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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】廃水容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/08 20060101AFI20220420BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B65D90/08 Z
B29C49/04
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019502751
(86)(22)【出願日】2017-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2017068106
(87)【国際公開番号】W WO2018015377
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】102016113442.2
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517385520
【氏名又は名称】ボド リヒター
【氏名又は名称原語表記】RICHTER, Bodo
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター リヒター
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05361930(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0124640(US,A1)
【文献】米国特許第08740005(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037544(US,A1)
【文献】特開平08-048401(JP,A)
【文献】特開2014-169105(JP,A)
【文献】特表2008-517837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/08
B29C 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の容器(10)であって、前記容器(10)は、廃水容器であり、
上側容器部(14)及び下側容器部(12)と、これら2つの容器部(12,14)を互いに液密に接続する少なくとも1つのクランプ装置(17)とを有し、
第1脚部(48)及び第2脚部(50)を有する、クランプブラケット(46)を備え、
前記一方の容器部(12)の容器壁から周方向のL字突出部(40)が、前記他方の容器部(14)における対応する周方向のU字部(42)内に突入し、前記クランプブラケット(46)の前記第1脚部(48)の端部が、前記一方の容器部(12)におけるL字部(40)の下側を覆い、前記クランプブラケット(46)の前記第2脚部(50)の端部が、前記他方の容器部(14)におけるU字部(42)を覆い、前記容器は、2000~10000リットルの容積を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器(10)であって、U字断面を有するシール(44)、トロイダルシール(70)又はOリングシール(72)が、前記L字部(40)及び前記U字部(42)の間に配置されていることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器(10)であって、前記クランプブラケット(46)は、U字形状であることを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の容器(10)であって、前記第2脚部(50)及び前記U字部(42)の間で、クランプ要素(54)が前記U字部(42)に対して可動に配置され、該クランプ要素(54)がくさび状のクランプ面(58)を有し、該クランプ面が、前記第2脚部(50)上に形成されているくさび状のクランプ面(60)と協働してクランプ操作を行うことを特徴とする容器。
【請求項5】
請求項1~3の何れか一項に記載の容器(10)であって、前記L字部(40)の下側(62)が、くさび形状のクランプ面(66)を有する少なくとも1つの突部(64)を備え、該クランプ面は、クランプ操作に際して、前記クランプブラケット(46)における第1脚部(48)の内側に形成されているくさび形状のクランプ面(68)と協働することを特徴とする容器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の容器(10)であって、プラスチック又は金属からなる補強材料(56)が、前記クランプ装置(17)及び前記U字部(42)の間に配置されていることを特徴とする容器。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の容器(10)であって、ポリエチレンが、プラスチック材料として使用されることを特徴とする容器。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の容器(10)であって、両容器部(12、14)が、ブロー成形、回転成形又は熱成形で製造されていることを特徴とする容器。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の容器(10)であって、前記2つの容器部が、下側容器(12)及び上側容器(14)を形成し、前記下側容器(12)が、円錐状に延在する長手方向壁(32)と、円錐状に延在する側壁(34)とを有することを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項9に記載の容器(10)であって、前記下側容器における2つの側壁(34)のテーパーが、前記下側容器における2つの長手方向壁(32)のテーパーよりも大きいことを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の容器(10)であって、前記L字部(40)が、前記下側容器(12)上に形成され、かつ、前記容器(10)の使用時に該容器(10)内における液位よりも上方に位置することを特徴とする容器。