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特許7061113非常に深い場所に埋設された構造物のための識別センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】非常に深い場所に埋設された構造物のための識別センサ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20220420BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20220420BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20220420BHJP
   F16L 1/11 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H01Q7/00
G06K19/077 264
G06K19/07 260
F16L1/11
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019516396
(86)(22)【出願日】2017-09-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017074142
(87)【国際公開番号】W WO2018055141
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】16/01392
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519099782
【氏名又は名称】エリオット イノベイティブ ソリューションズ エス.エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レ バスタード,ルドヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ニヴォン,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】パロマレス,マーク
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545046(JP,A)
【文献】特開2004-297681(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136322(WO,A1)
【文献】特表2013-529043(JP,A)
【文献】国際公開第1997/027645(WO,A1)
【文献】特開平11-352243(JP,A)
【文献】特表2013-534096(JP,A)
【文献】特表2013-513176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/00
G06K 19/077
G06K 19/07
F16L 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1および第2のアンテナ素子(203-1、203-2)を構成する電線からなる1組のアンテナセグメントと、RFIDチップと少なくとも1つの同調容量(202x)と、前記アンテナセグメントの電気的結合を可能にする結合手段とを含むコネクタ(281)を備える、埋設を意図した構造物に固定されるように構成されるRFID型無線通信および非接触識別システム用のトランスポンダであって、前記アンテナセグメントは、3mm未満、好ましくは1mm未満の距離で互いに近接して配置され、RFID共振周波数の許容帯域を広げることができる結合容量の出現を可能にする、トランスポンダ。
【請求項2】
アンテナセグメントは、同一平面上に同心円状に配置され、前記コネクタ(281)に電気的に接続され、2つの直接隣接するアンテナセグメントは、3mm未満、好ましくは1mm未満の距離で配置され、RFID共振周波数の許容帯域を広げることができる結合コンデンサの出現を可能にする、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項3】
アンテナセグメントは互いに重なり合う平面を有し、平面内で、2つの直接隣接するアンテナセグメントは3mm未満、好ましくは1mm未満の距離に配置され、RFID共振周波数の許容帯域を広げることができる結合コンデンサの出現を可能にする、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項4】
アンテナセグメントは、RFID共振周波数の許容帯域を拡大することができる結合能力の出現を可能にするねじれ(282)を形成するために配置される、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項5】
50から75pF/mの間の各アンテナセグメント間の線形キャパシタンスを示すために、前記アンテナセグメントは、2つ以上の導体を有する同じ導体ケーブル内で2つ以上にグループ化される、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項6】
