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特許7061141太陽光発電封止材フィルムのためのポリオレフィン組成物
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  • 特許-太陽光発電封止材フィルムのためのポリオレフィン組成物 図1
  • 特許-太陽光発電封止材フィルムのためのポリオレフィン組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】太陽光発電封止材フィルムのためのポリオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20220420BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20220420BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20220420BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20220420BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20220420BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K5/14
C08K5/5425
C08K5/54
H01L31/04 560
C09K3/10 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019568153
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 CN2017108570
(87)【国際公開番号】W WO2019000744
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/090770
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】マー、ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユー
(72)【発明者】
【氏名】スン、ヤーピン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、カイナン
(72)【発明者】
【氏名】コーゲン、ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】パーソン、ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホン
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-024492(JP,B1)
【文献】特表2013-539801(JP,A)
【文献】特開2013-229410(JP,A)
【文献】特開2014-070176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
H01L 31/048
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止材フィルムを形成するための硬化性組成物であって、
(a)ポリオレフィンポリマーと、
(b)有機過酸化物と、
(c)シランカップリング剤と、
(d)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤であって、
[R,RSiO2/2 (I)、
式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、フェニル、またはRである、助剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、3であり、(ii)各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rが、ビニルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rが、ビニルであり、各Rが、メチルであり、(v)各Rが、アリルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rが、アリルであり、各Rが、メチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、4であり、(ii)各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rが、ビニルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rが、ビニルであり、各Rが、メチルであり、(v)各Rが、アリルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rが、アリルであり、各Rが、メチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、5または6であり、(ii)各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rが、ビニルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rが、ビニルであり、各Rが、メチルであり、(v)各Rが、アリルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rが、アリルであり、各Rが、メチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
(a)ポリオレフィンポリマーと、
(b)有機過酸化物と、
(c)シランカップリング剤と、
(d)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤であって、
[R,RSiO2/2 (I)、
式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、フェニル、またはRである、助剤と、の反応生成物を含む架橋ポリマー組成物を含む、封止材フィルム。
【請求項7】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、3であり、(ii)各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rが、ビニルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rが、ビニルであり、各Rが、メチルであり、(v)各Rが、アリルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rが、アリルであり、各Rが、メチルである、請求項6に記載の封止材フィルム。
【請求項8】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、4であり、(ii)各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rが、ビニルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rが、ビニルであり、各Rが、メチルであり、(v)各Rが、アリルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rが、アリルであり、各Rが、メチルである、請求項6に記載の封止材フィルム。
【請求項9】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、5または6であり、(ii)各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rが、ビニルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rが、ビニルであり、各Rが、メチルであり、(v)各Rが、アリルであり、各Rが、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rが、アリルであり、各Rが、メチルである、請求項6に記載の封止材フィルム。
【請求項10】
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項6~9のいずれかに記載の封止材フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月29日に提出された国際出願第PCT/CN2017/090770号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、太陽光発電(PV)封止材フィルムのためのポリオレフィンポリマー組成物に関する。一態様では、開示は、封止材フィルムを形成するためのより短いプロセス時間を提供するポリオレフィンポリマー組成物に関する。別の態様では、開示は、ポリオレフィンポリマー組成物を含むPV封止材フィルム、およびそれを含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
代替エネルギーの世界的な需要により、過去10年間でソーラーパネルおよびPVモジュール生産が大幅に増加した。太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽セル(PVセルとも呼ばれる)は、非常に壊れやすく、耐久性のある封止材フィルムに囲まれていなければならない。封止材フィルムの2つの主な機能は、(1)太陽セルをガラスカバーシートおよびバックシートに貼り合わせること、ならびに(2)環境ストレス(例えば、湿気、温度、衝撃、振動、電気絶縁など)からPVモジュールを保護することである。EVAは、封止材フィルムに必要な特性の良好なバランスを示すので、現在の封止材フィルムは、主にエチレン酢酸ビニル(EVA)で作製されている。EVAは、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーの一種であり、不飽和カルボン酸エステルコモノマーは、カルボン酸ビニルである。
【0004】
エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーではないポリオレフィンエラストマー(POE)などの特定のポリオレフィンポリマーは、封止材フィルムを形成するためのEVAの代替として特定されており、EVAと比較して、例えば、電気抵抗率、湿潤および熱安定性、ならびに耐候性における利点を有する。しかしながら、従来のPOE系組成物は、EVA系組成物と比較して、封止材フィルムを形成するためのより長いプロセス時間を有する。その結果、当該技術分野は、硬化、接着力、体積抵抗率などの良好な性能を維持しながら、封止材フィルムを形成するための短いプロセス時間を提供する新規のPOE系組成物の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0005】
特定の実施形態では、本開示は、封止材フィルムを形成するための硬化性組成物を対象とし、組成物は、
(a)ポリオレフィンポリマーと、
(b)有機過酸化物と、
(c)シランカップリング剤と、
(d)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤であって、
[R,RSiO2/2(I)、
式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、フェニル、またはRである、助剤と、を含む。
【0006】
さらなる実施形態では、本開示は、
(a)ポリオレフィンポリマーと、
(b)有機過酸化物と、
(c)シランカップリング剤と、
(d)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤であって、
[R,RSiO2/2(I)、
式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各Rが、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rが、独立して、H、(C-C)アルキル、フェニル、またはRである、助剤と、の反応生成物を含む架橋ポリマー組成物を含む、封止材フィルムを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的な太陽光発電モジュールの分解斜視図である。
図2】本開示の特定の例の浸漬時間対浸漬パーセンテージ曲線である。
【0008】
定義
元素周期表へのいずれの参照も、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この周期表の元素の族への参照は、族の番号付与の新しい表記法による。
【0009】
