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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】コーティング剤
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20220420BHJP
   C09D 123/30 20060101ALI20220420BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220420BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20220420BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D123/30
C09D7/65
C09D7/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018064761
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019172890
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 育恵
(72)【発明者】
【氏名】原田 賢治
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-100535(JP,A)
【文献】特開平03-128980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00- 10/00
C09D 101/00-201/10
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂(A)、有機樹脂粒子(B)、及び非水溶剤(C)を含み、クリヤー性を有する被膜を形成するコーティング剤であって、
前記有機樹脂粒子(B)として、酸化型有機樹脂粒子(B-1)を含み、
前記酸化型有機樹脂粒子(B-1)として、酸化ポリエチレンを含み、
前記非水溶剤(C)として、脂肪族炭化水素溶剤(C-1)を含むことを特徴とするコーティング剤。
【請求項2】
前記脂肪族炭化水素溶剤(C-1)は、非水溶剤(C)の総量に対し5重量%以上含まれることを特徴とする請求項1に記載のコーティング剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なコーティング剤に関するものであり、艶消しタイプとして好適なものである。
【背景技術】
【0002】
被塗装物面に対して、美観や保護を目的として、コーティング剤が用いられるが、特に建築物、構造物、車両、看板、電気製品やOA機器、日用品等の分野においては、その外観の良さから艶消しコーティング剤が採用される場合が多い。このような艶消しコーティング剤には、一般に艶消し剤が用いられており、用いられる艶消し剤は、無機系及び有機系のものに分類される。
【0003】
無機系艶消し剤としては、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられるが、これらは、比較的粒度分布が広く、仕上りにばらつき、ムラが生じやすい。これに対し、有機系艶消し剤は、比較的粒度分布を狭く調整できるため、仕上りにばらつき、ムラが生じ難く、好ましく用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1では、有機微粒子が有機溶剤に分散された艶消し剤を配合した塗料組成物が記載されている。また、特許文献2では、ポリエチレン粒子の分散体をアクリル塗料に特定量配合することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-127424号公報
【文献】特開2003-268297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2のような有機溶剤を含むコーティング剤では、ポリエチレン粒子等の有機樹脂粒子が、高温状況下において膨潤する場合があり、これに伴い、有機樹脂粒子の凝集、沈降等が発生し、光沢低下等を生じて仕上りに支障をきたすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために本発明者らは、鋭意検討の結果、艶消し剤として特定の有機樹脂粒子を含むことによって、貯蔵安定性に優れ、光沢低下等を生じ難いことを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
【0009】
1. 合成樹脂(A)、有機樹脂粒子(B)、及び非水溶剤(C)を含み、クリヤー性を有する被膜を形成するコーティング剤であって、
前記有機樹脂粒子(B)として、酸化型有機樹脂粒子(B-1)を含み、
前記酸化型有機樹脂粒子(B-1)として、酸化ポリエチレンを含み、
前記非水溶剤(C)として、脂肪族炭化水素溶剤(C-1)を含むことを特徴とするコーティング剤。
2.前記脂肪族炭化水素溶剤(C-1)は、非水溶剤(C)の総量に対し5重量%以上含まれることを特徴とする1.に記載のコーティング剤。


【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、貯蔵安定性に優れ、安定した艶調整が可能であり、仕上り性に優れたコーティング剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
