】
本発明の合金は、鋳造プロセスで使用することができる。例えば鋳造経路を介する融解加工は、酸素含量が粉末加工よりも非常に低い、典型的には400ppmよりも低く、300ppmよりも低くおよび200ppmよりも低くを含み、一般には100ppm未満の酸素を含む生成物も生成する。したがって、アルミニウム-スカンジウム合金の鋳造は、そのような材料の製作に適している。
【0046】
典型的な鋳造プロセスでは、合金構成要素は、高温の坩堝内で一緒に融解され、次いで型に注がれ、そこで合金溶体を凝固させてインゴットにする。凝固は、典型的には、型の壁から中心に向かって進行する。状態図に基づけば、<25at%のScを含有するAl-Sc合金の場合、最外領域が鋳造物の中心部分よりも非常に速く冷却されると予測することができ、その結果、AlSc粒は、中心領域におけるよりも微細な粒度を示すと予測される。このことは、図4A~4Cに見られる。図4Aは、型の壁近く/鋳造物の外面上であり、多くの微細な金属間粒を含有する。図4Bは、鋳造物の中心により近く、図4Cは、鋳造物の中心である。第2の相の粗大化/金属間粒の低減が、明らかである。
【0047】
金属間AlScの量が増加するにつれ、固相線凝固の欠如に起因して鋳造物はますます脆弱になると予測される。このため、特に後続の加工中に、鋳造物で亀裂がより生じ易くなる。
【0048】
合金の母材相、アルミニウムは、凝固中および凝固後に素早く収縮する。その結果、型の壁から容易に離脱し、鋳造物からの熱流を妨げ、比較的厚い形状の鋳造物の中心を冷却する能力が制限される。これは、融解合金溶体の全てが型内に完全に注がれる前に、型の壁に接する材料が凝固しかつ型の壁から抜け出す可能性があるので問題である。したがって、最初に凝固する材料と最後に凝固する材料との間の冷却速度に大きな差がある可能性がある。このことは、鋳造物の表面全体および厚みの端から端まで、かつその後に製造されるスパッタリングターゲットにおいて、Sc含量に大きな変動をもたらす。図5は、全鋳造プロセスで冷却速度を制御しなかったときの、Al-Scスパッタリングターゲットを通る垂直および水平の対角線の端から端までのスカンジウム(Sc)含量の変動を示すグラフである。試験は、スパッタリングターゲット全体にわたる水平および垂直方向で行った。ここに見られるように、スパッタリングターゲットにわたるSc含量に約3.5wt%の変動があった。
【0049】
金属間負荷が大きい鋳造物の高い冷却速度は、大きい内部応力の蓄積を引き起こすことになり、それが鋳造物に亀裂を生じさせる可能性がある。さらに、多くの鋳造生成物は、後続の熱機械的加工(例えば、塑性変形および/または熱処理)に供されて、鋳造に関連付けられた特徴的な構造を破壊し、ターゲットの厚みの端から端まで均一なミクロ構造をもたらす。脆弱な鋳造物は、一般に、そのような熱機械的加工ステップにさほど耐えられない。
【0050】
本開示において、多量のスカンジウムを含有する合金は、特有のミクロ構造および化学的均一性を備えた高品質のスパッタリングターゲットを作製するのに使用することができる。それらは多量のスカンジウムを含有するが、予期されるほど脆弱ではない。本明細書に記載される鋳造プロセスは、スパッタリングターゲットを得るのに使用される。
【0051】
特定の実施形態では、合金は、アルミニウムおよびスカンジウム(および不可避の不純物)のみを含有する。Al-Sc合金は、10at%よりも多くから50at%までのスカンジウム、または12at%から50at%のスカンジウム、または10at%よりも多くから17at%のスカンジウム、または15at%から50at%のスカンジウム、または17at%から25at%未満のスカンジウム、または17at%から50at%のスカンジウム、または25at%から33.3at%未満のスカンジウム、または33.3at%から50at%のスカンジウムを含有し得る。
【0052】
一般に、アルミニウムおよびスカンジウムは、例えば誘導溶融によって融解して、高温で均質な溶融合金溶体を形成する。次いで合金溶体を、マクロ偏析なしに合金溶体が型に完全に満たされることを可能にする、鋳込みプロトコールおよびスケジュールを使用して型に注ぐ。型は、(a)マクロ偏析が生じ得る前に型の充填を可能にし;(b)偏析を阻害するのに十分に速い冷却速度であるが、鋳造物の凝固および冷却が部品の亀裂なしに行われることを可能にするよう十分遅い冷却速度を可能にし;かつ(c)鋳造プロセスで多量のスカンジウムを容易にする、デザインのものである。これは鋳造物またはインゴットの形成をもたらす。
