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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】重量充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/20 20060101AFI20220420BHJP
   B65B 3/28 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B67C3/20 Z
B65B3/28
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018090897
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019196206
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】野崎 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】大西 公平
(72)【発明者】
【氏名】中 俊明
(72)【発明者】
【氏名】太田 正人
(72)【発明者】
【氏名】木倉 崇晴
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-70681(JP,A)
【文献】特開昭64-45291(JP,A)
【文献】特開昭63-55096(JP,A)
【文献】特開2011-84323(JP,A)
【文献】実開平5-3936(JP,U)
【文献】特表平3-502372(JP,A)
【文献】特開昭57-61920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/20
B65B 3/28
G01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を支持する容器支持手段と、各容器支持手段に支持された容器の重量を計測する重量計測手段と、上記容器支持手段に支持された容器に被充填物を供給する充填手段と、上記重量計測手段が計測した容器重量に基づいて上記充填手段を制御する制御手段とを備えた重量充填装置において、
上記容器支持手段に連結された駆動軸と、当該駆動軸を駆動するアクチュエータと、上記容器支持手段の高さを検出する高さ検出手段とを備え、
上記重量計測手段は、上記高さ検出手段が検出した検出高さと当該検出高さにおける上記アクチュエータの駆動信号とから容器重量を求め、
上記制御手段は、予め設定された容器支持手段の指定高さと、上記高さ検出手段が検出した上記検出高さとから第1の加速度信号を算出するとともに、
上記重量計測手段が求めた容器重量と、上記容器支持手段に作用する想定される想定重量とから第2の加速度信号を算出し、
上記第1の加速度信号と第2の加速度信号とから、上記容器支持手段を上記指定高さに維持するための上記駆動信号を算出して、当該駆動信号に基づいてアクチュエータを駆動することを特徴とする重量充填装置。
【請求項2】
上記アクチュエータは、上記容器支持手段の底面に固定された棒状の磁石からなる上記駆動軸と、当該駆動軸を囲繞するとともに制御手段からの駆動信号によって磁力を発生するコイルとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の重量充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重量充填装置に関し、詳しくは容器支持手段に支持された容器の重量を重量計測手段によって計測しながら被充填物の充填を行う重量充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を支持する容器支持手段と、各容器支持手段に支持された容器の重量を計測する重量計測手段と、上記容器支持手段に支持された容器に被充填物を供給する充填手段と、上記重量計測手段からの信号に基づいて上記充填手段を制御する制御手段とを備えた重量充填装置が知られている(特許文献1)。
この特許文献1における重量充填装置では、上記重量計測手段にひずみゲージを用いており、当該ひずみゲージの変形を計測することで容器に充填される被充填物の重量を計測するものとなっている。
