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▶ エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】電界発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20220419BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220419BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220419BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 624B
G09G3/20 621A
G09G3/20 611A
G09G3/20 650J
H05B33/14 A
H01L27/32
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020207241
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2021110933
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0178616
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲曹▼永成
(72)【発明者】
【氏名】南▲哲▼
(72)【発明者】
【氏名】蘇炳成
(72)【発明者】
【氏名】張亨旭
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0043301(KR,A)
【文献】特開2008-040444(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158481(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
H01L 51/50
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピクセルを有する電界発光表示装置であって、
前記ピクセルのそれぞれは、
第1ノードに連結されたゲート電極と第3ノードに連結されたソース電極と第4ノードに連結されたドレイン電極とを有し、前記第3ノードに高電位ピクセル電圧が印加されるとき、データ電圧に相応するピクセル電流を生成する駆動トランジスタと、
前記第1ノードと第2ノードとの間に連結された第1キャパシターと、前記第2ノードと前記高電位ピクセル電圧の入力端子との間に連結された第2キャパシターを有し、第1スキャン信号、前記第1スキャン信号と位相が反対の第2スキャン信号、前記第1スキャン信号より位相が遅い第3スキャン信号、前記第1スキャン信号より位相が先立つ第4スキャン信号、及びエミッション信号を基準に前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を制御する内部補償部と、
前記第4ノードに連結される第5ノードと低電位ピクセル電圧の入力端子との間に連結された発光素子とを含み、
前記内部補償部は、
エージング期間に前記第4スキャン信号によって第2初期化電圧を前記第4ノードに印加する第1スイッチングトランジスタと、
前記エージング期間に引き続く初期化期間に前記第1スキャン信号によって前記第2ノードと前記第3ノードを連結する第2スイッチングトランジスタと、
前記初期化期間に前記第1スキャン信号によって、前記第2初期化電圧より低い第1初期化電圧を前記第1ノードに印加する第4スイッチングトランジスタと、
前記初期化期間に前記第2スキャン信号によって前記第1初期化電圧を前記第5ノードに印加する第7スイッチングトランジスタと、
前記初期化期間に引き続くデータ書込期間に前記第3スキャン信号によってデータ電圧を前記第2ノードに印加する第3スイッチングトランジスタと、
前記データ書込期間に引き続く発光期間に前記エミッション信号によって前記高電位ピクセル電圧の入力端子と前記第3ノードを電気的に連結する第5スイッチングトランジスタと、
前記発光期間に前記エミッション信号によって前記第4ノードと前記第5ノードを電気的に連結する第6スイッチングトランジスタと、をさらに含む、
電界発光表示装置。
【請求項2】
前記初期化期間と前記データ書込期間は、プログラミング期間に含まれ、
前記内部補償部は、
前記第1~第4スキャン信号と前記エミッション信号を基準に決定された前記エージング期間と前記プログラミング期間に前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作によって前記第1~第5ノードの電圧を制御し、前記発光期間に前記駆動トランジスタの閾値電圧が前記駆動トランジスタのゲートソース間に反映されるように制御する、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項3】
前記内部補償部は、
前記プログラミング期間内に前記第1初期化電圧と前記データ電圧に基づいて前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を前記閾値電圧を含む第1レベルに制御し、
記エージング期間内に前記第2初期化電圧に基づいて前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を前記第1レベルより高い第2レベルに制御する、請求項2に記載の電界発光表示装置。
【請求項4】
前記第1レベル及び前記第2レベルのゲートソース間の電圧によって前記駆動トランジスタはオン状態になり、
前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧は前記プログラミング期間に比べて前記エージング期間においてより高い、請求項3に記載の電界発光表示装置。
【請求項5】
記内部補償部は、
前記初期化期間の間に前記第1初期化電圧が前記第1、第4及び第5ノードに印加されるように前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作を制御し、
前記データ書込期間の間に前記データ電圧が前記第2ノードに印加されるように前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作を制御する、請求項3に記載の電界発光表示装置。
【請求項6】
前記内部補償部は、
前記エージング期間に先立つプリ初期化期間内に、前記第1初期化電圧が前記第1ノードに予め印加されるように前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作をさらに制御する、請求項5に記載の電界発光表示装置。
【請求項7】
前記プリ初期化期間内に、前記第1、第2、及び第4スキャン信号は第1次オンレベルで入力される、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項8】
前記プログラミング期間内に、前記第1、第2、及び第4スキャン信号は第2次オンレベルで入力される、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項9】
