(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20220420BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20220420BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L27/092 A
H01L27/092 C
H01L27/092 G
H01L27/092 K
(21)【出願番号】P 2019565666
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(86)【国際出願番号】 JP2018001655
(87)【国際公開番号】W WO2019142333
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 淳司
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077664(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0063163(US,A1)
【文献】特開2005-340461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0213814(US,A1)
【文献】特表2017-525160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/8238
H01L 27/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VNW(Vertical Nanowire:縦型ナノワイヤ) FETを備えた半導体集積回路装置であって、
第1スタンダードセルを備え、
前記第1スタンダードセルは、
第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
第1導電型のウェルまたは基板の上部に形成された、前記第1導電型の第1ボトム領域とを備え、
前記第1ボトム領域は、平面視で前記第1電源配線と重なりを有しており、かつ、前記第1電源配線と接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1スタンダードセルは、
ボトムが前記第1ボトム領域と接続された、少なくとも1つの第1擬似VNW FETを備える
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1スタンダードセルは、
前記第1方向に延び、第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
第2導電型のウェルまたは基板の上部に形成された、前記第2導電型の第2ボトム領域とを備え、
前記第2ボトム領域は、平面視で前記第2電源配線と重なりを有しており、かつ、前記第2電源配線と接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体集積回路装置において、
前記第1スタンダードセルは、
ボトムが前記第2ボトム領域と接続された、少なくとも1つの第2擬似VNW FETを備える
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項3記載の半導体集積回路装置において、
前記第1ボトム領域と前記第2ボトム領域とは、前記第1方向における位置とサイズが同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縦型ナノワイヤ(VNW:Vertical Nanowire)FET(Field Effect Transistor)を備えた半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、スタンダードセル方式が知られている。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ,ラッチ,フリップフロップ,全加算器など)をスタンダードセルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数のスタンダードセルを配置して、それらのスタンダードセルを配線で接続することによって、LSIチップを設計する方式のことである。
【0003】
また、LSIの基本構成要素であるトランジスタは、ゲート長の縮小(スケーリング)により、集積度の向上、動作電圧の低減、および動作速度の向上を実現してきた。しかし近年、過度なスケーリングによるオフ電流と、それによる消費電力の著しい増大が問題となっている。この問題を解決するため、トランジスタ構造を従来の平面型から立体型に変更した立体構造トランジスタが盛んに研究されている。その1つとして、縦型ナノワイヤFET(以下、適宜、VNW FETという)が注目されている。
【0004】
特許文献1では、VNW FETを用いた2入力NANDのレイアウトが開示されている。特許文献2では、VNW FETを用いたインバータのレイアウトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0063163号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0012169号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体集積回路装置は、トランジスタが構成されるウェルまたは基板に電位を供給するための、タップセルと呼ばれるスタンダードセルを備える場合がある。しかしながら、VNW FETを備えた半導体集積回路装置におけるタップセルについて、開示された先行技術文献はない。
【0007】
