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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】語学習得装置及び語学習得プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/06 20060101AFI20220420BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
G09B19/06
G09B7/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019124930
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2020013122
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2018127377
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518238311
【氏名又は名称】金子 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】金子 亨
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-309627(JP,A)
【文献】特開2003-241637(JP,A)
【文献】米国特許第06675010(US,B1)
【文献】杉浦香織,堀智子,日本人英語学習者における聴覚性プライミング効果-単語復唱課題による検討-,関東甲信越英語教育学会誌,2012年03月01日,26巻,pp. 39-51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56
17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
語学を習得するための語学習得装置であって、
予め設定された語彙又は会話要素をプライマリー情報として繰り返し表示又は出力するプライマリー実行手段と、
前記プライマリー情報に関連付けられた語彙又は会話要素をターゲット情報として繰り返し表示又は出力するターゲット実行手段と、
前記プライマリー実行手段及びターゲット実行手段によって表示又は出力される情報を選択し、選択された情報が表示又は出力されるインターバルを制御する出力制御手段、
前記ターゲット実行手段によって表示又は出力された前記プライマリー情報に対するユーザーの応答を検出する応答検出手段と、
前記出力制御手段による制御及び前記応答検出手段による検出結果に基づいて語学習得の進捗度を評価する評価手段と
前記プライマリー情報又はターゲット情報に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音の音素を学習者の母国語の文字列又音楽記号で表記するとともに、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて可視化して表示する音声可視化部と、
正解となる発音について前記可視化された文字列若しくは音楽記号と、前記応答検出手段が検出した前記ユーザーの応答であるユーザーによる発音についての可視化された文字列若しくは音楽記号とを対比可能に出力する評価結果出力部と
を備え
前記評価手段は、正解となる発音について前記可視化された文字列若しくは音楽記号と、前記ユーザーによる発音についての可視化された文字列若しくは音楽記号との一致度を、前記を比較してこれらの一致度を前記語学習得の進捗度として評価する
ことを特徴とする語学習得装置。
【請求項2】
前記出力制御手段は、前記インターバルを加速的に短縮させていくことを特徴とする請求項1に記載の語学習得装置。
【請求項3】
語学を習得するためのプログラムであって、コンピューターを
予め設定された語彙又は会話要素をプライマリー情報として繰り返し表示又は出力するプライマリー実行手段と、
前記プライマリー情報に関連付けられた語彙又は会話要素をターゲット情報として繰り返し表示又は出力するターゲット実行手段と、
前記プライマリー実行手段及びターゲット実行手段によって表示又は出力される情報を選択し、選択された情報が表示又は出力されるインターバルを制御する出力制御手段
前記ターゲット実行手段によって表示又は出力された前記プライマリー情報に対するユーザーの応答を検出する応答検出手段と、
前記出力制御手段による制御及び前記応答検出手段による検出結果に基づいて語学習得の進捗度を評価する評価手段と、
前記プライマリー情報又はターゲット情報に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音の音素を学習者の母国語の文字列又は音の長さを表す音楽記号で表記するとともに、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて可視化して表示する音声可視化部と、
正解となる発音について前記可視化された文字列若しくは音楽記号と、前記応答検出手段が検出した前記ユーザーの応答であるユーザーによる発音についての可視化された文字列若しくは音楽記号とを対比可能に出力する評価結果出力部
として機能させ
前記評価手段は、正解となる発音について前記可視化された文字列若しくは音楽記号と、前記ユーザーによる発音についての可視化された文字列若しくは音楽記号との一致度を、前記を比較してこれらの一致度を前記語学習得の進捗度として評価する
ことを特徴とする語学習得プログラム。
【請求項4】
前記出力制御手段は、前記インターバルを加速的に短縮させていくことを特徴とする請求項に記載の語学習得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母国語以外の言語である外国語、例えば日本人にとっての英語やフランス語、ドイツ語、スペイン語など、語学を習得するための語学習得装置及び語学習得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、英会話を学習する手段としては、英会話スクールに通ったり、インターネットを通じた英語通信教育などで会話をしたりといったものが一般的である。しかしながら、これらによる英語習得の成否は、個人が持つ目的意識に大きく依存するものであり、また、特に人前で話すことに消極的な日本人では継続するためにモチベーションを維持する必要がある。
