(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】水および/または水蒸気を伝達するための加湿装置、加湿器を動作させるための方法、およびそのような加湿装置を有する自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220419BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20220419BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20220419BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20220419BHJP
【FI】
H01M8/04 N
F24F3/14
H01M8/04119
H01M8/10 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020112779
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】10 2019 209 858.4
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイザー スヴェン アレクサンダー
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-505336(JP,A)
【文献】特開2009-277505(JP,A)
【文献】特開2006-164774(JP,A)
【文献】特開2006-210150(JP,A)
【文献】特開2007-234439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0112827(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
F24F 3/14
H01M 8/04119
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および/または水蒸気を第1の流体流(2)から第2の流体流(3)へ伝達するための加湿装置(1)であって、
前記加湿装置(1)は、
主伸展方向に沿って長軸(6)を規定するプレート積層体(7)と、前記プレート積層体(7)のプレート積層体装備面(8)の前側にそれぞれ配置された2つのハウジングコネクタ(9、10)と、流体チャネルシステム(11)とを備える加湿器(4)を有し、
前記プレート積層体(7)が流体チャネルハウジング(12)内に完全に配置され、
前記流体チャネルハウジング(12)上に、漏れ流体を前記加湿器(4)から排出するための排出チャネル(16)が配置されること、および/または
前記排出チャネル(16)は、前記流体チャネルハウジング(12)上で前記長軸(
6)に沿って伸び、排出チャネル凸部(17)を形成しつつ、前記長軸(6)に対して横方向に、前記流体チャネルハウジング(12)にわたって突き出していること、および/または
前記排出チャネル(16)は、主伸展方向に沿って排出チャネル長軸(18)を規定し、前記排出チャネル(16)は、前記流体チャネルハウジング(12)上に所定の角度で配置され、漏れ流体を前記加湿器(4)から排出するために、前記長軸(6)と前記排出チャネル長軸(18)との間に、0.1~5°の排出角度(19)が規定されること、および/または
1つまたは両方のハウジングコネクタ(9、10)上に、1つ以上排出接続が存在し、前記1つ以上排出接続を通って、前記漏れ流体が排出可能であることを特徴とする加湿装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の加湿装置(1)において、
前記流体チャネルハウジング(12)は、前記2つのハウジングコネクタ(9、10)上に、取り外し可能にまたは取り外し不可能に、接触して配置され、前記流体チャネルシステム(11)内の圧力差に影響を与えるために、前記流体チャネルシステム(11)または前記加湿装置(
1)の圧力供給デバイスによって、前記流体チャネルハウジング(12)に流体圧力をかけることができることを特徴とする加湿装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加湿装置(1)において、
前記流体チャネルシステム(11)は、前記プレート積層体(7)と前記流体チャネルハウジング(12)との間に形成された流体チャネル(13)を備え、前記第1の流体流(2)または前記第2の流体流(3)は、前記流体チャネル(13)を通って流れることができること、および/または
一方の前記プレート積層体(7)と他方の前記流体チャネルハウジング(12)との間で、前記流体チャネル(13)の空隙流れ断面(14)が範囲設定され、前記空隙流れ断面(14)は、前記長軸(6)に基づいて横向きに配置されること、および/または
前記流れ断面(14)は、前記長軸(6)に対して横向きにすべての側に向かって前記プレート積層体(7)を完全に囲むこと、および/または
前記プレート積層体(7)と前記流体チャネルハウジング(12)との間で、前記長軸(6)に対して横向きに、一定の間隔が全周にわたって規定されることを特徴とする加湿装置(1)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加湿装置(1)において、
前記流体チャネルシステム(11)は、さらに、前記プレート積層体(7)を通ってそれぞれ伸びる第1および第2の流体チャネル構成体(20、21)を備えることを特徴とし、
前記プレート積層体(7)内の前記第1の流体チャネル構成体(20)および前記第2の流体チャネル構成体(21)は、水および/または水蒸気を第1の流体流(2)から第2の流体流(3)へ伝達するために互いに連通可能に接続され、および