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の容器(10)であって、当該容器(10)に廃水を供給する供給路(22)が、前記上側容器部(14)内に配置されていることを特徴とする容器。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の容器(10)であって、該容器(10)内に存在する液体のためのオーバーフロー(20)が、前記L字部(40)の下方に配置されていることを特徴とする容器。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の容器(10)であって、前記上側容器部(14)が、前記下側容器部(12)と共にブロー成形により単一操作で製造されていることを特徴とする容器。
【請求項15】
請求項14に記載の容器(10)であって、ブロー成形プロセスにより製造される容器(10)のピンチオフシーム(30)が、前記下側容器部(12)上で2つの狭幅側(34)に配置されていることを特徴とする容器。
【請求項16】
請求項15に記載の容器(10)であって、前記ピンチオフシーム(30)が、前記下側容器部(12)におけるL字部(40)の下方で終止することを特徴とする容器。
【請求項17】
容積が2000~10000リットルのプラスチック製の、請求項1~16の何れか1項に記載の容器(10)をブロー成形により製造する方法であって、
前記容器(10)は、廃水容器であり、
管状のプリフォーム(84)を押出し、該プリフォームを、少なくとも二段階のブロー成形(80、82)により上側容器部(14)及び下側容器部(12)に形成し、
一方の容器部(12)における容器壁上に周方向のL字突出部(40)を形成し、対応するU字部(42)を他方の容器部(14)上に形成し、
ブロー成形後に両容器部(12,14)をブロー金型(80,82)から取り出し、前記2つの容器部(12,14)を組み立てて前記容器を形成し、
前記一方の容器部(12)のL字部(40)を、前記他方の容器部(14)のU字部(42)と係合させる方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法(10)であって、U字断面を有するシール(44)、トロイダルシール(70)又はOリングシール(72)が、前記L字部(40)及び前記U字部(42)の間に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法(10)であって、複数のクランプ装置(17)が、前記2つの容器部(12,14)を互いに液密に接続することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容積が2000リットル~10000リットルのプラスチック製容器、特に廃水容器に関する。このような容器は、上側容器部及び下側容器部とで構成されており、2つの容器部の間の分離線に沿って、これら容器部を複数のクランプ装置によって互いに液密に接続する。更に、本発明は、そのような容器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、類似する構成を有するも、より小容量のものが従来技術から既知である。この容器は、プラスチック射出成形プロセスにおいて2つの容器部から製造される。この製造プロセスでは、結合フランジが各容器部上に一体的に形成される。この場合、射出成形プロセスにより、補強リブ、異なる壁厚、心出しピン等を容器部上に一回の製造ステップで形成することが可能となる。その欠点は、射出成形機を使用する製造により、容器部の寸法が顕著に小容量用として限定されることである。従って、大きな容積範囲のためには、2つの同じような容器部を製造し、これらは接合技術を使用して結合される。この場合、2つの容器部が液密に接続される、容器フランジは、常に液体エリアにあり、そのために、液密結合技術に要する費用が比較的高くなる。更に、射出成形機及び射出成形工具のためのコストが高く、当該コストは、製造コストに明確に反映され、これは、特に、製造すべき各容器について二段階の加工ステップが必要とされるためである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の課題は、プラスチック製の容器、特に、廃水容器及びその製造プロセスを提供することであり、容器を容易に経済的に高い製造品質で製造可能とすると共に、関連する製造プロセスを非常に経済的なものとすることである。この課題は、プラスチック製、特にポリエチレン製の容器についての請求項1の特徴により解決される。また、有利な実施形態は、従属請求項に記載されている通りである。
【0004】
本発明に係るプラスチック製容器は、2000リットル~10000リットルの容積を有し、上側容器部及び下側容器部を備えている。少なくとも1つ、典型的には複数のクランプ装置が、2つの容器部を互いに液密に接続し、一方の容器部の容器壁から周方向のL字突出部が、他方の容器部における対応する周方向のU字部内に突入する。
【0005】
一方の容器部におけるL字部と、他方の容器部におけるU字部は、プラスチック材料を成形する際に一体的に形成され、液体シールのための実体的な接続要素を構成する。少なくとも1つのクランプ装置、又は複数のクランプ装置は、2つの容器部を固定することにより、安定で高品質の液体シールを形成する。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、U字断面を有するシール、トロイダルシール又はOリングシールが、L字部及びU字部の間に配置される。この場合、それぞれのクランプ装置でクランプする際に、信頼性の高い液体シールが形成される。
