(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】洗い流し機能が改善された人工弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019567712
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 US2018036520
(87)【国際公開番号】W WO2018226997
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-02-06
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】カイル ダブリュ.コラビト
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン ブイ.ディエンノ
(72)【発明者】
【氏名】ローガン アール.ハガマン
(72)【発明者】
【氏名】コーディ エル.ハートマン
(72)【発明者】
【氏名】スディープ サストリー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0183279(US,A1)
【文献】特表2016-512065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0059411(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0304196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁を通る順行流を可能にする開放位置と、弁を通る逆行流を防止する閉止位置との間で移動可能な弁
尖を有する
弁であって、前記弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の部分のアパチャ又はギャップ又は分
離を備え、それにより、弁尖の前部と後部との間の流体の流れ又は交換を可能にする、弁であって、
前記アパチャ、ギャップ又は分離は、前記弁尖が閉止位置にあるときに、弁尖の後部と前部との間の流体の流れ又は交換を防ぐために閉止するように動作可能であ
り、
支持構造を含み、弁尖は前記支持構造に結合されており、
前記弁尖は、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含み、
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素の上流にあり、又は、前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素の下流にあり、
前記第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素はそれを通るアパチャを画定し、前記第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素の他方はアパチャを塞ぐように動作可能である、弁。
【請求項2】
前記流体の流れ又は交換は、前記弁尖が閉止位置にないときに、第一の構成要素及び第二の構成要素のアパチャ、ギャップ又は分離による、請求項1記載の弁。
【請求項3】
前記第二の弁尖構成要素は流入自由端を含み、前記第二の弁尖構成要素と前記支持構造との間のギャップを画定する、請求項1~2のいずれか1項記載の弁。
【請求項4】
前記第一の弁尖構成要
素及び第二の弁尖構成要
素は部分的にオーバーラップしている、請求項
1~
3のいずれか1項記載の
弁。
【請求項5】
前記第一の弁尖構成要
素は第一のオーバーラップ領
域を含み、前記第二の弁尖構成要
素は第二のオーバーラップ領
域を含み、前記第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にあるときに、互いにシーリング係合する、請求項
4記載の
弁。
【請求項6】
前記第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、それぞれの第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の自由端から各々延びている、請求項5記載の弁。
【請求項7】
前記第一のオーバーラップ領域は第一の弁尖構成要素の流出自由端から延び、前記第二のオーバーラップ領域は第二の弁尖構成要素の流入自由端から延びている、請求項6記載の弁。
【請求項8】
前記第一の弁尖構成要
素又は第二の弁尖構成要
素は前記支持構
造に対して静止している
、請求項
1~7のいずれか1項記載の
弁。
【請求項9】
前記第一の弁尖構成要
素は前記第二の弁尖構成要
素よりもゆっくり動くように構成されて
いる、請求項
1~7のいずれか1項記載の
弁。
【請求項10】
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素よりも高い曲げ剛性を有する、請求項9記載の弁。
【請求項11】
前記第二の弁尖構成要素は前記第一の弁尖構成要素よりもゆっくりと動くように構成されている、請求項1~7のいずれか1項記載の弁。
【請求項12】
前記第二の弁尖構成要素は前記第一の弁尖構成要素よりも高い曲げ剛性を有する、請求項11記載の弁。
【請求項13】
前記第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要
素はオーバーラップし、前記支持構
造に向かって幅が先細るオーバーラップ領
域を画定して
いる
、請求項
4~
12のいずれ1項記載の
弁。
【請求項14】
前記弁尖が閉止位置にあるときに、前記支持構造から離れて延びる前記第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の間に所定サイズの1つ又は複数の逆流ギャップが存在する、請求項13記載の弁。
【請求項15】
前記弁
尖の形状、そし
て支持構
造への対応する取り付け領
域の形状は、一般に、放物線又は二等辺台形の形状である、請求項1~
14のいずれか1項記載の
弁。
【請求項16】
前記弁
尖は多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料を含み、それにより前記弁尖は不透過性であ
る、請求項1~
15のいずれか1項記載の
弁。
【請求項17】
前記多孔質ポリマー膜は延伸ポリテトラフルオロエチレンであり、および/または前記細孔内に存在する材料はエラストマー又はエラストマー材料又は非エラストマー材料である、請求項16項記載の弁。
【請求項18】
複数の弁
尖を含
む、請求項1~
17のいずれか1項記載の
弁。
【請求項19】
各弁尖は弁尖自由端を含み、弁尖自由端は退行流体圧力の影響下で接合することができ、それにより、弁を閉じる、請求項18記載の弁。
【請求項20】
前記弁が人工心臓弁である、請求項1~
19のいずれか1項記載の
弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、人工弁に関し、より具体的には、可撓性弁尖型人工心臓弁デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
人工弁は、自然弁がもはや適切に機能しなくなったときに、心血管系で自然弁を置き換えるために使用される。可撓性弁尖人工弁は流体圧力の影響下で動く1つ以上の弁尖を含む。
【0003】
人工弁尖は支持構造に取り付けられて弁を形成する。動作中、可撓性弁尖は、流入流体圧力が流出流体圧力を超えると開き、そして流入流体圧力が流出流体圧力を下回って低下すると閉じる。弁尖の自由端は、流出流体の圧力の影響を受けて接合して弁を閉じ、流出血液が弁を通して退行して流れるのを防ぐ。
図1A及び1Bは、当該技術分野で知られているものによる、弁尖30を支持するフレーム20を含む閉止人工弁10のそれぞれ斜視図及び軸方向図である。閉止人工弁10は、人工弁10の下流の流出圧力が人工弁10の上流の流入圧力よりも大きい場合を表し、弁尖30は、人工弁10を通る逆行流を防ぐために閉じる。
【0004】
図1C及び1Dはそれぞれ、人工弁10の上流の流入圧力が流出圧力よりも大きい場合など、弁尖30が開いている、人工弁10の斜視図及び軸方向図であり、ここで、弁尖30は人工弁100を通って順行流方向402に流体を進行させることができるように開く。
【0005】
図1E及び1Fは、それぞれ、切断線1E-1Eに沿った
図1Bの閉止人工弁10及び切断線1F-1Fに沿った
図1Dの開放人工弁10の断面図である。
図1Eは退行流方向404を示し、ここで、人工弁10の流出圧力が流入圧力よりも大きく、したがって弁尖30を閉止する。
図1Fは人工弁10を通って順行流方向402に移動する流体を示し、ここで、流入圧力は流出圧力よりも大きく、したがって弁軸Xから離れて可撓性弁尖30を開く。弁尖30の後ろで、流体は再循環方向に従う。再循環流406と呼ばれ、弁尖30と、弁尖30の後ろの構造との間の退行流方向404の流れを含み、前記構造は、例えば、限定するわけではないが、フレーム20、人工導管及び天然組織である。
【0006】
退行流方向404又は再循環流406における流体の欠如又は不十分により、流体の流れが弁尖30の背後、特に弁尖30がフレーム20と交差する弁尖基部308で減速又は停滞する可能性がある。流体流の減速又は停滞で、血液が凝固して血栓を形成することが知られている。血栓は、弁尖30の開閉動態を妨げる可能性があり、結果として、弁の性能に悪影響を及ぼす圧力勾配の増加につながるという点で有害である。血栓はまた、下流に流れ、脳卒中、心臓発作又は肺塞栓症を引き起こす可能性がある。
【0007】
開放人工弁弁尖の後ろの流れの減少又は停滞を減らし又は無くす人工弁の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0008】
概要
記載される実施形態は、心臓弁置換などの弁置換のための装置、システム及び方法を対象とする。より具体的には、記載される実施形態は、生物学的又は合成の弁尖材料及び支持構造を有する可撓性弁尖弁デバイス、ならびに弁デバイスを製造及び移植する方法を対象とする。
【0009】
1つの例(例1)によれば、弁は、人工弁を通る順行流を可能にする開放位置と、人工弁を通る逆行流を防止する閉止位置との間で移動可能な弁尖を含み、前記弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の部分のアパチャ又はギャップ又は分離を備え、それにより、弁尖の前部と後部との間の流体の流れ又は交換を可能にする。
【0010】
例1に加えて、別の例(例2)によれば、アパチャ、ギャップ又は分離は、弁尖が閉止位置にあるときに、弁尖の後部と前部との間の流体の流れ又は交換を防ぐように閉止するように動作可能である。
【0011】
例1又は例2に加えて、別の例(例3)によれば、支持構造をさらに含み、弁尖は前記支持構造に結合されている。
【0012】
例1~3に加えて、別の例(例4)によれば、弁尖は、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む。
【0013】
例4に加えて、別の例(例5)によれば、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の上流にあり、又は、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の下流にある。
【0014】
例4又は5に加えて、別の例(例6)によれば、前記流体の流れ又は交換は、弁尖が閉止位置にないときに、第一の構成要素及び第二の構成要素のアパチャ、ギャップ又は分離による。
【0015】
例4~6のいずれか1つに加えて、別の例(例7)よれば、及び、例1によれば、第二の弁尖構成要素は流入自由端を含み、第二の弁尖構成要素と支持構造との間のギャップを画定している。
【0016】
例4~7のいずれか1つに加えて、別の例(例8)によれば、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素は、それを通るアパチャを画定し、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素の他方は、アパチャを塞ぐように動作可能である。
【0017】
例4~8のいずれか1つに加えて、別の例(例9)によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は部分的にオーバーラップしている。
【0018】
例9に加えて、別の例(例10)によれば、第一の弁尖構成要素は第一のオーバーラップ領域を含み、第二の弁尖構成要素は第二のオーバーラップ領域を含み、第一及び第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にあるときに、互いにシーリング係合する。
【0019】
例10に加えて、別の例(例11)によれば、第一及び第二のオーバーラップ領域は、それぞれの第一及び第二の弁尖構成要素の自由端から各々延びている。
【0020】
例11に加えて、別の例(例12)によれば、第一のオーバーラップ領域は第一の弁尖構成要素の流出自由端から延び、第二のオーバーラップ領域は第二の弁尖構成要素の流入自由端から延びている。
【0021】
例10~12のいずれか1つに加えて、別の例(例13)によれば、第一の弁尖構成要素は第一のオーバーラップ領域にアパチャを含み、又は、第二の弁尖構成要素は第二のオーバーラップ領域にアパチャを含む。
【0022】
例4~13のいずれか1つに加えて、別の例(例14)によれば、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素に対して静止している、又は、その逆である。
【0023】
例4~13のいずれか1つに加えて、別の例(例15)によれば、及び、例3によれば、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素は支持構造に対して静止している。
【0024】
例4~13のいずれか1つに加えて、別の例(例16)によれば、第一の弁尖構成要素は、第二の弁尖構成要素よりもゆっくり動くように構成されている。
【0025】
例16に加えて、別の例(例17)によれば、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素よりも高い曲げ剛性を有する。
【0026】
例16又は17のいずれか1つに加えて、別の例(例18)によれば、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の上流にある。
【0027】
例4~13のいずれか1つに加えて、別の例(例19)によれば、第二の弁尖構成要素は第一の弁尖構成要素よりもゆっくりと動くように構成されている。
【0028】
例19に加えて、別の例(例20)によれば、第二の弁尖構成要素は第一の弁尖構成要素よりも高い曲げ剛性を有する。
【0029】
例19又は20のいずれか1つに加えて、別の例(例21)によれば、第二の弁尖構成要素は第一の弁尖構成要素の上流にある。
【0030】
例9~21のいずれか1つに加えて、別の例(例22)によれば、及び、例3によれば、第一及び第二の弁尖構成要素はオーバーラップし、支持構造に向かって幅が先細るオーバーラップ領域を画定している。
【0031】