本開示は、VNW FETを備えた半導体集積回路装置における、タップセルのレイアウト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様では、VNW(Vertical Nanowire:縦型ナノワイヤ) FETを備えた半導体集積回路装置は、第1スタンダードセルを備え、前記第1スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、第1導電型のウェルまたは基板の上部に形成された、前記第1導電型の第1ボトム領域とを備え、前記第1ボトム領域は、平面視で前記第1電源配線と重なりを有しており、かつ、前記第1電源配線と接続されている。
【0009】
この態様によると、第1スタンダードセルにおいて、第1電源配線から、第1導電型のウェルまたは基板に、第1導電型の第1ボトム領域を介して、第1電源電圧が供給される。したがって、第1スタンダードセルは、タップセルとして機能する。
【0010】
本開示の第2態様では、VNW(Vertical Nanowire:縦型ナノワイヤ) FETを備えた半導体集積回路装置は、第1スタンダードセルを備え、前記第1スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、第1導電型のウェルまたは基板の上部に形成されており、平面視で前記第1電源配線から離間した、前記第1導電型の第1ボトム領域と、前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びており、前記第1電源配線と前記第1ボトム領域とを接続する第1接続配線とを備える。
【0011】
この態様によると、第1スタンダードセルにおいて、第1電源配線から、第1導電型のウェルまたは基板に、第1導電型の第1ボトム領域、および、第1接続配線を介して、第1電源電圧が供給される。したがって、第1スタンダードセルは、タップセルとして機能する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によると、VNW FETを備えた半導体集積回路装置において、タップセルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す平面図
【
図2】(a),(b)は第1実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す層別の平面図
【
図3】(a)~(c)は第1実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す断面図
【
図4】第1実施形態に係るタップセルを用いた回路ブロックのレイアウトの一例を示す平面図
【
図5】第2実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す平面図
【
図6】(a),(b)は第2実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す層別の平面図
【
図7】(a)~(d)は第2実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す断面図
【
図8】第2実施形態に係るタップセルを用いた回路ブロックのレイアウトの一例を示す平面図
【
図10】第3実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す平面図
【
図11】第3実施形態の変形例に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す平面図
【
図12】縦型ナノワイヤFETの基本構造例を示す模式図であり、(a)は断面図、(b)は平面図
【
図13】(a),(b)は縦型ナノワイヤFETの基本構造例であって、ローカル配線を用いた構造例を示す模式平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、半導体集積回路装置は複数のスタンダードセルを備えており、この複数のスタンダードセルのうち少なくとも一部は、いわゆる縦型ナノワイヤFET(VNW FET)を備えるものとする。そして、複数のスタンダードセルは、タップセルを含むものとする。
【0015】
図12はVNW FETの基本構造例を示す模式図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、
図12(b)では、メタル配線の図示を省いており、また、理解のしやすさのために、実際の平面視では見えない構成要素を図示している。
【0016】
図12に示すように、半導体基板501上に、P型ウェル502とN型ウェル503が形成されている。ただし、半導体基板501がP型基板であるとき、P型ウェルを形成しなくてもよい。P型ウェル502上に、N型トランジスタであるVNW FET510が形成されており、N型ウェル503上に、P型トランジスタであるVNW FET520が形成されている。504は絶縁膜、505は層間絶縁膜である。
【0017】
VNW FET510は、ソース/ドレイン電極となるボトム電極511と、ソース/ドレイン電極となるトップ電極512と、ボトム電極511とトップ電極512との間に、縦方向(基板面に対して垂直方向)に形成されたナノワイヤ513とを備える。ボトム電極511およびトップ電極512は、N導電型にドーピングされている。ナノワイヤ513の少なくとも一部がチャネル領域となる。ナノワイヤ513の周囲にはゲート絶縁膜515が形成されており、さらにその周囲にゲート電極514が形成されている。
【0018】
