(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】噴霧ノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B05B 15/658 20180101AFI20220420BHJP
B05B 1/20 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B05B15/658
B05B1/20 101
(21)【出願番号】P 2019232820
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/144072(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/047227(WO,A1)
【文献】実開平02-147250(JP,U)
【文献】特開2018-051427(JP,A)
【文献】特開2015-217379(JP,A)
【文献】特開2018-043215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18
7/00- 9/08
12/16-12/36
14/00-16/80
B05D 1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の通路を噴管(20)の内部通路(20a)に連通させて噴管(20)の外周に装着される取付け部材(2)と、その取付け部材(2)に螺合させるユニオンナット(6)と、後部外周に鍔(5c)を有する鍔付き竹の子ニップル(5)と、一端側にソケット(3a)を備えた筒状のホルダ(3)と、そのホルダ(3)に組み付ける噴霧ノズル(7)と、前記鍔付き竹の子ニップル(5)の内側に挿通する、前記噴管(20)の内部通路(20a)につながる通路孔(4a)とその通路孔(4a)から外周に抜ける連絡孔(4b)を備えた切替えバルブ(4)を有し、
前記ユニオンナット(6)によって前記鍔付き竹の子ニップル(5)と前記取付け部材(2)に回転不可に係合させる前記切替えバルブ(4)が前記取付け部材(2)に接続され、前記ホルダ(3)が前記切替えバルブ(4)の先端側の外周に回転可能に外嵌され、
前記鍔付き竹の子ニップル(5)の先端側が前記ソケット(3a)に圧入されて前記ホルダ(3)が前記取付け部材(2)に接続され、前記切替えバルブ(4)を中心にした前記ホルダ(3)の回転により前記噴管(20)の内部通路(20a)に対する前記噴霧ノズル(7)の接続状態が切替わるように構成さ
れた噴霧ノズルアセンブリであって、
前記鍔付き竹の子ニップル(5)が、胴部の後部外周にその胴部の軸心方向に延びるセレーション(5b)を備え、
前記ホルダ(3)が、周方向に定ピッチで配列された端面視V字状の谷(3d)を一端側の外周に備え、前記ユニオンナット(6)が前記谷(3d)に係合させる爪を内面に形成した係合子(6a)を有し、
前記セレーション(5b)の形成部が前記ソケット(3a)の内面に押しつけられ、前記係合子(6a)が弾性変形することで前記爪が前記谷(3d)から脱出可能となっている噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項2】
前記噴管(20)を通して供給される噴霧液の圧力が設定圧以下のときに閉弁して前記噴管(20)から前記噴霧ノズル(7)に至るまでの通路を閉じる遮断バルブ(9)を前記取付け部材(2)に内蔵した請求項1に記載の噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記ユニオンナット(6)と前記取付け部材(2)との間に、前記ユニオンナット(6)の締め込みで圧縮されて前記ユニオンナット(6)にそれを押し戻す方向の反発力を加える弾性部材(10)を介在した請求項1又は2に記載の噴霧ノズルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、噴霧ノズルユニットを、鍔付き竹の子ニップルを用いて噴管に装着された取付け部材に接続する噴霧ノズルアセンブリ、詳しくは、予め設定した噴霧方向の意図せぬ変動を抑制した噴霧ノズルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧液を供給する噴管の長手途中に噴管の内部通路に連通させた噴霧ノズルユニットのホルダを接続し、そのホルダに組みつけた噴霧ノズルから栽培中の作物などに薬液や水などを噴霧して与える噴霧システムは、農業分野などで利用されている。
