(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】コーディネートシステム、ハンドリング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020543627
(86)(22)【出願日】2019-01-03
(86)【国際出願番号】 EP2019050072
(87)【国際公開番号】W WO2019158270
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】102018202321.2
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ アラタルツェフ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ボイケ
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン イェッセン
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027953(JP,A)
【文献】特開2013-215867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキネマティックチェーン(4)を備えたハンドリング装置(1)のためのコーディネートシステム(3)であって、
前記キネマティックチェーン(4)各々は、作業空間(6)内において可動であり、
前記作業空間のうち少なくとも2つの作業空間は、オーバラップを有しており、前記キネマティックチェーン(4)は、作業命令に基づく作業運動を実施するように構成されており、
前記コーディネートシステム(3)は、軌跡プラニングモジュール(9)及び制御モジュール(8)を備えており、
前記制御モジュール(8)は、軌跡データに基づき前記作業運動を実施するために前記キネマティックチェーン(4)を制御するように構成されており、
前記軌跡プラニングモジュール(9)は、前記作業運動を実施するために前記軌跡データを決定し、当該軌跡データを前記制御モジュール(8)に供給するように構成されている、
ハンドリング装置(1)のためのコーディネートシステム(3)において、
前記軌跡プラニングモジュール(9)は、前記作業運動の実施中にさらなる作業命令が生じたときに、前記軌跡データを再プラニング軌跡データへと再プラニングして前記制御モジュール(8)に供給するように構成されて
おり、
前記軌跡プラニングモジュール(9)は、バッファ時点(t
P
)以降に初めて、前記軌跡データを前記再プラニング軌跡データへと再プラニングするように構成されており、前記バッファ時点(t
P
)は、バッファタイムインターバル分だけイベント時点の後に位置しており、前記イベント時点は、前記さらなる作業命令が生じた時点である、
ことを特徴とする、
ハンドリング装置(1)のためのコーディネートシステム(3)。
【請求項2】
前記制御モジュール(8)は、少なくとも保証時点(t
G)まで、元の前記軌跡データに基づき前記作業運動を実施するために前記キネマティックチェーン(4)を制御するように構成されており、前記保証時点(t
G)は、保証タイムインターバル分だけ前記イベント時点の後に位置する時点である、
請求項
1に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項3】
前記保証時点(t
G)は、前記バッファ時点(t
P)と等しい、
請求項
2に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項4】
前記軌跡プラニングモジュール(9)は、一時的な軌跡データとして前記キネマティックチェーン(4)各々について、最小時間軌跡を決定するように構成されており、前記コーディネートシステム(3)は、コーディネートモジュールを有しており、衝突が発生することなく作業運動を実行し得るように、前記コーディネートモジュールは、前記最小時間軌跡に基づく前記一時的な軌跡データを前記軌跡データへと再パラメータ化するように構成されている、
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項5】
前記軌跡プラニングモジュール(9)は、有限の最大加速度及び/又は有限の最大速度に基づき、前記最小時間軌跡を決定するように構成されている、
請求項
4に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項6】
マスキングモジュールが設けられており、前記マスキングモジュールは、再プラニング中である軌跡データ及び/又は最大先読み時点よりも後の時点を有する軌跡データを、前記制御モジュール(8)のためにマスキングするように構成されている、
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項7】
推定モジュールが設けられており、前記推定モジュールは、プラニングタイムインターバルを推定するように構成されており、前記プラニングタイムインターバルは、前記軌跡データのプラニング、再パラメータ化及び/又は再プラニングのための期間である、