【0053】
次いで鋳造物/インゴットは、熱機械的に加工されて鋳放し構造を壊しかつ/または鋳造欠陥を治すことにより、スパッタリングターゲットが得られる。熱機械的加工の例には、熱間圧延、熱間静水圧プレス(HIPing)、一軸ホットプレス、および熱間鍛造が含まれる。
【0054】
熱間圧延は、加熱されたインゴットをロール間に通して、インゴットの厚さを低減させるプロセスである。高温圧延は、典型的には、合金の再結晶温度よりも高い温度で行われる。このため粒が変形し再結晶して、等軸ミクロ構造が得られる。熱間鍛造では、インゴットは、圧縮力(例えば、ハンマーまたはダイ)を使用して成形される。高温鍛造も、典型的には合金の再結晶温度よりも高い温度で行われる。高温圧延およびホットプレスは共に、変形した粒を完全に再結晶させかつ等軸粒構造を生成するために追加のアニーリングステップを必要とする可能性がある。
【0055】
ホットプレスは、力の方向によって熱間静水圧プレス(HIPing)と区別することができる。静水圧は全方向性であり、ターゲットを、軸圧力とは全く異なる加圧環境に供する。両方のプロセスは、脆いターゲット材料の亀裂を誘発させることなく、高温クリープおよび鋳造インゴットの変形をもたらす。
【0056】
<25at%のScを含有するターゲットの場合、得られるスパッタリングターゲットは、金属Al母材中の金属間Al-Sc粒から形成されたミクロ構造を有する。金属間Al-Sc粒の量/数は、粒によって占有される断面積によって定量することができる。実施形態では、断面積は、40%から68%の金属間粒を含有していてよく、その残分は金属Al母材である。他の実施形態では、断面積は、68%から100%未満の金属間相を含有していてよく、その残分は金属Al母材である。
【0057】
>25at%のScを含有するスパッタリングターゲットでは、鋳造材料は、1つまたは複数の脆性金属間相からなる。鋳造インゴットは、熱応力に起因して冷却中に容易に亀裂を生じさせる。それにも関わらず、鋳造条件、型のデザイン、および熱機械的加工の適切な操作によって、スパッタリングターゲットを、制御されたミクロ構造を持たせてかつ残留鋳造欠陥なしに、製作することができる。
【0058】
得られたスパッタリングターゲットは、一般に約125ミリメートル(mm)から約450mmの直径を有し、一般に約5mmから約10mmの厚さ(即ち、高さ)を有する。他の実施形態では、スパッタリングターゲットは、約150mmから約350mmの直径、および約6mmから約7mmの厚さを有し得る。
【0059】
下記の実施例は、本開示のスパッタリングターゲットおよび特性を例示するために提示する。実施例は単なる例示であり、本開示を、そこに記載される材料、条件、またはプロセスパラメーターに限定するものではない。
【実施例
【0060】
図6Aは、10at%(または12at%)から15at%の間のScを含む、鋳造され加工されたスパッタリングターゲットのミクロ構造を示す顕微鏡写真である。図6Bは、18at%から23at%の間のScを含む、鋳造され加工されたスパッタリングターゲットのミクロ構造を示す、顕微鏡写真である。いずれの場合も、AlSc相は均一に分布される。図6Aのターゲットの場合、AlSc粒は、100ミクロン未満の平均粒径を有する。図6Bのターゲットの場合、AlSc粒は、100ミクロンよりも大きい平均粒径を有する。
【0061】
図7は、10at%未満のスカンジウムを含有するスパッタリングターゲットの、Sc含量対ターゲットの半径を示すグラフである。ここに見られるように、垂直方向および水平方向の両方において、差が0.5wt%以内であり、したがってSc含量は、均一に分布されたと見なすことができる。
【0062】
図8Aは、25から33at%のScを含有するターゲットの、鋳造され、かつ熱機械的に加工されたミクロ構造を示す。図8Bは、33at%から50at%のScを含有するターゲットのミクロ構造を示す。共に、本質的に欠陥がないことを示し、化学的分析は、製作されたターゲットの化学的均一性が、最適な<25at%Scターゲットの場合に近付くことを明らかにした。
【0063】
10at%から15at%の間(12at%から15at%の間を含む)のSc濃度を有するスパッタリングターゲットを生成した。得られた酸素濃度は76ppmである。平均粒径は20ミクロンであり;粒子(即ち、粒)面積は、断面積の61%である。
【0064】