前記第1の流体チャネル構成体(20)または前記第2の流体チャネル構成体(21)は、流体チャネル(13)を用いて前記流体チャネルハウジング(12)の加圧のために相互連通可能に互いに接続される、加湿装置(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の加湿装置(1)において、
前記第1の流体チャネル構成体(20)は、前記プレート積層体(7)を通って前記長軸(6)の方向に伸びる1つ以上の第1のプレート積層体流体チャネル(22)を備えること、および
前記第1の流体チャネル構成体(20)は、さらに、前記プレート積層体(7)を通って前記長軸(6)の方向に伸びる1つ以上の第2のプレート積層体流体チャネル(23)を備えることを特徴とし、
前記第1のプレート積層体流体チャネル(22)は、少なくとも1つの第1の流れ間通路(24)を介して前記第2のプレート積層体流体チャネル(23)に相互連通可能に接続され、
前記第2の流体チャネル構成体(21)は、前記プレート積層体(7)を通って前記長軸(6)の方向に伸びる1つ以上
の機能流体チャネル(25)を備えることを特徴とし、
前記機能流体チャネル(25)は、それぞれまたは一緒になって、少なくとも1つのマウス開口(28)を介して、前記流体チャネルハウジング(12)と前記プレート積層体(7)との間に範囲設定された前記流体チャネルシステム(11)の流体チャネル(13)に相互連通可能に互いに接続される、加湿装置(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の加湿装置(1)において、
前記プレート積層体(7)は、整列方向(29)に互いの上に接触して積層された複数の積層体群(30)を備えることを特徴とし、
各積層体群(30)は、互いに接触して積層された複数のプレート(31)、すなわち、少なくとも1つの流れ間プレート(32)と、少なくとも1つの空気を通さない、水および水蒸気透過性の膜プレート(33)と、少なくとも1つのマウスプレート(34)とを備え、および/または
前記プレート積層体(7)は、少なくとも1つの積層体群(30)を備え、前記少なくとも1つの積層体群(30)は、整列方向(29)の方向に、流れ間プレート(32)と、前記流れ間プレート(32)上に接触して配置された膜プレート(33)と、前記膜プレート(33)上に接触して配置されたマウスプレート(34)と、前記マウスプレート(34)上に接触して配置された膜プレート(33)とを備えることを特徴とする加湿装置(1)。
【請求項7】
請求項
5に記載の加湿装置(1)であって、
前記プレート積層体(7)は、少なくとも1つの流れ間プレート(32)を備え、
前記流れ間プレート(32)は、平坦体(35)によって形成され、前記平坦体(35)は、平坦で広い前面(36)と、前記前面(36)の反対方向を向く平坦で広い後面(37)とを備えることを特徴とし、
前記平坦体(35)は、前記第1の流れ間通路(24)を形成する凹部(38)を備え、前記凹部(38)は、前記広い前面(36)を起点として前記広い後面(37)まで伸び、平坦体フレーム(39)を形成しつつ、前記平坦体(35)に貫入し、
前記平坦体フレーム(39)は、第1および第2の通路構成体(47、48)を備え、前記第1および第2の通路構成体(47、48)のそれぞれは、前記第1および第2のプレート積層体流体チャネル(22、23)を形成しつつ、前記広い前面(36)から前記広い後面(37)へ前記平坦体フレーム(39)を完全に貫通し、
前記平坦体フレーム(39)は、第3の通路構成体(49)を備え、前記第3の通路構成体(49)は、どの場合も前記広い前面(36)から前記広い後面(37)へ前記機能流体チャネル(25)を形成しつつ、前記平坦体フレーム(39)を完全に貫通し、
前記第1および第2のプレート積層体流体チャネル(22、23)は、前記第1の流れ間通路(24)を介して相互連通可能に互いに接続されるので、加湿装置(1)の動作時において、前記第1または第2の流体流(2、3)は、前記第1のプレート積層体流体チャネル(22)から前記第2のプレート積層体流体チャネル(23)へ流れることが可能であり、またその逆も可能である、加湿装置(1)。
【請求項8】
請求項5を引用した請求項
6に記載の加湿装置(1)であって、
前記流体チャネルシステム(11)は、前記プレート積層体(7)と前記流体チャネルハウジング(12)との間に形成された流体チャネル(13)を備え、
前記マウスプレート(34)は、平坦マウス体(43)によって形成され、前記平坦マウス体(43)は、平坦で広い前面(44)と、前記前面(44)の反対方向を向く平坦で広い後面(45)とを備えることを特徴とし、
前記平坦マウス体(43)は、
第2の流れ間通路(27)を形成する凹部(38)を備え、前記凹部(38)は、平坦マウス体フレーム(46)を形成しつつ、前記広い前面(44)を起点として前記広い後面(45)まで、前記平坦マウス体(43)を完全に貫通し、
前記平坦マウス体フレーム(46)は、第1および第2の通路構成体(47、48)を備え、前記第1および第2の通路構成体(47、48)は、それぞれ前記広い前面(44)から前記広い後面(45)へ伸びる前記第1および第2のプレート積層体流体チャネル(22、23)を形成しつつ、前記平坦マウス体フレーム(46)を完全に貫通し、
前記平坦マウス体フレーム(46)は、第3の通路構成体(49)と少なくとも1つのマウス開口(28)とを備え、前記第3の通路構成体(49)は、前記広い前面(44)から前記広い後面(45)へ伸びる前記機能流体チャネル(25)を形成しつつ、前記平坦マウス体フレーム(46)を完全に貫通し、前記マウス開口(28)は、前記流体チャネル(13)に対する開口(51)を形成しつつ、前記平坦マウス体フレーム(46)を少なくとも1つの側へ向かって開口させて、前記第1または第2の流体流(2、3)が前記第3の通路構成体(49)から前記流体チャネル(13)へ流れることを可能にし、またその逆も可能にする、加湿装置(1)。
