(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】土あげ作業機用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20220420BHJP
A01B 13/02 20060101ALI20220420BHJP
A01B 35/16 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
A01B35/04 A
A01B13/02 A
A01B35/16
(21)【出願番号】P 2021208574
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2021-12-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)出願人は、令和3年10月27・28日広島県東広島市で開催された令和3年度アグリサミットにおいて本願発明を公開した。 (2)出願人は、令和3年11月4日及び12月2日、株式会社ヰセキ中四国(広島県東広島市)に、本願発明にかかる商品を販売した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501091925
【氏名又は名称】株式会社小川農具製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅規
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】クボタトラクタ 超幅狭仕様,パンフレット,日本,株式会社クボタ,2022年02月14日,https://agriculture.kubota.co.jp/product/tractor/bullstar-extra/items/bullstar-extra_catalog02.pdf
【文献】クボタトラクタ 超幅狭仕様,パンフレット,日本,株式会社クボタ,2022年02月14日,https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/pdf/bullstar-extra/catalog/2-20-2-0032.pdf
【文献】超!幅狭トラクタで白ネギの土寄せ,新着情報,日本,株式会社東海近畿クボタ,2020年10月17日,http://tokaikinki-kubota.co.jp/news/2020/10/17_112102.html
【文献】トラクタで畝間作業をラクしてみませんか?,おすすめ商品,日本,株式会社みちのくクボタ,2018年06月26日,http://michinoku-kubota.co.jp/2018/06/post-79.html
【文献】白ネギ栽培 土寄せ トラクター 運用試験,YouTube,日本,2021年11月10日,https://www.youtube.com/watch?v=sUBtNReN_us&list=UUWDLagZKWfitOyHdN82UnaA&index=1
【文献】自動操舵トラクタ・幅狭トラクタによるナガイモ作業 YA14【野菜研究所】,YouTube,日本,2020年02月28日,https://www.youtube.com/watch?v=rkI-v88CkKY
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 35/04
A01B 13/02
A01B 35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの車輪で走行する土あげ作業機のロータリの後方のアタッチメント用取付部を介して装着する土あげ作業機用アタッチメントであって、畝の側面を成形する第1成形部と、前記第1成形部の下方に
車輪に掛かる畝裾と走行面を成形する第2成形部と、ロータリの後方に配置されたアタッチメント用取付部に装着する装着部と、を有
し、
前記第2成形部は、走行面に対して略垂直方向に配設された垂直板と、車輪に掛かる走行面に対して平行に配設された底板と、土の入り込みを抑制するため前記垂直板の先端部の側縁に対して斜め後方に向かって固定される補助板と、を有することを特徴とする土あげ作業機用アタッチメント。
【請求項2】
垂直板は、平面方向からみて略への字状に折曲形成された先端部と、畝の側面に対して対向する平坦な中央部と、を有することを特徴とする請求項
1記載の土あげ作業機用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタや耕耘機などの土あげ作業機のロータリの後方に装着して畝の上方に土を被せる土あげ作業を行うと同時に畝の側面、及び、畝裾と走行面を成形する土あげ作業機用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、白ネギや里芋などの作物の生長に応じて畝の上方に土を被せる土あげ作業を行う必要があり、土あげ作業機である歩行型の耕耘機のロータリの周囲に装着して、畝の上方に土を被せる土あげ作業を行いながら畝を成形することが可能な種々の土あげ作業機用アタッチメントが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1において、歩行型の耕耘機のロータリ前方にテーパーナイフを装着することで、畝側面を切削しながら案内面を押し付けられる状態となって、耕耘機を進行方向に安定して直進させることができる土あげ作業機が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、近年の白ネギの栽培において、歩行型の耕耘機の代わりに、畝間を広げて小型トラクタや乗用型の耕耘機を走行可能にすることで畝間の中耕、散水、施肥(液肥)、除草、薬剤散布、及び、土あげなどを行うことで一連の農作業の省力化や高効率化が行われつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-236306号公報(特許第2631811号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した土あげ作業機用アタッチメントを装着した小型トラクタや乗用型の耕耘機など4輪で走行する土あげ作業機に畝間を走行させた場合、畝の側面下方の傾斜面である畝裾に車輪が掛かって運転席が大きく揺れたり、ハンドルがとられたりして安定した走行ができず、畝を壊したり作物を傷つけたりするおそれがあった。