米国特許実務を目的として、参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は必ず、内容全体が、特に定義の開示、およびこの技術分野における一般的な知識に関して(本開示において具体的に提供される定義に決して矛盾しない程度に)、参照により本明細書に組み込まれる(または、相当する米国特許出願が同じように参照により組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値の全ての値を含む。明確な数値(例えば、1または2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、いずれかの2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0011】
相反して述べられていないか、文脈から暗黙的であるか、または当該技術分野で習慣的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものある。
【0012】
別段の記載がない限り、全ての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。
【0013】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」などの用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、ならびにドメイン構成を測定および/または特定するために使用される任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含む場合があるか、または含まない場合がある。ブレンドは、積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含んでもよい。
【0014】
本明細書で使用される「組成物」は、組成物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0015】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、工程、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別のものであるかにかかわらず、いかなる追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙されたメンバーを個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も含まれる。
【0016】
「直接接触する」は、これによって第1の層が第2の層に直接隣接して位置し、第1の層と第2の層との間に介在層および介在構造が存在しない層構成を指す。
【0017】
「助剤」という用語は、架橋を促進する化合物、すなわち、硬化助剤を意味する。「助剤(coagent)」、「助剤(co-agent)」、「架橋助剤(coagent)」、および「架橋助剤(co-agent)」という用語は、本明細書で互換的に使用される。「従来の助剤」は、架橋を促進し、そのそれぞれの骨格または環部分構造に炭素原子を含む非環式または環式化合物である。よって、従来の助剤の骨格または環部分構造は、炭素に基づく(炭素系の部分構造)。対照的に、ケイ素ベースの助剤は、架橋を促進し、そのそれぞれの骨格または環部分構造にケイ素原子を含む非環式または環式化合物を意味する。式(I)の単環式オルガノシロキサンは、環式ケイ素系助剤である。POE系組成物における従来の助剤の使用は、最新技術の代表である。
【0018】
「硬化」および「架橋」という用語は、本明細書では互換的に使用され、開環重合なしで架橋生成物(ネットワークポリマー)を形成することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「開環触媒」という用語は、環式シロキサンモノマーの開環重合反応を開始する、および/または開環重合反応の速度を高める物質を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「開環重合」という用語は、ポリマー鎖の反応性末端が環式モノマーの環を開いてより長いポリマー鎖を与える連鎖成長重合反応の一種である。
【0021】
本明細書で使用される「ポリマー」は、同じまたは異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。よって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において定義されるインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物、例えば触媒残渣は、ポリマー中に、および/またはポリマー内に取り込まれる可能性がある。
【0022】
本明細書で使用される「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、このインターポリマーという総称は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0023】
「プロピレン系」、「プロピレン系ポリマー」、「ポリプロピレン」、および同様の用語は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)~100重量%の重合プロピレンモノマーを含むポリマーを指し、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。そのような用語には、プロピレンホモポリマーおよびプロピレンインターポリマー(プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーなどのプロピレンおよび1つ以上のコモノマーから誘導される単位を意味する)が含まれる。
【0024】
「エチレン系」、「エチレン系ポリマー」、「ポリエチレン」、および同様の用語は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50重量%~100重量%の重合エチレンモノマーを含むポリマーを指し、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。そのような用語には、エチレンホモポリマーおよびエチレンインターポリマー(エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーなどのエチレンおよび1つ以上のコモノマーから誘導される単位を意味する)が含まれる。
【0025】
本明細書で使用される「アルファ-オレフィン」は、一次(アルファ)位置にエチレン不飽和を有する炭化水素分子である。例えば、本明細書で使用される「(C-C20)アルファ-オレフィン」は、(i)1つのみのエチレン不飽和であって、第1および第2の炭素原子の間に位置する不飽和と、(ii)3~20個の炭素原子のうちの、少なくとも3個の炭素原子と、を含む炭化水素分子からなる炭化水素分子である。例えば、本明細書で使用される(C-C20)アルファ-オレフィンは、HC=C(H)-Rを指し、式中、Rは、直鎖(C-C18)アルキル基である。(C-C18)アルキル基は、1~18個の炭素原子を有する一価非置換飽和炭化水素である。Rの非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、およびオクタデシルである。(C-C20)アルファ-オレフィンの非限定的な例には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、およびこれらのモノマーの2つ以上の混合物が含まれる。(C-C20)アルファ-オレフィンは、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのアルファ-オレフィンをもたらす、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環式構造を有し得る。(C-C20)アルファ-オレフィンは、エチレンモノマーとのコモノマーとして使用され得る。
【0026】
「エチレン含有ポリマー」という用語は、HC=CHから誘導される繰り返し単位を含む高分子を意味する。
【0027】
「ポリオレフィンエラストマー」または「POE」は、50重量%以上の重合アルファ-オレフィンモノマー(エチレンを含む)を含むエラストマーポリマーを指す。「ポリオレフィンエラストマー」には、本明細書に記載されるエチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるとき、「ポリオレフィンエラストマー」という用語は、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーを除外する。
【0028】
「非極性ポリマー」および同様の用語は、永久双極子を有さないポリマーを指し、すなわち、ポリマーは、正端および負端を有さず、ヘテロ原子および官能基を含まない。「官能基」および同様の用語は、特定の化合物にその特徴的な反応を与えることに関与する原子の部分または群を指す。官能基の非限定的な例には、ヘテロ原子含有部分、酸素含有部分(例えば、アルコール、アルデヒド、エステル、エーテル、ケトン、および過酸化物基)、および窒素含有部分(例えば、アミド、アミン、アゾ、イミド、イミン、硝酸塩、ニトリル、および亜硝酸塩基)が含まれる。「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の原子である。
【0029】
「太陽光発電セル」、「PVセル」、および同様の用語は、当該技術分野で知られているいくつかの無機または有機タイプのいずれかの1つ以上の太陽光発電効果材料を含む構造を意味する。例えば、一般的に使用される太陽光発電効果材料には、結晶性ケイ素、多結晶性ケイ素、非晶質ケイ素、(ジ)セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、セレン化銅インジウム(CIS)、テルル化カドミウム、ヒ化ガリウム、色素増感材料、および有機太陽セル材料を含むが、これらに限定されない、既知の太陽光発電効果材料のうちの1つ以上が含まれる。図1に示されるように、PVセルは、典型的には積層構造で使用され、入射光を電流に変換する少なくとも1つの光反応性表面を有する。太陽光発電セルは、この分野の当業者に周知であり、一般にはセル(複数可)を保護し、それらの様々な適用環境、典型的には屋外適用におけるそれらの使用を可能にする太陽光発電モジュールにパッケージ化されている。PVセルは、本質的に柔軟性または剛性であり、太陽光発電効果材料と、それらの生産ならびに適切な配線および電子駆動回路に適用される任意の保護コーティング表面材料とを含み得る。
【0030】
「太陽光発電モジュール」、「PVモジュール」、および同様の用語は、PVセルを含む構造を指す。PVモジュールはまた、カバーシート、前面封止材フィルム、背面封止材フィルム、およびバックシートを含んでもよく、PVセルは、前面封止材フィルムと背面封止材フィルムとの間に挟まれている。
【0031】
「室温」は、約20~約25℃の温度範囲を指す。
【0032】
「さらに加工する」、「さらに加工された」、および同様の用語は、配合、ブレンド、溶融ブレンド、押出(例えば、フィルム押出)、混練、吸収、射出、および成形(例えば、射出成形、圧縮成形、ブロー成形など)を含むが、これらに限定されない、ポリオレフィンの製造プロセスステップを指す。適切な配合装置の非限定的な例には、内部バッチミキサー(例えば、BANBURYおよびBOLLING内部ミキサー)および連続一軸または二軸ミキサー(例えば、FARREL連続ミキサー、BRABENDER一軸ミキサー、WERNERおよびPFLEIDERER二軸ミキサー、ならびにBUSS混練連続押出機)が含まれる。利用されるミキサーの種類、およびミキサーの操作条件は、粘度、体積抵抗率、および押出表面平滑度などの組成物の特性に影響を及ぼし得る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
現在、封止材フィルムは、主にEVAで作製されている。しかしながら、それらが封止材フィルムに提供することができる特定の利点(電気抵抗率、湿潤および熱安定性、ならびに耐候性を含むが、これらに限定されない)のために、EVA系組成物を、EVAを含まないポリオレフィンポリマー組成物(例えば、本明細書で定義されるポリオレフィンエラストマー(POE))で置き換えることに強い関心がある。しかしながら、POE系封止材フィルムの形成に存在する課題は、EVA系封止材フィルムの形成に比べて、より長いプロセス時間である。具体的には、EVA系またはPOE系封止材フィルムを形成するためのプロセスにおいて、初期ステップは、EVAまたはPOEを硬化パッケージ(過酸化物、シランカップリング剤、および架橋助剤を含む)で浸漬することであり得る。POEについて、この初期浸漬ステップは、従来の硬化パッケージを使用する場合のEVA(例えば、約1時間)と比較して、はるかに長い時間(例えば、最大16時間)かかる可能性がある。したがって、POEのより長い浸漬時間は、生産性を著しく制限し、POE系封止材フィルムを形成するための製造コストを増加させ得る。そのために、本開示は、従来の架橋助剤(例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC))が式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤で置き換えられる場合、POEを硬化パッケージで浸漬するために必要な時間の驚くべきかつ予想外の短縮を提供する。
