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特許7061070ヘアカット記録デバイス、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】ヘアカット記録デバイス、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/38 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
B26B19/38 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018532320
(86)(22)【出願日】2016-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2016082158
(87)【国際公開番号】W WO2017108937
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】15202124.2
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ホドリープ,ロベルト
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0217465(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0059187(US,A1)
【文献】国際公開第2015/068068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/38、19/48
A45D 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアカット記録方法であって、
- 毛髪特性測定ユニットを提供するステップと、
- 毛髪部分に隣接して前記毛髪特性測定ユニットを配置するステップと、
- 前記毛髪特性測定ユニットの実際の位置を検出するステップと、
- 関心の毛髪特性値を検出するステップと、
- 前記毛髪特性測定ユニットの前記実際の位置をトラッキングするステップと、
- 検出される毛髪特性値を位置値に割り当てるステップと、
- 前記毛髪特性値に基づき測定される毛髪特性値に関する状態パラメータを推測するステップと、
- 該推測される状態パラメータに基づいて前記毛髪特性値及び前記位置値の精緻化を可能にするユーザフィードバックを提供するステップとを含み、
前記関心の毛髪特性値は、毛髪長を表す値を含む
ヘアカット記録方法。
【請求項2】
前記毛髪特性測定ユニットは、毛髪長測定ユニットを含む、請求項1に記載のヘアカット記録方法。
【請求項3】
前記状態パラメータは、品質パラメータを含む、請求項1に記載のヘアカット記録方法。
【請求項4】
前記状態パラメータは、
- 長さ値、
- 位置値、
- 移動速度値、
- サンプリングパラメータ、
- 変化速度値、及び
- 領域適用範囲値
のうちの少なくとも1つに基づく、
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録方法。
【請求項5】
当該ヘアカット記録方法は、更に、
- 前記状態パラメータをモニタリングするステップと、
- 前記状態パラメータの偏差を検出するステップと、
- 該検出される偏差を減少させるために補正ユーザフィードバックを提供するステップとを含む、
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録方法。
【請求項6】
前記ユーザフィードバックを提供するステップは、
- 前記毛髪特性測定ユニットの以前の測定の繰返しを要求するステップ、
- 前記毛髪特性測定ユニットを移動させるときに減速を要求するステップ、
- 巨大な長さ変化が隣接する部分に存在する移行領域を表示するステップ、
- 精緻化測定が要求される領域を表示するステップ、及び
- これまでに測定が行われていない領域を表示するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録方法。
【請求項7】
前記ユーザフィードバックを提供するステップは、更に、
- 視覚フィードバックを提供するステップ、
- 触覚フィードバックを提供するステップ、及び
- 音響フィードバックを提供するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録方法。
【請求項8】
前記毛髪特性測定ユニットは、粗いメッシュ測定を含む基本設定において並びに少なくとも部分的に適用される精細メッシュ測定を含む精細設定において動作可能である、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録方法。
【請求項9】
請求項1に記載のヘアカット記録方法を実施するヘアカット記録システムであって、
- フィードバックユニットを含むコンピューティングデバイスと、
- 毛髪特性測定ユニットを含む、手持ち式デバイスであって、前記毛髪特性測定ユニットは、前記毛髪特性測定ユニットが毛髪部分に隣接して配置されるときに、関心の毛髪特性値を検出するように構成される、手持ち式デバイスと、
- 前記毛髪特性測定ユニットの実際の位置を検出するために配置される位置検出ユニットと、
- 記録制御ユニットとを含み、
該記録制御ユニットは、
- 前記毛髪特性測定ユニットの前記実際の位置をトラッキングするために前記位置検出ユニットを作動させ、
- 検出される毛髪特性値を位置値に割り当てるために前記毛髪特性測定ユニットを作動させ、
- 前記毛髪特性値に基づき測定される毛髪特性値に関する状態パラメータを推定し、且つ
- 該推定される状態パラメータに基づいてユーザフィードバックを提供する、
ように構成され
前記関心の毛髪特性値は、毛髪長を表す値を含む
ヘアカット記録システム。
【請求項10】
前記状態パラメータは、品質パラメータを含む、請求項に記載のヘアカット記録システム。
【請求項11】
前記記録制御ユニットは、制御ループ区画を含み、該制御ループ区画は、前記状態パラメータをモニタリングし、前記状態パラメータの偏差を検出し、且つ該検出される偏差を減少させるために補正ユーザフィードバックを提供する、ように構成される、請求項9又は10に記載のヘアカット記録システム。
【請求項12】
前記ユーザフィードバックは、前記コンピューティングデバイスのディスプレイ、及び前記手持ち式デバイスの触覚アクチュエータ又は音響源のうちの少なくとも1つを介して提供される、請求項乃至11のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録システム。
【請求項13】
前記毛髪特性測定ユニットは、毛髪長測定ユニットとして構成される、請求項乃至12のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録システム。
【請求項14】
前記位置検出ユニットは、位置基準と、該位置基準に対する前記毛髪特性測定ユニットの位置を検出する相対位置検出ユニットとを含む、請求項乃至13のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録システム。
【請求項15】
前記位置検出ユニットは、複数の位置測定サンプルに基づいて、現在のトポロジーを検出するための、並びに、前記トポロジー及び全体的トポロジーモデルを一致させるための、介在位置検出ユニットとして構成される、請求項乃至14のうちのいずれか1項に記載のヘアカット記録システム。
【請求項16】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピューティングデバイスで実行されるときに、該コンピューティングデバイスに請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の方法のステップを実行させるプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアカット(haircut)記録方法、ヘアカット記録システム、及びヘアカット記録デバイスに関する。本開示は、更に、対応するコンピュータプログラムに関する。
【0002】