10at%から15at%の間(12at%から15at%の間を含む)のSc濃度を有する別のスパッタリングターゲットを生成した。得られた酸素濃度は94ppmである。平均粒径は19ミクロンであり;粒子面積は、断面積の65%である。
【0065】
比較の目的で、本開示により生成しなかった従来のスパッタリングターゲットを得、それらのスカンジウム(Sc)濃度を、それらの表面全体にわたって測定した。従来のスパッタリングターゲットは、10wt%から12wt%のSc(6.3at%から7.6at%のSc)を含有した。図9および図10は、半径5インチおよび厚さ0.25インチおよび基準10wt%のSc(6.3at%のSc)を有する従来のスパッタリングターゲットで得られた測定値を示す。Scのwt%を、XRFを使用して測定し、スパッタリングターゲットの両面の4本の異なる線に沿って正規化した。これら2つの図に見られるように、従来の10wt%のScスパッタリングターゲットは、両面において表面の全半径にわたり±0.5wt%よりも大きく変動し(垂直破線によって示される)、したがってスカンジウムは、表面全体にわたって均一に分布されたとは見なされない。図11および図12は、スパッタリングターゲットの両面のミクロ構造を示す顕微鏡写真である。酸素含量も両面で測定し、396ppmおよび553ppmの値が得られた。
【0066】
図13および図14は、半径5インチおよび厚さ0.25インチ、および基準12wt%のSc(7.6at%のSc)を有する従来のスパッタリングターゲットで得られた測定値を示す。Scのwt%を、XRFを使用して測定し、スパッタリングターゲットの両面の4本の異なる線に沿って正規化した。これら2つの図に見られるように、従来の12wt%Scスパッタリングターゲットは、両面において表面の全半径にわたり±0.5wt%よりも大きく変動し(垂直破線によって示される)、したがってスカンジウムは、表面全体にわたって均一に分布したとは見なされない。酸素含量も両面で測定し、583ppmおよび1080ppmの値が得られた。
【0067】
図15は、本開示により作製された14のスパッタリングターゲットの基準からの偏差を示すIMRチャートである。分析を、各試料を塩酸に溶解することによって行った。次いで各試料を、認定された参照標準溶体から作製された酸母材一致Sc較正曲線に対してICP-OES(誘導結合プラズマ発光分析)により流した。較正曲線は、ブランクと、15ppm以下の最高標準を持つ3点とで構成した。ICP-OESで使用したSc波長は、3613.84オングストロームであった。3回の観察を、各スパッタリングターゲットごとに行った。結果は、基準からの偏差を使用して示され、スパッタリングターゲットの均一性を示している。観察40~42を、15at%のScを含有するスパッタリングターゲット上で行った。
【0068】
図16は、10at%未満のScを含有する別のスパッタリングターゲットの、Sc含量対半径を示すグラフである。ここに見られるように、垂直方向および水平方向の両方において、差は0.75wt%以内であり、したがってSc含量は、均一に分布されたと見なすことができる。
【0069】
本開示について、例示的な実施形態を参照しながら記載してきた。先行する詳細な記載
を読みかつ理解することによって、他の部分に修正および変更が行われることになる。上記の開示された構成成分、プロセス、および装置、ならびにその他の特徴および機能の変形例、またはこれらの代替例を、多くのその他の異なるシステムまたは適用例に組み合わせてもよい。本開示は、添付される特許請求の範囲またはその均等物の範囲内にある限り、全てのそのような修正および変更を含むと解釈されるものとする。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
スカンジウム(Sc)およびアルミニウム(Al)を含む合金から形成されたスパッタリングターゲットであって、水平方向および垂直方向の両方で表面の全半径にわたって最大で±0.5wt%のスカンジウムの差により示されるように、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたり、前記スカンジウムが均一に分布されるスパッタリングターゲット。
[態様2]
前記合金が、12at%から50at%までのスカンジウム(Sc)と、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有する、態様1に記載のスパッタリングターゲット。
[態様3]
