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特許7061066液体送達要素を備えるエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】液体送達要素を備えるエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20220420BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20220420BHJP
【FI】
A24D3/04
A24F40/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018530776
(86)(22)【出願日】2016-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2016082244
(87)【国際公開番号】W WO2017114727
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-17
(31)【優先権主張番号】15203131.6
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァナン ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-080273(JP,A)
【文献】米国特許第03991773(US,A)
【文献】米国特許第3762422(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0007925(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0219930(US,A1)
【文献】米国特許第5730160(US,A)
【文献】米国特許第4865056(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0174901(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0311508(US,A1)
【文献】米国特許第3991773(US,A)
【文献】特表2014-513540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体および前記エアロゾル発生基体の下流端に固定されたマウスピースを備え、前記マウスピースがフィルター材料の少なくとも1つのセグメントおよび液体送達要素を備えるエアロゾル発生物品であって、前記液体送達要素が、
上流端および下流端と、
可撓性の外側管、前記可撓性の外側管の前記上流端における上流端壁、及び前記可撓性の外側管の前記下流端における下流端壁を有する変形可能な外側容器であって、前記上流端壁と前記下流端壁の各々が開口部を備える、変形可能な外側容器と、
前記変形可能な外側容器の中に取り付けられ、かつ前記変形可能な外側容器の前記上流端壁の前記開口部と前記下流端壁の前記開口部との間で前記変形可能な外側容器を通して延びる長軸方向チャネルを画定する脆弱な管状要素と、を備え、
前記変形可能な外側容器の前記可撓性の外側管と前記脆弱な管状要素との間に空洞が画定され、前記空洞が前記脆弱な管状要素を取り囲む液体を収容し、
前記脆弱な管状要素の少なくとも1つの壁が破壊された時、前記液体送達要素が前記液体を前記空洞からフィルター材料の前記少なくとも1つのセグメントに前記長軸方向チャネルを通して送達するように構成され、
前記変形可能な外側容器の前記可撓性の外側管を変形するように前記液体送達要素に力がかけられると、前記脆弱な管状要素が壊れ得る、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記脆弱な管状要素の前記最大外径が、前記液体送達要素の前記最大外径の20パーセント~50パーセントである、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記脆弱な管状要素が、前記変形可能な外側容器の前記上流端壁の前記開口部と前記変形可能な外側容器の前記下流端壁の前記開口部との間に延びる壊れやすい管の形態である、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記脆弱な管状要素が、前記変形可能な外側容器の前記上流端壁及び前記下流端壁のうちの少なくとも1つと一体的に形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記変形可能な外側容器の前記上流端壁及び前記下流端壁のうちの少なくとも1つが変形不可能な、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記変形可能な外側容器の前記可撓性の外側管が、実質的に透明な材料から形成される、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記変形可能な外側容器と前記脆弱な管状要素との間の前記空洞内の液体の前記容積が、前記空洞の総容積の80パーセント未満に相当する、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記液体が前記液体送達要素からフィルター材料の前記少なくとも1つのセグメントに送達される前の前記エアロゾル発生物品の引き出し抵抗が30水柱ミリメートル未満であり、対応する構造を有するが前記液体送達要素を有しないエアロゾル発生物品の引き出し抵抗より大きい、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記液体送達要素とフィルター材料の前記少なくとも1つのセグメントとがそれぞれ、実質的に円形断面形状を有し、前記液体送達要素の最大直径が、フィルター材料の前記少なくとも1つのセグメントの最大直径と実質的に同一である、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
