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特許7061133水域の表面に配置される天然ガス液化装置、及び関連する冷却方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】水域の表面に配置される天然ガス液化装置、及び関連する冷却方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20220420BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20220420BHJP
   F28F 25/06 20060101ALI20220420BHJP
   F28B 9/04 20060101ALI20220420BHJP
   F28B 1/06 20060101ALI20220420BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20220420BHJP
   F25J 1/02 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F28D7/16 A
F28D7/16 F
F28F25/06 A
F28B9/04
F28B1/06
F28B1/02
F25J1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019551397
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2018056565
(87)【国際公開番号】W WO2018167223
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】1752150
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504191741
【氏名又は名称】テクニップ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ベルトロ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ハグヤード,フィリップ
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032146(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140044(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/115030(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/175384(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第03037343(FR,A1)
【文献】国際公開第2015/155818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00-3/00
F28F 25/06
F28B 1/02
F02C 3/30
F28D 7/16
F28B 9/04
F28B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域の表面に配置される天然ガス液化装置であって、
- 冷却される流れを受けることができるチューブ束、及び空気の流れを前記チューブ束のチューブに亘って循環させることができるファンを有する少なくとも1つの空冷式熱交換器と、
- 水噴霧組立体と、
- 塩水取込部を水域に有し、前記水噴霧組立体に下流側で連結されている脱塩組立体と
を備えており、
前記水噴霧組立体は、前記チューブ束に設けられた少なくとも1つの噴霧ノズルを有しており、前記噴霧ノズルは、前記塩水取込部によって取り込まれた塩水から前記脱塩組立体で生成されて前記噴霧ノズルに搬送された液体の脱塩水を噴霧して前記チューブ束のチューブと接触させるように、前記チューブ束のチューブの方に向いていることを特徴とする天然ガス液化装置。
【請求項2】
前記チューブ束は複数レベルのチューブを有しており、前記水噴霧組立体は、第1のレベルのチューブに対向して設けられた少なくとも第1の噴霧ノズルと、第2のレベルのチューブに対向して設けられた少なくとも1つの第2の噴霧ノズルとを有していることを特徴とする請求項1に記載の天然ガス液化装置。
【請求項3】