本明細書で使用するとき、ヘアカット記録は、特に、ヘアカッティング(hair cutting)操作に続くヘアカット記録を含むアプローチ(手法)に関する。即ち、既に存在するヘアカットが記録され、スキャン(走査)され、サンプリングされる等である。換言すれば、ヘアカッティングパラメータが、既に存在するヘアカットに基づいて逆の仕方で取得される。故に、ヘアカットを記述するデータを取得することができる。記録時に存在していたヘアカットを再現するために、このようにして取得されたヘアカットデータが後続の状態で利用されることがある。
【背景技術】
【0003】
ヘアカッティング及びヘアスタイリングは、大部分は、典型的には顧客に対してヘアカット及び/又はヘアスタイリング作業を行う熟練操作者(ヘアスタイリスト、美容師等)を必要とする手作業のタスクである。一般的には、顧客が特定のヘアカット又はヘアスタイルに満足しているとしても、比較的短いヘアカットの場合、手作業のタスクは、例えば、4~8週間毎に、繰り返し行われる必要がある。更に、経験豊富な美容師又はヘアスタイリストでさえも、特定のヘアカットを常に正確に再現することはできない。美容師は、一方では、現在の(伸びた)髪の状態に基づいて適用されるべきヘアカットを想像することがある。他方では、美容師は、以前に行われたヘアカットの元の処理された状態を思い出して可視化することがある。更に、顧客は、彼/彼女自身の又はモデルヘアカットを有する他の人々の視覚的表現を指すことによって、特定のヘアカットを選択し且つ要求することがある。
【0004】
ユーザが機械サポート及び制御された仕方で彼/彼女の毛又は他の人の毛を切断することを可能にするスマートヘアカット器具を提供する幾つかの試みがなされている。この目的を達成するために、処置されるべき人の頭における特定の位置に依存して現在の切断長を調節するように配置されるヘアカット器具が提供されることがある。換言すれば、所望のヘアカットは、例えば、可動の間隔コーム(movable spacing comb)を調節することによって、ヘアカット器具を相応して作動させるように構成される、コンピューティングデバイスに格納される。しかしながら、これは、基本的に、ヘアカットのモデルがコンピューティングデバイス中に既に格納されていることを必要とする。ヘアカットが実際に行われるときにヘアカッティング器具の機械パラメータを記録することが提案されている。これはそれぞれの位置でそれぞれの切断長を示す複数のペアの値を記録することを含むことある。
【0005】
この脈絡において、国際公開第2013/163999A1号は、ヘアトリミングデバイスを含むプログラム可能なヘアトリミングシステムを開示しており、ヘアトリミングシステムは、電磁トラッキングシステムを用いて、ヘアトリミングが行われる人の頭に関するヘアトリミングデバイスの位置を検出し、その位置を様々な位置での所望のヘアトリミング長に関する以前に生成された毛髪長プロファイルデータに関連付け、現在の位置及び毛髪長プロファイルデータに従ってヘアトリミングデバイスのヘアトリミング長を自動的及び動的に調整する、ように構成される。
【0006】
国際公開第2013/096572A1号は、特定のスタイルに適合するように被術者の毛を切断する自動システムを開示しており、自動システムは、被術者の毛を切断するために切断機構と係合するように構成されるヘアカッティングデバイスと、基準点に対するヘアカッティングデバイスの位置を決定するためにヘアカッティングデバイスと相互作用するよう動作可能な位置決め構造とを含む。
【0007】
ヘアトリートメントを処理する方法を開示する仏国特許出願公開第2964023A1号明細書が更に参照され、この方法は、ヘアトリートメントの補助のために、位置決めシステムを使用して、頭皮又は偽の頭に対する手又は手の部分の位置を決定することを含む。毛に対して予め設定された行為を実行するために、対応する情報は、手又は手の部分の位置に基づいて位置決めシステムを使用してユーザに給送される仏国特許出願公開第2964023A1号明細書は、ヘアモデルを定めるために毛髪の長さを測定することをさらに提案している。
【0008】
国際公開第1999/022694A2号は、ヘアカットを複製するために、特定の個人の頭からの経験的センサ測定値を含むシステムにヘアスタイルをプログラミングする方法を開示しており、毛髪存在センサは、毛髪存在センサが処理領域内の毛髪の存在をモニタリングすることができる位置に配置される。ヘアチャンバが処理領域に設けられる。更に、ヘアチャンバを通じて長さ方向に毛髪を引っ張る手段が設けられる。毛髪存在センサが、殆どの毛髪がヘアチャンバを通じて引かれてそれらの先端を越えたことを検出すると、コンピュータは、頭のこの特定の地点での毛髪の長さ記録する。複数の地点で長さを測定するために、標準化されたパターンを用いて頭の全ての毛髪を通じて毛髪存在センサを移動させることが提案されている。
【0009】
手動毛髪測定ツールが米国特許出願公開第2015/0059796A1から知られており、手動毛髪測定ツールは、目盛線がそれらの長さ方向の一端から所定の長さ単位で間隔を伴って示される、細長い部材を含み、細長い部材は、頭皮の上に端部分を配置することによって、目盛線に基づいて毛髪長測定を行うために使用されるように構成され、凹部分が端部分に形成され、頭皮の上に端部分を配置することによって、凹部分と頭皮との間の間隙が生じるので、凹部分の幅方向の両方の端部分が頭皮と接触する。
【0010】
しかしながら、実際の使用において、提案されているアプローチは、限定的な精度及び性能を示すに過ぎない。現在のヘアカットを十分に表すヘアモデルを最終的に創り出すためには、大量の手作業の介入が必要である。
【0011】
結果的に、ヘアカッティング作業後の状態において現在のヘアカットを引き続き記録することの改良及び代替的アプローチについての特定の必要が存在する。一方では、ユーザは、彼又は彼女がプロの美容院で受けたプロのヘアカットを模倣することを欲することがある。他方では、一部のヘアカットは、美容師のサロンを訪問した後の一定の時間の後(例えば、数日又は実に1~2週間)だけ最もよく見える。故に、ヘアカット記録器具及び方法には依然として改良の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
実際のヘアカット作業に続いて行われるヘアカット記録処理を容易にし且つ改良するヘアカット記録方法、ヘアカット記録システム及び対応するヘアカット記録デバイスを提供することが、本開示の目的である。好ましくは、比較的少ない労力で、特に相当に少ない時間支出でデータ収集を可能にする、改良された逆設計/リバースエンジニアリングアプローチが提示される。好ましくは、本開示に従った方法及びシステムは、検出される毛髪特性値に依存して記録パラメータを適合させることが可能である。本開示の方法、システム及びデバイスによれば、ユーザは、更なる測定及び/又は精緻化が必要とされる場所を示すことを含んでよいヘアカット記録作業を特に続け且つ修正するよう、誘導され且つ指示されることが更に好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の第1の態様では、
- 毛髪特性測定ユニット、具体的には、毛髪長測定ユニットを提供するステップと、
- 毛髪部分に隣接して測定ユニットを配置し、毛髪を通じて測定ユニットを移動させるステップと、
- 測定ユニットの実際の位置を検出するステップと、
- 関心の毛髪特性値、具体的には、毛髪長を表す値を検出するステップと、
- 現在のヘアカットを記録するステップとを含み、
記録するステップは、
- 測定ユニットの実際の位置をトラッキングするステップと、
- 検出される毛髪特性値を位置値に割り当てるステップと、
- 状態パラメータ、具体的には、品質パラメータを推測するステップと、
- 推測される状態パラメータに基づいてユーザフィードバックとを含む、
ヘアカット記録方法が提供される。
【0014】
本開示の更なる態様では、ヘアカット記録システムが提供され、ヘアカット記録システムは、
- フィードバックユニットを含むコンピューティングデバイスと、
- 毛髪特性測定ユニットを含む、手持ち式デバイスであって、毛髪特性測定ユニットは、毛髪特性測定ユニットが毛髪部分に隣接して配置されて、毛髪を通じて移動させられるときに、関心の毛髪特性値、具体的には、毛髪長を表す値を検出するように構成される、手持ち式デバイスと、