フィルター材料の前記少なくとも1つのセグメントが、上流フィルターセグメントと前記上流フィルターセグメントの下流にある下流フィルターセグメントとを備え、前記液体送達要素が前記上流フィルターセグメントと下流フィルターセグメントとの間に位置付けられる、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記脆弱な管状要素が、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ(メタクリル酸メチル)およびこれらの組み合わせから選択される高分子材料から形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
エアロゾル発生物品のマウスピースの中に組み込むための液体送達要素であって、
上流端および下流端と、
可撓性の外側管、前記可撓性の外側管の前記上流端における上流端壁、及び前記可撓性の外側管の前記下流端における下流端壁を有する変形可能な外側容器であって、前記上流端壁と前記下流端壁の各々が開口部を備える、変形可能な外側容器と、
前記変形可能な外側容器の中に取り付けられ、かつ前記変形可能な外側容器の前記上流端壁の前記開口部と前記下流端壁の前記開口部との間で前記変形可能な外側容器を通して延びる長軸方向チャネルを画定する脆弱な管状要素と、を備え、
前記変形可能な外側容器の前記可撓性の外側管と前記脆弱な管状要素との間に空洞が画定され、前記空洞が前記脆弱な管状要素を取り囲む液体を収容し、
前記脆弱な管状要素の少なくとも1つの壁が破壊された時、前記液体送達要素が前記液体を前記空洞から前記長軸方向チャネルを通して放出するように構成され、
前記変形可能な外側容器の前記可撓性の外側管を変形するように前記液体送達要素に力がかけられると、前記脆弱な管状要素が壊れ得る、液体送達要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体送達要素を備えるエアロゾル発生物品に関する。本発明は、紙巻たばこなどの細長い喫煙物品としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこなどの喫煙物品は一般に、マウスピースに取り付けられるエアロゾル発生基体(たばこロッドなど)を備える。従来のマウスピースは、セルロースアセテートトウなどの濾過材料の1つ以上のセグメントを備える。一部の場合において、喫煙物品の喫煙中に消費者が体験する味覚を変化させるために、液体を濾過材料の中に提供することが望ましい場合がある。例えば、水または液体風味剤を濾過材料の中に提供することが望ましい場合がある。しかし、喫煙物品の製造中に濾過材料上に直接的に付着された液体は、貯蔵中に漏れ、喫煙物品またはパッケージングの他の構成要素の汚染を引き起こす場合がある。製造中に濾過材料上に直接的に付着された揮発性の液体は、喫煙物品およびパッケージに完全に漏れる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
喫煙物品のマウスピースからの液体の漏出または漏れを低減するまたは無くすためのいくつかの試みとしては、マウスピース内に位置付けられる容器の使用があり、その中で液体は、喫煙物品の喫煙の直前または喫煙中に消費者が液体を容器から放出させるまで収容される。例えば、EP-0276021-A2では、フィルター部材の近くに置かれた壊すことができるプラスチックカプセルを備える紙巻たばこが記載されており、この壊すことができるプラスチックカプセルは流体材料を収容する。しかし、EP-0276021-A2に記載の壊すことができるプラスチックカプセルは、壊すことができるプラスチックカプセルの周りに巻かれた波形のシートなどの追加的な構成要素と組み合わされ、壊すことができるプラスチックカプセルの周りに煙の通路を形成する。EP-0276021-A2に記載の紙巻たばこは従って、製造が複雑であり、また各紙巻たばこのフィルター部分を形成する複数の構成要素の位置合わせおよび組み立てを必要とする。
【0004】
US-3991773-Aは、弾力性のある液体を通さない管状ケーシングによって画定されるチャンバーの中に提供された液体含有の脆弱なモジュールを備えるフィルター要素を開示する。フィルター材料の多孔性プラグは管状ケーシングのいずれかの端に提供され、またフィルターは、管状ケーシングが圧縮されてモジュールを破壊する時、モジュールからの液体が多孔性プラグの中へと放出されるように設計される。
【0005】
周知の喫煙物品と関連する不都合を克服するエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。特に、物品を通して望ましい引き出し抵抗を維持することができるようにする一方で、液体をフィルター材料のセグメントに送達する新たな手段を含むエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。既存のフィルター構造に容易に組み込むことができる、液体を送達するためのこうした手段を提供し、そうすることで最小限の修正が加えられた既存の高速製造機械およびプロセスでフィルターを製造できることが特に望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体の下流端に固定されたマウスピースとを備えるエアロゾル発生物品であって、マウスピースがフィルター材料の少なくとも1つのセグメントおよび液体送達要素を備える、エアロゾル発生物品が提供される。液体送達要素は、上流端および下流端と、少なくとも1つの可撓性の壁を有する変形可能な外側容器と、変形可能な外側容器の空洞の中に取り付けられ、かつ液体送達要素の上流端と下流端の間で変形可能な外側容器を通して延びる長軸方向チャネルを画定する脆弱な管状要素と、を備える。変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁と脆弱な管状要素との間に空洞が画定され、この空洞は脆弱な管状要素を取り囲む液体を収容する。本発明によると、脆弱な管状要素の少なくとも1つの壁が破壊された時、液体送達要素は液体を空洞からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントに送達するように構成される。変形可能な外側容器を変形するように液体送達要素に力がかけられると、脆弱な管状要素は壊れ得る。
