(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】多方向流体管理
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20220420BHJP
A61M 1/00 20060101ALN20220420BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M1/00 100
(21)【出願番号】P 2017568196
(86)(22)【出願日】2016-07-01
(86)【国際出願番号】 US2016040817
(87)【国際公開番号】W WO2017007724
(87)【国際公開日】2017-01-12
【審査請求日】2019-06-14
(32)【優先日】2015-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー,マーク
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516294(JP,A)
【文献】特表2014-525318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0200533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
A61M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体不透過性である剛性ケーシングと、
前記ケーシング内に配置された吸収性コアであって、液体を吸収且つ保持するように構成されている吸収性コアと、
前記ケーシング内で前記吸収性コアの周囲に配置され分配エンベロープを備えるマニホールドであって、疎水性である第1側と親水性である第2側とを備え、前記第1側が前記分配エンベロープの内側であり、前記第2側が前記分配エンベロープの外側であるマニホールドと、
前記マニホールドに流体結合された入口ポートと、
前記マニホールドに流体結合された出口ポートと、
を備え、
前記マニホールドは、前記吸収性コアよりも大きく、前記吸収性コアと前記マニホールドの間に隙間を提供し、
前記吸収性コアは、液体の吸収に応じて膨張するように構成されており、
前記分配エンベロープは、前記吸収性コアが拡張して前記分配エンベロープを前記剛性ケーシングに対して押し付ける場合に、前記吸収性コアの周囲に流体路を提供するように構成されることを特徴とする滲出液容器。
【請求項2】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記第1側が疎水性層を含み、前記第2側が親水性層を含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項3】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドが不織布を含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項4】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドがポリエステル繊維のテキスタイルを含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項5】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドがポリエステル繊維からなることを特徴とする滲出液容器。
【請求項6】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドが、前記吸収性コアの周囲に多孔質エンベロープを形成するポリエステル繊維からなることを特徴とする滲出液容器。
【請求項7】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドがポリエステル繊維のスルーエア結合されたウェブを含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項8】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記吸収性コアが超吸収性ポリマーを含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項9】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記吸収性コアが前記マニホールド内に封入されていることを特徴とする滲出液容器。
【請求項10】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドが、
前記吸収性コアに隣接して配置された疎水性エンベロープと、
前記疎水性エンベロープの周囲に配置された親水性エンベロープと、
を備えることを特徴とする滲出液容器。
【請求項11】
請求項1に記載の滲出液容器において、前記マニホールドが、乾燥したポリエステルおよび親水性、異型ポリエステルの二層不織布ならびに2成分繊維の2層不織布を含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の滲出液容器において、
前記出口ポートを通る液体透過を阻止するように構成された単一フィルタ
をさらに備えることを特徴とする滲出液容器。
【請求項13】
陰圧療法を提供する装置において、
負圧源と、
前記負圧源に流体結合された出口ポートを備える流体不透過性である剛性容器と、
前記容器内に配置された吸収性コアであって、液体を吸収且つ保持するように構成された吸収性コアと、
前記吸収性コアの周囲に第1のエンベロープを形成している疎水性層と、
前記疎水性層の周囲に第2のエンベロープを形成し、前記容器内に配置されかつ前記出口ポートに流体結合された親水性層と、
前記疎水性層と前記吸収性コアとの間の隙間と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、前記容器が、前記親水性層に流体結合された入口ポートをさらに備え、前記親水性層が、前記出口ポートと前記入口ポートとの間で前記吸収性コアの周囲に流体を集配するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置において、前記親水性層が前記疎水性層に結合されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項13に記載の装置において、
前記親水性層が親水性ポリエステル繊維のスルーエア結合されたウェブを含み、
前記疎水性層がポリエステル繊維のスルーエア結合されたウェブを含み、
前記吸収性コアが超吸収性ポリマーを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項13に記載の装置において、
前記親水性層が織親水性ポリエステル繊維を含み、
前記疎水性層が織ポリエステル繊維を含み、
前記吸収性コアが超吸収性ポリマーを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項13に記載の装置において、
前記親水性層が不織布の第1側であり、
前記疎水性層が前記不織布の第2側である
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項13に記載の装置において、
前記親水性層に流体結合された入口ポートと、
前記入口ポートに結合されるように構成されたドレッシングと、
をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項20】
滲出液を管理する装置において、
液体を吸収且つ保持するように構成されている吸収性コアと、
前記吸収性コアの周囲に配置された疎水性シェルであって、前記吸収性コアよりも大きく、前記吸収性コアと前記疎水性シェルの間に隙間を提供する疎水性シェルと、
前記疎水性シェルの周囲に配置された親水性シェルと、
前記親水性シェルを封入する流体不透過性壁を備える剛性ケーシングと、
前記親水性シェルに流体結合された流体入口と、
前記親水性シェルに流体結合された流体出口と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、
前記疎水性シェルが不織布の第1側であり、
前記親水性シェルが前記不織布の第2側である
