(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】フロントピラートリムの位置規制構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20220420BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B60R13/02 C
B60K37/00 C
(21)【出願番号】P 2018081768
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】目崎 隆寛
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-235736(JP,A)
【文献】特開2004-025965(JP,A)
【文献】特許第4602871(JP,B2)
【文献】特開2017-024527(JP,A)
【文献】特開2009-227138(JP,A)
【文献】特開2015-116875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0119531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に設けられたインストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの前面に取り付けられるカバー部材と、車両のフロントピラーを覆うとともに下端が前記インストルメントパネルと前記カバー部材との間に位置するフロントピラートリムとの合わせ部におけるフロントピラートリムの位置規制構造であって、
前記インストルメントパネルには、係合部が設けられ、
前記カバー部材には、前記インストルメントパネル側に突出するとともに前記係合部に係合する突出部が設けられ、
前記フロントピラートリムの下端には、前記突出部の車幅方向内側に当接可能な規制部が設けられている
ことを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフロントピラートリムの位置規制構造であって、
前記規制部は、前記フロントピラートリムに設けられる基部と、前記基部から前記カバー部材へ向かい延びる先端部とを有し、
前記カバー部材は、前記先端部の上方に位置し前記先端部の上部に当接可能な当接部を有する
ことを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造。
【請求項3】
請求項2に記載のフロントピラートリムの位置規制構造において、
前記先端部は、上面が前記カバー部材に向かうにつれて下方に傾斜している
ことを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造。
【請求項4】
請求項2に記載のフロントピラートリムの位置規制構造において、
前記当接部は、下面が前記インストルメントパネルに向かうにつれて上方に傾斜している
ことを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のフロントピラートリムの位置規制構造において、
前記先端部は、前記カバー部材側に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜している
ことを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントピラートリム、インストルメントパネル、及びロアカバーの合わせ部におけるフロントピラートリムの位置規制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両のインストルメントパネルの車幅方向の両端には、フロントピラートリムが配置される。これらのインストルメントパネルとフロントピラートリムの間には隙間が形成されやすく美観を損なうので、隙間が生じることを抑制するための構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に係る構造では、フロントピラートリムの車幅方向への移動を規制することで、車幅方向に隙間が生じることを抑制している。具体的には、フロントピラートリムに設けた片部をインストルメントパネルの内面側に延設し、片部をその内面へ向けて付勢する構造となっている。このような構造により、フロントピラートリムには、インストルメントパネル側に力が作用する。この結果、インストルメントパネルとフロントピラートリムとの間の車幅方向における隙間が抑制されている。
【0004】
一方、インストルメントパネルの前面(車室側の面)の下部に、ロアカバーが設けられた構造が知られている。このような構造の車両においては、フロントピラートリムとロアカバーとの間にも隙間が生じうる。特許文献1には、このようなフロントピラートリムとロアカバーとの隙間が生じないための構造は開示されていない。
【0005】
また、上記構造では、車両の高さ方向におけるフロントピラートリムの移動を規制できない。このため、フロントピラートリムが車両の上方側にずれ、インストルメントパネルとの間に隙間が生じてしまい、美観を損なうという問題がある。さらに、上記構造では、車両の前後方向におけるフロントピラートリムの移動を規制できない。このため、フロントピラートリムが車両の前方又は後方側にずれて配置されたような外観を乗員に与えることになり、美観上好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フロントピラートリム、インストルメントパネル、及びロアカバーの合わせ部において、フロントピラートリムの周囲に隙間が生じないようにフロントピラートリムの位置を規制することができるフロントピラートリムの位置規制構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、車室に設けられたインストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの前面に取り付けられるカバー部材と、車両のフロントピラーを覆うとともに下端が前記インストルメントパネルと前記カバー部材との間に位置するフロントピラートリムとの合わせ部におけるフロントピラートリムの位置規制構造であって、前記インストルメントパネルには、係合部が設けられ、前記カバー部材には、前記インストルメントパネル側に突出するとともに前記係合部に係合する突出部が設けられ、前記フロントピラートリムの下端には、前記突出部の車幅方向内側に当接可能な規制部が設けられていることを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造にある。
