(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】橋梁の補修方法
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2018074637
(22)【出願日】2018-04-09
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112886
【氏名又は名称】フリー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】長岡 信玄
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-237989(JP,A)
【文献】特開2011-63993(JP,A)
【文献】登録実用新案第3213990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
21/00-23/24
E01D 1/00-24/00
E21D 11/00-19/06
23/00-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋台と橋台、あるいは橋台と橋脚、橋脚と橋脚の間に床板をかけ渡した既設の橋梁において、
前記の橋台と橋台などの間に、内部に流路空間を開放し、かつ橋梁の中心軸と平行方向に分割した分割支持枠を設置した後、
複数の分割支持枠を一体の支持枠群として形成し、
橋梁の外側には
橋梁の中心軸と平行に遮断壁を形成し、
この遮断壁と、支持枠群の上面とで包囲した空間の内部に固結材を充填して行う方法であって、
前記の支持枠群の外側端、および遮断壁を、平面視で橋梁の外側から離れ
た位置
であって、
遮断壁が支持枠群の端部の上に載るか接する状態で、
かつ遮断壁が支持枠群の下の流路空間を確保した状態で、
かつ遮断壁の上端の高さを、橋梁の上面より高い位置に設置し、
この遮断壁と、支持枠群の上面とで包囲した空間の内部に固結材を
、橋梁の下部だけでなく、側部、上部まで充填して
橋梁を固結材で
包み込んで行うことを特徴とする、
橋梁の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋梁の補修方法であり、特に周辺に工事用の土地の余裕がない場合の補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国で山間部に設置したような小規模な橋梁において、その架け替えや補修が必要とされているものは、架設の時期からみて数十万件に及ぶと言われている。
そのような橋梁の補強、改修の技術としては、強化繊維シートを張り付けるような耐震補強方法が知られている。(特許文献1)
あるいは、橋梁の高欄や表面舗装、床版、支承といった、橋梁の構造の一部を改修、補強する方法が知られている。(特許文献2)
さらに、老朽化した橋梁はいったんすべてを解体してしまい、新たな橋梁をかけ直す方法も採用されている。
あるいは既設の橋梁の下部に、上向きに凸のアーチ型の支持枠を設置し、その支持枠と既設の橋梁の下部の空間に固結材を充填して橋梁の荷重を支持する工法も知られている。(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-110536号公報
【文献】特開平9-228321号公報
【文献】特開2011-63993号公報
【文献】特開2013-237989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の方法は次のような課題を備えている。
<1>一般に採用されているのは、特許文献1~3に挙げたように、橋梁の一部の改修、補強であり、橋梁全体を対象としたものは見つからない。
<2>実際に現場で採用されている改修、補強工法では、橋梁上の通行を止めたり、一部を制限する方法であって、周辺の環境や経済活動に大きな影響を及ぼす。