前記スパッタリングターゲットが、400ppm未満の酸素を含有する、態様2に記載のスパッタリングターゲット。
[態様4]
10at%よりも多くから50at%までのスカンジウム(Sc)と、残分としてのアルミニウム(Al)とを含む合金から形成されたスパッタリングターゲットであって、水平方向および垂直方向の両方で表面の全半径にわたって最大で±0.5wt%のスカンジウムの差により示されるように、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたり、前記スカンジウムが均一に分布されるスパッタリングターゲット。
[態様5]
前記合金が、12at%から17at%のスカンジウムを含有する、態様4に記載のスパッタリングターゲット。
[態様6]
前記合金の断面積が、金属Al母材中に40%から68%の金属間Al-Sc粒を含有する、態様5に記載のスパッタリングターゲット。
[態様7]
前記合金が、17at%から25at%未満のスカンジウムと、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有する、態様4に記載のスパッタリングターゲット。
[態様8]
前記合金の断面積が、金属Al母材中に68%から100%未満の金属間Al-Sc粒を含有する、態様7に記載のスパッタリングターゲット。
[態様9]
前記金属間Al-Sc粒が、100ミクロンよりも小さい平均粒径を有する、態様6から8のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
[態様10]
前記金属間Al-Sc粒が、前記スパッタリングターゲットの厚みの端から端まで均一に分布される、態様6から9のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
[態様11]
前記スパッタリングターゲットが、400ppm未満の酸素を含有する、態様4から10のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
[態様12]
前記合金が、25at%から33.3at%未満のスカンジウムと、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有し、前記合金が、1つまたは2つの金属間Al-Sc相の形態である、態様4に記載のスパッタリングターゲット。
[態様13]
前記合金が、33.3at%から50at%のスカンジウムと、残分としてのアルミニウム(Al)とを含有し、前記合金が、1つまたは2つの金属間Al-Sc相の形態である、態様4に記載のスパッタリングターゲット。
[態様14]
前記1つまたは2つの金属間Al-Sc相が、300ミクロンよりも小さい、または1
00ミクロンよりも小さい平均粒径を有する、態様12から13のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
[態様15]
前記1つまたは2つの金属間Al-Sc相が、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたって、かつ前記スパッタリングターゲットの厚みの端から端まで均一に分布される、態様12から14のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
[態様16]
前記スパッタリングターゲットが、400ppm未満の酸素を含有する、態様12から15のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
[態様17]
10at%よりも多くのスカンジウム(Sc)と、残分としてのアルミニウム(Al)とを含む合金から形成されたスパッタリングターゲットであって、水平方向および垂直方向の両方で表面の全半径にわたって最大で±0.5wt%のスカンジウムの差により示されるように、前記スパッタリングターゲットの表面全体にわたり、前記スカンジウムが均一に分布され、前記スパッタリングターゲットが300ppm未満の酸素を含有する、スパッタリングターゲット。
[態様18]
前記合金が、12at%から50at%のスカンジウムを含有する、態様17に記載のスパッタリングターゲット。
[態様19]
態様1に記載のスパッタリングターゲットにイオンを衝突させて、材料を基板上に堆積することによって形成された薄膜。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16