- 毛髪特性測定ユニットの実際の位置を検出するために配置される位置検出ユニットと、
- 記録制御ユニットとを含み、
記録制御ユニットは、
- 毛髪特性測定ユニットの実際の位置をトラッキングするために位置検出ユニットを作動させ、
- 検出される毛髪特性値を位置値に割り当てるために毛髪特性測定ユニットを作動させ、
- 状態パラメータ、具体的には、品質パラメータを推定し、且つ
- 推定される状態パラメータに基づいてユーザフィードバックを提供する、ように構成される。
【0015】
本開示の更に他の態様では、本発明の第1の態様に従った方法を実施するヘアカット記録デバイス、具体的には、手持ち式デバイスであって、関心の被術者の毛髪部分と係合するように構成される係合区画と、毛髪特性測定ユニットと、位置表示区画と、遠隔コンピューティングデバイスと通信するように構成される制御インターフェースとを含み、動作データが、制御インターフェースを介して交換され、動作データは、位置データと、毛髪特性データ、具体的には、毛髪長データとを含み、ヘアカット記録デバイスは、位置基準と協働するように構成され、且つ、遠隔コンピューティングデバイスの毛髪プロファイル割当て区画と協働するように構成され、毛髪特性測定ユニットは、粗いメッシュ測定(coarse-meshed measurement)を含む基本設定(basic setting)において並びに精細なメッシュ測定(fine-meshed measurement)を含む精細設定(fine setting)において動作可能である、ヘアカット記録デバイスが提供される。粗いメッシュ測定を低分解能測定(low resolution measurement)と呼ぶこともある。精細なメッシュ測定を高分解能測定(high resolution measurement)と呼ぶこともある。
【0016】
本開示の主な態様は、既に記録されたサンプルを評価し、その評価に基づいて、残余の記録プロセスに影響を及ぼすようユーザフィードバックを提供することによって、現在のヘアカットを逆に記録する行為が大幅に単純化され且つ改良されるという洞察に基づく。一例として、関心の被術者(記録されるべきヘアカットを帯びている人)は、毛髪特性が比較的一定している大きな毛髪領域を有することがある。例えば、毛髪長は、モニタリングされる人(本明細書では関心の被術者とも呼ぶ)の頭皮の大部分で比較的一定していることがある。更に、毛髪特性値が有意に変化するいわゆる移行領域(transition regions)が存在することがある。これは、例えば、長さ変化を含むことがある。
【0017】
故に、そのような移行領域が存在するか否かを決定するために、それぞれの記録される値が評価されてよい。ヘアカット記録の精度を更に向上させるために、デバイスのユーザは、測定ユニットを移行領域に繰り返し移動させるように、及び/又は、より正確なサンプリングを可能にするために測定ユニットを移行領域を通じてより遅く移動させるように、促されることがある。これは、一般的には、粗い測定が予期しない結果、例えば、予期しない毛髪長の変化率をもたらす領域に当て嵌まる。
【0018】
一般的に、測定されるデータは、異なる方法で取得されることがある。例えば、ユーザが、次に測定される或いはサンプリングされるそれぞれの毛髪部分に近づくか或いは叩く、いわゆるスポット測定が行われることがある。結果的に、ユーザは、毛髪特性マップを生成するために、毛髪の多数のスポットを連続的にサンプリングすることがある。2つの測定スポットの間では、明確な毛髪接触又は皮膚接触は必要とされない。
【0019】
別の選択肢は、例えば、毛髪のある皮膚又は頭皮との少なくとも緩い接触を維持しながら、毛髪部分に沿ってデバイスを移動させることである。次に、サンプリングは、特定のサンプリングレート(サンプリング速度)で行われてよく、このサンプリングレートは、多数の毛髪特性サンプルがデバイスの特定の移動ストロークで取得されることを含む。
【0020】
本明細書で使用するとき、ユーザは、ヘアカットを有する(帯びる)人自身であってよく、或いは、記録プロセスを助ける他の人であってよい。
【0021】
一般的に、ヘアカット記録作業を行うとき、毛髪特性値と位置値(position value)とのマッピングを含むデータセットが生成されることがある。相応して、位置値及び対応する毛髪特性値、具体的には毛髪長値を含む、多数の値のペアがそれぞれ取得されることがある。毛髪特性値は、現在の場所での毛髪密度、特定の場所でのカールの存在、毛髪の色、水分含有量、皮膚特性等を含んでもよい。
【0022】
最終的に、毛髪部分、具体的には頭髪の仮想マップが生成されてよい。仮想マップをトポロジー毛髪マップ(topological hair map)と呼ぶことがある。何故ならば、毛髪長プロファイルがこのように取得されることがあるからである。
【0023】
測定ユニットの実際の位置は、位置基準に対する位置表示値に基づいて検出されてよい。例えば、多数のパターンの測定値が適用される頭モデル(head model)又は頭皮モデル(scalp model)が提供されてよい。故に、頭における特定のデータ地点は、二次元又は三次元表現によって記述されることがある。
【0024】
本明細書で使用するとき、状態パラメータ(condition parameter)(又は品質パラメータ(quality parameter))という用語は、記録される毛髪特性値に基づく制御された値又は制御された値のセットとして理解されるべきである。例えば、状態パラメータは、サンプリング適用範囲、サンプリング密度(長さ/面積単位当たりのサンプル)又はレート、毛髪特性交互変化(hair property alteration change)等を含んでよい。言うまでもなく、状態パラメータは、それぞれの値の組み合わせに基づいてよい。更に、状態パラメータは、絶対的又は相対的な信号変化、特に毛髪長変化を含んでよい。更に、状態パラメータは、例えば、補間(interpolation)に由来することがある或いはモデルベースであってよい、期待値からの測定値の偏差(deviations)を含んでよい。
【0025】
本方法の1つの実施形態において、状態パラメータは、
- 長さ値、具体的には、絶対的な長さ値又は相対的な長さ値、
- 位置値、具体的には、頭トポロジー値(head topology value)、
- 移動速度値、具体的には、絶対的な移動速度値又は相対的な移動速度値、
- サンプリングパラメータ、具体的には、サンプリング密度又はサンプリングレート、
- 変化速度値(rate of change value)、具体的には、時間変化速度値又は位置変化速度値、及び
- 領域適用範囲値(area coverage value)
のうちの少なくとも1つに基づく。
【0026】
また、上記パラメータの少なくとも2つの組み合わせを使用されてよい。サンプリング密度は、単位面積当たり及び/又は経路長単位当たりの多数のサンプルを含んでよい。サンプリングレートは、典型的には、時間単位当たり多数のサンプルを含む。変化率値は、毛髪特性値の時間変化率及び毛髪特性値の位置変化率を含んでよい。
【0027】
毛髪記録方法の1つの実施形態では、粗い測定が適用されてよく、粗い測定は、例えば、移行領域でのサンプリング密度又はサンプリングレートを増加させるために、部分的に精細なメッシュ測定によって補完されてよい、
【0028】
本方法の他の実施形態において、現在のヘアカットを記録するステップは、
- 状態パラメータをモニタリングするステップ、
- 状態パラメータの偏差を検出するステップ、及び
- 検出される偏差を減少させるために補正ユーザフィードバック(corrective user feedback)を提供するステップを更に含む。
【0029】
このようにして、ヘアカット記録手順の品質を更に向上させる制御ループが構築されることがある。故に、例えば、速い変化率に反映される巨大な値の変化が生じるときに、移行ゾーンの存在が検出されることがある。結果的に、それぞれの状態パラメータは、それぞれの値をとり、標的値又は標的標範囲からの偏差が存在することを示す。例えば、一定の毛髪長の領域では、長さ単位当たり2個の値又は面積単位当たり4個の値のサンプリング密度が十分なことがある。しかしながら、移行領域では、長さ単位当たり4個の値及び面積単位当たり16個の値のサンプリング密度を取得することが望ましい場合がある。結果的に、ユーザは、更なる測定を行うように促されてよく、或いは、移行領域で記録プロセスを繰り返すように促されてよい。一般的に、目標は、移行領域において更なるサンプルを取得すること、即ち、サンプル密度を増加させることである。