【0007】
本発明によると、第一の端および第二の端と、少なくとも1つの可撓性の壁を有する変形可能な外側容器と、変形可能な外側容器の中に取り付けられ、かつ液体送達要素の第一の端と第二の端の間で変形可能な外側容器を通して延びる長軸方向チャネルを画定する脆弱な管状要素と、を備える液体送達要素がさらに提供される。変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁と脆弱な管状要素との間に空洞が画定され、この空洞は脆弱な管状要素を取り囲む液体を収容する。脆弱な管状要素の少なくとも1つの壁が破壊された時、液体送達要素は液体を空洞から放出するように構成される。変形可能な外側容器を変形するように液体送達要素に力がかけられると、脆弱な管状要素は壊れ得る。
【0008】
本明細書で使用される「液体送達要素」と言う用語は、マウスピースの中の液体の貯蔵および送達のための個別のマウスピース要素を意味する。本発明の液体送達要素は、変形可能な外側容器の中に取り付けられた脆弱な管状要素を備え、かつ消費者によって作動されるように構成される。従って本発明は、フィルターの中の液体の送達のための新たな手段を提供する。この新たな手段は、周知のカプセルおよび先行技術のその他の送達装置とは異なる。
【0009】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、消費者がエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル発生物品を吸引する方向と関連するエアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を記述する。本明細書に記述されるエアロゾル発生物品は、口側の端に対応する下流端と、反対側の上流端とを備える。使用時、消費者はエアロゾル発生物品の下流端を吸う。下流端は上流端の下流であり、これは遠位端として説明されてもよい。
【0010】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有する物質であって、エアロゾルを形成することができる基体を記述するために使用される。エアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、見えてもよくまたは見えなくてもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状の微粒子)、ならびに凝縮されたベイパーの気体および液体の液滴を含んでもよい。
【0011】
液体を液体送達要素の空洞内に提供することによって、本発明によるエアロゾル発生物品は、貯蔵中に液体がエアロゾル発生物品から漏れることを低減するまたは防ぐことができる。
【0012】
さらに、液体を液体送達要素の空洞内に提供することはまた、液体を液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントにいつ送達するかを選択する機会を消費者に提供する。例えば、消費者は、エアロゾル発生物品の喫煙直前に、またはエアロゾル発生物品の喫煙中に、液体をフィルター材料の少なくとも1つのセグメントに送達することを選んでもよい。別の方法として、消費者は、液体を液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントに送達することなく、エアロゾル発生物品を喫煙することを選んでもよい。
【0013】
液体送達要素の上流端と下流端の間に延びる長軸方向チャネルを備える液体送達要素を提供することによって、本発明によるエアロゾル発生物品は、液体送達要素をマウスピースの中に組み込み、かつ従来のフィルター付き紙巻たばこなどの液体送達要素を含まない対応するエアロゾル発生物品の引き出し抵抗と同様のまたはそれより低い引き出し抵抗を維持することができる。
【0014】
さらに、上流端と下流端の間に延びる液体送達要素の一部として長軸方向チャネルを形成することによって、本発明によるエアロゾル発生物品は、最小限の修正が加えられた既存の高速製造機械およびプロセスを使用して製造することができる。特に、液体送達要素は、従来の結合プロセスを使用してフィルター材料の少なくとも1つのセグメントなどの他のマウスピースセグメントと組み合わせることができる。
【0015】
上述の通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、変形可能な外側容器の中に取り付けられた脆弱な、または壊すことができる管状要素を有する新規の液体送達要素と、コア要素と外側容器の間に画定される空洞とを組み合わせる。結果として得られる空洞は環状であり、かつ脆弱な管状要素の周りに延びる。液体送達要素の作動の前に、液体は空洞の中に保持されたままになり、かつ脆弱な管状要素によって画定された長軸方向チャネルは液体送達要素の全体を通して延びて気流経路を提供し、この気流経路を通して、エアロゾル発生物品の喫煙中にエアロゾルを引き出すことができる。
【0016】