本発明のコーティング剤は、合成樹脂(A)、有機樹脂粒子(B)、及び溶剤(C)を含むものである。
【0013】
本発明の合成樹脂(A)としては、溶剤可溶形樹脂及び/または非水分散形樹脂(以下「(A)成分」ともいう)を使用することが好ましい。
【0014】
このうち、溶剤可溶形樹脂としては、溶剤に溶解可能なものであれば特に限定されず、各種の樹脂、例えばアクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等、あるいはこれらの複合物等を使用することができる。なお、溶剤とは、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等のいずれか又はそれらの混合物を主成分とする非水溶剤である。本発明では、脂肪族炭化水素溶剤を主成分とするものが好適である。
【0015】
好適な溶剤可溶形樹脂の一例としては、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びその他のエチレン性不飽和単量体を重合させて得られるアクリル系樹脂が挙げられる。このような樹脂では、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合比率を調整することにより、溶剤への溶解性を高めることができる。
【0016】
具体的に、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。
【0017】
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系単量体、アルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、酸化重合性基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ヒンダードアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、ベンゾトリアゾール基含有(メタ)アクリル酸エステル、ビニル系化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。
【0018】
溶剤可溶形樹脂を製造する方法としては、例えば、通常のラジカル重合法を利用することができ、特にその方法が制限されるものではない。ラジカル重合法を利用して重合させる方法としては、溶剤の存在下で、前記単量体及び重合開始剤を混合し、50~200℃で1~10時間程度重合する方法等を採用することができる。重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物等が使用できる。
【0019】
本発明における溶剤可溶形樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10000~400000、より好ましくは20000~200000である。
【0020】
本発明における(A)成分のうち、非水分散型樹脂は、溶剤に樹脂粒子として分散しているものであり、溶剤に溶解可能な樹脂部分と溶解しない樹脂部分の両方を併せ持つものである。
【0021】
このような非水分散型樹脂は、例えば、溶剤及び上記溶剤可溶形樹脂の存在下で、溶剤に不溶な重合体(m)を形成させることによって製造できる。この際、重合体(m)では溶剤可溶形樹脂と同様の単量体を用いることができるが、その単量体の種類や比率は重合体(m)が溶剤に不溶となるように選択される。好ましくは、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸エステルを必須の単量体成分とし、その共重合比率を調整することで不溶化できる。
【0022】
非水分散型樹脂の重量平均分子量は、好ましくは20000~500000、より好ましくは30000~300000である。また、非水分散型樹脂の平均粒子径は、100~2000nm程度である。
【0023】
本発明では、以上のような溶剤可溶形樹脂、非水分散型樹脂のいずれか一方または両方を(A)成分として使用することができる。(A)成分が架橋反応基を有する場合は、当該反応基と反応可能な硬化剤を併せて使用することもできる。例えば、(A)成分が水酸基を有する場合には、イソシアネート系硬化剤を使用することができる。
【0024】
(A)成分のガラス転移点は、好ましくは-5℃~70℃、より好ましくは0℃~50℃である。このような場合、耐汚染性、可撓性、耐久性の点で好適である。
【0025】
有機樹脂粒子(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)は、コーティング剤の艶を調整するものである。このような(B)成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、球状の架橋アクリル樹脂粒子、架橋ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
【0026】
(B)成分の形状としては、特に限定されず、例えば、真球状、柱状、針状あるいは不定形等が挙げられ、これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では、真球状を使用することが好適である。これにより、本発明の効果を高めることができる。
