(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】コヒーレントLIDARのスキャニングを最適化するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 26/12 20060101AFI20220420BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20220420BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20220420BHJP
【FI】
G02B26/12
G01S7/481 A
G01S17/931
(21)【出願番号】P 2021517840
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 US2019054146
(87)【国際公開番号】W WO2020072547
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-19
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519174791
【氏名又は名称】ブラックモア センサーズ アンド アナリティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】クラウチ,ステファン シー.
(72)【発明者】
【氏名】アンガス,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ミルビッチ,ミシェル
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-170637(JP,A)
【文献】特開2006-178010(JP,A)
【文献】特開平06-102462(JP,A)
【文献】国際公開第2012/117542(WO,A1)
【文献】米国特許第5198919(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/481
G01S 17/931
G02B 26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、前記モーターに結合された第1スキャナと、前記モーターに結合された第2スキャナとを備え、
前記モーターは、第3平面内で前記第1スキャナに入射し、レーザーソースによって生成された第1ビームを前記第3平面とは異なる第1平面に偏向させるために回転軸を中心に第1角速度で前記第1スキャナを回転させるように構成され、
前記モーターは、前記第3平面内で前記第2スキャナに入射する第2ビームを前記第3平面とは異なる第2平面に偏向させるために前記回転軸を中心に前記第1角速度とは異なる第2角速度で前記第2スキャナを回転させるように構成される、
LIDAR装置。
【請求項2】
前記第1スキャナは、第1ポリゴンスキャナであり、前記第2スキャナは、第2ポリゴンスキャナである請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項3】
前記第1スキャナは、前記第1平面内の第1角度から前記第1平面内の前記第1角度に対して60度以下の前記第1平面内の第2角度に前記第1ビームを偏向させるように構成され、
前記第2スキャナは、前記第2平面内の第1角度から前記第2平面内の前記第1角度に対して60度以下の前記第2平面内の第2角度に前記第2ビームを偏向させるように構成される請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項4】
前記第1スキャナは、前記第2スキャナとは異なる方向に回転するように構成される請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項5】
前記第1スキャナは、第1領域をスキャンするように構成され、前記第2スキャナは、第2領域をスキャンするように構成され、前記第1領域は、前記第3平面について相対的に前記第2領域の下にある請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項6】
前記第1ビームの方向を前記第1スキャナから前記第2スキャナに調整するように構成された第3スキャナをさらに含む請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項7】
前記モーターは、駆動シャフトと遊星ベアリングを含み、前記駆動シャフトと前記遊星ベアリングは、前記駆動シャフトと前記遊星ベアリングを収容する前記第1スキャナのリセス(Recess)を介して前記第1スキャナに取り付けられ、前記
LIDAR装置は、
複数の遊星変速ギア(Planetary Transmission Gear)と、
駆動太陽ギア(Driver Sun Gear)と、
リングギア(Ring Gear)と、をさらに含み、
前記複数の遊星変速ギアおよび前記駆動太陽ギアは、前記リングギア内に位置し、前記第2スキャナは、前記複数の遊星変速ギアおよび前記駆動太陽ギアによって前記第1スキャナに取り付けられ、前記複数の遊星変速ギア、前記駆動太陽ギアまたは前記リングギアのうち、少なくとも1つの、1つ以上のパラメータは、前記第2スキャナの回転速度の大きさについての前記第1スキャナの回転速度の大きさの比を1よりも大きく設定するように選択される請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項8】
前記第1スキャナは、第1期間の間、前記第1ビームをスキャンするように構成され、前記第2スキャナは、前記第1期間後に第2期間の間、前記第2ビームをスキャンするように構成される請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項9】
前記第1角速度の回転速度は、1000rpm(revolution per minute)ないし5000rpmの範囲内におり、前記第2角速度の回転速度は、200rpmないし1000rpmの範囲内にある請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項10】
前記モーターは、前記第1スキャナを回転させるように構成された第1モーターおよび前記第2スキャナを回転させるように構成された第2モーターを含む請求項1に記載の
LIDAR装置。
【請求項11】
前記
LIDAR装置は、自律走行車に取り付けられ、前記
LIDAR装置は、前記第1ビームまたは前記第2ビームのうち、少なくとも1つに対応する少なくとも1つのリターンビームを受信し、前記少なくとも1つのリターンビームに対応する信号を車両コントローラに提供するように構成された導波管(Waveguide)をさらに含み、
前記車両コントローラは、前記少なくとも1つのリターンビームに対応する前記信号に応答し、前記自律走行車の方向または速度のうち、少なくとも1つを制御するように構成される請求項1の記載の
LIDAR装置。
【請求項12】
レーザーソースと、
前記レーザーソースから第1ビームを受信し、先端(Tip)で前記第1ビームを放出するように構成された少なくとも1つの導波管と、
前記第1ビームをそれぞれの個別の少なくとも1つの導波管から第3平面にコリメート(Collimate)するように構成された少なくとも1つのコリメータ(Collimator)と、モーターと、
前記モーターに結合された第1スキャナと、
前記モーターに結合された第2スキャナと、
を備え、
前記モーターは、前記第1ビームに対応する第2ビームを前記第3平面とは異なる第1平面に偏向させるために前記第1スキャナを回転させるように構成され
ると、
前記モーターは、前記第1ビームに対応する第3ビームを前記第3平面とは異なる第2平面に偏向させるために前記第2スキャナを回転させるように構成される、
LIDARシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導波管は、第1導波管および第2導波管を含み、
前記少なくとも1つのコリメータは、前記第1スキャナに入射するように前記第1導波管から前記第1ビームをコリメートするように構成された第1コリメータおよび前記第2スキャナに入射するように前記第2導波管から前記第1ビームをコリメートするように構成された第2コリメータを含む請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項14】
前記第1スキャナは、前記第1平面内の第1角度から前記第1平面内の前記第1角度に対して60度以下の前記第1平面内の第2角度に前記第2ビームを偏向させるように構成され、
前記第2スキャナは、前記第2平面内の第1角度から前記第2平面内の前記第1角度に対して60度以下の前記第2平面内の第2角度に前記第3ビームを偏向させるように構成される請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項15】
前記第1スキャナは、前記第2スキャナとは異なる方向に回転するように構成される請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項16】
前記第1ビームの方向を前記第1スキャナから前記第2スキャナに調整するように構成された第3スキャナをさらに含む請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項17】
前記モーターは、駆動シャフトと遊星ベアリングを含み、前記駆動シャフトと前記遊星ベアリングは、前記駆動シャフトと前記遊星ベアリングを収容する前記第1スキャナのリセス(Recess)を介して前記第1スキャナに取り付けられ、前記
LIDARシステムは、
複数の遊星変速ギア(Planetary Transmission Gear)と、
駆動太陽ギア(Driver Sun Gear)と、
リングギア(Ring Gear)と、をさらに含み、
前記複数の遊星変速ギアおよび前記駆動太陽ギアは、前記リングギア内に位置し、前記第2スキャナは、前記複数の遊星変速ギアおよび前記駆動太陽ギアによって前記第1スキャナに取り付けられ、前記複数の遊星変速ギア、前記駆動太陽ギアまたは前記リングギアのうち、少なくとも1つの、1つ以上のパラメータは、前記第2スキャナの回転速度の大きさについての前記第1スキャナの回転速度の大きさの比を1よりも大きく設定するように選択される請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項18】
前記第1スキャナは、第1期間の間、前記第2ビームをスキャンするように構成され、前記第2スキャナは、前記第1期間後に第2期間の間、第2平面内で前記第3ビームをスキャンするように構成される請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項19】
前記第1スキャナの回転速度は、1000rpm(revolution per minute)ないし5000rpmの範囲内にあり、前記第2スキャナの回転速度は、200rpmないし1000rpmの範囲内にある請求項12に記載の
LIDARシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの導波管は、前記第2ビームまたは前記第3ビームのうち、少なくとも1つに対応する少なくとも1つのリターンビームを受信し、前記少なくとも1つのリターンビームに対応する信号を車両コントローラに提供するようにさらに構成され、
前記車両コントローラは、前記少なくとも1つのリターンビームに対応する信号に応答して前記車両の速度または方向のうち、少なくとも1つを制御する請求項12に記載の
LIDARシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、全開示の内容が本明細書に参照として含まれる2018年10月2日に出願した米国臨時出願番号第62/739、915号についての優先権およびその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
光学検出および距離測定(Light Detection and Ranging)のための多くの場合ニーモニック(Mnemonic)のLIDARと呼ばれ、時々レーザーレーダー(Radio-Wave Detection and Ranging)とも呼ばれるレーザーを用いた光学距離検出は、高度測定から、イメージング、衝突回避に至るまで様々な応用のために使用される。LIDARは、RADARのような従来のマイクロ波距離測定システム(Microwave Ranging System)よりも小さいビームサイズでより微細な距離解像度(Range Resolution)を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
少なくとも1つの態様は、装置に関するものである。装置は、モーター、第1スキャナおよび第2スキャナを含む。第1スキャナは、モーターに結合され、モーターは、第3平面内で第1スキャナに入射する第1ビームを第3平面とは異なる第1平面に偏向させるために回転軸を中心に第1角速度で第1スキャナを回転させるように構成される。第2スキャナは、モーターに結合され、モーターは、第3平面内で第2スキャナに入射する第2ビームを第3平面とは異なる第2平面に偏向させるために回転軸を中心に第1角速度とは異なる第2角速度で第2スキャナを回転させるように構成される。
【0004】
一部の実施例において、第1スキャナは、第1ポリゴンスキャナ(Polygon Scanner)であり、第2スキャナは、第2ポリゴンスキャナである。
【0005】
一部の実施例において、第1スキャナは、第1平面内の第1角度から第1平面内の第1角度に対して60度以下の第1平面内の第2角度に第1ビームを偏向させるように構成される。第2スキャナは、第2平面内の第1角度から第2平面内の第1角度に対して60度以下の第2平面内の第2角度に第2ビームを偏向させるように構成され得る。
【0006】
一部の実施例において、第1スキャナは、第2スキャナとは異なる方向に回転するように構成される。
【0007】
一部の実施例において、第1スキャナは、第1領域をスキャンするように構成され、第2スキャナは、第2領域をスキャンするように構成される。第1領域は、第3平面に対して相対的に第2領域の下にあり得る。
【0008】
一部の実施例において、装置は、第1ビームの方向を第1スキャナから第2スキャナに調整するように構成された第3スキャナを含む。
【0009】
一部の実施例において、モーターは、駆動シャフトと遊星ベアリングを収容する第1スキャナのリセス(Recess)を介して第1スキャナに取り付けられる駆動シャフトと遊星ベアリングを含む。装置は、複数の遊星変速ギア(Planetary Transmission Gear)、駆動太陽ギア(Driver Sun Gear)およびリングギア(Ring Gear)を含み得る。複数の遊星変速ギアおよび駆動太陽ギアは、リングギア内に位置する。第2スキャナは、複数の遊星変速ギアおよび駆動太陽ギアによって第1スキャナに取り付けられる。複数の遊星変速ギア、駆動太陽ギアまたはリングギアのうち、少なくとも1つの、1つ以上のパラメータは、第2スキャナの回転速度の大きさについての第1スキャナの回転速度の大きさの比を1よりも大きく設定するように選択され得る。
【0010】
一部の実施例において、第1スキャナは、第1期間の間に第1ビームをスキャンするように構成され、第2スキャナは、第1期間の後に第2期間の間、第2ビームをスキャンするように構成される。
一部の実施例において、第1角速度の回転速度は、約1000rpm(revolution per minute:回転毎分)ないし約5000rpmの範囲内におり、第2角速度の回転速度は、約200rpmないし約1000rpmの範囲内にある。
【0011】
一部の実施例において、モーターは、第1スキャナを回転させるように構成された第1モーターおよび第2スキャナを回転させるように構成された第2モーターを含む。
【0012】
一部の実施例において、装置は、自律走行車に取り付けられる。装置は、第1ビームまたは第2ビームのうち、少なくとも1つに対応する少なくとも1つのリターンビームを受信し、少なくとも1つのリターンビームに対応する信号を車両コントローラに提供するように構成された導波管(Waveguide)を含み得る。車両コントローラは、少なくとも1つのリターンビームに対応する信号に応答し、車両の方向または速度のうち、少なくとも1つを制御するように構成され得る。
【0013】
一部の実施例において、装置は、レーザーソース、少なくとも1つの導波管および少なくとも1つのコリメータ(Collimator)を含む。少なくとも1つの導波管は、レーザーソースから第3ビームを受信し、少なくとも1つの導波管の先端(Tip)からビームを放出するように構成され得る。少なくとも1つのコリメータは、第3ビームをそれぞれの個別の少なくとも1つの導波管から第3平面にコリメート(Collimate)するように構成され得る。一部の実施例において、少なくとも1つの導波管は、第1導波管および第2導波管を含む。少なくとも1つのコリメータは、第1スキャナに入射するように第1導波管から第3ビームをコリメートするように構成された第1コリメータおよび前記第2スキャナに入射するように第2導波管から第3ビームをコリメートするように構成された第2コリメータを含み得る。
【0014】
一部の実施例において、装置は、距離に対する累積時間(Integration Time)、速度精度、サンプリングレートまたは異なる角度をサンプリングするパターンの間のトレードオフ(Tradeoff)に基づいて車両周囲の環境検出を改善するためにモーターを用いて第1スキャナおよび第2スキャナの回転を制御するように構成される1つ以上のプロセッサを含む。
【0015】
一部の実施例において、装置は、第1スキャナが第1スキャン領域をスキャンするようにし、第2スキャナが第1スキャン領域と重畳する第2スキャン領域をスキャンするように構成される1つ以上のプロセッサを含む。
【0016】
少なくとも1つの態様は、システムに関するものである。システムは、レーザーソース、少なくとも1つの導波管、少なくとも1つのコリメータ、モーター、第1スキャナおよび第2スキャナを含む。少なくとも1つの導波管は、レーザーソースから第3ビームを受信し、少なくとも1つの導波管の先端から第3ビームを放出するように構成される。少なくとも1つのコリメータは、第3ビームをそれぞれの個別の少なくとも1つの導波管から第3平面にコリメートするように構成される。第1スキャナは、モーターに結合され、モーターは、第3ビームに対応する第1ビームを第3平面とは異なる第1平面に偏向させるために第1スキャナを回転させるように構成される。第2スキャナは、モーターに結合され、モーターは、第3ビームに対応する第2ビームを第3平面とは異なる第2平面に偏向させるために第2スキャナを回転させるように構成される。
【0017】
当該の技術分野の通常の技術者は、本発明の内容が単に例示的であり、いかなる方式でも限定するものと意図されないことを理解するであろう。本明細書に説明された任意の特徴は、任意の他の特徴とともに使用でき、これらの特徴の任意の部分集合は、様々な実施例によって組み合わせて使用できる。請求項によってのみ定義される本明細書に説明された装置および/または方法の他の態様、発明的特徴および利点は、本明細書に説明されて添付された図面とともに取られる詳細な説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付図面において、実施例は、制限的な方式ではなく、例示的な方式で説明され、類似の参照番号については、類似の要素を指す。
【
図1a】一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)の例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフであり、