3つのアンテナセグメント(701、702、703)を接続するためのコネクタ(281)を含むプリント回路を備える請求項1に記載のトランスポンダであって、前記コネクタ(281)は、第1のアンテナセグメント(701)の第1の端部、第2のアンテナセグメント(702)の第1の端部および第3のアンテナセグメント(703)の第1の端部をそれぞれ接続するための、第1の入力電極(284-1)、第2の入力電極(284-2)および第3の入力電極(284-3)と、前記第1のアンテナセグメント(701)の第2の端部と、前記第2のアンテナセグメント(702)の第2の端部と、前記第3のアンテナセグメント(703)の第2の端部をそれぞれ接続するための、第4の出力電極(285-1)、第5の出力電極(285-2)および第6の出力電極(285-3)を備え、前記プリント回路は、RFIDチップを介して第1の入力電極(284-1)を第6の出力電極(285-3)に接続するための第1の回路(286-3)と、第2の入力電極(284-2)を第4の出力電極(285-1)に接続するための第2の回路(286-1)と、キャパシタンス(202x)を介して第3の入力電極(284-3)を第5の出力電極(285-2)に接続するための第3の回路(286-2)とを備える、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項7】
前記第1、第2、および第3のアンテナセグメント(701、702、703)は、同じ3線ケーブル内に一体化されて、アンテナの前記セグメント間に分布するキャパシタンスの生成が可能になる、請求項6に記載のトランスポンダ。
【請求項8】
6つのアンテナセグメント(801、802、803、804、805、806)の接続を可能にするコネクタ(281)を含むプリント回路を備える請求項1に記載のトランスポンダであって、
前記コネクタ(281)は、第1のアンテナセグメント(801)の第1の端部、第2のアンテナセグメント(802)の第1の端部、第3のアンテナセグメント(803)の第1の端部、第4のアンテナセグメント(804)の第1の端部、第5のアンテナセグメント(805)の第1の端部および第6のアンテナセグメント(806)の第1の端部をそれぞれ接続するための、第1の入力電極(284-1)、第2の入力電極(284-2)、第3の入力電極(284-3)、第4の入力電極(284-4)、第5の入力電極(284-5)および第6の入力電極(284-6)と、前記第1のアンテナセグメント(801)の第2の端部、前記第2のアンテナセグメント(802)の第2の端部、前記第3のアンテナセグメント(803)の第2の端部、前記第4のアンテナセグメント(804)の第2の端部、前記第5のアンテナセグメント(805)の第2の端部および前記第6のアンテナセグメント(806)の第2の端部をそれぞれ接続するための、第7の出力電極(285-1)、第8の出力電極(285-2)、第9の出力電極(285-3)、第10の出力電極(285-4)、第11の出力電極(285-5)および第12の出力電極(285-6)を備え、前記プリント回路は、RFIDチップを介して第1の入力電極(284-1)を第12の出力電極(285-6)に接続するための第1の回路(286-7)、第2の入力電極(284-2)を第7の出力電極(285-1)に接続するための第2の回路(286-1)、コンデンサ(202x)を介して第3の入力電極(284-3)を第8の出力電極(285-2)に接続するための第3の回路(286-2)、第4の入力電極(284-4)を第9の出力電極(285-3)に接続するための第4の回路(286-3)、第5の入力電極(284-5)を第10の出力電極(285-4)に接続するための第5の回路(286-4)、および第6の入力電極(284-6)を第11の出力電極(285-5)に接続するための第6の回路(286-5)を備える、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項9】
前記第1、第2および第3のアンテナセグメント(801、802、803)は、第1の3線式電気ケーブル内に一体化されており、前記第4、第5および第6のアンテナセグメント(804、805、806)は、第2の3線式電気ケーブル内に一体化されている、請求項8に記載のトランスポンダ。
【請求項10】
アイデンティティ及び前記埋設を意図した構造物に対応するデータの伝達手段を備える請求項1から9のいずれか1項に記載のトランスポンダ。
【請求項11】
流体分配ライン(例えば飲料水)またはガス、電気ケーブル保護または光ファイバケーブルの識別を可能にするように構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載のトランスポンダ。
【請求項12】
クリッピング、溶接または締め付けによって管に固定される自律的なハウジング内に配置されるように適合される、請求項1から11のいずれか1項に記載のトランスポンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設構造物専用のRFID識別センサの分野に関し、特に、非常に深い場所に適応するRFID識別センサに関する。