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項20に記載の装置において、前記疎水性シェルが前記吸収性コアの周囲にエンベロープを形成していることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項20に記載の装置において、前記親水性シェルが前記吸収性コアの周囲にエンベロープを形成していることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項20に記載の装置において、前記親水性シェルが前記疎水性シェルの周囲にエンベロープを形成していることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項20に記載の装置において、前記親水性シェルが流体を集配するように適合されていることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項20に記載の装置において、前記疎水性シェルが流体を集配するように適合されていることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項20に記載の装置において、前記疎水性シェルおよび前記親水性シェルが流体を集配するように適合されていることを特徴とする装置。
【請求項28】
剛性を有する滲出液容器と、
前記滲出液容器内に配置された吸収性コアであって、液体を吸収且つ保持するように構成されている吸収性コアと、
前記吸収性コアの周囲の分配エンベロープであって、外側、内側、および前記外側から前記内側まで増大する疎水性を含む分配エンベロープと、
を備え、
前記分配エンベロープと前記吸収性コアの間に隙間があることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置において、前記外側が
流体獲得面を含み、前記内側が
流体分配面を含むことを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項28に記載の装置において、前記分配エンベロープが不織布を含み、前記不織布が、疎水性である第1層と親水性である第2層とを含むことを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項28乃至30の何れか一項に記載の装置において、前記滲出液容器の流体出口に流体結合された負圧源をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項1に記載の滲出液容器において、
前記マニホールドは分配マニホールドを具えており、
前記第1側が50
マイクロメートルの細孔を有しており、
前記第2側が400
マイクロメートルの細孔を有することを特徴とする滲出液容器。
【請求項33】
請求項13に記載の装置において、
前記疎水性層が50
マイクロメートルの細孔を有しており、
前記親水性層が400
マイクロメートルの細孔を有することを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項28に記載の装置において、前記吸収性コアが乾燥しているときに、前記分配エンベロープが前記吸収性コアよりも大きいことを特徴とする装置。
【請求項35】
滲出液容器であって、
キャニスタと、第1のポートを有するベースであって、前記キャニスタに結合されるように構成されたベースと、第2のポートを有するキャップであって、前記キャニスタに結合されるように構成されたキャップと、を備える剛性ケーシングと、
前記ケーシング内に配置されるように構成された流体管理モジュールであって、液体を吸収且つ保持するように構成された吸収性コアと、前記吸収性コアの周囲の分配エンベロープであって、外側、内側、および前記外側から前記内側まで増大する疎水性を含む分配エンベロープと、を備える、流体管理モジュールと、
を備え、
前記分配エンベロープと前記吸収性コアの間に隙間があることを特徴とする滲出液容器。
【請求項36】
請求項35に記載の滲出液容器おいて、前記外側が
流体獲得面を含み、前記内側が
流体分配面を含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項37】
請求項35に記載の滲出液容器において、前記分配エンベロープが不織布を含み、前記不織布が疎水性である第1の層および親水性である第2の層を含むことを特徴とする滲出液容器。
【請求項38】
請求項35に記載の滲出液容器において、前記キャニスタが第1の端部および第2の端部を有し、前記ベースが前記キャニスタの前記第1の端部に結合されるように構成され、前記キャップが前記第2の端部に結合されるように構成されることを特徴とする滲出液容器。
【請求項39】
請求項38に記載の滲出液容器において、前記第2の端部が前記第1の端部の反対側にあることを特徴とする滲出液容器。
【請求項40】
請求項38に記載の滲出液容器において、前記第2の端部に配置されたフィルタをさらに備え、前記フィルタが、前記第2のポートを通る液体の透過を阻止するように構成されることを特徴とする滲出液容器。
【請求項41】
請求項35に記載の滲出液容器において、前記第1のポートが入口ポートであり、前記第2のポートが出口ポートであることを特徴とする滲出液容器。
【請求項42】
請求項35に記載の滲出液容器において、治療ユニットと係合するように構成された1又はそれ
以上の取付装置をさらに備えることを特徴とする滲出液容器。
【請求項43】
請求項35に記載の滲出液容器において、前記滲出液容器が、治療ユニットに受容されるように構成されることを特徴とする滲出液容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)によって、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2015年7月7日に出願された“Multi-Orientation Fluid Management”と題する米国仮特許出願第62/189,609号明細書の出願の利益を主張する。
【0002】
添付の特許請求の範囲に示される本発明は、概して、組織処置システムに関し、より詳細には、ただし限定なしに、陰圧創傷療法システムにおいて他方向流体管理に適合された容器に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究および診療により、組織部位に近接した減圧により、その組織部位における新生組織の増殖を促進し加速させることができることが分かった。この現象の応用は多数あるが、それは、創傷の治療に特に有利であることが分かった。外傷、外科手術または別の原因のいずれであっても、創傷の原因に関わらず、創傷の適切なケアは転帰に対して重要である。減圧を用いる創傷または他の組織の治療は、一般に「陰圧療法」と呼ばれることがあるが、たとえば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖(vacuum-assisted closure)」および「局所陰圧」を含む他の名称でも知られている。陰圧療法は、上皮組織および皮下組織の移動、血流の改善、および創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利点を提供することができる。これらの利点は、併せて、肉芽組織の成長を促進するとともに治癒時間を短縮することができる。
【0004】
陰圧療法の臨床的利点は広く知られているが、治療システム、構成要素およびプロセスに対する改善は、医療提供者および患者に利益をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
添付の特許請求の範囲には、陰圧療法環境において流体を管理する新規かつ有用なシステム、装置および方法が示されている。当業者が請求項に係る主題を作成し使用することができるように、例示的な実施形態もまた提供される。
【0006】
たとえば、いくつかの実施形態では、流体を管理する装置は、吸収性コアと、流体獲得(acquisition)および集配(manifolding)材料の1つまたは複数の層とを備えることができる。流体獲得および集配材料は、いくつかの実施形態では、吸収性コアの周囲のシェルに形成することができる。吸収性コアは、超吸収性ポリマーとすることができ、シェルは、好ましくは、吸収性コアが液体を吸収する際に拡張または膨張するように適合される。たとえば、シェルは、最初は、吸収性コアよりはるかに大きい可能性がある。いくつかの実施形態では、吸収性コアは吸収性粒子を備えることができ、シェルは、超吸収性粒子を、特にそれらが膨張する際に、維持するように適合され得る。いくつかの実施形態では、約50ミクロン~400ミクロンの範囲の細孔を有するシェルが好適である可能性がある。いくつかの実施形態では、シェルは、内層および外層等、2つ以上の層を有することができ、内層は外層より小さい細孔を有することができる。たとえば、内層は、約50ミクロン等、吸収性粒子を保持するのに好適な細孔を有することができ、外層は、約400ミクロン等、それより大きい細孔径を有することができる。
【0007】