【
図1b】一実施例によって基準信号の例示的なスペクトルとドップラーシフトされたリターンされた信号(Doppler Shifted Return Signal)の例示的なスペクトルを示す概略的なグラフであり、
【
図1c】一実施例によってドップラーシフトされたリターンされた信号の位相成分の例示的な交差-スペクトル(Cross-Spectrum)を示す概略的なグラフであり、
【
図1d】一実施例によって例示的な光チャープ(Optical Chirp)距離測定を示す一連のグラフであり、
【
図1e】対称LO信号を使用するグラフであって、一実施例によってドップラーシフトがないとき、リターンされた信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示し、
【
図1f】対称LO信号を使用する
図1eと同様のグラフであって、一実施例によって非ゼロドップラーシフトがあるとき、リターンされた信号を周波数時間プロットで破線として示し、
【
図2a】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図であり、
【
図2b】一部の実施例で使用される高解像度ドップラーシステムのための鋸歯(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図であり、
【
図2c】一実施例によって高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウド(Speed Point Cloud)を示すイメージであり、
【
図2d】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントを示すブロック図であり、
【
図2e】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントの側面図を示すブロック図であり、
【
図2f】一実施例によって
図2eの高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントの上面図を示すブロック図であり、
【
図2g】一実施例によって高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントの側面図を示すブロック図であり、
【
図2h】一実施例によって
図2gの高解像度(Hi-res)LIDARシステムの例示的なコンポーネントの上面を示すブロック図であり、
【
図2i】一実施例によって
図2eのシステムのスキャニング光学器機の分解図を示す概略図であり、
【
図2j】一実施例によって
図2eのシステムの多数のスキャン領域でスキャンされた多数のビームの側面図を示す概略図であり、
【
図2k】線2K-2Kに沿って取られた
図2jの多数のスキャン領域の断面図を示す概略図であり、
【
図3a】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図であり、
【
図3b】一実施例によって車両に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステムを含む例示的なシステムを示すブロック図であり、
【
図4a】一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムで送信された信号に対する例示的な信号対雑音比(SNR)対ターゲット距離を示すグラフであり、
【
図4b】一実施例によってファーフィールド(Far Field)で
図4aのSNR曲線の形状をもたらす1/r2乗損失を示す曲線の一例を示すグラフであり、
【
図4c】一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムで送信された信号に対するコリメートされたビーム直径対距離の一例を示すグラフであり、
【
図4d】一実施例によってスキャニングなしの
図2dのシステムで送信された信号に対する収集効率に関連するSNR対距離の一例を示すグラフであり、
【
図4e】一実施例によって
図2dのシステムで様々なターゲット距離およびスキャン速度に対するビーム離脱(Workoff)の一例を示すイメージであり、
【
図4f】一実施例によって
図2dのシステムで様々なスキャンレート(Scan Rate)に対するカップリング効率対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4g】一実施例によって
図2dのシステムで様々なスキャンレートに対するSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4h】一実施例によって
図2dのシステムで様々な累積時間(Integration Time)に対するSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図4i】一実施例によって
図2dのシステムで測定速度(Measurement Rate)対ターゲット距離の一例を示すグラフであり、
【
図5】一実施例によって自律走行車でLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法を示すフローチャートであり、
【
図6】一実施例によって自律走行車でLIDARシステムを作動させるための例示的な方法を示すフローチャートであり、
【
図7】本発明の一実施例が具現できるコンピュータシステムを示すブロック図であり、
【
図8】本発明の一実施例が具現できるチップセット(Chip Set)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
車両の作動を支援するためのLIDARのスキャニングについての方法、装置、システムおよびコンピュータ読み取り可能な媒体が説明される。一部の実施例は、以下で個人用自動車における単一前面装着(Single Front Mounted)高解像度ドップラーLIDARシステムと連携して説明される。しかし、実施例は、このような状況に制限されない。他の実施例において、重畳するか、または重畳しない視野を有し、ドップラーコンポネントの有無にかかわらず、同じタイプまたは他の高解像度LIDARの1つまたは多数のシステムまたはパイロットされるか、または自律的なより小さいか、大きい地上、海上、空中または宇宙運送手段に取り付けられた1つ以上のこれらのシステムが使用される。
【0020】
距離精度とターゲットの速度精度を提供するサンプリングおよび処理は、累積時間(Integration Time)と呼ばれる時間間隔で様々な持続時間を有する1つ以上のレーザー信号の累積(Integration)を伴う。タイムリーな方式で場面をカバーすることは、車両が車両前方の空間内に(多くの場合、約1ないし数秒の特定時間内に移動される約1ないし数十メートルの距離に)進みすぎる前に車両周囲の環境を理解するために自律走行車の周囲に様々な角度をサンプリングするのに十分な、(多くの場合、1ないし数十マイクロ秒の間、1つ以上の信号を含む)十分に正確な測定(多くの場合、約数千回)を繰り返すことを伴う。特定時間(多くの場合、サイクルまたはサンプリング時間という)内にカバーできる異なる角度の数は、サンプリングレートによる。車両周囲の環境検出を改善するために、1つ以上のスキャナが距離に対する累積時間、速度精度、サンプリングレートまたは異なる角度をサンプリングするパターンのうち、少なくとも1つを含むパラメータに基づいて回転されるように制御されることができる。特に、車両がその環境を通じて移動することによって自律走行車の近くの環境を効率的に判断するために、1つ以上のLIDARビームを用いて距離に対する累積時間と、速度精度、サンプリングレートおよび異なる角度をサンプリングするパターンの間にトレードオフ(Tradeoff)が行われ得る。光学距離検出は、オブジェクト(Object)についての光パルスの往復移動時間(Round Trip Travel Time)に基づく直接距離測定と、送信されたチャープ(Chirped)光信号とオブジェクトから散乱したリターンされた信号との間の周波数差に基づくチャープ検出と、自然信号から区別できる単一周波数位相変化のシーケンスに基づく位相エンコーディング検出を含むいくつかの他の技術で達成され得る。
【0021】
方法は、レーザーソースおよび導波管(Waveguide)を含むLIDARシステムを用いて導波管の先端(Tip)から放出されるビームを生成するステップを含み得る。また、方法は、コリメータを用いてLIDARシステムの第1ポリゴンスキャナ(Polygon Scanner)および第2ポリゴンスキャナのうち、1つ上の第3平面に入射するビームを作るステップを含む。また、方法は、第1ポリゴンスキャナを用いて第1ポリゴンスキャナの回転軸を中心とした第1角速度における回転に基づいて第3平面とは異なる第1平面内でビームの方向を第1平面で第1角度から第2角度に調整するステップを含む。また、方法は、導波管の先端で第1距離に位置したターゲットの第1スキャン領域を含むように第1平面内のビームの調整に基づいて複数の第1リターンビームを受信するステップを含む。また、方法は、第2ポリゴンスキャナを用いて第1角速度とは異なる第2角速度への回転軸を中心とした第2ポリゴンスキャナの回転に基づいて第3平面とは異なる第2平面内でビームの方向を第2平面内で第1角度から第2角度に調整するステップを含む。また、方法は、第1距離とは異なる第2距離に位置したターゲットの第2スキャン領域を含むように、第2平面内のビームの調整に基づいて複数の第2リターンビームを導波管の先端で受信するステップを含む。
【0022】
方法は、プロセッサにおいて、ターゲットの距離の値に基づいてターゲットによって反射し、LIDARシステムによって検出された信号の第1信号対雑音比(SNR)値を示す第1データを受信するステップを含み得、第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレート(Scan Rate)のそれぞれの値についてのものである。また、第1データは、ターゲットの距離の値に基づく信号の第2信号対雑音比(SNR)値を示し、第2SNR値は、LIDARシステムの累積時間のそれぞれの値についてのものである。また、第1データは、スキャンパターンの角度範囲を定義する第1角度および第2角度を示す。また、方法は、プロセッサにおいて、第1スキャン領域に対する角度範囲内のそれぞれの角度におけるターゲットの第1最大設計距離および第1スキャン領域とは異なる第2スキャン領域に対する角度範囲内のそれぞれの角度でターゲットの第2最大設計距離を示す第2データを受信するステップを含む。また、方法は、第1スキャン領域の角度範囲内のそれぞれの角度について、プロセッサにおいて、第1最大設計距離に基づく第1SNR値が最小SNRしきい値よりも大きいスキャンレートのうち、最大値に基づいてLIDARシステムの第1最大スキャンレートを決定するステップを含む。また、方法は、第2スキャン領域の角度範囲内のそれぞれの角度について、プロセッサにおいて、第2最大設計距離に基づく第1SNR値が最小SNRしきい値よりも大きいスキャンレートのうち、最大値に基づいてLIDARシステムの第2最大スキャンレートを決定するステップを含む。また、方法は、第1スキャン領域の角度範囲内のそれぞれの角度について、プロセッサにおいて、第1最大設計距離に基づく第2SNR値が最小SNRしきい値よりも大きい累積時間のうち、最小値に基づいてLIDARシステムの第1最小累積時間を決定するステップを含む。また、方法は、第2スキャン領域の角度範囲内のそれぞれの角度について、プロセッサにおいて、第2最大設計距離に基づく第2SNR値が最小SNRしきい値よりも大きい累積時間のうち、最小値に基づいてLIDARシステムの第2最小累積時間を決定するステップを含む。また、方法は、プロセッサを用いて第1スキャン領域の角度範囲内のそれぞれの角度における第1最大スキャンレートと第1最小累積時間に基づいてLIDARシステムの第1スキャン領域についてのスキャンパターンを定義するステップを含む。また、方法は、プロセッサを用いて第1スキャン領域の角度範囲内のそれぞれの角度における第2最大スキャンレートと第2最小累積時間に基づいてLIDARシステムの第2スキャン領域についてのスキャンパターンを定義するステップを含む。また、方法は、第1スキャン領域および第2スキャン領域についてのスキャンパターンに基づいてLIDARシステムを作動させるステップを含む。
1.位相エンコーディング(Phase-Encoded)検出概要
【0023】
距離測定のための光位相エンコーディング信号を用いると、送信された信号は、送信された信号の一部についての搬送波(Carrier)と同相(In Phase)であり(位相=0)、次に、短い時間間隔の間にシンボルΔφによって表される1つ以上の位相変化だけ変動し(したがって、位相=Δφ)送信された信号について繰り返しに2以上の位相値の間で前後にスイッチングする。一定の位相の最も短い間隔は、パルス持続時間τと呼ばれるエンコーディングのパラメータであり、通常、帯域で最も低い周波数の多数の周期の持続時間である。逆(1/τ)は、ボーレート(Baud Rate)であり、それぞれのボーは、シンボルを示す。送信された信号の時間中のこのような一定の位相パルスの数(N)は、シンボルの数(N)であり、エンコーディングの長さを示す。2進(Binary)エンコーディングにおいて、2つの位相値が存在し、最も短い間隔の位相が1つの値について0とみなされ得、他の1つの値は、1とみなされ得るため、シンボルは、1ビット(Bit)であり、ボーレートもビットレート(Bit Rate)と呼ばれる。多重(Multiple)位相エンコーディングの場合、多数の位相値が存在する。例えば、Δφ*{0、1、2および3}のような4つの位相値は、Δφ=π/2(90度)に対して{0、π/2、πおよび3π/2}とそれぞれ同じであり、したがって、4つの位相値は、それぞれ0、1、2、3を示し得る。この例において、それぞれのシンボルは、2ビットであり、ビットレートは、ボーレートの2倍である。
【0024】
位相シフトキーイング(Phase-Shift Keying、PSK)は、基準信号(搬送波)の位相を変更(変調)させることによって、データを伝達するデジタル変調方式を意味する。変調は、正確な時間にサイン入力とコサイン入力を変化させることによって刻印される。無線周波数(RF)において、PSKは、無線近距離通信網(LAN)、無線周波数認識(RFID)およびブルートゥース(登録商標)通信のために手広く使用される。代替的に、一定の基準波(Reference Wave)に対して動作する代わりに、送信は、それ自体に対して動作し得る。単一の送信された波形の位相変化は、シンボルとみなされ得る。前記システムにおいて、復調器は、(基準波に対する)、位相その自体ではなく、受信信号の位相変化を決定する。前記方式が連続する位相の間の差に依存するため、これは、差動位相シフトキーイング(Differential Phase-Shift Keying、DPSK)と称される。復調器が受信信号の正確な位相を決定するために基準信号のコピーを有する必要がないため、DPSKは、通信アプリケーションで通常のPSKよりも確実かつ簡単に具現できる(したがって、これは、非コヒーレント(Non-Coherent)方式である)。
【0025】
収容可能な距離精度および検出感度を実現するため、直接長距離(Direct Long Range)LIDARシステムは、低いパルス反復率および非常に高いパルスピークパワーを有する短いパルスレーザーを使用できる。高いパルスパワーは、光学コンポーネントの急激な性能低下につながり得る。チャープおよび位相エンコーディングLIDARシステムは、相対的に低いピーク光パワーを有する長い光パルスを使用できる。この構成において、距離精度は、パルス持続時間ではなく、チャープ帯域幅または長さと、位相コードの帯域幅によって増加でき、したがって、優れた距離精度が相変らず獲得され得る。
【0026】
光搬送波(Optical Carrier)を変調するために広帯域無線周波数(Radio Frequency、RF)電気信号を用いて有用な光チャープ帯域幅が実現された。LIDARについて、光学検出器でリターンされた信号と組み合わさる基準信号として同じ変調された光搬送波を使用すると、結果に応じた電気信号で基準光信号とリターンされた光信号との間の周波数または位相差に比例するRF帯域における相対的に低いビート(Beat)周波数を生成し得る。検出器における周波数差についてのこのような種類のビート周波数検出は、ヘテロダイン検出(Heterodyne Detection)といい、これは直ちに、そして安価に使用できるRFコンポーネントの使用を可能にする。
【0027】
高解像度距離-ドップラーLIDARシステムは、リターンされた信号でドップラーシフトを検出するための光学コンポーネントの配列およびコヒーレント(Coherent)処理を用いてLIDARシステムとそれぞれの外部オブジェクトの間のベクトルで改善された距離だけでなく、相対的な符号を有する速度(Relative Signed Speed)を提供し得る。
【0028】
場合によっては、このような改善は、ターゲット速度があるか、またはなくても、適切な周波数または位相コンテンツを有する鉛筆のような細いレーザービーム(Pencil Thin Laser Beam)で距離を提供する。このようなビームを場面(Scene)にスイープ(Sweep)すると、周囲の物体の位置および速度に関する情報が獲得され得る。この情報は、自律走行またはドライバー支援自動車のような自律走行車のための制御システムで使用できる。
【0029】
送信機および受信機が同じ装置内にあるため、光距離測定応用について、コヒーレントPSKが使用できる。搬送波周波数(Carrier Frequency)は、光周波数(fc)であり、RF(f0)は、光搬送波(Optical Carrier)に変調される。シンボルの数(N)と持続時間τは、要求される距離精度と解像度を実現するために選択される。シンボルのパターンは、ノイズとコード化した(Coded)信号の他のソースから区別できるように選択される。したがって、送信された信号とリターンされた信号との間の強い相関関係は、反射するか、または後方散乱した(Backscattered)信号の強い表示であり得る。送信された信号は、1つ以上のシンボルブロックで構成され、それぞれのブロックは、ノイズが存在する場合にも反射するか、または後方散乱したリターンとの強い相関関係を提供するほど十分に長い。送信された信号は、ブロック当たりN個のシンボルのM個のブロックで構成され得、MとNは、負ではない整数である。
【0030】
図1aは、一実施例によって一連の2進数(Binary Digit)として例示的な送信された信号を距離の測定のためにリターンされた光信号とともに示す概略的なグラフ120である。水平軸122は、0(Zero)での開始時間後の時間を任意単位(Arbitrary Unit)で示す。 垂直軸124aは、周波数f
C+f
0で光送信信号の振幅を0に相対的な任意単位で表す。垂直軸124bは、周波数f
C+f
0で光リターン信号の振幅を0に相対的な任意単位で表し、トレースを分離するために軸124aからオフセットされる。トレース125は、00011010から開始して省略符号で表示されたように、継続するコードを生成するために
図1aに示すような位相変化を有するM*N2進シンボルの送信された信号を示す。トレース126は、動いていないオブジェクトから散乱した理想的な(ノイズがない)リターンされた信号を示す(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)。振幅は、減少されるが、コード00011010は、認識可能である。トレース127は、動いているオブジェクトから散乱し、したがって、ドップラーシフトされる理想的な(ノイズがない)リターンされた信号を示す。リターンは、適切な光周波数(f
C+f