【0003】
その一方で、脳科学や心理学の分野では、プライミング効果と呼ばれる潜在的(無意識的)な知覚的、心理的な現象が研究されており、このプライミング効果を利用することで、集中力や持続力を高められることが知られている(例えば、非特許文献参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】インターネットWebサイト,脳科学辞典「プライミング効果」,月浦 崇,原稿受付日:2012年5月9日,原稿完成日:2012年5月17日,https://bsd.neuroinf.jp/wiki/プライミング効果
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記プライミング効果を英会話学習に応用する方法は確立されておらず、その具体化が望まれている。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するものであり、母国語以外の言語である外国語、例えば日本人にとっての英語やフランス語、ドイツ語など、語学を習得するにあたり、脳科学および心理学に基づく効果を応用して、英語習得に向かうモチベーションを維持することのできる語学習得装置及び語学習得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、語学を習得するための装置又はプログラムであって、予め設定された語彙又は会話要素をプライマリー情報として繰り返し表示又は出力するプライマリー実行手段と、プライマリー情報に関連付けられた語彙又は会話要素をターゲット情報として繰り返し表示又は出力するターゲット実行手段と、プライマリー実行手段及びターゲット実行手段によって表示又は出力される情報を選択し、選択された情報が表示又は出力されるインターバルを制御する出力制御手段、ターゲット実行手段によって表示又は出力されたプライマリー情報に対するユーザーの応答を検出する応答検出手段と、出力制御手段による制御及び応答検出手段による検出結果に基づいて語学習得の進捗度を評価する評価手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
なお、上記発明において、出力制御手段は、インターバルを加速的に短縮させていくことが好ましい。
【0009】
また、上記発明において、プライマリー情報又はターゲット情報に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音の音素を学習者の母国語の文字列又は音の長さを表す音楽記号で表記するとともに、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて可視化して表示する音声可視化部と、正解となる発音について可視化された文字列若しくは音楽記号と、応答検出手段が検出したユーザーの応答であるユーザーによる発音についての可視化された文字列若しくは音楽記号とを対比可能に出力する評価結果出力部とをさらに備え、評価手段は、正解となる発音について可視化された文字列若しくは音楽記号と、ユーザーによる発音についての可視化された文字列若しくは音楽記号との一致度を比較してこれらの一致度を語学習得の進捗度として評価する
【0010】
そして、上述した所定の言語で記述された本発明のプログラムをコンピューター上で実行することによって、語学習得装置や、そのプログラムに従った手順による語学習得方法を実現することができる。すなわち、本発明のプログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを構築して、本発明に係る方法を実施することができる。
【0011】
また、本発明のプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、この発明によれば、母国語以外の言語である外国語、例えば日本人にとっての英語やフランス語、ドイツ語など、語学を習得するにあたり、ePEC(easyPlayEnglishConversation)方式を取り入れた、英会話勉強法に基づき、英語習得に向かうモチベーションを維持して、効率よく英語を習得できる。
【0013】
ここで、ePEC(easyPlayEnglishConversation)とは、脳科学・心理学の応用と視聴覚に訴えるデバイスを使った英会話法であり、プライム効果脳科学・心理学上のプライムからT:ターゲットへ繋げる英会話習得手法である。このプライムとは「最も重要」を意味し、事前の情報が重要である事を意味し、ePECでは、加速的英会話訓練によって、言語を英会話が苦手な人に無意識にプライム、すなわち「事前の情報」を頭に入れる。本発明では、脳を英語化、日本語で考えない脳を作ることを最重要課題とし、プライムを予め頭に入れておくことで、一種の洗脳現象を誘導する。この洗脳状態を誘導することによって 無意識に英会話に入り込める状態を形成する。また、ターゲットとは、プライミング効果において重要なプライムの処理が無意識でなされたその後に認識したい目標であり、プライムに対するターゲットを定めることにより脳内処理を促進させ、記憶力を向上させることが期待できる。従来は、丸暗記で行っていたことがプライミング効果による脳内の情報処理によって記憶力を向上させることができる。
【0014】
詳述すると、プライミング効果は、もともと促進的に与えられる影響に関して使われていたが、抑制的な影響にも使うことができる。最近の研究では、プライミング効果は心理学の面だけでなく、脳波や脳血流にも影響を与えるということがわかっている。プライミング効果は、プライムである刺激の示し方によって、大きく二つに分けることができる。
【0015】
1つ目が、「直接的プライミング」である。これは、同じ刺激を長期間何度も与えることによって、ターゲットの処理を促進させる。「直接的プライミング」では覚えるものであるプライムと、関連のあるものとが一つ一つ結びついて、ネットワークになっており、適正に刺激を与え、情報を関連付けて認識することができれば、記憶力がよりアップされることが期待できる。無理やり丸暗記するよりも情報を関連付けてつなげていくことにより、覚えにくかったものも楽に覚えられるようになり、思い出すものであるターゲットも同様である。
【0016】
