(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】表示装置およびそれを用いたピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
H01H 9/16 20060101AFI20220420BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220420BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H01H9/16 A
B65G1/137 F
H01H13/52 F
(21)【出願番号】P 2018144628
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 謙二
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-068032(JP,U)
【文献】特開2006-196395(JP,A)
【文献】実開昭63-061717(JP,U)
【文献】特開平07-257712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
H01H 89/00 - 89/10
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部の位置が表示されたパネルと、前記パネルの下層に配置された可撓性材料からなる面状のスイッチシートと、前記スイッチシートの下層に配置され、前記パネルおよび前記スイッチシートを収容するメインケースと、前記メインケースの下層に配置され、前記第1表示部に対応する位置に第1光源を備えた配線基板とを積層して構成される表示装置であって、
前記スイッチシートは、前記パネルが外部から押圧されたときに互いに接触する複数の接点を備えたスイッチと、前記スイッチに電気的に接続され、その一部が前記配線基板に電気的に接続される接続端子と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記接続端子は、前記スイッチシートの面内において、前記パネルの前記第1表示部に対応する位置と離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示装置の第1表示部に示された指示に従って物品の仕分け作業を行うピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびそれを用いたピッキングシステムに関し、より詳しくは、表示装置の指示に従って多種多量の物品を仕分けするピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
流通センターなどにおいては、搬入された多種多量の物品を行く先毎に仕分ける作業がピッキングシステムによって行われている。
【0003】
ピッキングシステムの一例として、仕分け対象となる多数の物品が保管された物品保管棚と、物品保管棚からピッキングした物品を集品箱に投入して搬送するコンベヤとを備えたものが知られている。
【0004】
このようなピッキングシステムの場合、物品保管棚には、指定された物品を個別に収納する多数の保管箱や、管理コンピュータからの指令によって作業者にピッキングすべき物品の位置や数などを指示する多数の表示装置が配設される。
【0005】
特許文献1には、上記のようなピッキングシステムにおいて使用される表示装置として、物品保管棚からピッキングすべき物品の位置を作業者に指示すると共に作業者がその指示を確認したことを管理コンピュータに知らせる照光式の確認指示部と、物品保管棚からピッキングすべき物品の数を作業者に指示するデジタル式の数量表示部とを備えた表示装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、この種のピッキングシステムにおいて使用される表示装置の一例として、メカニカル方式の押動スイッチを備えたピッキング用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-222426号公報
【文献】登録実用新案第3003364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたピッキングシステムでは、作業者は、表示装置によって指示された物品を物品保管棚からピッキングしてコンベヤ上の集品箱に投入した後、表示装置の確認指示部を手で押して投入作業が完了したことを管理コンピュータに知らせてから次の作業に移行する。
【0009】
従来、この種の表示装置の確認指示部には、特許文献2に記載された表示装置のようなメカニカル方式の押動スイッチが採用されており、作業者が表示装置の表面に配設された確認指示部の照光ボタンを手で押すと、表示装置内の押動スイッチが作動して光源が消灯し、指示が完了する構造になっている。
【0010】