0)になく、予想した周波数帯域内でよく検出されず、したがって、振幅が減少する。
【0031】
リターンの観察された周波数(f’)は、数式1によって与えられるドップラー効果によるリターンの正確な周波数(f=f
c+f
0)と異なる。
【数1】
ここで、cは、媒質内の光の速度であり、v
0は、観察者の速度であり、v
sは、ソースと受信機を連結するベクトルに従うソースの速度である。観察者とソースが2つの間のベクトル上で同じ方向に同じ速度で動いている場合、2つの周波数は、同じであることに注目するべきである。2つの周波数の間の差(Δf=f’-f)は、距離測定について問題点を引き起こすドップラーシフト(Δf
D)であり、数式2によって与えられる。
【数2】
誤差の大きさは、信号の周波数fに応じて増加することに注目するべきである。また、静止したLIDARシステム(v
0=0)の場合、毎秒10メートル(v
s=10)で移動するオブジェクトと約500THzの周波数を有する可視光線についてのドップラーシフトの大きさは、約16メガヘルツ(MHz、1MHz=10
6ヘルツ(Hz)、1Hz=毎秒1サイクル)であることに注目するべきである。以下に説明される様々な実施例において、距離計算のためのデータを処理するためにドップラーシフトの誤差が検出されて使用される。
【0032】
位相コード化した距離測定(Phase Coded Ranging)において、位相コード化したリターンの到達は、送信された信号または他の基準信号をリターンされた信号と交差相関(Cross-Correlations)させることによって、リターンされた信号で検出され得、これは、RF信号のためのコードをヘテロダイン(Heterodyne)検出を用いる光検出器(Optical Detector)からの電気信号と交差相関させ、RF帯域に戻すダウンミキシング(Down-Mixing)することによって、実質的に実施され得る。任意の1つのラグ(Lag)のための交差相関は、2つのトレースをコンボリューション処理(Convolving)することによって、すなわち、2つのトレース内に対応する値を乗じ、トレース内のすべての点(Point)について加算した後、それぞれのタイムラグ(Time Lag)について繰り返すことによって計算され得る。交差相関は、2つのトレースそれぞれのフーリエ変換を乗じた後に逆方向フーリエ変換(Inverse Fourier Transform )することによって達成され得る。順方向(Forward)および逆方向の高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)は、ハードウェアおよびソフトウェアで効率的に実施され得る。
【0033】
交差相関の計算は、リターンの振幅と位相が光検出器から検出された後に、アナログまたはデジタル電気信号を用いて行われることに注目するべきである。光検出器における信号を容易にデジタル化できるRF周波数の範囲に移動させるために、光リターン信号は、検出器に衝突する前に基準信号と光学的にミックス(Mix)される。位相エンコードされた送信された光信号のコピーは、基準信号として使用できるが、レーザーによって出力される連続波搬送波周波数光信号(Continuous Wave Carrier Frequency Optical Signal)を基準信号として使用し、検出器によって出力される電気信号の振幅と位相の両方をキャプチャすることも可能であり、多くの場合好ましい。
【0034】
動いていないオブジェクトから反射した(したがって、リターンは、ドップラーシフトされない)理想的な(ノイズがない)リターン信号について、ピークは、送信された信号の開始後に時間Δtから発生する。これは、リターンされた信号が時間Δtで開始する送信された位相コードのバージョンを含むことを示す。反射する(または、後方散乱する)オブジェクトについての距離Rは、数式3によって与えられるのように、媒質内の光の速度Cに基づく双方向の旅行時間遅延(Two Way Travel Time Delay)から計算される。
【数3】
【0035】
動いているオブジェクトから散乱した(したがって、リターンは、ドップラーシフトされる)理想的な(ノイズがない)リターンされた信号について、リターンされた信号は、適切な周波数ビン(Frequency Bin)内の位相エンコーディングを含まず、相関関係は、すべてのタイムラグ(Time Lag)について低く保持され、ピークは、容易に検出されず、ノイズがある場合には、多くの場合に検出可能ではない。したがって、Δtは、容易に決定されず、距離Rは、容易に生成されない。
【0036】
ドップラーシフトは、リターンされた信号の電気的処理で決定され、ドップラーシフトは、交差相関計算を補正するために使用される。したがって、ピークは、より容易に発見され、距離は、より容易に決定され得る。
図1bは、一実施例によって送信された信号の例示的スペクトルとドップラーシフトされた複素数リターンされた信号の例示的スペクトルを示す概略的なグラフ140である。水平軸142は、光搬送波f
cからオフセットされたRF周波数を任意単位で表す。垂直軸144aは、スペクトル密度(Spectral Density)とも呼ばれる特定の狭い周波数ビンの振幅を0に相対的な任意単位で表す。垂直軸144bは、スペクトル密度を0に相対的な任意単位で示し、トレースを分離するために軸144aからオフセットされる。トレース145は、送信された信号を示し、ピークは、適切なRFf
0で発生する。トレース146は、LIDARシステムを向けて動いているオブジェクトから後方散乱してより高い周波数にドップラーシフト(ブルーシフト(Blue Shift)と呼ばれる)された理想的な(ノイズがない)複素数リターン信号を示す。リターンは、適切なRFf
0でピークを有しない。しかし、代わりにΔf
Dほどシフトされた周波数f
Sにブルーシフトされる。実際に、リターンの同相および直交位相(In-Phase and Quadrature、I/Q)成分をすべて示す複素数リターンは、+Δf
Dでピークを決定するのに使用されるため、ドップラーシフト方向と、センサとオブジェクトとの間のベクトル上でターゲットの移動方向が単一のリターンから検出され得る。
【0037】
一部のドップラー補償(Doppler Compensation)実施例において、
図1bに示すように、送信された信号とリターンされた信号の両方のスペクトルを得、それぞれでピークを見つけた後,対応するピークの周波数を減算することによってΔf
Dを捜す代わりに、RF帯域でダウンミックスされたリターンされた信号の同相および直交位相成分の交差スペクトル(Cross Spectrum)を取ることがより効果的であり得る。
図1cは、一実施例によって例示的な交差スペクトルを示す概略的なグラフ150である。水平軸152は、基準スペクトルについての周波数シフトを任意単位で示し、垂直軸154は、交差スペクトルの振幅を0に相対的な任意単位で表す。トレース155は、LIDARシステムを向けて動いている第1オブジェクト(Δf
D1のブルーシフト=
図1bのΔf
D)とLIDARシステムから遠ざかっている第2オブジェクト(Δf
D2のレッドシフト(Red Shift))によって生成された理想的な(ノイズがない)リターンされた信号との交差スペクトルを示す。1つのピーク156aは、成分の1つがブルーシフトΔf
D1されるときに発生し、他のピーク156bは、成分の1つがレッドシフトΔf
D2されるときに発生する。したがって、ドップラーシフトが決定される。このシフトは、例えば衝突防止アプリケーションのためにLIDAR付近でオブジェクトの符号を有する接近速度(Signed Velocity of Approach)を決定するのに用いられ得る。しかし、I/Q処理が完了していない場合、ピークは、+/-Δf
D1および+/-Δf
D2の両方に示され、したがって、ドップラーシフトの符号およびこれによる移動方向で曖昧さが存在し得る。
【0038】
交差スペクトルから検出されるドップラーシフトは、ピーク135がラグΔtでドップラー補償されたドップラーシフトされたリターンで明らかになり、距離Rが決定されるように、交差相関を補正するのに使用できる。一部の実施例において、同時I/Q処理が行われ得る。一部の実施例において、ドップラーリターンの符号(Sign)を決定するために直列I/Q処理が使用できる。一部の実施例において、ドップラーシフトに起因する誤差は、容認されるか、または無視されることがあり、いかなるドップラー補正も距離測定に適用されない。
2.チャープ検出概要(Chirped Detection Overview)
【0039】
図1dは、一実施例によって例示的な光チャープ距離測定(Optical Chirp Measurement of Range)を示す一連のグラフである。水平軸102は、4つのグラフすべてについて同じであり、約ミリ秒(ms、1ms=10
-3秒)の時間を任意単位で表す。グラフ100は、送信された光信号として使用される光のビームのパワーを表す。グラフ100の垂直軸104は、送信された信号のパワーを任意単位で表す。トレース106は、時間0で開始して制限されたパルス持続時間τの間、パワーがオン(on)であることを示す。グラフ110は、送信された信号の周波数を示す。垂直軸114は、送信された信号の周波数を任意単位で表す。トレース116は、パルスの持続時間τにわたってパルスの周波数がf
1からf
2に増加し、これによって帯域幅b=f
2-f
1を有することを表す。周波数変化率は、(f
2-f
1)/τである。
【0040】
リターンされた信号は、グラフ110のように時間を示す水平軸102と周波数を示す垂直軸114を有するグラフ160で示される。また、グラフ110のチャープ(例えば、トレース116)がグラフ160上に点線で示される。第1リターンされた信号は、強度(図示せず)が減少され、Δtだけ遅延した送信された基準信号を表すことができるトレース166aで与えられる。リターンされた信号が2Rの距離を移動した後に、外部オブジェクトから受信されるとき、リターンされた信号は、前述の数式3によって2R/cで与えられる遅延した時間Δtで開始し、ここで、Rは、ターゲットまでの距離であり、cは、媒質内の光の速度(約3×10
8m/s)である。この時間の間、周波数f
Rは、距離に基づく量だけ変更され、周波数変化率に遅延時間を乗じて与えられる。これは、数式4aによって与えられる。
【数4】
f
Rの値は、デチャーピング(De-chirping)と呼ばれる時間ドメインミキシング動作で送信された信号116とリターンされた信号166aとの間の周波数差によって測定される。したがって、距離Rは、数式4bによって与えられる。
パルスが完全に送信された後にリターンされた信号が到着すると、すなわち、2R/cがτよりも大きければ、数式4aおよび4bは、有効ではない。この場合に、基準信号は、リターンされた信号が基準信号と重畳することを保証するように知られている量または定められた量だけ遅延し得る。基準信号の定められた遅延時間または知られている遅延時間は、数式4bから計算された距離に追加される追加距離を提供するために光の速度Cと乗じられる。媒質で光の速度の不確実性によって絶対距離は、不正確であり得るが、これは、ほとんど一定の誤差(Near-Constant Error)であり、周波数差を基盤とした相対的距離は、相変らず非常に正確である。
【0041】
一部の環境において、送信された光ビームにより照明された地点(ペンシルビームの断面(Pencil Beam Cross Section))は、半透明オブジェクトの前方および後方、またはLIDARから様々な距離にあるオブジェクトのより近い部分とより遠い部分、または照明される地点内で2つの分離したオブジェクトのように異なる距離にある2つ以上の異なる散乱体に出会う。このような環境において、グラフ160にトレース166bに表示されたように、第2減少された強度および異なるように遅延した信号も受信されるであろう。これは、数式4bを使用して異なる距離を提供するfRの異なる測定値を有することになる。一部の環境においては、複数の追加のリターンされた信号が受信される。
【0042】
グラフ170は、第1リターンされた信号166aと基準チャープ116との間の差の周波数f
Rを示す。水平軸102は、
図1dで整列した他のすべてのグラフのように時間を示し、垂直軸164は、はるかに拡大したスケール上で周波数差を示す。トレース176は、送信されたチャープに応答して測定された一定の周波数f
Rを示し、数式4bによって与えられる特定の距離を示す。第2リターンされた信号166bは、存在する場合、デチャーピングの間に他のより大きい値のf
R(図示せず)を発生させ、結果的に数式4bを使用してより大きい距離を算出するものであろう。
【0043】
デチャーピングは、基準光信号とリターンされた光信号を同じ光検出器に指向させて行われ得る。検出器の電気的出力は、検出器に収束する2つの信号の周波数差と同じか、またはこれに依存するビート周波数(Beat Frequency)によって左右される。このような電気的出力信号のフーリエ変換は、ビート周波数でピークを算出するものであろう。このようなビート周波数は、テラヘルツ(THz、1THz=1012ヘルツ)の光周波数の範囲ではないメガヘルツ(MHz、1MHz=106Hz=毎秒106サイクル)の無線周波数(RF)の範囲内 にある。このような信号は、マイクロプロセッサまたは特殊製作されたFFT(Fast Fourier Transform)またはその他のデジタル信号処理(Digital Signal Processing、DSP)集積回路で行われるFFTアルゴリズムのようなRFコンポーネントによって処理される。リターン信号は、(局部発振器(Local Oscillator)の役割をするチャープと比べて)局部発振器の役割をする連続波(Continuous Wave、CW)トーン(Tone)とミックスできる。これは、その自体がチャープである(または、どの波形が送信されても)検出された信号につながる。この場合、検出された信号は、 デジタイザー(Digitizer)帯域幅の要求事項が一般的により高くなり得るが、デジタルドメインで整合フィルタリング(Matched Filtering)することができる。そうでない場合、コヒーレント検出の肯定的な面は保持される。
【0044】
一部の実施例において、LIDARシステムは、同時アップおよびダウンチャープ(Simultaneous Up and Down Chirps)を生成するように変更される。この接近方式は、他のものの中でも、オブジェクトの速度差、実際に距離を変更するオブジェクトについてのLIDAR位置変更またはビーム内の一時的な散乱体(Scatterers)、またはこれらの組み合わせによって誘発される変動性を除去できる。この接近方式は、アップおよびダウンチャープで測定されたドップラーシフトおよび距離が実質的に同じであり、最も有用に結合され得ることを保証する。ドップラー方式は、高い確率の正確な補償のために周波数空間で非対称にシフトされたリターンペアの並列キャプチャ(Parallel Capture)を保証する。
【0045】
図1eは、一実施例によって対称LO信号を使用するグラフであり、ドップラーシフトがないとき、リターン信号を周波数時間プロット(Frequency Time Plot)で破線として示す。水平軸は、時間を10
-5秒(数十マイクロ秒)の例示的な単位で表す。垂直軸は、搬送波周波数f
cまたは基準信号についての送信された光信号の周波数をギガヘルツ(GHz、1GHz=10
9ヘルツ)の例示的な単位で表す。パルス持続時間の間、2つの光周波数を含む光ビームがいつでも生成される。1つの周波数が、例えば、f
1からf
2に増加し(例えば、光搬送波の1ないし2GHzの上)、同時に他の周波数がf
4からf
3に減少する(例えば、光搬送波の1ないし2GHzの下)。2つの周波数帯域(例えば、f
1ないしf
2の帯域1と、f
3ないしf
4の帯域2)は、重ならず、送信された信号およびリターンされた信号が通過周波数f
Pから開始する通過帯域を有する高域通過フィルタや低域通過フィルタまたはこれらの組み合わせによって光学的に分離できる。例えば、f
1<f
2<f
P<f
3<f
4であり得る。例示するように、より高い周波数がアップチャープを提供し、より低い周波数がダウンチャープを提供し得る。一部の実施例において、より高い周波数がダウンチャープを生成し、より低い周波数がアップチャープを生成する。
【0046】
一部の実施例において、2つの異なるレーザーソースが毎時間ごとにそれぞれのビームで2つの異なる光周波数を生成するのに使用される。 しかし、一部の実施例において、単一の光搬送波は、単一のRFチャープによって変調され、同時アップおよびダウンチャープの役割をする対称的な側波帯(Symmetrical Sideband)を生成する。一部の実施例において、一般的に、搬送波周波数に多くのエネルギーを残さない2重側波帯マッハツェンダ強度変調器(Double Sideband Mach-Zehnder Intensity Modulator)が使用され、代わりに、ほとんどすべてのエネルギーが側波帯に入る。
【0047】
側波帯対称(Sideband Symmentry)の結果として、同じ次数の側波帯が使用されると、2つの光チャープの帯域幅は、同じであり得る。他の実施例において、他の側波帯が使用され、例えば、2つの2次側波帯が使用されるか、1次側波帯および重畳しない2次側波帯が使用されるか、または一部の他の組み合わせが使用される。
【0048】
送信(TX)および局部発振器(LO)チャープ波形を選択するとき、システムの周波数シフトされた帯域(Frequency Shifted Band)が利用可能なデジタイザー(Digitizer)帯域幅を最大限に活用できるようにすることが有利である。一般的に、これは0に近い距離周波数ビート(Range Frequency Beat)を有するように、アップチャープまたはダウンチャープをシフトして達成され得る。
【0049】
図1fは、対称LO信号を使用する
図1eと類似のグラフであり、0ではないドップラーシフトがあるとき、この周波数時間プロットでリターンされた信号を破線として示す。チャープ波形の場合、時間分離したI/Q処理(時間ドメインマルチプレクシング(Time Domain Multiplexing)とも呼ばれる)が他の接近方式のハードウェア要求事項を克服するために使用できる。その場合に、AOMが実数値(Real Valued)の信号についての距離ドップラーの曖昧さを打開するために使用できる。一部の実施例において、スコアリングシステム(Scoring System)が上でアップおよびダウンチャープリターンをペアリングするのに使用できる。一部の実施例において、I/Q処理がドップラーチャープの符号を決定するのに使用できる。
3.光検出ハードウェア概要
【0050】
図2aは、一実施例によって高解像度距離LIDARシステム200の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。光信号は、矢印で表示される。電子的な(Electronic)有線または無線連結は、矢先がない線分で表示される。 レーザーソース212は、持続時間Dを有する位相コード化されるか、またはチャープされた光信号203を生成するために、スプリッタ216の以前または以後に、変調器282aから位相または周波数変調されたビーム(例えば、搬送波)201を放出する。スプリッタ216は、基準経路220に使用するための変調された(または、図示されたように、変調されない)光信号を分離する。ビーム201のエネルギーの大部分を有する本明細書で送信された信号(Transmitted Signal)とも呼ばれるターゲットビーム205が生成され得る。また、少ない量ではあるが、オブジェクト(図示せず)から散乱したリターンされた光291とよくミックスされるのに十分な量のエネルギーを有する変調されるか、または変調されていない基準ビーム207aが生成される。