【請求項9】
請求項7または8に記載の加湿装置(1)であって、
前記第1、第2、および第3の通路構成体(47、48、49)はそれぞれ、円形、卵形、または矩形状の空隙流れ断面(52)を有する少なくとも1つの凹部によって形成される、加湿装置(1)。
【請求項10】
請求項
4に記載の加湿装置(1)であって、
前記ハウジングコネクタ(9、10)はそれぞれ、第1および第2の流体接続部(53、54)を備えることを特徴とし、
前記第1のハウジングコネクタ(9)の前記第1の流体接続部(53)および前記第2のハウジングコネクタ(10)の前記第1の流体接続部(53)は、前記第1の流体チャネル構成体(20)に流体的に接続され、前記第1のハウジングコネクタ(9)の前記第2の流体接続部(54)および前記第2のハウジングコネクタ(10)の前記第2の流体接続部(54)は、前記第2の流体チャネル構成体(21)に流体的に接続される、加湿装置(1)。
【請求項11】
請求項
4に記載の前記加湿装置(1)を動作させるための方法であって、前記方法は、
1)第1および第2の流体流(2、3)を前記加湿器(4)に提供および導入する工程と、
2)第1の圧力レベルを前記第1の流体チャネル構成体(20)内に提供し、第2の圧力レベルを前記第2の流体チャネル構成体(21)内に提供し、第3の圧力レベルを前記流体チャネルハウジング(12)内に提供する工程と
を用いて前記加湿器(4)を動作させ、
前記第3の圧力レベルは、
常圧の1013.25hPaと前記第1または第2の圧力レベルとの間にあるか、または
前記第1の圧力レベルと前記第2の圧力レベルとの間にあるか、または
前記常圧の1013.25hPaよりも高く、かつ前記第1の圧力レベルよりも高く、かつ/または第2の圧力レベルよりも高く、前記第1の流体チャネル構成体(20)および前記第2の流体チャネル構成体(21)と前記流体チャネルハウジング(12)との間の圧力差が最小になる、
方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれかに記載の前記加湿装置(1)を有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、水蒸気を伝達するための加湿装置に関する。本発明は、さらに、加湿器を動作させるための方法、およびそのような加湿装置を有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気をある流体流から別の流体流へ伝達するための加湿器が自動車分野において長い間知られてきたが、特に燃料電池の駆動に関連した使用に関して重要となっている。最適なパワー収率と比較的長い耐用期間/寿命を両立させるために、自動車の駆動に使用される燃料電池の動作温度は、一般に最大で80℃である。
【0003】
比較的高い動作温度の結果として、自動車の駆動動作時の燃料電池は、例えば燃料電池がプロトン交換膜(PEM)またはポリマー電解質膜である場合には、その機能のために、比較的湿潤に保つ必要がある。そうしないと、燃料電池内に使用される膜が完全に乾燥するおそれがある。そのような完全な乾燥は、使用される膜の耐用期間/寿命や燃料電池の効率に対して特に悪影響を及ぼす。
【0004】
燃料電池は、燃料電池に通す反応ガスに含まれる水分を十分な程度に増やすことで、湿潤に保たれることが知られている。これは、例えば、燃料電池に一体化された加湿器によって達成可能である。例えば特許文献1に記載の燃料電池システム用加湿器などの従来から知られている通常の加湿器は、個別のプレートから構成されるプレート積層体を有し、流体チャネルシステムの2つ以上の流体チャネルがプレート積層体に貫入している。流体チャネルは、水および/または水蒸気がある流体流から別の流体流へ移ることができるように、プレート積層体内で経路設定される。特に、空気を透過させないが水および水蒸気を透過させる膜プレートが流体チャネル間に配置される。膜プレートを介して、水および/または水蒸気は、ある流体流から別の流体流へ移ることができる。これが生じるのは、例えば、加湿対象の流体流が膜プレートの一方の側の上を流れ、他方の側の上を湿潤な流体流が流れる場合などである。2つの流体流は、膜プレートによって流体的に互いに分離されるので、2つの流体流の実質的な混合は起こらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE 11 2012 000 477 T5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プレート積層体を周囲に対して封止しなければいけないことは、公知の解決手段の短所と考えられる。流体チャネルを流れる流体は、一般に高い動作圧力(例えば、1013.25hPaの周囲圧力に対して最大2.0bar)下にあるので、プレート積層体のすべてのプレートは、使用される封止剤の封止効果を確保するかまたは向上させるために、比較的大きな締め付け力で互いに締め付けることが追加的に必要になる。公知の加湿器においては、これにより流動抵抗が増大するので、加湿器の効率が損なわれる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、加湿装置についての改善された実施形態または少なくとも別の実施形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明において、この目的は、特に独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項および明細書の主題である。