しかしながら、上記のようなピッキングシステムでは、作業者が確認指示部の照光ボタンを手で押す作業を繰り返し行うため、メカニカル方式の押動スイッチを採用すると、照光ボタンに加わる衝撃によって押動スイッチに破損や摩耗が生じ易く、これが表示装置の耐久性を低下させる原因となっていた。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐久性の向上した表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の表示装置は、表面側から順に第1表示部の位置が表示されたパネルと、可撓性材料からなるスイッチシートと、上記パネルおよび上記スイッチシートを収容するメインケースと、上記第1指示部用の光源を備えた配線基板とを積層した構造を有している。上記スイッチシートは、上記パネルが外部から押圧されたときに互いに接触する複数の接点を備えたスイッチと、上記スイッチに電気的に接続され、その一部が上記配線基板に電気的に接続される接続端子とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐久性の向上した表示装置およびそれを用いたピッキングシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るピッキングシステムの概略平面図である。
【
図2】
図1のピッキングシステムに使用される表示装置の正面図である。
【
図4】
図2に示す表示装置の一部拡大断面図である。
【
図5】
図2に示す表示装置の一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係るピッキングシステムの概略平面図、
図2は、
図1のピッキングシステムに使用される表示装置の正面図、
図3は、
図2に示す表示装置の分解斜視図、
図4は、
図2に示す表示装置のスイッチシートの一部拡大断面図、
図5は、
図2に示す表示装置の一部拡大斜視図である
なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態に係るピッキングシステム1は、多種多量の物品を保管する物品保管棚2と、この物品保管棚2に並行して配置され、物品保管棚2からピッキングされた物品を投入する多数の集品箱3を搬送するベルトコンベヤ4とを備えている。
【0017】
特に限定はされないが、本例の物品保管棚2は、ベルトコンベヤ4の進行方向に沿って4つのピッキングゾーン(ゾーンa~ゾーンd)に区画されており、ピッキングゾーン(ゾーンa~ゾーンd)のそれぞれは、さらに3つの間口部7に区画されている。図示は省略するが、各間口部7には、指定された物品を個別に収納する多数の保管箱が並べられている。
【0018】
物品保管棚2の各間口部7には、管理コンピュータ(図示せず)からの指令によって作業者Mに物品のピッキング位置やピッキング数などを指示する多数の表示装置5が設けられている。これらの表示装置5は、物品保管棚2の水平方向に沿って配置され、管理コンピュータに接続されたケーブル(図示せず)を介して互いに接続されている。
【0019】
ベルトコンベヤ4の近傍には、ベルトコンベヤ4の進行方向に沿って配置された多数のガイドランプ6が設けられている。ガイドランプ6のそれぞれは、互いに異なる色で発光する多色の発光ダイオード(LED)を備えており、ベルトコンベヤ4に載って移動する多数の集品箱3のうち所定の集品箱3に同期して所定の色で点灯するように構成されている。
【0020】
上記のような構成を有するピッキングシステム1においては、物品保管棚2の各ゾーンa~dに配置された作業者Mが表示装置5を通じて指示される情報に従って物品保管棚2の所定の場所から所定の物品を所定の数だけピッキングした後、ピッキングした当該物品をベルトコンベヤ4上の集品箱3のうちガイドランプ6で示される位置の集品箱3に投入する。続いて、作業者Mは、表示装置5の確認指示部(後述)を手で押して確認指示部を作動させることにより、投入作業の完了を管理コンピュータに通知する。
【0021】
作業者Mから投入作業の完了の通知を受けた管理コンピュータは、次にピッキングすべき物品の位置や数などの情報を表示装置5を通じて作業者Mに指示する。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態の表示装置5は、作業者Mが物品保管棚2からピッキングすべき物品の位置を指示すると共に、物品投入作業の完了後に作業者Mが手で押して作業の完了を管理コンピュータに通知する照光式の確認指示部(第1表示部)5Aと、作業者Mが物品保管棚2からピッキングすべき物品の数を指示するデジタル式の数量表示部5Bとを備えている。
【0023】
図3に示すように、表示装置5は、表面側から順にパネル51、スイッチシート52、メインケース53および配線基板54を積層した構造を有している。
【0024】
表示装置5の表面を覆うパネル51は、透明乃至半透明の合成樹脂板の一面に確認指示部5Aおよび数量表示部5Bの位置を示すパターンを印刷したものである。
