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特許7061145レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMの改良された産生方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMの改良された産生方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220420BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20220420BHJP
   C07H 15/256 20060101ALN20220420BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
C12N15/54 ZNA
C07H15/256 A
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020020276
(22)【出願日】2020-02-10
(62)【分割の表示】P 2018142038の分割
【原出願日】2014-02-06
(65)【公開番号】P2020103292
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】61/761,490
(32)【優先日】2013-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/886,442
(32)【優先日】2013-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514034102
【氏名又は名称】エヴォルヴァ エスアー.
【氏名又は名称原語表記】EVOLVA SA.
【住所又は居所原語表記】Duggingerstrasse 23,CH-4153 Reinach,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ミケルセン,マイケル ダルガード
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ヨルゲン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】ブリアンザ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】セムラー,アンジェリカ
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,キム
(72)【発明者】
【氏名】カールセン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】デューリング,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキー,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス,ポーラ
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/153378(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/046423(WO,A1)
【文献】特表2012-504552(JP,A)
【文献】特許第6379112(JP,B2)
【文献】特許第6660980(JP,B2)
【文献】J. Appl. Glycosci.,2010年08月17日,Vol. 57, No. 3,pp. 199-209
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00-27/40
C12N 15/54
C07H 15/256
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバウディオサイドM(RebM)またはRebMを含むステビオールグリコシド組成物を産生するための方法であって、ステビオール、13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方を有するステビオールグリコシド、および/またはそれらの混合物を含む開始組成物を、ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2'のベータ1,2グリコシル化が可能な第1のウリジン5'-ジホスホ(UDP)グリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、および、ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC3'のベータ1,3グリコシル化が可能なウリジン5'-ジホスホ(UDP)グリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、および、ある数のUDP糖に、好適な反応条件下で接触させて、ある数の糖部分を前記数のUDP糖からステビオールグリコシドへ転移し、それによってRebMまたはRebMを含むステビオールグリコシド組成物を産生することを含み、
ここで、ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2’のベータ1,2グリコシル化が可能な第1の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも0%の配列同一性を有するポリペプチドを含む;
ここで、第1の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、配列番号15または配列番号86に記載のアミノ酸配列を有するUDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが対応する反応条件下でレバウディオサイドA(RebA)をレバウディオサイドD(RebD)に変換することが可能である速度よりも少なくとも10倍速い速度でRebAをRebDに変換することが可能である;および/または
ここで、第1の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、対応する反応条件下で配列番号15または配列番号86に記載のアミノ酸配列を有するUDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドと比較して、より多量のRebAをRebDに変換することが可能である、
前記方法。
【請求項2】
開始組成物におけるステビオールまたはステビオールグリコシドが、植物由来または合成のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
開始組成物を、以下:
(a)ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2’のベータ1,2グリコシル化が可能な第2の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド;および/または
(b)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-19カルボキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド;および/または
(c)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-13ヒドロキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド
にさらに接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2’のベータ1,2グリコシル化が可能な第2の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号15または配列番号86に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15の残基211および286で置換を有するポリペプチド、またはそれらの組み合わせを含む;および/または
(b)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-19カルボキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号19に記載のアミノ酸配列に対して0%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含む;および/または
(c)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-13ヒドロキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号26に記載のアミノ酸配列に対して0%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含む;および/または
(d)ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC3’のベータ1,3グリコシル化が可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して0%以上の配列同一性を有するポリペプチドを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
開始組成物が、ステビオシド、RebA、レバウディオサイドB(RebB)、レバウディオサイドE(RebE)、RebD、またはそれらの混合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC3’のベータ1,3グリコシル化が可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、配列番号2の以下のアミノ酸置換:Q23G、Q23H、I26F、I26W、T55K、T55E、S56A、Y128S、Y128E、T146A、T146G、T146P、H155R、H155L、H155R、Q198R、S253W、S253G、L257P、L257W、L257T、L257G、L257A、L257R、L257E、S283G、S283N、T284R、T284G、S285R、S285T、S285G、K337E、K337P、およびL379Vのうちの1以上を有するポリペプチドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2’のベータ1,2グリコシル化が可能な第1の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、および、ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC3’のベータ1,3グリコシル化が可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドが、組換え宿主細胞において発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(a)ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2’のベータ1,2グリコシル化が可能な第2の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド;および/または
(b)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-19カルボキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド;および/または
(c)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-13ヒドロキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド
が、組換え宿主細胞において発現される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
組換え宿主細胞が、ルブソシド、1,2-ステビオシド、またはそれらの混合物を供給されたときにRebMを産生することが可能である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
組換え宿主細胞が、ステビオール-13-O-グルコシドを供給されたときにRebMを産生することが可能であり、および前記細胞が、以下:
(a)ステビオールグリコシドの13-O-グルコース、19-O-グルコース、または13-O-グルコースおよび19-O-グルコースの両方のC2’のベータ1,2グリコシル化が可能な第2の5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする第2の組換え遺伝子;および
(b)ステビオールまたはステビオールグリコシドをそのC-19カルボキシル基でグリコシル化することが可能な5’-UDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする遺伝子
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
組換え宿主細胞が、真菌細胞、藻類細胞、または細菌細胞である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
真菌細胞が酵母細胞を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
酵母細胞が、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
組換え宿主細胞がサッカロマイセス・セレビシエ細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組換え宿主細胞がヤロウィア・リポリティカ細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
酵素のin vitroの方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
全細胞のin vitroの方法である、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
組成物が、グリコシル化反応の間に産生したUDPからUDP-グルコースを再生するためにスクロースおよびスクロースシンターゼを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
酵素のin vitroの方法が、同時にまたは段階的に行われる複数の反応を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
全細胞が、浮遊しているかまたは固定化されている、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
細胞が、基質の細胞への転移を促進するために透過処理されている、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
細胞が、溶媒、洗剤、界面活性剤、エレクトロポレーションまたは軽度の浸透圧ショックによって透過処理されている、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された発明は、一般にステビオールグリコシド類の組換え産生の分野に関する。特に、本発明は、ステビオールグリコシドの組換え産生方法およびステビオールグリコシド類を含有する組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
甘味料は、食品、飲料、または製菓産業で最も一般に使用される成分としてよく知られている。甘味料は、製造中に最終的な食品に組み込まれるか、または適切に希釈してまたは卓上甘味料として単独での使用が可能である。甘味料としては、スクロース、高フルクトースコーンシロップ、モラセス、メープルシロップおよびハチミツなどの天然甘味料ならびにアスパルテーム、サッカリンおよびスクラロースなどの人工甘味料などが挙げられる。ステビア抽出物は、多年生低木であるステビア・レバウディアナから単離および抽出可能な天然甘味料である。ステビアは一般に、ステビア抽出物の商業的製造のために南アメリカおよびアジアで栽培されている。様々な程度に精製されたステビア抽出物は、食品中の高甘味度甘味料として商業的に使用され、卓上甘味料として、混合物または単独で使用されている。
【0003】
ステビア属植物の抽出物は、甘味に寄与するレバウディオサイド類および他のステビオールグリコシド類を含有するが、各グリコシドの量は異なる生産バッチ間でしばしば変動している。既存の商業的製品は、その大部分がレバウディオサイドAであり、レバウディオサイドC、D、およびFなどの他のグリコシド類がそれよりも少量を占める。ステビア抽出物は、異臭に寄与するか、または他の望ましくない効果を有する植物由来の化合物などの混入物も含有する可能性がある。これらの混入物は、食品システムまたは用途によっては、多かれ少なかれ問題となりうる。可能性のある混入物としては、色素、脂質、タンパク質、フェノール類、糖類、スパツレノールおよび他のセスキテルペン類、ラブダンジテルペン類、モノテルペン類、デカン酸、8,11,14‐エイコサトリエン酸、2‐メチルオクタデカン、ペンタコサン、オクタコサン、テトラコサン、オクタデカノール、スチグマステロール、β‐シトステロール、α‐およびβ‐アミリン、ルペオール、酢酸β‐アミリン、ペンタサイクリックトリテルペン類、センタウレジン、ケルセチン、エピ‐α‐カジノール、カリオフィレン類および誘導体、β‐ピネン、β‐シトステロール、およびジベレリンなどが挙げられる。
【0004】
ステビア属植物からのステビオールグリコシド類の回収および精製は、労働集約的で非効率であることが判明したため、限定するものではないがステビオシドなどの植物ベースの混入物が抑制されたレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMなどの所望のステビオールグリコシド類を高収量で産生可能な組換え産生システムが依然必要とされている。ステビオールグリコシド産生サッカロマイセス・セレビシエ株ならびにin vitroの生物変換および生合成が、国際特許出願第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967号に記載されており、それらの全開示を参照により本明細書に組み込むものである。
【0005】
自然界では、ウリジン二リン酸ステビア依存性グリコシルトランスフェラーゼ76G1(UGT76G1)は、ステビオール骨格の数種類のグリコシル化反応を触媒し、ステビオールグリコシド類の産生をもたらす。最近、UGT76G1が1,2‐ステビオシドをレバウディオサイドAに、1,2‐ビオシドをレバウディオサイドBに変換できることが示された(Richman et al., 2005, The Plant Journal 41:56-67参照)。従って、当該分野において、UGT76G1または他のUGT酵素によりグリコシル化レバウディオサイド類を産生することに向けられた反応を同定することが必要とされている。特に、UGT76G1により触媒される他の反応を探索または同定する必要があり、さらにレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMなどのステビオールグリコシド類をより高い収量で産生するためにUGT76G1の触媒性能を向上する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
上記のような背景に鑑みて、本発明は従来技術に対して所定の利点および進歩を提供するものである。
【0007】
特に、本発明は、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMの生合成ならびに遺伝的に改変された細胞からのレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMの調製に関する。
【0008】
具体的な実施態様では、本発明は、生合成速度および収量を著しく改善した遺伝的に改変された細胞からのレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMの調製を目的とする。
【0009】
本開示は、ステビオールグリコシド類の産生に関する。特に、本開示は、限定するものではないが、組換え微生物などの組換え宿主において、生物変換を通じて、およびin vitroで、レバウディオサイドM:(2S,3R,4S,5R,6R)‐5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[(2S,3R,4S,5S,6R)‐3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イル(1R,5R,9S,13R)‐13‐{[(2S,3R,4S,5R,6R)‐5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[(2S,3R,4S,5S,6R)‐3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イル]オキシ}‐5,9‐ジメチル‐14‐メチリデンテトラシクロ[11.2.1.01,10.04,9]ヘキサデカン‐5‐カルボン酸
およびレバウディオサイドD:
4,5‐ジヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3‐{[3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ}オキサン‐2‐イル13‐{[5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イル]オキシ}‐5,9‐ジメチル‐14‐メチリデンテトラシクロ[11.2.1.01,10.04,9]ヘキサデカン‐5‐カルボン酸などのステビオールグリコシド類の産生に関する。
【0010】
従って、ある側面では、本開示は、その発現がレバウディオサイドMおよびレバウディオサイドDなどのステビオールグリコシド類の産生をもたらす1または2以上の生合成遺伝子を含む、組換え宿主、例えば微生物、を提供する。
【0011】
特に、EUGT11、UGT74G1、UGT76G1、UGT85C2、およびUGT91D2などの本明細書に記載の1または2以上のウリジン5’‐ジホスホ(UDP)グリコシルトランスフェラーゼ類の発現が、組換え宿主または所定のin vitroのシステムにおけるレバウディオサイドMまたはレバウディオサイドDの産生および蓄積を促進する。
【0012】
本明細書に開示される本発明は特定の利点または機能に限定されるものではないが、本発明は、ステビア抽出物に対して、少なくとも1つが植物由来の化合物であるステビア由来混入物のレベルが減少した、約1%~約99%w/wのレバウディオサイドMを含む組成物を提供する。ある例では、植物由来の混入化合物は、特に異臭に寄与することができる。
【0013】
いくつかの側面では、約1%~約99%w/wのレバウディオサイドMを含む組成物は、ステビア抽出物に対して、少なくとも1つが植物由来の化合物であるステビア由来混入物を0.1%未満有する。ある例では、植物由来の混入化合物が特に異臭に寄与する。
【0014】
本発明は、更に、上記の組成物を含む食品を提供する。
【0015】
いくつかの側面では、食品は、飲料または飲料濃縮物である。
【0016】
本発明は、更に、
(a)GGPPSをコードする組換え遺伝子;
(b)ent‐コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(c)カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(d)カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(e)ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(f)シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
【0017】
(g)UGT85C2ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(h)UGT74G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(i)UGT76G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(j)UGT91d2ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;および
(k)EUGT11ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
を発現する組換え宿主細胞であって、
少なくとも1つの前記遺伝子が組換え遺伝子であり、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、および/またはレバウディオサイドIを産生する、前記細胞を提供する。
【0018】
本発明は、更に、
(a)GGPPSをコードする組換え遺伝子;
(b)ent‐コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(c)カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(d)カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(e)ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(f)シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(g)UGT85C2ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(h)UGT74G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(i)UGT76G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(j)UGT91d2ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;および
(k)EUGT11ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
を含む外来性核酸を含む組換え宿主細胞であって、
レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、および/またはレバウディオサイドIを産生する、前記細胞を提供する。
【0019】
本発明は、更に少なくとも1つのポリペプチドが細胞に導入された外来性または異種遺伝子によりコードされている、GGPPS、ent‐コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチド、カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチド、カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチド;ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチド、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチド、UGT74G1ポリペプチド、UGT76G1ポリペプチド、UGT91d2ポリペプチド、およびEUGT11ポリペプチドを発現する組換え宿主細胞であって、
ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する、前記細胞を提供する。
【0020】
いくつかの側面では、個々のレバウディオサイド類を標的とする産生は、UDP‐グリコシルトランスフェラーゼ活性の相対レベルを制御することで達成可能である(図1参照)。
【0021】
いくつかの側面では、個々のレバウディオサイド類を標的とする産生は、組換え細胞におけるUGTをコードする遺伝子(図1参照)のコピー数の差異、プロモーター強度の差異および/または目的とする産生物への特異性/活性が向上した変異体の利用により達成可能である。例えば、もしEUGT11が、レバウディオサイドAの生成に有利な他のUGTと比較して低いレベルで発現されると、レバウディオサイドD、E、およびMは低いレベルで生成されるであろう。EUGT11の発現レベルが高いと、レバウディオサイドMを生成するためにUGT76G1の基質として働く19‐O1,2ジグルコシドがより多く産生される。ある有利な実施態様では、本発明の組換え細胞におけるUGT76G1の追加のコピーまたは変異体バージョンは、レバウディオサイドDからのレバウディオサイドMの生成速度を向上可能である。
【0022】
いくつかの実施態様では、UGT76G1は、19‐O位でステビオールおよびステビオールグリコシド類のグリコシル化を触媒する。従って、いくつかの実施態様では、RebM、RebQ、RebI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)、またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド((13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)の1または2以上が、生物変換すなわちin vitroでのUGT76G1による触媒作用により、UGT76G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を発現する組換え宿主中で産生される。いくつかの実施態様では、UGT76G1は、13‐O位でステビオールおよびステビオールグリコシド類のグリコシル化を触媒し、好ましくは、13‐O位で1,2‐ジグリコシル化または13‐O位でモノグリコシル化されるステビオールグリコシド基質をグリコシル化する。いくつかの実施態様では、UGT76G1は、19‐O位のグリコシル化の状態の優先を示さない。
【0023】
いくつかの側面では、GGPPSは、配列番号24に記載のシネココッカス属GGPPSを含む。
【0024】
いくつかの側面では、CDPポリペプチドは、葉緑体トランジットペプチドを欠いている、配列番号13に記載のZ.メイズCDPSポリペプチドを含む。
【0025】
いくつかの側面では、KOポリペプチドは、配列番号25に記載のS.レバウディアナKOポリペプチドのアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するKOポリペプチドを含む。
【0026】