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項8】
前記バッファ時点(t
P)は、前記イベント時点に前記プラニングタイムインターバルを加算した時点に相当し、及び/又は、前記最大先読み時点は、前記イベント時点に前記プラニングタイムインターバルを加算した時点に相当する、
請求項
7に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項9】
前記バッファ時点(t
P)は、前記イベント時点に前記保証タイムインターバルと前記プラニングタイムインターバルとを加算した時点に相当する、
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項10】
前記バッファ時点(t
P)は、前記最大先読み時点よりも手前の時点であり又は前記最大先読み時点と等しい時点である、
請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項11】
前記キネマティックチェーン(4)は、それぞれロボットアームとして構成されている、
請求項1乃至
10のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)。
【請求項12】
請求項1乃至
11のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)が設けられていることを特徴とするハンドリング装置(1)。
【請求項13】
特に請求項1乃至
11のいずれか一項に記載のコーディネートシステム(3)によりハンドリング装置(1)をコーディネートする方法において、
作業運動を実施するために軌跡データが決定され、前記作業運動は、作業命令に基づくものであり、さらなる作業命令が生じたときに及び/又は到来したときに、前記ハンドリング装置(1)は、既存の軌跡データによって引き続き制御され、元の前記軌跡データによる制御と並行して及び/又は元の前記軌跡データによる制御と同時に、再プラニング軌跡データが決定されることを特徴とする、
コーディネートシステム(3)によりハンドリング装置(1)をコーディネートする方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法の総ての過程を実施するために構成されたコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項
14に記載のコンピュータプログラムが格納されている機械可読記憶媒体、特に不揮発性の機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
複数のキネマティックチェーンを備えたハンドリング装置のためのコーディネートシステムが提案される。キネマティックチェーンは、1つの作業空間内において可動に配置されており、ここで、複数の作業空間のうち少なくとも2つの作業空間は、オーバラップを有しており、キネマティックチェーンは、作業命令に基づく作業運動を実施するように構成されている。コーディネートシステムは、軌跡プラニングモジュールと制御モジュールとを含む。
【背景技術】
【0002】
プロセスの自動化に、特に産業製造に、ロボットを適用することは、従来技術から公知である。特にここ数年、明らかになってきたことは、マルチアームロボット、特に2アームロボットの使用が一段と増加し、将来有望であると思われる、ということである。従来技術において一般的であるのは、マルチアームロボットのアームを、それらが独立したアームであるかのように別個に取り扱うことである。このため、斯かるロボットを制御するためのプログラミングは、非常に手間がかかる。
【0003】
おそらく最も近い従来技術を成す独国特許出願公開第102013014287号明細書(DE102013014287A1)には、精密機械部品をレーザ溶接により結合する方法について記載されており、この方法は、以下のステップ、即ち、第1のロボットアームに設けられた第1のグリッパにより、第1のマガジン領域から第1の部品を取り出すステップと、第2のロボットアームに設けられた第2のグリッパにより、第2のマガジン領域から第2の部品を取り出し、第1の組み立てポジションにおいて互いに相対的にかつレーザ装置に対し相対的に、第1のグリッパにより第1の部品を保持し、かつ、第2のグリッパにより第2の部品を保持するステップと、レーザ装置を起動し、第1の部品と第2の部品とを互いに結合するステップと、第1のグリッパを用いて組み立て品を格納領域に格納するステップと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102013014287号明細書(DE102013014287A1)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
請求項1の特徴を備えたハンドリング装置のためのコーディネートシステムが提案される。さらに、請求項13の特徴を備えたハンドリング装置、及び、請求項14の特徴を備えたハンドリング装置をコーディネートする方法が提案される。従属請求項及び以下の説明から、さらなる利点及び効果が明らかになる。
【0006】