【0034】
組成物
本開示の組成物(「本組成物」)は、封止材フィルムを形成するための硬化性組成物であり、組成物は、(A)ポリオレフィンポリマーと、(B)有機過酸化物と、(C)シランカップリング剤と、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤と、を含む。
【0035】
(A)ポリオレフィンポリマー
本組成物は、ポリオレフィンポリマーを含む。特定の実施形態では、本組成物は、80重量%~99.99重量%(例えば、80重量%~99.88重量%、85重量%~99.88重量%、88重量%~99.88重量%、90重量%~99重量%、95重量%~99重量%、97重量%~99重量%、97.50重量%~98.50重量%、97.75重量%~98.25重量%など)のポリオレフィンポリマーを含む。別の言い方をすると、特定の実施形態では、本組成物は、80重量%、または85重量%、または88重量%、または90重量%、または95重量%、または97重量%、または97.50重量%、または97.75重量%~98.25重量%、または98.5重量%、または99重量%、または99.88重量%、または99.99重量%のポリオレフィンポリマーを含む。
【0036】
特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、本明細書で定義されるポリオレフィンエラストマーである。さらなる実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、非極性ポリオレフィンエラストマーである。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、50~100重量%のエチレンモノマー単位、50~0重量%の(C~C20)アルファ-オレフィン由来のコモノマー単位、および任意に20~0重量%のジエンコモノマー単位を含む、エチレン系ポリマーであり、総重量パーセントは、100重量%である。ジエンコモノマー単位を作製するために使用されるジエンは、1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、またはビニルノルボルネンであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、50~100重量%のプロピレンモノマー単位、50~0重量%のエチレンまたは(C~C20)アルファ-オレフィン由来のコモノマー単位、および任意に20~0重量%のジエンコモノマー単位を含む、プロピレン系ポリマーであり、総重量パーセントは、100重量%である。ジエンコモノマー単位を作製するために使用されるジエンは、1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、またはビニルノルボルネンであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、99~100重量%の(C~C20)アルファ-オレフィンモノマー単位を含むポリ((C~C20)アルファ-オレフィン)ホモポリマーまたは99~100重量%の少なくとも2つの異なる(C~C20)アルファ-オレフィンモノマー/コモノマー単位を含むポリ((C~C20)アルファオレフィン)コポリマーである。
【0040】
特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダムまたはブロックインターポリマーであり得る。ブロックインターポリマーには、マルチブロックコポリマーおよびジブロックコポリマーが含まれる。適切なエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの非限定的な例には、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/1-ブテン、およびエチレン/ブテン/1-オクテンインターポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。適切なエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの非限定的な例には、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、およびエチレン/1-オクテンコポリマーが含まれる。
【0041】
特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであり、「アルファ-オレフィン」にはエチレンが含まれる。いくつかの実施形態では、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。
【0042】
特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ASTM D792に従って、0.850g/cc~0.900g/cc(例えば、0.855g/cc~0.900g/cc、0.860g/cc~0.900g/cc、0.865g/cc~0.900g/cc、0.870g/cc~0.890g/cc、0.875g/cc~0.890g/cc、0.875g/cc~0.885g/cc、および/または0.880g/cc~0.885g/cc)の密度を有する。別の言い方をすると、ポリオレフィンポリマーは、ASTM D792に従って、0.850g/cc、または0.855g/cc、または0.860g/cc、または0.865g/cc、または0.870g/cc、または0.875g/cc、または0.880g/cc~0.885g/cc、または0.890g/cc、または0.900g/ccの密度を有する。
【0043】
特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ASTM D1238に従って、190℃/2.16kgで、1g/10分~100g/10分(例えば、1g/10分~75g/10分、1g/10分~50g/10分、1g/10分~45g/10分、1g/10分~40g/10分、1g/10分~35g/10分、1g/10分~30g/10分、5g/10分~25g/10分、10g/10分~25g/10分、15g/10分~25g/10分、15g/10~20g/10分、および/または18g/10分~20g/10分)のメルトインデックス(MI)を有する。別の言い方をすると、特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、ASTM D1238に従って、190℃/2.16kgで、1g/10分、または5g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または18g/10分~20g/10分、または25g/10分、または30g/10分、または35g/10分、または40g/10分、または45g/10分、または50g/10分、または75g/10分、または100g/10分のメルトインデックスを有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、40℃~125℃の融点を有する。別の言い方をすると、いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、40℃、または45℃、または50℃、または55℃~60℃、または65℃、または70℃、または80℃、または90℃、または95℃、または100℃、または110℃、または120℃、または125℃の融点を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、-35℃~-100℃のガラス転移温度(Tg)を有する。別の言い方をすると、いくつかの実施形態では、ポリオレフィンポリマーのガラス転移温度(Tg)は、-35℃、または-40℃、または-45℃、または-50℃~-80℃、または-85℃、または-90℃、または-95℃、または-100℃である。
【0046】
さらなる実施形態では、本開示のポリオレフィンポリマーは、エチレン/プロピレンコポリマー(例えば、エチレン-プロピレンゴムおよび/またはエチレン-プロピレンターポリマー)を除く、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである。
【0047】
特定の実施形態では、ポリオレフィンポリマーは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、または全てを有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである:
(i)0.850g/cc、または0.855g/cc、または0.860g/cc、または0.865g/cc、または0.870g/cc、または0.875g/cc、または0.880g/cc~0.885g/cc、または0.890g/cc、または0.900g/ccの密度、
(ii)1g/10分、または5g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または18g/10分~20g/10分、または25g/10分、または30g/10分、または35g/10分、または40g/10分、または45g/10分、または50g/10分、または75g/10分、または100g/10分のメルトインデックス、および/あるいは
(iii)40℃、または45℃、または50℃、または55℃~60℃、または65℃、または70℃、または80℃、または90℃、または95℃、または100℃、または110℃、または120℃、または125℃の融点(Tm)。
【0048】
ポリオレフィンポリマーは、前述の実施形態のうちの2つ以上のブレンドまたは組み合わせであってもよい。ポリオレフィンポリマーは、1つ以上の他のポリマーとブレンドまたは希釈されてもよい。
【0049】
ポリオレフィンポリマーは、当該技術分野で知られている任意の適切なプロセスによって作製され得る。本開示のポリオレフィンポリマーを調製するために、ポリオレフィンポリマーを生産するための従来のまたは今後発見される任意の生産プロセスが使用され得る。例示的、非限定的な生成プロセスは、チーグラー・ナッタ、酸化クロム、メタロセン、拘束ジオメトリ、ポストメタロセン触媒を含むが、これらに限定されない、1つ以上の重合触媒を使用して行われる高圧重合プロセスまたは配位重合プロセスなどの1つ以上の重合反応を含む。適切な温度は、0~250℃、または30~200℃である。適切な圧力は、大気圧(101kPa)~10,000気圧(約1,013メガパスカル(「MPa」))である。ほとんどの重合反応では、用いられる重合可能なオレフィン(モノマー/コモノマー)に対する触媒のモル比は、10-12:1~10-1:1、または10-9:1~10-5:1である。
【0050】
ポリオレフィンポリマーの非限定的な例には、The Dow Chemical CompanyからのENGAGE(商標)Polyolefin Elastomers、The Dow Chemical CompanyからのAFFINITY(商標)Polyolefin Plastomers、The Dow Chemical CompanyからのINFUSE(商標)Olefin Block Copolymers、The Dow Chemical CompanyからのINTUNE(商標)PP系Olefin Block Copolymers、Exxon Chemical CompanyからのEXACT(商標)樹脂、Mitsui ChemicalsからのTAFMER(商標)樹脂、LG ChemicalからのLUCENE(商標)樹脂、Eastman Chemical CompanyからのEASTOFLEX(商標)樹脂、およびThe Dow Chemical CompanyからのFLEXOMER(商標)樹脂が含まれる。
【0051】
(B)有機過酸化物
本組成物は、有機過酸化物を含む。特定の実施形態では、本組成物は、0.1重量%~3重量%(例えば、0.1重量%~2.5重量%、0.1重量%~2重量%、0.5重量%~1.5重量%、および/または1重量%~1.5重量%)の有機過酸化物を含む。別の言い方をすると、本組成物は、0.1重量%、または0.5重量%、または1重量%~1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%の有機過酸化物を含む。
【0052】
特定の実施形態では、有機過酸化物は、炭素原子、水素原子、および2つ以上の酸素原子を含み、少なくとも1つの-O-O-基を有する分子であり、ただし、複数の-O-O-基が存在する場合、各-O-O-基は、1つ以上の炭素原子またはそのような分子の集合を介して、別の-O-O-基に間接的に結合している。
【0053】