【0009】
第1の態様では、フロントピラートリムに車幅方向の外側への力が作用しても、フロントピラートリムの車幅方向外側への移動が規制される。これにより、車幅方向においてインストルメントパネル及びロアカバーと、フロントピラートリムとの間に隙間が生じないようにフロントピラーの位置を規制することができ、合わせ部の美観を向上することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のフロントピラートリムの位置規制構造であって、前記規制部は、前記フロントピラートリムに設けられる基部と、前記基部から前記カバー部材へ向かい延びる先端部とを有し、前記カバー部材は、前記先端部の上方に位置し前記先端部の上部に当接可能な当接部を有することを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造にある。
【0011】
第2の態様では、フロントピラートリムに高さ方向の上側への力が作用しても、フロントピラートリムの高さ方向への移動が規制される。これにより、高さ方向において、ロアカバーとフロントピラートリムとの間に隙間が生じないようにフロントピラーの位置を規制することができ、合わせ部の美観を向上することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載のフロントピラートリムの位置規制構造において、前記先端部は、上面が前記カバー部材に向かうにつれて下方に傾斜していることを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造にある。
【0013】
第3の態様では、カバー部材をインストルメントパネルに取り付ける際に、当接部が先端部の上面の傾斜に沿って案内されるので、突出部を上下方向で係合部に案内することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第2の態様に記載のフロントピラートリムの位置規制構造において、前記当接部は、下面が前記インストルメントパネルに向かうにつれて上方に傾斜していることを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造にある。
【0015】
第4の態様では、カバー部材をインストルメントパネルに取り付ける際に、先端部が当接部の下面の傾斜に沿って案内されるので、突出部を上下方向で係合部に案内することができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第2から第4の何れか一つの態様に記載のフロントピラートリムの位置規制構造において、前記先端部は、前記カバー部材側に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜していることを特徴とするフロントピラートリムの位置規制構造にある。
【0017】
第5の態様では、位置規制構造を構成する各部材を組み付ける際に、係合片を係合部に係合させやすくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フロントピラートリムの周囲に隙間が生じないようにフロントピラートリムの位置を規制することができるフロントピラートリムの位置規制構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1の点線の円で囲った合わせ部の正面図である。
【
図6】位置規制構造を組み付ける工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0021】
〈実施形態1〉
図1は車室の前方の一部を示す斜視図であり、
図2は
図1の点線の円で囲った合わせ部の正面図であり、
図3は位置規制構造の合わせ部の分解図であり、
図4は位置規制構造の合わせ部の側面図であり、
図5は
図4のA-A′線断面図である。
【0022】
図1に示すように、位置規制構造1は、インストルメントパネル10、ロアカバー(カバー部材)20、及びフロントピラートリム30を備えている。インストルメントパネル10は、車室の前方において車幅方向にわたって設けられている。ロアカバー20は、インストルメントパネル10の前面(車室側の面)の下部に取り付けられている。これらのインストルメントパネル10及びロアカバー20には、計器類、ボタン類、小物などの収納スペースを設けるための開口が設けられているが、図示は省略している。
【0023】
フロントピラートリム30は、図示しないフロントピラーを覆うように設けられた内装材であり、インストルメントパネル10の左右の両側部分から天井に向かって立設している。
【0024】
図2から
図5には、位置規制構造1を構成する合わせ部2が示されている。合わせ部2は、インストルメントパネル10とロアカバー20とを係合すると共に、インストルメントパネル10とロアカバー20及びフロントピラートリム30との位置を規制するための構造を有する部分である。
【0025】
図3から
