(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】核内輸送調節因子およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4196 20060101AFI20220420BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20220420BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220420BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20220420BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220420BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220420BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220420BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220420BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220420BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220420BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220420BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220420BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220420BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220420BHJP
C07D 249/08 20060101ALI20220420BHJP
C07D 401/06 20060101ALI20220420BHJP
C07D 401/10 20060101ALI20220420BHJP
C07D 403/06 20060101ALI20220420BHJP
C07D 405/06 20060101ALI20220420BHJP
C07D 413/06 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
A61K31/4196
A61K31/422
A61K31/4439
A61K31/4709
A61K31/506
A61P11/00
A61P25/00
A61P27/02
A61P29/00
A61P31/12
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/08
A61P43/00 111
C07D249/08 533
C07D401/06 CSP
C07D401/10
C07D403/06
C07D405/06
C07D413/06
(21)【出願番号】P 2020115772
(22)【出願日】2020-07-03
(62)【分割の表示】P 2016521862の分割
【原出願日】2014-06-20
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2013-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313015775
【氏名又は名称】カリオファーム セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】バログル,エルカン
(72)【発明者】
【氏名】シャチャム,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】マッコーリー,ジララ
(72)【発明者】
【氏名】カシャップ,トリナヤン
(72)【発明者】
【氏名】セナペディス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ランデスマン,ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン,ガリ
(72)【発明者】
【氏名】カリド,オリ
(72)【発明者】
【氏名】シェクター,シャロン
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/099807(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/019561(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/019548(WO,A1)
【文献】特表2013-521312(JP,A)
【文献】DATABASE REGISTRY [online],[retrieved on 2021.06.14],1993年11月25日,Retrieved from: STN,CAS登録番号:151446-45-6
【文献】BREKHOV Y,CYANOMETHYLTETRAZOLES II REACTIONS OF THE METHYLENE MOIETY,ZHURNAL ORGANICHESKOI KHIMII,1992年,VOL:28, N9,PAGE(S):1921 - 1925
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4196 - 31/506
A61P 11/00 - 43/00
C07D 249/08 - 413/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
V:
【化1】
(式中
、
R
2が、
5~15個の環原子を有する任
意に置換され
るヘテロアリールおよび
6~12個の環原子を有する任
意に置換され
るアリールから選択さ
れる)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩
を含む、骨髄増殖性症候群、陰茎がんおよび鼻咽頭がんから選択される障害を治療するための医薬組成物。
【請求項2】
式(IV)のR
2
が、5~15個の環原子を有する任意に置換されるヘテロアリールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
式(IV)のR
2
が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意に置換される5~6員環ヘテロアリールである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式(IV)のR
2
が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意に置換される5員環ヘテロアリールである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式(IV)のR
2
が、任意に置換されるピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはオキサジアゾリルである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式(IV)のR
2
が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意に置換される6員環ヘテロアリールである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
式(IV)のR
2
が、任意に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式(IV)のR
2
が、ハロゲン、C
1
~C
4
アルキル、ハロ-C
1
~C
4
アルキル、C
1
~C
4
アルコキシ、C
1
~C
4
チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C
1
~C
4
アルキルアミノ、C
1
~C
4
ジアルキルアミノ、スルフヒドリル、シアノ、C
6
アリール、および5または6個の環原子を有するヘテロアリールから独立して選択される1、2または3つの置換基で任意に置換される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式(IV)のR
2
が、フルオロ、クロロ、C
1
~C
4
アルキル、-CF
3
、アミノ、およびシアノから独立して選択される1、2または3つの置換基で任意に置換される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
式(IV)の化合物が、以下の構造式:
【化2】
【化3】
【化4】
のいずれか1つによって表されるかまたは前記化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式(IV)の化合物が、以下の構造式:
【化5】
によって表されるかまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
該障害が、鼻咽頭がんである、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
該障害が、陰茎がんである、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
該障害が、骨髄増殖性症候群である、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
該医薬組成物が、経口投与用である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/838,172号明細書の優先権を主張する。この出願の教示全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、核内輸送調節因子およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの主要なヒト固形および血液悪性腫瘍からの細胞は、多様な発がん性タンパク質、腫瘍サプレッサータンパク質、および細胞周期制御因子の異常な細胞局在を示す(Cronshaw et al.2004、Falini et al.2006)。例えば特定のp53変異は、核内でなく細胞質中への局在化をもたらす。これは腫瘍サプレッサー機能が無傷であるにもかかわらず、正常な増殖制御の喪失をもたらす。その他の腫瘍では、野生型p53は細胞質中に隔離され、または迅速に分解されて、この場合もまた、そのサプレッサー機能の喪失につながる。機能性p53タンパク質の適切な核局在化の復元は、新生物細胞のいくつかの特性を正常化し得て(Cai et al.2008;Hoshino et al.2008;Lain et al.1999a;Lain et al.1999b;Smart et al.1999)、DNA損傷剤に対するがん細胞の感受性を復元し得て(Cai et al.2008)、確立した腫瘍(Sharpless&DePinho 2007、Xue et al.2007)の退縮をもたらし得る。フォークヘッド(Turnerand Sullivan 2008)およびc-Abl(Vignari and Wang 2001)などのその他の腫瘍サプレッサータンパク質についても、同様のデータが得られている。これに加えて、いくつかの腫瘍サプレッサーおよび増殖制御タンパク質の異常な局在化が、自己免疫疾患の発病に関与することもある(Davis 2007、Nakahara 2009)。CRM1の阻害は、特異的腫瘍サプレッサータンパク質(TSP)が欠失し、または機能不全である、家族性がん症候群(例えば1つのp53対立遺伝子の欠損に起因するリー・フラウメニ症候群、BRCA1またはBRCA2がん症候群)において特に興味深い効用を提供してもよく、CRM1阻害剤の全身性(または局所性)投与によるTSPレベルの増大は、正常な腫瘍サプレッサー機能の復元を助け得る。
【0004】
特定のタンパク質およびRNAは、それらが分子を核内に搬入する場合はインポーチンに分類され、分子を核外に搬出する場合はエクスポーチンに分類される、特化された輸送分子によって核に搬入され、それから搬出される(Terry et al.2007;Sorokin et al.2007)。核に搬入されそれから搬出されるタンパク質は、妥当な輸送体との相互作用する可能にする、核内搬入/局在化(NLS)または搬出(NES)配列を含有する。エクスポーチン-1またはXpo1とも称されるChromosomal Region Maintenance 1(Crm1)は、主要なエクスポーチンである。
【0005】
Crm1の過剰発現は、ヒト卵巣がん(Noske et al.2008)、子宮頸がん(van der Watt et al.2009)、膵臓がん(Huang et al.2009)、肝細胞がん(Pascale et al.2005)、および骨肉腫(Yao et al.2009)をはじめとするいくつかの腫瘍において報告されており、独立してこれらの腫瘍型の芳しくない臨床転帰と関連付けられている。
【0006】
Crm1の阻害は、遺伝子発現、細胞増殖、血管新生、およびエピジェネティックスと関連付けられている、p53、c-Abl、p21、p27、pRB、BRCA1、IkB、ICp27、E2F4、KLF5、YAP1、ZAP、KLF5、HDAC4、HDAC5またはフォークヘッドタンパク質(例えばFOXO3a)などの腫瘍サプレッサータンパク質および/または増殖制御物質の核からの大量流出をブロックする。Crm1阻害剤は、正常な(非形質転)細胞を残しながら、発がん性活性化または増殖促進シグナル存在下であってさえも、がん細胞にアポトーシスを誘導することが示されている。Crm1の阻害の大多数の研究は、天然Crm1阻害剤レプトマイシンB(LMB)を利用している。LMBそれ自体は、新生物細胞に対して高度に毒性であるが、耐容性に劣り、動物(Roberts et al.1986)およびヒト(Newlands et al.1996)において著しい胃腸毒性がある。薬剤様特性を改善するためのLMBの誘導体化は、動物腫瘍モデルにおいて、抗腫瘍活性を維持して耐容性がより良い化合物をもたらす(Yang et al.2007、Yang et al.2008、Mutka et al.2009)。したがって核外搬出阻害剤は、新生物およびその他の増殖性疾患において、有益な効果を有し得る。しかし今まで、生体外および生体内で使用するための、小分子薬剤様Crm1阻害剤は、稀であった。
【0007】
腫瘍サプレッサータンパク質に加えて、Crm1はまた、炎症過程に関与するいくつかの重要なタンパク質も搬出する。これらとしては、IkB、NF-kB、Cox-2、RXRα、Commd1、HIF1、HMGB1、FOXO、FOXP、その他が挙げられる。それが免疫グロブリンκ遺伝子発現を駆動するという発見に名前が由来する、転写活性化因子の核因子κB(NF-kB/rel)ファミリーは、炎症、増殖、免疫、および細胞生存に関与する、多様な遺伝子のmRNA発現を調節する。基本条件下では、IkBと称されるNF-kBのタンパク質阻害剤は、核内でNF-kBに結合して、複合体IkB-NF-kBは、NF-kB転写機能を不活性化する。炎症性刺激に応えて、IkBはIkB-NF-kB複合体から解離し、それはNF-kBを遊離させて、その強力な転写活性を曝露させる。NF-kBを活性化する多数のシグナルは、IkBをタンパク質分解の標的にすることでNF-kBを活性化する(IkBのリン酸化は、それをユビキチン化、次にタンパク質分解のために「標識する」)。核IkBa-NF-kB複合体は、Crm1によって細胞質に搬入され得て、そこで解離してNF-kBが再活性化され得る。ユビキチン化IkBもまたNF-kB複合体から解離して、NF-kB転写活性が復元されてもよい。ヒト好中球およびマクロファージ様細胞(U937)へのCrm1誘導性搬入のLMBによる阻害は、転写的に不活性の核IkBa-NF-kB複合体の蓄積をもたらすだけでなく、細胞刺激時であってもさえもNF-kBの初期活性化もまた妨げる(Ghosh 2008、Huang 2000)。別の研究では、LMBによる処理は、肺微小血管内皮細胞中で、IL-1β誘導性NF-kBDNA結合(NF-kB転写活性化の最初のステップ)、IL-8発現、および細胞間接着分子発現を阻害した(Walsh 2008)。COMMD1は、NF-kBおよび低酸素誘導因子1(HIF1)転写活性の双方に対する、別の核阻害剤である。Crm1阻害によってCOMMD1の核外搬出をブロックすることは、NF-kBおよびHIF1転写活性阻害の増大をもたらす(Muller 2009)。
【0008】
Crm1はまた、レチノイドX受容体α(RXRα)輸送も媒介する。RXRαは肝臓中で高度に発現されて、胆汁酸、コレステロール、脂肪酸、ステロイド、および異物代謝、および恒常性の調節において、中心的役割を果たす。肝臓炎症中には、主にCrm1によるRXRαの炎症媒介核外搬出のために、核RXRαレベルは顕著に低下する。Lep Bは、ヒト肝臓由来細胞において、IL-1β誘導性の細胞質におけるRXRαレベル増大を妨げることができる(Zimmerman 2006)。
【0009】
NF-kB、HIF-1、およびRXRαシグナル伝達におけるCrm1媒介の核外搬出の役割は、核外搬出をブロックすることが、血管系(血管炎、動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、アテローム性動脈硬化)、皮膚科学的(上記参照)、リウマチ学的(リウマチ性および関連関節炎、乾癬性関節炎、脊椎関節症、結晶性関節症、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織疾患、筋炎症候群、皮膚筋炎、封入体筋炎、未分化結合組織病、シェーグレン症候群、強皮症、および重複症候群など)をはじめとする、複数の組織および臓器にわたる多数の炎症過程において、潜在的に有益であり得ることを示唆する。
【0010】
CRM1の阻害は、ICp27、E2F4、KLF5、YAP1、ZAPのような一連の転写因子を阻害/活性化することで、遺伝子発現に影響を及ぼす。
【0011】
Crm1の阻害は、炎症性皮膚疾患(アトピー、アレルギー性皮膚炎、化学性皮膚炎、乾癬)、日焼けによる損傷(紫外線/UV損傷)、および感染症をはじめとする、多数の皮膚科学的症候群に対する潜在的な治療効果を有する。LMBを用いて最も良く研究されたCRM1の阻害は、正常なケラチノサイトに対する最小の影響を示し、UV、TNFa、またはその他の炎症性刺激に曝露したケラチノサイトに対する抗炎症活性を発揮した(Kobayashi&Shinkai 2005、Kannan&Jaiswal 2006)。Crm1の阻害はまた、ケラチノサイト(Schafer et al.2010、Kannan&Jaiswal 2006)およびその他の細胞型(Wang et al.2009)を酸化損傷から保護する、NRF2(核因子赤血球系関連因子2)活性を上方制御する。LMBは、HPV16などの発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)株に感染したケラチノサイトにアポトーシスを誘導するが、未感染ケラチノサイトでは誘導しない(Jolly et al.2009)。
【0012】
Crm1はまた、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化をはじめとする、神経変性疾患に有用であってもよい、重要な神経保護タンパク質の輸送も媒介する。例えば、(1)NRF2(Wang 2009)、FOXA2(Kittappa et al.2007)などの重要な神経防護作用制御因子の核内保持を強制して神経細胞内に留め、および/または(2)グリア細胞の核内へのIκB隔離によりNFκB転写活性を阻害することで、Crm1の阻害は、これらの障害で見られる神経細胞死を遅延または予防し得る。異常なグリア細胞増殖を、CRM1レベルまたはCR1機能の異常と結びつける証拠もある(Shen 2008)。
【0013】
主にCRM1を通じて媒介される、損なわれていない核外搬出はまた、多数のウイルスの損なわれていない成熟にも必要である。それらの生活環に、核外搬出、および/またはCRM1それ自体が関係があるとされるウイルスとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、アデノウイルス、サルレトロウイルス1型、ボルナ病ウイルス、インフルエンザ(通常株ならびにH1N1および鳥類H5N1株)、B(HBV)およびC(HCV)型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、デング(Dungee)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、およびメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)が挙げられる。(Bhuvanakantham 2010、Cohen 2010、Whittaker 1998)。損なわれていない核外搬出に依存する、追加的なウイルス感染症が近い将来発見されるものと思われる。
【0014】
核小体を通り抜けて、核と細胞質の間を往復するHIV-1 Revタンパク質は、Rev応答要素(RRE)RNAを含有する、スプライシングされていない、そして個々にスプライスされている、HIV転写物のCRM1搬出経路による搬出を容易にする。LepBまたはPKF050-638などのCRM1阻害剤を使用するRev媒介RNA輸送の阻害は、HIV-1転写過程を停止させ、新しいHIV-1ビリオン生成を阻害して、それによってHIV-1レベルを低下させ得る(Pollard 1998、Daelemans 2002)。
【0015】
デングウイルス(DENV)は、一般的な節足動物媒介ウイルス疾患であるデング熱(DF)と、そのより重篤で潜在的に致死性のデング出血熱(DHF)の病原体である。DHFは、DENVに対する過剰な炎症応答の結果のようである。NS5は、DENVの最大かつ最も良く保存されたタンパク質である。CRM1は、核から、NS5の機能の大部分がそこで媒介される細胞質への、NS5輸送を調節する。CRM1が媒介するNS5の搬出阻害は、ウイルス生成動態の変化をもたらし、炎症性ケモカインインターロイキン-8(IL-8)の誘導を低下させ、DENV、そしてC型肝炎ウイルスをはじめとする、その他の医学的に重要なフラビウイルスによって引き起こされる疾患の治療に、新しい手段を提示する(Rawlinson 2009)。
【0016】
核外に出るためにCRM1を使用する、ウイルスにコードされたその他のRNA結合タンパク質としては、HSV1型テグメントタンパク質(VP13/14、またはhUL47)、ヒトCMVタンパク質pp65、SARSコロナウイルスORF 3bタンパク質、およびRSVマトリックス(M)タンパク質が挙げられる(Williams 2008、Sanchez 2007、Freundt 2009、Ghildyal 2009)。
【0017】
興味深いことに、これらのウイルスの多くは、慢性HBVまたはHCV感染症に起因する肝細胞がん(HCC)、HPVに起因する子宮頸がん、およびMCVと関連付けられているメルケル細胞がんをはじめとする、特定タイプのヒトのがんと関連付けられている。したがってCRM1阻害剤は、ウイルス伝染過程、ならびにこれらのウイルスに起因する悪性形質転換過程の双方に対して、有益な効果を有し得る。
【0018】
CRM1は核局在化を制御し、ひいてはヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、およびヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)をはじめとする酵素を代謝する、複数のDNAの活性を制御する。不可逆的CRM1阻害剤による心筋細胞肥大の抑制が実証されており、肥大性遺伝的プログラムを抑制することが知られている酵素である、HDAC5の核内保持(および活性化)と関連があると考えられる(Monovich et al.2009)。したがってCRM1阻害は、特定形態のうっ血性心不全および肥大性心筋症をはじめとする肥大性症候群において、有益な効果を有してもよい。
【0019】
CRM1はまた、その他の障害とも関連付けられている。網膜神経節細胞の変性および視力喪失によって特徴付けられる遺伝性疾患であるレーバー病は、CRM1スイッチの不活動と関連付けられている(Gupta N 2008)。神経変性障害を核輸送異常と結びつける証拠もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【文献】Mutka S,Yang W,Dong S,et al.2009.Identification of nuclear export inhibitors with potent anticancer activity in vivo.Cancer Res.69:510-7.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記を鑑みて、核輸送を調節する化合物の発見が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、核輸送調節因子として有用な化合物およびその薬学的に許容可能な塩と、本発明の化合物を含んでなる薬学的に許容可能な組成物またはその薬学的に許容可能な塩と、前記組成物、塩および組成物を様々な障害の治療において使用する方法とに関する。
【0023】
発明の化合物は、一般式I:
【化1】
を有し、式中、各変数は、本明細書に定義され記載されるとおりである。
【0024】
本発明の化合物およびその薬学的に許容可能な塩および組成物は、不適当な核輸送によって引き起こされる、異常な細胞応答と関連する多様な疾患、障害または病状の治療に有用である。したがって、本発明の一実施形態は、不適切な核輸送によって引き起こされる、異常な細胞応答と関連する多様な疾患、障害または病状を治療するための本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用である。本発明の別の実施形態は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、または組成物の治療有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含んでなる、それを必要とする対象において、CRM1活性と関連する多様な疾患、障害または病状を治療する方法である。このような疾患、障害、または病状としては、本明細書で記載されるものが挙げられる。
【0025】
本発明の化合物およびその薬学的に許容可能な塩は、不適切な核輸送によって引き起こされる、異常な細胞応答と関連する多様な疾患、障害または病状を治療するための薬剤の製造においてもまた有用である。このような疾患、障害、または病状としては、本明細書で記載されるものが挙げられる。
【0026】
本発明によって提供される化合物はまた、生物学的および病理学的現象における核輸送調節の研究;例えば、キナーゼによって媒介される細胞内情報伝達経路の研究;および新しい核輸送調節因子の比較評価のためにも有用である。
【0027】
前述の事項は、以下の本発明の例証的実施形態のより具体的な説明から、明らかになるであろう。
【0028】
即ち、本発明の要旨は、
[1]構造式I:
【化A-1】
(式中、
Xが、-C(H)-または-N-であり;
各R
1が、ハロ;ハロアルキル;-(CH
2)
1~4R°;-(CH
2)
0~4OR°;-O-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4CH(OR°)
2;-(CH
2)
0~4SR°;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-アリール;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロアリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-アリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロアリール;-NO
2;-CN;-N
3;-(CH
2)
0~4N(R°)
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(S)R°;-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)R°;-(CH
2)
0~4OC(O)(CH
2)
0~4SR°、-(CH
2)
0~4SC(S)SR°;-(CH
2)
0~4SC(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(O)N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(O)C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)CH
2C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(NOR°)R°;-(CH
2)
0~4SSR°;-(CH
2)
0~4S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2OR°;-(CH
2)
0~4OS(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4S(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(NH)NR°
2;-(CH
2)
0~4P(O)
2R°;-(CH
2)
0~4P(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)(OR°)
2;-(CH
2)
0~4ON(R°)
2;および-(CH
2)
0~4C(O)O-N(R°)
2から独立して選択され;
式中、
各R°が、独立して、水素、C
1~6脂肪族、-CH
2-カルボシクリル、-CH
2-アリール、-CH
2-ヘテロシクリル、-CH
2-ヘテロアリール、-O(CH
2)
0~1-カルボシクリル、-O(CH
2)
0~1-アリール、-O(CH
2)
0~1-ヘテロシクリル、-O(CH
2)
0~1-ヘテロアリール、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、または2つの独立したR°の存在が、それらの介在原子と一緒になって、3~12員環カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;かつ
各R°およびそれらの介在原子と一緒になって2つの独立したR°の存在から形成される各環が、任意選択的におよび独立して、ハロ、CN、OH、非置換C
1~C
3アルキル、ハロ-C
1~C
3アルキル、-NH
2、-NO
2、-NH(非置換C
1~C
3アルキル)、-N(非置換C
1~C
3アルキル)
2、-O-C
1~C
3アルキル、-C(O)OH、-C(O)O-(非置換C
1~C
3アルキル)、-C(O)-(非置換C
1~C
3アルキル)、-O-(非置換C
1~C
3アルキル)、および-S-(非置換C
1~C
3アルキル)からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換され;
R
2が、任意選択的に置換されたヘテロアリールおよび任意選択的に置換されたアリールから選択され;
R
aおよびR
bの一方が水素であり、他方が-C(O)-N(R
5)(R
6)、-CN、-C(O)-O-R
3、-C(S)-O-R
3、-C(S)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(S)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、-C(S)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(S)-R
4、-C(S)-N(R
7)-N(R
7)-C(S)-R
4、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4、および-C(S)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4から選択され、
式中、
R
3が、水素、C
1~C
4アルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから選択され;
R
4が、-N(H)(C
3~C
6シクロアルキル)、-N(C
1~C
4アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)、-C
1~C
6アルキル、-(C
0~C
4アルキレン)-カルボシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-アリール、および-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され;
R
5およびR
6が、それぞれ水素、C
1~C
4アルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから独立して選択され;または
R
5およびR
6が、それらが通常付着する窒素原子と一緒になってヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;
各R
7が、独立して水素またはC
1~C
4アルキルであり;かつ
nが、0、1、2、3、4または5であり;
特に断りのない限り、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、カルボシクリル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが、任意選択的におよび独立して置換される)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、
[2]構造式IV:
【化A-2】
(式中、
R
2は、任意選択的に置換されたヘテロアリールおよび任意選択的に置換されたアリールから選択される)
によって表わされる、[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、
[3]R
aおよびR
bの一方が水素であり、他方が-C(O)-O-R
3、-C(O)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、および-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4から選択される、[1]に記載の化合物、
[4]R
aおよびR
bの一方が水素であり、他方が-C(O)-OH、-C(O)-NH
2、-C(O)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、および-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4から選択される、[3]に記載の化合物、
[5]R
aおよびR
bの一方が水素であり、他方が-C(O)-OH;または-C(O)-NH
2;または-C(O)-NH-NH(R
6)であり、かつR
6が、任意選択的に置換されたヘテロアリール;または-C(O)-NH-NH-C(O)-R
4または-C(O)-NH-NH-S(O)
1~2-R
4であり、かつR
4が、任意選択的に置換された-N(H)(C
3~C
6シクロアルキル)、-N(C
1~C
4アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)、-C
1~C
6アルキル、-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロシクリル、および-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロアリールから選択される、[4]に記載の化合物、
[6]R
aおよびR
bの一方が水素であり、他方が-C(O)NH
2である、[1]または[3]~[5]のいずれか一項に記載の化合物、
[7]R
aが水素である、[1]または[3]~[6]のいずれか一項に記載の化合物、
[8]R
2が、任意選択的に置換されたC
5~C
15ヘテロアリールである、[1]~[7]のいずれか一項に記載の化合物、
[9]R
2が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5~6員環ヘテロアリールである、[8]に記載の化合物、
[10]R
2が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5員環ヘテロアリールである、[9]に記載の化合物、
[11]R
2が、任意選択的に置換されたピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはオキサジアゾリルである、[10]に記載の化合物、
[12]R
2が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された6員環ヘテロアリールである、[9]に記載の化合物、
[13]R
2が、任意選択的に置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである、[12]に記載の化合物、
[14]R