前記空冷式熱交換器は、気体流のための内部循環管を画定している筐体を有しており、前記チューブ束のチューブは前記内部循環管に受け入れられており、少なくとも1つの噴霧ノズルは、前記筐体によって画定された前記内部循環管に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の天然ガス液化装置。
【請求項4】
前記ファンは、空気を底部から最上部に、最上部から底部に、又は一若しくは複数のチューブ束のチューブを通して横断して循環させることができることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置。
【請求項5】
前記水噴霧組立体は、前記噴霧ノズルによって噴霧される水の流量を制御するための制御ユニットを有しており、前記制御ユニットは、前記水噴霧組立体からの液体の脱塩水が前記チューブ束の下流側に循環することを防止するために水の流量を調節することができることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置。
【請求項6】
前記空冷式熱交換器は、前記チューブ束を通って循環する冷媒と、前記チューブ束の上流側で前記冷媒を圧縮することができる圧縮器と、前記チューブ束の下流側に配置された前記冷媒の膨張部材と、冷却される処理流体と前記冷媒を熱交換関係に置くことができる主熱交換器とを含む冷却サイクルに配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置。
【請求項7】
前記冷却サイクルは、前記空冷式熱交換器と前記膨張部材との間に配置された中間熱交換器を更に含んでおり、
前記塩水取込部からの塩水の流れと熱交換関係に入ることができる冷媒、前記塩水取込部からの塩水の流れ、及び/又は前記塩水取込部を通過しない塩水ポンプからの塩水の流れが前記中間熱交換器に供給されることを特徴とする請求項6に記載の天然ガス液化装置。
【請求項8】
少なくとも1つのガスタービン、及び前記脱塩組立体に連結された少なくとも1つの第2の水噴霧組立体を更に備えており、
前記第2の水噴霧組立体は、前記脱塩組立体からの脱塩水を前記ガスタービンに噴霧するための少なくとも1つの第2の脱塩水噴霧ノズルを有していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置。
【請求項9】
船体、及び前記船体の上方に設けられた少なくとも1つのデッキを更に備えており、
前記空冷式熱交換器は前記デッキ上に設けられており、前記脱塩組立体は前記船体に配置されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置。
【請求項10】
前記噴霧ノズルは、前記チューブ束のチューブに直接噴霧される少なくとも1つの水噴出物を生成することができることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置。
【請求項11】
流れを冷却する方法であって、
- 請求項1~10のいずれか1つに記載の天然ガス液化装置の空冷式熱交換器のチューブ束のチューブに、冷却される流れを循環させる工程、
- 前記脱塩組立体で生成された脱塩水を前記水噴霧組立体に供給する工程、
- 前記脱塩組立体からの液体の脱塩水を噴霧して前記チューブ束のチューブと接触させるために前記チューブ束のチューブの方に向いており、前記チューブ束のチューブに対向して設けられた少なくとも1つの噴霧ノズルによって脱塩水を噴霧する工程、及び
- 噴霧された脱塩水を全て蒸発させる工程
を有することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記チューブ束は少なくとも第1のレベルのチューブ及び第2のレベルのチューブを有しており、
前記脱塩組立体からの脱塩水を、前記第1のレベルに設けられた少なくとも第1の噴霧ノズルを通して噴霧し、同時的に前記第2のレベルに設けられた少なくとも第2の噴霧ノズルを通して噴霧することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水噴霧組立体からの液体の脱塩水が前記チューブ束の下流側に循環することを防止するために、前記噴霧ノズルを通して噴霧される水の流量を制御することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
塩水を前記塩水取込部を通して汲み上げ、前記脱塩組立体によって脱塩水を生成して前記水噴霧組立体に供給することを特徴とする請求項11~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記脱塩組立体からの脱塩水を前記噴霧ノズルに搬送して、前記チューブ束のチューブに直接噴霧される水噴出物を生成し、