【0003】
その噴霧システムの中に、噴管に対する噴霧ノズルユニットのホルダの接続を、接続角の調整ができるように行って噴霧液の噴霧方向を自由に設定できるようにしたものがある。
【0004】
その方式の噴霧システムの一例を
図6に示す。同図の噴霧システムは、噴管20の途中に噴霧ノズルアセンブリ1が接続されている。
【0005】
その噴霧ノズルアセンブリ1は、下記特許文献1の
図1に記載された噴霧ノズルと同様に、噴霧ノズルを組み付けたホルダを回転させて噴霧状況を切り替える。
【0006】
例示の噴霧ノズルアセンブリ1は、噴管20の外周に装着する取付け部材2、ホルダ3、切替えバルブ4、鍔付き竹の子ニップル(特殊形状の竹の子ニップル)5、ユニオンナット6及び噴霧ノズル7を組み合わせたものになっている。
【0007】
ホルダ3は、一端側にソケット3aを、雄ねじを備えた管継手3bを外周に、流体通路3cを軸心部にそれぞれ有する。このホルダ3は、ユニオンナット6に支持された鍔付き竹の子ニップル5をソケット3aに圧入して取付け部材2に接続される。
【0008】
切替えバルブ4は、供給された噴霧液を通す通路孔4aを軸心部に有し、さらに、その通路孔4aから外周に抜ける連絡孔4bを先端側に有する。
【0009】
この切替えバルブ4は、
図6の噴霧ノズルアセンブリ1については、管継手3bに組み付けられた噴霧ノズル7を噴管20の内部通路20aに連通させ、或いは、その連通を断つ。
【0010】
その連通と遮断の切替えは、ホルダ3を、回転不可の切替えバルブ4を中心にして回転させることによってなされる。
【0011】
鍔付き竹の子ニップル5は、取付け部材2が備える管継手2dにユニオンナット6を螺合させ、そのユニオンナット6で支持している。
【0012】
噴霧ノズル7は、ひとつのホルダ3に対して1個又は複数個組み付けられる。その噴霧ノズル7を複数個備えるホルダ3は、管継手3bが周方向に所定の間隔をあけて複数設けられ、その管継手3bの各々に、噴霧形態(噴霧パターン)の異なる噴霧ノズル7がそれぞれ組み付けられる。
【0013】
なお、ひとつのホルダに噴霧ノズルが複数個組み付けられるものは、切替えバルブ4を中心にしたホルダ3の所定角度の回転により、噴管20の内部通路20aに連通する噴霧ノズルの位置が入れ替わる。
【0014】
切替えバルブ4は、鍔付き竹の子ニップル5の内側に液密に挿通され、この切替えバルブ4と鍔付き竹の子ニップル5が、管継手2dに螺合したユニオンナット6によって取付け部材2に固定されている。
【0015】
切替えバルブ4の先端側はホルダ3に挿入されており、ホルダ3を設定角度回転させることで、管継手3bの内部の流体通路3cが連絡孔4bと連通し、或いは、その連絡孔4bから切り離される。
【0016】
ひとつのホルダ3に噴霧ノズル7を複数個組み付けたものは、ホルダ3を回転させることで、噴管20の内部通路20aに連通している噴霧ノズル7と内部通路20aから切り離されている噴霧ノズル7が入れ替わる。その構造は、下記特許文献1の噴霧ノズルに採用されている。
【0017】
なお、噴霧ノズルアセンブリ1は、下記特許文献2に示されるようなもの、即ち、供給される噴霧液の圧力が設定圧以下のときに閉弁して噴管20の内部通路20aから噴霧ノズル7を切り離す遮断バルブを内蔵したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2018-51427号公報
【文献】特開2018-138285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図6の噴霧システムでは、噴霧ノズル7が切替えバルブ4の連絡孔4bにつながる位置でユニオンナット6を締め付けて向きの定まったホルダ3を取付け部材2に固定する。
【0020】
ところが、従来の噴霧システムでは、固定されているべきホルダ3の向きが意図せぬときに変化し、噴霧方向が目的外の方向に変動することがあった。噴霧システムにおける噴霧方向の意図せぬ変動は、栽培中の作物などの健全な育成を妨げる。
【0021】
そこで、発明者は、上記の問題の発生原因を調べた。そして、ホルダの回転を繰り返すことでそのホルダの固定に緩みが生じ、そのためにホルダが自重などによって自然に回転するようになることを究明した。そして、この問題の防止策を種々検討し、ホルダ接続部の形状を工夫することでこの問題を解消できることを見出した。