2が、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、ハロ-C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C
1~C
4アルキルアミノ、C
1~C
4ジアルキルアミノ、スルフヒドリル、シアノ、C
6アリール、およびC
5~C
6ヘテロアリールから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される、[1]~[13]のいずれか一項に記載の化合物、
[15]R
2が、フルオロ、クロロ、C
1~C
4アルキル、-CF
3、アミノ、およびシアノから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される、[14]に記載の化合物、
[16]Xが-C(H)-である、[1]または[3]~[15]のいずれか一項に記載の化合物、
[17]nが、0、1または2である、[1]または[3]~[16]のいずれか一項に記載の化合物、
[18]各R
1が、-CF
3、-CN、ハロ、-OH、C
1~C
3アルキル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
12ヘテロシクロアルキル、ハロ-C
1~C
3アルキル、-NH
2、-NO
2、-NH(C
1~C
3アルキル)、-N(C
1~C
3アルキル)(C
1~C
3アルキル)、-C(O)OH、-C(O)O-(C
1~C
6アルキル)、-C(O)-(C
1~C
3アルキル)、-O-(C
1~C
3アルキル)、-O-(C
1~C
3ハロアルキル)、および-S-(C
1~C
3アルキル)から独立して選択されるか、または不在である、[1]または[3]~[17]のいずれか一項に記載の化合物、
[19]各R
1が、ハロ、-C
1~C
4アルキル、-C
1~C
4ハロアルキル、および-O-C
1~C
4アルキルから独立して選択されるか、または不在である、[1]または[3]~[18]のいずれか一項に記載の化合物、
[20]以下の構造式:
【化A-3】
(式中、
R
1aおよびR
1bが、それぞれハロ;ハロアルキル;-(CH
2)
1~4R°;-(CH
2)
0~4OR°;-O-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4CH(OR°)
2;-(CH
2)
0~4SR°;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-アリール;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロアリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-アリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロアリール;-NO
2;-CN;-N
3;-(CH
2)
0~4N(R°)
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(S)R°;-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)R°;-(CH
2)
0~4OC(O)(CH
2)
0~4SR°、-(CH
2)
0~4SC(S)SR°;-(CH
2)
0~4SC(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(O)N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(O)C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)CH
2C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(NOR°)R°;-(CH
2)
0~4SSR°;-(CH
2)
0~4S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2OR°;-(CH
2)
0~4OS(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4S(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(NH)NR°
2;-(CH
2)
0~4P(O)
2R°;-(CH
2)
0~4P(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)(OR°)
2;-(CH
2)
0~4ON(R°)
2;および-(CH
2)
0~4C(O)O-N(R°)
2から独立して選択され、
式中、
各R°が、独立して、水素、C
1~6脂肪族、-CH
2-カルボシクリル、-CH
2-アリール、-CH
2-ヘテロシクリル、-CH
2-ヘテロアリール、-O(CH
2)
0~1-カルボシクリル、-O(CH
2)
0~1-アリール、-O(CH
2)
0~1-ヘテロシクリル、-O(CH
2)
0~1-ヘテロアリール、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、または2つの独立したR°の存在が、それらの介在原子と一緒になって、3~12員環カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;かつ
各R°およびそれらの介在原子と一緒になって2つの独立したR°の存在から形成される各環が、任意選択的におよび独立して、ハロ、CN、OH、非置換C
1~C
3アルキル、ハロ-C
1~C
3アルキル、-NH
2、-NO
2、-NH(非置換C
1~C
3アルキル)、-N(非置換C
1~C
3アルキル)
2、-O-C
1~C
3アルキル、-C(O)OH、-C(O)O-(非置換C
1~C
3アルキル)、-C(O)-(非置換C
1~C
3アルキル)、-O-(非置換C
1~C
3アルキル)、および-S-(非置換C
1~C
3アルキル)からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換され;かつ
mが0または1である)
によって表わされる、[1]または[3]~[16]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、
[21]mが1である、[20]に記載の化合物、
[22]R
1aが、ハロまたは-C
1~C
4ハロアルキルである、[20]または[21]に記載の化合物、
[23]R
1aが、-C
1~C
4ハロアルキルである、[22]に記載の化合物、
[24]R
1bが、-C
1~C
4ハロアルキルまたは-O-C
1~C
4アルキルである、[20]~[23]のいずれか一項に記載の化合物、
[25]R
1bが、-C
1~C
4ハロアルキルである、[24]に記載の化合物、
[26]R
1aが-CF
3であり、かつR
1bが-CF
3である、[25]に記載の化合物、
[27]構造式III:
【化A-4】
(式中、
R
bが、-C(O)OH、-C(O)NH
2、-C(O)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、および-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4から選択され;
式中、
R
4が、-N(H)(C
3~C
6シクロアルキル)、-N(C
1~C
4アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)、-C
1~C
6アルキル、-(C
0~C
4アルキレン)-カルボシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-アリール、および-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され;
R
5およびR
6が、それぞれ水素、C
1~C
4アルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから独立して選択され;または
R
5およびR
6が、それらが通常付着する窒素原子と一緒になってヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;かつ
各R
7が、独立して水素またはC
1~C
4アルキルであり;かつ
R
2が、任意選択的に置換されたC
5~C
15ヘテロアリールであり、
特に断りのない限り、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、カルボシクリル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが、任意選択的におよび独立して置換される)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、
[28]-C(O)-OH;または-C(O)-NH
2;または-C(O)-NH-NH(R
6)であり、かつR
6が、任意選択的に置換されたヘテロアリール;または-C(O)-NH-NH-C(O)-R
4または-C(O)-NH-NH-S(O)
1~2-R
4であり、かつR
4が、任意選択的に置換された-N(H)(C
3~C
6シクロアルキル)、-N(C
1~C
4アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)、-C
1~C
6アルキル、-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロシクリル、および-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロアリールから選択される、[27]に記載の化合物、
[29]R
bが、-C(O)NH
2である、[28]に記載の化合物、
[30]R
2が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5~6員環ヘテロアリールである、[27]~[29]のいずれか一項に記載の化合物、
[31]R
2が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5員環ヘテロアリールである、[30]に記載の化合物、
[32]R
2が、任意選択的に置換されたピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはオキサジアゾリルである、[31]に記載の化合物、
[33]R
2が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された6員環ヘテロアリールである、[30]に記載の化合物、
[34]R
2が、任意選択的に置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである、[33]に記載の化合物、
[35]R
2が、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、ハロ-C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C
1~C
4アルキルアミノ、C
1~C
4ジアルキルアミノ、スルフヒドリル、シアノ、C
6アリール、およびC
5~C
6ヘテロアリールから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される、[27]~[34]のいずれか一項に記載の化合物、
[36]R
2が、フルオロ、クロロ、C
1~C
4アルキル、-CF
3、アミノ、およびシアノから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される、[35]に記載の化合物、
[37]環外二重結合がトランス配置にある、[1]~[36]のいずれか一項に記載の化合物、
[38]環外二重結合がシス配置にある、[1]~[36]のいずれか一項に記載の化合物、
[39]以下の構造式:
【化A-5】
【化A-6】
【化A-7】
のいずれか1つによって表される化合物または前記化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩、
[40]
【化A-8】
【化A-9】
【化A-10】
から選択され、環外二重結合がトランス配置にある、[39]に記載の化合物または前記化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩、
[41]
【化A-11】
から選択され、環外二重結合がシス配置にある、[39]に記載の化合物または前記化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩、
[42][1]~[41]のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる、薬学的に許容可能な組成物、
[43][1]~[41]のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、または[42]に記載の組成物の治療有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含んでなる、CRM1活性関連障害を治療する方法、
[44]前記障害が、増殖性疾患、がん、炎症性疾患、自己免疫障害、ウイルス感染症、眼科疾患、神経変性疾患、異常組織成長障害、食物摂取量関連障害、アレルギー、および呼吸器疾患から選択される、[43]に記載の方法、
[45]前記疾患が、がんである、[44]に記載の方法、
[46]創傷治癒を、それを必要とする対象において促進する方法であって、[1]~[41]のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、または[42]に記載の組成物の治療有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含んでなる、方法
に関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、核内輸送調節因子およびその使用が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ウエスタンブロットの画像であり、化合物124によるHT1080細胞の処置が、CRM1の用量依存的分解をもたらすことが示される。
【
図2】試験日の関数としての、実施例3に記載される関節リウマチのCAIAマウスモデルにおける全ての足についての平均臨床スコアのグラフであり、試験におけるマウスの全ての足についての平均臨床スコアに対する、ビヒクルのみおよび化合物124による処置の効果が示される。
【
図3A】時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、MDA-MB-468異種移植片を有するマウスにおける平均腫瘍体積に対する、化合物124または化合物149による処置の効果が示される。
【
図3B】時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、Z-138異種移植片を有するマウスにおける平均腫瘍体積に対する、化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)またはシクロホスファミドによる処置の効果が示される。
【
図3C】時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、Hep3B異種移植片を有するマウスにおける平均腫瘍体積に対する、化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)またはドキソルビシンによる処置の効果が示される。
【
図3D】時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、COLO205異種移植片を有するマウスにおける平均腫瘍体積に対する、化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)または5-FUによる処置の効果が示される。
【
図3E】時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、MOLT4異種移植片を有するマウスにおける平均腫瘍体積に対する、化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)またはドキソルビシンによる処置の効果が示される。
【
図4】U87MGおよびU251MG対照球状体、ならびにU87MGおよび1μMの化合物124で処置されたU251MG球状体の画像であり、2つの神経膠芽腫細胞系に対する、化合物124による処置の効果が示される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の化合物
本発明の第1の実施形態は、構造式(I):
【化2】
(式中、
Xは、-C(H)-または-N-であり;
各R
1は、ハロ;ハロアルキル;-(CH
2)
1~4R°;-(CH
2)
0~4OR°;-O-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4CH(OR°)
2;-(CH
2)
0~4SR°;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-アリール;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロアリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-アリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロアリール;-NO
2;-CN;-N
3;-(CH
2)
0~4N(R°)
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(S)R°;-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)R°;-(CH
2)
0~4OC(O)(CH
2)
0~4SR°、-(CH
2)
0~4SC(S)SR°;-(CH
2)
0~4SC(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(O)N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(O)C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)CH
2C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(NOR°)R°;-(CH
2)
0~4SSR°;-(CH
2)
0~4S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2OR°;-(CH
2)
0~4OS(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4S(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(NH)NR°
2;-(CH
2)
0~4P(O)
2R°;-(CH
2)
0~4P(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)(OR°)
2;-(CH
2)
0~4ON(R°)
2;および-(CH
2)
0~4C(O)O-N(R°)
2から独立して選択され;
式中、
各R°は、独立して、水素、C
1~6脂肪族、-CH
2-カルボシクリル、-CH
2-アリール、-CH
2-ヘテロシクリル、-CH
2-ヘテロアリール、-O(CH
2)
0~1-カルボシクリル、-O(CH
2)
0~1-アリール、-O(CH
2)
0~1-ヘテロシクリル、-O(CH
2)
0~1-ヘテロアリール、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、または2つの独立したR°の存在は、それらの介在原子と一緒になって、3~12員環カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;かつ
各R°およびそれらの介在原子と一緒になって2つの独立したR°の存在から形成される各環は、任意選択的におよび独立して、ハロ、CN、OH、非置換C
1~C
3アルキル、ハロ-C
1~C
3アルキル、-NH
2、-NO
2、-NH(非置換C
1~C
3アルキル)、-N(非置換C
1~C
3アルキル)
2、-O-C
1~C
3アルキル、-C(O)OH、-C(O)O-(非置換C
1~C
3アルキル)、-C(O)-(非置換C
1~C
3アルキル)、-O-(非置換C
1~C
3アルキル)、および-S-(非置換C
1~C
3アルキル)からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換され;
R
2は、任意選択的に置換されたヘテロアリールおよび任意選択的に置換されたアリールから選択され;
R
aおよびR
bの一方は水素であり、他方は-C(O)-N(R
5)(R
6)、-CN、-C(O)-O-R
3、-C(S)-O-R
3、-C(S)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(S)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、-C(S)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(S)-R
4、-C(S)-N(R
7)-N(R
7)-C(S)-R
4、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4、および-C(S)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4から選択され、
式中、
R
3は、水素、C
1~C
4アルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから選択され;
R
4は、-N(H)(C
3~C
6シクロアルキル)、-N(C
1~C
4アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)、-C
1~C
6アルキル、-(C
0~C
4アルキレン)-カルボシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-アリール、および-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され;
R
5およびR
6は、それぞれ水素、C
1~C
4アルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから独立して選択され;または
R
5およびR
6は、それらが通常付着する窒素原子と一緒になってヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;
各R
7は、独立して水素またはC
1~C
4アルキルであり;かつ
nは、0、1、2、3、4または5であり;
特に断りのない限り、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、カルボシクリル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、任意選択的におよび独立して置換される)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0032】
第1の実施形態の第1の態様では、RaおよびRbの一方は水素であり、他方は-C(O)-O-R3、-C(O)-N(R5)(R6)、-C(O)-N(R7)-N(R5)(R6)、-C(O)-N(R7)-N(R7)-C(O)-R4、および-C(O)-N(R7)-N(R7)-S(O)1~2-R4から選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態に記載される。
【0033】
第1の実施形態の第2の態様では、RaおよびRbの一方は水素であり、他方は-C(O)-OH、-C(O)-NH2、-C(O)-N(R7)-N(R5)(R6)、-C(O)-N(R7)-N(R7)-C(O)-R4、および-C(O)-N(R7)-N(R7)-S(O)1~2-R4から選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1の態様に記載される。
【0034】
第1の実施形態の第3の態様では、RaおよびRbの一方は水素であり、他方は-C(O)-OH;または-C(O)-NH2;または-C(O)-NH-NH(R6)であり、かつR6は、任意選択的に置換されたヘテロアリール;または-C(O)-NH-NH-C(O)-R4または-C(O)-NH-NH-S(O)1~2-R4であり、かつR4は、任意選択的に置換された-N(H)(C3~C6シクロアルキル)、-N(C1~C4アルキル)(C3~C6シクロアルキル)、-C1~C6アルキル、-(C0~C4アルキレン)-ヘテロシクリル、および-(C0~C4アルキレン)-ヘテロアリールから選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1または第2の態様に記載される。
【0035】
第1の実施形態の第4の態様では、RaおよびRbの一方は水素であり、他方は-C(O)NH2である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第3の態様に記載される。
【0036】
第1の実施形態の第5の態様では、Raは水素である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第4の態様に記載される。
【0037】
第1の実施形態の第6の態様では、R2は、任意選択的に置換されたC5~C15ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第5の態様に記載される。
【0038】
第1の実施形態の第7の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5~6員環ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第6の態様に記載される。
【0039】
第1の実施形態の第8の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5員環ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第7の態様に記載される。
【0040】
第1の実施形態の第9の態様では、R2は、任意選択的に置換されたピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはオキサジアゾリルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第8の態様に記載される。
【0041】
第1の実施形態の第10の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された6員環ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第9の態様に記載される。
【0042】
第1の実施形態の第11の態様では、R2は、任意選択的に置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第10の態様に記載される。
【0043】
第1の実施形態の第12の態様では、R2は、ハロゲン、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C1~C4アルキルアミノ、C1~C4ジアルキルアミノ、スルフヒドリルまたはシアノで任意選択的に置換される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第11の態様に記載される。
【0044】
第1の実施形態の第13の態様では、R2はハロゲン、C1~C4アルキルまたはC1~C4アルコキシで任意選択的に置換される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第12の態様に記載される。
【0045】
第1の実施形態の第14の態様では、Xは-C(H)-である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第13の態様に記載される。
【0046】
第1の実施形態の第15の態様では、nは、0、1または2である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第14の態様に記載される。
【0047】
第1の実施形態の第16の態様では、各R1は、-CF3、-CN、ハロ、-OH、C1~C3アルキル、C3~C6シクロアルキル、C3~C12ヘテロシクロアルキル、ハロ-C1~C3アルキル、-NH2、-NO2、-NH(C1~C3アルキル)、-N(C1~C3アルキル)(C1~C3アルキル)、-C(O)OH、-C(O)O-(C1~C6アルキル)、-C(O)-(C1~C3アルキル)、-O-(C1~C3アルキル)、-O-(C1~C3ハロアルキル)、および-S-(C1~C3アルキル)から独立して選択されるか、または不在である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第15の態様に記載される。
【0048】
第1の実施形態の第17の態様では、各R1は、ハロ、-C1~C4アルキル、-C1~C4ハロアルキル、および-O-C1~C4アルキルから独立して選択されるか、または不在である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第16の態様に記載される。
【0049】
第1の実施形態の第18の態様では、RaおよびRbの一方は水素であり、他方は-C(O)-OH;または-C(O)-NH2;または-C(O)-NH-NH(R6)であり、かつR6は、任意選択的に置換されたC5~C6ヘテロアリール;または-C(O)-NH-NH-C(O)-R4または-C(O)-NH-NH-S(O)1~2-R4であり、かつR4は、任意選択的に置換された-N(H)(C3~C6シクロアルキル)、-N(C1~C4アルキル)(C3~C6シクロアルキル)、-C1~C6アルキル、-(C0~C4アルキレン)-(C3~C7)ヘテロシクリル、および-(C0~C4アルキレン)-(C5~C6)ヘテロアリールから選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第17の態様に記載される。
【0050】
第1の実施形態の第19の態様では、各R7は水素である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第18の態様に記載される。
【0051】
第1の実施形態の第20の態様では、R5は、水素およびC1~C4アルキルから選択され;かつR6は、C1~C4アルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第19の態様に記載される。
【0052】
第1の実施形態の第21の態様では、R5およびR6は、それらが通常付着する窒素原子と一緒になってヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成する。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第20の態様に記載される。
【0053】
第1の実施形態の第22の態様では、R3は、任意選択的に置換されたC1~C4アルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第21の態様に記載される。
【0054】
第1の実施形態の第23の態様では、R4は、-N(R8)(C3~C6シクロアルキル)、-C3~C6アルキル、-(C0~C1アルキレン)-ヘテロシクリル、および-(C0~C1アルキレン)-ヘテロアリールから選択され、式中、R8は、水素または-C1~C4アルキルであり;R4の任意のアルキルまたはアルキレン部分が、任意選択的におよび独立して、オキソおよび-N(R9)2からなる群から選択される、1つまたは複数の置換基で置換され、式中、各R9は、水素およびC1~C4アルキルから独立して選択され;R4の任意のヘテロシクリル部分は、環内に少なくとも1つの窒素原子を含んでなり、C1~C4アルキルおよびオキソからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され;R4の任意のヘテロアリール部分は、環内に少なくとも1つの窒素原子を含んでなり、1つまたは複数のC1~C4アルキルで任意選択的に置換される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~第22の態様に記載される。
【0055】
第1の実施形態の第24の態様では、R2は、ハロゲン、C1~C4アルキル、ハロ-C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C1~C4アルキルアミノ、C1~C4ジアルキルアミノ、スルフヒドリル、シアノ、C6アリール、およびC5~C6ヘテロアリールから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される。変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~23の態様に記載される。
【0056】
第1の実施形態の第25の態様では、R2は、フルオロ、クロロ、C1~C4アルキル、-CF3、アミノ、およびシアノから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される。変数の値は、第1の実施形態、またはその第1~24の態様に記載される。
【0057】
第2の本発明の実施形態は、構造式II:
【化3】
(式中、
R
1aおよびR
1bは、それぞれハロ;ハロアルキル;-(CH
2)
1~4R°;-(CH
2)
0~4OR°;-O-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4CH(OR°)
2;-(CH
2)
0~4SR°;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-アリール;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-(CH
2)
0~4-ヘテロアリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-カルボシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-アリール;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロシクリル;R°で置換されてもよい-CH=CH-ヘテロアリール;-NO
2;-CN;-N
3;-(CH
2)
0~4N(R°)
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(S)R°;-(CH
2)
0~4C(O)OR°;-(CH
2)
0~4C(O)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)R°;-(CH
2)
0~4OC(O)(CH
2)
0~4SR°、-(CH
2)
0~4SC(S)SR°;-(CH
2)
0~4SC(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(S)SR°;-(CH
2)
0~4OC(O)NR°
2;-(CH
2)
0~4C(O)N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(O)C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(O)CH
2C(O)R°;-(CH
2)
0~4C(NOR°)R°;-(CH
2)
0~4SSR°;-(CH
2)
0~4S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2OR°;-(CH
2)
0~4OS(O)
2R°;-(CH
2)
0~4S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4S(O)R°;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2NR°
2;-(CH
2)
0~4N(R°)S(O)
2R°;-(CH
2)
0~4N(OR°)R°;-(CH
2)
0~4C(NH)NR°
2;-(CH
2)
0~4P(O)
2R°;-(CH
2)
0~4P(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)R°
2;-(CH
2)
0~4OP(O)(OR°)
2;-(CH
2)
0~4ON(R°)
2;および-(CH
2)
0~4C(O)O-N(R°)
2から独立して選択され、
式中、
各R°は、独立して、水素、C
1~6脂肪族、-CH
2-カルボシクリル、-CH
2-アリール、-CH
2-ヘテロシクリル、-CH
2-ヘテロアリール、-O(CH
2)
0~1-カルボシクリル、-O(CH
2)
0~1-アリール、-O(CH
2)
0~1-ヘテロシクリル、-O(CH
2)