前記チューブ束のチューブに噴霧される水は前記チューブ束のチューブに接して蒸発し、前記チューブ束のチューブを通って循環する冷却される流れの冷却熱出力を生み出すことを特徴とする請求項11~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水域の表面に配置される天然ガス液化装置であって、
- 冷却される流れを受けることができるチューブ束、及び空気の流れをチューブ束のチューブに亘って循環させることができるファンを有する少なくとも1つの空冷式熱交換器と、
- 水噴霧組立体と
を備えている天然ガス液化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、水域の下方又は陸上に設けられている貯留槽から装置まで搬送される天然ガスを液化するように特に構成されている。
【0003】
この装置は有利には、「浮体式液化天然ガス」つまり「FLNG」ユニットという用語を使用して参照される天然ガス液化ユニットを支持するプラットフォーム又は平底荷船のような、水域に浮かぶ装置である。
【0004】
このような装置は、天然ガスを生成して、生成された天然ガスを液化し、その後、液化された天然ガスをメタンタンカ又は他の搬送平底荷船に貯蔵及び/又は搬送するように特に構成されている。このような装置は、運搬量を減らしながら、消費場所への天然ガスの運搬を簡略化する。更に、装置を海上に配置することにより、居住地域に設けられたこのような装置に関連する危険性を減らし、環境影響を軽減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天然ガス液化法をコスト効率良く実現するために、液化ユニットは大量の熱を周辺環境、実際には空気又は水に放出する。
【0006】
多くの天然ガス液化ユニットが1960年代以降に陸上に建設されている。陸上で使用される冷却技術は、海上で運搬されるときには十分に満足できるものではない。
【0007】
浮体式天然ガス液化装置の利点は本質的に、豊富で低温の冷却水源を有するということである。その結果、液化ユニットの機器を直接又は真水ループを用いて冷却するために水域から取り出された水を循環させることが知られている。このために、扱い難く重い冷却水回路を装置に設けて、更に頑丈な海水取込部が必要である。
【0008】
これらの問題を克服するために、空冷式交換器を使用することが可能である。このような交換器は水を装置に移す必要がない。しかしながら、このような交換器は十分な交換表面を有するためには非常に扱い難い。
【0009】
浮体式装置上の利用可能な空間が陸上の同様の液化ユニットと比較して減らされるため、交換器での水循環による冷却網又は空気冷却器は十分に満足できるものではない。従って、装置の液化能力は、浮体式装置上に全ての機器を収容するために限られている。更に、装置によって大量に生成される加熱水を水域に放出しなければならず、環境に悪影響をもたらし得る。
【0010】
水蒸発による冷却が有効であり、コンパクトであることが知られている。陸上では、冷却塔に貯留溜を設けて、塩及び他の乾燥残留物を含む水を部分的に蒸発させると、コスト効率が良い。
【0011】
嵩を減らすために、国際公開第2015/140044号パンフレットには、船上に配置された集中型空気取入管によってのみ供給される空気熱交換器を有する浮体式液化天然ガス生成ユニットが記載されている。このため、熱交換器の各々に供給される空気は、熱交換器で既に循環している空気ではなく、新鮮な空気であることが保証される。
【0012】
1つの特別な実施形態では、流入空気を冷却して湿らせるために、水滴が供給管の入口で噴霧される。水滴は供給管で蒸発し、熱交換器に供給する空気の流れには液滴が含まれない。
【0013】
従って、このような装置は冷却能力を高めるが、非常に嵩高い状態であり、液化天然ガスの生成能力に影響を及ぼす。
【0014】
本発明の一目的は、浮体式液化天然ガス装置の嵩を制限しながら、浮体式液化天然ガス装置の生成能力を更に高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明は、上述したタイプの装置に関しており、この装置は、
- 塩水取込部を水域に有し、前記水噴霧組立体に下流側で連結されている脱塩組立体を備えており、
前記水噴霧組立体は、前記チューブ束に設けられた少なくとも1つの噴霧ノズルを有しており、前記噴霧ノズルは、前記脱塩組立体からの液体の脱塩水を噴霧して前記チューブ束のチューブと接触させるように、前記チューブ束のチューブの方に向いていることによって特徴付けられる。
【0016】