いくつかの側面では、KSポリペプチドは、配列番号21に記載のA.タリアナKSポリペプチドのアミノ酸配列と40%以上の同一性を有するKSポリペプチドを含む。
【0027】
いくつかの側面では、KAHポリペプチドは、配列番号11に記載のS.レバウディアナKAHアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するKAHポリペプチドを含む。
【0028】
いくつかの側面では、CPRポリペプチドは、配列番号4に記載のS.レバウディアナCPRアミノ酸配列と65%以上の同一性を有するCPRポリペプチド、配列番号9に記載のアミノ酸配列のA.タリアナCPRポリペプチドまたはそれらの組み合わせを含む。
【0029】
いくつかの側面では、UGT85C2ポリペプチドは、配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含む。
【0030】
いくつかの側面では、UGT74G1ポリペプチドは、配列番号19に記載のアミノ酸と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含む。
【0031】
いくつかの側面では、UGT76G1ポリペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含む。
【0032】
いくつかの側面では、UGT91d2ポリペプチドは、配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチドまたはそれらの組み合わせを含む。
【0033】
いくつかの側面では、EUGT11ポリペプチドは、配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含む。
【0034】
いくつかの側面では、UGT76G1ポリペプチドは、配列番号2のT55K、T55E、S56A、Y128S、Y128E、H155L、H155R、Q198R、S285R、S285T、S253W、S253G、T284R、T284G、S285G、K337E、K337PおよびL379Vを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む。
【0035】
いくつかの側面では、UGT76G1ポリペプチドは、配列番号2のQ23G、Q23H、I26F、I26W、T146A、T146G、T146P、H155R、L257P、L257W、L257T、L257G、L257A、L257R、L257E、S283GおよびS283Nを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む。
【0036】
いくつかの側面では、組換え宿主細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、または細菌細胞である。
【0037】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0038】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0039】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0040】
本発明は、更に、レバウディオサイドDを産生する本明細書に開示の細胞を提供する。
【0041】
本発明は、更に、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、またはレバウディオサイドIを産生する本明細書に開示の細胞を提供する。
【0042】
本発明は、更に、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する本明細書に開示の細胞を提供する。
【0043】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDは、本明細書で開示される細胞中で約1,000mg/L~約2,900mg/Lの間の濃度で産生される。
【0044】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMは、本明細書で開示される細胞中で約1:1~約1.7:1の間の比で産生される。
【0045】
いくつかの側面では、レバウディオサイドMは、本明細書で開示される細胞中で約600mg/L~約2,800mg/Lの間の濃度で産生される。
【0046】
いくつかの側面では、レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドDは、本明細書で開示される細胞中で約0.6:1~約1.1:1の間の比で産生される。
【0047】
本発明は、更に、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する方法であって、
(a)GGPPS;ent‐コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチド;カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチド;カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチド;ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチド;シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチド;UGT85C2ポリペプチド;UGT74G1ポリペプチド;UGT76G1ポリペプチド;UGT91d2ポリペプチド;およびEUGT11ポリペプチドをコードする遺伝子が発現され、前記遺伝子の発現を誘導することまたは前記遺伝子を構成的に発現することを含む条件下、培地において組換え細胞を培養すること;および
(b)細胞中でレバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を合成すること;および任意に
(c)レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を単離すること
を含む、前記方法を提供する。
【0048】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDは、本明細書で開示される細胞により産生される。
【0049】
いくつかの側面では、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQまたはレバウディオサイドIは、本明細書で開示される細胞により産生される。
【0050】
いくつかの側面では、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)は、本明細書で開示される細胞により産生される。
【0051】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDは、約1,000mg/L~約2,900mg/Lの間の濃度で産生される。
【0052】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMは、約1:1~約1.7:1の間の比で産生される。
【0053】
いくつかの側面では、レバウディオサイドMは、約600mg/L~約2,800mg/Lの間の濃度で産生される。
【0054】
いくつかの側面では、レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドDは、約0.6:1~約1.1:1の間の比で産生される。
【0055】
いくつかの側面では、本明細書で開示される方法を実施する細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、または細菌細胞である。
【0056】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0057】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0058】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0059】
本発明は、更に、UGTポリペプチドの1または2以上を使用した植物由来または合成ステビオールまたはステビオールグリコシド類のin vitroの生物変換により、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する方法を提供する。
【0060】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを産生する前記方法は、
配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;
配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;
配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;
配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチドまたはそれらの組み合わせ、を含むUGT91d2ポリペプチド;または
配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドを使用することを含む。
【0061】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDの産生に使用するステビオールグリコシドは、ステビオシド、RebA、RebB、RebE、またはその混合物を含む。
【0062】
いくつかの側面では、レバウディオサイドMの産生に使用するステビオールグリコシドは、ステビオシド、RebA、RebB、RebE、RebD、またはその混合物を含む。
【0063】
いくつかの側面では、レバウディオサイドQを産生する方法は、
配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;または配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドを使用することを含む。
【0064】
いくつかの側面では、レバウディオサイドQを産生するために使用するステビオールグリコシドは、ルブソシド、RebG、またはその混合物を含む。
【0065】
いくつかの側面では、レバウディオサイドIを産生する方法は、
配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチド;またはそれらの組み合わせを含むUGT91d2ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドを使用することを含む。
【0066】
いくつかの側面では、レバウディオサイドIを産生するために使用するステビオールグリコシドは、1,2‐ステビオシド、RebA、またはその混合物を含む。
【0067】
いくつかの側面では、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する方法が
配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;または配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドを使用することを含む。
【0068】
いくつかの側面では、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)の産生に使用するステビオールグリコシドが、ステビオール‐19‐O‐グルコシドを含む。
【0069】
いくつかの側面では、トリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する方法は、配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドを使用することを含む。
【0070】
いくつかの側面では、トリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)の産生に使用するステビオールグリコシドは、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)、ステビオール‐19‐O‐グルコシド、またはその混合物を含む。
【0071】
いくつかの側面では、本明細書に記載の生物変換方法は、酵素生物変換または全細胞生物変換を含む。
【0072】
いくつかの側面では、本明細書に開示の方法を実施する細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、または細菌細胞である。
【0073】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0074】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0075】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0076】
本発明は、更に、外来性核酸を含む組換え宿主細胞であって、
(a)GGPPSをコードする組換え遺伝子;
(b)ent‐コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(c)カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(d)カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(e)ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;
(f)シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子;および/または
(g)1または2以上のUGTポリペプチドをコードする1または2以上の組換え遺伝子;
を含み、
レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、またはレバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する、前記細胞を提供する。
【0077】
前記組換え宿主細胞いくつかの側面では、GGPPSは、配列番号24に記載のシネココッカス属GGPPSを含み;CDPポリペプチドは、葉緑体トランジットペプチドを欠いている、配列番号13に記載のZ.メイズCDPSポリペプチドを含み;KOポリペプチドが、配列番号25に記載のS.レバウディアナKOポリペプチドのアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するKOポリペプチドを含み;KSポリペプチドが、配列番号21に記載のA.タリアナKSポリペプチドのアミノ酸配列と40%以上の同一性を有するKSポリペプチドを含み;KAHポリペプチドが、配列番号11に記載のS.レバウディアナKAHアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するKAHポリペプチドを含み;CPRポリペプチドが、配列番号4に記載のS.レバウディアナCPRアミノ酸配列と65%以上の同一性を有するCPRポリペプチド、配列番号9に記載のアミノ酸配列のA.タリアナCPRポリペプチド;またはそれらの組み合わせを含む。
【0078】
いくつかの側面では、細胞は、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを産生し、UGTポリペプチドが、
配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;
配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;
配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;
配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチド;またはそれらの組み合わせを含むUGT91d2ポリペプチド;または
配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドである。
【0079】
いくつかの側面では、細胞は、レバウディオサイドQを産生し、ここでUGTポリペプチドは、
配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;または配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドである。
【0080】
いくつかの側面では、細胞は、レバウディオサイドIを産生し、ここでUGTポリペプチドは、
配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;または配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチド;またはそれらの組み合わせを含むUGT91d2ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドである。
【0081】
いくつかの側面では、細胞は、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生し、ここでUGTポリペプチドは
配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;または配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドである。
【0082】
いくつかの側面では、細胞は、トリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生し、UGTポリペプチドは、
配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;または配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチドである、少なくとも1つのUGTポリペプチドである。
【0083】
いくつかの側面では、UGT76G1ポリペプチドは、配列番号2のQ23G、Q23H、I26F、I26W、T146A、T146G、T146P、H155R、L257P、L257W、L257T、L257G、L257A、L257R、L257E、S283GおよびS283Nを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む。
【0084】
いくつかの側面では、UGT76G1ポリペプチドは、配列番号2のT55K、T55E、S56A、Y128S、Y128E、H155L、H155R、Q198R、S285R、S285T、S253W、S253G、T284R、T284G、S285G、K337E、K337PおよびL379Vを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む。
【0085】
いくつかの側面では、組換え宿主細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、または細菌細胞である。
【0086】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0087】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0088】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0089】
本発明は、更に、本明細書で開示される組換え細胞を使用する発酵によりレバウディオサイドDを産生する方法を提供する。
【0090】
本発明は、更に、本明細書で開示される組換え細胞を使用する発酵によりレバウディオサイドMを産生する方法を提供する。
【0091】
本発明は、更に、本明細書で開示される組換え細胞を使用する発酵によりレバウディオサイドQを産生する方法を提供する。
【0092】
本発明は、更に、本明細書で開示される組換え細胞を使用する発酵によりレバウディオサイドIを産生する方法を提供する。
【0093】
本発明は、更に、本明細書で開示される組換え細胞を使用する発酵によりジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する方法を提供する。
【0094】
本発明は、更に、本明細書で開示される組換え細胞を使用する発酵により、トリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する方法を提供する。
【0095】
いくつかの側面では、本明細書に開示の方法を実施する細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、または細菌細胞である。
【0096】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0097】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0098】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0099】
本発明は、更に、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを産生するin vitroの方法であって、
(a)配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチドまたはそれらの組み合わせを含むUGT91d2ポリペプチド;配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチド、および植物由来または合成ステビオールまたはステビオールグリコシド類の1または2以上を反応混合物に添加すること;および
(b)反応混合物中でレバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを合成すること;および任意に
(c)反応混合物中でレバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを単離すること
を含む、前記方法を提供する。
【0100】
本発明は、更に、レバウディオサイドQを産生するin vitroの方法であって、
(a)配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド、および植物由来または合成ステビオールまたはステビオールグリコシド類の1または2以上を反応混合物に添加すること;および
(b)反応混合物中でレバウディオサイドQを合成すること;および任意に
(c)反応混合物中でレバウディオサイドQを単離すること
を含む、前記方法を提供する。
【0101】
本発明は、更に、レバウディオサイドIを産生するin vitroの方法であって
(a)配列番号26に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT85C2ポリペプチドを含むUGT85C2ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;配列番号26に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するUGT91d2ポリペプチドまたはその機能的ホモログ、配列番号15の残基211および286において置換を有するUGT91d2eポリペプチド;またはそれらの組み合わせを含むUGT91d2ポリペプチド、および植物由来または合成ステビオールまたはステビオールグリコシド類の1または2以上を反応混合物に添加すること;および
(b)反応混合物中でレバウディオサイドIを合成すること;および任意に
(c)反応混合物中でレバウディオサイドIを単離すること
を含む、前記方法を提供する。
【0102】
本発明は、更に、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生するin vitroの方法であって
(a)配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチド、および植物由来または合成ステビオールまたはステビオールグリコシド類の1または2以上を反応混合物に添加すること;および
(b)反応混合物中でジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を合成すること;および任意に
(c)反応混合物中でジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を単離すること
を含む、前記方法を提供する。
【0103】
本発明は、更に、トリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生するin vitroの方法であって、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するUGT76G1ポリペプチドを含むUGT76G1ポリペプチド;配列番号19に記載のアミノ酸配列と55%以上の同一性を有するUGT74G1ポリペプチドを含むUGT74G1ポリペプチド;配列番号16に記載のOs03g0702000アミノ酸配列と65%以上の同一性を有するEUGT11ポリペプチドを含むEUGT11ポリペプチド、および植物由来または合成ステビオールまたはステビオールグリコシド類の1または2以上を反応混合物に添加すること;および
(b)反応混合物中でトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を合成すること;および任意に
(c)反応混合物中でトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を単離すること
を含む、前記方法を提供する。
【0104】
いくつかの側面では、レバウディオサイドDを産生するためのUGT76G1ポリペプチドは、配列番号2のQ23G、Q23H、I26F、I26W、T146A、T146G、T146P、H155R、L257P、L257W、L257T、L257G、L257A、L257R、L257E、S283GおよびS283Nからなる群から選択されるUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む。
【0105】
いくつかの側面では、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド、およびトリグリコシル化ステビオールグリコシドを産生するためのUGT76G1ポリペプチドは、配列番号2のT55K、T55E、S56A、Y128S、Y128E、H155L、H155R、Q198R、S285R、S285T、S253W、S253G、T284R、T284G、S285G、K337E、K337PおよびL379Vからなる群から選択されるUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む。
【0106】
いくつかの側面では、開示されたin vitroの方法は、酵素のin vitroの方法または全細胞のin vitroの方法である。
【0107】
いくつかの側面では、本明細書で開示される方法を実行する細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞または細菌細胞である。
【0108】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0109】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0110】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0111】
本発明は、更に、本明細書で開示される方法により産生されたレバウディオサイドQを提供する。
【0112】
本発明は、更に、本明細書で開示される方法により産生されたレバウディオサイドIを提供する。
【0113】
本発明は、更に、本明細書で開示される方法により産生されたジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を提供する。
【0114】
本発明は、更に、本明細書で開示される方法により産生されたトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を提供する。
【0115】
本発明は、更に、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生するために使用するUGT76G1ポリペプチドであって、配列番号2に記載のUGT76G1ポリペプチドまたは配列番号2のT55K、T55E、S56A、Y128S、Y128E、H155L、H155R、Q198R、S285R、S285T、S253W、S253G、T284R、T284G、S285G、K337E、K337PおよびL379Vを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む、前記ポリペプチドを提供する。
【0116】
本発明は、更に、レバウディオサイドDを産生するために使用するUGT76G1ポリペプチドであって、配列番号2のUGT76G1ポリペプチドまたは配列番号2のQ23G、Q23H、I26F、I26W、T146A、T146G、T146P、H155R、L257P、L257W、L257T、L257G、L257A、L257R、L257E、S283GおよびS283Nを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む、前記ポリペプチドを提供する。
【0117】
本発明は、更に、UGT76G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む組換え宿主細胞であって、UGT76G1ポリペプチドが、配列番号2のT55K、T55E、S56A、Y128S、Y128E、H155L、H155R、Q198R、S285R、S285T、S253W、S253G、T284R、T284G、S285G、K337E、K337PおよびL379Vを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む、前記細胞を提供する。
【0118】
いくつかの側面では、本明細書で開示される組換え宿主細胞は、レバウディオサイドDを産生する。
【0119】
本発明は、更に、UGT76G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含む組換え宿主細胞であって、UGT76G1ポリペプチドが、配列番号2のQ23G、Q23H、I26F、I26W、T146A、T146G、T146P、H155R、L257P、L257W、L257T、L257G、L257A、L257R、L257E、S283GおよびS283Nを含むUGT76G1ポリペプチドバリアントの1または2以上を含む、前記細胞を提供する。