有機過酸化物は、式R-O-O-Rのモノペルオキシドであってもよく、式中、各Rは、独立して、(C-C20)アルキル基または(C-C20)アリール基である。各(C-C20)アルキル基は独立して、非置換であるか、または1もしくは2つの(C-C12)アリール基で置換されている。各(C-C20)アリール基は、非置換であるかまたは1~4つの(C-C10)アルキル基で置換されている。あるいは、有機過酸化物は、式R-O-O-R-O-O-Rのジペルオキシドであってもよく、式中、Rは、(C-C10)アルキレン、(C-C10)シクロアルキレン、またはフェニレンなどの二価炭化水素基であり、各Rは、上記で定義された通りである。
【0054】
適切な有機過酸化物の非限定的な例には、過酸化ジクミル、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過安息香酸第三級ブチル、過酸化ジ(第三級ブチル)、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3、2,-5-ジ-メチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、第三級ブチルヒドロペルオキシド、過炭酸イソプロピル、アルファ,アルファ´-ビス(第三級ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシル-モノカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロキシペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、アルファ,アルファ´-ビス(t-ブチルペルオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、過酸化ビス(1,1-ジメチルエチル)、過酸化ビス(1,1-ジメチルプロピル)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)ヘキシン、4,4-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)吉草酸、ブチルエステル、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、過酸化ベンゾイル、過安息香酸tert-ブチル、過酸化ジ-tert-アミル(「DTAP」)、ビス(アルファ-t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン(「BIPB」)、過酸化イソプロピルクミルt-ブチル、t-ブチルクミルペルオキシド、過酸化ジ-t-ブチル、2,5-ビス(tブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,1,1-ビス(tブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、イソプロピルクミルクミルペルオキシド、4,4-ジ(tertブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、過酸化ジ(イソプロピルクミル)などが含まれる。
【0055】
適切な市販の有機過酸化物の非限定的な例には、AkzoNobelからのTRIGONOX(登録商標)およびARKEMAからのLUPEROX(登録商標)が含まれる。
【0056】
(C)シランカップリング剤
本組成物は、シランカップリング剤を含む。特定の実施形態では、本組成物は、0.01重量%~2重量%(例えば、0.05重量%~1.5重量%、0.10重量%~1重量%、0.15重量%~0.5重量%、0.2重量%~0.4重量%、および/または0.25重量%~0.3重量%)のシランカップリング剤を含む。別の言い方をすると、本組成物は、0.01重量%、または0.05重量%、または0.10重量%、または0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1重量%、または1.5重量%、または2重量%のシランカップリング剤を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、シランカップリング剤は、少なくとも1つのアルコキシ基を含む。適切なシランカップリング剤の非限定的な例には、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(β-メトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エトキシ-シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、および3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートが含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、またはアリルトリメトキシシランである。
【0059】
(D)助剤
本組成物は、式(I):[R,RSiO2/2(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤を含み、式中、下付き文字nは、3以上の整数であり、各Rは、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rは、独立して、H、(C-C)アルキル、フェニル、またはRである。
【0060】
特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、以下の限定のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nは、3であり、(ii)各Rは、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rは、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rは、ビニルであり、各Rは、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rは、ビニルであり、各Rは、メチルであり、(v)各Rは、アリルであり、各Rは、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rは、アリルであり、各Rは、メチルである。
【0061】
特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、以下の限定のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nは、4であり、(ii)各Rは、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rは、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rは、ビニルであり、各Rは、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rは、ビニルであり、各Rは、メチルであり、(v)各Rは、アリルであり、各Rは、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rは、アリルであり、各Rは、メチルである。
【0062】
特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、以下の限定のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nは、5または6であり、(ii)各Rは、独立して、(C-C)アルケニルであり、各Rは、独立して、H、(C-C)アルキル、または(C-C)アルケニルであり、(iii)各Rは、ビニルであり、各Rは、独立して、(C-C)アルキルであり、(iv)各Rは、ビニルであり、各Rは、メチルであり、(v)各Rは、アリルであり、各Rは、独立して、(C-C)アルキルであり、(vi)各Rは、アリルであり、各Rは、メチルである。
【0063】
特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、アルケニル官能性単環式オルガノシロキサンである。特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、その環に炭素または窒素を含まない環式分子である。
【0064】
特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、交互配置に配置されたケイ素および酸素原子からなる単環部分構造と、不飽和オルガノ基と、任意にH、飽和または芳香族置換基と、を含む分子であって、少なくとも2つの不飽和有機基があり、環部分構造中の少なくとも2つのケイ素原子の各々が、それに結合した少なくとも1つの不飽和オルガノ基を有し、不飽和オルガノ基および酸素原子を考慮した後、ケイ素原子の任意の残った原子価が、H、飽和または芳香族置換基に結合している、分子、またはそのような分子の集合である。
【0065】
式(I)の単環式オルガノシロキサンは、6員環(n=3)、8員環(n=4)、10員環(n=5)、または12員環(n=6)からなる単環式オルガノシロキサンであり得る。環部分構造は、式(I):[R,RSiO2/2(I)の単位からなり、式中、下付き文字n、R、およびRは、先に定義された通りである。各[R,RSiO2/2単位では、そのRおよびR基は、そのケイ素原子に結合している。単位は、従来のオルガノシロキサン簡略表記を用いて、式(I)が[DR1,R2になるように、簡単にDR1、R2として指定され得る。この点について、上付き文字R1およびR2は、それぞれRおよびRと交換可能である。いくつかの態様では、RおよびRは、同じであり、あるいは異なる。
【0066】
式(I)の単環式オルガノシロキサンの特定の実施形態では、Rは、ビニルであり、Rは、エチルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、DVi,Etであり、式中、Viは、ビニルであり、Etは、エチルであり、あるいは、Rは、アリルであり、Rは、エチルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dアリル,Etであり、あるいは、Rは、ブテニル(HC=C(H)CHCH-)であり、Rは、エチルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dブテニル,Etである。いくつかの態様では、Rは、ビニルであり、Rは、ビニルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、DVi,Viであり、あるいは、Rは、アリルであり、Rは、アリルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dアリル、アリルであり、あるいは、Rは、ブテニル(HC=C(H)CHCH-)であり、Rは、ブテニルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dブテニル、ブテニルである。いくつかの態様では、Rは、ビニルであり、Rは、フェニルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、DVi,Phであり、式中、Phは、フェニルであり、あるいは、Rは、アリルであり、Rは、フェニルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dアリル,Phであり、あるいは、Rは、ブテニル(HC=C(H)CHCH-)であり、Rは、フェニルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dブテニル,Phである。Rがメチル(CH)である場合、単位は、式(I)が[DR1になるように、より簡単にDR1として指定され得る。いくつかの態様では、Rは、ビニルであり、Rは、メチルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、DViであり、あるいは、Rは、アリルであり、Rは、メチルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dアリルであり、あるいは、Rは、ブテニル(HC=C(H)CHCH-)であり、Rは、メチルであり、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、Dブテニルである。いくつかの実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、「(DVi」(CAS番号3901-77-7)、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、「(DVi」(CAS番号2554-06-5)、またはその組み合わせである。
【0067】
特定の実施形態では、本組成物の助剤は、式(I)の単環式オルガノシロキサンのみからなる。
【0068】