滲出液または他の流体を貯蔵するように適合された容器内に、シェルおよび吸収性コアを配置することができる。負圧下で、容器は、最初、シェルおよび吸収性コアの周囲にデッドスペースを提供し、拡張し容量を維持するように場所を提供することができる。たとえば、シェルおよび吸収性コアは、容器の容量に達するように拡張または膨張するようなサイズであり得る。シェルはまた、好ましくは、容器と適切に嵌合するような形状であり、それにより、吸収性コアが飽和した場合、シェルは容器のすべての表面を押圧する。吸収性コアの容量は、たとえば、組織のタイプまたは予期される滲出液の体積に基づいて選択することができる。
【0008】
流体が容器に入る場合、流体獲得および集配材料は、流体を取り込み、貯蔵するために吸収性コアに流体を分配することができる。吸収性コアが膨張する際、集配材料は流体を分配し続けることができる。最初は容器内の開放容積により、吸収性コアが膨張しシェルを容器の壁に押し付けるに従いシェルの集配特性により、キャニスタポートの単一フィルタから負圧を送ることができる。
【0009】
容器は、蓋、キャップ、ベース、または、取外し可能に封止し固定することができる他の部分を有することができる。たとえば、係止機構が、容器の剛性部分に蓋または扉を保持することができ、可撓性封止ガスケットが、動作時の漏れを防止するために圧縮されて保持され得る。飽和した吸収性コアおよびシェルを取り除いて交換することができ、それにより、容器またはその部品を2回以上使用することができる。
【0010】
より概略的には、本装置は、ケーシングと、ケーシング内に配置された吸収性コアと、ケーシング内で吸収性コアの周囲に配置されたマニホールドとを備える滲出液容器であり得る。疎水性は、マニホールドの第1面から第2面まで増大することができる。たとえば、マニホールドは、疎水性である第1側と親水性である第2側とを有することができる。いくつかの実施形態では、マニホールドは、分配エンベロープを備えることができ、分配エンベロープは、疎水性内面および親水性外面を有する。他の実施形態例では、第1側は疎水性層の側とすることができ、第2側は親水性層の側とすることができる。いくつかの実施形態では、マニホールドは、織または不織であり得るポリエステル繊維のテキスタイルを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、マニホールドは、不織布を含むかまたは本質的にそれからなり得る。より具体的な実施形態例では、マニホールドは、2層不織布を含むかまたは本質的にそれからなる場合があり、第1層は疎水性であり、第2層は親水性である。いくつかの実施形態では、吸収性コアは超吸収性ポリマーであり得る。滲出液容器はまた、容器を出入りする流体路を提供するように適合された少なくとも2つのポートも備えることができ、マニホールドは、吸収性コアの周囲でポートの間に流体路を提供するように構成され得る。
【0011】
他の実施形態例は、陰圧療法を提供する装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、装置は、負圧源と、負圧源に流体結合された容器とを備えることができる。容器内に吸収性コアを配置することができ、吸収性コアに隣接して疎水性層を配置することができる。容器内で疎水性層に隣接して親水性層も配置することができる。いくつかの実施形態では、吸収性コアは超吸収性ポリマーであり得る。容器は、出口ポートおよび入口ポートを有することができる。出口ポートと入口ポートとの間で吸収性コアの周囲に流体を集配するように、親水性層、疎水性層または両方を適合させることができる。いくつかの実施形態では、疎水性層、親水性層または両方は、吸収性コアの周囲にシェルまたはエンベロープを形成することができる。たとえば、親水性層は、不織布の第1側とすることができ、疎水性層は、不織布の第2側とすることができ、不織布は、吸収性コアの周囲のエンベロープとして構成することができ、それにより、疎水性側は吸収性コアに接して配置され、親水性側はエンベロープに対して外側である。装置は、いくつかの実施形態では、入口ポートを通して親水性層に流体結合することができるドレッシングをさらに含むことができる。
【0012】
本明細書では、滲出液を管理する装置もまた記載され、いくつかの実施形態は、吸収性コアと、吸収性コアの周囲に配置された疎水性シェルと、疎水性シェルの周囲に配置された親水性シェルとを含む。たとえば、疎水性シェルは、不織布の第1側とすることができ、親水性シェルは、不織布の第2側とすることができる。不織布は、親水性ポリマー繊維を含む結合ポリマー繊維を含むかまたは本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態例では、疎水性シェル、親水性シェルまたは両方は、吸収性コアの周囲にエンベロープを形成することができる。いくつかの実施形態では、吸収性コアの周囲で流体を集配するように、親水性シェル、疎水性シェルまたは両方を適合させることも可能である。
【0013】
さらに他の実施形態例では、キャニスタ内に流体を分配するために、メラミンホルムアルデヒド発泡体またはウィッキング繊維ブロック等のウィッキング材料を使用することができ、それにより、いくつかの向きにおいてフィルタの周囲の流体の収集を低減させまたは防止することができる。
【0014】
請求項に係る主題を作成し使用する目的、利点および好ましい態様は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明とともに添付図面を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本明細書による、陰圧療法を提供することができる治療システムの実施形態例の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2の流体管理モジュールの実施形態例の断面の概略図である。
【
図4】
図4は、
図3の流体管理モジュールの断面の組立分解図である。
【
図7】
図7は、治療ユニットの実施形態例と
図1の容器の別の実施形態例との組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態例の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲に示される主題を作成し使用することができるようにする情報を提供するが、当技術分野においてすでに周知のいくつかの詳細は省略している場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定ではなく例示するものとして解釈されるべきである。
【0017】
本明細書では、実施形態例はまた、さまざまな要素の間の空間的な関係、または添付図面に示すさまざまな要素の空間的な向きに関して記載されている場合がある。概して、こうした関係または向きは、処置を受ける立場にある組織部位に一致しまたはその組織部位に対する基準系を想定する。しかしながら、当業者であれば認識されるはずであるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、単に説明上の好都合な手段である。
【0018】
図1は、本明細書による、組織部位に陰圧療法を提供することができる治療システム100の実施形態例の簡易機能ブロック図である。
【0019】
本文脈における「組織部位」という用語は、限定しないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱または靭帯を含む、組織の上または内部に位置する、創傷、欠損または他の処置標的を広く指す。創傷としては、慢性、急性、外傷性、亜急性および裂開性の損傷、切開部、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病性、圧迫性、または静脈不全性の潰瘍等)、皮弁および移植片を挙げることができる。「組織部位」という用語はまた、必ずしも創傷または欠損があるとは限らず、代わりに、さらなる組織の増殖を追加または促進することが望ましい可能性がある領域である、任意の組織の領域を指す場合もある。たとえば、組織部位に負圧を適用して、採取し移植することができるさらなる組織を増殖させることができる。
【0020】
治療システム100は、負圧供給源を含むことができ、ドレッシングまたは容器等の分配構成要素を含むかまたはそれに結合されるように構成され得る。一般に、分配構成要素は、負圧供給源と組織部位との間の流体路において負圧供給源に流体結合されるように構成された、任意の補完的なまたは補助的な構成要素を指す可能性がある。分配構成要素は、好ましくは取外し可能であり、使い捨て、再使用可能またはリサイクル可能であり得る。たとえば、ドレッシング102は、