【0022】
この発明は、工夫された形状のホルダ接続部を備えることで、ホルダの意図せぬ回転による噴霧方向の変動を抑制した噴霧ノズルアセンブリを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するため、この発明においては、内部の通路を噴管の内部通路に連通させて噴管の外周に装着される取付け部材と、その取付け部材に螺合させるユニオンナットと、後部外周に鍔を有する鍔付き竹の子ニップルと、一端側にソケットを備えた筒状のホルダと、そのホルダに組み付ける噴霧ノズルと、前記鍔付き竹の子ニップルの内側に挿通する、前記噴管の内部通路につながる通路孔とその通路孔から外周に抜ける連絡孔を備えた切替えバルブを有し、
前記ユニオンナットによって前記鍔付き竹の子ニップルと前記取付け部材に回転不可に
係合させる前記切替えバルブが前記取付け部材に接続され、
前記ホルダが前記切替えバルブの先端側の外周に回転可能に外嵌され、
前記鍔付き竹の子ニップルの先端側が前記ソケットに圧入されて前記ホルダが前記取付け部材に接続され、前記切替えバルブを中心にした前記ホルダの回転により前記噴管の内部通路に対する前記噴霧ノズルの接続状態が切替わるように構成された噴霧ノズルアセンブリであって、
前記鍔付き竹の子ニップルが、胴部の後部外周にその胴部の軸心方向に延びるセレーションを備え、
前記ホルダが、周方向に定ピッチで配列された端面視V字状の谷を一端側の外周に備え、前記ユニオンナットが前記谷に係合する爪を内面に形成した係合子を有し、
前記セレーションの形成部が前記ソケットの内面に押しつけられ、前記ユニオンナットの前記係合子が弾性変形することで前記爪が前記谷から脱出可能となっている噴霧ノズルアセンブリを提供する。
【0024】
この噴霧ノズルアセンブリは、好ましい形態として、前記噴管を通して供給される噴霧液の圧力が設定圧以下のときに閉弁して前記噴管から前記噴霧ノズルに至る通路を閉じる遮断バルブを前記取付け部材に内蔵したものが考えられる。
【0025】
また、好ましい他の形態として、前記ユニオンナットと前記取付け部材との間に、前記ユニオンナットの締め込みで圧縮されて前記ユニオンナットにそれを押し戻す方向の反発力を加える弾性部材を介在したものが考えられる。
【発明の効果】
【0026】
この発明の噴霧ノズルアセンブリは、鍔付き竹の子ニップルの胴部の外周にその胴部の軸心方向に延びるセレーションを形成しており、そのセレーションの形成部がホルダのソケットの内面に押しつけられることで、ホルダに加わる回転に抵抗が増大する。
【0027】
また、ホルダが一端側の外周に端面視V字状の谷を備え、その谷に前記ユニオンナットに形成した爪を嵌り込ませたことで、ホルダに加わる回転力が前記爪を弾性変形させる力に勝らない限り、前記爪の前記谷に対する係合状態が維持される。
【0028】
この2つの作用により、ホルダの自重などによる回転が阻止され、噴霧ノズルからの噴霧液の噴霧方向が変動せずに維持される。
【0029】
なお、上記において好ましいとした形態の作用効果の説明は、発明を実施するための形態の欄において行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】この発明の噴霧ノズルアセンブリの一形態を示す断面図である。
【
図2】
図5の噴霧ノズルアセンブリを噴管に接続した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の噴霧ノズルアセンブリの鍔付き竹の子ニップルを含む一部の部品を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図1の噴霧ノズルアセンブリの鍔付き竹の子ニップルを含む一部の部品を
図3とは反対側から見て示す分解斜視図である。
【
図5】この発明の噴霧ノズルアセンブリの他の形態を示す断面図である。
【
図6】既存の噴霧ノズルアセンブリの一形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の噴霧ノズルアセンブリの実施の形態を、添付図面の
図1~
図5に基づいて説明する。
【0032】
図1の噴霧ノズルアセンブリ1は、取付け部材2、筒状のホルダ3、切替えバルブ4、鍔付き竹の子ニップル5、ユニオンナット6及び噴霧ノズル7を組み合わせて構成されている。