【0120】
いくつかの側面では、本明細書で開示される組換え宿主細胞は、レバウディオサイドM、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)、またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)を産生する。
【0121】
いくつかの側面では、組換え宿主細胞は、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、または細菌細胞である。
【0122】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア・リポリティカ、カンジダ・グラブラタ、アシュビア・ゴシピー、サイバリンドネラ・ジャディニ、ピキア・パストリス、クルイベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、カンジダ・ボイジニイ、アークスラ・アデニニボランス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、またはカンジダ・アルビカンス種由来の細胞である。
【0123】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロミケス属である。
【0124】
いくつかの側面では、酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ種由来の細胞である。
【0125】
本発明は、更に、約1%~約99%w/wのレバウディオサイドDを含む組成物であって、ステビア抽出物に対してステビア由来混入物のレベルが減少した、前記組成物を提供する。ある例では、少なくとも1つの混入物が、ステビオールグリコシド産生物中で特に異臭に寄与する植物由来の化合物である。
【0126】
いくつかの側面では、組成物は、ステビア抽出物に対して0.1%未満のステビア由来混入物を有する。ある例では、少なくとも1つの混入物が、ステビオールグリコシド産生物中で特に異臭に寄与する植物由来の化合物である。
【0127】
本発明は、更に、本明細書で開示される組成物を含む食品を提供する。
【0128】
いくつかの側面では、食品は、飲料または飲料濃縮物である。
【0129】
本明細書に記載される宿主は、微生物(例えば、サッカロマイセス・セレビシエなどのサッカロミケス属、または大腸菌)、または植物または植物細胞(例えば、ステビア・レバウディアナなどのステビア属またはフィスコミトレラ属)であってもよい。
【0130】
本発明の上記および他の特徴ならびに利点は、下記の本発明の詳細な説明と添付の請求の範囲からさらに詳しく理解されるであろう。請求の範囲は、その記述により定義されるものであり、本明細書に記載の具体的な特徴や利点の説明により定義されるものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
下記の本発明の実施の態様の詳細な記載は、以下の図面と組み合わせて読むと最もよく理解することができるであろう。図面では同様の構造は同様の符号により示される。
【0132】
図1図1は、ステビオールグリコシドグリコシル化反応およびそれを触媒する酵素を示す。
【0133】
図2図2は、レバウディオサイドM(RebM)の化学構造を示す。
【0134】
図3図3は、レバウディオサイドD(RebD)の化学構造を示す。
【0135】
図4図4は、ステビオールの産生のための生化学経路を示す。
【0136】
図5図5は、保持時間1.31分でのヘキサグリコシル化ステビオールグリコシドの生成を示す液体クロマトグラフィー質量分析法(LC‐MS)の代表的なクロマトグラムである。上から下へのトレースは、表12に示すm/zに対応する。
【0137】
図6図6は、ヘキサグリコシル化ステビオールグリコシド類を単離する方法の模式図である。
【0138】
図7図7は、フラッシュクロマトグラフィー後の半精製したヘキサグリコシル化ステビオールグリコシドの液体クロマトグラフィー・四重極飛行時間型(LC‐QTOF)分析法により得た代表的なクロマトグラムおよびマススペクトルである。
【0139】
図8図8Aは、EFSC3044酵母株の発酵により産生された化合物を示すクロマトグラムである。図8Bは、ステビオール‐1,2‐ビオシドの類似体である、図示したジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)のNMR構造である。ジグリコシル化ステビオールグリコシドのIUPAC名は、(1R,4S,5R,9S,10R,13S)‐13‐ヒドロキシ‐5,9‐ジメチル‐14‐メチリデンテトラシクロ[11.2.1.01,10.04,9]ヘキサデカン‐5‐カルボン酸(2S,3R,4S,5S,6R)‐4,5‐ジヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3‐{[(2S,3R,4S,5S,6R)‐3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ}オキサン‐2‐イルである。図8Cは、RebBの異性体である、図示したトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステルのNMR構造の構造である。トリグリコシル化ステビオールグリコシドのIUPAC名は、(1R,4S,5R,9S,10R,13S)‐13‐ヒドロキシ‐5,9‐ジメチル‐14‐メチリデンテトラシクロ[11.2.1.01,10.04,9]ヘキサデカン‐5‐カルボン酸(2S,3R,4S,5R,6R)‐5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[(2S,3R,4S,5S,6R)‐3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イルである。
【0140】
図9図9は、EFSC3261酵母株によるRebD産生を示す。最少培地(MM)におけるEFSC3261酵母株の4つの発酵を示す。
【0141】
図10図10は、EFSC3297酵母株によるRebDおよびRebM産生を示す。
【0142】
図11図11は、EFSC3841酵母株によるRebD、RebM、およびRebA産生を示す。
【0143】
図12図12は、UGT76G1の1または2以上のコピーで産生されたRebD/RebMを比較するものである。
【0144】
図13図13Aは、UGT76G1によるRebDの消費およびRebMの産生の相対速度を示す。図13Bは、UGT76G1によるRebEの消費およびRebMおよびRebDの産生の相対速度を示す。
【0145】
図14図14は、UGT76G1の3つの相同性モデルにおける分散を示す。
【0146】
図15図15Aは、96および4x24ディープウェルプレートにおけるRebDおよびRebMの産生の散布図である;図15Bは、96および4x24ディープウェルプレートにおけるRebDおよびRebM産生の箱ひげ図であり、図15Cは、96および4x24ディープウェルプレートにおけるRebD/RebM産生の箱ひげ図である。
【0147】
図16図16は、初期のUGT76G1部位飽和変異スクリーニングのすべてのデータ点を、黒い三角形で示す野生型産生とともに示す。
【0148】
図17図17は、更なる試験のために選択した上位のRebDおよびRebMを産生するコロニーを示す。
【0149】
図18図18は、3つずつ行ったUGT76G1のRebDおよびRebMの上位産生者(図17に示す)の再スクリーニングであり、最初のスクリーニングと同じ傾向を示している。
【0150】
図19図19Aは、UGT76G1によるルブソシドの消費および1,3‐ステビオシド(RebG)およびレバウディオサイドQ(「RebQ」)の産生の相対速度を示す。図19Bは、UGT76G1による1,2‐ステビオシドの消費およびRebAの産生の相対速度を示す。図19Cは、UGT76G1による1,2‐ビオシドの消費およびRebBの産生の相対速度を示す。
【0151】
図20図20は、UGT76G1を使用した場合また使用しなかった場合の1,2‐ステビオシドおよびRebAのクロマトグラムを示し、ピークはRebIの産生を示している。
【0152】
図面の要素は簡略化および明瞭化されて示されており、必ずしも一定の比率で描かれていないことは、当業者には明らかであろう。本発明の実施態様の理解を助けるために、例えば、図面のいくつかの要素の寸法は、他の要素に対して強調されている場合もある。
【0153】
発明の詳細な説明
本明細書で挙げたすべての文献、特許、申請特許は、あらゆる目的のために参照により本明細書に明白に組み込むものである。
【0154】
本発明による遺伝的発現構築物および組換え細胞を構築するために、当業者に公知の方法が使用可能である。これらの方法としては、in vitroの組換えDNA技術、合成技術、in vivo組換え技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術などが挙げられる。例えば、Maniatis et al., 1989, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory, New York; Ausubel et al., 1989, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York, and PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis et al., 1990, Academic Press, San Diego, CA)に記載の技術を参照できる。
【0155】
本発明を詳細に説明する前に、多数の用語を定義する。本明細書で使用する場合、単数で記載されたものは、文脈上はっきりと言及しない限り、複数を含むものである。例えば、「核酸」とは、1または2以上の核酸を意味する。
【0156】
「好ましい」、「通常」、および「一般に」などの用語は、請求する発明の範囲を限定するために、またはある特徴が、請求する発明の構造または機能に重大で、必須で、重要であることを示唆するために使用されているものではないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本発明の具体的な実施態様で使用可能または不可能な他のまたは追加の特徴を単に強調することを意図する。
【0157】
本発明を記述および定義する目的で、「実質的に」という用語は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定、または他の表示に起因するであろう固有の不確かさの程度を表すために使用されることに留意されたい。「実質的に」という用語は、問題となっている主題の基本的な機能における変化をもたらすことなしに、定量的表示が記述された参照から変動可能な程度を示すためにも使用される。
【0158】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「オレゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、DNA、RNA、その誘導体、またはその組み合わせを含む核酸を意味するために互換的に使用可能である。
【0159】
本明細書で使用される「および/または」という用語は、複数の成分を組み合わせてまたは相互に排他的に記載するために使用される。例えば、「x、y、および/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、y、およびz、」「(xおよびy)またはz、」または「xまたはyまたはz」を意味することが可能である。いくつかの実施態様では、「および/または」は、ある群から選択された1または2以上の外来性核酸を含む組換え細胞が含む外来性核酸を意味するために使用する。いくつかの実施態様では、「および/または」は、ある群から選択された1または2以上のステビオールグリコシド類が産生される、ステビオールグリコシド類の産生を意味するために使用する。いくつかの実施態様では、「および/または」は、1または2以上のステビオールグリコシド類が、以下の工程の1または2以上を介して産生されるステビオールグリコシド類の産生を意味するために使用する:組換え細胞を培養すること、細胞において1または2以上のステビオールグリコシド類を合成すること、および1または2以上のステビオールグリコシド類を単離すること。
【0160】
高度にグリコシル化されたステビオールグリコシド類が、ステビア属植物に微量に、しかし、食品および飲料システムでのそのようなグリコシド類を使用するためには植物からの抽出が非実用的である程度に低いレベルで存在している可能性がある。Hellfritsch et al., J. Agric. Food Chem. 60: 6782-6793 (2012); DuBois GE, Stephenson RA., J Med Chem. Jan; 28:93-98 (1985); and US Patent Publication 2011-0160311参照。
【0161】
一般に、ステビオシドおよびレバウディオサイドAは、商業的に産生されるステビア抽出物中における主要な化合物である。ステビオシドは、レバウディオサイドAよりも、苦みが多く、甘みの少ない味であると報告されている。ステビア抽出物の組成は、植物が育つ土壌や気候に依存して、ロット毎に変動する可能性がある。原料の植物、気候条件、および抽出プロセスに依存して、商業的調製物中のレバウディオサイドAの量は、ステビオールグリコシド全含有量の20~97%の範囲で変動すると報告されている。
【0162】
他のステビオールグリコシド類は、ステビア抽出物中に様々な量で存在する。例えば、レバウディオサイドBは一般に1~2%未満存在し、一方レバウディオサイドCは7~15%の高いレベルで存在する可能性がある。レバウディオサイドDは一般に2%以下のレベルで存在し、レバウディオサイドFは一般に全ステビオールグリコシド類の3.5%以下で組成物に存在する。限定するものではないがレバウディオサイドMなどの微量なステビオールグリコシド類の量は、ステビア抽出物のフレーバープロフィールに影響を与える可能性がある。
【0163】
更に、レバウディオサイドDおよび他の高グリコシル化ステビオールグリコシド類は、レバウディオサイドAよりも質の高い甘味料であると考えられている。従って、本明細書に記載される組換え宿主および方法は、例えば、多くの強力な甘味料より機能性および感覚性特徴が優れた無カロリー甘味料としての使用のためにレバウディオサイドDの量が増加したステビオールグリコシド組成物を産生するために特に有用である。
【0164】
ヘキサグリコシル化ステビオールグリコシドであるレバウディオサイドMは、ステビア属植物に存在すると報告されており、IUPAC名は(1R,5R,9S,13R)‐13‐{[(2S,3R,4S,5R,6R)‐5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[(2S,3R,4S,5S,6R)‐3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イル]オキシ}‐5,9‐ジメチル‐14‐メチリデンテトラシクロ[11.2.1.01,10.04,9]ヘキサデカン‐5‐カルボン酸(2S,3R,4S,5R,6R)‐5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[(2S,3R,4S,5S,6R)‐3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イルである。Ohta et al., MassBank record: FU000341, FU000342, FU000343 (2010) and Ohta et al (J. Applied Glycosides, 57(3):199-209, 2010)参照。レバウディオサイドMのCAS番号は、1220616‐44‐3である。レバウディオサイドMの構造は図2参照。
【0165】
ペンタグリコシル化ステビオールグリコシドであるレバウディオサイドDも、ステビア属植物に存在すると報告されており、IUPAC名は、4,5‐ジヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3‐{[3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ}オキサン‐2‐イル13‐{[5‐ヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)‐3,4‐ビス({[3,4,5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメチル)オキサン‐2‐イル]オキシ})オキサン‐2‐イル]オキシ}‐5,9‐ジメチル‐14‐メチリデンテトラシクロ[11.2.1.01,10.04,9]ヘキサデカン‐5‐カルボン酸である。レバウディオサイドDのCAS番号は、64849‐39‐4である。レバウディオサイドDの構造は図3を参照。
【0166】
本明細書では、レバウディオサイドMまたはレバウディオサイドDの新規生合成に有用なポリペプチドを発現する微生物などの組換え宿主が提供される。本明細書に記載される宿主は、ステビオールグリコシド類を産生するのに好適な1または2以上のウリジン5’‐ジホスホ(UDP)グリコシルトランスフェラーゼを発現する。様々な微生物システムにおけるこれらの生合成ポリペプチドの発現は、糖類、グリセロール、CO、H、および日光などのエネルギーおよび炭素源から一貫した再現できる方法でステビオールグリコシド類を産生することを可能とする。組換え宿主により産生された各ステビオールグリコシドの割合は、一貫した味プロフィールを持つ甘味料組成物を産生するように、宿主の中へ予め選択した生合成酵素を組み入れ、それらを適切なレベルで発現させることにより調整できる。さらに、組換え宿主により産生されたステビオールグリコシド類の濃度は、ステビア属植物中に産生されるステビオールグリコシド類のレベルより高いことが期待され、それにより下流の精製の効率が向上する。そのような甘味料組成物は、ステビア抽出物中に存在する混入物の量に対して、植物ベースの混入物をほとんどあるいは全く含有しないという利点がある。
【0167】
UGT85C2ポリペプチド;UGT74G1ポリペプチド;UGT76G1ポリペプチド;またはUGT91d2ポリペプチドをコードする遺伝子の少なくとも1つが組換え遺伝子であり、その具体的な組換え遺伝子は使用する種または株に依存する、開示された方法を実施することおよび組換え宿主細胞が提供される。ステビオールグリコシド収量を増加し、エネルギーおよび炭素源をステビオールおよびそのグリコシド類に変換する効率を改善し、および/または細胞培養物からの生産性を高めるために、追加の遺伝子または生合成モジュールを含むことができる。本明細書で使用される「生合成モジュール」とは、一般的な生合成経路の一部分であり、従って組換え生物体中でしばしば共発現される遺伝子のコレクションを意味する。本明細書で使用されるそのような追加の生合成モジュールには、テルペノイド前駆体であるイソペンテニル二リン酸およびジメチルアリル二リン酸の合成に関与する遺伝子が含まれる。追加の生合成モジュールとしては、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼおよびコパリル二リン酸シンターゼをコードする遺伝子などのテルペンシンターゼおよびテルペンシクラーゼ遺伝子が挙げられ、これらの遺伝子は、内在性の遺伝子または組換え遺伝子であることができる。
【0168】
I.ステビオールおよびステビオールグリコシド生合成ポリペプチド
A.ステビオール生合成ポリペプチド
ステビオールを産生する生化学経路では、前駆体であるゲラニルゲラニル二リン酸(GGDPSにより触媒される)の生成、(‐)コパリル二リン酸(CDPSにより触媒される)への環化、その後(‐)‐カウレン(KSにより触媒される)の生成、その後(KOにより触媒される)酸化、および(KAHにより触媒される)ヒドロキシル化により、ステビオールを生成する。図4参照。従って、組換え微生物におけるゲラニルゲラニル二リン酸のステビオールへの変換は、カウレンシンターゼ(KS)をコードする遺伝子、カウレンオキシダーゼ(KO)をコードする遺伝子、およびステビオールシンセターゼ(KAH)をコードする遺伝子の発現を含む。ステビオールシンセターゼは、カウレン酸13‐ヒドロキシラーゼとしても知られている。
【0169】
好適なKSポリペプチドは公知である。例えば、好適なKS酵素としては、ステビア・レバウディアナ、ゼア・メイズ、ポプルス・トリコカルパ、およびアラビドプシス・タリアナにより作られるものなどが挙げられる。表2および全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967号参照。A.タリアナKSポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号6に記載され、A.タリアナKSポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号21に記載される。
【0170】
【表1】
【0171】
好適なKOポリペプチドは公知である。例えば、好適なKO酵素としては、ステビア・レバウディアナ、アラビドプシス・タリアナ、ジベレラ・フジコロイおよびトラメテス・ベルシコロルから作られたものなどが挙げられる。例えば、表3および全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967号参照。
【0172】
【表2】
【0173】
好適なKAHポリペプチドは公知である。例えば、好適なKAH酵素としては、ステビア・レバウディアナ、アラビドプシス・タリアナ、ヴィティス・ヴィニフェラおよびメディカゴ・トランキュラタにより作られたものなどが挙げられる。例えば、表4および全開示を参照により本明細書に組み込む、国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967、米国特許公報第2008/0271205号および第2008/0064063号、およびGenbankアクセッション番号gi189098312(配列番号37)およびGenBankアクセッションABD60225;GI:89242710(配列番号38)参照。A.タリアナから得たステビオールシンセターゼは、CYP714A2と分類される。
【0174】
【表3】
【0175】
更に、全開示を参照により本明細書に組み込む、国際特許第PCT/US2012/050021号に記載されるように同定されたステビア・レバウディアナ由来のKAHポリペプチドは、組換え宿主において特に有用である。S.レバウディアナKAH(SrKAHe1)をコードするヌクレオチド配列は、配列番号91に記載される。酵母における発現のためにコドン最適化したS.レバウディアナKAHをコードするヌクレオチド配列は、配列番号8に記載され、S.レバウディアナKAHポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号11に記載される。S.セレビシエ中に発現されるとき、S.レバウディアナKAH(配列番号11)は、Yamaguchi et al.(米国特許公報第2008/0271205A1号)に記載のA.タリアナent‐カウレン酸ヒドロキシラーゼ、米国特許公報第2008/0064063号およびACD93722としてGenBankに委託されたタンパク質配列に記載の他のS.レバウディアナKAH酵素と比べて、有意に高いステビオールシンターゼ活性を示す。S.レバウディアナKAHポリペプチド(配列番号11)は、米国特許公報第2008/0271205号のKAHと20%未満の同一性および米国特許公報第2008/0064063号のKAHと35%未満の同一性を有する。
【0176】
例えば、SrKAHe1によりコードされているステビオールシンターゼは、NCP1遺伝子(YHR042W)によりコードされているS.セレビシエCPRにより活性化される。ATR2遺伝子(配列番号10)によりコードされているA.タリアナCPRおよびCPR8遺伝子(配列番号5)によりコードされているS.レバウディアナCPRが共発現されるときに、SrKAHe1によりコードされているステビオールシンターゼのより活性化レベルの増加が観察される。A.タリアナATR2のアミノ酸配列は配列番号9に記載されており、S.レバウディアナCPR8ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号4に記載されている。
【0177】
いくつかの実施態様では、組換え微生物は、KO、KS,およびKAHポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含有する。KOおよび/またはKAHポリペプチドの組み合わせが外来性CPRポリペプチドの発現を要するので、そのような微生物は、一般にシトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチドをコードする組換え遺伝子も含有する。特に、植物起源のKOおよび/またはKAHポリペプチドの活性は、外来性CPRポリペプチドをコードする組換え遺伝子を含有させることで有意に増加させることができる。好適なCPRポリペプチドは公知である。例えば、好適なCPR酵素としては、S.レバウディアナおよびA.タリアナにより作られるものなどが挙げられる。例えば、表5および全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967参照。
【0178】
【表4】
【0179】
酵母遺伝子DPP1および/または酵母遺伝子LPP1は、これらの酵素でGGPPおよびFPP前駆体を変換することにより、ステビオールの収量を低減することが可能である。これらの遺伝子は、ファルネシルピロリン酸(FPP)のファルネソールへの分解が低減され、ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)のゲラニルゲラニオール(GGOH)への分解が低減されるように、破壊または欠失することが可能である。あるいは、ホスファターゼをコードする内在性の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー領域を、それらによりコードされているタンパク質の発現を変化するように変化させることが可能である。相同組換えを、内在性遺伝子を破壊するために使用することが可能である。例えば、「遺伝子置換」ベクターを、選択マーカー遺伝子を含むように構築することが可能である。選択マーカー遺伝子は、5’末端および3’末端の両方で、当業者に公知の方法を使用して相同組換えを仲介するのに十分な長さの遺伝子の部分に機能的に連結することが可能である。
【0180】
選択マーカーは、宿主細胞栄養要求性を補完するか、抗生物質耐性を付与するか、または色の変化をもたらす任意の数の遺伝子の1つであることができる。そして、遺伝子置換ベクターの直線化されたDNA断片は、従来公知の方法を使用して細胞の中へ導入される(下記参照)。ゲノムへの直鎖断片の組込みおよび遺伝子の破壊は、選択マーカーに基づいて決定可能であり、例えばサザンブロット解析法によって検証可能である。選択において使用した後、選択マーカーは、例えばCre‐loxPシステムにより宿主細胞のゲノムから除去可能である(例えば、Gossen et al., 2002, Ann. Rev. Genetics 36:153-173および米国特許公開第20060014264号参照)。あるいは、遺伝子置換ベクターを、任意の内在性の遺伝子プロモーター配列が欠けており何もコードしていないか、または遺伝子のコード配列の不活性な断片である、破壊されるべき遺伝子の部分を含むように構築することが可能である。
【0181】
「不活性な断片」とは、遺伝子の全長コード配列から産生されるタンパク質の活性の例えば約10%未満(例えば、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または0%)を有するタンパク質をコードする遺伝子の断片である。そのような遺伝子部分は、公知のプロモーター配列が遺伝子配列に機能的に連結していないように、しかし終止コドンおよび転写終結配列が遺伝子配列の部分に機能的に連結しているようにベクターに挿入される。このベクターは、その後、この遺伝子配列の部分において直線化され、細胞の中へ形質転換される。1回の相同組換えにより、その後、この直線化されたベクターは、遺伝子の内在性のカウンターパートに組み込まれ、それを不活性化する。
【0182】
これらの遺伝子の組換え微生物の発現により、ゲラニルゲラニル二リン酸をステビオールへ変換することができる。
【0183】
B.ステビオールグリコシド生合成ポリペプチド
ステビオールをステビオールグリコシドに変換することが可能な組換え宿主細胞が、本明細書に記載される。そのような宿主(例えば、微生物)は、UGTとしても知られるUDPグリコシルトランスフェラーゼの1または2以上をコードする遺伝子を含有する。UGTは、活性化糖ヌクレオチドのモノサッカライドユニットを、受容部分、この場合には、ステビオールまたはステビオール誘導体の-OHまたは-COOH部分またはステビオール骨格に既に付加したグルコースの-OH部分へ転移する。UGTは、配列相同性に基づいて、ファミリーおよびサブファミリーに分類されている。Li et al., 2001, J. Biol. Chem. 276:4338-4343参照。
ルブソシド生合成ポリペプチド
【0184】
ルブソシドの生合成には、ステビオールの13‐OHおよび19‐COOHのグリコシル化が含まれる。図1参照。微生物などの組換え宿主におけるステビオールのルブソシドへの変換は、グルコースユニットをステビオールの13‐OHまたは19‐COOHへそれぞれ転移するUGT85C2および74G1をコードする遺伝子の発現により達成可能である。
【0185】
好適なUGT85C2は、ウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール13‐OHトランスフェラーゼ、およびウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール‐19‐O‐グルコシド13‐OHトランスフェラーゼとして機能する。UGT85C2の反応の例としては、ステビオールおよびUDPグルコースのステビオール‐13‐O‐グルコシドへの変換またはステビオール‐19‐O‐グルコシドおよびUDPグルコースのルブソシドへの変換などが挙げられる。図1参照。機能性UGT85C2ポリペプチドは、ステビオールおよびステビオール‐19‐O‐グルコシド以外のステビオールグリコシド基質を使用するグルコシルトランスフェラーゼ反応を触媒することも可能である。
【0186】