【背景技術】
【0002】
水、ガス、電気、電気通信の分配を可能にするインフラストラクチャとネットワークの増加は、今日明らかになっている。安全性、規制上または立法上の制約により、埋設構造物を正確に配置できるようにする必要がある。これらのエレメントの検出および/または識別に進むことの利益は明らかであり、埋設構造物の検出またはRFIDタイプ識別(無線自動識別)を可能にするために第1の技術は開発されている。
【0003】
2011年6月14日にCOMMISSARIAT L’ENERGIE ATOMATIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVESによって出願された国際特許出願WO2011157941は、埋設作業用の検出器/RFIDトランスポンダRFIDの実現に使用することができる湿式アンテナを目的としている。この出願の教示は、外部環境に対する許容誤差の問題への最初の重要なステップである。
【0004】
この既知のアンテナの動作は図9に示されており、一組のループ(300t、300d)が薄い基板上に印刷されている。上部ループ(300t)は下部ループ(300d)に面している。達成された配置は、互いに面しているループ間の距離が短いために、かなり大きな分布容量(380)を生じさせる。アンテナの同調能力として機能するのはこのキャパシタンスであり、アンテナセグメント(300t、300d)はインダクタを構成する。メビウス・ループおよび分布容量(380)の実装は、外部環境による変動に対する相対的な耐性を可能にする。
【0005】
しかしながら、このプロセスは製造工程に非常にセンシティブなままである。実際、分布容量は、各セグメント(300t)と(300d)の幅、各セグメント(300t)と(300d)間の基板の厚さ、およびそれらの間のセグメントの配置の3つの直接パラメータの関数である。最後に、第4の間接的パラメータは、基板の誘電率の値であり、それは水分含有量および温度に応じて変化し得る。
【0006】
製造コストに関して、実施されるプロセスは、両面の金属トラックで印刷されなければならない基板の必須の存在を伴う。
【0007】
その一部として、本出願の出願人は、識別センサまたはRFIDタグを取り付けたポリマーチューブをカバーすることを意図した特許出願WO2012/062471を出願した。一般的に言えば、RFIDと呼ばれる無線通信および非接触識別技術は、通信が本質的に磁場に基づいているHF技術分野(この例では13.56MHz)に特に関連することを思い出すべきである。この周波数範囲では、読み取り距離は通常1メートル未満である。システムは送信機(能動部品、発電機)とトランスポンダ(受動部品、無線で電力を受け取る)からなる。
【0008】
図1および図2にそれぞれ示されるように、RFIDトランスポンダは、従来、直列接続された(図1)または並列接続された(図2)、アンテナ(100)、RFIDチップ(101)およびコンデンサ(102)の少なくとも3つのエレメントを備える。
【0009】
アンテナ(100)は、地上に配置されたRFID送信機によって生成された電磁放射電力の一部を集めることを目的とした1つまたは複数のループからなる。これに関して、アンテナは、RFIDチップの起動を可能にするための最小面積を有する。実際には、この表面は、送信されている最大電力、検出距離、およびRFIDチップの所要電力に関連して最小の電磁力を受信機が感知することに対応する。ループの数は、RFIDチップの最小起動電圧に関連して決定される。
【0010】
アンテナは、Lantと呼ばれるインダクタを有する。このインダクタンス値はアンテナの幾何学的形状の関数である。半径Rおよびワイヤ直径aを有する、N個の隣接するループまたは重ね合わせられたループからなる円形アンテナの近似式は、以下の通りである。
【数1】
【0011】
Lnはネペリアン対数である。
【0012】
RFIDチップは、Ctagとマークされたコンデンサに似ている。例示的な値は、20pF程度である(20*10-12F)。
【0013】
装置は信号周波数に近い周波数で共振しなければならず、当業者に知られているように、共振周波数を決定する式は以下の通りである。
【数2】
であり、図1(並列結合)ではCacc=C102+Ctag図2(直列結合)では
【数3】
である。Caccは、共振システムの同調容量に対応する。
【0014】
Lantがアンテナの幾何学的形状によって設定される場合、fはシステムによって設定され、調整パラメータとして使用されるべきCaccのみが残る。この値は、よく知られている下記式で与えられる。
【数4】
【0015】
図3および図4に示すように、他の技術を使用することができ、ここで、RFIDチップ101はカプラ103によって共振回路から分離されていることが分かる。
【0016】