具体的な実施形態によれば、本発明に係る装置は、単独で又は技術的に可能なあらゆる組み合わせに応じて、以下の特徴の1又は複数を有している。
【0017】
- 前記チューブ束は複数レベルのチューブを有しており、前記水噴霧組立体は、第1のレベルのチューブに対向して設けられた少なくとも第1の噴霧ノズルと、第2のレベルのチューブに対向して設けられた少なくとも1つの第2の噴霧ノズルとを有している。
【0018】
- 前記空冷式熱交換器は、気体流のための内部循環管を画定している筐体を有しており、前記チューブ束のチューブは前記内部循環管に受け入れられており、少なくとも1つの噴霧ノズルは、前記筐体によって画定された前記内部循環管に設けられている。
【0019】
- 前記ファンは、空気を底部から最上部に、最上部から底部に、又は一若しくは複数のチューブ束のチューブを通して横断して循環させることができる。
【0020】
- 前記水噴霧組立体は、前記噴霧ノズルによって噴霧される水の流量を制御するための制御ユニットを有しており、前記制御ユニットは、前記水噴霧組立体からの液体の脱塩水が前記チューブ束の下流側に循環することを防止するために水の流量を調節することができる。
【0021】
- 前記空冷式熱交換器は、前記チューブ束を通って循環する冷媒と、前記チューブ束の上流側で前記冷媒を圧縮することができる圧縮器と、前記チューブ束の下流側に配置された前記冷媒の膨張部材と、冷却される処理流体と前記冷媒を熱交換関係に置くことができる主熱交換器とを含む冷却サイクルに配置されている。
【0022】
- 前記冷却サイクルは、前記空冷式熱交換器と前記膨張部材との間に配置された中間熱交換器を含んでおり、前記塩水取込部からの塩水の流れと熱交換関係に入ることができる冷媒、前記塩水取込部からの塩水の流れ、及び/又は前記塩水取込部を通過しない塩水ポンプからの塩水の流れが前記中間熱交換器に供給される。
【0023】
- この装置は、少なくとも1つのガスタービン、及び前記脱塩組立体に連結された少なくとも1つの第2の水噴霧組立体を更に備えており、前記第2の水噴霧組立体は、前記脱塩組立体からの脱塩水を前記ガスタービンに噴霧するための少なくとも1つの第2の脱塩水噴霧ノズルを有している。
【0024】
- この装置は、船体、及び前記船体の上方に設けられた少なくとも1つのデッキを更に備えており、前記空冷式熱交換器は前記デッキ上に設けられており、前記脱塩組立体は前記船体に配置されている。
【0025】
- 前記脱塩組立体は、例えば逆浸透システム、濾過システム及び/又は研磨部による純水生成システムを有している。
【0026】
本発明は更に、流れを冷却する方法であって、
- 上記に定義されたような天然ガス液化装置の空冷式熱交換器のチューブ束のチューブに冷却される流れを循環させる工程、
- 前記脱塩組立体で生成された脱塩水を前記水噴霧組立体に供給する工程、
- 前記脱塩組立体からの液体の脱塩水を噴霧して前記チューブ束のチューブと接触させるために前記チューブ束のチューブの方に向いており、前記チューブ束のチューブに対向して設けられた少なくとも1つの噴霧ノズルによって脱塩水を噴霧する工程、及び
- 噴霧された脱塩水を全て蒸発させる工程
を有することを特徴とする方法に関する。
【0027】
具体的な実施形態によれば、本発明に係る方法は、単独で又は技術的に可能なあらゆる組み合わせに応じて、以下の特徴の1又は複数を有する。
【0028】
- 前記チューブ束は少なくとも第1のレベルのチューブ及び第2のレベルのチューブを有しており、前記方法では、前記脱塩組立体からの脱塩水を、前記第1のレベルに設けられた少なくとも第1の噴霧ノズルを通して噴霧し、同時的に前記第2のレベルに設けられた少なくとも第2の噴霧ノズルを通して噴霧する。
【0029】
- 前記方法では、前記水噴霧組立体からの液体の脱塩水が前記チューブ束の下流側に循環することを防止するために、前記噴霧ノズルを通して噴霧される水の流量を制御する。
【0030】
- 前記方法では、塩水を前記塩水取込部を通して汲み上げて、前記塩水を前記脱塩組立体に移し、前記脱塩組立体によって脱塩水を生成して前記水噴霧組立体に供給する。
【0031】
本発明は、添付図面を参照して、単に一例とする以下の記述によって更に明瞭に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る第1の浮体式天然ガス液化装置を示す概略図である。
図2図1の天然ガス液化装置の空冷式熱交換器の詳細を示す概略図である。
図3】本発明に係る天然ガス液化装置の変形例を示す図1と同様の図である。
図4】本発明に係る天然ガス液化装置の変形例を示す図1と同様の図である。
図5】本発明に係る天然ガス液化装置の変形例を示す図1と同様の図である。