図2aに示されたように、基準ビーム207aは、変調器282bで個々に変調される。基準ビーム207aは、基準経路220を通過し、基準ビーム207bとして1つ以上の検出器に指向される。一部の実施例において、基準経路220は、基準ビーム207bが関心距離の範囲(Spread of Ranges of Interest)内でLIDAR外部のオブジェクトから散乱した光とともに検出器アレイ230に到逹するのに十分な遅延を導入する。一部の実施例において、例えば、基準ビーム207bが別個の発振器から局部的に生成された場合、基準ビーム207bは、局部発振器(Local Oscillator、LO)信号と呼ばれる。様々な実施例において、 柔軟性が低い接近方式からより柔軟な接近方式まで網羅し、基準ビームは、1)経路の長さがよくマッチングされるように検出器アレイで送信されたビームの一部をまた反射させるために場面(Scene)内にミラーを配置すること、2)経路の長さを近くマッチングさせ、特定の距離に対して観察されたり、予測された位相または周波数差を補償するための経路長さ調節を用いたり、利用せず、
図2aで提案されたように、検出器アレイ付近の光学機器を用いて基準ビームをブロードキャスト(Broadcast)するためにファイバー遅延(Fiber Delay)を用いること、または、3)経路長さの不一致(Mismatch)を補償するための別個の変調を生成するために周波数シフティング(Frequency Shifting)デバイス(音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator、AOM))または(例えば、変調器282b内)局部発振器の波形変調の時間遅延を用いること、または一部の組み合わせを通じて散乱するか、または反射したフィールド(視野)を持って到着することができる。一部の実施例において、オブジェクトは、十分に近く、送信された持続時間は、十分に長く、リターンが遅延なしに、基準信号と十分に重畳する。
【0051】
送信された信号は、例えば、いくつかのスキャニング光学機器(Scanning Optics)218を介して関心領域を照明するために送信される。検出器アレイは、対をなしているか、または対をなしていない単一の検出器またはオブジェクトからリターンされたビーム291におおよそ垂直な平面に配列された対をなしているか、または対をなしていない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイであり得る。基準ビーム207bおよびリターンされたビーム291は、適切に検出される光特性信号を生成するために0またはその以上の光ミキサー284で結合され得る。干渉パターンの周波数、位相または振幅または一部の組み合わせは、獲得システム240によってそれぞれの検出器に対して信号持続時間Dの間、複数回記録され得る。信号持続時間当たり処理される時間的(Temporal)サンプルの数または累積時間(Integration Time)は、ダウン-レンジ規模(Down-Range Extent)に影響を与える。数または累積時間は、信号当たりシンボルの数、信号反復率(Signal Repetition Rate)および可用カメラフレームレート(Available Camera Frame Rate)に基づいて選択される実質的な考慮事項であり得る。フレームレートは、サンプリング帯域幅であり、「デジタイザー周波数(Digitizer Frequency)」と呼ばれる。距離規模(Range Extent)の唯一の根本的な限界は、レーザーのコヒーレンス(Coherence)長さおよび(明確な距離測定のために)それが繰り返す前のチャープまたは固有位相コードの長さである。これは、リターンされたヘテロダイン(Heterodyne)信号またはビット(Bits)のデジタルレコードが以前の送信履歴から送信されたビットの任意の部分と比較されたり、交差相関できるため、可能になる。
【0052】
獲得されたデータは、
図7を参照して後述されるコンピュータシステムまたは
図8を参照して後述されるチップセット(Chip Set)のような処理システム250に利用可能になる。スキャナ制御モジュール270は、スキャニング光学機器218を駆動するためのスキャニング信号を提供する。スキャナ制御モジュール270は、
図5のフローチャートに関連した方法500および/または
図6のフローチャートに関連した方法600の1つ以上のステップを行うための命令語を含み得る。処理システム250で符号を有するドップラー補償(Signed Doppler Compensation)モジュール(図示せず)は、ドップラーシフトの符号と大きさを決定し得、任意の他の補正とともにそれに基づく補正された距離を決定し得る。また、処理システム250は、変調器282a、282bおよび/またはポリゴンスキャナ244a、244bおよび/またはスキャナ241を駆動する1つ以上の電気信号を伝送するための変調信号モジュール(図示せず)を含み得る。一部の実施例において、処理システムは、システム200、200’、200’’が設置される車両を制御するための車両制御モジュール272をさらに含む。
【0053】
瞳孔面(Pupil Plane)を通過する焦点またはターゲット上の焦点または投光照明(Flood)についての光カップリング(Optical Coupling)は、図示されない。本明細書に使用されたように、光カプラ(Optical Coupler)は、他のものの中でも、真空、空気、ガラス、クリスタル、ミラー、レンズ、光サーキュレーター(Optical Circulator)、ビームスプリッタ、位相板(Phase Plate)、偏光子(Polarizer)、光ファイバー(Optical Fiber)、光ミキサーのような他のコンポーネントを単独または一部の組み合わせのように、1つのコンポーネントから他のコンポーネントに光を指向させるために空間座標内で光の伝搬(Propagation)に影響を与える任意のコンポーネントである。
【0054】
また、
図2aは、一実施例による同時アップおよびダウンチャープLIDARシステムのためのコンポーネントの例を示す。
図2aに示されたように、変調器282aは、送信されたビーム205の光経路に追加された周波数シフタであり得る。一部の実施例において、周波数シフタがリターンされたビーム291の光経路または基準経路220に追加される。変調器(例えば、AOM、Acousto-Optic Modulator)として使用される装置が関連する損失を有し、損失が多いコンポーネントを受信側に配置するか、または光増幅器の後ろに配置することは、不利であるため、周波数シフタが局部発振器(Local Oscillator、LO、基準経路ともいう)側または送信側(光増幅器の前)に変調器282bとして追加される。光シフタ(Optical Shifter)は、光検出器230によって出力される電気信号の分析において、例えば、処理システム250でFFTコンポーネントによってピックアップできる異なる周波数帯域でアップおよびダウンチャープのビート(Beat)周波数が発生するように、基準信号の周波数について送信された信号(または、リターン信号)の周波数を知られている量(Δf
S)ほどシフトできる。例えば、距離効果を発生させるブルーシフトがf
Bであれば、アップチャープのビート周波数は、オフセットだけ増加されてf
B+Δf
Sで表され、ダウンチャープのビート周波数は、オフセットだけf
B-Δf
Sに減少される。したがって、アップチャープは、ダウンチャープよりも高い周波数帯域内にあるものであり、これによってこれらを分離する。Δf
Sが予想したドップラー効果よりも大きければ、アップチャープおよびダウンチャープに関連する距離での曖昧さはないだろう。次に、測定されたビートは、適切なアップチャープおよびダウンチャープ距離を得るために知られたΔf
Sの正確に符号が付与された値に補正され得る。一部の実施例において、平衡検出器(Balanced Detector)から由来するRF信号は、FFTを介して分離される帯域とともに直接デジタル化される。一部の実施例において、平衡検出器から由来するRF信号は、直接デジタル化できる低帯域(アップチャープまたはダウンチャープのうち、1つに対応)と基底帯域に電子的にダウンミックスされた(Down-Mixed)後、デジタル化できる高帯域(反対するチャープに対応)に分離するためにアナログRF電子装置を用いて前処理される。様々なこれらの実施例は、検出された信号の帯域を使用可能なデジタイザーリソース(Digitizer Resource)に一致させる経路を提供する。一部(例えば、直接距離測定)の実施例において、変調器282aは、除外される。
【0055】
図2bは、高解像度ドップラーシステムのための鋸歯型(Saw Tooth)スキャンパターンを示すブロック図である。スキャンは、(水平に)方位角(Azimuth Angle)の範囲をスイープし、傾斜角(Inclination Angle)の範囲(0の傾斜で水平方向(Level Direction)の上下の垂直に)をスイープする。適応型(Adapted)スキャニングを含む様々なスキャンパターンが使用できる。
図2cは、高解像度ドップラーLIDARシステムによって生成された例示的な速度ポイントクラウドを示すイメージである。
【0056】
図2dは、高解像度(Hi-res)LIDARシステム200’の例示的なコンポーネントを示すブロック図である。システム200’は、ここで議論される特徴を除いてシステム200と類似し得る。システム200’は、モノスタティックトランシーバ(Monostatic Transceiver)を用いて構成されるコヒーレントLIDARシステムであり得る。システム200’は、送信経路222上の単一モード光導波管225に沿ってサーキュレーター226を介してコリメート(Collimating)光学器機229の焦点平面内に位置した単一モード光導波管225の先端(Tip)217の外に搬送波201を送信するソース212を含み得る。先端217は、コリメート光学器機229の焦点平面の臨界距離(例えば、約100μm)内またはコリメート光学器機229の焦点長さの約0.1%ないし約0.5%内に位置し得る。コリメート光学器機229は、2重(Doublet)、非球面または多重要素のデザインのうち、1つ以上を含み得る。光導波管の先端217を通り抜ける搬送波201は、スキャニング光学器機218によって角度範囲227にわたってスキャンされるコリメートされたターゲットビーム205’に光学器機229によって作られ得る。
【0057】
一部の実施例において、搬送波201は、コリメート光学器機229の上流にある変調器282aで位相または周波数変調される。一部の実施例において、変調器282は除外される。オブジェクトからリターンされたビーム291は、スキャニング光学器機218によって指向され、コリメート光学器機229によって先端217上にフォーカシングされており、リターンビーム291が単一モード光導波管の先端217から受信される。次に、リターンビーム291は、サーキュレーター226によって受信経路224に沿って単一モード光導波管内へ、そして、リターンされたビーム291が局部発振器経路220に沿って単一モード光導波管を介して指向される基準ビーム207bと結合される光ミキサー284に再指向(Redirect)され得る。システム200’は、基準信号207bとリターンされたビーム291の最大空間モード重畳(Maximum Spatial Mode Overlap)がリターンされた信号291と基準ビーム207bとの間のヘテロダインミキシング(光干渉)効率を最大化するという原理のもとで動作できる。この配列は、バイスタティック(Bi-Static)LIDARシステムに関連する容易ではない整列手続きを回避するのに役立つため有利である。
【0058】
図2eは、高解像度(Hi-res)LIDARシステム200’’の例示的なコンポーネントの例示的な側面図を示すブロック図である。
図2fは、
図2eの高解像度(Hi-res)LIDARシステム200’’の例示的なコンポーネントの上面図を示すブロック図である。システム200’’は、ここで議論される特徴を除いてシステム200’と類似し得る。システム200’’のスキャニング光学器機218は、少なくとも1つのモーター(例えば、
図2jに示されたモーター257)に結合され、回転軸243を中心に第1角速度(Angular Velocity)249aで回転するように構成された第1ポリゴンスキャナ244aを含む。光学器機218は、少なくとも1つのモーターに結合され、回転軸243を中心に第2角速度249bで回転するように構成された第2ポリゴンスキャナ244bを含み得る。2つのポリゴンスキャナ244a、244bが示されるが、2つよりも多いポリゴンスキャナがスキャニング光学器機218に含まれることを特徴とする。少なくとも1つのモーターは、第1ポリゴンスキャナ244aを回転させる第1モーターおよび第2ポリゴンスキャナ244bを回転させる第2モーターを含み得る。第1ポリゴンスキャナ244aが回転する第1角速度249aは、第1固定回転速度(Rotation Speed)であり得る。第2ポリゴンスキャナ244bが回転する第2角速度249bは、第2固定回転速度であり得る。第2固定回転速度は、第1固定回転速度とは異なること(例えば、より低いこと)がある。第1角速度249aの第1固定回転速度は、約1000rpm(revolution per minute:回転毎分)ないし約5000rpmの範囲内におり得、第2角速度249bの第2固定回転速度は、約200rpmないし約1000rpmの範囲内にある。第1ポリゴンスキャナ244aおよび第2ポリゴンスキャナ244bは、反対方向(例えば、時計方向と反時計方向)のような異なる方向に回転することができる。例えば、第1角速度249aおよび第2角速度249bは、異なる方向(例えば、時計方向と反時計方向)を有し得る。スキャナ244a、244bは、
図2eおよび
図2fに示されたポリゴンスキャナに限定されず、任意のタイプ(例えば、プリズム、ピラミッド、ステップ型幾何構造など)のポリゴンスキャナを含み得る。
【0059】
例示的な一実施例において、それぞれのポリゴンスキャナ244a、244bは、次の特性、すなわち、Copal回転ミラー(Copal Turned Mirror)を有するBlackmore(登録商標) Sensorsによって製造されたもの、約2インチまたは範囲が約1インチないし約3インチの内接直径を有するもの、それぞれのミラーの高さが約0.5インチであるか、または約0.25インチないし約0.75インチであるもの、全体の高さが約2.5インチであるか、または約2インチないし約3インチの範囲内にあるもの、エンコーダポールペアスイッチング(Encoder Pole-Pare Switching)を有する3相ブラシレス直流(Brushless Direct Current、BLDC)モーターによって電力が供給されるもの、範囲が約1000rpmないし約5000rpmの範囲内の回転速度を有するもの、減少比が約5:1であり、コリメータ229までの距離が約1.5インチであるか、または1インチないし約2インチの範囲内にあるもののうち、1つ以上を有する。一部の実施例において、システム200’’のスキャニング光学器機218は、ポリゴンスキャナ244a、244bではなく、光学機器を使用できる。
【0060】
一部の一実施例において、ポリゴンスキャナ244a、244bの1つ以上のパラメータは、互いに異なる。第2ポリゴンスキャナ244bの質量は、第1ポリゴンスキャナ244aの質量よりも大きいことがある。ポリゴンスキャナ244a、244bの外径は、ほぼ同一であるが、第1ポリゴンスキャナ244aは、回転軸243が通過して収容されるより大きなボア(Bore)(例えば、より大きな内径)を有し得、第1ポリゴンスキャナ244aの質量は、 第2ポリゴンスキャナ244bよりも小さい。第1ポリゴンスキャナ244aの質量に対する第2ポリゴンスキャナ244bの質量の比は、第2角速度249bの回転速度に対する第1角速度249aの回転速度の比とほぼ同一であり得る。これは有利には、回転中のポリゴンスキャナ244a、244bの間に慣性変化による純角運動量がないことを保証し、作動中にシステム200’’の安定性を容易にすることができる。それぞれのポリゴンスキャナ244a、244bの角運動量および慣性モーメントは、次のものによって提供される。
【数5】
ここで、Lは、それぞれのポリゴンスキャナ244a、244bの角運動量であり、Iは、それぞれのポリゴンスキャナ244a、244bの慣性モーメントであり、ωは、角速度249a、249bであり、mは、それぞれのポリゴンスキャナ244a、244bの質量であり、rは、回転軸243から質量(m)の半径距離である。一実施例において、第1角速度249aの第1回転速度は、第2角速度249bの第2回転速度よりも大きく、第2回転速度に対する第1回転速度の比は、約3ないし約10の範囲内にある。この実施例において、第2回転速度に対する第1回転速度の比に基づいて第2ポリゴンスキャナ244bの質量は、第1ポリゴンスキャナ244aの質量よりも大きい。したがって、第2ポリゴンスキャナ244bの慣性モーメント(I)が数式5bによって、第1ポリゴンスキャナ244aの慣性モーメント(I)よりも大きくても、第1ポリゴンスキャナ244aの角速度(例えば、回転速度)の大きさは、第2ポリゴンスキャナ244bより同じ大きさだけ大きく、したがって、ポリゴンスキャナ244a、244bの角運動量(L)は、数式5aによって大きさがほぼ同じであり、角速度249a、249bの方向が反対であるため、符号が反対である。これは有利には、システム200’’の動作中、ポリゴンスキャナ244a、244bの間に純角運動量がないか、または無視できることを保証する。
【0061】
システム200’’は、コリメータ229とスキャニング光学器機218(例えば、ポリゴンスキャナ244a、244b)との間に位置し、第3平面234(例えば、
図2eの平面)でコリメートされたビーム205’の方向を調整するように構成されたスキャナ241を含み得る。スキャナ241は、第1ポリゴンスキャナ244aと第2ポリゴンスキャナ244bとの間のコリメートされたビーム205’の方向を調整することができる。スキャナ241は、ビーム205’を第1ポリゴンスキャナ244aのファセット(Facet)245a、245bと第2ポリゴンスキャナ244bのファセット245a、245bとの間でスキャンされたビーム233として調整することができる。スキャナ241は、スキャンされたビーム233を三角波形を使用して第1ポリゴンスキャナ244aのファセット245と第2ポリゴンスキャナ244bのファセット245との間で連続的に(例えば、毎秒5回)移動させることができる。
【0062】
スキャナ241がスキャンされたビーム233を第1ポリゴンスキャナ244aのファセット245a、245b上に指向させるとき、ファセット245a、245bは、ビーム233が第1ポリゴンスキャナ244aに入射する第3平面234(例えば、
図2eの平面)とは異なる第1平面235(例えば、
図2fの平面)にビーム233’を偏向させ得る、
図2jは、ビーム233’が第1角度から第2角度にスキャンされる下部スキャン領域264を定義する第1平面235を示す。一実施例において、第1平面235は、回転軸243と約85度または105度の角度や、約45度ないし約150度の範囲または約30度ないし約150度の範囲内の角度を形成する。一実施例において、第2平面237は、回転軸243と約90度の角度や、約60度ないし約120度の範囲または約40度ないし約150度の範囲内の角度を形成する。一実施例において、回転軸243を中心とした第1ポリゴンスキャナ244aの回転に基づいてスキャンされたビーム233’は、第1ポリゴンスキャナ244aのファセット245a、245bによって第1平面235(例えば、
図2fの平面)内で第1角度から第2角度に偏向する。第1平面235(例えば、