また容器に被充填物を充填する充填装置では、容器支持手段への容器の供給および排出の際には、容器を水平方向に移動させて受け渡す方法が一般的となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-230836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記重量計測手段にひずみゲージを用いた場合、上記容器支持手段で容器を支持した直後や、容器への被充填物の充填完了直後は、上記ひずみゲージの振動が収束するまで正確な容器の重量が測定できないという問題がある。
また容器支持手段への容器の供給および排出の際に、容器を水平方向に移動させて供給側または排出側への移載を行う場合、上記容器支持手段の高さにばらつきがあると、上記容器の受け渡しの際に容器が引っ掛かるなどのトラブルが発生する恐れがある。
このような問題に鑑み、本発明は容器重量の計測を迅速に行うことができ、また容器の受け渡しの際のトラブルを可及的に防止することが可能な重量充填装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる重量充填装置は、容器を支持する容器支持手段と、各容器支持手段に支持された容器の重量を計測する重量計測手段と、上記容器支持手段に支持された容器に被充填物を供給する充填手段と、上記重量計測手段が計測した容器重量に基づいて上記充填手段を制御する制御手段とを備えた重量充填装置において、
上記容器支持手段に連結された駆動軸と、当該駆動軸を駆動するアクチュエータと、上記容器支持手段の高さを検出する高さ検出手段とを備え、
上記重量計測手段は、上記高さ検出手段が検出した検出高さと当該検出高さにおける上記アクチュエータの駆動信号とから容器重量を求め、
上記制御手段は、予め設定された容器支持手段の指定高さと、上記高さ検出手段が検出した上記検出高さとから第1の加速度信号を算出するとともに、
上記重量計測手段が求めた容器重量と、上記容器支持手段に作用する想定される想定重量とから第2の加速度信号を算出し、
上記第1の加速度信号と第2の加速度信号とから、上記容器支持手段を上記指定高さに維持するための上記駆動信号を算出して、当該駆動信号に基づいてアクチュエータを駆動することを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載された重量充填装置において、上記アクチュエータは、上記容器支持手段の底面に固定された棒状の磁石からなる上記駆動軸と、当該駆動軸を囲繞するとともに制御手段からの駆動信号によって磁力を発生するコイルとから構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、上記容器支持手段をアクチュエータを用いて駆動し、容器支持手段の検出高さと、アクチュエータの駆動信号とから容器重量を算出することで、上記特許文献1のようなひずみゲージの振動が収束するまでの待機時間が不要となり、より迅速な計測が可能となった。
また、アクチュエータを駆動させて上記容器支持手段を上記指定高さに維持するため、上記容器支持手段への容器の供給および排出の際に、供給側および排出側との間の高低差をなくすことができ、もしくは受渡側を受け取り側より若干高くすることにより容器の引っ掛かりをなくし、受け渡しの際のトラブルを防止することができる。
さらに請求項2の発明によれば、上記アクチュエータを棒状の磁石からなる駆動軸とコイルとによって構成することにより、摩擦による計測への影響をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかる充填ラインの平面図
図2】重量充填装置の断面図
図3】アクチュエータ制御部についての構成図
図4】他の実施例にかかる重量充填装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図示実施例について本発明を説明すると、図1はびんなどの容器1に充填液を充填する充填ライン2を示し、図2は上記容器1に充填液を充填する重量充填装置3の断面図を示している。