図6】本発明に係る天然ガス液化装置の変形例を示す図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、「上流側」及び「下流側」という用語は、管内での流れの通常の循環方向に関して理解される。
【0034】
本発明に係る第1の天然ガス液化装置10が図1に概略的に示されている。天然ガス液化装置10は、水域12の表面に配置されるように構成されている。
【0035】
水域12は、例えば海、湖又は海洋である。天然ガス液化装置10における水域12の深さは、例えば15mと3000mとの間である。
【0036】
天然ガス液化装置10は、地下貯留槽(不図示)からの天然ガスを集めることができる。天然ガスは、天然ガス液化装置10で直接生成される。変形例では、天然ガスは、水域12の表面に設けられた別の生成ユニット又は地上の生成ユニットで生成されて、運搬ラインを通して天然ガス液化装置10に搬送される。
【0037】
天然ガス液化装置10は有利には浮体式の装置である。変形例では、天然ガス液化装置10は、水中構造物によって水域の底に固定される。
【0038】
図1に示されている例では、天然ガス液化装置10は浮体式液化天然ガス(FLNG)ユニットである。
【0039】
天然ガス液化装置10は、水域12の表面に浮かぶ船体14と、船体14によって支持されている少なくとも1つのデッキ16とを備えている。デッキ16は、水域12の表面の上方に配置される。
【0040】
天然ガス液化装置10は、その関連部分が図1に示されている天然ガス液化ユニット18と、水域12から取り込まれる塩水から脱塩水を生成するのに適した脱塩組立体20とを備えている。
【0041】
天然ガス液化ユニット18は、有利にはデッキ16上に配置されており、脱塩組立体20は好ましくは船体14に収容されている。
【0042】
天然ガス液化ユニット18は、天然ガス液化ユニット18内を循環する流れ24を冷却して、冷却された流れ25を生成するように構成されている少なくとも1つの空冷式熱交換器22を有している。本発明によれば、天然ガス液化ユニット18は、脱塩組立体20からの脱塩水を噴霧するための噴霧組立体26を空冷式熱交換器22に有している。
【0043】
天然ガス液化ユニット18は、脱塩水を天然ガス液化ユニット18の少なくとも1つの他の機器、例えばガスタービンに噴霧するための第2の噴霧組立体27を有利には更に有している。
【0044】
この例では、天然ガス液化ユニット18は、冷却される天然ガスの天然ガス源30と、天然ガス源30からの天然ガスを冷却するための主熱交換器32と、主熱交換器32からの冷却された天然ガスを液化するための液化システム34とを有している。
【0045】
天然ガス液化ユニット18は、主熱交換器32の少なくとも1つの冷却サイクル36を更に有しており、冷却サイクル36は空冷式熱交換器22を組み込んでいる。
【0046】
天然ガス源30は、有利には水、重化合物(例えばC6+ 化合物)及び硫黄化合物を抽出するように構成されている天然ガス精製ユニットを用いて、天然ガス生成装置に連結されている。
【0047】
主熱交換器32は、天然ガスの温度を下げるために、天然ガス源30からの冷却される天然ガスと冷却サイクル36で循環する冷媒との間で非接触の熱交換関係を作ることができる。
【0048】
天然ガスの液化システム34は、冷却された天然ガスのための少なくとも1つの膨張部材(不図示)を有利には有している。液化システム34は、液化天然ガスの少なくとも1つの収集槽を有している。
【0049】
LNG の収集・貯留槽は、天然ガス液化ユニット18で生成される液化天然ガスを放出するためにメタンタンカ又は他の搬送平底荷船に連結され得る。
【0050】
冷却サイクル36は、主熱交換器32の出口からの冷媒の循環方向に、ほとんどの場合、ガスタービン42及び空冷式熱交換器22に連結されている圧縮器40を有している。冷却サイクル36は、冷媒のための膨張部材46を更に有している。
【0051】
圧縮器40は、図6の変形例に示されているような電気モータによって駆動され得る。この場合、船体に配置され得る発電用のガスタービンは、ガスタービンの性能を高める水の注入による恩恵を受けることができる。
【0052】
圧縮器40は、主熱交換器32からの加熱された冷媒を回収して再圧縮することができる。この例では、圧縮器40はガスタービン42によって駆動される。
【0053】
ガスタービン42は、燃料注入部48、燃料を受ける燃焼室50、ガスタービン42の上流側部分に設けられた空気圧縮器、及び下流タービン52を有している。
【0054】
ここで、膨張部材46は静的膨張バルブである。変形例では、膨張部材46は動的膨張タービンである。膨張部材46は、中間熱交換器44からの冷却された流れ60を主熱交換器32に導入する前に膨張させて液化することができる。