図2fの平面)は、第3平面234に対してほぼ直交し得る。この説明の目的のために、直交は、90±20度範囲の角度によって定義された相対的な指向(Orientation)を意味する。スキャナ241は、スキャンされたビーム233が第1ポリゴンスキャナ244a上に指向される期間の間、スキャンされたビーム233’が第1平面235内で第1角度から第2角度に臨界回数(例えば、1回)だけ偏向するように、十分に遅い固定されたスキャン速度でスキャンされたビーム233の方向を調整することができる。スキャナ241は、スキャン速度でスキャンされたビーム233の方向を第1ポリゴンスキャナ244aのファセット245a、245bに向けて調整し、スキャンされたビーム233’が臨界回数(例えば、1回)だけ第1平面235内で第1角度から第2角度に偏向するように、スキャンされたビーム233’の位置を最小期間の間に保持し得る。
【0063】
スキャナ241がスキャンされたビーム233を第1ポリゴンスキャナ244aから第2ポリゴンスキャナ244bのファセット245a、245b上に指向させるとき、ファセット245a、245bは、ビーム233’をビーム233が第2ポリゴンスキャナ244bに入射する第3平面234(例えば、
図2eの平面)と異なり、第1平面235と異なる第2平面237に偏向させる。
図2jは、ビーム233’が第1角度から第2角度にスキャンされるスキャン領域261の上部スキャン領域262(
図2k参照)を定義する第2平面237を示す。一部の実施例において、スキャン領域261の上部スキャン領域262と下部スキャン領域264は、重畳領域263を有する。一実施例において、上部スキャン領域262と下部スキャン領域264は、重畳せず、したがって、重畳領域263がない。一実施例において、第2平面237は、回転軸243と約90度の角度を形成する。一実施例において、回転軸243を中心とした第2ポリゴンスキャナ244bの回転に基づいてスキャンされたビーム233’は、第2ポリゴンスキャナ244bのファセット245a、245bによって第2平面237(例えば、
図2fの平面)内で第1角度から第2角度に偏向する。第2角速度249bの方向は、第1角速度249aの方向に反対であり得、したがって、ビーム233’は、(例えば、第1角度から第2角度に)第1平面235でスキャンされるビーム233’に比べて反対方向に(例えば、第2角度から第1角度に)第2平面237でカウンタースキャンされる(Counter Scanned)。第2平面237(例えば、
図2fの平面)は、第3平面234に対してほぼ直交し得る。スキャナ241は、スキャンされたビーム233が第2ポリゴンスキャナ244b上に指向される期間の間、スキャンされたビーム233’が第2平面237内で第1角度から第2角度に臨界回数(例えば、1回)だけ偏向するように十分に遅い固定されたスキャン速度でスキャンされたビーム233の方向を調整することができる。スキャナ241は、スキャンされたビーム233の方向を第2ポリゴンスキャナ244bのファセット245a、245bにスキャン速度を調整し、スキャンされたビーム233’が臨界回数(例えば、1回)だけ第2平面237内で第1角度から第2角度に偏向するように、最小期間の間、スキャンされたビーム233’の位置を保持し得る。
【0064】
図2iは、
図2eのシステム200’’のスキャニング光学器機218の一例の分解図を示す概略図である。一実施例において、スキャニング光学器機218は、モーター257に結合され得る第1ポリゴンスキャナ244aおよび第1ポリゴンスキャナ244aを介してモーター257に結合され得る第2ポリゴンスキャナ244bを含む。第1ポリゴンスキャナ244aは、モーター257の駆動シャフト258および遊星ベアリング259に回転可能に取り付けることができる。第1ポリゴンスキャナ244aは、駆動シャフト258および遊星ベアリング259を収容するためのリセス(Recess)(図示せず)を含み得る。第2ポリゴンスキャナ244bは、リングギア(Ring Gear)252内に位置した遊星変速ギア(Planetary Transmission Gear)254および駆動太陽ギア(Driver Sun Gear)256を使用して第1ポリゴンスキャナ244aに回転可能に取り付けることができる。リングギア252は、第2ポリゴンスキャナ244bの下面上のキャビティ(Cavity)(図示せず)内に収容され得る。ギア254、256および/またはリングギア252の1つ以上のパラメータ(例えば、直径、数量など)は、第2ポリゴンスキャナ244bの第2角速度249bの回転速度の大きさについての第1ポリゴンスキャナ244aの第1角速度249aの回転速度の大きさの比を調整するように選択され得る。例えば、比は、約3ないし約10の範囲内にあるか、または約2ないし約20の範囲内にあり得る。モーター257は、カリフォルニアトーランスに所在するNidec Copal(登録商標) Electronics、Inc.によって製造されることができる。変速器(例えば、ギア254、256およびリング252)は、グラウンドメートル平歯車(Ground Metric Spur Gear)の製品のうち、選択事項と結合されたS1EO5ZM05S072内部リングギアを含むSDP/SI(登録商標)ギアによって提供され得る。
図2iのモーター257が
図2eおよび
図2fに示されたように、ポリゴンスキャナ244a、244bのすべてが同時に(例えば、反対方向に)移動させるが、ビーム233’が第1期間の間、下部スキャン領域264にわたって第1平面235を介してスキャンされた後に、第1期間後第2期間の間に上部スキャン領域262にわたって第2平面237を介してスキャンされるように、ビーム233は、スキャナ241によって一度に1つのポリゴンスキャナ244a、244b上にのみ指向され得る。
【0065】
図2gは、一実施例による高解像度(Hi-res)LIDARシステム200’’の例示的なコンポーネントの側面図を示すブロック図である。
図2hは、実施例による
図2gの高解像度(Hi-res)LIDARシステム200’’の例示的なコンポーネントの上面図を示すブロック図である。
図2gおよび
図2hのシステム200’’は、ここで説明された特徴を除いて
図2eおよび
図2fを参照して説明されたものと類似し得る。単一導波管225および単一コリメータ229が第1ポリゴンスキャナ244aと第2ポリゴンスキャナ244bとの間でスキャナ241によってスキャンされる単一のコリメートされたビーム205’を提供する
図2eおよび
図2fの実施例とは異なり、
図2gおよび
図2hのシステム200’’は、一対のコリメートされたビーム205’を第1および第2ポリゴンスキャナ244a、244bにそれぞれ提供する一対の導波管225a、225bおよび一対のコリメータ229a、229bを含む。一実施例において、
図2gおよび
図2hのシステム200’’は、スキャナ241を排除する。レーザーソース212からのビーム201は、ビームスプリッタ(図示せず)によって導波管225a、225bに指向される2つのビーム201に分割され得る。システム200’’は、それぞれの導波管225a、225bの先端で受信されるそれぞれのポリゴンスキャナ244a、244bからの個別リターンビーム291を収容するように受信経路224に2つのサーキュレーター226および2つの受信導波管を含み得る。
図2gおよび
図2hのシステム200’’は、2つのレーザーソース212を含み得、それぞれの導波管225a、225bは、レーザーソース212のいずれかからそれぞれのビーム201を受信し得る。また、システム200’’は、ポリゴンスキャナ244a、244bからの個別リターンビーム291を処理するために2つのサーキュレーター226および2つの受信導波管を含み得る。
図2gおよび
図2hのシステム200’’は、システム200’’がポリゴンスキャナ244a、244bから同時リターンビーム291を収容するために2つの処理チャネルを含むため、第1および第2平面235、237内で、そして、それに応じて上部スキャン領域および下部スキャン領域262、264内で(例えば、反対方向に)ビーム233’の同時スキャニングを収容することができる。
4.コヒーレントLIDARシステムパラメータ
【0066】
一実施例において、システム200’、200’’のモノスタティックコヒーレントLIDAR性能は、いわゆる「リンクバジェット(Link Budget」にシステムパラメータを含むことによってモデリングされる。リンクバジェットは、様々なシステムおよびターゲットパラメータに対して信号対雑音比(SNR)の予想値を推定する。システム側において、リンクバジェットは、出力光パワー、累積時間、検出器特性、導波管連結における挿入損失、イメージングされたスポット(Imaged Spot)とモノスタティック収集導波管(Monostatic Collection Waveguide)との間のモード重畳および光トランシーバ特性のうち、1つ以上を含み得る。ターゲット側において、リンクバジェットは、大気特性(Atmospheric Characteristics)、ターゲット反射率およびターゲット距離のうち、1つ以上を含み得る。
【0067】
図4aは、一実施例によって、スキャニングなしの
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’でリターンされたビーム291についての例示的な信号対雑音比(SNR)対ターゲット距離を示すグラフである。他の実施例において、
図4aは、
図2aのシステム200でリターンビーム291についてのSNR対ターゲット距離の一例を示す。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離である。垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。曲線410は、ニアフィールド(Near Field)406とファーフィールド(Far Field)に分割されたSNR対距離の値を示し、相対的に平坦な傾きを有する曲線410のニアフィールド406から負の傾き(例えば、10m当たり約-20dB)を有する曲線410のファーフィールド408へ遷移する。リターンビーム291が通過する散乱する大気がターゲットまでの距離の2乗によって増加し、リターンビーム291を収集するための光導波管の先端217の表面積が固定されるため、ファーフィールド408におけるSNR減少は、「r2乗(r-square)」損失によって支配される。
図4bは、一実施例によって、ファーフィールド408でSNR曲線410の形状をもたらす1/r2乗損失を示す曲線411の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位の距離であり、垂直軸407は、単位がないパワー損失である。
【0068】
ニアフィールド406における、SNRの1次ドライバー(Primary Driver)は、コリメート光学器機229によって先端217にフォーカシングされる前のコリメートされたリターンビーム291の直径である。
図4cは、一実施例によって、スキャニングなしの
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’でリターンビーム291に対するコリメートされたビーム直径対距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸405は、メートル(m)単位のリターンビーム291の直径である。一実施例において、曲線414は、リターンビーム291が光導波管の先端217でフォーカシングされる前にコリメート光学器機229に入射するコリメートされたリターンビーム291の直径を示す。曲線414は、コリメート光学器機229に入射するコリメートされたリターンビーム291の直径が増加するターゲット距離に応じて増加することを示す。
【0069】
一実施例において、ニアフィールド406でコリメートされたリターンビーム291の直径がより大きなターゲット距離で増加するにつれて、先端217でコリメート光学器機229によってフォーカシングされるリターンビーム291の直径は縮小する。
図4dは、一実施例によって、スキャニングなしの
図2dまたは
図2eないし
図2hのシステムで送信された信号についての先端217でのリターンビーム291の収集効率に関連するSNR対距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。曲線416は、先端217でコリメート光学器機229によってフォーカシングされたリターンビーム291のニアフィールドSNRをターゲット距離に基づいて示す。ニアフィールド406内の近い距離におけるコリメート光学器機229によって先端217でフォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418aは、単一モード光ファイバー先端217のコアサイズよりも十分に大きい。したがって、収集効率に関連するSNRは、相対的に低い。ニアフィールド406内のより長い距離でコリメート光学器機229によって先端217でフォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418bは、イメージ418aよりもはるかに小さく、したがって、収集効率に起因するSNRは、より長い距離で増加する。一実施例において、曲線416は、ニアフィールド406でSNRがフォーカシングされたリターンビーム291のより長い距離で改善された収集効率に基づいて正の傾き(例えば、10メートル当たり+20dB)を有することを示している。1つの実施例において、ニアフィールドSNRでのこのような正の傾きは、「r-2乗」損失に起因する
図4bで議論されたニアフィールドSNRでの負の傾きを相殺させ、したがって、ニアフィールド406での曲線410の相対的に平坦な領域につながる。
図4dのSNR曲線416内の正の傾きは、ファーフィールド408まで延長されず、したがって、ファーフィールド408におけるSNR曲線410に示されたように、
図4bの「r-2乗」損失がファーフィールド408のSNRを支配する。
【0070】
図4aないし
図4dに係る議論においては、リターンビーム291のSNRをターゲット距離の関数として予想するが、
図4aないし
図4dで予想されるSNRは、これがスキャニング光学器機218のスキャンレート(Scan Rate)を考慮しないため、スキャンされたモノスタティックコヒーレントLIDARシステム200’、200’’の性能を完全に特徴化しない。一実施例において、リターンビーム291の往復移動遅延(Round Trip Delay)によって、ビームがスキャニング光学器機218によってスキャンされているときに、リターンビーム291の受信モードは、送信されたビーム205’の送信されたモードから左右にシフトするか、または「離脱(Walk Off)」するであろう。
図4eは、一実施例によって、
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’で様々なターゲット距離およびスキャン速度(例えば、ポリゴンスキャナ244a、244bの固定スキャン速度)についてのビーム離脱の一例を示すイメージである。水平軸402は、ターゲット距離であり、垂直軸422は、スキャニング光学器機218を用いたビームのスキャン速度である。
図4eが示すように、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418aが光ファイバー先端217に集中されて短いターゲット距離でビーム離脱がないことを示し、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418bも光ファイバー先端217に集中されて遠いターゲット距離でビーム離脱がないことを示すため、ビームがスキャンされないとき(下部行)には、ビーム離脱はない。ビームが中間スキャン速度でスキャニングされるとき(
図4eの中間行)、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418aと光ファイバー先端217との間に中間ビーム離脱419aが観察され、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ218bと光ファイバー先端217との間でより大きいビーム離脱419bが観察される。ビームが高いスキャン速度でスキャニングされるとき(
図4eの上部行)、中間スキャン速度のビーム離脱419aを超過するビーム離脱421aが短い距離で観察され、中間スキャン速度のビーム離脱419bを超過するビーム離脱421bが長い距離で観察される。したがって、ビーム離脱は、ターゲット距離とスキャン速度が増加するにつれて増加する。一実施例において、増加したターゲット距離は、時間遅延を誘発し、その間にイメージ418a、418bは、光ファイバーコアの先端217から遠く移動する。したがって、モード重畳のモデルは、この離脱を適切にみなす。1つの実施例において、このようなモデルは、ビーム離脱419をイメージ418の直径に基づいて(例えば、イメージ418の直径の半分よりも大きくないように)制限するべきである。
【0071】
図4fは、一実施例によって
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’における様々なスキャンレートに対するカップリング効率対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸430は、単位がないカップリング効率である。一実施例において、カップリング効率は、ビーム離脱419に反比例する。第1曲線432aは、ビームのスキャニングがないことに基づいて光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291の様々なターゲット距離についてのカップリング効率を示す。カップリング効率は、広い範囲のターゲット距離について相対的に高く、一定の状態を保持する。第2曲線432bは、ビームの中間スキャンレートに基づいて光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291の様々なターゲット距離についてのカップリング効率を示す。一実施例において、中間スキャンレートでカップリング効率は、中間ターゲット距離(例えば、約120m)でピークに到逹した後、ターゲット距離が増加するにつれて減少する。第3曲線432cは、ビームの高いスキャンレートに基づいて光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のカップリング効率を様々なターゲット距離について示す。一実施例において、高いスキャンレートのカップリング効率は、低いターゲット距離(例えば、約80m)でピークに到逹した後、ターゲット距離が増加するにつれて減少する。
【0072】
図4fにおける曲線に基づくと、速すぎるスキャンは、結局一部のターゲット距離越しを見ることを不可能にすることができる。この場合に、フォーカシングされたリターンビーム291のイメージ418bは、光ファイバー先端217にカップリングされず、代わりに先端217の受信機モード(Receiver Mode)から完全に離脱する。
図4gは、一実施例によって、
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’で様々なスキャンレートに対するSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1曲線440aは、ビームがスキャンされないターゲット距離に基づいた光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のSNRをターゲット距離に基づいて示す。第2曲線440bは、ビームが中間スキャンレートでスキャンされるターゲット距離に基づいた光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のSNRをターゲット距離に基づいて示す。例示的な一実施例において、中間スキャンレートは、約2500度/秒(度毎秒)や、約1000度/秒ないし約4000度/秒の範囲内にまたは約500度/秒ないし約5000度/秒の範囲内にある。第3曲線440cは、ビームが高いスキャンレートでスキャンされるターゲット距離に基づいた光ファイバー先端217にフォーカシングされたリターンビーム291のSNRをターゲット距離に基づいて示す。例示的な一実施例において、高いスキャンレートは、約5500度/秒や、約4000度/秒ないし約7000度/秒の範囲内にまたは約3000度/秒ないし約8000度/秒の範囲内にある。一実施例において、中間スキャンレートと高いスキャンレートは、ビームの大きさとシステムの目的に基づく。一実施例において、中間スキャンレートと高いスキャンレートは、