前記第1スイッチングトランジスタと前記第4スイッチングトランジスタは酸化物半導体層を含むNチャネル酸化物トランジスタから具現される、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項10】
前記第2スイッチングトランジスタと前記第3スイッチングトランジスタは酸化物半導体層を含むNチャネル酸化物トランジスタから具現される、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項11】
前記駆動トランジスタと前記第5スイッチングトランジスタと前記第6スイッチングトランジスタと前記第7スイッチングトランジスタは低温ポリシリコン半導体層を含むPチャネルLTPS(Low Temperature Poli Silicon)トランジスタから具現される、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項12】
前記第1キャパシターは前記初期化期間に前記駆動トランジスタの閾値電圧を保存し、
前記第2キャパシターは前記データ書込期間に前記データ電圧を保存する、請求項5に記載の電界発光表示装置。
【請求項13】
前記ピクセルに前記データ電圧が書き込まれる第1映像フレームと第2映像フレームが存在するとき、前記第1映像フレームで書き込まれたデータ電圧を維持する複数の第3映像フレームが前記第1映像フレームと前記第2映像フレームとの間に位置する、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項14】
複数のピクセルを有する電界発光表示装置であって、
前記ピクセルのそれぞれは、
第1ノードに連結されたゲート電極と第3ノードに連結されたソース電極と第4ノードに連結されたドレイン電極とを有し、前記第3ノードに高電位ピクセル電圧が印加されるとき、データ電圧に相応するピクセル電流を生成する駆動トランジスタと、
第5ノードと低電位ピクセル電圧の入力端子との間に連結される発光素子と、
前記第1ノードにカップリングされた第2ノードを有し、第1スキャン信号、前記第1スキャン信号と位相が反対の第2スキャン信号、前記第1スキャン信号より位相が遅い第3スキャン信号、前記第1スキャン信号より位相が先立つ第4スキャン信号、及びエミッション信号を基準に前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を制御し、前記第1~第4スキャン信号と前記エミッション信号を基準に決定されたエージング期間とプログラミング期間に複数のスイッチングトランジスタの動作によって前記第1~第5ノードの電圧を制御し、前記プログラミング期間に引き続く発光期間に前記駆動トランジスタの閾値電圧が前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧に反映されるように制御する内部補償部とを含み、
前記プログラミング期間は、初期化期間と、前記初期化期間に引き続くデータ書込期間とを含み、
前記内部補償部は、
前記エージング期間に前記第4スキャン信号によって第2初期化電圧を前記第4ノードに印加する第1スイッチングトランジスタと、
前記エージング期間に引き続く初期化期間に前記第1スキャン信号によって前記第2ノードと前記第3ノードを連結する第2スイッチングトランジスタと、
前記初期化期間に前記第1スキャン信号によって、前記第2初期化電圧より低い第1初期化電圧を前記第1ノードに印加する第4スイッチングトランジスタと、
前記初期化期間に前記第2スキャン信号によって前記第1初期化電圧を前記第5ノードに印加する第7スイッチングトランジスタと、
前記初期化期間に引き続くデータ書込期間に前記第3スキャン信号によって前記データ電圧を前記第2ノードに印加する第3スイッチングトランジスタと、
前記発光期間に前記エミッション信号によって前記高電位ピクセル電圧の入力端子と前記第3ノードを電気的に連結する第5スイッチングトランジスタと、
前記発光期間に前記エミッション信号によって前記第4ノードと前記第5ノードを電気的に連結する第6スイッチングトランジスタと、をさらに含む、
電界発光表示装置。
【請求項15】
前記内部補償部は、
前記プログラミング期間内に第1初期化電圧とデータ電圧に基づいて前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を前記閾値電圧を含む第1レベルに制御し、
前記プログラミング期間に先立つ前記エージング期間内に前記第1初期化電圧より高い第2初期化電圧に基づいて前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を前記第1レベルより高い第2レベルに制御する、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項16】
前記第1レベル及び前記第2レベルのゲートソース間の電圧によって前記駆動トランジスタはオン状態になり、
前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧は前記プログラミング期間に比べて前記エージング期間においてより高い、請求項15に記載の電界発光表示装置。
【請求項17】
記内部補償部は、
前記初期化期間の間に前記第1初期化電圧が前記第1、第4及び第5ノードに印加されるように前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作を制御し、
前記データ書込期間の間に前記データ電圧が前記第2ノードに印加されるように前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作を制御する、請求項16に記載の電界発光表示装置。
【請求項18】
前記内部補償部は、
前記エージング期間に先立つプリ初期化期間内に、前記第1初期化電圧が前記第1ノードに予め印加されるように前記第1~第7スイッチングトランジスタの動作をさらに制御する、請求項17に記載の電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光表示装置は、発光層の材料によって無機発光表示装置と電界発光表示装置に区分される。電界発光表示装置の各ピクセルは自ら発光する発光素子を含み、映像データの階調によって発光素子の発光量を制御して輝度を調節する。各ピクセル回路は、発光素子にピクセル電流を供給する駆動トランジスタと、駆動トランジスタのゲートソース間の電圧をプログラミングする少なくとも一つ以上のスイッチングトランジスタと、キャパシターとを含むことができる。スイッチングトランジスタとキャパシターなどは駆動トランジスタの閾値電圧の変化を補償することができる連結構造に設計されて補償回路の機能を有することができる。
【0003】
駆動トランジスタで生成されるピクセル電流は駆動トランジスタの閾値電圧とゲートソース間の電圧によって決定される。このような電界発光表示装置で所望の輝度を具現するためには、一つ目、駆動トランジスタのゲートソース間の電圧がプログラミングされるときに駆動トランジスタのヒステリシス特性に影響をより少なく受けなければならなく、二つ目、駆動トランジスタの閾値電圧の変化がピクセル電流に影響を及ぼさないように補償回路が最適に設計されなければならなく、三つ目、発光素子が発光するうちにも駆動トランジスタのゲート電圧がプログラミングされた電圧に一定に維持されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本明細書に開示された実施例はこのような状況を勘案したものであり、駆動トランジスタのゲートソース間の電圧がプログラミングされるに先立ち、駆動トランジスタのヒステリシス特性を緩和して駆動トランジスタの閾値電圧の変化を最適に補償するようにした電界発光表示装置を提供する。