ボトム電極511は、半導体基板501の上面に沿って広がるように形成されたボトム領域516と接続されている。ボトム領域516も、N導電型にドーピングされている。ボトム領域516の表面にはシリサイド領域517が形成されている。また、トップ電極512の周囲に、サイドウォール518が形成されている。トップ電極512の上に、シリサイド領域519が形成されている。ただし、サイドウォール518およびシリサイド領域519は形成しなくてもよい。
【0019】
同様に、VNW FET520は、ソース/ドレイン電極となるボトム電極521と、ソース/ドレイン電極となるトップ電極522と、ボトム電極521とトップ電極522との間に、縦方向に形成されたナノワイヤ523とを備える。ボトム電極521およびトップ電極522は、P導電型にドーピングされている。ナノワイヤ523の少なくとも一部がチャネル領域となる。ナノワイヤ523の周囲にはゲート絶縁膜525が形成されており、さらにその周囲にゲート電極524が形成されている。
【0020】
ボトム電極521は、半導体基板501の上面に沿って広がるように形成されたボトム領域526と接続されている。ボトム領域526も、P導電型にドーピングされている。ボトム領域526の表面にはシリサイド領域527が形成されている。また、トップ電極522の周囲に、サイドウォール528が形成されている。トップ電極522の上に、シリサイド領域529が形成されている。ただし、サイドウォール528およびシリサイド領域529は形成しなくてもよい。
【0021】
図12の構造では、VNW FET510のゲート電極領域514とVNW FET520のゲート電極領域524とが、ゲート配線531によって接続されている。また、ボトム領域516、シリサイド領域519、ゲート配線531、シリサイド領域529およびボトム領域526は、それぞれ、コンタクト532およびコンタクト541を介して、メタル配線層M1に形成された配線542に接続されている。なお、メタル配線層M1のさらに上層に、メタル配線層を積層することができる。
【0022】
半導体基板501は、例えば、バルクSi、ゲルマニウム、その化合物や合金等によって構成されている。N型ドーパントの例としては、As、P、Sb、N、Cまたはこれらの組み合わせ等がある。P型ドーパントの例としては、B、BF2、In、N、Cまたはこれらの組み合わせ等がある。また、VNW FET510,520の平面形状(ナノワイヤ513,523の横断面形状)は、例えば、円形、矩形、楕円形等であってもよい。
【0023】
絶縁膜504の材質は、例えば、SiN、SiCN等である。層間絶縁膜505の材料は、例えば、SiO、TEOS、PSG、BPSG、FSG、SiOC、SOG、Spin on Polymers、SiC、または、これらの混合物等がある。シリサイド領域517,527の材質は、例えば、NiSi、CoSi、TiSi、WSi等である。
【0024】
ゲート電極514,524、および、ゲート配線531の材料は、例えば、TiN、TaN、TiAl、Ti-containing Metal、Ta-containing Metal、Al-containing Metal、W-containing Metal、TiSi、NiSi、PtSi、polysilicon with silicide、これらの組み合わせ等がある。ゲート絶縁膜515,525の材料は、例えば、SiON、Si3N4、Ta2O5、Al2O3、Hf oxide、Ta oxide、Al oxide等がある。また、k値は7以上であることが好ましい。
【0025】
トップ電極512,522上に設けるシリサイド領域519,529の材料としては、NiSi、CoSi、MoSi、WSi、PtSi、TiSiまたはこれらの組み合わせ等がある。また、他の構成として、W、Cu、Al等のメタルや、TiN、TaN等の合金等、不純物注入された半導体等、またはこれらの組み合わせとしてもよい。サイドウォール518,528の材料としては、例えば、SiN、SiON、SiC、SiCN、SiOCN等がある。
【0026】
コンタクト532の材料としては、例えば、Ti、TiN、Ta、TaN等がある。また、Cu、Cu-arroy、W、Ag、Au、Ni、Al等がある。あるいは、Co、Ruでもよい。
【0027】
図13はVNW FETの基本構造例であって、ローカル配線を用いた構造例を示す。
図13(a)では、メタル配線層M1と、VNW FET510のトップ電極512およびVNW FET520のトップ電極522との間に、ローカル配線534が形成されている。ボトム領域516,526およびゲート配線531は、それぞれ、コンタクト533、ローカル配線534およびコンタクト541を介して、メタル配線層M1に形成された配線542に接続されている。また、シリサイド領域519,529は、それぞれ、ローカル配線534およびコンタクト541を介して、メタル配線層M1に形成された配線542に接続されている。
【0028】
図13(b)では、メタル配線層M1とボトム領域516,526との間に、ローカル配線535が形成されている。言い換えると、ローカル配線535は、
図13(a)におけるコンタクト533およびローカル配線534が一体となったものに相当する。シリサイド領域536は、ローカル配線535を形成する工程において、エッチングストッパとして用いられる。
【0029】
本明細書では、スタンダードセルの論理機能に寄与するVNW FETのことを「アクティブVNW FET」といい、スタンダードセルの論理機能に寄与しないVNW FETのことを「ダミーVNW FET」という。また、以下の説明では、VNW FETのボトム電極、トップ電極、ゲート電極のことを、適宜、単にボトム、トップ、ゲートという。また、縦型ナノワイヤ、トップ、ボトムおよびゲートからなる単位構成が、1個または複数個によって、1個のVNW FETを構成する場合、この単位構成のことを単に「VNW」といい、VNW FETと区別するものとする。また、スタンダードセルのことを、適宜、単にセルという。
【0030】