さらに、周波数ドリフトの影響を軽減するために(温度変動による部品値のドリフト、または許容誤差、またはトランスポンダが配置されている環境による分散)、従来の設計は、比較的低い品質係数(一般に30から40のオーダー)の使用を伴う。しかしながら、アンテナ表面の表面および/またはループの数が増えるほど、Lantが増加し、品質係数はLantに比例し、後者は問題になるまで大きくなる。
【0017】
RFIDタグの大量工業化に関連して遭遇した新しい問題の提示
上述のように、埋設構造物用のRFIDタグの実装は、湿った環境に鈍感であるRFIDラベルを有することを必要とし、この問題は、上述の特許出願WO2011157941によって大幅に解決される。
【0018】
しかしながら、埋設作業用のRFIDタグの大量生産を検討している製造業者にとっては、新しい問題が非常に重要と思われる。確かに、Lantが増加すると(すなわち、表面の増加またはループ数の増加)、周波数f回路共振を維持するために、Caccを減少させなければならないことが観察される。ある実装で、onがLant=11μH(11*10-6H)で、例えば、f=13.56MHz(13.56*10 Hz)の場合、Cacc=12.52pFである。
【0019】
図1に示されるように、コンポーネントを並列にして回路を作ることは実際には不可能であることがわかる。図2に示すシ直列化の可能性だけが残り、当業者にはよく知られている式C102=33.5pFに従って、バスが必要であり、さらによく知られている式に従って、我々はCtag 、C102により形成される分圧器ブリッジを課す。この例では、RFIDチップ101の端子に3分の1程度の電圧降下が発生し、トランスポンダの検出能力が低下する。
【0020】
必要とされるコンポーネント(すなわち1つの追加のカプラが必要とされる)を検討するとき、または製造の観点から、結合要素を取り付けたプリチップの位置決めを検討する場合のいずれかにおいて、例えば、2006年7月5日にタグSYSによって出願された米国特許第2009/0027208号に記載されている図3および図4に示す結合方法の使用は、状況を改善することができるが、大量工業化には比較的費用がかかることを証明している。さらに、トランスポンダの総合効率は後者の本質的な効率のためにカプラの存在によって減少する。
【0021】
さらに、既知の解決策、特に上述の特許出願WO2011157941に記載された解決策のいずれも、同調周波数に対する良好な許容誤差を保証することを可能にしないことが分かった。
【0022】
この周波数fは3つの下記の異なる直接パラメータに依存することが分かる:ループの製造工程(100,200x)(インダクタンス値への影響)、同調コンデンサ(102、202x)の許容誤差、最後に寄生容量の許容誤差(280x、201の容量)。第4のパラメータは、間接的に、公称温度(通常25度)と比較した場合の、さまざまな値(基本的には容量)で変動する動作温度である。
【0023】
温度による変動については、測定が行われており、図8bに示されており、周波数オフセットは、0から40度の範囲にわたって140KHz程度であることが観察される。部品値の許容誤差を考慮すると、例えば同調容量の公称値の2%の変動は、共振周波数の130kHzの変動を引き起こす。
【0024】
結論として、(特に環境による)他の影響を考慮に入れないと、共振周波数には最小270kHzの可能な変動がある。
【発明の概要】
【0025】
本発明の第1の目的は、埋設構造物の検出および識別のために、最大3mまでの深さに埋設されているRFIDチップ用の検出装置を提供することである。
【0026】
本発明の他の目的は、共振周波数の大きな許容誤差を許容しながら、例えば約400kHzのドリフトを許容しながら、(100程度の)高い品質係数を有する、RFIDチップを検出するための検出装置またはトランスポンダを提供することである。
【0027】
本発明の第3の目的は、他の既知の解決策と比較してより良いエネルギー効率を提供する、低い製造コストを有するトランスポンダを提供することである。
【0028】
本発明の第4の目的は、埋設を意図した構造物に適合したRFIDタグ用のトランスポンダを提供することであり、共振周波数の最小270kHzの変動を許容しながら、トランスポンダは、信号の受信、応答信号の再送信、周波数の同調、ならびにRFIDチップによって実行される信号処理を確実にするすべてのコンポーネントを含む。
【0029】
同調周波数に対するより大きな許容誤差を許容することによって、コンポーネント(コンポーネントの公称値)および導体の実装(レイアウト、絶縁体の性質)の両方に関して、より大きな柔軟性を可能にする実現が達成されるという意味で、しかし、RFIDタグは0から40度の温度範囲で機能し続けなければならないため、許容される気候条件の範囲内で、本発明の第5の目的は、RFIDタグの製造工程を改善することである。
【0030】
これらの目的はすべて、埋込みポリマー導管に固定されるように構成された、RFIDタイプの無線通信および非接触識別システム用のトランスポンダを提供する本発明によって達成され、トランスポンダは、少なくとも第1および第2のアンテナ素子(203-1、203-2)を構成する導電体からなる1組のアンテナセグメントと、少なくとも1つの同調容量202xを有するRFIDチップと、アンテナセグメントの電気的接続を可能にするコネクタ281とを含むプリント回路を備え、
