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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】ワイヤレス充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220420BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220420BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018171336
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020043721
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田邉 明寛
(72)【発明者】
【氏名】坂口 申悟
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171238(JP,A)
【文献】特開2012-222956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天側が開放した有底の筐体と、
前記筐体の天側を覆うように配置され且つ受電コイルを含む充電対象物を支持する支持面と、
前記筐体内における前記支持面よりも前記筐体の底側に設けられると共に、前記受電コイルに対して非接触での充電が可能な送電コイルと、
前記筐体内における前記送電コイルよりも前記底側に設けられたファンと、
を備え、
前記支持面には、外縁側から中央側に向けて延びる溝が少なくとも一つ形成され、
前記ファンは、前記支持面の外縁側から前記溝を通過して前記送電コイルへ向かう風を生じさせる、ワイヤレス充電器。
【請求項2】
前記支持面は、中央に位置する中央面部を有し、
前記支持面には、前記溝の前記中央面部側の端部と前記筐体内とを連通する連通孔が形成されている、請求項1に記載のワイヤレス充電器。
【請求項3】
前記支持面は、前記中央面部の周囲に設けられると共に、該中央面部と比べて前記天側に位置し、且つ、前記充電対象物を支持する外周面部を有し、
前記溝は、前記外周面部に配置されると共に、前記外周面部において外縁から内縁まで延びている、請求項2に記載のワイヤレス充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等の機器の充電や該機器への給電が可能なワイヤレス充電器であって、冷却用のファンが設けられたワイヤレス充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の充電対象物をワイヤレス充電可能なワイヤレス充電器として、ファンを内蔵したワイヤレス充電器が公知である(非特許文献1)。例えば、ワイヤレス充電器は、筐体と、筐体内に設けられたコイル及びファンと、を有する。このワイヤレス充電器は、コイルを含む充電対象物を充電可能である。具体的に、ワイヤレス充電器では、筐体に充電対象物が載置されると、充電対象物のコイルとワイヤレス充電器のコイルとの間に電磁誘導が生じる。これにより、ワイヤレス充電器が、充電対象物の充電を行うことができる。また、ワイヤレス充電器は、同様に、充電対象物への給電も行うことができる。このワイヤレス充電器では、筐体に充電対象物が載置された状態でファンが作動することにより、ファンにより生じる風を充電対象物に吹き付けることで充電対象物の熱を逃すことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“Amazon EverBright Qi ワイヤレス充電器 急速 ワイヤレスチャージャーQuick Charge 2.0 iPhone(登録商標) X / 8 / 8 Plus / Galaxy S8 / S8 Plus /S7 / S7 Edge / S6 / S6 Edge / Note 8 / Note 5 対応 他のQi対応機種 qi 充電器”、[平成30年7月30日検索]、インターネット〈URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B07BCF2JDK/ref=sspa_dk_detail_0?psc=1&pd_rd_i=B07BCF2JDK〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ワイヤレス充電器では、充電対象物の冷却が不十分となるおそれがあった。