【0009】
本発明の基本的な考えは、プレートを相互に締め付け合わせるための締め付け力を低減し、それによりプレート積層体内の流動抵抗にプラスの影響を与えることである。ここで、本発明は、必要な締め付け力が加湿器の動作時に生じる圧力勾配量に依存するという革新的な知見を利用する。加湿器の動作時の圧力勾配が小さいほど、プレートを相互に締め付け合わせるための締め付け力としてより小さい力を選択可能であることが成り立つ。
【0010】
このような背景において、本発明は、加湿装置内の圧力勾配を低減することを提供する。この目的のために、加湿装置は、加湿器を備える。加湿器は、プレート積層体と、プレート積層体のプレート積層体装備面の前側にそれぞれ配置された2つのハウジングコネクタと、流体チャネルシステムとを有する。さらに、プレート積層体は、その主伸展方向に沿って長軸を規定する。長軸は、例えば、プレート積層体を形成する、互いに接触して積層された1つ以上または複数のプレートまたはプレート群が提供される整列方向を規定できる。ただし、いずれの場合においても、さらに、プレート積層体は、加湿器の流体チャネルハウジング内に、特に完全にその内側に、配置される。流体チャネルハウジングは、実際には、加圧可能または減圧可能であるので、流体チャネルハウジングと残りの流体チャネルシステムとの間の圧力差または圧力勾配を自由に調節できる。それにより、例えば、比較的小さな圧力差または比較的小さな圧力勾配を調節できるので、プレート積層体を締め付け合わせるための締め付け力としてより小さな力を選択可能であり、それにより、結果として、プレート積層体内の流動抵抗にプラスの影響を与える。これは、加湿装置全体をよりエネルギー効率よく、したがってよりコスト効率よく、かつより環境にやさしく、動作させることができるという利点を有する。
【0011】
実際には、流体チャネルハウジングは、取り外し可能にまたは取り外し不可能に、2つのハウジングコネクタ上に接触して配置される。ここで、流体チャネルハウジングは、ハウジングコネクタの一体部品、すなわち、ハウジングコネクタと実質的に一体に形成でき、全体として、流体チャネルハウジング-ハウジングコネクタ構成要素が形成されることが明らかである。しかし、また、実際には、流体チャネルハウジングは、別の部品として形成され、例えば締結ネジおよび/または接着剤などのいずれの場合の締結手段によっても、ハウジングコネクタ上に配置されることが可能である。例えば、流体チャネルハウジングは、挿入部品としてハウジングコネクタ間に配置し、ハウジングコネクタ間で長軸に沿って軸方向に強固に締め付けて、流体チャネルハウジングをハウジングコネクタに永久的に固定できる。これは、加湿器がより好適に作製され得るという利点を有する。さらに、実際には、流体チャネルシステム内の圧力差に影響を与えるために、流体チャネルハウジングに対して、流体チャネルシステムまたは加湿装置の圧力供給デバイスによって、流体圧力をかけることができる。これは、流体チャネルハウジングと残りの流体チャネルシステムとの間の圧力差または圧力勾配が調整可能であるという利点を有する。
【0012】
実際には、流体チャネルシステムは、一方のプレート積層体と他方の流体チャネルハウジングとの間に形成された1つ以上流体チャネルを備え、その流体チャネルを通って第1の流体流または第2の流体流が流れる。このため、液体を装入した圧縮可能処理ガスなどの流体を流体チャネルハウジングに通して流すことができる。さらに、実際には、長軸に基づいて横方向に配置された、流体チャネルの空隙流れ断面が一方のプレート積層体と他方の流体チャネルハウジングとの間に範囲設定される。特に、流れ断面は、長軸に対して横方向にすべての側に向かって、すなわち、全周にわたって、プレート積層体を完全に囲む。これは、プレート積層体にすべての側から圧力を均等にかけることができ、その結果、加湿装置のエネルギー効率がさらに向上するという利点を有する。これに加えて、実際には、プレート積層体と流体チャネルハウジングとの間に、長軸に対して横方向に、全周にわたって一定の間隔を規定することができる。これは、プレート積層体が流体チャネルハウジングに接触しないという利点を有する。
【0013】
実際には、1つ以上の排出チャネルが流体チャネルハウジング上に設けられ得る。各排出チャネルは、例えば漏れ流体またはプレート積層体を起点とする他の流体などの流体を排出する機能を有する。ここで、排出チャネルは、好ましくは、流体チャネルハウジングに沿って、例えば流体チャネルハウジングの長軸に沿って、伸びる。ここで、排出チャネルは、流体チャネルハウジングにわたって、長軸に対して横方向に突き出て、排出チャネル凸部を形成できる。これに関して、また、排出チャネルは、その主伸展方向に沿って、排出チャネル長軸を規定し、排出チャネルがある角度で流体チャネルハウジング上に配置されることができる。例えば、排出角度は、長軸と排出チャネル長軸との間に形成される。例えば、排出角度は、0.1~5°、特に排出角度は、0.1°、0.5°、1.0°、1.5°、2.0°、2.5°、3.0°、3.5°、4.0°、4.5°、5.0°である。これは、漏れ流体が加湿器から自動的に流れ出て、例えば流体チャネルハウジング上に配置された漏れ流体貯留部に入るという利点を有する。ここで、また、ハウジング全体は、重力の方向に対してある角度で配置され得る。その角度は、特に、0.1°、0.5°、1.0°、1.5°、2.0°、2.5°、3.0°、3.5°、4.0°、4.5°、5.0°である。さらに、一方または両方のハウジングコネクタ上で、漏れ流体を排出可能な1つ以上排出接続が存在し得る。排出接続によって、例えば液体または気体からなり得る流体、例えば排出流体の排出が可能になる。排出接続は、例えばコネクタの形態であるので、例えばホースなどを排出接続に固定できることが考えられ得る。