【0030】
ヘアカット記録方法の他の実施形態において、ユーザフィードバックを提供するステップは、
- 測定ユニットの以前の測定の繰返しを要求するステップ、
- 測定ユニットを移動させるときに減速を要求するステップ、
- 巨大な長さ変化が隣接する部分に存在する移行領域を表示するステップ、
- 精緻化測定が要求される領域を表示するステップ、及び
- これまでに測定が行われていない領域を表示するステップ
のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
結果的に、ユーザは、要求された精度で合理的に短い時間期間内にヘアカット記録手順を達成するよう、目標通りに誘導されることがある。
【0032】
ヘアカット記録方法の更に他の実施形態において、ユーザフィードバックを提供するステップは、更に、
- 視覚フィードバックを提供するステップ、
- 触覚フィードバックを提供するステップ、及び
- 音響フィードバックを提供するステップ
のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
視覚フィードバックは、例えば、関心の被術者の頭の表現の特定の領域を指すことによって、遠隔デバイスで提供されてよい。触覚フィードバックは、振動源によって生成された力フィードバックを含んでよい。音響フィードバックは、指向性情報、位置情報等を含んでよい。ある程度、触覚フィードバック及び/又は音響フィードバックは、測定ユニットに設けられてよい。故に、より高いサンプル密度を可能にするよう、よりゆっくりと測定を行うことが、測定ユニットで表示されてよい。また、視覚フィードバックは、測定ユニットを取り扱うユーザを誘導するために、例えば、インジケータ、矢印等を使用することによって、測定ユニットに設けられてよい。フィードバックは、例えば、精緻化されるべき部分をマーキング又はハイライト表示することによって、人の頭に直接的に表示を含んでよい。この目的を達成するために、光スポット(light spots)又はレーザスポット(laser spots)が使用されてよい。
【0034】
ヘアカット記録方法の更に他の実施形態において、測定ユニットは、粗いメッシュ(低サンプリング分解能/密度)測定を含む基本設定において並びに少なくとも部分的に適用される精細メッシュ(高サンプリング分解能/密度)測定を含む精細設定において動作可能である。言うまでもなく、測定ユニットは、2つよりも多くの設定で動作可能であってよい。結果的に、精細な漸進的な測定を行われることがある。一例として、既に得られたサンプルに基づいて、次のサンプルのための推定値が計算されてよい。実際に記録された値が予測値と有意に異なる場合、ユーザは測定を精緻化するように促されてよい。
【0035】
ヘアカット記録システムの1つの実施形態において、記録制御ユニットは、制御ループ区画を含み、制御ループ区画は、状態パラメータをモニタリングし、状態パラメータの偏差を検出し、且つ検出される偏差を減少させるために補正ユーザフィードバックを提供する、ように構成される。
【0036】
ヘアカット記録システムの更なる実施形態において、ユーザフィードバックは、コンピューティングデバイス、具体的には、そのディスプレイ、及び手持ち式デバイス、具体的には、その触覚アクチュエータ又は音響源(sound source)のうちの少なくとも1つを介して提供される。コンピューティングデバイス及び触覚アクチュエータを介した組み合わせフィードバックが提供されてもよい。
【0037】
ヘアカット記録システムの更に他の実施形態において、毛髪特性測定ユニットは、毛髪長測定ユニットとして構成される。毛髪長測定に対する幾つかのアプローチが、例えば、国際公開第1999/022694A1号、仏国特許出願公開第2964023A1号明細書、及び米国特許出願公開第2015/0059796号明細書において議論されている。システムは、類似のアプローチを利用してよい。
【0038】
ヘアカット記録システムの他の実施形態において、位置検出ユニットは、位置基準と、位置基準に対する毛髪特性測定ユニットの位置を検出する相対位置検出ユニットとを含む。この脈絡において、国際公開第2013/163999A1号が参照される。結果的に、現在のヘアカットが記録されるときに関心の被術者によって着用される着用可能な位置基準が提供されることがある。
【0039】
ヘアカット記録システムの他の例示的な実施形態において、位置検出ユニットは、測定ユニットの絶対的な地球位置を検出するように構成される。この目的を達成するために、光学測定、例えば、カメラベースの測定が利用されてよい。更に、測定ユニットの位置を決定するために、電磁放射が利用されてよい。
【0040】
ヘアカット記録システムの更に他の実施形態において、位置検出ユニットは、複数の位置測定サンプルに基づいて、現在のトポロジー(present topology)、具体的には、頭トポロジー(head topology)を検出するための、並びに、トポロジー及び全体的トポロジーモデル(overall topology model)を一致させるための、介在位置検出ユニット(mediate position detection unit)として構成される。
【0041】
例えば、位置検出ユニットは、位置検出ユニットの動きを検出してトラッキングするように構成される加速度センサを含んでよい。故に、位置検出ユニットが、好ましくは皮膚又は頭皮と接触して、頭の周りで特定のパターンに従って移動させられるとき、取得される信号は、頭トポロジーモデルと一致させられてよい。結果的に、取得される値は、頭モデルに介在的に(mediately)割り当てられてよい。
【0042】
言うまでもなく、位置検出測定アプローチの組み合わせ、例えば、相対位置及び絶対位置検出の組み合わせが使用されてよい。加速度センサは、トラッキング及び位置検出プロセスを更に精緻化することがあり、ユーザ誘導も更に精緻化することがある。何故ならば、ユーザが提供される提案に従って実際にデバイスを移動させるか否かがモニタリングされることがあるからである。
【0043】
ヘアカット記録デバイスの例示的な実施形態において、ヘアカット記録デバイスは、ヘアカッティング器具、具体的には、毛髪長測定のために配置されるアタッチメント、例えば、コームアタッチメントを含むヘアカッティング器具、及び現在のヘアカットを記録するための限定的目的の記録デバイスの1つとして構成される。デバイスがヘアカッティング器具として構成されるとき、デバイスは、ヘアカッティングモード及びヘアカット記録モードにおいて動作可能である。上述のように、ヘアカット記録モードでは、ヘアカット操作が行われないことが好ましい。むしろ、それは下流操作において以前に行われたヘアカットを検出してサンプリングすることを意図する。即ち、一般的に、ヘアカット行為とヘアカット記録行為との間には時間的オフセットがある。
【0044】
本明細書で使用するとき、限定的目的の記録デバイス(restricted-purpose recorder device)という用語は、ヘアカット操作のために構成されていないデバイスを指す。むしろ、限定的目的のデバイスは、その主目的が現在のヘアカットを記録することにある、記録デバイスを指すことがある。結果的に、限定的目的のデバイスは、使い捨てのヘアカット記録装置として構成されてよい。
【0045】
本発明の更に他の態様では、コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピューティングデバイスで実行されるときに、コンピューティングデバイスに本明細書で議論する方法のステップを実行させるプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0046】