好適なUGT74G1ポリペプチドは、ウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール19‐COOHトランスフェラーゼおよびウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール‐13‐O‐グルコシド19‐COOHトランスフェラーゼとして機能する。74G1の反応例としては、ステビオールのステビオール‐19‐O‐グルコシドへの変換およびステビオール‐13‐O‐グルコシドのルブソシドへの変換などが挙げられる。UGT74G1反応の上記および他の非制限的な例は図19を参照。機能性UGT74G1ポリペプチドは、ステビオールおよびステビオール‐13‐O‐グルコシド以外のステビオールグリコシド基質を使用するか、またはウリジン二リン酸グルコース以外のドナーからの糖部分を転移するグリコシルトランスフェラーゼ反応を触媒することも可能である。
【0187】
機能性UGT74G1および機能性UGT85C2を発現する組換え微生物は、ステビオールを培地で供給原料として使用するときは、ルブソシドおよび両ステビオールモノシド類(すなわち、ステビオール13‐O‐モノグルコシドおよびステビオール19‐O‐モノグルコシド)を作ることができる。しかしながら、一般に、UGT74G1およびUGT85C2をコードする遺伝子は、それらを天然には持たない宿主(例えば、微生物)に形質転換される組換え遺伝子である。
【0188】
本明細書で使用される、「組換え宿主」という用語は、ゲノムが少なくとも1つ組み込まれたDNA配列により増強した宿主細胞を意味する(限定するものではない)ことを意図している;染色体外の例としては、細菌中のプラスミドおよび酵母中の2‐ミクロンサークルを含むエピソームなどが挙げられている。そのようなDNA配列としては、限定することなく、天然に存在しない遺伝子、通常RNAに転写されないまたはタンパク質に翻訳され(「発現され」)ないDNA配列、および非組換え宿主に導入されることが望まれる他の遺伝子またはDNA配列などが挙げられる。一般に本明細書に記載される組換え宿主のゲノムは、1または2以上の組換え遺伝子の安定な導入により増強されることを理解されたい。一般に、導入されたDNAは、そのDNAのレシピエントである宿主に元来常在するものではないが、所与の宿主からDNAセグメントを単離し、その後そのDNAの1または2以上の追加のコピーを同じ宿主に導入して、例えば、遺伝子産物の産生を高めるかまたは遺伝子発現パターンを変更することは本発明の範囲内である。ある例では、導入されたDNAは、例えば相同組換えまたは部位特異的突然変異誘導により内在性の遺伝子またはDNA配列を改変または置換さえするであろう。好適な組換え宿主としては、微生物、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、植物細胞、および植物などが挙げられる。
【0189】
「組換え遺伝子」という用語は、宿主に既に同一または同様の遺伝子またはDNA配列が存在するかどうかにかかわらず、レシピエント宿主に導入された遺伝子またはDNA配列を意味する。本文脈における「導入される」または「増強される」とは、人工的に導入または増強されることを意味することは従来公知である。従って、組換え遺伝子は、他の種由来のDNA配列、または同一種由来のまたは同一種に存在するDNA配列であることができるが、組換え宿主を作るための組換え方法により宿主に組み込まれたものである。宿主に導入された組換え遺伝子は、形質転換される宿主に通常存在して、そのDNAの遺伝子産物の過剰発現または改変(限定されるものではないが制御または誘導)発現を可能とするためにDNAの1または2以上の追加のコピーを提供するために導入されるDNA配列と同一であることが可能であることを理解されたい。
【0190】
好適なUGT74G1およびUGT85C2ポリペプチドとしては、S.レバウディアナにより作られるものなどが挙げられる。ステビア属由来の機能性UGT74G1およびUGT85C2ポリペプチドをコードする遺伝子は、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67に報告されている。S.レバウディアナUGT74G1(配列番号19)およびUGT85C2(配列番号26)ポリペプチドのアミノ酸配列は、酵母における発現に最適化したUGT74G1およびUGT85C2およびDNA2.0コドン最適化した配列UGT85C2、UGT91D2e、UGT74G1およびUGT76G1をコードするヌクレオチド配列と同様に、国際特許第PCT/US2012/050021号の配列番号:1および3にそれぞれ記載されている。S.レバウディアナUGT85C2をコードする、GeneArtのコドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号3に記載されている。下記「機能的ホモログ」セクションに記載のUGT85C2およびUGT74G1バリアントも参照。例えば、UGT85C2ポリペプチドは、65、71、270、289、および389位(例えば、A65S,E71Q、T270M、Q289H、およびA389V)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせの位置に置換を含有することが可能である。
【0191】
いくつかの実施態様では、組換え宿主は微生物である。組換え微生物は、ルブソシドを産生するためにステビオールを含有する培地で増殖することができる。しかしながら、他の実施態様では、組換え微生物は、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子、およびKAH遺伝子などの、ステビオール生合成に関与する遺伝子を発現する。好適なCDPSポリペプチドは公知である。例えば、好適なCDPS酵素としては、S.レバウディアナ、ストレプトミセス・クラブリゲルス、ブラディリゾビウム・ジャポニクム、ゼア・メイズ、およびアラビドプシス属により作られるものなどが挙げられる。例えば、表6および全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967号参照。
【0192】
いくつかの実施態様では、無修飾ポリペプチドのアミノ末端における葉緑体トランジットペプチドを欠損するCDPSポリペプチドを使用することが可能である。例えば、ゼア・メイズCDPSコード配列(配列番号12)の5’末端の最初の150個のヌクレオチドを除去した、切断型ヌクレオチド配列を配列番号133に示す。そうすることにより、葉緑体トランジットペプチドをコードする配列番号13に示すアミノ酸配列のアミノ末端の50残基が除去される;切断型アミノ酸配列を配列番号134に示す。切断型CDPS遺伝子は、新規のATG翻訳開始部位が結合され、プロモーター、一般に恒常的または高度発現性のプロモーターに機能的に連結することが可能である。切断型コード配列の複数のコピー、限定されるものではないが、1個のコピー、2個のコピーまたは3個のコピーが微生物に導入されると、プロモーターからのCDPSポリペプチドの発現は、ent‐カウレン生合成の方へ炭素フラックスを増加させる。
【0193】
【表5】
【0194】
CDPS‐KS二機能性タンパク質を使用することも可能である。表7に示すCDPS‐KS二機能性酵素をコードするヌクレオチド配列は、酵母における発現のために改変されている(全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号参照)。ジベレラ・フジクロイ由来の二機能性酵素も使用可能である。
【0195】
【表6】
【0196】
従って、UGT74G1およびUGT85C2遺伝子とともに、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子およびKAH遺伝子を含有する微生物が、供給原料としてステビオールを使用する必要なしに両方のステビオールモノシド類およびルブソシドを産生することができる。
【0197】
いくつかの実施態様では、組換え微生物は、更にゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)をコードする組換え遺伝子を発現する。好適なGGPPSポリペプチドは公知である。例えば、好適なGGPPS酵素としては、S.レバウディアナ、ジベレラ・フジクロイ、ムス・ムスクルス、タラシオシラ・シュードナナ、ストレプトミセス・クラブリゲルス、スルホロブス・アシドカルダリウス、シネココッカス属およびA.タリアナにより作られたものなどが挙げられる。表8および全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967号参照。
【0198】
【表7】
【0199】
いくつかの側面では、本発明の組換え細胞を構成する、配列番号11に記載のKAHポリペプチドをコードするKAH遺伝子は、過剰発現される。いくつかの側面では、KAH遺伝子は、(限定されるものではないが)1個、2個または3個のコピーで存在することができる。いくつかの側面では、本発明の組換え細胞を構成する、配列番号21に記載のKSポリペプチドをコードするKS遺伝子は、過剰発現される。いくつかの側面では、KS遺伝子は、(限定されるものではないが)1個、2個または3個のコピーで存在することができる。
【0200】
いくつかの実施態様では、組換え微生物は、更に、例えば後述のメチルエリスリトール4‐リン酸(MEP)経路における遺伝子またはメバロン酸(MEV)経路における遺伝子などの、ジテルペン生合成またはテルペノイド前駆体の産生に関与する組換え遺伝子を発現すること、ホスファターゼ活性が低減していること、および/または本明細書に記載のスクロースシンターゼ(SUS)を発現することが可能である。
【0201】
レバウディオサイドA、レバウディオサイドD、およびレバウディオサイドE生合成ポリペプチド
レバウディオサイドAの生合成には、アグリコンステビオールのグルコシル化が含まれる。具体的には、レバウディオサイドAは、13‐O‐ステビオールモノシドを生成するステビオールの13‐OHのグルコシル化、ステビオール‐1,2‐ビオシドを生成するステビオールモノシドの13‐O‐グルコースのC‐2’のグルコシル化、ステビオシドを生成するステビオール‐1,2‐ビオシドのC‐19カルボキシルのグルコシル化、およびRebAを産生するステビオシドのC‐13‐O‐グルコースのC‐3’のグルコシル化により生成可能である。各グルコシル化反応が起こる順番は、様々であり得る。図1参照。
【0202】
レバウディオサイドEおよび/またはレバウディオサイドDの生合成には、アグリコンステビオールのグルコシル化が含まれる。具体的には、レバウディオサイドEは、ステビオール‐13‐O‐グルコシドを生成するステビオールの13‐OHのグルコシル化、ステビオール‐1,2‐ビオシドを生成するステビオール‐13‐O‐グルコシドの13‐O‐グルコースのC‐2’のグルコシル化、1,2‐ステビオシドを生成する1,2‐ビオシドのC‐19カルボキシルのグルコシル化、およびレバウディオサイドEを生成する1,2‐ステビオシドの19‐O‐グルコースのC‐2’のグルコシル化により生成可能である。レバウディオサイドDは、レバウディオサイドEのC‐13‐O‐グルコースのC‐3’のグルコシル化により生成可能である。各グルコシル化反応が起こる順番は、様々であり得る。例えば、19‐O‐グルコースのC‐2’のグルコシル化は、レバウディオサイドAが中間体である経路の最後の工程であってもよい。図1参照。
【0203】
レバウディオサイドMポリペプチド
本明細書で提供されるように、組換え宿主におけるステビオールのレバウディオサイドMへの変換は、以下の機能性UGT:91D2、EUGT11、74G1、85C2、および76G1の組み合わせを発現することにより達成可能である。図1参照。多数のプラスミドのコピーを使用して、または強力なプロモーター、または複数の組み込まれた遺伝子のコピー、または多数の遺伝子コピーであるように選択したエピソームを使用して、EUGT11を高いレベルで発現することが特に有用である。従って、これらのUGTの組み合わせを発現する組換え微生物が、レバウディオサイドA(85C2;76G1;74G1;91D2e)、レバウディオサイドD(85C2;76G1;74G1;91D2e;EUGT11)、レバウディオサイドE(85C2;74G1;91D2e;EUGT11)、またはレバウディオサイドM(85C2;76G1;74G1;91D2e;EUGT11)を作ることが可能である。図1参照。一般に、1または2以上のこれらの遺伝子は、天然にそれらを有さない微生物に形質転換される組換え遺伝子である。また、本明細書でSM12UGTと命名されたUGTは、UGT91D2の代わりに使用可能であることが発見された。
【0204】
個々のレバウディオサイド類を標的とする産生は、組換え細胞におけるUGTをコードする遺伝子(図1参照)のコピー数の差異、プロモーター強度の差異および/または目的とする産生物への特異性/活性が向上した変異体の利用により達成可能である。例えば、もしEUGT11が、レバウディオサイドAの生成に有利な他のUGTと比較して低いレベルで発現されると、レバウディオサイドD、E、およびMは低いレベルで生成されるであろう。EUGT11の発現レベルが高いと、レバウディオサイドMを生成するためにUGT76G1の基質として働く19‐O1,2ジグルコシドがより多く産生される。ある有利な実施態様では、本発明の組換え細胞におけるUGT76G1の追加のコピーまたは変異体バージョンは、レバウディオサイドDからのレバウディオサイドMの生成速度を向上可能である。
【0205】
いくつかの実施態様では、UGT76G1は、ステビオールおよびステビオールグリコシド類の19‐O位でのグリコシル化を触媒する。従って、いくつかの実施態様では、生物変換すなわちin vitroでのUGT76G1による触媒作用により、UGT76G1ポリペプチドをコードする組換え遺伝子を発現する組換え宿主において、RebM、RebQ、RebI、ジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)、またはトリグリコシル化ステビオールグリコシド((13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)の1または2以上が産生される。いくつかの実施態様では、UGT76G1は、ステビオールおよびステビオールグリコシド類の13‐O位でのグリコシル化を触媒し、13‐O位で1,2‐ジグリコシル化または13‐O位でモノグリコシル化されるステビオールグリコシド基質を優先的にグリコシル化する。いくつかの実施態様では、UGT76G1は、19‐O位のグリコシル化の状態への優先を示さない。
【0206】
いくつかの側面では、本発明の組換え宿主細胞が、配列番号2に記載のUGT76G1ポリペプチドをコードする遺伝子を含む。いくつかの側面では、本発明の組換え細胞を構成する、配列番号2に記載のUGT76G1ポリペプチドをコードする遺伝子が過剰発現される。いくつかの側面では、遺伝子は、(限定されるものではないが)2個または3個のコピーで存在することができる。
【0207】
いくつかの実施態様では、配列番号2に記載のUGT76G1ポリペプチドをコードする遺伝子は、1個のコピーで存在する。図12(例9)に示すように、UGT76G1ポリペプチドをコードする遺伝子のコピー数が少ない(1個のコピー)と、UGT76G1の発現が少なくなり、レバウディオサイドD/レバウディオサイドM比が増加する。
【0208】
いくつかの実施態様では、5個未満(例えば、1個、2個、3個または4個)のUGTが宿主で発現される。例えば、機能性EUGT11を発現する組換え微生物は、レバウディオサイドAを供給原料として使用すると、レバウディオサイドDを作ることが可能である。機能性UGT76G1を発現する組換え微生物は、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドEを供給原料として使用すると、レバウディオサイドMを作ることが可能である。レバウディオサイドMは、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドEのいずれかから、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドEの19‐O‐グルコースのC‐3’のグルコシル化により作ることが可能である;レバウディオサイドEの場合は、レバウディオサイドMを産生する13‐O‐グルコースの2度目のグルコシル化が必要である。
【0209】
ルブソシドまたは1,2‐ステビオシドを供給原料として使用する場合、EUGT11、74G1または76G1、および91D2を発現する組換え微生物はレバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを作ることが可能である。さらに他の方法として、モノシドであるステビオール‐13‐O‐グルコシドを培地に添加するときは、EUGT11、74G1、76G1、および91D2を発現する組換え微生物は、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMを作ることが可能である。同様に、組換え微生物におけるステビオール‐19‐O‐グルコシドのレバウディオサイドDへの変換は、ステビオール‐19‐O‐グルコシドを供給するときは、細胞中でUGTEUGT11、85C2、76G1、および91D2eをコードする遺伝子を発現することにより達成することが可能である。
【0210】
好適なUGT74G1およびUGT85C2ポリペプチドとしては、上記のものなどが挙げられる。好適なUGT76G1は、グルコース部分を、受容分子であるステビオール1,2グリコシドのC‐13‐O‐グルコースのC‐3’へ付加する。UGT76G1は、例えばウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール13‐O‐1,2グルコシドC‐3’グルコシルトランスフェラーゼおよびウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール‐19‐O‐グルコース、13‐O‐1,2ビオシドC‐3’グルコシルトランスフェラーゼとして機能する。機能性UGT76G1ポリペプチドは、例えば、ステビオールラムノシド類およびステビオールキシロシド類などのグルコース以外の糖類を含有するステビオールグリコシド基質を使用するグルコシルトランスフェラーゼ反応を触媒することも可能である。図1参照。好適なUGT76G1ポリペプチドとしては、S.レバウディアナにより作られ、Richman et al., 2005, The Plant Journal 41:56-67に報告されているものなどが挙げられる。酵母における発現に最適化したS.レバウディアナUGT76G1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、配列番号14に記載する。「機能的ホモログ」のセクションに記載したUGT76G1バリアントも参照のこと。
【0211】
好適なEUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、グルコース部分を受容分子であるステビオール‐13‐O‐グルコシドの13‐O‐グルコースのC‐2’へ転移するウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ステビオール‐13‐O‐グルコシドトランスフェラーゼ(ステビオール‐13‐モノグルコシド1,2‐グルコシラーゼとも呼ばれる)として機能する。
【0212】
また、好適なEUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、ステビオシドを産生するために、グルコース部分を受容分子であるルブソシドの13‐O‐グルコースのC‐2’へ転移する、ウリジン5’‐ジホスホグルコシル:ルブソシドトランスフェラーゼとして機能する。EUGT11ポリペプチドは、19‐O‐1,2‐ジグリコシル化ルブソシドを産生するために、グルコース部分を受容分子であるルブソシドの19‐O‐グルコースのC‐2’へ転移することも可能である(図1参照)。
【0213】
また、機能性EUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、ステビオール‐13‐O‐グルコシドおよびルブソシド以外のステビオールグリコシド基質を用いた反応を触媒することも可能である。例えば、機能性EUGT11ポリペプチドは、ステビオシドを基質として用いてレバウディオサイドEを産生するためにグルコース部分を19‐O‐グルコース残基のC‐2’へ転移することが可能である(図1参照)。また、機能性EUGT11およびUGT91D2ポリペプチドは、レバウディオサイドAを基質として用いてレバウディオサイドDを産生するために、グルコース部分をレバウディオサイドAの19‐O‐グルコース残基のC‐2’へ転移することも可能である。EUGT11は、反応を同様の条件、すなわち同様の時間、温度、純度および基質濃度で行ったとき対応する野生型UGT91D2e(配列番号15)の速度よりも少なくとも20倍速い(例えば、少なくとも25倍または少なくとも30倍速い)速度でレバウディオサイドAをレバウディオサイドDに変換することが可能である。そのように、EUGT11は、細胞中またはin vitroの同様の条件、温度感受性のEUGT11が安定である条件で、UGT91D2eよりも多量のRebDを産生する。
【0214】
更に、機能性EUGT11は、ルブソシドまたはステビオシドを基質として有意なC‐2’19‐O‐ジグリコシル化活性を示すが、UGT91D2eは、同じ条件でこれらの基質のジグリコシル化活性は検出されない。従って、機能性EUGT11は、ステビオールグリコシド基質特異性の差異によりUGT91D2eから識別可能である。
【0215】
機能性EUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、グルコース部分をC‐13位に1,3‐結合グルコースを有するステビオール化合物に転移しない、すなわち、グルコース部分のステビオール‐1,3‐ビオシドおよび1,3‐ステビオシド(RebG)への転移は起こらない。
【0216】
機能性EUGT11およびUGT91D2ポリペプチドは、糖部分をウリジン二リン酸グルコース以外のドナーから転移することが可能である。例えば、機能性EUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、ウリジン5’‐ジホスホD‐キシロシル:ステビオール‐13‐O‐グルコシドトランスフェラーゼとして作用し、キシロース部分を受容分子であるステビオール‐13‐O‐グルコシドの13‐O‐グルコースのC‐2’へ転移することが可能である。他の例としては、機能性EUGT11またはUGT91D2ポリペプチドは、ウリジン5’‐ジホスホL‐ラムノシル:ステビオール‐13‐O‐グルコシドトランスフェラーゼとして作用し、ラムノース部分を受容分子であるステビオール‐13‐O‐グルコシドの13‐O‐グルコースのC‐2’へ転移することが可能である。
【0217】
好適なEUGT11ポリペプチドは、本明細書に記載され、オリザ・サティバ(GenBankアクセッション番号第AC133334;配列番号16)由来のEUGT11ポリペプチドなどが挙げられる。例えば、EUGT11ポリペプチドは、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、96、97、98、または99%の配列同一性)を持つアミノ酸配列を有することが可能である。また、EUGT11のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は配列番号17に、酵母における発現のためにコドンを最適化したヌクレオチド配列も同様に記載した(配列番号18)。
【0218】
好適な機能性UGT91D2ポリペプチドとしては、例えばUGT91D2eおよびUGT91D2mと命名されるポリペプチドおよび本明細書に記載される機能的ホモログなどが挙げられる。S.レバウディアナ由来UGT91D2eポリペプチドの1つの例のアミノ酸配列を配列番号15に、酵母における発現のためにコドン最適化したUGT91D2eポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も同様に記載した(配列番号89)。S.レバウディアナ由来UGT91D2m(配列番号86)ポリペプチドの例のアミノ酸配列は、全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号の配列番号10に記載される。さらに、アミノ酸残基206、207、および343に置換を含有するUGT91D2バリアントが使用可能である。例えば、野生型UGT91D2eに対してG206R,Y207C、およびW343R変異を有するアミノ酸配列を使用可能である。更に、アミノ酸残基211および286に置換を含有するUGT91D2バリアントが使用可能である。例えば、UGT91D2バリアントは、部位211のロイシンがメチオニンで、部位286のバリンがアラニンで置換されている(UGT91D2e‐bと呼ばれる)。これらのバリアントL211MおよびV286Aは、本明細書で配列番号66として開示される国際特許第PCT/US2012/050021号の配列番号5のバリアントである。他のバリアントとしては、表12および全開示を参照により本明細書に組み込む第PCT/US2012/050021号の例11に記載のバリアント(T144S,M152L、L213F、S364P、およびG384Cバリアントを除く)などが挙げられる。
【0219】
上述したように、本明細書でSM12UGTとして命名されたUGTは、UGT91D2の代わりに使用することができる。好適な機能性SM12UGTポリペプチドとしては、イポメア・プルプレア(アサガオ)により作られるものおよびMorita et al., 2005, Plant J. 42, 353-363に記載のものなどが挙げられる。I.プルプレアIP3GGT(配列番号67)(全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号に記載)をコードするアミノ酸配列は、酵母における発現のためにコドン最適化した、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号68)を有する。他の好適なSM12UGTポリペプチドは、R25S変異(Bp94B1ポリペプチド)を有するUGT94B1ポリペプチドである。Osmani et al., 2008, Plant Phys. 148: 1295-1308 and Sawada et al., 2005, J. Biol. Chem. 280:899-906参照。ベリス・ペレンニス(レッドデイジー)UGT94B1のアミノ酸配列(配列番号69)および酵母における発現のためにコドン最適化したヌクレオチド配列(配列番号70)は、全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号に記載される。
【0220】
いくつかの実施態様では、レバウディオサイドMを産生するために、組換え微生物を、ステビオール‐13‐O‐グルコシドまたはステビオール‐19‐O‐グルコシドを含有する培地で増殖する。そのような実施態様では、微生物は、機能性EUGT11、機能性UGT74G1、機能性UGT85C2、機能性UGT76G1、および機能性UGT91D2コードする遺伝子を含有・発現し、ステビオール、1つまたは両ステビオールモノシド類、またはルブソシドを供給原料として使用するとき、UDP‐グリコシルトランスフェラーゼ活性の相対レベルに依存して、レバウディオサイドA、レバウディオサイドD、レバウディオサイドMまたはそれらの組み合わせを蓄積する能力がある。
【0221】
他の実施態様では、レバウディオサイドA、D、またはMを産生するために、組換え微生物を、ルブソシドを含有する培地で増殖する。そのような実施態様では、微生物は、機能性EUGT11、機能性UGT76G1、および機能性UGT91D2をコードする遺伝子を含有・発現し、ルブソシドを供給原料として使用すると、UDP‐グリコシルトランスフェラーゼ活性の相対レベルに依存してレバウディオサイドA、D、Mまたはそれらの組み合わせを産生する能力がある。
【0222】
他の実施態様では、組換え微生物は、例えば、CDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子および/またはKAH遺伝子などの、ステビオール生合成に関与する遺伝子を発現する。従って、EUGT11、UGT74G1、UGT85C2、UGT76G1、および機能性UGT91D2(例えば、UGT91D2e)に加えて、例えばCDPS遺伝子、KS遺伝子、KO遺伝子およびKAH遺伝子を含有する微生物は、培地中にステビオールを含む必要なしにレバウディオサイドA、D、E、および/またはMを産生する能力がある。
【0223】
いくつかの実施態様では、ステビオール生合成経路全体のフラックスを増加させるためのジテルペン前駆体ゲラニルゲラニル二リン酸のレベルを向上させるために、組換え宿主は、更に組換えGGPPS遺伝子を含有および発現する。
【0224】
いくつかの実施態様では、組換え宿主は、ゲラニルゲラニル二リン酸、ent‐カウレン酸またはファルネシルピロリン酸を消費する非ステビオール経路の発現を抑制する構築物を更に含有し、それによってステビオールおよびステビオールグリコシド類生合成経路のフラックスを増加する。後述するように、エルゴステロールなどのステロール産生経路へのフラックスは、ERG9遺伝子の発現低下により減少可能である。ジベレリン類を産生する細胞においては、ent‐カウレン酸のステビオールへのフラックスを増加するために、ジベレリン合成を下方制御することが可能である。カロテノイドを産生する生物体では、ステビオールへのフラックスは、1または2以上のカロテノイド生合成遺伝子の下方制御により増加可能である。いくつかの実施態様では、組換え微生物は、更に、ジテルペン生合成またはテルペノイド前駆体の産生に関与する組換え遺伝子、例えば、後述のMEPまたはMEV経路における遺伝子を発現し、ホスファターゼ活性を減少させ、および/または本明細書に記載するSUSを発現することが可能である。
【0225】
異なるUGT遺伝子の相対的発現レベルを調節することにより、組換え宿主が所望の割合でステビオールグリコシド産生物を特異的に産生するように設計可能であることは当業者には理解されるであろう。ステビオール生合成遺伝子およびステビオールグリコシド生合成遺伝子の転写制御は、当業者に公知の技術を使用して転写活性化および抑制の組み合わせにより達成可能である。in vitroの反応においては、併用する異なるUGTの相対的活性に影響を与える組み合わせまたは条件下でUGT酵素を異なるレベルで添加することにより、各ステビオールグリコシドを所望の割合で得るように合成を誘導するであろうことは当業者には理解されるであろう。レバウディオサイドDまたはMをより高い割合またはレバウディオサイドDまたはMへのより効率的な変換が、13‐O‐グルコシド反応(レバウディオサイドAおよびステビオシド基質)に比較して19‐O‐グルコシド反応に活性が高いジグリコシル化酵素により達成することが可能なことは当業者には理解されるであろう。
【0226】