<3>特に、老朽化した橋梁をいったん解体して、あらたな橋梁をかけ直す方法では、長期間にわたって通行が不可能となったり、仮の桟橋を仮設するなど、利用者や発注者に大きな負担がかかっている。
<4>その点を解決した、本件発明者による発明が特許文献3として開示する。しかし元来橋梁は山側からの流水が集まった流れの上に架設するものであり、特許文献3記載の発明では橋梁下の流れに対する対策が不十分であった。
<5>またその問題とは別に、固結材が一般の土砂と比較すれば高価であるので、特許文献3に示す方法において、固結材の使用量を減らせば、さらに採用されやすい工法であると考えられる。
<6>特許文献4の工法は橋梁の一部を補強するのではなく、橋梁全体を再生するので、工事中に路上の交通に影響を与えずに施工できるという利点がある。しかし橋梁の付近は一般に平坦な場所が少ない。そのために橋梁の付近でアーチ型の支持枠を一体で製造し、それを一体で橋梁の下に引き入れるという作業は急峻な現場や狭い現場では施工が困難である、という問題があることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、本発明の橋梁の補修方法は、
橋台と橋台、あるいは橋台と橋脚、橋脚と橋脚の間に床板をかけ渡した既設の橋梁において、
前記の橋台と橋台などの間に、内部に流路空間を開放し、かつ橋梁の中心軸と平行方向に分割した分割支持枠を設置した後、
複数の分割支持枠を一体の支持枠群として形成し、
橋梁の外側には橋梁の中心軸と平行に遮断壁を形成し、
この遮断壁と、支持枠群の上面とで包囲した空間の内部に固結材を充填して行う方法であって、
前記の支持枠群の外側端、および遮断壁を、平面視で橋梁の外側から離れた位置であって、
遮断壁が支持枠群の端部の上に載るか接する状態で、
かつ遮断壁が支持枠群の下の流路空間を確保した状態で、
かつ遮断壁の上端の高さを、橋梁の上面より高い位置に設置し、
この遮断壁と、支持枠群の上面とで包囲した空間の内部に固結材を、橋梁の下部だけでなく、側部、上部まで充填して
橋梁を固結材で包み込んで行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の橋梁の補修方法は以上説明したようになるから次のような効果のいくつかを得ることができる。
<1>橋梁の一部を補修したり、補強するのではなく、橋梁全体を再生することができる。
<2>老朽化した橋梁全体を、解体せずそのままの状態を保持したまま再生することができる。
<3>橋梁全体を補修する方法でありながら、再生工事中には現状の交通にほとんど影響を与えないので、周辺の経済環境を乱すことがない。
<4>老朽化した橋梁をいったん解体して再度、新たな橋梁を架設するのと同様の効果を得られながら、大幅なコスト削減を期待できる。
<5>橋梁の幅員を増加する場合にも、現在の橋梁上の交通にほとんど影響を与えずに行うことができる。
<6>支持枠の下部の空間に形成した流路空間には固結材を充填する必要がないから、一般の土砂と比較して高価である固結材の使用量を大幅に減少させることができる。
<7>一般に山岳地帯の橋梁ではその周辺に足場のよい平地が存在しない場合が多い。しかし本願発明の方法では、支持枠を橋梁の中心軸に平行な方向に複数に分割して順次、橋梁の下に引き込むから、広い作業用地が得られない現場においても採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】橋梁の下部に分割支持枠を設置している状態の説明図。
【
図2】橋梁の下部に分割支持枠を設置し、支持枠群を形成した状態の説明図。
【
図3】橋梁の外側に、遮断壁を設置する状態の説明図。
【
図4】橋梁から離れた位置に遮断壁を構築している状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
<1>対象とする橋梁
本発明の再生方法、再生の一つとしての拡幅方法の対象とする既設の橋梁Aは、橋台aと橋台aの間、あるいは橋台aと橋脚の間、さらに橋脚と橋脚の間に床板bをかけ渡したような橋梁Aである。