図1に示すように、負圧源104に流体結合され得る。ドレッシングは、カバー、組織インタフェース、またはいくつかの実施形態では両方を含むことができる。ドレッシング102は、たとえば、カバー106および組織インタフェース108を含むことができる。負圧源104には、コントローラ110等の調節器またはコントローラもまた結合することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ドレッシングインタフェースは、負圧源104のドレッシング102への結合を容易にすることができる。たとえば、こうしたドレッシングインタフェースは、KCI(San Antonio,Texas)から入手可能なT.R.A.C.(登録商標)パッドまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)パッドであり得る。治療システム100はまた、ドレッシング102にかつ負圧源104に結合された、容器112等の流体容器も含むことができる。
【0022】
さらに、治療システム100は、動作パラメータを測定し、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ110に提供する、センサを含むことができる。
図1に示すように、たとえば、治療システム100は、コントローラ110に結合された、圧力センサ120、電気センサ122または両方を含むことができる。圧力センサ120はまた、分配構成要素にかつ負圧源104にも結合されるかまたは結合されるように構成され得る。
【0023】
構成要素は、互いに流体結合されて、構成要素の間で流体(すなわち、液体および/または気体)を移送する経路を提供することができる。たとえば、構成要素は、管等の流体導通体(conductor)を通して流体結合することができる。本明細書で用いる「管」は、管、パイプ、ホース、導管、または2つの端部の間で流体を運ぶように適合された1つまたは複数の内腔を備えた他の構造体を広く含む。通常、管は、幾分かの可撓性がある細長く円筒状の構造体であるが、形状および剛性は変更することができる。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的に近接する、単一構造体に一体化されている、または同じ材料片から形成されていることにより、結合することができる。さらに、いくつかの流体導通体を他の構成要素内に成形するか、または他の方法で他の構成要素と一体的に結合することができる。結合としては、状況により、機械的結合、熱的結合、電気的結合または化学的結合(化学結合等)も挙げることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、管が、ドレッシング102を容器112に機械的にかつ流体的に結合することができる。
【0024】
概して、治療システム100の構成要素は、直接または間接的に結合することができる。たとえば、負圧源104は、コントローラ110に直接結合することができ、容器112を介してドレッシング102に間接的に結合することができる。
【0025】
密閉治療環境内等、別の構成要素または場所において減圧するために負圧源を用いる流体機構は、数学的に複雑である可能性がある。しかしながら、陰圧療法に適用可能な流体機構の基本原理は、一般に、当業者には周知であり、減圧するプロセスについて、本明細書では、たとえば、負圧を「送達する」、「分配する」、「発生させる」として例示的に述べる場合がある。
【0026】
一般に、滲出液および他の流体は、流体路に沿って圧力の低い方に向かって流れる。したがって、「下流」という用語は、通常、流体路において相対的に負圧源に近いかまたは正圧源からさらに離れる何かを意味する。逆に、「上流」という用語は、相対的に負圧源からさらに離れるかまたは正圧源に近い何かを意味する。同様に、こうした基準系において流体「入口」または「出口」に関していくつかの特徴について記載することが好都合な場合がある。この向きは、概して、本明細書におけるさまざまな特徴および構成要素について説明する目的で想定される。しかしながら、いくつかの応用において(負圧源の代わりに正圧源を用いること等により)流体路を反転させることも可能であり、この説明的な方法は限定方法として解釈されるべきではない。
【0027】
「負圧」は、一般に、ドレッシング102によって提供される密閉治療環境に対して外部の局所環境における周囲圧力等、局所周囲圧力未満の圧力を指す。多くの場合、局所周囲圧力はまた、組織部位が位置する大気圧でもあり得る。別法として、圧力は、組織部位において組織に関連する静水圧未満であり得る。別段指示のない限り、本明細書で述べる圧力の値は、ゲージ圧である。同様に、負圧の上昇と述べる場合、それは、通常、絶対圧の低下を指し、負圧の低下は、通常、絶対圧の上昇を指す。組織部位に加えられる負圧の量および性質は、治療要件に従って変化する可能性があるが、圧力は、概して、一般に粗い真空(rough vacuum)とも呼ばれる低真空であり、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)である。一般的な治療範囲は、-75mmHg(-9.9kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0028】
負圧源104等の負圧供給源は、負圧での空気のリザーバであり得るか、または、たとえば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で利用可能な壁面吸引ポートまたはマイクロポンプ等、密閉容積内で減圧することができる、手動または電動の装置であり得る。負圧供給源は、センサ、処理ユニット、警報表示器、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、もしくは治療をさらに容易にするユーザインタフェース等、他の構成要素内に収容されるか、またはそうした他の構成要素と併せて使用され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、負圧源104は、コントローラ110および他の構成要素と組み合わせて治療ユニットとすることができる。負圧供給源はまた、負圧供給源の1つまたは複数の分配構成要素への結合および分離を容易にするように構成された1つまたは複数の供給ポートも有することができる。
【0029】
組織インタフェース108は、概して、組織部位に接触するように適合され得る。組織インタフェース108は、組織部位に部分的にまたは完全に接触することができる。組織部位が創傷である場合、たとえば、組織インタフェース108は、創傷を部分的にまたは完全に塞ぐことができ、または創傷の上に配置され得る。組織インタフェース108は、多くの形態をとることができ、実施されている治療のタイプまたは組織部位の性質およびサイズ等の種々の要素に応じて、多くのサイズ、形状または厚さを有することができる。たとえば、組織インタフェース108のサイズおよび形状は、深くかつ不規則な形状の組織部位の輪郭に適合させることができる。さらに、組織部位108の表面のうちの任意のものまたはすべてが、組織部位に歪みおよび応力を引き起こすことができる、突起、または不均一な、経路またはぎざぎざの輪郭を有することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、圧力下で流体を収集するかまたは分配するように適合された複数の経路を提供する物質または構造体を含みまたは本質的にそれからなり得る。たとえば、組織インタフェース108は、負圧源から負圧を受け取り、組織部位にわたって複数の開口部を通して負圧を分配するように適合させることができ、それには、組織部位にわたって流体を収集し、負圧源に向かって流体を引き寄せるという効果があり得る。いくつかの実施形態では、流体路を反転させることができ、または、組織部位にわたる流体の送達を容易にするように、二次流体路を設けることができる。
【0031】
いくつかの例示的な実施形態では、組織部位を横切る流体の分配または収集を促進するために、経路を相互接続することができる。いくつかの例示的な実施形態では、組織インタフェース108は、相互接続された気泡または細孔を有する多孔質発泡材料であり得る。たとえば、気泡発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体、多孔質組織集合体、およびガーゼまたはフェルトマット等の他の多孔質材料は、概して、相互に接続された流体流路を形成するように適合された、細孔、縁部および/または壁を含む。液体、ゲルおよび他の発泡体もまた、開口部および流体経路を含むかまたは含むように硬化させることができる。いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、さらにまたは別法として、相互接続された流体経路を形成する突起を備えることができる。たとえば、組織インタフェース108は、相互接続された流体経路を画定する表面突起を提供するように成形することができる。