アンテナセグメントは、RFID共振周波数の許容誤差の帯域を広げることができる結合コンデンサの出現を可能にするように、3mm未満、好ましくは1mm未満の距離で互いに近接して配置される。
【0031】
特定の実施形態において、アンテナセグメントは、コネクタと同心円状にかつ電気的に接続された同一平面内に配置され、2つの直接隣接するアンテナセグメントは、3mm未満、好ましくは1mmの距離で配置され、RFID共振周波数の許容帯域を広げることができる結合コンデンサの出現を可能にする。
【0032】
他の特定の実施形態においいて、アンテナセグメントは互いに重ね合わされた平面を有し、2つの直接隣接するアンテナセグメントは、3mm未満、好ましくは1mm未満の距離に配置され、RFID共振周波数の許容帯域を広げることができる結合コンデンサの出現を可能にする。
【0033】
好ましくは、アンテナセグメントは、RFID共振周波数の許容帯域の拡大を可能にする結合能力の出現を可能にするねじれを形成するように一緒に配置される。
【0034】
50から75pF/mの間の値を有する各アンテナセグメント間の線形キャパシタンスを示すために、好ましくは、アンテナセグメントは、2つまたは3つの導体を有する同じ導線内で2つまたは3つにグループ分けされる。
【0035】
したがって、前述の特許出願WO20111157941で推奨されている解決策の場合のように、アンテナ素子を製造するために明示的な基板を使用する必要はもはやなく、アンテナセグメント間に現れる分布容量は、アンテナの最終同調において相対的な役割のみを果たし、これは直列容量によって決定される。
さらに、対称性を提供する必要はもはやなく、ラベルの製造工程は、最小限の製造コストで、より単純でより有利に減少される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の他の特徴、目的および利点は、単に非限定的な例として示されている以下の説明および図面を読めば明らかになるであろう。添付の図面において:
図1図1は、アンテナ、RFIDチップおよびコンデンサの並列接続に基づくRFIDトランスポンダの従来の構造を示す。
図2図2は、アンテナ、RFIDチップおよびコンデンサの直列接続に基づくRFIDトランスポンダの従来の構造を示す。
図3図3および図4は、RFIDチップを共振素子に接続するためのカプラ103を備えるRFIDトランスポンダの既知のアーキテクチャの2つの変形例を示している。
図4】同上。
図5図5は、RFIDチップと複数のアンテナ素子とを備えるRFIDトランスポンダの一実施形態の電気回路図を示す。
図6a図6aは、同心円状に配置されたアンテナセグメントの第1のトポロジーの一実施形態を示す。
図6b図6bは、異なるアンテナセグメントの表面に対して垂直な軸に沿って異なるアンテナセグメントを重ね合わせることからなる第2のトポロジーの実施形態を示す。
図6c図6cは、ねじれを形成するように異なるアンテナセグメントを一緒にねじることからなる第3のトポロジーの実施形態を示す。
図7a図7aは、3つのアンテナセグメントからなる2つのアンテナ素子を含むプリント回路の第1の実施形態を示す。
図7b図7bは、6つのアンテナセグメントからなる2つのアンテナ素子を有するプリント回路の第2の実施形態を示す。
図7c図7cは、3つのアンテナセグメントが単一の3導体ケーブルによって作られている図7aのコネクタの第1の実施形態の接続を示す。
図7d図7dは、6つのアンテナセグメントが3導体ケーブルによって作られている図7bのコネクタの第2の実施形態の接続を示す。 図8a、8c、8dは同調周波数の許容誤差を示しており、最大検出距離で10cm未満の差が生じている。
図8a図8aは、実施形態M1およびM2の最大読み取り距離対周波数曲線を示す。
図8c図8cは、実施形態M4の最大読み取り距離対周波数曲線を示す。
図8d図8dは、実施形態M3の最大読み取り距離対周波数曲線を示す。
図8b図8bは、温度変動の関数としての周波数オフセットの測定値を示す。
図9図9は、上述の特許出願WO20111157941によって推奨されている解決策のブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで、単一のパイプまたは地下に埋設されることを意図されているパイプ用のRFIDタグを実行するためのRFIDトランスポンダの特定の実施形態を検討する。例えば、飲料水の供給、ガスの分配、浄化、電気ケーブルおよび光ファイバーの保護のためのパイプラインの建設用に特に設計された高密度ポリエチレンパイプを考えることができる。
【0038】
特に、EN1555規格によるPE80またはPE100高密度ポリエチレンチューブからなる、圧力下および地下埋設されたパイプのネットワークを実現するように設計されたポリエチレン多層パイプの例を考えることが可能である。より具体的には、RFIDタグは、管識別、管製造工程、さらに管位置を表す情報を提供するために使用される。
【0039】