【0005】
本発明は、ファンを内蔵したワイヤレス充電器であって、冷却性能をさらに向上させたワイヤレス充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイヤレス充電器は、天側が開放した有底の筐体と、前記筐体の天側を覆うように配置され且つ受電コイルを含む充電対象物を支持する支持面と、前記筐体内における前記支持面よりも前記筐体の底側に設けられると共に、前記受電コイルに対して非接触での充電が可能な送電コイルと、前記筐体内における前記送電コイルよりも前記底側に設けられたファンと、を備え、前記支持面には、外縁側から中央側に向けて延びる溝が少なくとも一つ形成され、前記ファンは、前記支持面の外縁側から前記溝を通過して前記送電コイルへ向かう風を生じさせる。
【0007】
かかる構成によれば、ファンにより生じる風は、外縁側から中央面部側に向けて溝を通過するため、充電対象物に当たった後に、送電コイルに当たる。よって、充電対象物を外部(外縁側)から中央面部側に引き込んだ空気により、直接的に冷やすことができる。
【0008】
前記ワイヤレス充電器では、前記支持面は、中央に位置する中央面部を有し、前記支持面には、前記溝の前記中央面部側の端部と前記筐体内とを連通する連通孔が形成されてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、支持面の外縁側から中央面部側へ延びる溝が、その中央面部側の端部において、筐体内に連通する連通孔に連通するので、筐体内への吸い込みを確保できる。よって、溝を通過して送電コイルへ向かう風がスムーズに流れるため、冷却性能を確保できる。
【0010】
前記ワイヤレス充電器では、前記支持面は、前記中央面部の周囲に設けられると共に、該中央面部と比べて前記天側に位置し、且つ、前記充電対象物を支持する外周面部を有し、前記溝は、前記外周面部に配置されると共に、前記外周面部において外縁から内縁まで延びてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、ファンにより生じる風が、筐体内だけでなく、充電対象物と中央面部との間にも流れるため、充電対象物における中央面部と重なる部位を冷やすことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明によれば、ファンを内蔵したワイヤレス充電器であって、冷却性能をさらに向上させたワイヤレス充電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係るワイヤレス充電器の斜視図である。
図2図2は、前記充電器の分解斜視図である。
図3図3は、前記充電器の平面図である。
図4図4は、充電対象物が配置された状態の前記充電器の平面図である。
図5図5は、図3のV-V位置における断面図である。
図6図6は、図5の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図1図6を参照しつつ説明する。ワイヤレス充電器は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の充電対象物に対して非接触な状態において、無線によりこの充電対象物を充電可能な充電器である。
【0015】
図1に示すように、ワイヤレス充電器1(以下、単に「充電器1」とも称する)は、天側が開放した有底の筐体2と、筐体2の天側(図1における上側)を覆うように配置され、且つ、充電対象物を支持する支持面30と、を備える。また、充電器1は、図2に示すように、筐体2内における支持面30よりも筐体2の底側(図1における下側)に設けられた送電コイル4と、筐体2内における送電コイル4よりも底側に設けられたファン5と、を備える。本実施形態の充電器1は、支持面30を有する支持部材3、支持面30と送電コイル4との間に配置されたフィルター8、送電コイル4等が載置される基台40、ファン5が載置される仕切り板50、及び、筐体2の底面に設けられた滑り止め20等を備える。
【0016】
本実施形態の充電器1は、図4に示すように、充電対象物であるスマートフォン9を支持面30に載置することで、スマートフォン9に内蔵され且つ受電コイル91を含む電池パック90を充電する。また、本実施形態の充電器1では、スマートフォン9が、図5に示すように、床Sと平行な姿勢で配置された支持面30に載置される。尚、本実施形態の充電器1により充電中のスマートフォン9は、操作可能であってもよい。例えば、充電器1は、スマートフォン9で動画を閲覧しながら、このスマートフォン9を充電(給電)可能であってもよい。