【0027】
本発明では、(B)成分として、上記(B)成分を酸化あるいは酸変性した酸化型有機樹脂粒子(B-1)(以下「(B-1)成分」ともいう。)を含むことを特徴とする。(B-1)成分は、(B)成分の全量中に好ましくは30重量%以上(より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上)であり、(B)成分が(B-1)成分のみの場合が最も好ましい。
【0028】
このような(B-1)成分としては、上記(B)成分を酸化処理したものであれば、特に限定されないが、本発明では特に、酸化ポリエチレンが好適である。具体的に、酸化ポリエチレンとしては、例えば、ポリエチレンを空気酸化法、または過マンガン酸カリ酸化法等の常法により酸化して、カルボキシル基を導入したもの等が挙げられる。酸化されるポリエチレンとしては、特に限定されず、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンの何れを使用してもよいが、高密度ポリエチレン(好ましくは0.95g/m以上)を使用することが好適である。
【0029】
酸化ポリエチレンの酸価は、好ましくは5~100mgKOH/g(より好ましくは10~80mgKOH/g)である。これにより、分散性が高まり、優れた貯蔵安定性が得られ、安定した艶調整ができる。また、酸化ポリエチレンの密度は、好ましくは0.95g/m以上(より好ましくは0.98g/m以上)融点が、好ましくは120℃以上(より好ましくは125℃以上)であることにより溶剤に対する耐性(特に、高温状況下)を高めることができ、安定した艶調整が可能となる。
【0030】
さらに、酸化ポリエチレンの重量平均分子量は、好ましくは400~200000(より好ましくは500~15000)、平均粒子径は、好ましくは1~30μm(より好ましくは2~20μm)、形状は、真球状であることが好適である。このような酸化ポリエチレンは、1種または2種以上で使用することができ、これにより、貯蔵安定性に優れ(特に、高温状況下における膨潤、凝集、沈降等が抑制され)、安定した艶調整が可能であり、優れた仕上り性を得ることができる。さらには、高いクリヤー性を有する被膜を形成することができる。
【0031】
上記(B)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは5~100重量部(より好ましくは10~80重量部)である。また、(B)成分をコーティング剤に混合する場合の態様としては、特に限定されず、例えば、粉末形状、あるいは予め溶剤(好ましくは脂肪族炭化水素溶剤)等に分散された分散体であってもよい。
【0032】
本発明のコーティング剤は、非水溶剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう)として、脂肪族炭化水素溶剤(C-1)(以下、「(C-1)成分」ともいう。)を含むことを特徴とする。このような(C-1)成分は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤に比べ、低毒性であり、作業上の安全性が高く、さらには大気汚染に対する影響も小さいという特徴をもつものである。さらに、本発明では、(C-1)成分を含むことにより、上記(B)成分の十分な貯蔵安定性を確保し、安定した艶調整が可能となり、仕上がり性を高めることができる。
【0033】
上記(C-1)成分は、例えば、脂肪族炭化水素を含む溶剤であり、例えば、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、テルピン油、ミネラルスピリット等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。(C-1)成分は、(C)成分の総量に対し5重量%以上含まれることが好ましく、10~80重量%含まれることがより好ましい。
【0034】
本発明では、(C)成分として、全溶剤中に脂肪族炭化水素を30重量%以上含むものが好ましく使用できる。特に、トルエン等を実質的に含まず、引火点21℃以上の消防法第四類第2石油類に該当するものが、安全衛生上好ましい。(C)成分において、脂肪族炭化水素溶剤と混合可能な溶剤としては、例えば、ソルベントナフサ、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
【0035】
(C)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは100~500重量部(より好ましくは120~400重量部)である。なお、(C)成分には、各成分の媒体として使用される溶剤も含まれる。
【0036】
本発明のコーティング剤は、艶消しコーティング剤として好適である。なお、ここに言う「艶消し」とは、一般に艶消しと呼ばれるものの他に、3分艶、5分艶、7分艶等と呼ばれるものも包含する。具体的に、本発明では、鏡面光沢度によって艶を規定することができる。上述の艶消しコーティング剤における鏡面光沢度は、好ましくは40以下である。艶消しコーティング剤の艶の調整は、コーティング剤に配合する(B)成分の混合比率等によって適宜調整することができる。
ここで、鏡面光沢度とは、JIS K5600-4-7「鏡面光沢度」に準じて測定される値である。具体的には、ガラス板の片面に、すきま150μmのフィルムアプリケータを用いてコーティング剤を塗り、塗面を水平に置いて温度23℃・相対湿度50%下で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度)を測定することによって得られる値である。