【0032】
発泡体の平均細孔径は、処方される療法の必要に従って変更することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、400~600ミクロンの範囲の細孔径を有する発泡体であり得る。組織インタフェース108の引張強度もまた、処方される療法の必要に従って変更することができる。たとえば、局所治療液の注入のために、発泡体の引張強度を増大させることができる。1つの非限定的な例では、組織インタフェース108は、ともにKinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングまたはVeraFlo(登録商標)発泡体等の連続気泡の網状ポリウレタン発泡体であり得る。
【0033】
組織インタフェース108は、疎水性または親水性のいずれでもあり得る。組織インタフェース108が親水性であり得る例では、組織インタフェース108は、組織部位に負圧を分配し続ける間に、組織部位から流体を吸い上げることも可能である。組織インタフェース108の吸上げ(ウィッキング)特性は、毛細管流または他の吸上げ機構により組織部位から流体を引き出すことができる。親水性発泡体の例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なV.A.C.WhiteFoam(登録商標)ドレッシング等のポリビニルアルコール製の連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体としては、ポリエーテルから作製されたものを挙げることができる。親水特性を示すことができる他の発泡体としては、親水性を提供するように処理またはコーティングされた疎水性発泡体が挙げられる。
【0034】
組織インタフェース108は、密閉治療環境内で減圧するときに組織部位において肉芽形成をさらに促進することができる。たとえば、組織インタフェース108の表面のいずれかまたはすべてが、組織インタフェース108を通して負圧が加えられる場合に組織部位において微小歪みおよび応力を引き起こすことができる、不均一の、粗い、またはぎざぎざの輪郭を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、生体再吸収性材料から構築することができる。好適な生体再吸収性材料としては、限定なしに、ポリ乳酸(PLA)およびポリグリコール酸(PGA)のポリマーブレンドを挙げることができる。ポリマーブレンドとしてはまた、限定なしに、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトン(capralactones)も挙げることができる。組織インタフェース108はさらに、新生細胞増殖のための足場としての役割を果たすことができ、または、細胞増殖を促進するために、組織インタフェース108と併せて足場材料を使用することができる。足場は、概して、細胞増殖のためのテンプレートを提供する3次元多孔質構造体等、細胞増殖もしくは組織形成を増進または促進するために使用される物質または構造体である。足場材料の例示的な例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト、炭酸塩、または加工された同種移植片材料が挙げられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、カバー106は、細菌バリアと、身体的外傷からの保護とを提供することができる。カバー106はまた、蒸発損失を低減させ、かつ2つの構成要素、または治療環境と局所外部環境との間等の2つの環境の間に流体シールを提供することができる材料から構築することができる。カバー106は、たとえば、所与の負圧源に対して負圧を組織部位において維持するのに適したシールを提供することができるエラストマーフィルムまたは膜であり得る。いくつかの応用では、カバー106は、高い水蒸気透過率(MVTR)を有することができる。たとえば、MVTRは、いくつかの実施形態では、少なくとも300g/m2/24時間であり得る。いくつかの実施形態例では、カバー106は、水蒸気に対して透過性であるが液体に対して不透過性である、ポリウレタンフィルム等のポリマードレープであり得る。こうしたドレープは、通常、25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料の場合、透過性は、概して、所望の負圧が維持され得るのに十分に低くなければならない。
【0037】
無傷の表皮、ガスケットまたは別のカバー等の取付表面にカバー106を取り付けるために、取付装置を使用することができる。取付装置は、多くの形態をとることができる。たとえば、取付装置は、外縁、一部分または封止部材全体に延在する医学的に許容可能な感圧接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、カバー106の一部またはすべてに対して、25~65グラム/平方メートル(g.s.m.)のコーティング重量を有するアクリル系接着剤でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、シールを促進し漏れを低減させるために、より厚い接着剤、または接着剤の組合せを塗布することができる。取付装置の他の実施形態例としては、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲルまたはオルガノゲルを挙げることができる。
【0038】
コントローラ110等のコントローラは、負圧源104等、治療システム100の1つまたは複数の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサまたはコンピュータであり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、コントローラ110は、概して、治療システム100の1つまたは複数の動作パラメータを直接または間接的に制御するようにプログラムされた、プロセッサコアおよびメモリを含む集積回路を備える、マイクロコントローラであり得る。動作パラメータとしては、たとえば、負圧源104に印加される電力、負圧源104によって発生する圧力、または組織インタフェース108に分配される圧力を挙げることができる。コントローラ110はまた、フィードバック、信号等の1つまたは複数の入力信号を受け取るように構成され、入力信号に基づいて1つまたは複数の動作パラメータを変更するようにもプログラムされる。
【0039】
圧力センサ120または電気センサ122等のセンサは、物理現象または特性を検出するかまたは測定し、概して、検出または測定した現象または特性を示す信号を提供するように動作可能な任意の装置として、当技術分野において既知である。たとえば、圧力センサ120および電気センサ122は、治療システム100の1つまたは複数の動作パラメータを測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、圧力センサ120は、空気圧経路における圧力を測定し、その測定値を、測定した圧力を示す信号に変換するように構成された変換器であり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、圧力センサ120は、圧電抵抗ひずみゲージであり得る。電気センサ122は、任意選択的に、いくつかの実施形態では、電圧または電流等、負圧源104の動作パラメータを測定することができる。好ましくは、圧力センサ120および電気センサ122からの信号は、コントローラ110への入力信号として好適であるが、いくつかの実施形態では、何らかの信号処理が適切である場合がある。たとえば、信号は、コントローラ110によって処理することができる前に、フィルタリングされるかまたは増幅される必要がある場合がある。通常、信号は電気信号であるが、光信号等、他の形態で表される場合もある。
【0040】
容器112は、組織部位から抜き取られた滲出液および他の流体を管理するために使用することができる、容器、キャニスタ、パウチまたは他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、流体の収集、貯蔵および廃棄のために、剛性容器が好ましいかまたは必要である場合がある。他の環境では、流体を剛性容器による貯蔵なしに適切に廃棄することができ、かつ再使用可能な容器は、陰圧療法に関連する廃棄物およびコストを低減させることができる。
【0041】