本明細書で使用される「作動」という用語は、液体送達要素が液体を空洞からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントに送達することを引き起こす動作を意味する。本発明の状況において、作動は、変形可能な外側容器を変形させるように、液体送達要素に圧縮力をかけることによってもたらされる。液体送達要素を作動させるために、変形可能な外側容器は、圧縮力が脆弱な管状要素の破壊を生じさせるのに十分な程度まで消費者によって圧迫される必要がある。脆弱な管状要素が破壊すると、液体が空洞から1つ以上の液体経路を通ってフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと放出される。
【0017】
従って消費者は、フィルター材料の少なくとも1つのセグメントへの液体の送達を制御できる。液体送達要素は、脆弱な管状要素の当初の破壊の際に空洞から液体が実質的にすべて放出されるように構成されてもよい。別の方法として、液体送達要素は、消費者が液体の一部のみを空洞から送達することを選び、残りの液体がその後の1つ以上の送達のために空洞内に残ったままになるように構成されてもよい。
【0018】
有利なことに、消費者は、液体送達要素を作動させるために脆弱な管状要素がいつ破壊されたのかを感じることができ、そのため、必要な度合いの圧縮のみをかけることができ、これによって過度な圧縮力によるマウスピースの損傷を回避することができる。別の方法としてまたは追加的に、脆弱な管状要素の破壊は、液体送達要素が作動された時に消費者に聞こえるように可聴音を発生する場合がある。
【0019】
脆弱な管状要素の破壊を通して液体送達要素を作動させるために必要な圧縮力は約10ニュートン~約50ニュートンであることが好ましく、約20ニュートン~約40ニュートンであることが好ましく、また約25ニュートン~約35ニュートンであることがより好ましい。圧縮力は、22℃で60パーセントの相対湿度の下で約30ミリメートル/分で作動する100ニュートン引張ロードセルを装備した汎用引張/圧縮試験機(Instronまたは同等品など)を使用して決定されてもよい。手動試験機の例は、Alluris GmbH & Co.から入手可能なAlluris Type FMI - 220C2 - Digital Force Gauge 0-200Nである。
【0020】
脆弱な管状要素は、脆弱な管状要素がばらばらにならずに、作動後も可能な限りその構造的完全性を保持するように、かけられた力の下で砕けるのではなく、割れる、破断する、または折れることが好ましい。
【0021】
有利なことに、脆弱な管状要素は、空洞からの液体放出の方向性が制御されるように構成されうる。例えば、液体送達要素の1つの側にあるフィルターセグメントに向かう1つの軸方向での液体の送達を提供すること、または液体送達要素の両側にあるフィルターセグメントに向かう両方の軸方向での液体の送達を提供することが望ましい場合がある。
【0022】
上述の通り、脆弱な管状要素の少なくとも1つの壁が破壊すると、1つ以上の液体経路が液体送達要素を通して開かれて、液体が液体送達要素の外へ、およびフィルター材料の隣接するセグメント(複数可)の中へと流れることができるように液体送達要素が構成される。脆弱な管状要素が破壊すると、脆弱な管状要素の長軸方向チャネルを通して液体を送達するように液体送達要素が構成されることが好ましい。こうした実施形態において、脆弱な管状要素の破壊は、空洞からの液体が長軸方向チャネルへと入ることができるようにし、これは空洞からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと放出される液体のための液体経路を提供する。有利なことに、長軸方向チャネルは、液体を液体送達要素から上流方向と下流方向の両方に送達できるようにする。
【0023】
脆弱な管状要素の長軸方向チャネルの最大直径は、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましく、約1ミリメートル~約2ミリメートルであることがより好ましく、約1.1ミリメートル~約1.5ミリメートルであることがより好ましい。
【0024】
追加的に、または別の方法として、長軸方向チャネルの横断方向の断面積は、約1平方ミリメートル~約7平方ミリメートルであることが好ましく、約1平方ミリメートル~約3平方ミリメートルあることがより好ましく、約1平方ミリメートル~約1.8平方ミリメートルであることがより好ましい。
【0025】
追加的に、または別の方法として、長軸方向チャネルの長さは、約8ミリメートル~約12ミリメートルであることが好ましく、約10ミリメートルであることが好ましい。
【0026】
長軸方向チャネルは、任意の適切な断面形状を有してもよい。一部の実施形態において、長軸方向チャネルは実質的に正方形または長方形の断面形状を有する。長軸方向チャネルは実質的に円形断面形状を有することが好ましい。
【0027】
長軸方向チャネルの寸法は、エアロゾル発生物品の所望の引き出し抵抗を提供するために構成されてもよい。
【0028】
長軸方向チャネルは、液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと送達される前に、エアロゾル発生物品が約50水柱ミリメートル~約130水柱ミリメートルの引き出し抵抗を有するように構成されることが好ましく、約70水柱ミリメートル~約110水柱ミリメートルであることがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品の引き出し抵抗は、液体送達要素がフィルター材料のセグメントで置き換えられた、それ以外は同一のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗と実質的に同じまたは類似の引き出し抵抗であってもよい。
【0029】
本明細書で使用される「引き出し抵抗」という用語は、22℃および101キロパスカル(760トル)で毎秒17.5ミリリットルの速度で試験対象の物体の全長にわたり空気を強制的に通過させるために必要な圧力を意味する。引き出し抵抗は水柱ミリメートル(mmWG)という単位で表され、ISO 6565:2011に従い測定される。
