(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】吐出部材およびエアゾール製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/14 20060101AFI20220420BHJP
B65D 83/16 20060101ALI20220420BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B65D83/14 200
B65D83/16 100
B05B9/04
(21)【出願番号】P 2017232668
(22)【出願日】2017-12-04
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】松帆 絵里加
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知之
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-126305(JP,A)
【文献】特許第4499257(JP,B2)
【文献】特開2002-240872(JP,A)
【文献】特開2003-245578(JP,A)
【文献】特開2006-219159(JP,A)
【文献】実開平04-115151(JP,U)
【文献】特開2008-230619(JP,A)
【文献】中国実用新案第203246695(CN,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0371226(KR,Y1)
【文献】国際公開第2011/065413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/14
B65D 83/16
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器に取り付けられる吐出部材であって、
押圧操作により前記エアゾール容器から
発泡性内容物を吐出させる操作部と、
発泡性内容物を吐出するノズル部とを備え、
前記操作部は、前記ノズル部の外周において、前記ノズル部よりも前記エアゾール容器側に押圧面を有し、この押圧面が前記ノズル部側を向いており、
前記ノズル部は、前記ノズル部の軸方向に延びる内部通路と、この内部通路の先端を閉じる閉止部と、前記内部通路の側方で開口
し、泡を吐出する複数の開口部とを備え
、開口部から吐出された泡を外周面に付着させて保持するものであり、
前記開口部が、ノズル部の軸方向に長く、吐出される泡に形状を与える、
吐出部材。
【請求項2】
前記押圧面に、凹部が設けられている、請求項1記載の吐出部材。
【請求項3】
前記押圧面に、凸部が設けられている、請求項2記載の吐出部材。
【請求項4】
エアゾール容器に取り付けられる吐出部材であって、
押圧操作により前記エアゾール容器から発泡性内容物を吐出させる操作部と、
内容物を吐出するノズル部とを備え、
前記操作部は、前記ノズル部の外周において、前記ノズル部よりも前記エアゾール容器側に押圧面を有し、この押圧面が前記ノズル部側を向いており、
前記ノズル部は、前記ノズル部の軸方向に延びる内部通路と、この内部通路の先端を閉じる閉止部と、前記内部通路の側方で開口する複数の開口部とを備え、
前記押圧面に、凹部
と凸部とが、前記ノズル部を中心に周方向に向かって交互に設けられている
、
吐出部材。
【請求項5】
前記凹部同士及び前記凸部同士が、前記ノズル部を中心に互いに対称となる位置に設けられている、
請求項4記載の吐出部材。
【請求項6】
方向案内部を備えている、
請求項
1から5のいずれかに記載の吐出部材。
【請求項7】
前記開口部を構成する開口内周面が、前記内部通路から前記開口部を通じて外部へと吐出される吐出物の吐出方向を制御する一対の側面を備えている、
請求項1記載の吐出部材。
【請求項8】
エアゾール容器と、
そのエアゾール容器に充填される発泡性内容物と、
そのエアゾール容器に設けられる請求項1から7のいずれかに記載の吐出部材とからなるエアゾール製品。
【請求項9】
請求項8記載のエアゾール製品を準備し、
手のひらがノズル部側を向くようにして、ノズル部と操作部との間に手を差し入れ、指の背および/または手の甲で押圧面を押圧して内容物を吐出させた後、手をノズル部側にスライドさせることで、吐出物を手のひら側に移動させる