【0037】
本発明のコーティング剤は、上述の成分の他、本発明の効果に影響しない程度に各種成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、増粘剤、皮張り防止剤、脱水剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。本発明のコーティング剤は、上記(A)~(C)成分と、必要に応じこのような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。
【0038】
本発明のコーティング剤は、主に、建築物、土木構造物等に適用することができる。このような部位を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、木質板、プラスチック板、金属板等が挙げられる。これら基材は、何らかの表面処理(フィラー処理、パテ処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等)が施されたものや、既に塗膜が形成されたもの等であってもよい。
【0039】
本発明のコーティング剤は、塗装時に希釈を行うことができる。希釈剤としては、上記(C-1)成分が好ましく、希釈後の(C)成分の総量が上記混合比率を満たす範囲内で希釈することが望ましい。
【0040】
塗装方法としては、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装等、種々の方法を採用することができる。塗装時の塗付け量は、1回の塗装当たり、好ましくは30~250g/m、より好ましくは50~200g/mである。本発明では、一旦塗装を行い、その塗膜が乾燥した後に、次の塗装(重ね塗り)を行えばよい。乾燥温度は、好ましくは-10~50℃、より好ましくは-5~40℃である。塗り回数は、好ましくは2回以上である。
【実施例
【0041】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明の特徴をより明確にする。
(コーティング剤の製造)
表1に示す配合に従い、(A)~(C)成分、及び添加剤を定法により混合・攪拌しコーティング剤(主剤)を得た。
【0042】
なお、以下に示す原料を使用した。
・合成樹脂(A1):非水分散型アクリルポリオール(固形分50重量%、水酸基価35mgKOH/g、ミネラルスピリット溶液)
・合成樹脂(A2):溶剤可溶型アクリルポリオール(固形分50重量%、水酸基価35mgKOH/g、芳香族炭化水素溶剤溶液)
・有機樹脂粒子(B1):酸化ポリエチレン粒子(酸価26~46mgKOH/g、平均粒子径6~10μm、密度0.99g/m、融点137℃)
・有機樹脂粒子(B2):ポリエチレン粒子(酸価0mgKOH/g、平均粒子径6~10μm、密度0.94g/m、融点118℃)
・非水溶剤(C1):脂肪族炭化水素含有溶剤(ミネラルスピリット;脂肪族炭化水素溶剤70重量%、芳香族炭化水素溶剤30重量%混合溶液)
・非水溶剤(C2):芳香族炭化水素含有石油混合溶剤(ソルベントナフサ)
・非水溶剤(C3):芳香族炭化水素溶剤(トルエン)
・添加剤:分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤等
【0043】
<貯蔵安定性>
貯蔵安定性評価として、作製直後のコーティング剤(貯蔵前)、及び作製後に透明容器に入れて密封し、50℃で50日間貯蔵した後のコーティング剤(貯蔵後)について、コーティング剤の状態、光沢度、粘度変化を評価した。各評価方法、及び評価基準は以下の通りである。
【0044】
(コーティング剤の状態)
50℃で50日間貯蔵した後のコーティング剤の状態を確認し、評価を行った。評価は以下の通りである。また、結果は表2に示す。
A:異常なし
B:わずかに沈降が認められる
C:沈降、凝集が認められる
D:著しく沈降、凝集が認められる
【0045】
(粘度変化)
貯蔵前、及び貯蔵後のコーティング剤の粘度を測定し、貯蔵前後での粘度変化を評価した。なお、粘度の測定にはBH型粘度計を用い、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。評価基準は以下の通りである。また、結果は表2に示す。
A:粘度変化10%未満
B:粘度変化10%以上20%未満
C:粘度変化20%以上30%未満
D:粘度変化30%以上50%未満
E:粘度変化50%以上
【0046】
(光沢性)
貯蔵前、及び貯蔵後のコーティング剤にイソシアネート硬化剤(不揮発分100重量%、NCO含有量12重量%)を合成樹脂(A)とイソシアネート硬化剤のNCO/OH当量比が1.2となるように混合し、それぞれ150×120×3mmの透明なガラス板に、WET膜厚が125μmとなるようにアプリケーター引きし、20℃、65%RH(以下、標準状態という)で48時間乾燥後、JIS K 5400 7.6鏡面光沢度に準じ、60度の角度での光沢度を測定し、貯蔵前後での光沢度を評価した。評価基準は以下の通りである。また、結果は表2に示す。
A:光沢度変化20%未満
B:光沢度変化20%以上40%未満
C:光沢度変化40%以上60%未満
D:光沢度変化60%以上
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】