例22に加えて、別の例(例23)によれば、弁尖が閉止位置にあるときに、支持構造から離れて延びる第一及び第二の弁尖構成要素の間に所定サイズの1つ又は複数の逆行流ギャップが存在する。
【0032】
例1~23のいずれか1つに加えて、別の例(例24)によれば、弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の前部と後部との間の流体の流れ又は交換を可能にする弁尖の部分の複数のアパチャ、ギャップ又は分離を含む。
【0033】
例4~23のいずれか1つに加えて、別の例(例25)によれば、弁尖は複数の第一の弁尖構成要素を含み、及び/又は、弁尖は複数の流出自由端を含む第一の弁尖構成要素を含む。
【0034】
例25に加えて、別の例(例26)によれば、脱出を防止するために複数の第一の弁尖又は複数の流出自由端を結合するテザー要素をさらに含む。
【0035】
例25又は26のいずれかに加えて、さらに例3に加えて、別の例(例27)によれば、第二の弁尖構成要素は複数の流入自由端を含み、第二の弁尖構成要素と、前記複数の第一の弁尖構成要素又は流出自由端のいずれか1つに対応する支持構造との間の複数のギャップを画定する。
【0036】
例24~26のいずれか1つに加えて、別の例(例28)によれば、第二の弁尖構成要素はそれを通る複数のアパチャを画定し、第一の弁尖構成要素はアパチャを閉塞するように動作可能である、又は、前記複数の第一の弁尖構成要素の1つは各前記アパチャを閉塞するように動作可能である。
【0037】
例1~28のいずれか1つに加えて、別の例(例29)によれば、弁尖の形状、さらに例3では、支持構造への対応する取り付け領域の形状は、一般に、放物線又は二等辺台形の形状である。
【0038】
例1~23のいずれか1つに加えて、別の例(例30)によれば、弁尖は多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料を含み、それにより前記又は各弁尖は不透過性である。
【0039】
例30に加えて、別の例(例31)によれば、多孔質ポリマー膜は延伸ポリテトラフルオロエチレンである。
【0040】
例30又は31のいずれか1つに加えて、別の例(例32)によれば、細孔内に存在する材料はエラストマー又はエラストマー材料又は非エラストマー材料である。
【0041】
例30~32のいずれか1つに加えて、別の例(例33)によれば、細孔内に存在する材料はTFE/PMVEコポリマーである。
【0042】
例1~33のいずれか1つに加えて、別の例(例34)によれば、弁尖は生物組織を含む。
【0043】
例30~34のいずれか1つに加えて、別の例(例35)によれば、弁尖は、さらに例4~13のいずれか1つの場合に、前記又は各第一の弁尖構成要素及び/又は第二の弁尖構成要素は、前記多孔質ポリマー膜と、前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料とを含み、それにより、前記又は各第一の弁尖構成要素及び/又は第二の弁尖構成要素は不透過性である。
【0044】
例35に加えて、別の例(例36)によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の少なくとも一方は生物組織を含む。
【0045】
例1~36のいずれか1つに加えて、別の例(例37)によれば、弁尖はフレームの形態の支持構造に結合される。
【0046】
例38に加えて、別の例(例38)によれば、フレームは、フレームが異なる直径間で圧縮及び拡張されうるように動作可能なアパチャの概して開放したパターンを画定する。
【0047】
例1~38のいずれか1つに加えて、別の例(例39)によれば、弁は複数の弁尖をさらに含む。
【0048】
例39に加えて、別の例(例40)によれば、弁は3つの弁尖を含むことができる。
【0049】
例39又は40のいずれか1つに加えて、別の例(例41)によれば、各弁尖は弁尖自由端を含み、弁尖自由端は退行流体圧力の影響下で接合し、それにより、弁を閉じる。
【0050】
例1~41のいずれか1つに加えて、別の例(例42)によれば、弁は人工弁である。
【0051】
例42に加えて、別の例(例43)によれば、人工弁は人工心臓弁である。
【0052】
別の例(例44)によれば、人工弁を製造する方法は、
弁尖フレーム又は導管などの支持構造を得ること、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む弁尖を得ること、前記第一の弁尖構成要素を前記支持構造の入口部分に隣接して結合すること、及び、前記第二の弁尖構成要素を前記支持構造の出口部分に隣接して結合し、それにより、前記第二の弁尖構成要素の第二の流入自由端の第二のオーバーラップ領域は前記第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端の第一のオーバーラップ領域とオーバーラップし、それにより、前記弁尖が閉止位置にあるときに、前記第二の弁尖構成要素の第二の流入側の部分は前記第一の弁尖構成要素の第一の流出側の部分と接触してシーリング係合して、退行方向で管腔を通る流体流を防止する弁尖オーバーラップ領域を画定し、そして、弁尖が閉止位置にないときに、前記第一のオーバーラップ領域及び前記第二のオーバーラップ領域はそれらに接触せず、前記第一の流出自由端及び前記第二の流入自由端はそれらの間にギャップを画定し、第二の流出側に隣接する流体は順行方向における流体流の間にギャップを通して通過することができる。
【0053】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって提供される本発明の概念の範囲を制限するか、さもなければ狭めるために読まれるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、本明細書の一部を構成し、本明細書に記載の実施形態を示し、そして記載とともに本開示で議論される原理を説明する役割を果たす。
【0055】
【
図1A】
図1Aは、弁尖を支持するフレームを含む閉止人工弁の斜視図であり、当該技術分野で知られているものによる。
【0056】
【
図1B】
図1Bは、
図1Aの閉止人工弁の軸方向図であり、弁尖を支持するフレームを含み、当該技術分野で知られているものによる。
【0057】
【
図1C】
図1Cは、
図1Aの人工弁の斜視図であり、例えば、人工弁の上流の流入圧力が流出圧力よりも大きいときに、弁尖が開放しており、当該技術分野で知られているものによる。
【0058】
【
図1D】
図1Dは、
図1Cの人工弁の軸方向図であり、例えば、人工弁の上流の流出圧力が流出圧力よりも大きいときに、弁尖が開放しており、前記弁尖が開いて人工弁を通る順行方向の流れを可能にし、当該技術分野で知られているものによる。
【0059】
【
図1E】
図1Eは、切断線1E-1Eに沿った
図1Bの閉止弁の断面図であり、当該技術分野で知られているものによる。
【0060】
【
図1F】
図1Fは、切断線1F-1Fに沿った
図1Dの開放弁の断面図であり、当該技術分野で知られているものによる。
【0061】
【
図2A】
図2Aは、閉止位置にある人工弁の斜視図であり、実施形態による。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【
図2E】
図2Eは、切断線2E-2Eに沿った
図2Bの閉止弁の断面図であり、実施形態による。
【0066】
【
図2F】
図2Fは、切断線2F-2Fに沿った
図2Dの開放弁の断面図であり、実施形態による。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【
図3E】
図3Eは、切断線3E-3Eに沿った
図3Bの閉止弁の断面図であり、実施形態による。
【0072】
【
図3F】
図3Fは、切断線3F-3Fに沿った
図3Dの開放弁の断面図であり、実施形態による。
【0073】
【
図4A】
図4Aは、別の実施形態による人工弁の斜視図である。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【
図4E】
図4Eは、切断線4E-4Eに沿った
図4Bの閉止弁の断面図であり、実施形態による。
【0078】
【
図4F】
図4Fは、切断線4F-4Fに沿った
図4Dの開放弁の断面図であり、実施形態による。
【0079】
【
図5】
図5は、弁尖オーバーラップ領域が不均一な幅を有する人工弁の斜視図であり、実施形態による。
【0080】
【
図6A】
図6Aは、フレームと、それぞれが実質的に二等辺台形の形状を画定する第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を有する複数の弁尖とを有する人工弁の斜視図であり、実施形態による。
【0081】
【
図6B】
図6Bは、フレームと、それぞれが実質的に二等辺台形の形状を画定する第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を有する複数の弁尖とを有する人工弁の斜視図であり、実施形態による。
【0082】
【
図7】
図7は、
図6A及び6Bの実施形態のフレームの平面図であり、展開されて平坦なプロファイルとなっている。
【0083】
【
図8】
図8は、複数の第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0084】
【
図9】
図9は、複数の第一の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0085】
【
図10】
図10は、複数の第二の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0086】
【
図11A】
図11Aは、フレームと、第二の弁尖構成要素の第二の流入側にオーバーラップする複数の第一の弁尖構成要素をそれぞれ有する複数の弁尖とを有する人工弁の斜視図であり、実施形態による。
【0087】
【
図11B】
図11Bは、フレームと、第二の弁尖構成要素の第二の流出側にオーバーラップする複数の第一の弁尖構成要素をそれぞれ有する複数の弁尖とを有する人工弁の斜視図であり、別の実施形態による。
【0088】
【0089】
【0090】
【
図12A】
図12Aは、複数の第一の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0091】
【
図12B】
図12Bは、複数の第一の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0092】
【
図12C】
図12Cは、複数の第一の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0093】
【
図13】
図13は、複数の第二の弁尖構成要素を含む弁尖パターンの平面図であり、実施形態による。
【0094】
【
図14】
図14は、フレームの基部として取り付けられる比較的狭いストリップを備えた第二の弁尖構成要素を備えた人工弁であり、実施形態による。
【0095】
【
図15】
図15は、第二の流入自由端の両方にオーバーラップする1つの第一の弁尖構成要素を含む
図14の実施形態と同様の別の人工弁であり、別の実施形態による。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【発明を実施するための形態】
【0102】
詳細な説明
当業者は、意図する機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって本開示の様々な態様を実現できることを容易に理解するであろう。言い換えると、意図した機能を発揮するために、他の方法及び装置をここに組み込むことができる。また、本明細書で言及する添付の図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張されている可能性があり、その点で図面は限定するものと解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0103】
本明細書の実施形態は、様々な原理及び信念に関連して記載されうるが、記載された実施形態は理論に拘束されるべきではない。例えば、本明細書では、人工弁、より具体的には心臓人工弁に関連して実施形態を説明する。しかしながら、本開示の範囲内の実施形態は、同様の構造及び/又は機能の任意の弁又は機構に適用することができる。さらに、本開示の範囲内の実施形態は心臓以外の用途に適用することができる。
【0104】
人工弁の関係で本明細書で使用されるときに、「弁尖」という用語は、圧力差の影響下で弁尖が開放位置と閉止位置との間を動くように動作可能な一方向弁の可撓性構成要素である。開放位置において、弁尖により血液が弁を通して通過できる。閉止位置において、弁尖は退行流が弁を通して通過するのを実質的にブロックする。複数の弁尖を含む実施形態において、各弁尖は少なくとも1つの隣接する弁尖と協働して、退行流が逆流するのをブロックする。血液の圧力差は、例えば、心室又は心房の収縮、又は、心室又は心房からの血液の排出によって引き起こされる。弁の流入側の圧力が弁の流出側の圧力よりも高くなると、弁尖が開き、そこを通して血液が流れる。血液が弁を通って隣接するチャンバー又は血管に流れると、流入側の圧力は流出側の圧力と等しくなる。弁の流入側の圧力が弁の流出側の圧力を下回るまで低下すると、弁尖は閉止位置に戻り、一般に弁を通る血液の逆流を防ぐ。
【0105】
本明細書で使用されるときに、「流入流体圧力」は、弁の上流位置での流体圧力を指す。「流出流体圧力」は、弁の下流位置での流体圧力を指す。
【0106】
本明細書で使用されるときに、「退行」及び「退行流」は、弁に向かって移動している弁の下流位置での流体流を指す。退行流は、例として、限定するわけではないが、弁の下流にある乱流又は再循環流において、そして、順行流方向からフローパターンを変化させる傾向がある、流出流体圧力を下回って低下している流入流体圧力の圧力遷移中に、遭遇する場合がある。
【0107】
本明細書で使用されるときに、「逆行性」、「逆行」及び「逆行流」は、弁尖が閉止位置にあるときに弁を通る流れを指す。逆流を示している弁は、一般的に漏れていると言われる。逆行流は、弁を通して下流位置から上流位置に流れる流体流であるのに対し、退行流は、必ずしも弁を通して通過しない下流位置における流れである点で、逆行流は退行流とは区別される。
【0108】
本明細書で使用されるときに、「生体適合性材料」という用語は、生体適合性を有する材料を総称的に指し、例えば、限定するわけではないが、生体適合性ポリマーなどの合成材料、又は、限定するわけではないが、ヒト、ウシ及びブタ組織などの生体材料が挙げられる。
【0109】
「自然弁」オリフィス及び「組織オリフィス」という用語は、人工弁を配置できる解剖学的構造を指す。そのような解剖学的構造としては、限定するわけではないが、心臓弁が外科的に除去された場所が挙げられる。人工弁を受け入れることができる他の解剖学的構造としては、限定するわけではないが、静脈、動脈、ダクト及びシャントが挙げられることが理解される。さらに、弁オリフィス部位又は移植部位は、弁を受けることができる合成又は生物学的導管内の位置を指すこともあることが理解される。
【0110】
本明細書で使用されるときに、「結合する」とは、直接的であろうと又は間接的であろうと、永久的であろうと又は一時的であろうと、連結、接続、取り付け、付着、固定又は結合することを意味する。