、エアゾール製品の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出部材およびそれを用いたエアゾール製品に関する。特に、内容物を吐出させる動作から、内容物を手に取るまでの動作をスムーズに行うことができる吐出部材及びそれを用いたエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の吐出口を備えた吐出部材が開示されている。この吐出部材は、エアゾール容器に取り付けられており、押し下げることでエアゾール容器から内容物を吐出させるものである。また、エアゾール容器から供給される内容物を、各吐出口を通じて外部に吐出することで、吐出部材の上面に八重咲きの花(バラ)を模した形状を作り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内容物が例えば洗顔剤や保湿剤である場合、吐出部材から内容物を手ですくう(拭う)必要がある。しかし、内容物を吐出させる動作が鉛直方向であるのに対して、内容物をすくう動作は水平方向であり、動作間に連続性が無く、必ずしも使い勝手が良いとはいえなかった。
【0005】
そこで本発明は、内容物を吐出させる動作から、内容物を手に取るまでの動作をスムーズに行うことができる吐出部材及びそれを用いたエアゾール製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出部材は、エアゾール容器110に取り付けられる吐出部材であって、押圧操作によりエアゾール容器110から内容物を吐出させる操作部4、41、42、43、44と、内容物を吐出するノズル部3、31とを備え、操作部4、41、42、43、44は、ノズル部3、31の外周において、ノズル部3、31よりもエアゾール容器110側に押圧面4aを有し、この押圧面4aがエアゾール容器110側ではなく、ノズル部3、31側を向いており、ノズル部3、31が、ノズル部3、31の軸方向に延びる内部通路3aと、内部通路3aの先端を閉じる閉止部3bと、内部通路3aの側方で開口する複数の開口部3cを備えていることを特徴としている。
【0007】
押圧面4aに、凹部4bが設けられていることが好ましい。また、凸部4cが設けられていても良い。また、凹部4bと凸部4cとが、ノズル部3、31を中心に周方向に向かって交互に設けられていることが好ましい。さらに、凹部4b、4b同士及び凸部4c、4c同士が、ノズル部3、31を中心に互いに対称となる位置に設けられていることが好ましい。また、方向案内部を備えていることが好ましい。
【0008】
また、その場合、開口部3cを構成する開口内周面3eが、内部通路3aから開口部3cを通じて外部へと吐出される吐出物の吐出方向を制御する一対の側面3e1、3e2を備えていても良い。
【0009】
本発明のエアゾール製品は、エアゾール容器110と、そのエアゾール容器110に充填される発泡性内容物と、そのエアゾール容器110に設けられる上記いずれかの吐出部材とからなる。また、本発明のエアゾール製品の使用方法は、手のひらがノズル部3、31側を向くようにして、ノズル部3、31と操作部4、41、42、43、44との間に手を差し入れ、指の背および/または手の甲で押圧面4aを押圧して内容物を吐出させた後、手をノズル部3、31側にスライドさせることで、吐出物を手のひら側に移動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吐出部材では、操作部が、ノズル部の外周において、ノズル部よりもエアゾール容器側に押圧面を有し、この押圧面がノズル部側を向いているため、手のひらがノズル部側を向くようにして、ノズル部と操作部との間に手を差し入れ、指の背や手の甲で押圧面を押圧して内容物を吐出させた後、手をノズル部側にスライドさせていけば、ノズル部の周囲に付着している内容物(吐出物)を手のひら側に移動させることができる。すなわち、内容物を吐出させる動作から、その後のノズル部に付着した吐出物をすくい取る(拭い取る)動作までを、吐出部材から手を離すことなく、片手で行うことが可能であり、使い勝手が良い。また、ノズル部が、ノズル部の軸方向に延びる内部通路と、内部通路の先端を閉じる閉止部と、内部通路の側方で開口する複数の開口部を備えているため、ノズル部の周囲に内容物を付着させ易い。
【0011】
指の背や手の甲は、各指の太さの違いや関節の出っ張りなどによって凹凸状となっているが、押圧面に凹部が設けられている場合は、指の背や手の甲側の凹凸を吸収または軽減することができ、違和感無く使うことができる。凸部が設けられていれば、その効果はより顕著なものとなる。