【0025】
パネル51の下層のスイッチシート52は、パネル51と略同一の寸法を有する合成樹脂やエラストマーなどの可撓性材料で構成されており、スイッチシート52の一部には、フレキシブル配線基板やリード線などの柔軟な導電性基材からなる接続端子52Cが設けられている。
【0026】
スイッチシート52には、パネル51の確認指示部5Aおよび数量表示部5Bに対応する箇所に、配線基板54の光源(後述)から発せられた光をパネル51に向けて透過させるための透光部52A、52Bが設けられている。
【0027】
接続端子52Cは、作業者Mが確認指示部5Aを手で押したときの衝撃が直接加わらないよう、スイッチシート52の透光部52A(確認指示部5Aに対応する箇所)から離間した箇所に配置されていることが好ましい。
【0028】
スイッチシート52の下層のメインケース53は、パネル51およびスイッチシート52を収容する合成樹脂製のケースであり、パネル51の確認指示部5Aおよび数量表示部5Bに対応する箇所には、後述する配線基板54の光源(LED)から発せられた光をパネル51に向けて透過させるための透光部53A、53Bが設けられている。また、メインケース53の下面の四隅には、メインケース53を配線基板54に固定するための支柱53Sがメインケース53と一体に設けられている。
【0029】
メインケース53の下層の配線基板54には、パネル51の確認指示部5Aおよび数量表示部5Bに対応する箇所にLED8A(第1光源)およびLED8Bが設けられている。
【0030】
また、配線基板54には、図示しないケーブルが接続されており、このケーブルを通じてLED8AおよびLED8Bを作動させるための電源や管理コンピュータからの制御信号が供給される。
【0031】
図4に示すように、スイッチシート52には、接続端子52C(
図3参照)に接続された一対の下部接点52D、52Dと、下部接点52D、52Dに近接して配置された上部接点52Eとで構成されるスイッチSが内蔵されている。下部接点52Dおよび上部接点52Eは、カーボンフィルムや金属箔などの導電材料で構成されている。そして、作業者Mがパネル51の確認指示部5Aを手で押すと、その力がスイッチシート52に伝わって上部接点52Eが下方に押し下げられ、上部接点52Eと下部接点52D、52Dとが接触するようになっている。
【0032】
また、
図5に示すように、接続端子52Cの下端部は、配線基板54の表面の接点54Aと接触するように配置されている。
【0033】
このように、本実施の形態の表示装置5の一つの特徴は、作業者Mが手で押したときの衝撃が加わる箇所に配置されるスイッチとして、従来のようなメカニカル方式の押動スイッチではなく、メカニカルな部品を有しないスイッチシート52を採用したことにある。
【0034】
従って、作業者Mが前述した投入作業の完了時にパネル51の確認指示部5Aを手で押すと、スイッチシート52の表面が配線基板54方向に押し下げられ、スイッチシート52のスイッチSを構成する下部接点52Dと上部接点52Dとが導通するので、配線基板54の回路(CPUを含む)が確認指示部5A用の光源(LED8A)を消灯すると共に、管理コンピュータに投入作業の完了を通知する。
【0035】
以上のように、本実施の形態の表示装置5は、パネル51の下層のスイッチシート52を可撓性材料からなるスイッチシート52で構成したので、メカニカル方式の押動スイッチを採用した従来の表示装置に比べると、作業者Mがパネル51の確認指示部5Aを手で押したときの衝撃がスイッチSに加わり難いだけでなく、このような衝撃に起因してメカニカルな部品の摩耗や破損が生じることもない。
【0036】
従って、本実施の形態によれば、耐久性の向上した表示装置5およびそれを用いたピッキングシステム1を実現することができる。
【0037】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0038】
前記実施の形態の表示装置5は、確認指示部5Aと数量表示部5Bとを備えているが、これに限定されるものではなく、少なくとも確認指示部5Aを備えたものであれば、本発明を適用することができる。
【0039】
前記実施の形態のピッキングシステム1の構成は、ピッキングシステムの一例であって、これに限定されるものではなく、表示装置5の指示に従って物品の仕分け作業を行うピッキングシステムであれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:ピッキングシステム
2:物品保管棚
3:集品箱
4:ベルトコンベヤ
5:表示装置
5A:確認指示部(第1表示部)
5B:数量表示部
6:ガイドランプ
7:間口部
8A:LED(第1光源)
8B:LED
51:パネル
52:スイッチシート
52A:透光部
52B:透光部
52C:接続端子
52D:下部接点
52E:上部接点
53:メインケース
53A:透光部
53B:透光部
53S:支柱
54:配線基板
54A:接点
M:作業者
S:スイッチ