【0007】
クランプ装置は、第1脚部及び第2脚部を有する、好適にはU字形状のクランプブラケットを備え、第1脚部の端部が、前記一方の容器部におけるL字部の下側を覆い、第2脚部の端部が、前記他方の容器部におけるU字部を覆う構成とされる。この場合、クランプ装置によって2つの容器部が、それぞれのフランジに沿っての整列態様で互いに固定される。
【0008】
U字部に対して可動のクランプ要素、好適にはアングル部が第2脚部及びU字部の間に配置され、クランプ要素がくさび状のクランプ面を有し、該クランプ面が、第2脚部上に形成されているくさび状のクランプ面と協働してクランプ操作を行う構成とするのが有利である。この場合、クランプ要素又はアングル部を移動させれば、2つの容器部を互いに液密に接続可能とするクランプ力を発生させることができる。
【0009】
他の代替的な実施形態において、L字部の下側が、くさび形状のクランプ面を有する少なくとも1つの突部、好適にはL字部に沿って所定間隔で配置される複数の突部を備え、各クランプ面は、クランプ操作に際して、クランプブラケットにおける第1脚部の内側に形成されているくさび形状のクランプ面と協働する。クランプ装置を周方向に移動させれば、高品質の液体シールを達成するクランプ力が発生する。
【0010】
両容器部は、ブロー成形、回転成形又は熱成形(プラスチック深絞り)で製造するのが有利である。この場合、両容器部は大容量の単一操作で同時に製造することができる。
【0011】
本発明の更なる態様によれば、プラスチック製容器、特に廃水容器を製造するためのブロー成型方法が提供される。この製造プロセスは、上側容器部及び下側容器部を単一のブロー成形金型内で同時に製造するものであり、非常に経済的であり、かつ、大容積の容器の製造を可能とするものである。この製造プロセスにより達成される技術的利点は、プラスチック製容器について上述した利点に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1図1は、廃水容器の正面図である。
図2図2は、図1の廃水容器の側面図である。
図3図3は、図1の容器の頂面図である。
図4図4は、下側容器の部分を上側容器の部分に接続するためのクランプ装置の断面図である。
図5図5は、クランプ装置の代替的な実施形態を示す図である。
図6図6は、アングル部と協働するクランプ装置の正面図である。
図7図7は、突部を使用して下側容器及び上側容器を互いにクランプするための代替的な実施形態を示す図である。
図8図8は、トロイダルシールを使用するU字部及びL字部のための代替的な実施形態を示す図である。
図9図9は、シールとしてOリングを使用する代替的な実施形態を示す図である。
図10図10は、矩形Oリングを使用する代替的な実施形態を示す図である。
図11図11A~11Dは、ブロー成形を説明するための略線図である。
図12図12は、U字部、L字部及び成形廃材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、容器10の正面図である。容器10は、廃水容器として使用され、例えば、使用状態で見えないように地中に埋設することができる。容器10は、下側容器12及び上側容器14で構成され、これらは、複数のクランプ装置17により、フランジエリア16において互いに水密に接続される。容器10は、プラスチック製の、好適にはポリエチレン製の容器10の機械的安定性を改善するための補強ビード18を備える。容器10の使用状態における液位は、フランジ16の下方に位置する。フランジ16の下方で、オーバーフロー要素20が下側容器12に配置されている。フランジ16の上方では、供給要素22が上側容器14に配置されている。更に、上側容器14内には、上側容器14内の開口部を閉鎖するための閉鎖要素24が設けられている。容器10は、対称線26に関して対称的に設計されている。
【0014】
図2は、図1の容器の側面図である。以下、図中において、同一の構成要素は同一の参照符号をもって表されている。容器10は、好適にはブロー成形により製造され、対称線28に沿って、ピンチオフシーム30が下側容器12の狭幅側に沿って延在している。
【0015】
図3は、図1及び2の容器10の頂面図である。下側容器12は、円錐状に延在する長手方向壁32と、円錐状に延在する側壁34とを備える。
【0016】
図4は、下側容器12の部分を上側容器14の部分に接続するクランプ装置17の断面図である。下側容器12の容器壁は、周方向の突出L字部40において終了し、上側容器14の容器壁は、周方向のU字部42において終了する。L字部40及びU字部42の間には、U字形状シール44が配置される。クランプ装置17は、U字形状のクランプブラケット46を備える。クランプブラケットは、第1脚部48を有し、第1脚部の端部はL字部40の端部と下側において係合する。クランプブラケット46の第2脚部50は、上側容器14のU字部42上に係合する。脚部50の端部には、ノーズリブ52が形成されている。このノーズリブは、U字部42及びクランプブラケット46の間に配置されたアングル部54上に係合し、このアングル部はクランプ要素として機能する。アングル部54は、その内面において、U字部42の底部及びその一方の脚部に当接する。
【0017】
図5は、代替的な実施形態を示す。この実施形態において、クランプブラケット46は、第1脚部48が広く開いてL字部40の下側を支持する点で、U字からは隔たっている。U字部42は、プラスチック又は金属製の補強部56で覆われており、従って、アングル部54の補助下でクランプを行う際に機械的安定性を高めている。
【0018】
図6は、クランプ装置17の正面図であり、図4と相まってアングル部54を使用するクランプ操作を示す。アングル部54はくさび形状のクランプ面58を有し、このクランプ面は、クランプ操作に際してアングル部54がL方向に変位したときに、脚部50上に形成されているくさび形状のクランプ面60と協働する。アングル部54の下側は、U字部42の基部に対して押圧される。