【0033】
取付け部材2は、ねじ2c(
図5参照)を用いて締結される2つの分割体2a、2bを組み合わせたものであって、噴管20の外周に装着されている。分割体2aは、外周に雄ねじを加工した管継手2dを有している。
【0034】
その管継手2dの内端側は噴管20の周壁に開けた穴に液密に差し込まれており、管継手2dの中心の通路(穴)が噴管20の内部通路20aに通じている。
【0035】
ホルダ3は、ソケット3aを一端側に、雄ねじを有する管継手3bを外周に、噴霧液を通す通路3cを軸心部にそれぞれ有する。また、一端側の外周に、端面視V字状の谷3dを有する。その谷3dは、多数個が周方向に定ピッチで配列されている。
【0036】
例示のホルダ3は、ポリアセタールなどの樹脂で形成されており、鍔付き竹の子ニップル5の胴部の先端側をソケット3aに圧入して取付け部材2に接続される。
【0037】
切替えバルブ4は、通路孔4aを軸心部に有し、さらに、その通路孔4aから外周に抜ける連絡孔4bを先端側に、組み付け方向確認用の目印4cを後端にそれぞれ有する。
【0038】
この切替えバルブ4は、管継手2dの前端に軸方向に入り込んで設けた凹部2eに嵌まり込む凸部4d(これらは
図3を同時参照)を外周に有しており、その凹部2eと凸部4dを互いに係合させることで、切替えバルブ4の回転を取付け部材2で阻止するようにしている。
【0039】
その切替えバルブ4は、鍔付き竹の子ニップル5の内側に液密に挿通されこの切替えバルブ4と鍔付き竹の子ニップル5が、ユニオンナット6によって取付け部材2に接続されている。符号8は、界面シール用のOリングである。
【0040】
鍔付き竹の子ニップル5は、
図3に示すように、胴部の先端側の外周に径方向外向きに突出した逆止部5aを有する。その逆止部5aは、軸方向に位置をずらして複数設けられている。
【0041】
また、胴部の後部側の外周にその胴部の軸心方向に延びるセレーション(鋸歯状の溝)5bを有し、さらに、セレーション5bの形成部位よりも後方にある大径部の後端外周に鍔5cを有する。
【0042】
その鍔5cに胴部に外嵌したユニオンナット6を係合させ、そのユニオンナット6を管継手2dに螺合させて締め付けることで、鍔付き竹の子ニップル5の固定・支持がなされている。
【0043】
図示の鍔付き竹の子ニップル5は、真鍮やステンレス鋼などの金属で形成されている。その鍔付き竹の子ニップル5の胴部は、セレーション5bの形成部位も、ホルダ3のソケット3aに圧入されてソケット3aの穴面に押し付けられるようにその直径が設定されている。
【0044】
ユニオンナット6は、ホルダ3の一端側の外周に形成された端面視V字状の谷3d(
図4参照)に係合させる爪を内面に形成した係合子6a(これも
図4参照)を、ホルダ3の一端側外周を取り巻く部位に有している。係合子6aは、2個が中心対象位置に設けられているが、その数は特に限定されない。
【0045】
その係合子6aは、周方向両側に切り込みを入れて弾性変形による径方向変位が許容されるようになっており、内面の爪が谷3dの斜面に接している状況下でユニオンナット6に所定値を超える回転操作力が加えられると、この係合子6aが弾性変形して内面の爪が谷3dから脱出した谷間の山を乗り越えることができる。
【0046】
噴霧ノズル7は、噴孔を有するノズルチップ7a、そのノズルチップ7aをホルダ3の管継手3bに固定するユニオンナット7b、ホルダ3とノズルチップ7aとの間をシールする筒状のシール部材7c及びフィルタ7dを組み合わせたものを示したが、噴霧形態の異なる噴霧ノズルがいくつか存在し、その中から必要なものが選択して採用される。
【0047】
このように構成された噴霧ノズルアセンブリ1は、
図2に示すように、噴管20の長手途中に装着して使用される。なお、
図2は、後述する
図5の噴霧ノズルアセンブリ1Aを噴管20に装着した画にしている。
【0048】
この噴霧ノズルアセンブリ1は、噴管20の外周に取付け部材2を装着する。また、ユニオンナット6を外部に嵌めた鍔付き竹の子ニップル5をホルダ3のソケット3aに圧入し、その鍔付き竹の子ニップル5の内側に切替えバルブ4を挿通してその切替えバルブ4の先端側をホルダ3に挿入する。
【0049】
そして、鍔付き竹の子ニップル5の胴部に外嵌したユニオンナット6を管継手2dに螺合させて締め付け、噴霧ノズル7が組み付けられているホルダ3を取付け部材2に接続する。