【0017】
筐体2は、天側が開口し且つ底側が閉塞した形状を有する(図1参照)。本実施形態の筐体2は、天側から底側に延びる筒状の側部21と、側部21の底側を閉塞する底部22と、を含む(図2参照)。側部21の外周面は、例えば、滑らかな湾曲面である。側部21の天側の端縁である端縁210及び側部21の底側の端縁211は、いずれも、略円形状を有する。側部21の内周面には、それぞれ支持面30の面方向における内側に突設する突設部位212が複数設けられている。本実施形態の突設部位212は、ファン5と比べて筐体2の天側に形成されている(図5参照)。
【0018】
また、側部21には、側部21の厚み方向に貫通した貫通孔である通風孔213や挿通孔214が設けられている(図2参照)。通風孔213は、筐体2内と筐体2の外方との間で空気を流通させる孔である。筐体2内とは筐体2で囲まれる内側の領域であり、筐体2の外方とは筐体2から露出した外側の領域である。本実施形態の通風孔213は、複数設けられている。また、本実施形態の通風孔213は、ファン5と比べて筐体2の底側に形成されている(図5参照)。さらに、本実施形態の複数の通風孔213は、端縁210、211の周方向において等間隔をあけて配置されている(図2参照)。挿通孔214は、外部電源と送電コイル4やファン5を電気的に接続するケーブルを挿通可能である。底部22は、板状であり、例えば、略円板状である。また、底部22は、滑り止め20を介して床Sに載置される(図5参照)。滑り止め20の形状は、例えば、円板状である。滑り止め20の材質は、例えば、ゴムやシリコンである。
【0019】
支持部材3は、略円板状の部材であり、筐体2の天側に配置されている(図1図2参照)。本実施形態の支持部材3は、支持面30の面方向における中央に位置する中央部32と、面方向における外縁を含む外縁部33と、中央部32及び外縁部33を連結する連結部34と、を有する(図1図3参照)。中央部32の形状は、円板状である。外縁部33の形状は、円環板状である。外縁部33は、中央部32の周囲に配置されている。連結部34の形状は、円環板状である。連結部34は、中央部32の外縁と外縁部33の内縁とを連結している。
【0020】
支持面30は、支持部材3における筐体2の天側に位置する主面である。例えば、支持面30は、略円形状を有する。また、支持面30は、面方向における中央に位置する中央面部300を有する。また、本実施形態の支持面30は、中央面部300の周囲に設けられる外周面部301を有する。さらに、本実施形態の支持面30は、中央面部300と外周面部301とを連結する連結面部302を有する。
【0021】
本実施形態の支持面30は、凹凸形状を有する。具体的に、支持面30には、支持面30の外縁304側から中央面部300に向けて延びる溝305が少なくとも一つ設けられている。溝305は、支持面30において底側に向けて凹設されている。また、溝305は、支持面30の面方向において外縁304側から中央面部300側へ向けて空気を通過させる。本実施形態の支持面30では、溝305は複数設けられている。また、本実施形態の溝305は、外周面部301に配置されている。さらに、本実施形態の溝305は、外周面部301において、面方向における外縁から内縁まで延びている。
【0022】
また、本実施形態の支持面30は凹凸形状を有するため、支持面30の法線方向における位置、即ち、充電器1を床Sに設置したときの床Sから支持面30までの高さが不均一である(図5参照)。具体的に、外周面部301は、中央面部300と比べて筐体2の天側に位置する。即ち、中央面部300は、外周面部301と比べて筐体2の底側に位置している。また、連結面部302は、中央面部300と比べて筐体2の底側に位置する。以上の構成により、外周面部301は、支持面30にスマートフォン9を設置した場合、スマートフォン9に接触した状態で、スマートフォン9を支持することから、溝305によりスマートフォン9との間に外周通風路F1を形成する。連結面部302は、支持面30にスマートフォン9を設置した場合、スマートフォン9に対して筐体2の底側に離間する。中央面部300は、支持面30にスマートフォン9を設置した場合、スマートフォン9に対して筐体2の底側に離間することにより、スマートフォン9との間に天側中央通風路F2を形成する。