0~1-ヘテロアリール、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、または2つの独立したR°の存在は、それらの介在原子と一緒になって、3~12員環カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;かつ
各R°およびそれらの介在原子と一緒になって2つの独立したR°の存在から形成される各環は、任意選択的におよび独立して、ハロ、CN、OH、非置換C
1~C
3アルキル、ハロ-C
1~C
3アルキル、-NH
2、-NO
2、-NH(非置換C
1~C
3アルキル)、-N(非置換C
1~C
3アルキル)
2、-O-C
1~C
3アルキル、-C(O)OH、-C(O)O-(非置換C
1~C
3アルキル)、-C(O)-(非置換C
1~C
3アルキル)、-O-(非置換C
1~C
3アルキル)、および-S-(非置換C
1~C
3アルキル)からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換され;かつ
mは0または1である)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様に記載される。
【0058】
第2の実施形態の第1の態様では、mは1である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第2の実施形態に記載される。
【0059】
第2の実施形態の第2の態様では、R1aは、ハロまたは-C1~C4ハロアルキルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第2の実施形態、またはその第1の態様に記載される。
【0060】
第2の実施形態の第3の態様では、R1aは、-C1~C4ハロアルキルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第2の実施形態、またはその第1もしくは第2の態様に記載される。
【0061】
第2の実施形態の第4の態様では、R1bは、-C1~C4ハロアルキルまたは-O-C1~C4アルキルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第2の実施形態、またはその第1~第3の態様に記載される。
【0062】
第2の実施形態の第5の態様では、R1bは、-C1~C4ハロアルキルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第2の実施形態、またはその第1~第4の態様に記載される。
【0063】
第2の実施形態の第6の態様では、R1aは-CF3であり、かつR1bは-CF3である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第2の実施形態、またはその第1~第5の態様に記載される。
【0064】
本発明の第3の実施形態は、構造式III:
【化4】
(式中、
R
bは、-C(O)OH、-C(O)NH
2、-C(O)-N(R
7)-N(R
5)(R
6)、-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-C(O)-R
4、および-C(O)-N(R
7)-N(R
7)-S(O)
1~2-R
4から選択され;
式中、
R
4は、-N(H)(C
3~C
6シクロアルキル)、-N(C
1~C
4アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)、-C
1~C
6アルキル、-(C
0~C
4アルキレン)-カルボシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロシクリル、-(C
0~C
4アルキレン)-アリール、および-(C
0~C
4アルキレン)-ヘテロアリールから選択され;
R
5およびR
6は、それぞれ水素、C
1~C
4アルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールから独立して選択され;または
R
5およびR
6は、それらが通常付着する窒素原子と一緒になってヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;かつ
各R
7は、独立して水素またはC
1~C
4アルキルであり;かつ
R
2は、任意選択的に置換されたC
5~C
15ヘテロアリールであり、
特に断りのない限り、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、カルボシクリル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、任意選択的におよび独立して置換される)
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩である。構造式IIIの変数の代案の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様に記載される。
【0065】
第3の実施形態の第1の態様では、Rbは、-C(O)OH;または-C(O)NH2;または-C(O)-NH-NH(R6)であり、かつR6は、任意選択的に置換されたヘテロアリール;または-C(O)-NH-NH-C(O)-R4または-C(O)-NH-NH-S(O)1~2-R4であり、かつR4は、任意選択的に置換された-N(H)(C3~C6シクロアルキル)、-N(C1~C4アルキル)(C3~C6シクロアルキル)、-C1~C6アルキル、-(C0~C4アルキレン)-ヘテロシクリル、および-(C0~C4アルキレン)-ヘテロアリールから選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態に記載される。
【0066】
第3の実施形態の第2の態様では、Rbは-C(O)NH2である。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1の態様に記載される。
【0067】
第3の実施形態の第3の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5~6員環ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1もしくは第2の態様に記載される。
【0068】
第3の実施形態の第4の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5員環ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第3の態様に記載される。
【0069】
第3の実施形態の第5の態様では、R2は、任意選択的に置換されたピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはオキサジアゾリルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第4の態様に記載される。
【0070】
第3の実施形態の第6の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された6員環ヘテロアリールである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第5の態様に記載される。
【0071】
第3の実施形態の第7の態様では、R2は、任意選択的に置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第6の態様に記載される。
【0072】
第3の実施形態の第8の態様では、R2は、ハロゲン、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C1~C4アルキルアミノ、C1~C4ジアルキルアミノ、スルフヒドリルまたはシアノで任意選択的に置換される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第7の態様に記載される。
【0073】
第3の実施形態の第9の態様では、R2は、ハロゲン、C1~C4アルキルまたはC1~C4アルコキシで任意選択的に置換される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第8の態様に記載される。
【0074】
第3の実施形態の第10の態様では、Rbは、-C(O)OH;または-C(O)NH2;または-C(O)-NH-NH(R6)であり、かつR6は、任意選択的に置換されたC5~C6ヘテロアリール;または-C(O)-NH-NH-C(O)-R4または-C(O)-NH-NH-S(O)1~2-R4であり、かつR4は、任意選択的に置換された-N(H)(C3~C6シクロアルキル)、-N(C1~C4アルキル)(C3~C6シクロアルキル)、-C1~C6アルキル、-(C0~C4アルキレン)-(C3~C7)ヘテロシクリル、および-(C0~C4アルキレン)-(C5~C6)ヘテロアリールから選択される。残りの変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第9の態様に記載される。
【0075】
第3の実施形態の第11の態様では、R2は、ハロゲン、C1~C4アルキル、ハロ-C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C1~C4アルキルアミノ、C1~C4ジアルキルアミノ、スルフヒドリル、シアノ、C6アリール、およびC5~C6ヘテロアリールから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される。変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第10の態様に記載される。
【0076】
第3の実施形態の第12の態様では、R2は、フルオロ、クロロ、C1~C4アルキル、-CF3、アミノ、およびシアノから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される。変数の値は、第1の実施形態、またはその任意の態様、または第3の実施形態、またはその第1~第11の態様に記載される。
【0077】
本発明の第4の実施形態は、構造式IV:
【化5】
によって表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩であり、R
2は、任意選択的に置換されたヘテロアリールおよび任意選択的に置換されたアリールから選択される。
【0078】
第4の実施形態の第1の態様では、R2は、任意選択的に置換されたC5~C15ヘテロアリールである。
【0079】
第4の実施形態の第2の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5~6員環ヘテロアリールである。
【0080】
第4の実施形態の第3の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5員環ヘテロアリールである。
【0081】
第4の実施形態の第4の態様では、R2は、任意選択的に置換されたピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはオキサジアゾリルである。
【0082】
第4の実施形態の第5の態様では、R2は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される、1、2または3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された6員環ヘテロアリールである。
【0083】
第4の実施形態の第6の態様では、R2は、任意選択的に置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである。
【0084】
第4の実施形態の第7の態様では、R2は、ハロゲン、C1~C4アルキル、ハロ-C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4チオアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、C1~C4アルキルアミノ、C1~C4ジアルキルアミノ、スルフヒドリル、シアノ、C6アリール、およびC5~C6ヘテロアリールから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される。R2の値および代案の値は、第1~第3の実施形態、またはその任意の態様、または第4の実施形態、またはその第1~第6の態様に記載される。
【0085】
第4の実施形態の第8の態様では、R2は、フルオロ、クロロ、C1~C4アルキル、-CF3、アミノ、およびシアノから独立して選択される、1、2または3つの置換基で任意選択的に置換される。R2の値および代案の値は、第1~第3の実施形態、またはその任意の態様、または第4の実施形態、またはその第1~第7の態様に記載される。
【0086】
代表的化合物は、表Aおよび表1に記載される。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
化合物および定義
本発明の化合物は、上で概説され、本明細書で開示されるクラス、サブクラス、およびクラスによってさらに例証されるものを含む。本明細書の用法では、特に断りのない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的では、化学元素はPeriodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,第75版に従って同定される。さらに有機化学の一般的原理は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、“Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および“March’s Advanced Organic Chemistry”,第5版,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley&Sons,New York:2001に記載される。
【0098】
本明細書で特に断りのない限り、本明細書で使用される命名法は、その例示的な化学構造名および化学構造命名法について、参照によって本明細書に援用する、Nomenclature of Organic Chemistry,Sections A,B,C,D,E,F,and H,Pergamon Press,Oxford,1979に述べられる例と規則に一般に従う。任意選択的に、化合物名は、化学物質命名プログラムACD/ChemSketch,バージョン5.09/September 2001,Advanced Chemistry Development,Inc.,Toronto,Canadaを使用して、生成してもよい。
【0099】
本発明の化合物は、(例えばE.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereo-chemistry of Carbon Compounds,John Wiley&Sons,New York,1994,pages 1119-1190に記載されるように)不斉中心、キラル軸、およびキラル面を有して、ラセミ体、ラセミ混合物として、および個々のジアステレオマーまたは鏡像異性体として存在してもよく、光学異性体をはじめとする全ての可能な異性体およびそれらの混合物は、本発明に包含される。
【0100】
「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書の用法では、直鎖(すなわち非分枝)、分枝、または環式(融合、架橋、およびスピロ融合多環式を含む)一価の炭化水素遊離基を意味する。脂肪族基は、飽和であり得、または1つまたは複数の不飽和単位を含有し得るが、芳香族ではない。特に断りのない限り、脂肪族基は1~12個の炭素原子を含有する。しかしいくつかの実施形態では、脂肪族基は1~6または2~8個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、脂肪族基は1~4個の炭素原子を含有し、なおも別の実施形態では、脂肪族基は1~3個の炭素原子を含有する。適切な脂肪族基としては、直鎖または分枝の、アルキル、アルケニル、およびアルキニル基と、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらのハイブリッドとが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0101】
「アルキル」という用語は、本明細書の用法では、特に断りのない限り、典型的にC1~C12、好ましくはC1~C6である、直鎖または分枝飽和一価炭化水素遊離基を意味する。したがって「C1~C6アルキル」は、1~6個(例えば1、2、3、4、5または6個)の炭素原子を有する、直鎖または分枝飽和一価炭化水素遊離基を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt-ブチルが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0102】
「アルコキシ」という用語は、本明細書の用法では、「アルキル-O-」基を意味し、アルキルは上で定義される。アルコキシの例としては、メトキシおよびエトキシが挙げられる。
【0103】
本明細書の用法では、「アルケニル」という用語は、2~12個の炭素原子を有して、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、飽和直鎖または分枝非環状炭化水素を意味する。アルケニル基は、任意選択的に、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい。「アルケニル」という用語は、「シス」および「トランス」、または代案としては「E」および「Z」配置にある炭素-炭素二重結合を有する、遊離基を包含する。アルケニル基が、2つ以上の炭素-炭素二重結合を含む場合、各炭素-炭素二重結合は、独立して、シスまたはトランス二重結合、またはその混合物である。
【0104】
本明細書の用法では、「アルキニル」という用語は、2~12個の炭素原子を有して、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、飽和直鎖または分枝非環状炭化水素を意味する。アルキニル基は、任意選択的に、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい。
【0105】
本明細書の用法では、「アルキレン」という用語は、2~12個の炭素原子と化合物の残りの部分に対する2つの付着点とを有する、アルキル基を指す。アルキレン基の非限定的例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、n-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、イソプロピレン(-CH2CH(CH3)-)などが挙げられる。アルキレン基は、任意選択的に、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい。
【0106】
「アミノ」という用語は、本明細書の用法では、式-N(R)2を有する化学部分を指し、各Rは、水素およびC1~C4アルキルから独立して選択される。
【0107】
「アリール」という用語は、単独でまたは組み合わせで、本明細書の用法では、ペンダント様式で共に付着してもよい、または融合してもよい、1つまたは複数の環を含有する炭素環式芳香族系を意味する。特定の実施形態では、アリールは、1、2または3環である。一態様では、アリールは6~12個の環原子を有する。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、およびアセナフチルなどの芳香族遊離基を包含する。アリール基は、本明細書で定義され記載されるように、任意選択的に置換され得る。
【0108】
「脂環式」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」、および「炭素環式」という用語は、単独でまたはより大きな部分の一部として使用されて、本明細書に記載される、3~12員の飽和または部分不飽和環式脂肪族単環系または二環系を指し、脂肪族環系は、本明細書に定義され記載されるように、任意選択的に置換される。脂環式集団としては、限定なしに、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなどのシクロアルキルと、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、およびシクロオクタジエニルなどのシクロアルケニルとが挙げられる。「脂環式」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」、および「炭素環式」という用語はまた、デカヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、デカリン、またはビシクロ[2.2.2]オクタンなどの1つまたは複数の芳香族または非芳香族環に融合した脂肪族環も含む。
【0109】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書の用法では、飽和環状炭化水素、すなわち全ての環原子が炭素である化合物を意味する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、-OH、-SH、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、C1~C12アルキル、C2~C12アルケニルまたはC2~C12アルキニル基、C1~C12アルコキシ、C1~C12ハロアルキル、およびC1~C12ハロアルコキシから選択される、1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得る。
【0110】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、明細書の用法では、ハロゲンを意味し、例えば非限定的に、放射性および非放射性形態の双方のフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどが挙げられる。好ましい実施形態では、ハロは、フルオロ、クロロ、およびブロモからなる群から選択される。
【0111】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書の用法では、1つまたは複数のF、Cl、Br、またはIで置換されたアルキルを含み、アルキルは上で定義される。
【0112】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書の用法では、1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、O、S、およびNから独立して選択される、1つまたは複数のヘテロ原子)を含有する芳香族基を指す。ヘテロアリール基は、例えば1つまたは複数の炭素環芳香族基またはその他の単環ヘテロアリール基に融合した単環ヘテロアリール環などの単環または多環であり得る。本発明のヘテロアリール基はまた、1つまたは複数のオキソ部分で置換される環系も含み得る。一態様では、ヘテロアリールは、5~15個の環原子、好ましくは、5または6個の環原子を有する。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル,テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルが挙げられるが、これに限定されるものではない。前述のヘテロアリール基は、(可能な場合)C付着またはN付着であってもよい。例えばピロールから誘導される基は、ピロール-1-イル(N付着)またはピロール-3-イル(C付着)であってもよい。
【0113】
「ヘテロシクリル」は、1、2、3、4または5個のヘテロ原子(例えば、O、S、およびNから独立して選択される、1つまたは複数のヘテロ原子)を含有する、3~12員飽和環または不飽和脂肪族環を意味する。1つのヘテロ原子がSである場合、それは任意選択的に、一または二酸素化され得る(すなわち-S(O)-または-S(O)2-)。ヘテロシクリルは単環または多環であり得、その場合、環はペンダント様式で共に付着し得て、または融合またはスピロであり得る。一態様では、ヘテロシクリルは、3~7員環系である。代表的ヘテロシクリルとしては、例えば、非限定的に、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0114】
「ヒドロキシル」は、-OHを意味する。
【0115】
「オキソ」は、=Oを意味する。
【0116】
「チオアルコキシ」は、-S-アルキルを意味し、アルキルは上で定義される。
【0117】
本発明の化合物上の置換基および置換パターンは、化学的に安定しており、当該技術分野で公知の技術、ならびに下記の方法によって容易に合成され得る化合物を与えるように、当業者によって選択され得るものと理解される。一般に「置換される」という用語は、「任意選択的に」という用語がそれに先行するかどうかに関わりなく、指定された部分の1つまたは複数の水素が、適切な置換基で置換されることを意味する。特に断りのない限り、「任意選択的に置換される基」は、基の置換可能な各位置で適切な置換基を有し得て、あらゆる所与の構造内の2つ以上の位置が、特定の群から選択される2つ以上の置換基で置換されてもよい場合、置換基は各位置で同一であるか、または異なり得る。代案としては、「任意選択的に置換される基」は非置換であり得る。
【0118】
本発明によって想定される置換基の組み合わせは、安定したまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものであることが好ましい。置換基それ自体が、2つ以上の基によって置換される場合、安定した構造が得られさえすれば、これらの複数の基は、同一炭素原子または異なる炭素原子上にあり得るものと理解される。「安定した」という用語は、本明細書の用法では、それらの生成、検出、および特定の実施形態では、それらの回収、精製、および本明細書で開示される目的の1つまたは複数のための使用を可能にする条件に置かれた際に、実質的に変性しない化合物を指す。
【0119】
「任意選択的に置換される基」の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;-(CH2)0~4R°;-(CH2)0~4OR°;-O(CH2)0~4R°、-O-(CH2)0~4C(O)OR°;-(CH2)0~4CH(OR°)2;-(CH2)0~4SR°;R°で置換されてもよい-(CH2)0~4Ph;R°で置換されてもよい-(CH2)0~4O(CH2)0~1Ph;R°で置換されてもよい-CH=CHPh;R°で置換されてもよい-(CH2)0~4O(CH2)0~1-ピリジル;-NO2;-CN;-N3;-(CH2)0~4N(R°)2;-(CH2)0~4N(R°)C(O)R°;-N(R°)C(S)R°;-(CH2)0~4N(R°)C(O)NR°2;-N(R°)C(S)NR°2;-(CH2)0~4N(R°)C(O)OR°;-N(R°)N(R°)C(O)R°;-N(R°)N(R°)C(O)NR°2;-N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH2)0~4C(O)R°;-C(S)R°;-(CH2)0~4C(O)OR°;-(CH2)0~4C(O)SR°;-(CH2)0~4C(O)OSiR°3;-(CH2)0~4OC(O)R°;-OC(O)(CH2)0~4SR-,SC(S)SR°;-(CH2)0~4SC(O)R°;-(CH2)0~4C(O)NR°2;-C(S)NR°2;-C(S)SR°;-SC(S)SR°、-(CH2)0~4OC(O)NR°2;-C(O)N(OR°)R°;-C(O)C(O)R°;-C(O)CH2C(O)R°;-C(NOR°)R°;-(CH2)0~4SSR°;-(CH2)0~4S(O)2R°;-(CH2)0~4S(O)2OR°;-(CH2)0~4OS(O)2R°;-S(O)2NR°2;-(CH2)0~4S(O)R°;-N(R°)S(O)2NR°2;-N(R°)S(O)2R°;-N(OR°)R°;-C(NH)NR°2;-P(O)2R°;-P(O)R°2;-OP(O)R°2;-OP(O)(OR°)2;SiR°3;-(C1~4直鎖または分枝アルキレン)O-N(R°)2;または-(C1~4直鎖または分枝アルキレン)C(O)O-N(R°)2であり、式中、各R°は、以下に定義するように置換されてもよく、独立して、水素、C1~6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、-CH2-(5~6員ヘテロアリール環)、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和、またはアリール環であり、または上の定義に妨げられることなく、2つの独立したR°の存在は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分不飽和、またはアリール単環または二環を形成し、それは以下に定義するように置換されてもよい。
【0120】
R°(またはそれらの介在原子と共に2つの独立したR°の存在を一緒することで形成される環)上の適切な一価の置換基は、独立して、ハロゲン、-(CH2)0~2R●、-(haloR●)、-(CH2)0~2OH、-(CH2)0~2OR●、-(CH2)0~2CH(OR●)2;-O(ハロR●)、-CN、-N3、-(CH2)0~2C(O)R●、-(CH2)0~2C(O)OH、-(CH2)0~2C(O)OR●、-(CH2)0~2SR●、-(CH2)0~2SH、-(CH2)0~2NH2、-(CH2)0~2NHR●、-(CH2)0~2NR●
2、-NO2、-SiR●
3、-OSiR●
3、-C(O)SR●、-(C1~4直鎖または分枝アルキレン)C(O)OR●、または-SSR●であり、式中、各R●は非置換であり、または「ハロ」が先行する場合は1つまたは複数のハロゲンのみで置換され、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和、またはアリール環から独立して選択される。R°の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基としては、=Oおよび=Sが挙げられる。
【0121】
「任意選択的に置換される基」の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基としては、=O、=S、=NNR*
2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R*
2))2~3O-、および-S(C(R*
2))2~3S-が挙げられ、式中、各独立したR*の存在は、水素、以下に定義するように置換されてもよいC1~6脂肪族、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択される。「任意選択的に置換される」基の隣接する置換可能な炭素に結合する適切な二価の置換基としては、-O(CR*
2)2~3O-が挙げられ、式中、各独立したR*の存在は、水素、以下に定義するように置換されてもよいC1~6脂肪族、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択される。
【0122】
R*の脂肪族基上の適切な置換基としては、ハロゲン、-R●、-(haloR●)、-OH、-OR●、-O(haloR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2、および-NO2が挙げられ、式中、各R●は、非置換であり、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されて、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和、またはアリール環である。
【0123】
「任意選択的に置換される基」の置換可能な窒素上の適切な置換基としては、-R†、-NR†
2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR†
2、-C(S)NR†
2、-C(NH)NR†
2、および-N(R†)S(O)2R†が挙げられ、;式中、各R*は、独立して、水素、以下に定義するように置換されてもよいC1~6脂肪族、非置換-OPh、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環から選択され、または上の定義に妨げられることなく、2つの独立したR†の存在は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の3~12員の飽和、部分不飽和、またはアリール単環または二環を形成する。
【0124】
R†の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、ハロゲン、-R●、-(haloR●)、-OH、-OR●、-O(haloR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2、または-NO2であり、式中、各R●は、非置換であり、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されて、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分不飽和、またはアリール環である。
【0125】
ヘテロアリール上の好ましい置換基は、-OH、-SH、ニトロ、ハロゲン、アミノ、シアノ、C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、C1~C12アルコキシ、C1~C12ハロアルキル、C1~C12ハロアルコキシ、およびC1~C12チオアルコキシからなる群から選択され得る。アルキル、アルキレン、およびヘテロシクリル上の好ましい置換基としては、ヘテロアリールおよびオキソ上の好ましい置換基が挙げられる。一実施形態では、アルキル、アルキレン、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール上の置換基は、式-N(R)2を有するアミノ基であり、各Rは、水素およびC1~C4アルキルから独立して選択される。
【0126】
本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答などなしで、ヒトおよび下等動物組織と接触させる使用に適し、利点/リスクの比率が妥当に釣り合った塩を指す。薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野で周知である。例えばS.M.Berge et al.は、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19で、薬学的に許容可能な塩について詳細に記載する。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩としては、適切な無機および有機酸および塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に許容可能な無毒の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸によって、または酢酸、トリフルオロ酢酸(2,2,2-トリフルオロ酢酸)、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸によって、またはイオン交換などの当該技術分野で使用されるその他の方法を使用して、形成されるアミノ基の塩である。その他の薬学的に許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸(2,2,2-トリフルオロ酢酸)、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0127】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN+(C1~4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。薬学的に許容可能なさらなる塩としては、適切な場合、無毒のアンモニウムと、四級アンモニウムと、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸、硝酸塩、低級アルキルスルホネート、およびアリールスルホネートなどの対イオンを使用して形成されるアミンカチオンとが挙げられる。
【0128】
特に断りのない限り、本明細書で描写される構造は、例えば各不斉中心のRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体、そしてZおよびE立体構造異性体などの構造の全ての異性体(例えば鏡像異性、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体構造的))形態もまた含むことが意図される。したがって本化合物の単一立体異性体、ならびに鏡像異性、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体構造)混合物は、本発明の範囲内である。特に断りのない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。
【0129】