上記重量充填装置3は、回転可能に設けられた回転テーブル4と、当該回転テーブル4の円周方向に沿って等間隔に設けられた容器支持手段5と、上記容器支持手段5に支持された容器1に充填液を充填する充填手段6とを備え、回転テーブル4の回転によって容器支持手段5に支持された容器1と充填手段6とが一体的に回転しつつ充填を行うようになっている。
上記充填ライン2において、上記回転テーブル4の上流側には供給ホイール7が設けられるとともに、下流側には排出ホイール8が設けられており、上記回転テーブル4と上記供給ホイール7とが隣接した供給位置Aと、排出ホイール8と隣接した排出位置Fとにおいて、容器1の受け渡しが行われるようになっている。
上記重量充填装置3は制御手段9の制御によって動作するようになっており、上記供給位置Aと排出位置Fとの間で上記充填手段6を作動させることで、容器1への充填液の充填が行われるようになっている。
具体的に、上記供給位置Aの下流側に設定された大投区間Cでは、上記充填手段6が容器1に対して充填液を大流量で充填し、当該大投区間Cの下流側に設定された小投区間Dでは小流量で充填液を充填するようになっている。
また上記供給位置Aの下流に設定された計測位置Bでは、上記供給位置Aで供給された空の容器1の重量を計測するとともに、これから充填される充填液の重量を計測するためのゼロリセットを行う。
そして上記小投区間Dの下流に設定された計測位置Eでは、上記大投区間Cおよび小投区間Dにおいて充填された充填液の重量を計測するようになっている。
【0009】
上記容器支持手段5は、その上面で容器1を下方から支持するとともに、当該容器支持手段5の上部に設けられた支持部材5aによって容器1を側方から支持するようになっている。
上記供給ホイール7との供給位置Aでは、供給ホイール7に載置された容器1が水平方向に移動されて、上記容器支持手段5上に移載されるようになっており、これと同様、排出ホイール8との排出位置Fでも、容器支持手段5に載置された容器1が水平方向に移動されて、排出ホイール8に移載されるようになっている。
このとき、容器支持手段5の上面と、上記供給ホイール7や排出ホイール8の上面との間に高低差があると、容器1の移載の際に倒びんなどのトラブルが発生するため、上記容器支持手段5の上面の高さを供給ホイール7および排出ホイール8の上面に一致させることが望ましい。
【0010】
上記容器支持手段5の下部には、当該容器支持手段5の底面に固定された丸棒状もしくは角棒状の磁石からなる駆動軸11が設けられ、上記回転テーブル4には上記駆動軸11を囲繞するとともに制御手段9からの駆動信号によって磁力を発生するコイル12aとから構成されたリニアアクチュエータ12が設けられている。
上記リニアアクチュエータ12についての具体的な構成や動作については説明を省略するが、上記コイル12aに駆動信号としての電流を印加することにより、上記駆動軸11を駆動することが可能となっており、本実施例ではこの駆動力を上記容器支持手段5および当該容器支持手段5に載置された容器1の位置を一定に維持するために利用するようになっている。
上記駆動軸11は上記コイル12aの下方に突出するように設けられ、上記回転テーブル4には当該駆動軸11の位置を検出して、当該検出高さを上記制御手段9に送信する高さ検出手段13が設けられている。
上記高さ検出手段13としては、容器支持手段5の高さを高精度に検出することができ、かつサンプリング周波数の高いセンサを使用することが望ましい。
【0011】
上記制御手段9には重量計測手段としての重量計測部9aが設けられており、上記リニアアクチュエータ12からの駆動信号と、上記高さ検出手段13が検出した検出高さとから、上記容器支持手段5に作用する重量を測定するようになっている。
また制御手段9には、上記容器支持手段5の高さと、容器支持手段5に作用する重量とをそれぞれ異ならせた場合における、上記リニアアクチュエータ12を駆動させるための駆動信号を計測した結果が、対応テーブル9bとして登録されている。
これにより、上記高さ検出手段13が検出した容器支持手段5の検出高さと、その際にリニアアクチュエータ12を駆動する駆動信号とが判明すれば、上記重量計測部9aは上記対応テーブル9bから容器支持手段5に作用する重量、すなわち容器重量を得ることが可能となっている。
なお以下の説明において、容器重量としては上記容器支持手段5に容器1が載置されていない状態の、容器支持手段5自体の重量を計測した結果も含むものとする。
【0012】