2つ目が「間接的プライミング」であり、先行刺激となるプライムがターゲットとはならず、関連性の高い刺激となるプライムを短期間のうちに連続して与えた結果が、ターゲットとなる。意味的に関連の高い「意味的プライミング」や音韻的に関連の高い「音韻プライミング」を用いることで、よりターゲットの認知が促進される。
【0017】
そして、本発明では、上記ePEC方式を取り入れることにより、日本語による脳内処理を英語へと置き換えて、加速度早口英語の繰り返しで洗脳状態を形成することができ、先行するプライマー(英語という苦手なものを早口で繰り返すという事柄)が、後続するターゲット(英会話における発話というさらに苦手な事柄)に好影響を与える状況を、自然体で形成できる。このプライマーにおいて、苦手な事柄を早口で繰り返し継続することによって、抵抗感が払拭され、あたかも洗脳されたかのように無意識にすることができ、その結果、英会話の阻害要因の恐怖心、恥ずかしさ、メンタルブロックを解消することができる。また、プライミング効果によって集中力が増大されるとともに、記憶力(英会話力)が向上され、ターゲットである「発話」を加速させることができる。
【0018】
さらには、英語(英会話)が脳に先行定着していくと、モチベーションが維持されるとともに、プライミング効果で自然に上達させることができ、英語を吸収しやすくなるという心理学を応用した具体的英会話習得方法が提供される。また、本発明では、画面に差し向かってソフトウェアの誘導に従うことで、指導者や相手がいなくとも英会話の訓練が出来る。本発明では、タイム・キーパー機能により、動作を徐々に加速させることができる。例えば、最初は1秒間隔程度とし、最終的は0.3秒を目標とする。
【0019】
また、本発明において、プライマリー情報またはターゲット情報として、発音すべき英会話の英文をカタカナや音楽記号で表記するとともに、そのアクセントやイントネーション、スピード、言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字や記号の大小を変化させるカタカナ発音記号及び音楽発音記号を用いることができる。
【0020】
詳述すると、各国の言語の声域には、それぞれ固有の優生な周波数帯があって、日本語では125hz~1500hz、米語では2000~4000hz、英語では2000~12000hzと言われている。それぞれの言語を使う民族の大脳言語野の細胞は、その固有の周波数帯内の音しか言語として認識せず、それ以下、および以上の周波数の音は聞こえていても脳の聴覚野で言語以外の音として仕分けされて、言語野以外の感覚野に送られてしまうという研究報告がある。そのため、日本語を母国語とする日本人にとって、米英語は聴覚野では認識出来ても言語野では認識出来ない。つまり米英語を音としては聞けても 言語としては認識出来ないから米英語が理解できず、それが、日本人が米英語を話せない原因の一つとも言われている。
【0021】
ここで、米英語が話せたら、すなわち米英語を聞き取る事が可能であれば、逆に米英語が話せたら、米英語が聞き取れることが可能と仮定すると、これを可能にするのが本発明のカタカナ発音記号及び音楽発音記号である。このカタカナ発音記号及び音楽発音記号は、カタカナの大小や音符・給付の種類によって、発音する周波数と音圧、緩急による音色を目で理解せしめ、全体のリズム感が得られるようになっている。子音や音韻はカタカナとf、d、r、lで区別できるように工夫する。
【0022】
英会話では、プロソディ(リズム・アクセント・抑揚)のある発声が重要である。このプロソディ(韻律)とは、リズム(緩急・間・テンポ)、ストレス(強弱・強勢・アクセント)、イントネーション(高低・抑揚)であり、端的に言えば、強高長と弱低短で表すことができる。本発明では、このようなプロセディを、カタカナ発音記号と音楽発音記号で表して、可視化することができる。
【0023】
また特に、本発明では、プライミング効果とカタカナ発音記号によって、聴覚野で音としか認識出来なかった英米語が言葉若しくは楽譜等の言語野或いは視覚情報として認識させることが期待できる。例えば、英米会話初心者が本発明による学習後は、カタカナ発音記号を目で見て発話してみて、英米人の発話の内容が初めて理解可能となり、英米会話への学習意欲を喚起させることができる。また、本発明では、プライム情報及びターゲット情報を表示させるタイミング(インターバル)を加速させれば、プライム情報を見聞きすることで日本語の介在なしに英語脳へ自己洗脳し、後続のターゲットへの栄養源とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る語学学習装置の機能を示すブロック図である。
図2】第2実施形態に係るスマートフォンの構成を示すブロック図である。
図3】第2実施形態においてCPU上に仮想的に構築される機能モジュールを示すブロック図である。
図4】第2実施形態に係る装置の動作を示すフロー図である。
図5】実施形態において表示されるプライマリー又はターゲットの一例を示す説明図である。
図6】実施形態において表示されるプライマリー又はターゲットの一例を示す説明図である。
図7】実施形態において表示されるプライマリー又はターゲットに用いられるカタカナ発音記号の一例を示す説明図である。
図8】実施形態における音声の可視化の仕組みを示す説明図である。
図9】実施形態における音声認識を示す説明図である。
図10】実施形態における評価結果の出力例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下に添付図面を参照して、本発明に係る語学習得装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、本実施形態では、本発明の装置を英語学習に適用した場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば日本人にとっての英語やフランス語、ドイツ語、スペイン語など、すべての外国語に適用することができる。
【0026】
(語学習得装置の構成)