【0023】
さらに、本実施形態の支持面30には、溝305の中央面部300側の端部3050と筐体2内とを連通する連通孔306が設けられている(図1図3参照)。即ち、連通孔306は、筐体2の外方と筐体2内とを連通している。連通孔306は、溝305の端部3050から筐体2内に空気を通過させる。連通孔306は、支持面30の面方向において、溝305よりも中央面部300側に位置している。本実施形態の連通孔306は、連結面部302に配置されている。即ち、本実施形態の連通孔306は、支持面30の面方向において、外縁304と中央面部300との間に位置している。
【0024】
隣り合う溝305の間隔は、複数の溝305の並び方向において一定である。具体的に、複数の溝305は、外周面部301の周方向において等間隔をあけて配置されている。各溝305は、いずれも同じ形状である。また、各溝305の幅、深さ等の寸法は、いずれも同じである。本実施形態の溝305は、支持面30の面方向において外周面部301の外縁から内縁まで延びている。また、本実施形態の溝305は、支持面30の法線方向から視たとき、略矩形状を有している。さらに、本実施形態の溝305は、支持面30の法線方向から視たとき、放射状に配置されている。具体的に、複数の溝305の各々は、外縁304から中央面部300の中心に向かって直線状に延びている。
【0025】
隣り合う連通孔306の間隔は、複数の連通孔306の並び方向において一定である。具体的に、複数の連通孔306は、連結面部302の周方向において等間隔をあけて配置されている。各連通孔306は、いずれも同じ形状である。また、各連通孔306の幅等の寸法は、いずれも同じである。本実施形態の連通孔306は、支持面30の面方向において連結面部302の外縁から内縁まで延びている。また、本実施形態の連通孔306は、略矩形状を有している。また、本実施形態の複数の連通孔306の少なくとも一つは、支持面30の法線方向から視たとき、外周面部301に形成された溝305(例えば、溝305の端部3050)と連続している。さらに、本実施形態の連通孔306は、放射状に配置されている。具体的に、複数の連通孔306の各々は、支持面30の面方向において連結面部302の外縁から中央面部300の中心に向かって直線状に延びている。
【0026】
本実施形態の支持部材3は、支持部材3の厚み方向において支持面30の反対側に位置する反対面31を有する。反対面31は、支持面30と比べて筐体2の底側に位置する主面である。反対面31は、略円形状を有する。また、反対面31は、面方向における中央に位置する中央反対面310と、中央反対面310の周囲に設けられる外周反対面311と、中央反対面310と外周反対面311とを連結する連結反対面312と、を有する。中央反対面310は、支持部材3の厚み方向から視たとき、中央面部300に重なる。また、中央反対面310は、送電コイル4に対して筐体2の天側に離間することにより、送電コイル4との間に、底側中央通風路F3を形成する(図5参照)。外周反対面311は、支持部材3の厚み方向から視たとき、外周面部301に重なる。連結反対面312は、支持部材3の厚み方向から視たとき、連結面部302に重なる。また、連結反対面312は、連通孔306の底側の端縁を規定している。
【0027】
尚、本実施形態の支持部材3は、カバー6と、蓋部7とを含んでいる(図2参照)。そのため、支持面30は、カバー6の主面のうち筐体2の天側に位置するカバー天面60と、蓋部7の主面のうち筐体2の天側に位置する蓋部天面70の一部とを含む。尚、蓋部7は、筐体2の底側に位置する蓋部底面73も有している。
【0028】
蓋部7の形状は、略円板状である。蓋部7の材質は、例えば、ABS樹脂である。本実施形態の蓋部7は、蓋部7の中央に位置する蓋中央部位71と、蓋中央部位71の周りに位置する蓋環状部位72と、を含む。蓋部7は、筐体2の突設部位212の天側の端面2120に基台40を介して載置されることで、筐体2の天側に配置されている。本実施形態の蓋部7は、例えば、螺子により基台40に固定されている。
【0029】
蓋中央部位71は、筐体2内を閉塞する円板状の部位である。また、蓋部天面70の蓋中央部位71に対応する蓋中央天面700は、中央面部300を構成している。本実施形態の蓋中央部位71は、蓋部底面73の蓋中央部位71に対応する蓋中央底面701から底側に突設した突設部位712を有する(図5参照)。この蓋中央部位71では、突設部位712は複数配置されている。複数の突設部位712は、蓋中央部位71の周方向において間隔をあけて配置されている。