【0111】
本明細書の実施形態としては、人工弁のための様々な装置、システム及び方法が挙げられ、例えば、限定するわけではないが、心臓弁置換デバイスである。弁は一方向弁として動作可能であり、ここで、弁は、流体差圧に応答して、1つ以上の可撓性弁尖を開いて流れを可能にするように開き、そして、弁オリフィスを閉塞しそして逆行流を防止するように閉じる弁オリフィスを画定している。実施形態によれば、弁尖は、開放弁尖の後ろの流体の動きを増加させ、限定するわけではないが、開放弁尖の後ろの流体停滞及び潜在的な血栓形成の可能性を減らすように構成される。
【0112】
実施形態によれば、1つ以上の可撓性弁尖の各々は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の部分のアパチャ、ギャップ又は分離を介して弁尖を通る弁尖の前部と後部との間の流体の流れ又は交換を可能にする手段を備える。流体のこの流れ又は交換は、弁尖の前から弁尖を通過して弁尖の後ろまで流れる流体を含み、弁尖の後ろにある既存の流体を置き換え、その流体を動かし続けることができる。流体のこの交換はまた、弁尖の後ろから弁尖を通して弁尖の前まで通過する流体を含むこともでき、弁尖の後ろにある既存の流体を置き換え、それを動かし続ける。
【0113】
実施形態によれば、人工弁は、少なくとも1つの弁尖と、前記弁が一方向弁として動作できるように弁尖を支持する支持構造とを含む。以下に提示される実施形態において記載されるように、支持構造はフレームとして記載され、本明細書で例として使用され、支持構造と互換的に使用される。意図された機能のために弁尖を支持するように動作可能である他の支持構造は期待され、限定するわけではないが、導管が挙げられることが理解される。
【0114】
図2A及び2Bは、実施形態による、閉止位置にある人工弁100のそれぞれ斜視図及び軸方向図である。
図2C及び2Dは、実施形態による、開放位置にある人工弁100のそれぞれ斜視図及び軸方向図である。
図2E及び2Fは、それぞれ、切断線2E-2Eに沿った
図2Bの閉止人工弁100、及び、切断線2F-2Fに沿った
図2Dの人工弁100の断面図である。
【0115】
フレーム
図2Aに示すように、フレーム200は、複数の弁尖300を保持及び支持するように動作可能である。フレーム200は、環状であり、すなわち、軸Xを有する管腔214、及び、互いに間隔をあけた、軸Xに平行に延在する複数の交連ポスト210を有するシリンダーを画定している。交連ポスト210間には、弁尖自由端306を除いて、弁尖300と結合し、弁尖300の周囲で弁尖300を支持するように動作可能である弁尖取り付け領域212がある。
【0116】
フレーム200は、フレーム内側202と、前記フレーム内側202の反対側のフレーム外側204とを有するシリンダーを画定している。フレーム200は、複数の交連ポスト210をさらに画定している。
【0117】
本実施形態におけるフレーム200は、軸Xに沿って一定の直径のシリンダーを画定しているが、直径は軸Xに沿って変動しうることが理解される。例えば、限定するわけではないが、組織オリフィスの解剖学的構造及び隣接する上流及び下流の解剖学的構造に、よりよく適合させるために、そのような変動は有利な場合がある。同様に、フレーム200は、必ずしも軸Xに沿って円形である必要はなく、例として、限定するわけではないが、楕円形及びローブ形であることができる。例えば、限定するわけではないが、組織オリフィスの解剖学的構造及び隣接する上流及び下流の解剖学的構造により良く適合させるために、及び/又は、弁を通る及び弁尖の周りの流れ動態を制御するために、そのような変動は有利な場合がある。
【0118】
実施形態によれば、フレーム200は、
図2A~2Dに示されるように、人工弁100の中心長手方向軸Xの周りで環状である。フレーム200は、流入端206と、前記流入端206の反対側の流出端208とを有し、軸Xに沿ってそれらの間に管腔110を画定している。フレーム200は、各弁尖300に対して少なくとも1つの弁尖取り付け領域212を有する。弁尖取り付け領域212は流入部232及び流出部234を有する。
【0119】
フレーム200は、他の適切なプロセスの中でも特に、エッチング、切断、レーザー切断、スタンプ、三次元印刷されて環状構造とし、又は、材料シートとし、次いでシートは環状構造に加工されうる。ワイヤ及びストランドを使用して、環状構造に加工することもできる。
【0120】
フレーム200は、例えば、限定するわけではないが、一般に生体適合性である任意の金属材料又はポリマー材料を含むことができる。フレーム200は、ニッケルチタニウム合金であるニチノールなどの形状記憶材料を含むことができる。フレーム200に適した他の材料としては、限定するわけではないが、他のチタン合金、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、他の合金又はポリマー、エラストマー及びエラストマー材料、他の形状記憶及び/又は超弾性材料、ポリマー及び複合材料、又は、本明細書に記載のとおりの弁尖フレーム200として機能するのに十分な物理的及び機械的特性を有する一般的に生体適合性の任意の他の材料が挙げられる。適切なフレームは様々な材料から作ることができ、生体適合性であるか又は生体適合性にすることができればよい。
【0121】
図2Aは、外科的処置で使用されるように動作可能なフレーム200を示し、ここで、フレーム200は、移植前及び移植後の両方で固定直径を有することが理解される。フレーム200は、経カテーテル処置で使用するように構成されてもよく、ここで、フレーム200は、より小さい展開前直径からより大きな展開後直径まで拡張されうることが理解される。
【0122】
多種多様なフレームは医療技術の分野で知られており、任意の適切なフレームを利用することができる。1つの要件は、フレームが、本明細書に記載されているように弁尖を取り付けてそして機能させることができる表面を提供することである。
【0123】
以下に記載されるように、実施形態によれば、フレームは半径方向に圧縮された構成及び半径方向に拡張された構成を有する。そのようなフレームは、血管内カテーテルを用いたデリバリー及び展開などの低侵襲技術により、体内導管内の治療点に移植することができる。フレームは、場合により、メディカルデバイスに追加機能を提供することができる。例えば、フレームはステント機能を提供することができる、すなわち、メディカルデバイスが移植される血管の内壁に半径方向外向きの力を及ぼすことができる。そのような力を及ぼすフレームを含めることにより、本発明によるメディカルデバイスは、体内の血管内の治療点でステント機能と弁機能の両方を提供することができる。
【0124】
ステント技術は、本発明での使用に許容可能な多数のフレームを提供し、任意の適切なステントをフレームとして使用することができる。選択される特定のフレームは、メディカルデバイスが移植される体内の血管、血管内の治療部位の軸方向の長さ、メディカルデバイスに所望される弁の数、血管の内径、メディカルデバイスを配置するためのデリバリー方法及びその他の考慮事項を含む多くの要因によって決まるであろう。当業者は、これら及び他の考慮事項に基づいて適切なフレームを決定することができる。
【0125】
フレームは自己拡張可能又はバルーン拡張可能とすることができる。これらのタイプのフレームの両方の構造的特徴は当該技術分野で知られており、本明細書では詳述しない。各タイプのフレームには利点があり、任意の所与の用途に関して、様々な考慮事項に基づいて、一方のタイプが他方のタイプよりも望ましい場合がある。例えば、末梢血管系では、血管は一般的に順応性が高く、典型的に、日常的な活動中に断面形状が劇的に変化する。末梢血管系に移植するためのメディカルデバイスは、血管系のこれらの変化に対応するためにある程度の可撓性を保持すべきである。したがって、人工静脈弁などの末梢血管系における移植が意図された本発明によるメディカルデバイスは、有利には、自己拡張可能なフレームを含む。当技術分野で知られているように、これらのフレームは、一般に、展開後のバルーン拡張可能フレームよりも可撓性が高い。
【0126】
適切なフレームは、ワイヤ、ストランド、編組ストランド、螺旋状に巻かれたストランド、リング部材、連続的に取り付けられたリング部材、ジグザグ部材、管状部材、及び、中実チューブ及びフラットシートから切断されたフレームを含む、様々な形状及び構成を有することもできる。実施形態によれば、フレームは、フレームを異なる直径間で圧縮及び拡張させることを可能にするように動作可能なアパチャの概して開放されたパターンを画定しうる。
【0127】
弁尖
図2A~2Fに示されるように、弁尖300はフレーム200の少なくとも1つの弁尖取り付け領域212のそれぞれに結合される。
【0128】
実施形態によれば、弁尖300は、第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を含む。第一の弁尖構成要素310は、第一の流入側312と、前記第一の流入側312の反対側の第一の流出側314とを有し、第一の厚さを画定する。「流入側」という用語は、弁尖300が閉止位置にあるときに、フレーム200の流入端206に面している側である。「流出側」という用語は、弁尖300が閉止位置にあるときに、フレーム200の流出端208に面している側である。第一の弁尖構成要素310は、第一のフレーム取り付け端319及び第一の流出自由端316を有する。
【0129】
第二の弁尖構成要素320は、第二の流入側322と、前記第二の流入側322の反対側の第二の流出側324とを有し、第二の厚さを画定する。第二の弁尖構成要素320は、複数の第二のフレーム取り付け端329、第二の流入自由端327、及び、前記第二の流入自由端327の反対側の第二の流出自由端326を有する。第二の弁尖構成要素320は管腔214を通る順方向の流れ方向に流体を流すことができる開放位置と、逆行流を防止する第一の弁尖構成要素310との協働係合における閉止位置との間で移動可能であるように構成されている。
【0130】
第一の弁尖構成要素310の第一のフレーム取り付け端319は、第一の流入側312が軸Xに面するように弁尖取り付け領域212の流入部分232に結合される。流入部分232は、フレーム200の流入端206に隣接する部分である。
【0131】
第二の弁尖構成要素320の第二のフレーム取り付け端329は、第二の流入側322が軸Xに面するように弁尖取り付け領域212の流出部分234に結合される。流出部分234は、フレーム200の流出端208に隣接する部分である。
【0132】
第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素は、それらが少なくとも部分的にオーバーラップするようにフレーム200上に配置される。第二の流入自由端327に隣接する第二のオーバーラップ領域325は、第一の流出自由端316に隣接する第一のオーバーラップ領域315とオーバーラップし、それにより、弁尖300が閉止位置にあるときに、第二の弁尖構成要素320の第二の流入側322の部分は第一の弁尖構成要素310の第一の流出側314の部分と接触してそしてシーリング係合して、弁尖オーバーラップ領域335を画定し、前記弁尖オーバーラップ領域335は弁尖オーバーラップ領域335で弁尖300を通る逆行流を防ぐように動作可能であり、
図2Eに示すとおりである。
【0133】
図2Fに示すように、弁尖300が閉止位置にないときに、順行流方向402の流体流の間に、流入圧力が流出圧力よりも大きいときに、第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は互いから離れるように動き、ここで、第一の流出自由端316及び第二の流入自由端327はそれらの間にギャップ330を画定する。弁尖300が閉止位置にないときに、第一の弁尖構成要素310と第二の弁尖構成要素320との間に形成されるギャップ330により、第一の流出側314及び第二の流出側324に隣接する流体がギャップ330を通過できるようになり、その時、流体は管腔214を通して順行流方向402に動く。すなわち、弁尖300の後ろからの再循環流406はギャップ330を通過し、再循環流406が弁尖300の後ろに停滞するのを防ぐことができる。さらに、ギャップ330により、流体が第一の流入側312及び第二の流入側322からギャップ330を通過する順行流方向402に流れることができ、弁尖300の後ろの再循環流406をさらに攪乱させ、弁尖300の下流へと移動させる。このように、弁尖300の後ろの血液は特に弁尖基部308及びそれがフレーム200に取り付けられた場所で凝固又は血栓形成する傾向が低い。
【0134】
1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素310は第二の弁尖構成要素320に対して静止しており、それにより、順行流方向402の流体流の間に流体圧力下に、第一の弁尖構成要素310から離れるように動く第二の弁尖構成要素320の間にギャップ330が形成されうる。
【0135】
別の実施形態によれば、第一の弁尖構成要素310は第二の弁尖構成要素320よりも大きい曲げ剛性を有し、それにより、第二の弁尖構成要素320は第一の弁尖構成要素310に対してより速く動くことができ、それにより、順行流方向402の流体流の間に流体圧力下に、第一の弁尖構成要素310から離れるように動く第二の弁尖構成要素320の間にギャップ330が形成されうる。所定の曲げ剛性を提供する例としては、限定するわけではないが、所定の弾性を有する材料を使用すること、及び、所定の厚さの構成要素を提供することが挙げられる。
【0136】
別の実施形態によれば、
図3A及び3Bは、それぞれ、閉止位置にある人工弁100の斜視図及び軸方向図である。
図3C及び3Dは、それぞれ、開放位置にある人工弁100の斜視図及び軸方向図であり、
図3A及び3Bの実施形態による。
図3E及び3Fは、それぞれ、切断線3E-3Eに沿った
図3Bの閉止人工弁100及び切断線3F-3Fに沿った
図3Dの人工弁100の断面図である。第一のオーバーラップ領域315は第一の流入側312から第一の流出側314まで延びている複数のアパチャ350を含み、弁尖300が閉止位置にないときに、順行流方向402における流体流の間に第一の流入側312から第一の流出側314までアパチャ350を通して上流流を通過させるように動作可能である。第一のオーバーラップ領域315におけるアパチャ350は、部分的に、第一の弁尖構成要素310が第二の弁尖構成要素320よりも遅い速度で開放位置に移動することを提供し、それらの間にギャップ330が形成されることを保証する。退行流の間に、弁尖300が閉止位置にあるときに、第二のオーバーラップ領域325はアパチャ350とシーリング係合し、退行流方向404でアパチャ350を通る流体流を防止する。弁尖300が閉止されたときの流体の漏れは、逆行又は逆行流として知られている。
【0137】
別の実施形態によれば、
図4A及び4Bは、それぞれ、閉止位置にある人工弁100の斜視図及び軸方向図である。
図4C及び4Dは、それぞれ、
図4A及び4Bの実施形態による、開放位置にある人工弁100の斜視図及び軸方向図である。
図4E及び4Fは、それぞれ、切断線4E-4Eに沿った
図3Bの閉止人工弁100及び切断線4F-4Fに沿った
図4Dの人工弁100の断面図である。第二のオーバーラップ領域325は第二の流入側322から第二の流出側324まで延びる複数のアパチャ350を含み、弁尖300が閉止位置にないときの流体流の間に、第二の流出側324に隣接する流体が第二の流出側324から第二の流入側322までアパチャ350を通過できるように動作可能である。