【0050】
その接続が終わった状態では、鍔付き竹の子ニップル5のセレーション5bの形成部がソケット3aの内面に押し付けられて滑りによるホルダ3の回転が起こり難くなっている。
【0051】
また、ユニオンナット6に設けた係合子6aの内面の爪がホルダ3の一端外周の谷3dに係合してこの位置においてもホルダ3の回転に抵抗が加えられている。
【0052】
図1の噴霧ノズルアセンブリ1は、噴霧ノズル7の組み付けられたホルダ3を切替えバルブ4を中心にして回転させ、その回転により、ホルダ3の内部の通路3cを切替えバルブ4の連絡孔4bにつながる位置と連絡孔4bから切り離される位置に移動させる。
【0053】
その動作が繰り返されても、セレーション5bの形成部がソケット3aの内面に押し付けられた箇所と、係合子6aの爪がホルダ3の外周の谷3dに係合した箇所においてもホルダ3の回転に大きな抵抗が加えられていることから、ホルダ3の自重などによる意図せぬ回転が起こり難くなっており、これによって、噴霧方向の変動が抑制される。
【0054】
図5は、供給される噴霧液の圧力が設定圧以下のときに閉弁する遮断バルブ9を、取付け部材2に内蔵させた噴霧ノズルアセンブリの一例である。
【0055】
この噴霧ノズルアセンブリ1Aは、取付け部材2の分割体2aに、外周に雄ねじの形成された管継手2fを追設し、分割体2aの内部に、噴管20の内部通路20aから管継手2fの端面に至る上流側通路2gと、管継手2fの端面から切替えバルブ4の通路孔4aに至る下流側通路2hを設けている。
【0056】
例示の遮断バルブ9は、ダイヤフラムバルブであって、内部の下流側通路2hを上流側通路2gから区画する円筒状の弁部9a、ダイヤフラム9b、弁押さえ9c、ダイヤフラム9bを閉弁方向に付勢するスプリング9d、弁押さえ9cのガイドとスプリング9d及びダイヤフラム9bの保持を行うキャップ9e、そのキャップ9eを保持するユニオンナット9fを組み合わせたものになっている。
【0057】
この遮断バルブ9を備えた噴霧ノズルアセンブリ1Aは、噴霧液の供給が停止されて噴管20の内部通路20a内の圧力が設定圧以下になると遮断バルブ9が閉弁して噴霧ノズル7に至る通路が噴管20の内部通路20aから切り離される。そのために、ホルダ3の内部に残存した噴霧液の噴霧停止中の漏出が防止される。
【0058】
図5の符号10は、支持リング11で保持してユニオンナット6と取付け部材2との間に介在した弾性体である。支持リング11は、ユニオンナット6の係合子6aの設置側とは反対側の外周に外嵌される。
【0059】
この弾性体10は、ユニオンナット6の締め込みで圧縮されてユニオンナット6にそれを押し戻す方向の反発力を加える。これにより、ユニオンナット6の雌ねじが管継手2dの外周の雄ねじに押し付けられ、ユニオンナット6の回転に抵抗が生じてユニオンナット6が緩み難くなる。
【0060】
そのため、ユニオンナット6による回り止めの効果が高まり、ホルダ3の意図せぬ回転がより起こり難くなる。
【0061】
なお、支持リング11で支持した弾性体10は、
図5に示すように、ユニオンナット9fと取付け部材2との間にも設けることができる。
【0062】
また、この発明の噴霧ノズルアセンブリは、ひとつのホルダ3に対して噴霧パターンの異なる噴霧ノズル7が軸方向の位置を揃えて同一円周上に複数個組み付けられ、切替えバルブ4を中心にしたホルダ3の回転で噴射位置(噴管の内部通路に連通する位置)にある噴霧ノズルと噴射位置外にある噴霧ノズルの位置が入れ替わるように構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1A 噴霧ノズルアセンブリ
2 取付け部材
2a、2b 分割体
2c ねじ
2d 管継手
2e 凹部
2f 管継手
2g 上流側通路
2h 下流側通路
3 ホルダ
3a ソケット
3b 管継手
3c 通路
3d 端面視V字状の谷
4 切替えバルブ
4a 通路孔
4b 連絡孔
4c 目印
4d 凸部
5 鍔付き竹の子ニップル
5a 逆止部
5b セレーション
5c 鍔
6 ユニオンナット
6a 係合子
7 噴霧ノズル
7a ノズルチップ
7b ユニオンナット
7c シール部材
7d フィルタ
8 Oリング
9 遮断バルブ
9a 弁部
9b ダイヤフラム
9c 弁押さえ
9d スプリング
9e キャップ
9f ユニオンナット
10 弾性体
11 支持リング
20 噴管
20a 内部通路