語学習得装置10は、例えば、図5図7に示すようなプライマリー情報やターゲット情報としての文字や絵、写真、カタカナ発音記号、その他発音の特徴(音の長さや無声音、韻律)を音符や休符等で表した音楽記号などを所定のインターバルで提示し、語学を学習する装置である。具体的に語学習得装置10は、機械的・電気的な仕組みによって、種々の機能モジュールが駆動される。この語学習得装置10は、プライマリー実行部112aと、ターゲット実行部112bと、出力制御部112dと、応答検出部112cと、評価部112eとを備えている。なお、学習の際に入力される操作や音声は、マイクや操作ボタン等の入力装置10aを用い、学習に必要な情報は、例えば、DVDプレーヤーで動画や静止画を再生するなどの表示・出力装置10bを用いることができる。この場合、学習者の能力に応じて再生速度を調整できることが好ましい。
【0027】
なお、上述した図5及び図6に示した語学習得画面に表示される問題では、絵に対応させて、図7に示すような発音すべき英会話の英文をカタカナ発音記号で表記する。具体的には、発話に係る音声のアクセントやイントネーション、スピードを文字の大小で表現したカタカナ発音記号、その他発音の特徴(音の長さや無声音、韻律)を音符や休符等で表した音楽発音記号を用いており、発声を視覚的にも脳にインプットすることができ、より効果的なプライミング効果もしくはターゲット効果を期待することができる。
【0028】
プライマリー実行部112aは、予め設定された語彙又は会話要素をプライマリー情報として繰り返し表示又は音声出力するモジュールである。ターゲット実行部112bは、プライマリー情報に関連付けられた語彙又は会話要素をターゲット情報として繰り返し表示又は音声出力するモジュールである。これらのプライマリー実行部112a及びターゲット実行部112bによる表示や出力についてこの表示や出力は、機械的或いは電気的な仕組みを備えた表示・出力装置10bを用いて上述した文字列や絵、写真を提示したり、その説明である英文や日本語文を提示したり、音声を出力することで実現される(図5及び図6)。
【0029】
なお、本実施形態においてプライマリー実行部112a及びターゲット実行部112bは、プライマリー情報またはターゲット情報として、発音すべき英会話の英文をカタカナで表記するカタカナ発音記号を用いるとともに、そのアクセントやイントネーション、スピード、言語の使用周波数帯に基づいて、表記するカタカナ発音記号である文字の大小、或いはその他発音の特徴(音の長さや無声音、韻律)を音符や休符等で表した音楽発音記号を変化させる音声可視化処理を利用している。
【0030】
詳述すると、各国の言語の声域には、それぞれ固有の優生な周波数帯があって、日本語では125hz~1500hz、米語では2000~4000hz、英語では2000~12000hzと言われている。本実施形態では、学習者が日本語を母国語とする日本人であり、学習しようとする言語が英米語であるとき、各英単語の発音をカタカナ及びアルファベット(カタカナで表現しきれない子音及び音韻)の組み合わせなどで表記し、そのカタカナやアルファベットの文字列毎の使用周波数帯を解析し、各周波数帯が母国語の使用周波数帯からどの程度乖離しているに基づいて、カタカナやアルファベットの文字サイズを変化させ、文字サイズ大小によって、周波数と音圧、緩急によって音色、と目で理解せしめ 全体のリズム感が得られるようにする。音韻はカタカナとf、d、r、lで区別できるように工夫している。
【0031】
出力制御部112dは、機械的な仕組み或いは電気掌な仕組みによって、プライマリー実行部112a及びターゲット実行部112bによって表示又は出力される情報を選択し、選択された情報が表示又は出力されるインターバルを制御する機構である。本実施形態において出力制御部112dは、インターバルを加速的に短縮させていく機能を備え、プライマリー効果及びターゲット効果を促進させる。このように、プライム情報及びターゲット情報を表示させるタイミング(インターバル)を加速させることにより、プライム情報を見聞きすることで日本語の介在なしに英語脳へ自己洗脳し、後続のターゲットへの栄養源とすることができる。
【0032】
応答検出部112cは、ターゲット実行部112bによって表示又は出力されたプライマリー情報に対するユーザーの応答を検出するモジュールである。この応答検出部112cによる応答検出は、機械的或いは電気的な仕組みを備えた操作ボタン16bを用いて、ユーザーの動作を機械的な仕組みで検出したり、音声を電気的な仕組みで検出することで実現される。
【0033】
評価部112eは、出力制御部112dによる制御及び前記応答検出部112cによる検出結果に基づいて語学習得の進捗度を評価するモジュールである。本実施形態では、加速度的に速められていくインターバルに追従してどの程度応答できたかを評価する。また、本実施形態にかかる評価部112eは、音声可視化部112fと、評価結果出力部112gとを備えている。なお、この評価部112eは、CPUやマイクロコンピューターなどの記憶・演算処理能力のある電子部品で構成される。
【0034】
音声可視化部112fは、図8及び図9に示すように、プライマリー情報又はターゲット情報に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素を、音声波形D2を用いて解析し、学習者の母国語の文字列(本実施形態ではカタカナ発音記号D3)又は音の長さを表す音楽発音記号D4で可視化して表示するモジュールである。また、音声可視化部112fは、カタカナ発音記号D3や音楽発音記号D4を生成するにあたり、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて表示する。
【0035】
音楽発音記号D4は、発声に関するプロソディ(リズム・アクセント・抑揚)を可視化した記号であり、全音符や二分音符など長い音を表す音譜では、強い声・高い声・長い声を示し、八分音符は弱い声・低い声・短い声を示し、四分音符はこれらの中間を示している。音楽発音記号D4において、休符は、リズム(緩急・間・テンポ)やストレス(強弱・強勢・アクセント)を示している。
【0036】
評価結果出力部112gは、図10(a)に示すようなプライマリー情報又はターゲット情報として表示され出題された外国語の問題について、同図(b)及び(c)に示すように、正解となる発音について可視化されたカタカナ発音記号D31若しくは音楽発音記号D41と、応答検出部112cが検出したユーザーの応答であるユーザーによる発音についての可視化されたカタカナ発音記号D32若しくは音楽発音記号D42とを対比可能に出力するモジュールである。そして、評価部112eは、正解となる発音について可視化されたカタカナ発音記号(文字列)21若しくは音楽発音記号D41と、ユーザーによる発音についての可視化されたカタカナ発音記号(文字列)D22若しくは音楽発音記号D42との一致度を比較してこれらの一致度を語学習得の進捗度として評価する。同図に示した例では、一致した文字数の全体の文字数に対する割合に基づいて、評価が65点となっている。