【0138】
第二のオーバーラップ領域325のアパチャ350は、第二の流出側324に隣接する流体の流れが第二の流入側322にさらに通過させることができるギャップ330の利点を部分的に増大させる。逆行流の間に、弁尖300が閉止位置にあるときに、第二のオーバーラップ領域325はアパチャ350とシーリング係合し、退行流方向404でアパチャ350を通る流体流を防ぎ、逆行流を防ぐ。
【0139】
図2A、
図3A及び
図4Aの実施形態において、弁尖オーバーラップ領域335は比較的に均一な幅を有する。第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は弁尖オーバーラップ領域335を画定し、前記領域はフレーム200に隣接したところからフレーム200から離れたところまでの幅が比較的に一貫している。
図5は、実施形態による、人工弁100の斜視図であり、ここで、弁尖オーバーラップ領域335は不均一な幅を有する。
図5の実施形態において、第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は、フレーム200に隣接する最小からフレーム200から最も離れた最大まで幅が先細になる弁尖オーバーラップ領域335を画定する。
図5に示されるように、弁尖オーバーラップ領域335は幅及び長さを画定し、ここで、その幅は、凹状プロファイルを有する第一の流出自由端316によって画定される幅に沿って不均一な寸法を有する。第一のオーバーラップ領域315と第二のオーバーラップ領域325との間のオーバーラップの程度によって規定されるオーバーラップ領域335の幅は、とりわけ、弁尖300が閉止位置にあるときに、第二の流入自由端327の脱出を防止し、第一のオーバーラップ領域315と第二のオーバーラップ領域325との間に十分なシーリング係合を確保して、下流の流体圧力による逆行流を防止するために予め定められていることが理解される。特定の下流の流体圧力条件の下で、第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は互いに対して滑る可能性があり、係合が外れる滑りの可能性、又は、オーバーラップ領域335が十分に広くない場合に脱出の可能性がある。フレーム200及び/又は弁尖300は流体圧力下で弾性変形することが理解される。さらに、第一の流出自由端316及び第二の流入自由端327での弾性変形は、フレーム200への取り付け点から離れるほど大きくなり得ることが理解される。したがって、オーバーラップ領域325の幅は、フレーム200によって提供される支持体からさらに離れる変形の増加に適応するように予め決められる。
【0140】
図6Bの実施形態を参照して後述するように、第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は、フレーム200と隣接しそして所定の距離だけフレーム20から離れている第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320の間にオーバーラップがないように幅が先細になっている弁尖オーバーラップ領域335を画定し、所定のサイズの逆行流ギャップ331を画定している。
【0141】
また、第一のオーバーラップ領域315と第二のオーバーラップ領域325との間のオーバーラップの程度は、弁尖300が閉止位置にないときに、ギャップ330のサイズ及び第一の流出自由端316と第二の流入自由端327との間の分離の程度にも影響することも理解される。
【0142】
第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320の相対サイズは特定の目的のために予め決められている。1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素310は、特に第一の弁尖構成要素310が比較的に可撓性がない場合に、フレーム200の管腔214内に過度に延びないように比較的小さく作られ、それにより、開放位置にあるときに人工弁100を通る順行流方向402での流れに対する障害を最小限に抑える。第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320の相対的なサイズは、部分的に、順行流方向402の流れのパターン及び再循環方向の流れのパターン、すなわち、第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320の動態を部分的に決定する再循環流406のパターンの特性を決定することが理解される。いくつかの態様において、第一の弁尖構成要素310が管腔214内にさらに延びると、第二の弁尖構成要素320は、順行流状態の間に開放位置にあるときに、粗動し始めることがあることが発見された。
【0143】
第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320の相対サイズに関連するのは、弁尖基部308の最も上流の位置に対するオーバーラップ領域335の軸方向の位置X1である。一般に、軸方向位置X1は、流入端206から離れ、流出端208に近づくにつれて増加し、第一の弁尖構成要素310は、フレーム200の管腔214内にさらに延び、したがって、順行流方向402における流れの特性に影響を及ぼす。
【0144】
弁尖300の形状は、
図2Aに示されるように、少なくとも部分的に、弁尖取り付け領域212及び弁尖自由端306におけるフレーム200の形状によって画定される。
図2A~2F、3A~3F、4A~4F及び5に示された人工弁100の実施形態において、弁尖300の形状及びフレーム200の対応する弁尖取り付け領域212は、実質的に放物線の形状である。弁尖300は、特定の目的のために予め決められた形状を画定することができる。
図6Aは、フレーム200と、各々が実質的に二等辺台形の形状を画定する第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を有する複数の弁尖300とを有する人工弁102の斜視図であり、実施形態による。実質的に二等辺台形の形状を画定する弁尖300は、放物線のものと比較して改善された曲げ動態を有することが見出された。薄い可撓性弁尖の曲げ動態の改善としては、限定するわけではないが、ヒダ又はしわの減少及び流体圧力の変化に対する開閉応答の高速化が挙げられる。
【0145】
図6Bは、フレーム200と、それぞれが実質的に二等辺台形の形状を画定する第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を有する複数の弁尖300とを有する人工弁102の斜視図であり、実施形態による。第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は弁尖オーバーラップ領域335を画定し、前記オーバーラップ領域はフレーム200に隣接しそしてフレーム200から所定の距離離れてオーバーラップしないように幅が先細になり、所定のサイズの逆行流ギャップ331を画定している。逆行流ギャップ331は、人工弁102が閉止されたときに、所定量の退行流が逆行流ギャップ331を通過することを可能にする。逆行流ギャップ331は、弁尖300が閉止位置にあるときに、逆行流ギャップに隣接するフレーム取り付け位置での第一の流出自由端316及び第二の流入自由端327の挟み込み又は折り目を防ぐように動作可能である。さらに、逆行流ギャップ331は、血栓形成を防止するために、逆行流ギャップ331の位置での流体の停滞の防止を支援しうる。
【0146】
図7は、
図6の実施形態による、フレーム構成要素の形状をよりよく視覚化するために平坦なプロファイルに広げられたフレーム200の平面図である。フレーム200は、2つの弁尖取り付け側部223と、弁尖取り付け基部224とを有する二等辺台形の実質的に3つの辺の形状を有する弁尖取り付け領域212を含む。
【0147】
第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を含む弁尖300は、幾つかの異なる方法で作成することができる。1つの実施形態によれば、各弁尖300は、第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を含む単一の対として作られる。別の実施形態によれば、
図8に示されるように、複数の弁尖300、特に、複数の第二の弁尖構成要素320は、単一の弁尖パターンから作成されうる。例として、複数の弁尖を含む弁尖パターンは、生物学的材料又は合成材料のシリンダーから始めて、弁尖を画定するパターンにシリンダーを切断することにより作成することができる。
【0148】
図8は、複数の第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を含む弁尖パターン360の平面図であり、実施形態による。弁尖パターン360は、弁尖パターン360に切断された材料の平らなシートから作られ、続いて筒形にロールされるか、又はフレーム200の筒形に対応するように筒形構成要素から切断される。別の実施形態によると、弁尖パターン360は、圧縮成形又は射出成形によって形成されうる。第二の弁尖構成要素320は、第二のタブ364を介して一緒に結合されうる。
【0149】
図8を参照すると、第一の弁尖構成要素310は、第一のフレーム取り付け端319及び第一の流出自由端316を含む。第一のフレーム取り付け端319は、1つの実施形態によると、フレーム200の構成要素にラップアラウンド方式で結合する複数の第一のタブ362を含み、
図6の例に示すとおりである。第二の弁尖構成要素320は、第二の流入自由端327、第二の流出自由端326及び第二のフレーム取り付け端329を含む。第二のフレーム取り付け端329は、フレーム200の構成要素にラップアラウンド方式で結合する複数の第二のタブ364を含む。
【0150】
本明細書に記載の実施形態の幾つかは、例として、フレームに結合するタブを含む取り付け端を提供するが、当該技術分野で知られている多くの方法で弁尖をフレームに結合できることを理解及び認識されたい。限定するわけではないが、例として、弁尖は、限定するわけではないが、ポスト、フック及び縫合糸に関連するものなどの機械的要素を使用して、また、限定するわけではないが、熱接着、接着、成形及びクリンピングなどの他の手段を使用して、フレームに結合されうる。本明細書に提示される実施形態は、弁尖及び対応する弁尖構成要素をフレーム又は他の支持構造に結合するために使用される特定の結合手段によって限定されない。
【0151】
上述のように、弁尖300の形状は、少なくとも部分的に、弁尖取り付け領域212及び弁尖自由端306におけるフレーム200の形状によって規定される。弁尖300の形状は、例えば、限定するわけではないが、下記に示す方法などの人工弁100を製造するために使用される方法によって規定されうる。例えば、1つの実施形態によれば、弁尖300の形状は、部分的に、弁尖300に所定の形状を付与するために成形及びトリミング法を使用して弁尖300を製造することによる。
【0152】
図9及び
図10は、それぞれ第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を含む弁尖パターン360の平面図であり、実施形態による。第一の弁尖構成要素310は、第一のフレーム取り付け端319及び第一の流出自由端316を含む。第一のフレーム取り付け端319は、
図2A、6及び
図7に示すように、弁尖取り付け基部224及び2つの弁尖取り付け側部223の少なくとも一部に隣接するフレーム200の構成要素に結合するように動作可能な複数の第一のタブ362を含む。第一のフレーム取り付け端319は、2つの弁尖側部307は弁尖基部308から分岐している点で弁尖側部307の一部及び弁尖基部308の形状を画定する。
図9は破線での弁尖基部308の2つの代替実施形態を示し、
図7のフレーム200に対応する直線状の第一のフレーム取り付け端319a、及び、
図2Aのフレーム200に対応する放物線状弁尖取り付け基部224に適した放物線状の第一のフレーム取り付け端319bである。弁尖300の開閉中に、第一の弁尖構成要素310は弁尖基部308の周りで曲がる。真っ直ぐな第一のフレーム取り付け端319aの周りでの曲がりは、放物線状の第一のフレームの取り付け端319bの周りでの曲げと比較して、第一の弁尖構成要素310のしわ形成及び/又は粗動を減らすことができる、より制御された方法であり得る。
【0153】
第二の弁尖構成要素320は、第二の流入自由端327、第二の流出自由端326及び第二の流入自由端327から分岐する2つの第二のフレーム取り付け端329を含む。第二のフレーム取り付け端329は2つの弁尖取り付け側部223の各々に隣接するフレーム200の構成要素に結合する複数の第二のタブ364を含む。
図6の実施形態に示されるように、
図2Aの実施形態についても同様に、第一の弁尖構成要素310の第一の流出自由端316は、第二の弁尖構成要素320の第二の流入自由端327の第二の流入側部322とオーバーラップするように動作可能であり、それにより、オーバーラップ領域315を画定する。第二の流入自由端327の形状は、第一の流出自由端316の形状及びオーバーラップ領域315の所望の幅によって予め決定され、特定の目的に適している。
【0154】
実施形態によれば、
図2A、3A、4A、5及び
図6Aに例示されるように、第二の弁尖構成要素320は、フレーム200の弁尖取り付け基部224に結合されていない第二の流入自由端327を有し、第二の弁尖構成要素320は
図1Aに示すような放物線状弁尖30の曲げ動態と比較して、曲げ動態が改善されていることが分かった。第二の弁尖構成要素320の曲げ動態の改善の利点としては、限定するわけではないが、ヒダ又はしわの減少、粗動の減少、流体圧力の変化に対する開閉応答の高速化及び耐久性の向上が挙げられる。
【0155】
上述の実施形態において、第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320は、それぞれフレーム200の上流及び下流に概して位置し、
図2Fに示すように、概して、弁尖300を横切って人工弁100の軸Xに対して垂直に延びる単一のギャップ330を画定する。弁尖の後ろでの所定の流れ動態のために、弁尖が1つを超えるギャップ330を備えることが有利な場合がある。
【0156】
図11Aは、フレーム200と、第二の弁尖構成要素620の第二の流入側622にオーバーラップする複数の第一の弁尖構成要素610をそれぞれ有する複数の弁尖630とを有する人工弁600の斜視図であり、実施形態による。
図2E及び2Fの実施形態と同様に、弁尖630が閉止位置にないときに第一の弁尖構成要素610と第二の弁尖構成要素620との間に形成されるギャップ330により、管腔214を通る順行流方向402における流体流の間に、第一の流出側614及び第二の流出側624に隣接する流体がギャップ330を通過できるようになる。すなわち、弁尖630の後ろの再循環流406はギャップ330を通過して、再循環流406が弁尖300の後ろで減速又は停滞するのを防ぐことができる。また、ギャップ330は、順行流方向402の流体流を、第一の流入側612及び第二の流入側622からギャップ330を通過させ、弁尖630の後ろの再循環流406をさらに攪乱させ、弁尖630の下流に移動させることができる。このように、弁尖630の後ろの流体は、特に弁尖基部608及びそれをフレーム200に取り付ける場所で、閉塞又は血栓形成する可能性が低い。この実施形態において、第一の弁尖構成要素610は、予想される流れ条件下で曲げに抗するような高弾性率の材料を含む。第一の弁尖構成要素610は、閉止位置にあるときにオーバーラップ領域625で第二の弁尖構成要素320によって支持されないので、第一の弁尖構成要素610は、脱出を防ぐために閉止位置にあるときの流体の背圧に耐えられなければならない。