図5に示すように、インストルメントパネル10は、車室側に面した第1の前面部11と、第1の前面部11の車幅方向両端に設けられ車幅方向外側に面する第1の側面部15とを有している。第1の側面部15には、ロアカバー20をインストルメントパネル10に取り付けるための係合部40が設けられている。
【0026】
係合部40は、ロアカバー20側(車室側)に面した平板部41と、平板部41に形成された係合穴42とを有している。この係合穴42は、後述する係合片43が係合される形状となっている。
【0027】
ロアカバー20は、車室側に面し上述した計器類等のための開口(図示せず)を有する主面部21と、主面部21の車幅方向両端に設けられ車幅方向外側に面する第2の側面部25を有している。主面部21は、インストルメントパネル10の第1の前面部11とほぼ隙間なく滑らかに繋がるよう形成されている。第2の側面部25は、インストルメントパネル10の第1の側面部15を車幅方向外側から覆うように形成されている。第2の側面部25には、車室側に面した高さ方向に長尺の第2の前面部22が設けられている。
【0028】
第2の前面部22の背面(インストルメントパネル10側の面)には、インストルメントパネル10側に突出した突出部50が設けられている。突出部50は、後述する規制部60に当接可能なロアカバー20の一部である。本実施形態では、突出部50は、その先端(インストルメントパネル10側)に係合片43を有し、係合部40に対向する位置に設けられている。
【0029】
係合片43は、係合穴42に挿通される部材である。なお、図には係合穴42と係合片43とが一組示されているだけであるが、このような係合するための構造はロアカバー20及びインストルメントパネル10に複数設けられていてもよい。
【0030】
係合片43には、側面に爪部44が設けられている(
図5参照)。爪部44が係合穴42の開口縁部に係合することで、係合片43が係合穴42から抜けずに係合するようになっている。
【0031】
このように係合片43が係合穴42(係合部40)に係合することにより、ロアカバー20がインストルメントパネル10に取り付けられる。
【0032】
また、ロアカバー20の第2の側面部25の上部には、当接部23が設けられている。当接部23は、ロアカバー20の第2の側面部25の上部が第2の側面部25の下部よりインストルメントパネル10側に突出することで形成される。詳細は後述するが、規制部60(先端部62)は当接部23の下方に位置し、規制部60の上方への移動が当接部23により規制されるようになっている。
【0033】
フロントピラートリム30は、車室側に面する第3の前面部33と、第3の前面部33の下端からインストルメントパネル10側(車室と反対側)に延びる第1延在部31と、第1延在部31のインストルメントパネル10側端部から下方に延びる第2延在部32とを備える。第3の前面部33は、インストルメントパネル10、ロアカバー20及びフロントピラートリム30の組付け状態でロアカバー20の第2の前面部22と略面一となるように設定されており、第2延在部32は、上記組付け状態でロアカバー20の第2の前面部22と係合部40(インストルメントパネル10)との間に位置し、係合穴42と重ならない程度に係合穴42の上端近傍まで延びている。
【0034】
図5に示すように、第2延在部32には、規制部60が設けられている。規制部60は、突出部50の車幅方向内側の面に当接することで、フロントピラートリム30の車幅方向外側への移動を規制する部材である。
【0035】
規制部60は、第2延在部32の車幅方向内側端部に設けられ、第2延在部32より下方に延在している。
【0036】
また、規制部60は、第2延在部32から略垂直にロアカバー20側(車室側)に延びる基部61と、基部61の先端(車室側)から車幅方向内側へ傾斜してロアカバー20側(車室側)へ延びる先端部62とを備えている。
【0037】
基部61のインストルメントパネル10側端面は、上記組付け状態でインストルメントパネル10(係合部40)と当接可能であり、先端部62は、当接部23の下方まで延在している。
【0038】
このようなインストルメントパネル10とロアカバー20及びフロントピラートリム30の合わせ部2に関して、ロアカバー20の第2の側面部25とフロントピラートリム30の第3の前面部33との間の隙間W
1(
図2参照)や、ロアカバー20の第2の前面部22とフロントピラートリム30の第3の前面部33との間の隙間W
2及び段差が大きくなると、美観が損なわれる。
【0039】
本実施形態の位置規制構造1は、このような隙間W1、W2や段差の発生を抑制し、ロアカバー20に対するフロントピラートリム30の位置を規制するものである。
【0040】
ここでいう隙間W1、W2や段差の抑制とは、隙間W1、W2や段差の大きさが所定以上に拡大しないことをいうが、隙間W1、W2や段差がゼロである場合も含む。大きさが所定以上に拡大しないこととは、美観を損なわない程度に十分狭い(小さい)大きさを保つことをいう。
【0041】
また、本発明において、当接可能とは、フロントピラートリム30が隙間W1、W2や段差が所定以上に拡大しない範囲で車幅方向外側、車両前方、車両上方に移動したときに、規制部60が対応する部材に当接することをいう。すなわち、規制部60と対応する部材との間に若干の隙間が開いていてもよいし、規制部60が対応する部材に常時当接していてもよい。
【0042】
図5に示すように、係合部40及び突出部50に設けられた係合片43が係合することにより、ロアカバー20がインストルメントパネル10に取り付けられている。このように取り付けられたロアカバー20には、インストルメントパネル10側に突出する突出部50が設けられている。そして、フロントピラートリム30に設けられた規制部60は、突出部50に対して車幅方向の内側に位置し、突出部50の側面に当接可能となっている。
【0043】
フロントピラートリム30に、車幅方向の外側(