【0030】
液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメント内に送達された後のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗は、液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと送達される前のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗と類似していてもよい。エアロゾル発生物品は、液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントに送達される前のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗よりも高い約10水柱ミリメートル~約30水柱ミリメートルの引き出し抵抗を有するように構成されることが好ましい。追加的に、または別の方法として、エアロゾル発生物品は、液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと送達された後に、約60水柱ミリメートル~約160水柱ミリメートルの引き出し抵抗を有するように構成されてもよく、約80水柱ミリメートル~約140水柱ミリメートルであることが好ましい。
【0031】
液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと送達される前のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗は、30水柱ミリメートル以下であることが好ましく、10水柱ミリメートル以下であることがより好ましく、対応する構造を有するが液体送達要素を有しないエアロゾル発生物品の引き出し抵抗より大きい。後者の場合において、液体送達要素は、本発明のエアロゾル発生物品に対応する寸法を保持するために、濾過材料の標準的なプラグによって置き換えられる。特定の好ましい実施形態において、液体が液体送達要素からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントの中へと送達される前のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗は、対応する構造を有するが液体送達要素を有しないエアロゾル発生物品の引き出し抵抗と実質的に等しいことが好ましい。
【0032】
特定の実施形態において、液体の送達のレートを制御するために長軸方向チャネルの寸法を変更してもよい。例えば、長軸方向チャネルの容積と空洞内の液体の容積の比は、空洞からの液体の送達を制御するために制御されてもよい。
【0033】
当業者は、使用中に脆弱な管状要素を破壊するために必要な外側容器の変形度を制御するために、脆弱な管状要素の寸法は変更されてもよいことも理解するであろう。一般に、脆弱な管状要素の外径が狭いほど、脆弱な管状要素を破壊して液体送達要素を作動させるのに十分な圧力を消費者がかけるために必要な変形度はより大きい。高い変形度は一般に、変形可能な外側容器の壁および密封部分(シール)にかけられる、より大きい圧力レベルを生じさせることになる。従って、変形可能な外側容器上のこうした圧力を最小化して、その一方でフィルター材料の中へと放出するのに必要な液体を提供するために空洞の中に十分なスペースを保持するために、脆弱な管状要素の外径を可能な限り最大化することが望ましい場合がある。
【0034】
上記に示したように、脆弱な管状要素は長軸方向チャネルを画定する。従って、長軸方向チャネルは脆弱な管状要素の内腔によって提供される。
脆弱な管状要素の外径、従って液体送達要素の外径に対する脆弱な管状要素の外径の比は、液体を収容する空洞の容積を制御するために変更されてもよい。脆弱な管状要素の最大外径は、液体送達要素の最大外径の約20~約50パーセントであることが好ましく、約20~約30パーセントであることがより好ましく、約25パーセントであることが最も好ましい。
【0035】
脆弱な管状要素の壁の厚さは、約100マイクロメートル~約500マイクロメートルであることが好ましい。壁の厚さは、脆弱な管状要素の所望のレベルのもろさを提供するように変更されてもよい。
【0036】
脆弱な管状要素は高分子材料で形成されることが好ましい。適切なポリマー材料には例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ(メタクリル酸メチル)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、脆弱な管状要素を形成するために射出成形または押出成形されてもよい。
【0037】
上述の通り、本発明の液体送達要素の脆弱な管状要素は、空洞内の液体が脆弱な管状要素を取り囲むように、変形可能な外側容器の中に取り付けられる。変形可能な外側容器は、圧縮力が脆弱な管状要素を破壊する変形可能な外側容器の十分な変形を達成するために、少なくとも1つの可撓性の壁を備える。当業者によって理解されるであろうように、必要な変形の度合いは、変形可能な外側容器と空洞内の液体の容積とに対する脆弱な管状要素のサイズなどの要因に依存する場合がある。
【0038】
好ましい実施形態において、変形可能な外側容器は、空洞を画定するために管端を密封する上流端壁および下流端壁とともに、可撓性の壁を形成する可撓性シート材料の管を備える。上流端壁および下流端壁の各々は開口部を備えることが好ましく、脆弱な管状要素の長軸方向チャネルは開口部の間で延びて、液体送達要素を通る流体経路を提供する。
【0039】
脆弱な管状要素は、上流端壁および下流端壁内の開口部のうちの少なくとも1つに取り付けられることが好ましい。例えば、脆弱な管状要素が脆弱な管状要素である特定の好ましい実施形態において、脆弱な管状要素は上流端壁および下流端壁の開口部のうちの一方または両方に取り付けられる。