そして上記制御手段9は上記リニアアクチュエータ12を制御するアクチュエータ制御部9cを備え、図3に示すようにアクチュエータ制御部9cは位置制御部91と、力制御部92と、加速度合成部93とを含む制御則として表することができる。
またアクチュエータ制御部9cは、上記リニアアクチュエータ12を制御することにより、上記容器支持手段5に作用する容器重量にかかわらず、当該容器支持手段5を指定高さに保持させるものとなっている。
ここで、本実施例における指定高さは上記対応テーブル9bに予め登録されており、具体的には容器支持手段5の上面を上記供給ホイール7および排出ホイール8の上面の高さに一致させた高さであって、上記供給位置Aから排出位置Fにかけて指定高さを一定に設定することができる。
【0013】
上記位置制御部91は、上記対応テーブル9bに登録された容器支持手段5の指定高さと、上記高さ検出手段13が検出した容器支持手段5の検出高さとから、第1の加速度信号を算出するようになっている。
上記第1の加速度信号は、例えば上記計測位置B、Eなど、容器支持手段5に作用する重量に変化がない状態では、容器支持手段5は上記リニアアクチュエータ12によって上記指定高さに保持されるため、上記検出高さと指定高さとの差は生じず、上記第1の加速度信号はゼロとなる。
これに対し、例えば上記供給位置Aや大投区間Cなど、容器支持手段5に容器1が載置されたり、容器1に充填液が充填される状態では、直前までリニアアクチュエータ12を駆動していた駆動信号による駆動力では容器1の位置を一定に維持することができず、容器支持手段5が微小に下降するため、検出高さと指定高さとの間に差が生じて上記第1の加速度信号が発生することとなる。
【0014】
次に上記力制御部92は、上記重量計測部9aが算出した容器重量と、上記容器支持手段5に作用する想定される想定重量とから第2の加速度信号を算出するようになっている。
上記回転テーブル4には図示しないエンコーダが設けられ、各容器支持手段5の位置を上記制御手段9によって認識するようになっている。また制御手段9の上記対応テーブル9bには、上記容器支持手段5の各位置において当該容器支持手段5に作用する想定重量が登録されている。
具体的に、上記計測位置Bにおける想定重量は空の容器1の重量に相当し、上記大投区間Cや小投区間Dにおける想定重量は、容器支持手段5が移動するにつれて充填液が充填される容器1の重量に相当し、計測位置Eにおける想定重量は、空の容器1に規定量の充填液が充填された容器1の重量に相当することとなる。
そして上記第2の加速度信号は、上記重量計測部9aが算出した実際の容器重量と、上記容器支持手段5の位置に基づいて対応テーブル9bに登録されている想定重量とから算出されるようになっている。
例えば、供給位置Aで容器支持手段5に容器1が載置された際に、実際の容器重量と想定重量との間に差がなければ、上記第2の加速度信号はゼロとなる。これに対し、例えば小投区間Dの所定の位置において容器1に想定された量の充填液が充填されなかった場合には、実際の容器重量と想定重量との間に差が生じて上記第2の加速度信号が発生することとなる。
【0015】
そして加速度合成部93は、得られた上記第1の加速度信号と第2の加速度信号とから、上記リニアアクチュエータ12への駆動信号を算出し、当該駆動信号に基づいてリニアアクチュエータ12を駆動させる。
算出された駆動信号は、容器支持手段5に作用する重量にかかわらず、当該容器支持手段5を上記指定高さに維持させるものとなっており、上記駆動信号を常時算出し続けることで、上記供給位置Aから排出位置Fまで上記指定高さを維持することが可能となっている。
【0016】
上記充填手段6は、上記容器支持手段5に載置された容器1の上方に設けられた充填ノズル21と、図示しない充填液タンクと充填ノズル21との間に配設された給液管22とを備えている。
上記充填ノズル21は内部に図示しないバルブを備え、上記制御手段9に設けられた充填部9dによって制御されるようになっている。上記充填部9dは上記重量計測部9aが計測した容器1の重量に基づいて、上記大投区間Cおよび小投区間Dにおいて上記充填ノズル21のバルブの開度を制御し、充填液の充填を行うようになっている。
ここで、大投区間Cでは大きな流量で充填液を供給して容器1の大部分の充填を行い、また小投区間Dでは小さな流量で残りの部分を正確に充填するようになっている。