【0030】
蓋環状部位72は、円環形状を有し、且つ、蓋部天面70の面方向において内側に位置する内側蓋環状部位721と、円環形状を有し、且つ、この面方向において外側に位置する外側蓋環状部位722を有する(図2参照)。外側蓋環状部位722は、この面方向において、内側蓋環状部位721の外縁と連続している。内側蓋環状部位721は、この面方向において、蓋中央部位71の外縁と連続している。また、内側蓋環状部位721には、支持面30に設けられた連通孔306として、貫通孔723が設けられている。
【0031】
蓋部天面70の内側蓋環状部位721に対応する部位は、連結面部302を構成している。本実施形態の蓋部天面70では、内側蓋環状部位721に対応する部位が、蓋中央部位71に対応する部位よりも筐体2の底側に位置している。また、蓋部天面70では、内側蓋環状部位721に対応する部位が、外側蓋環状部位722に対応する部位よりも筐体2の底側に位置している。
【0032】
カバー6の形状は、円環板状である。カバー6は、スマートフォン9の支持面30に対する相対位置を規制する部材である。また、カバー6は、滑り止めである。カバー6の材質の摩擦係数は、スマートフォン9の載置面92の材質の摩擦係数よりも大きくてもよい。また、カバー6の材質の摩擦係数は、蓋部7の材質の摩擦係数よりも大きくてもよい。具体的には、カバー6の材質は、天然ゴム、合成ゴム、EVA樹脂、PVC樹脂等のゴムや樹脂等である。
【0033】
本実施形態のカバー天面60は、外周面部301を構成している。また、本実施形態のカバー天面60は、凹凸形状を有する。具体的に、カバー天面60には、支持面30に設けられた溝305として、カバー6の外縁61側から中央側に向けて延びる溝62が設けられている。カバー6は、蓋部7に載置される。具体的に、カバー6は、外側蓋環状部位722に載置される。本実施形態のカバー6は、例えば、接着剤や両面テープにより外側蓋環状部位722に固定されている。
【0034】
以上の構成により、支持部材3を支持面30側から平面視すると、面方向の外側から内側にかけて、カバー6、蓋部7の内側蓋環状部位721、蓋中央部位71が順に並んで配置される。
【0035】
送電コイル4は、外部電源と有線接続可能である。また、送電コイル4は、この送電コイル4が外部電源と接続され、且つ、スマートフォン9の受電コイル91が所定距離以内の間隔をあけた状態で重ねられたとき、受電コイル91との間に電磁誘導が生じる。これにより、送電コイル4は、受電コイル91に対して非接触でワイヤレス充電が可能である。本実施形態の送電コイル4のサイズは、受電コイル91のサイズと略同一である(図2参照)。具体的に、本実施形態の送電コイル4の半径は、例えば、受電コイル91の半径と略同一である。また、本実施形態の送電コイル4は、中央に貫通孔42が設けられた円板41を介して、基台40に載置されている。具体的に、送電コイル4は、この送電コイル4の中心を貫通孔42の中心と重ねた状態で、基台40に載置されている。
【0036】
基台40は、筐体2の突設部位212に載置されている。また、基台40は、中央に貫通孔43が設けられた中央部44と、中央部44と比べて筐体2の天側に位置する外周部46と、を含む(図2参照)。本実施形態の基台40は、中央部44を囲み筐体2の底側から天側に延びる筒状部45も含む。外周部46は、蓋部7を支持している。筒状部45は、中央部44の外縁と外周部46の内縁とを接続している。
【0037】
中央部44は、中央部44の筐体2の天側に位置する面である天面440から天側に突設した突設部位441を有する。突設部位441における支持面30の面方向における外縁は、筒状部45に連続している。また、突設部位441の天側に位置する突設天面444は、支持面30の面方向における内側に位置する内側突設天面442と、面方向における外側に位置する外側突設天面443とを含む。内側突設天面442は、外側突設天面443よりも筐体2の底側に位置している。内側突設天面442は、円板41を介して送電コイル4を支持している。そのため、送電コイル4の底側の面402と中央部44の天面440との間には空間αが生じる(図5参照)。尚、本実施形態の中央部44は、蓋中央部位71の突設部位712も支持している。外側突設天面443は、フィルター8を支持している。
【0038】