【0005】
また、本明細書に開示された実施例は、発光素子が発光するうちにも駆動トランジスタのゲート電圧がプログラミングされた電圧に一定に維持されるようにした電界発光表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例による電界発光表示装置は複数のピクセルを有する。前記ピクセルのそれぞれは、第1ノードに連結されたゲート電極と第3ノードに連結されたソース電極と第4ノードに連結されたドレイン電極とを有し、前記第3ノードに高電位ピクセル電圧が印加されるとき、データ電圧に相応するピクセル電流を生成する駆動トランジスタと、前記第1ノードと第2ノードとの間に連結された第1キャパシターと、前記第2ノードと前記高電位ピクセル電圧の入力端子との間に連結された第2キャパシターを有し、第1スキャン信号、前記第1スキャン信号と位相が反対の第2スキャン信号、前記第1スキャン信号より位相が遅い第3スキャン信号、前記第1スキャン信号より位相が先立つ第4スキャン信号、及びエミッション信号を基準に前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を制御する内部補償部と、前記第4ノードに連結される第5ノードと低電位ピクセル電圧の入力端子との間に連結された発光素子とを含む。前記内部補償部は、前記プログラミング期間内に第1初期化電圧とデータ電圧に基づいて前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を前記閾値電圧を含む第1レベルに制御し、前記プログラミング期間に先立つ前記エージング期間内に前記第1初期化電圧より高い第2初期化電圧に基づいて前記駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を前記第1レベルより高い第2レベルに制御する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に開示された実施例は、プログラミング期間に先立つエージング期間を用いて駆動トランジスタに相対的に強いオンバイアスを印加して駆動トランジスタのヒステリシス特性をプログラミングに先立って予め緩和することにより、駆動トランジスタの閾値電圧の変化を最適に補償することができる。
【0008】
本明細書に開示された実施例は、ピクセル回路に内部補償部を含ませることにより、駆動トランジスタの閾値電圧の変化がピクセル電流に反映されないようにして画質を向上させることができる。
【0009】
本明細書に開示された実施例は、駆動トランジスタのゲート電極に直接的又は間接的に連結されたスイッチングトランジスタをオフ特性の良い酸化物トランジスタから具現することにより、発光素子が発光するうちにも駆動トランジスタのゲート電圧をプログラミングされた電圧に一定に維持するようにして画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例による電界発光表示装置を示すブロック図である。
図2図1の電界発光表示装置がLRR(Low Refresh Rate)駆動(又は低速駆動)することができることを示す図である。
図3図1の電界発光表示装置に含まれた一ピクセルの等価回路図である。
図4図3に示すピクセル回路の駆動波形図である。
図5a図4のP1区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図5b図4のP1区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図6a図4のP2区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図6b図4のP2区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図7a図4のP3区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図7b図4のP3区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図8a図4のP4区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図8b図4のP4区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図9a図4のP5区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図9b図4のP5区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図10a図4のP6区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
図10b図4のP6区間に対するピクセルの動作に係わる図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて好適な実施例を詳細に説明する。明細書全般にわたって同じ参照番号は実質的に同じ構成要素を意味する。以下の説明で、この明細書の内容に係わる公知の機能又は構成についての具体的な説明が不必要に内容の理解をあいまいにするか妨げることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0012】
電界発光表示装置において、ピクセル回路とゲート駆動回路はNチャネルトランジスタ(NMOS)とPチャネルトランジスタ(PMOS)のいずれか一つ以上を含むことができる。トランジスタは、ゲート(gate)、ソース(source)及びドレイン(drain)を含む3電極素子である。ソースはキャリア(carrier)をトランジスタに供給する電極である。トランジスタ内でキャリアはソースから流れ始める。ドレインはトランジスタからキャリアが外部に出る電極である。トランジスタからのキャリアはソースからドレインに流れる。Nチャネルトランジスタの場合、キャリアが電子(electron)であるため、ソースからドレインに電子が流れるようにソース電圧がドレイン電圧より低い電圧を有する。Nチャネルトランジスタにおいて電流の方向はドレインからソース側に流れる。Pチャネルトランジスタの場合、キャリアが正孔(hole)であるため、ソースからドレインに正孔が流れるようにソース電圧がドレイン電圧より高い。Pチャネルトランジスタにおいて正孔がソースからドレイン側に流れるから、電流がソースからドレイン側に流れる。トランジスタのソースとドレインは固定されたものではないということに気を付けなければならない。例えば、ソースとドレインは印加電圧によって変更されることができる。したがって、トランジスタのソースとドレインによって発明が制限されない。以下の説明で、トランジスタのソースとドレインを第1及び第2電極と言う。
【0013】