【0012】
凹部と凸部とが、ノズル部を中心に周方向に向かって交互に設けられていれば、どの方向から使っても、指の背や手の甲側の凹凸を吸収または軽減させ易く、違和感無く使うことができる。凹部同士及び凸部同士が、ノズル部を中心に互いに対称となる位置に設けられていれば、一層、指の背や手の甲側の凹凸を吸収または軽減させ易くなる。方向案内部を備えていれば、消費者が手を押圧面に載置する際の目安となり好ましい。また、押圧面に凹部や凸部が設けられている場合は、指の背や手の甲の凹凸の位置を押圧面の凹部や凸部に合わせ易くなり、操作し易くなる。
【0013】
開口部内周面が吐出方向を制御する一対の側面を有していれば、吐出物は、ノズル部の周囲で旋回してソフトクリーム状に形成される。そのため、一層、ノズル部の外周に付着させることができ、また、ソフトクリーム状に成形された吐出物を、形を崩すことなく手のひらですくい取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のエアゾール製品を示す一部断面図である。
【
図4】
図4Aが別の吐出部材を示す部分断面図、
図4Bがノズル部を省略した平面図、
図4Cがノズル部及び軸部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明のエアゾール製品100について、図に基づいて説明していく。本発明のエアゾール製品100は、エアゾール容器110と、そのエアゾール容器110に充填される発泡性内容物と、そのエアゾール容器110に取り付けられる吐出部材1とを備えている。
【0016】
エアゾール容器110は、
図1に示すように、容器本体120と、容器本体120内と外部との連通、非連通を切り替えるエアゾールバルブ130と、エアゾールバルブ130を容器本体120の開口に取り付けるマウンティングカップ140からなる従来公知のものである。容器本体120は、円筒状の胴部120aと、胴部120aの上端から徐々に縮径して略ドーム状となった肩部120bと、胴部120aの底を塞ぐ底部(図示しない)とを備える。また、容器本体120には、胴部120aと肩部120bとの境界部分に、周方向に連続する溝部120cが設けられている。そして、この溝部120cに、エアゾール容器110の上端と吐出部材1とを囲む略ドーム状のキャップ150が着脱可能に取り付けられている。また、容器本体120の開口にマウンティングカップ140を取り付けることによって形成された環状の凸部140aには、肩カバー160が装着されている。肩カバー160の上端部は開口しており、この開口160aから、エアゾールバルブ130のステム130aが露になっている。このステム130aを吐出部材1を介して押し下げる、又は横に傾けると、エアゾール容器110内と外部とが連通し、ステム130aから発泡性内容物が吐出部材1に供給される。なお、吐出部材1(具体的には、後述する操作部4)を押し下げて吐出操作する場合は、肩カバー160の開口160aの内周縁から下方に延びる円筒状の案内部160bを設けることが好ましい。案内部160bによって、後述する操作部4の筒状体4dの外周を囲むことで、押し下げ時での操作部4の左右のぐらつきを抑えることができ、楽に押し下げられるようになる。
【0017】
発泡性内容物は、例えば、洗顔剤、洗浄剤、入浴剤、保湿剤、クレンジング剤、日焼け止め剤、化粧水、シェービング剤、脱毛剤、制汗剤、殺菌消毒剤、害虫忌避剤などのスキンケア剤、トリートメント剤、スタイリング剤、染毛剤などのヘアケア剤などの人体用品、ホイップクリームなどの食品、消臭剤、芳香剤、虫よけ剤、殺菌剤などの家庭用品などである。但し、これら用途に限られるわけではない。
【0018】
この発泡性内容物は、前記用途の有効成分を含む原液と、原液を発泡させる噴射剤とからなり、噴射剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタンなどの炭素数が3~5の脂肪族炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテルなどの液化ガス、炭酸ガス、窒素などの圧縮ガスなどが挙げられる。なかでも、泡の成形性、保形性に優れ、泡を所望の形状にし易い点から、脂肪酸石鹸などの界面活性剤や、高級アルコール、高級脂肪酸などの固形油分などを原液中に含有したものを用い、さらに噴射剤として液化ガスを用いることが好ましい。