フィルター8は、複数の貫通孔が設けられた板部材、或いは、網部材である。また、フィルター8の形状は、円環状である。フィルター8の材質は、例えば、熱伝導性の高い材質である。具体的に、フィルター8の材質は、例えば、金属である。本実施形態のフィルター8は、支持面30の法線方向から視たとき、連通孔306と重なる位置に配置されている。
【0039】
ファン5は、外部電源と有線接続可能である。また、ファン5は、外部電源と接続された状態において、筐体2の天側から底側へ向かう風を生じさせることが可能である。具体的に、ファン5は、支持面30の外縁304側から溝305を通過して送電コイル4へ向かう風を生じさせることが可能である。本実施形態のファン5は、生じさせた風を流通させる流通口51を有する。また、本実施形態のファン5は、仕切り板50を介して筐体2に載置されている。尚、本実施形態のファン5は、送電コイル4による受電コイル91に対する充電や給電の開始から完了までの間、風を生じさせる。
【0040】
以上の構成により、本実施形態の充電器1では、筐体2の内側において天側から底側にかけて、カバー6、蓋部7、フィルター8、送電コイル4、基台40、ファン5、仕切り板50が順に並んで配置されている。
【0041】
さらに、以上の充電器1における風の流れについて、図5及び図6を用いて具体的に説明する。ファン5により生じる風は、支持面30の面方向における外側から外周通風路F1を流れて、連通孔306において二つの通風路、例えば、天側中央通風路F2及び底側中央通風路F3に分岐する。具体的に、この風は、スマートフォン9の載置面92に沿って外周通風路F1及び天側中央通風路F2を流れると共に、送電コイル4の天側の面401に沿って底側中央通風路F3を含む内部通風路F4を流れる。天側中央通風路F2を通った風の一部は、支持面30の中心において、面方向における風が流れてきた方向と反対側から流れてきた風と衝突して、風が流れてきた方向と異なる方向へと流れ出る。例えば、スマートフォン9の長手方向における両端から外周通風路F1及び天側中央通風路F2を流れてきた風は、支持面30の中心において衝突し、スマートフォン9の短手方向の両側に向きを変えて流れ出る。内部通風路F4を通った風は、筐体2内から筐体2に形成された通風孔213を介して筐体2の外方へ流れる。
【0042】
外周通風路F1は、支持面30の外縁304側から溝305内を介して連通孔306まで延び、且つ、外周面部301とスマートフォン9の載置面92とで区画される。
【0043】
天側中央通風路F2は、連通孔306の入口(連通孔306の支持面30で囲まれる部位)から支持面30の面方向における支持面30の中心まで延び、且つ、中央面部300とスマートフォン9の載置面92とで区画される。
【0044】
内部通風路F4は、連通孔306の入口から連通孔306の出口(連通孔306の反対面31で囲まれる部位)まで延び、且つ、連通孔306で構成される流入通風路F5と、連通孔306の出口から送電コイル4の天側の面401における内側の端縁まで延び、且つ、中央反対面310と送電コイル4の天側の面401とで区画される底側中央通風路F3と、を含む(図6参照)。また、内部通風路F4は、送電コイル4の天側の面401における内側の端縁から基台40の貫通孔43の出口(貫通孔43の中央部44における筐体2の底側の面で囲まれる部位)まで延び、且つ、送電コイル4の内側、円板41の貫通孔42、及び、基台40の貫通孔43で構成される第一流出通風路F6を含む。さらに、内部通風路F4は、基台40の貫通孔43からファン5の流通口51まで延び、流通口51からファン5の内部を介して通風孔213まで延びると共に、通風孔213を介して筐体2の外方まで延びる第二流出通風路F6を含む(図5参照)。
【0045】
以上の充電器1によれば、ファン5により生じる風は、支持面30の外縁304側から中央面部300側に向けて溝305を通過するため、充電対象物に当たった後に、送電コイル4に当たる。よって、スマートフォン9を外部(外縁304側)から中央面部300側に引き込んだ空気により、直接的に冷やすことができる。
【0046】
本実施形態の充電器1によれば、支持面30の外縁304側から中央面部300側へ延びる溝305が、その中央面部300側の端部3050において、筐体2内に連通する連通孔306に連通するので、筐体2内への吸い込みを確保できる。よって、溝305を通過して送電コイル4へ向かう風がスムーズに流れるため、冷却性能を確保できる。具体的に、支持面30において、中央面部300の周囲に連通孔306が配置されると共に、溝305が放射状に形成されているため、ファン5により生じる風が、中央面部300において渋滞(混雑して滞留)する前に、連通孔306から筐体2内へ吸い込まれることにより、スムーズに流れる。