本発明による一実施形態の電気回路図を示す図5に示すように、RFIDトランスポンダは、アンテナ素子203-1、203-2、...203-x、コンデンサ202-1、202-2...202-x、従来のRFIDチップ201と直列のワイヤの直列接続からなるアンテナ291を含む共振システムからなる。RFIDチップは、無線周波数識別検出(RFID)と呼ばれる無線通信および非接触識別技術の実装に適合した集積回路であり、当業者にはよく知られているため、簡潔にするためにこれ以上説明しない。
【0040】
図5に示す実施形態において、アンテナ素子の各端部は、コンデンサ202-1、202-2、・・・202-x、またはRFIDチップ201の電極のいずれかに接続されている。
【0041】
一般に、各アンテナ素子は、総称指示200x(図5には示されていない)によって示される1つまたは複数の個別の導電性ワイヤまたはアンテナセグメントからなり、それらの各々は、検知素子を構成するループの少なくとも1つの有意な部分からなる。第1のアンテナセグメントは、例えば、半ループからなる。第2のアンテナセグメントは、全ループから構成されてもよい。第3のアンテナセグメントは、ループと半分、2つのループの4分の1などからなることがある。
【0042】
したがって、アンテナ素子203-1、…、203-xは、アンテナセグメント200xの複数の組み合わせに基づいて、様々な構成を達成することができる。
【0043】
一般に、各アンテナセグメント200xは、絶縁されているか否かに関わらず、マルチストランドまたはシングルストランドケーブル内に配置された電線からなる。ワイヤーセクションは異なってもよい。各アンテナセグメント200xは、幾何学的形状によってもループの数によっても同じ実施形態内で互いに異なってもよく、したがって、RFIDタグに対して異なる構成の大きな可能性を有する。
【0044】
図5に示すコンデンサ202-1、202-2、・・・202-xに関して、これらは非常に異なる形式を取り得ることに留意されたい。特に、容量202-xは必ずしも単一のエレメントに限定されないが、いくつかの個々の容量の直列化および/または並列化として考えることができ、従来技術の規則に従って独特の能力と同等のものを形成する。同様に、容量202-1、202-2、202-xは異なる値でもよいことに留意されたい。
【0045】
図6a、図6bおよび図6cに示すように、アンテナ素子203-1、203-xを構成するアンテナセグメント200xは、異なる実施形態に従って支持体上に配置されてもよい。
【0046】
より具体的には、図6aは、プリント回路基板281に電気的に接続されている3つのアンテナセグメント200xの同心配置に基づくアンテナセグメント200xの第1のレイアウトトポロジーを示す。この構成では、3つのアンテナセグメントは円形を有し、同一平面内に配置され、非常に密接に配置されている。2つの直接隣接するアンテナセグメントは、3mm未満、好ましくは1mm未満の距離に配置され、図6aに示す結合容量280の発生を可能にする。
【0047】
第2のトポロジーが図6bに示されており、異なるアンテナセグメント、例えば、3つのアンテナセグメントの表面に垂直な軸に沿った3つのアンテナセグメントの重ね合わせが見られる。前述のように、3つのアンテナセグメントは、プリント回路またはコネクタ281に電気的に結合されており、好ましくは1mm未満の距離で非常に近くに配置されており、参照符号280で図6bにも示されている結合コンデンサの外観を示す。
【0048】
最後に、図6cは第3のトポロジーを示し、アンテナ素子203-1...203-xを構成する異なるアンテナセグメント200xは一緒にねじられて、ねじれ282を形成し、それはオーバーモールドされてプリント回路またはコネクタ281に結合された単一の覆い283を形成する。この構成では、アンテナ素子を構成する様々なアンテナセグメントをねじることによって、以下の説明で興味を引く結合コンデンサの外観を示すことが可能になる。
【0049】
図6a、図6b、および図6cに示されたトポロジーは、本発明によるRFIDタグを実行するために考えられ得る配置の複数の可能性の単なる実例である。一般に、当業者であれば、例えば、それぞれ図6cのトポロジーに従って作られた3つのループの2つの異なるグループのアンテナセグメントのような、上記に図示した様々なトポロジーの組み合わせを設計することができ、2つのグループは、図6bのトポロジーに従って、組み立てられたシーケンスによるものである。
【0050】
明らかに、図示されている異なるトポロジーを組み合わせる可能性に制限はない。
【0051】
ここで図7a、図7b、図7cおよび図7dを参照して、アンテナセグメントをRFIDトランスポンダの振動素子に電気的に結合することを可能にするコネクタ281についてより詳細に説明する。
【0052】
一般的に言えば、コネクタ281は、異なるアンテナセグメントを互いに電気的に結合するだけでなく、コンデンサ202-1、202-2、...202x、ならびにRFIDチップ201への電気的に結合を可能にするように構成され、電気回路図が図5に示されている共振素子を実現する。