ハンドリング装置のためのコーディネートシステムが提案される。特にコーディネートシステムは、ハンドリング装置を制御するように構成されており、例えば、ハンドリング装置のアーム及び/又はキネマティックチェーンをコーディネートし、ハンドリング装置を操作及び/又は調整するように構成されている。コーディネートシステムを、特に、ソフトウェア技術的に構成することができる。特に好ましくは、コーディネートシステムは、測定-計画立案-実行モデルに従って構築されたハンドリング装置において、プラニングステップ及び実施ステップを実施するように構成されている。
【0007】
ハンドリング装置は、例えば、ロボットとして構成されている。ロボットを、定置型又は移動型のロボットとすることができる。ハンドリング装置は、好ましくは、産業自動化技術の装置として構成されている。他の選択肢として及び/又は補足として、ハンドリング装置を、サービスロボットとして、例えば掃除機ロボットとして、構成することができる。ハンドリング装置は、例えば、製造作業場所として又は組み立て場所として構成されており、及び/又は、製造作業場所又は組み立て場所の一部分として構成されている。ハンドリング装置は、例えば、組み立てステップ又は製造ステップを実施するように構成されている。ハンドリング装置は、好ましくは、マルチアームロボットとして又は特に2アームロボットとして構成されている。例えば、ロボットは、屈折アームロボットとして構成されている。特に、ロボットは、多軸ロボットである。さらに、ハンドリング装置は、複数のロボットを有することもできる。
【0008】
ハンドリング装置は、複数のキネマティックチェーンを有する。好ましくは、ハンドリング装置は、2つのキネマティックチェーンを有する。キネマティックチェーンは、特にロボットアームとして構成されており、以下においては、単にアームとも称する。好ましくは、キネマティックチェーンの終端部にエンドエフェクタが配置されている。キネマティックチェーン各々は、作業空間内において可動ある。特に、エンドエフェクタは、作業空間内において可動である。作業空間は、例えば6次元空間である。好ましくは、作業空間のいずれの点にも、キネマティックチェーンによって及び/又はエンドエフェクタによって、到達可能である。作業空間のうち少なくとも2つの作業空間及び/又は厳密に2つの作業空間は、オーバラップを有する。オーバラップは、一方及び/又は両方の作業空間を完全に含み得る。他の選択肢として、2つの作業空間同士のオーバラップは、個々の作業空間のそれぞれ一部分だけを有する。
【0009】
キネマティックチェーンは、作業運動を実施するように構成されている。特に、キネマティックチェーンは、作業命令に基づく作業運動を実施するように構成されている。作業命令は、例えば、対象物をこのポジションから取り上げよ、というようなものである。好ましくは、作業命令は、それぞれ1つのキネマティックチェーンのために構成されており、及び/又は、1つのキネマティックチェーンに割り当てられている。作業運動は、例えば、生産ステップ及び/又は組み立てステップの実施という役割を果たす。作業運動は、例えば、エンドエフェクタによる1つの点及び/又は1つの座標への到達である。
【0010】
コーディネートシステムは、軌跡プラニングモジュールと制御モジュールとを有する。軌跡プラニングモジュール及び/又は制御モジュールを、例えば、計算機ユニットとして、プロセッサ又はマイクロチップとして、構成することができる。例えば、軌跡プラニングモジュール及び制御モジュールは、1つの共通の計算機ユニットとして構成されている。
【0011】
制御モジュールは、軌跡データに基づき作業運動を実施するために、キネマティックチェーンを制御するように構成されている。例えば、軌跡データは軌跡関数であり、この軌跡関数は、1つの時点に空間内のエンドエフェクタの1つのロケーションを割り当て、及び/又は、1つの時点にハンドリング装置のジョイントの角度ポジションを規定する。他の選択肢として、軌跡データは、データタプルとして構成されており、これによって1つの時点にさらなるデータが割り当てられ、ここで、割り当てられたそれらのデータは、キネマティックチェーンの1つの状態を表すことができる。特に、作業運動ごとに別個の軌跡データが必要とされる。
【0012】
軌跡プラニングモジュールは、作業運動を実施するために軌跡データを決定するように構成されている。軌跡プラニングモジュールは、軌跡コーディネータを含み又は軌跡コーディネータとして構成されている。軌跡プラニングモジュールは、例えば、作業運動及び/又は作業命令を実施するために、いずれの軌跡が可能であるのかを決定する。特に軌跡プラニングモジュールは、衝突が発生しない軌跡を決定する。軌跡プラニングモジュールは、例えば軌跡プラニングの際に、さらなる作業命令に基づく作業運動及び/又は他のキネマティックチェーンに対する作業命令を考慮する。軌跡プラニングモジュールは、軌跡データを制御モジュールに供給するように構成されている。例えば、この目的のために、軌跡プラニングモジュール及び制御モジュールは、データ技術的に互いに接続されている。さらに、以下のようにすることが考えられる。即ち、軌跡プラニングモジュールと制御モジュールとの間に軌跡バッファモジュールが配置されており、この軌跡バッファモジュールは、軌跡プラニングモジュールの軌跡データを一時記憶し、その後、軌跡を完全に又は部分的に制御モジュールに転送する。