プログラムコードは、コンピュータのような計算器(コンピューティングマシン)による実行のための1つ又はそれよりも多くの非一時的な有形の媒体に符号化されることができる。幾つかの例示的な実施形態において、プログラムコードは、システム内での使用のためにコンピュータ可読信号媒体を通じて他のデバイス又はデータ処理システムから持続性メモリユニット又は記憶装置にネットワークを介してダウンロードされてよい。例えば、サーバデータ処理システム内の記憶媒体又はコンピュータ可読メモリユニットに格納されたプログラムコードは、ネットワークを介してサーバからシステムにダウンロードされてよい。プログラムコードを提供するデータ処理デバイスは、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、又はプログラムコードを格納及び送信し得る何らかの他のデバイスであってよい。
【0047】
本明細書で使用するとき、「コンピュータ」という用語は、多種多様な処理デバイスを表してよい。換言すれば、標準的な「コンピュータ」よりも少ない処理能力リソースを有するとしても、相当な計算能力を有するモバイルデバイスも、コンピューティングデバイスと呼ぶことができる。言うまでもなく、そのような「コンピュータ」は、パーソナルケアデバイス及び/又はシステムの一部であることができる。更に、「コンピュータ」という用語は、クラウド環境において提供される計算能力を含むか或いは利用することがある分散型コンピューティングデバイスを指すこともある。「コンピュータ」又は「コンピューティング」という用語は、データを処理することができる、医療技術デバイス、健康技術デバイス、パーソナルケアデバイス、フィットネス機器デバイス、及びモニタリングデバイス一般に関してもよい。それぞれのデータを処理することができるあらゆる自動情報処理デバイス又はシステムは、コンピューティング装置と呼ばれてよい。
【0048】
本開示の好ましい実施形態は、従属項に定められる。請求する方法及び請求するコンピュータプログラムは、請求するシステム及び請求するデバイスと類似の並びに従属項で定められるシステム/デバイスと類似の好ましい実施形態を有することができることが理解されるべきである。
【0049】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかであり、それらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】ヘアカット記録システムの例示的な実施形態の簡略化された一般的なレイアウトを示している。
図2】ヘアカット記録システムの実施形態の他の代替的なレイアウトを示している。
図3】ヘアカット記録システムの更に他の例示的な実施形態を示している。
図4】ヘアカット記録システムのための手持ち式デバイスが配置される関心の被術者の頭の簡略化された概略的な斜視図を示している。
図5】例示的なデータ地点パターン又はメッシュが適用される頭の簡略化された側面図を示している。
図6】データメッシュ又はパターンが適用される例示的な毛髪部分(頭皮)の平坦図を示している。
図7】例示的な記録経路で取得される毛髪特性値を表す簡略化された図を例示している。
図8】ヘアカット記録方法の実施形態の簡略化されたブロック図を示している。
図9】ヘアカット記録手順において実施される制御ループを例示する他の簡略化されたブロック図を示している。
図10】毛髪長測定手順お例示的な実施形態を例示する更に他の簡略化されたブロック図を示している。
図11】本開示に従った測定精緻化方法の実施形態を例示する他の簡略化されたブロック図を示している。
図12】例示的な測定精緻化のために使用される頭モデル表現を例示する簡略化された座標系を示している。
図13】例示的な測定精緻化のために使用される頭モデル表現を例示する簡略化された座標系を示している。
図14】例示的な測定精緻化のために使用される頭モデル表現を例示する簡略化された座標系を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、ヘアカット記録システム10の簡略化された概略的な例示を示している。ヘアカット記録システム10は、要求に応じてヘアカットを再現するよう、ヘアカッティング器具を相応して作動させる目的のために、顧客又は被術者12の現在のヘアカットを記録するように構成される。図1には、被術者12の頭部14にある毛髪部分16(haired portion)が例示されている。
【0052】
システム10は、手持ち式(ハンドヘルド)又は手誘導(ハンドガイド)デバイスとして構成されたデバイス20を含む。デバイス20は、ヘアカッティング器具の形態を模倣してよく、且つ/或いは、記録ユニットによって補完されるヘアカッティング器具として構成されてよい。一般的に、デバイス20は、ユーザによって把持されて、被術者12での現在のヘアカットを記録するように操作されてよい。これは毛髪部分16を通じてデバイス20を移動させることを含んでよい。
【0053】
デバイス20は、(その人のヘアカットが記録される)被術者12自身によって保持されて、操作されてよい。代替において、デバイス20は、他の人によって操作されてよい。以下では、手持ち式デバイス20の操作者をユーザと呼ぶ。
【0054】
デバイス20は、測定ユニット22を含む。例えば、測定ユニット22と動作的に連結されるコーム24(櫛)が、デバイス20に設けられてよい。コーム24は、毛髪を通って移動して、コーム24が実際に接触/係合する毛髪部分の現在の長さを検出し且つ測定するように構成される。
【0055】
更に、システム10は、簡略化されたブロックによって図1に概略的に示される位置検出ユニット30を含む。位置検出ユニット30は、位置基準32を含む。位置検出ユニット30をトラッキングユニット(追跡ユニット)と呼ぶこともある。位置検出ユニット30の幾つかの実施形態が存在する。一般的に、位置検出ユニット30の主な目的は、被術者12の毛髪部分16又は頭部(頭皮)14に対するデバイス20の現在位置を検出することである。結果的に、一方では、実際の位置を含む、他方では、それに割り当てられる毛髪特性値(hair property value)、特に毛髪長値(hair length value)を含む、値のペアが取得されることがある。
【0056】
複数の値のペアを検出することができるならば、被術者12の現在のヘアカットを記述するデータメッシュ(格子)又はパターンが生成されることがある。
【0057】
更に、システム10は、コンピューティングデバイス40を含む。コンピューティングデバイス40は、モバイルデバイス、例えば、タブレットコンピュータ、携帯電話、及び同等物として構成されてよい。コンピューティングデバイス40は、データを処理するように構成された処理ユニット42を含む。更に、フィードバックユニット44,46が設けられてよい。例えば、フィードバックユニットは、スクリーン44を含む。更に、フィードバックユニットは、スピーカ46を含んでよい。しかしながら、デバイス20自体がフィードバックユニット48を備えてもよい。フィードバックユニット48は、触覚フィードバックユニット又は力フィードバックユニットとして構成されてよい。また、視覚フィードバック及び/又は音響フィードバックがデバイス20を介して提供されてよい。
【0058】
1つの実施形態では、ディスプレイ又はスクリーン44で、ユーザフィードバック50が提供される。例えば、ユーザフィードバック50は、被術者12(又はモデル)の頭部又は頭皮部分の表現と、精緻化された測定が実行されるべきである関心の領域の表示とを含む。更に、ユーザフィードバック50は、デバイス20の提案される移動速度の表示、デバイス20の提案される移動方向等を含んでよい。
【0059】
故に、システム10は、相当に短い時間器官内に所望の精度レベルでヘアカット記録プロセスを達成するようユーザを誘導するように構成されてよい。ヘアカット記録プロセスの完了に必要とされる水準ユーザ知識(level user knowledge)及び認識(awareness)が下げられることがあり、それはシステム10を熟練度の比較的低い顧客/ユーザにも操作容易にする。
【0060】
システム10の主な利点は、測定メッシュ/パターンの部分的な精緻化を可能にする、ユーザへのフィードバックが提供される場合があることである。他方、実際に一定の毛髪特性値が検出される毛髪部分16の領域でサンプリング/測定プロセスを精緻化する必要はない。むしろ、相当に大きな変化率(rate of change)が検出される毛髪部分16の領域において、精緻化された測定値が場合に応じて提案されてよい。
【0061】