ピクセルに印加されるスキャン信号(又はゲート信号)はゲートオン電圧(Gate On Voltage)とゲートオフ電圧(Gate Off Voltage)との間でスイング(swing)する。ゲートオン電圧はトランジスタの閾値電圧より高い電圧に設定され、ゲートオフ電圧はトランジスタの閾値電圧より低い電圧に設定される。トランジスタはゲートオン電圧に応答してターンオン(turn-on)される反面、ゲートオフ電圧に応答してターンオフ(turn-off)される。Nチャネルトランジスタの場合、ゲートオン電圧はゲートハイ電圧(Gate High Voltage、VGH)であり得、ゲートオフ電圧はゲートロー電圧(Gate Low Voltage、VGL)であり得る。Pチャネルトランジスタの場合、ゲートオン電圧はゲートロー電圧VGLであり得、ゲートオフ電圧はゲートハイ電圧VGHであり得る。
【0014】
電界発光表示装置のピクセルのそれぞれは、発光素子と、ゲートソース間の電圧によってピクセル電流を生成して発光素子を駆動させる駆動素子とを含む。発光素子は、アノード電極、カソード電極及びこれらの電極の間に形成された有機化合物層を含む。有機化合物層は、正孔注入層(Hole Injection layer、HIL)、正孔輸送層(Hole transport layer、HTL)、発光層(Emission layer、EML)、電子輸送層(Electron transport layer、ETL)、電子注入層(Electron Injection layer、EIL)などを含むことができるが、これに限定されない。発光素子にピクセル電流が流れるとき、正孔輸送層(HTL)を通過した正孔と電子輸送層(ETL)を通過した電子が発光層(EML)に移動して励起子が形成され、その結果、発光層(EML)が可視光を放出することができる。
【0015】
駆動素子は、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)のようなトランジスタから具現されることができる。駆動トランジスタは、ピクセルの間に電気的特性(例えば、閾値電圧)が均一でなければならないが、工程偏差と素子特性偏差によってピクセルの間に差があり得る。駆動トランジスタの電気的特性はディスプレイ駆動時間の経過によって変わることもでき、変わる程度でピクセルの間に差があり得る。このような駆動トランジスタの電気的特性偏差を補償するために、電界発光表示装置に内部補償方法を適用することができる。内部補償方法は、ピクセル回路の内部に補償部を含むことにより、駆動トランジスタの電気的特性変化がピクセル電流に影響を及ぼすことができないようにすることである。
【0016】
最近、電界発光表示装置のピクセル回路に含まれた一部のトランジスタを酸化物トランジスタから具現する試みが増えている。酸化物トランジスタは、半導体物質として、ポリシリコンの代わりに、酸化物(Oxide)、すなわちIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、及びO(酸素)を結合したIGZOという酸化物が使われる。
【0017】
酸化物トランジスタは、低温ポリシリコン(Low Temperature Poli Silicon、以下、LTPSという)トランジスタに比べて電子移動度が低いが、非晶質シリコントランジスタに比べては電子移動度が10倍以上高く、製造費用の観点では非晶質シリコントランジスタよりは高いが、低温ポリシリコントランジスタよりはずっと低い利点がある。また、酸化物トランジスタの製造工程が非晶質シリコントランジスタの製造工程と同様であって既存の設備を活用することができるので、効率的な利点がある。特に、酸化物トランジスタはオフ電流が低いから、トランジスタオフ期間が相対的に長い低速駆動の際、駆動安全性及び信頼性が高い利点もある。よって、高解像度と低電力駆動が必要な大型液晶表示装置又は低温ポリシリコン工程で画面サイズに対応することができないOLED TVに酸化物トランジスタを採用することができる。
【0018】
図1は本発明の実施例による電界発光表示装置を示すブロック図である。図2図1の電界発光表示装置がLRR(Low Refresh Rate)駆動(又は低速駆動)することができることを示す。
【0019】
図1を参照すると、本実施例の電界発光表示装置は、表示パネル10、タイミングコントローラー11、データ駆動回路12、ゲート駆動回路13、及び電源回路16を備えることができる。図1のタイミングコントローラー11、データ駆動回路12及び電源回路16は全部又は一部がドライブ集積回路内に一体化することができる。
【0020】
表示パネル10において、入力映像が表現される画面には列(Column)方向(又は垂直方向)に延びた多数のデータライン14と行(Row)方向(又は水平方向)に延びた多数のゲートライン15が交差し、交差領域ごとにピクセルPXLがマトリックス状に配置されてピクセルアレイを形成する。
【0021】
ゲートライン15は、データライン14に供給されるデータ電圧と初期化電圧ラインに供給される初期化電圧をピクセルに印加するための二つ以上のスキャン信号を供給する二つ以上のスキャンラインと、ピクセルを発光させるためのエミッション信号を供給するためのエミッションラインなどを含むことができる。
【0022】
表示パネル10は、高電位ピクセル電圧ELVDDをピクセルPXLに供給するための第1電源ライン、低電位ピクセル電圧ELVSSをピクセルPXLに供給するための第2電源ライン、ピクセル回路を初期化するための初期化電圧Vintを供給するための初期化電圧ラインなどをさらに含むことができる。第1及び第2電源ラインと初期化電圧ラインは電源回路16に連結される。第2電源ラインは多数のピクセルPXLを覆う透明電極の形態に形成されることもできる。
【0023】
表示パネル10のピクセルアレイ上にタッチセンサーが配置されることができる。タッチ入力は別途のタッチセンサーを用いてセンシングされるかピクセルを介してセンシングされることができる。タッチセンサーは、オンセル(On-cell type)又はアドオンタイプ(Add on type)で表示パネル(PXL)の画面上に配置されるかピクセルアレイに内蔵されるインセル(In-cell type)タッチセンサーから具現されることができる。
【0024】
ピクセルアレイにおいて、同じ水平ラインに配置されるピクセルPXLはデータライン14のいずれか一つ、ゲートライン15のいずれか一つ又は二つ以上に接続されてピクセルラインを形成する。ピクセルPXLは、ゲートライン15を介して印加されるスキャン信号とエミッション信号に応じてデータライン14又は初期化電圧ラインと電気的に連結されてデータ電圧又は初期化電圧Vintが入力され、データ電圧に相応するピクセル電流で発光素子を発光させる。同じピクセルラインに配置されたピクセルPXLは同じゲートライン15から印加されるスキャン信号とエミッション信号によって同時に動作する。
【0025】
一つのピクセルユニットは、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、及び青色サブピクセルを含む3個のサブピクセル、又は赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、青色サブピクセル、及び白色サブピクセルを含む4個のサブピクセルから構成されることができるが、それに限定されない。各サブピクセルは内部補償部を含むピクセル回路から具現されることができる。以下で、ピクセルはサブピクセルを意味する。
【0026】
ピクセルPXLは、電源回路16から高電位ピクセル電圧ELVDD、初期化電圧Vint及び低電位ピクセル電圧ELVSSを受け、駆動トランジスタ、発光素子及び内部補償部を備えることができ、内部補償部は、後述する図3のように、複数のスイッチングトランジスタと一つ以上のキャパシターから構成されることができる。