【0047】
また、本実施形態の充電器1によれば、ファン5により生じる風が、筐体2内だけでなくスマートフォン9と支持面30の中央面部300との間にも流れるため、スマートフォン9における中央面部300と重なる部位を冷やすことができる。
【0048】
さらに、本実施形態の充電器1によれば、ファン5により生じる風は、支持面30の外縁304側から溝305を通過した後、即ち、外周通風路F1を通過した後に、中央面部300とスマートフォン9との間を支持面30の中心側に流れる天側中央通風路F2と、中央反対面310と送電コイル4との間を反対面31の中心側に流れる底側中央通風路F3とに分岐して流れるため、スマートフォン9に加えて送電コイル4も冷やすことができる。具体的に、天側中央通風路F2を流れる風は、スマートフォン9(受電コイル91)と中央面部300を冷やすことができる。また、底側中央通風路F3を流れる風は、送電コイル4と中央反対面310を冷やすことができる。
【0049】
本実施形態の充電器1によれば、底側中央通風路F3を流れた風が、流出通風路F6にも流れる、即ち送電コイル4の内側にも流れるため、送電コイル4を内方及び外方の両方から冷やすことができる。
【0050】
また、本実施形態の充電器1によれば、送電コイル4で生じた熱の一部が、円板41及び内側突設天面442を介して突設部位441に伝わり、この伝わった熱が外側突設天面443を介してフィルター8に伝わり、フィルター8から放出される。このように、送電コイル4で生じた熱の一部が、フィルター8を介して放熱される。しかも、本実施形態の充電器1によれば、フィルター8は連通孔306の直下に配置されているため、送電コイル4で生じた熱がフィルター8に伝わっても、連通孔306から流入する風によりフィルター8を効果的に冷やすことができる。
【0051】
さらに、本実施形態の充電器1によれば、送電コイル4の底側の面402と中央部44の天面440との間には空間αがある、即ち、基台40は中央部44の天面440から送電コイル4を浮かせた状態で支持しているため、送電コイル4で生じた熱は筐体2内の底側に伝わりにくい。そのため、この熱がファン5等の筐体2内の底側に配置された部材に影響を与えにくい。
【0052】
本実施形態の充電器1によれば、ファン5よりも筐体2の底側に通風孔213が配置されているため、筐体2内に天側から流れ込んできた風を、底側から筐体2の外方へスムーズに排出できる。
【0053】
本実施形態の充電器1によれば、カバー6は、滑り止めであるため、受電コイル91を送電コイル4に重ねた状態でスマートフォン9を支持面30に載置すると、スマートフォン9の位置がずれにくく、スマートフォン9の充電を適切に行うことができる。
【0054】
尚、本発明の充電器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0055】
例えば、上記実施形態の充電器1では、スマートフォン9が、床Sと平行な姿勢で配置された支持面30に載置されていたが、床Sに対して傾斜した姿勢で配置された支持面30に載置されてもよい。例えば、充電器1は、スマートフォン9を立てかけた状態で充電可能なスタンドタイプの充電器であってもよい。また、充電器1の形状は、矩形状の支持面30を有する直方体状等であってもよい。さらに、充電器1は、筐体2、送電コイル4、及び、ファン5を備えていればよく、例えば、フィルター8等を備えていなくてもよい。
【0056】
上記実施形態の支持部材3は、カバー6と蓋部7とを含んでいたが、一つの部材により構成されていてもよい。この場合、支持面30は、支持部材3を構成する一つの部材における筐体2の天側に位置する面であってもよい。
【0057】
支持面30は、溝305以外の凹凸形状を含んでいなくてもよい。例えば、支持部材3が平板状の蓋部7のみで構成され、且つ、この平板状の蓋部7の面方向における外周に位置する領域に溝305が形成された構成であってもよい。
【0058】
さらに、支持面30は、筐体2内を閉塞する部位を含んでいなくてもよい。例えば、中央面部300に、筐体2内を開放する開口が設けられていてもよい。また、支持面30が、中央面部300を備えていなくてもよい。即ち、支持面30が円環状であってもよい。このように支持面30が円環状である場合、ファン5により生じた風が、支持面30の外縁304側から溝305を通過して送電コイル4へ向かう。また、中央面部300に貫通孔が設けられ、且つ、溝305の形成された外周面部301よりも筐体2の底側に位置していれば、支持面30(例えば、連結面部302)は、連通孔306を含んでいなくてもよい。この場合においても、ファン5により生じた風が、支持面30の外縁304側から溝305を通過して送電コイル4へ向かう。