【0055】
図2を参照すると、空冷式熱交換器22は、空気入口77と空気出口78との間に延びるローカル軸A-A'に沿って気体流のための内部循環管72を画定する筐体70を有している。
【0056】
空気入口77を通って筐体70に入る空気の流れは大気条件下にある。空気出口78を通って抽出された空気の流れは、熱交換器を通過した後、空気入口77での温度より高い温度を有する。この空気の流れは蒸気を含んでおり、自由水を含んでいない。
【0057】
空冷式熱交換器22は、冷却される流れ24を内部循環管72を通って循環させるために内部循環管72を通るチューブ束74と、気体流を内部循環管72を通ってチューブ束74のチューブの周りを押し流すことができる少なくとも1つのファン76とを更に有している。
【0058】
チューブ束74は、冷却される流れ24を内部循環管72を通って搬送するように構成されている複数のチューブを有している。チューブは、冷却される流れ24を、内部循環管72を循環する気体流と非接触の熱交換関係に置くことができる。
【0059】
この例では、チューブ束74のチューブは、循環軸A-A'に対して横断して延びている。チューブ束74のチューブは、循環軸A-A'に沿って複数のレベルN1~N2で互いに平行に配置されている。
【0060】
図2に示されている例では、循環軸A-A'は垂直方向に延びている。チューブ束74のチューブは、垂直軸に沿って互いに上下に設けられた複数のレベルN1~N2で水平方向に延びている。
【0061】
チューブ束74のチューブは、冷却される流れ24のみを含む。チューブの外面及び/又は内面を滑らかにすることができるか、或いは金属の塊で加工されるか又は取り付けられる構造体又はフィンの形態の改良表面をチューブは有することができる。
【0062】
ファン76のプロペラは、循環軸A-A'に対して横断して配置されている。この例では、ファン76のプロペラは、筐体70によって画定された内部循環管72の出口で気体の循環方向に関してチューブ束74の下流側に配置されている。変形例では、ファン76のプロペラは、気体の循環方向に関してチューブ束74の上流側に配置されている。
【0063】
ファン76のプロペラが回転するとき、プロペラは、内部循環管72内を循環する空気の流れをチューブ束74のチューブの周りで上流側から下流側に押し流す。
【0064】
ここで、ファン76のプロペラはチューブ束74のチューブの上方に配置されている。ファン76のプロペラは、内部循環管72内を底部から最上部に循環する空気の流れを作ることができる。
【0065】
噴霧組立体26は、液体の脱塩水を噴霧してチューブ束74のチューブと接触させるために、脱塩組立体20から連通する複数の脱塩水噴霧ノズル80をチューブ束74のチューブに向けて有している。
【0066】
ここで脱塩水は、脱塩水噴霧ノズル80からの噴出物の形態で噴霧される。脱塩水噴霧ノズル80からの噴出物は、チューブ束74のチューブに直接噴霧される。
【0067】
噴霧組立体26は、脱塩水を脱塩水噴霧ノズル80に向かって移すための取入管82と、前記脱塩水噴霧ノズル80によってチューブ束74のチューブに噴霧される水の流量を制御するための制御ユニット84とを更に有している。
【0068】
図2に示されている非限定例では、噴霧組立体26は、チューブ束74の第1のレベルのチューブに対向して設けられた少なくとも第1のノズルバー85と、第1のレベルに対して循環軸A-A'に沿って軸方向に偏移してチューブ束74の第2のレベルのチューブに対向して設けられた少なくとも第2のノズルバー86とを有している。
【0069】
従って、脱塩水噴霧ノズル80による水分配は循環軸A-A'に沿って段階的に行われる。
【0070】
図2に示されている例では、脱塩水噴霧ノズル80の全てが、管状の筐体70によって画定された内部循環管72の内部に配置されている。各脱塩水噴霧ノズル80は、水をチューブ束74のチューブに直接噴霧するためにチューブに直接対向して配置されている。
【0071】
脱塩水噴霧ノズル80の内の少なくとも一部はチューブ束74の2本のチューブ間に設けられている。
【0072】
ここで、脱塩水噴霧ノズル80は、重力によってチューブ束74のチューブに落ちる水噴出物を生成するために下方に向いている。
【0073】
取入管82は、脱塩水を供給するために脱塩組立体20に下流側で連結されている。
【0074】
制御ユニット84は、少なくとも1つの流量調節バルブ90を取入管82に有しており、脱塩水噴霧ノズル80に供給される水の流量を流量調節バルブ90によって調節することができる制御ユニット92を更に有しているため、チューブ束74のチューブと液体の形態で接する脱塩水噴霧ノズル80からの脱塩水が完全に蒸発し、ひいては、チューブ束74の下流側での水噴霧組立体26からの過度な液体の脱塩水を防止する。