【0007】
したがって、本発明は、畝間を走行可能な小型のトラクタや乗用型の耕耘機などの4つの車輪で走行する土あげ作業機のロータリの後方に装着することができ、ロータリによって畝間の耕した土を畝の上方に被せる土あげ作業を行うと同時に、畝の側面、及び、畝の側面下方の車輪に掛かる畝裾と走行面を成形して土あげ作業機の畝間における安定走行可能な走行路を形成する土あげ作業機用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、4つの車輪で走行する土あげ作業機のロータリの後方のアタッチメント用取付部を介して装着する土あげ作業機用アタッチメントであって、畝の側面を成形する第1成形部と、前記第1成形部の下方に車輪に掛かる畝裾と走行面を成形する第2成形部と、ロータリの後方に配置されたアタッチメント用取付部に装着する装着部と、を有し、
前記第2成形部は、走行面に対して略垂直方向に配設された垂直板と、車輪に掛かる走行面に対して平行に配設された底板と、土の入り込みを抑制するため前記垂直板の先端部の側縁に対して斜め後方に向かって固定される補助板と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、上述した構成に加え、垂直板は、平面方向からみて略への字状に折曲形成された先端部と、畝の側面に対して対向する平坦な中央部と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述した本発明によれば、土あげ作業機のロータリによって耕した土を畝の上方に被せる土あげ作業を行うと同時に、畝の側面、及び、畝裾と走行面を成形して土あげ作業機の畝間における安定走行可能な走行路を形成する土あげ作業機用アタッチメントを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の土あげ作業機用アタッチメントの実施形態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の土あげ作業機用アタッチメントを第1成形部と第2成形部とに分解した斜視図である。
【
図3】
図2の第1成形部を示す(a)平面図、及び、(b)正面図である。
【
図4】
図2の第2成形部を示す(a)平面図、及び、(b)正面図である。
【
図5】
図1の土あげ作業機用アタッチメントをトラクタのロータリの後方に装着した状態を示す側面図である。
【
図6】土あげ作業及び成形作業を同時に行っている状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
本発明の実施形態である土あげ作業機用アタッチメント1の一例について
図1-6に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、
図5に示すように、土あげ作業機用アタッチメント1から見て土あげ作業機である4つの車輪53で走行するトラクタ50側を前方向とし、トラクタ50の幅方向を左右方向とする。
【0013】
土あげ作業機用アタッチメント1は、土あげ作業機であるトラクタ50のロータリ51の後方のアタッチメント用取付部52を介して装着するものであって、ロータリ51で耕した土を畝40、40の側面を成形する第1成形部10と、第1成形部10の下方に畝裾41と走行面42を成形する第2成形部20と、トラクタ50のロータリ51の後方に配置されたアタッチメント用取付部52に装着する装着部30と、を主要部として構成されるものである。
【0014】
第1成形部10は、
図2、3に示すように、ロータリ51の爪で掻き上げた土を畝40、40側に振り分ける爪板11と、畝40の側面を押圧して成形する羽根板12と、爪板11及び羽根板12を支持する支持体13と、第2成形部20の底板22によって平らにならされた走行面42を押し固めるローラ14と、を有する。
【0015】
爪板11は、
図3に示すように、平面方向からみて略への字状に折曲形成された板状体である。
【0016】
羽根板12は、平板の板状体であり、爪板11の側縁に連結部12aを介して固定されている。この連結部12aは、図示しないが、栽培する作物や土の状態によって適する傾斜角度の畝40、40の側面となるように調整自在のヒンジ構造を有するようにしてもよい。
【0017】
支持体13は、第1成形部10の内部に配設された薄板の棒状体であり、爪板11、羽根板12、及び、ローラ14を適切な位置に固定するとともに、後述する取付具32(
図1参照)に挿入する挿入体15を爪板11の上部に位置するように固定する。また、この支持体13は、挿入体15を固定する垂直下方の位置に第2成形部20の差込軸23を差し込みうる差込穴13aを有する。
【0018】
第2成形部20は、
図2、4に示すように、走行面42に対して略垂直方向に配設された垂直板21と、走行面42に対して平行に配設された底板22と、支持体13の差込穴13aに差し込みうる角柱状の差込軸23と、第2成形部20内に土の入り込みを抑制する補助板24と、を有する。