【0014】
あるいは、排出接続はまた、ハウジング上に直接に、特に接触して、配置され得る。
【0015】
実際には、流体チャネルハウジングは、さらに、ともにプレート積層体を通って伸びる、特にプレート積層体を完全に貫通する、第1の流体チャネル構成体および第2の流体チャネル構成体を有する。ここで、第1の流体チャネル構成体および第2の流体チャネル構成体は、水および/または水蒸気を第1の流体流から第2の流体流へ、例えば以下に記載の膜プレートを介して、伝達するために、プレート積層体内で相互連通可能に互いに接続され得る。第1の流体チャネル構成体または第2の流体チャネル構成体は、実際には、流体チャネルハウジングの加圧を実現するために、流体チャネルに連通可能に接続される。
【0016】
さらに、第1の流体チャネル構成体は、プレート積層体を通って長軸の方向に伸びる1つ以上の第1のプレート積層体流体チャネルおよび第2のプレート積層体流体チャネルを備え得る。第1のプレート積層体流体チャネルは、少なくとも1つの第1の流れ間通路(cross-flow passage)を介して、第2のプレート積層体流体チャネルに相互連通可能に接続される。さらに、実際には、第2の流体チャネル構成体は、プレート積層体を通って長軸の方向に伸びる1つ以上の第1の機能流体チャネルおよび第2の機能流体チャネルを備える。第1の機能流体チャネルは、少なくとも1つの第2の流れ間通路を介して、第2の機能流体チャネルに相互連通可能に接続される。このように、第1の流体流および/または第2の流体流は、加湿器を通って流すことができる。加えて、第1の機能流体チャネルは、それぞれまたは一緒になって、プレート積層体における少なくとも1つのマウス開口(mouth opening)を介して、流体チャネルハウジングとプレート積層体との間に範囲設定された流体チャネルシステムの流体チャネルに相互連通可能に接続され、流体チャネルハウジングに圧力、特に内圧をかけることができる。
【0017】
上記プレート積層体は、特に、整列方向に互いに接触して積層された複数の積層体群を備え得る。各積層体群は、実際には、互いに接触して積載された複数のプレート、すなわち、少なくとも1つの流れ間プレートと、少なくとも1つの空気またはガスを通さない、水および水蒸気透過性膜プレートと、少なくとも1つのマウスプレート(mouth plate)とを有する。例えば、加湿装置の動作時に、積層体群が、厳密に、流れ間プレートと、流れ間プレート上に接触して配置された膜プレートと、膜プレート上に接触して配置されたマウスプレートと、マウスプレート上に接触して配置された膜プレートとを備えることが可能である。これにより、比較的効率の良い積層体群が指定される。この積層体群を用いると、流体チャネルに、比較的好適に、圧力をかけ、プレート積層体を通る流体を流すことができる。
【0018】
流れ間プレートは、例えば、平坦で広い前面と、前面の反対方向を向く平坦で広い後面とを備える平坦体によって形成される。平坦体は、第1の流れ間通路を形成する凹部を有する。凹部は、平坦体をその広い前面から広い後面まで完全に貫通するので、全体として平坦体フレームが形成される。ここで、平坦体フレームは、実際には、第1の通路構成体および第2の通路構成体を有する。第1の通路構成体および第2の通路構成体は、どの場合も広い前面から広い後面までの第1のプレート積層体流体チャネルおよび第2のプレート積層体流体チャネルを形成しつつ、平坦体フレームに貫入し、特に完全に貫通する。いずれの場合においても、平坦体フレームは、実際には、第3の通路構成体を備える。第3の通路構成体は、どの場合も広い前面から広い後面まで、平坦体フレームを完全に貫通し、第1の機能流体チャネルを形成する。ここで、第1の通路構成体および第2の通路構成体は、第1の流れ間通路を介して連通可能に相互に接続されるので、加湿装置の動作時において、第1の流体流または第2の流体流は、第1のプレート積層体流体チャネルから第2のプレート積層体流体チャネルへ流れることが可能であり、その逆もまた可能である。
【0019】
マウスプレートは、実際には、平坦マウス体によって形成される。平坦マウス体は、広い前面と、前面の反対方向を向く平坦で広い後面とを有する。平坦マウス体は、さらに第2の流れ間通路を形成する凹部を備え得る。この凹部は、広い前面から広い後面まで平坦マウス体に貫入し、特に完全に貫通する。このため、平坦マウス体フレームが形成される。いずれの場合においても、平坦マウス体フレームは、第1の通路構成体および第2の通路構成体を備え得る。第1の通路構成体および第2の通路構成体は、どの場合も広い前面から広い後面まで、第1のプレート積層体流体チャネルおよび第2のプレート積層体流体チャネルを形成しつつ、平坦マウス体フレームをどの場合も完全に貫通する。平坦マウス体フレームは、第3の通路構成体と、少なくとも1つのマウス開口とを備え得る。第3の通路構成体は、第1の機能流体チャネルを形成しつつ、平坦マウス体フレームに貫入する。マウス開口は、流体チャネルに開口を形成しつつ、少なくとも1つの側に向かって平坦マウス体フレームに実質的に開口を形成する。このため、第1の流体流および第2の流体流は、第3の通路構成体から流体チャネルへ流れることが可能であり、またその逆も可能である。
【0020】
第1、第2、および3の通路構成体はそれぞれ、少なくとも1つの凹部によって形成され得る。各個別の凹部は、円形、卵形、または矩形状の空隙流れ断面を有するので、流体は、凹部を流れることができる。
【0021】
実際には、ハウジングコネクタはそれぞれ、第1の流体接続部および第2の流体接続部を有する。第1のハウジングコネクタの第1の流体接続部および第2のハウジングコネクタの第1の流体接続部は、実際には、第1の流体チャネル構成体に流体的に接続される。第1のハウジングコネクタの第2の流体接続部および第2のハウジングコネクタの第2の流体接続部は、第2の流体チャネル構成体に流体的に接続される。