【0053】
その最も単純な形態では、コネクタは、RFIDチップ201、および異なるコンデンサ202-1、202-2、・・・202xが配置されている集積回路の形態であり得る。
【0054】
簡単にするために、図7aから図7dに示す実施形態では、RFIDチップに関連する単一のコンデンサ202xが提供されており、図7aから図7dは、図5に示す図に従って、2つのアンテナ素子の配置を表す(直列接続における2つの断線、第1のものはRFIDチップ用、第2のものはコンデンサ202x用)。
【0055】
異なるアンテナセグメントは、任意の数であり得る電極284および285を介して電気的に結合されている。
【0056】
アンテナ291を構成する3つのアンテナセグメント701、702、703のそれぞれの結合に対して、例えば、図7aのコネクタ281は、それぞれ1組の3つの入力電極284-1、284-2、284-3と3つの出力電極285-1、285-2および285-3とを含むプリント回路の形態をとる。
【0057】
回路基板/コネクタは、第1のアンテナセグメント701の第1の端部、第2のアンテナセグメント702の第1の端部、および第3のアンテナセグメント703の第1の端部の結合をそれぞれ可能にする第1の入力電極284-1、第2の入力電極284-2および第3の入力電極284-3と、第1のアンテナセグメント701の第2の端部、第2のアンテナセグメント702の第2の端部、および第3のアンテナセグメント703の第2の端部の結合をそれぞれ可能にする第4の出力電極285-1、第5の出力電極285-2および第6の出力電極285-3とを含む。
【0058】
プリント回路は、さらに、RFIDチップを介して第1の入力電極284-1を第6の出力電極285-3に接続するための第1の回路286-3と、第2の入力電極284-2を第4の出力電極285-1に接続するための第2の回路286-1と、コンデンサ202xを介して第3の入力電極284-3を第5の出力電極285-2に接続するための第3の回路286-2とを備える。
【0059】
図7cの図面に示されている好ましい実施形態において、第1、第2および第3のアンテナセグメント701、702、703は、同じ3導体電気ケーブル内に一体化されて、アンテナセグメント間に分布するキャパシタンスを生成することが可能になる。
【0060】
図7bを参照して、6つのアンテナセグメント801、802、803、804、805および806を結合するように構成されたコネクタ281を有するプリント回路の第2の実施形態を説明する。
【0061】
より具体的には、プリント回路は、第1アンテナセグメント801の第1の端部、第2のアンテナセグメント802の第1の端部、第3のアンテナセグメント803の第1の端部、第4のアンテナセグメント804の第1の端部、第5のアンテナセグメント805の第1の端部、及び第6のアンテナセグメント806の第1の端部をそれぞれ接続するための、第1の入力電極284-1、第2の入力電極284-2、第3の入力電極284-3、第4の入力電極284-4、第5の入力電極284-5、および第6の入力電極284-6を備える。
【0062】
プリント回路は、第1のアンテナセグメント801の第2の端部、第2のアンテナセグメント802の第2の端部、第3のアンテナセグメント803の第2の端部、第4のアンテナセグメント804の第2の端部、第5のアンテナセグメント805の第2の端部、および第6のアンテナセグメント806の第2の端部をそれぞれ接続するための、第7の出力電極285-1、第8の出力電極285-2、第9の出力電極285-3、第10の出力電極285-4、第11の出力電極285-5、および第12の出力電極285-6を備える。
【0063】
図7bのプリント回路は、RFIDチップを介して第1の入力電極284-1を第12の出力電極285-6に接続するための第1の回路286-7と、第2の入力電極284-2を第7の出力電極285-1に接続するための第2の回路286-1と、コンデンサ202xを介して第3の入力電極284-3を第8の出力電極285-2に接続するための第3の回路286-2と、第4の入力電極284-4を第9の出力電極285-3に接続するための第4の回路286-3と、第5の入力電極284-5を第10の出力電極285-4に接続するための第5の回路286-4と、第6の入力電極284-6を第11の出力電極285-5に接続することを可能にする第6の回路286-5とを備える。
【0064】
図7dの実施形態に示すように、好ましくは、第1、第2、および第3のアンテナセグメント801、802、および803は、第1の3導体電気ケーブル内に一体化され、第4、第5および第6のアンテナセグメント804、805および806は第2の3導体電気ケーブル内に一体化されている。
【0065】
実施形態(図6a、図6b、および図6c)の1つにおいて実施されるアンテナセグメント(200x)の配置、またはそれらの任意の組み合わせは、各導体(アンテナセグメント)(200x)間に、実施形態によれば、多かれ少なかれ重要な容量結合(280)を生じさせる。分布コンデンサ(280)は、電線の近接によって、またはコンデンサの効果的な実施によって、自然に作られる。さらに、外側エンベロープの存在(オーバーモールド)(283)は、分布容量の値をさらに増加させることができる。この容量結合により、分散応力や外部環境の分散的影響に対するかなり強い耐性が保証される。