【0040】
脆弱な管状要素は、上流端壁および下流端壁のうちの少なくとも1つと一体化していることが好ましい。これは脆弱な管状要素が変形可能な外側容器の中に組み込まれるのを助ける場合がある。脆弱な管状要素が端壁と一体化している場合、その端壁の開口部は、脆弱な管状要素内の長軸方向チャネルの対応する遠位端での開口によって画定される。特定の好ましい実施形態において、脆弱な管状要素は端壁のうちの1つと一体化しており、また反対側の端壁の開口部の中に取り付けられる。
【0041】
変形可能な外側容器の端壁は、変形可能であってもよく、または変形不可能であってもよい。少なくとも1つの端壁は、液体送達要素の組立を容易にするために変形不可能であることが好ましい。
【0042】
端壁を定位置に保持する一方で、空洞の必要な密封を提供するために、端壁は可撓性の壁を形成する管の中に嵌合するように変更されることが好ましい。端壁は、適切な接着剤、密封O-リング、またはこれらの両方の使用によって、管の中に密封されてもよい。
【0043】
変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁は、可撓性シート材料で形成されることが好ましく、高分子シート材料で形成されることが好ましい。可撓性シート材料は実質的に透明であることが特に好ましい。
【0044】
「実質的に透明」という用語は、少なくともかなりの比率の入射光が通過でき、そのため透視可能な材料を記述するために使用される。本発明において、実質的に透明な可撓性の壁は、空洞内の液体が液体送達要素の作動の前に見えるように、十分な光の通過を許容しうる。空洞内の液体も透明である場合、実質的に透明な可撓性の壁は、エアロゾル発生基体によって発生し、かつエアロゾル発生物品の喫煙中に長軸方向チャネルを通過する煙または1つ以上のその他のエアロゾルの可視化も可能にしうる。
【0045】
実質的に透明な可撓性の壁は完全に透明であってもよい。別の方法として、実質的に透明な可撓性の壁は、低い透明度を有する一方で、煙または1つ以上のその他のエアロゾルおよび液体のうちの少なくとも1つが実質的に透明な液体送達要素を通して見える十分な光を依然として透過してもよい。
【0046】
変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁が実質的に透明であるそれらの実施形態において、変形可能な外側容器の上にある任意の材料は実質的に透明な材料で形成されること、および液体送達要素の一部分が1つ以上の開口部を通して見えるように1つ以上の開口部を備えることが好ましい。
【0047】
随意に、変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁を形成する可撓性シート材料は、着色されてもよく、または薄い色付きでもよい。
【0048】
変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁を形成するための適切な高分子シート材料には例えば、アイソタクチックポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、またはこれらの組み合わせが挙げられる。可撓性シート材料は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンビニルアルコール、またはこれらの組み合わせなど、少なくとも1つの耐水バリア層を含む積層材料で形成されてもよい。
【0049】
変形可能な外側容器の可撓性の壁の厚さは、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルであることが好ましく、約200マイクロメートル~約300マイクロメートルであることが好ましく、約250マイクロメートルであることがより好ましい。
【0050】
上述の通り、空洞または貯蔵部は、液体送達要素内に収容される液体のために、変形可能な外側容器の少なくとも1つの可撓性の壁と脆弱な管状要素との間に画定される。空洞内に収容される液体の容積は、空洞の総内部容積の約80パーセント未満であることが好ましく、約70パーセント未満であることがより好ましい。これは、空洞が空気で部分的に充填されることを意味し、これは空洞内の脆弱な管状要素を破壊するために、変形可能な外側容器が十分に変形できるようにする。さらに、少なくとも1つの可撓性の壁が透明な材料で形成される場合、空洞の部分的な充填は、空洞内の液体の動きが消費者に見えるようにし、消費者は液体送達要素の中の液体の存在を視覚的に特定することができる。液体が濾過材料またはフィルターラッパーに汚れを生じさせることがないように、またはこれらをびしょ濡れにしないように、空洞内の液体の量を制御することがさらに望ましい場合がある。
【0051】
上述の任意の実施形態において、液体送達要素の空洞内の液体は水を含んでもよい。液体は本質的に水から成っていてもよい。
【0052】
別の方法として、液体は水の他にも、または水の代替として1つ以上の構成成分を含んでもよい。液体が水の他にも1つ以上の構成成分を含むそれらの実施形態において、追加的な構成成分の各々は、水中に溶解されてもよく、または水の中に懸濁してもよい。
【0053】
一部の実施形態において、液体は少なくとも1つの風味剤を含んでもよく、親水性風味剤を含むことが好ましい。適切な風味剤には例えば、アセトイン、スクロース、ソルビトール、乳酸エチル、クエン酸、チコリ抽出物、アルファイオノン、乳酸、ピルビン酸、バニラオレオレジン、ブチルアルコール、酪酸、ベンジルアルコール、酢酸エチル、コロハ抽出物、イソブチルアルコール、イソ酪酸、シクロテン、コーヒージオン、フランビノーネ、2-3ジメチルピラジン、酪酸エチル、エチルマルトール、プロピオン酸エチル、バニリン、フラネオール、イソブチルアルデヒド、イソ吉草酸、マルトール、ベンズアルデヒド、ジメチルスルフィド、2メチル酪酸、イソバレルアルデヒド、フェネチルアルコール、フェニル酢酸、ヘリオトロピン、吉草酸、バレルアルデヒド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
