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  • 特許-位置測定システム及び速度測定システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】位置測定システム及び速度測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/46 20100101AFI20220419BHJP
   F42B 8/12 20060101ALI20220419BHJP
   F42B 99/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01S19/46
F42B8/12
F42B99/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020076688
(22)【出願日】2020-04-23
(62)【分割の表示】P 2014214326の分割
【原出願日】2014-10-21
(65)【公開番号】P2020126064
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝恭
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-267596(JP,A)
【文献】特開平06-201813(JP,A)
【文献】特開2006-284385(JP,A)
【文献】特開2002-228399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0001051(US,A1)
【文献】特開2002-116000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14,
G01S 19/00-19/55,
H04B 7/24- 7/26,
H04W 4/00-99/00,
F42B 8/12,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS受信機が搭載されており、火砲から発射されて所定の着弾地点に向かって飛翔する砲弾の位置測定システムであって、
前記GNSS受信機が受信した複数のGNSS信号に基づいて算出される複数の擬似距離と、複数のGNSS衛星それぞれの位置を示す複数の衛星位置情報とを取得する第1取得部と、
地上に配置された複数のレーダそれぞれと前記砲弾との距離である複数の見通し距離と、前記複数のレーダそれぞれの位置を示す複数のレーダ位置情報とを取得する第2取得部と、
前記複数の擬似距離と、前記複数の衛星位置情報と、前記複数の見通し距離のうち前記砲弾に最も近いレーダの見通し距離と、前記複数のレーダ位置情報のうち前記砲弾に最も近いレーダのレーダ位置情報とに基づいて、前記砲弾の位置を算出する算出部と、
を備え、
前記算出部は、前記複数の擬似距離と前記衛星位置情報と前記砲弾の位置との関係を示す複数の式と、前記見通し距離と前記レーダ位置情報と前記砲弾の位置との関係を示す式とからなる連立方程式に基づいて前記砲弾の位置を算出する、
位置測定システム。
【請求項2】
前記第1取得部と、前記第2取得部と、前記算出部と、テレメトリ受信機とを有する解析装置を備え、
前記砲弾は、前記複数の擬似距離と、前記複数の衛星位置情報とを前記テレメトリ受信機に送信するテレメトリ送信機を有し、
前記第1取得部は、前記テレメトリ受信機を介して、前記複数の擬似距離と、前記複数の衛星位置情報とを前記テレメトリ送信機から取得する、
請求項1に記載の位置測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔体の位置測定システム及び速度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号を捕捉することによって飛翔体の位置を算出する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方で、複数のGNSS衛星は、通常、水平方向では飛翔体の周りに散在しているものの、鉛直方向では飛翔体の上方に偏在している。そのため、鉛直方向における飛翔体の位置測定精度が、水平方向における飛翔体の位置測定精度よりも低くなりやすいという問題がある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-247401号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】坂井丈泰著「GNSS技術入門」、東京電機大学出版局、2003年、36-46ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題は、飛翔体の位置を測定する場合のみならず、飛翔体の速度を測定する場合においても同様に生じる。