【0059】
また、このような場合においても、ファン5により生じる風は、外縁304側から中央面部300側に向けて溝305を通過するため、充電対象物に当たった後に、送電コイル4に当たる。よって、スマートフォン9を外部(外縁304側)から中央面部300側に引き込んだ空気により、直接的に冷やすことができる。
【0060】
隣り合う溝305の間隔は、複数の溝305の並び方向において均一でなくてもよい。また、支持面30に設けられる溝305の数は、一つであってもよい。支持面30の法線方向から視たときの溝305の形状は、略矩形状に限らず、円環形状、楕円形状、円形状、正方形状その他の多角形状等であってもよく、例えば、連結面部302の周方向に連続するよう連結面部302に設けられた円環形状であってもよい。また、溝305は、直線状に延びていなくてもよく、例えば、外縁304側から中央面部300側に曲線状に延びていてもよい。
【0061】
連通孔306の配置や個数、支持面30の法線方向から視たときの形状についても、溝と同様に様々な形態を取り得る。例えば、連通孔306は、支持面30の面方向において、溝305よりも外縁304側に位置していてもよい。また、連通孔306は、支持面30の面方向において、外縁304を含む位置に配置されていてもよいし、中央面部300の中心を含む位置に配置されていてもよい。このような場合においても、ファン5により生じた風が、筐体2の内側と外側とに分岐して流れる。
【0062】
連通孔306は、溝305の中央面部300側の端部3050と筐体2内とを連通させていなくてもよい。例えば、支持面30の法線方向から視たとき、連結面部302に形成された連通孔306は、外周面部301に形成された溝305と離間していてもよい。この場合においても、連結面部302が溝305の形成された外周面部301よりも筐体2の底側に位置していれば、ファン5により生じた風が、支持面30の外縁304側から溝305を通過して送電コイル4へ向かう。
【0063】
筐体2に設けられる通風孔213の数は一つであってもよい。この場合、通風孔213は、筐体2の端縁210の周方向において連続する貫通孔であってもよい。尚、筐体2には通風孔213が設けられていなくてもよい。
【0064】
送電コイル4は、電磁誘導以外の現象、例えば、磁界共振により受電コイル91に充電や給電を行ってもよい。
【0065】
ファン5は、送電コイル4による受電コイル91に対する充電や給電の開始から完了までの間の少なくとも一部の期間、例えば、送電コイル4による受電コイル91に対する充電や給電の開始から完了までの間のうち、スマートフォン9の温度や送電コイル4の温度が一定温度以上となったときに、風を生じさせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…充電器(ワイヤレス充電器)、2…筐体、21…側部、22…底部、210、211…端縁、212…突設部位、2120…端面、213…通風孔、214…挿通孔、3…支持部材、30…支持面、300…中央面部、301…外周面部、302…連結面部、304…外縁、305…溝、3050…端部、306…連通孔、31…反対面、310…中央反対面、311…外周反対面、312…連結反対面、32…中央部、33…外縁部、34…連結部、4…送電コイル、40…基台、401、402…面、41…円板、42,43…貫通孔、44…中央部、440…天面、441…突設部位、442…内側突設天面、443…外側突設天面、444…突設天面、45…筒状部、46…外周部、5…ファン、50…仕切り板、51…流通口、6…カバー、60…カバー天面、61…外縁、62…溝、7…蓋部、70…蓋部天面、700…蓋中央天面、701…蓋中央底面、71…蓋中央部位、712…突設部位、72…蓋環状部位、721…内側蓋環状部位、722…外側蓋環状部位、723…貫通孔、73…蓋部底面、8…フィルター、9…スマートフォン、90…電池パック、91…受電コイル、92…載置面、α…空間、F1…外周通風路、F2…天側中央通風路、F3…底側中央通風路、F4…内部通風路、F5…流入通風路、F6…第一流出通風路、F7…第二流出通風路、S…床
図1
図2
図3
図4
図5
図6