単純梁で構成した橋梁Aはもちろん、連続梁、ラーメン構造、さらには吊橋、斜長橋もその対象とすることができる。
なお本明細書では、煩雑さを避けるために図の実施例にしたがって「橋台間」と称する場合に、それは橋台aと橋台aの間だけではなく、橋台aと橋脚の間、橋脚と橋脚の間も意味するものである。
対象とする既設の橋梁Aは道路橋でも鉄道橋、水路橋など、その用途の限定はない。
また橋梁Aを構成する材料は、コンクリートであっても鋼材であっても対象とすることができる。
なお、本願発明の方法は後述するように橋梁A全体をそのまま支持してしまう、というか、巻き込んでしまうという、従来の「補修」「補強」「改修」「修繕」などの概念、用語に該当しない工法である。
そのために適切な表現がないのでとりあえず「再生」という用語で説明するが、権利解釈上では本願発明の「再生」は従来の技術用語としての「再生」の概念に限定されないものであることを明確にしておく。
なお説明の便宜上、分割支持枠1a群で覆った下の空間、すなわち水路部分を「流路空間2」といい、その上の空間を「遮断予定空間5」という。
【0012】
<2>分割支持枠の製造。
既設の橋梁の下の流路の空間を確保するために、内部に流路空間2を開通した分割支持枠1aを製造する。
分割支持枠1aの外形は、橋梁の下部の高さ、幅よりも、その高さ、幅ともに小さい形状を呈する。
分割支持枠1aの例として、内部に流路空間2を開通した、上向きで、かつ橋梁の下に設置した場合に、橋梁の中心軸を横断する方向に凸のアーチを形成した、分割支持枠1aを採用することができる。
その場合に、アーチ状の梁である支保工や足場を組み立て、その上に工場生産の円弧状のプレキャストコンクリート、波型鋼板、あるいはメタルフォームなどを敷設して分割支持枠1aを製造する。
分割支持枠1aの下の流路空間2の断面積は、橋梁の下に設置した場合に、洪水時に山側から橋梁Aの下に流下してくる水量、押し流される樹木の量などを勘案して決定する。
【0013】
<3>分割支持枠の長さ。
分割支持枠1aの、橋梁中心軸と横断する方向の長さは、補修対象の橋梁Aの幅よりも短く形成する。
このように橋梁Aの下に設置する予定の支持枠を、橋梁中心軸と平行の方向に分割した分割支持枠1aとして製造し、あるいは工場生産して仮置きするので、斜面の傾斜が急角度で余裕のある用地が確保しがたい山間部での橋梁Aの補修にも対応することができる。
【0014】
<4>ボックスカルバートの採用。
分割支持枠1aとして内部に流路空間2を貫通した、橋梁Aの下部の高さ、幅よりも高さ、幅ともに小さい外形寸法の筒状のボックスカルバートを採用することもできる。
ボックスカルバートはプレキャストコンクリート製、鋼材製などの既製品を採用することができるし、現場付近で製造することもできる。
その他の特徴は上記のアーチ型の分割支持枠1aと同様である。
いずれの形状の分割支持枠1aも、その上面が後述する固結材4と一体となり、固結材4の硬化後にも解体することはない。
【0015】
<5>分割支持枠の緊張構造。
分割支持枠1aを現場に設置した場合に、分割支持枠1aの相互の間に隙間が生じては不都合である。
そこで分割支持枠1a内に鋼材を通して締め付けて緊張し、支持枠群1として一体化する必要がある。
そのために各分割支持枠1aの断面内には、同一の位置に、緊張材を挿入する貫通孔12を、分割支持枠1aの流路空間2と平行方向に貫通しておく。
あるいは隣接する分割支持枠1a同士を引き寄せて一体化できるように、シールドトンネルのセグメント間の緊張のために採用しているようなボルト、ナット構造を採用することもできる。
【0016】
<6>施工方法。
次に上記した分割支持枠1aを使用した橋梁Aの補修方法を説明する。
【0017】
<7>支持枠群の設置と一体化。
上記した構造の分割支持枠1aを順次、補修対象の橋梁Aの下部の空間内に設置して支持枠群1を形成する。