動作時、組織部位の中に、上にわたって、上に、または他の方法で近接して、組織インタフェース108を配置することができる。組織インタフェース108の上にカバー106を配置し、組織部位の近くで取付面に封止することができる。たとえば、カバー106は、組織部位の周囲の無傷の表皮に封止することができる。したがって、ドレッシング102は、外部環境から実質的に隔離された、組織部位に近接する密閉治療環境を提供することができ、負圧源104は、密閉治療環境内で減圧することができる。密閉治療環境内において組織インタフェース108を通して組織部位にわたって加えられる負圧は、容器112内に収集することができる、滲出液および他の流体を組織部位から除去するとともに、組織部位にマクロ歪みおよび微小歪みを引き起こすことができる。
【0042】
図2は、容器112の実施形態例の組立図である。
図2の実施形態例では、容器112は、概して、キャニスタ202および蓋204によって形成することができるケーシングを含む。いくつかの実施形態では、ケーシング内に流体管理モジュールを配置することができる。流体管理モジュールは、バッグ、小箱、パウチまたは他の適合したパッケージアセンブリを含むかまたは本質的にそれからなり得る。たとえば、
図2の実施形態例に示すように、流体管理モジュールは、キャニスタ202によって画定される空洞210内に配置することができるパウチ206であり得る。キャニスタ202および蓋204は、好ましくは、流体に対して不透過性でありかつ負圧下でつぶれないように十分剛性がある材料から形成される。たとえば、好適な材料としては、プラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、セラミックまたは金属を挙げることができる。蓋204は、好ましくは、組織部位、または、たとえばドレッシング102等の分配構成要素に流体結合され、かつ蓋204を通して流体路を提供するように構成された、入口ポート208を含む。
【0043】
図3は、パウチ206の実施形態例の断面の概略図であり、いくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。パウチ206は、たとえば、吸収性コアおよびシェルを備えることができる。シェルは、吸収性コアを実質的に封入し、いくつかの実施形態では、吸収性コアの周囲にエンベロープを形成して吸収性コアに対して支持または構造的完全性を提供することができる。シェルは、いくつかの実施形態では、複数の流体経路を提供する物質または構造体を含むかまたはそれからなる、マニホールドでもあり得る。いくつかの例示的な実施形態では、シェルを横切る流体の分配または収集を促進するために、経路を相互接続することができる。
【0044】
図3の実施形態例では、吸収性コア304は、分配エンベロープ302として表されるシェル内に配置される。分配エンベロープ302は、吸収性コア304の周囲に負圧を集配するように構成され得る。たとえば、分配エンベロープ302は、いくつかの実施形態では、吸収性コア304の周囲に多孔質エンベロープを形成するテキスタイルであり得る。いくつかの例示的な実施形態では、分配エンベロープ302は、相互接続された気泡または細孔を有する多孔質発泡材料であり得る。たとえば、気泡発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体、多孔質組織集合体、およびガーゼまたはフェルトマット等の他の多孔質材料は、概して、いくつかの実施形態例に対して好適であり得る相互接続された流体流路を形成するように適合された、細孔、縁部および/または壁を含む。パウチ206は、
図3に示すように、いくつかの実施形態では対称であり得るが、対称であることは必須ではない。たとえば、吸収性コア304の形状は、容器112の他の実施形態の形状に適合するように選択することができる。分配エンベロープ302は、液体が吸収される場合に吸収性コア302が拡張することができるように適合させることができる。たとえば、分配エンベロープ302は、伸張または拡張するように適合され得る。さらにまたは別法として、分配エンベロープ302は、乾燥した場合は、吸収性コア304より大きいものであり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、分配エンベロープ302は、拡張のために吸収性コア304の周囲に少なくとも5ミリメートルの余裕を与えることができる。いくつかの実施形態では、吸収性コア304が最大限拡張した場合に、分配エンベロープ302が容器112の内面を押圧するように、パウチ206の形状を選択することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、吸収性コア304は、好ましくは、当技術分野において超吸収性ポリマーとして知られる種類のポリマーから形成され、それは、それら自体の質量に対して大量の液体を吸収しかつ保持することができ、たとえば、ヒドロゲルまたは親水コロイドを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、吸収性コア304は、好ましくは、EDANA40.3-90法によって測定した場合、400グラム/平方メートル~800グラム/平方メートルの坪量を有する。吸収性コア304はまた、いくつかの実施形態では、EDANA440.2.02法によって測定した場合、20ミリリットル/グラム~50ミリリットル/グラムの範囲の自由膨潤倍率も有することができる。さらにより具体的な実施形態例では、吸収性コア304は、EDANA440.2.02法によって測定した場合、少なくとも40ミリリットル/グラムの自由膨潤倍率を有することができる。好適な材料としては、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロース系(ナトリウムCMC等、カルボキシメチルセルロースおよび塩)またはアルギン酸塩を挙げることができる。好適な製品は、TEXSUS FP2696吸収剤、BASF402CまたはTECHNICAL ABSORBENTS2317を挙げることができる。しかしながら、吸収性コア304は、創傷滲出液または他の液体を保持し、安定化し、または凝固させるのに好適な、任意の吸収性材料から形成することができ、たとえば、コストまたは所望の容量に基づいて選択することができる。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、吸収性コア304は、紙基材の上に拡散コーティング(scatter-coat)することができる粒状吸収性構成要素から形成することができる。拡散コーティングは、紙等のテキスタイル基材の上に粒状吸収性粉末を均一に分散させることを含む。粒状吸収性粉末が上に配置された基材を炉に通過させて、粉末を硬化させ、粉末を紙基材に付着させることができる。硬化した粒状吸収性粉末および基材をカレンダー機に通過させて、吸収性材料に対して平滑な均一の表面を与えることができる。
【0047】
図4は、
図3のパウチ206の断面の組立分解図であり、いくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。
図4に示すように、分配エンベロープ302は、疎水性層402および親水性層404を備えることができる。本文脈では、「親水性層」は、概して、滲出液を含む液体に対する親和性を有する材料を含むかまたは本質的にそれからなる任意の層を含む。逆に、「疎水性層」は、概して、滲出液を含む液体をはじく傾向を有する材料を含むかまたは本質的にそれからなる任意の層を含む。疎水性はまた、材料の平坦な静止面における水の形状によっても定義することができる。より具体的には、疎水性は、液体の液滴の縁部と液滴の真下の表面との間の角度に関して定義することができ、それは、「接触角」と呼ぶことができる。接触角が90度より大きく、それにより、液滴が表面上にビードを形成する場合、材料は、疎水性として分類することができる。しかしながら、液滴が表面上に分散する場合、接触角は90度未満であり、材料は概して親水性として分類される。
【0048】
好適な疎水性材料の例としては、ポリエステル等の疎水性ポリマーが挙げられる。好適な親水性材料の例としては、親水性ポリマーと、親水性ポリエステル等、親水性を向上させるように物理的にまたは化学的に改質された疎水性ポリマーとが挙げられる。いくつかの特定の実施形態では、たとえば、疎水性層402は、ポリエステルテキスタイルを含むかまたは本質的にそれからなる場合があり、親水性層404は、親水性ポリマーテキスタイルを含むかまたはそれからなる場合がある。
【0049】
一般に、テキスタイルは、天然繊維または合成繊維の任意の結合網を含む。たとえば、繊維は、織られ、編まれ、結ばれ、押し付けられまたは他の方法で結合されて、テキスタイルを形成することができる。繊維を機械的に、熱的にまたは化学的に絡み合わせることによって互いに結合される繊維のシートまたはウェブは、概して、不織布として分類される。しかしながら、より広くには、不織布は、たとえば、フェルト等、織られずかつ編まれない繊維の任意のシートまたは層を含むことができる。織布および不織布は、概して多孔質であり、いくつかの実施形態においてマニホールドとして好適であるが、多孔性は、例えば、繊維のサイズおよび間隔に基づいて影響を与えるかまたは選択することができる。