いくつかの実施態様では、微生物などの組換え宿主が、ステビオールグリコシド類の合計の少なくとも3重量%以上のレバウディオサイドMを有するレバウディオサイドMが濃縮したステビオールグリコシド組成物を産生する;例えば、少なくとも4%のレバウディオサイドM、少なくとも5%のレバウディオサイドM、少なくとも10~20%のレバウディオサイドM、少なくとも20~30%のレバウディオサイドM、少なくとも30~40%のレバウディオサイドM、少なくとも40~50%のレバウディオサイドM、少なくとも50~60%のレバウディオサイドM、少なくとも60~70%のレバウディオサイドM、または少なくとも70~80%のレバウディオサイドMである組成物を産生する。共存する他のステビオールグリコシド類としては、ステビオールモノシド類、ステビオールグルコビオシド類、レバウディオサイドA、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、およびステビオシドなどの図1に示したものが挙げられる。いくつかの実施態様では、宿主(例えば、微生物)により産生されたレバウディオサイドMが濃縮した組成物は更に精製することが可能であり、そのように精製されたレバウディオサイドMは、他のステビオールグリコシド類、香味料、または甘味料と混合して所望の味システムまたは甘味組成物を得ることができる。例えば、組換え宿主により産生されたレバウディオサイドMが濃縮した組成物は、異なる組換え宿主により産生されたレバウディオサイドA、C、D、またはEが濃縮した組成物、ステビア抽出物から精製されたレバウディオサイドA、C、D、またはE、またはin vitroで産生されたレバウディオサイドA、C、D、またはEと合わせることができる。
【0227】
いくつかの実施態様では、レバウディオサイドMを、適切なUDP糖類を供給するin vitroの方法および/またはUDP糖類の再生のための無細胞システムを使用して産生することが可能である。いくつかの実施態様では、グリコシル化反応の間に産生したUDPからUDPグルコースを再生するために、スクロースおよびスクロースシンターゼを反応容器に供給することができる。スクロースシンターゼは、任意の好適な生物体から得ることができる。例えば、A.タリアナ、S.レバウディアナ、またはコフィア・アラビカ由来のスクロースシンターゼコード配列を、好適なプロモーターの制御下に発現プラスミドにクローン化し、微生物または植物などの宿主中で発現することが可能である。
【0228】
複数の反応を要する変換は、同時にまたは段階的に行うことが可能である。例えば、レバウディオサイドMは、濃縮抽出物として市販されているかまたは化学等量または過剰量のUDPグルコースおよびUGT76G1を添加して生合成により産生されるレバウディオサイドDまたはレバウディオサイドEから産生することが可能である。他の方法としては、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMは、ステビオシドおよびレバウディオサイドAが濃縮されたステビオールグリコシド抽出物から、EUGT11および好適なUGT76G1酵素を使用して産生することが可能である。いくつかの実施態様では、二次産生物を除去し、反応収量を向上するためにホスファターゼを使用する。in vitro反応用のUGTおよび他の酵素は、可溶な形態または固定化された形態で提供することが可能である。
【0229】
いくつかの実施態様では、レバウディオサイドMは、植物抽出物由来のステビオールグリコシド類の混合物を含むステビオールおよび/またはステビオールグリコシド類などの前駆体分子を含有する供給原料である全細胞を使用して産生することが可能である。原料は、細胞増殖中または細胞増殖後に供給可能である。全細胞は、浮遊させるかまたは固定化することが可能である。全細胞は、例えばアルギン酸カルシウムまたはナトリウムビーズなどのビーズ中にトラップすることが可能である。全細胞は、中空繊維管リアクターシステムに結合することが可能である。全細胞は、濃縮し、膜リアクターシステム内にトラップすることが可能である。全細胞は、発酵ブロス中または反応緩衝液中にあってもよい。同様の手法を組換え細胞の発酵に応用することが可能である。
【0230】
いくつかの実施態様では、透過剤を、基質を細胞中へ効率的に転移するために使用する。いくつかの実施態様では、細胞を、トルエンなどの溶媒またはTriton-XまたはTweenなどの洗剤により透過処理する。いくつかの実施態様では、細胞は、界面活性剤、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などのカチオン性界面活性剤で透過処理される。いくつかの実施態様では、細胞を、エレクトロポレーションまたは軽度の浸透圧ショックなどの周期的な機械的衝撃により透過処理する。細胞は、1つの組換えUGTまたは複数の組換えUGTを含有する。例えば、細胞は、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシド類の混合物をレバウディオサイドMに効率的に変換するようにUGT76G1、91D2e、85C2、74G1およびEUGT11を含有することが可能である。いくつかの実施態様では、全細胞は、下記の宿主細胞である。いくつかの実施態様では、全細胞は、大腸菌などのグラム陰性細菌である。いくつかの実施態様では、全細胞はバチルス属などのグラム陽性細菌である。いくつかの実施態様では、全細胞は、アスペルギルス属などの真菌またはサッカロミケス属などの酵母である。いくつかの実施態様では、「全細胞生体触媒作用」という用語は、全細胞を上記のように増殖し(例えば、培地でそして任意に透過処理される)、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、またはステビオシドなどの基質を提供し、細胞由来の酵素を使用して最終産物に変換するプロセスを意味するために使用される。細胞は、生存可能であるか不可能であり、生物変換反応中に増殖可能であるかまたは不可能である。対照的に、発酵においては、細胞を増殖培地で培養し、グルコースなどの炭素およびエネルギー源を供給し、最終産物を生細胞により産生する。
【0231】
C.他のポリペプチド
発現によりステビオールまたはステビオールグリコシドのより効率的またはより大規模な産生を促進する追加のポリペプチドのための遺伝子も、組換え宿主に導入することが可能である。例えば、組換え微生物、植物、または植物細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS,またGGDPSとも呼ぶ)をコードする遺伝子を1または2以上含有することが可能である。他の例として、組換え宿主は、ラムノースシンセターゼをコードする1または2以上の遺伝子またはUDPグルコースデヒドロゲナーゼおよび/またはUDPグルクロン酸デカルボキシラーゼをコードする1または2以上の遺伝子を含有することが可能である。他の例として、組換え宿主は、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)をコードする1または2以上の遺伝子も含有することが可能である。組換えCPRの発現は、NADP+のサイクルを促進し、テルペノイド生合成の補助因子として利用されるNADPHを再生する。他の方法を使用して、NADHPレベルを再生することも可能である。NADPHが律速となる状況では、例えば、株を外来性トランスヒドロゲナーゼ遺伝子を含むように更に改変することが可能である。例えば、Sauer et al., 2004, J. Biol. Chem. 279: 6613-6619参照。所望の補助因子レベルが増加するように、NADH/NADPHの比を減少あるいは改変するための他の方法は当業者には公知である。
【0232】
他の例として、組換え宿主は、スクロースシンターゼをコードする1または2以上の遺伝子を含有することが可能であり、所望ならスクロース取り込み遺伝子を更に含有することが可能である。スクロースシンターゼ反応を使用して、発酵宿主または全細胞生物変換プロセスにおけるUDPグルコースプールを増加することが可能である。これにより、グリコシル化の間に産生したUDPおよびスクロースからUDPグルコースを再生し、効率的なグリコシル化を可能とする。いくつかの生物体では、内在性のインベルターゼを破壊することは、スクロースの分解を防止するのに有利である。例えば、S.セレビシエSUC2インベルターゼを破壊することができる。スクロースシンターゼ(SUS)は、任意の好適な生物体由来であることが可能である。例えば、限定することなく、A.タリアナ、S.レバウディアナ、またはC.アラビカ由来のスクロースシンターゼコード配列を、好適なプロモーターの制御下に発現プラスミドへクローン化し、宿主(例えば、微生物または植物)中で発現することが可能である。スクロースシンターゼは、スクローストランスポーター(例えば、A.タリアナSUC1トランスポーターまたはその機能的ホモログ)および1または2以上のUGT(例えば、UGT85C2、UGT74G1、UGT76G1、UGT91D2e、EUGT11またはそれらの機能的ホモログ)との組み合わせで上記のような株中で発現可能である。スクロースを含有する培地中で宿主を培養することにより、UDPグルコースならびに1または2以上のグルコシド(例えば、ステビオールグリコシド類)の産生が促進可能である。
【0233】
スクアレンシンターゼ(SQS)をコードするERG9遺伝子の発現も、組換え宿主にスクアレンシンターゼへの前駆体が蓄積するように組換え宿主中で抑制可能である。SQSは、EC2.5.1.21に分類され、ステロールの産生へ導く生合成経路の最初に働く酵素である。それは、ファルネシルピロリン酸の2つのユニットがスクアレンに変換され、プレスクアレンピロリン酸中間体を経由するファルネシルピロリン酸からのスクアレンの合成を触媒する。この酵素は、テルペノイド類/イソプレノイド類の生合成における分岐点にある酵素であり、ステロール経路のイソプレン中間体のフラックスを調節すると考えられている。この酵素は、ファルネシル二リン酸ファルネシルトランスフェラーゼ(FDFT1)とも呼ばれる。更に、組換え宿主は、上述したように、ホスファターゼ活性が低減していてもよい。
【0234】
MEP生合成ポリペプチド
他の例として、組換え宿主は、MEP経路またはメバロン酸経路における1または2以上の酵素をコードする1または2以上の遺伝子を含有することが可能である。そのような遺伝子は、炭素のジテルペン生合成経路へのフラックスを増加することが可能であるので有用であり、上記経路で産生されたイソペンテニル二リン酸およびジメチルアリル二リン酸からゲラニルゲラニル二リン酸を産生する。そのように産生されたゲラニルゲラニル二リン酸を、ステビオール生合成ポリペプチドおよびステビオールグリコシド生合成ポリペプチドの発現によるステビオールおよびステビオールグリコシド生合成へ誘導することが可能である。例えば、Brandle et al., 2007, Phytochemistry 68:1855-1863参照。
【0235】
いくつかの実施態様では、組換え宿主は、イソプレノイド生合成のためのメチルエリスリトール4‐リン酸(MEP)経路に関与する酵素をコードする1または2以上の遺伝子を含有する。MEP経路における酵素としては、デオキシキシルロース5‐リン酸シンターゼ(DXS)、D‐1‐デオキシキシルロース5‐リン酸レダクトイソメラーゼ(DXR)、4‐ジホスホシチジル‐2‐C‐メチル‐D‐エリスリトールシンターゼ(CMS)、4‐ジホスホシチジル‐2‐C‐メチル‐D‐エリスリトールキナーゼ(CMK)、4‐ジホスホシチジル‐2‐C‐メチル‐D‐エリスリトール2,4‐シクロ二リン酸シンターゼ(MCS)、1‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐2(E)‐ブテニル4‐二リン酸シンターゼ(HDS)および1‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐2(E)‐ブテニル4‐二リン酸レダクターゼ(HDR)などが挙げられる。DXS遺伝子、DXR遺伝子、CMS遺伝子、CMK遺伝子、MCS遺伝子、HDS遺伝子および/またはHDR遺伝子の1または2以上を、組換え微生物に組み込むことが可能である。Rodriguez-Concepcion and Boronat, Plant Phys. 130: 1079-1089 (2002)参照。
【0236】
DXS、DXR、CMS、CMK、MCS、HDSおよび/またはHDRポリペプチドをコードする遺伝子の好適な例としては、大腸菌、A.タリアナおよびシネココッカス・レオポリエンシスにより作られるものが挙げられる。DXRポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号71)は、例えば、米国特許第7,335,815号に記載される。
【0237】
メバロン酸生合成ポリペプチド
S.セレビシエは、イソプレノイド合成のための機能性メバロン酸経路の酵素をコードする内在性遺伝子を含有する。いくつかの実施態様では、組換え宿主も、メバロン酸経路に関与する酵素をコードする1または2以上の異種遺伝子を含有する。宿主の形質転換に好適な遺伝子は、切断型3‐ヒドロキシ‐3‐メチル‐グルタリル(HMG)‐CoAレダクターゼ(tHMG)などのメバロン酸経路における酵素をコードし、および/またはメバロン酸キナーゼ(MK)をコードする遺伝子、および/またはホスホメバロン酸キナーゼ(PMK)をコードする遺伝子、および/またはメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ(MPPD)をコードする遺伝子などである。従って、HMG‐CoAレダクターゼ遺伝子、MK遺伝子、PMK遺伝子、および/またはMPPD遺伝子の1または2以上を、微生物などの組換え宿主に組み込むことが可能である。
【0238】
メバロン酸経路ポリペプチドをコードする好適な遺伝子は公知である。例えば、好適なポリペプチドとしては、大腸菌、パラコッカス・デニトリフィカンス、S.セレビシエ、A.タリアナ、キタサトスポラ・グリセオラ、ホモ・サピエンス、ドロソフィラ・メラノガスター、ガルス・ガルス、ストレプトミセス属KO‐3988、ニコチアナ・アテヌアタ、キタサトスポラ・グリセオラ、ヘベア・ブラジリエンシス、エンテロコッカス・フェシウムおよびヘマトコッカス・プルビアリスにより作られたものなどが挙げられる。例えば、表9および全開示を参照により本明細書に組み込む米国特許第7,183,089号、第5,460,949号、および第5,306,862号、および国際特許第PCT/US2012/050021号および第PCT/US2011/038967を参照。
【0239】
【表8】
【0240】
スクロースシンターゼポリペプチド
スクロースシンターゼ(SUS)は、UDP糖類、特にUDPグルコースを産生するためのツールとして使用可能である。SUS(EC2.4.1.13)は、スクロースおよびUDPからUDPグルコースおよびフルクトースの生成を触媒する。
【0241】
このように、UGTの反応により産生されたUDPは、スクロースの存在下でSUSによりUDPグルコースに変換することが可能である。例えば、Chen et al., 2001, J. Am. Chem. Soc. 123:8866-8867; Shao et al., 2003, Appl. Env. Microbiol. 69:5238-5242; Masada et al., 2007, FEBS Lett. 581:2562-2566; and Son et al., 2009, J. Microbiol. Biotechnol. 19:709-712参照。
【0242】
スクロースシンターゼを使用して、UDPグルコースを産生し、UDPを除去することで、様々なシステムにおける化合物の効率的なグリコシル化を容易にすることが可能である。例えば、スクロースを利用する能力が欠損した酵母に、スクローストランスポーターおよびSUSを導入することによりスクロースで増殖させることが可能である。例えば、S.セレビシエは、効率的なスクロース取り込みシステムを持たず、スクロースの利用は細胞外SUC2に依存している。内在性のS.セレビシエSUC2インベルターゼを破壊し、組換えSUSを発現する組み合わせでは、細胞内スクロースは代謝できるが細胞外スクロースは代謝できない酵母株が得られた(Riesmeier et al., 1992, EMBO J. 11:4705-4713)。この株を使用して、cDNA発現ライブラリーでの形質転換およびスクロースを取り込む能力を獲得した形質転換細胞の選択により、スクローストランスポーターを単離した。
【0243】
in vivoにおける組換えスクロースシンターゼおよびスクローストランスポーターの併用発現により、UDPグルコース利用可能率の増加および不要なUDPの除去が可能となる。例えば、天然スクロース分解システム(S.セレビシエの場合はSUC2)のノックアウトと組み合わせた、組換えスクロースシンターゼ、スクローストランスポーター、およびグリコシルトランスフェラーゼの機能的発現を使用して、ステビオールグリコシド類などのグリコシル化合物の産生量を増加することができる細胞を産生することが可能である。グリコシル化の能力が増加したのは、少なくとも(a)エネルギー効率のより高い方法でUDPグルコースを産生する能力がより高いことおよび(b)UDPはグリコシル化反応を阻止するので増殖培地からUDPを除去したことによるものである。
【0244】
スクロースシンターゼは、任意の好適な生物体由来であることが可能である。例えば、限定することなく、A.タリアナ(例えば配列番号79または80)またはC.アラビカ(例えば、配列番号81)(例えば、全開示を参照により本明細書に組み込む第PCT/US2012/050021号の配列番号:178、179、および180参照)由来のスクロースシンターゼコード配列としては、A.タリアナ由来のスクローストランスポーターSUC1のアミノ酸配列(配列番号80)、およびコーヒー由来のスクロースシンターゼのアミノ酸配列(配列番号81)などが挙げられる。
【0245】
スクロースシンターゼは、任意の好適な生物体由来であることが可能である。例えば、限定することなく、A.タリアナ、S.レバウディアナ、またはC.アラビカ(例えば、配列番号:79‐81参照)由来のスクロースシンターゼコード配列を、好適なプロモーターの制御下に発現プラスミドへクローン化し、宿主(例えば、微生物または植物)で発現することが可能である。SUSコード配列は、酵母による細胞外スクロースの分解を回避するために、SUC2(スクロース加水分解酵素)欠損S.セレビシエ株中で発現可能である。
【0246】
スクロースシンターゼを、スクローストランスポーター(例えば、A.タリアナSUC1トランスポーターまたはその機能的ホモログ)および1または2以上のUGT(例えば、UGT85C2、UGT74G1、UGT76G1、EUGT11、およびUGT91D2e、またはそれらの機能的ホモログ)と組み合わせて上記のような株で発現することとが可能である。スクロースを含有する培地において宿主を培養することにより、UDPグルコースならびに1または2以上のグルコシド(例えば、ステビオールグルコシド)の産生を促進することが可能である。いくつかのケースでは、スクロースシンターゼおよびスクローストランスポーターは、特定の化合物(例えば、ステビオール)の産生のための組換え型である宿主細胞中でUGTと共に発現可能であることに留意されたい。
【0247】
ERG9遺伝子の発現を調節すること
内在性のERG9遺伝子の発現を、核酸構築物を使用して本明細書に記載される組換え宿主中で変化させることが可能である。構築物は、それぞれERG9プロモーターまたはERG9読み取り枠(ORF)の5’末端内のゲノム配列の一部と相同である2つの領域を含むことができる。構築物としては、更に、野生型ScKex2または野生型ScCyc1のどちらかのプロモーターを含むことができ、プロモーターは、3’末端にヘアピンなどの異種挿入断片を含むことができる。ORFによりコードされているポリペプチドは、スクアレンシンターゼ(EC2.5.1.21)または、このスクアレンシンターゼと少なくとも100個のアミノ酸が重複する範囲で少なくとも70%の配列同一性を有する生物学的に活性な断片と、少なくとも70%の同一性を有しており有利である。例えば、第PCT/US2012/050021号(すべての目的で、その全開示を本明細書に組み込む)参照。
【0248】
異種挿入断片は、ヘアピンループを持つヘアピンの二次構造領域を有することが可能である。異種挿入断片配列は、一般式(I):
‐X1‐X2‐X3‐X4‐X5
を有し、ここで、
【0249】
X2は、X4の少なくとも4個の連続したヌクレオチドと相補的であり、それらとヘアピン二次構造領域を形成する少なくとも4個の連続したヌクレオチドを含み、
【0250】
X3は任意であり、もし存在するなら、X2およびX4間のヘアピンループの形成に関与するヌクレオチドを含み、
【0251】
X1およびX5は、個々におよび任意に1または2以上のヌクレオチドを含み、
【0252】
X2およびX4は、X2の少なくとも4個のヌクレオチドの連続した配列が、X4の少なくとも4個のヌクレオチド連続した配列と相補的であるかぎり、個々に任意の好適な数のヌクレオチドからなることが可能である。いくつかの実施態様では、X2およびX4は同数のヌクレオチドからなる。
【0253】
異種挿入断片は、ヘアピンが完全に形成できるのに十分長く、けれどもフレーム内で異種挿入断片の3’のすぐにあるORFの限定された翻訳が可能であるように十分短い。一般に、異種挿入断片は長さが10~50個のヌクレオチド、例えば10~30個のヌクレオチド、15~25個のヌクレオチド、17~22個のヌクレオチド、18~21個のヌクレオチド、18~20個のヌクレオチド、または長さが19個のヌクレオチドである。本明細書で提供されるように:
【0254】
X2は、例えば4~20、4~15、6~12、8~12、または9~11個の範囲のヌクレオチドなどの4~25個の範囲のヌクレオチドからなることができる。
【0255】
X4は、例えば4~20、4~15、6~12、8~12、または9~11個の範囲のヌクレオチドなどの4~25個の範囲のヌクレオチドからなることができる。
【0256】
いくつかの実施態様では、X2は、X4のヌクレオチド配列と相補的であるヌクレオチド配列からなり、X2すべてのヌクレオチドがX4のヌクレオチド配列と相補的である。
【0257】
X3は存在しなくてもよく、すなわち、X3は、ゼロ個のヌクレオチドからなっていてもよい。X3は、1~3個の範囲のヌクレオチドなどの1~5個の範囲のヌクレオチドからなることもできる。
【0258】
X1は存在しなくてもよく、すなわち、X1は、ゼロ個のヌクレオチドからなっていてもよい。X1は、1~20、1~15、1~10、1~5、または1~3個の範囲のヌクレオチドなど1~25個の範囲のヌクレオチドのからなることもできる。
【0259】
X5は存在しなくてもよく、すなわち、X5は、ゼロ個のヌクレオチドからなっていてもよい。X5は、1~3個の範囲のヌクレオチドなどの1~5個の範囲のヌクレオチドからなることもできる。
【0260】
異種挿入断片は、本明細書で定義する要件を満たす任意の好適な配列であることが可能である。例えば、異種挿入断片は、tgaattcgttaacgaattc(配列番号82)、tgaattcgttaacgaactc(配列番号83)、tgaattcgttaacgaagtc(配列番号84)、またはtgaattcgttaacgaaatt(配列番号85)からなることができる。
【0261】
特定の機序に束縛されること無く、リボソームが少なくとも部分的に立体障害的にRNAに結合して、スクアレンシンターゼの翻訳を低減することよってERG9発現を低減することが可能である。従って、例えば機能性スクアレンシンターゼ(EC2.5.1.21)の翻訳速度は、減少可能である。そのような構築物を使用することにより、ファルネシルピロリン酸のスクアレンへの代謝回転を減少し、および/またはファルネシルピロリン酸、イソペンテニルピロリン酸、ジメチルアリルピロリン酸、ゲラニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸からなる群から選択される化合物の蓄積を向上することも可能である。
【0262】
いくつかの例では、本明細書に記載される組換え宿主を培養するときにスクアレンシンターゼ阻害剤を含むことが有利である。例えばラパキスタットによるスクアレンシンターゼの化学的阻害は、当該分野では公知である。他のスクアレンシンターゼ阻害剤としては、ザラゴジン酸およびRPR107393などが挙げられる。従って、ある実施態様では、本明細書で定義する方法の培養工程は、スクアレンシンターゼ阻害剤の存在下に行われる。
【0263】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される組換え宿主は、ERG9読み取り枠中に変異を含む。
【0264】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載される組換え宿主は、ERG9[Delta]::HIS3欠失/挿入対立遺伝子を含む。
【0265】
D.機能的ホモログ
上述のポリペプチドの機能的ホモログも、組換え宿主においてステビオールまたはステビオールグリコシド類を産生するための使用に好適である。機能的ホモログは、参照ポリペプチドに対して配列類似性を有し、参照ポリペプチドの生化学的または生理学的機能の1または2以上を実行するポリペプチドである。機能的ホモログおよび参照ポリペプチドは、天然にあるポリペプチドであってもよく、配列類似性は、収束または分岐進化現象であってもよい。従って、機能的ホモログは、文献ではホモログ、またはオルソログ、またはパラログとも命名されることもある。野生型コード配列の変異体によりコードされているポリペプチドなどの天然に存在する機能的ホモログのバリアントそれ自体が機能的ホモログであることができる。機能的ホモログは、ポリペプチドのコード配列の部位特異的突然変異誘導により、または異なる天然に存在するポリペプチドのコード配列からのドメインを組み合わせることにより(「ドメインスワッピング」)生成することも可能である。本明細書に記載される機能性UGTポリペプチドをコードする遺伝子を改変する技術は公知であり、特に定向進化技術、部位特異的突然変異誘導技術およびランダム突然変異誘導技術などが挙げられ、ポリペプチドの特定の活性を増加させること、基質特異性を変化させること、発現レベルを変化させること、細胞内位置を変化させること、または所望されるようにポリペプチド:ポリペプチド相互作用を改変することに有用であろう。そのような改変されポリペプチドは、機能的ホモログとみなされる。「機能的ホモログ」という用語は、機能的に類似のポリペプチドをコードする核酸に使用されることもある。
【0266】
機能的ホモログは、ヌクレオチドおよびポリペプチド配列アラインメントの分析により同定することが可能である。例えば、ヌクレオチドまたはポリペプチド配列のデータベースを検索することにより、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドのホモログの同定が可能となる。配列解析には、参照配列としてGGPPS,CDPS,KS,KOまたはKAHアミノ酸配列を使用して、非重複データベースのBLAST、ReciprocalBLAST、またはPSI‐BLAST解析を行ってもよい。いくつかの例では、アミノ酸配列は、ヌクレオチド配列から推定される。データベース中で40%を超える配列同一性を有するポリペプチドが、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドとしての適合性を更に評価する候補となる。アミノ酸配列類似性とは、疎水性残基同士の置換または極性残基同士の置換などの保存的アミノ酸置換が含まれる。所望なら、更に評価する候補の数を少なくするために、そのような候補の手作業による検査を行うことが可能である。手作業による検査は、例えば保存された機能性ドメインなどのステビオール生合成ポリペプチドに存在するドメインを有すると思われる候補を選択することにより行うことが可能である。
【0267】
反復配列であり、何らかの二次構造(例えば、ヘリックスやβシート)を形成し、正または負に帯電したドメインを確立し、またはタンパク質モチーフまたはドメインを表す、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドの主要なアミノ酸配列内の領域の位置を決定することにより、保存領域を同定することが可能である。例えば、多様なタンパク質モチーフおよびドメインの共通配列を記載するPfamウェブサイトであるワールドワイドウェブsanger.ac.uk/Software/Pfam/およびpfam.janelia.org/.参照。Pfamデータベースに含まれる情報は、Sonnhammer et al., Nucl. Acids Res., 26:320-322 (1998); Sonnhammer et al., Proteins, 28:405-420 (1997); and Bateman et al., Nucl. Acids Res., 27:260-262 (1999)に記載されている。保存領域は、密接に関連した種からの同一または関連ポリペプチドの配列をアラインメントすることにより決定することも可能である。密接に関連した種は、好ましくは同一の科由来のものである。いくつかの実施態様では、異なる2つの種由来の配列のアラインメントが適当である。
【0268】
一般に、少なくとも約40%アミノ酸配列同一性を示すポリペプチドが、保存領域を同定するために有用である。関連ポリペプチドの保存領域は、少なくとも45%アミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%アミノ酸配列同一性)を示す。いくつかの実施態様では、保存領域は、少なくとも92%、94%、96%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を示す。
【0269】
例えば、組換え宿主においてステビオールグリコシド類を産生するのに好適なポリペプチドとしては、EUGT11(配列番号16)、UGT91D2e(配列番号15)、UGT91D2m(配列番号86)、UGT85C(配列番号26)、およびUGT76G(配列番号2)の機能的ホモログなどが挙げられる。そのようなホモログは、本明細書または全開示を参照により本明細書に組み込む国際特許第PCT/US2012/050021号で開示されるEUGT11、UGT91D2e、UGT91D2m、UGT85CまたはUGT76Gのアミノ酸配列と90%を超える(例えば、少なくとも95%または99%)配列同一性を有する。EUGT11、UGT91D2、UGT85C、およびUGT76Gポリペプチドのバリアントは、一般に主要なアミノ酸配列内に10個以下のアミノ酸置換、例えば、7個以下のアミノ酸置換、5個または保存的アミノ酸置換、または1個から5個の間の置換を有する。しかしながら、いくつかの実施態様では、EUGT11、UGT91D2、UGT85C、およびUGT76Gポリペプチドのバリアントは、10個以上のアミノ酸置換(例えば、10個、15個、20個、25個、30個、35個、10~20個、10~35個、20~30個、または25~35個のアミノ酸置換)を有することが可能である。置換は保存的であってもよく、あるいはいくつかの実施態様では非保存的であってもよい。限定するものではないが、UGT91D2eポリペプチド中の非保存的変化の例としては、グリシンのアルギニンへの変化およびトリプトファンのアルギニンへの変化などが挙げられる。限定するものではないが、UGT76Gポリペプチド中の非保存的置換の例としては、バリンのグルタミン酸への変化、グリシンのグルタミン酸への変化、グルタミンのアラニンへの変化、およびセリンのプロリンへの変化などが挙げられる。限定するものではないが、UGT85Cポリペプチドへの変化の例として、ヒスチジンのアスパラギン酸への変化、プロリンのセリンへの変化、リジンのスレオニンへの変化、およびスレオニンのアルギニンへの変化などが挙げられる。