【0027】
タイミングコントローラー11は、外部ホストシステム(図示せず)から伝達される映像データDATAをデータ駆動回路12に供給する。タイミングコントローラー11は、ホストシステムから垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、データイネーブル信号DE、ドットクロックDCLKなどのタイミング信号を受けてデータ駆動回路12とゲート駆動回路13の動作タイミングを制御するための制御信号を生成する。制御信号は、ゲート駆動回路13の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号GCSとデータ駆動回路12の動作タイミングを制御するためのデータタイミング制御信号DCSとを含む。
【0028】
データ駆動回路12は、データタイミング制御信号DCSに基づき、タイミングコントローラー11から入力されるデジタル映像データDATAをサンプリング及びラッチして並列データに変え、デジタルアナログコンバータ(以下、DAC)を介してガンマ基準電圧によってアナログデータ電圧に変換し、そのデータ電圧を出力チャネルとデータライン14を介してピクセルPXLに供給する。データ電圧はピクセルが表現する階調に対応する値であり得る。データ駆動回路12は複数のドライバー集積回路から構成されることができる。
【0029】
データ駆動回路12は、シフトレジスター(shift register)、ラッチ、レベルシフター、DAC、及びバッファーを含むことができる。シフトレジスターはタイミングコントローラー11から入力されるクロックをシフトしてサンプリングのためのクロックを順次出力し、ラッチはシフトレジスターから順次入力されるサンプリングクロックタイミングにデジタル映像データをサンプリング及びラッチし、サンプリングされたピクセルデータを同時に出力し、レベルシフターはラッチから入力されるピクセルデータの電圧をDACの入力電圧範囲内にシフトし、DACはレベルシフターからのピクセルデータをガンマ補償電圧に基づいてデータ電圧に変換した後、このデータ電圧をバッファーを介してデータライン14に供給する。
【0030】
ゲート駆動回路13は、ゲート制御信号GCSに基づいてスキャン信号とエミッション信号を生成し、アクティブ期間にスキャン信号とエミッション信号を行順次方式で生成し、ピクセルラインごとに連結されたゲートライン15に順次印加する。ゲートライン15の特定のスキャン信号はデータライン14のデータ電圧の供給タイミングに同期する。スキャン信号とエミッション信号はゲートオン電圧とゲートオフ電圧との間でスイングする。
【0031】
ゲート駆動回路13は、シフトレジスター、シフトレジスターの出力信号をピクセルのTFT(Thin Film Transistor)駆動に適したスイング幅に変換するためのレベルシフター及び出力バッファーなどをそれぞれ含む多数のゲートドライブ集積回路から構成されることができる。もしくは、ゲート駆動回路13はGIP(Gate Drive IC in Panel)方式で表示パネル10の下部基板に直接形成されることもできる。GIP方式の場合、レベルシフターはPCB(Printed Circuit Board)上に実装され、シフトレジスターは表示パネル10の下部基板に形成されることができる。
【0032】
電源回路16は、直流直流変換器(DC-DC Converter)を用いて、ホストから提供される直流入力電圧を調整してデータ駆動回路12とゲート駆動回路13の動作に必要なゲートオン電圧、ゲートオフ電圧VGH、VGLなどを生成し、またピクセルアレイの駆動に必要な高電位ピクセル電圧ELVDD、初期化電圧Vint及び低電位ピクセル電圧ELVSSを生成する。初期化電圧Vintは、第1初期化電圧と、前記第1初期化電圧より高い第2初期化電圧とを含むことができる。第2初期化電圧は駆動トランジスタのヒステリシス特性を緩和するためのエージング動作に必要なものである。
【0033】
ホストシステムは、モバイル機器、ウェアラブル機器及び仮想/拡張現実機器などにおいてAP(Application Processor)になることができる。もしくは、ホストシステムは、テレビシステム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、パソコン、及びホームシアターシステムなどのメインボードであり得るが、これに限定されるものではない。
【0034】
図2図1の電界発光表示装置がLRR(Low Refresh Rate)駆動(又は低速駆動)することができることを示す。
【0035】
図2を参照すると、本実施例の電界発光表示装置は、消費電力を減らすためにLRR駆動を採用することができる。図2の(B)に示すLRR駆動は、(A)に示す60Hz駆動に比べ、データ電圧が書き込まれる映像フレームの数を減らす。60Hz駆動は1秒に60個の映像フレームが再現され、60個の映像フレームの全てでデータ電圧の書込動作が行われる。これに対し、LRR駆動は、60個の映像フレームの一部の映像フレームでのみデータ電圧が書き込まれ、残りの映像フレームでは先行の映像フレームで書き込まれたデータ電圧をそのまま維持する。言い換えれば、前記残りの映像フレームではデータ駆動回路12とゲート駆動回路13の出力動作が中止されるので、消費電力が減る効果がある。LRR駆動は静止映像又は映像変化の少ない動画に採用されることができ、データ電圧のアップデート周期が60Hz駆動に比べて長い。よって、ピクセル回路において駆動トランジスタのゲートソース間の電圧が維持される時間は、60Hz駆動時と比べてLRR駆動時においてより長い。LRR駆動の際には駆動トランジスタのゲートソース間の電圧を所望の時間の間に維持させることが必要であり、このために、駆動トランジスタのゲート電極に直接的又は間接的に連結されたスイッチングトランジスタはオフ特性の良い酸化物トランジスタから具現されることが好ましい。一方、本実施例は入力映像の特性によって60Hz駆動とLRR駆動を選択的に採択することができる。
【0036】
図3図1の電界発光表示装置に含まれた一ピクセルの等価回路図である。そして、図4図3に示すピクセル回路の駆動波形図である。以下の説明で、トランジスタの第1電極はソース電極とドレイン電極のいずれか一つであり得、トランジスタの第2電極はソース電極とドレイン電極の他の一つであり得る。
【0037】
図3を参照すると、ピクセル回路は、データライン14、第1スキャンラインA、第2スキャンラインB、第3スキャンラインC、第4スキャンラインD及びエミッションラインEに連結される。ピクセル回路はデータライン14からデータ電圧Vdataを受け、第1スキャンラインAから第1スキャン信号SN(n-2)を受け、第2スキャンラインBから第2スキャン信号SP(n-2)を受け、第3スキャンラインCから第3スキャン信号SN(n)を受け、第4スキャンラインDから第4スキャン信号SN(n-3)を受け、エミッションラインEからエミッション信号EMを受ける。第1スキャン信号SN(n-2)と第2スキャン信号SP(n-2)は互いに逆位相を成す。第3スキャン信号SN(n)は第1スキャン信号SN(n-2)より位相が遅く、第4スキャン信号SN(n-3)は第1スキャン信号SN(n-2)より位相が先立つ。
【0038】
図3及び図4を参照すると、ピクセル回路は、駆動トランジスタDT、発光素子EL、及び内部補償部を含んでなることができる。