図5の右側)への力が作用しても、規制部60が突出部50に当接するので、フロントピラートリム30が車幅方向の外側に移動することが規制される。したがって、インストルメントパネル10及びロアカバー20とフロントピラートリム30(第3の前面部33)との第1の隙間W
1(
図2参照)が生じることを抑制することができる。
【0044】
図4に示すように、ロアカバー20には当接部23が設けられており、当接部23の下方に規制部60(先端部62)が当接可能に位置している。
【0045】
フロントピラートリム30に、高さ方向の上側(
図4の上側)への力が作用しても、規制部60が当接部23に当接するので、フロントピラートリム30が高さ方向の上側に移動することが規制される。したがって、ロアカバー20(第2の前面部22)とフロントピラートリム30(第3の前面部33)との第2の隙間W
2(
図2参照)が生じることを抑制することができる。また、
図5に示すように、規制部60の先端部62が車幅方向で傾斜しているので、上面視で先端部62と当接部23が角度を持って交わり、確実に規制部60を当接部23に当接させることができる。
【0046】
また、
図4に示すように、規制部60は、フロントピラートリム30の第2延在部32から下方に延在しているので、インストルメントパネル10に設けられた係合部40(平板部41)に当接可能となっている。
【0047】
フロントピラートリム30に、車両の前方側(
図6の右側)への力が作用しても、規制部60が係合部40に当接するので、フロントピラートリム30が前方側に移動することが規制される。したがって、ロアカバー20(第2の前面部22)とフロントピラートリム30(第3の前面部33)とで形成されたほぼ面一の前面がずれてしまい、段差が発生してしまうことを抑制できる。
【0048】
上述した構成の組付け工程について説明する。
図6は位置規制構造1を組み付ける工程を示す側面図である。先ず、インストルメントパネル10を車室内に配置する。次に、フロントピラートリム30をフロントピラーに取り付ける。すると、
図6に示すように、車室に配置されたインストルメントパネル10に対して、フロントピラートリム30が所定位置に配置される。そして、ロアカバー20をインストルメントパネル10の前面側に取り付ける。具体的には、係合片43を係合穴42に係合させる。このとき、先端部62は、係合片43が係合穴42に向かうように突出部50を案内する。すなわち、ロアカバー20をインストルメントパネル10に取り付ける際に、突出部50が先端部62に接すると、突出部50は先端部62の表面を摺動しながら係合穴42側(
図6の右側)へ案内される。このように規制部60の先端部62は、突出部50を案内するので、係合片43を係合穴42に係合させやすくすることができる。
【0049】
係合片43を係合穴42に係合されることで、ロアカバー20はインストルメントパネル10に取り付けられる。このとき、ロアカバー20の第2の側面部25に設けられた当接部23が、規制部60(先端部62)の上方に位置する。
【0050】
なお、規制部60の先端部62の上面は、先端に向かうにつれて下方に傾斜していてもよい。このようにすることで、ロアカバー20をインストルメントパネル10に取り付ける際に、当接部23が先端部62上面の傾斜に沿って案内されるので、突出部50(係合片43)を上下方向で係合穴42に案内することができる。
【0051】
また、先端部62上面に傾斜を設けるのではなく、当接部23の下面、すなわちロアカバー20の第2の側面部25の上部の下面に、インストルメントパネル10に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面を設けることでも、同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上に述べたように、本実施形態の位置規制構造1では、ロアカバー20には、インストルメントパネル10に設けられた係合部40に係合する突出部50が設けられ、フロントピラートリムの下端には、突出部50の車幅方向内側に当接可能な規制部60が設けられている。これにより、フロントピラートリム30に車幅方向の外側への力が作用しても、フロントピラートリム30の車幅方向外側への移動が規制される。したがって、車幅方向の第1の隙間W1を抑制することができ、合わせ部2の美観を向上することができる。
【0053】
本実施形態の位置規制構造1では、フロントピラートリム30の規制部60は、ロアカバー20に向けて延びる先端部62を有し、ロアカバー20は、先端部62の上部に当接可能な当接部23を有している。これにより、フロントピラートリム30に高さ方向の上側への力が作用しても、フロントピラートリム30の高さ方向への移動が規制される。したがって、高さ方向の第2の隙間W2を抑制することができことができ、合わせ部2の美観を向上することができる。
【0054】
本実施形態の位置規制構造1では、先端部62はロアカバー20側に向かうにつれて車幅方向の内側に傾斜している。このような構成とすることで、先端部62は、規制部60を係合部40側へ案内することができる。これにより、位置規制構造1を構成する各部材を組み付ける際に、係合片43を係合穴42に係合させやすくすることができる。
【0055】
なお、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0056】
上記実施形態では、規制部60により、フロントピラートリム30が3方向に移動することを規制したが、このような態様に限定されない。例えば、規制部60を突出部50の内側にのみ当接する構成としてもよい。同様に、規制部60を突出部50の内側及び当接部23に当接する構成や、突出部50の内側及び係合部40に当接する構成としてもよい。また、規制部の形状は、上記実施形態に限らない。
【符号の説明】
【0057】
1…位置規制構造、2…合わせ部、10…インストルメントパネル、20…ロアカバー、23…当接部、30…フロントピラートリム、40…係合部、43…係合片、50…突出部、60…規制部、61…基部、62…先端部