本組成物中の式(I)の単環式オルガノシロキサンの量は、架橋有効量であり得る。「架橋有効量」という用語は、式(I)の単環式オルガノシロキサンから誘導された多価架橋剤基を介してポリオレフィン高分子を架橋することを可能にする状況下で十分な量(例えば、重量%)を意味する。状況は、式(I)の単環式オルガノシロキサンの装填レベル(重量%)、過酸化物硬化実施形態における有機過酸化物の装填レベル(重量%)、または照射硬化実施形態における照射線量を含み得る。式(I)の単環式オルガノシロキサンの架橋有効量は、特定の装填レベル(重量%)の有機過酸化物または特定の線量レベルの照射で、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含まない比較組成物よりも大きな架橋度を与える。状況はまた、もしあれば、ポリオレフィン組成物中に存在する他の成分またはいずれかの任意の添加剤の総量に依存し得る。
【0069】
本組成物の助剤の架橋有効量の決定に関して、架橋の存在は、ムービングダイレオメーター(MDR)を使用してトルクの増加により検出され得る。いくつかの態様では、架橋の存在は、溶媒抽出パーセンテージ(Ext%)として検出され得る。Ext%=W1/Wo*100%であり、式中、W1は抽出後の重量であり、Woは抽出前の元の重量であり、/は除算を示し、*は乗算を示す。((A)ポリオレフィンポリマーとのカップリングによる)架橋ポリオレフィン生成物中の式(I)の単環式オルガノシロキサンの不飽和オルガノ基(例えば、R)の炭素-炭素二重結合の不在、または低減したレベルは、炭素-13またはケイ素-29核磁気共鳴(13C-NMR分光法および/または29Si-NMR)分光法によって検出され得る。
【0070】
特定の実施形態では、本開示の組成物は、0.01重量%~5重量%(例えば、0.05重量%~4.5重量%、0.1重量%~4重量%、0.15重量%~3.5重量%、0.2重量%~3重量%、0.25重量%~2.5重量%、0.3重量%~2重量%、0.35重量%~1.5重量%、0.4重量%~1.25重量%、0.45重量%~1重量%、0.5重量%~1重量%など)の式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤を含む。別の言い方をすると、本開示の組成物は、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.15重量%、または0.2重量%、または0.25重量%、または0.3重量%、または0.35重量%、または0.4重量%、または0.45重量%、または0.5重量%~1重量%、または1.25重量%、または1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%、または3.5重量%、または4重量%、または4.5重量%、または5重量%の式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤を含む。
【0071】
特定の実施形態では、本組成物は、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤を含むが、ただし、組成物は、ホスファゼン塩基を含まない(すなわち、欠いている)。特定の実施形態では、本組成物は、任意の開環触媒を含まない。さらなる実施形態では、ポリオレフィンポリマーがエチレン含有ポリマーであり、下付き文字n(式(I)の単環式オルガノシロキサンの)が4である場合、本組成物は、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、二酸化チタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される無機充填剤を、24重量%以上含まない、あるいは22重量%以上含まない、あるいは20.0重量%以上含まない、あるいは15重量%以上含まない、あるいは10重量%以上含まない、あるいは全く含まない。さらなる実施形態では、本組成物は、Alを含む固体、Caを含む固体、Mgを含む固体、Siを含む固体、Tiを含む固体、およびそれらの混合物からなる群から選択される任意の無機充填剤を、20重量%以上含まない、あるいは15重量%以上含まない、あるいは10重量%以上含まない、あるいは全く含まない。さらなる実施形態では、本組成物は、シルセスキオキサン、あるいは式(I)の単環式オルガノシロキサンを除く任意のシロキサンを含まない。いくつかの態様では、本組成物は、シルセスキオキサンおよび無機充填剤の上記群のうちのいかなるものも含まない。
【0072】
特定の実施形態では、式(I)の単環式オルガノシロキサンは、従来の助剤の特定の制限を克服する。例えば、従来の助剤は、典型的には、ポリオレフィン組成物への制限された可溶性または混和性を有する。これは、組成物中の助剤の最大装填レベルを制限する。それはまた、助剤を組成物の表面(例えば、ペレットの表面)に不必要に移動させ、組成物の貯蔵寿命を制限する。従来の助剤は、他の問題も引き起こす。例えば、硬化後、それらは不十分な架橋度を有する架橋生成物をもたらし得る。または、組成物は、特定の製造作業における使用には硬化が遅すぎる場合がある。または、組成物は、時期尚早に硬化し得る(すなわち、射出成形およびフィルム押出中にスコーチを生じやすい)。驚くことではないが、これらの問題は、ポリオレフィンで使用されてきた従来の助剤の構造を制限していた。
【0073】
典型的には、従来の助剤は、2つ以上のオレフィン架橋基に結合した従来の部分構造基を含む。従来の部分構造基は、それぞれ骨格または環に炭素原子、ならびに任意に、窒素および/または酸素原子を含むが、ケイ素原子を含まない、骨格または環を含む非環式または環式多価基である。
【0074】
(E)任意の添加剤
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の任意の添加剤を含む。適切な添加剤の非限定的な例には、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、難燃剤、相溶化剤、充填剤、ヒンダードアミン安定剤、ツリー遅延剤、メチルラジカル捕捉剤、スコーチ遅延剤、核剤、カーボンブラック、および加工助剤が含まれる。
【0075】
任意の添加剤は、本組成物の総重量に基づいて、ゼロ超、または0.01重量%、または0.1重量%~1重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%の量で存在する。
【0076】
封止材フィルム
特定の実施形態では、本開示は、(A)ポリオレフィンポリマーと、(B)有機過酸化物と、(C)シランカップリング剤と、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤と、を含む、硬化性組成物を含む封止材フィルムに関する。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、封止材フィルムの全体を形成する。
【0077】
特定の実施形態では、本開示は、(A)ポリオレフィンポリマーと、(B)有機過酸化物と、(C)シランカップリング剤と、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤と、の反応生成物を含む、架橋ポリマー組成物を含む、封止材フィルムに関する。いくつかの実施形態では、架橋ポリマー組成物は、封止材フィルムの全体を形成する。
【0078】
特定の実施形態では、本開示は、硬化性組成物または架橋ポリマー組成物を含む封止材フィルムを形成するためのプロセスに関する。特定の実施形態では、(A)ポリオレフィンポリマー、(B)有機過酸化物、(C)シランカップリング剤、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤、およびいずれかの任意の添加剤を、いずれかの順序で、または同時に、かつ当該技術分野で知られているいずれかの方法(例えば、浸漬、配合など)によって、互いに添加するか、または組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、(B)有機過酸化物、(C)シランカップリング剤、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤、およびいずれかの任意の添加剤は、予め混合され、プレミックスは、当該技術分野で知られているいずれかの方法(例えば、浸漬、配合など)によるさらなる加工(例えば、配合、押出、成形など)の前またはその間に(A)ポリオレフィンポリマーに添加される。いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィンポリマーの乾燥ペレットは、プレミックス(すなわち、(B)有機過酸化物、(C)シランカップリング剤、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤、およびいずれかの任意の添加剤からなる硬化パッケージ)に浸漬され、浸漬ペレットは、次いでさらに加工(例えば、配合、押出、成形など)される。特定の実施形態では、本開示の架橋ポリマー組成物および封止材フィルムは、フィルム押出または圧縮成形により形成される。
【0079】
いくつかの実施形態では、本開示は、封止材フィルムを形成するためのプロセスに関し、プロセスは、(a)ポリオレフィンポリマーをプレミックスで浸漬して浸漬ポリオレフィンポリマーを形成することを含み、プレミックスは、有機過酸化物と、シランカップリング剤と、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤とを含む。さらなる実施形態では、ステップ(a)は、0℃~100℃(例えば、5℃~75℃、10℃~50℃、15℃~45℃、20℃~40℃など)の温度で行われる。さらなる実施形態では、ステップ(a)は、0分~250分(例えば、0分~225分、25分~200分、50分~175分、60分~160分など)の持続時間(すなわち、浸漬時間)で行われる。
【0080】
従来の助剤(例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC))を含む硬化パッケージで浸漬されるポリオレフィンポリマーの乾燥ペレットは、ペレットの完全な浸漬に長い浸漬時間(最大16時間)を必要とし、それによって生産性が制限され、製造コストが増加する。本明細書で定義される「完全な浸漬」は、90%超~100%(例えば、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上など)の浸漬パーセンテージを指す。本明細書で定義される「浸漬パーセント」は、以下:(X3-X2)/X1*100%を指し、式中、X1は、プレミックス(有機過酸化物、シランカップリング剤、および式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤からなる)の総重量であり、X2は、浸漬ステップ(a)前のポリオレフィンポリマーの乾燥ペレットの重量であり、X3は、特定の浸漬時間の浸漬ステップ(a)後のポリオレフィンポリマーのペレットの重量であり、/は、除算を示し、*は、乗算を示す。
【0081】
驚くべきことに、(A)ポリオレフィンポリマーの完全な浸漬に必要な浸漬時間は、従来の助剤が式(I)の単環式シロキサンを含む助剤で置き換えられる場合に有意に低減する。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスのステップ(a)が室温で155分以下の持続時間で行われる場合、90%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が室温で186分以下の持続時間で行われる場合、95%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が室温で155分以下の持続時間で行われる場合、96%超の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が室温で175分以下の持続時間で行われる場合、97%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が室温で225分以下の持続時間で行われる場合、99%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。
【0082】
さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で60分以下の持続時間で行われる場合、90%超の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で35分以下の持続時間で行われる場合、93%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で75分以下の持続時間で行われる場合、95%超の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で75分以下の持続時間で行われる場合、97%超の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で75分以下の持続時間で行われる場合、98%超の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で90分未満の持続時間で行われる場合、100%の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で45分以下の持続時間で行われる場合、96%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。さらなる実施形態では、プロセスのステップ(a)が40℃の温度で60分以下の持続時間で行われる場合、97%以上の浸漬パーセンテージが達成され得る。