(例えば二重結合配置を指定する化学名またはその他の指示によって)特に指示がない限り、本明細書で使用される各構造式は、シス(またはZ)、トランス(またはE)、またはシスおよびトランス混合配置がある炭素-炭素二重結合(例えば、環外二重結合)を有する化合物を含むことが意図される。例えば、式I:
【化6】
は、
【化7】
および
【化8】
の双方、およびそれらの混合物を示すことが意図される。同様に、構造式、
【化9】
および
【化10】
は、
【化11】
および
【化12】
の双方、およびそれらの混合物を示すことが意図される。
【0130】
本明細書の用法では、「環外二重結合」は、以下の構造中で矢印で示される、式Iの化合物中の炭素-炭素二重結合を指す。
【化13】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、環外二重結合は、シス配置にある。その他の実施形態では、環外二重結合は、トランス配置にある。
【0131】
化合物7、104、124、および153中の環外二重結合の配置は、X線結晶構造解析によって確立された。実施例は、化合物7、104、124、および153と関連する化学名中に環外二重結合の配置を示すことで、化合物7、104、125、および153中の環外二重結合が、シスまたはトランス配置で存在するかどうかを反映する。
【0132】
化合物7および化合物104は、実施例(例えば、化合物115、123、124など)に記載されるその他の化合物の合成において、中間体の役割を果たす。任意の特定の理論に拘束されることは望まないが、化合物7または化合物104から、例えば引き続く化合物(例えば115、123、および124などの化合物)への変換に使用される反応は、立体特異的様式で進行すると考えられる(そしてX線結晶構造解析によって支持される)。したがって実施例に記載される化合物の多くで、環外二重結合に配置を割り当てることが可能である。可能であれば、実施例は、化合物と関連する化学名中の環外二重結合の配置を示すことで、特定の化合物中の環外二重結合が、シスまたはトランス配置で存在するかどうかを反映する。
【0133】
本明細書の用法では、「シス」または「シス配置」は、典型的に環外二重結合であり、大部分がシスである、炭素-炭素二重結合を指す。いくつかの実施形態では、化合物混合物中の約85%を超える化合物分子は、シスである炭素-炭素二重結合(例えば環外二重結合)を有する。いくつかの実施形態では、化合物混合物中の約90%を超え、約95%を超え、約98%を超え、約99%を超え、約99.5%を超え、または約99.8%を超える化合物分子は、シスである炭素-炭素二重結合(例えば環外二重結合)を有する。
【0134】
本明細書の用法では、「トランス」または「トランス配置」は、典型的に環外二重結合であり、大部分がトランスである、炭素-炭素二重結合を指す。いくつかの実施形態では、化合物混合物中の約85%を超える化合物分子は、シスである炭素-炭素二重結合(例えば環外二重結合)を有する。いくつかの実施形態では、化合物混合物中の約90%を超え、約95%を超え、約98%を超え、約99%を超え、約99.5%を超え、または約99.8%を超える化合物分子は、シスである炭素-炭素二重結合(例えば環外二重結合)を有する。
【0135】
それに加えて特に断りのない限り、本明細書で描写される構造は、1つまたは複数の同位体濃縮原子の存在のみが異なる、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の置換、または13C富化または14C富化炭素による炭素の置換を含む本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイのプローブとして、または本発明に従った治療薬として、有用である。
【0136】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、患者の治療に適合する酸付加塩または塩基付加塩のいずれかを意味する。
【0137】
いくつかの実施形態では、適切な塩を形成する例示的な無機酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸と、オルトリン酸一水素ナトリウム、および硫酸水素カリウムなどの酸金属塩とが挙げられるがこれに限定されるものではない。適切な塩を形成する例証的な有機酸としては、モノ-、ジ-、およびトリカルボン酸が挙げられる。このような酸の例は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸(2,2,2-トリフルオロ酢酸)、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸とメタンスルホン酸や2-ヒドロキシエタンスルホン酸などのその他のスルホン酸である。一酸塩または二酸塩のいずれかが形成され得て、このよう塩は、水和、溶媒和または実質的に無水の形態のいずれかで存在し得る。一般に、これらの化合物の酸付加塩は、それらの遊離塩基形態と比較して、水や種々の親水性有機溶媒中でのより溶解性であり、一般により高い融点を示す。実験室での使用のために、または引き続く薬学的に許容可能な酸付加塩への変換のために、例えば本明細書に記載される化合物の単離において、例えばシュウ酸塩などのその他の薬学的に許容可能でない塩を使用してもよい。
【0138】
「薬学的に許容可能な塩基性付加塩」は、本明細書に記載される酸化合物のあらゆる無毒の有機または無機塩基付加塩、またはその中間体のいずれかである。適切な塩を形成する例証的な無機塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの水酸化物が挙げられるが、これに限定されるものではない。適切な塩を形成する例証的な有機塩基としては、メチルアミン、トリメチルアミン、およびピコリンなどの脂肪族、脂環式または芳香族有機アミン、またはアンモニアが挙げられる。分子中の他の箇所にエステル官能基がもしあれば、加水分解されないように、適切な塩の選択が重要なこともある。適切な塩の選択基準は、当業者に知られている。
【0139】
本明細書に記載される化合物の酸付加塩は、最も適切には、薬学的に許容可能な酸から生成され、例えば塩化水素、硫酸またはリン酸などの無機酸、そして例えばコハク酸、マレイン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸またはフマル酸などの有機酸によって形成されるものが挙げられる。実験室での使用のために、または引き続く薬学的に許容可能な酸付加塩への変換のために、例えば本明細書に記載される化合物の単離において、例えばシュウ酸塩などのその他の薬学的に許容可能でない塩を使用してもよい。本発明の化合物の塩基付加塩(ナトリウム、カリウム、およびアンモニウム塩などの)、溶媒和化合物、および水和物もまた、本発明の範囲内に含まれる。所与の化合物塩を所望の化合物塩に変換することは、当業者に良く知られている標準的な技術を適用して、達成される。
【0140】
「立体異性体」という用語は、空間内のそれらの原子の配向のみが異なる、個々の分子の全ての異性体を指す一般用語である。これには、鏡像異性体(鏡像異性体)、幾何学的(シス/トランス)異性体、および互いに鏡像(ジアステレオマー)でない2つ以上のキラル中心がある化合物の異性体が含まれる。
【0141】
「治療する」または「治療」という用語は、一時的または恒久的ベースのいずれかで、症状を緩和し、症状の原因を排除すること、前記の障害または病状のまたは症状出現を予防し、または遅延させることを意味する。
【0142】
本明細書の用法では、「創傷治癒の促進」は、創傷がある対象を治療して、創傷の部分的または完全治癒を達成することを意味する。創傷治癒の促進は、例えば、以下の1つまたは複数を意味し得る:表皮の閉鎖促進;真皮の移動促進;皮膚中の真皮の閉鎖促進;例えば、表皮過形成および癒着などの創傷治癒合併症の低減;創傷離開の低減;および適切な瘡蓋形成の促進。
【0143】
「治療有効量」という用語は、疾患または病状の1つまたは複数の症状を治療し、または重症度を低下させるのに効果的な化合物の量を意味する。創傷治癒の場合、治療有効量は、創傷治癒を促進する量である。
【0144】
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、医薬組成物、すなわち対象に投与できる剤形を形成できるようにする、活性成分と混合される無毒の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバントまたはその他の材料を意味する。このような担体の一例は、非経口投与のために典型的に使用される、薬学的に許容可能な油である。薬学的に許容可能な担体は、当該技術分野で周知である。
【0145】
本明細書で開示される要素に言及する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記(said)」は、1つまたは複数の要素があることを意味することが意図される。「含んでなる」、「有する」、「はじめとする」という用語には、限定がないことが意図され、列挙する要素の他に追加的な要素があってもよいことを意味する。
【0146】
使用、配合、および投与
薬学的に許容可能な組成物
別の実施形態によると、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な誘導体と、薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルとを含んでなる組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプル中または患者において、CRM1を測定可能な程度に阻害するのに効果的な量である。特定の実施形態では、本発明の組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与のために調合される。「患者」という用語は、本明細書の用法では動物を意味する。いくつかの実施形態では、動物は哺乳類である。特定の実施形態では、患者は獣医学の患者(すなわち非ヒト哺乳類患者)である。いくつかの実施形態では、患者はイヌである。別の実施形態では、患者はヒトである。
【0147】
「薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、それが一緒に調合される化合物の薬理学的活性を破壊しない、無毒の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物中で使用されてもよい薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンやリン酸水素二ナトリウムやリン酸水素カリウムや塩化ナトリウムや亜鉛塩などの塩または電解質、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0148】
本発明の組成物は、吸入噴霧、局所、直腸内、鼻腔内、口腔内、膣内、または埋め込み式リザバーを通じて、経口投与、非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)されてもよい。いくつかの実施形態では、提供される化合物または組成物は、静脈内および/または腹腔内投与可能である。
【0149】
「非経口」という用語は、本明細書の用法では、皮下、静脈内、筋肉内、眼内、硝子体内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、クモ膜下腔内、肝臓内、腹腔内病巣内、および頭蓋内注射または点滴技法を含む。好ましくは、組成物は、経口、皮下、腹腔内または静脈内投与される。本発明の組成物の無菌注射用形態は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適切な分散または湿潤剤と、懸濁剤とを使用して、当該技術分野で公知の技術によって調合されてもよい。無菌注射用製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール溶液などの無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。用いてもよい許容可能なビヒクルおよび溶剤は、特に水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液である。これに加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として従来法で用いられる。
【0150】
本発明の薬学的に許容可能な組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液、または溶液をはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる経口的に許容可能な剤形で、経口的に投与してもよい。経口使用される錠剤の場合、通常、使用される担体としては、乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与のための有用な希釈剤としては、乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が必要な場合、活性成分は、乳化および懸濁剤と組み合わされる。所望ならば、特定の甘味剤、着香料または着色剤もまた、添加してもよい。いくつかの実施形態では、提供される経口製剤は、即時放出または持続/遅延放出のために調合される。いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤、ロゼンジ、および香錠をはじめとする、バッカルまたは舌下投与に適する。提供される化合物はまた、マイクロカプセル化形態であり得る。
【0151】
代案としては、本発明の薬学的に許容可能な組成物は、直腸投与のための坐薬の形態で投与してもよい。本発明の薬学的に許容可能な組成物はまた、特に治療の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患をはじめとする、局所塗布によって容易にアクセスできる領域または臓器を含む場合に、局所的に投与してもよい。適切な局所製剤は、これらの各領域または臓器のために、容易に調製される。
【0152】
下部腸管のための局所施用は、直腸坐薬製剤(上記を参照されたい)で、または適切な浣腸製剤でもたらし得る。局所的経皮パッチもまた、使用してもよい。
【0153】
眼科用途では、提供される薬学的に許容可能な組成物は、微粉化懸濁液として、またはペトロラタムなどの軟膏中で、調合してもよい。
【0154】
本発明の薬学的に許容可能な組成物はまた、経鼻煙霧剤または吸入によって投与してもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明の薬学的に許容可能な組成物は、腹腔内投与のために調合される。
【0156】
単回投与形態の組成物を製造するために、担体材料と組み合わせてもよい本発明の化合物の量は、治療される宿主、特定の投与様式に応じて変動する。一実施形態では、提供される組成物は、これらの組成物を与えられる患者に、0.01~100mg/kg体重/日の用量の阻害剤が投与され得るように調合すべきである。別の実施形態では、投与量は、約0.5~約100mg/kg体重、または4~120時間毎に1mg~1000mg/投与であり、または特定の薬剤の要件に従う。典型的に本発明の医薬組成物は、1日あたり約1~約6回投与される。
【0157】
任意の特定患者のための特定の用量および治療計画が、用いられる特定化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康、性別、食餌、投与時間、排出速度、薬剤併用、主治医の判断、および治療される特定疾患の重症度をはじめとする多様な要素に左右されることもまた理解される。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定化合物にも左右される。
【0158】
必要ならば、患者の病状改善に際して、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量を投与し得る。引き続いて、症状が所望のレベルまで緩和された際の改善された病状が保持されるレベルまで、投与の用量または頻度、またはその双方を症状に応じて低下させ得る。しかし患者は、あらゆる疾患症状の再発に際して、長期的に断続的治療を必要とすることもある。
【0159】
化合物および薬学的に許容可能な組成物の使用
本明細書に記載される化合物および組成物は、一般にCRM1を阻害するのに有用であり、したがってCRM1活性と関連付けられている、1つまたは複数の障害を治療にするのに有用である。したがって特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な組成物を投与するステップを含んでなる、CRM1媒介疾患を治療する方法を提供する。本明細書に記載される化合物および組成物はまた、例えば試験管内でまたは生体外で培養中の細胞に、または例えば生体内などで対象に投与して、本明細書で以下の実施例をはじめとする、多様な障害を治療、予防、および/または診断し得る。
【0160】
本発明でCRM1阻害剤として利用される化合物の活性は、生体外、生体内または細胞系中でアッセイしてもよい。本発明でCRM1阻害剤として利用される化合物をアッセイする詳細な条件は、実施例に記載される。
【0161】
本明細書の用法では、「CRM1媒介性」障害または病状という用語は、本明細書の用法では、その中でCRM1が役割を果たすことが知られている、あらゆる疾患またはその他の有害な病状を意味する。したがって本発明の別の実施形態は、CRM1が役割を果たしていることが知られている、1つまたは複数の疾患を治療し、または重症度を低下させることに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物の治療有効量を患者に投与するステップを含んでなる、対象中で、p53、p73、p21、pRB、p27、IκB、NFκB、c-Abl、FOXOタンパク質、COX-2、またはHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)の発現または活性と関連付けられている疾患を治療する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、増殖性疾患(例えばがん)、炎症性疾患、自己免疫障害、ウイルス感染症、眼科疾患または神経変性疾患から選択される、疾患または病状を治療し、または重症度を低下させる方法に関し、前記方法は、本発明による化合物または組成物をそれを必要とする患者に投与するステップを含んでなる。より具体的な実施形態では、本発明は、がんを治療し、または重症度を低下させる方法に関する。上記障害の特定の例は、下で詳細に記載される。
【0162】
本発明の化合物によって治療可能ながんとしては、血液悪性腫瘍(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫と骨髄異形成と骨髄増殖性症候群とをはじめとする骨髄腫)および固形腫瘍(前立腺、乳房、肺、結腸、膵臓、腎臓の、卵巣ならびに軟部組織などのがん腫、骨肉腫、および間質腫瘍)が挙げられるが、これに限定されるものではない。乳がん(BC)としては、基底細胞様乳がん(BLBC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、およびBLBCとTNBCの双方である乳がんが挙げられる。さらに乳がんとしては、侵襲性または非侵襲性乳管または小葉がん、乳房の管状、髄様、粘液性、乳頭、篩状がん、男性乳がん、再発性または転移性乳がん、乳房の葉状腫瘍、および乳首のパジェット病が挙げられる。
【0163】
本発明の化合物によって治療可能な炎症性疾患としては、多発性硬化症、関節リウマチ、変性関節疾患、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、血管炎症候群(小、中、および大血管)、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、敗血症、乾癬およびその他の外皮炎症性疾患(湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、強皮症、および急性炎症性要素を伴う皮膚病、天疱瘡、類天疱瘡、アレルギー性皮膚炎など)、および蕁麻疹症候群が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0164】
本発明の化合物によって治療可能なウイルス性疾患としては、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、乳児胃腸炎、コクサッキー感染症、伝染性単核症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、原発性HSV-1感染症(例えば小児歯肉口内炎、成人扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、不顕性HSV-1感染症(例えば口唇ヘルペスおよび単純疱疹)、原発性HSV-2感染症、不顕性HSV-2感染症、無菌性髄膜炎、伝染性単核症、巨細胞封入体病、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、原発性滲出液リンパ腫、AIDS、インフルエンザ、ライ症候群、はしか、後感染性脳脊髄炎、おたふく風邪、過形成上皮病変(例えば尋常性、扁平、足底、および肛門性器疣贅、喉頭乳頭腫、疣贅状表皮発育異常症)、子宮頸がん、扁平上皮がん、クループ、肺炎、細気管支炎、感冒、灰白髄炎、狂犬病、インフルエンザ様症候群、肺炎を伴う重症細気管支炎、風疹、先天性風疹、水痘、および帯状疱疹が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の化合物によって治療可能なウイルス性疾患としてはまた、B型肝炎およびC型肝炎をはじめとする、長期ウイルス感染症が挙げられる。
【0165】
例示的な眼科疾患としては、黄斑浮腫(糖尿病性および非糖尿病性黄斑浮腫)、湿潤および乾燥形態の加齢性黄斑変性、加齢円板状黄斑変性症、嚢胞状黄斑浮腫、眼瞼浮腫、網膜浮腫、糖尿病性網膜症、網脈絡膜症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、全眼球炎、転移性眼炎、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜離脱、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性貨幣状角膜炎、低酸素症または虚血に伴う眼疾患、未熟児網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞、コーツ病、家族性滲出性硝子体網膜症、脈なし病(高安病)、イールズ病、抗リン脂質抗体症候群、白血病性網膜症、過粘稠度症候群、マクログロブリン血症、インターフェロン網膜症、高血圧性網膜症、放射線網膜症、角膜上皮幹細胞不全症または白内障が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0166】
式Iの化合物によって治療可能な神経変性疾患としては、パーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化(ALS/ルー・ゲーリック病)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0167】
本明細書に記載される化合物および組成物はまた、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束性心筋症、肺線維症、肝線維症、糸球体腎炎、多嚢胞性腎障害(PKD)、およびその他の腎障害をはじめとする、異常組織増殖および線維症障害を治療するのにも使用してもよい。
【0168】
本明細書に記載される化合物および組成物はまた、肥満症および過食症などの、食物摂取量に関連した障害を治療するのに使用してもよい。
【0169】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物または組成物を使用して、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素毒性、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、およびあらゆる慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとする、アレルギーおよび呼吸器疾患を治療または予防してもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、CRM1活性関連疾患または病状は、次のとおりである。筋ジストロフィー、例えば骨関節炎および関節リウマチなどの関節炎、強直性脊椎炎(ankylosing spondilitis)、外傷性脳損傷、脊髄損傷、敗血症、リウマチ性疾患、がんアテローム性動脈硬化、I型糖尿病、II型糖尿病、レプトスピラ症(leptospiriosis)腎疾患、緑内障、網膜疾患、加齢、頭痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化作用障害、肥満症、胎児の成長遅延、高コレステロール血症、心疾患、慢性心不全、虚血/再灌流、脳卒中、脳動脈瘤、狭心症、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘導肺傷害、肺高血圧症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、シェーグレン症候群、肺硝子膜症、腎臓病、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、腸疾患、腹膜子宮内膜症、皮膚病、副鼻腔炎、中皮腫、免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成不全症、ベーチェット病、色素失調症、結核、喘息、クローン病、大腸炎、眼アレルギー、虫垂炎、パジェット病、膵臓炎、歯周炎(periodonitis)、子宮内膜症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、シリカ誘発性疾患、睡眠時無呼吸、AIDS、HIV-1、自己免疫疾患、抗リン脂質抗体症候群、狼瘡、狼瘡性腎炎、家族性地中海熱、遺伝性周期熱症候群、心理社会的ストレス病、神経病理学的疾患、家族性アミロイドポリニューロパチー、炎症性神経障害、パーキンソン病、多発性硬化症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amyotropic lateral sclerosis)、ハンチントン病、白内障、または難聴。
【0171】
別の実施形態では、CRM1活性関連疾患または病状は、次のとおりである。頭部外傷、ブドウ膜炎、炎症性疼痛、アレルゲン誘発性喘息、非アレルゲン誘発性喘息、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎、壊死性腸炎、周期熱を伴う高グロブリンD血症(HIDS)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群(蕁麻疹-難聴-アミロイドーシス)、家族性寒冷蕁麻疹、新生児期発症多臓器性炎症性疾患周期熱(NOMID)、周期熱-アフタ性口内炎-咽頭炎-扁桃腺炎(PFAPA症候群)、ブラウ症候群、化膿性無菌性関節炎、壊疽性膿皮症、座瘡(PAPA)、インターロイキン1受容体拮抗欠乏症(DIRA)、クモ膜下出血、多発性嚢胞腎、移植、臓器移植、組織移植、骨髄異形成症候群、刺激物質誘発性炎症、植物刺激物誘発性炎症、ツタウルシ/ウルシオール油誘発性炎症、化学的刺激物誘発性炎症、蜂刺傷誘発性炎症、咬虫症誘発性炎症、日光皮膚炎、火傷、皮膚炎、内毒血症、肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、アルコール性肝炎、または寄生虫感染症によって引き起こされる腎臓損傷。
【0172】
さらなる態様では、本発明は、対象中で、p53、p73、p21、pRB、p27、IκB、NFκB、c-Abl、FOXOタンパク質、COX-2またはHDACの発現または活性と関連付けられている疾患を治療する薬剤を製造するための、本明細書に記載される化合物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、がんおよび/または新生物障害、血管新生、自己免疫障害、炎症性疾患および/または疾患、エピジェネティックス、ホルモン障害および/または疾患、ウイルス性疾患、神経変性障害および/または疾患、創傷、および眼科的障害のいずれかを治療するための薬剤の製造における、本明細書に記載される化合物の使用を提供する。
【0173】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容可能な組成物を生物学的サンプルに接触させ、または患者に投与するステップを含んでなる、生物学的サンプル中でCRM1を阻害する方法を提供する。
【0174】
新生物障害
本明細書に記載される化合物または組成物は、新生物疾患を治療するのに使用し得る。「新生物障害」は、例えば増殖性細胞成長によって特徴付けられる異常な状態または病状などの、自律的増殖または複製能力を有する細胞によって特徴付けられる、疾病または障害である。例示的な新生物障害としては、例えば、前立腺、脳、骨、結腸、肺、乳、卵巣、および肝臓起源の腫瘍などのがん腫、肉腫、転移性障害、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫およびその他の悪性形質細胞などの障害造血性新生物障害、および転移性腫瘍が挙げられる。蔓延しているがんとしては、乳、前立腺、結腸、肺、肝臓、および膵臓がんが挙げられる。化合物による治療は、例えば細胞増殖低下、腫瘤量低下など、新生物障害の少なくとも1つの症状を改善するのに効果的な量で実施し得る。
【0175】
開示される方法は、例えば、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、およびそれらの転位をはじめとするがんを予防および治療するのに、ならびにリー・フラウメニ症候群、家族性乳-卵巣がん(BRCA1またはBRAC2変異)症候群などの家族性がん症候群において、有用である。開示される方法はまた、非固形がんを治療するのに有用である。例示的な固形腫瘍としては、肺、乳、リンパ系、消化器(例えば結腸)などの様々な臓器系、および泌尿生殖器(例えば腎臓、尿路上皮、または精巣腫瘍)経路、咽頭、前立腺、および卵巣の悪性腫瘍(例えば肉腫、腺がん、およびがん腫)が挙げられる。例示的な腺がんとしては、結腸直腸がん、腎臓細胞がん腫、肝臓がん、非小細胞肺がん、および小腸がんが挙げられる。
【0176】
米国国立がん研究所によって記載される例示的ながんとしては、以下が挙げられる。急性リンパ芽球性白血病、成人;急性リンパ芽球性白血病、小児期;急性骨髄性白血病、成人;副腎皮質がん;副腎皮質がん、小児期;AIDS関連リンパ腫;AIDS関連悪性腫瘍;肛門がん;星細胞腫、小児期小脳;星細胞腫、小児期脳;胆管がん、肝臓外;膀胱がん;膀胱がん、小児期;骨がん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、小脳星細胞腫、小児期;脳腫瘍、脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児期;脳腫瘍、上衣細胞腫、小児期;脳腫瘍、髄芽細胞腫、小児期;脳腫瘍、小脳テント上腫瘍原始神経外胚葉性腫瘍、小児期;脳腫瘍、視覚路および視床下部神経膠腫、小児期;脳腫瘍、小児期(その他の);乳がん;乳がんおよび妊娠;乳がん、小児期;乳がん、男性;気管支腺腫/カルチノイド、小児期;カルチノイド腫瘍、小児期;カルチノイド腫瘍、胃腸;がん腫、副腎皮質;がん腫、膵島細胞;路の原発性がん腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星細胞腫、小児期;脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児期;子宮頸がん;小児期がん;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性髄増殖性疾患;腱鞘の明細胞肉腫;大腸がん;結腸直腸がん、小児期;皮膚のT細胞(CeIl)リンパ腫;子宮内膜がん;上衣細胞腫、小児期;上皮がん、卵巣;食道がん;食道がん、小児期;ユーイングファミリー腫瘍;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児期;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管がん;眼がん、眼球内黒色腫;眼がん、網膜芽細胞腫;胆嚢がん;胃がん;胃がん、小児期;消化管カルチノイド腫瘍;胚芽細胞腫瘍、頭蓋外、小児期;胚芽細胞腫瘍、性腺外;胚芽細胞腫瘍、卵巣;妊娠性絨毛性腫瘍;神経膠腫、小児期脳幹;神経膠腫、小児期視覚路および視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部がん;肝細胞(肝臓)がん、成人(原発性);肝細胞(肝臓)がん、小児期(原発性);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児期;妊娠中ホジキンリンパ腫;下咽頭がん;視床下部および視覚路神経膠腫、小児期;眼球内黒色腫;膵島細胞がん腫(内分泌膵);カポジ肉腫;腎臓がん;喉頭がん;喉頭がん、小児期;白血病、急性リンパ芽球性、成人;白血病、急性リンパ芽球性、小児期;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児期;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、有毛細胞;口唇および口腔がん;肝臓がん、成人(原発性);肝臓がん、小児期(原発性);肺がん、非小細胞;肺がん、小細胞;リンパ芽球性白血病、成人急性;リンパ芽球性白血病、小児期急性;リンパ球性白血病、慢性;リンパ腫、AIDS関連;リンパ腫、中枢神経系(原発性);リンパ腫、皮膚T細胞(CeIl);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児期;ホジキンリンパ腫、妊娠中;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児期;非ホジキンリンパ腫、妊娠中;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳がん;悪性中皮腫、成人;悪性中皮腫、小児期;悪性胸腺腫;髄芽細胞腫、小児期;黒色腫;黒色腫、眼球内;メルケル細胞がん;中皮腫、悪性;原発不明の転移性扁平上皮頸部がん;多発性内分泌腺腫症候群、小児期;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、小児期急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖性疾患、慢性;鼻腔および副鼻腔がん;鼻咽頭がん;鼻咽頭がん、小児期;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児期;妊娠中の非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺がん;口腔がん、小児期;口腔および口唇がん;中咽頭がん;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣がん、小児期;卵巣上皮がん;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性潜在的腫瘍;膵臓がん;膵臓がん、小児期;膵臓がん、膵島細胞;副鼻腔および鼻腔がん;副甲状腺がん;陰茎がん;褐色細胞腫;松果体および小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児期;脳下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠および乳がん;妊娠およびホジキンリンパ腫;妊および非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;原発性肝臓がん、成人;原発性肝臓がん、小児期;前立腺がん;直腸がん;腎細胞(腎臓)がん;腎細胞がん、小児期;腎盂および尿管、移行上皮がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児期;唾液腺がん;唾液腺がん、小児期;ユーイング肉腫ファミリー腫瘍;肉腫、カポジ;肉腫(骨肉腫)/骨の悪性線維性組織球腫;肉腫、横紋筋肉腫、小児期;肉腫、軟部組織、成人;肉腫、軟部組織、小児期;セザリー症候群;皮膚がん;皮膚がん、小児期;皮膚がん(黒色腫);皮膚がん、メルケル細胞;小細胞肺がん;小腸がん;軟部組織肉腫、成人;軟部組織肉腫、小児期;原発不明扁平上皮頸部がん、転移性;胃がん;胃がん、小児期;小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児期;T細胞(CeIl)リンパ腫、皮膚;精巣がん;胸腺腫、小児期;胸腺腫、悪性;甲状腺がん;甲状腺がん、小児期;腎盂および尿管の移行上皮がん;絨毛性腫瘍、妊娠性;未知原発部位、がん、小児期;小児期の稀ながん;尿管および腎盂、移行上皮がん;尿道がん;子宮肉腫;膣がん;視覚路および視床下部神経膠腫、小児期;外陰がん;ワルデンシュトレームのマクログロブリン血症;およびウィルムス腫瘍。
【0177】