【0019】
吐出部材1は、ステム130aに装着され、発泡性内容物および/あるいは発泡した発泡性内容物(以下、単に泡という)を吐出して所望の形状に成形し、一時的に保持するものである。この吐出部材1は、ステム130aに装着される軸部2と、軸部2を介してステム130aと連結されるノズル部3と、ステム130aを押し下げる、又は傾けるための操作部4とを備えている。
【0020】
軸部2は、
図1及び
図2に示すようにストロー状であって、軸方向の一方端部(図において下端)がステム130aに装着され、他方端部(図において上端)にノズル部3が装着されている。
【0021】
ノズル部3の外観は、
図1に示すように、下から上に向かって拡径した略円錐状である。このノズル部3は、軸方向(上下方向)に延びる内部通路3aと、内部通路3aの先端を閉じる閉止部3bと、内部通路3aの側方で開口する複数の吐出口(開口部)3cを備えている。内部通路3aは、エアゾール容器110から供給される泡を開口部3cへと導くための通路である。そのため、軸方向の一方端部(図において下端)は開口している。そして、ノズル部3の下端に設けられた装着部3dを軸部2に挿入することで、内部通路3aと軸部2の連通路2aとが連通している。開口部3cは、ノズル部3の中心軸回りに略等間隔に4個設けられている。この開口部3cは、ノズル部3の軸方向に長い逆三角形状とされている。但し、逆三角形状に限らず、矩形状や楕円状など種々の形状を採用し得る。また、閉止部3bを別体で設け、周方向に切り込みを複数設けた筒体に閉止部3bを被せることで、開口部3cを形成するようにしても良い。このようなノズル部3は、例えば、人間の握力程度の力を受けてもほとんど変形しない硬質材料、例えば硬質の合成樹脂を用いて製造することが好ましいが、ゴムやエラストマーなど、簡単に変形するような軟質材料を用いて製造しても良い。軟質材料の場合、ノズル部3内に留まった泡を絞り出すことができる。
【0022】
操作部4は、
図2Aに示すように、軸部2の軸方向の中間部から径外方向に向かって延設されている。そして、ノズル部3側の面(上面:エアゾール容器110側とは反対側の面)が、押圧操作(内容物の吐出操作)をするための押圧面4aとなっている。すなわち、操作部4は、ノズル部3の外周において、ノズル部3よりもエアゾール容器110側に押圧面4aを有している。押圧面4aは、
図2Bに示すように平面視略円形であって、ノズル部3(軸部2)の周りを囲んでいる。また、側面から見ると、
図2Aや
図2Cに示すように、ノズル部3(軸部2)を中心に周方向にうねっている。うねりは、周方向に等間隔に設けられており、押圧面4aには、所定の間隔で凹部4bと凸部4cとが交互に形成されている。
図1及び
図2に示す操作部4では、45度毎に凸部4cと凹部4bとが交互に形成されている。1個の凹部4bと1個の凸部4cとで1個のうねりとした場合、4個のうねりが設けられていることになる。また、平面視、ノズル部3を中心として、ある凹部4bから180度回転した位置に凹部4bが位置し、ある凸部4cから180度回転した位置に凸部4cが位置するようになっている。すなわち、ノズル部3を中心として、凹部4b、4b同士および凸部4c、4c同士が対称となる位置に設けられている。凸部4cの頂点から凹部4bの最下点までの差(凹部4bと凸部4cの高低差)H1は、例えば3~15mmである。押圧面4aの裏側にあたる面(下面)からは、軸部2の下端を囲むようにして、筒状体4dが下方に向かって延設されている。この筒状体4dは、手で押圧面4aが吐出操作された(エアゾール容器110側に押し込まれた)際に、肩カバー160の案内部160bの内周面と摺動して上下方向に作動し易くなるといったガイド機能を果たす。
【0023】
上記構成のエアゾール製品100は、キャップ150を取り外した上で、
図1の一点鎖線で示すように、ノズル部3の開口部3cが手のひら側に位置するように、また、操作部4が手の甲側に位置するようにして、ノズル部3と操作部4との間に手を差し入れるとともに、指F、Fの間の付け根(例えば中指と薬指の間)に軸部2を位置させつつ、指Fの背と手の甲を操作部4の押圧面4aに当接させ、適宜、指Fの背と手の甲で押圧面4aを押すことで内容物を吐出させることを想定している。指Fの背側は、各指Fの太さの違いや関節等によって、自然な状態では指F、F同士の高さが異なっているが、押圧面4aに凹部4bや凸部4cが形成されているため、指F、F同士の高さの違いを吸収または軽減することができ、指Fの背や手の甲であっても操作部4を押し込み易い。