【0066】
ワイヤの間隔が1から3mmになるようにアンテナの構造は決定される。一実施形態において、ワイヤは3×3ストランドでオーバーモールドされ、
【数5】
の成分をもつ。これは、3本のワイヤの間に、2×2と考えられるとき、50から75pF/mの間の線形キャパシタンス(280)を与える。
【0067】
共振周波数の動作と適応、許容誤差と変動に対する耐性
複数のアンテナセグメント200xは検知面を形成する。この表面は、RFIDチップ201の電力供給要件を満たすのに十分でなければならない。RFIDチップ201にかかる電圧がそれを活性化するのに十分であるよう、複数のアンテナセグメントから生じるループの総数は定められる。
【0068】
周波数同調は、第1に、グローバルアンテナ(複数の200x)のインダクタンスおよび直列に結合されたときの複数のコンデンサ202xの直列化の結果である。
【0069】
しかしながら、分布コンデンサ280は、共振周波数へのインパクトは小さいが、同調容量の計算において役割を果たす。
【0070】
しかし、これらの分布コンデンサ280の真の役割は、一方では、外部環境によって導入される寄生容量の影響を減衰させることであり、他方では、実施された試験によって証明されるように、同調周波数の許容範囲を広げることを可能にすることである。
【0071】
実現のいくつかの例では、どの同調周波数範囲で、予想される最大距離に対して最大検出距離の10cm未満の減少を得られるかを見る。1つの実験は、前述の特許出願WO2011157941およびUS2009/0027208の教示に従った実施形態に関し、別の試験は、本発明により近い実施形態(M1)に関するが、ループ間のギャップは自発的に推奨値(10mm)よりも大きい値に設定され、他の2つの実施形態(M2、M3)は本発明に関する。
【0072】
テスト実績の説明
タグM1:実施形態は図7cの概略図に近いが、702cmの表面に対して、10mmの内部ループを有する(したがって非常に低い分布容量を有する)。
【0073】
実装M1では、次のようになる。
【数6】
【0074】
タグM2:この実施形態は、3線ケーブルに基づいて、702cmの表面に対して、図7cに従うものであり、次のようになる。
【数7】
【0075】
これは、M1とM2との間の許容帯域において50%の改善を表す。
【0076】
タグM4:表面積が132cmである、上記特許出願WO2011157941号およびUS2009/0027208号の教示による実施形態。
【0077】
許容帯域の幅の推定が行われ(図8c)、推定値が得られる。
【数8】
【0078】
タグM3:この実施形態は図7dに従い、各3本のワイヤを含む2本のケーブルからなり、したがって63cmの表面に対して、合計2グループの3つのループを形成する。
【0079】
許容範囲は、図8dに示すように決定することができる。
【数9】
【0080】
これは許容帯域の40%を上回る増加を表す。
【0081】
さらに、この実施形態(M3)では、アンテナ面積は、前述の特許出願WO2011157941およびUS2009/0027208に記載されている解決策の132cmと比較して、63cmであり、検出距離が20cm増加した(160cmではなく180cm)。上述の一実施形態において、19.6cmの表面で144cmの読み取り距離が得られる。補間曲線(様々な実施形態から計算される)から、150cmの距離、すなわち前述の特許出願WO2011157941およびUS2009/002208で推奨されている解決策よりも6倍小さい表面に達するには、23.25cmの面積が必要であると推定できる。
【0082】
上記から分かるように、本発明は、最大読み取り距離の違いを同じくするために、同調周波数の許容範囲を大幅に増加することを可能にする。さらに、同じ最大検出距離に対して従来のタグと比較して必要とされる検知面が少ないため、増加されたエネルギー効率を得る。50から75pF/mの間の値の各アンテナセグメント間の線形キャパシタンスを示すために、アンテナセグメントは、2本以上のワイヤを有する同じ導電性ケーブル内に2つ以上でグループ化することもできる。
【0083】
3つのアンテナセグメント701、702、703の接続を可能にするコネクタ(281)を備えるプリント回路を備えるトランスポンダを提供することもまた可能である。
【0084】
トランスポンダは、アイデンティティの伝達手段、ならびに埋設作業の特性(埋設日、作業の性質、材料の特性など)を含んでもよい。流体分配ライン(例えば飲料水)またはガス、電気ケーブル保護または光ファイバケーブルの識別を可能にするように構成されてもよい。
【0085】
クリッピング、溶接または締め付けによって管に固定された自律的なハウジング内に配置されるように適合されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図9