さらなる例示的ながんとしては、びまん性大細胞リンパ腫(DLBCL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)が挙げられる。なおもさらなる代表的がんとしては、子宮頚がん、B細胞ALL、T細胞ALL、BまたはT細胞リンパ腫、肥満細胞がん、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、濾胞性リンパ腫、およびリヒター症候群が挙げられる。
【0178】
代表的肉腫としては、線維肉腫、胞状軟部肉腫(ASPS)、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、脊索腫、紡錘体細胞肉腫、組織球腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、神経外胚葉性肉腫、葉状腫瘍/骨原性肉腫、および軟骨芽細胞骨肉腫が挙げられる。
【0179】
前述のがんの転移もまた、本明細書に記載される方法に従って、処置または予防し得る。
【0180】
併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、追加的な「第2の」治療薬または治療と共に投与される。第2の治療薬は、指示される疾患または病状を治療する単剤療法で典型的に使用される、あらゆる作用物質から選択されてもよい。本明細書の用法では、「共に投与される」という用語および関連用語は、本発明による治療薬の同時または逐次の投与を指す。例えば本発明の化合物は、別個の単一剤形で同時または順次に、または単一剤形中で合わせて、別の治療薬と共に投与してもよい。したがって本発明は、本発明の化合物、追加的な治療薬、および薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含んでなる、単一剤形を提供する。
【0181】
第2の治療薬が対象に投与される本発明の一実施形態では、本発明の化合物の有効量は、第2の治療薬が投与されない場合のその有効量を下回る。別の実施形態では、第2の治療薬の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合のその有効量を下回る。このようにして、作用物質のいずれかの高用量に付随する、望まれない副作用が最小化されてもよい。(限定なしに、投薬計画改善および/または薬剤コスト低下をはじめとする)その他の可能な利点は、当業者には明白であろう。追加的な作用物質は、複数回投与レジメンの一部として、本発明の化合物とは別に投与してもよい。代案としては、これらの薬剤は、本発明の化合物と合わせて単一組成物に混合された、単回投与剤形の一部であってもよい。
【0182】
がん併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、追加的ながん治療薬と共に投与される。例示的な、さらなるがん治療法としては、例えば、化学療法、抗体療法などの標的療法、キナーゼ阻害剤、免疫療法、およびホルモン療法、エピジェネティック療法、プロテオソーム療法、および抗血管新生療法が挙げられる。これらの各治療の例は、下で提供される。本明細書の用法では、「組み合わせ」、「組み合わせた」という用語および関連用語は、本発明による治療薬の同時または逐次の投与を指す。例えば本発明の化合物は、別個の単一剤形で同時または順次に、または単一剤形中で併せて、別の治療薬と共に投与し得る。したがって本発明は、本発明の化合物、追加的な治療薬、および薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含んでなる、単一剤形を提供する。
【0183】
(上述したような追加的治療薬を含んでなる組成物中で)単回投与剤形を製造するために、担体材料と組み合わせ得る本発明の化合物および追加的な治療薬の双方の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変動する。好ましくは、本発明の組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の用量の本発明の化合物が投与され得るように、調合されるべきである。
【0184】
化学療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、化学療法と共に投与される。化学療法は、がん細胞を破壊する薬剤によるがんの治療法である。「化学療法」は、通常は標的療法とは対照的に、一般に急速に分裂する細胞に影響を及ぼす細胞毒性薬を指す。化学療法薬は、例えばDNAの複製または新たに形成された染色体の分離などの細胞分裂を、様々な可能な様式で妨げる。化学療法のほとんどの形態は、急速に分裂する全ての細胞を標的とし、がん細胞に特異的ではないが、DNA損傷を多くのがん細胞が修復できないのに対して、正常細胞は一般に修復できることから、ある程度の特異性が得られることもある。
【0185】
がん療法で使用される化学療法薬の例としては、例えば、代謝拮抗剤(例えば葉酸、プリン、およびピリミジン誘導体)、およびアルキル化剤(例えばナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、白金、アルキルスルホネート、ヒドラジン、トリアゼン、アジリジン、紡錘体阻害剤、細胞毒性薬、トポイソメラーゼ阻害剤など)が挙げられる。例示的な作用薬としては、アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン、ベキサロテン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボコン、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、クロランブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンパスターゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラル、エレスクロモール、エルサミトルシン、エノシタビン、エピルビシン、エストラムスチン、エトグルシド、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5FU)、フォテムスチン、ゲムシタビン、グリアデルインプラント、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イクサベピロン、ラロタキセル、ロイコボリン、リポソーム性ドキソルビシン、リポソーム性ダウノルビシン、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、オブリメルセン、オマセタキシン、オルタタキセル、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペグアスパラガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピクサントロン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ルビテカン、サパシタビン、セムスチン、シチマジーンセラデノベック、ストラタプラチン、ストレプトゾシン、タラポルフィン、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テモゾロマイド、テニポシド、テセタキセル、テストラクトン、四硝酸塩、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、ティピファニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジコン、トリエチレンメラミン、トリプラチン、トレチノイン、トレオスルファン、トロホスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾルビシン、および本明細書に記載されるその他の細胞分裂阻害剤または細胞毒性薬が挙げられる。
【0186】
いくつかの薬剤は、単独よりも合わせたときにより良く機能するため、2種以上の薬剤が同時に投与されることが多い。頻繁に、2種以上の化学療法剤が、併用化学療法として使用される。いくつかの実施形態では、(併用化学療法をはじめとする)化学療法剤を、本明細書に記載される化合物と組み合わせて使用し得る。
【0187】
標的療法
標的療法は、がん細胞の無秩序なタンパク質に対して特異的な、作用薬の使用からなる。小分子標的療法剤は、一般にがん細胞内の変異した、過剰発現した、またはさもなければ重要な、タンパク質の酵素ドメインの阻害剤である。顕著な例は、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、デサチニブ、エロロチニブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、およびバンデタニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤であり、アルボシジブおよびセリシクリブなどのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤もまた挙げられる。モノクローナル抗体療法は、治療薬が、がん細胞表面タンパク質に特異的に結合する抗体である、別のストラテジーである。例としては、典型的に乳がんで使用される、抗HER2/neu抗体トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))と、典型的に多様なB細胞悪性腫瘍で使用される、抗CD20抗体リツキシマブおよびトシツモマブとが挙げられる。その他の例示的な抗体としては、セツキシマブ、パニツマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、およびゲムツズマブが挙げられる。例示的な融合タンパク質としては、アフリベルセプトおよびデニロイキンジフチトクスが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物と組み合わせて、標的療法を使用し得る。例えば、Gleevec(Vignariand Wang 2001)。
【0188】
標的療法はまた、腫瘍周囲の細胞表面受容体に、または罹患した細胞外基質に結合し得る「自動誘導装置」としての小型ペプチドを含み得る。これらのペプチドに付着する放射性核種(例えばRGD)は、核種が細胞近傍で崩壊すれば、最終的にがん細胞を殺滅する。このような治療法の一例としては、BEXXAR(登録商標)が挙げられる。
【0189】
血管新生
本明細書に記載される化合物および方法は、血管新生関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。血管新生と関連付けられている疾患としては、がん、心血管疾患、および黄斑変性が挙げられる。
【0190】
血管新生は、既存の血管からの新血管の増殖を伴う、生理学的過程である。血管新生は、成長および発達、ならびに創傷治癒および肉芽組織における、正常かつ不可欠な過程である。しかしそれはまた、休眠状態から悪性状態への腫瘍の移行における必須段階でもある。血管新生は、芳しくない血管新生または異常な血管系のいずれかによって特徴付けられる疾患に取り組むための、標的であってもよい。
【0191】
体内で新血管生成を阻害または誘導することもある特定化合物の施用は、このような疾患に対する戦いの一助になることもある。存在すべきでない部位における血管の存在は、組織の機械的特性に影響を及ぼすこともあり、破損の可能性を増大させる。修復中またはさもなければ代謝的に活動性の組織における血管の不在は、修復またはその他の本質的機能を阻害することもある。虚血性慢性創傷などのいくつかの疾患は、破損または不十分な血管形成の結果であり、血管の局所的増殖によって、したがってその部位に新しい栄養素を供給して、修復を促進することで治療してもよい。加齢黄斑変性などのその他の疾患は、正常な生理学的過程と干渉する、血管の局所的増殖によって生じることもある。
【0192】
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管新生の主要原因であり、所与のネットワーク中の毛細管数を増大させることが、実証されている。VEGFの上方制御は、運動に対する生理学的応答の主要構成要素であり、血管新生におけるその役割は、血管損傷における可能な治療法であると考えられている。生体外実験は、この増殖因子存在下において、播種された内皮細胞が増殖して移動し、最終的には毛細血管と似た管構造を形成することから、VEGFが血管新生の強力な刺激物質であることを明確に実証する。
【0193】
腫瘍は、様々な増殖因子(例えばVEGF)を分泌することにより、血管増殖(血管新生)を誘導する。bFGFおよびVEGFなどの増殖因子は、腫瘍中の毛細血管増殖を誘導し得て、幾人かの研究者は、これが必要な栄養素を供給して、腫瘍の増殖を可能にすると考えている。
【0194】
血管新生は、心血管疾患治療法のための優れた治療標的に相当する。これは、我々の身体が、重要臓器への血液供給の減少に応答する自然な様式、すなわち虚血傷害を克服するための新しい側副血管の生成の基礎となる、強力な生理学的過程である。
【0195】
VEGFの過剰発現は、血管新生の刺激に加えて、血管透過性の増大を引き起こす。湿潤黄斑変性においては、VEGFは、網膜中の毛細血管の増殖を引き起こす。血管新生の増大は、浮腫もまた引き起こすため、血液およびその他の網膜液が網膜中に漏れて、視力喪失を引き起こす。
【0196】
抗血管新生療法としては、スニチニブやソラフェニブなどの血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とするキナーゼ阻害剤;またはベバシズマブまたはVEGF-Trap、をはじめとする、VEGFまたはVEGF受容体に対するモノクローナル抗体または受容体「デコイ」;またはサリドマイドまたはその類似体(レナリドミド、ポマリドミド);または線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンギオポエチン、またはアンギオスタチンまたはエンドスタチンなどの非VEGF血管新生標的を標的とする作用薬が挙げられる。
【0197】
エピジェネティックス
本明細書に記載される化合物および方法は、エピジェネティックス関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。エピジェネティックスは、根本的なDNA配列の変化以外の機構によって引き起こされる、表現型または遺伝子発現における遺伝性変化の研究である。真核生物学におけるエピジェネティックなの変化の一例は、細胞分化過程である。形態形成中に、幹細胞は様々な胚細胞系になり、それは次に完全に分化した細胞になる。換言すれば、単一受精卵細胞は、分裂を続ける間に、ニューロン、筋肉細胞、上皮、血管などをはじめとする、多数の細胞型に変化する。これは、その他の遺伝子を抑制する一方で、いくつかの遺伝子を活性化することで、そうなる。
【0198】
エピジェネティックな変化は、細胞が分裂する際に保存される。ほとんどのエピジェネティックな変化は、1つの個体の生涯においてのみ生じるが、受精をもたらした精子または卵細胞中で、DNA中の変異が引き起こされたのであれば、いくつかのエピジェネティックな変化は、1つの世代から次世代に遺伝する。特定のエピジェネティックな過程としては、パラミューテーション、ブックマーキング、刷り込み、遺伝子サイレンシング、X染色体不活性化、位置効果、再プログラミング、トランスベクション、母性効果、発がんの進行、催奇形因子の多数の影響、ヒストン修飾およびヘテロクロマチンの調節、および単為発生とクローニングに影響を及ぼす技術的限界が挙げられる。
【0199】
エピジェネティックスと関連付けられている例示的な疾患としては、ATR症候群、脆弱X症候群、ICF症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー(Prader-Wills)症候群、BWS、レット症候群、αサラセミア、がん、白血病、ルビンシュタイン・テイビ症候群、およびコフィン・ローリー症候群が挙げられる。
【0200】
エピジェネティックスと結びつけられた最初のヒト疾患は、がんである。研究者らは、結腸直腸がん患者からの患部組織が、同一患者の正常組織よりも、より少ないDNAメチル化を有することを見出した。メチル化遺伝子は、典型的にスイッチオフされるため、DNAメチル化の喪失は、クロマチン配置を変化させることにより、異常に高い遺伝子活性化を引き起こし得る。他方では、過剰なメチル化は、保護的腫瘍サプレッサー遺伝子の作用を取り消し得る。
【0201】
DNAメチル化はCpG部位で生じ、哺乳類においてはCpGシトシンの大部分はメチル化されている。しかしプロモーター領域の近くには、正常細胞ではメチル化を含まないCpG部位を、より高濃度で有する一続きのDNAがある(CpGアイランドとして知られている)。がん細胞中では、これらのCpGアイランドが過剰にメチル化され、それによって発現停止されるべきではない遺伝子がスイッチオフされる。この異常は、腫瘍中で生じるエピジェネティックな変化を象徴する特徴であり、がん発生初期に起きる。CpGアイランドの過剰メチル化は、腫瘍抑制遺伝子をスイッチオフすることで、腫瘍を引き起こし得る。事実上、これらのタイプの変化は、ヒトのがんにおいて、DNA配列の変異よりもより一般的なこともある。
【0202】
さらにエピジェネティックな変化は、DNA配列を変化させないが、それらは変異を引き起こし得る。家族性または遺伝性形態のがんを引き起こす遺伝子の約半分は、メチル化によりスイッチオフされる。これらのほとんどの遺伝子は、常態では、腫瘍形成を抑制して、O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)、MLH1サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(CDKN2B)、およびRASSF1Aをはじめとする、DNA修復を助ける。例えばMGMTプロモーターの過剰メチル化は、G-to-A変異の数を増大させる。
【0203】
過剰メチル化はまた、反復DNA配列であるマイクロサテライトの不安定性をもたらし得る。マイクロサテライトは、正常な個体において一般的であり、それらは通常、ジヌクレオチドCAの反復からなる。DNA修復遺伝子MLH1のプロモーターの過剰なメチル化は、マイクロサテライトを不安定化し、それを延長または短縮し得る。マイクロサテライトの不安定性は、結腸直腸、子宮内膜、卵巣、および胃がんをはじめとする、多数のがんと結びつけられている。
【0204】
脆弱X症候群は、特に男性において、最も頻繁に遺伝する精神障害である。男女ともこの病状を発症し得るが、男性は、X染色体を1つだけ有するため、1つの脆弱Xは男性に対してより重大な影響を及ぼす。実際に、脆弱X症候群は、4,000人の男性あたり約1人、8,000人の女性あたり1人に発生する。この症候群がある人々は、重篤な知的障害、言語発達遅延、「自閉症様」挙動を有する。
【0205】
脆弱X症候群は、顕微鏡下における、遺伝子異常を含有するX染色体部分の見え方から、その名称を得た。それは、通常、糸でぶら下がっているように見えて、容易に破損する。症候群は、FMR1(脆弱X精神遅滞1)遺伝子中の異常によって引き起こされる。脆弱X症候群のない人々は、FMR1遺伝子中に、6~50の三塩基CGGの反復を有する。しかし200を超える反復がある個人は、完全な変異を有して、通常、症候群の症状を示す。多すぎるCGGによって、CpGアイランドは、FMR1遺伝子のプロモーター領域でメチル化されるようになり;常態では、それらはメチル化されない。このメチル化は遺伝子をスイッチオフして、FMR1遺伝子が、脆弱X精神遅滞タンパク質と称される重要なタンパク質を生成するのを停止させる。この特定のタンパク質の低下が、脆弱X症候群を引き起こす。脆弱Xの原因として、CGG増幅変異が注目を集めているが、FMR1メチル化に付随するエピジェネティックな変化が、症候群の真犯人である。
【0206】
エピジェネティックな変化を伴う精神遅滞に関連する障害は、脆弱X症候群だけではない。その他のこのような病状としては、ルビンシュタイン・テイビ(Rubenstein-Taybi)、コフィン・ローリー、プラダー・ウィリー、アンジェルマン、ベックウィズ・ヴィーデマン、ATR-X、およびレット症候群が挙げられる。
【0207】
エピジェネティック治療法としては、エピジェネティックな修飾を制御する酵素の阻害剤、具体的にはいくつかの悪性腫瘍に対し有望な抗腫瘍形成性効果を示したDNAメチルトランスフェラーゼとヒストンデアセチラーゼ、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAが挙げられる。
【0208】
免疫療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、免疫療法と共に投与される。がん免疫療法は、患者自身の免疫系が腫瘍と闘うよう誘導するようにデザインされた、治療ストラテジーの多様なセットを指す。腫瘍に対する免疫応答を生じさせる現代的な方法としては、表在性膀胱がんのための膀胱内BCG免疫療法、前立腺がんワクチンであるプロベンジ、および腎細胞がんおよび黒色腫患者において、免疫応答を誘導するためのインターフェロンおよびその他のサイトカインの使用が挙げられる。
【0209】
同種異系造血幹細胞移植は、供与者の免疫細胞が、移植片対腫瘍効果で腫瘍を攻撃することが多いため、免疫療法の一形態と見なし得る。いくつかの実施形態では、免疫療法剤を本明細書に記載される化合物と組み合わせて使用し得る。
【0210】
ホルモン療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、ホルモン療法と共に投与される。ある種のがんの増殖は、特定のホルモンを提供するか、または遮断することによって抑制し得る。ホルモン感受性腫瘍の一般例としては、特定タイプの乳がんおよび前立腺がん、ならびに特定のレチノイド/レチノイン酸に応答する特定タイプの白血病が挙げられる。エストロゲンまたはテストステロンを除去またはブロックすることは、往々にして重要な追加治療である。特定のがんでは、プロゲストーゲンなどのホルモン作動薬の投与が、治療的に有益なこともある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物と組み合わせて、ホルモン療法剤を使用し得る。
【0211】
ホルモン療法剤としては、ホルモン作動薬またはホルモン拮抗薬の投与が挙げられ、レチノイド/レチノイン酸、エストロゲンまたはテストステロンを阻害する化合物、ならびにプロゲストーゲン投与が挙げられる。
【0212】
炎症および自己免疫疾患
本明細書に記載される化合物および方法は、特にヒトおよびその他の哺乳類において、炎症関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。本明細書に記載される化合物は、炎症の発生前、発生時、または発生後に投与してもよい。予防的に使用される場合、化合物は、好ましくは、あらゆる炎症応答または症状に先立って提供される。化合物の投与は、炎症性応答または症状を予防または軽減し得る。例示的な炎症状態としては、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変性関節疾患、脊椎関節症(spondouloarthropathies)、その他の血清反応陰性炎症性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、様々な血管炎(例えば巨細胞性動脈炎、ANCA+血管炎)、痛風性関節炎、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、骨関節炎、骨粗鬆症、糖尿病(例えばインスリン依存性糖尿病または若年発症糖尿病)、月経痙攣、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、食道炎、膵臓炎、腹膜炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵臓炎(pancreatis)(急性または慢性)、多臓器損傷症候群(例えば敗血症または外傷に続発する)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化、脳卒中、再灌流傷害(例えば心肺のバイパスまたは腎臓透析に起因する)、急性糸球体腎炎、熱的傷害(すなわち日光皮膚炎)、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群、および/またはシェーグレン症候群が挙げられる。例示的な皮膚の炎症状態としては、例えば、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、強皮症(schleroderma)、乾癬、および急性炎症性要素を伴う皮膚病が挙げられる。
【0213】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物および方法は、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素毒性、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸困難症候群、およびいずれかの慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとする、アレルギーおよび呼吸の病状を治療または予防するのに使用してもよい。化合物は、B型肝炎およびC型肝炎をはじめとする、慢性肝炎感染を治療するのに使用しもよい。
【0214】
さらに、本明細書に記載される化合物または方法は、自己免疫疾患および/または炎症を治療するのに使用してもよい。臓器組織自己免疫疾患(例えばレイノー症候群)、強皮症、重症筋無力症、移植拒絶反応、内毒素ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(多腺性自己免疫症候群としてもまた知られている)、およびグレーブス病などの自己免疫疾患と関連付けられている。
【0215】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、多発性硬化症を治療するのに使用し得る。
【0216】
併用療法
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、単独で、または炎症を治療または予防するのに有用なその他の化合物と組み合わせて、投与してもよい。例示的な抗炎症剤としては、例えば、ステロイド(例えばコルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、6[α]-メチルプレドニゾロン(methylprednisone)、トリアムシノロン、ベタメタゾンまたはデキサメタゾン)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS(例えばアスピリン、アセトアミノフェン、トルメチン、イブプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、ナブメトン、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクまたはニメスリド)が挙げられる。別の実施形態では、もう一方の治療薬は抗生物質である(例えばバンコマイシン、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフィキシム、リファンピンメトロニダゾール、ドキシサイクリンまたはストレプトマイシン)。別の実施形態では、もう一方の治療薬はPDE4阻害剤である(例えばロフルミラストまたはロリプラム)。別の実施形態では、もう一方の治療薬は抗ヒスタミン剤である(例えばシクリジン、ヒドロキシジン、プロメタジンまたはジフェンヒドラミン)。別の実施形態では、もう一方の治療薬は抗マラリア剤である(例えばアルテミシニン、アルテメーター、アルテスナート(artsunate)、リン酸クロロキン、塩酸メフロキン、ドキシサイクリン塩酸塩、塩酸プログアニル、アトバクオンまたはハロファントリン)。一実施形態では、もう一方の化合物はドロトレコギンアルファである。
【0217】
抗炎症剤のさらなる例としては、例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、e-アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸、S-アデノシルメチオニン、アルクロフェナック、アルクロメタゾン、アルフェンタニル、アルゲストン、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、アルファプロジン、ビス(アセチルサリチル酸塩)アルミニウム、アムシノニド、アンフェナク、アミノクロルテノキサジン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、2-アミノ-4-ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン、サリチル酸アンモニウム、アンピロキシカム、アムトルメチングアシル、アニレリジン、アンチピリン、アントラフェニン、アパゾン、ベクロメタゾン、ベンダザック、ベノリレート、ベノキサプロフェン、ベンズピペリロン、ベンジダミン、ベンジルモルヒネ、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、17-吉草酸ベタメタゾン、ベジトラミド、[α]-ビサボロール、ブロムフェナク、p-ブロモアセトアニリド、5-ブロモサリチル酸酢酸塩、ブロモサリゲニン、ブセチン、ブクロキシ酸、ブコローム、ブデソニド、ブフェキサマック、ブマジゾン、ブプレノルフィン、ブトアセチン、ブチブフェン、ブトルファノール、カルバマゼピン、カルビフェン、カルプロフェン、カルサラム、クロロブタノール、クロロプレドニゾン、クロルテノキサジン、サリチル酸コリン、シンコフェン、シンメタシン、シラマドール、クリダナク、クロベタゾール、クロコルトロン、クロメタシン、クロニタゼン、クロニキシン、クロピラク、クロプレドノール、クローブ、コデイン、臭化メチルコデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、コルチゾン、コルチバゾール、クロプロプアミド、クロテトアミド、シクラゾシン、デフラザコート、デヒドロテストステロン、デソモルヒネ、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-21-イソニコチン酸、デキソキサドロール、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デオキシコルチコステロン、デゾシン、ジアンプロマイド、ジアモルホンジアモルホン、ジクロフェナク、ジフェナミゾール、ジフェンピラミド、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルニサール、ジフルプレドナート、ジヒドロコデイノンエノールアセタート、ジヒドロモルヒネ、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメノキサドール、ジメヘプタノール、ジメチルチアンブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、ジプロセチル、ジピロン、ジタゾール、ドロキシカム、エモルファゾン、エンフェナム酸、エノキソロン、エピリゾール、エプタゾシン、エテルサレート、エテンザミド、エトヘプタジン、エトキサゼン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトドラク、エトフェナメート、エトニタゼン、オイゲノール、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロジン酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンタニル、フェンチアザック、フェプラジノール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルアザコート、フルクロロニド、フルフェナム酸、フルメタゾン、フルニソリド、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン(fluocoitolone)、フルオレソン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルピルチン、フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルプロクアゾン、フルランドレノリド、フルルビプロフェン、フルチカソン、ホルモコータル、ホスホサール、ゲンチジン酸、グラフェニン、グルカメタシン、サリチル酸グリコール、グアイアズレン、ハルシノニド、ハロベタソール、ハロメタゾン、ハロプレドノン、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、ヘミコハク酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン‐21‐リジネート、ヒドロコルチゾンシピオネート、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロキサム、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソフルプレドン、酢酸イソフルプレドン、イソラドール、イソメタドン、イソニキシン、イソキセパック、イソキシカム、ケトベミドン、ケトプロフェン、ケトロラック、p-ラクトフェネチド、レフェタミン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシル-モルファン、ロフェンタニル、ロナゾラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リジン、マジプレドン、メクロフェナム酸、メドリゾン、メフェナム酸、メロキシカム、メペリジン、メプレドニゾン、メプタジノール、メサラミン、メタゾシン、メサドン、メトトリメプラジン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、メチルプレドニゾロンスレプトナート、メチアジン酸、メトホリン、メトポン、モフェブタゾン、モフェゾラク、モメタゾン、モラゾン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、サリチル酸モルホリン、ミロフィン、ナブメトン、ナルブフィン、ナロルフィン、サリチル酸1-ナフチル、ナプロキセン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルフィン、ニフェナゾン、ニフルム酸、ニメスリド、5’-ニトロ-2’-プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オルサラジン、アヘン、オキサセプロール、オキサメタシン、オキサプロジン、オキシコドン、オキシモルホン、オキシフェンブタゾン、パパベレタム、パラメタゾン、パラニリン、パルサルミド、ペンタゾシン、ペリソキサール、フェナセチン、フェナドキソン、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコール、フェノペリジン、フェノピラゾン、フェノモルファン、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピケトプロフェン、ピミノジン、ピペブゾン、ピペリロン、ピラゾラク、ピリトラミド、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、プログルメタシン、プロヘプタジン、プロメドール、プロパセタモール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピフェナゾン、プロカゾン、プロチジン酸、プロキサゾール、ラミフェナゾン、レミフェンタニル、メチル硫酸リマゾリウム、サラセタミド、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル酸、サリチル硫酸、サルサレート、サルベリン、シメトリド、スフェンタニル、スルファサラジン、スリンダク、超酸化物ジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン、タルニフルメート、テニダップ、テノキシカム、テロフェナメート、テトランドリン、チアゾリノブタゾン、チアプロフェン酸、チアラミド、チリジン、チノリジン、チキソコルトール、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トロペシン、ビミノール、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、およびゾメピラックが挙げられる。
【0218】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物は、炎症を治療または予防するために、選択的COX-2阻害剤と共に投与されてもよい。例示的な選択的COX-2阻害剤としては、例えば、デラコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、およびルミラコキシブが挙げられる。
【0219】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、アントラサイクリンまたはTopo II阻害剤と組み合わせて投与される。特定の実施形態では、提供される化合物は、ドキソルビシン(Dox)と組み合わせて投与される。特定の実施形態では、提供される化合物は、ボルテゾミブ(より広義にはカーフィルゾミブを含む)と組み合わせて投与される。Doxまたはボルテゾミブと組み合わせた化合物の提供は、相乗(synergystic)効果(すなわち相加効果を上回る)をもたらすことが、驚くことに分かった。