【0007】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、飛翔体の鉛直方向における位置測定精度を向上可能な位置測定システム、及び飛翔体の鉛直方向における速度測定精度を向上可能な速度測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る位置測定システムは、第1取得部と、第2取得部と、算出部とを備える。第1取得部は、GNSS受信機が受信した複数のGNSS信号に基づいて算出される複数の擬似距離と、複数のGNSS衛星それぞれの位置を示す複数の衛星位置情報とを取得する。第2取得部は、地上に配置された第1レーダと飛翔体との第1見通し距離と、第1レーダの位置を示す第1レーダ位置情報とを取得する。算出部は、複数の擬似距離、複数の衛星位置情報、第1見通し距離及び第1レーダ位置情報に基づいて、飛翔体の位置を算出する。
【0009】
本発明の第1の態様に係る位置測定システムにおいて、算出部は、飛翔体の下方に位置するレーダを、飛翔体の上方に位置するGNSS衛星と同等に扱うことによって、飛翔体の位置を測定する。従って、鉛直方向における測定誤差が相殺されるため、飛翔体の鉛直方向における位置測定精度を向上させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る位置測定システムは、第1の態様に係り、第2取得部は、地上に配置された第2レーダと飛翔体との第2見通し距離と、第2レーダの位置を示す第2レーダ位置情報とを取得する。算出部は、複数の擬似距離と、複数の衛星位置情報と、第1見通し距離及び第2見通し距離の少なくとも一方と、第1レーダ位置情報及び第2レーダ位置情報の少なくとも一方とに基づいて、飛翔体の位置を算出する。
【0011】
本発明の第2の態様に係る位置測定システムでは、2つのレーダのうち飛翔体に近いレーダの見通し距離、又は、2つのレーダそれぞれの見通し距離を用いることができるため、位置の測定精度をより向上させることができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る速度測定システムは、第1取得部と、第2取得部と、算出部とを備える。第1取得部は、GNSS受信機が受信した複数のGNSS信号それぞれのドップラー周波数を一定時間積算して得られる複数のデルタレンジを取得する。第2取得部は、地上に配置された第1レーダによって測定される飛翔体の第1見通し速度を取得する。算出部は、複数のデルタレンジ及び第1見通し速度に基づいて、飛翔体の速度を算出する。
【0013】
本発明の第3の態様に係る速度測定システムにおいて、算出部は、飛翔体の下方に位置するレーダを、飛翔体の上方に位置するGNSS衛星と同等に扱うことによって、飛翔体の速度を測定する。従って、鉛直方向における測定誤差が相殺されるため、飛翔体の鉛直方向における速度測定精度を向上させることができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る速度測定システムは、第3の態様に係り、第2取得部は、地上に配置された第2レーダによって測定される飛翔体の第2見通し速度を取得する。算出部は、複数のデルタレンジと、第1見通し速度及び第2見通し速度の少なくとも一方とに基づいて、飛翔体の速度を算出する。
【0015】
本発明の第4の態様に係る速度測定システムでは、2つのレーダのうち飛翔体に近いレーダの見通し速度、又は、2つのレーダそれぞれの見通し速度を用いることができるため、速度の測定精度をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飛翔体の鉛直方向における位置測定精度を向上可能な位置測定システム、及び飛翔体の鉛直方向における速度測定精度を向上可能な速度測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る位置測定システムの構成を示す概略図
図2】第1実施形態に係る解析装置の構成を示すブロック図
図3】砲弾の位置測定精度の推移を示すグラフ
図4】第2実施形態に係る速度測定システムの構成を示す概略図
図5】第2実施形態に係る解析装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る位置測定システム100の構成を示す概略図である。位置測定システム100は、砲弾10と、レーダ20と、解析装置30とを備える。
【0020】
以下の説明では、砲弾10の飛行中に第1乃至第4GNSS衛星201~204が地平線上に位置しているものとする。「GNSS」とは、Global Navigation Satellite Systemの略であり、GPS(米国)、GALILEO(欧州)、GLONASS(ロシア)、準天頂衛星システム(日本)などの総称である。第1乃至第4GNSS衛星201~204は、地球を周回する人工衛星である。第1乃至第4GNSS衛星201~204は、鉛直方向において砲弾10よりも上方に位置する。第1乃至第4GNSS衛星201~204は、第1乃至第4衛星信号W1~W4を送信する。
【0021】
砲弾10は、飛翔体の一例である。砲弾10は、火砲から発射されて所定の弾着地点に向かって飛翔する。砲弾10は、衛星信号受信機11とテレメトリ送信機12とを有する。
【0022】
衛星信号受信機11は、第1乃至第4GNSS衛星201~204それぞれから第1乃至第4衛星信号W1~W4を受信する。衛星信号受信機11は、第1乃至第4衛星信号W1~W4それぞれの送信時刻と受信時刻に基づいて、第1乃至第4GNSS衛星201~204それぞれと衛星信号受信機11との第1乃至第4擬似距離を算出する。衛星信号受信機11は、第1乃至第4衛星信号W1~W4それぞれに含まれる航法メッセージを解読して、第1乃至第4GNSS衛星201~204それぞれの位置を示す第1乃至第4衛星位置情報を取得する。