また、本開示に係るタップセルのように、VNWが、ボトムの極性の違い等からトランジスタを構成しない場合もある。本明細書では、VNW FETと同様の構造であるが、トランジスタを構成しない構造のことを、「擬似VNW FET」または「擬似トランジスタ」という。
【0031】
また、本明細書において、「同一配線幅」等のように、幅等が同じであることを意味する表現は、製造上のばらつき範囲を含んでいるものとする。
【0032】
(第1実施形態)
図1~
図3は第1実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す図であり、
図1は平面図、
図2(a),(b)は層別の平面図、
図3(a)~(c)は断面図である。具体的には、
図2(a)はVNWおよびその下の層を示し、
図2(b)はVNWよりも上の層を示す。
図3(a)は
図1の平面視縦方向の断面図、
図3(b)~(c)は
図1の平面視横方向の断面図であり、
図3(a)は線X1-X1’の断面、
図3(b)は線Y1-Y1’の断面、
図3(c)は線Y2-Y2’の断面である。
【0033】
なお、以下の説明では、
図1等の平面図において、図面横方向をX方向(第1方向に相当)、図面縦方向をY方向(第2方向に相当)としている。また、
図1等の平面図において縦横に走る点線、および、
図3等の断面図において縦に走る点線は、設計時に部品配置を行うために用いるグリッドを示す。グリッドは、X方向において等間隔に配置されており、またY方向において等間隔に配置されている。なお、グリッド間隔は、X方向とY方向とにおいて同じであってもよいし異なっていてもよい。また、グリッド間隔は、層ごとに異なっていてもかまわない。例えば、VNW FETまたは擬似VNW FETのグリッドとM1配線のグリッドとが、異なる間隔で配置されていてもよい。さらに、各部品は必ずしもグリッド上に配置される必要はない。ただし、製造ばらつきを抑制する観点から、部品はグリッド上に配置される方が好ましい。
【0034】
また、本実施形態に係るデバイス構造は、
図13(a)の構造を前提としている。ただし、
図12や
図13(b)の構造や、他のデバイス構造を前提とした構造にもなり得る。以降の実施形態についても同様である。また、図を分かりやすくするために、STI、各絶縁膜、ボトム上のシリサイド層、トップ上のシリサイド層、および、トップのサイドウォールについては、図示を省略している。以降の図についても同様である。
【0035】
図1~
図3に示すように、セルの上下(Y方向における両端)において、X方向に延びる電源配線VDD,VSSがそれぞれ設けられている。なお、VDD,VSSは、電源配線と、電源配線が供給する電源電圧との両方を意味する符号として用いる。電源配線VDD,VSSはM1配線層に形成されている。電源配線VDD,VSSは、その上下に隣接するセル同士で共有することができる。ただし、電源配線を、その上下に隣接するセルによって共有しないレイアウトにしてもかまわない。
【0036】
電源配線VDDと電源配線VSSとの間に、P型トランジスタ領域(Pchと図示、以降の平面図でも同様)と、N型トランジスタ領域(Nchと図示、以降の平面図でも同様)とが形成されている。P型トランジスタ領域は電源配線VDDの側に設けられており、N型トランジスタ領域は電源配線VSSの側に設けられている。ただし、本開示に係るタップセルでは、P型トランジスタ領域およびN型トランジスタ領域には、擬似トランジスタ(擬似VNW FET)が形成されている。
【0037】
P型トランジスタ領域は、Nウェル上にある。そしてNウェルの上部に、N導電型にドーピングされたボトム領域11が形成されている。ボトム領域11は、平面視で電源配線VDDと重なる範囲まで広がっている。ボトム領域11は、ローカル配線およびビアを介して電源配線VDDと接続されており、電源電圧VDDが供給される。すなわち、ボトム領域11を介して、Nウェルに電源電圧VDDが供給される。
【0038】
N型トランジスタ領域は、P基板またはPウェル上にある。そしてP基板またはPウェルの上部に、P導電型にドーピングされたボトム領域12が形成されている。ボトム領域12は、平面視で電源配線VSSと重なる範囲まで広がっている。ボトム領域12は、ローカル配線およびビアを介して電源配線VSSと接続されており、電源電圧VSSが供給される。すなわち、ボトム領域12を介して、P基板またはPウェルに電源電圧VSSが供給される。なお、ここでは、ボトム領域11とボトム領域12とは、X方向における位置とサイズが同一である。
【0039】
P型トランジスタ領域には、擬似トランジスタP1,P2,P3,P4が、X方向に並べて配置されている。擬似トランジスタP1,P2,P3,P4はそれぞれ、Y方向に並ぶ2個のVNWを有している。また、N型トランジスタ領域には、擬似トランジスタN1,N2,N3,N4が、X方向に並べて配置されている。擬似トランジスタN1,N2,N3,N4はそれぞれ、Y方向に並ぶ2個のVNWを有している。
【0040】
擬似トランジスタP1,P2,P3,P4は、ボトムがボトム領域11に接続されている。また、擬似トランジスタP1,P2,P3,P4は、ゲートが、Y方向に並列に延びるゲート配線21,22,23,24にそれぞれ接続されており、トップが、Y方向に並列に延びるローカル配線31,32,33,34にそれぞれ接続されている。
【0041】
擬似トランジスタN1,N2,N3,N4は、ボトムがボトム領域12に接続されている。また、擬似トランジスタN1,N2,N3,N4は、ゲートが、Y方向に並列に延びるゲート配線25,26,27,28にそれぞれ接続されており、トップが、Y方向に並列に延びるローカル配線35,36,37,38にそれぞれ接続されている。
【0042】