【0019】
図7は、下側容器12及び上側容器14を互いにクランプするための代替的な実施形態を示す。図7において、断面図が左側に示され、クランプ装置17の正面図が右側に示されている。L字部40の下側62は、所定の間隔で、くさび形状のクランプ面66を有する突部64を備えている。これらのクランプ面66は、クランプブラケット46における脚部48の下側に形成されているくさび形状のクランプ面68と協働する。クランプ操作のために、クランプブラケット46を長手方向Lに移動させると、クランプ面66、68の傾斜ランプによってクランプが行われる。円錐状の突部64が所定間隔で配置され、その間隔はそれぞれのクランプ装置17の長さよりも大きい。また、それぞれの突部64の長さも、クランプ装置17の長さよりも大きい。
【0020】
図8~10は、U字部42、L字部40、及びこれら両者間に配置されたシールの代替的な実施形態を示す。図8は、矩形断面を有するトロイダルシールを示す。L字部40は、その端部においてU字部42内に挿入される。図9において、U字部42は、断面が木槌形状の開口部を有し、その開口部内にはL字部の端部が挿入される。L字部40及びU字部42の間には、シールとしてOリング72が配置される。図10において、L字部40は、グースネック状断面を有する。L字部40は、グースネック内に突出し、屈折端部をもってU字部42のU字内に突出する。U字部42及びL字部40の間には、矩形断面のトロイダルシール74が配置される。
【0021】
容器10は、プラスチック回転成形、熱成形又はブロー成形により製造することができる。回転成形の場合、粉末状の熱可塑性樹脂を中空金型内で加熱し、中空金型の内面上にプラスチック層を順次に堆積させる。これにより、容積が6000リットルの中空体を製造することができる。
【0022】
プラスチック熱成形(“温感成形”、“深絞り”、“真空深絞り”とも称される。)の場合、プラスチック製の圧延材又はプレート材を熱成形により所望形状に成形する。これにより、上側容器及び下側容器を互いに別個に製造し、これらは、後でクランプ装置を使用することにより、互いに液密に接続する。
【0023】
容器の特に有利な製造プロセスは、プラスチックブロー成形、特に押出しブロー成形である。この場合、押出しにより管状プリフォームを製造し、このプリフォームは、ブロー金型内まで移送し、金型内において内圧及び/又は真空によりブロー金型の内側輪郭に適合させる。これにより、中空体のピンチオフシームが形成されるのが、このプロセスの実体的な特徴である。
【0024】
図11A~11Dは、容器のブロー成形の略線図であり、この場合に下側容器12及び上側容器14は二段階ブロー成形により同時に製造される。図11Aにおいて、左側ブロー金型ハーフ80及び右側ブロー金型ハーフ82は閉型状態で断面表示されている。ブロー金型内に装入されたプリフォーム84は、金型ハーフ80,82間の分離面においてピンチオフシーム86を形成する。ピンチオフシーム86の肉厚W1は壁厚W2よりも大きく、壁厚W2はブロー成形品における通常の壁厚である。
【0025】
図11Bにおいて、プリフォーム84のピンチオフ後、上側スラグ88及び下側スラグ90が容器10上に残され、これらは残留材料として容器10から切り離す。このエリアには厚肉部が残され、これがピンチオフシーム(“ピンチライン”とも称される。)である。図11Cにおいて、容器は、押出方向Eに関して下側のピンチオフシーム86及び上側のピンチオフシーム86と共に側面図で表されている。ピンチオフシーム86の長さは、ピンチオフシーム86が後のフランジエリア16において、すなわち下側容器12及び上側容器14の分離面上で終了するように設定される(図1も参照されたい)。
【0026】
図11Dは、容器の狭幅側における正面図である。同図には、管状断面のプリフォーム84が金型ハーフ80,82内に装入された状態も示されている。この場合、ピンチオフにより、狭い表面上にピンチオフシーム86が形成される。
【0027】
容器10を金型ハーフ80、82内で冷却させた後、金型ハーフ80、82を開放し、押出し成形体を取り出すと共に、フランジ16上の分離線92に沿って個別の下側容器12及び上側容器14に分離する。これらの容器は、後でクランプ装置17により互いに液密状態で接続する。
【0028】
図12は、上側容器14及び下側容器12の間の分離エリアにおける金型ハーフ80の詳細断面図である。ブロー成形により、プリフォーム84のプラスチック材料は金型ハーフ80の内側輪郭に適合し、周方向のU字部42及び周方向のL字部40を形成する。容器部12,14を金型ハーフ80,82から取り出して分離した後、環状のプラスチック材料Kを矢印P1,P2方向に取り除き、破砕してスラグ88,90と同様に成形廃材とし、再使用のために回収する。
【符号の説明】
【0029】
10 容器
12 下側容器
14 上側容器
16 フランジエリア
17 クランプ装置
18 補強ビード
20 オーバーフロー要素
22 供給要素
24 閉鎖要素
26 対称線
28 対称線
30 ピンチオフシーム
32 長手方向壁
34 側壁
40 L字部
42 U字部
44 U字形状シール
46 クランプブラケット
48 第1脚部
50 第2脚部
52 ノーズリブ
54 アングル部
58 くさび形状クランプ面
60 くさび形状クランプ面
62 L字部の下側
64 突部
66 くさび形状クランプ面
68 くさび形状クランプ面
70 トロイダルシール
72 Oリング
74 矩形トロイダルシール
80 左側ブロー金型ハーフ
82 右側ブロー金型ハーフ
84 プリフォーム
86 ピンチオフシーム
W1 ピンチオフシームの肉厚
W2 ブロー成型品の壁厚
88 上側スラグ
90 下側スラグ
E 押出方向
L 長手方向
K 成形廃材のプラスチック材料
P1,P2 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12