【0023】
テレメトリ送信機12は、衛星信号受信機11から第1乃至第4擬似距離と第1乃至第4衛星位置情報とを取得する。テレメトリ送信機12は、第1乃至第4擬似距離と第1乃至第4衛星位置情報とを解析装置30に送信する。
【0024】
レーダ20は、地上に配置される。レーダ20は、鉛直方向において砲弾10よりも下方に位置する。このように、レーダ20は、鉛直方向において砲弾10を基準として第1乃至第4GNSS衛星201~204の反対側に位置する。レーダ20は、砲弾10との見通し距離を測定する。レーダ20としては、ドップラーレーダを用いることができるが、これに限られるものではない。
【0025】
レーダ20は、解析装置30と有線で接続されている。ただし、レーダ20は、解析装置30にデータを送信できればよく、解析装置30と無線で接続されていてもよい。レーダ20は、測定した見通し距離と、自機の位置を示すレーダ位置情報とを解析装置30に送信する。見通し距離とは、レーダ20から砲弾10までの距離である。
【0026】
解析装置30は、砲弾10の軌跡を解析するための装置である。図2は、解析装置30の構成を示す機能ブロック図である。解析装置30は、テレメトリ受信機31と、第1取得部32と、第2取得部33と、算出部34とを備える。
【0027】
テレメトリ受信機31は、砲弾10のテレメトリ送信機12から第1乃至第4擬似距離と第1乃至第4衛星位置情報とを受信する。第1取得部32は、テレメトリ受信機31から第1乃至第4擬似距離と第1乃至第4衛星位置情報とを取得する。第2取得部33は、レーダ20から見通し距離とレーダ位置情報とを取得する。
【0028】
算出部34は、第1乃至第4擬似距離と、第1乃至第4衛星位置情報と、見通し距離と、レーダ位置情報とに基づいて、砲弾10の位置を算出する。具体的には、下記の式(1)~(5)に基づいて砲弾10の位置座標(x、y、z)を算出する。
【0029】
式(1)~(5)において、Range1~4は第1乃至第4擬似距離であり、Rangeαは見通し距離である。また、(x1,y1,z1),(x2,y2,z2),(x3,y3,z3)及び(x4,y4,z4)は第1乃至第4衛星位置座標であり、(xα,yα,zα)はレーダ位置座標である。また、sは、衛星信号受信機11の時計の誤差によって生じる距離の誤差である。
【0030】
【0031】
このように、算出部34は、砲弾10の下方に位置するレーダ20を、砲弾10の上方に位置する第1乃至第4GNSS衛星201~204と同等に扱うことによって、砲弾10の位置を測定する。すなわち、レーダ20は砲弾10の下に位置するGNSS衛星として機能しているといってもよい。これにより、鉛直方向における測定誤差が相殺されるため、砲弾10の鉛直方向における位置測定精度を向上させることができる。また、水平方向における測定誤差もより低減されるため、砲弾10の水平方向における位置測定精度も向上させることができる。
【0032】
ここで、図3は、レーダ20を用いることで測定誤差が改善されることを示すグラフである。図3では、砲弾の位置測定精度の推移が示されている。2点鎖線は、レーダ20を用いなかったときの鉛直方向精度(VDOP;Vertical Dilution of Precision)である。1点鎖線は、レーダ20を用いなかったときの水平方向精度(HDOP;Horizontal Dilution of Precision)である。破線は、レーダ20を用いたときのVDOPである。実線は、レーダ20を用いたときのHDOPである。
【0033】
図3に示すように、レーダ20を用いることによって、VDOP及びHDOPともに初期から低減できることが確認できた。特に、レーダ20を用いることによって初期のVDOPを3分の1以下に低減させることができた。
【0034】
なお、上記第1実施形態において、砲弾10の衛星信号受信機11は、4つのGNSS衛星の衛星信号を受信することとしたが、5つ以上のGNSS衛星の衛星信号を受信してもよい。また、第1実施形態では、レーダを1つだけ用いることとしたが、2つ以上のレーダを用いてもよい。この場合、砲弾10に最も近いレーダ、全てのレーダ、又は、任意の組み合わせのレーダのいずれかの見通し距離を用いることによって、砲弾の位置の測定精度をより向上させることができる。
【0035】
2.第2実施形態
次に、図面を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態との相違点は、位置測定に代えて速度測定を行う点、テレメトリに代えてメモリを用いる点、及びレーダを2つ用いる点である。以下、これらの相違点について主に説明する。
【0036】
図4は、第2実施形態に係る速度測定システム100aの構成を示す概略図である。速度測定システム100aは、砲弾10aと、第1レーダ20aと、第2レーダ20bと、解析装置30aとを備える。
【0037】