【0270】
いくつかの実施態様では、有用なUGT91D2ホモログは、予測されるループ外側のポリペプチドの領域にアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)を有することが可能であり、例えば、91D2e(配列番号15参照)の残基20~26、39~43、88~95、121~124、142~158、185~198、および203~214はN末端ドメイン中の予測されるループであり、残基381~386はC末端ドメイン中の予測されるループである。例えば、有用なUGT91D2ホモログとしては、残基1~19、27~38、44~87、96~120、125~141、159~184、199~202、215~380、または387~473での少なくとも1つのアミノ酸置換などが挙げられる。いくつかの実施態様では、UGT91D2ホモログは、残基30、93、99、122、140、142、148、153、156、195、196、199、206、207、211、221、286、343、427、および438からなる群から選択される残基の1または2以上にアミノ酸置換を有することが可能である。例えば、UGT91D2機能的ホモログは、残基206のアルギニン、残基207のシステイン、および残基343のアルギニンなどの残基206、207、および343の1または2以上にアミノ酸置換を有することが可能である。UGT91D2の他の機能的ホモログは、下記の1または2以上を有することが可能である:残基30のチロシンまたはフェニルアラニン、残基93のプロリンまたはグルタミン、残基99のセリンまたはバリン、残基122のチロシンまたはフェニルアラニン、残基140のヒスチジンまたはチロシン、残基142のセリンまたはシステイン、残基148のアラニンまたはスレオニン、残基152のメチオニン、残基153のアラニン、残基156のアラニンまたはセリン、残基162のグリシン、残基195のロイシンまたはメチオニン、残基196のグルタミン酸、残基199のリジンまたはグルタミン酸、残基211のロイシンまたはメチオニン、残基213のロイシン、残基221のセリンまたはフェニルアラニン、残基253のバリンまたはイソロイシン、残基286のバリンまたはアラニン、残基427のリジンまたはアスパラギン、残基438のアラニン、および残基462のアラニンまたはスレオニンのどちらか。他の実施態様では、UGT91D2機能的ホモログは、残基211にメチオニンおよび残基286にアラニンを含有する。
【0271】
いくつかの実施態様では、有用なUGT85Cホモログは、残基9、10、13、15、21、27、60、65、71、87、91、220、243、270、289、298、334、336、350、368、389、394、397、418、420、440、441、444、および471に1または2以上のアミノ酸置換を有することが可能である。限定するものではないが、有用なUGT85Cホモログの例としては、残基65(例えば、残基65のセリン)に置換(配列番号26に関して)を有するポリペプチド、残基15(残基15のロイシン)、270(例えば、残基270のメチオニン、アルギニン、またはアラニン)、418(例えば、残基418のバリン)、440(例えば、残基440のアスパラギン酸)、または441(例えば、残基441のアスパラギン)との組み合わせで残基65;残基13(例えば、残基13のフェニルアラニン)、15、60(例えば、残基60のアスパラギン酸)、270、289(例えば、残基289のヒスチジン)、および418;残基13、60、および270における置換;残基60および87(例えば、残基87のフェニルアラニン)における置換;残基65、71(例えば、残基71のグルタミン)、220(例えば、残基220のスレオニン)、243(例えば、残基243のトリプトファン)、および270における置換;残基65、71、220、243、270、および441における置換;残基65、71、220、389(例えば、残基389のバリン)、および394(例えば、残基394のバリン)における置換;残基65、71、270、および289における置換;残基220、243、270、および334(例えば、残基334のセリン)における置換;または残基270および289における置換を有するポリペプチドが挙げられる。以下のアミノ酸変異は、85C2ポリペプチドの活性の損失をもたらさなかった:V13F、F15L、H60D、A65S,E71Q、I87F、K220T、R243W、T270M、T270R,Q289H、L334S,A389V、I394V、P397S,E418V、G440D、およびH441N。不活性なクローンにみられる追加の変異としては、K9E、K10R,Q21H、M27V、L91P、Y298C、K350T、H368R,G420R,L431P、R444G、およびM471Tなどが挙げられる。いくつかの実施態様では、UGT85C2は、部位65(例えば、セリン)、71(グルタミン)、270(メチオニン)、289(ヒスチジン)、および389(バリン)における置換を含有する。
【0272】
いくつかの実施態様では、有用なUGT76G1ホモログ(配列番号2)は、残基29、74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、266、273、274、284、285、291、330、331、および346に、1または2以上のアミノ酸置換を有することが可能である(表10参照)。限定するものではないが、有用なUGT76G1ホモログの例としては、残基74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、および291;残基74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、266、273、274、284、285、および291;または残基74、87、91、116、123、125、126、130、145、192、193、194、196、198、199、200、203、204、205、206、207、208、266、273、274、284、285、291、330、331、および346に置換を有するポリペプチドなどが挙げられる。表10参照。
【0273】
【表9】
【0274】
例えばEUGT11またはUGT91D2eの基質特異性を改変する方法は、当業者に公知であり、限定することなく、部位特異的/合理的突然変異誘導アプローチ、ランダム定向進化アプローチ、ランダム突然変異誘導/飽和変異技術を酵素の活性サイトの近くで行う組み合わせなどが挙げられる。例えばSarah A. Osmani, et al., Phytochemistry 70 (2009) 325-347参照。
【0275】
一般に、候補配列は、参照配列の長さの80パーセント~200パーセントの長さを有し、例えば、参照配列の長さの82、85、87、89、90、93、95、97、99、100、105、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、または200パーセントである。一般に、機能的ホモログポリペプチドは、参照配列の長さの95パーセント~105パーセントの長さを有し、例えば、参照配列の長さの90、93、95、97、99、100、105、110、115、または120パーセントまたはそれらの間の任意の範囲である。参照核酸またはポリペプチドに対する任意の候補核酸またはポリペプチドの同一性率は、以下のように決定することが可能である。参照配列(例えば、本明細書に記載される核酸配列またはアミノ酸配列)を、核酸またはポリペプチド配列のアラインメントを全長にわたって行うこと(グローバルアライメント)が可能なClustalWコンピュータープログラム(バージョン1.83、デフォルトパラメーター)を使用して、1または2以上の候補配列に対してアラインメントする。Chenna et al., Nucleic Acids Res., 31(13):3497-500 (2003)。
【0276】
ClustalWは、参照および1または2以上の候補配列の間の最適な一致を計算し、同一性、類似性および差異を決定可能なようにそれらをアラインメントする。1または2以上の残基のギャップを参照配列、候補配列、または両方に挿入して、配列アラインメントを最適化することが可能である。核酸配列の対での迅速なアラインメントでは、以下のデフォルトパラメーターを使用する:ワードサイズ:2;ウィンドウサイズ:4;スコア方法:パーセント;トップダイアゴナルの数:4;およびギャップペナルティ:5。核酸配列の複数アラインメントでは、以下のパラメーターを使用する:ギャップ開始ペナルティ:10.0;ギャップ継続ペナルティ:5.0;および重量移行:あり。タンパク質配列の対での迅速なアラインメントでは、以下のパラメーターを使用する:ワードサイズ:1;ウィンドウサイズ:5;スコア方法:パーセント;トップダイアゴナルの数:5;ギャップペナルティ:3。タンパク質配列の複数アラインメントでは、以下のパラメーターを使用する:重量行列:blosum;ギャップ開始ペナルティ:10.0;ギャップ継続ペナルティ:0.05;親水性ギャップ:オン;親水性残基:Gly、Pro、Ser、Asn、Asp、Gln、Glu、Arg、およびLys;残基特異的ギャップペナルティ:オン。ClustalWの出力は、配列間の関係を反映する配列アラインメントである。ClustalWは、例えば、ワールドワイドウェブのベイラー医科大学のサーチランチャーサイト(searchlauncher.bcm.tmc.edu/multi-align/multi-align.html)およびワールドワイドウェブの欧州バイオインフォマティクス研究所のサイト(ebi.ac.uk/clustalw)で実行可能である。
【0277】
候補である核酸またはアミノ酸配列の参照配列との同一性率を決定するために、ClustalWを使用して配列をアラインメントし、アラインメントにおける同一の一致の数を、参照配列の長さで割り、得られた結果に100を掛ける。同一性率の数を最も近い小数一桁の位に四捨五入することが可能であることに留意されたい。例えば、78.11、78.12、78.13および78.14は、78.1に切り下げ、78.15、78.16、78.17、78.18および78.19は78.2に切り上げる。
【0278】
機能性UGTは、酵素により行われるグルコシル化または他の酵素活性に関与しない追加のアミノ酸を含むことが可能であり、従って、そのようなポリペプチドは、そうでない場合よりも長くなることが理解されるであろう。例えば、EUGT11ポリペプチドは、精製タグ(例えば、HISタグまたはGSTタグ)、葉緑体トランジットペプチド、ミトコンドリアトランジットペプチド、アミロプラストペプチド、シグナルペプチド、またはアミノまたはカルボキシ末端に付加した分泌タグを含むことが可能である。いくつかの実施態様では、EUGT11ポリペプチドは、例えば、緑色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質などのレポーターとして機能するアミノ酸配列を含む。
【0279】
II.ステビオールおよびステビオールグリコシド生合成核酸
本明細書に記載されるポリペプチドコードする組換え遺伝子は、ポリペプチドを発現するのに好適な1または2以上の調節領域とセンス方向に機能的に連結したそのポリペプチドのコード配列を含む。多くの微生物は、ポリシストロン性mRNAから複数の遺伝子産物を発現することが可能であるため、所望ならばこれらの微生物の単一の調節領域の制御下で複数のポリペプチドを発現することが可能である。調節領域がコード配列の転写または翻訳を調節するのに効果的であるように調節領域およびコード配列が配置されているとき、コード配列および調節領域は機能的に連結しているとみなされる。一般に、コード配列の翻訳読み枠の翻訳開始サイトは、モノシストロン性遺伝子の調節領域から1個~約50個のヌクレオチドの下流に配置される。
【0280】
多くの場合に、本明細書に記載されるポリペプチドのコード配列は、組換え宿主以外の種で同定されている、すなわち、異種性核酸である。従って、組換え宿主が微生物であるなら、コード配列は、他の原核または真核微生物由来、植物由来または動物由来であることができる。しかしながら、いくつかの場合では、コード配列は、宿主にネイティブでありその生物体へ再導入された配列である。天然配列は、外来性核酸に連結した非天然配列、例えば、組換え核酸構築物中で天然配列に隣接する非天然調節配列の存在により、しばしば天然に存在する配列から区別することが可能である。更に、一般に、安定に形質転換された外来性核酸は、天然配列がみられる部位以外の部位に組み込まれる。
【0281】
「調節領域」とは、転写または翻訳開始および速度、および転写または翻訳産生物の安定性および/または移動性に影響を与えるヌクレオチド配列を有する核酸を意味する。調節領域としては、限定することなく、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答領域、タンパク質認識部位、誘導性領域、タンパク質結合配列、5’および3’非翻訳領域(UTR)、転写開始部位、終結配列、ポリアデニル化配列、イントロン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一般に、調節領域は、少なくともコア(基本)プロモーターを含む。調節領域は、エンハンサー配列、上流領域または上流活性化領域(UAR)などの少なくとも1つの制御領域も含むことが可能である。調節領域は、調節領域がコード配列の転写または翻訳の調節に効果的であるように調節領域およびコード配列を配置することにより、コード配列に機能的に連結している。例えば、コード配列およびプロモーター配列を機能的に連結するために、コード配列の翻訳読み枠の翻訳開始サイトは、一般にプロモーターから1個~約50個のヌクレオチドの下流に配置される。しかしながら、調節領域を、翻訳開始サイトから約5,000個と多数のヌクレオチドの上流または転写開始部位から約2,000個のヌクレオチドの上流に配置することが可能である。
【0282】
含むべき調節領域の選択は、限定されるものではないが、特定の培養段階の間の効率、選択能、誘導能、所望の発現レベル、および優先発現などいくつかの因子に依存している。調節領域を適切に選択しコード配列に対して配置することによりコード配列の発現を調節することは、当業者には公知である。例えば、イントロン、エンハンサー、上流活性化領域、転写ターミネーターおよび誘導性領域など1または2以上の調節領域が存在できることは理解されるであろう。
【0283】
1個以上の遺伝子を、組換え核酸構築物中で、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシド産生の別々な側面のために有用な「モジュール」で組み合わせることが可能である。モジュール、特にポリシストロニック性モジュールで複数の遺伝子を組み合わせることは、様々な種におけるモジュールの使用を容易とする。例えば、ステビオール生合成遺伝子群、すなわちUGT遺伝子群は、好適な調節領域の挿入後にモジュールを多様な種の中へ導入可能であるように、ポリシストロニック性モジュールで組み合わせることが可能である。他の例として、各UGTコード配列が別々の調節領域に機能的に連結してUGTモジュールを形成するように、UGT遺伝子群を組み合わせることが可能である。そのようなモジュールは、モノシストロニック性発現が必要であるか望ましい種に使用可能である。ステビオールまたはステビオールグリコシド産生に有用な遺伝子に加えて、一般に、組換え構築物は、複製開始点および適切な種における構築物の維持のための選択マーカーを1または2以上含有する。
【0284】
遺伝コードの縮重のため、多くの核酸が特定のポリペプチドをコードすること、すなわち、多くのアミノ酸に、アミノ酸のコドンとなる2つ以上のヌクレオチド三つ組があることを理解されたい。従って、所与のポリペプチドのコード配列におけるコドンは、特定の宿主(例えば、微生物)用の適切なコドンバイアス表を使用して、その宿主における最適な発現が得られるように改変可能である。単離された核酸として、これらの改変された配列は精製分子として存在可能であり、組換え核酸構築物のモジュールを構築するのに使用されるベクターまたはウイルスに組み込み可能である。
【0285】
いくつかのケースでは、代謝中間体をステビオールまたはステビオールグリコシド生合成に転用するために、内在性のポリペプチドの機能の1または2以上を阻止することが望ましい。例えば、ステビオールまたはステビオールグリコシド産生を更に増加させるために、例えばスクアレンエポキシダーゼを下方制御することにより、酵母株におけるステロール類の合成を下方制御することが望ましい。他の例としては、例えば二次代謝物からグルコース部分を除去するグリコヒドラーゼまたは本明細書に述べるホスファターゼなどの特定の内在性の遺伝子産物の分解性機能を抑制することが望ましい。他の例としては、グリコシル化ステビオシドの分泌が抑制されるように、ステビオールグリコシド類の輸送に関する膜トランスポーターの発現を抑制することが可能である。そのような調節は、ステビオールグリコシド類の分泌が、微生物の培養の間の所望の期間抑制可能あり、回収時のグリコシド産生物の収量が増加するという点で有益である。そのようなケースでは、ポリペプチドまたは遺伝子産生物の発現を阻止する核酸を、株に形質転換される組換え構築物に含むことが可能である。あるいは、突然変異誘導を、機能を阻止することが望まれる遺伝子における変異体を作成するために使用可能である。
【0286】
III.宿主
微生物
組換え宿主を、ステビオールグリコシド類の産生のためのポリペプチドを発現するために使用することが可能であり、例えば哺乳類、昆虫および植物細胞などが挙げられる。多くの原核生物および真核生物も、本明細書に記載される組換え微生物の構築における使用に好適であり、例えばグラム陰性細菌、酵母および真菌類などが挙げられる。ステビオールまたはステビオールグリコシド産生株としての使用のために選択された種および株は、まず、どの産生遺伝子が株に内在性であり、どの遺伝子が存在しないかを決定するために分析する。株に内在性のカウンターパートが存在しない遺伝子を1または2以上の組換え構築物中に構築し、その後、欠落した機能を提供するために株に形質転換する。
【0287】
原核および真核種の例は、以下に詳細に説明する。しかしながら、他の種も好適であることが理解されるであろう。例えば、好適な種は、アガリクス属、アスペルギルス属、バチルス属、カンジダ属、コリネバクテリウム属、エレモテシウム属、エシェリキア属、フザリウム属/ジベレラ属、クリベロミセス属、ラエチポルス属、レンチヌス属、ファフィア属、ファネロカエテ属、ピキア属、フィスコミトレラ属、ロドトルラ属、サッカロミケス属、シゾサッカロミケス属、スファセロマ属、キサントフィロマイセス属およびヤロウイア属からなる群から選択される属であることが可能である。そのような属由来の種の例としては、レンチヌス・チグリヌス、ラエチポルス・スルフレウス、ファネロカエテ・クリソスポリウム、ピキア・パストリス、シベルリンドネラ(Cyberlindnera)・ジャジニイ、フィスコミトレラ・パテンス、ロドトルラ・グルチニス32、ロドトルラ・ムチラギノーザ、ファフィア・ロドジマUBV‐AX、キサントフィロマイセス・デンドロアス、フザリウム・フジコロイ/ジベレラ・フジクロイ、カンジダ・ウチリス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・アルビカンス、およびヤロウイア・リポリティカなどが挙げられる。いくつかの実施態様では、微生物は、ジベレラ・フジクロイ、クルイベロミセス・ラクチス、シゾサッカロミセス・ポンベ、アスペルギルス・ニガー、ヤロウイア・リポリティカ、アシュビア・ゴッシピイ、またはサッカロマイセス・セレビシエなどの子嚢菌であることができる。いくつかの実施態様では、微生物は、大腸菌、ロドバクター・スフェロイデス、またはロドバクター・カプスラータなどの原核生物であることができる。特定の微生物を、高い処理量を有する方法で、関心のある遺伝子のスクリーニングおよびテストに使用することが可能であり、一方、所望の生産性または増殖特性を有する他の微生物をステビオールグリコシド類の大規模産生に使用することが可能であることが理解されるであろう。
【0288】
サッカロマイセス・セレビシエ
サッカロマイセス・セレビシエは、合成生物学において広く使用されているシャーシ生物体であり、組換え微生物プラットフォームとして使用可能である。S.セレビシエに関する変異体のライブラリー、プラスミド、代謝の詳細なコンピューターモデルおよび他の情報があり、産生物収量を高めるための様々なモジュールの合理的設計を可能としている。組換え微生物を作る方法は公知である。
【0289】
ステビオール生合成遺伝子群は、任意の多数の公知のプロモーターを使用して酵母中にて発現可能である。テルペンを過剰産生する株は公知であり、テビオールおよびステビオールグリコシド産生に利用可能なゲラニルゲラニル二リン酸の量を増加するために使用可能である。
【0290】
アスペルギルス属
A.オリゼ、A.ニガーおよびA.ソーヤなどのアスペルギルス属種は、食物産生において広く使用される微生物であり、組換え微生物プラットフォームとしても使用可能である。A.ニジュランス、A.フミガタス、A.オリゼ、A.クラバタス、A.フラバス、A.ニガー、およびA.テレウスのゲノムのヌクレオチド配列は入手可能であり、フラックスを高め、産生物収量を増やすための内在性経路の合理的設計および改変を可能としている。アスペルギルス属の代謝モデルは開発されており、トランスクリプトームの研究およびプロテオミクスの研究も行われている。A.ニガーは、クエン酸およびグルコン酸などの多くの食品成分の工業的生産のために培養されており、従ってA.ニガーなどの種はステビオールおよびステビオールグリコシド類などの食品成分の産生に一般的に好適である。
【0291】
大腸菌
合成生物学において広く使用されている他のプラットフォーム生物体である大腸菌も、組換え微生物プラットフォームとして使用することが可能である。サッカロミケス属と同様に、大腸菌に関する変異体のライブラリー、プラスミド、代謝の詳細なコンピューターモデルおよび他の情報があり、産生物収量を高めるための様々なモジュールの合理的設計を可能としている。組換え大腸菌微生物を作るために、サッカロミケス属に関して述べたと同様の方法を使用することが可能である。
【0292】
アガリクス属、ジベレラ属およびファネロカエテ属
アガリクス属、ジベレラ属およびファネロカエテ属は、培養物中で大量のジベレリンを産生することが公知であるので、有用であり得る。従って、大量のステビオールおよびステビオールグリコシド類を産生するテルペン前駆体は、内在性の遺伝子により既に産生されている。従って、ステビオールまたはステビオールグリコシド生合成ポリペプチドのための組換え遺伝子を含有するモジュールを、メバロン酸またはMEP経路遺伝子を導入することを要さずにそれらの属の種に導入することが可能である。
【0293】
アークスラ・アデニニボランス(ブラストボツリス・アデニニボランス)
アークスラ・アデニニボランスは、独特な生化学的特性を有する二形成の酵母である(温度42℃まではパン酵母のように出芽酵母として増殖し、この閾値以上では糸状に増殖する)。広範囲の基質で増殖可能であり、硝酸を同化することが可能である。天然プラスチックを産生する株の生成や、環境サンプル中のエストロゲンのバイオセンサー開発への応用に成功している。
【0294】
ヤロウイア・リポリティカ
ヤロウイア・リポリティカは、広範囲の基質で増殖可能な二形成の酵母である(アークスラ・アデニニボランス参照)。産業的応用への可能性は高いが、商業的に利用可能な組換え産生物は今のところない。
【0295】
ロドバクター属
ロドバクター属は、組換え微生物プラットフォームとして使用可能である。大腸菌と同様にして、プラスミドベクターとして利用可能で好適な変異体のライブラリーがあり、産生物収量を高めるための様々なモジュールの合理的設計を可能としている。カロテノイドおよびCoQ10の産生増加のために、ロドバクターの膜状細菌種において、イソプレノイド経路が設計されている。米国特許公報第20050003474号および第20040078846号参照。大腸菌に関して述べた方法と同様の方法を使用して組換えロドバクター微生物を作成可能である。
【0296】
カンジダ・ボイジニイ
カンジダ・ボイジニイは、メチロトローフ酵母である(メタノールで増殖可能である)。ハンセヌラ・ポリモルファおよびピキア・パストリスなどの他のメチロトローフ種のように、異種タンパク質の産生に優れたプラットフォームを提供する。数グラムの範囲の収量の外来タンパク質が分泌されたことが報告されている。コンピューター法の一つであるIPROは、最近、カンジダ・ボイジニイキシロースレダクターゼの補助因子特異性をNADPHからNADHへ実験的に変換する変異を予測した。
【0297】
ハンセヌラ・ポリモルファ(ピキア・アングスタ)
ハンセヌラ・ポリモルファは、もう1つのメチロトローフ酵母である(カンジダ・ボイジニイ参照)。更に、広範囲の他の基質でも増殖可能であり、熱耐性があり、硝酸を同化することが可能である(クルイベロミセス・ラクチス参照)。B型肝炎ワクチン、インスリンおよびC型肝炎の処置用インターフェロンα‐2a、更に多様な産業用酵素の生産に応用されている。
【0298】
クルイベロミセス・ラクチス
クルイベロミセス・ラクチスは、一般に、ケフィアの生産に応用されている酵母である。数種類の糖類で、最も大切なことには牛乳やホエーに存在するラクトースで増殖可能である。特に、チーズの生産のためのキモシン(子牛の胃に通常存在する酵素)の生産への応用に成功している。生産は、40,000Lの規模の発酵槽で行われる。
【0299】
ピキア・パストリス
ピキア・パストリスはメチロトローフ酵母である(カンジダ・ボイジニイおよびハンセヌラ・ポリモルファ参照)。外来タンパク質の産生のための効率的なプラットフォームを提供する。プラットフォーム領域はキットで入手可能であり、学術的研究におけるタンパク質の産生に世界中で使用されている。株は、複雑なヒトN‐グリカンを産生できるように操作されている(酵母グリカンは、ヒトで見られるものと類似しているが、同一ではない)。
【0300】
フィスコミトレラ属
フィスコミトレラ・モスセスは、培養懸濁液で増殖すると、酵母または他の真菌培養物と類似の特性を有する。この属は、他のタイプの細胞では産生が困難である植物二次代謝物の産生用細胞タイプとして重要になりつつある。
【0301】
IV.ステビオールグリコシド類を産生する方法
本明細書に記載される組換え宿主を、レバウディオサイドMなどのステビオールグリコシド類を産生する方法に使用することが可能である。例えば、組換え宿主が微生物である場合、方法には、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシド生合成遺伝子が発現される条件下で培地において組換え微生物を増殖することが含まれる。組換え微生物は、供給バッチまたは連続プロセスにおいて増殖可能である。一般に、組換え微生物は、所望の期間、所定の温度で発酵槽中で増殖される。ある実施態様では、微生物としては、限定することなくS.セレビシエ、A.ニガー、A.オリゼ、大腸菌、L.ラクチスおよびB.スブチリスなどが挙げられる。本発明で提供される、構築・遺伝子改変微生物は、従来の発酵プロセスを使用して培養可能であり、特に、ケモスタット、バッチ式、流加培養、連続灌流発酵、および連続灌流細胞培養などが挙げられる。
【0302】
この方法で使用される特定の微生物によっては、イソペンテニル生合成遺伝子およびテルペンシンターゼおよびシクラーゼ遺伝子などの他の組換え遺伝子が存在して、発現されることが可能である。例えば、イソペンテニル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸、ゲラニルゲラニル二リン酸、カウレンおよびカウレン酸などの基質や中間体のレベルは、公表された方法に従って分析のために培地からサンプルを抽出して決定することが可能である。
【0303】
組換え微生物を所望の期間培養物で増殖した後、ステビオールおよび/または1または2以上のステビオールグリコシド類を、従来公知の様々な技術を使用して培養物から回収することが可能である。いくつかの実施態様では、供給原料が宿主に入ることおよび産生物を取り出すことを助けるために、透過剤を添加することが可能である。組換え宿主が植物または植物細胞である場合、ステビオールまたはステビオールグリコシド類は、従来公知の様々な技術を使用して植物組織から抽出可能である。例えば、培養した微生物または植物組織の粗製可溶化液を遠心分離して、上澄みを得ることが可能である。得られた上澄みは、例えば、Phenomenex社製Aqua(登録商標)C18カラムまたはSynergi(商標)HydroRP80オングストロームカラムなどのC18カラムなどのクロマトグラフカラムに付し、水洗して親水性化合物を除去し、アセトニトリルまたはメタノールなどの溶媒で目的の化合物を溶出することが可能である。その後、化合物を分取HPLCにより更に精製することが可能である。国際特許第WO2009/140394号参照。
【0304】
ステビオールグリコシド(例えば、レバウディオサイドM)の産生量は、約1mg/L~約2800mg/L、例えば約1~約10mg/L、約3~約10mg/L、約5~約20mg/L、約10~約50mg/L、約10~約100mg/L、約25~約500mg/L、約100~約1,500mg/L、または約200~約1,000mg/Lであることができる。一般に、培養時間が長いほど、産生物の量も多くなるであろう。従って、組換え微生物は、1日~7日、1日~5日、3日~5日、約3日、約4日、または約5日間培養することが可能である。
【0305】
本明細書に記載した様々な遺伝子およびモジュールは、単一の微生物ではなくむしろ2個以上の組換え微生物中に存在することが可能なことが理解されるであろう。複数の組換え微生物を使用する場合、それらを混合培養物中で増殖して、ステビオールおよび/またはステビオールグリコシド類を産生することが可能である。例えば、第1の微生物がステビオールを産生する1または2以上の生合成遺伝子を含み、第2の微生物が、ステビオールグリコシド生合成遺伝子を含むことが可能である。あるいは、2個以上の微生物はそれぞれ別々の培地で増殖可能であり、第1の培地の産生物、例えば、ステビオールを、第2の培地に導入して、続く中間体またはレバウディオサイドAなどの最終産物に変換することが可能である。第2のまたは最後の微生物により産生された産生物は、その後回収する。いくつかの実施態様では、培地以外の栄養源を使用し、発酵槽以外のシステムを利用して、組換え微生物を増殖することが理解されるであろう。
【0306】
ステビオールグリコシド類は、異なる食品システムにおいて必ずしも均等な性能を有する必要はない。従って、所望のステビオールグリコシド組成物を合成させる能力を有することが望ましい。本明細書に記載される組換え宿主は、特定のステビオールグリコシド類(例えば、レバウディオサイドM)の濃度が選択的に高く、一貫した味プロフィールを有する組成物を産生することが可能である。従って、本明細書に記載される組換え微生物、植物および植物細胞は、所与の食品に望ましい甘味プロフィールに合致するようにデザインされた、各ステビオールグリコシド類の割合がバッチ間で一定である組成物の産生を容易とすることが可能である。本明細書に記載される微生物は、ステビア抽出物に存在する望ましくない植物副産物を産生しない。従って、本明細書に記載される組換え微生物により産生されたステビオールグリコシド組成物は、ステビア属植物由来の組成物と区別可能である。