【0022】
ここで、流体チャネルハウジングは、締結ネジまたは接着剤によってハウジングコネクタに取り外し可能にまたは取り外し不可能に締結されることが考えられ得る。あるいは、また、一方または両方のハウジングコネクタが流体チャネルハウジング上に一体的に成形され得る。いずれの場合においても、流体チャネルハウジングは、流体チャネルハウジング内に配置されたプレート積層体が、流体チャネルハウジング上に配置されたハウジングコネクタを介して、流体チャネルハウジングによって予め規定された締め付けを可能にするだけなので、固定された止め具(stop)の機能を想定し得る。
【0023】
本発明は、加湿器、特に上記特徴を有する加湿器を動作させるための方法を提供するさらなる考えを備える。この方法の範囲内において、第1の流体流および第2の流体流を加湿器に提供および導入する工程がまず提供される。これに続いて、第1の圧力レベルを第1の流体チャネル構成体内に提供する工程と、第2の圧力レベルを第2の流体チャネル構成体に提供する工程と、第3の圧力レベルを流体チャネルハウジング内に提供する工程とが行われる。ただし、第3の圧力レベルは、常圧の1013.25hPaと第1または第2の圧力レベルとの間にあるか、または第3の圧力レベルは、第1の圧力レベルと第2の圧力レベルとの間にあるか、または第3の圧力レベルは、常圧の1013.25hPaより高く、かつ第1の圧力レベルより高く、かつ/または第2の圧力レベルよりも高いかのいずれかである。これにより、どの場合も第1の流体構成体および第2の流体構成体と流体チャネルハウジングとの間の圧力差が最小となるので、加湿器が比較的エネルギー効率よく動作させ得ることが達成される。この結果、加湿器における圧力差が従来公知の加湿器と比較して低いという利点が得られる。
【0024】
本発明は、水および/または水蒸気を第1の流体流から第2の流体流へ伝達するための加湿装置を自動車に備わせるというさらなる考えを備える。この目的のために、プレート積層体と、プレート積層体のプレート積層体装備面の前側にそれぞれ配置された2つのハウジングコネクタと、流体チャネルシステムとを有する加湿器が提案される。プレート積層体は、長軸を規定する整列方向に互いに接触して積層された複数の積層体を備える。流体チャネルシステムは、少なくとも2つの流体チャネル構成体を備える。第1の流体チャネル構成体は、積層体プレートを通って長軸の方向に沿って伸びるプレート積層体流体チャネルを備える。第2の流体チャネル構成体は、機能流体チャネルを備える。機能流体チャネルは、積層体プレートを通って長軸の方向に伸びる機能流体チャネルプレート積層体通路と、機能流体チャネルプレート積層体通路に接続された機能流体チャネルハウジング通路とを備える。ここで、機能流体チャネルプレート積層体通路およびプレート積層体流体チャネルは、水および/または水蒸気を伝達するための積層体プレート内で、相互連通可能に互いに接続される。ここで、積層体プレートが機能流体チャネルハウジング通路内に、または完全にその内側に、配置され、少なくとも1つの積層体プレートは、機能流体チャネルハウジング通路に向かって開口し、機能流体チャネルプレート積層体通路と機能流体チャネルハウジング通路との間の流体接続を生成することが本質である。
【0025】
実際には、膜プレートは、特に空気を通さず、水および水蒸気透過性で、ならびに/または円形、卵形、もしくは多角形状の平坦な膜体から形成される。平坦な膜体は、平坦で広い前面と、前面の反対方向を向く平坦で広い後面とを有する。例えば、膜プレートは、加湿装置の動作時において、流れ間通路とマウス流れ間通路との間で、第1の流体チャネル構成体を通って流れる第1の流体流から第2の流体チャネル構成体を通って流れる第2の流体流へ水および/または水蒸気を伝達するために配置される。
【0026】
なお、要約すると、本発明は、水および/または水蒸気を第1の流体流から第2の流体流へ伝達するための加湿装置に関する。この目的のために、この加湿装置は、主伸展方向に沿って長軸を規定するプレート積層体を備える加湿器と、どの場合もプレート積層体のプレート積層体装備面の前側に配置された2つのハウジングコネクタと、流体チャネルシステムとを備える。本発明は、プレート積層体が流体チャネルハウジング内に配置されることが本質である。
【0027】
本発明のさらに重要な特徴および利点は、従属クレーム、図面、および図面を用いた関連の図の説明から得られる。
【0028】
なお、上記特徴およびさらに以下に説明する特徴は、本発明の範囲を逸脱せずに、それぞれの記載の組み合わせにおいて使用され得るだけでなく、他の組み合わせまたはそれ自体でも使用され得る。
【0029】
本発明の好適な例示の実施形態を図面に示し、以下により詳細に説明する。同じ参照符号は、同じもしくは類似の構成要素または機能が同じである構成要素に関する。
【0030】
図面は、どの場合も模式的である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図2は、
図1の加湿装置を示す図であって、2つのハウジングコネクタの間に締め付けられたプレート積層体がより良く見て取れるように流体チャネルハウジングを取り外した図である。
【
図3】
図3は、
図1の切断線III-IIIに沿った
図1の加湿装置の断面図であり、加湿装置のプレート積層体のプレート、すなわち、マウスプレートを示す図である。
【
図4】
図4は、