【0050】
図4における分配エンベロープ302の実施形態例では、吸収性コア304に隣接して、第1疎水性層402および第2疎水性層402を配置することができる。第1疎水性層402および第2疎水性層402を互いに結合して、吸収性コア304の周囲に疎水性エンベロープを形成することができる。たとえば、第1疎水性層402と第2疎水性層402との間に吸収性コア304を配置することができ、高周波溶接、超音波溶接、熱溶接またはインパルス溶接によって、吸収性コア304の周囲に第1疎水性層402および第2疎水性層402の外周部を結合することができる。
図4の例にさらに示すように、分配エンベロープ302はまた、第1親水性層404および第2親水性層404も備えることができる。第1親水性層404および第2親水性層404は、それぞれ、第1疎水性層402および第2疎水性層402に接して配置することができ、それにより、親水性層404と吸収性コア304との間に疎水性層402が配置される。親水性層404は、好ましくは、疎水性層402に直接結合されるが、さらにまたは別法として、親水性層404を互いに結合して、疎水性層402および吸収性コア304を封入する親水性エンベロープを形成することができる。
【0051】
他の実施形態例では、分配エンベロープ302における疎水性層および親水性層の構成を変更することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、吸収性コア304に隣接して親水性層404を配置することができ、親水性層404に隣接して疎水性層402を配置することができ、それにより、吸収性コア304と疎水性層402との間に親水性層404が配置される。さらに他の実施形態では、分配エンベロープ302は、疎水性層402および親水性層404の非対称構成を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、分配エンベロープは、第1疎水性層402および第1親水性層404が吸収性コア304に隣接して配置される、内側エンベロープと、第2疎水性層402が第1親水性層404に結合され、第2親水性層404が第1疎水性層402に結合される、外側シェルとを備えることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、分配エンベロープ302は、第1側から第2側まで変化する疎水性を有する複合分配層であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、疎水性は、分配エンベロープの第1側から第2側まで増大することができる。いくつかの実施形態では、疎水性層402は、複合分配層の第1側とすることができ、親水性層404は、複合分配層の第2側とすることができ、複合分配層は、外側から内側まで分配エンベロープ302の疎水性を増大させることができる。たとえば、分配エンベロープ302は不織布とすることができ、疎水性層402は不織布の第1側とすることができ、親水性層404は不織布の第2側とすることができる。より具体的には、いくつかの実施形態では、分配エンベロープ302は、乾燥したポリエステルおよび親水性、異型ポリエステルのスルーエア結合されたウェブ、ならびに2成分繊維等、二層不織布を含むかまたは本質的にそれからなり得る。好適な製品としては、LIBELTEXのDRYWEB TDL2獲得および分配層、またはLIBELTEXのSLIMCORE TL4獲得および分配層を挙げることができる。
【0053】
分配エンベロープ302は、好ましくは、吸収性コア304の完全性も維持しながら、流体を分配するのに十分に多孔質である。たとえば、いくつかの実施形態では、分配エンベロープ302に対して、約50ミクロン~400ミクロンの細孔または流路が好適である可能性があり、いくつかの応用に対して、100ミクロンが特に有利である可能性がある。さらにまたは別法として、細孔径は、分配エンベロープ302にわたって変更することができる。いくつかの実施形態では、分配エンベロープ302の第1層または第1側は、第2層または第2側における細孔より小さい細孔を有することができる。たとえば、分配エンベロープ302は、吸収性コアの超吸収性粒子を保持するのに好適な約50ミクロンの細孔を備えた内側エンベロープと、流体を分配するために約400ミクロンの細孔を備えた外側シェルとを有することができる。
【0054】
図5は、
図2の容器112の実施形態例の組立正面図であり、いくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。
図5に示すように、容器112は、出口ポート502および出口ポート504等の1つまたは複数の出口ポートを備えることができ、それは、上流構成要素に結合されかつキャニスタ202を通して流体路を提供するように構成され得る。蓋204は、キャニスタ202に結合することができ、好ましくはキャニスタ202に封止されて、空洞210を外部環境から流体的に隔離し、それにより、流体が、入口ポート208、出口ポート502および出口ポート504を通してのみ容器112に入りかつ容器112から出ることができるようにする。いくつかの実施形態では、パウチ206に手を加えるのを阻止または防止するために、キャニスタ202に蓋204を、溶接し、接着し、または他の方法で永久的に締結することができる。他の実施形態では、パウチ206の挿入および除去を容易にするために、キャニスタ202に蓋204を解除可能に締結することができる。たとえば、蓋204およびキャニスタ202は、ねじ切るか、または締まりばめのためにサイズを決めることができ、好適なOリングが流体シールを提供する。
【0055】
図6は、
図5の線6-6に沿った容器112の断面であり、容器112のいくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。たとえば、
図6に示すように、キャニスタ202に蓋204を結合して、空洞210を閉鎖し、キャニスタ202および蓋204の内面によって画定される収集チャンバを形成することができる。収集チャンバ内に、入口ポート208および出口ポート502と流体連通するようにパウチ206を配置することができる。
【0056】
容器112はまた、液体が出口ポート502を通って容器112から出るのを阻止するように構成されたフィルタ602も含むことができる。1つの例示的な実施形態では、フィルタ602は、フィルタ602を通る気体の透過を可能にするが、液体の透過は実質的に阻止する、疎水性膜または材料であり得る。さらにまたは別法として、フィルタ602は、材料を液体に対して実質的に不透過性にする疎水性物質でコーティングされる透過性材料を含むかまたは本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、フィルタ602は、プラズマプロセスを用いる化学結合フルオロカーボンモノマーとすることができ、それにより、疎水性が向上する。フィルタ602はまた、疎油性または疎脂性(lipophobic)であるか、または疎油性物質あるいは疎脂性物質でコーティングされ得る。疎油性または疎脂性は、フィルタ602に偶発的に液体が接触した場合に、フィルタ602が滲出液および他の液体を吸い上げるかまたははじくことができることに寄与する。液体および気体を分離するために使用することができるいくつかの例示的な材料としては、限定なしに、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡体、スパン繊維ガラス、コットンガーゼ、ポリエステル、ガラス繊維、ポリプロピレン、マイクロファイバ、多孔質ポリマー膜、または本質的に疎水性、疎油性もしくは疎脂性である他の任意の材料または物質が挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ドレッシング102に入口ポート208を流体結合することができ、負圧源104または別の上流構成要素に出口ポート502を流体結合することができる。いくつかの実施形態では、圧力センサ120に出口ポート504を流体結合することができる。
【0058】
動作時、負圧源104からの負圧は、容器112を通してドレッシング102まで分配され、滲出液および他の流体を、入口ポート208を通して空洞210内に引き込むことができる。疎水性層402は、入口ポート208を通して引きこまれる流体を、分配エンベロープ302にわたって分配するように構成され得る。疎水性層402はまた、吸上げ側、吸上げ面、分配面、分配側または流体分配面として特徴付けることができる。疎水性層402は、分配エンベロープ302を通して分配エンベロープ302の木目に沿って流体を移動させるように構成された平滑面であり得る。親水性層404は、吸収性コア304内への流体移動を促進するように疎水性402から流体を獲得するように構成され得る。親水性層404はまた、流体獲得面、流体獲得側、親水性獲得面または親水性獲得側として特徴付けることができる。親水性層404は、多孔質面であり、分配エンベロープ302内に流体を引き込むように構成することができる。