図2iのスキャニング光学器機218のギア装置構造(Gearing Structure)に基づき、例えば、ポリゴンスキャナ244aが高いスキャン速度で回転し、ポリゴンスキャナ244bが中間スキャン速度で回転し、中間スキャンレートについての高いスキャンレートの比は、
図2iのギアの構造に基づく。例示的な一実施例において、前述した中間スキャンレートと高いスキャンレートの数値範囲は、約200メートル(m)の最大ターゲット距離までイメージをスキャンするために使用される約1センチメートル(cm)の直径を有するコリメートされたビームに基づく。
【0073】
ビームのスキャンレートに加えてリターンビーム291のSNRは、獲得システム240および/または処理システム250がリターンビーム291をサンプリングして処理する時間である累積時間によって影響を受ける。一部の実施例において、ビームは、離散角度(Discrete Angles)の間にスキャンされ、それぞれの離散角度でそれぞれの累積時間の間、角度範囲227内の離散角度で固定された状態、またはほぼ固定された状態に保持される。リターンビーム291のSNRは、累積時間の値とターゲット距離によって影響を受ける。前述のように、ビームの断面積は、ターゲット距離に応じて増加し、増加した大気散乱をもたらし、したがって、リターンビーム291の強度は、距離増加に応じて減少する。したがって、より長いターゲット距離からリターンビーム291について同じSNRを実現するためにより長い累積時間が必要である。
【0074】
図4hは、一実施例によって、
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’で様々な累積時間に対するSNR対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸404は、デシベル(dB)単位のSNRである。第1曲線450aは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291のSNR値を示し、ここで、システム200’、200’’は、第1累積時間(例えば、3.2μs)に設定される。第2曲線450bは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291のSNR値を示し、ここで、システム200’、200’’は、第2累積時間(例えば、1.6μs)に設定される。第3曲線450cは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291のSNR値を示し、ここで、システム200’、200’’は、第3累積時間(例えば、800ns)に設定される。第4曲線450dは、ターゲット距離にわたるリターンビーム291のSNR値を示し、ここで、システム200’、200’’は、第4累積時間(例えば、400ns)に設定される。曲線450は、固定されたターゲット距離について累積時間の増加に応じて増加したSNRが実現されることを示している。また、曲線450は、固定された累積時間についてリターンビーム291のSNRが以前に議論された理由で距離増加に応じて減少することを示している。一実施例において、LIDARシステム200’’は、固定された累積時間に関連するSNRがターゲット距離にわたるSNRしきい値452を超過するように、角度範囲227および結果的なターゲット距離におけるスキャニングのために固定された累積時間(例えば、1.6μs)を選択する。一部の実施例において、システム200’’は、それぞれの角度におけるターゲット距離を用いて角度範囲227内のそれぞれの角度で累積時間を最小化し、角度範囲227にわたって累積時間を最小化する。
図4iは、一実施例によって
図2dのシステム200’または
図2eないし
図2hのシステム200’’で測定速度(Measurement Rate)対ターゲット距離の一例を示すグラフである。水平軸402は、メートル(m)単位のターゲット距離であり、垂直軸474は、毎秒許容可能な測定回数単位の単位時間当たり許容可能な測定回数である。曲線476は、それぞれのターゲット距離における毎秒許容可能な測定回数を示す。一実施例において、曲線476は、累積時間の逆数、例えば、毎秒それぞれのターゲット距離で検出されることができるリターンビーム291の数を示し、累積時間は、それぞれのターゲット距離でリターンビーム291を処理するのにどのくらいの時間がかかるかを示す。また、曲線478が提供され、これは、それぞれのターゲット距離で毎秒許容可能な測定回数の良い目標である。曲線478は、与えられたADC(Analog to Digital Conversion)レートについての2の累乗間隔に基づく。曲線478は、デジタル化されたサンプルの数が2の累乗であるとき、このような長さ信号についての高速フーリエ変換がより効率的であるため、毎秒許容可能な測定回数の良い目標を示す。
5.車両制御概要
【0075】
一部の実施例において、車両は、車両に取り付けられた高解像度ドップラーLIDARシステムから受信されたデータに基づいて車両が少なくとも部分的に制御される。
【0076】
図3aは、一実施例によって車両310に取り付けられた少なくとも1つの高解像度ドップラーLIDARシステム320を含む例示的なシステム301を示すブロック図である。LIDARシステム320は、LIDARシステム200、200’、200’’の特徴を含み得る。車両は、星311に表示された質量中心を有し、矢印313によって与えられた前方方向に移動する。一部の実施例において、車両310は、処理システム250の車両制御モジュール272のようなプロセッサの信号に応答して動作される操向または制動システム(図示せず)のようなコンポーネントを含む。一部の実施例において、車両は、
図8に示されたチップセットのようなオン-ボード(On-Board)プロセッサ314を有する。一部の実施例において、オン-ボードプロセッサ314は、
図7に示されたように、遠隔プロセッサと有線または無線で通信する。一実施例において、LIDARシステムの処理システム250がオン-ボードプロセッサ314と通信可能に結合されたり、LIDARの処理システム250は、車両制御モジュール272が処理システム250にとって車両の方向および速度を制御するために車両の操向または制動システムに1つ以上の信号を送信するように、オン-ボードプロセッサ314の動作を実行するのに使用される。高解像度ドップラーLIDARは、方位角視野324だけでなく、車両310周辺のスポット(Spots)を照明する垂直角度(
図3b)を介して一方の側から将来(Future)のビーム323によって表示される他の側にスイープ(Sweep)するスキャニングビーム322を使用する。一部の実施例において、視野は、360度の方位角である。一部の実施例において、傾斜角の視野は、約+10度ないし約-10度か、もしくはこれの部分集合である。一実施例において、視野324は、上部スキャン領域262と下部スキャン領域264を含む。この実施例において、スキャニングビーム322は、
図2eおよび
図2fまたは
図2gおよび
図2hのシステム200’’のビーム233’’と類似の方式でスキャンされ、例えば、スキャニングビーム322は、第2ポリゴンスキャナ244bによって上部スキャン領域262内の視野324にわたってスキャンされ、スキャニングビーム322は、また第1ポリゴンスキャナ244aによって下部スキャン領域264内の視野324にわたってスキャンされる。
図2eおよび
図2fのシステム200’’のような1つの例示的な実施例において、スキャニングビーム322は、分離された期間で上部スキャン領域262と下部スキャン領域264にわたってスキャニングされる。
図2gおよび
図2hのシステム200’’のような他の例示的な実施例において、スキャニングビーム322は、上部スキャン領域262と下部スキャン領域264にわたって同時にスキャンされる。他の例示的な実施例において、スキャニングビーム322は、上部スキャン領域262と下部スキャン領域264にわたって反対方向にスキャンされる(カウンタースキャン)。
【0077】
一部の実施例において、車両は、GPSセンサ、走行距離計(Odometer)、回転速度計(Tachometer)、温度センサ、真空センサ、電圧または電流センサのような補助的なセンサ(図示せず)を含む。一部の実施例において、回転情報を提供するためにジャイロスコープ330が含まれる。
【0078】
図3bは、一実施例によって、車両310に取り付けられた少なくとも1つの高解像度LIDARシステム320を含む例示的なシステム301’を示すブロック図である。LIDARシステム320は、システム200またはシステム200’の特徴を含み得る。車両310は、矢印313に基づく前方方向に地面349(例えば、道路)上に移動し得る。一実施例において、ビーム233’がポリゴンスキャナ244aによって第1角度から第2角度にスキャンされる下部スキャン領域264を定義する第1平面235が示される。また、ビーム233’がポリゴンスキャナ244bによって第1角度から第2角度にスキャンされる上部スキャン領域262を定義する第2平面237が示される。一実施例において、システム200’’は、上限347と交差する第1平面235’にわたってビーム233’をスキャンするのに使用できる。この例示的な実施例において、スキャニング光学器機218は、第1ポリゴンスキャナ244aが第2ポリゴンスキャナ244bの上に位置し、第1ポリゴンスキャナ244が第1平面235’にわたってビームをスキャンするように、
図2jに示された配列から反転されたものである。1つの実施例において、第1平面235、235’は、地面349および上限347と整列せず、代わりに角度の範囲内に(例えば、矢印313の±10度以内および/または第2平面237の±10度以内に)指向される。
【0079】
システム301’を設計することにおいて、それぞれの平面235、237でビームのあらかじめ定められた最大設計距離が決定され得、それぞれの平面235、237における最大予想ターゲット距離を示し得る。1つの実施例において、あらかじめ定められた最大設計距離は、それぞれの平面235、237について固定された値または固定された範囲の値である。一実施例において、第1平面235は、地面349に向かって指向され、車両310からの一部最大設計距離内で地面349と交差する。したがって、第1平面235について、システム320は、地面349を超えて位置するターゲットを考慮しない。一実施例において、第1平面235は、矢印313について約-15度か、約-25度ないし約-10度の範囲内にある角度を形成し、最大設計距離は、約4メートル(m)か、約1mないし約10mの範囲内にあるか、または約2mないし約6mの範囲内にある。一実施例において、第1平面235’が空に向かって指向され、車両310からの一部最大設計距離内で上限347を交差する。したがって、第1平面235’についてシステム320は、上限347の上に位置したターゲットを考慮しない。一実施例において、上限347は、(例えば、0mの高度を定義する)地面349から約12mの高度または約8mないし15mの範囲内の高度におり、第1平面235’は、矢印313について約15度か、約10度ないし約20度の範囲内にある角度を形成し、最大設計距離は、約7mか、約4mないし約10mの範囲内にあるか、または約1mないし約15mの範囲内にある。
【0080】
一実施例において、第2平面237は、矢印313とほぼ平行に指向され、車両310から最大設計距離に位置するターゲット343と交差する。1つの例示的な実施例において、
図3bは、尺度に合わせて作図されておらず、ターゲット343は、示されたものよりも車両310からはるかに遠い距離に位置する。この説明の目的であって、「ほぼ平行に(About Parallel)」は、矢印313の約±10度以内または約±15度以内を意味する。例示的な一実施例において、第2平面237内のターゲット343の最大設計距離は、約200mか、約150mないし約300mの範囲内にあるか、または約100mないし約500mの範囲内にある。
6.コヒーレントLIDARシステムでスキャンパターンを最適化するための方法
【0081】
図5は、自律走行車でLIDARシステムのスキャンパターンを最適化するための例示的な方法500を示すフローチャートである。ステップが
図5および
図6で例示的目的で特定手順による統合ステップとして示されるが、1つ以上のステップまたはその一部は、異なる手順で行われるか、直列または並列に時間的に重畳して行われたり、省略されたりすることができ、または複数の追加のステップが追加されたり、方法がいくつかの組み合わせ方式に変更される。
【0082】
ステップ501において、ターゲット距離の値に基づいてターゲットによって反射され、LIDARシステムによって検出された信号の第1SNR値を示すデータがプロセッサから受信され、第1SNR値は、LIDARシステムのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。一実施例において、ステップ501におけるデータは、システム200’’内の光ファイバー先端217上にフォーカシングされたリターンビーム291の第1SNR値である。一実施例において、データは、リターンビーム291のSNR値を示す曲線440aおよび/または曲線440bおよび/または曲線440cの値を含み、それぞれの曲線440は、ビームのスキャンレートのそれぞれの値についてのものである。一部の実施例において、データは、曲線440a、440b、440cに限定されず、
図4gに示されたものよりも少ないか、または多くの曲線のSNR値を含み、それぞれのSNR曲線は、スキャンレートのそれぞれの値に基づく。一部の実施例において、データは、スキャンレートのそれぞれの個別値(Each Respective Value)についてターゲット距離にわたって曲線を形成するのに使用できるSNR値を含む。例示的な一実施例において、ステップ501におけるデータは、処理システム250のメモリに格納され、第1SNR値のそれぞれの集合は、LIDARシステムのスキャンレートの関連する値とともに格納される。1つの実施例において、ステップ501における第1SNR値は、(例えば、自動車の場合)約0メートルないし約500メートルの範囲にわたって、または(例えば、飛行中の飛行体の場合)約0メートルないし約1000メートルの範囲で約2000度/秒ないし約6000度/秒または約1000度/秒ないし約7000度/秒の範囲内のスキャンレート値に対して獲得される。一部の実施例において、第1SNR値は、あらかじめ決定され、ステップ501でプロセッサによって受信される。他の実施例において、第1SNR値は、LIDARシステムによって測定された後に、ステップ501でプロセッサによって受信される。1つの実施例において、データは、入力装置712を用いてステップ501で入力され、および/または近距離通信網780、インターネット790または外部サーバー792からネットワークリンク778を介して処理システム250のメモリ704にアップロードされる。
【0083】
ステップ503において、ターゲットの距離の値に基づいてターゲットによって反射され、LIDARシステムによって検出された信号の第2SNR値を示すデータがプロセッサから受信され、第2SNR値は、LIDARシステムの累積時間のそれぞれの値についてのものである。一実施例において、ステップ503におけるデータは、ビームが獲得システム240および/または処理システム250によってそれぞれの累積時間についてのシステム200’’でフォーカシングされたリターンビーム291の第2SNR値である。1つの実施例において、データは、リターンビーム291のSNR値を示す曲線450aおよび/または曲線450bおよび/または曲線450cおよび/または曲線450dの値を含み、それぞれの曲線450は、ビームが獲得システム240および/または処理システム250によって処理される累積時間のそれぞれの値についてのものである。一部の実施例において、データは、曲線450a、450b、450c、450dに限定されず、
図4hに示されたものよりも少ないか、またはより多い曲線を含み、それぞれのSNR曲線は、累積時間のそれぞれの値に基づく。一部の実施例において、データは、曲線である必要はなく、代わりに累積時間のそれぞれの個別値についてターゲット距離にわたって曲線を形成するのに使用されるSNR値である。一実施例において、ステップ503におけるデータは、処理システム250のメモリに格納され、第2SNR値のそれぞれの集合は、LIDARシステムの累積時間の関連する値とともに格納される。1つの実施例において、ステップ503における第2SNR値は、(例えば、自動車の場合)約0メートルないし約500メートルの範囲にわたって、または(例えば、飛行中の飛行体の場合)約0メートルないし約1000メートルの範囲で約100ナノ秒(ns)ないし約5マイクロ秒(μs)の累積時間値に対して獲得される。一部の実施例において、第2SNR値は、あらかじめ定められ、ステップ503でプロセッサによって受信される。一部の実施例において、第2SNR値は、LIDARシステムによって測定された後に、ステップ503でプロセッサによって受信される。1つの実施例において、データは、入力装置712を用いてステップ503で入力され、および/または近距離通信網780、インターネット790または外部サーバー792からネットワークリンク778を介して処理システム250のメモリ704にアップロードされる。
【0084】
ステップ505において、角度範囲324を定義する第1角度および第2角度を示すデータがプロセッサから受信される。1つの実施例において、ステップ505における第1角度および第2角度は、第1平面235によって定義される(例えば、第1および第2角度が矢印313について測定される)下部スキャン領域264の角度範囲324を定義する。他の実施例において、ステップ505における第1角度および第2角度は、第2平面237によって定義される上部スキャン領域262の角度範囲324を定義する。一実施例において、第1角度および第2角度は、矢印313について対称であり、例えば、第1角度および第2角度は、同じであるが、互いに反対である。一実施例において、第1角度および第2角度は、矢印313について約±60度であり、例えば、矢印313についての約±60度が角度範囲324を定義する。一部の実施例において、第1および第2角度は、矢印313について約±30度、約±40度および約±50度である。1つの実施例において、ステップ501、503および505は、1つのステップで同時に行われ、ここで、ステップ501、503および505のデータは、1つの同時ステップでプロセッサによって受信される。
【0085】
ステップ507において、上部および下部スキャン領域262、264を定義するそれぞれの平面235、237に沿ってターゲットの最大設計距離を示すデータがプロセッサから受信される。一実施例において、ステップ507で受信された最大設計距離は、上部および下部スキャン領域262、264を定義するそれぞれの平面235、237について固定された値または固定された範囲の値である。1つの実施例において、ステップ507における第1平面235についての最大設計距離は、約1mないし約15mまたは約4mないし約10mの範囲内にある。一部の実施例において、ステップ507における第2平面237についての最大設計距離は、約150mないし約300mの範囲または約100mないし約400mの範囲内にある。