追加的に、または別の方法として、液体は少なくとも1つの湿潤剤を含んでもよい。適切な湿潤剤には例えば、グリセロール、マルトール(malitol)、キシリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリデキストロース、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
上述の任意の実施形態において、液体は実質的に無色であってもよい。別の方法として、液体は色付きであってもよい。着色された液体は、変形可能な外側容器の可撓性の壁が実質的に透明な材料で形成される実施形態において、着色された液体が目に見えるので、好ましい場合がある。
【0056】
変形可能な外側容器および脆弱な管状要素を備える液体送達要素は、任意の適切な断面形状を有してもよい。液体送達要素は実質的に円筒形であることが好ましく、また液体送達要素は実質的に円形断面形状を有する実質的に円筒形であることが特に好ましい。好ましい実施形態において、液体送達要素は、フィルター材料の少なくとも1つのセグメントの外径に実質的に相当する外径を有する。これは、液体送達要素の他のフィルターセグメントとの組み合わせおよびラッピングを容易にし、かつ既存の高速結合機械およびプロセスを使用する、マウスピースおよびエアロゾル発生物品の製造を可能にする。
【0057】
液体送達要素のどちらの端がマウスピース内に下流端として提供されるかが重要ではないように、液体送達要素は長軸方向で実質的に対称であることが好ましい。マウスピースの中への挿入の前に液体送達要素のいかなる方向合わせも提供する必要がないため、これは液体送達要素のマウスピースの中への組み込みを容易にする。
【0058】
液体送達要素の長さは、約8ミリメートル~約12ミリメートルであることが好ましく、約10ミリメートルであることが好ましい。
【0059】
本発明の液体送達要素は、変形可能な外側容器および脆弱な管状要素の構造に依存して、多くの異なる方法で組み立てられてもよい。例えば、1つの組立プロセスにおいて、変形可能な外側容器は、可撓性の外側管と、可撓性の外側管の一方の端において挿入された第一の端壁とから部分的に形成される。部分的に形成された変形可能な外側容器はその後、液体で充填される。その後、脆弱な管状要素は充填された空洞の中へ、かつ第一の端壁を通して挿入され、また第二の端壁は空洞を閉じるように可撓性の外側管の中へと挿入されている。脆弱な管状要素および第二の端壁は、一体化している、または以前の組立工程で相互に接続されていることが好ましい。
【0060】
代替的な組立プロセスにおいて、上述の通り、脆弱な管状要素は、変形可能な外側容器の液体充填、および第二の端壁による空洞の密封の前に、部分的に形成された変形可能な外側容器の中に組み込まれてもよい。
【0061】
さらなる代替の組立プロセスにおいて、変形可能な外側容器は、両方の端壁を定位置に有する可撓性の外側管とともに完全に組み立てられてもよい。液体はその後、可撓性の外側管の内側の空洞を少なくとも部分的に充填するために、端壁のうちの1つの中の開口部を通して注入される。その後、脆弱な管状要素は開口部を通して挿入され、充填された空洞の中に入り、反対側の端壁を通る。
【0062】
組立プロセスのいずれかにおいて、液体送達要素をマウスピースの中に組み込む前に、空気を用いて長軸方向チャネルをフラッシングして、その中に閉じ込められたあらゆる液体を取り除くことが好ましい。
【0063】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースにおいて、フィルター材料の少なくとも1つのセグメントは、液体送達要素の下流に位置付けられた下流フィルターセグメントを備えてもよい。下流フィルターセグメントがエアロゾル発生物品の口側の端を形成する場合、下流フィルターセグメントは有利にも、従来のエアロゾル発生物品の口の感覚に似た消費者のための望ましい口の感覚を提供することができる。
【0064】
追加的に、または別の方法として、フィルター材料の少なくとも1つのセグメントは、液体送達要素の上流に位置付けられた上流フィルターセグメントを備えてもよい。
【0065】
少なくとも1つのフィルターセグメントは、少なくとも1つの上流フィルターセグメントおよび少なくとも1つの下流フィルターセグメントを備え、液体送達要素は、少なくとも1つの上流フィルターセグメントと少なくとも1つの下流フィルターセグメントとの間に位置付けられることが好ましい。
【0066】
それぞれのフィルターセグメント内の濾過材料は、セルロースアセテートトウ、ポリ乳酸または紙などの繊維質濾過材料のプラグであることが好ましい。フィルター可塑剤を分離した繊維上に吹き付けることによって従来的な方法で繊維質の濾過材料に塗布してもよく、この塗布は、いずれかの粒子状材料が濾過材料に塗布される前に行うことが好ましい。
【0067】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースは、液体送達要素を囲むプラグラップを備えてもよい。プラグラップは液体送達要素のみを囲んでもよい。別の方法として、プラグラップは、液体送達要素とフィルター材料の少なくとも1つのセグメントとを囲む結合用プラグラップであってもよい。プラグラップの少なくとも1つの表面は、液体が空洞からフィルター材料の少なくとも1つのセグメントに送達された後に、液体がプラグラップを通って漏れることを防止するためにステイン防止コーティングで被覆されることが好ましい。適切なステイン防止コーティングには例えば、エチルセルロースおよびセルロースアセテートが挙げられる。