【0075】
脱塩水噴霧ノズル80によって噴霧される水噴出物は、チューブ束74のチューブの表面の方にのみ向けられる。水噴出物は、チューブ束74のチューブの表面に液体の形態で達することができ、この表面で完全に蒸発する。
【0076】
従って、収集槽を避けて水の最適な使用による恩恵を受けるために、チューブ束74を過ぎて下流側に水を押し流さない。変形例では、自由水で脱塩水噴霧ノズル80によって噴霧される水のごく一部を押し流す。どのような場合でも、脱塩水噴霧ノズル80による水の噴霧に起因する液体の蓄積が、チューブ束74の下流側で生じない。
【0077】
図1を参照すると、第2の噴霧組立体27は、ガスタービン42に設けられている少なくとも1つの第2の噴霧ノズル90A と、第2の噴霧ノズル90A に連通する脱塩水取入管92A とを有している。
【0078】
この中間の水注入によって、ガスタービンの性能を高めることが可能になる。
【0079】
冷却用の圧縮器40を駆動するガスタービン42は水注入によって増加する出力による恩恵を受ける。
【0080】
脱塩組立体20は、塩水取込部100 と、脱塩ユニット102 と、塩水取込部100 及び脱塩ユニット102 間に配置された上流塩水取込ポンプ104 とを有している。
【0081】
脱塩組立体20は、水域12へのブライン放出出口106 と、水噴霧組立体26, 27への脱塩水放出ポンプ108 とを更に有している。
【0082】
塩水取込部100 は、水域12に下方へ延びている。塩水取込部100 は、本出願人による仏国特許出願公開第3036412 号明細書又は仏国特許出願公開第3037343 号明細書の1つに記載されているように、例えばライザに連結されている。
【0083】
脱塩ユニット102 は、例えば多段逆浸透システム、濾過システム及び研磨部を有している。
【0084】
脱塩ユニット102 は、塩分濃度が一般に20 g/lを超える海水から、塩分濃度が実質的にゼロの脱塩水(伝導率<0.2 μS)と、塩分濃度が海水の塩分濃度より高いブラインとを生成することができる。ブラインは、ブライン放出出口106 を通って放出され得る。脱塩水は、脱塩水放出ポンプ108 によって噴霧組立体26, 27に分配され得る。
【0085】
脱塩水放出ポンプ108 は、夫々の取入管82, 92A に下流側で連結されている。
【0086】
本発明に係る天然ガス液化装置10の動作を図1及び図2を参照して説明する。
【0087】
最初に、加圧された天然ガスを地下貯留槽から、天然ガス液化装置10の天然ガス源30に送る。天然ガスは、主熱交換器32を通って搬送されて、冷却サイクル36を循環する冷媒と熱交換関係になる。
【0088】
従って、天然ガスは、天然ガスの質及び液化法に応じて、例えば-100 ℃と-164 ℃との間の温度に冷却される。液化システム34では、天然ガスはフラッシュ膨張を受けて液化されてもよい。液化天然ガスは、メタンタンカ又は平底荷船を用いて放出される前に貯留槽に回収される。
【0089】
主熱交換器32からの再加熱された冷媒は、圧縮器40に運ばれて圧縮器40で圧縮される。その後、圧縮された冷媒は、チューブ束74のチューブ内を循環するために空冷式熱交換器22に、冷却される流れ24の形態で搬送される。
【0090】
同時的に、脱塩組立体20の上流塩水取込ポンプ104 は、塩水を塩水取込部100 を通して汲み上げて脱塩ユニット102 に移すために起動する。脱塩ユニット102 では、塩水が脱塩されて脱塩水及びブラインが生成される。脱塩水は、脱塩水放出ポンプ108 によって取入管82, 92A に送り出される。
【0091】
その後、噴霧組立体26が起動する。脱塩組立体20からの脱塩水は、チューブ束74のチューブに直接噴霧される水噴出物を生成するために各脱塩水噴霧ノズル80に搬送される。
【0092】
チューブに噴霧される水は、チューブの外面に接して蒸発し、チューブ束74のチューブを通って循環する冷却される流れ24の冷却熱出力を生み出す。
【0093】
これは、脱塩水噴霧ノズル80がチューブ束74の様々なレベルに、例えば第1のノズルバー85及び第2のノズルバー86に分散しているときに特に有効である。
【0094】
ファン76が、空気の流れを循環軸A-A'に沿って内部循環管72内を循環させるために起動して、抽出された熱を放出することが可能になる。
【0095】
チューブ束74のチューブで蒸発しなかった残留水が、内部循環管72内で徐々に蒸発して、徐々に温まる空気になる。