【0013】
軌跡プラニングモジュールは、作業運動の実施中にさらなる作業命令が生じたときに、軌跡データを再プラニング軌跡データへと再プラニングして制御モジュールに転送するように構成されている。さらなる作業命令は、特に、元の作業命令よりも後の時点になって初めて生じる。元の作業命令とは、特に、再プラニングされていない軌跡データを有する作業命令のことであると解される。次いで、制御モジュールは、好ましくは、再プラニング軌跡データを新たな軌跡データとして使用するように構成されている。このようにすることによって、軌跡プラニングモジュールは、さらなる作業命令が生じたときに及び/又は到来したときに、元の作業運動を中断するのではなく、元の作業命令をそのまま実行し、その間、再プラニング軌跡データを有する再プラニング軌跡をプラニングし、ここで、再プラニング後、再プラニング軌跡データが制御モジュールに供給され、特に、作業運動が再プラニング軌跡によって実施される。従って、特に、作業運動の実施と同時に、さらなる作業命令に対して1つの軌跡がプラニングされ、特に、元の軌跡データを有する元の軌跡が、元の作業命令と新たな作業命令とを同時に実行することができるように、再プラニングされる。
【0014】
再プラニングは、好ましくは、軌跡データを再プラニング軌跡データへと再パラメータ化することである。再プラニング軌跡データを、特に、コーディネートされた軌跡データと解釈することもできる。再プラニングは、特に、軌跡コーディネータによって行われる。再プラニングによって、複数の運動及び/又は再プラニング軌跡を、衝突が発生することなく共に実行し得るように、元の軌跡が再プラニングされ及び/又はそれらが再パラメータ化される。例えば、再プラニング軌跡は、元の軌跡であるが、その軌跡は、異なる速度で実行される。特に、軌跡の一部分が加速又は減速されて実行される。例えば、2つのロボットアームによる作業運動において、それらのアームの衝突が発生しないように、一方のアームの軌跡は緩慢に実行され又はそのアームは部分的に制動されるのに対し、他方のアームは、自身の運動をそのまま実行する。再プラニング及び/又は再パラメータ化は、特にリアルタイムで行われる。
【0015】
本発明の基礎を成す着想とは、特に、ハンドリング装置をより迅速にコーディネート及び/又は制御することができるようにするために、より高性能なコーディネートシステムを提供することである。よって、提案されるコーディネートシステムは、反応が早くかつ敏感である。
【0016】
ハンドリング装置のコーディネートは、このコーディネートシステムを用いることにより、動的に行われる。
【0017】
本発明の1つの実施形態により考えられるのは、軌跡プラニングモジュールは、バッファ時点以降に初めて、軌跡データを再プラニング軌跡データへと再プラニングするように構成されている、ということである。バッファ時点は、イベント時点から計算された未来の時点であり、ここで、バッファ時点は、バッファタイムインターバル分だけイベント時点の後に位置している。イベント時点は、特に、さらなる作業命令が生じる及び/又は供給される時点である。特に、イベント時点を、作業運動が実施されているときの現在の時点とすることもできる。特に、イベント時点を、現在の時点とすることができる。バッファタイムインターバルを、一定のタイムインターバルとすることができ、又は、フレキシブルなタイムインターバルとすることができる。好ましくは、バッファタイムインターバルは、ミリ秒領域にあり及び/又は1秒よりも短い。この実施形態の基礎を成す着想とは、制御モジュールは、バッファ時点までは再プラニングされていない軌跡データによってハンドリング装置を制御し、バッファ時点以降に初めて軌跡データを再プラニング軌跡データへと再プラニングして、バッファ時点以降に再プラニング軌跡データによりハンドリング装置を制御する、ということである。
【0018】
任意選択的に、制御モジュールは、少なくとも保証時点までは、元の軌跡データに基づき作業運動を実施するために、キネマティックチェーンを制御するように構成されている。元の軌跡データは、特に、再プラニングされていない軌跡データである。保証時点は、イベント時点の後の時点であり、その際に、保証時点は、保証タイムインターバル分だけイベント時点の後に位置している。特に、保証時点前に位置する軌跡データは、軌跡プラニングモジュールによって再プラニングすることはできない。このため、保証時点前の軌跡データは、変更不可能な状態でキネマティックチェーンにより実行される。
【0019】
特に有利には、保証時点は、バッファ時点と等しい。他の選択肢として、保証時点は、バッファ時点よりも以前の時点である。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、以下のようにすることが考えられる。即ち、軌跡プラニングモジュールは、一時的な軌跡データとしてキネマティックチェーン各々について、最小時間軌跡を決定するように構成されており、この場合、コーディネートシステムは、コーディネートモジュールを有しており、ここで、コーディネートモジュールは、運動全体によっても衝突が発生しないように、最小時間軌跡に基づく一時的な軌跡データを軌跡データへと再パラメータ化するように構成されている。好ましくは、最小時間軌跡は、作業運動を実行するために最もわずかな時間しか必要としない軌跡のことであると解される。特に、最小時間軌跡は、所与の経路について、ハンドリング装置及び/又はキネマティックチェーンの動的な制限を考慮しながら、作業運動のために最もわずかな実行期間しかもたらさない、作業運動のための軌跡である。