【0039】
駆動トランジスタDTは、データ電圧Vdataに相応するように発光素子ELを駆動することができるピクセル電流を生成する。駆動トランジスタDTの第1電極が第3ノードN3に連結され、第2電極が第4ノードN4に連結され、ゲート電極が第1ノードN1に連結される。
【0040】
発光素子ELは、第5ノードN5に連結されたアノード電極と、低電位ピクセル電圧ELVSSの入力端子に連結されたカソード電極と、両電極の間に位置する発光層とを含む。発光素子ELは有機発光層を含む有機発光層を含む有機発光ダイオードから具現されるか又は無機発光層を含む無機発光ダイオードから具現されることができる。
【0041】
内部補償部は駆動トランジスタDTの閾値電圧を補償するとともに駆動トランジスタDTのヒステリシス特性を緩和するためのものであり、7個のスイッチングトランジスタT1~T7と2個のキャパシターCst1、Cst2から構成されることができる。ここで、スイッチングトランジスタの少なくとも一部が酸化物トランジスタから構成されることができる。
【0042】
内部補償部は、第1ノードN1と第2ノードN2との間に連結された第1キャパシターCst1と、第2ノードN2と高電位ピクセル電圧ELVDDの入力端子との間に連結された第2キャパシターCst2とを有し、第1スキャン信号SN(n-2)、第1スキャン信号SN(n-2)と位相が反対の第2スキャン信号SP(n-2)、第1スキャン信号SN(n-2)より位相が遅い第3スキャン信号SN(n)、第1スキャン信号SN(n-2)より位相が先立つ第4スキャン信号SN(n-3)、及びエミッション信号EMを基準に、所定のエージング期間P3とプログラミング期間P4、P5に複数のスイッチングトランジスタの動作によって第1~第5ノードN1、N2、N3、N4、N5の電圧を制御してプログラミング期間P4、P5に引き続く発光期間P6に駆動トランジスタの閾値電圧が駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧に反映されるようにする役割を果たす。発光期間P6に駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧に駆動トランジスタの閾値電圧が反映されれば、駆動トランジスタDTに流れるピクセル電流は駆動トランジスタの閾値電圧の変化に実質的に影響されなくなる。これにより、駆動トランジスタの閾値電圧の変化がピクセルの内部で補償される。
【0043】
プログラミング期間P4、P5は、初期化期間P4と、初期化期間P4に引き続くデータ書込期間P5とを含む。内部補償部は、初期化期間P4の間に前記第1初期化電圧V1が第1、第4及び第5ノードN1、N4、N5に印加されるようにスイッチングトランジスタの動作を制御し、データ書込期間P5の間にデータ電圧Vdataが第2ノードN2に印加されるようにスイッチングトランジスタの動作を制御することができる。
【0044】
第1スイッチングトランジスタT1は第4ノードN4に初期化電圧Vintを印加するためのものである。第1スイッチングトランジスタT1の第1電極と第2電極の一つは初期化電圧Vintの入力端子に連結され、他の一つは第4ノードN4に連結され、ゲート電極は第4スキャン信号SN(n-3)を受けるように第4スキャンラインDに連結される。
【0045】
第2スイッチングトランジスタT2は第2ノードN2に駆動トランジスタDTの閾値電圧を印加するためのものである。第2スイッチングトランジスタT2の第1電極と第2電極の一つは第2ノードN2に連結され、他の一つは第3ノードN3に連結され、ゲート電極は第1スキャン信号SN(n-2)を受けるように第1スキャンラインAに連結される。
【0046】
第3スイッチングトランジスタT3はデータライン14のデータ電圧Vdataを第2ノードN2に供給するためのものである。第3スイッチングトランジスタT3の第1電極と第2電極の一つはデータライン14に連結され、他の一つは第2ノードN2に連結され、ゲート電極は第3スキャン信号SN(n)を受けるように第3スキャンラインCに連結される。
【0047】
第4スイッチングトランジスタT4は駆動トランジスタDTのゲート電極、つまり第1ノードN1に初期化電圧Vintを供給するためのものである。第4スイッチングトランジスタT4の第1電極と第2電極の一つは第4ノードN4に連結され、他の一つは第1ノードN1に連結され、ゲート電極は第1スキャン信号SN(n-2)を受けるように第1スキャンラインAに連結される。
【0048】
第5スイッチングトランジスタT5と第6スイッチングトランジスタT6は発光素子ELの発光を制御するためのものである。第5スイッチングトランジスタT5の第1電極と第2電極の一つは高電位ピクセル電圧ELVDDの入力端子に連結され、他の一つは第3ノードN3に連結され、ゲート電極はエミッション信号EMを受けるようにエミッションラインEに連結される。そして、第6スイッチングトランジスタT6の第1電極と第2電極の一つは第4ノードN4に連結され、他の一つは第5ノードN5に連結され、ゲート電極はエミッション信号EMを受けるようにエミッションラインEに連結される。
【0049】
第7スイッチングトランジスタT7は発光素子ELのアノード電極に初期化電圧Vintを供給するためのものである。第7スイッチングトランジスタT7の第1電極と第2電極の一つは発光素子ELのアノード電極に連結され、他の一つは初期化電圧Vintの入力端子に連結され、ゲート電極は第2スキャン信号SP(n-2)を受けるように第2スキャンラインBに連結される。
【0050】
第1ストレージキャパシターCst1は第1ノードN1と第2ノードN2との間に連結され、初期化期間P4に駆動トランジスタDTの閾値電圧を保存する。
【0051】
第2ストレージキャパシターCst2はデータ書込期間P5にデータ電圧Vdataを保存する役割を果たす。第2ストレージキャパシターCst2の第1電極と第2電極の一つは第2ノードN2に連結され、他の一つは高電位ピクセル電圧ELVDDの入力端子に連結される。
【0052】
駆動トランジスタDTに流れるピクセル電流は発光期間P6に駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧、つまり第1ノードN1と第3ノードN3の電圧によって決定される。発光期間P6に第3ノードN3の電圧は高電位ピクセル電圧ELVDDに固定されるが、第1ノードN1の電圧は第1及び第4スイッチングトランジスタT1、T4のオフ特性に影響される。これは、発光期間P6に第1及び第4スイッチングトランジスタT1、T4のオフによって第1ノードN1がフローティング(floating)状態になるからである。よって、第1及び第4スイッチングトランジスタT1、T4はオフ特性の良い(すなわち、オフカレントが低い)Nタイプ酸化物トランジスタから具現されることが好ましい。また、発光期間にオフ状態を維持する第2及び第3スイッチングトランジスタT2、T3も第1ストレージキャパシターCst1を介してのカップリング作用によって第1ノードN1の電圧に影響を及ぼすことができるから、オフ特性の良い(すなわち、オフカレントが低い)Nタイプ酸化物トランジスタから具現されることが好ましい。一方、駆動トランジスタDTはピクセル電流を生成するから、電子移動度特性の良いPタイプLTPS(Low Temperature Poli Silicon)トランジスタから具現されることが好ましい。同様に、第5~第7スイッチングトランジスタT5、T6、T7もPタイプLTPSトランジスタから具現されることができる。Pチャネルトランジスタにおいて、トランジスタをターンオンさせるゲートオン電圧はゲートロー電圧VGLになり、トランジスタをターンオフさせるゲートオフ電圧はゲートハイ電圧VGHである。Nチャネルトランジスタにおいて、トランジスタターンオンさせるゲートオン電圧はゲートハイ電圧VGHになってトランジスタをターンオフさせるゲートオフ電圧はゲートロー電圧VGLである。