【0220】
ウイルス感染症
本明細書に記載される化合物および方法は、特にヒトおよびその他の哺乳類において、ウイルス感染症関連疾患または障害を治療または予防するのに使用してもよい。本明細書に記載される化合物は、ウイルス感染症の発生前、発生時、または発生後に投与してもよい。予防的に使用される場合、化合物は、好ましくは、あらゆるウイルス感染症またはその症状に先立って提供される。
【0221】
例示的なウイルス性疾患としては、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、乳児胃腸炎、コクサッキー感染症、伝染性単核症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、原発性HSV-1感染症(例えば小児における歯肉口内炎、成人における扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、潜在性HSV-1感染症(例えば口唇ヘルペス(herpes labialis)および単純ヘルペス(cold sores)、原発性HSV-2感染症、潜在性HSV-2感染症、無菌性髄膜炎、伝染性単核症、巨細胞封入体病、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、原発性滲出液リンパ腫、AIDS、インフルエンザ、ライ症候群、はしか、後感染性脳脊髄炎、おたふく風邪、過形成上皮病変(例えば尋常性、扁平、足底、および肛門性器疣贅、喉頭乳頭腫、疣贅状表皮発育異常症)、子宮頸がん、扁平上皮がん、クループ、肺炎、細気管支炎、感冒、灰白髄炎、狂犬病、インフルエンザ様症候群、肺炎を伴う重症細気管支炎、風疹、先天性風疹、水痘、および帯状疱疹が挙げられる。
【0222】
代表的ウイルス性A型インフルエンザ株としては、H1N1、H3N2、H5N1、H7N3、H7N9が挙げられる。本明細書に記載される化合物はまた、B型インフルエンザを治療または予防するために使用し得る。
【0223】
例示的な病原性ウイルスとしては、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、肝炎Aウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、ヒトパピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、西ナイルウイルス、デング(Dungee)、および黄熱病ウイルスが挙げられる。病原性ウイルスとしては、耐性ウイルス感染症を引き起こすウイルスもまた挙げられる。
【0224】
抗ウイルス薬剤は、ウイルス感染症を治療するのに特異的に使用される、薬剤クラスである。抗ウイルス作用は、一般に3つの機構の内1つに分類される。ウイルスが標的細胞に侵入する能力への干渉(例えばアマンタジン、リマンタジン、およびプレコナリル)、ウイルス合成の抑制(例えばアシクロビルやジドブジン(AZT)のようなヌクレオシド類似体など)、およびウイルス放出の抑制(例えばザナミビルおよびオセルタミビル)。
【0225】
眼科
本明細書に記載される化合物および方法は、眼科(ophthamology)疾患を治療しまたは予防するのに使用してもよい。例示的な眼科(ophthamology)障害としては、黄斑浮腫(糖尿病性および非糖尿病性黄斑浮腫)、加齢性湿潤および乾燥型黄斑変性、加齢性円板状黄斑変性(aged disciform macular degeneration)、嚢胞状黄斑浮腫、眼瞼浮腫、網膜浮腫、糖尿病性網膜症、脈絡網膜症、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、全眼球炎、転移性眼炎、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜離脱、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性貨幣状角膜炎、低酸素症または虚血に付随する眼疾患、未熟児網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、コーツ病、家族性滲出性硝子体網膜症、脈なし病(高安病)、イールズ病、抗リン脂質抗体症候群、白血病性網膜症、血液過粘稠度症候群、マクログロブリン血症、インターフェロン網膜症、高血圧性網膜症、放射線網膜症、角膜上皮幹細胞不全症、および白内障が挙げられる。
【0226】
本明細書に記載される化合物および方法を使用して治療可能なその他の眼科疾患としては、増殖性硝子体網膜症および慢性網膜離脱が挙げられる。
【0227】
炎症性眼疾患もまた、本明細書に記載される化合物および方法を使用して治療可能である。
【0228】
神経変性疾患
神経変性は、神経細胞の死をはじめとする、神経細胞の構造または機能の進行性喪失を示す、包括的用語である。パーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン病をはじめとする多数の神経変性疾患は、神経変性過程の結果として発生する。研究が進むにつれて、細胞内レベルでこれらの疾患を互いに関連付ける、多数の類似性が現れた。これらの類似性の発見は、多数の疾患を同時に改善し得る治療法の進歩に対する希望を提供する。異なる神経変性障害の間には、非定型タンパク質アセンブリーならびに誘導細胞死をはじめとする、多数の類似点がある。
【0229】
アルツハイマー病は、大脳皮質および特定の皮質下の領域内における、ニューロンおよびシナプスの喪失によって特徴付けられる。この喪失は、側頭葉と頭頂葉、および前頭皮質と帯状回の一部における変性をはじめとする、罹患領域の肉眼的萎縮をもたらす。
【0230】
ハンチントン病は、アストログリオーシスと、中型有棘ニューロンの喪失を引き起こす。脳の領域は、それらの構造と、それらが含有するニューロン型次第で影響を被り、累積的に細胞を喪失するに連れて、サイズが低下する。影響を受ける領域は、主に線条体中にあるが、前頭皮質および側頭皮質中にもある。線条体の視床下核は、運動を開始して調節する淡蒼球に、制御シグナルを送る。したがって視床下核からのシグナル低下は、動作の開始と調節に低下を引き起こして、疾患に特徴的な動作をもたらす。ハンチントン病の例示的な治療薬としては、テトラベナンジン、神経弛緩薬、ベンゾジアゼピン、アマンタジン、レマセミド、バルプロ酸、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ミルタザピン、および抗精神病薬が挙げられる。
【0231】
パーキンソン病における脳細胞が失われる機序は、損傷を受けた細胞中における、ユビキチンに結合したタンパク質α-シヌクレインの異常な蓄積からなることもある。α-シヌクレイン-ユビキチン複合体は、プロテアソーム(proteosome)に誘導され得ない。このタンパク質蓄積は、レビー小体と称されるタンパク質性細胞質封入体を形成する。疾患の病因に関する最新の研究は、α-シヌクレインによるドーパミン作動性ニューロンの死が、2つの主要な細胞内小器官である小胞体(ER)とゴルジ体の間でタンパク質を輸送する機構の欠陥に起因することを示している。Rab1のような特定のタンパク質は、動物モデルにおいて、α-シヌクレインによって引き起こされるこの欠陥を逆転させることもある。例示的なパーキンソン病療法としては、レボドパと、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ピリベジル、カベルゴリン、アポモルフィン、およびリスリドなどをはじめとするドーパミン作動薬と、ドーパ脱炭酸酵素阻害薬(dopa decarboxylate inhibitors)と、セレギリン(selegilene)およびラサギリン(rasagilene)などのMAO-B阻害剤と、抗コリン薬と、アマンタジンとが挙げられる。
【0232】
筋萎縮性側索硬化(ALS/ルー・ゲーリック病)は、運動ニューロンが選択的に変性対象になる疾患である。例示的なALS療法としては、リルゾール、バクロフェン、ジアゼパム、トリヘキシフェニジル、およびアミトリプチリンが挙げられる。
【0233】
その他の例示的な神経変性治療薬としては、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび幹細胞が挙げられる。
【0234】
創傷治癒
創傷は、細胞または組織損傷によって特徴付けられる病状の一種である。創傷治癒は、至適には、組織の完全性と機能の修復をもたらす動的過程である。創傷治癒過程は、3つの重複する段階からなる。第1段階は、恒常性維持、血小板凝集、および脱顆粒によって特徴付けられる炎症期である。最初の応答としての血小板は、複数の成長因子を放出して、免疫細胞、上皮細胞、および内皮細胞を動員する。炎症期は、典型的に0~5日間にわたって起きる。創傷治癒の第2段階は、その間にマクロファージおよび顆粒球が創傷に侵入する、増殖期である。浸潤性線維芽細胞は、コラーゲンを産生し始める。この時期の原則的特徴は、上皮化、血管新生、肉芽組織形成、およびコラーゲン産生である。増殖期は、典型的に3~14日間にわたって起きる。第3段階は、マトリックス形成が起きる再構築期である。線維芽細胞、上皮細胞、および内皮細胞は、再構築のために、コラーゲンおよびコラゲナーゼ、ならびにマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を産生し続ける。コラーゲン架橋が生じて、創傷を収縮させる。再構築期は、典型的に7日目~1年間にわたって起きる。
【0235】
本明細書に記載される化合物および組成物は、創傷治癒を促進させる(例えば創傷閉鎖および/または創傷治癒を促進または加速させ、創傷組織および/またはその周辺の瘢痕線維症を軽減し、創傷周囲または近接細胞のアポトーシスを阻害する)ために使用し得る。したがって、特定の実施形態では、本発明は、化合物(例えばCRM1阻害剤)、またはその薬学的に許容可能な塩または組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象中で創傷治癒を促進する方法を提供する。方法は、創傷の完全な治癒または閉鎖を達成する必要はなく;方法は、あらゆる程度の創傷閉鎖を促進するれば十分である。この点において、方法は、負傷組織治癒のために、単独でまたはその他の方法の補助剤として用い得る。
【0236】
本明細書に記載される化合物および組成物を使用して、炎症期(または初期)、創傷治癒増殖期(または中期)、および/または創傷治癒再構築期(または後期)において、創傷を治療し得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、創傷治癒を必要とする対象は、ヒトまたは、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、またはマウスのような齧歯類などの動物である。
【0238】
いくつかの実施形態では、創傷治癒に有用な本明細書に記載される化合物および組成物は、例えば創傷部位に近接して局所投与され、または全身投与される。
【0239】
より具体的には、本明細書に記載される化合物または組成物の治療有効量は、創傷を被覆することで、または、本明細書に記載される化合物または組成物で被覆または処理された、絆創膏、充填材料、縫合などを施用することで、(任意選択的にその他の薬剤と組み合わせて)創傷部位に投与し得る。したがって本明細書に記載される化合物および組成物は、表面創傷を治療する局所投与のために調合し得る。局所製剤としては、口を介した(バッカル)送達製剤、本明細書に記載される化合物または組成物を皮膚層(すなわち表皮、真皮、および/または皮下層)に接触させる皮膚送達製剤が挙げられる。局所送達系を使用して、本明細書に記載される化合物および組成物の局所製剤を投与してもよい。
【0240】
代案としては、本明細書に記載される化合物および組成物は、例えば本明細書に記載される化合物または組成物を含んでなる、溶液の注射、持続放出調合物の注射、または生分解性移植片の導入によって、創傷部位またはその近くに投与し得る。
【0241】
本明細書に記載される化合物および組成物を使用して、急性創傷または慢性創傷を治療し得る。慢性創傷は、正常な修復過程が中断されると生じる。慢性創傷は、無認識の持続性感染または不十分な一次処置の結果として、急性損傷から生じ得る。しかしほとんどの場合、慢性損傷は、静脈、動脈、または代謝血管疾患、褥瘡、放射線障害、または腫瘍に起因する、進行性組織破壊の終末期である。
【0242】
慢性創傷では、糖尿病性潰瘍における不適当な循環、火傷や感染症などにおける顕著な壊死をはじめとする、多様な理由から治癒が起きない。これらの慢性創傷では、生存または回復期が律速段階であることが多い。細胞はもはや生存できず、したがって最初の回復期は、好ましくない創傷床環境によって延長される。
【0243】
慢性創傷としては、慢性虚血性皮膚病変;強皮症潰瘍;動脈潰瘍;糖尿病性足部潰瘍;褥瘡;静脈潰瘍;非治癒性下肢創傷;炎症状態に起因する潰瘍;および/または長期にわたる創傷が挙げられるが、これに限定されるものではない。慢性創傷のその他の例としては、慢性潰瘍、糖尿病性創傷、糖尿病性ニューロパシーによって引き起こされる創傷、静脈不全、および動脈不全、および圧迫創傷、および低温および中温火傷が挙げられる。慢性創傷のなおもその他の例としては、慢性潰瘍、糖尿病性創傷、糖尿病性ニューロパシーによって引き起こされる創傷、静脈不全、動脈不全、および圧迫創傷が挙げられる。
【0244】
急性創傷としては、術後創傷、挫創、痔疾、および裂傷が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0245】
特定の実施形態では、対象における、糖尿病性創傷治癒のために、または糖尿病または虚血に続発する下肢および足部潰瘍治癒を加速するために、本明細書に記載される化合物および組成物を使用し得る。
【0246】
一実施形態では、創傷は外傷である。別の実施形態では、創傷は手術創(例えば腹部または胃腸手術創)である。さらなる実施形態では、創傷は火傷である。さらに別の実施形態では、創傷は放射線被曝の結果である。
【0247】
本明細書に記載される化合物および組成物はまた、糖尿病性創傷の治癒、胃腸創傷の治癒、または例えば手術に起因する癒着の治癒のために使用し得る。
【0248】
本明細書に記載される化合物および組成物を使用して、別の疾患に続発する創傷もまた回復させ得る。例えば乾癬および皮膚炎などの炎症性皮膚疾患においては、疾患に続発して、皮膚の深い亀裂によって、または皮膚を掻くことで引き起こされる、多数の皮膚病変事象がある。本明細書に記載される化合物および組成物を使用して、これらの疾患に続発する、例えば乾癬や皮膚炎のような炎症性皮膚疾患などの創傷を回復させ得る。
【0249】
さらなる実施形態では、創傷は内傷である。特定の態様では、内傷は慢性創傷である。別の特定の態様では、創傷は血管創傷である。さらに別の特定の態様では、内傷は潰瘍である。内傷の例としては、美容整形美と関連する瘻孔および内部創傷、内的徴候、クローン病、潰瘍性大腸炎、内部縫合糸、および骨格修復が挙げられるが、これに限定されるものではない。内傷のその他の例としては、美容整形と関連する瘻孔および内傷、内的徴候、内部縫合糸、および骨格修復が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0250】
創傷の例としては、擦過傷、裂離、開放性気胸症(すなわち開放気胸)、火傷創傷、挫傷、銃創、切創、解放創、貫通創、穿孔創、穿刺創、串線創、刺創、手術創、皮下創傷、糖尿病性病変、または接線創が挙げられるが、これに限定されるものではない。本明細書に記載される化合物および組成物によって治療し得る創傷の追加的な例としては、熱傷、化学火傷、急性病状または創傷、化学的火傷、照射火傷、過剰な紫外線照射への曝露によって引き起こされる火傷(例えば日光皮膚炎);陣痛および出産の結果としての会陰などの身体組織への損傷;会陰切開術などの医学的手技中に受けた損傷;切断、切開、表皮剥離をはじめとする、外傷誘発性損傷;事故から受けた損傷;術後の損傷、ならびに褥瘡、床擦れ、糖尿病および芳しくない循環関連の病状、および全てのタイプの座瘡などの慢性病状が挙げられる。さらに創傷としては、膿痂疹や間擦疹や毛嚢炎や湿疹などの皮膚炎、歯科手術に続く創傷;歯周病;外傷に続く創傷;および腫瘍関連創傷が挙げられる。創傷のなおもその他の例としては、動物咬創、動脈疾患、昆虫刺症と咬創、骨感染症、損傷皮膚/筋移植、壊疽、皮膚裂傷または裂創、皮膚老化、回復が遅いまたは非治癒性の手術創をはじめとする外科的切開、脳内出血、動脈瘤、皮膚無力症、および術後感染症が挙げられる。
【0251】
好ましい実施形態では、創傷は、火傷、切創、開放創、手術創または手術後創、糖尿病性病変、熱傷、化学火傷、放射線火傷、褥瘡、床擦れ、および糖尿病または芳しくない循環に関連した病状からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、創傷は、切創、開放創、外科的または術後創傷、糖尿病性病変、褥瘡、床ずれ、および糖尿病または芳しくない循環に関連する病状または創傷からなる群から選択される。
【0252】
いくつかの実施形態では、創傷は、非放射線火傷、切創、開放創、手術創または手術後創、糖尿病性病変、熱傷、化学火傷、褥瘡、床擦れ、および糖尿病または芳しくない循環に関連した病状からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、創傷は、切創、開放創、外科的または術後創傷、糖尿病性病変、褥瘡、床ずれ、および糖尿病または芳しくない循環に関連する病状からなる群から選択される。
【0253】
本開示はまた、対象において創傷治癒中に瘢痕形成を軽減させる方法および組成物にも関する。本明細書に記載される化合物および組成物は、創傷および/またはその周辺で、瘢痕形成を軽減させるのに有効な量で、直接創傷に、または創傷に近接する細胞に投与し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えばCRM1阻害物質)、またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象において創傷治癒中に瘢痕形成を低下させる方法が提供される。
【0254】
創傷としては、対象の身体のあらゆる部分に対する、あらゆる傷害が挙げられる。実施形態に従って、熱傷に罹患している対象中で、瘢痕形成を改善し、軽減させ、または低下させる方法が提供される。好ましい実施形態に従って、急性または慢性創傷または傷害に罹患している対象中で、肥大性瘢痕を治療し、出現を低減し、または発症確率を低下させる方法が提供される。
【0255】
その他の障害
本明細書に記載される化合物および組成物はまた、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束性心筋症、肺線維症、肝線維症、糸球体腎炎、およびその他の腎障害をはじめとする、異常組織増殖および線維症障害を治療するのにも使用してもよい。
【0256】
併用放射線療法
本明細書に記載される化合物および組成物は、放射線増感剤として有用である。したがって本明細書に記載される化合物および組成物は、放射線療法と組み合わせて投与し得る。放射線療法は、腫瘍を縮小させて、悪性細胞を殺滅するための、高エネルギー照射(例えばX線、ガンマ線、荷電粒子)の医学的使用であり、一般にがん治療法の一部として使用される。放射線療法は、それらのDNAを損傷することで悪性細胞を殺滅する。
【0257】
放射線療法は、いくつかの方法で患者に送達し得る。例えば照射は、外部ビーム放射線療法におけるように、患者の身体の外部の装置などの外部線源から送達し得る。がん治療のための外部ビーム放射線療法は、典型的に、60Co、137Csなどの放射性同位体、または線形加速器などの高エネルギーX線源のいずれかである、患者の外部にある放射線源を使用する。外部線源は、患者の腫瘍部位に向けて平行ビームを生じる。外部線源放射線療法は、内部線源放射線療法の問題のいくつかを回避するが、それは腫瘍性組織と共に、放射線ビーム経路中で、望ましくなくかつ必然的に大量の非腫瘍性または健康な組織を照射する。
【0258】
健康な組織を照射することの有害な影響は、ビームで腫瘍部位をカバーしながら、外部放射線ビームを多様な「ガントリー」角度で患者に投射することにより、腫瘍性組織中の所与の放射線量を保ちながら低下させ得る。放射線ビームの経路に沿った健康な組織の特定の体積要素は変化して、治療全体における健康な組織のこのような各要素に対する総線量が低下する。
【0259】
健康な組織の照射はまた、放射線ビーム軸に垂直な腫瘍断面全体に対して、放射線ビームを厳密に視準することによっても低下させ得る。このような外周視準を生じる多数のシステムが存在し、そのいくつかは、任意の輪郭の放射線不透過性マスクを区分的に生じ得る複数のスライド式シャッターを利用する。
【0260】
外部ビーム照射の投与のために、線量は、治療容積に対して、少なくとも隔日1回、少なくとも約1グレイ(Gy)画分であり得る。特定の実施形態では、照射は、少なくとも1日1回、少なくとも約2グレイ(Gy)画分で、治療容積に投与される。別の特定の実施形態では、照射は、週あたり連続して5日間にわたり、少なくとも1日1回、少なくとも約2グレイ(Gy)画分で治療容積に投与される。別の特定の実施形態では、照射は、隔日、週に3回、10Gy画分で治療容積に投与される。別の特定の実施形態では、少なくとも合計約20Gyが、それを必要とする患者に投与される。別の特定の実施形態では、少なくとも合計約30Gyが、それを必要とする患者に投与される。別の特定の実施形態では、少なくとも約40Gyが、それを必要とする患者に投与される。
【0261】
典型的に患者は、外部ビーム治療法を週に4または5回受ける。全治療過程は、がんのタイプと治療目的に応じて、通常は、1~7週間にわたる。例えば2Gy/日の用量を、患者に30日間にわたり投与し得る。
【0262】
内部放射線療法は局在性放射線療法であり、放射線源は腫瘍部位または患部に配置される。内部放射線療法は、放射線源を、治療を要する領域の内部または隣に配置させることで送達し得る。内部放射線療法は、近接照射療法とも称される。近接照射療法としては、腔内療法および間質内療法が挙げられる。腔内療法では、放射線源を収容する容器が、腫瘍に入れられまたはその近くに置かれる。放射線源は、体腔に入れられる。間質内療法では、放射線源のみが腫瘍に入れられる。これらの放射線源は、患者の中に恒久的に留まり得る。典型的に放射線源は、数日後に患者から取り出される。放射線源は、容器内にある。
【0263】
放射性医薬品を投与する、いくつかの方法がある。例えば放射性医薬品は、放射性標識抗体、放射性標識ペプチド、およびリポソーム送達系などの標的化放射性複合体の標的化送達または全身性送達によって投与し得る。標的化送達の特定の一実施形態では、放射標識医薬品は放射標識抗体であり得る。例えばその内容を参照によって本明細書に援用する、Cancer Res.,2001;61:2008-2014 and Goldenber,D.M.J.Nucl.Med.,2002;43(5):693-713を参照されたい。
【0264】
標的化送達の別の特定の実施形態では、放射性医薬品は、小型単層小胞、大型単層小胞、および多重膜小胞などのリポソーム送達系の形態で投与し得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの多様なリン脂質から生成され得る。例えばその内容を参照によって本明細書に援用する、Emfietzoglou D,Kostarelos K,Sgouros G.An analytical dosimetry study for the use of radionuclide-liposome conjugates in internal radiotherapy.J Nucl Med 2001;42:499-504を参照されたい。
【0265】
標的化送達のさらに別の特定の実施形態では、放射性標識医薬品は、放射性標識ペプチドであり得る。例えばその内容を参照によって本明細書に援用する、Weiner RE,Thakur ML.Radiolabeled peptides in the diagnosis and therapy of oncological diseases.Appl Radiat Isot 2002 Nov;57(5):749-63を参照されたい。
【0266】
標的化送達に加えて、近接照射療法を使用して、放射性医薬品を標的部位に送達し得る。近接照射療法は、腫瘍部位の可能な限り近くに、放射線源を置く技術である。往々にして線源は、腫瘍に直接挿入される。放射線源は、ワイヤ、シードまたはロッドの形態であり得る。一般に、セシウム、イリジウムまたはヨウ素が使用される。
【0267】
全身放射線療法は、別のタイプの放射線療法であり、血中の放射性物質の使用を伴う。全身放射線療法は、標的療法の一形態である。全身放射線療法では、患者は、典型的に、放射性ヨウ素などの放射性物質、またはモノクローナル抗体に結合した放射性物質を摂取し、または注射される。
【0268】
本明細書で定義される「放射性医薬品」は、少なくとも1つの放射線放出性放射性同位体を含有する医薬品を指す。放射性医薬品は、慣例的に、様々な疾患の診断および/または治療ために核医学で使用される。例えば放射標識抗体などの放射標識医薬品は、放射線源の役割を果たす放射性同位体(RI)を含有する。本明細書における意図では、「放射性同位体」という用語は、金属および非金属放射性同位体を含む。放射性同位体は、放射性標識医薬品の医療用途に基づいて選択される。放射性同位体が、金属放射性同位体である場合、キレート化剤が典型的に用いられて、金属放射性同位体を分子残部に結合する。放射性同位体が非金属放射性同位体である場合、非金属放射性同位体は、典型的に、分子残部直接結合し、またはリンカーによって結合する。
【0269】
本明細書の用法では,「金属放射性同位体」は、生体内または試験管内治療または診断手順で有用なあらゆる適切な金属放射性同位体である。適切な金属放射性同位体としては、アクチニウム-225、アンチモン-124、アンチモン-125、ヒ素-74、バリウム-103、バリウム-140、ベリリウム-7、ビスマス-206、ビスマス-207、ビスマス-212、ビスマス-213、カドミウム-109、カドミウム-115m、カルシウム-45、セリウム-139、セリウム-141、セリウム-144、セシウム-137、クロム-51、コバルト-55、コバルト-56、コバルト-57、コバルト-58、コバルト-60、コバルト-64、銅-60、銅-62、銅-64、銅-67、エルビウム-169、ユウロピウム-152、ガリウム-64、ガリウム-67、ガリウム-68、ガドリニウム-153、ガドリニウム-157金-195、金-199、ハフニウム-175、ハフニウム-175-181、ホルミウム-166、インジウム-110、インジウム-111、イリジウム-192、鉄55、鉄-59、クリプトン-85、鉛-203、鉛-210、ルテチウム-177、マンガン-54、水銀-197、水銀-203、モリブデン-99、ネオジム-147、ネプツニウム-237、ニッケル-63、ニオブ-95、オスミウム-185+191、パラジウム-103、パラジウム-109、白金-195m、プラセオジム-143、プロメチウム-147、プロメチウム-149、プロトアクチニウム-233、ラジウム-226、レニウム-186、レニウム-188、ルビジウム-86、ルテニウム-97、ルテニウム-103、ルテニウム-105、ルテニウム-106、サマリウム-153、スカンジウム-44、スカンジウム-46、スカンジウム-47、セレン-75、銀-110m、銀-111、ナトリウム-22、ストロンチウム-85、ストロンチウム-89、ストロンチウム-90、硫黄-35、タンタル-182、テクネチウム-99m、テルル-125、テルル-132、タリウム-204、トリウム-228、トリウム-232、タリウム-170、スズ-113、スズ-114、スズ-117m、チタン-44、タングステン-185、バナジウム-48、バナジウム-49、イッテルビウム-169、イットリウム-86、イットリウム-88、イットリウム-90、イットリウム-91、亜鉛-65、ジルコニウム-89、およびジルコニウム-95が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0270】
本明細書の用法では,「非金属放射性同位体」は、生体内または試験管内治療または診断手順で有用なあらゆる適切な非金属放射性同位体(非金属放射性同位体)である。適切な非金属放射性同位体としては、ヨウ素-131、ヨウ素-125、ヨウ素-123、リン-32、アスタチン-211、フッ素-18、炭素-11、酸素-15、臭素-76、および窒素-13が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0271】
放射線療法のために最も適切な同位体を同定するには、多様な要因の検討が必要である。これらとしては、腫瘍取り込みおよび保持、血液クリアランス、照射送達速度、放射性同位体半減期および比活性、および経済的な放射性同位体の大規模生産の実現可能性が挙げられる。治療用放射性医薬品の要点は、管理し難い副作用を引き起こさずに、必要な照射用量を腫瘍細胞に送達して、細胞毒性または殺腫瘍効果を達成することである。
【0272】
治療用放射性同位体の物理半減期は、腫瘍部位における放射性医薬品の生物学的半減期と同様であることが好ましい。例えば放射性同位体の半減期が短すぎる場合、崩壊の大半は、放射性医薬品が最大標的/背景比に達する前に起きる。他方、長すぎる半減期は、正常組織に対して不要な放射線量を引き起こし得る。理想的には、放射性同位体は、十分長い半減期を有して、最小線量率を達成し、細胞周期中の最も照射感受性の高い段階で、全ての細胞を照射すべきである。これに加えて放射性同位体の半減期は、製造、リリース、および輸送に十分な時間を与えるのに、十分長くなくてはならない。
【0273】
腫瘍治療法において、特定用途のために放射性同位体を選択する上での、別の実用的考察は、入手可能性および品質である。放射性医薬品の放射性標識および放射化学純度には、痕跡量の不純物が影響を及ぼし得るため、純度は十分高く再現可能でなくてはならない。
【0274】
腫瘍中の標的受容体部位は、典型的に数が限られている。したがって放射性同位体は、高い比活性を有することが好ましい。比活性は、主に製造法に左右される。微量金属汚染物質は、キレート化剤について、放射性同位体と往々にして競合し、またそれらの金属複合体は、受容体結合について、放射性標識キレート剤と競合するために、最小化されなくてはならない。
【0275】
本発明の方法で使用するのに適した照射タイプは、変動し得る。例えば照射は、本質的に電磁または微粒子であり得る。本発明の実施において有用な電磁放射としては、X線およびガンマ線が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の実施で有用な微粒子照射としては、電子ビーム(ベータ粒子)、プロトンビーム、中性子ビーム、アルファ粒子、および負のパイ中間子が挙げられるが、これに限定されるものではない。照射は、従来の放射線学的治療装置および方法を使用して、および術中および定位固定法によって送達し得る。本発明の実施で使用するのに適した放射線治療に関する追加的な考察はSteven A.Leibel et al.,Textbook of Radiation Oncology(1998)(W.B.Saunders Companyによる出版)の全体を通じて記載され、特に第13章および14章に記載される。照射はまた、例えば放射性「シード」による、または標的化放射性複合体の全身性送達による、標的化送達などのその他の方法によって送達し得る。J.Padawer et al.,Combined Treatment with Radioestradiol lucanthone in Mouse C3HBA Mammary Adenocarcinoma and with Estradiol lucanthone in an Estrogen Bioassay,Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.7:347-357(1981)。その他の照射送達法も、本発明実施で使用し得る。
【0276】
腫瘍療法のために、αおよびβ粒子放出体の双方が調査されている。アルファ粒子は、1または2細胞直径内に大量のエネルギーを散逸するため、特に優れた細胞毒性薬である。β粒子放出体は、エネルギーレベル次第で、比較的長い透過範囲(組織中で2~12mm)を有する。長い透過範囲は、不均一の血流および/または受容体発現を有する固形腫瘍で、特に重要である。β粒子放出体は、それらが標的組織内で不均一に分布している場合でさえも、より均質な線量分布をもたらす。
【0277】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物の治療有効量を放射線療法の治療有効量と組み合わせて投与して、がん(例えば非小細胞肺がんなどの肺がん)を治療する。必要な照射量は、特定のタイプのがんのための既知の用量に基づいて、当業者によって判定され得る。例えばCancer Medicine 5th ed.,Edited by R.C.Bast et al.,July 2000,BC Deckerを参照されたい。
【0278】
上の開示は、本発明について概説する。以下の特定の実施例を参照して、より完全な理解が得られ得る。これらの実施例は、例証のみを目的として記載され、本発明の範囲を限定することは意図されない。状況に応じて、または好都合であれば、形態の変更および同等物の置換が検討される。本明細書では、特定の用語が用いられているが、このような用語は記述的観念であることが意図され、限定目的ではない。
【実施例】
【0279】
略称
aq. 水性
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq. 同等物
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
g グラム
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
Me メチル
mg ミリグラム
min 分間
mL ミリリットル
NMM N-メチルモルホリン
NMR 核磁気共鳴
Ph フェニル
THF テトラヒドロフラン
tR 滞留時間
【0280】
このような方法の以下の説明全体を通じて、適切な場合は、有機合成の当業者に容易に理解される様式で、様々な反応物質および中間体に、適切な保護基が付加され、引き続いてそれから除去されるものと理解される。このような保護基を使用する従来の手順、ならびに適切な保護基の例は、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis”,T.W.Green,P.G.M.Wuts,Wiley-Interscience,New York,(1999)に記載される。化学処理による、基または置換基から別の基または置換基への変換が、最終生成物に向かう合成経路上のあらゆる中間体または最終生成物に対して実施され得ることもまた理解され、その中では、可能なタイプの変換は、変換に用いられる条件または試薬に対する、その段階で分子が有するその他の官能基の固有の不適合性によってのみ制限される。このような固有の不適合性と、それらを適切な変換および合成段階を適切な順番で実施することによって回避する方法は、有機合成の当業者には容易に理解されるであろう。変換の例は下述され、記載される変換は、それについて変換が例示される、一般的な基または置換基のみに限定されないものと理解される。その他の適切な変換に関する参考文献および説明は、“Comprehensive Organic Transformations-A Guide to Functional Group Preparations”R.C.Larock,VHC Publishers,Inc.(1989)にある。その他の適切な反応に関する参考文献および説明は、例えば、“Advanced Organic Chemistry”,March,第4版McGraw Hill(1992)、または“Organic Synthesis”,Smith,McGraw Hill,(1994)などの有機化学教科書に記載される。中間体および最終製品を精製する技術としては、例えば、カラムまたは回転板上の順相および逆相クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、および液体-液体または固体-液体抽出が挙げられ、これらは当業者には容易に理解されるであろう。置換基および基の定義は、異なって定義される場合を除き、式Iのとおりである。「室温」および「周囲温度」という用語は、特に断りのない限り、16~25℃の温度を意味するものとする。「還流」という用語は、特に断りのない限り、用いられた溶媒に関して、指名された溶媒の沸点以上の温度を意味するものとする。
【0281】
実施例1.合成手順
3-(3-(3、5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(100)の合成:
【化14】
3-エトキシ-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(2)の合成:
2-ピリジルアセトニトリル(1)(1.00g、8.46mmol)およびオルトギ酸トリエチル(1.25g、8.46mmol)を室温で無水酢酸(1.73g、16.93mmol)に添加した。得られた反応混合物を100°Cで3時間加熱して室温に冷却し、水(500mL)で希釈して、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させて減圧下で濃縮し,800mgの粗製3-エトキシ-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(2)を得て、それをさらに精製せずに次のステップで使用した。収率(34%)、LCMS:m/z175.20[M+H]
+,t
R=1.52min.