【0021】
任意選択的に、軌跡プラニングモジュールは、キネマティックチェーン及び/又はキネマティックチェーンのジョイントの有限の最大加速度及び/又は有限の最大速度に基づき、最小時間軌跡を決定するように構成されている。特に、制限とは、キネマティックチェーンの有限の調節速度及び/又は有限の調節加速度のことであると解される。
【0022】
特に、コーディネートシステムは、マスキングモジュールを有する。マスキングモジュールを、ソフトウェアモジュール又はハードウェアモジュールとすることができる。特に、マスキングモジュールは、制御モジュールの一部分及び/又は軌跡プラニングモジュールの一部分である。マスキングモジュールは、現在再プラニング中の軌跡データ、及び/又は、最大先読み時点よりも後の時点を有する軌跡データを、制御モジュールに対してマスキングするように構成されている。最大先読み時点は、先読みタイムインターバル分だけ現在の時点よりも先に位置している。従って、最大先読み時点は、特に、時間の経過と共に同様にシフトする動的な時点である。このため、制御モジュールには、マスキングモジュールによって軌跡データが常に少しずつしか転送されず、その結果、制御モジュールは、その都度、先読みタイムインターバル分だけ未来に位置する軌跡データだけしか認識しない。
【0023】
特に好ましいことは、コーディネートシステムが推定モジュールを有することである。推定モジュールは、ソフトウェア技術的又はハードウェア技術的に構成されており、例えば、推定モジュールは、計算機ユニットである。推定モジュールは、プラニングタイムインターバルを推定するように構成されている。プラニングタイムインターバルは、特に、軌跡データの再パラメータ化及び/又は再プラニングのために必要とされる期間である。特に、プラニングタイムインターバルは、一定のタイムインターバルであり、例えば、数マイクロ秒又は数秒であり、他の選択肢として、プラニングタイムインターバルは、軌跡データの再パラメータ化及び/又は再プラニングの複雑さに依存する動的なタイムインターバルである。
【0024】
任意選択的に、バッファ時点は、イベント時点の後に位置する時点であり、この場合、バッファ時点は、プラニングタイムインターバル分だけイベント時点の後に位置する。さらに考えられるのは、最大先読み時点が、プラニングタイムインターバル分だけイベント時点から未来に位置する時点として定義されている、ということである。
【0025】
特に好ましくは、バッファ時点は、イベント時点にバッファタイムインターバルとプラニングタイムインターバルとを加算したものとして計算される時点に相当する。この実施形態の基礎を成す着想とは、バッファ時点まではハンドリング装置を再プラニング軌跡データにより新たに制御可能である、ということが保証されたコーディネートシステムを提供することである。
【0026】
特に、バッファ時点は、最大先読み時点よりも手前の時点であり又は最大先読み時点と等しい時点であり、即ち、最大先読み時点よりも早期の時点であり又は最大先読み時点と等しい時点である。この実施形態の基礎を成す着想とは、制御モジュールは、軌跡のうち、バッファ時間に加えて、例えば、プラニング時間も考慮することができる程度の量を認識する、ということである。
【0027】
コーディネートシステムは特に、マルチアームロボット、特に2アームロボットのための、反応が早く及び/又は敏感なコーディネートシステムである。コーディネートシステムによるロボットアームのアームコーディネートは、特に、1つの共通の作業空間内における複数のロボットアームに対し、衝突が発生しない軌跡を見出すことである。「敏感である」とは、この関連において、特に、新たな作業運動のプラニングが、作業運動の物理的な実行よりもわずかな時間しかかからない、ということを意味する。「反応が早い」とは、この関連において、好ましくは、さらなる作業命令が生じたときに、元のプラン及び/又は元の作業運動を改良することができる、ということを意味する。このコーディネートシステムによって特に実現されるのは、さらなる作業命令が生じたときにハンドリング装置を停止する必要がなく、そのまま作業を続行することができ、従って、ハンドリング装置の付加価値を高めることができる、ということである。
【0028】
コーディネートシステムは、特に、マルチDOF(自由度)を有するハンドリング装置及び/又は低DOF用のハンドリング装置のために構成されている。マルチDOFシステムは、例えば産業用ロボットであり、この場合、例えば、低DOFシステムは、移動型ロボットである。コーディネートシステムは、特に、可変の速度プロフィルを有するハンドリング装置のためのものである。コーディネートシステム及び/又は軌跡プラニングモジュールは、好ましくは、いずれのキネマティックチェーン及び/又はいずれの作業運動が他よりも優先されるのかを判定するように構成されている。
【0029】