分割支持枠1aの設置には、アーチ型、ボックス型とも、アーチやボックスの内部の流路空間2が橋梁Aの中心軸を横断する方向になるように設置する。
分割支持枠1aを順次橋梁Aの下部に設置して所定の延長の支持枠群1が確保できたら、各分割支持枠1aに貫通した貫通孔12に鋼材を挿入してジャッキで緊張して一体化し、あるいは隣接する分割支持枠1a間をボルト、ナットで緊結して一体化する。
その結果、遮断予定空間5は、支持枠群1の上面と、向かい合う橋台aの内側面と、橋梁Aの床版bの下面とで包囲した空間となる。
【0018】
<8>遮断壁の設置
橋梁Aの少なくとも片側、あるいは両側に道路の進路方向と平行に遮断壁3を形成する。
遮断壁3は、橋台a間の空間の全面を塞ぐものではなく、支持枠群1の上側の「遮断予定空間5」の谷側、あるいは山側、あるいはその両側の側面だけを閉鎖する壁である。
この遮断壁3としては、たとえば幅2メートル、高さ1メートル程度の薄いコンクリートパネルを、支持枠群1の谷側の端部11、山側の端部に積み重ねる工法を採用することができる。
その場合に、コンクリートパネルの内部や背面にPC鋼線、鋼棒を貫通させ、この鋼線や鋼棒の下端を支持枠群1の端部に固定し、上部端を緊張することによって、コンクリートパネルを支持枠群1の端部の上に立ち上げることができる。
以上のような遮断壁3の設置工事は、橋梁Aの上の路面を使用せず、橋梁Aの下から行うから、橋梁A上の交通を妨げることがない。
前記したように遮断壁3は、橋梁Aの両側に設置する場合に限らず、谷側にのみ設置する場合もあるが、遮断壁3を谷側にのみ設置した場合には、山側の自然の斜面がそのまま山側の遮断壁3として機能することになる。
したがって「少なくとも谷側」とは、当然ながら谷側のみへの遮断壁3の構築と、谷側、山側の両側への遮断壁3の構築を含む意味である。
【0019】
<9>固結材の充填(
図3)
上記の工程で、遮断予定空間5の谷側、あるいは両側に遮断壁3を立ち上げると、橋梁Aの下部は、支持枠群1の上面と、両側の橋台aの内側面と、橋梁Aの床版bの下面と、遮断壁3で包囲した空間を形成することができる。
この遮断壁3と床版bと、支持枠群1の上面で包囲した遮断予定空間5の内部に公知の固結材4を充填する。
充填高さは橋梁Aの床版bの下面まで、あるいは床版bを埋設する高さまでである。
固結材4としては、後述するように軽量盛土材として知られている公知の材料を使用することができる。
このような固結材4は、流動化しているので、充填用のパイプを利用して遮断壁3の一部を開口して包囲した遮断予定空間5の内部に充填することができる。
橋梁Aの下面において水平梁が縦横に配置してある場合には、橋梁Aの直下の空間には、遮断壁3からではなく、橋梁Aの床版bに充填孔を開口して、そこまで充填用パイプを配置して充填を行うこともできる。
このような固結材4の供給工事は、橋梁Aの床版bの上の路面をほとんど使用せず、橋梁A以外の周囲の地上空間から行うことができるから、橋梁A上の交通を妨げることがない。
なお、充填前には地表面に防水シートの敷設、モルタルの吹き付け、アンカーボルトの打設、など、固結材4の供給前に一般に行われている各種の公知の予備工事を行う。
【0020】
<10>固結材による橋梁の支持
この工程によって、支持枠群1の上面と、遮断壁3と、両橋台aの内側面と、床版bの下面とで包囲した橋梁Aの下部の全体に固結材4を充填すれば一定時間後に固化する。
すると、橋梁Aの全体の荷重は、橋台aや橋脚によるのではなく、その下に位置する固結材4で受けることになる。
すなわち橋台aや橋脚によって得られていた支持力の一部、全部を無視して、固結材4のブロックを主体として床版bや降雪の死荷重、通行車両の活荷重、地震時の水平荷重を受けることになる。
したがって単純梁構造の橋梁Aはもちろん、連続梁、ラーメン構造、さらには吊橋、斜長橋もその対象とすることができる。
また、老朽化した橋梁Aのその場しのぎの一部の改修ではなく、基本的な架け替え策、再生策として採用することができる。
【0021】
<11>固結材の種類