【0282】
3-ヒドラジニル-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(3)の合成:
3-エトキシ-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(2)(800mg、4.59mmol)およびヒドラジン水和物(230mg、4.59mmol)を室温で水(8mL)に添加した。反応混合物を80°Cで1時間加熱して室温に冷却し、水(500mL)で希釈して、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮し、435mgの粗製3-ヒドラジニル-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(3)を得て、それをさらに精製せずに次のステップで使用した。収率(42%)、LCMS:m/z161.18[M+H]+,tR=0.24min.
【0283】
メチル3、5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミドチオ酸(5)の合成:
3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾチオアミド(4)(15.0g、54.91mmol)およびヨウ化メチル(38.97g、274.53mmol、17.1mL)を0°Cでジエチルエーテル(120mL)に添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。固体生成物を濾過して乾燥し、メチル3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミドチオ酸(5)を得た。収率(8g,51%)、1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.51(s,1H),8.44(s,2H),2.72(s,3H).
【0284】
メチル-N’-(2-シアノ-2-(ピリジン-2-イル)ビニル)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミドヒドラジド(6)の合成:
メチル3、5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミドチオ酸(5)(300mg、1.04mmol)および3-ヒドラジニル-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(3)(184mg、1.15mmol)を室温でジメチルホルムアミド(1.5mL)に添加した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を水(500mL)で希釈して、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をで洗浄し鹹水、無水Na2SO4上で乾燥させて減圧下で濃縮し、400mgの粗製N’-(2-シアノ-2-(ピリジン-2-イル)ビニル)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミドヒドラジド(6)を得て、それをさらに精製せずに次のステップで使用した。収率:96%。
【0285】
3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(100)の合成:
N’-(2-シアノ-2-(ピリジン-2-イル)ビニル)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミドヒドラジド(6)(400mg、1.00mmol)およびオルトギ酸トリエチル(148mg、1.00mmol)を室温で酢酸(2mL)に添加した。反応混合物を100°Cで30分間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を水(500mL)で希釈して、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-2-イル)アクリロニトリル(100)をもたらした。収率(100mg、24%)。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.11(s,1H),9.05-9.01(m,3H),8.68-8.67(m,1H),8.47-8.45(m,2H),8.05-8.00(m,1H),7.36-7.33(m,1H).LCMS:m/z410.29[M+H]+,tR=2.71min.
【0286】
(E)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリレート(101)の合成:
基本手順1:鈴木クロスカップリング
【化15】
(Z)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(7)(1.0g、2.0mmol)、ピリジン3-ボロン酸(0.39g、3.20mmol)、および炭酸セシウム(1.38g,4.0mmol)水溶液(5mL)を室温でジオキサン(20mL)に添加して脱気し、N
2でパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.23g、0.2mmol)を反応混合物に添加して、得られた混合物を脱気してN
2でパージした。反応混合物を50℃で12時間撹拌した。反応混合物を水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗生成物を(ヘキサン中の10%EtOAc)を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、(E)-イソプロピル3-(3-(3、5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリレート(101)を得た。収率(0.399g、40%)、
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.16(s,1H),8.58(s,2H),8.48(s,1H),8.23(s,1H),8.06(s,2H),7.74(d,J=7.2Hz,1H),7.48-7.45(m,1H),5.12-5.06(m,1H),1.28-1.26(m,6H).LCMS:m/z471.37[M+H]
+,t
R=2.73min.
【0287】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリロニトリル(102)、(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリル酸(103)および(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリルアミド(104)の合成:
【化16】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリル酸(103)の合成。
基本手順2:エステル加水分解
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリレート(101)(1.1g、2.3mmol)をTHF:H
2O(1:1)(11mL)およびLiOH.H
2O(0.29g、7.0mmol)溶液に0°Cで溶解した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を氷水に移し入れて、3MのHCl溶液(10mL)を使用して中和し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させた。有機層を減圧下で濃縮して、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中の6%MeOH)によって精製して(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリル酸(103)を得た。収率(0.42g、42%)、
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ13.33(s,1H),9.12(s,1H),8.59-8.56(m,2H),8.46(s,1H),8.23(s,1H),8.07(s,2H),7.74-7.70(m,1H),7.47-7.43(m,1H).LCMS:m/z429.29[M+H]
+,t
R=2.17min.
【0288】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリルアミド(104)の合成。
基本手順3:カルボン酸から一級アミドへの変換
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル-2-(ピリジン-3-イル)アクリル酸(103)(1g、2.3mmol)をTHF(10mL)に溶解して、0°Cに冷却した。溶液に、クロロギ酸イソブチル(0.49g、3.64mmol)、N-メチルモルホリン(0.33g、3.26mmol)を添加した 反応混合物を室温で30時間撹拌した。反応混合物を濾過して、アンモニアガスで0°Cで15分間にわたり濾液をパージした。反応混合物を氷水に移し入れて、化合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。有機層を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、0.370gの(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリルアミド(104)を得た。収率(0.370g、37%)、1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.99(s,1H),8.61-8.59(m,1H),8.45(s,1H),8.30(s,1H),8.22(s,1H),8.09(s,2H),7.71-7.69(m,1H),7.61(s,1H),7.48-7.45(m,1H),7.23(s,1H).LCMS:m/z428.30[M+H]+,tR=2.31min.
【0289】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリロニトリル(102)の合成。
基本手順4:一級アミドからニトリルへの変換
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリルアミド(104)(260mg、0.60mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)に溶解して、0°Cに冷却し、それにオキシ塩化リン(110mg、1.21mmol)を添加した。反応混合物を0°Cで1時間撹拌した、氷水に移し入れて、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリロニトリル(102)を得た。収率(0.08g、32%)、1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.04(s,1H),8.73(s,1H),8.68-8.67(m,1H),8.59(s,1H),8.28(s,1H),8.13(s,2H),8.00-7.97(m,1H),7.55-7.52(m,1H).LCMS:m/z410.0[M+H]+,tR=2.37min.
【0290】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリロニトリル(105)、イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリレート(106)、(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリル酸(107)、および(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(108)の合成:
【化17】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリレート(106)の合成:
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリレート(106)は、基本手順1を使用して合成された。収率:9%、
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.13(s,1H),8.63-8.61(m,2H),8.54(s,1H),8.24(s,1H),8.06(s,2H),7.34-7.32(m,2H),5.10-5.06(m,1H),1.27-1.25(m,6H).LCMS:m/z471.5[M+H]
+,t
R=2.73min.
【0291】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリル酸(107)の合成:
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリル酸(107)は、基本手順2を使用して合成された。収率:52%、1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ13.38(s,1H),9.12-9.08(m,1H),8.63-8.53(m,3H),8.25-8.22(m,1H),8.10-8.06(m,2H),7.35-7.31(m,2H).LCMS:m/z429.11[M+H]+,tR=2.01min.
【0292】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(108)の合成
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(108)は、基本手順3を使用して合成された。収率:33%、1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.95(s,1H),8.66-8.62(m,2H),8.24-8.23(m,2H),8.09(s,2H),7.63(s,1H),7.31-7.29(m,2H),7.18(s,1H).LCMS:m/z428.16[M+H]+,tR=2.10min.
【0293】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリロニトリル(105)の合成:
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-4-イル)アクリロニトリル(105)は、基本手順4を使用して合成された。収率:58%、1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.16(s,1H),9.04(s,1H),8.77-8.75(m,2H),8.61(s,2H),8.38(s,1H),7.72-7.70(m,2H).LCMS:m/z410.1[M+H]+,tR=2.64min.
【0294】
イソプロピル(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリレート(109)、(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリロニトリル(110)、および(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリルアミド(111)の合成
【化18】
イソプロピル(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリレート(109)の合成:
イソプロピル(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリレート(109)は、(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N,N-ジメチル-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(113)の合成について詳述される基本手順5を使用して合成された。収率:54%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.27(s,1H),9.12(s,1H),8.59(s,1H),8.27(s,1H),8.22(s,2H),7.88(s,1H),5.13-5.01(m,1H),1.25(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z477.18[M+H]
+,t
R=2.94min.
【0295】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリル酸(8)の合成:
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリル酸(8)は、基本手順2を使用して合成され、粗生成物は、次の段階で精製なしに使用された。
【0296】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリルアミド(111)の合成:
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリルアミド(111)は、基本手順3を使用して合成された。収率:55%。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.26(s,1H),9.97(s,1H),8.26-8.22(m,4H),7.87(s,1H),7.70(s,1H),7.50(s,1H).LCMS:m/z434.21[M+H]+,tR=2.28min.
【0297】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリロニトリル(110)の合成:
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(チアゾール-2-イル)アクリロニトリル(110)は、基本手順4を使用して合成された。収率:30%。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.36(s,1H),9.36(s,1H),9.09(s,1H),8.53(s,1H),8.42(s,2H),8.35(s,1H),8.30(s,1H).LCMS:m/z416.01[M+H]+,tR:2.69min.
【0298】
(E)-(3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N,N-ジメチル-2-(ピリジン-3-イル)アクリルアミド(112)の合成:
【化19】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリジン-3-イル)アクリル酸(103)(0.15g、0.35mmol)は、室温でTHF(5mL)に溶解した。反応混合物を0℃に冷却し、クロロギ酸イソブチル(0.067mL、0.525mmol)を滴下して添加した。次に4-メチルモルホリン(0.04mL、0.52mmol)を添加した。反応混合物が室温になるまで放置して、30分間撹拌した。反応混合物を濾過して、濾液を0°Cに冷却した。ジメチルアミン(2NinTHF、2mL)を反応混合物に滴下して添加した。反応混合物を0°Cで15分間撹拌し、室温に加温して氷水に移し入れ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(0~5%MeOH:CH
2Cl
2)によって精製して,(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N,N-ジメチル-2-(ピリジン-3-イル)アクリルアミド(112)を得た。(収率:0.040g、25%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.82(s,1H),8.57(s,1H),8.56(s,1H),8.23(s,1H),8.21(s,2H),7.80(d,J=11.6Hz,1H),7.68(s,1H),7.45-7.42(m,1H),2.97(s,3H),2.88(s,3H).LCMS:m/z456.61[M+H]
-,t
R=2.30min.
【0299】
(E)-(3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N,N-ジメチル-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(113)の合成:
【化20】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモ-N,N-ジメチルアクリルアミド(9)の合成:
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(7)(0.5g、1.16mmol)をTHF(10mL)に室温で溶解した。反応混合物を0℃に冷却して、クロロギ酸イソブチル(0.22mL、1.74mmol)を滴下して添加した。次にN-メチルモルホリン(0.19mL、1.74mmol)を反応混合物に添加して、5分間撹拌した。反応混合物を室温になるまで放置して、30分間撹拌し濾過した。濾液を0°Cに冷却して、ジメチルアミン(THF中の2N、2mL)を滴下して添加し、15分間撹拌した。反応混合物を室温になるまで放置して、氷水に移し入れ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(0~5%MeOH:CH
2Cl
2)によって精製して、(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモ-N,N-ジメチルアクリルアミド(9)を得た。(収率:0.2g、37%)。
1HNMR(400MHz,DMSOd
6)δ9.41(s,1H),8.70(s,1H),8.57(s,2H),8.32(s,1H),2.97(s,3H),2.88(s,3H).LCMS:m/z457.17[M+H]
-,t
R=2.55min.
【0300】
(E)-(3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N,N-ジメチル-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(113)の合成:
基本手順5:スティルカップリング
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモ-N,N-ジメチルアクリルアミド(9)(0.2g、0.437mmol)を室温で乾燥1,4-ジオキサン(10mL)に溶解して、N2を使用して30分間脱気した。4-(トリブチルスズ)ピリジン(0.19g、0.524mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g、0.0437mmol)を添加して、反応混合物を90°Cで2時間加熱し、次に室温に冷却した。反応混合物を氷水およびに移し入れ、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得て、それをカラムシリカゲルクロマトグラフィーを使用して(0~5%MeOH:CH2Cl2)によって精製して,(E)-(3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N,N-ジメチル-2-(ピリジン-4-イル)アクリルアミド(113)を得た。(収率:0.05g、25%)。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.02(s,1H),8.67(d,J=5.6Hz,2H),8.52(s,2H),8.33(s,1H),8.21(s,1H),7.49(d,J=6Hz,2H),3.10(s,3H),2.85(s,3H).LCMS:m/z456.31[M+H]+,tR=2.20min.
【0301】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アクリルアミド(114)の合成:
【化21】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アクリルアミド(114)は、基本手順3を使用して合成された。(収率:0.01g、33%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.79(s,1H),8.45(s,2H),8.28(s,1H),7.84(s,1H),7.75(s,1H),7.57(s,1H),7.48(s,1H),7.27(s,1H),3.84(s,3H).LCMS:m/z431.21[M+H]
+,t
R=2.22min.
【0302】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリレート(115)の合成:
基本手順6:鈴木カップリング - 方法2
【化22】
イソプロピル-(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(7)(0.7g、1.48mmol)、ピリミジン5-ボロン酸(0.22g、1.77mmol)、および酢酸カリウム(0.43g、4.4mmol)水溶液(3.0mL)を室温でジオキサン(15mL)に添加し、脱気してN
2でパージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.1g、0.14mmol)を添加して、反応混合物を脱気し、N
2でパージした。反応混合物を100°Cで12時間撹拌し、水(150mL)で希釈して、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の30%EtOAc)によって精製し、イソプロピル-(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリレート(115)を得た。(収率:0.2g、20%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.26(s,1H),9.20(s,1H),8.79(s,2H),8.68(s,1H),8.26(s,1H),8.07(s,2H),5.13-5.07(m,1H),1.27(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z472.22[M+H]
+,t
R=2.73min.
【0303】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル)アクリレート(116)の合成:
【化23】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(3、5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル)アクリレート(116)は、基本手順6を使用して合成された。(収率:0.2g、20%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.21(s,1H),8.63(s,1H),8.29(s,3H),5.10-5.07(m,1H),2.16(s,3H),1.98(s,3H),1.27(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z489.22[M+H]
+,t
R=2.95min.
【0304】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)アクリル酸(117)の合成
【化24】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(3、5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)アクリル酸(117)は、基本手順2を使用して合成された。(収率:0.1g、50%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ13.37(s,1H),9.17(s,1H),8.63(s,1H),8.29(s,3H),2.15(s,3H),1.98(s,3H).LCMS:m/z447.23[M+H]
+,t
R=2.46min.
【0305】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)アクリルアミド(118)の合成:
【化25】
(E)-3-(3-(3、5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(3、5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)アクリルアミド(118)は、基本手順3を使用して合成された。(収率:0.015g、15%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.09(s,1H),8.39(s,1H),8.30(s,2H),8.27(s,1H),7.53(s,1H),7.37(s,1H)2.33(s,3H),2.17(s,3H).LCMS:m/z490.27[M+45]
+,t
R=2.37min.
【0306】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリレート(119)の合成:
【化26】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリレート(119)は、基本手順6を使用して合成された。(収率:0.2g、19%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.21(s,1H),8.63(s,1H),8.60(s,1H),8.37(s,1H),8.25(s,1H),8.07(s,2H),7.83-7.80(m,1H)5.10-5.07(m,1H),1.27(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z489.32[M+H]
+,t
R=2.91min.
【0307】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)アクリレート(120)の合成:
【化27】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)アクリレート(120)は、基本手順6を使用して合成された。(収率:0.14g、20%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.12(s,1H),8.51(s,1H),8.23(s,1H),8.14(s,2H),8.07(s,1H),7.62(dd,J
1,J
2=2.4Hz,1H),6.87(d,J=8.4Hz,1H),5.09-5.06(m,1H).3.89(s,3H),1.27(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z501.33[M+H]
+,t
R=3.06min.
【0308】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)アクリル酸(121)の合成:
【化28】
(E)-3-(3-(3、5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)アクリル酸(121)は、基本手順2を使用して合成された。(収率:0.1g、71%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ13.25(s,1H),9.09(s,1H),8.52(s,1H),8.23(s,1H),8.14(s,2H),8.06(s,1H),7.60(dd,J
1,J
2=2.4Hz,1H),6.86(dd,J
1,J
2=0.8Hz,1H),3.89(s,3H).LCMS:m/z459.21[M+H]
+,t
R=2.53min.
【0309】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(フラン-3-イル)アクリレート(122)の合成:
【化29】
イソプロピル(E)-3-(3-(3、5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(フラン-3-イル)アクリレート(122)は、基本手順6を使用して合成された。(収率:0.2g、21%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.93(s,1H),8.42(s,2H),8.26(d,J=10Hz,2H),7.86(s,1H),7.73(s,1H),6.41(dd,J
1,J
2=0.8Hz,1H),5.10-5.07(m,1H),1.30(d,J=6Hz,6H).
【0310】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリル酸(123)の合成:
【化30】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリル酸(123)は、基本手順2を使用して合成された。(収率:0.15g、19%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ13.52(s,1H),9.23(s,1H),9.18(s,1H),8.77(s,2H),8.69(s,1H),8.26(s,1H),8.07(s,2H).LCMS:m/z430.0[M+H]
+,t
R=2.21min.
【0311】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリルアミド(124)の合成:
【化31】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリルアミド(124)は、基本手順3を使用して合成された。(収率:0.03g、30%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.21(s,1H),9.14(s,1H),8.73(s,2H),8.43(s,1H),8.24(s,1H),8.06(s,2H),7.65(s,1H),7.40(s,1H).LCMS:m/z429.13[M+H]
+,t
R=2.14min.
【0312】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリル酸(125)の合成:
【化32】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリル酸(125)は、基本手順2を使用して合成された。(収率:0.07g、64%)。
1HNMR(400MHz,DMSOd
6)δ13.46(s,1H),9.18(s,1H),8.63(s,1H),8.58(s,1H),8.35(t,J=3.5Hz,1H),8.25(s,1H),8.07(s,2H),7.81-7.77(m,1H).LCMS:m/z447.3[M+H]
+,t
R=2.43min.
【0313】
3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(126)の合成:
【化33】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(126)は、基本手順3を使用して合成された。(収率:0.04g、66%)。
1HNMR(400MHz,DMSOd
6)δ9.08(s,1H),8.60(d,J=2.8Hz,1H),8.37(s,1H),8.43(t,J=1.6Hz,1H),8.23(s,1H),8.08(s,2H),7.78-7.74(m,1H),7.65(s,1H),7.24(s,1H).LCMS:m/z446.3[M+H]
-,t
R=2.32min.
【0314】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフロロメチル)フェニル)-1H-1,2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)アクリルアミド(127)の合成:
【化34】
(E)-3-(3-(3、5-ビス(トリフロロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)アクリルアミド(127)は、基本手順3を使用して合成された。(収率:0.05g、36%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.97(s,1H),8.23(d,J=10Hz,2H),8.16(s,2H),8.04(d,J=0.8Hz,1H),7.57(dd,J
1=2.4Hz,J
2=2.4Hz,2H),7.17(s,1H),6.88(d,J=8Hz,1H),3.90(s,3H).LCMS:m/z458.36[M+H]
+
.t
R=2.44min.
【0315】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(フラン-3-イル)アクリル酸(128)の合成:
【化35】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(フラン-3-イル)アクリル酸(128)は、基本手順2を使用して合成された。(収率:0.11g、81%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ13.31(s,1H),8.91(s,1H),8.42(s,2H),8.27(d,J=3.2Hz,2H),7.84(s,1H),7.70(s,1H),6.40(s,1H).LCMS:m/z416.25[M-H]
-,t
R=2.57min.
【0316】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(フラン-3-イル)アクリルアミド(129)の合成:
【化36】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1、2、4-トリアゾール-1-イル)-2-(フラン-3-イル)アクリルアミド(129)は、基本手順3を使用して合成された。(収率:0.05g、50%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.77(s,1H),8.43(s,2H),8.27(s,1H),7.91(s,1H),7.83(s,1H),7.74(s,1H),7.60(s,1H),7.46(s,1H).6.29(s,1H).
【0317】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アクリレート(130)の合成:
【化37】
イソプロピル(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アクリレート(130)は、基本手順1を使用して合成された。(収率:0.32g、13%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.96(s,1H),8.43(s,2H),8.29(s,1H),8.13(s,1H),7.92(s,1H),7.41(s,1H),5.10-5.07(m,1H),3.86(s,3H),1.31-1.24(m,6H).LCMS:m/z474.37[M+H]
+,t
R=2.86min.
【0318】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アクリル酸(131)の合成:
【化38】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アクリル酸(131)は基本手順2を使用して合成された。(収率:0.08mg、88%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ13.25(s,1H),8.93(s,1H),8.43(s,2H),8.28(s,1H),8.16(s,1H),7.90(s,1H),7.38(s,1H),3.86(s,3H).LCMS:m/z432.29[M+H]
+,t
R=2.32min.
【0319】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(132)の合成:
【化39】
イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ジブロモプロパン酸(12)の合成:(Z)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)アクリレート(11)(100g、254.4mmol)を室温でジクロロメタン(500mL)に溶解した。臭素(80g、500mmol)を0°Cで40分間かけて滴下して添加した。反応混合物が室温になるまで放置して、6時間撹拌した。反応混合物を氷水に移し入れ、CH
2Cl
2(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(500mL)とそれに続く鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させて、減圧下で濃縮し,イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ジブロモプロパン酸(12)を得て、それをさらに精製せずに次のステップで使用した。(130g、93%収率)。LCMS:m/z554.09[M+H]
+,t
R=1.95min.
【0320】
(Z)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(13)の合成:イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ジブロモプロパン酸(12)(120g、217mmol)をテトラヒドロフラン(350mL)に溶解し、0°Cに冷却した。トリエチルアミン(44g、434mmol)を添加して、混合物を室温で16時間にわたり撹拌した。反応混合物を水(120mL)で希釈して、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗生成物を石油エーテル中の8%EtOAcからの再結晶化によって精製し、(Z)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(13)を白色固体として得た(90g、88%収率)。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.46(s,1H),8.92(s,1H),8.56(s,2H),8.32(s,1H),5.13-5.07(m,1H),1.33(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z472.0[M+H]+,tR=2.10min.
【0321】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(14)の合成:(Z)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(13)(40g、85mmol)をテトラヒドロフラン(350mL)および水(85mL)に溶解した。水酸化リチウム水溶液(20mL、254mmol、12.7N)を0°Cで混合物に滴下して添加した。反応混合物を0°Cで1時間撹拌して水(100mL)中に注ぎ入れ、pH=3になるまでHCl(3N)で酸性化し、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて減圧下で濃縮し、石油エーテル中の20%EtOAcからの再結晶化によって精製して、(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(14)を白色固体として得た(27g、75%収率)。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.43(s,1H),8.89(s,1H),8.56(s,2H),8.31(s,1H).LCMS:m/z431.9[M+H]+,tR=1.85min.
【0322】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリルアミド(15)の合成:(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(14)(50g、34.9mmol)をTHF(400mL)およびクロロギ酸イソブチル(31.7g、224mmol)に溶解し、N-メチルモルホリン(17.8g、175.5mmol)を0°Cで添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。アンモニアガスを0°Cで40分間パージした。反応混合物を氷水に移し入れ、酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、それをEtOAcからの再結晶化によって精製して,42gの(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリルアミド(15)を得た。収率:85%。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.40(s,1H),8.70(s,1H),8.54(s,2H),8.29(s,1H),8.0-7.95(m,2H).LCMS:m/z429.0[M+H]+,tR=1.78min.
【0323】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(132)の合成:(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(132)は、基本手順6に従って合成された。収率:6%。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.08(s,1H),8.60(d,J=3Hz,1H),8.37(s,1H),8.32(s,1H),8.22(s,1H),8.08(s,2H),7.76(d,J=9Hz,1H),7.63(s,1H),7.24(s,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]+,tR=1.70min.
【0324】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリダジン-4-イル)アクリルアミド(133)の合成:
【化40】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリダジン-4-イル)アクリルアミド(133)は、基本手順6に従って合成された。収率:2%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.28(dd,J
1=5Hz,J
2=1Hz,1H),9.17-9.09(m,2H),8.40(s,1H),8.22(s,1H),8.02(s,2H),7.70-7.61(m,2H),7.36(s,1H).LCMS:m/z429.1[M+H]
+,t
R=1.54min.
【0325】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-フルオロピリジン-2-イル)アクリルアミド(134)の合成:
【化41】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-フルオロピリジン-2-イル)アクリルアミド(134)は、基本手順6に従って合成された。収率:40%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.17(s,1H),8.54(s,2H),8.32-8.23(m,2H),8.14-8.00(m,2H),7.91(s,1H),7.47-7.39(m,1H),7.24-7.17(m,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.84min.