【0037】
この音声可視化部112fにおける音声認識について詳述すると、音声可視化部112fは、人間が発話した音声を認識して、それをテキストや図形に変換するモジュールであり、人間が発声した音声を、空気の振動である音声波形として解析し、その波形から音の最小構成単位である「音素」を特定し、それを手がかりにしてテキストや楽譜のような文字・記号・図形に変換する。この音素とは意味を区別する音声の最小単位であり各言語によって母音、撥音又は子音に分類される。日本語の場合には、母音が「アイウエオ」、撥音が「ン」であり、これらと組み合わされる子音が23種類あり、例えば「おはよう」を音素に変換すると、「o-h-a-y-o-u」となり、このアルファベット一文字ずつの単位が音素となる。
【0038】
また、音声を認識させるために本実施形態では、音響モデル、パターンマッチ辞書モデル若しくは言語モデル又はこれらの組み合わせを採用しており、これら各モデルの音声認識辞書を事前に作成しておき、入力された音素ごとの音声波形のパターンや振幅・時間長、フーリエ変換したパワーや周波数に基づいて、各音声認識辞書を照合して、文字・記号・図形を特定する。そして、音声可視化部112fは、音声波形の振幅や時間長、及びパワーに基づいて、文字の大きさを変化させたり音符の種類を切替え、周波数により音の高さを確定して音符の位置を変化させる。
【0039】
詳述すると、上記音響モデルは、音声波形に含まれる周波数成分や時間変化の分析を行い音素を判別する手法である。一般的な音響モデルは、数千人、数千時間の音声を統計的に処理したものを基礎として作成され、音声波形から波形を切り出して特徴量を解析し、音響モデルの元となる音素モデルと特徴量との関連付けて集積した音声認識辞書を作成する。この特徴量の解析では、例えば図9に示すように、音声波形をフーリエ変換によって音の周波数と強さ(パワー)との関係で表し、どの周波数にどのくらいの強さの音が含まれているかを特徴量として抽出する。音声解析では、入力された発話の音声を解析し、上記音声認識辞書を参照して音声中の特徴量がどの音素モデルにどれくらい近いかを算出し、最も近い音素モデルを解析結果としてテキスト化する。本実施形態では、特徴量として抽出された各音素の周波数ごとのパワー、及び音声波形の振幅に基づいて、カタカナ表記をする際の文字の大きさ・太さや音符の種類を変化させるとともに、発声期間及び無音期間に応じた楽譜表記の音符の長さ、休符の長さを決定し、また周波数によって音符の位置(楽譜上の音階)を変化させる。
【0040】
上記パターンマッチ辞書モデルは、入力された音声波形を正解データと見比べてその合致度に応じて音素を判別する手法である。正解データはパターンマッチ辞書として事前に用意し、音素が正解データとマッチするかを判断する。パターンマッチ辞書は、音素のノードで表現して共通のものは共通のノードに集約されるような木構造で構成され、音声認識に際して、各音素は入力された音声の前方から順次探索される。
【0041】
また、上記言語モデルは、上述したパターンマッチ辞書で音素を解析するにあたり、文章を構成する単語と単語のつながりとして、前後の単語から次に来る音素を予測して判別する。言語モデルの辞書では、ある単語の状態から、次の単語に移動する際に、どの位その繋がりが起こるのかを確率で表現して定義されており、現在の状態から次の状態に遷移する確率を求めて定義し、音素から単語、単語から文章を予測して、人の音声をテキスト化する
具体的に音声可視化部112fは、図8に示すように、出題用の音声でデータの入力を受付け、その入力された音声中の音声について話者分離及びノイズ処理を行う。次いで、入力された音声を音声波形(音波)データD2に変換し、音声波形D2から音素を特定し、音素の並びを予め登録した辞書とマッチングを行い単語に変換する。その後、変換された単語をつなぎ合わせ文章を作成してカタカナ発音記号D3を生成するとともに、発声のリズムを表現する音楽発音記号D4を生成する。
【0042】
詳述すると、本実施形態では、音声波形を上述した各種モデルに基づく手法を用いてテキスト化する際に、発音すべき英会話の英文をカタカナで表記するとともに、そのアクセントやイントネーション、スピード、言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字の大小を変化させるカタカナ発音記号を用いるとともに、各音素を発声するときのスピードやリズムを音符の長さや休符の長さで表した楽譜表記を用いる。音声可視化部112fは、上述した音声波形の解析に基づいて、カタカナ発音記号では、カタカナの大小で周波数と音圧、緩急によって音色と目で理解せしめ、全体のリズム感が得られるようになっている。子音や音韻、撥音はカタカナとf、d、r、lやtで区別できるように表現され、楽譜表記では、音符や休符で発声の強弱、リズム、区切りなどを表現する。
【0043】
この音声可視化部112fによる音声の可視化は、プライム情報及びターゲット情報を生成する際に、正解となるネイティブによる英語発音に対して実行されるとともに、ユーザーが学習に際して発声した英会話に対しても実行される。
【0044】
(作用・効果)
本実施形態によれば、聴覚野で音としか認識出来なかった英米語が、言葉として言語野として認識させることが期待できる。例えば、英米会話初心者が本発明による学習後は、カタカナ発音記号や楽譜発音記号を目で見て発話してみて、英米人の発話の内容が初めて理解可能となり、英米会話への学習意欲を喚起させることができる。また、本実施形態では、プライム情報及びターゲット情報を表示させるタイミング(インターバル)を加速させれば、プライム情報を見聞きすることで日本語の介在なしに英語脳へ自己洗脳し、後続のターゲットへの栄養源とすることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、英会話で重要なプロソディ(リズム・アクセント・抑揚)をカタカナ発音記号と音楽発音記号で表して可視化することができ、語学習得を効率よく行うことができ、母国語以外の言語である外国語、例えば日本人にとっての英語やフランス語、ドイツ語など、語学を習得するにあたり、脳科学および心理学に基づく効果を応用して、英語習得に向かうモチベーションを維持することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、機構的な仕組みを用いて本発明を実現したが、本実施形態では、スマートフォンやパーソナルコンピューター、モバイルコンピューター、電子ゲーム機等の情報処理装置を用いて本発明を実現する場合を例に説明する。以下に添付図面を参照して、本実施形態係る語学習得装置、語学習得方法及び語学習得プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0047】