【0307】
V.食品産生物
本明細書で開示される方法により得られたステビオールグリコシド類は、食品および飲料製品、健康補助食品および甘味料組成物を作るために使用可能である。例えば、レバウディオサイドMなどの実質的に純粋なステビオールグリコシドを、アイスクリーム、炭酸飲料、フルーツジュース、ヨーグルト、ベイカリー製品、チューイングガム、ハードおよびソフトキャンディー、およびソース類などの食品に含有させることが可能である。実質的に純粋なステビオールグリコシドは、医薬品、医療用品、健康補助食品および栄養補助食品などの非食品に含有させることも可能である。実質的に純粋なステビオールグリコシド類は、農業用およびペット動物用両方の動物用飼料製品に含有させることも可能である。あるいは、ステビオールグリコシド類の混合物は、特定のステビオールまたはステビオールグリコシドを産生する、組換え微生物を別々に培養すること、または異なる植物/植物細胞を増殖すること、各微生物または植物/植物細胞から実質的に純粋な形態でステビオールまたはステビオールグリコシドを回収すること、その後各化合物を所望の割合で含有する混合物を得るために化合物(例えば、レバウディオサイドMと1または2以上の他のステビオールグリコシド類)を混合することにより作ることが可能である。本明細書に記載される組換え微生物、植物および植物細胞は、現行のステビア属産生物と比較して、より正確で均一な混合物を得ることを可能とする。他の方法では、実質的に純粋なステビオールグリコシドは、例えばサッカリン、デキストロース、スクロース、フルクトース、エリスリトール、アスパルテーム、スクラロース、モナチン、またはアセスルファムカリウムなどの他の甘味料と一緒に、食品に組み込むことが可能である。他の甘味料に対するステビオールグリコシドの重量比は、最終食品の良好な味を達成するために所望ならば変化させることが可能である。例えば、米国特許公報第2007/0128311号参照。いくつかの実施態様では、ステビオールグリコシドには、風味調節剤として風味(例えば、柑橘系)を付与することが可能である。
【0308】
本明細書に記載される組換え微生物、植物、または植物細胞により産生された組成物は、食品に組み込むことが可能である。例えば、組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、ステビオールグリコシドおよび食品のタイプによって、乾燥重量基準で約20mgのステビオールグリコシド/食品kg~約1800mgのステビオールグリコシド/食品kgの範囲で、食品に組み込むことが可能である。例えば、組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、乾燥重量基準で食品が最大で500mgのステビオールグリコシド/食品kgであるように、デザート、冷菓子(例えば、アイスクリーム)、乳製品(例えば、ヨーグルト)、または飲料(例えば、炭酸飲料)に組み込むことが可能である。組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、乾燥重量基準で食品が最大で300mgのステビオールグリコシド/食品kgであるように、ベイカリー製品(例えば、ビスケット)に組み込むことが可能である。組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、乾燥重量基準で食品が最大で1000mgのステビオールグリコシド/食品kgであるように、ソース(例えば、チョコレートシロップ)または野菜産生物(例えば、ピクルス)に組み込むことが可能である。組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、乾燥重量基準で食品が最大で160mgのステビオールグリコシド/食品kgであるように、パンに組み込むことが可能である。組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、乾燥重量基準で食品が最大で1600mgのステビオールグリコシド/食品kgであるように、ハードまたはソフトキャンディーに組み込むことが可能である。組換え微生物、植物、または植物細胞により産生されたステビオールグリコシド組成物は、乾燥重量基準で食品が最大で1000mgのステビオールグリコシド/食品kgであるように、フルーツ加工製品(例えば、フルーツジュース、フルーツフィリング、ジャム、およびゼリー)に組み込むことが可能である。
【0309】
いくつかの実施態様では、実質的に純粋なステビオールまたはステビオールグリコシドを、卓上甘味料または「カップ・フォー・カップ(cup-for-cup)」製品に組み込む。一般に、そのような産生物は、当業者に公知の例えばマルトデキストリン類などの1または2以上の増量剤で適切な甘味レベルまで希釈される。レバウディオサイドMの濃度が高いステビオールグリコシド組成物を、卓上での使用に、乾燥重量に基づいて例えば10,000~30,000mgのステビオールグリコシド/製品kgで小袋に充填することが可能である。
【0310】
本発明は、以下の例において更に説明するが、それらは請求項に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0311】

以下の例は、本発明の具体的な実施態様およびその様々な使用の例示である。それらは、単に説明の目的であり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0312】
例1:EFSC3044の株エンジニアリングおよび発酵
EFSC3044酵母株は、3つの栄養要求性改変、すなわちURA3、LEU2およびHIS3を欠失する野生型サッカロマイセス・セレビシエ株から誘導した。株は、標準的な遺伝子方法を用いて操作可能であり、通常の二倍体または一倍体酵母株として使用可能である。株を、5個のDNA構築物のゲノム組込みによりステビオールグリコシド類産生酵母に変換した。各構築物は複数の遺伝子を含有し、相同組換えにより酵母ゲノム中へ導入した。更に、第1、第2、および第5構築物を、酵母における相同組換えにより組み立てた。
【0313】
第1構築物は8個の遺伝子を含有し、DPP1座に挿入され、DPP1(ホスファターゼ)を破壊、部分的に欠失させた。挿入されたDNAは、以下を含有した:natMX遺伝子(選択マーカー)を発現するアシュビア・ゴシッピイTEF1プロモーターとその後のA.ゴシッピイ由来TEF1ターミネーター;ネイティブ酵母GPD1プロモーターにより発現されるGeneArtコドン最適化ステビア・レバウディアナUGT85C2(GenBankAAR06916.1;配列番号3)とその後のネイティブ酵母CYC1ターミネーター;ネイティブ酵母TPI1プロモーターにより発現されるS.レバウディアナCPR‐8(配列番号5)とその後のネイティブ酵母TDH1ターミネーター;ネイティブ酵母PDC1プロモーターにより発現されるアラビドプシス・タリアナカウレンシンターゼ(配列番号6、GenBankAEE36246.1と類似)とその後のネイティブ酵母FBA1ターミネーター;ネイティブ酵母TEF2プロモーターにより発現される合成シネココッカス属GGPPS(配列番号22、GenBankABC98596.1)とその後のネイティブ酵母PGI1ターミネーター;ネイティブ酵母TEF1プロモーターにより発現されるDNA2.0コドン最適化したS.レバウディアナKAHe1(配列番号8)とその後のネイティブ酵母ENO2ターミネーター;ネイティブ酵母FBA1プロモーターにより発現される合成S.レバウディアナKO‐1(配列番号23、GenBankABA42921.1)とその後のネイティブ酵母TDH2ターミネーター;およびネイティブ酵母PGK1プロモーターにより発現されるゼア・メイズ切断型CDPS(配列番号133)とその後のネイティブ酵母ADH2ターミネーター。
【0314】
第2構築物は、YPRCΔ15座に挿入され、以下を含有した:kanMX遺伝子(選択マーカー)の前にA.ゴシッピイ由来TEF1プロモーターとその後のA.ゴシッピイ由来TEF1ターミネーター;ネイティブ酵母PGK1プロモーターにより発現されるGeneArtコドン最適化A.タリアナATR2(配列番号10)とその後のネイティブ酵母ADH2ターミネーター;ネイティブ酵母TPI1プロモーターにより発現されるS.レバウディアナUGT74G1(配列番号135、GenBankAAR06920.1)とその後のネイティブ酵母TDH1ターミネーター;ネイティブ酵母TEF1プロモーターにより発現されるGeneArtコドン最適化したS.レバウディアナUGT76G1(配列番号14、GenBankAAR06912をコード)とその後のネイティブ酵母ENO2ターミネーター;およびネイティブ酵母GPD1プロモーターにより発現されるアミノ酸改変L211MおよびV286Aを有するS.レバウディアナUGT91D2e‐bをコードするGeneArtコドン最適化した配列(配列番号15は野生型配列のUGT91D2eアミノ酸配列;コドン最適化ヌクレオチド配列は配列番号9に記載)とその後のネイティブ酵母CYC1ターミネーター。UGT91D2e‐bは、残基211のメチオニン残基および残基286のアラニン残基に変異を有する配列番号66として本明細書で開示される。
【0315】
第1および第2構築物は、接合および切開により同一胞子クローン中で組み合わせた。この酵母株は、その後2つの連続的な工程で構築物3および4と形質転換した。
【0316】
構築物3は、遺伝子PRP5およびYBR238C間に組み込まれ、クルイベロミセス.ラクチスleu2遺伝子を発現するK・ラクチスleu2プロモーターとその後のK.ラクチス由来leu2ターミネーター、DNA2.0最適化したS.レバウディアナKAHe1(配列番号8)を発現するネイティブ酵母GPD1プロモーターとその後のネイティブ酵母CYC1ターミネーター、およびゼア・メイズ切断型CDPS(配列番号133)を発現するネイティブ酵母TPI1プロモーターとその後のネイティブ酵母TPI1ターミネーターを含有する。
【0317】
構築物4は、遺伝子ECM3およびYOR093Cの間のゲノムの中へ組み込まれ、K.ニューモニエhphMX遺伝子を発現するA.ゴシッピイ由来TEF1プロモーターとその後のA.ゴシッピイ由来TEF1ターミネーター、ネイティブ酵母GPD1プロモーターにより発現されるシネココッカス属GGPPS(配列番号22)とその後のネイティブ酵母CYC1ターミネーター、およびA.タリアナKS(配列番号6)を発現するネイティブ酵母TPI1プロモーターとその後のネイティブ酵母TPI1ターミネーターを含有する発現カセットを有する。
【0318】
その後、4個の導入された選択マーカーnatMX、kanMX、K.ラクチスLEU2およびK.ニューモニエhphMXおよび選択マーカー遺伝子の前のプロモーターおよびその後のターミネーターを、組換えにより除去した。
【0319】
この酵母株中に、酵母形質転換およびホモログ組換えにより、第5構築物を挿入し、組み立てた。第5構築物は7個の遺伝子を含有し、YORWΔ22座に挿入した。挿入されたDNAは以下を含有した:シゾサッカロミセス・ポンベHIS5遺伝子(選択マーカー)を発現するA.ゴシッピイTEF1プロモーターとその後のA.ゴシッピイ由来TEF1ターミネーター;ネイティブ酵母GPD1プロモーターにより発現されるS.レバウディアナKO‐1(配列番号23、GenBankABA42921.1)とその後のネイティブ酵母CYC1ターミネーター;ネイティブ酵母TPI1プロモーターにより発現されるS.レバウディアナCPR‐8(配列番号5)とその後のネイティブ酵母TDH1ターミネーター;ネイティブ酵母PDC1プロモーターにより発現されるアラビドプシス・タリアナカウレンシンターゼ(配列番号6、GenBankAEE36246.1と類似)とその後のネイティブ酵母FBA1ターミネーター;ネイティブ酵母TEF2プロモーターにより発現されるコドン最適化バージョンのライス遺伝子Os03g0702000(配列番号18、EUGT11をコードする)とその後のネイティブ酵母PGI1ターミネーター;ネイティブ酵母TEF1プロモーターにより発現されるDNA2.0コドン最適化S.レバウディアナKAHe1(配列番号8)とその後のネイティブ酵母ENO2ターミネーター;およびネイティブ酵母PGK1プロモーターにより発現されるゼア・メイズ切断型CDPS(配列番号133)とその後のネイティブ酵母ADH2ターミネーター。
【0320】
上記酵母株は、2個のプラスミドEPSC2182およびEPSC2308の導入により原栄養性とされた。EPSC2182は、LEU2マーカーを持つp415TEFCEN/ARSシャトルプラスミド由来であり、ネイティブ酵母TEF1プロモーターにより発現されるおよびS.レバウディアナKAHe1とその後に続くネイティブ酵母CYC1ターミネーターのコピーも含有した。EPSC2308は、EUGT11遺伝子をクローン化し、ネイティブ酵母TEF1プロモーターにより発現され、その後にネイティブ酵母CYC1ターミネーターが続く、URA3マーカーを有するp416TEFに基づくCEN/ARSシャトルプラスミドであった。この酵母株は、その後、EFSC3044と命名された。
【0321】
【表10】
【0322】
流加発酵を、ベース培地(完全合成培地)中での約16時間の増殖相と、その後の微量の金属、ビタミン、塩、および酵母窒素ベース(YNB)および/またはアミノ酸補充を併用し、炭素およびエネルギー源としてグルコースを約100時間供給することにより、2L(作業容量)の発酵槽中で好気的に行った。pHは略pH5に保ち、設定温度は30℃であった。酸素枯渇を防止しエタノール生成を最小とするために、供給速度を制御した(グルコース制限条件)。培養サンプルの全体(細胞除去をせずに)を取り、グリコシド類の合計レベルを測定するために等容量のDMSO中で煮沸した。
【0323】
特に記載しない限り、以下の手法を使用して、ステビオールグリコシド類およびステビオール経路中間体を分析した。加熱型エレクトロスプレーイオン(HESI)源付きのTSQQuantumAccess(ThermoFisher Scientific)三連四重極質量分析計に接続したAcquityUPLC(登録商標)BEHC18カラム(100x2.1mm、1.7μm粒子;Waters, Milford, MA)を装着したUltiMate(登録商標)3000UPLCシステム(Dionex, Sunnyvale, CA)を使用して、LC‐MS分析を行った。溶出は、溶離剤B(0.1%ギ酸含有MeCN)および溶離剤A(0.1%ギ酸含有水)の移動相を使用し、0.0分から4.0分まで勾配を29%から48%Bに増やし、4.0分から4.2分まで48%から100%B、4.2分から6.2分まで100%Bで保持し、29%溶離剤Bで再び平衡化した。流速は0.4mL/min、カラム温度は55℃に保持した。ステビオールグリコシド類を、SIM(シングル・イオン・モニタリング)を使用してポジティブモードで検出し、下記の表12のトレースm/zを得た。
【0324】
【表11】
【0325】
ステビオールグリコシド類のレベルは、LGC Standards製の標準品を使用して得た較正曲線と比較することで定量化した。一般に、例えば、0.5~100μMのレバウディオサイドA(RebA)の標準液を使用して較正曲線を作成した。図5に、ヘキサグリコシル化ステビオールグリコシド(保持時間1.31、ヘキサグルコースステビオールグリコシドおよびステビオシドに対応する質量トレース)を生成した発酵の代表的な質量スペクトルを示す。
【0326】
改変型LC‐MS法(BEH RPshield C18 HPLCカラム使用、50x2.1mm、1.7μm粒子;Waters, Milford, MA)を使用して、例5に記載の化合物を分析し、およびin vitroの実験でUGT76G1の相対速度を求めた。溶出は、溶離剤B(0.1%ギ酸含有MeCN)および溶離剤A(0.1%ギ酸含有水)の移動相を使用し、0.0分から4.0分まで勾配を25%から47%Bに増やし、4.0分から5.0分まで47%から100%B、5.0分から6.5分まで100%Bで保持し、最後に25%Bで再び平衡化した。流速は0.4mL/min、カラム温度は35℃に保持した。改変型LC‐MS法では、表12に示す化合物の保持時間を短縮した。改変型LC‐MS法(t分)の典型的な保持時間は:19‐SMGが3.34;13‐SMGが3.54;ルブソシドが2.55;ステビオール‐1,2‐ビオシドが2.95;ステビオール‐1,3‐ビオシドが3.31;1,2‐ステビオシドが2.04;1,3‐ステビオシドが2.42;レバウディオサイドBが2.91;レバウディオサイドAが2.03;レバウディオサイドDが1.1;およびレバウディオサイドMが1.32であった。
【0327】
例2:ヘキサグリコシル化ステビオールグリコシドを産生する反応のin vitroキャラクタリゼーション
例1で述べたように、EUGT11がステビオールグリコシドを産生する酵母株において高いレベルで発現されたとき、ヘキサグルコシルステビオールグリコシドが観察された。この分子を産生している反応をキャラクタライズするために、個々のUGTを使用してin vitroの研究をさらに行った。
【0328】
UGT76G1(配列番号1)を、pET30aプラスミド(EMD Millipore)へクローン化した。得られたベクターを、適切なDE3大腸菌株に形質転換し、産生会社のプロトコールに従って形質転換細胞を増殖・誘導した。対応する融合タンパク質(6XHISタグ)を、定法を使用して固定化金属アフィニティクロマトグラフィーで精製した。
【0329】
反応液μL当たり約0.08μgの精製UGT76G1を、100μMのRebD、300μMのUDPグルコース、および10U/mLアルカリホスファターゼ(Fermentas/Thermo Fisher, Waltham, MA)とともにインキュベートした。反応は、20mMのHepes‐NaOH中30℃、pH7.6で24時間行った。LC‐MS分析の前に、100%DMSOの1容量を各反応液に添加し、ボルテックスで撹拌し、サンプルを16,000Xgで1分間遠心分離した。
【0330】
反応中、新たなピークが、ステビオール+6グルコース部分に対応する質量に現れ、1.31分に溶出し、in vivoでのEUGT11の過剰発現でみられたヘキサグルコシルステビオールグリコシド類の1つの微量に対応した。この結果は、UGT76G1がRebDを更にグリコシル化して、ヘキサグリコシドを与えることを示唆している。ステビオール骨格のC13に元々あるグルコースと1,3‐グルコース結合をする以外にも、UGT76G1は1,3‐結合型グルコースをC19に元々あるグルコースに添加する二次活性を有すると仮定された。UGT76G1が使用できるRebD中で使用可能な唯一のグリコシル化のサイトは、C19にあるグルコースのようであり、RebMと命名されたヘキサグリコシドが産生されるであろう。例3および4に示すように、検出されたヘキサグリコシドを単離し、レバウディオサイドMであると決定した。
【0331】
例3:ヘキサグリコシル化分子の単離
ヘキサグルコシルステビオールグリコシド産生物が、例1に記載と類似の発酵から単離され、図6に概要を示すスキームに従った構造解析を行った。
【0332】
発酵の後、培養ブロスを、7000rpm、4℃で30分間遠心分離し、上澄みを以下のように精製した:ガラスカラムを150mLのHP20ダイヤイオン(登録商標)樹脂(Supelco)で充填し、一定分量の上澄み300mLをカラムに注入し、2X250mLのMilliQ水を流した。グリコシド産生物は、MilliQ水中のメタノール濃度を段階的に増加させることで(それぞれ250mL分量で‐0%→10%→40%→60%→80%→100%MeOH)溶出した。各画分中のステビオールグリコシド類のレベルを、LC‐MSにより分析した。最も有望な画分(60~80%MeOH)を合わせ、真空エバポレーターを使用して合計10mLに濃縮した。600mLの球状C18結合フラッシュシリカゲル(45~70um、70オングストローム/Supelco)を充填したガラスカラムを、5%アセトニトリル水(アセトニトリル:HPLCグレード、水:MilliQ)で平衡化した。HP20精製からの濃縮した残渣をカラムに注入し、アセトニトリル負荷を段階的に増加して溶出した。開始時の溶離剤は、5%アセトニトリル水溶液であった。アセトニトリルのレベルは、段階毎に5%増加させた(各400mL)。50%アセトニトリルに達した後は、段階毎10%とした。すべての画分をLC‐MSで分析し、それらのステビオールグリコシド組成に従ってプールし、真空下で乾燥した。表13に、各画分にみられたグリコシド類の概要を示した。図7に、フラッシュクロマトグラフィー後に半精製したヘキサグリコシル化合物のLC‐QTOF分析で得たクロマトグラムおよび質量スペクトルを示した。
【0333】
【表12】
【0334】
例4:NMRによる構造の確認
NMR用の純粋なサンプルを産生するために、例3で得た約50mgのヘキサグリコシル化の濃度が高い残渣を、セミ分取HPLCシステムで更に精製した。システムには、Aqua(登録商標)C18カラム(Phenomenex:寸法250x21.2mm、5ミクロン)を設けた。溶出は、移動相として溶離剤B(0.1%トリフルオロ酢酸含有MeCN)および溶離剤A(0.1%トリフルオロ酢酸含有水)を使用し、勾配を0.0分から21分で1%から50%Bへ、21.0分から27.0分で50%から100%分へ、そして最終的に100%Bを流し、再平衡化することで行った。流速は、室温で14mL/minであった。画分を時間毎に収集し、LC‐QTOF‐MSでステビオールグリコシド類が存在するかどうか分析した。システムは、MicrOTOFII質量分析計(Bruker)を連結したUPLC(Waters)を使用した。カラムは、AcquityUPLC(登録商標)BEHC18、100x2.1mm、1.7μm(Waters)を使用した。移動相は、A:0.1%ギ酸水溶液およびB:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液であった。適用した勾配は、12分で1%Bから50%B、その後3分で100%Bに増加した。流速は、0.4mL/minであった。
【0335】
NMR分析には、画分93を使用した。NMRの実験のすべては、1.7mmの極低温TCIプローブを設けたBruker社製AvanceIII600MHzNMR分光計を使用して25℃のDMSO‐d6中で行った。
【0336】
標準的な同種核および異種核マルチパルスNMR実験、すなわちH、H‐COSY、H、13C‐HSQCおよびH、13C‐HMBC実験により構造を解析した。得られたNMRデータを以下に示す:
【0337】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.78 (br. s., 1 H) 0.83 (s, 3 H) 0.92 (d, J=7.39 Hz, 2 H) 0.97 - 1.04 (m, 1 H) 1.17 (s, 3 H) 1.30 - 1.54 (m, 6 H) 1.67 (d, J=10.40 Hz, 1 H) 1.72 - 1.86 (m, 4 H) 1.92 (d, J=6.49 Hz, 1 H) 1.96 - 2.05 (m, 2 H) 2.08 (d, J=10.82 Hz, 1 H) 2.32 (d, J=12.71 Hz, 1 H) 2.91 (t, J=8.82 Hz, 1 H) 2.95 - 3.01 (m, 1 H) 3.02 - 3.27 (m, 14 H) 3.31 - 3.55 (m, 10 H) 3.57 - 3.86 (m, 10 H) 4.47 (d, J=7.86 Hz, 1 H) 4.51 (d, J=8.00 Hz, 1 H) 4.53 (d, J=7.62 Hz, 1 H) 4.66 (d, J=7.81 Hz, 1 H) 4.73 (br. s., 1 H) 4.80 (d, J=7.86 Hz, 1 H) 5.11 (br. s., 1 H) 5.53 (d, J=8.19 Hz, 1 H)
【0338】
13C NMR (150.91 MHz, DMSO-d6) d ppm 16.4, 19.4, 19.9, 21.8, 28.3, 36.7, 37.2, 39.3, 40.3, 41.5, 41.6, 43.2, 43.7, 47.0, 47.2, 53.2, 57.0, 60.7, 61.2, 61.4, 61.8, 62.0, 62.1, 68.5, 68.9, 70.4 (3C), 71.2, 71.6, 74.1 - 74.3 (4C), 74.8, 75.8, 76.9 - 77.1 (6C), 77.6, 79.6, 85.8, 86.8, 87.1, 92.1, 96.2, 102.1, 102.8, 103.2, 103.3, 104.5, 153.1, 175.1
【0339】
確認したRebM(系統名:13‐[β‐D‐グルコピラノシル‐(1‐>3)‐[β‐D‐グルコピラノシル‐(1‐>2)]‐β‐D‐グルコピラノシル‐1‐オキシ]カウラ‐16‐エン‐18‐酸、18‐[β‐D‐グルコピラノシル‐(1‐>3)‐[β‐D‐グルコピラノシル‐(1‐>2))]‐β‐D‐グルコピラノシル‐1‐エステル])の構造を、図2に示す。
【0340】
例5:EFSC3044の他の発酵産生物の単離および決定
RebM以外に、EFSC3044の発酵により、保持時間2.31でジグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸、[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)(図8B)および保持時間2.15でトリグリコシル化ステビオールグリコシド(13‐ヒドロキシカウラ‐16‐エン‐18‐酸;[2‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐3‐O‐β‐D‐グルコピラノシル‐β‐D‐グルコピラノシル]エステル)(図8C)が生成した。
【0341】
これらの化合物を、以下の方法に従って単離した。発酵の後、培養ブロスを5000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上澄みを以下のように精製した:ガラスカラムを300mLのHP20ダイヤイオン(登録商標)樹脂(Supelco)で充填し、一定分量の上澄み1700mLをカラムに注入し、3.5リットルのddH2Oを流した。化合物を、2LのMeOHを使用して溶出し、各500mLの画分を収集した。LC‐MS分析の後、目的化合物の大部分を含有する画分をプールし、ロータリー蒸発システム(Rotavap, Buchi, Switzerland)で蒸発させ、1.85グラムの濃灰色物を得た。粗製抽出物を3.5mLのDMSOに再溶解し、更に精製するために0.7mLの一定分量をセミ分取LC‐MSに注入した。使用したカラムは、XBridgeC18、19x250mm、5um(Waters Corporation)であった。移動相、A:0.1%TFA水溶液およびB:0.1%TFAアセトニトリル溶液。溶出は、44分間で1%Bから60%Bまでの直線勾配により行った。2.1mLの画分を、溶出中連続して収集した。目的分析物の存在および純度を評価するために、収集した画分をLC‐MSにより分析した。‘ピーク8’および‘ピーク9’として特定される化合物を含有する画分を、0.8mLのNH3(aq.)を添加して中和し、プールし、Genevac社製遠心分離蒸発システムで乾燥した。
【0342】
これらの化合物の構造は、例4の方法でNMRにより決定した。
【0343】
ジグリコシル化ステビオールグリコシドに関して得たNMRデータは以下の通りである:
【0344】
1H NMR (600MHz, DMSO-d6) d ppm 0.72 - 0.79 (m, 1 H) 0.81 (s, 3 H) 0.93 (d, J=8.07Hz, 1 H) 0.98 - 1.05 (m, 1 H) 1.17 (s, 3 H) 1.20 (d, J=11.37 Hz, 1 H) 1.36 (d, J=4.03 Hz, 2 H) 1.40 - 1.52 (m, 1 H) 1.55 - 1.70 (m, 1 H) 1.77 (d, J=9.54 Hz, 3 H) 1.84 - 1.90 (m, 1 H) 2.03 (d, J=8.07 Hz, 1 H) 2.31 - 2.41 (m, 1 H) 2.79 - 2.87 (m, 1 H) 2.89 - 2.96 (m, 1 H) 3.08 (s, 2 H) 3.12 - 3.18 (m, 3 H) 3.19 - 3.24 (m, 1 H) 3.34 (d, J=4.77 Hz, 2 H) 3.41 - 3.45 (m, 2 H) 3.46 -3.55 (m, 1 H) 3.65 (d, J=11.37 Hz, 1 H) 3.73 (dd, J=15.41, 8.44 Hz, 4 H) 4.26 - 4.40 (m, 1 H) 4.48 (d, J=7.70 Hz, 1 H) 4.52-4.62 (m, 1 H) 4.69 (br.s., 1H) 4.81 (d, J=7.70Hz, 1 H) 4.88 (br.s., 1 H) 4.91 - 5.03 (m, 1 H) 5.05 - 5.26 (m, 2 H) 5.51 (d, J=7.70 Hz, 1 H) 5.55 (br.s., 1 H; 化学式C32H50O13; 式量642.7316)
【0345】
トリグリコシル化ステビオールグリコシドに関して得たNMRデータは以下の通りである:
【0346】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.73 - 0.79 (m, 1 H) 0.81 (s, 3 H) 0.89 -0.97 (m, 2 H) 0.99 - 1.05 (m, 1 H) 1.17 (s, 3 H) 1.19 (d, J=11.37 Hz, 1 H) 1.24 (s, 2 H) 1.31 - 1.40 (m, 4 H) 1.40 - 1.51 (m, 3 H) 1.55 - 1.63 (m, 1 H) 1.67 (dd, J=14.12, 5.32 Hz, 1 H) 1.71 - 1.82 (m, 5 H) 1.88 (d, J=11.00 Hz, 1 H) 1.98 - 2.08 (m, 2 H) 2.23 - 2.30 (m, 1 H) 2.94 (t, J=8.44 Hz, 1 H) 3.01- 3.11 (m, 3 H) 3.12 - 3.17 (m, 1 H) 3.19 - 3.28 (m, 3 H) 3.44 - 3.52 (m, 5 H) 3.54 - 3.60 (m, 1 H) 3.61 - 3.71 (m, 3 H) 4.36 (br. s., 1 H) 4.49 (br. s., 1 H) 4.55 (d, J=7.70 Hz, 1 H) 4.69 (s, 1 H) 4.73 (br. s., 1 H) 4.88 (br. s., 1 H) 4.91 - 5.05 (m, 2 H) 5.17 (br.s., 1 H) 5.31 (br.s., 1 H) 5.44 (d, J=8.07 Hz, 1 H) 5.55 (br. s., 1 H; 化学式C38H60O18; 式量804.8722).