砲弾10aは、衛星信号受信機11aとメモリ13とを有する。衛星信号受信機11aは、第1乃至第4擬似距離に基づいて、衛星信号受信機11の第1乃至第4GNSS衛星201~204それぞれに対する速度成分である第1乃至第4デルタレンジを算出する。デルタレンジとは、第1乃至第4衛星信号W1~W4それぞれのドップラー周波数を一定時間積算した量を長さの単位で表わしたものであり、擬似距離の変化率を一定時間積分した量と等価である。メモリ13は、衛星信号受信機11が算出した第1乃至第4デルタレンジを記憶する。メモリ13は、着弾した砲弾10から回収されて、解析装置30aに接続される。
【0038】
第1レーダ20aと第2レーダ20bは、地上に配置されている。第1レーダ20aと第2レーダ20bは、鉛直方向において砲弾10aより下方に位置する。従って、第1レーダ20aと第2レーダ20bは、砲弾10の下に位置するGNSS衛星として機能しうる。
【0039】
第1レーダ20aは、砲弾10aまでの第1見通し距離の微分成分に相当する第1見通し速度を算出する。第1レーダ20aは、算出した第1見通し速度を解析装置30aに送信する。第2レーダ20bは、砲弾10aまでの第2見通し距離の微分成分に相当する第2見通し速度を算出する。第2レーダ20bは、算出した第2見通し速度を解析装置30aに送信する。
【0040】
本実施形態において、第1レーダ20aは砲弾10aの発射点近くに配置され、第2レーダ20bは第1レーダ20aよりも砲弾10aの弾着点近くに配置されている。第1レーダ20aは、発射地点から発射地点と着弾地点の中間地点付近までの間、砲弾10aの第1見通し速度を測定する。第2レーダ20bは、中間地点付近から着弾地点までの間、砲弾10aの第2見通し速度を測定する。第1レーダ20aの測定範囲と第2レーダ20bの測定範囲は、中間地点付近において重複していてもよい。
【0041】
解析装置30aは、図5に示すように、第1取得部32aと、第2取得部33aと、算出部34aとを備える。第1取得部32aは、回収されたメモリ13から第1乃至第4デルタレンジを取得する。第2取得部33aは、第1レーダ20aからの第1見通し速度と、第2レーダ20bからの第2見通し速度とを取得する。
【0042】
算出部34aは、第1乃至第4デルタレンジと、第1見通し速度と、第2見通し速度とに基づいて、砲弾10aの速度を算出する。具体的に、算出部34aは、まず衛星信号受信機11aと第1GNSS衛星201とのベクトル{ax1,ay1,az1}を算出する。同様に、算出部34aは、衛星信号受信機11aと第2乃至第4GNSS衛星202~204それぞれとのベクトル{ax2,ay2,az2},{ax3,ay3,az3},{ax4,ay4,az4}を算出する。次に、算出部34aは、下記の式(6)~(10)に基づいて砲弾10aの速度
を算出する。
【0043】
式(6)~(10)において、d1~d4は第1乃至第4デルタレンジである。d5は、第1見通し速度又は第2見通し速度である。発射地点から中間地点の間は第1見通し速度が用いられ、中間地点から着弾地点までの間は第2見通し速度が用いられる。{ax5,ay5,az5}は、砲弾10aと第1レーダ20aとのベクトル、又は、砲弾10aと第2レーダ20bとのベクトルである。cは光速であり、
は衛星信号受信機11aの時計の誤差によって生じる誤差(時間の変化量)である。
【0044】
【0045】
このように、算出部34aは、砲弾10aの下方に位置する第1レーダ20aと第2レーダ20bのそれぞれを、砲弾10aの上方に位置する第1乃至第4GNSS衛星201~204と同等に扱うことによって、砲弾10aの速度を測定する。これにより、鉛直方向における測定誤差が相殺されるため、砲弾10aの鉛直方向における速度測定精度を向上させることができる。また、水平方向における測定誤差も低減されるため、砲弾10aの水平方向における速度測定精度も向上させることができる。
【0046】
また、算出部34aは、第1レーダ20aと第2レーダ20bのうち砲弾10に近い方のデータを用いるため、レーダを1つだけ用いる場合に比べて速度測定精度を向上させることができる。
【0047】
なお、第2実施形態において、算出部34aは、速度を測定することとしたが、上記第1実施形態と同様に位置を測定してもよい。
【0048】
また、第2実施形態において、砲弾10aは、メモリ13を有することとしたが、上記第1実施形態と同様にテレメトリ受信機12を有していてもよい。
【0049】
また、第2実施形態では、2つのレーダのうち砲弾に近い方のデータだけを用いることとしたが、上記式(10)と同様の式を1つ追加して両方のレーダのデータを用いることとしてもよい。
【0050】
また、第2実施形態では、レーダを2つ用いることとしたが、上記第1実施形態と同様にレーダを1つだけ用いてもよいし、3つ以上のレーダを用いてもよい。3つ以上のレーダを用いる場合、砲弾10に最も近いレーダ、全てのレーダ、又は、任意の組み合わせのレーダのいずれかの見通し速度を用いることによって、砲弾の速度測定精度をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 砲弾
11 衛星信号受信機
12 テレメトリ送信機
13 メモリ
20 レーダ
30 解析装置
31 テレメトリ受信機
32 第1取得部
33 第2取得部
34 算出部
100 位置測定システム
201~204 GNSS衛星
図1
図2
図3
図4
図5