図2は、図1に関連して上で既に説明した実施形態に概ね対応する、ヘアカット記録システム10の例示的な実施形態を例示している。更に、図3は、図1及び図2に例示するようなレイアウト(配列)にも対応する一般的なレイアウトを有するヘアカット記録システム10の更に他の例示的な実施携帯を例示している。
【0062】
図2において、システム10は、測定ユニット22を実装する手持ち式デバイス20を含む。更に、毛髪特性値、特に毛髪長値を検出するために、被術者12の皮膚又は頭皮に接触するように配置される係合区画58が設けられる。更に、デバイス20は、位置表示区画60を含む。位置表示区画60は、デバイス20の位置を検出して、相応してデバイス20をトラッキング(追跡)することを可能にする。被術者12の現在のヘアカットを記録するために、デバイス20は頭又は頭皮に沿って移動させられる。この移動の間に、サンプルが生成される。サンプルは、デバイス20の現在位置と、それに割り当てられた毛髪特性値、特に毛髪長とを含む。図2において、位置基準32は、被術者12によって着用される着用可能な基準である。例えば、国際公開第2013/163999A1号に開示されているような耳装着可能な基準が利用されてよい。結果的に、位置基準32に対するデバイス20の相対的な位置を検出されて、トラッキングされてよい。故に、被術者12の頭でのデバイス20の現在位置を処理することができる。デバイス20は、制御インターフェース62を更に含み、データ及び情報は制御インターフェースを通じて交換されてよい。
【0063】
システムの1つの実施形態において、デバイス20、位置検出ユニット30及びコンピューティングデバイス40は、好ましくは無線方式で、互いに通信するように構成される。結果的に、図2に示すコンピューティングデバイス40も、制御インターフェース72を含む。よって、加えて、位置基準32又は位置検出ユニット30も、対応する制御インターフェースを備えてよい(図2には示していない)。故に、コンピューティングデバイス40の記録制御ユニット70には、デバイス20の実際の位置に関する値のペアと対応する毛髪特性値とを含むサンプルが供給されることがある。デバイス20を被術者の頭に沿って移動させることによって、ヘアカットの仮想データ表現が取得されることがある。換言すれば、頭14の形状及び被術者12の毛髪の対応する外観を表すデータメッシュ又はデータセットが生成されることがある。
【0064】
ヘアカット記録プロセスを改良するために、制御ループ区画74がコンピューティングデバイス40に設けられている。制御ループ区画74は、品質パラメータを処理し且つ評価して、品質パラメータの有意な偏差が検出される場合に強制的なユーザフィードバックを引き出すように構成される。もしこれが当て嵌まるならば、ユーザは以前の動きを繰り返すように運亜がされてよく、且つ/或いは、精緻化された記録が望まれる特定の領域にデバイス20を移動させるように促されてよい。より一般的な意味において、品質パラメータは状態パラメータと呼ばれてよい。更に、品質パラメータは、精度パラメータとして構成されてよい。
【0065】
更に、毛髪プロファイル割当区画76がコンピューティングデバイス40に設けられている。現在のヘアカットの形状及び外観の全体的なデータ表現を最終的に生成するために、毛髪プロファイル割当区画76を使用して、検出される毛髪特性値をマッピングする。
【0066】
一般的に、デバイス20は、任意に及び/又は目標とされる仕方で移動させられてよい。例えば、最初の記録段階は、被術者12の頭皮に沿った及び被術者12の頭皮に対するデバイス20を任意の移動を含んでよい。システム10は、自己学習方式に構成されてよく、どの毛髪領域が依然として測定され且つサンプリングされる必要があるかを表示してよい。故に、未だ測定されていない領域をカバーするようにユーザを促す完了段階が続いてよい。更に、品質(精度)目標を満たすために、特定の領域を繰り返し測定し且つサンプリングする精密化段階が続いてよい。
【0067】
図3の構成は、位置検出のために遠隔視覚センサ80,82が設けられている点において図2の構成と基本的に異なる。例えば、被術者12の頭に対するデバイス20の位置の三次元トラッキングを可能にするために、被術者12及びデバイス20を異なる位置からモニタリングするよう、ビデオカメラが提供されてよい。要求される位置(例えば、デバイス20と頭皮の接触)を相応して検出し且つトラッキングするために、位置センサ80,82によって取得される画像が処理されてよい。また、このようにして、デバイス20の現在位置を検出し、対応する毛髪特性値に割り当ててよい。言うまでもなく、位置検出性能を更に向上させるために、図3に例示するような遠隔位置センサと図2に例示するような着用可能な位置基準とは組み合わせられてよい。
【0068】
図4は、被術者12の頭の表現を例示的に例示している。更に、図4では座標系が点線によって示されている。X,Y,Zによって示す矢印は、それぞれの方向を示している。図4の座標系の(仮想)原点は、例えば、人12の頭の中心にある。結果的に、デバイス20の現在位置がトラッキングされるときに、頭形状及び毛髪長値を含む毛髪マップ90が取得されてよく、同時に、毛髪特性値が取得されてよい。現在検出されている毛髪特性値を頭の現在位置に割り当てるためには、位置基準32に対する位置表示区画60の相対的な位置が必要とされる。
【0069】
図5は、線98及びノード100を含む、三次元メッシュ96を例示している。例えば、緯度線及び経度線があってよい。他の構造/パターンも想定されてよい。それぞれの線98が互いに交差するとき、ノード100が定められることがある。ユーザがメッシュ96の所定の構成に正確に従うことは必ずしも必要とされない。むしろ、デバイス20の現在の移動経路が線98を定めてよく、最終的に現在のメッシュを形成してよい。更に、位置値と毛髪特性値とを含む特性値がノード100で正確に記録されることは必ずしも必要とされない。むしろ、(ノード間の)更なるデータ地点(data points)が使用されてよい。デバイス20の移動経路が互いに交差してノード100を定める場合、測定の有効性を評価するために、それぞれの値のペアが互いに比較されてよい。メッシュ96は、スポット測定によって、例えば、デバイス20で皮膚又は頭皮14を反復的に叩くことによって定められてもよい。
【0070】
図6は、被術者の頭皮の展開(平坦)表現を例示している。図5の例示と同様に、主として例示的な目的のために、メッシュ104が設けられている。メッシュ104によって覆われる領域内で、所望の毛髪プロパティマップを最終的に定めるために、値のペアが記録される。一例として、参照番号106は、デバイス20の例示的な移動経路を示している。
【0071】
しかしながら、スポット測定も想定され、その場合、ユーザはデバイス20を前後に移動させ、デバイス20が特定の測定スポットで皮膚に断続的に接近又は接触し、2つの測定スポット間の移転は、デバイス20の中間的な持上げを含んでよい。また、スポット測定に基づいて、毛髪特性プロファイルを最終的に導き出すために、複数のサンプルが取得されてよい。スポット測定は、頭皮16から離れる方向にデバイス20を移動させるときに毛髪の長さを検出することができるように、引っ張り動作を含んでよい。
【0072】
この脈絡において、毛髪プロパティチャートを例示する図7を更に参照する。図7のチャートは、図6に例示する経路106を表す横座標軸を含む。図7の縦座標軸108は、経路106の特定の地点で取得された毛髪特性値を例示している。代表的なサンプルが、参照番号110,112,114によって図7に示されている。経路106の中央部には、比較的一定な値が記録されている。サンプル112を参照のこと。経路106の側部の範囲にも、比較的一定な値が記録されている。サンプル110,114を参照するのこと。しかしながら、移行ゾーン又は中間ゾーン116,118には、巨大な変化率が存在する。
【0073】
最初の測定が2つのサンプル(図7の実線)間の比較的大きな距離に基づく場合、中間ゾーン116,118で記録プロセスを繰り返すようにユーザを促すために、ユーザフィードバックが提供されてよい。このようにして、移行領域での測定を精緻化する中間的なサンプル120が記録されてよい。粗い測定に基づいて、補完的な精細な測定が行われてよい。結果的に、サンプルレート/サンプル密度と記録時間との間の有益なトレードオフが得られることがある。言うまでもなく、十分な適用範囲のないそれぞれの領域を示すことによって粗い測定さえも達成されない場合には、ユーザフィードバックが提供されてもよい。故に、ユーザはヘアカット記録プロセスを大幅に単純化するシステム10によって支持され且つ案内されることがある。