【0083】
さらに、予想外なことに、封止材フィルムを形成するために必要な他の性能(例えば、硬化性能、接着力、体積抵抗率など)は、従来の助剤が式(I)の単環式シロキサンを含む助剤で置き換えられる場合に維持または改善される。
【0084】
特定の実施形態では、(A)ポリオレフィンポリマーの浸漬ペレットは、さらなる加工(例えば、配合、押出、成形など)中に硬化される。したがって、特定の実施形態では、封止材フィルムを形成するためのプロセスは、(2)浸漬ポリオレフィンポリマーを硬化およびさらに加工して封止材フィルムを形成することをさらに含む。これに関して、浸漬ポリオレフィンポリマーのさらなる加工中の温度は、80℃、または90℃~100℃、または110℃、または120℃、または130℃、または140℃、または150℃、または160℃、または170℃である。
【0085】
さらなる実施形態では、以下に議論されるように、積層などの他のステップまで硬化を回避または制限することが望ましい。有機過酸化物の時期尚早の架橋および/または時期尚早の分解は、減少したガラス接着力を有する封止材フィルムをもたらし得る。言い換えれば、硬化性組成物を含む封止材フィルムは、積層まで反応性のままであり、その時点で架橋が完了し、封止材フィルムの架橋ポリマー組成物が、ポリオレフィンポリマーと、有機過酸化物と、シランカップリング剤と、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤との反応生成物になる。したがって、さらなる実施形態では、封止材フィルムを形成するためのプロセスは、(2)浸漬ポリオレフィンポリマーをさらに加工して硬化性フィルムを形成することをさらに含む。その後のステップには、これらに限定されないが、硬化性フィルムを硬化して封止材フィルムを形成すること、または積層ステップ中に硬化性フィルムを硬化して封止材フィルムを形成することが含まれる。
【0086】
したがって、浸漬ポリオレフィンポリマーをさらに加工するための温度は、有機過酸化物の分解温度よりも低い場合がある。これに関して、いくつかの実施形態では、浸漬ポリオレフィンポリマーのさらなる加工中の温度は、80℃、または90℃~100℃、または110℃、または120℃である。
【0087】
本明細書で議論される硬化は、(A)ポリオレフィンポリマーを(D)助剤と反応させ、これによって架橋生成物を形成するような、硬化有効線量の照射での本組成物の照射および/または有機過酸化物での硬化有効温度での本組成物の加熱によるフリーラジカル硬化であり得る。架橋有効量の式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤と、硬化有効線量の照射または硬化有効温度、および任意の他の所望の反応条件(例えば、圧力または不活性ガス雰囲気)との組み合わせは、本組成物を硬化させ、封止材フィルムの架橋ポリマー組成物を作製するのに十分である。照射源は、電子ビーム、ガンマ線、紫外線、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0088】
本組成物は、式(I)の単環式オルガノシロキサンの開環なしで、照射または有機過酸化物によって硬化(架橋)され得る。硬化反応は、式(I)の単環式オルガノシロキサンが重合シロキサン(シリコーンポリマー)をもたらさないように行われる。理論に縛られるものではないが、本組成物の成分は、硬化中に、式(I)の単環式オルガノシロキサンが開環して開環シラノール(S-OH)官能性オルガノシロキサンオリゴマー(線状または分岐)をもたらさないように選択されると考えられ、したがって、重合シロキサン(シリコーンポリマー)は、ポリオレフィンポリマー内でインサイチュで形成されない。式(I)の単環式オルガノシロキサンは、少なくとも部分的には本組成物が開環触媒を含まないため、したがって硬化反応が開環触媒の不在下で行われるため、開環することができない。除外された開環触媒は、知られており、ホスファゼン塩基を含む。ホスファゼン塩基は、コア構造P=Nを有し、式中、遊離N原子価は、水素、ヒドロカルビル、-P=N、または=P-Nに結合し、遊離P原子価は、=Nまたは-Nに結合している。ホスファゼン塩基の例は、US 8,426,519 B2、9列、29行目~10列、31行目に見られる。本組成物から除外され、したがってそれから調製される架橋ポリオレフィン生成物から除外される、他の種類の開環触媒が知られている。例えば、F.O.Stark et al.,Silicones,Comprehensive Organometallic Chemistry,volume 2,305,Pergamon Press(1982)を参照されたい。例は、トリフルオロメタンスルホン酸およびその金属塩、硫酸、過塩素酸、ならびに塩酸などの強酸;金属ハロゲン化物などのカチオン性開環触媒;ならびにオルガノリチウム、アルカリ金属酸化物、およびアルカリ金属水酸化物などのアニオン性開環触媒である。開環触媒の不在下で、本組成物は、フリーラジカル硬化による式(I)の単環式オルガノシロキサンのポリオレフィンポリマーへの架橋を受けて、架橋ポリオレフィン生成物を形成する。架橋は、周囲の湿気の存在下でも、式(I)の単環式オルガノシロキサンの開環なしで有益に起こる。
【0089】
さらなる実施形態では、本組成物の架橋は、白金系触媒なしで起こる。
【0090】
予測不可能なことに、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む本組成物、またはそれから調製された本発明の架橋ポリオレフィン生成物は、それぞれ、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含まないか、または線状ビニルメトキシシロキサンホモポリマー(オリゴマー)、ビニル、メチルシロキサンホモポリマー(オリゴマー)、もしくはケージ状ビニル官能性シルセスキオキサンのいずれかを含む、比較ポリオレフィン組成物、またはそれから調製された生成物に対して、少なくとも1つの改善した特性を有する。改善した特性は、有益により速い硬化速度を示す、架橋ポリオレフィン生成物における90%の架橋を達成するためのより短い時間(「T90」);架橋ポリオレフィン生成物における有利により大きな架橋度を示す、より大きな最大トルク値(「MH」);押出中の本組成物の時期尚早の硬化(例えば、押出機操作後ではなく押出機での硬化)に対する有益に増加した抵抗を示す、スコーチまでの増加した時間(「ts1」);および/またはポリオレフィンポリマー中に従来の助剤を装填することで可能なものと比較して、式(I)の単環式オルガノシロキサンの「スウェットアウト」なしで式(I)の単環式オルガノシロキサンをより高い濃度でポリオレフィンポリマーに装填する能力であり得る。長期間にわたる本組成物の貯蔵中に「スウェットアウト」が少ないことは、本組成物のポリオレフィンポリマー中の式(I)の単環式オルガノシロキサン(ケイ素系助剤として)のより高い相溶性および/または可溶性を示す。
【0091】
本組成物が硬化剤として有機過酸化物をさらに含む態様では、それを硬化させることにより得られる本発明の架橋ポリオレフィン生成物は、ポリオレフィンおよび有機過酸化物を含むが、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含まない、比較ポリオレフィン組成物を硬化させることにより作製された比較架橋ポリオレフィン生成物で達成され得るよりも大きな架橋度(多数の架橋)によって特徴付けられ得る。得られた本発明の架橋ポリオレフィン生成物は、式(I)の単環式オルガノシロキサンの代わりに従来の助剤を使用して達成され得るよりも大きな架橋度を有し得る。本組成物は、おそらくポリオレフィンポリマー中の式(I)の単環式オルガノシロキサンの可溶性がポリオレフィンポリマー中の従来の助剤のそれよりも高いために、「スウェットアウト」を経験することなくより長い貯蔵寿命を有し得る。本組成物は、式(I)の単環式オルガノシロキサンの代わりに従来の助剤を使用して達成され得るよりも短いT90架橋時間(より速い架橋)を有し得る。本発明の架橋ポリオレフィン生成物は、比較架橋ポリオレフィン生成物と比較して、後者が前者と同じ数の架橋を有するように配合される場合、スコーチに対してより大きな耐性(例えば、ts1)を有し得る。
【0092】
封止材フィルム1:一実施形態では、封止材フィルムは、(A)ポリオレフィンポリマーと、(B)有機過酸化物と、(C)シランカップリング剤と、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤とを含む硬化性組成物(またはそれらの反応生成物を含む架橋ポリマー組成物)からなる。
【0093】
封止材フィルム2:一実施形態では、封止材フィルムは、(A)80重量%、または85重量%、または88重量%、または90重量%、または95重量%、または97重量%、または97.50重量%、または97.75重量%~98.25重量%、または98.5重量%、または99重量%、または99.88重量%、または99.99重量%のポリオレフィンポリマーと、(B)0.1重量%、または0.5重量%、または1重量%~1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%の有機過酸化物と、(C)0.01重量%、または0.05重量%、または0.10重量%、または0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または1重量%、または1.5重量%、または2重量%のシランカップリング剤と、(D)0.01重量%、または0.05重量%、または0.10重量%、または0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%、または0.30重量%、または0.35重量%、または0.40重量%、または0.45重量%、または0.50重量%~1重量%、または1.25重量%、または1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%、または3.5重量%、または4重量%、または4.5重量%、または5重量%の式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤とを含む硬化性組成物(またはそれらの反応生成物を含む架橋ポリマー組成物)からなる。成分(A)、(B)、(C)、(D)、およびいずれかの任意の添加剤の総量は、組成物の100重量%をもたらすことが理解される。
【0094】
封止材フィルム3:一実施形態では、封止材フィルムは、(A)組成物の総重量に基づいて、95重量%~99重量%のポリオレフィンポリマーと、(B)0.5重量%~2重量%の有機過酸化物と、(C)0.1重量%~0.5重量%のシランカップリング剤と、(D)0.2重量%~1重量%の式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤とを含む硬化性組成物(またはそれらの反応生成物を含む架橋ポリマー組成物)からなる。成分(A)、(B)、(C)、(D)、およびいずれかの任意の添加剤の総量は、組成物の100重量%をもたらすことが理解される。
【0095】
特定の実施形態では、本開示の封止材フィルムは、体積抵抗率およびガラス接着力に関して以下で議論される特性の1つ、いくつか、または全てを有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3に従う。
【0096】
特定の実施形態では、封止材フィルムは、室温で1.0×1014オーム-cm~1.0×1018オーム-cm(例えば、1.0×1015オーム-cm~1.0×1017オーム-cm、1.0×1016オーム-cm~1.0×1017オーム-cm、1.0×1016オーム-cm~10.0×1016オーム-cm、2.0×1016オーム-cm~8.0×1016オーム-cm、3.0×1016オーム-cm~7.0×1016オーム-cm、4.0×1016オーム-cm~6.0×1016オーム-cm、4.0×1016オーム-cm~5.0×1016オーム-cm、4.4×1016オーム-cm以上~5.0×1016オーム-cm、4.4×1016オーム-cm以上~4.8×1016オーム-cmなど)の体積抵抗率を有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3に従う。特定の実施形態では、封止材フィルムは、室温で1.0×1014オーム-cm超(例えば、1.0×1015オーム-cm超、1.0×1016オーム-cm超、2.0×1016オーム-cm超、3.0×1016オーム-cm超、4.0×1016オーム-cm以上、4.4×1016オーム-cm以上、4.8×1016オーム-cm以上など)の体積抵抗率を有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3に従う。