【0157】
図12A及び
図13は、それぞれ複数の第一の弁尖構成要素610及び第二の弁尖構成要素620を含む弁尖パターン660の平面図であり、実施形態による。
図12Aを参照すると、第一の弁尖構成要素610のそれぞれは、第一のフレーム取り付け端619及び第一の流出自由端616を含む。第一のフレーム取り付け端619は、フレーム200の構成要素に結合する複数の第一のタブ662を含む。
【0158】
第二の弁尖構成要素620は、複数の第二の流入自由端627、第二の流出自由端626及び3つの第二のフレーム取り付け端629を含む。第二のフレーム取り付け端629は、フレーム200の構成要素に結合する複数の第一のタブ662を含む。第二の弁尖構成要素620に対する各々の第一の弁尖構成要素610の位置合わせは、第一のタブ662上の第一のタブアパチャ611を第二のタブ664上の第二のタブアパチャ621に配置することにより提供される。
【0159】
弁尖630は、複数の第一弁尖構成要素610、この実施形態においては、2つの第一の弁尖構成要素610、及び、第二の弁尖構成要素620を含み、2つの第二の流入自由端627を画定する。第二の弁尖構成要素620は第二のフレーム取り付け端629に沿ってフレーム200に結合される。第一の弁尖構成要素610は、第二の流入自由端627のそれぞれに隣接する第一のフレーム取り付け端619に沿ってフレーム200に結合され、弁尖630が開放されているときにそれらの間にギャップ330を画定する。1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素610の第一の流出自由端616は、第二の流入自由端627の第二の流入側622に隣接して配置され、オーバーラップ領域625を画定する。ギャップ330の特定の位置のために、ギャップ330は、
図11Bに示されるオーバーラップ領域625でシーリング係合して閉止し、弁尖630が閉止位置にあるときに逆行流を防ぐ。
【0160】
図11Aの実施形態によれば、最上流の第二のフレーム取り付け端629aは、第二の流入自由端627に追加の支持体を提供し、それにより、閉止位置にあるときに脱出せず、下流位置の流体圧力に抗する。最上流の第二のフレーム取り付け端629aの長さは、特定の目的に合わせてサイズが決められている。
【0161】
図11Bは、フレーム200と、それぞれが第二の弁尖構成要素620の第二の流出側624にオーバーラップする複数の第一の弁尖構成要素610を有する複数の弁尖630とを有する人工弁600の斜視図であり、実施形態による。第一の弁尖構成要素610の第一の流出自由端616は、第二の流入自由端627の第二の流出側624に隣接して位置し、それとオーバーラップして、オーバーラップ領域625を画定する。ギャップ633は、弁尖630が閉止位置にあるときに、オーバーラップ領域625でシーリング係合で閉止し、逆行流を防ぐ。
図11Cは、弁尖630が閉止位置にあるときの
図11Bの実施形態の切断線11Cに沿った断面図である。
図11Dは、弁尖630が開放位置にあるときの
図11Bの実施形態の切断線11Cに沿った断面図である。弁尖630が閉止位置にないときに第一の弁尖構成要素610と第二の弁尖構成要素620との間に形成されるギャップ330により、順行流方向402の流体流が第一の流入側612及び第二の流入側622からギャップ330を通過できるようにし、弁尖630の後ろの循環流406を攪乱させそして送り出す。このようにして、弁尖630の後ろの血液は、特に弁尖基部608及びそれをフレーム200に取り付ける場所で閉塞又は血栓形成する可能性が低い。 特定の流れ条件下で、ギャップ330により、第一の流出側614及び第二の流出側624に隣接する流体は、管腔214を通る順行流方向402での流体流の間にギャップ330を通過することができる。すなわち、弁尖630の後ろの再循環流406はギャップ330を通過して、再循環流406が弁尖630の後ろで減速又は停滞するのを防ぐことができる。
【0162】
図12Bは、
図13の第二の弁尖構成要素620と協働して使用されうる第一の弁尖構成要素610の別の実施形態である。第一の弁尖構成要素610は、2つの第一のフレーム取り付け端619及び2つの第一の流出自由端616を含む。第一のフレーム取り付け端619は、フレーム200の構成要素に結合する複数の第一のタブ662を含む。この実施形態は、
図12Aの実施形態と類似しており、ここで、2つの第一の弁尖構成要素610は1つの構成要素として一緒に結合されている。
【0163】
図12Cは、
図13の第二の弁尖構成要素620と協働して使用されうる第一の弁尖構成要素610の別の実施形態である。この実施形態は、
図12Bの実施形態に類似しており、ここで、2つの第一の弁尖構成要素610は1つの構成要素として一緒に結合されている。第一の弁尖構成要素610は、2つの第一のフレーム取り付け端619及び2つの第一の流出自由端616を含む。第一のフレーム取り付け端619は、フレーム200の構成要素に結合する複数の第一のタブ662を含む。第一の弁尖構成要素610はテザー要素640をさらに含み、前記テザー要素640は、複数の第一のタブ662により、フレームに2つの第一の流出自由端616を結合する。テザー要素640は、弁尖が閉止位置にあるときに2つの第一の流出自由端616の脱出を防止するように動作可能である。
【0164】
図14は、フレーム200と、それぞれが第二の弁尖構成要素620とオーバーラップする複数の第一の弁尖構成要素610を有する複数の弁尖730とを有する人工弁700の斜視図であり、実施形態による。第二の弁尖構成要素620は比較的狭い最上流の第二のフレーム取り付け端629aを有し、前記フレーム取り付け端629aは、弁尖が閉止位置にないときに2つの第一の弁尖構成要素610と第二の弁尖構成要素620との間に比較的大きなギャップを提供する利点を提供し、一方で、第二の流入自由端627のテザー支持体を提供し、前記テザー支持体は閉止位置にあるときに脱出を防ぎ、下流の流れ圧力に抗する。
【0165】
図15は、フレーム200と、それぞれが2つの第二の流入自由端627を画定する第二の弁尖構成要素620にオーバーラップする1つの第一の弁尖構成要素610を有する複数の弁尖830とを有する人工弁800の斜視図であり、別の実施形態による。第二の弁尖構成要素620は、
図14の実施形態と類似しており、ここで、第二の弁尖構成要素620は、比較的狭い最上流の第二のフレーム取り付け端629aを有し、前記フレーム取り付け端629aは、弁尖が閉止位置にないときに第一の弁尖構成要素610と第二の弁尖構成要素620との間に比較的大きなギャップを提供する利点を提供し、一方で、第二の流入自由端627のテザー支持体を提供し、前記テザー支持体は、閉止位置にあるときに脱出を防止し、下流の流れ圧力に抗する。
【0166】
1つ以上の第一の弁尖構成要素及び1つ以上の第二の弁尖構成要素を有し、第二の弁尖構成要素の流入側又は流出側にオーバーラップ領域がある人工弁の実施形態は、弁尖が開放位置にあるときにそれらの間のギャップを通る流れを提供し、弁尖が閉止位置にあるときにそれらの間のギャップを通る逆行流を防ぐ特定の目的で予め決められていることは理解される。弁尖が閉止位置にないときに、第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素の間に形成されるギャップにより、第一の流出側及び第二の流出側に隣接する流体は、管腔を通る順行方向の流体流の間にギャップを通過することができる。すなわち、弁尖の後ろの再循環流はギャップ330を通過し、再循環流が弁尖の後ろで減速又は停滞するのを防ぐことができる。さらに、ギャップにより、順行流が第一の流入側及び第二の流入側からギャップを通過することができ、弁尖の後ろの再循環流をさらに攪乱させ、弁尖の下流に送り出す。したがって、弁尖の後ろの血液は、特に弁尖がフレームに取り付けられる場所で、閉塞又は血栓形成する可能性が低い。
【0167】
別の実施形態によれば、
図16A~16Fに示すように、人工弁900は、第二の弁尖アパチャ850を画定する第二の弁尖構成要素320と、弁尖930が閉止位置にあるときに第二の弁尖アパチャ850を閉じるように動作可能な第一の弁尖構成要素310とを有する弁尖930を含む。
図16A及び
図16Bは、閉止位置にある人工弁900のそれぞれ斜視図及び軸方向図であり、実施形態による。
図16C及び16Dは、開放位置にある人工弁900のそれぞれ斜視図及び軸方向図であり、実施形態による。
図16E及び16Fは、それぞれ切断線16E-16Eに沿った
図16Bの閉止人工弁900、及び切断線16F-16Fに沿った
図16Dの人工弁900の断面図である。
【0168】
図16Aに示すように、フレーム200は複数の弁尖930を保持及び支持するように動作可能である。フレーム200は環状である、すなわち、軸Xを有する管腔214及び軸Xに平行に延びる、互いに間隔をあけた複数の交連ポスト210を有するシリンダーを画定する。交連ポスト210間には、弁尖930の周囲で弁尖930と結合してこれを支持するように動作可能な弁尖取り付け領域212がある。
【0169】
弁尖930は、第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320を含み、実施形態による。第一の弁尖構成要素310は、第一の流入側312と、前記第一の流入側312の反対側の第一の流出側314とを有し、第一の厚さを画定する。第一の弁尖構成要素310は、第一のフレーム取り付け端319及び第一の流出自由端316を有する。第一の弁尖構成要素310は、弁尖基部308に隣接する第二の弁尖アパチャ850を画定する。
【0170】
第二の弁尖構成要素320は、第二の流入側322と、前記第二の流入側322の反対側の第二の流出側324とを有し、第二の厚さを画定する。第二の弁尖構成要素320は、複数の第二のフレーム取り付け端329と、弁尖930が閉止位置にあるときに第二の弁尖アパチャ850を閉塞するように動作可能であるそれらの間にあるアパチャ閉塞器382とを有する。第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320は、管腔214を通る順行流方向の流体流を可能にする開放位置と、逆行流を防止する協働係合における閉止位置との間で移動可能であるように構成されている。
【0171】
第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素は、それらが少なくとも部分的にオーバーラップするようにフレーム200上に配置される。第二の流入自由端327に隣接する第二のオーバーラップ領域325は、第一の流出自由端316に隣接する第一のオーバーラップ領域315とオーバーラップし、それにより、弁尖300が閉止位置にあるときに、第二の弁尖構成要素320の第二の流入側322の部分は第一の弁尖構成要素310の第一の流出側314の部分と接触しそしてシーリング係合し、
図16Eに示すように、弁尖オーバーラップ領域335で弁尖300を通る逆行流を防ぐように動作可能な弁尖オーバーラップ領域335を画定する。
【0172】
図16Fに示されるように、弁尖930が閉止位置にないときの順行流方向402での流体流の間に、流入圧力が流出圧力よりも大きいときに、第一のオーバーラップ領域315及び第二のオーバーラップ領域325は互いに離れるように動き、ここで、第一の弁尖構成要素310は第二の弁尖アパチャ850の覆いを取り、流体を流すことができる。弁尖300が閉止位置にないときに第二の弁尖構成要素320における第二の弁尖アパチャ850は、第二の流入側322に隣接する流体を第二の弁尖アパチャ850を通過させ、その際、流体は管腔214を通して順行流方向402で移動している。アパチャ閉塞器382は第二の弁尖アパチャ850から下流に移動する。第一の弁尖構成要素310を含む弁尖930の後ろからの再循環流406はアパチャ閉塞器382の前を通過し、弁尖930の後ろで循環流406が停滞するのを防止することができる。したがって、弁尖930の後ろの血液は、特に弁尖基部308及びそれがフレーム200に取り付けられている場所で閉塞又は血栓形成する可能性が低い。
【0173】
弁尖材料
本明細書の幾つかの実施形態によれば、弁尖300は、生物源ではなく、生体適合性ポリマーなど、特定の目的のために十分に柔順で強い生体適合性材料を含むことができる。幾つかの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320は同じ材料を含み、同じ材料特性を示す。他の実施形態によれば、第一の弁尖構成要素310は第二の弁尖構成要素320より大きい曲げ剛性を有する。所定の曲げ剛性を提供する例としては、限定するわけではないが、所定の弾性率を有する材料を使用すること、及び、所定の厚さの構成要素を提供することが挙げられる。
【0174】
1つの実施形態において、弁尖300は、複合材料を形成するためにエラストマー又はエラストマー材料と組み合わされた膜を含む。他の実施形態によれば、弁尖300を構成する生体適合性材料は生物材料を含み、前記材料としては、例えば、限定するわけではないが、ヒト、ウシ及びブタ組織などが挙げられる。
【0175】
弁尖300は、生体適合性ポリマーなど、十分に柔順で可撓性のある任意の生体適合性材料を含むことができる。第一の弁尖構成要素310及び第二の弁尖構成要素320のいずれか又は両方は、複合材料を形成するためにエラストマー又はエラストマー材料と組み合わされた膜を含むことができる。弁尖300は、1つの実施形態によれば、フィブリルのマトリックス内に複数の空間を含む延伸フルオロポリマー膜とエラストマー材料とを含む複合材料を含むことができる。本開示の範囲内に留まりながら、複数のタイプのフルオロポリマー膜及び複数のタイプのエラストマー材料を組み合わせて複合材料を形成できることを理解されたい。エラストマー材料は、本開示の範囲内に留まりながら、複数のエラストマー、複数のタイプの非エラストマー成分を含むことができ、無機フィラー、治療薬、放射線不透過性マーカーなどのようなものを含むことも理解されたい。
【0176】
1つの実施形態によれば、複合材料は、例えばBacinoの米国特許第7,306,729号明細書に一般的に記載されているような多孔質ePTFE膜から作られた延伸フルオロポリマー材料を含む。
【0177】
記載された延伸フルオロポリマー材料を形成するために使用される延伸性フルオロポリマーは、PTFEホモポリマーを含むことができる。別の実施形態において、PTFE、延伸性変性PTFE及び/又はPTFEの延伸コポリマーのブレンドを使用することができる。適切なフルオロポリマー材料の非限定的な例は、例えば、Brancaの米国特許第5,708,044号明細書、Baillieの米国特許第6,541,589号明細書、Sabolらの米国特許第7,531,611号明細書、及び、Fordの米国特許出願第11/906,877号明細書及びXuらの米国特許出願第12/410,050号明細書に記載されている。