【0024】
また、本発明の吐出部材1では、操作部4を押して泡を吐出させた後、手をノズル部3の先端側に向かってスライドさせることで、ノズル部3の外周に付着している泡を手のひらで取ることができる。ノズル部3の軸方向が上を向いている場合は、下から泡をすくい上げるようにして手のひらに取ることができるため、泡の形状を崩し難い。例えば、
図1に示すノズル部3の場合、エアゾール容器110から供給された泡が、軸部2内の連通路2aおよびノズル部3の内部通路3aを通ってノズル部3の軸方向に進み、閉止部3bによって側方に向きを変え、複数の開口部3cから外部に吐出される(
図1の矢印参照)。この際、細長い開口部3cを通って外部に吐出される泡は、不規則にうねりながら吐出されることとなり、カーネーションやケイトウの花のような形態をなすが、この形状を崩すことなく、手のひら側に移動させることができる。特に、手をノズル部3の先端までスライドさせて上(ノズル部3の軸方向)に抜くようにすれば、ノズル部3によって泡が崩れる心配も少ない。また、泡を吐出する間、常に開口部3cの下に手を添えた状態になることから、泡がノズル部3から垂れ落ちたとしても確実に手に取ることができる。
【0025】
次に、
図1及び
図2に示した操作部4とは別の操作部について説明する。
図3Aはうねりの数が3個の操作部41、
図3Bはうねりの数が5個の操作部42、
図3Cはうねりの数が6個の操作部43を示している。このように、うねりの数を増減させても、上記実施形態のものと略同様の作用効果を奏する。なお、うねりの数は特に限定されないが、少なくとも外周側において指の幅の半分程度の幅を持った凹部4bが形成されるようにするのが好ましい。
【0026】
図4は、別の吐出部材11を示している。先の吐出部材1は、軸部2とノズル部3と操作部4とが一体となっていたが、この吐出部材11は、
図4Aに示すように、操作部44が、軸部21やノズル部3とは別体となっている。また、操作部44がヒンジ5を介して肩カバー260に連結されている。肩カバー260は、容器本体120の溝部120cに装着されている。また、この肩カバー260は、上方部が縮径することでなる段部260aを備えている。なお、この段部260aはキャップ150を肩カバー260に着脱可能に取り付けるためのものである。
【0027】
図4Aや
図4Cに示すように、軸部21の下端はステム装着部21aとなっているが、このステム装着部21aの上方に平面視略円形のフランジ部21bが設けられている。また、フランジ部21bの上面には、軸部21の上端まで続くリブ21cが2つ設けられている。リブ21c、21c同士は平面視、一直線上に並ぶようにして配置されている。このリブ21cは、ノズル部3と操作部44との間に手を差し入れるにあたって、差し入れる方向を案内する方向案内部として機能する。すなわち、押圧面4aに手を載置しようとすれば、指と指の間にリブ21cを位置させなければならないため、自ずと手の方向が決まるのである。また、フランジ部21bの上面には、平面視、リブ21cと略平行に半円状のピン支点21dが設けられている。なお、このピン支点21dは、ヒンジ5を中心に回転することで加力方向が常に変化する操作部44からの押圧力を、鉛直力(エアゾール容器110に向かう力)に変換してステム130aに伝達するためのものである。
【0028】
操作部44の上面(ノズル部3側)に位置する押圧面4aは、
図4Bに示すように、平面視略円形であるが、側面から見ると、
図4Aに示すように、ヒンジ5側が最も高くそこから緩やかに下った形状をなしている。また、全体として大きな凹部4bを形成しており、自然な状態で緩やかな凸面を形成する手の甲の形に沿うようになっている。押圧面4aの中心には、軸部21を貫通させるための開口44aが設けられている。この開口44aはヒンジ5に向かって延びた長円状とされている。また、開口44aの内周面を下方に延長するようにして、軸部21のピン支点21dを押し込むための押し込み片44bが設けられている。軸部21は、一方のリブ21cがヒンジ5側に向き、他方のリブ21cがヒンジ5と反対側を向くようにして、開口44a内に配置されている。
【0029】