本実施形態では、情報処理装置に本発明の語学習得プログラムをインストールし、情報処理装置がスタンドアローンで動作する場合について説明する。なお、以下の各実施形態において「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0048】
(情報端末装置の構成)
図2は、本実施形態に係るスマートフォン1の内部構成を示すブロック図であり、図3は、スマートフォン1のCPU上に構築されるモジュールを示すブロック図である。
【0049】
スマートフォン1は、語学習得サービスの提供を受けるユーザーが使用する情報処理装置であり、通信機能やCPUを備え、各種アプリケーションソフトをインストールすることにより様々な機能が実装可能となっている。本実施形態では、このスマートフォン1に本発明の語学習得プログラムを含むアプリケーションをインストールして、本発明に係る語学習得装置として機能させる。この情報処理端末としては、スマートフォンの他、例えば、パーソナルコンピューター等の汎用コンピューターや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、タブレットPCやモバイルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistance )、携帯電話機が含まれる。
【0050】
(スマートフォン1の構成)
詳しくは、スマートフォン1は、演算処理を行うCPU11と、情報を一時的に記憶するメモリ12と、通信回線やインターネットを介して外部との通信を行う通信インターフェース13と、蓄積部であるストレージ14と、出力インターフェース15と、入力インターフェース16とを有している。なお、本実施形態では、これらの各装置11~16等はCPUバス1aを介して接続されており、相互にデータの受渡しが可能となっている。
【0051】
CPU11は、各部を制御する際に必要な種々の演算処理を行う装置であり、各種プログラムを実行することにより、CPU11上に仮想的に各種モジュールを構築する。本実施形態では、このCPU11で語学習得プログラムを実行することによって、この汎用的なスマートフォン1を、語学習得用の端末として機能させる。
【0052】
通信インターフェース13は、無線通信により無線基地局等と通信を行うモジュールであり、LTE回線、3G・4G回線や、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワーク、その他の公知の装置・通信方式を用いることができる。
【0053】
ストレージ14は、データを記録媒体に蓄積するとともに、これら蓄積されたデータを各デバイスの要求に応じて読み出す装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカード等により構成することができる。
【0054】
また、CPUバス1aには、GPSや無線基地局等の識別子・座標などから自機の現在位置を測定する位置情報取得手段や、現在時刻を計時する時計手段などが接続されている。これらの位置情報取得手段及び時計手段による測定結果は、相互に紐付けられて自機のステータス情報として、メモリ12やストレージ14に蓄積されるとともに、CPU11上で実行されるOSやアプリケーションの要求に応じて受渡される。
【0055】
出力インターフェース15は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスから映像や音声を出力するために映像信号や音声信号を送出するモジュールであり、アプリケーション実行部112で実行されるアプリケーションソフトに関する映像や音声を出力することができる。入力インターフェース16は、タッチパネル16aや物理的な操作ボタン16b等の操作デバイスから操作信号を受信するモジュールであり、受信された操作信号はCPU11に伝えられ、OSや各アプリケーションに対する操作を行うことができる。なお、本実施形態では、これら入力インターフェース16及び出力インターフェース15に接続されたタッチパネル16aでは、入力デバイスであるタッチパネルが、表示デバイスであるディスプレイに重畳されて構成されており、操作用画面の表示データをディスプレイに表示させ、それに応じたタッチ操作やゼスチャー操作がなされることによってユーザー操作信号を取得するGUIが提供される。
【0056】
そして、CPU11上では、OS実行部111によってスマートフォン用に提供されたOS(Operating System)が起動・実行されており、このOSによってスマートフォン1の基本的な機能が制御されている。また、このOS上ではアプリケーション実行部112によって、種々のアプリケーションが実行可能になっており、このアプリケーション実行部112によって、アプリケーションを実行することにより、様々な機能が実行される。
【0057】
詳述すると、OS実行部111は、CPU上でOSプログラムを実行するためのモジュールであり、このOS実行部111でOSプログラムが実行されることによって、スマートフォン1の基本的な機能が管理・制御され、アプリケーション実行部112で構築された各モジュールと、スマートフォン1の各装置・機能との連携を可能としている。アプリケーション実行部112は、CPU上でアプリケーションプログラムを実行するためのモジュールであり、このアプリケーション実行部112でアプリケーションプログラムを実行することによって、種々の機能モジュールがCPU上に仮想的に構築される。
【0058】