そして充填部9bは、上記重量計測部9aが測定した容器1の重量を監視しながら、容器1に規定量の充填液が充填されたと認識すると、充填ノズル21内のバルブを閉鎖して充填液の充填を終了させる。
【0017】
上記構成を有する充填ライン2の動作について説明すると、最初に空の容器1が上記供給ホイール7を搬送され、上記回転テーブル4に隣接した供給位置Aにおいて、供給ホイール7から回転テーブル4へと容器1が受け渡される。
このとき、上記回転テーブル4の供給位置Aに位置した容器支持手段5は、上記リニアアクチュエータ12によって指定高さに位置しており、この状態で供給ホイール7から容器1が水平方向に移動されて容器支持手段5上に載置される。
その結果、上記容器支持手段5には空の容器1の重量が作用し、リニアアクチュエータ12はそれまでの駆動信号では容器支持手段5を上記指定高さに維持しきれないことから、容器支持手段5が微小に下降することとなる。
上記高さ検出手段13ではリニアアクチュエータ12の駆動軸11の高さを常時検出しており、重量計測部9aは上記対応テーブル9bから、容器1が載置されて下降した容器支持手段5の検出高さと、この時のリニアアクチュエータ12の駆動信号、換言すると容器1が載置される直前まで当該リニアアクチュエータ12を駆動していた駆動信号とから、容器支持手段5に作用した容器重量を認識する。
【0018】
続いて、制御手段9のアクチュエータ制御部9cは、上記高さ検出手段13が検出した検出高さとあらかじめ設定された指定高さとから第1の加速度信号を求め、また重量計測部9aが求めた容器重量と、上記対応テーブル9bより検索した上記供給位置Aにおける想定重量とから第2の加速度信号を求め、これら第1、第2の加速度信号を加算して駆動信号を算出する。
そしてアクチュエータ制御部9cは算出した駆動信号によりリニアアクチュエータ12を駆動させ、これにより空の容器1が載置された容器支持手段5は上記指定高さに移動することとなる。
また充填部9dでは、上記容器支持手段5が上記計測位置Bを移動する間に、上記重量計測部9aが測定した上記空の容器1の重量を確定して、充填液の充填を開始するための重量のゼロリセットを行う。
【0019】
上記高さ検出、重量検出の動作は、容器支持手段5上に容器1が載置されているか否かにかかわらず常時行われ、またサンプリング周波数を高くすることにより、上記容器支持手段5に載置された容器1の重量の計測を迅速に行うことができる。換言すると上記回転テーブル4に設定した容器1の重量を計測するための供給位置Aから計測位置Bの間隔、および排出位置Fから計測位置Eの間隔を短く設定することができる。
これに対し、上記特許文献1に記載された重量充填装置3では、容器1の重量の計測にロバーバル式のひずみゲージを用いており、ロバーバルの振動の収束を待たないと正確な容器1の重量を計測することができないことから、容器1が供給された直後や充填が終了した直後は重量の計測をすることができず、重量を計測するまでの間隔を長く設定する必要があった。
同じ処理能力を有する重量充填装置において、計測するまでの間隔を長く設定した場合、回転テーブル4の直径を大きくする必要が出てくるため、設備の設置スペースが大きくなるという問題が生じることとなる。
一方、回転テーブル4の直径を同じとした場合には、計測するまでの間隔を長く設定した分だけ充填区間の距離を短く設定しなければならないことから、回転テーブル4を低速で回転させなければならず処理能力が下がることとなる。
さらに、上記ロバーバル式のひずみゲージの場合、回転テーブル4の回転による遠心力によるロバーバルの変形を考慮する必要があったが、本実施例のように上記リニアアクチュエータ12の駆動軸11をコイル12aに対して上下に移動可能に設けることで、容器支持手段5に作用する遠心力の影響がなくなるため、容器1の重量を計測する際に上記遠心力による誤差を修正する必要がない。
【0020】
上記空の容器1を支持した容器支持手段5が計測位置Bから大投区間Cに進入すると、制御手段9の充填部9dが上記充填手段6の充填ノズル21のバルブを開放して、容器1への充填液の充填を開始する。
上記大投区間Cでは、充填液を大流量で容器1に充填させ、当該容器1の容量の大部分を充填し、その後の小投区間Dにおいて、上記重量計測部9aが測定した充填液の重量を計測しながら、充填液を小流量で容器1に充填する。なお、上記小投区間Dについては省略することも可能である。