【0347】
ジグリコシル化ステビオールグリコシドエステルは、ステビオール‐1,2‐ビオシドの類似体であり(図8B)、トリグリコシル化ステビオールグリコシドは、RebBの異性体であり、両者ともそれぞれの異性体の13‐O位の代わりに19‐O位でグリコシル化されている(図8C)ことがわかった。このデータは、EUGT11、UGT76G1、またはUGT74G1の活性と比べてUGT85Cの活性が低いときにこれらの化合物が形成することを示唆している。
【0348】
例6:EFSC3261の操作および発酵
例1で使用した野生型サッカロミケス属株を、ステビオールグリコシド産生に関与する表14の異種遺伝子を含有するように操作した。遺伝子はすべて、例1に記載したのと同様の方法を使用して宿主株の染色体に組み込んだ。
【0349】
【表13】
【0350】
流加発酵を、ベース培地(グルコース、硫酸アンモニウム、微量の金属、ビタミン、塩、および緩衝液を含有する最少培地)中の約16時間の増殖相と、その後グルコースを含有する規定の供給培地を約100時間供給により、2L(作業容量)の発酵槽中で好気的に行った。グルコースを炭素およびエネルギー源として利用し、微量の金属、ビタミンおよび塩を併用した。pHは略pH5に保ち、設定温度は30℃であった。酸素枯渇を防止しエタノール生成を最小とするために(グルコース制限条件)、供給速度を制御した。培養サンプルの全体(細胞除去をせずに)を取り、グリコシド類の合計レベルを測定するために等容量のDMSO中で煮沸させた。
【0351】
図9は、4つの別々の試験でのEFSC3261によるRebDの産生を示す。合計産生量(細胞内および細胞外を合わせる)平均力価は、800~1200mg/Lの間であった。発酵実施58回で、123時間での最終合計力価は1109mg/LのRebD、695mg/LのRebMであり;質量に基づくD:M比は1.6であった。394mg/LのRebAも産生された。
【0352】
例7:RebDおよびRebMの産生を増加するためのEFSC3297の株エンジニアリングおよび発酵
例1で使用したものと同じ野生型サッカロミケス属株を、ステビオールグリコシド産生に関与する表15の異種遺伝子を含有するように操作した。例1に記載のものと同様の方法で、すべての遺伝子は宿主株の染色体に組み込んだ。遺伝子は例1のものと同一であったが、ステビオール経路におけるボトルネックである酵素のコピー数が増加したことによりRebDおよびRebMの産生が増加した。株3297の発酵は、上記の3261株と同様な方法で行った。
【0353】
【表14】
【0354】
EFSC3297によるRebDおよびRebMの産生を、図10に示す。質量に基づいたD:M比は1.1であった。発酵の終りに1517mg/LのRebDが産生され(細胞内と細胞外の合計)、1375mg/LのRebMが産生された。
【0355】
例8:UGT76G1遺伝子の2つのコピーによるEFSC3841の株エンジニアリングおよび発酵
例1で使用したものと同じ野生型サッカロミケス属株を、ステビオールグリコシド産生に関与する表16の異種遺伝子を含有するように操作した。例1に記載のものと同様の方法を使用して、すべての遺伝子は宿主株の染色体に組み込んだ。3841の発酵条件は、上記の3261株と同様であった。
【0356】
【表15】
【0357】
EFSC3841によるRebD、RebM、およびRebAの産生を図11に示す。ここで、RebDの全産生量は2786mg/L、RebMの全産生量は2673mg/L、その比は1.04D:M(g/g)であった。703.7mg/LのRebAも産生された。
【0358】
例9:EFSC3841の1つのUGT76G1遺伝子のノックダウンおよびRebDおよびRebMの産生減少
EFSC3643と命名された、上述のEFSC3841株の栄養要求性(leu2、ura3)バージョンを、野生型76G1UGT遺伝子の1つを欠損するように更に改変した。1つのUGT76G1のコピーを含有する3つのコロニーの性能を、2つのUGT76G1のコピーを含有する非改変株の4つのコロニーに対して検討した。PCRを使用して、新たな株が1つの76G1のコピーだけを持つことを確かめた。簡単に述べると、1つのUGT76G1のコピーの破壊が、破壊用組込みカセット部分の挿入部位の上流領域と組込みカセット部分の挿入部位の下流領域を増幅する2つのPCR反応により検証された。野生型76G1用に設計されたPCRプライマーにより、野生型76G1が依然変化しておらず株に存在することが確認された。コロニーを、96ディープウェルプレート中30℃、400RPMで96時間増殖した。RebDおよびRebMの総量を、LC/MS分析により求めた。
【0359】
図12から、76G1のコピー数が、RebD/RebM比を有意に変化させることがわかる。1つの76G1コピーだけを含有する3つのコロニー(グラフの左側のバー)のRebDとRebMの比を、2つの76G1UGTのコピーを含有する親株の4つのコロニー(グラフの右側のバー)に対してプロットした。
【0360】
例10:RebDおよびRebM産生の相対速度の決定
WT‐76G1を含有するp416GPDを、SC‐ura培地中プロテアーゼ欠損酵母株DSY6で48時間発現した。100μLの細胞を、3mLのSC‐ura培地に16時間再播種した。細胞を、200μLのCelLytic(商標)Yで使用説明書に従って溶解した。6μLの可溶化液を、20mMのトリス緩衝液(pH8.0)、0.3μMのUDPG、および0.1μMのRebDまたはRebEからなる反応混合物24μLに添加した。反応を30℃でインキュベートし、0、1、2、および18時間後に30μLの反応混合物のうち25μLを25μLのDMSO中へ移すことで反応を停止した。RebD、RebEおよびRebMの量をLC‐MSで分析し、「曲線下面積」としてデータ処理の間のピーク積分により評価した。
【0361】
図13は、大部分のRebDが対応する量のRebMを産生することなく消費されることを示している。RebEが2時間以内に消費され、RebDに変換されることも示されている。この知見は、18時間経過の時点で最初に観察される、ステビオールからRebAではなくRebEを介してRebMとなる他のグリコシル化経路が可能であることを確認するものである。
【0362】
例11:UGT76G1中のRebMおよびRebD結合に関与するアミノ酸の予測
RebMまたはRebDに対する活性および位置選択性を増加したUGT76G1バリアントを同定する手段として、相同性モデリングおよびドッキング試験を行った。3つの相同性モデルを、テンプレートとして以下のPDBファイル2PQ6(%ID=31)、2C1X(%ID=28)、3HBF(%ID=28)、2VCE(%ID=35)を組み合わせてSybylXプログラムにおいて標準的な設定を使用して作成した。PDB2VCEに存在するリガンドを、主鎖および側鎖の作成の間使用し、エネルギー極小化の前に除去した。最も質の高い構造を得るために、標準設定または0.1kJの閾値、カットオフ半径10オングストロームおよび最大反復数5000回の勾配終結のどちらかでのAMBERFF99フォースフィールドを使用してモデルをエネルギー極小化した。モデルの統計を表17に示し、モデル間の変動を図14に示した。
【0363】
【表16】
【0364】
モデル生成の後、結合ポケットを形成するアミノ酸を予測するために、SybylXでSurflexDockスイートを使用して基質を酵素の活性部位にドッキングした。76G1モデルをPDB2VCEとアラインメントし、テンプレートから直接リガンドUDPF2Gを移入して、UGT76G1結合溝のUDPG部分の位置を特定した。受容体基質をドッキングするために、結合サイトの残りの部分をカバーする標準的な値を使用してプロトコールを作成した。ドッキングは、タンパク質フレキシビリティあり(モデル1)またはフレキシビリティなし(モデル2)で可能としたステビオールグリコシド類を含有するリガンドライブラリー上でGeomX設定を使用して行った。ドッキング結果は、ベースモードでの上位3つのドッキング結果およびタンパク質フレキシビリティでの上位1つのドッキング結果を使用してSybylXでスコア機能の組み合わせを使用して解析した。
【0365】
UGT76G1アミノ酸のすべてを、以下の表18に示す。飽和変異ライブラリーの部位は、2個以上のモデルでのドッキング分析でRebDおよびRebMの5オングストローム以内にあるすべての残基を選択することで決定した(太字の「x」で示す)。更に、RebD→RebM反応の結合サイトに位置するRebMおよびRebD19‐O‐グルコース部分の5オングストローム以内にあるすべての残基を選択した。太字および「!」で示す類似の酵素間で完全に保存されている残基は、スクリーニングから除去した。
【0366】
【表17-1】
【表17-2】
【表17-3】
【表17-4】
【表17-5】
【0367】
例12:UGT76G1部位飽和変異ライブラリーのプレスクリーニング
本明細書に記載されるUGT76G1部位飽和変異ライブラリースクリーニングを行う前に、RebMおよびRebDの培養増殖および産生を96および4x24ディープウェルプレート中でモニターした。標準的な酢酸リチウムプロトコールを使用して、EFSC3385株を、WT‐76G1を含有するp416GPDで形質転換し、形質転換細胞を、SC‐URAプレートに播種した。EFSC3385は、UGT76G1を欠損した株であり、従って活性なUGT76G1を含有するプラスミドで形質転換されるまでRebEを作成するであろう。株は、spHIS5マーカーで置換されたUGT76G1コード領域の破壊を含有し、UGT91D2e‐2X変異体、UGT74G1、ATR2、UGT85C2、S.レバウディアナCPR8(2コピー)、A.タリアナKS5(2コピー)、シネココッカスGGPPS7、コドン最適化S.レバウディアナKAHe1(2コピー)、S.レバウディアナKO(2コピー)、切断型ゼア・メイズCDPS5(2コピー)、およびEUGT11のコピーも組み込まれている。
【0368】
96ディープウェルプレート条件としては、96個のコロニーを1mLのSC‐URAを含有するプレートを転移し、プレートを30℃および400RPMで96時間インキュベートした。4x24ディープウェルプレート条件としては、96個のコロニーを、3mLのSC‐URAを含有するプレートに転移した。プレートを30℃および320RPMで96時間インキュベートした後、各ウェルから200μLを96ディープウェルプレートへ転移した。
【0369】
各プレートから50μLの培養物を96ウェルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プレートに転移し、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)で1:1に希釈した。プレートは加熱密封し、80℃で10分間インキュベートしたあと、25℃に冷却した。プレートを、4000RPMで10分間回転し、50μLの培養混合物をLC‐MS分析用の新しいプレートに転移した。
【0370】
UGT76G1部位飽和変異ライブラリープレスクリーニングの結果を図15に示す。RebDおよびRebM産生の変動は、96時間のインキュベーション時間の間の、特にプレートの縁に位置するウェルにおける蒸発により説明可能である。96ディープウェルプレート中で増殖されたコロニーにより産生されたRebMおよびRebDの濃度が高いことは、4x24ディープウェルプレートと比較して、これらのプレートがLC‐MS分析により適切であることを示唆しており、従ってUGT76G1部位飽和変異ライブラリースクリーニングでの使用に選択された。
【0371】
例13:UGT76G1部位飽和変異ライブラリースクリーニング
Baseclear社により、SpeIおよびXhoI制限部位を使用してUGT76G1を、EPSC2060(p423GPD)からEPSB492(p416GPD)へサブクローン化し、縮重NNSプライマーを使用して部位飽和変異ライブラリーを作成した。標準的な酢酸リチウムプロトコールを使用して、EFSC3385株をライブラリーまたはWT‐76G1を含有する対照プラスミドで形質転換し、形質転換細胞をSC‐URAプレートに播種した。
【0372】
1mLのSC‐URA培地を96ディープウェルプレートに添加し、例9で特定した38個の部位飽和変異ライブラリー残基のそれぞれからのコロニーをピッキングし、96ディープウェルプレートで30℃および400RPMで96時間インキュベートした。その後、50μLの各培養サンプルを、50μLの100%DMSOを含有する96ウェルPCRプレートに転移した。その後、プレートを加熱密封し、80℃で10分間インキュベートした後、12℃に冷却し4000RPMで10分間スピンした。70μLの各上澄みをLC‐MS分析用の新しいプレートに転移した。
【0373】
図16は、UGT76G1部位飽和変異ライブラリースクリーニングのすべてのデータ点を示し、野生型産生は黒い三角形で表す。バリアント番号システムを表19に示す。
【0374】
【表18-1】
【表18-2】
【0375】
表20および図17は、RebMまたはRebDのどちらかの産生に最も高い選択性を持つUGT76G1バリアントコロニーを示し、それらを更なる試験のために選択した。図17中、「WT」の符号が付いているすべてのデータ点は、野生型酵素のRebMおよびRebDの産生を示す。選択した酵素バリアントが、野生型コントロールに比較してRebDからRebMへの活性の阻害またはRebMの産生の増加を示したことがわかった。
【0376】
【表19-1】
【表19-2】
【表19-3】
【表19-4】
【表19-5】
【0377】
例14:UGT76G1部位飽和変異ライブラリー再スクリーニングおよびバリアント配列決定
RebDまたはRebMAのどちらかを最大量産生するUGT76G1バリアントコロニーの47個の再スクリーニングを三つずつで行ったところ、最初のスクリーニングと同じ傾向を示した(図19)。配列を決定するコロニーを、スクリーニングおよび再スクリーニングの結果を集計して選択した。スクリーニングおよび再スクリーニングの産生レベルを直接比較できなかったので、コロニーを、RebDおよびRebMのそれぞれの最高産生コロニーから最低産生コロニーへとランク付けし、スクリーニングおよび再スクリーニングのランクの平均を求めた。平均から、上位16個のRebD、上位16個のRebM、および上位16個のRebD/M産生コロニー(合計48個のコロニー)を特定した。上位RebDおよび上位RebD/M産生コロニーのいくつかは同一のコロニーであったので、重複するコロニーは一度だけ数え、配列決定するコロニーの合計を48個のとするために追加のコロニーを選んだ。これらのコロニーは、以下に示すGPD配列_fwdおよびCYC1配列_revプライマーで2つずつ配列決定した。
【0378】
GPD配列_fwdプライマー配列:CGGTAGGTATTGATTGTAATT(配列番号88)
【0379】
CYC1配列_revプライマー配列:CTTTTCGGTTAGAGCGGATGT(配列番号89)
【0380】
表示したバリアントにより産生されたRebD、RebM、およびRebD/RebMの量とランクを表21‐23に示し、RebDまたはRebMのどちらかの産生を選択的に増加する変異を表24にまとめた。野生型およびUGT76G1バリアントコロニーにより産生されたRebM、RebD、RebA、ルブソシド、およびRebBの量を表25に示す。
【0381】
【表20】
【0382】
【表21-1】
【表21-2】
【0383】
【表22】
【0384】
【表23】
【0385】
【表24-1】
【表24-2】
【表24-3】
【0386】
例15:UGT76G1グリコシル化反応の相対速度の決定
UGT76G1は、1,2‐ステビオシドの1,3‐グリコシル化を触媒して、RebAに変換し、1,2‐ビオシドをRebBに変換することだけが文献より公知である。本発明者等は、表26に示す反応がUGT76G1により触媒されることを新たに発見した。
【0387】
【表25】
【0388】
例9と同様にして、WT‐76G1を含有するp416GPDを、SC‐ura培地においてプロテアーゼ欠損酵母株DSY6中で48時間発現した。その後、100μLの細胞を、3mLのSC‐ura培地に16時間再接種した。細胞を、使用説明書に従って200μLのCelLytic(商標)Yで溶解した。6μLの可溶化液を、20mMのトリス緩衝液(pH8.0)、0.3μMのUDPG、および0.1μMのルブソシド、0.2μMの1,2‐ビオシド、0.2μMの1,2‐ステビオシド、0.2μMのRebAまたは0.1μMのRebEどれかからなる24μLの反応混合物に添加した。反応を30℃でインキュベートし、0、1、2、および18時間経過後30μLの反応混合物の25μLを25μLのDMSOへ転移することで反応を停止した。ステビオールグリコシド類の量をLC‐MSで分析し、データ処理の間のピーク積分により「曲線下面積」として評価した。
【0389】
図19中、ルブソシドの「曲線下面積」の約50%の低下は、18時間の間に相当量の1,3‐ステビオシド(RebG)が産生されたことを示した。本発明者等により新たに発見されたRebQは、18時間目に最初に検出された。更に、図19は、1,2‐ビオシドがRebBの産生用であるので、1,2‐ステビオシドはRebAを産生している18時間の期間に完全には消費されなかったことを示す。
【0390】
更に、1,2‐ステビオシドまたはRebAのどちらかを基質として使用すると、ステビオール+5グルコースクロマトグラムの1.96分に溶出ピークが現れた(図20)。RebDは1.11分に溶出し、UGT76G1は1,3‐グリコシル化反応だけを触媒するので、1.96分の溶出ピークは、RebIであるように思われる。しかしながら、RebIピークは、基質アーチファクトピーク中に位置しているので(図20)、積分することは不可能であった。
【0391】
これらの結果を合わせると、UGT76G1が優先的に13‐O‐位で1,2‐ジグリコシル化されるステビオールグリコシド基質のグリコシル化を触媒し、次に13‐O‐位でモノグリコシル化されるステビオールグリコシド基質を触媒することを示している。19‐O‐位のグリコシル化状態からの優先はほとんど起きないように思われる。図1に、ステビオールグリコシドグリコシル化反応およびそれを触媒すると知られている酵素をまとめる。
【0392】
例16:UGT76G1バリアントによるステビオールグリコシド類の産生
各ステビオールグリコシドの定量用標準品は、市販されていないため、いくつかの濃度測定は不可能であった。従って、野生型酵素と比較した酵素バリアントによる追加のステビオールグリコシド類の産生は、データ処理の間のピーク積分により評価した。各バリアントの曲線下面積のデータを野生型UGT76G1に対して標準化し、表27に示した。これらのデータは、先の例と一致したが、バリアントのいくつかは、野生型対照が産生した1,3‐ステビオシド(RebG)、ルブソシド、「RebQ」、および/または1.43分に溶出するステビオール‐テトラグリコシドを産生しなかったことも示した。RebMおよびRebD産生の増加は、この観察により説明可能である。
【0393】
【表26-1】
【表26-2】
【表26-3】
【表26-4】
【0394】
野生型コントロールの標準化した産生と比較した、RebD最適化およびRebM最適化変異によるステビオールグリコシド産生の傾向を表28にまとめる。RebD産生を増加したバリアントは、主としてRebD→RebM反応を抑制した結果であると思われた。追加のRebD産生は、RebBおよび1.43分に溶出するテトラグルコシドの減少と、Rubu→RebG→RebQステビオールグリコシル化の分岐の抑制に由来することが可能である。1,2‐ステビオシドの4倍の増加およびRebEの7倍の増加は予期しないものであったが、RebEの増加は、野生型コントロールでみられる極少量の副生成物の7倍の増加であり得る。にもかかわらず、この知見は、ステビオシド→RebA反応も、RebD最適化変異により部分的に抑制されたことを示したが、それは、RebA中間体の減少として観察された。
【0395】
【表27】
【0396】
最大のRebDレベルをもたらす変異であるL257Gは、野生型のRebDの約4倍を産生し、配列比較した6個のコロニーに見られた。他のL257変異も、同程度の生産性を示した。変異体I26WおよびS283Gは、最も高いRebD/ステビオシド比を示し、これらの変異は、Stev→RebA反応を軽減することなくRebD→M反応を最大に抑制することを示した。これら2つの変異も、Rubu→RebG→RebQ経路を完全に無効にし、1.43分に溶出するテトラグルコシドの量を低減したが、RebB産生への影響は最小限であった。最もよいRebD/RebM比は、T146GおよびS283N変異体でみられ、野生型に比べ40~50倍の増加を示した。L257Rを伴うS389F変異は、L257R単独よりも高いRebD産生を示した。
【0397】
一般に、RebMの増加は、RebDの増加ももたらす一方、Rubu→RebG→RebQグリコシル化経路および1.43分に溶出するテトラグルコシドの減少または完全な阻止をもたらす。にもかかわらず、検討した残りのステビオールグリコシド類は影響されなかったようであった。上位のRebM産生株であるT55KおよびK337Pは、野生型と比べてそれぞれRebMを1.3倍増加し、ルブソシドを0.6倍減少した。ルブソシドは野生型で0.7μMしか存在しなかったので、観察された減少は、RebMの増加を説明するのに不十分である。これらの変異体により1,3‐ステビオシド(RebG)は産生されなかったので、Rubu→RebG→RebQ経路はほとんど取り除かれた。同様に、K337P変異を有するバリアントは、野生型のRebQのレベルの0.6倍を産生した。変異H155LおよびL379Vはそれぞれ、RebDに対してより多くのRebMを産生したが、野生型UGT76G1はRebDに対して約4.58倍のRebMを産生し、H155LおよびL379はそれぞれRebDに対して約6.66倍および5.88倍のRebMを産生した。この実験で明らかとなったデータにより、UGT76G1酵素のスクリーニングは、RebDおよびRebMの側へ改善した反応速度式を有し、副生成物を最小とし、それによってフラックスを所望のステビオールグリコシド類へ増加する種の同定を可能とする。
【0398】
本発明をその具体的な実施態様により詳細に説明したが、添付の請求項で規定した本発明の範囲から逸脱することなく改変および変更することが可能であることは明らかであろう。より具体的に、本発明のいくつかの側面は特に有利なものとして本明細書に特定されるが、本発明がその具体的な側面に必ずしも限定されるものではないことが意図されるものである。
参考文献
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3.Plant Physiology and Biochemistry 63 (2013) 245e253.
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A-B】
図19C
図20
【配列表】
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