【0059】
流体は、入口ポート208を通って容器112に入ることができる。気体は、出口ポート502、出口ポート504、またはいくつかの実施形態では両方を通って、容器112から出ることができ、フィルタ602は、出口ポート502および出口ポート504を通る液体の流れを阻止するかまたは実質的に制限することができる。液体は、容器112を通って移動する際、または、容器112内の液体の体積が増大した場合、分配エンベロープ302によって有効に取り込むことができ、分配エンベロープ302は、貯蔵するために吸収性コア304に液体を分配することができる。吸収性コア304は、液体が吸収される場合、膨張する可能性があり、拡張する際、容器112に対して分配エンベロープ302を押し付ける可能性がある。分配エンベロープ302は、吸収性コア304が拡張し、分配エンベロープ302を容器112の内面に対して押し付ける場合であっても、入口ポート208と出口ポート502との間において吸収性コア304の周囲に流体路を提供することができる。
【0060】
図7は、治療ユニット700の実施形態例と容器112の別の実施形態例との組立図であり、治療システム100のいくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。
図7の実施形態例では、容器112は、概して、ケーシング702および出口ポート704を備える。出口ポート704は、治療ユニット700に関連する負圧源(
図7では不可視)に流体結合するように構成され得る。たとえば、治療ユニット700は、一体型負圧源と、容器112が治療ユニット700に挿入された場合に負圧源を出口ポート704に結合するように構成された内部ポートとを備えることができる。いくつかの実施形態では、容器112は、1つまたは複数の取付タブ706と係止クリップ708とをさらに含むことができる。取付タブ706およびそれぞれの係止クリップ708は、容器112が治療ユニット700に挿入された場合に、治療ユニット700内の対応する戻り止めまたはハードウェアと係合するように構成され得る。
【0061】
図8は、
図7の容器112の実施形態例の組立図であり、いくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。
図8に示すように、ケーシング702は、キャニスタ710、ベース712およびキャップ714を備えることができる。容器112はまた、好ましくは、出口ポート704の上に配置されたフィルタ602も備える。いくつかの実施形態では、キャニスタ710内に流体管理モジュールを配置することができる。たとえば、
図8の実施形態例に示すように、流体管理モジュールは、いくつかの実施形態ではパウチ206と同様であるかまたは類似し得る小箱716であり得る。いくつかの実施形態では、ベース712、キャップ714または両方をキャニスタ710と一体成形することができるが、他の実施形態では、小箱716の挿入または除去を容易にするために、キャニスタ710にベース712、キャップ714または両方を取外し可能に結合することができる。
【0062】
図8に示すように、容器112はまた、入口ポート718を備えることができる。
図8の例に示すように、キャップ714に出口ポート704を配置することができ、ベース712に入口ポート718を配置することができる。しかしながら、他の実施形態では、出口ポート704および入口ポート718の構成および位置を変更することができる。
【0063】
図9は、
図7の線9-9に沿った容器112の断面であり、容器112のいくつかの実施形態に関連することができるさらなる詳細を示す。たとえば、容器112の内面は収集チャンバ902を形成することができ、収集チャンバ902内に、出口ポート704および入口ポート718(図示せず)と流体連通させて小箱716を配置することができる。
【0064】
図9にはまた、小箱716の実施形態例のさらなる詳細を示す。たとえば、小箱716は、分配エンベロープ904および吸収性コア906を含むことができる。分配エンベロープ904および吸収性コア906は、多くの点で、分配エンベロープ302および吸収性コア304と同様であるかまたは類似し得る。たとえば、分配エンベロープ904は、実質的にパウチ206に関して上述したように、液体を獲得しかつ吸収性コア906に分配するように親水性側および疎水性側を備えることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、入口ポート718にドレッシング102を流体結合することができ、出口ポート704に負圧源104を流体結合することができる。いくつかの実施形態では、ケーシング702の二次ポート等を通して、容器112に圧力センサ120も流体結合することができる。
【0066】
動作時、負圧源104からの負圧は、容器112を通してドレッシング102に分配され、滲出液および他の流体を、入口ポート718を通して収集チャンバ902内に引き込むことができる。分配エンベロープ904は、小箱716を横切って入口ポート718を通して引き込まれる流体を分配し、吸収性コア906内への流体移動を容易にするように構成することができる。
【0067】
流体は、入口ポート718を通って容器112に入ることができる。気体は、出口ポート704を通って容器112から出ることができ、フィルタ602は、出口ポート704を通る液体の流れを阻止するかまたは実質的に制限することができる。液体は、容器112を通って移動する際、または、容器112内の液体の体積が増大した場合、分配エンベロープ904によって有効に取り込むことができ、分配エンベロープ904は、貯蔵するために吸収性コア906に液体を分配することができる。吸収性コア906は、液体が吸収される場合、膨張する可能性があり、拡張する際、ケーシング702に対して分配エンベロープ904を押し付ける可能性がある。分配エンベロープ904は、吸収性コア906が拡張し、分配エンベロープ904を容器112の内面に対して押し付ける場合であっても、入口ポート718と出口ポート704との間において吸収性コア906の周囲に流体路を提供することができる。
【0068】
本明細書に記載したシステム、装置および方法は、重要な利点を提供することができる。たとえば、従来の滲出液容器は、向きが変わる(移動する患者には一般的であり得る)場合、作動しなくなることが多く、または、複数の向きでの操作を維持するために複数のフィルタを使用する可能性があり、それによって、著しく製造コストが増大し、流体容量が低下する可能性がある。容器112等の容器は、これらの不都合および他の不都合を克服することができる。たとえば、容器112は複数の向きで使用することができるが、フィルタの数を低減させることにより、製造コストを大幅に低減させることができる。
【0069】
いくつかの例示的な実施形態で示されているが、当業者であれば、本明細書に記載したシステム、装置および方法は、さまざまな変更および改変が可能であることが理解されよう。いくつかの実施形態例に関して記載しまたは例示した特徴、要素および態様は、別段の指示がない限り、省略し、または他の実施形態例の特徴、要素および態様と組み合わせることができる。さらに、「または」等の用語を用いるさまざまな選択肢の記述は、別段文脈から明らかに必要でない限り、相互排他性を必要とせず、不定冠詞「1つの(a、an)」は、別段文脈から明らかに必要でない限り、対象を単一例に限定するものではない。販売、製造、組立てまたは使用の目的で、さまざまな構成において、構成要素を結合するかまたは除外することも可能である。たとえば、いくつかの構成では、製造または販売のために、ドレッシング102、容器112または両方を除外するかまたは他の構成要素から分離することができる。他の構成例では、コントローラ110もまた、他の構成要素とは独立して、製造し、構成し、組み立てまたは販売することができる。
【0070】
添付の特許請求の範囲は、上述した主題の新規性がありかつ進歩性がある態様を示すが、特許請求の範囲は、詳細に具体的に記載していない追加の主題も包含することができる。たとえば、当業者であればすでに既知であることから新規性がありかつ進歩性がある特徴を識別するために不要である場合は、いくつかの特徴、要素または態様を特許請求の範囲から省略することができる。本明細書に記載した特徴、要素および態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、組み合わせるか、または、同じか、等価であるか、もしくは同様の目的にかなう代替的な特徴と置き換えることも可能である。