擬似トランジスタP1,P2,P3,P4および擬似トランジスタN1,N2,N3,N4のトップは、N導電型がドーピングされていてもいいし、P導電型がドーピングされていてもいい。また、ゲート配線21,22,23,24,25,26,27,28、および、ローカル配線31,32,33,34,35,36,37,38はフローティングである。すなわち、擬似トランジスタP1,P2,P3,P4および擬似トランジスタN1,N2,N3,N4のゲートとトップはフローティングである。
【0043】
以上のようなレイアウト構造によって、次のような作用効果が得られる。
【0044】
P型トランジスタ領域において、電源配線VDDから、ボトム領域11を介して、Nウェルに電源電圧VDDが供給される。また、N型トランジスタ領域において、電源配線VSSから、ボトム領域12を介して、P基板またはPウェルに電源電圧VSSが供給される。したがって、本実施形態に係るセルは、タップセルとして機能する。
【0045】
また、本実施形態に係るタップセルでは、擬似トランジスタP1~P4,N1~N4が配置されており、これによって、半導体集積回路装置においてVNWの分布が均一となり、製造精度が上がるとともに、トランジスタ特性のばらつきが抑制される。さらには、タップセルの両側に配置されたセルについて、トランジスタ特性の予測可能性が向上する。
【0046】
また、ゲート配線21,22,23,24,25,26,27,28は、全てY方向に延びており、かつ、同一配線幅である。これにより、製造が容易になり、製造精度が上がる。ローカル配線31,32,33,34,35,36,37,38は、全てY方向に延びており、かつ、同一配線幅である。これにより、製造が容易になり、製造精度が上がる。
【0047】
なお、擬似トランジスタP1,P2,P3,P4および擬似トランジスタN1,N2,N3,N4のゲートとトップは、少なくとも一部は、フローティングでなくてもよい。例えば、擬似トランジスタP1,P2,P3,P4のゲートとトップに、電源電圧VDDを与えてもよい。
【0048】
また、Y方向に並ぶ擬似トランジスタについて、ゲート同士を接続してもよい。例えば、擬似トランジスタP1のゲートと、擬似トランジスタN1のゲートを、単一のゲート配線で接続してもよい。
【0049】
また、VNWの一部または全部を省いてもかまわない。例えば、擬似トランジスタP2,P3、N2,N3について、2個のVNWのうちタップセル中央に近い方のVNWを省いてもよい。この場合、周囲のセルに対する影響は少ない。ゲート配線21,22,23,24,25,26,27,28、および、ローカル配線31,32,33,34,35,36,37,38の一部または全部を省いてもかまわない。
【0050】
また、上述のレイアウト構造では、ボトム領域11は擬似トランジスタP1~P4の領域全体にわたって一体に形成されており、ボトム領域12は擬似トランジスタN1~N4の領域全体にわたって一体に形成されていた。これに代えて、ボトム領域11,12は、分離して形成してもかまわない。例えば、ボトム領域11を、擬似トランジスタP1~P4毎に分離して、それぞれをY方向に長い領域として形成してもよい。
【0051】
また、上述のレイアウト構造の例では、X方向に4個の擬似トランジスタを並べた、セル幅(X方向のサイズ)が4グリッドのタップセルを例にとって説明した。ただし、タップセルのセル幅はこれに限られるものではない。また、レイアウト設計において、セル幅が異なる複数のタップセルを用意してもよい。これにより、レイアウト設計の自由度が向上する。
【0052】
<ブロックレイアウト例>
図4は第1実施形態に係るタップセルを用いた回路ブロックのレイアウトの一例を示す平面図である。
図4に示す回路ブロックでは、複数のセルCがX方向に並ぶ複数のセル列CR1,CR2,CR3が、Y方向に並べて配置されている。複数のセルCの中で、TAP11,TAP12はタップセルであり、上述のレイアウト構造を有する。他のセルC(
図4では、3入力NANDセルND3としている)は、VNW FETを含むレイアウト構造を有している。セル列CR1のY方向における両側に、X方向に延びる電源配線VDD1,VSS1が配置されている。セル列CR2のY方向における両側に、X方向に延びる電源配線VSS2,VDD2が配置されている。セル列CR3のY方向における両側に、X方向に延びる電源配線VDD3,VSS3が配置されている。電源配線VSS1,VSS2,VSS3は電源電圧VSSを供給し、電源配線VDD1,VDD2,VDD3は電源電圧VDDを供給する。
【0053】
図4に示す回路ブロックでは、複数のセル列CR1,CR2,CR3は交互に上下フリップされている。このため、セル列CR1,CR2はP基板またはPウェルを共有しており、セル列CR2,CR3はNウェルを共有している。そして、タップセルはセル列の1列おきに配置されている。
図4では、セル列CR1にタップセルTAP11が配置されており、セル列CR3にタップセルTAP12が配置されている。セル列CR2にはタップセルは配置されていない。
【0054】
セル列CR1,CR2が共有するP基板またはPウェルは、各セルCにおいて、N型VNW FETが形成されており、また、タップセルTAP11におけるP型のボトム領域12を介して電源電圧VSSが供給される。また、セル列CR2,CR3が共有するNウェルは、各セルCにおいて、P型VNW FETが形成されており、また、タップセルTAP12におけるN型のボトム領域11を介して電源電圧VDDが供給される。
【0055】
図4から分かるように、タップセルTAP11,TAP12にVNWが配置されることによって、ブロックレイアウトにおいてVNWの配置が規則的になる。これにより、製造ばらつきが抑制され、歩留まりが向上する。また、他のセルCに配置されたVNW FET、特に、タップセルの上下や左右に配置されたVNW FETについて、その特性が予測可能となる。
【0056】
なお、