上記構成の吐出部材11では、手のひらを上(ノズル部3側)に向けた状態で、押圧面4aの低い側からノズル部3と操作部44との間に手を差し入れ、指と指の間にリブ21cや軸部21を位置させるとともに、指の背や手の甲と押圧面4aとを当接させ、適宜、押圧面4aを押し下げることにより、エアゾール容器110から内容物を吐出させることができる。なお、この吐出部材11では、主として手の甲で押圧面4aを押すことになるため、指の背で押す場合に比べて吐出操作が楽である。
なお、押圧面4aは、ヒンジ5側が最も低くそこから緩やかに上がった形状にしてもよい。すなわち、
図4Aと逆の形状にしても良い。この場合、たとえば洗面台などに置いたエアゾール製品を立った状態で使用するなど、押圧面4aに対して高い位置から操作する際に、押圧面4aに沿って手を差し入れやすく、且つ手の甲で吐出操作しやすい。
【0030】
図5は、
図1のノズル部3とは別のノズル部を示したものである。このノズル部31は、開口部3cを構成する開口内周面3eが、内部通路3aから開口部3cを通じて外部へと吐出される吐出物の吐出方向を制御する一対の側面3e1、3e2を備えている。具体的には、ノズル部31が肉厚であって、開口部3cの入り口(開口部3cと内部通路3aとの境界)3fから出口(開口部3cとノズル部31の外面との境界)3gまで続く一対の側面3e1、3e2によって、吐出物である泡の吐出方向を制御できる程度の長さの制御通路が形成されている。例えば、制御通路の水平方向の長さL1は、開口部3cの入り口3fの水平方向の幅W1よりも長い。また、一対の側面3e1、3e2は、内部通路3aから外部に向けて弧を描いていており、各弧が同方向に湾曲している。換言すれば、制御通路が湾曲している。
【0031】
上記構成のノズル部31の場合、泡が湾曲した制御通路を通って外部に吐出されるため、ノズル部31の軸回りに旋回しながら吐出される(
図5Cの矢印参照)。同時に、噴射剤の勢いによって上向きにも進むため、先に吐出された泡の下方に後から吐出された泡が部分的に重なり合い、螺旋状(ソフトクリーム状)の泡が得られる。この螺旋状の泡は吐出される際には周囲に飛び散りにくく、また、ノズル部31の周囲に付着して垂れ落ちにくいため、手のひらですくい取りやすい。
【0032】
以上に、この発明の代表的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、
図1~
図3に示す吐出部材では、押圧面4aのうねり(凹部4bや凸部4c)が等間隔に設けられていたが、必ずしも等間隔に設ける必要は無く、不規則に設けても良い。また、凹部4bの幅と凸部4cの幅を同じにする必要も無く、凹部4bの幅を凸部4cの幅より大としたり、小としたりしても良い。凹部4bの溝の深さや凸部4cの山の高さについても、全て同じとする必要は無く、各々異ならせても良い。また、指の背の形に沿った押圧面4aとしても良い。
【0033】
また、
図4に示す吐出部材11の方向案内部としては、リブ21cに限らず、板状や円柱状の突起であっても良い。また、窪みであっても良い。例えば、
図4Bの一点鎖線で示すように、指の関節に位置する箇所に窪み44cを設けておけば、手を差し込む方向を予め確認することができる。また、方向案内部は、
図1~
図3に示す吐出部材1に適用しても良い。この場合、理想的な角度で手を差し入れることができるようになる。さらに、方向案内部を軸部2、21ではなく、ノズル部3、31や操作部4、41、42、43、44、押圧面4aに設けても良い。また、
図1では、エアゾール製品100がキャップ150や肩カバー160を備えていたが、必ずしも設ける必要は無い。
【符号の説明】
【0034】
1、11 吐出部材
2、21 軸部
2a 連通路
21a ステム装着部
21b フランジ部
21c リブ(方向案内部)
21d ピン支点
3、31 ノズル部
3a 内部通路
3b 閉止部
3c 開口部
3d 装着部
3e 開口内周面
3e1 一方の側面
3e2 他方の側面
3f 開口部の入り口
3g 開口部の出口
4、41、42、43、44 操作部
4a 押圧面
4b 凹部
4c 凸部
4d 筒状体
44a 開口
44b 押し込み片
44c 窪み
5 ヒンジ
100 エアゾール製品
110 エアゾール容器
120 容器本体
120a 胴部
120b 肩部
120c 溝部
130 エアゾールバルブ
130a ステム
140 マウンティングカップ
140a 凸部
150 キャップ
160、260 肩カバー
160a 開口
160b 案内部
260a 段差
F 指
H1 凹部と凸部の高低差
L1 制御通路の水平方向の長さ
W1 開口部の入り口の水平方向の幅