【0086】
1つの例示的な実施例において、ステップ507のデータは、入力装置712(例えば、マウスまたはポインティング装置716)を用いて入力され、および/またはネットワークリンク778を介して処理システム250にアップロードされる。一部の実施例において、最大設計距離は、あらかじめ定められ、ステップ507の間に受信される。一部の実施例において、システム200、200’、200’’は、それぞれの平面235、237で最大設計距離を測定するために使用された後に、それぞれの平面235、237における最大設計距離は、処理システム250によってステップ507で受信される。
【0087】
ステップ509において、LIDARシステムのSNRが最小SNRしきい値よりも大きいように、LIDARシステムの最大スキャンレートが第1平面235で決定される。第1平面235における、その平面についての最大設計距離がステップ507で受信されたデータに基づいて先に決定される。次に、ステップ501で受信された第1SNR値が第1平面235における最大設計距離について決定され、前記第1SNR値のいずれが最小SNRしきい値を超過するのかがさらに決定される。1つの実施例において、曲線440a、440b、440cの値が最大設計距離(例えば、約120m)について決定され、曲線440a、440bの値は、最小SNRしきい値442を超過することがさらに決定される。最小SNRしきい値を超過する第1SNR値のうち、最大スキャンレートを有する第1SNR値が選択され、平面235についての最大スキャンレートがステップ509で決定される。前記実施例において、最大設計距離(例えば、約120m)で最小SNRしきい値442を超過する曲線440a、440bの値のうち、曲線440b値が最大スキャンレートとして選択され、ステップ509で平面235についての最大スキャンレート(例えば、曲線440bに関連する中間スキャンレート)が決定される。ステップ511において、ステップ509が繰り返されるが、第2平面237についての最大スキャンレートが決定される。
【0088】
一実施例において、
図4gは、より小さな最大設計距離を有する第1平面235に対してステップ509で決定された最大スキャンレート(例えば、曲線440cに基づく速いスキャンレート)がステップ511で決定されたより大きな最大設計距離を有する第2平面237についての最大スキャンレート(例えば、曲線440bに基づく中間スキャンレート)よりも大きいことを示す。したがって、(例えば、下部スキャン領域264に沿って第1平面235からビーム233’をスキャンする)第1ポリゴンスキャナ244aの回転速度は、(例えば、上部スキャン領域262に沿って第2平面237からビーム233’をスキャンする)第2ポリゴンスキャナ244bの回転速度よりも大きく設定される。例示的な一実施例において、スキャニング光学器機218のギア装置構造(
図2i)は、第2ポリゴンスキャナ244bの回転速度に対する第1ポリゴンスキャナ244aの回転速度の比がステップ509および511に基づいて適切な値を有するように配列される。一実施例において、ステップ509および511で最大スキャンレートを決定するステップは、光ファイバー先端217上のリターンビーム291のビーム離脱419(
図4e)が先端217上のリターンビーム291のイメージ418の直径の比よりも小さいことを保証する。例示的な一実施例において、比は、約0.5か、約0.3ないし約0.7の範囲内にある。
【0089】
ステップ513において、LIDARシステムのSNRが最小SNRしきい値よりも大きいように、第1平面235におけるLIDARシステムの最小累積時間が決定される。第1平面235において、その平面についての最大設計距離がステップ507で受信されたデータに基づいて先に決定される。次に、ステップ503で受信された第2SNR値が第1平面235における最大設計距離に対して決定され、前記第2SNR値のいずれが最小SNRしきい値を超過するのかがさらに決定される。1つの実施例において、曲線450a、450b、450c、450dの値が最大設計距離(例えば、約120m)に対して決定され、曲線450a、450b、450cの値が最小SNRしきい値452を超えていると決定される。最小SNRしきい値を超過する第2SNR値のうち、最小累積時間を有する第2SNR値が選択され、その平面235についての最小累積時間がステップ513で決定される。前記実施例において、最大設計距離(例えば、約120m)で最小SNRしきい値452を超過する曲線450a、450b、450cの値のうち、曲線450cの値が最小累積時間を有するものとして選択され、平面235についての最小累積時間(例えば、約800ns)がステップ511で決定される。ステップ515は、第2平面237についての最小累積時間を決定するためにステップ513を繰り返すことを含む。
【0090】
ステップ517において、ステップ509の最大スキャンレートとステップ513の最小累積時間に基づいて下部スキャン領域264のスキャンパターンがLIDARシステムによって定義される。一実施例において、最大スキャンレートおよび最小累積時間は、下部スキャン領域264にわたって固定される。例示的な一実施例において、スキャンパターンは、処理システム250のメモリ(例えば、メモリ704)に格納される。ステップ519において、上部スキャン領域262のスキャンパターンがステップ511の最大スキャンレートとステップ515の最小累積時間に基づいて定義される。
【0091】
ステップ521において、LIDARシステムは、ステップ517および519で決定されたスキャンパターンに応じて動作する。一実施例において、ステップ519におけるLIDARシステムのビームは、下部スキャン領域264および上部スキャン領域262にわたって視野324内にスキャンされる。一部の実施例において、ステップ521は、
図2eおよび
図2fのシステム200’’を用いて、スキャナ241が第1ポリゴンスキャナ244aから第2ポリゴンスキャナ244bにビーム233を移動させることによって、ビーム233’を下部スキャン領域264と上部スキャン領域262にわたって順次にスキャンすることを含む。他の実施例において、ステップ521は、
図2gおよび
図2hのシステム200’’を用いて、下部スキャン領域264および上部スキャン領域262にわたってビーム233’を同時にスキャンすることを含む。一実施例において、ステップ521におけるビーム233’が反対方向にスキャンされるため、ビーム233’は、上部スキャン領域262および下部スキャン領域264にわたってカウンタースキャンされる。これは有利には、スキャナ244a、244bのカウンターローテーション(Counter Rotation)によってステップ521の間、スキャニング光学器機218の慣性が変化したことに起因して純結果モーメント(Net Resulting Moment)を改善する。一実施例において、ステップ521におけるビームは、1つ以上のサイクルの間、上部スキャン領域262と下部スキャン領域264を介してスキャンされ、それぞれの領域262、264でビームのスキャンレートは、その領域262、264(例えば、平面235、237)についてのスキャンパターンで最大スキャンレートであり、それぞれの領域262、264でLIDARシステムの累積時間は、その領域262、264(例えば、平面235、237)についての最小累積時間である。
【0092】
ステップ521の間またはその後に、プロセッサは、ステップ521の間、LIDARシステムによって収集されたデータに少なくとも部分的に基づいて車両310を作動させることができる。1つの実施例において、LIDARシステムの処理システム250および/または車両310のプロセッサ314は、ステップ521でLIDARシステムによって収集されたデータに基づいて車両の操向および/または制動システムに1つ以上の信号を送信する。1つの例示的な実施例において、処理システム250は、LIDARデータに応答し、車両310の位置を制御するために車両310の操向または制動システムに1つ以上の信号を送信する。一部の実施例において、処理システム250は、ステップ521で収集されたLIDARデータに基づいて車両310のプロセッサ314に1つ以上の信号を送信し、これによって、プロセッサ314は、車両310の操向および制動システムに1つ以上の信号を送信する。
【0093】
図6は、一実施例によって自律車でLIDARシステム200’’を作動させるための例示的な方法600を示すフローチャートである。ステップ601でビーム201は、レーザーソース212から生成される。一実施例において、ステップ601におけるビーム201は、送信導波管225内にカップリングされ、導波管225の先端217から送信される。一部の実施例において、ステップ601でビーム201は、ビームスプリッタ(図示せず)を使用して分割され、個別ビームは、導波管225a、225b内に指向され、導波管225a、225bの先端217から送信される。一部の実施例において、ステップ601で2つのレーザーソース212が提供され、それぞれのレーザーソース212は、それぞれの導波管225a、225bに指向されるそれぞれのビーム201を生成する。
【0094】
ステップ603において、ビームは、コリメータ229を用いて作られ、コリメートされたビーム205’を形成する。一実施例において、ステップ603におけるビームは、コリメータ229を用いて作られ、第3平面234(例えば、
図2eおよび
図2gの平面)内に指向されたコリメートされたビーム205’を形成する。一部の実施例において、ステップ603で個別ビームが導波管225a、225bの先端217から送信され、それぞれのコリメータ229a、229bは、ビームを第3平面234(例えば、
図2gの平面)内に指向されたそれぞれのコリメートされたビーム205’にコリメートする。一実施例において、ステップ603におけるコリメートされたビーム205’は、ポリゴンスキャナ244a、244bのいずれかに向かう方向(
図2eおよび
図2f)またはポリゴンスキャナ244a、244bの両方に向かう方向(
図2gおよび
図2h)に第3平面234内で指向される。
【0095】
ステップ605において、ステップ603から生成されたコリメートされたビーム205’の方向は、第1ポリゴンスキャナ244aを用いて第1平面235で第1角度から第2角度に調整される。一実施例において、ステップ605におけるビーム233’は、回転軸243を中心にした第1ポリゴンスキャナ244aの回転に基づいて下部スキャン領域264にわたってスキャンされる。一実施例において、ステップ605におけるスキャナ241は、第1ポリゴンスキャナ244aを用いて第1角度から第2角度にビーム233’をスキャンするのに十分な期間の間、第1ポリゴンスキャナ244aのファセット245上にビーム233を指向させる。例示的な一実施例において、システム301’について、ステップ605は、地面349に向かって指向された第1平面235にわたって第1角度から第2角度にビーム233’をスキャンすることを含む。
【0096】
ステップ607において、ステップ605における第1平面235内でビーム233’の方向を調整することに基づいて1つ以上のリターンビーム291がシステム200’’の導波管の先端217から受信される。一実施例において、ステップ607におけるリターンビーム291は、下部スキャン領域264にわたってターゲットまでの距離を決定するためにシステム200’’によって処理される。例示的な一実施例において、ステップ607におけるリターンビーム291は、第1平面235内でスキャンされたビーム233’の方向を調整することに基づいて地面349(または、地面349上のターゲット)から反射する。
【0097】
ステップ609におけるビーム205’の方向は、第3平面234(
図2eの平面)内で第1ポリゴンスキャナ244aから第2ポリゴンスキャナ244bに調整される。一実施例において、ステップ609におけるビーム205’の方向は、ビーム205’が第1ポリゴンスキャナ244aのファセット245上にあるとき、ステップ605および607が行われるほど十分に遅い連続スキャン速度でスキャナ241を用いて調整される。一実施例において、ステップ609におけるビーム205’の方向は、スキャナ244a、244bの間で0ではないスキャン速度でスキャナ241を用いて調整され、(スキャナ244aについての)ステップ605および607または(スキャナ244bについての)ステップ611および613が行われるまでそれぞれのスキャナ244a、244bに固定保持される。個別ビーム205’が個別ポリゴンスキャナ244a、244b上に送信される一部の実施例(例えば、
図2gおよび
図2h)において、ステップ609は、省略される。
【0098】
ステップ611において、ステップ603で生成されたコリメートされたビーム205’の方向は、第2ポリゴンスキャナ244aを用いて第2平面237内で第1角度から第2角度に調整される。一実施例において、ステップ611におけるビーム233’は、回転軸243を中心にした第2ポリゴンスキャナ244bの回転に基づいて上部スキャン領域262にわたってスキャンされる。一実施例において、ステップ611におけるスキャナ241は、第2ポリゴンスキャナ244bを用いてビーム233’を第1角度から第2角度にスキャンするのに十分な期間の間、ビーム233を第2ポリゴンスキャナ244bのファセット245上に指向させる。例示的な一実施例において、システム301’の場合、ステップ611は、(例えば、約150mないし約400mの最大距離にある)地面349上のターゲット343に向かって指向された第2平面237にわたって第1角度から第2角度にビーム233’をスキャンすることを含む。一実施例において、ステップ611における第2平面237内でビーム233’を調整する方向は、ステップ605における第1平面235内でビーム233’を調整する方向と反対である。
【0099】
ステップ613において、ステップ611における第2平面237内でビーム233’の方向を調整することに基づいて1つ以上のリターンビーム291がシステム200’’の導波管の先端217から受信される。一実施例において、ステップ613におけるリターンビーム291は、上部スキャン領域262にわたってターゲットまでの距離を決定するためにシステム200’’によって処理される。例示的な一実施例において、ステップ613におけるリターンビーム291は、第2平面237内でスキャンされたビーム233’の方向を調整することに基づいてターゲット343から反射する。
【0100】
ステップ615において、第1平面235および/または第2平面237内でビーム233’のより多くのスワイプ(Swipe)が行われるかの可否が決定される。一実施例において、ステップ615は、第1平面235および/または第2平面237内のビーム233’のスワイプ回数を(例えば、メモリ704に格納される)第1平面および/または第2平面237内のビーム233’のあらかじめ定められたスワイプ回数と比べることを含む。ビーム233’の追加スワイプが行われるべき場合、方法600は、ステップ605に戻る。ビーム233’の追加スワイプが実行されない場合、方法600は終了する。一実施例において、ポリゴンスキャナ244a、244bは、方法600のステップの間、固定された速度で連続的に回転する。一実施例において、方法600が終了するとき、処理システム250は、スキャナの回転を停止させるためにポリゴンスキャナ244a、244bに信号を送信する。
【0101】
一実施例において、方法600は、ステップ607および611で受信されたリターンビームデータに基づいて第1平面235および/または第2平面237内のターゲットまでの距離を決定するステップをさらに含む。さらに、1つの実施例において、方法600は、第1および第2平面235、237内のターゲットまでの距離に基づいて車両310の1つ以上のシステムを調整するステップを含む。例示的な一実施例において、方法600は、ステップ607および611でリターンビームデータから決定されたターゲット距離データに基づいて車両310の操向システムおよび/または制動システムのうち、1つ以上を調整するステップを含む。
7.コンピュータハードウェア概要
【0102】
図7は、コンピュータシステム700を示すブロック図である。コンピュータシステム700は、コンピュータシステム700の他の内部および外部コンポーネントの間に情報を伝達するためのバス710のような通信メカニズムを含む。情報は、典型的には、電圧である測定可能な現状の物理的信号として表されるが、他の実施例では、磁気相互作用、電磁相互作用、圧力相互作用、化学相互作用、分子原子相互作用および量子相互作用のような現象を含む。例えば、N極およびS極磁場、または0の電圧および非ゼロの電圧は、2進数(ビット)の2つの状態(0、1)を示す。他の現象は、より高いベースの数を示し得る。測定前に複数の同時量子状態の重畳は、量子ビット(クビット)を示す。1つ以上の数字シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。一部の実施例において、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近接連続体(Near Continuum)に表示される。コンピュータシステム700またはその一部は、本明細書に説明された1つ以上の方法のうち、1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0103】
2進数シーケンスは、数字または文字についてのコードを示すのに使用されるデジタルデータを構成する。バス710は、情報がバス710に連結された装置の間に迅速に送信されるように、多くの並列情報コンダクタ(Parallel Conductors of Information)を含み得る。情報を処理するための1つ以上のプロセッサ702がバス710と結合される。プロセッサ702は、情報についての一連の動作を行う。一連の動作は、バス710から情報を取得することおよびバス710上に情報を配置することを含む。また、一連の動作は、通常、2つ以上の情報単位の比較、情報単位の位置シフト、加算または乗算のような2つ以上の情報単位の結合を含む。プロセッサ702によって行われる動作シーケンスは、コンピュータ命令語を構成する。
【0104】
また、コンピュータシステム700は、バス710に結合されたメモリ704を含む。ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)または、他の動的格納装置のようなメモリ704は、コンピュータ命令語を含む情報を格納する。動的メモリは、その中に格納された情報がコンピュータシステム700によって変更されるようにする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる位置に格納された情報単位が隣接するアドレスの情報と独立して格納され、検索されるようにする。また、メモリ704は、コンピュータ命令語の実行中に臨時値を格納するためにプロセッサ702によって使用される。また、コンピュータシステム700は、読み取り専用メモリ(Read Only Memory、ROM)706またはコンピュータシステム700によって変更されない命令語を含む靜的情報を格納するためにバス710に結合された他の靜的格納装置を含む。また、コンピュータシステム700がオフになったり、それとも電源が損失されるときにも持続する命令語を含む情報を格納するための磁気ディスクまたは光ディスクのような不揮発性(永久)格納装置708がバス710に結合され得る。
【0105】