【0074】
言うまでもなく、測定値の精緻化は、全く同じ経路106に沿うデバイス20の移動の正確な繰返しを必ずしも必要としない。また、データ精緻化/豊富化(enrichment)及び品質改良のために隣接する経路が使用されてよい。
【0075】
本開示に従ったヘアカット記録方法の例示的な実施形態を例示する図8を更に参照する。
【0076】
最初のステップS10において、毛髪特性測定ユニット、具体的には毛髪長測定ユニットが提供される。後続のステップS12において、測定ユニットは、関心の被術者の毛髪部分、特に頭部に隣接して配置される。更に、ステップS12は、被術者の毛髪を通じる測定ユニットの移動を含む。
【0077】
測定ユニットの実際の位置を検出することを含む更なるステップS14が続いてよい。更に、関心の毛髪特性値、具体的には毛髪長値を検出することを含むステップS16が提供されてよい。言うまでもなく、ステップS14,S16は、基本的には同期式に行われてよい。例えば、それぞれの値のペアを記録する特定のサンプリングレートが適用されてよい。
【0078】
記録手順の全適用範囲を評価する更なるステップS18が続いてよい。更なる測定が必要とされることがステップS18において決定される場合には、ステップS20が続く。ステップS20では、ステップS12,S14,S16を繰り返すようにユーザを促すユーザフィードバックを提供されてよい。ステップS18は、一方では、全体的な適用範囲に対処してよい。ステップS18は、他方では、状態パラメータ、具体的には品質パラメータに対処してよい。品質パラメータは、例えば、隣接する測定スポット/サンプルの毛髪特性値の変化率を含んでよい。急な移行及び/又は予期されない/予測されない値が検出される場合には、移行をより詳細に記録するために、更なる(中間)測定を行うことが有益なことがある。結果的に、ステップS20において、適切な指示ユーザフィードバックが提供されてよい。
【0079】
十分な情報及びデータが得られたことがステップS18において評価されるとき、方法はステップS22で終了してよい。ステップS22では、関心の被術者の毛髪特性プロファイル、例えば、毛髪長プロファイルが提供される。ステップS22で提供されるプロファイルに基づいて、被術者の現在のヘアカットが後に再現されてよい。
【0080】
図9は、ヘアカット記録方法の更なる例示的な実施形態を例示している。図9に関連して説明した手順は、図8に示すような方法の補完と考えられてよい。
【0081】
図9では、毛髪特性プロファイルを記録するステップS50が設けられている。これは、例えば、粗い測定(低いサンプリングレート/サンプリング密度)に従った第1の粗い設定でヘアカット記録システムを作動させることを含む。結果的に、粗いメッシュ/データセットのパターンが得られることがある。品質パラメータを評価し或いは導き出すために毛髪特性プロファイルを評価する評価ステップS52が続いてよい。例えば、品質パラメータは、変化率の値及び/又は隣接する測定スポット間の補間値からの検出値の偏差を含んでよい。いずれの場合においても、精緻化された測定を必要とする移行が提供されることが予想されてよい。
【0082】
これに関連して、ステップS54では、品質パラメータが明確な(defined)限界/閾値内/下にあるか或いは限界を超えているか否かを評価する。後者の場合には、特定の矯正行為(corrective action)を実行するようにユーザを促すためのユーザフィードバックを含むステップS56に進む。矯正行為は、例えば、ヘアカット記録システムの手持ち式デバイスを、巨大な移行が予想される所望の場所に繰り返し移動することによる、精緻化された測定を含んでよい。矯正行為は、手持ち式デバイスの減速を含んでもよい。
【0083】
次に、再び、毛髪特性プロファイルを更新するステップS50に進んでよい。結果的に、新しい評価が行われることがある。品質パラメータが明確な限度内にあることがステップS54において評価されるとき、毛髪特性プロファイルの生成がステップS56において達成されてよい。
【0084】
本開示に従った方法の例示的な実施形態を示す図11を更に参照する。より具体的には、図10に例示する手順は、関心の毛髪特性値、特に毛髪長値の検出に関する。結果的に、図10のステップS100乃至S112は、本明細書で議論する全体的な方法の部分を形成することがある。毛髪長測定用コームを実装する測定ユニットを参照してステップS100乃至S112を以下に議論し且つ説明する。既に上で示したように、毛髪特性測定、具体的には毛髪長測定に対する更なるアプローチが想定されてよい。
【0085】
ステップS100は、手持ち式デバイスの測定ユニットのコームアタッチメント内で髪が検出されない或いは存在しない状態に関する。後続のステップS102において、手持ち式デバイスは、関心の被術者の毛髪部分、特に関心の被術者の頭に近づくように移動させられる。ステップS102は、それぞれの位置及び/又は接近するモニタリング及び検出を含んでよい。
【0086】
最終的に、ステップS104において、被術者の皮膚との接触が検出されてよい。特に毛髪に関しては、頭皮接触が検出されてよい。毛髪長測定について、被術者の皮膚又は頭皮は基準又は基礎としての機能を果たす。ステップS104は、更なる記録ステップを引き起こす或いは開始することがある。例えば、関心の被術者の頭皮又は頭での手持ち式デバイスの現在位置の記録を取得するステップS106が続いてよい。更に、アタッチメントコームにおける毛髪有りと毛髪無しとの間の変化(hair-to-no-hair change)を検出することを含むステップS108が存在してよい。この目的を達成するために、例えば、光学的/視覚的感知が利用されてよい。それぞれのコントラスト(毛髪有りと毛髪無しとの間の変化)が検出されると、対応するステップS110に含められる長さ測定が実行されることができる。結果的に、毛髪特性値、特に毛髪長値が検出されることがある。後続のステップS112では、それぞれのサンプルが登録されてよい。サンプルは、位置記録及び毛髪特性値記録を含んでよい。破線の矢印によって示すように、ステップS100乃至S110は、基本的に関心の被術者の頭髪全体をカバーする毛髪特性又は毛髪長プロファイルを定めるよう繰り返し実行されてよい。
【0087】
以下に、図11を参照して、例示的な測定及び精緻化アプローチをより詳細に記載する。
【0088】
要約すると、本方法は、最初の開始地点測定に関するステップS150を含む。更なるステップS152は、現在の偏差に起因する、精緻化に実際に相応しい領域の決定を含む。更に、ユーザフィードバック、具体的には、精緻化されるべきサブ領域(sub-area)内の更なる地点を測定することをユーザに提案することを含む、ステップS154が続いてよい。後続のステップS156において、ユーザは精緻化されるべき領域内の少なくとも更なる地点の実際の測定を行ってよい。更なる処理のための新しい測定(サブ)領域を定めることを含む下流ステップS158が続いてよい。例えば、現在測定されている地点は、基本的に、ある領域を多数の(例えば3つの)サブ領域への細分(subdivision)を可能にしてよい。更なるステップS160では、新しい測定(サブ)領域の評価が行われてよく、それは再び偏差の決定を含んでよい。検出される偏差が依然として大きすぎるならば、ステップS154が続いてよく、例えば、精緻化ループが構築される。結果的に、測定値の収集、ひいては、毛髪長プロファイル記録手順の達成を含む、ステップS162が続いてよい。
【0089】
図11に従った方法の例示的な実施形態を以下により詳細に記載する。例示的な目的のために、図12図13及び図14を更に参照する。スマートヘアカッティング器具について、器具が達成することがある分解能(resolution)には、即ち、器具が頭上のどの距離で長さの違いを付けるかには、実用上の限界がある。スタイルを定めるためにヘアカットの長さがどのような大きさで著しく異なるのかについても、ヘアカット分解能に実用上の限界がある。例えば、実用的な値として~10mmの空間分解能(spatial resolution)を有する長さ情報は、スマートヘアカッティング器具の目的のためのヘアカットを定める。