図4のブロックレイアウトでは、上下に隣接するセル列について、その間の電源配線を共有しないものとしている。これは、電源配線の下方に配置されるボトム領域の導電型極性が、タップセルと他のセルとで異なるためである。これに対して、上下に隣接するセル列について、その間の電源配線を共有するようにしてもよい。この場合には、電源配線の下方において、タップセルと他のセルとでボトム領域が重なる部分は、他のセルのボトム領域の導電型極性にすればよい。これにより、ブロック面積をより小さくすることができる。
【0057】
(第2実施形態)
図5~
図7は第2実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す図であり、
図5は平面図、
図6(a),(b)は層別の平面図、
図7(a)~(d)は断面図である。具体的には、
図6(a)はVNWおよびその下の層を示し、
図6(b)はVNWよりも上の層を示す。
図7(a)~(b)は
図5の平面視縦方向の断面図、
図7(c)~(d)は
図5の平面視横方向の断面図であり、
図7(a)は線X1-X1’の断面、
図7(b)は線X2-X2’の断面、
図7(c)は線Y1-Y1’の断面、
図7(d)は線Y2-Y2’の断面である。
【0058】
第1実施形態で示した
図4のブロックレイアウトでは、P型ボトム領域とN型ボトム領域との間の間隔が狭い部分があり、パタン形成が困難になる場合がある。例えば、
図4における部分A1では、タップセルTAP12のN型ボトム領域11と、その図面上側にあるセルCのP型ボトム領域16との間が非常に狭い。また、部分B1では、タップセルTAP12のN型ボトム領域11と、その図面右側にあるセルCのP型ボトム領域17との間が非常に狭い。本実施形態に係るタップセルでは、このような問題を解決することができる。
【0059】
図5~
図7に示すように、P型トランジスタ領域は、Nウェル上にある。そしてNウェルの上部に、N導電型にドーピングされたボトム領域111が形成されている。ボトム領域111は、平面視で電源配線VDDから離間している。そしてボトム領域111は、Y方向に並列に延びる接続配線の一例としてのローカル配線131,132によって電源配線VDDと接続されており、電源電圧VDDが供給される。すなわち、ボトム領域111を介して、Nウェルに電源電圧VDDが供給される。
【0060】
N型トランジスタ領域は、P基板またはPウェル上にある。そしてP基板またはPウェルの上部に、P導電型にドーピングされたボトム領域112が形成されている。ボトム領域112は、平面視で電源配線VSSから離間している。そしてボトム領域112は、Y方向に並列に延びる接続配線の一例としてのローカル配線133,134によって電源配線VSSと接続されており、電源電圧VSSが供給される。すなわち、ボトム領域112を介して、P基板またはPウェルに電源電圧VSSが供給される。
【0061】
P型トランジスタ領域には、トランジスタP1,P2が、ボトム領域111のX方向における両側に配置されている。トランジスタP1,P2はそれぞれ、Y方向に並ぶ2個のVNWを有している。また、N型トランジスタ領域には、トランジスタN1,N2が、ボトム領域112のX方向における両側に配置されている。トランジスタN1,N2はそれぞれ、Y方向に並ぶ2個のVNWを有している。
【0062】
トランジスタP1,P2は、ボトムが、P導電型のボトム領域113,114にそれぞれ接続されており、ゲートが、Y方向に延びるゲート配線121,124にそれぞれ接続されており、トップが、Y方向に延びるローカル配線135,136にそれぞれ接続されている。トランジスタN1,N2は、ボトムが、N導電型のボトム領域115,116にそれぞれ接続されており、ゲートが、Y方向に延びるゲート配線125,128にそれぞれ接続されており、トップが、Y方向に延びるローカル配線137,138にそれぞれ接続されている。トランジスタP1,P2のトップはP導電型がドーピングされており、トランジスタN1,N2のトップは、N導電型がドーピングされている。トランジスタP1,P2,N1,N2はダミーVNW FETである。
【0063】
また、ボトム領域111とトランジスタP1との間、および、ボトム領域111とトランジスタP2との間に、Y方向に延びるゲート配線122,123が、それぞれ形成されている。また、ボトム領域112とトランジスタN1との間、および、ボトム領域112とトランジスタN2との間に、Y方向に延びるゲート配線126,127が、それぞれ形成されている。
【0064】
ボトム領域113,114,115,116、ゲート配線121,124,125,128、および、ローカル配線135,136,137,138はフローティングである。すなわち、トランジスタP1,P2およびトランジスタN1,N2のボトム、ゲートおよびトップはフローティングである。また、ゲート配線122,123,126,127もフローティングである。
【0065】
以上のようなレイアウト構造によって、次のような作用効果が得られる。
【0066】
P型トランジスタ領域において、電源配線VDDから、ローカル配線131,132およびボトム領域111を介して、Nウェルに電源電圧VDDが供給される。また、N型トランジスタ領域において、電源配線VSSから、ローカル配線133,134およびボトム領域112を介して、P基板またはPウェルに電源電圧VSSが供給される。したがって、本実施形態に係るセルは、タップセルとして機能する。
【0067】
また、ボトム領域111は平面視で電源配線VDDと離間しており、ボトム領域112は電源配線VSSと離間している。このため、タップセルの上下(Y方向における両側)に他のセルを隣接配置した場合において、電源配線VDDの下方にP型ボトム領域を配置することができ、電源配線VSSの下方にN型ボトム領域を配置することができる。したがって、本実施形態に係るタップセルでは、上下に隣接した他のセルとの間で電源配線VDD,VSSを共有することができるので、回路ブロックの面積をより小さくすることができる。