命令語を含む情報は、人間のユーザーによって操作される文字と数字のキーを含むキーボードのような外部入力装置712またはセンサからプロセッサによる使用のためにバス710に提供される。センサは、その周辺の状態を検出し、このような検出をコンピュータシステム700で情報を表すために使用される信号と互換可能な信号に変換する。主に人間と相互作用するために使用されるバス710に結合された他の外部装置は、イメージを提供するためのCRT(Cathode Ray Tube)または液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置714を含み、ディスプレイ714に提供される小さなカーソルイメージの位置を制御し、ディスプレイ714上に提供されるグラフィック要素に関連する命令を発行するためのマウスまたはトラックボールまたはカーソル方向キーのようなポインティング装置716を含む。
【0106】
図示された実施例において、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)720のような特殊目的のハードウェアがバス710に結合される。特殊目的のハードウェアは、特別な目的のためにプロセッサ702によって迅速に実行されない動作を十分に迅速に実行するように構成される。ASICの例は、ディスプレイ714のためのイメージを生成するためのグラフィックス加速器カード、ネットワークを介して送信されたメッセージを暗号化および復号化するための暗号化ボード(Cryptographic Board)、音声認識およびハードウェア内でより効率的に実装されている一部の複雑な一連の動作を繰り返しに行うロボットアーム(Robotic Arm)および医療スキャニング装備のような特別な外部装置とのインターフェースを含む。
【0107】
また、コンピュータシステム700は、バス710に連結された通信インターフェース770の1つ以上の例を含む。通信インターフェース770は、プリンター、スキャナおよび外部ディスクのような独自のプロセッサで動作する様々な外部装置についての双方向通信結合を提供する。一般的に、カップリングは、独自のプロセッサを有する様々な外部装置が接続されるローカルネットワーク780に接続されるネットワークリンク778を用いて行われる。例えば、通信インターフェース770は、パーソナルコンピュータ上の並列ポートまたは直列ポートまたはUSB(Universal Serial Bus)ポートであり得る。一部の実施例において、通信インターフェース770は、ISDN(Integrated Services Digital Network)カードまたはDSL(Digital Subscriber Line)カードまたは対応するタイプの電話回線への情報通信連結を提供する電話モデムである。一部の実施例において、通信インターフェース770は、バス710上の信号を同軸ケーブルを介する通信連結のための信号または光ファイバーケーブルを介する通信連結のための光信号に変換するケーブルモデムである。他の例として、通信インターフェース770は、イーサネット(Ethernet)のような互換可能な近距離通信網(Local Area Network、LAN)へのデータ通信連結を提供するLANカードであり得る。また、無線リンクが具現できる。電波(Radio Wave)、光波(Optical Wave)および赤外線波(Infrared Wave)を含む音波および電磁波のような搬送波は、ワイヤまたはケーブルなしで空間を通過する。信号は、振幅、周波数、位相、偏光または搬送波の他の物理的特性の人工的な変化を含む。無線リンクについて、通信インターフェース770は、デジタルデータのような情報ストリームを運搬する赤外線および光信号を含む電気、音響または電磁信号を送受信する。
【0108】
本明細書において、コンピュータ読み取り可能な媒体という用語は、実行のための命令語を含む情報をプロセッサ702に提供するのに参与する任意の媒体を指すのに使用される。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および送信媒体を含むが、ここに限定されない様々な形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、格納装置708のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリ704を含む。送信媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブルおよび電波、光波および赤外線波を含む音波および電磁波のような、有線またはケーブルなしで空間を通過する波を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な格納媒体という用語は、送信媒体を除外し、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0109】
コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えばフロッピーディスク、フレキシブル(Flexible)ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)または他の光媒体、パンチカード、ペーパーテープ、またはホールパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、プログラム可能なROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、FLASH(登録商標)-EPROM、または他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な非一時的な(Non-Transitory)格納媒体という用語は、搬送波および他の信号を除外し、プロセッサ702に情報を提供するのに参与する任意の媒体を指すために使用される。
【0110】
1つ以上の有形の媒体(Tangible Media)内にエンコードされたロジッグは、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上のプロセッサ命令語およびASIC720のような特殊目的のハードウェアのうち、いずれかまたは両方を含む。
【0111】
ネットワークリンク778は、通常、情報を使用するか、または処理する他の装置への1つ以上のネットワークを介する情報通信を提供する。例えば、ネットワークリンク778は、ローカルネットワーク780を介してホストコンピュータ782またはインターネットサービス提供者(ISP)によって運営される装備784に連結を提供し得る。ISP装備784は、現在に一般的にインターネット790と呼ばれるネットワークの公開的かつ全世界的なパケット交換通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバー792と呼ばれるコンピュータは、インターネットを介して受信された情報に応答してサービスを提供する。例えば、サーバー792は、ディスプレイ714でプレゼンテーションするためのビデオデータを表す情報を提供する。
【0112】
コンピュータシステム700は、メモリ704に含まれた1つ以上の命令語の1つ以上のシーケンスを行うプロセッサ702に応答して本明細書に説明された様々な技術を具現できる。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれるこのような命令語は、格納装置708のような他のコンピュータ読み取り可能な媒体からメモリ704に読み込まれることができる。メモリ704に含まれた命令語シーケンスの実行は、プロセッサ702にとって本明細書に説明された方法のステップを行うようにする。代替的な実施例において、ASIC720のようなハードウェアが本発明を具現するためにソフトウェアの代わりにまたはソフトウェアとともに使用できる。したがって、本発明の実施例は、ハードウェアとソフトウェアの任意の特定組み合わせに制限されない。
【0113】
ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介する他のネットワークを介して送信された信号は、コンピュータシステム700に、そして、それから情報を運搬する。コンピュータシステム700は、他のものの中でも、ネットワーク780、790を介して、ネットワークリンク778および通信インターフェース770を介して、プログラムコードを含む情報を送受信し得る。インターネット790を用いる一例において、サーバー792は、インターネット790、ISP装備784、ローカルネットワーク780および通信インターフェース770を介して、コンピュータ700から送信されたメッセージによって要請された特定アプリケーションのためのプログラムコードを送信する。受信されたコードは、受信されるときにプロセッサ702によって行われるか、後で実行するために格納装置708または他の不揮発性格納装置に格納されるか、またはその両方であり得る。このような方式において、コンピュータシステム700は、搬送波上の信号の形態でアプリケーションプログラムコードを得られる。
【0114】
様々な形態のコンピュータ読み取り可能な媒体は、実行のためにプロセッサ702に命令語またはデータ、またはこの両方の1つ以上のシーケンスを運搬するのに関連し得る。例えば、命令語およびデータは、初期にホスト782のような遠隔コンピュータの磁気ディスク上に運搬され得る。遠隔コンピュータは、命令語およびデータをその動的メモリにローディングし、モデムを使用して電話回線を介して命令語およびデータを送信する。コンピュータシステム700にローカルモデムは、電話回線上で命令語およびデータを受信し、赤外線送信機を使用して命令語およびデータをネットワークリンク778の役割をする赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース770の役割をする赤外線検出器は、赤外線信号内に運搬された命令語およびデータを受信し、命令語およびデータを表す情報をバス710上に位置させる。バス710は、情報をメモリ704に運搬し、プロセッサ702は、命令語とともに送信されたデータの一部を用いてメモリ704から命令語を検索して実行する。メモリ704で受信された命令語およびデータは、プロセッサ702による実行前または後に格納装置708に選択的に格納され得る。
【0115】
図8は、本発明の一実施例が具現できるチップセット800を示す。チップセット800は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うようにプログラミングされ、例えば、1つ以上の物理的パッケージ(例えば、チップ)に含まれた
図7に関連して説明されたプロセッサおよびメモリコンポーネントを含む。例として、物理的パッケージは、物理的強度、サイズの保存および/または電気的相互作用の制限のような1つ以上の特性を提供するために構造的アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の材料、コンポーネントおよび/またはワイヤの配列を含む。所定の実施例において、チップセットは、単一チップで具現できることが考慮される。チップセット800またはその一部は、本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0116】
1つの実施例において、チップセット800は、チップセット800のコンポーネントの間で情報を伝達するためのバス801のような通信メカニズムを含む。プロセッサ803は、命令語を実行し、例えば、メモリ805に格納された情報を処理するためにバス801に連結される。プロセッサ803は、それぞれのコアが独立して行うように構成された1つ以上のプロセッシングコアを含み得る。マルチコアプロセッサは、単一の物理的パッケージ内で多重処理を可能にする。マルチコアプロセッサの例は、2つ、4つ、8つまたはその以上のプロセシングコアを含む。代替的または追加的に、プロセッサ803は、命令語、パイプライニング(Pipelining)およびマルチスレッディング(Multithreading)の独立した実行を可能にするためにバス801を介して直列で構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含み得る。また、プロセッサ803は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)807または1つ以上のASIC809のような所定の処理機能および作業を行うための1つ以上の特殊コンポーネントを伴い得る。DSP807は、通常、プロセッサ803と独立して実世界の信号(例えば、サウンド)をリアルタイムで処理するように構成される。同様に、ASIC809は、汎用プロセッサによって容易に実行されない特殊機能を行うように構成され得る。本明細書に説明された発明的機能を実行することを支援するための他の特殊コンポーネントは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラ(図示せず)または1つ以上の他の特殊目的のコンピュータチップを含む。
【0117】
プロセッサ803および付随するコンポーネントは、バス801を介してメモリ805に連結される。メモリ805は、実行されるときに本明細書に説明された方法の1つ以上のステップを行うように、実行可能な命令語を格納するための動的メモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能な光ディスクなど)および靜的メモリ(例えば、ROM、CD-ROMなど)の両方を含む。メモリ805は、本明細書に説明された方法のうち、1つ以上のステップの実行に関連したり、その実行によって生成されたデータを格納する。
【0118】
ここで、一部の例示的な実装例を説明したが、前述の実装例は、例示的であり、制限的ではなく、例として提示されたものは明らかである。特に、本明細書に提示された多くの例が方法の動作またはシステム要素の特定の組み合わせを含むが、このような動作とこのような要素は、同じ目的を達成するために他の方式で組み合わされ得る。1つの実装例に関連して議論された動作、要素および機能は、他の実装例の類似の機能から排除されるように意図されたものではない。
【0119】
本明細書で使用される語法および用語は、説明のためのものであり、限定するものとみなされてはならない。本明細書において、「含む(Including)」、「含む(Comprising)」、「含有する(Containing)」、「付随する(Involving)」、「~を特徴とする(Characterized by)」、「~であることを特徴とする(Characterized in that)」およびこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目、その均等物および追加の項目のみならず、その後に列挙される項目からなる代替的な実装例を排他的に含むように意図される。1つの実装例において、本明細書に説明されたシステムおよび方法は、説明された要素、動作またはコンポーネントのいずれか、または2以上のそれぞれの組み合わせ、または両方からなる。
【0120】
本明細書において、単数形で言及したシステムおよび方法の実装例または要素または動作についての任意の言及は、複数のこのような要素を含む実装例も含み得、本明細書において、任意の実装例または要素または動作についての任意の複数形の言及は、単一の要素のみを含む実装例も含み得る。単数または複数形の言及は、現在開示されたシステムまたは方法、これらのコンポーネント、動作または要素を単数または複数の構成に限定しようとする意図ではない。任意の情報、動作または要素に基づく任意の動作または要素についての言及は、動作または要素が任意の情報、動作または要素に少なくとも部分的に基づく実装例を含み得る。
【0121】
本明細書に開示された任意の実装例は、任意の他の実装例または実施例と結合され得、「一実装例」、「一部の実装例」、「1つの実装例」などは、必ず相互に排他的ではなく、実装例に関連して説明された特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実装例または実施例に含まれ得ることを示そうとする意図である。本明細書に使用されたこのような用語は、必ずすべて同じ実装例を示すものではない。任意の実装例は、本明細書に開示された態様および実装例に符合する任意の方式で包括的または排他的に任意の他の実装例と結合され得る。
【0122】
図面、詳細な説明または任意の請求項の技術的特徴に参照記号が付いてくる場合には、参照記号は、図面、詳細な説明および請求の範囲の理解度を高めるために含まれている。したがって、参照記号の有無は、任意の請求項の要素の範囲にどのような限定的効果も有しない。
【0123】
本明細書に説明されたシステムおよび方法は、その特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化できる。さらに相対的な平行、直角、垂直または他の位置設定または指向の説明は、純粋な垂直、平行または直角の位置設定の+/-10%または+/-10度内の変動を含む。「おおよそ(Approximately)」、「約(About)」、「実質的に(Substantially)」または程度(Degree)についての他の用語についての言及は、明示的に別の方法で示さない限り、与えられた測定値、単位または範囲から+/-10%の変動を含む。結合された要素は、直接または介在要素を用いて電気的、機械的または物理的に相互に結合され得る。したがって、本明細書に説明されたシステムおよび方法の範囲は、前述の説明ではなく、添付された請求の範囲によって表現され、請求の範囲の均等論の意味および範囲内にある変更が含まれる。
【0124】
「結合される(Coupled)」という用語およびその変形は、2つの部材を互いに直接的または間接的に結合することを含む。このような結合は、固定的な(例えば、永久的なまたは固定された)または移動可能な(例えば、除去可能なまたは分離可能な)ものであり得る。このような結合は、互いに直接結合された2つの部材、別の介在部材および互いに結合された任意の追加中間部材を用いて互いに結合された2つの部材または2つの部材のうち、1つと単一の統合体として一体に形成された介在部材を用いて互いに結合された2つの部材で実現されることができる。「結合される」またはその変形が追加用語によって修飾される場合(例えば、直接結合される)、前記の提供された「結合される」の一般的な定義は、追加用語の普通の言語意味によって限定され(例えば、「直接結合される」は、どのような別の介在部材のない2つの部材の結合を意味する)、前記の提供された「結合される」の一般的な定義よりも狭い定義となる。このような結合は、機械的、電気的または流体的であり得る。
【0125】
「または、(or)」についての言及は、「または」を用いて説明された任意の用語は、説明された用語のうち、1つ、2以上または全部を包括するものと解釈され得る。「AまたはBのうち、少なくとも1つ」についての言及は、「A」のみ、「B」のみおよび「A」と「B」の両方を含み得る。「含む(Comprising)」または他の開放型の用語とともに使用されるこれらの言及は、追加項目を含み得る。
【0126】
様々な要素の大きさ、寸法、構造、形状および割合、パラメータの値、装着配列、材料の使用、色、指向の変化のような説明された要素および動作の修正は、本明細書に開示された内容の教示(Teaching)および利点から実質的に逸脱することなく発生し得る。例えば、一体に形成されたものとして表された要素は、多数の部分または要素で構成され得、要素の位置は、反転されるか、または変更でき、個別要素または位置の特性または数は、変動されるか、または変更できる。本開示内容の範囲を逸脱しなく、開示された要素および動作の設計、動作条件および配列で他の代替、修正、変更および省略も行われ得る。
【0127】
本明細書で要素の位置(例えば、「上部(Top)」、「下部(Bottom)」、「上に(Above)」、「下に(Below)」)についての言及は、単に図面で様々な要素の指向を説明するために使用される。様々な要素の指向は、他の例示的な実施例によって異なり得、このような変動は、本開示内容によって含まれることが注目されるべきである。