そして、容器1に規定量の充填液が充填されると、充填部9dは上記充填ノズル21のバルブを閉鎖させて、充填液の充填を終了させる。
【0021】
上記大投区間Cや小投区間Dにおいて容器1に充填液を充填すると、充填液の充填に伴って容器支持手段5に作用する重量が増大し、これにより容器支持手段5は下降しようとする。
上記制御手段9の上記対応テーブル9bには、回転テーブル4の各位置における充填液の充填量に基づいて想定重量が登録され、アクチュエータ制御部9cでは、重量計測部9aが求めた容器重量と、容器1の各位置の想定重量とから第2の加速度信号を算出する。
さらにアクチュエータ制御部9cは、上記高さ検出手段13が検出した検出高さと上記指定高さとから求めた第1の加速度信号と、算出した第2の加速度信号とから駆動信号を算出し、上記リニアアクチュエータ12を駆動させて容器支持手段5を指定高さに維持するようになっている。
【0022】
その後、容器1が上記小投区間Dから計測位置Eに移動すると、当該計測位置Eにおいて容器1に充填された充填液の重量が計測されるようになっている。
この時も、上記アクチュエータ制御部9cは容器支持手段5を指定高さに維持するようになっており、上記排出位置Fにおいて容器1を水平方向に移動させることで、当該容器1を排出ホイール8に受け渡すことが可能となっている。
ここで、従来のロバーバル式のひずみゲージを用いた構成の場合、容器1の重量の増大に伴って容器1の位置が下降してしまうため、上記供給位置Aでの容器支持手段5の高さに比べて、排出位置Fでの容器支持手段5の高さは低くなってしまう。
したがって、従来は上記排出ホイール8の高さを供給ホイール7の高さより低く設定するなどの調整が必要となっており、充填ライン2の調整が煩雑になるという問題があった。
【0023】
なお、上記実施例では容器に充填液を充填する場合を説明したが、被充填物としては液体に限らず粉体、固体等であってもよく、容器もボトル、袋、箱等であってもよく、実施例に限定されるものではない。
さらに、上記実施例では容器支持手段5の上面に容器1を支持するようになっているが、容器支持手段として容器1の首部を把持して搬送するネックグリッパを用いてもよい。
この場合であっても、上記ネックグリッパに上記駆動軸11およびリニアアクチュエータ12を設けることで容器重量を迅速に計測することができ、またネックグリッパを一定の指定高さに維持して、供給側および排出側との受け渡しを円滑に行うことができる。
また上記実施例では、回転テーブルを備えた回転タイプの重量式充填装置について説明したが、回転タイプに限るものではなく、容器1を直線状に搬送して処理するラインタイプの重量式充填装置にも適用可能である。
【0024】
さらに、上記実施例では上記容器支持手段5の指定高さを一定に設定しているが、必ずしも一定にする必要はなく、例えば上記供給ホイール7との供給位置Aにおける指定高さを、供給ホイール7の上面の高さよりも若干下方に位置させてもよい。このようにすることで供給ホイール7から容器1を容器支持手段5に移動させる際の引っ掛かりを防止することができる。
逆に、上記排出ホイール8への排出位置Fにおける指定高さを、排出ホイール8の上面の高さよりも若干上方に位置させておくことで、容器1を排出ホイール8に移動させる際の引っ掛かりを防止することができる。
また、上記実施例では磁石からなる駆動軸11とコイル12aとによって構成されたリニアアクチュエータ12を用いているが、アクチュエータとして図4に示すような、駆動軸11に設けたラック101と、モータMによって駆動されるピニオン102とによって構成されたものを用いることができる。
この場合、上記高さ検出手段13としては上記モータMに設けたエンコーダ103を用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 容器 2 充填ライン
3 重量充填装置 4 回転テーブル
5 容器支持手段 6 充填手段
9 制御手段 9a 重量計測部
9b 対応テーブル 9c アクチュエータ制御部
9d 充填部 11 駆動軸
12 リニアアクチュエータ(アクチュエータ)
13 高さ検出手段 91 位置制御部
92 力制御部 93 加速度合成部
図1
図2
図3
図4