【0178】
延伸フルオロポリマー膜は、所望の弁尖性能を達成するために、細孔などの任意の適切な微細構造を含むことができる。弁尖での使用に適することができる他の生体適合性ポリマーとしては、限定するわけではないが、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、シリコン-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素重合体及びそれらの各々のコポリマー又は混合物の群が挙げられる。
【0179】
実施形態によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)及びペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)のコポリマー(TFE-PMVEコポリマー)、ウレタン、ポリイミド、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、3D印刷可能な金属及びポリマー(ステンレス鋼、チタンなど)ナイロン、又は、寸法的に安定しておりそして汚染物を吸い取らない長期の血液接触に適したその他の生体適合性材料から形成されうる。
【0180】
弁尖構築物の材料のさらなる例は以下のものを含む。ここで、弁尖構築物は少なくとも1つのフルオロポリマー膜層を含む。弁尖構造体は、1超のフルオロポリマー膜層を有するラミネートを含む。少なくとも1つのフルオロポリマー膜層は延伸フルオロポリマー膜層である。エラストマー、エラストマー性の非エラストマー、又は、TFE-PMVE材料のコポリマーは延伸フルオロポリマー膜層内に含まれる。エラストマー又はエラストマー材料は、ペルフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレンを含む。延伸フルオロポリマー膜層はePTFEを含む。弁尖構造体は、複数の細孔を有する少なくとも1つのフルオロポリマー膜層と、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜層の細孔に存在するエラストマー又はエラストマー材料とを有する複合材料を含む。複合材料は、質量基準で約10%~90%の範囲のフルオロポリマー膜を含む。エラストマーは(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む。エラストマー又はエラストマー材料は、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルのコポリマーを含む。エラストマーはシリコーンである。エラストマーはフルオロエラストマーである。エラストマーはウレタンである。そして、エラストマー又はエラストマー材料はTFE/PMVEコポリマーである。TFE/PMVEコポリマーは、本質的に約40~80質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルと、相補的に60~20質量パーセントのテトラフルオロエチレンとを含む。そして、弁尖構造体はシリコーンを含む。
【0181】
弁尖は、フレームに取り付けられたシートなどの材料のセクションを含む。弁尖は、任意の適切な材料から形成することができ、生体適合性であるか、又は、生体適合性にすることができればよい。材料は、有利には、可撓性材料から形成することができる。弁尖に適した材料の例としては、天然材料、合成材料及び天然材料と合成材料の組み合わせが挙げられる。適切な天然材料の例としては、小腸粘膜下組織(SIS)などの細胞外マトリックス(ECM)材料、及び、ウシ心膜などの他の生体再構築可能材料が挙げられる。本発明の人工弁に使用できるECM材料の他の例としては、胃粘膜下組織、肝臓基底膜、膀胱粘膜下組織、組織粘膜及び硬膜が挙げられる。適切な合成材料の例としては、延伸ポリテトラフルオロエチレン及びポリウレタンなどのポリマー材料が挙げられる。ECM材料は、少なくとも再構築して隣接組織に組み込まれる能力があるため、弁尖で使用するのに特に適した材料である。これらの材料は、細胞内方成長が起こる足場を提供することができ、最終的には材料を宿主細胞の構造へと再構築することができる。
【0182】
実施形態によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は、多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在するエラストマー材料を含み、それにより、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は不透過性である。さらに、別の実施形態において、多孔質ポリマー膜は延伸ポリテトラフルオロエチレンである。さらに、別の実施形態において、エラストマー材料はエラストマーである。さらに、別の実施形態において、エラストマー材料はTFE/PMVEコポリマーである。さらに、別の実施形態において、エラストマーはTFE/PMVEコポリマーである。
【0183】
1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は、多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在するエラストマーを含み、それにより、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は不透過性である。さらに、別の実施形態において、多孔質ポリマー膜は延伸ポリテトラフルオロエチレンである。さらに、別の実施形態において、エラストマーはTFE/PMVEコポリマーである。
【0184】
1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素は、多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在するエラストマー材料を含み、それにより、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素はそれぞれ、不透過性である。
【0185】
1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜及び前記延伸ポリテトラフルオロエチレン膜の細孔内に存在するTFE/PMVEコポリマーを含み、それにより、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素はそれぞれ、不透過性である。
【0186】
1つの実施形態によれば、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の少なくとも一方は、生体組織を含む。
【0187】
1つの実施形態によれば、人工弁は、フレームと、それぞれが第二の弁構成要素とオーバーラップする1つ以上の第一の弁構成要素を含む複数の弁尖とを備える。フレームは、流入端、流出端及び弁尖取り付け部分を含む。各第一の弁尖構成要素は第一の流入端部分及び第一の流出端部分を含み、第一の流入端部分は、フレームの流入端に隣接する弁尖取り付け部分に結合されている。第二の弁尖部分は、第二の流入端部分、第二の流出端部分、複数の側部取り付け部分、管腔に面する側及びフレームに面する側を有する。少なくとも2つの側部取り付け部分はフレームの弁尖取り付け部分に結合されている。第一の弁尖の流出端部の一部は、管腔に面する側で弁尖の第二の弁尖流入端部分の一部とオーバーラップし、オーバーラップ領域を画定する。弁尖は、管腔を通る順行方向における流体流を可能にする開放位置と、フレームを通る退行方向における流体流を防止するオーバーラップ領域でシーリング係合して弁構成要素と協働的に係合する閉止位置との間を移動できる。オーバーラップ領域の間にギャップが形成され、フレームを通る順行方向における流体流の間にそこを通る流体流を可能にする。
【0188】
別の実施形態によれば、人工弁は第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む。第二の弁尖構成要素は、第一の弁尖構成要素の下流に配置されている。第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は、下流に延びる第一の方向において人工弁を通る順行流体流を可能にし、上流に延びる反対方向に人工弁を通る退行流体流を防止するように構成された動作可能な係合状態にあり、人工弁を通る順行流体流の間に、第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素によって規定されるギャップの間の流体流を可能にするように構成された動作可能な係合状態にある。
【0189】
別の実施形態によれば、人工弁は、フレームと、前記フレームに結合された弁尖構成要素を含み、人工弁を通って流体が第一の方向における順行流となるのを可能にする第一の位置と、人工弁を通る第一の方向と反対の第二の方向における退行流を阻害する第二の位置との間で移動可能である。弁尖構成要素は、順行流中にアパチャを開き、順行流中にそこを通る流体流を可能にし、退行流中にアパチャを閉止するための手段を含む。
【0190】
別の実施形態によれば、人工弁は、フレームと、前記フレームに結合された弁尖とを含み、人工弁を通る順行流を可能にする第一の位置と、人工弁を通る退行流を防止する第二の位置との間で移動可能である。弁尖構成要素は、人工弁を通る順行流中に再循環流を可能にするために開きそして人工弁を通る退行流を防ぐために閉じるように動作可能な再循環アパチャを含む。
【0191】
別の実施形態によれば、人工弁は、フレームと、前記フレームに結合された第一の弁尖構成要素、及び、前記フレームに結合されそして第一の弁尖構成要素と少なくとも部分的にオーバーラップしてオーバーラップ領域を画定する第二の弁尖構成要素を含む。第二の弁尖構成要素は、第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素をオーバーラップ領域でシーリング係合させ、人工弁を通る退行流を防止するようにする第一の位置と、人工弁を通る順行流を可能にし、第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素をオーバーラップ領域で分離し、再循環アパチャを通る再循環流を可能にする再循環アパチャを画定する第二の位置との間で移動可能である。
【0192】
別の実施形態によれば、人工弁は、フレームと、少なくとも1つの弁尖とを含む。フレームは、流入端と、前記流入端の反対側である流出端とを有し、軸を画定する管腔を画定する。フレームは、流入部分及び流出部分を有する少なくとも1つの弁尖取り付け領域を有する。弁尖は、少なくとも1つの弁尖取り付け領域のそれぞれに結合される。各弁尖は、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む。各第一の弁尖構成要素は、第一の流入側と、前記第一の流入側の反対側の第一の流出側と、第一のフレーム取り付け端と、第一の流出自由端とを有する。第二の弁尖構成要素は、第二の流入側と、前記第二の流入側の反対側の第二の流出側とを有する。第二の弁尖構成要素は、複数の第二のフレーム取り付け端、少なくとも1つの第二の流入自由端及び前記少なくとも1つの第二の流入自由端の反対側の第二の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、管腔を通る順行方向における流体流を可能にする開放位置と、管腔を通る退行方向における流体流を防ぐ少なくとも1つの第一の弁尖構成要素と協働係合での閉止位置との間で移動可能である。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素の第一のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の流入部分に結合され、第一の流入側は軸に面している。第二の弁尖構成要素のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の少なくとも流出部分に結合され、第二の流入側は軸に面している。ここで、第二の流入自由端の第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にあるときに少なくとも1つの第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端の第一のオーバーラップ領域にオーバーラップし、弁尖オーバーラップ領域を画定し、退行方向で管腔を通る流体流を防止する。ここで、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、それらと接触せず、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端及び第二の流入自由端は、弁尖が閉止位置にないときにそれらの間にギャップを画定する。ここで、第二の流出側に隣接する流体は、順行方向における流体流の間にギャップを通過できる。
【0193】
別の実施形態によれば、人工弁は、フレーム及び複数の弁尖を含む。フレームは、流入端と、前記流入端の反対側の流出端とを有し、それらの間に軸を規定する管腔を画定する。フレームは、流入部及び流出部を有する少なくとも1つの弁尖取り付け領域を有する。弁尖のそれぞれは、少なくとも1つの弁尖取り付け領域のそれぞれに結合されている。少なくとも1つの弁尖は、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素は、第一の流入側と、前記第一の流入側の反対側の第一の流出側とを有する。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素は、第一のフレーム取り付け端及び第一の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、第二の流入側と、前記第二の流入側の反対側の第二の流出側を有する。第二の弁尖構成要素は、複数の第二のフレーム取り付け端、少なくとも1つの第二の流入端、及び、前記少なくとも1つの第二の流入自由端の反対側の第二の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、管腔を通る順行方向における流体流を可能にする開放位置と、管腔を通る退行方向における流体流を防ぐ、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素と協働的に係合する閉止位置との間で移動可能である。各第一の弁尖構成要素の第一のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の流入部に結合されており、第一の流入側が軸に面している。第二の弁尖構成要素のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の少なくとも流出部に結合されており、第二の流入側が軸に面している。第二の流入自由端に隣接する第二の弁尖構成要素の第二のオーバーラップ領域は、第一の流出自由端に隣接する第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域とオーバーラップし、それにより、弁尖が閉止位置にあるときにそれらはシーリング係合して、管腔を通る退行方向における流体流を防ぐ弁尖オーバーラップ領域を画定する。ここで、各第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は接触せず、各第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端及び第二の流入自由端は、弁尖が閉止位置にないときにそれらの間にギャップを画定し、第二の流出側に隣接する流体は、順行方向における流体流の間にギャップを通過することができる。