【0097】
特定の実施形態では、封止材フィルムは、60℃で1.0×1014オーム-cm~1.0×1018オーム-cm(例えば、1.0×1015オーム-cm~1.0×1017オーム-cm、1.0×1015オーム-cm~1.0×1016オーム-cm、1.0×1015オーム-cm~8.0×1015オーム-cm、1.0×1015オーム-cm~6.0×1015オーム-cm、1.0×1015オーム-cm~4.0×1015オーム-cm、1.5×1015オーム-cm~3.0×1015オーム-cm、2.0×1015オーム-cm~3.0×1015オーム-cm、2.2×1015オーム-cm以上~2.5×1015オーム-cmなど)の体積抵抗率を有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3に従う。特定の実施形態では、封止材フィルムは、60℃で1.0×1014オーム-cm超(例えば、1.0×1015オーム-cm超、2.0×1015オーム-cm超、2.2×1015以上など)の体積抵抗率を有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3に従う。
【0098】
特定の実施形態では、封止材フィルムは、60N/cm超(例えば、70N/cm超、80N/cm超、90N/cm超、100N/cm超など)の初期ガラス接着力を有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3に従う。
【0099】
本開示の封止材フィルムは、任意の厚さを有し得る。
【0100】
一実施形態では、封止材フィルムは、1つの層であり、単一の層は、本組成物からなる。一実施形態では、封止材フィルムは、2つ以上の層を有し、少なくとも1つの層は、本組成物からなる。
【0101】
電子デバイス
本開示の封止材フィルムは、電子デバイスモジュールを構築するために使用される。封止材フィルムは、電子デバイスのための1つ以上の「スキン」として使用され、すなわち、電子デバイスの一方または両方の表面に、例えば、前面封止材フィルムもしくは背面封止材フィルムとして、または前面封止材フィルムおよび背面封止材フィルムの両方として適用され、例えば、デバイスは、材料内に完全に封入される。
【0102】
一実施形態では、電子デバイスモジュールは、(i)少なくとも1つの電子デバイス、典型的には線状または平面パターンに配列された複数のそのようなデバイスと、(ii)少なくとも1つのカバーシートと、(iii)少なくとも1つの本開示による封止材フィルムとを含む。封止材フィルムは、カバーシートと電子デバイスとの間にあり、封止材フィルムは、電子デバイスおよびカバーシートの両方に対して良好な接着力を示す。
【0103】
一実施形態では、電子デバイスモジュールは、(i)少なくとも1つの電子デバイス、典型的には線状または平面パターンに配列された複数のそのようなデバイスと、(ii)前面カバーシートと、(iii)前面封止材フィルムと、(iv)背面封止材フィルムと、(v)バックシートと、を含み、(iii)前面封止材フィルムおよび(iv)背面封止材フィルムのうちの少なくとも1つは、本開示の封止材フィルムである。電子デバイスは、前面封止材フィルムと背面封止材フィルムとの間に挟まれ、カバーシートおよびバックシートが前面封止材フィルム/電子デバイス/背面封止材フィルムユニットを封入する。
【0104】
一実施形態では、カバーシートは、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、またはフッ素含有樹脂である。さらなる実施形態では、カバーシートは、ガラスである。
【0105】
一実施形態では、バックシートは、ガラス、金属、またはポリマー樹脂からなる単層または多層フィルムである。バックシートは、ガラスまたはポリマー樹脂からなるフィルムである。さらなる実施形態では、バックシートは、フッ素ポリマー層およびポリエチレンテレフタレート層からなる多層フィルムである。
【0106】
一実施形態では、電子デバイスは、太陽セルまたは太陽光発電(PV)セルである。
【0107】
一実施形態では、電子デバイスモジュールは、PVモジュールである。
【0108】
図1は、例示的なPVモジュールを示す。剛性PVモジュール10は、前面封止材フィルム12aおよび背面封止材フィルム12bによって囲まれているか、または封止されている、太陽光発電セル11(PVセル11)を含む。ガラスカバーシート13は、PVセル11上に配置された前面封止材フィルム12aの部分の前面を覆う。バックシート14、例えば、第2のガラスカバーシートまたはポリマー基板は、PVセル11の背面に配置された背面封止材フィルム12bの部分の背面を支持する。バックシート14は、対向するPVセルの表面が太陽光に反応性ではない場合、透明である必要はない。この実施形態では、封止材フィルム12aおよび12bは、PVセル11を完全に封止する。図1に示される実施形態では、前面封止材フィルム12aは、ガラスカバーシート13に直接接触し、背面封止材フィルム12bは、バックシート14に直接接触する。PVセル11は、前面封止材フィルム12aおよび背面封止材フィルム12bの両方がPVセル11と直接接触するように、前面封止材フィルム12aと背面封止材フィルム12bとの間に挟まれている。前面封止材フィルム12aおよび背面封止材フィルム12bも、PVセル11がない場所で互いに直接接触している。
【0109】
本開示の封止材フィルムは、前面封止材フィルム、背面封止材フィルム、または前面封止材フィルムおよび背面封止材フィルムの両方であり得る。一実施形態では、本開示の封止材フィルムは、前面封止材フィルムである。別の実施形態では、本開示の封止材フィルムは、前面封止材フィルムおよび背面封止材フィルムの両方である。
【0110】
一実施形態では、本開示の封止材フィルム(複数可)は、1つ以上の積層技法により電子デバイスに適用される。積層により、カバーシートを封止材フィルムの第1の面と直接接触させ、電子デバイスを封止材フィルムの第2の面と直接接触させる。カバーシートを前面封止材フィルムの第1の面と直接接触させ、バックシートを背面封止材フィルムの第2の面と直接接触させ、電子デバイス(複数可)をその間に固定し、前面封止材フィルムの第2の面および背面封止材フィルムの第1の面と直接接触させる。
【0111】
一実施形態では、積層温度は、有機過酸化物を活性化し、組成物を架橋するのに十分であり、すなわち、ポリオレフィンポリマーと、有機過酸化物と、シランカップリング剤と、式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤とを含む硬化性組成物は、架橋が発生する積層まで反応性のままである。架橋中、シランカップリング剤は、シラン結合によってポリオレフィンポリマーの分子鎖のうちの2つ以上の間に化学結合を形成する。「シラン結合」は、構造-Si-O-Si-を有する。各シラン結合は、ポリオレフィンポリマーの2つ以上、または3つ以上の分子鎖を接続し得る。シランカップリング剤はまた、カバーシートの表面と相互作用して、封止材フィルムとカバーシートとの間の接着力を増加させる。積層後、組成物は、ポリオレフィンポリマー、有機過酸化物、シランカップリング剤、および助剤の反応生成物である。
【0112】
一実施形態では、電子デバイスを生産するための積層温度は、130℃、または135℃、または140℃、または145℃~150℃、または155℃、または160℃である。一実施形態では、積層時間は、8分、または10分、または12分、または15分~18分、または20分、または22分、または25分である。
【0113】
一実施形態では、本開示の電子デバイスは、(A)ポリオレフィンポリマーと、(B)有機過酸化物と、(C)シランカップリング剤と、(D)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤との反応生成物である架橋ポリマー組成物からなる封止材フィルムを含み、封止材フィルムは、60N/cm超(例えば、70N/cm超、80N/cm超、90N/cm超、100N/cm超など)の初期ガラス接着力を有する。
【0114】
一実施形態では、本開示の電子デバイスは、体積抵抗率およびガラス接着力に関するように、特性の1つ、いくつか、または全てを有する封止材フィルム1、封止材フィルム2、または封止材フィルム3による封止材フィルムを含む。
【0115】
次に、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例において詳細に記載する。
【実施例
【0116】
試験方法
密度は、ASTM D792に従って測定する。測定結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm)で記録される。
【0117】
ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D7028に従って測定する。
【0118】
メルトインデックス(MI)は、190℃、2.16kgでASTM D1238に従って測定し、10分あたりのグラム(g/10分)で報告する。
【0119】
融点は、ASTM D3418に従って測定する。
【0120】
架橋または硬化は、ASTM D5289に従って可動ダイレオメーターを使用して試験する。可動ダイレオメーター(MDR)に、4グラムの各試料を装填する。MDRを150℃で25分間実行し、時間対トルク曲線を試料について所与の間隔で提供する。150℃の温度は、モジュール積層温度を表す。25分の試験間隔中にMDRによって加えられる最大トルク(MH)は、dNmで報告する。MHは通常、25分で加えられるトルクに対応する。トルクがMHのX%に達するのにかかる時間(t)は、分で報告する。tは、各樹脂の硬化動力学を理解するために標準化された測定値である。MHの90%に達するまでの時間(T90)は、分で報告する。
【0121】
ガラス接着強度(1インチ~2インチの平均ガラス接着強度)は、180°剥離試験によって測定する。積層試料(例えば、比較例および発明例の配合物)の各々のバックシートおよび封止材フィルム層を切断して、各積層試料を3つの1インチ幅のストリップ試験片に分割し、ストリップをガラス層に接着したままにする。180°剥離試験は、制御された周囲条件下でInstron TM 5565で行う。初期ガラス接着力を試験し、結果をニュートン/cmで報告する。3つの試験片を試験して、各試料の平均初期ガラス接着強度を得る。
【0122】
体積抵抗率は、ASTM D257に基づく以下に従って試験する。測定は、Keithley 6517 B電位計とKeithley 8009試験装置とを組み合わせて行う。Keithleyモデル8009試験室は、強制空気オーブン内にあり、高温で動作することができる(オーブンの最高温度は80°Cである)。リーク電流を計器から直接読み取り、以下の式を使用して体積抵抗率を計算し、
【数1】
式中、ρは、体積抵抗率(オーム-cm)であり、Vは、印加電圧(ボルト)であり、Aは、電極接触面積(cm)であり、Iは、リーク電流(アンプ)であり、tは、試料の平均厚さである。試料の平均厚さを得るために、試験前に各試料の厚さを測定し、試料の5点を測定して平均厚さを得る。体積抵抗率試験は、室温(RT)および60℃で1000ボルトで行う。2つの圧縮成形封止材フィルムを試験して、平均を得る。
【0123】
材料
以下の材料を、本開示の例を調製するために使用する。
【0124】
POE:The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.880g/ccの密度(ASTM D782)および18.0g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃、2.16kg)を有するエチレン/オクテンコポリマー。
【0125】
TBEC:tert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、J&K Scientific Ltd.から入手可能な有機過酸化物。
【0126】
VMMS:3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、Dow Corningから入手可能なシランカップリング剤。
【0127】
TAIC:トリアリルイソシアヌレート、Fangruida Chemicals Co.,Ltd.から入手可能であり、以下の構造を有する従来の助剤:
【化1】
【0128】
ビニル-D4:1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、Alfa Aserから入手可能であり、以下の構造を有する助剤:
【化2】
【0129】
ビニル-D3:1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、J&K Scientific Ltd.から入手可能であり、以下の構造を有する助剤:
【化3】
【0130】
試料調製