【0068】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースは、チッピングラッパーをさらに備えてもよい。上述の通り、液体送達要素の変形可能な外側容器の可撓性の壁が実質的に透明な材料で形成される好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、液体送達要素の少なくとも一部分の上にある実質的に透明なプラグラップを備えることが好ましく、またチッピングラッパーは、実質的に透明なラッパーおよび液体送達要素の上に少なくとも部分的にある少なくとも1つの開口部を備える。これは液体送達要素および空洞内の液体をマウスピースの外部から見えるようにする。
【0069】
本発明によるエアロゾル発生物品は、その中でエアロゾル発生基体がたばこ材料を含み、たばこ材料が燃焼されて煙を形成する、フィルター付き紙巻たばこまたは他のエアロゾル発生物品であってもよい。従って、上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、エアロゾル発生基体はたばこロッドを備えてもよい。
【0070】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、その中でたばこ材料が燃焼されるのではなく加熱されてエアロゾルを形成する物品であってもよい。1つのタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、たばこ材料は1つ以上の電気発熱体によって加熱されてエアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、熱を可燃性の熱源または化学的な熱源から、物理的に分離されたたばこ材料(熱源の中、周囲、または下流に位置しうる)へと伝達することによって生成される。本発明は、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン供給源から燃焼を経ずに、幾つかの場合では加熱を経ずに、例えば化学反応によって生成されるエアロゾル発生物品をさらに包含する。
【0071】
ここで、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の斜視図を示す。
図2図2は、ラッパーを外した図1のエアロゾル発生物品の分解組立図を示す。
図3図3は、図1のエアロゾル発生物品の液体送達要素の作動前の斜視図を示す。
図4図4は、液体送達要素の作動前の長軸方向の断面図を示す。
図5図5は、液体送達要素の作動後の長軸方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生物品10を示す。エアロゾル発生物品10は、包まれたたばこロッドの形態のエアロゾル発生基体12と、マウスピース14とを備えるフィルター付き紙巻たばこである。マウスピース14は、チッピングラッパー16によって包まれたたばこロッドに固定される。
【0074】
図2に示す通り、マウスピース14は、マウスピース14の上流端にある上流フィルターセグメント18と、マウスピース14の下流端にある下流フィルターセグメント20とを備える。マウスピース14は、上流フィルターセグメント18と下流フィルターセグメント20との間に位置付けられた液体送達要素22をさらに備える。実質的に透明な結合用プラグラップ24は、上流フィルターセグメント18および下流フィルターセグメント20の周りに巻かれ、液体送達要素22がそれらを組み合わせてマウスピース14を形成する。チッピングラッパー16は、液体送達要素22および実質的に透明なプラグラップ24の上にある開口部26を備え、これによって消費者は液体送達要素22を観察することができる。
【0075】
図3および図4に示す通り、液体送達要素22は変形可能な外側容器28および脆弱な管状要素30を備える。変形可能な外側容器28は、実質的に透明なシート材料で形成された可撓性の外側管32と、可撓性の外側管32の下流端の中へと挿入された下流端壁34と、可撓性の外側管32の上流端の中へと挿入された上流端壁36と、を備える。下流端壁34および上流端壁36の各々は、中央開口部38を備える。変形可能な外側容器28は、可撓性の外側管32の中に画定され、かつ水を含む着色された液体42を収容する密封された空洞40を備える。
【0076】
脆弱な管状要素30は、変形可能な外側容器28の空洞40の中に取り付けられ、かつ下流端壁34の開口部38と上流端壁36の開口部38との間に延びる壊れやすい管44の形態である。脆弱な管44は、液体送達要素22の下流端と上流端の間に延びる長軸方向チャネル46を画定する。壊れやすい管44の外径は液体送達要素22の外径のおよそ25パーセントである。
【0077】
図4は、空洞40の中に液体42を保持している、作動前の液体送達要素22を示す。長軸方向チャネル46は、液体送達要素22を通る気流チャネルを提供し、主流煙はエアロゾル発生物品10の喫煙中に、矢印で示される通り、この気流チャネルを通過する。消費者は、チッピングラッパー16内の開口部26を通して空洞40内の着色された液体42を観察することができる。
【0078】
消費者は喫煙前または喫煙中に、液体送達要素22を絞って液体送達要素22を作動させ、液体42の放出をもたらしうる。液体送達要素22にかけられた圧縮力は、変形可能な外側容器28の可撓性の外側管32の変形を生じさせ、また空洞40内の圧力を増加させる。ある一定の圧縮力レベルで、空洞40内の増加した圧力は壊れやすい管44の壁に亀裂を生じさせ、それによって液体送達要素22を作動する。図5に概略的に示す通り、壊れやすい管44の破壊は、液体42が空洞40から長軸方向チャネル46の中へと通過することを可能にする。液体42はその後、長軸方向チャネル46に沿って上流フィルターセグメント18および下流フィルターセグメント20の中へと流れることができる。液体送達要素22のこの作動中に消費者は、着色された液体が空洞40からフィルターセグメント18、20の中へと移動するのを、チッピングラッパー16内の開口部26を通して観察することができる。
図1
図2
図3
図4
図5