プライマリー実行部112aは、予め設定された語彙又は会話要素をプライマリー情報として繰り返し表示又は出力するモジュールである。ターゲット実行部112bは、プライマリー情報に関連付けられた語彙又は会話要素をターゲット情報として繰り返し表示又は出力するモジュールである。本実施形態でも上述した第1実施形態と同様に、プライマリー実行部112a及びターゲット実行部112bは、プライマリー情報またはターゲット情報として、発音すべき英会話の英文をカタカナで表記するとともに、そのアクセントやイントネーション、スピード、言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字の大小を変化させるカタカナ発音記号を用いている。
【0059】
出力制御部112dは、プライマリー実行部112a及びターゲット実行部112bによって表示又は出力される情報を選択し、選択された情報が表示又は出力されるインターバルを制御するモジュールである。本実施形態において出力制御部112dは、インターバルを加速的に短縮させていく機能を備え、プライマリー効果及びターゲット効果を促進させる。応答検出部112cは、ターゲット実行部112bによって表示又は出力されたプライマリー情報に対するユーザーの応答を検出するモジュールである。
【0060】
評価部112eは、出力制御部112dによる制御及び前記応答検出部112cによる検出結果に基づいて語学習得の進捗度を評価するモジュールである。本実施形態では、加速度的に速められていくインターバルに追従してどの程度応答できたかを評価する。また、本実施形態にかかる評価部112eも、上述した第1実施形態と同様に、音声可視化部112fと、評価結果出力部112gとを備えている。
【0061】
音声可視化部112fは、図8及び図9に示すように、プライマリー情報又はターゲット情報に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素を、音声波形D2を用いて解析し、学習者の母国語の文字列(本実施形態ではカタカナ発音記号D3)又は音の長さや高さを表す音楽発音記号D4で可視化して表示するモジュールである。また、音声可視化部112fは、カタカナ発音記号D3や音楽発音記号D4を生成するにあたり、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて表示する。
【0062】
評価結果出力部112gは、図10(a)に示すようなプライマリー情報又はターゲット情報として表示され出題された外国語の問題について、同図(b)及び(c)に示すように、正解となる発音について可視化されたカタカナ発音記号D31若しくは音楽発音記号D41と、応答検出部112cが検出したユーザーの応答であるユーザーによる発音についての可視化されたカタカナ発音記号D32若しくは音楽発音記号D42とを対比可能に出力するモジュールである。そして、評価部112eは、正解となる発音について可視化されたカタカナ発音記号(文字列)21若しくは音楽発音記号D41と、ユーザーによる発音についての可視化されたカタカナ発音記号(文字列)D22若しくは音楽発音記号D42との一致度を比較してこれらの一致度を語学習得の進捗度として評価する。同図に示した例では、一致した文字数の全体の文字数に対する割合に基づいて評価が65点となっている。
【0063】
(語学習得方法)
以上説明した語学習得装置を動作させることによって、本発明の語学習得方法を実施することができる。図3は、語学習得装置の動作を示すフローチャート図である。なお、本実施形態で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0064】
先ず、プライマリーの設定が行われた後(S101),プライマリーが実行される(S102)。このプライマリーの実行では、音声可視化部112fは、図8図10に示すように、プライマリー情報として出題される英文や英単語の意味を表す絵や写真とともに、出題される英文や単語の語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素を、カタカナ発音記号D3及び音楽発音記号D4で可視化して表示する。
【0065】
次いで、プライマリー実行に対するユーザーの応答を検出する(S103)。このプライマリーに対するユーザーの応答については、ユーザーが発音した音声について図8及び図9を用いて説明した解析を行い、ユーザーの音声に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素を、音声波形D2を用いてカタカナ発音記号D3及び音楽発音記号D4で可視化する。このとき、音声可視化部112fは、カタカナ発音記号D3や音楽発音記号D4を生成するにあたり、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて表示する。
【0066】
また、評価結果出力部112gは、図10(a)に示すようなプライマリー情報として表示され出題された英語の問題について、同図(b)及び(c)に示すように、正解となる発音について可視化されたカタカナ発音記号D31若しくは音楽発音記号D41と、ユーザーによる発音についての可視化されたカタカナ発音記号D32若しくは音楽発音記号D42とを対比可能に、応答に対する検出結果として出力する。その後、所定数のプライマリーが実行された後、このプライマリーに関連付けられたターゲットの設定を行う(S104)。このとき、プライマリー結果に対する応答の検出結果を、現時点における語学習得の進捗度として記録する。
【0067】
次いで、設定に従ってターゲットが実行されると(S105)、音声可視化部112fによって、図8図10に示すように、ターゲット情報として出題される英文や英単語の意味を表す絵や写真とともに、出題される英文や単語の語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素を、カタカナ発音記号D3及び音楽発音記号D4で可視化して表示する。音声可視化部112fは、図8図10に示すように、ターゲット情報として出題される英文や英単語の意味を表す絵や写真とともに、出題される英文や単語の語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素を、カタカナ発音記号D3及び音楽発音記号D4で可視化して表示する。
【0068】