【0068】
また、N型ボトム領域111は、トランジスタP1,P2のボトムが接続されたP型ボトム領域113,114に対して、X方向において十分な間隔が保たれており、かつ、隣接配置される他のセルの、電源配線VDDの下方に配置されるP型ボトム領域に対して、Y方向において十分な間隔が保たれる。同様に、P型ボトム領域112は、トランジスタN1,N2のボトムが接続されたN型ボトム領域115,116に対して、X方向において十分な間隔が保たれており、かつ、隣接配置される他のセルの、電源配線VSSの下方に配置されるN型ボトム領域に対して、Y方向において十分な間隔が保たれる。したがって、パタン形成が容易になる。
【0069】
また、本実施形態に係るタップセルは、トランジスタP1,P2,N1,N2が配置されている。これにより、半導体集積回路装置においてVNWの分布が均一となり、製造精度が上がるとともに、トランジスタ特性のばらつきが抑制される。さらには、タップセルの両側に隣接配置されるセルについて、トランジスタ特性の予測可能性が向上する。
【0070】
ゲート配線121,122,123,124,125,126,127,128は、全てY方向に延びており、かつ、同一配線幅である。これにより、製造が容易になり、製造精度が上がる。ローカル配線131,132,133,134,135,136,137,138は、全てY方向に延びており、かつ、同一配線幅である。これにより、製造が容易になり、製造精度が上がる。
【0071】
なお、トランジスタP1,P2およびトランジスタN1,N2のボトム、ゲートおよびトップは、少なくとも一部は、フローティングでなくてもよい。例えば、トランジスタP1,P2のボトム、ゲートおよびトップに、電源電圧VDDを与えてもよい。
【0072】
また、Y方向に並ぶトランジスタについて、ゲート同士を接続してもよい。例えば、トランジスタP1のゲートと、トランジスタN1のゲートを、単一のゲート配線で接続してもよい。また、Y方向に並ぶトランジスタについて、トップ同士を接続してもよい。例えば、トランジスタP1のトップと、トランジスタN1のトップを、単一のローカル配線で接続してもよい。また、VNWが形成されていない箇所の、Y方向に並ぶゲート配線同士を接続してもよい。例えば、ゲート配線122,126を接続して、Y方向に延びる単一のゲート配線としてもよい。
【0073】
また、トランジスタP1,P2,N1,N2について、VNWの一部または全部を省いてもかまわない。
【0074】
<ブロックレイアウト例>
図8は第2実施形態に係るタップセルを用いた回路ブロックのレイアウトの一例を示す平面図である。
図8に示す回路ブロックでは、複数のセルCがX方向に並ぶ複数のセル列CR1,CR2,CR3が、Y方向に並べて配置されている。複数のセルCの中で、TAP21,TAP22はタップセルであり、上述のレイアウト構造を有している。他のセルC(
図8では、2入力NANDセルND2としている)は、VNW FETを含むレイアウト構造を有している。複数のセル列CR1,CR2,CR3のY方向における両側に、X方向に延びる電源配線VDD1,VSS1,VDD2,VSS2が配置されている。電源配線VSS1,VSS2は電源電圧VSSを供給し、電源配線VDD1,VDD2は電源電圧VDDを供給する。
【0075】
図8に示す回路ブロックでは、複数のセル列CR1,CR2,CR3は交互に上下フリップされており、隣り合うセル列はその間にある電源配線を共有している。例えば、セル列CR1,CR2は電源配線VSS1を共有し、セル列CR2,CR3は電源配線VDD2を共有する。また、セル列CR1,CR2はP基板またはPウェルを共有しており、セル列CR2,CR3はNウェルを共有している。そして、タップセルはセル列の1列おきに配置されている。
図8では、セル列CR1にタップセルTAP21が配置されており、セル列CR3にタップセルTAP22が配置されている。セル列CR2にはタップセルは配置されていない。
【0076】
セル列CR1,CR2が共有するP基板またはPウェルは、各セルCにおいて、N型VNW FETが形成されており、また、タップセルTAP21におけるP型のボトム領域112を介して電源電圧VSSが供給される。また、セル列CR2,CR3が共有するNウェルは、各セルCにおいて、P型VNW FETが形成されており、また、タップセルTAP22におけるN型のボトム領域111を介して電源電圧VDDが供給される。
【0077】
図8から分かるように、本実施形態によると、上下に隣接するセル列で電源配線を共有することができるので、回路ブロックの面積がより小さくなる。また、タップセルTAP21,TAP22においてX方向における両端近傍にVNWが配置されるので、他のセルCに配置されたVNW FET、特に、タップセルの左右に配置されたセルのVNW FETの特性が予測可能となる。
【0078】
また、タップセルのボトム領域は、X方向およびY方向において、異なる導電型のボトム領域に対して十分な間隔が保たれている。例えば
図8では、タップセルTAP22におけるN型のボトム領域111について、P型のボトム領域との間隔を矢印で示している。したがって、パタン形成が容易になる。
【0079】
(第3実施形態)
図9は
図8の下部を拡大した図である。
図9において、P型形成部は、P型ボトム領域をパタン形成する範囲であり、N型形成部は、N型ボトム領域をパタン形成する範囲である。
図9から分かるように、タップセルTAP22におけるN型ボトム領域111を形成するためのN型形成部は、広いP型形成部の中に、飛び地のように位置している。また、タップセルTAP22におけるP型ボトム領域112を形成するためのP型形成部は、広いN型形成部の中に、飛び地のように位置している。このような配置では、P型形成部およびN型形成部に狭小部が生じ(