【0053】
発光期間P6の間に駆動トランジスタDTに流れるピクセル電流はプログラミング期間P4、P5にセットされた駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧、つまり第1ノードN1と第3ノードN3の電圧によって決定される。駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧には駆動トランジスタDTの閾値電圧が反映されているから、駆動トランジスタDTの閾値電圧の変化に構わず、所望のピクセル電流を得ることができるようになる。このように、閾値電圧補償効果を発揮するためには、プログラミング段階で駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧が正確にセットされなければならない。
【0054】
駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧は駆動トランジスタDTのヒステリシス特性に影響されるから、内部補償部はプログラミング期間P4、P5に先立つエージング期間P3を用いて駆動トランジスタDTに相対的に強いオンバイアスを印加し、駆動トランジスタのヒステリシス特性をプログラミングに先立って予め緩和する。
【0055】
具体的に説明すれば、内部補償部は、プログラミング期間P4、P5内に第1初期化電圧V1とデータ電圧Vdataに基づいて駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧を閾値電圧を含む第1レベルに制御する。特に、内部補償部は、プログラミング期間P4、P5に先立つエージング期間P3内に第1初期化電圧V1より高い第2初期化電圧V2、VGHに基づいて駆動トランジスタDTのゲートソース間の電圧を第1レベルより高い第2レベルに制御することにより、プログラミングに先立って駆動トランジスタDTのヒステリシス特性を緩和する。ここで、第1レベル及び第2レベルのゲートソース間の電圧によって駆動トランジスタDTはオンバイアス状態になり、駆動トランジスタDTのオンバイアス電圧(すなわち、ゲートソース間の電圧)はプログラミング期間P4、P5に比べてエージング期間P3においてより高い。言い換えれば、駆動トランジスタDTのオンチャネル抵抗はプログラミング期間P4、P5に比べてエージング期間P3においてより小さい。
【0056】
図4で、ヒステリシス緩和期間はエージング期間P3のみ含んで具現されることもできる。この場合、エージング期間P3に駆動トランジスタDTのオンバイアス電圧(すなわち、ゲートソース間の電圧)は“V2-以前フレームプログラミング電圧”になる。
【0057】
一方、図4で、ヒステリシス緩和期間はプリ初期化期間P1、P2とエージング期間P3の全てを含んで具現されることもできる。このために、内部補償部は、エージング期間P3に先立ってプリ初期化期間P1、P2をさらに設定し、プリ初期化期間P1、P2内に第1初期化電圧V1が第1、第4、及び第5ノードN1、N4、N5に印加されるようにスイッチングトランジスタの動作をさらに制御することができる。エージング効果は駆動トランジスタDTのオンバイアス電圧(すなわち、ゲートソース間の電圧)に比例して向上する。プリ初期化期間P1、P2を介して駆動トランジスタDTのゲート電圧(すなわち、第1ノードN1の電圧)を第1初期化電圧V1に予め低めれば、プリ初期化期間P1、P2なしにすぐエージング期間P3に進入するときに比べて駆動トランジスタDTのオンバイアス電圧(すなわち、ゲートソース間の電圧)がより高くなる。すなわち、“V2-Vth-V1”は“V2-以前フレームプログラミング電圧”より高い。よって、エージング期間P3に先立ってプリ初期化期間P1、P2をさらに設定すれば、エージング効果が極大化する利点がある。
【0058】
ただ、エージング期間P3に先立ってプリ初期化期間P1、P2がさらに設定されるように、第1スキャン信号SN(n-2)、第2スキャン信号SP(n-2)及び第4スキャン信号SN(n-3)はそれぞれプリ初期化期間P1、P2内に第1次オンレベルで入力された後、プログラミング期間P4、P5内に第2次オンレベルで入力されることができる。
【0059】
もちろん、プリ初期化期間P1、P2がないとしても駆動可能であるから、第1スキャン信号SN(n-2)、第2スキャン信号SP(n-2)及び第4スキャン信号SN(n-3)は一回ずつのみオンレベルで入力されることもできる。
【0060】
図5a~図10bは図4のP1~P6区間に対するピクセルの動作に係わる図である。図5a~図10bで、P1、P2はプリ初期化期間、P3はエージング期間、P4は初期化期間、P5はデータ書込期間、及びP6は発光期間をそれぞれ意味する。
【0061】
図5a及び図5bを参照すると、第1期間P1に第1~第3スキャン信号SN(n-2)、SN(n)、SP(n-2)及びエミッション信号EMはいずれもゲートオフ電圧であり、第4スキャン信号SN(n-3)はゲートオン電圧である。第1スイッチングトランジスタT1はターンオンされ、第4ノードに第1初期化電圧V1を印加する。一方、第2~第7スイッチングトランジスタT2~T7及び駆動トランジスタDTはターンオフされ、第1、第2、第3及び第5ノードN1、N2、N3、N5は以前状態の電圧を維持するかその電圧状態が分からない。
【0062】
図6a及び図6bを参照すると、第2期間P2内に第1、第2及び第4スキャン信号SN(n-2)、SP(n-2)、SN(n-3)がゲートオン電圧であり、第3スキャン信号SN(n)とエミッション信号EMがゲートオフ電圧である。ゲートオン電圧の第1、第2及び第4スキャン信号SN(n-2)、SP(n-2)、SN(n-3)によって第1、第2、第4及び第7スイッチングトランジスタT1、T2、T4、T7がターンオンされ、第1及び第4スイッチングトランジスタT1、T4を介して第1ノードN1に第1初期化電圧V1が供給され、第1スイッチングトランジスタT1と駆動トランジスタDTを介して第2~第4ノードN2、N3、N4に電流が流れるようになる。すなわち、第1スイッチングトランジスタT1→駆動トランジスタDT→第2スイッチングトランジスタT2に又は反対方向に電流の流れが発生し、第2ノードN2の電圧と第3ノードN3の電圧は第1初期化電圧V1より駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthだけ低くなり、駆動トランジスタDTがターンオフされるまで電位が下降(又は上昇)する。よって、第2期間P2が終わるときには、第1ノードN1の電圧が第1初期化電圧V1になり、第2及び第3ノードN2、N3の電圧は初期化電圧Vintより駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthだけ低くなった電圧(V1-Vth)又はその付近になる。
【0063】