本発明のさらなる対象を成すのは、ハンドリング装置である。このハンドリング装置は、コーディネートシステムを有する。例えば、コーディネートシステムは、ハンドリング装置内に組み込まれている。コーディネートシステムは、ハンドリング装置、特にハンドリング装置のキネマティックチェーンを制御するように構成されている。
【0030】
特に好ましくは、キネマティックチェーンは、それぞれ1つのロボットアームとして構成されている。これらのロボットアームは、例えば、屈折ロボットアームである。他の選択肢として、ロボットアームを直線軸として構成することができる。ロボットアームは、例えばジョイントを有しており、その際にそれらのジョイントを調節可能であり、例えば、それらに角度を割り当てることができ、この場合、例えば、軌跡データは、個々のジョイントの角度データ及び/又は角度ポジションである。
【0031】
ハンドリング装置は、好ましくはロボットとして構成されている。例えば、ロボットは、2アームロボット、3アームロボット又はマルチアームロボットである。
【0032】
本発明のさらなる対象を成すのは、複数のキネマティックチェーンを備えたハンドリング装置をコーディネートする方法である。この方法により考えられていることは、作業運動を実施するために軌跡データが決定され、その際に、作業運動は作業命令に基づく、ということである。ハンドリング装置が作業運動を実行するように、軌跡データを用いてハンドリング装置を制御することができる。この方法によれば、以下のようにすることが考えられている。即ち、さらなる作業命令が生じたときに及び/又は到来したときに、ハンドリング装置は、既存の軌跡データによって引き続き制御され、その際に、元の軌跡データによる制御と並行して及び/又はそれと同時に、再プラニング軌跡データが決定される。再プラニング軌跡データによって、さらなる作業命令及び/又は以前の作業命令を実行することが可能となる。さらに、再プラニング軌跡データによって、衝突が発生することなく複数の作業運動を実施し得るようにすることが可能となる。
【0033】
本発明のさらなる対象を成すのは、上述の方法における総てのステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム、及び、既述のコンピュータプログラムが格納されている機械可読記憶媒体、特に不揮発性の機械可読記憶媒体である。
【0034】
好ましい実施例についての以下の説明及び添付の図面から、本発明のさらなる特徴、利点及び効果が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】1つの実施例としてハンドリング装置を示す図である。
【
図2】ハンドリング装置をセンス-プラン-アクト(Sense-Plan-Act)図として示す図である。
【
図3a】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3b】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3c】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3d】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3e】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3f】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3g】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3h】コーディネートシーケンスを示す図である。
【
図3i】コーディネートシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、ハンドリング装置1を示している。ハンドリング装置1は、ロボット2を有しており、又は、ロボット2として構成されている。ハンドリング装置1は、さらに、コーディネートシステム3を有している。
【0037】
ロボット2は、マルチアームロボットとして、本実施例においては2アームロボットとして、構成されている。ロボット2及び/又はハンドリング装置1は、生産システムの組み立て場所の一部分である。ロボット2は、物体を加工及び/又は組み立てるように構成されており、この場合、物体は、例えば被加工物である。ロボット2は、物体を把持、搬送及び/又は加工することができる。
【0038】
ロボット2は、2つのキネマティックチェーン4を有しており、この場合、これらのキネマティックチェーン4は、ロボットアームによって形成されており、及び/又は、ロボットアームを成している。キネマティックチェーン4は、それぞれ複数のジョイント5を有しており、この場合、ジョイント5は、このジョイント5によってキネマティックチェーンがそれぞれ作業空間6内において可動であるように、角度調節を行うことができるように構成されている。ジョイント5は、所定の調節速度及び所定の調節加速度において可動であり、この場合、ジョイント5は、最大速度及び最大加速度を有しており、これらによって可能な軌跡及び/又は軌跡の実施が制限される。キネマティックチェーン4の自由端には、それぞれ1つのエンドエフェクタ7が配置されている。エンドエフェクタ7は、グリッパとして構成されており、例えば、被加工物を把持及び/又は操作することができる。