【0096】
制御ユニット84は、脱塩水噴霧ノズル80によって噴霧される水が全てチューブ束74の出口で蒸発するように、取入管82を通って循環する水の流量を制御する。
【0097】
脱塩水噴霧ノズル80に供給される水の最適な流量は、分縮の場合に与えられる冷却されるか又は冷たい流体の温度設定値を満たすように自動的に決定される。一又は複数のファン76の動作状態は、この水流量最適化に関連付けられ得る。水の最適な流量は、熱交換器の物理的パラメータ、周囲空気の温度及び/又は湿度、ファン76による空気流量、並びに処理側で放出される熱に応じて、制御ユニット84によって各時点で計算することにより、更に予測され得る。使用するノズルの数は供給量に応じて最適化され得る。
【0098】
このため、自由水がチューブ束74の下流側で回収されることを防止しながら、蒸発による冷却の有効性が最適化される。
【0099】
流量の最適化のこの計算は、機器を定めるために使用されている熱交換に対処するためのアルゴリズムに基づいている。
【0100】
従って、天然ガス液化装置10への扱い難い水取入管を必要としない空冷式熱交換器22を用いて、冷却される流れ24を特に効率的に冷却する。
【0101】
脱塩水生成装置の大部分又は全てが、炭化水素生成ゾーンから離れたゾーン、例えばFLNGの船体に設けられ得る。従って、空冷式熱交換器22の小型化が最適になり、天然ガスの生成機器又は液化機器のための利用可能な空間が広がる。従って、天然ガス液化装置10の能力全体が高まる。
【0102】
図2に示されている例では、筐体70は、チューブ束74の上流側から底部に向かって垂直な管72を画定している。
【0103】
変形例では、必要性、つまり、いずれの場合も遵守される空気の流れの方向、チューブ束及びノズルの数、チューブと直接接する液体水の原理及び表面での液体水の全蒸発量に基づき、設計パラメータが最適化される。
【0104】
変形例では、空気の流れは管72内を最上部から底部に押し流される。
【0105】
直接動作によってこの方法で得ることが可能な温度が、冷却水(直の海水又は海水に対する冷却された真水)で得ることが可能な温度より実質的に高いとき、熱交換器22からの冷却された流れ25は、冷却サイクルに一体化された中間熱交換器44に搬送されて、更なる冷却を受け、その後、膨張部材46で膨張されて主熱交換器32に再導入される。この流れは図3に示されている。
【0106】
この場合の冷却方法も同様に、エネルギー又は生成量の点で従来の水冷却で得られるものと同等になるが、従来の冷却水の必要性を著しく低下させるという利点がある。
【0107】
中間熱交換器44は、図3に示されているように水域12からの海水によって冷却される。
【0108】
更に冷却する図3の変形例では、天然ガス液化ユニット18は、冷媒が温まる中間熱交換器44を組み込む更なる冷却サイクル120 を有している。
【0109】
図3に示されている更なる冷却サイクル120 は、冷媒が中間熱交換器44を通過した後に冷媒を冷却するように構成されている第1の熱交換器122 と、更なる中間熱交換器44からの冷媒を第1の熱交換器122 に送り出すことができる更なるポンプ124 とを更に有している。
【0110】
塩水取込部100 から連通する塩水循環管126 によって、塩水が第1の熱交換器122 に更に供給される。
【0111】
塩水循環管126 は、上流塩水取込ポンプ104 の下流側であって脱塩ユニット102 の上流側から引き出されている。塩水取込部100 によって回収される海水を更なるポンプ124 からの冷媒と非接触の熱交換関係に置くために、塩水循環管126 は熱交換器122 を貫通している。
【0112】
塩水循環管126 は、下流側で水域12に延びている。
【0113】
動作中、水域12からの塩水を、塩水取込部100 を通して取り込んで、上流塩水取込ポンプ104 によって塩水循環管126 の方に部分的に逸らせる。塩水は、第1の熱交換器122 を循環する冷媒が中間熱交換器44を通過する前に冷媒を冷却しながら温まる。
【0114】
図3の変形例では、中間熱交換器44は、図4及び図5に示されているように海水によって直接冷却される。
【0115】
図4の例では、中間熱交換器44を冷却する海水は、更なるポンプ124 によって海水取入管から脱塩ユニット102 に送り出される。この海水取入管は下流側で水域12に延びている。
【0116】
図5の例では、中間熱交換器44の冷却を保証する海水が、中間熱交換器44を含むモジュールに片持ちで取り付けられた、船体から独立した外部のポンプステーションから汲み上げられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6