浸漬:組成物を、以下の表1の配合に従って、まず有機過酸化物、シランカップリング剤、および助剤を表1に記載の所望の重量パーセントで密封可能なボトルにおいて予め混合することにより調製する。各組成物についての有機過酸化物、シランカップリング剤、および助剤の総重量をX1として記録する。例(表1参照)に応じて、POEの乾燥ペレットを計量し(各組成物についての乾燥ペレットの重量をX2として記録する)、次いで浸漬のためにボトルに入れる。硬化パッケージ(すなわち、有機過酸化物、シランカップリング剤、および助剤)のペレットへの均一な分布および完全な浸漬を確保するために、ボトルを1分間回転させ、次いで室温(RT)または40℃で特定の浸漬時間(表2および3参照)にわたってローラー上に配置する。特定の浸漬時間(表2および3参照)後、ペレットをボトルから取り出し、紙を使用して、使用した紙に湿り気が見られなくなるまで、ペレットの表面を十分に拭き取る。次いで、拭き取ったペレットを計量し、X3として記録する。次いで、浸漬パーセンテージを、上で議論された以下の式:(X3-X2)/X1*100%によって決定する。
【0131】
表2および3は、それぞれ室温および40℃での各例について、特定の浸漬時間で上記の式によって決定される浸漬パーセンテージを提供する。そのような浸漬パーセンテージも図2の浸漬曲線に提供する。
【表1】
【表2】

【表3】
【0132】
表2および3、ならびに図2に見られるように、従来の助剤を含む組成物は、POEの完全な浸漬に長い浸漬時間を必要とする。そのような組成物は、最新技術の代表である。驚くべきことに、ビニル-D4またはビニル-D3系配合物(同量の助剤ならびに同じ有機過酸化物およびシランカップリング剤を含む)の浸漬時間(室温)は、TAIC系配合物のそれよりもはるかに短い。さらに、本発明の例について、浸漬時間は40℃でさらに低減する。したがって、従来の助剤を式(I)の単環式オルガノシロキサン(例えば、ビニル-D3およびビニル-D4)で置き換えることは、浸漬時間を有意に低減し、封止材フィルムを形成するための全体的なプロセス時間を短縮することが発見された。これを超えて、表1に見られるように、他の重要な性能特徴は、本発明の例について維持されている。
【0133】
圧縮成形:浸漬後、浸漬ペレットを硬化させ、0.5mm封止材フィルムに圧縮成形する。油圧プレスを使用して圧縮成形を行う。組成物を、圧力の印加なしに120℃で5分間予熱し、続いて脱気する。その後、組成物を150℃の温度で15分間10MPaでプレスして完全な硬化を保証する。最後に、温度を室温まで冷却し、圧力を解放する。硬化、圧縮成形封止材フィルムを次いで体積抵抗率について試験する。
【0134】
フィルム押出:圧縮成形とは別に、浸漬ペレットもフィルム押出により封止材フィルムとして形成する。浸漬ペレットを、100℃で40rpmのローター速度でBrabender一軸ミキサーに供給して、約0.5mm厚フィルム(またはシート)を形成する。フィルムを次いで、その後の試験または加工のためにアルミホイルの袋に保管した。フィルム押出中に硬化は行われない。むしろ、硬化は以下に議論される積層ステップまで遅延される。
【0135】
積層:ガラスシートを4x6平方インチ試験片に切断し、水を使用して洗浄した後、使用前に乾燥させた。バックシートも4x6平方インチ試験片に切断する。フィルム押出封止材フィルムを次いでガラスシートおよびバックシート試験片のサイズに合うように切断する。バックシート試験片、フィルム押出封止材フィルム、およびガラス試験片を一緒に重ね、PENERGY L036ラミネーターによって積層する。試料を、条件:150℃で20分間(4分の真空プロセス、16分のプレス)下で積層した。積層試料を、ガラス接着力試験に使用する。
【0136】
表1に見られるように、本発明の例は、ガラス接着力、体積抵抗率、および硬化性能について、TAIC系組成物(最新技術の代表)と比較して類似または改善した性能を提供する。したがって、本開示は、良好な硬化性能、ガラス接着力、および体積抵抗率を維持しながら、硬化パッケージのPOEへの浸漬時間を有意に短縮する新規のPOE系組成物を提供する。
なお、本発明には、以下の態様が含まれることを付記する。
〔態様1〕
封止材フィルムを形成するための硬化性組成物であって、
(a)ポリオレフィンポリマーと、
(b)有機過酸化物と、
(c)シランカップリング剤と、
(d)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤であって、
[R ,R SiO 2/2 (I)、
式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、フェニル、またはR である、助剤と、を含む、組成物。
〔態様2〕
(a)80重量%~99.88重量%の前記ポリオレフィンポリマーと、
(b)0.1重量%~5重量%の前記有機過酸化物と、
(c)0.01重量%~2重量%の前記シランカップリング剤と、
(d)式(I)の前記単環式オルガノシロキサンを含む0.01重量%~5重量%の前記助剤と、を含む、態様1に記載の組成物。
〔態様3〕
前記ポリオレフィンポリマーが、0.850g/cc~0.890g/ccの密度(ASTM D792)および1.0g/10分~50.0g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃/2.16kg)を含む、エチレン/アルファオレフィンコポリマーである、態様1または2に記載の組成物。
〔態様4〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、3であり、(ii)各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、または(C -C )アルケニルであり、(iii)各R が、ビニルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(iv)各R が、ビニルであり、各R が、メチルであり、(v)各R が、アリルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(vi)各R が、アリルであり、各R が、メチルである、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
〔態様5〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、4であり、(ii)各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、または(C -C )アルケニルであり、(iii)各R が、ビニルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(iv)各R が、ビニルであり、各R が、メチルであり、(v)各R が、アリルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(vi)各R が、アリルであり、各R が、メチルである、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
〔態様6〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、5または6であり、(ii)各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、または(C -C )アルケニルであり、(iii)各R が、ビニルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(iv)各R が、ビニルであり、各R が、メチルであり、(v)各R が、アリルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(vi)各R が、アリルであり、各R が、メチルである、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
〔態様7〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、およびその組み合わせからなる群から選択される、態様1~6のいずれかに記載の組成物。
〔態様8〕
(a)ポリオレフィンポリマーと、
(b)有機過酸化物と、
(c)シランカップリング剤と、
(d)式(I)の単環式オルガノシロキサンを含む助剤であって、
[R ,R SiO 2/2 (I)、
式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、フェニル、またはR である、助剤と、の反応生成物を含む架橋ポリマー組成物を含む、封止材フィルム。
〔態様9〕
(a)80重量%~99.88重量%の前記ポリオレフィンポリマーと、
(b)0.1重量%~5重量%の前記有機過酸化物と、
(c)0.01重量%~2重量%の前記シランカップリング剤と、
(d)式(I)の前記単環式オルガノシロキサンを含む0.01重量%~5重量%の前記助剤と、の反応生成物を含む架橋ポリマー組成物を含む、態様8に記載の封止材フィルム。
〔態様10〕
前記ポリオレフィンポリマーが、0.850g/cc~0.890g/ccの密度(ASTM D792)および1.0g/10分~50.0g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃/2.16kg)を含む、エチレン/アルファオレフィンコポリマーである、態様8または9に記載の封止材フィルム。
〔態様11〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、3であり、(ii)各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、または(C -C )アルケニルであり、(iii)各R が、ビニルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(iv)各R が、ビニルであり、各R が、メチルであり、(v)各R が、アリルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(vi)各R が、アリルであり、各R が、メチルである、態様8~10のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様12〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、4であり、(ii)各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、または(C -C )アルケニルであり、(iii)各R が、ビニルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(iv)各R が、ビニルであり、各R が、メチルであり、(v)各R が、アリルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(vi)各R が、アリルであり、各R が、メチルである、態様8~10のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様13〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、限定(i)~(vi)のいずれか1つによりさらに記載され、(i)下付き文字nが、5または6であり、(ii)各R が、独立して、(C -C )アルケニルであり、各R が、独立して、H、(C -C )アルキル、または(C -C )アルケニルであり、(iii)各R が、ビニルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(iv)各R が、ビニルであり、各R が、メチルであり、(v)各R が、アリルであり、各R が、独立して、(C -C )アルキルであり、(vi)各R が、アリルであり、各R が、メチルである、態様8~10のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様14〕
式(I)の前記単環式オルガノシロキサンが、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン、およびその組み合わせからなる群から選択される、態様8~13のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様15〕
室温で1.0×10 14 オーム-cmを超える体積抵抗率をさらに含む、態様8~14のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様16〕
60℃で1.0×10 14 オーム-cmを超える体積抵抗率をさらに含む、態様8~15のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様17〕
60N/cmを超える平均初期ガラス接着力をさらに含む、態様8~16のいずれかに記載の封止材フィルム。
〔態様18〕
電子デバイスと、
カバーシートと、
態様8~17のいずれかに記載の封止材フィルムと、を含む、電子デバイスモジュール。
図1
図2