図1の加湿装置のプレート積層体のさらなるプレート、すなわち、流れ間プレートを示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1の加湿装置のプレート積層体のさらなるプレート、すなわち、膜プレートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~5は、加湿装置1全体を示す。加湿装置1は、水および/または水蒸気を第1の流体流2から第2の流体流3へ伝達する機能を有する。この目的のために、加湿装置1は、加湿器4と、加湿器4に流体を供給するための、加湿器4に接続可能な流体供給デバイス(不図示)とを備える。自動車分野において、加湿装置1は、例えば、燃料電池に通される流体を比較的湿潤に保つ機能を有する。以下の説明において、個々の図を参照する。
【0033】
図1において、加湿装置1が実際に加湿器4を備えることが見て取れる。加湿器4は、例えば、
図2に示すプレート積層体7と、それぞれプレート積層体7のプレート積層体装備面8の前側に配置された2つのハウジングコネクタ9、10と、
図2に示す流体チャネルシステムとを備える。加湿器4は、主伸展方向5に沿って伸び、主伸展方向5に沿って長軸6および長軸6に対して横向きの横軸55が規定される。長軸6および横軸55は、
図1および2において、それぞれ破線で示される。加湿器4は、プレート積層体7を完全に囲む流体チャネルハウジング12を有する。流体チャネルハウジング12は、好ましくは、薄肉の構成要素である。この薄肉の構成要素は、単一体として構成されてもよいし、または複数の部品から構成されてもよい。流体チャネルハウジング12は、好ましくは、プラスチック材料、金属材料、または複合材料から作製される。
【0034】
図1において、さらに、プレート積層体7のプレート積層体装備面8上に、第1のハウジングコネクタ9および第2のハウジングコネクタ10が配置されていることが見て取れる。各ハウジングコネクタ9、10は、例えば、直方体形状の基体を有し、好ましくは、プラスチック材料、金属材料、または複合材料から作製される。さらに、各ハウジングコネクタ9、10は、特にそれぞれの基体を補強するための補強部と、それぞれの基体を流体チャネルハウジング12および/または別の基体に接続する接続手段と、流体導通流体ラインを接続するための接続部とを備える。
図1に示す第1のハウジングコネクタ9および第2のハウジングコネクタ10はそれぞれ、第1の流体流2および第2の流体流3を導入または排出する機能を有する2つの接続部(第1および第2の流体接続部53、54と称す)を備える。
図1において、流体流2、3はそれぞれ、矢印で示される。当然ながら、図に示す流れの方向が逆転してもよいし、同じ方向を向いてもよい。
【0035】
図1において、排出チャネル凸部17が流体チャネルハウジング12上に配置されていることが見て取れる。さらに、排出チャネル凸部17を通って、排出流体または漏れ流体が加湿装置1から排出され得る。排出チャネル凸部17または
図3に示す排出チャネル凸部17によって範囲設定される排出チャネル16は、その主伸展方向に沿う排出チャネル長軸18を規定する。
図1において、排出チャネル長軸18は、破線で示される。排出チャネル長軸18と長軸6との間に排出角度19が範囲設定されるので、排出チャネル凸部17は、流体チャネルハウジング12上に実質的にある角度で配置される。排出角度19は、例えば1°または任意の他の鋭角である。これは、排出流体または漏れ流体が排出チャネル凸部17から自動的に排出され、第1および/または第2のハウジングコネクタ9、10上に配置された排出接続56を介して、ポンプでくみ出されること、または排出されることが可能であるという効果を有する。
【0036】
図2において、流体チャネルハウジング12が取り外されているので、加湿器4のプレート積層体7が見て取れる。プレート積層体7は、長軸6に沿って伸びる。プレート積層体7は、複数のプレート31を有する。複数のプレート31は、長軸6に平行な整列方向29に、互いに接触して積層され、例えば、封止材および/または封止ペースト(図示せず)を中間に入れて接続されている。上記のように、プレート積層体7は、その自由前面端において合計2つのプレート積層体装備面8を規定する。2つのプレート積層体装備面8上に、上記ハウジングコネクタ9、10が配置される。プレート積層体7のプレート31は、例えば、複数の積層体群30を形成し得る。複数の積層体群30のそれぞれは、異なるプレートタイプ31から構成される。例えば、1つまたは複数の積層体群30が提供され、各積層体群30は、流れ間プレート32、膜プレート33、マウスプレート34、および/または以下により詳細に記載する他のプレートから構成される。
【0037】
いずれの場合においても、
図2において、プレート積層体7に貫入する流体チャネルシステム11がさらに示される。例えば、流体チャネルシステム11は、第1および第2の流体チャネル構成体20、21を備える。第1および第2の流体チャネル構成体20、21は、流体を流体接続部53、54からそれぞれの他の流体接続部53、54へ通す機能を有する。第1の流体チャネル構成体20は、例えば、プレート積層体を通って長軸6の方向に伸びる1つ以上プレート積層体流体チャネル22、23を備える。第2の流体チャネル構成体21は、例えば、同様にプレート積層体7を通って長軸6の方向に伸びる1つ以上機能流体チャネル25を備える。プレート積層体流体チャネル22、23および機能流体チャネル25は、プレート積層体7内で、互いに比較的近傍に配置され、膜プレート33によって単に分離されるので、水および/または水蒸気が第1の流体流2から第2の流体流3へ膜プレート33を介して伝達され得る。
【0038】
図3において、
図1の加湿装置1または加湿器4の切断線III-IIIに沿った断面図を示す。断面図は、2つのプレート31、すなわち、積層体群30のマウスプレート34および同じ積層体群30の膜プレート33、ならびに流体チャネルハウジング12によって範囲設定された上記排出チャネル16を示す。さらに、