充填する固結材4としては、軽量盛土を採用することができる。
軽量盛土料とは、道路などの盛土を軽くして地盤に加わる負荷を軽減するために使用する材料である。
軽量盛土材としては、EPSと称する発泡スチロールブロック、FCBと称する気泡混合軽量土、発泡ウレタン軽量土、発泡ビーズ混合軽量土などが知られており、それらを採用する。
この他にもスーパーソル,石炭灰,水砕スラグなどが知られており、それらを採用することもできる。
【0022】
<12>橋梁の拡幅。
以上の説明は橋梁Aの下部空間に固結材4を充填して、橋梁A全体を支持する工法であった。
本発明の工法は、再生策の一つとして、橋梁Aの幅を拡幅する場合にも採用することができる。
その際には支持枠群1の端部は、平面視で橋梁Aの外側まで張り出した状態で設置する。
【0023】
<13>離れた位置に遮断壁を構築。(
図4)
平面視で橋梁Aの外側まで張り出した支持枠群1の張出端部11の上に遮断壁3を立ち上げて構築する。
あるいは張出端部11に接する状態で、遮断壁3を鉛直、あるいは多少傾斜させて設置する。
このように支持枠群1の端部が橋梁Aより外側に張り出しているので、遮断壁3の上端は、補修前の橋梁A高欄の位置より外側に位置する。
その場合にも上記の方法と同様に、遮断壁3の下部は支持枠群1の端部11の上に載っているか、接しているから、支持枠群1の下には流路空間2は確保されている。
そして支持枠群1と、遮断壁3と、両橋台aの内側面と、床版bの下面とで包囲した橋梁Aの下部の全体に固結材4を充填する
その際に遮断壁3の端部に、道路側に向けて袖壁状に妻板型枠、妻板遮断壁3を設ければ遮断壁3の端部から固結材4が流出することはない。
遮断壁3と橋梁A高欄より外側の充填空間に固結材4を充填した後に、その上面に舗装を施して拡幅部分を新たな歩道、待避所、バス停などとして利用することができる。
橋梁A部以外の取り付け道路を拡幅する場合には、遮断壁3の橋梁A中心軸方向の延長上、すなわち現在の道路の路肩と並行方向に土止め壁を構築して、現在の道路との間隔に固結材4を充填する。
【0024】
<14>橋梁Aの包み込み。(
図5)
以上の説明は橋梁Aの下部空間、あるいは張り出した外部空間に固結材4を充填して、橋梁A全体を支持する工法であった。
さらに本発明の工法は、再生策の一つとして橋梁Aを固結材4で包み込む工法としても採用することができる。
その際にも支持枠群1の端部は、平面視で橋梁Aの外側まで張り出した状態で設置する。
【0025】
<15>遮断壁の設置。
橋梁Aを包み込む工法では、遮断壁3の上端の高さを、橋梁Aの上面よりも高い位置まで積み上げて設置する。
その後に固結材4を充填するが、固結材4は橋梁Aの下部だけでなく、その側部およびその上部まで充填する。
すると補修前の橋梁Aは、その下部だけでなく、側部、上部を固結材4で完全に包囲された、包み込まれた状態になる。
そうすれば橋梁Aの床版にひび割れ、破損などが生じていても、いちいちその補修をする必要がなく、完全に固結材4の内部に埋め込まれた状態となるので確実な補修を行うことができる。
硬化した固結材4の上面を新たな道路として開放する。
なお、遮断壁3の端部に、道路側に向けて袖壁状に妻板型枠、あるいは妻板遮断壁3を設けて遮断壁3の端部からの固結材4の流出を阻止することは前記の拡幅の実施例と同様である。
【0026】
<16>自立型分割支持枠。
特にアーチ型の分割支持枠1aの場合には、その下端はアーチの両端を橋台aの下端などで固定すればよいが、アーチの両端にかかる荷重が大きく、両端のアーチ荷重に対して橋台aの反力が不足する場合も想定できる。
その場合には、上向きに凸に形成したアーチ型の分割支持枠1aの下端を水平の弦材で連結して自立型のアーチ型の分割支持枠1aを形成する。
弦材としては、鋼材や網材で構成した水平材、あるいは水平の床面を利用できる。
このタイプの分割支持枠1aを使用しても、他の工程は前記の実施例と同様である。
【符号の説明】
【0027】
A:橋梁A
1:支持枠群
1a:分割支持枠
3:遮断壁
4:固結材