【0194】
実施形態によれば、弁は、単独で又は組み合わせで、以下の特性を備えることができる。
【0195】
弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の前部と後部との間で流体の流れ又は交換を可能にする手段を含むことができる。前記流体の流れ又は交換は、弁尖の部分のアパチャ、ギャップ又は分離を介して、弁尖を通過することができる。前記アパチャ、ギャップ又は分離は、弁尖が閉止位置にあるときに、弁尖の後部と前部との間の流体の流れ又は交換を防ぐために閉じるように動作可能であることができる。
【0196】
弁は、フレーム又は導管などの支持構造を含むことができ、ここで、弁尖は支持構造に結合されている。
【0197】
弁尖は、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含むことができる。
【0198】
第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は支持構造に結合されうる。
【0199】
第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の上流にあることができる。
【0200】
第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の下流にあることができる。
【0201】
前記流体の流れ又は交換は、弁尖が閉止位置にないときに、第一及び第二の構成要素のアパチャ、ギャップ又は分離を介することができる。
【0202】
幾つかの実施形態において、第二の弁尖構成要素は流入自由端を含み、第二の弁尖構成要素と支持構造との間のギャップを画定する。幾つかの実施形態において、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素は、それを通るアパチャを画定し、第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素の他方はアパチャを閉塞するように動作可能である。
【0203】
第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素は部分的にオーバーラップすることができる。
【0204】
弁尖が閉止位置にあるときに、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素のそれぞれの第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、互いにシーリング係合することができる。第一の弁尖構成要素は第一のオーバーラップ領域を含み、第二の弁尖構成要素は第二のオーバーラップ領域を含むことができ、第一及び第二の弁尖構成要素が互いにシーリング係合するときに、第一及び第二のオーバーラップ領域は一緒に弁尖オーバーラップ領域を画定する。
【0205】
第一及び第二のオーバーラップ領域は、それぞれの弁尖構成要素の自由端から延びることができる。
【0206】
第一のオーバーラップ領域は、流出自由端から延び、典型的にはそこから上流に延びることができる。第二のオーバーラップ領域は、流入自由端から延び、典型的にはそこから下流に延びることができる。
【0207】
第一及び第二の弁尖構成要素は、退行流の作用下で、流体圧力によって互いにシーリング係合とすることができる。
【0208】
第一の弁尖構成要素は、第二の弁尖構成要素に対して静止していてよく、又はその逆であってもよい。第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素は支持構造に対して相対的に静止していてもよい。
【0209】
第一の弁尖構成要素は、第二の弁尖構成要素よりもゆっくりと動くように構成されても、又はその逆でもよい。幾つかの実施形態において、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の下流にあり、第二の弁尖構成要素は第一の弁尖構成要素よりもゆっくり動くように構成される。幾つかの実施形態において、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素の上流にあり、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素よりもゆっくり動くように構成される。
【0210】
幾つかの実施形態において、第一の弁尖構成要素は第二の弁尖構成要素よりも高い又は低い曲げ剛性を有することができる。
【0211】
第一の弁尖構成要素は第一のオーバーラップ領域にアパチャを含むことができる。幾つかの実施形態において、第二の弁尖構成要素は第二のオーバーラップ領域にアパチャを含むことができる。順行流(すなわち、下流流)の間に、第一又は第二のオーバーラップ領域におけるアパチャは、少なくとも部分的に、それぞれの第一又は第二の弁尖構成要素が他方の前記弁尖構成要素よりも遅い速度で開放位置に移動し、それにより、それらの間にギャップを形成することを提供できる。
【0212】
幾つかの実施形態において、アパチャは第一の又は第二のオーバーラップ領域に設けられて、逆行血流を増大する。幾つかの実施形態において、よりゆっくりと動くように構成された弁尖構成要素は、そのオーバーラップ領域にアパチャを備えている。幾つかの実施形態において、より迅速に動くように構成された弁尖構成要素は、そのオーバーラップ領域にアパチャを備えている。
【0213】
第一又は第二のオーバーラップ領域におけるアパチャは、弁尖が閉止位置にあるときに、退行性血流の間に、他方の前記オーバーラップ領域によってシールされうる。
【0214】
弁尖オーバーラップ領域は任意の適切な形状又は構成のものであってよい。幾つかの実施形態において、弁尖オーバーラップ領域は、支持構造に向かって幅が先細になっている。例えば、幾つかの実施形態において、支持構造において、そして場合により、支持構造から離れた所定の距離までオーバーラップはない。
【0215】
幾つかの実施形態において、弁尖が閉止位置にあるときに、第一及び第二の弁尖構成要素の間に所定のサイズの逆流ギャップ(単数又は複数)が存在し、例えば支持構造から離れて延在している。逆流ギャップ(単数又は複数)は、弁が閉止されているときに、所定量の退行流がそこを通過することを可能にする。
【0216】
第一及び第二の弁尖構成要素の相対サイズは、弁尖オーバーラップ領域の軸方向位置を決定しうる。
【0217】
弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、複数(例えば、2つ又は3つ以上)のアパチャ、ギャップ又は分離を介して流体の流れ又は交換を提供しうる。
【0218】
弁尖は複数の第一の弁尖構成要素を含むことができる。弁尖は、複数の流出自由端を含む第一の弁尖構成要素を含むことができる。
【0219】
幾つかの実施形態において、第二の弁尖構成要素は複数の流入自由端を含むことができ、複数の第一の弁尖構成要素又は自由端の1つに対応する、第二の弁尖構成要素及び支持構造との間の複数のギャップを画定する。
【0220】
幾つかの実施形態において、第二の弁尖構成要素は、それを通る複数のアパチャを画定する。第一の弁尖構成要素は、前記アパチャを閉塞するように動作可能であることができ、又は、前記複数の第一の弁尖構成要素のうちの1つは、各前記アパチャを閉塞するように動作可能であることができる。
【0221】
複数の流出自由端(複数の第一の弁尖構成要素又は複数の流出自由端を有する第一の弁尖構成要素のいずれか)がある場合に、弁尖は、前記流出自由端を結合するテザー要素を含むことができる。テザー要素は脱出を防ぐことができる。
【0222】
弁尖は、多孔質ポリマー膜と、前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料を含むことができ、それにより、前記又は各弁尖は不透過性である。
【0223】
多孔質ポリマー膜は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマーであることができ、又は、ポリエチレンなどのポリマーであることができる。
【0224】
細孔内に存在する材料は、エラストマー又はエラストマー材料であってよく、又は、非エラストマー材料であってもよい。細孔内に存在する材料は、TFE/PMVEコポリマーであることができる。
【0225】
弁尖は、代替的又は追加的に、生体弁組織又はブタ組織などの生体組織を含むことができる。
【0226】
弁が1つ以上の第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む場合に、前記又は各第一の弁尖構成要素及び/又は第二の弁尖構成要素は、前記多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料を含むことができ、それにより、前記又は各第一の弁尖構成要素及び/又は第二の弁尖構成要素は不透過性である。
【0227】
幾つかの実施形態において、第一の弁尖構成要素(単数又は複数)及び第二の弁尖構成要素のうちの少なくとも一方は生体組織を含む。
【0228】
弁尖は任意の適切な形状又は構成を有してよい。例えば、弁尖の形状及び対応する支持構造への取り付け領域の形状は、一般に、放物線又は二等辺台形の形状であることができる。
【0229】
弁は、複数の弁尖、例えば、2つの弁尖、3つの弁尖又は4つの弁尖を含むことができる。弁は、3つの弁尖を含むことができる。
【0230】
各弁尖は、弁尖自由端を含むことができる。弁尖自由端は、流出(すなわち、退行)流体圧力の影響下で接合することができ、これにより、弁を閉止する。
【0231】
弁は人工弁であることができる。弁は人工心臓弁であることができる。
【0232】
弁は、第一の弁尖構成要素、及び、前記第一の弁尖構成要素の下流に配置された第二の弁尖構成要素を含む弁尖を含むことができ、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は、下流に延びる第一の方向に人工弁を通る順行流体流を可能にするように構成された動作可能な係合状態にあり、そして、上流に延びる反対方向に人工弁を通る逆行流体流を防ぎ、順行方向流体流の間に人工弁を通して第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素によって画定されるギャップ間の流体流を可能にするように構成された動作可能な係合状態にある。
【0233】
弁は、フレームと、前記フレームに結合された第一の弁尖構成要素と、前記フレームに結合され、前記第一の弁尖構成要素に少なくとも部分的にオーバーラップしてオーバーラップ領域を画定する第二の弁尖構成要素とを含む、弁尖とを含むことができ、前記第二の弁尖構成要素は、第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素をオーバーラップ領域でシーリング係合とし、人工弁を通る逆行流を防止する第一の位置と、人工弁を通る順行流を可能にし、オーバーラップ領域で第一の弁尖構成要素と第二の弁尖構成要素を分離して、再循環アパチャを画定し、前記再循環アパチャを通して再循環流を可能にする第二の位置との間で移動可能である。
【0234】
弁は、フレームと、前記フレームに結合され、流体が人工弁を通って第一の方向に順行流することを可能にする第一の位置と、人工弁を通って前記第一の方向と反対側の第二の方向に逆行流することを妨げる第二の位置との間で移動可能である弁尖構成要素を含む弁尖とを含むことができ、前記弁尖構成要素は、順行流の間にアパチャを開き、順行流の間に流体流を可能にし、逆行流の間にアパチャを閉じるための手段を含む。
【0235】
弁は、フレームと、前記フレームに結合され、流体が人工弁を通って順行流することを可能にする第一の位置と、人工弁を通って逆行流することを妨げる第二の位置との間で移動可能である弁尖とを含むことができ、前記弁尖は、人工弁を通る順行流の間にそれを通る再循環流を可能にするために開放するように動作可能であり、かつ、人工弁を通る逆行流がそれを通るのを防ぐために閉止するように動作可能である再循環アパチャを含む。
【0236】
自然弁の閉鎖不全症又は弁不全に関連する診断状態又は疾患を有するヒト患者を治療するための方法であって、自然弁の位置に人工弁を移植することを含む方法。人工弁は、フレームと複数の弁尖とを含む。フレームは、流入端と、前記流入端の反対側の流出端とを有し、それらの間に軸を規定する管腔を画定する。フレームは、流入部及び流出部を有する少なくとも1つの弁尖取り付け領域を有する。各弁尖は、少なくとも1つの弁尖取り付け領域のそれぞれに結合されている。少なくとも1つの弁尖は、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素は、第一の流入側と、前記第一の流入側の反対側の第一の流出側とを有する。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素は、第一のフレーム取り付け端及び第一の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、第二の流入側と、前記第二の流入側の反対側の第二の流出側とを有する。第二の弁尖構成要素は、複数の第二のフレーム取り付け端、少なくとも1つの第二の流入自由端及び少なくとも1つの第二の流入自由端の反対側の第二の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、管腔を通る順行方向における流体流を可能にする開放位置と、管腔を通る退行方向における流体流を防ぐ、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素と協働係合する閉止位置との間で移動可能である。各第一の弁尖構成要素の第一のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の流入部に結合されており、第一の流入側が軸に面している。第二の弁尖構成要素のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の少なくとも流出部分に結合されており、第二の流入側が軸に面している。第二の流入自由端に隣接する第二の弁尖構成要素の第二のオーバーラップ領域は、第一の流出自由端に隣接する第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域にオーバーラップし、それにより、弁尖が閉止位置にあるときにそれらはシーリング係合して、退行方向で管腔を通る流体流を防ぐ弁尖オーバーラップ領域を画定する。各第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にないときに、接触せず、各第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端及び第二の流入自由端はそれらの間にギャップを画定し、第二の流出側に隣接する流体は、順行方向における流体流の間にギャップを通過できる。