【0039】
キネマティックチェーン4は、作業空間6内において可動である。エンドエフェクタ7は、始点から運動経路s(t)に沿って終点まで可動である。運動経路を、両方のキネマティックチェーン4に対して異なるものとすることができ、例えば、ハンドリング装置1は、一方のエンドエフェクタを運動経路s1(t)に沿って動かし、他方のエンドエフェクタを運動経路s2(t)に沿って動かすように構成されている。
【0040】
ハンドリング装置1は、コーディネートシステム3を有しており、この場合、コーディネートシステム3は、制御モジュール8と軌跡プラニングモジュール9とを有する。制御モジュール8は、軌跡データを用いて作業運動を実施するために、ロボット2を制御するように構成されている。軌跡データは、例えば軌跡関数であり、ここで、軌跡関数は、好ましくはベクトル値関数であり、これらの関数はそれぞれ、キネマティックチェーン4が有するジョイント5の個数と同一の個数のエントリを有する。例えば、キネマティックチェーン4は、3つのジョイント5を有しており、この場合には、軌跡関数は、例えば、3つの角度エントリを有する3次元ベクトルを成し、その際に、これらの角度エントリによってジョイント5の角度ポジションが表される。さらに可能であることは、軌跡関数が、ジョイント5の調節速度及び調節加速度を含み、それらの制限を考慮する、ということである。
【0041】
ハンドリング装置1は、複数のセンサ10を有することができ、ここで、これらのセンサ10は、例えば、ロボット2の現在の状態及び/又は現在の作業プロセスを監視する。例えば、センサ10は、ビデオカメラ又はエンドエフェクタ7のモーショントラッカである。センサ10は、コーディネートシステム3に、特に軌跡プラニングモジュール9に、センサデータを供給することができる。ハンドリング装置1及び/又はコーディネートシステム3は、入力装置11を有する。入力装置11を用いることにより、例えば、ハンドリング装置1のユーザ又は設定者は、作業命令を入力することができる。作業命令は、例えば、物体Aを把持して点Bまで搬送せよ、というようなものである。軌跡プラニングモジュール9は、軌跡コーディネータを有しており、及び/又は、軌跡コーディネータを成しており、ここで、軌跡プラニングモジュール9は、作業命令に基づき軌跡を決定するように構成されており、この場合、軌跡は、特に最大速度及び最大加速度を有する。さらに軌跡プラニングモジュールは、衝突が発生することなく作業命令を実行し得るように、ロボット2の総てのキネマティックチェーン4の運動を考慮するように構成されており、ここで特に、静止状態の周囲環境に関しては、運動によっても衝突が発生しない。特に、軌跡プラニングモジュール9は、センサ10のセンサデータを考慮する。軌跡プラニングモジュール9は、実施すべき軌跡を記述する軌跡データを、制御モジュール8において供給するように構成されている。
【0042】
新たな作業命令又はさらなる作業命令が、例えば、入力装置11によって入力されると、軌跡プラニングモジュール9は、元の軌跡及び/又はこれまで生じていた軌跡を少なくとも一時的にそのまま実行するようにし、その際に、制御モジュール8は、ロボット2を引き続き以前の軌跡データを用いて制御し、以前の軌跡データを用いて引き続き制御している間に、さらなる作業命令を考慮する再プラニング軌跡データを決定するように構成されている。再プラニング後に初めて、再プラニング軌跡データが、制御モジュール8に供給され、新たな再プラニング軌跡データによって、ロボット2は制御される。即ち、新たな再プラニング軌跡データのプラニングの際に、ハンドリング装置1の動作が、可能な限り効果的に行われるように、ロボット2は、引き続き、元の軌跡データによって駆動される。
【0043】
図2は、センス-プラン-アクト(Sense-Plan-Act)図に従って、ハンドリング装置1の構造を概略的に示している。センス-プラン-アクト図は、特に、測定-計画立案(プラニング)-実行モデルに対応する。この図によって考えられていることは、ハンドリング装置1がセンサ平面12、プラニング平面13及び実施平面14を有する、ということである。センサ平面12、プラニング平面13及び/又は実施平面14の間において、それぞれデータ交換が行われる。特に、データ交換は、周期的及び/又は規則的である。センサ平面12によって考えられていることは、センサ10によってセンサデータが特定される、ということである。センサデータは、プラニング平面13に供給される。特に、センサデータを、第1のバッファ15に一時記憶させることができる。これらのセンサデータは、軌跡プラニングモジュール9に供給される。軌跡プラニングモジュール9は、作業運動を実施するために軌跡を決定する。その際に、軌跡プラニングモジュール9は、特に軌跡コーディネータとして機能し、ここで、軌跡コーディネータは、作業運動を部分的に加速又は減速して実行し得るように、元の軌跡データを再プラニング及び/又は再パラメータ化するように構成されている。その際に特定された軌跡データを、コーディネートバッファ16に一時記憶させることができる。コーディネートバッファ16は、特に軌跡バッファモジュールにより形成される。次いで、軌跡データを、制御モジュール8に転送することができる。ただし、制御モジュール8は、実施平面14の一部分である。制御モジュール8は、軌跡データに基づきロボットを制御し、それによって作業運動を実施するように構成されている。他方、ロボットは、アクチュエータを用いてフィードバックを供給することができ、ただし、供給されたこのフィードバックは、センサ平面12に組み入れられている。