図9に矢印で示した部分)、パタン形成が困難になる。また、N型ボトム領域111を形成するためのN型形成部、および、P型ボトム領域112を形成するためのP型形成部自体も小さいので、この点においてもパタン形成が困難になる。本実施形態では、このような課題を解決し、パタン形成が容易になるタップセルのレイアウト構造を提供する。
【0080】
図10は第3実施形態に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す平面図である。
図10のレイアウト構造は、
図5のレイアウト構造について、ボトム領域111に対するボトム領域112の位置を、X方向において4グリッド分ずらした構成になっている。
【0081】
図10に示すように、P型トランジスタ領域は、Nウェル上にある。そしてNウェルの上部に、N導電型にドーピングされたボトム領域211が形成されている。ボトム領域211は、平面視で電源配線VDDから離間している。そしてボトム領域211は、Y方向に並列に延びる接続配線の一例としてのローカル配線231,232によって電源配線VDDと接続されており、電源電圧VDDが供給される。すなわち、ボトム領域211を介して、Nウェルに電源電圧VDDが供給される。
【0082】
N型トランジスタ領域は、P基板またはPウェル上にある。そしてP基板またはPウェルの上部に、P導電型にドーピングされたボトム領域212が形成されている。ボトム領域212は、平面視で電源配線VSSから離間している。そしてボトム領域212は、Y方向に並列に延びる接続配線の一例としてのローカル配線233,234によって電源配線VSSと接続されており、電源電圧VSSが供給される。すなわち、ボトム領域212を介して、P基板またはPウェルに電源電圧VSSが供給される。
【0083】
そして、ボトム領域211とボトム領域212とは、X方向において4グリッド分ずらして配置されており、X方向において重なりを有しない位置に配置されている。
【0084】
P型トランジスタ領域には、トランジスタP1,P2が、ボトム領域211のX方向における両側に配置されている。また、トランジスタP2の図面右側に、トランジスタP3,P4,P5,P6が配置されている。トランジスタP1~P6はそれぞれ、Y方向に並ぶ2個のVNWを有している。また、N型トランジスタ領域には、トランジスタN1,N2が、ボトム領域212のX方向における両側に配置されている。また、トランジスタN1の図面左側に、トランジスタN3,N4,N5,N6が配置されている。トランジスタN1~N6はそれぞれ、Y方向に並ぶ2個のVNWを有している。
【0085】
図10のレイアウト構造によると、N型ボトム領域211を形成するためのN型形成部が、N型トランジスタ領域におけるN型形成部と連結している。また、P型ボトム領域212を形成するためのP型形成部が、P型トランジスタ領域におけるP型形成部と連結している。このため、広いN型形成部の中に飛び地のように位置する小さなP型形成部は存在せず、また、広いP型形成部の中に飛び地のように位置する小さなN型形成部は存在しない。そして、P型形成部およびN型形成部に狭小部が生じていない。したがって、パタン形成が容易になる。
【0086】
なお、
図10のレイアウト構造では、ボトム領域211とボトム領域212の位置を、X方向において4グリッド分ずらしている。ただし、ずらす長さはこれに限られるものではなく、P型形成部およびN型形成部に狭小部が生じないように、ボトム領域の位置をずらせばよい。
【0087】
図11は本実施形態の変形例に係るタップセルのレイアウト構造の例を示す平面図である。
図11のレイアウト構造は、ボトム領域211とボトム領域212の位置を、X方向において2グリッド分ずらした構成になっている。ボトム領域211とボトム領域212とは、X方向において重なりを有しない位置に配置されている。
図11のレイアウト構造でも、N型形成部の中に飛び地のように位置する小さなP型形成部は存在せず、また、P型形成部の中に飛び地のように位置する小さなN型形成部は存在しない。そして、P型形成部およびN型形成部に狭小部が生じていない。したがって、パタン形成が容易になる。加えて、
図10のレイアウト構造よりも、タップセルのセル幅(X方向のサイズ)が小さくなる。
【0088】
(他の実施形態)
(その1)
上述したレイアウト構造の例では、VNWの平面形状は円形であるものとしたが、VNWの平面形状は円形に限られるものではない。例えば、矩形、長円形などであってもかまわない。なお、VNWの平面形状を長円形のように一方向に長く延びる形状である場合には、延びる方向は同一であるのが好ましい。また、端の位置はそろっていることが好ましい。
【0089】
また、タップセルにおいて、全てのVNWを同一形状にする必要はなく、異なる平面形状を有するVNWが混在していてもかまわない。
【0090】
(その2)
上述したレイアウト構造の例では、VNW FETおよび擬似VNW FETについては、2個のVNWによって構成するものとしたが、VNW FETおよび擬似VNW FETを構成するVNWの個数はこれに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示では、VNW FETを備えた半導体集積回路装置において、タップセルを実現できるので、例えば半導体チップの性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0092】
11 ボトム領域
12 ボトム領域
111 ボトム領域
112 ボトム領域
131,132 ローカル配線(接続配線)
133,134 ローカル配線(接続配線)
211 ボトム領域
212 ボトム領域
231,232 ローカル配線(接続配線)
233,234 ローカル配線(接続配線)
P1~P4 トランジスタ、擬似トランジスタ
N1~N4 トランジスタ、擬似トランジスタ
VDD 電源配線、電源電圧
VSS 電源配線、電源電圧