【0019】
垂直板21は、
図4に示すように、横長の板状体であり、爪板11と同じように平面方向からみて略への字状に折曲形成された先端部21aと、畝40、40の側面に対して対向する平坦な中央部21bと、を有するものである。また、この垂直板21は、先端部21aと、中央部21bと、後端部21cとの形状を補強するリブ21dと、を有する。また、垂直板21の後端部21cは、畝40、40側からやや離れるように内向きに折曲形成することで、畝40、40の内部に入り込んで壊さないようにすることが好ましい。
【0020】
底板22は、垂直板21の先端部21aの下方に固定された平板の板状体であり、少なくとも、垂直板21の先端部21aの下方を覆う程度の面積を有する。
【0021】
補助板24は、縦長の長方形の板状体であり、少なくとも垂直板21の縦幅に比べて2倍程度の縦幅を備えたものであり、第2成形部20内に入り込むことを抑制してトラクタ50の車輪53の走行面42を確保するために、垂直板21の先端部21aの側縁に対して斜め後方に向かって固定される。
【0022】
装着部30は、
図1、5に示すように、トラクタ50のロータリ51の後方に配置されたアタッチメント用取付部52に差し込んで固定する取付用フレーム31と、取付用フレーム31に対して任意の位置で固定できる取付具32と、を有し、取付用フレーム31は、アタッチメント用取付部52に差し込んで固定する縦棒部31aと、縦棒部31aの下端からロータリ51の左右方向に対して水平に配設された横棒部31bと、を有する。
【0023】
取付具32は、取付用フレーム31の横棒部31bに対して任意の位置に固定することができる嵌合部32aと、第1成形部10の挿入体15を挿入して固定する筒状の被挿入部32bと、を有する。また、この被挿入部32bは、挿入体15を挿入した状態で係合固定しうるピンなどのロック機構を有する。
【0024】
次に、上述した土あげ作業機用アタッチメント1によって作物の栽培中の畝40、40に対する土あげ作業と同時に行う畝40、40の側面、及び、畝裾41と走行面42の成形について
図6に基づいて説明する。
【0025】
作業者が、
図6に示すように、畝40、40間にトラクタ50を走行させながら、畝40、40間の土をロータリ51で耕しながら、ロータリ51の爪によって掻き上げた土を畝40、40の上方に被せる土あげ作業を行う。
【0026】
この土あげ作業を行うと同時に、第1成形部10によって畝40、40の側面を押し固めて成形するとともに第2成形部20によって畝裾41及び走行面42を成形する。より具体的には、第2成形部20の垂直板21における先端部21aによって土を畝裾41側に振り分けながら、中央部21bによって畝裾41を走行面42に対して垂直面となるように押し固めることで畝裾41の成形を行う。
【0027】
また、この畝裾41の成形と同時に、第2成形部20の底板22によって畝裾41近傍の走行面42を平らにするとともに、後方に配置されたローラ14で押圧することで平坦な走行面42に成形することも行う。なお、この走行面42は、
図6に示すように、少なくともトラクタ50の車輪53と同程度の横幅であり、畝40、40間の中央付近に比べ、低くなるように成形される。
【0028】
したがって、上述した土あげ作業機用アタッチメント1によって、畝40、40間にトラクタ50を走行させながら、畝40の上方に土を被せる土あげ作業を行うと同時に畝40、40の側面の成形、及び、トラクタ50の車輪に掛かる垂直な畝裾41と平坦な走行面42で直角に成形することができ、後に行う中耕、散水、施肥(液肥)、除草、薬剤散布、及び、土あげなどを行うことで一連の農作業においてトラクタ50が畝40、40間を安定して走行することが可能な走行路を形成することが可能である。
【0029】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、爪板11は、少なくとも羽根板12と同程度の縦幅を備えた平板の板状体の突出板を、爪板11の羽根板12を連結していない他方の側縁に対して前方方向に突出するように固定してもよい。また、本実施形態の土あげ作業機用アタッチメント1は、畝立装置の畝成形部である第1成形部10の下方に第2成形部20を着脱自在に装着したものであるが、第1成形部10及び第2成形部20を一体形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 土あげ作業機用アタッチメント、
10 第1成形部、11 爪板、12 羽根板、12a 連結部、13 支持体、13a 差込穴、14 ローラ、15 挿入体、
20 第2成形部、21 垂直板、21a 先端部、21b 中央部、21c 後端部、
21d リブ、22 底板、23 差込軸、24 補助板、
30 装着部、31 取付フレーム、31a 縦棒部、31b 横棒部、32 取付具、32a 嵌合部、32b 被挿入部、
40 畝、41 畝裾、42 走行面、
50 トラクタ、51 ロータリ、52 アタッチメント用取付部、53 車輪。
【要約】
【課題】土あげ作業機のロータリの後方に装着することができ、畝上方に土を被せる土あげ作業を行うと同時に畝の側面、及び、畝裾と走行面を成形して畝間における土あげ作業機の安定走行可能な走行路を形成する土あげ作業機用アタッチメントを提供する。
【解決手段】土あげ作業機用アタッチメント1は、畝40の側面を成形する第1成形部10と、第1成形部10の下方に装着して畝裾41と走行面42を成形する第2成形部20と、トラクタ50のロータリ51の後方に配置されたアタッチメント用取付部52に装着する装着部30と、を有する。
【選択図】
図1