図7a及び図7bのように、第3期間P3に第4スキャン信号SN(n-3)はゲートオン電圧であり、第1~第3スキャン信号SN(n-2)、SN(n)、SP(n-2)及びエミッション信号EMはいずれもゲートオフ電圧である。駆動トランジスタDTはオン状態を維持し、ゲートオン電圧の第4スキャン信号SN(n-3)によって第1スイッチングトランジスタT1がターンオンされる。これにより、第1初期化電圧V1より高い第2初期化電圧V2が第4ノードN4に充電されるとともに第1初期化電圧V1より高い初期化電圧(V2-Vth)が第3ノードN3に充電される。駆動トランジスタDTのオンバイアス電圧(ゲートソース間の電圧)は“V2-Vth-V1”になり、このようなオンバイアス電圧によって駆動トランジスタDTのヒステリシス特性が緩和される。一方、第2~第7スイッチングトランジスタT2~T7はいずれもターンオフされる。
【0064】
図8a及び図8bを参照すると、第4期間P4内に第1、第2及び第4スキャン信号SN(n-2)、SP(n-2)、SN(n-3)がゲートオン電圧であり、第3スキャン信号SN(n)とエミッション信号EMがゲートオフ電圧である。ゲートオン電圧の第1、第2及び第4スキャン信号SN(n-2)、SP(n-2)、SN(n-3)によって第1、第2、第4及び第7スイッチングトランジスタT1、T2、T4、T7がターンオンされ、第1及び第4スイッチングトランジスタT1、T4を介して第1ノードN1に第1初期化電圧V1が供給され、第1スイッチングトランジスタT1と駆動トランジスタDTを介して第2~第4ノードN2、N3、N4に電流が流れるようになる。すなわち、第1スイッチングトランジスタT1→駆動トランジスタDT→第2スイッチングトランジスタT2に又は反対方向に電流の流れが発生し、第2ノードN2の電圧と第3ノードN3の電圧は第1初期化電圧V1より駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthだけ低くなり、駆動トランジスタDTがターンオフされるまで電位が下降(又は上昇)する。よって、第4期間P4が終わるときには、第1ノードN1の電圧が第1初期化電圧V1になり、第2及び第3ノードN2、N3の電圧は初期化電圧Vintより駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthだけ低くなった電圧(V1-Vth)又はその付近になる。ここで、第1ストレージキャパシターCst1には駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthが保存される。
【0065】
第4期間P4の初期に、第1ノードN1の電位がすぐ第1初期化電圧V1になり、第1ノードN1の初期化電圧V1と高電位ピクセル電圧ELVDDとの間の電位差が第1及び第2ストレージキャパシターCst1、Cst2によって分配され、分配された電位が第2ノードN2にすぐ形成される。その後、第2ノードN2の電位は第1初期化電圧V1による電流によって第1初期化電圧V1と閾値電圧Vthを反映した電圧(V1-Vth)になる。よって、第2ノードN2の電位の定着時間が長くなくなる。
【0066】
図9a及び図9bを参照すると、第5期間P5内で第3スキャン信号SN(n)がゲートオン電圧であり、残りのスキャン信号SN(n-3)、SN(n-2)、SP(n-2)とエミッション信号EMがゲートオフ電圧である。ゲートオン電圧の第3スキャン信号SN(n)によって第3スイッチングトランジスタT3がターンオンされ、データライン14から第2ノードN2にデータ電圧Vdataが供給される。
【0067】
第5期間P5に、第1ストレージキャパシターCst1の両側電位差をそのまま維持しながら第2ノードN2がデータ電圧Vdataになるから、第1ノードN1の電圧はデータ電圧Vdataに駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthを足した値(α(Vdata+Vth))になる。ここで、“α”は第1ストレージキャパシターCst1の容量/第1ストレージキャパシターCst1の容量+第1ノードN1に連結された寄生容量の総和)である。第1ストレージキャパシターCst1の容量が第1ノードN1に連結された寄生容量の総合よりずっと大きいため、“α”は1に近くて無視することができる。
【0068】
第5期間P5には、第1ストレージキャパシターCst1に蓄積された電荷量は変わらず、ただ第1ストレージキャパシターCst1の両側電極の電位が同じ速度で変わるばかりである。よって、第5期間P5に第1ノードN1の電位がデータ電圧Vdata(正確には閾値電圧を反映したデータ電圧)に設定される時間が減る。
【0069】
第5期間P5に、第1ノードN1の電圧は“α(Vdata+Vth)”であり、第2ノードN2の電圧はデータ電圧Vdataであり、第3ノードN3の電圧は“V1-Vth”であり、第4ノードN4の電圧は第1初期化電圧V1である。
【0070】
図10a及び図10bを参照すると、第6期間P6に第1~第4スキャン信号SN(n-3)、SN(n-2)、SN(n)、SP(n-2)はゲートオフ電圧であり、エミッション信号EMはゲートオン電圧になる。第1~第4及び第7スイッチングトランジスタT1~T4、T7はいずれもターンオフされるが、エミッション信号EMによって第5及び図6スイッチングトランジスタT5、T6がターンオンされる。そして、第3ノードN3に高電位ピクセル電圧ELVDDが入力され、第1ノードN1の電圧が高電位ピクセル電圧ELVDDより低い電圧値(α(Vdata+Vth))を維持するので、駆動トランジスタDTがターンオンされてピクセル電流を流す。このようなピクセル電流は発光素子ELに印加されて発光素子ELを発光させる。
【0071】
ピクセル電流(IEL)は、駆動トランジスタDTのゲートソース電圧Vgsから駆動トランジスタDTの閾値電圧Vthを差し引いた値の二乗に比例する。これは下記の式1のように表現できる。
【0072】
式1から分かるように、駆動トランジスタDTの閾値電圧Vth成分がピクセル電流(I_EL)の関係式から消去されるので、駆動トランジスタDTの閾値電圧の変化に構わず、ピクセル電流(IEL)が決定されることができる。ピクセル電流(IEL)はデータ電圧Vdataと高電位ピクセル電圧ELVDDとの間の差に相応する値で発光素子ELを発光させることができる。発光素子ELのアノード電極の電位はピクセル電流( IEL)によってターンオン電圧(ELVSS+Vel)まで上昇し、この上昇時点から発光素子ELの発光が始まる。
【0073】
以上説明した内容から当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範疇内で多様な変更及び修正が可能であるというのが分かるであろう。よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載した内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって決定されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0074】
10 表示パネル
11 タイミングコントローラー
12 データ駆動回路
13 ゲート駆動回路
14 データライン
15 ゲートライン
16 電源回路
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b