次いで、このターゲット実行に対するユーザーの応答が検出される(S106)。このターゲット実行に対するユーザーの応答については、ユーザーが発音した音声について図8及び図9を用いて説明した解析を行い、ユーザーの音声に含まれる語彙又は会話要素を構成する発音テキストデータD1の音素が、音声波形D2を用いてカタカナ発音記号D3及び音楽発音記号D4で可視化される。このとき、音声可視化部112fは、カタカナ発音記号D3や音楽発音記号D4を生成するにあたり、各音素に係るアクセント、イントネーション、スピード及び言語の使用周波数帯に基づいて、表記する文字列の大小、或いは音楽記号の種類又は位置を変化させて表示する。
【0069】
このターゲット実行では、ユーザーの応答に従って、インターバルを短くして処理スピードを加速させていく。そして、一通りのターゲットが実行された後、評価及びその評価結果の出力を行う(S107)。具体的には、評価結果出力部112gは、図10(a)に示すようなターゲット情報として表示され出題された英語の問題について、同図(b)及び(c)に示すように、正解となる発音について可視化されたカタカナ発音記号D31若しくは音楽発音記号D41と、ユーザーによる発音についての可視化されたカタカナ発音記号D32若しくは音楽発音記号D42とを対比可能に、応答に対する評価結果として出力する。その後、アプリケーションが終了されるまで(S108における「N」)、上記ステップS101~S107の処理を繰り返し行う(S107における「Y」)。
【0070】
(語学習得プログラムの構成)
なお、上述した本発明に係る語学習得装置や語学習得方法は、所定の言語で記述された本発明の語学習得プログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明の語学習得プログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する装置を構築して、本発明に係る方法を実施することができる。
【0071】
また、本発明のプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述した装置及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0072】
具体的に本実施形態では、アプリケーション実行部112によって語学習得アプリケーションが実行されることにより、上述したようなプライマリー実行部112a、ターゲット実行部112b、応答検出部112c、出力制御部112d、及び評価部112eが仮想的に構築される。
【0073】
(作用・効果)
以上述べたように、本実施形態によれば、ePEC方式を取り入れた、英会話勉強法に基づき、英語習得に向かうモチベーションを維持するとともに、効率よく英語を習得できる。詳述すると、プライミング効果は、もともと促進的に与えられる影響に関して使われていたが、抑制的な影響にも使うことができる。
【0074】
すなわち、本実施形態では、上記ePEC方式を取り入れることにより、日本語による脳内処理を英語へと置き換えて、加速度早口英語の繰り返しで洗脳状態を形成することができ、先行するプライマー(英語という苦手なものを早口で繰り返すという事柄)が、後続するターゲット(英会話における発話というさらに苦手な事柄)に好影響を与える状況を、自然体で形成できる。このプライマーにおいて、苦手な事柄を早口で繰り返し継続することによって、抵抗感が払拭され、あたかも洗脳されたかのように無意識にすることができ、その結果、英会話の阻害要因の恐怖心、恥ずかしさ、メンタルブロックを解消することができる。また、プライミング効果によって集中力が増大されるとともに、記憶力(英会話力)が向上され、ターゲットである「発話」を加速させることができる。
【0075】
さらには、英語(英会話)が脳に先行定着していくと、モチベーションが維持されるとともに、プライミング効果で自然に上達させることができ、英語を吸収しやすくなるという心理学を応用した具体的英会話習得方法が提供される。また、本発明では、画面に差し向かってソフトウェアの誘導に従うことで、指導者や相手がいなくとも英会話の訓練が出来る。
【0076】
また、本実施形態では、発音すべき英会話の英文を、アルファベットによる子音・音韻表記を含むカタカナ発音記号で表記するとともに、周波数帯に対する学習者の周波数耐性に基づいて、その周波数帯やアクセント、イントネーション、スピードを文字の大小や音楽記号で表現している。また、本実施形態によれば、英会話で重要なプロソディ(リズム・アクセント・抑揚)をカタカナ発音記号と音楽発音記号で表して可視化することができ、語学習得を効率よく行うことができ、母国語以外の言語である外国語、例えば日本人にとっての英語やフランス語、ドイツ語など、語学を習得するにあたり、脳科学および心理学に基づく効果を応用して、英語習得に向かうモチベーションを維持することができる。
【0077】
これにより本実施形態によれば、発声を視覚的にも脳にインプットすることができ、より効果的なプライミング効果もしくはターゲット効果を期待することができる。そして、上述したプライミング効果とカタカナ発音記号による効果が相俟って、聴覚野で音としか認識出来なかった英米語が、言葉として言語野として認識可能となることが期待できる。例えば、英米会話初心者が本発明による学習後は、カタカナ発音記号を目で見て発話してみて、英米人の発話の内容が初めて理解可能となり、英米会話への学習意欲を喚起させることができる。また、本発明では、プライム情報及びターゲット情報を表示させるタイミング(インターバル)を加速させるため、プライム情報を見聞きすることで日本語の介在なしに英語脳へ自己洗脳し、後続のターゲットへの栄養源とすることができる。
【符号の説明】
【0078】
D1…発音テキストデータ
D2…音声波形データ
D3(D31,D32)…カタカナ発音記号
D4(D41,D42)…音楽発音記号
1…スマートフォン(情報処理端末)
1a…CPUバス
9…CPU
10…語学習得装置
11…CPU
12…メモリ
13…通信インターフェース
14…ストレージ
15…出力インターフェース
16…入力インターフェース
16a…タッチパネル
16b…操作ボタン
111…OS実行部
112…アプリケーション実行部
112a…プライマリー実行部
112b…ターゲット実行部
112c…応答検出部
112d…出力制御部
112e…評価部
112f…音声可視化部
112g…評価結果出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10