【0237】
自然弁の閉鎖不全症又は弁不全に関連する診断状態又は疾患を有するヒト患者の治療に関連する血栓の発生を減らすか、又は血栓形成を減らす方法であって、自然弁の位置に人工弁を移植することを含む方法。人工弁は、フレームと複数の弁尖とを含む。フレームは、流入端と、前記流入端の反対側の流出端とを有し、それらの間に軸を規定する管腔を画定する。フレームは、流入部及び流出部を有する少なくとも1つの弁尖取り付け領域を有する。各弁尖は、少なくとも1つの弁尖取り付け領域のそれぞれに結合されている。少なくとも1つの弁尖は、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素は、第一の流入側と、前記第一の流入側の反対側の第一の流出側とを有する。少なくとも1つの第一の弁尖構成要素は、第一のフレーム取り付け端及び第一の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、第二の流入側と、前記第二の流入側の反対側の第二の流出側とを有する。第二の弁尖構成要素は、複数の第二のフレーム取り付け端、少なくとも1つの第二の流入自由端及び少なくとも1つの第二の流入自由端の反対側の第二の流出自由端を有する。第二の弁尖構成要素は、管腔を通る順行方向における流体流を可能にする開放位置と、管腔を通る退行方向における流体流を防ぐ、少なくとも1つの第一の弁尖構成要素と協働係合する閉止位置との間で移動可能である。各第一の弁尖構成要素の第一のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の流入部に結合されており、第一の流入側が軸に面している。第二の弁尖構成要素のフレーム取り付け端は、弁尖取り付け領域の少なくとも流出部分に結合されており、第二の流入側が軸に面している。第二の流入自由端に隣接する第二の弁尖構成要素の第二のオーバーラップ領域は、第一の流出自由端に隣接する第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域にオーバーラップし、それにより、弁尖が閉止位置にあるときにそれらはシーリング係合して、退行方向で管腔を通る流体流を防ぐ弁尖オーバーラップ領域を画定する。各第一の弁尖構成要素の第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にないときに、接触せず、各第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端及び第二の流入自由端はそれらの間にギャップを画定し、第二の流出側に隣接する流体は、順行方向における流体流の間にギャップを通過できる。
【0238】
用途
本明細書で提供される実施形態の人工弁は、人工心臓弁として使用することができる。この能力において、人工弁は、自然の心臓弁と併置されたオリフィスに配置され、又は切除された心臓弁の代わりに配置され、心臓を通る血流を調整する。弁尖は、例えば
図2Bに示されるように、心臓が血液を動脈又は静脈を通して順行流方向402に押し出す収縮期の間に、第一の位置に移動すると考えられる。拡張期の間に、弁尖300は、
図2Aに示される閉止位置に移動して、退行流と呼ばれる第二の反対方向における流体流を実質的に防止する。収縮期から拡張期への変化の間に圧力の変化及び流れの方向の反転が起こり、弁尖300はこれらの変化に応答して位置を変えると考えられる。
【0239】
本明細書で提供される実施形態の人工弁は人工静脈弁としても使用することができる。この能力において、人工弁は静脈内に配置され、静脈を通る血流を調節する。
【0240】
1つの実施形態によれば、人工弁を製造する方法は、弁尖フレーム、ならびに、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む弁尖を得ることを含む。弁尖フレームの入り口部分に隣接して第一の弁尖構成要素を結合する。弁尖フレームの出口部分に隣接して第二の弁尖構成要素を結合し、それにより、第二の弁尖構成要素の第二の流入自由端の第二のオーバーラップ領域が第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端の第一のオーバーラップ領域にオーバーラップするようにし、それにより、弁尖が閉止位置にあるときに、第二の弁尖構成要素の第二の流入側の部分は、第一の弁尖構成要素の第一の流出側の部分と接触しそしてシーリング係合して、弁尖オーバーラップ領域を画定し、退行方向における管腔を通る流体流を防止する。そして、第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にないときに、接触せず、第一の流出自由端及び第二の流入自由端はそれらの間にギャップを画定し、第二の流出側に隣接する流体は、順行方向における流体流の間にギャップを通過する。
【0241】
装置及び/又は方法の構造及び機能の詳細と共に様々な代替形態を含む、多くの特徴及び利点を上述の記載に示してきた。本開示は例示のみを目的とするものであり、網羅的なものと意図されない。特に構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ及び部品の配置に関して、本開示の原理内での組み合わせを含めて様々な変更を、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広範で一般的な意味によって示される最大限度まで行うことができることは当業者に明らかであろう。これらの様々な変更が添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しない限り、かかる変更はそこに含まれることが意図されている。
(態様)
(態様1)
弁を通る順行流を可能にする開放位置と、弁を通る逆行流を防止する閉止位置との間で移動可能な弁尖を有する弁であって、前記弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の部分のアパチャ又はギャップ又は分離を備え、それにより、弁尖の前部と後部との間の流体の流れ又は交換を可能にする、弁。
(態様2)
前記アパチャ、ギャップ又は分離は、前記弁尖が閉止位置にあるときに、弁尖の後部と前部との間の流体の流れ又は交換を防ぐために閉止するように動作可能である、態様1記載の弁。
(態様3)
支持構造を含み、弁尖は前記支持構造に結合されている、態様1又は2記載の弁。
(態様4)
前記弁尖は、第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む、態様1~3のいずれか1項記載の弁。
(態様5)
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素の上流にあり、又は、前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素の下流にある、態様4記載の弁。
(態様6)
前記流体の流れ又は交換は、前記弁尖が閉止位置にないときに、第一の構成要素及び第二の構成要素のアパチャ、ギャップ又は分離による、態様4又は5記載の弁。
(態様7)
前記第二の弁尖構成要素は流入自由端を含み、前記第二の弁尖構成要素と前記支持構造との間のギャップを画定する、態様3に従属する態様4~6のいずれか1項記載の弁。
(態様8)
前記第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素はそれを通るアパチャを画定し、前記第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素の他方はアパチャを塞ぐように動作可能である、態様4~7のいずれか1項記載の弁。
(態様9)
前記第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素は部分的にオーバーラップしている、態様4~8のいずれか1項記載の弁。
(態様10)
前記第一の弁尖構成要素は第一のオーバーラップ領域を含み、前記第二の弁尖構成要素は第二のオーバーラップ領域を含み、前記第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、弁尖が閉止位置にあるときに、互いにシーリング係合する、態様9記載の弁。
(態様11)
前記第一のオーバーラップ領域及び第二のオーバーラップ領域は、それぞれの第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の自由端から各々延びている、態様10記載の弁。
(態様12)
前記第一のオーバーラップ領域は第一の弁尖構成要素の流出自由端から延び、前記第二のオーバーラップ領域は第二の弁尖構成要素の流入自由端から延びている、態様11記載の弁。
(態様13)
前記第一の弁尖構成要素は第一のオーバーラップ領域にアパチャを含み、又は、前記第二の弁尖構成要素は第二のオーバーラップ領域にアパチャを含む、態様10~12のいずれ1項記載の弁。
(態様14)
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素に対して静止している、又は、その
逆である、態様4~13のいずれ1項記載の弁。
(態様15)
前記第一の弁尖構成要素又は第二の弁尖構成要素は前記支持構造に対して静止している、態様3に従属する態様4~13のいずれか1項記載の弁。
(態様16)
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素よりもゆっくり動くように構成されている、態様4~13のいずれか1項記載の弁。
(態様17)
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素よりも高い曲げ剛性を有する、態様16記載の弁。
(態様18)
前記第一の弁尖構成要素は前記第二の弁尖構成要素の上流にある、態様16又は17記載の弁。
(態様19)
前記第二の弁尖構成要素は前記第一の弁尖構成要素よりもゆっくりと動くように構成されている、態様4~13のいずれか1項記載の弁。
(態様20)
前記第二の弁尖構成要素は前記第一の弁尖構成要素よりも高い曲げ剛性を有する、態様19記載の弁。
(態様21)
前記第二の弁尖構成要素は前記第一の弁尖構成要素の上流にある、態様19又は20記載の弁。
(態様22)
前記第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素はオーバーラップし、前記支持構造に向かって幅が先細るオーバーラップ領域を画定している、態様3に従属する態様9~21のいずれ1項記載の弁。
(態様23)
前記弁尖が閉止位置にあるときに、前記支持構造から離れて延びる前記第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の間に所定サイズの1つ又は複数の逆流ギャップが存在する、態様22記載の弁。
(態様24)
前記弁尖は、弁尖が閉止位置にないときに、弁尖の前部と後部との間の流体の流れ又は交換を可能にする弁尖の部分の複数のアパチャ、ギャップ又は分離を含む、態様1~23のいずれ1項記載の弁。
(態様25)
前記弁尖は複数の第一の弁尖構成要素を含み、及び/又は、前記弁尖は複数の流出自由端を含む第一の弁尖構成要素を含む、態様4~23のいずれ1項に従属する態様24記載の弁。
(態様26)
脱出を防止するために複数の第一の弁尖又は複数の流出自由端を結合するテザー要素を含む、態様25記載の弁。
(態様27)
前記第二の弁尖構成要素は複数の流入自由端を含み、前記第二の弁尖構成要素と、前記複数の第一の弁尖構成要素又は流出自由端のいずれか1つに対応する支持構造との間の複数のギャップを画定する、態様3に従属する態様25又は26記載の弁。
(態様28)
前記第二の弁尖構成要素はそれを通る複数のアパチャを画定し、前記第一の弁尖構成要素は前記アパチャを閉塞するように動作可能である、又は、前記複数の第一の弁尖構成要素の1つは各前記アパチャを閉塞するように動作可能である、態様24~26のいずれ1項記載の弁。
(態様29)
前記弁尖の形状、そして態様3に従属する場合には、支持構造への対応する取り付け領域の形状は、一般に、放物線又は二等辺台形の形状である、態様1~28のいずれか1項記載の弁。
(態様30)
前記弁尖は多孔質ポリマー膜及び前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料を含み、それにより前記又は各弁尖は不透過性である、態様1~29のいずれか1項記載の弁。
(態様31)
前記多孔質ポリマー膜は延伸ポリテトラフルオロエチレンである、態様30記載の弁。
(態様32)
前記細孔内に存在する材料はエラストマー又はエラストマー材料又は非エラストマー材料である、態様30又は31記載の弁。
(態様33)
前記細孔内に存在する材料はTFE/PMVEコポリマーである、態様30~32のいずれか1項記載の弁。
(態様34)
前記弁尖は生物組織を含む、態様1~33のいずれか1項記載の弁。
(態様35)
前記弁尖は、態様4~13のいずれか1項に従属する場合を含み、前記又は各第一の弁尖構成要素及び/又は第二の弁尖構成要素は、前記多孔質ポリマー膜と、前記多孔質ポリマー膜の細孔内に存在する材料とを含み、それにより、前記又は各第一の弁尖構成要素及び/又は第二の弁尖構成要素は不透過性である、態様30~34のいずれか1項記載の弁。
(態様36)
前記第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素の少なくとも一方は生物組織を含む、態様35記載の弁。
(態様37)
前記弁尖はフレームの形態の支持構造に結合される、態様1~36のいずれか1項記載の弁。
(態様38)
前記フレームは、フレームが異なる直径間で圧縮及び拡張されうるように動作可能なアパチャの概して開放したパターンを画定する、態様37記載の弁。
(態様39)
複数の弁尖を含む、態様1~38のいずれか1項記載の弁。
(態様40)
前記弁は3つの弁尖を含むことができる、態様39記載の弁。
(態様41)
各弁尖は弁尖自由端を含み、弁尖自由端は退行流体圧力の影響下で接合することができ、それにより、弁を閉じる、態様39又は40記載の弁。
(態様42)
態様1~40のいずれか1項記載の人工弁。
(態様43)
態様1~41のいずれか1項記載の人工心臓弁。
(態様44)
人工弁を製造する方法であって、
弁尖フレーム又は導管などの支持構造を得ること、
第一の弁尖構成要素及び第二の弁尖構成要素を含む弁尖を得ること、
前記第一の弁尖構成要素を前記支持構造の入口部分に隣接して結合すること、及び、
前記第二の弁尖構成要素を前記支持構造の出口部分に隣接して結合し、それにより、前記第二の弁尖構成要素の第二の流入自由端の第二のオーバーラップ領域は前記第一の弁尖構成要素の第一の流出自由端の第一のオーバーラップ領域とオーバーラップし、それにより、前記弁尖が閉止位置にあるときに、前記第二の弁尖構成要素の第二の流入側の部分は前記第一の弁尖構成要素の第一の流出側の部分と接触してシーリング係合して、退行方向で管腔を通る流体流を防止する弁尖オーバーラップ領域を画定し、そして、弁尖が閉止位置にないときに、前記第一のオーバーラップ領域及び前記第二のオーバーラップ領域はそれらに接触せず、前記第一の流出自由端及び前記第二の流入自由端はそれらの間にギャップを画定し、第二の流出側に隣接する流体は順行方向における流体流の間にギャップを通して通過することができる、方法。