図1に導入された横軸55およびそれに直交する縦軸57が示される。流体チャネルハウジング12上に排出チャネル凸部17が見て取れる。排出チャネル凸部17は、プレート積層体7から離れるように横軸55の方向に突き出し、排出チャネル16を規定する。第1の流体流2または第2の流体流3が流れ得る流体チャネルシステム11の流体チャネル13がプレート31と流体チャネルハウジング12との間に範囲設定される。流体チャネル13は、空隙流れ断面14を規定する。流れ断面14は、横軸55および縦軸57の方向に、すなわち、すべての側に向かって、プレート31を囲むように構成され、完全な島状になる。ここで、一定の間隔15がプレート31と流体チャネルハウジング12との間で全周にわたって規定されるので、流体チャネルハウジング12は、プレート31に対して接触せずに配置され、また加湿装置1の動作時において、振動によってプレートに当たることもない。
【0039】
図3に示すマウスプレート34は、平坦マウス体43を有する。平坦マウス体43は、平坦で広い前面44と、前面44の反対方向を向く平坦で広い後面45とを備える。平坦マウス体43は、さらに、中央の、特に大面積の、凹部38を有する。凹部38は、いわゆる第2の流れ間通路27を形成する。第2の流れ間通路27は、広い前面44を起点として、広い後面45まで伸び、平坦マウス体フレーム46を形成しつつ、平坦マウス体43を完全に貫通する。例えば、平坦マウス体フレーム46は、基部60と、基部60上に配置された2つの脚部58、59とを有する。平坦マウス体フレーム46は、さらに、第1および第2の通路構成体47、48を有する。第1および第2の通路構成体47、48は、第1および第2のプレート積層体流体チャネル22、23を形成しつつ、平坦マウス体フレーム46を完全に貫通する。第1および第2の通路構成体47、48の他に、平坦マウス体フレーム46は、さらに第3の通路構成体49と、少なくとも1つのマウス開口28を備える。第1の通路構成体49は、第1の機能流体チャネル25を形成しつつ、平坦マウス体フレーム46を完全に貫通する。マウス開口28は、流体チャネル13に対して開口51を形成しつつ、少なくとも一方側へ向かって、平坦マウス体フレーム46を開口するので、第1または第2の流体流2、3が第3の通路構成体49から第2の流れ間通路27を通って流体チャネル13へ流れることが可能であり、またその逆も可能である。第2の流れ間通路27を通って流れる場合、例えば、水および/または水蒸気は、膜プレート33を通って伝達され得る。通路構成体47、48、49またはプレート積層体流体チャネル22、23および機能流体チャネル25はそれぞれ、空隙流れ断面52を有する。
【0040】
図3に示すチャネルの向きは、どの場合も実際の設置位置に対応していない。好ましくは、排出チャネル16は、下向きであり、特に重力の方向を向くので、排出チャネル16内に分離された任意の流体、特に水は、排出チャネル16内に集まり、排出される。これとは別に、加湿装置1はまた、特に重力方向に対して、斜めに設置できるので、水を重力方向に排出できる。
【0041】
図4において、2つのプレート31、すなわち、流れ間プレート32および流れ間プレート32の後ろに配置された膜プレート33を示す。膜プレート33は、流れ間プレート32に対して接触して配置される。実際には、流れ間プレート32は、平坦体35によって形成される。平坦体35は、マウスプレート34と同様に、平坦で広い前面36と、前面36の反対方向を向く平坦で広い後面37とを有する。平坦体35はまた、中央の、特に大面積の、凹部38を有する。凹部38は、広い前面36を起点として、広い後面37まで伸び、平坦体フレーム39を形成しつつ、平坦体35を完全に貫通し、いわゆる第1の流れ間通路24を形成する。平坦体フレーム39には、第1および第2の通路構成体47、48が同様に貫入し、平坦体フレーム39が2つのプレート積層体流体チャネル22、23を備える。平坦体フレームは、さらに第3の通路構成体49を有する。第3の通路構成体49は、機能流体チャネル25を形成しつつ、平坦体フレーム39に貫入する。いずれの場合においても、第1および第2の通路構成体47、48は、第1の流れ間通路24を介して互いに連通可能である。したがって、流体は、一方のプレート積層体流体チャネル22から他方のプレート積層体流体チャネル23へ流れることができる。第1の流れ間通路24を通って流れる場合、水および/または水蒸気は、例えば、膜プレート33を介して伝達され得る。
【0042】
図5によると、さらなるプレート31、すなわち、膜プレート33が見て取れる。膜プレート33は、特に空気を通さず、水および水蒸気透過性で、ならびに/または円形、卵形、もしくは多角形状の平坦な膜体61によって形成される。平坦な膜体61は、平坦で広い前面62と、前面62の反対方向を向く平坦で広い後面63とを有する。例えば、膜プレート33は、加湿装置1の動作時において、流れ間プレート32とマウスプレート34との間に、第1の流体チャネル構成体20を通って流れる第1の流体流2から第2の流体チャネル構成体21を通って流れる第2の流体流3へ水および/または水蒸気を伝達するために配置される。膜プレート33は、第1および第2の流れ間通路24、27を互いに対して分離する。膜プレート33は、さらに、3つの通路構成体47、48、49を備える。
【0043】
加湿装置1の動作時において、上記プレート31は、互いに接触して、特に一致して(congruently)、配置され、プレート積層体7を形成する。プレート31のそれぞれの通路構成体47、48、49は、互いに一致して積層され、一緒になって、第1の流体チャネル構成体20のプレート積層体流体チャネル22、23および第2の流体チャネル構成体21の機能流体チャネル25を形成する。