【0044】
軌跡プラニングモジュール9は、プラニング平面13の一部分であり、制御モジュール8は、実施平面14の一部分であるのに対し、コーディネートシステム3は、これら両方の平面13及び14の一部分である。従って、構造的に、コーディネートシステム3は、プラニング平面13内と実施平面14内とに位置している。
【0045】
図3a乃至
図3iは、コーディネートシステム3によるハンドリング装置1のコーディネートシーケンスを、概略的に示している。このために、例えば、2アームロボットが用いられている。ここでは、このシーケンスは、1つのコーディネート空間内に描かれている。コーディネート空間の横軸は、右アームの時間軸t
Rを成しており、縦軸は、左アームの時間軸t
Lを成している。
【0046】
図3aにおいては、ロボット2は、まだ静止しており、作業運動を実施していない。総ての時点は、ゼロに設定されており、及び/又は、原点にある。特に、時点とは、時間座標のことであると解され、例えば、コーディネート空間内における時間座標のことであると解される。
【0047】
図3bは、右アームに対して作業命令が生じた状態を示している。このため、軌跡プラニングモジュール9は、衝突が発生することなく作業空間内において実施し得る軌跡を決定する。作業命令及び/又は作業運動を実施するために、ロボットは、所定の時間を必要とし、従って、最大実行時点を規定することができ、この時点により点Pが規定される。この場合、点Pは、横軸上にある。なぜならば、一方のアームだけが作業運動を実施し、左アームについて作業時間は、経過しないからである。点Pを規定することにより、特に、軌跡プラニングモジュール9は、衝突が発生しない軌跡を決定することができる。その後、軌跡データが制御モジュール8に供給される。
【0048】
図3cにおいては、ロボット2に既に軌跡データが供給されており、このロボットは、作業運動を実施し始めている。現在の時点t
Aは、この作業運動の際に横軸に沿って経過する。さらに、
図3cには、保証時点t
Gが示されている。保証時点t
Gは、時間的に現在の時点t
Aよりも未来に位置している。保証時点t
Gは、さらに、最大実行時点を表す点Pと現在の時点t
Aとの間に位置している。
【0049】
図3dは、さらなる作業命令が生じた状態を示しており、この場合、さらなる作業命令は、左アームに該当する。ここで、点Pが、コーディネート空間内においてずらされ、この場合、点Pは、右アームに対する最大実行期間と左アームに対する最大実行期間とを、座標として有している。次いで、軌跡プラニングモジュール9は、点Pに至る軌跡を決定するように構成されている。ただし、ロボットは、第1の作業運動を、現在の時点まで既に実行してしまっているので、原点からPに至るプラニングでは、目的に適わない。新たな軌跡を計算するために、コーディネートシステム3は、プラニングタイムインターバルを必要とする。このプラニングタイムインターバルは、バッファ時点t
Pが得られるように、保証時点t
G以降に加算されて計算される。次いで、軌跡プラニングモジュールは、バッファ時点t
Pと点Pとの間の軌跡を決定するように構成されている。
【0050】
図3eは、バッファ時点t
Pと点Pとの間に新たにプラニングされた軌跡を示している。バッファ時点t
Pに至るまで、ハンドリング装置及び/又はロボットは、引き続き以前の軌跡データによって決定され、従って、原点とバッファ時点t
Pとの間の領域は、元の軌跡データを実施するために記憶されている。
【0051】
図3fは、さらなる作業命令が生じた状態を示しており、この場合、ここでのさらなる作業命令は、右アームに該当する。ここでは、点Pは、コーディネート空間内においてシフトされ、その際に、この新たな点Pによって、右アームの新たな実行期間が考慮される。
【0052】
図3gによれば、ここで新たなバッファ時点t
Pが規定され、このときt
Pは、作業運動の実施がさらに進行しており、かつ、現在の時点t
Aがシフトされていることを考慮する。バッファ時点t
Pを決定するために、保証タイムインターバルとプラニングタイムインターバルとが現在の時点t
Aに加算されて計算される。
【0053】
図3hは、点Pに到達するために、新たにプラニング及び/又は再パラメータ化された複数の軌跡のうち、3つの作業イベント総てを考慮する1つのプランを示している。軌跡によっても衝突が発生しないようにする目的のために、バッファ時点t
Pと点Pとを結んだ線は、直線ではなく、折れ曲がった経路である。コーディネート空間内のこの折れ曲がった経路は、衝突が発生しない軌跡を表現している。
【0054】
図3iは、さらに後の現在の時点t
Aにおけるコーディネート空間、及び、現在の時点t
Aが進行するにつれて保証時点t
Gがどのようにシフトするのかを示している。