【0090】
完全な毛髪長プロファイルを記録するために、10mmの解像度で頭を測定することは回避されるべきである。何故ならば、それは余りにも骨が折れるからである。代わりに、頭上のあらゆる場所について有効な長さを与えるために値の補間を用いて限定的な数の地点を測定することが提案されている。故に、限定的な数の測定スポット(地点)に基づいて、全体的なヘアカットが記述されてよい。
【0091】
例えば、最初の測定は、5つの地点(例えば、正面、背面、左側、右側、及び頂部)を含んでよい。最初の5点を測定した後に、追加的な測定の必要を決定することができる。5つの測定された開始地点の長さの変動が僅か(例えば、12%未満)である場合、それはかなり均一なカットであると推定されてよい。あらゆる追加的な測定はユーザにとっては義務的でなく、任意的であると考えられてよい。
【0092】
しかしながら、完全に均一なヘアカットは余り一般的でない。しかしながら、異なるヘアスタイルの現実を考えるならば、不確実性を想定して、あらゆる開始領域について追加的な測定を促すことがより現実的である。
【0093】
一例として、モデル領域が、3つの地点のセットの間の線によって境界付けられた切頭球の表面領域として構成されてよい。頭皮を描く他のモデルも想定されてよい。明確な開始地点に基づいて、検出される測定された長さ、推定される長さ、及び偏差の計算によって誘導されて、必要とされる場合にだけ、測定再帰(measuring recursion)が詳細に実行される。故に、精度と測定時間/努力との間の大きなトレードオフが達成されることがある。
【0094】
頭上の場所は、例えば、球面の極座標として記録されてよい。例示的な毛髪長プロファイルの目的のために、実際の空間座標は必要とされない。典型的に(人間の)頭が特定の標準的な大きさを有すると仮定すると、緯度(φ)及び経度(λ)についての角度読取りは記録及び適用のために十分であり、半径値rは無視されることができる。一例として、典型的な~80mmの半径を想定すると、これは、~10mmの分解能について、~7°(度)の角格子分解能(angular grid resolution)が望ましいことを意味する。この脈絡において、球面位置が緯度(φ)、経度(λ)及び半径(r)によって記述される概略的な基準頭/頭皮モデルを例示する、図12を参照する。
【0095】
毛髪長プロファイルの記録のための一般的なアプローチは、地点限定領域について不確実性が残っているか否かを評価することである。不確実性(明確な閾値を超える偏差)があるならば、ユーザはその領域における追加的な測定を促される。次に、(複数の)細分化された領域(sub-divided area(s))について或いは約7度の最小の関連する細分に達するまで、手順は繰り返される。故に、十分な精緻化が達成されることがある。与えられた(既に処理された)境界地点は、図13中のP,P,Pによって示される。
【0096】
(球面のモデル表面の)3つの境界地点の緯度及び経度の値の平均を計算することによって、例示的な実施形態に従って、プロンプト座標(prompted coordinates)(以下、プロンプト地点(prompted points)(P)と呼ぶ)が決定されてよい。更に、ユーザが測定値を取る実際の位置(P)は、正確な(理想的な)プロンプト地点(P)とは異なることができ、φおよびλ(緯度偏差)及び経度偏差)を伴うこの場所Pは記録され、関連する長さの値も記録される。言うまでもなく、開始地点(上記のような5つの地点)もそれらの理想的な場所になく、ユーザが実際に測定を行った近似座標にあるにすぎない。図13は、地点P,P,Pによって定められる球面セグメントの中央領域に配置されたプロンプト/提案地点Pを示している。図14は、プロンプト地点Pの近傍にある選択的な地点Pを示している。
【0097】
新しいデータ地点Pについて、(上記アプローチ内の)最も近い3つの既に測定された地点が計算される。あらゆる記録された地点PについてPまでの球面上の(縦方向又は角)距離が計算される。これは、例えば、(それらの経度及び緯度からの球面上の2つの地点の間の大円距離を与える)正矢関数を使用して或いは類似の線形距離によって行われることができる。しかしながら、主な目的はソートすることであるので、実際の距離値は正しくないとしても、球面距離の代わりの線形距離は基本的に等しい結果をもたらすことがある。よって、全てのデータ地点PM及びPCについて、距離は、x=(λ-λ)*cos((φ+φ)/2)及びy=(φ-φ)で距離されてよく、x+yの平方根のような距離をもたらす。
【0098】
計算された距離のリストを新しい地点PMにソートすることは、最も近い3つの地点をもたらす。一例として、最も近い3つのデータ地点は、次に、新しいP測定についての包囲三角形(enclosing triangle)として取られる。PMについての予測される長さの値を決定するためのこれらの隅部の3つの長さ値の補間は、幾つかの方法において行われることができる。例えば、二次補間(quadratic interpolation)又は双一次補間(bi-linear interpolation)が行われることができる。例示的な単純で実用的な選択肢は、長さについて単純な平均値を行うことである。言うまでもなく、関心の領域は、3つよりも多くのデータ地点によって定められてよい。
【0099】
測定された長さが予測値から所定の閾値(例えば12%)よりも多く異なり、距離が分解能閾値(例えば7度)よりも大きいならば、追加的な測定値が提案される。精緻化のための全ての細分化された領域(例えば、3つの三角形領域)のために、或いは、選択的に(複数の)最高偏差領域のみにおいて、追加的な測定が提案されることができる。
【0100】
故に、一対のより早期の測定地点(例えばP及びP)に対するPのデルタ、例えば、平均値又は他の計算値に対するPの偏差によって誘導されて、更なる精緻化が[P,P,P]によって定められる領域において必要か否かが決定されてよい。この精緻化は、任意の他のサブ領域について繰り返されてよい。セット[P,P,P]についての結果として得られる新しいプロンプト地点P図14に示されている。
【0101】
測定された長さが定められた差閾値内であるか或いは隣接地点までの距離が上で説明した分解能閾値よりも少ないならば、その領域についての更なる精緻化は提案されない。その場合、[P,P,P]によって定められる領域はスキャンされたものとみなされ、そのように記録される。その場合、地点Pは完了と印される。その定義中に「完了」地点(‘complete’ point)を含むあらゆる領域は、更なるプロンプト(prompting)を必要としない。
【0102】
一例として、5つよりも少ない開始データ地点で開始することが可能である。上記は例示的な実施形態として理解されるべきであり、本開示の範囲を限定するものと解釈されてならないことが更に強調される。
【0103】
本発明は図面及び前述の記述中に詳細に例示され且つ記載されたが、そのような例示及び記述は、例示的又は例証的であると考えられるべきであり、制限的であると考えられてならない。本発明は開示の実施形態に限定されない。請求する発明を実施する当業者は、図面、本開示、及び添付の請求項の研究から、開示の実施形態に対する他の変更を理解し且つ行うことができる。
【0104】
請求項において、「含む」(“comprising”)という用語は、他の要素又はステップを排除せず、単数形の表現は、複数を排除しない。単一の要素又は他のユニットは、請求項中に列挙される幾つかの品目の機能を果たすことがある。特定の手段が相互に異なる従属項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用し得ないことを示さない。
【0105】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体に格納/分散されてよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介するような他の形態において分配されてもよい。
【0106】
請求項中の如何なる参照符号も、請求項の範囲を限定するものとして解釈されてならない。
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