【0326】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(135)の合成:
【化42】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(135)は、基本手順6に従って合成された。収率:14%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.90(s,1H),8.42(s,1H),8.34(d,J=4Hz,1H),8.19(s,2H),8.02(s,1H),7.97-7.88(m,1H),7.52-7.42(m,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.82min.
【0327】
(E)-2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)アクリルアミド(136)の合成。
【化43】
(E)-2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)アクリルアミド(136)。収率:25%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.01(s,1H),8.30(s,2H),8.25(s,1H),8.14(s,1H),8.07(s,2H),7.52(s,1H),7.40(s,1H),6.79(s,2H).LCMS:m/z444.1[M+H]
+,t
R=1.64min.
【0328】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリミジン-5-イル)アクリルアミド(137)の合成:
【化44】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリミジン-5-イル)アクリルアミド(137)は、基本手順6に従って合成された。収率:18%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.19(s,1H),8.75(s,2H),8.48(s,1H),8.25(s,1H),8.09(s,2H),7.67(s,1H),7.36(s,1H).LCMS:m/z447.1[M+H]
+,t
R=1.81min.
【0329】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(3-フルオロピリジン-4-イル)アクリルアミド(138)の合成:
【化45】
(E)-3-ビス(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(3-フルオロピリジン-4-イル)アクリルアミド(138)は、基本手順6に従って合成された。収率:3%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.78(s,1H),8.48(s,1H),8.41(d,J=5Hz,1H),8.34(s,1H),8.06(s,2H),7.92(s,1H),7.43-7.37(m,1H).LCMS:m/z446.0[M+H]
+,t
R=1.69min.
【0330】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(139)の合成:
【化46】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(139)は、基本手順6に従って合成された。収率:15%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.80(s,1H),8.37(s,1H),8.24(s,2H),8.19(d,J=2Hz,1H),8.03(s,1H),7.98-7.90(m,1H),7.27-7.19(m,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.84min.
【0331】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-4-イル)アクリルアミド(140)の合成:
【化47】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-4-イル)アクリルアミド(140)は、基本手順6に従って合成された。収率:29%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.79(s,1H),8.36-8.30(m,2H),8.23(s,2H),8.03(s,1H),7.33(d,J=5Hz,1H),7.17(s,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.84min.
【0332】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(141)の合成。
【化48】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(141)は、基本手順6に従って合成された。収率:31%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.10(s,1H),8.65(d,J=2Hz,1H),8.40(d,J=2Hz,1H),8.37(s,1H),8.22(s,1H),8.08(s,2H),7.98-91(m,1H),7.62(s,1H),7.27(s,1H).LCMS:m/z462.0[M+H]
+,t
R=1.76min.
【0333】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(143)の合成。
【化49】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(143)は、基本手順6に従って合成された。収率:24%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.09(s,1H),8.35(s,1H),8.30(d,J=2.0Hz,1H),8.22(s,1H),8.10(s,2H),7.80-7.74(m,1H),7.65-7.55(m,2H),7.24(s,1H).LCMS:m/z462.0[M+H]
+,t
R=1.77min.
【0334】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(144)の合成。
【化50】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(144)は、基本手順6に従って合成された。収率:4%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.89(s,1H),8.54-8.49(m,1H),8.42(s,1H),8.17(s,2H),8.03(s,1H),7.88-7.83(m,1H),7.57-7.52(m,1H).LCMS:m/z462.0[M+H]
+,t
R=1.70min.
【0335】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2,6-ジフルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(145)の合成:
【化51】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2,6-ジフルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(145)は、基本手順6に従って合成された。収率:5%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.80(s,1H),8.32(s,1H),8.12(s,2H),7.95-7.86(m,2H),7.01(dd,J
1=8Hz,J
2=2Hz,1H).LCMS:m/z464.0[M+H]
+,t
R=1.74min.
【0336】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-フェニルアクリルアミド(146)の合成:
【化52】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-フェニルアクリルアミド(146)は、基本手順6に従って合成された。収率:32%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.24(s,2H),8.11(s,1H),8.04(s,1H),7.90(s,1H),7.49-7.40(m,3H),7.30-7.21(m,2H).LCMS:m/z427.1[M+H]
+,t
R=2.10min.
【0337】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アクリルアミド(147)の合成:
【化53】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アクリルアミド(147)は、基本手順6に従って合成された。収率:11%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.13(s,1H),8.81(d,J=5Hz,1H),8.36(s,1H),8.20(s,1H),8.00(s,2H),7.88(s,1H),7.66(s,1H),7.61(d,J=5Hz,1H),7.25(s,1H).LCMS:m/z496.0[M+H]
+,t
R=1.79min.
【0338】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-シアノピリジン-3-イル)アクリルアミド(148)の合成:
【化54】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(5-シアノピリジン-3-イル)アクリルアミド(148)は、基本手順6に従って合成された。収率:20%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.14(s,1H),9.06(d,J=2Hz,1H),8.75(d,J=2Hz,1H),8.43(s,1H),8.37-8.32(m,1H),8.23(s,1H),8.03(s,2H),7.66(s,1H),7.27(s,1H).
LCMS:m/z453.1[M+H]
+,t
R=1.79min.
【0339】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(キノリン-3-イル)アクリルアミド(149)の合成:
【化55】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(キノリン-3-イル)アクリルアミド(149)は、基本手順6に従って合成された。収率:80%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.09(s,1H),8.75(d,J=2Hz,1H),8.42(s,1H),8.29(d,J=2Hz,1H),8.12-7.97(m,3H),7.88(s,2H),7.82(t,J=7Hz,1H),7.63(t,J=7Hz,2H),7.31(s,1H).LCMS:m/z478.1[M+H]
+,t
R=1.64min.
【0340】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロビフェニル-4-イル)アクリルアミド(150)の合成:
【化56】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロビフェニル-4-イル)アクリルアミド(150)は、基本手順6に従って合成された。収率:30%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.89(s,1H),8.23-8.18(m,4H),7.63-7.56(m,4H),7.54-7.48(m,2H),7.47-7.40(m,1H),7.31-7.25(m,1H),7.20-7.14(m,2H).LCMS:m/z521.1[M+H]
+,t
R=2.06min.
【0341】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(4-(ピリジン-3-イル)フェニル)アクリルアミド(151)の合成:
【化57】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(4-(ピリジン-3-イル)フェニル)アクリルアミド(151)は、基本手順6に従って合成された。収率:11%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ9.19(s,1H),8.84-8.74(m,2H),8.52(s,1H),8.31-8.26(m,3H),8.07-7.95(m,4H),7.59(d,J=8Hz,2H).LCMS:m/z504.1[M+H]
+,t
R=1.55min.
【0342】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1H-インダゾール-6-イル)アクリルアミド(152)の合成:
【化58】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(1H-インダゾール-6-イル)アクリルアミド(152)は、基本手順6に従って合成された。収率:46%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.54(s,1H),8.20-8.10(m,3H),8.06(s,2H),7.85(d,J=8Hz,1H),7.47(s,1H),6.98(d,J=8Hz,1H).LCMS:m/z467.1[M+H]
+,t
R=1.67min.
【0343】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリルアミド(153)の合成:
【化59】
(E)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(16)の合成:イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2,3-ジブロモプロパン酸(12)(6.2g、11.3mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶解して、0°Cに冷却した。トリエチルアミン(2.3g、22.5mmol)を添加して、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(20mL)で希釈して、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、(E)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(16)を白色固体として得た(3.1g、59%収率)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.95(s,1H),8.46(s,1H),8.29(s,2H),8.09(s,1H),5.13-5.07(m,1H),1.26(d,J=6Hz,6H).LCMS:m/z472.0[M+H]
+,t
R=2.02min.
【0344】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(17)の合成:(E)-イソプロピル3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(16)(2.36g、5mmol)をテトラヒドロフラン(25mL)に溶解した。水酸化リチウム(1.05g、25mmol)水溶液(25mL)を0°Cで滴下して添加した。反応混合物を0°Cで3時間撹拌して水(30mL)中に注ぎ入れ、pH=5になるまでHCl(3N)で酸性化し、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて減圧下で濃縮し、石油エーテル中の20%EtOAcからの再結晶化によって精製して(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(17)を白色固体として得た(1.2g、56%収率)。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.98(s,1H),8.49(s,1H),8.29(s,2H),8.00(s,1H).LCMS:m/z433.0[M+H]+,tR=1.81min.
【0345】
(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリルアミド(18)の合成:(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリル酸(17)(0.9g、2.1mmol)をTHF(20mL)およびクロロギ酸イソブチル(0.57g、4.2mmol)に溶解して、N-メチルモルホリン(0.32g、3.1mmol)を0°Cで添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。アンモニアガスを0°Cで40分間パージした。反応混合物を氷水に移し入れ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、それをEtOAcからの再結晶化によって精製して、0.8gの(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリルアミド(18)を得た。収率:90%。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.88(s,1H),8.49(s,1H),8.29(s,2H),8.01(s,1H),7.87(s,1H),7.81(s,1H).LCMS:m/z429.0[M+H]+,tR=1.80min.
【0346】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリルアミド(153)の合成。ジオキサン(60mL)および水(5mL)中の、A(E)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブロモアクリルアミド(18)(600mg、1.4mmol)、ピリミジン-5-イルボロン酸(261mg、2.1mmol)、酢酸カリウム(277mg、2.8mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム-(II)塩化物(91mg、0.11mmol)の混合物を窒素雰囲気下、80°Cで45分間加熱した。混合物を30mLの水中に注ぎ入れ、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、分取HPLCによって精製して、(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(ピリミジン-5-イル)アクリルアミド(153)(130mg、22%収率)を得た。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.22(s,1H),8.96(s,3H),8.54(s,2H),8.31(s,1H),8.10(s,1H),8.01(s,1H),7.94(s,1H).LCMS:m/z429.1[M+H]+,tR=1.67min.
【0347】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(154)の合成:
【化60】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(154)は、基本手順6に従って合成された。収率:7%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.70(s,1H),8.56(s,2H),8.34(d,J=3Hz,1H),8.11-8.03(m,1H),7.97(s,1H),7.64(s,1H),7.11-7.05(m,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.68min.
【0348】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-4-イル)アクリルアミド(155)の合成:
【化61】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-4-イル)アクリルアミド(155)は、基本手順6に従って合成された。収率:30%。
1HNMR(400MHz,CD
3OD)δ8.75(s,1H),8.57(s,2H),8.18(d,J=5Hz,1H),7.99(s,1H),7.93(s,1H),7.47-7.40(m,1H),7.19(s,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.79min.
【0349】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(156)の合成。
【化62】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(6-クロロピリジン-3-イル)アクリルアミド(156)は、基本手順6に従って合成された。収率:7%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.94(s,1H),8.60(d,J=2Hz,1H),8.54(s,2H),8.30(s,1H),8.06(s,1H),8.02-7.97(m,1H),7.93(s,1H),7.89(s,1H),7.65(d,J=8Hz,1H).LCMS:m/z462.1[M+H]
+,t
R=1.82min.
【0350】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(157)の合成:
【化63】
(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-(2-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド(157)は、基本手順6に従って合成された。収率:29%。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6)δ9.06(s,1H),8.60(s,2H),8.38-8.33(m,2H),8.20-8.11(m,1H),8.03(s,1H),7.86-7.81(m,2H),7.60-7.51(m,1H).LCMS:m/z446.1[M+H]
+,t
R=1.69min.
【0351】
実施例2.アッセイ
特定の発明の化合物は、様々なアッセイで試験された。
【0352】
核外搬出の阻害 - Rev-GFPアッセイ
発明の化合物によるCRM1媒介性核外搬出の阻害をRevGFPアッセイで判定した。Revは、ヒト免疫不全ウイルス型1(HIV-1)からのタンパク質であり、そのC末端ドメインに核外搬出シグナル(NES)、そのN末端領域に核局在化シグナル(NLS)を含有する。Revタンパク質の核外搬出は、古典的NES/CRM1経路に依存する(Neville et al,1997,Kau et al,2003)。Revの核および核小体蓄積は、LMBなどのCRM1の特異的阻害剤で処理した細胞中で観察される(Kau et al,2003)。
【0353】
このアッセイでは、実験の前日に、U2OS-RevGFP細胞を384ウェル黒クリアボトムプレート上に接種した。別個の384ウェルプレート中の40μMから開始して、DMEMで化合物を1:2に連続希釈し、次に細胞上に移した。細胞を化合物と共におよそ1時間インキュベートした後、3.7%ホルムアルデヒドで固定して、ヘキスト33258で核染色した。細胞核中のGFP量を測定して、化合物のIC50を判定した(Kau et al,2003)。このアッセイの結果は、表1に示される。
【0354】
別の実験では、U2OSRev-GFP細胞は、(10μMから開始して1:3連続希釈された)化合物124またはDMSOで4時間で処理された。4時間後、細胞をパラホルムアルデヒド(PFA)で固定して、核染料DAPIで対比染色した。用量応答曲線を使用して,化合物124のIC50は、U2OSRev-GFPアッセイにおいて約40nMと判定された。したがって、化合物124はLMBを使用して観察されたCRM1阻害を再現し、化合物124による処理は核Rev-GFPをもたらした。
【0355】
MTT細胞増殖アッセイ
MTT細胞増殖アッセイを使用して、化合物の細胞傷害性特性を試験した。アッセイは、わずかな修正を加えて、Roche Molecular Biochemicalsによって記載される方法に従って実施した。アッセイは、電子カップリング試薬の存在下における、テトラゾリウム塩、MTTの切断に基づく。生成される水不溶性ホルマザン塩は、追加的なステップで可溶化されなくてはならない。細胞を96ウェル組織培養物プレート内で培養し、MTT溶液と共に、ほぼ4時間インキュベートした。このインキュベーション期間後、水不溶性ホルマザン色素が形成された。可溶化後、ホルマザン色素をスキャニングマルチウェル分光光度計(ELISA読み取り装置)を使用して定量化した。吸光度は、細胞数と直接相関することが明らかになった。細胞を96ウェルプレート内の各ウェルに100μLの新鮮培養液中の5,000~10,000細胞で播種して、一晩付着させた。化合物原液を100μLの細胞培養液で希釈して、1nM~30μMの範囲にわたる各試験化合物の8つの濃度を得た。およそ64~72時間のインキュベーション後、20μLのCellTiter 96 Aqueous One Solution Reagent(Promega,G358B)を各ウェルに添加して、対照細胞の絶対ODが1.5に達するまで、プレートをインキュベーター(37°C;5%CO2)戻した。全ての光学濃度は、Vmax動態マイクロプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して、490nmで測定した。ほとんどの場合、アッセイは二連で実施され、結果は陰性対照±SEの平均パーセント阻害として提示された。次式を使用して阻害パーセントを計算した:阻害(%)=(1-(ODo/OD))×100。
【0356】
化合物は、Z138、MM1S、および3T3細胞に対して試験された。Z138細胞系は、慢性白血病がある患者に由来する、成熟B細胞急性リンパ芽球性白血病細胞系である。MM1S細胞系は、ヒト多発性骨髄腫患者の末梢血から確立された。3T3細胞は、標準線維芽細胞であり;それらは、最初にスイスマウス胚組織から単離された。
【0357】
MTTアッセイの結果は、表1に報告される。
【0358】
【0359】
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
【0367】
化合物124は、MTTアッセイで、選択された固形および血液学的がん細胞系パネルおよび選択された正常細胞系との対比でさらに試験された。簡単に述べると、上の様々な細胞系は、1日目に異なる密度で播種された。24時間の増殖後、二連の列内で、細胞を化合物124の用量曲線(10μMから開始する1:3希釈液)で処理した。細胞および化合物124を37°Cのインキュベーター内で72時間培養した。Cell Titer AQueous Oneを各ウェルに添加して、プレートをOD495でプレートリーダー内で読み取った。
【0368】
試験された血液学的がん細胞系には、MOLT-4、Z-138、THP1、MO7E、OCIAML-5、AML-193、Daudi、Toledo、TF-1、Farage、Pfieffer、MV-4-11、MINO、HEL.92.1.7、KG-1、BL-2、MM1R、HS-Sultan、RL、U-937、DB、BL-40、U-266、およびANBL-6が含まれた。試験された固形がん細胞系には、PATU-8902、SK-CO-1、NCI-H2170、PL-45、NCI-H1650、TFK-1、NCI-H520、RKO、U118MG、HeLa、HuCCT-1、CAPAN-1、NCI-H889、NCI-H187、L3.6pl、HEP3B、MS751、NCI-H69、AU-565、SHSY5Y、Tera-1、SW-620、PC3、LS-180、SW-48、NCI-H1299、Colo-205、NCI-H28、HT1080、SHP-77、MSTO-211H、LoVo、HCT-15、NCI-H2030、Calu-6、Calu-3、SW-403、HPAC、NCI-H1563、PATU-8988T、PATU-8988S、HPAF-II、Colo-201、NCI-H747、SW-837、HCC-4006、NCI-H358、HCC-827、PANC-10.05、SW-948、SW-480、SW-1417、DLD-1、SW-1116、MDA-MB-231、NCI-H508、MCF7、LN-18、NCI-H820、HCC-2935、SNU-398、NCI-H2122、NCI-H226、LS-174T、HCT116、MDA-MB-361、SW-900、NCI-H1993、HCT116.1、C6、MHCC97H、およびSKOV3が含まれた。試験された正常細胞系には、IMR-90および3T3が含まれた。化合物124のさらなる試験の結果は、表2に報告される。
【0369】
【0370】
【0371】
Cys528変異アッセイ
cAMP依存性タンパク質キナーゼ阻害物質(PKI)核外搬出シグナル(Rev-GFP)に融合したGFP-標識HIV-Revを安定して発現するU2OS(骨肉腫)細胞は、コンストラクト発現野生型CRM1または変異体CRM1-Cys528Serで36時間にわたり一過性に形質移入した。実験中の一過性形質移入効率は、50%と推定された。Rev-GFPおよび野生型CRM1は細胞内で同時発現され、細胞は30μM化合物124で4時間処理されて、Rev-GFPは細胞核および核小体に局在化した。しかしRev-GFPおよび変異体CRM-Cys528Serが細胞内で同時発現された場合、30μMの化合物124による細胞の処理は、Rev-GFPの核局在を誘導しなかった。30μMの化合物124処理を選択して、形質移入細胞に対する薬物曝露を最大化した。これらの結果は、化合物124によるCRM1阻害に対するCys528の重要性を示す。
【0372】
洗い出しアッセイ
cAMP-依存性PKI核外搬出シグナル(Rev-GFP)に融合した緑色蛍光タンパク質-標識HIV-Revを安定して発現するU2OS細胞を使用して、処置後の洗い出しありまたはなしで、化合物124のCRM1阻害レベルおよび結果として生じるIC50を評価した。U2OSRev-GFP細胞の3枚の96ウェルプレートを化合物124(10μMに開始する1:3の連続希釈)またはDMSOで4時間にわたり処理した。4時間後、プレートの1枚をPFA(洗い出しなし、条件A)で固定した。その他の2枚のプレートから培養液を除去し、細胞を新鮮培地で2回洗浄して、化合物124を含有しない培地中でさらに培養した。4時間の洗い出し後に、第2のプレートをPFAで固定し(4時間洗い出し、条件B)、24時間の洗い出し後に第3のプレートをPFAで固定した(24時間洗い出し、条件C)。細胞を核色素DAPIで対比染色した。A条件、B条件、およびC条件下で化合物124のIC50を判定し、表3に報告する。表3は、4時間の洗い出しに続いて、化合物124がなおも非常に効果的であり、24時間の洗い出し後に、6分の1にのみ低下することを示す。これらの結果は、化合物124が、共有結合的にXPO1と結合することを立証する。
【0373】
【0374】
XPO1カーゴ局在アッセイ
U2OS細胞を500nMの化合物124で4~24時間処理し、100%氷冷メタノール(MeOH)で固定して、PBS中の0.1%Tween20、0.3Mグリシン、および1%BSAで透過処理/ブロックするか、またはPFA(PBS中の3%パラホルムアルデヒドおよび2%スクロース)で固定して、PBS中の0.1%Triton-X100および1%BSAで透過処理/ブロックした。XPO1カーゴタンパク質:p53、IκB、Foxo1A、PP2A、p21、およびp27の核局在について、固定細胞を免疫蛍光(IF)によって分析した。核は、DAPIで染色した。画像は、20倍の倍率で撮影した。化合物124で処理された細胞の画像は、XPO1カーゴの増大または完全核局在を示した。
【0375】
XPO1分解アッセイ
HT1080(線維肉腫)細胞を5つの異なる濃度の化合物124で24時間処理した。処理された細胞の細胞溶解産物ウエスタンブロット分析を使用して、XPO1のタンパク質発現を判定した。ローディング対照としてβアクチンを使用した。
図1は、この実験から得られたウエスタンブロットの画像であり、化合物124が用量依存的様式にXPO1を分解することを示す。
【0376】
実施例3.コラーゲン抗体誘導性関節炎(CAIA)マウスモデル
化合物124を抗コラーゲン抗体誘導性関節リウマチマウスモデルにおいて評価した。具体的には、6~7週齢の24匹のオスBalb/cマウスを3群に無作為に割り当て、ビヒクル、20mg/kgの化合物124または40mg/kgの化合物124を投与した。試験の0日目(試験開始日)、全てのマウスにArthritoMAb(商標)抗体カクテル(MD Biosciences#51306001))の4mg静脈内注射を実施して、試験3日目のLPS(50μg/マウス)の腹腔内注射がそれに続いた。平均臨床スコアが2に達した6日目に、マウスに処置を開始した。化合物124による処置は、17日目まで週2回(月曜日および水曜日)PO投与した。
【0377】
試験日0日目に、関節炎の徴候について、全ての足(左右前足、左右後足)で動物を調べた。試験日0日目の関節炎の徴候は、関節炎臨床スコアパラメータのベースラインの役割を果たした。関節炎応答を3日目から8日目まで毎日、そして10、12、15、および18日目(試験終了)に検査した。関節炎反応は、表4に示されるように、昇順の0~4の重症度尺度に従って、各足について報告された。
【0378】
【0379】
臨床徴候データは、平均値±SEM(標準誤差)として提示される。一方向ANOVA試験とそれに続くチューキー事後検定を使用して、処置群2~3をビヒクル群1と比較した。<0.05のp値は、有意差を表すと見なされた。
【0380】
試験6日目に、ビヒクルで処置された88%の動物は、関節炎の臨床徴候を示した。試験終了時に、この値は75%に低下した。関節炎の臨床徴候を示し20mg/kgの用量の化合物124で処置された動物の百分率は、試験6日目の78%から試験18日目の22%に低下した。関節炎の臨床徴候を示し40mg/kgの用量の化合物124で処置された動物の百分率は、試験6日目の88%から試験18日目の13%に低下した。
【0381】
図2は、関節リウマチのCAIAマウスモデルにおける、試験日の関数としての全ての足の平均臨床スコアのグラフである。
図1は、化合物124による処置が、ビヒクル処理と比較して、試験マウスの関節炎スコアを低下させたことを示す。
【0382】
結論として、この試験において、20mg/kgまたは40mg/kgの化合物124による処置は、疾患を発現する動物数、ならびに動物の関節炎スコアを低下させた。
【0383】
実施例4.異種移植モデル
いくつかの異種移植マウスモデルにおいて、化合物124および化合物149を評価した。
【0384】
MDA-MB-468(トリプルネガティブ乳がん)異種移植CB-17 SCIDマウスモデルを使用して、化合物124および化合物149の腫瘍学的影響を評価した。MDA-MB-468(ATCC#HTB-102)乳腺がん細胞は、ATCCから得られた。これらの細胞は、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン、および2mML-グルタミンを添加した高グルコースDMEM培地中で培養された。細胞を1:4の比率で希釈して、二次培養した。トリプシン処理によってMDA-MB-468細胞を収集し、血球計を使用して計数した。4×108細胞/mLの濃度で、細胞をPBSに再懸濁した。細胞を氷上に載せて、等容積のMatrigel(BD Biosciences CB-40234)と混合した。22匹のCB-17 SCIDマウスの左側腹部に、4×107個のMDA-MB-468細胞を皮下接種した。腫瘍が約100mm3の平均体積に達したら、処置を開始した。マウスは、8匹のビヒクル群と、各群で平均腫瘍体積が約100mm3になるような化合物124および化合物149の7匹の各処置群との3群に割り当てた。マウスをビヒクル、化合物124または化合物149で処置した。化合物124(10mg/kg)および化合物149(10mg/kg)は、週の毎日1回経口(PO)投与した。動物の体重および状態を毎日記録し、腫瘍を月曜日、水曜日、および金曜日に測定した。
【0385】
図3Aは、時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、MDA-MB-468異種移植片を有してビヒクルで処置されたマウスと比較して、MDA-MB-468異種移植片を有して化合物124または化合物149で処置されたマウスにおいて、平均腫瘍体積が低下したことを示す。
【0386】
別の試験では、Z-138マントル細胞リンパ腫がん異種移植SCIDマウスモデルを使用して、腫瘍成長に対する化合物124の影響を試験した。Z-138(ATCC#CRL-3001)マントル細胞リンパ腫細胞は、ATCCから得られた。10%ウマ血清、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン、および2mMのL-グルタミンを添加したIMEM培地中で、これらの細胞を培養した。細胞を1:5~1:10の比率で希釈して、二次培養した。Z-138細胞を遠心分離によって収集し、血球計を使用して計数した。2×108細胞/mLの濃度で、細胞をPBSに再懸濁した。細胞を氷上に載せて、等容積のMatrigel(BD Biosciences CB-40234)と混合した。この混合物を氷上に保持して、1マウスあたり2×107個の細胞に相当する0.2mL容積をマウスの左側腹部に注射した。32匹のCB-17 SCIDマウスの左側腹部に、2×107個のZ-138細胞を皮下接種した。腫瘍が125.2mm3の平均体積に達したら、処置を開始した。各群の平均腫瘍体積が106.5~138.8mm3の範囲内になるように、マウスを8匹の4群に割り当てた。マウスをビヒクル、標準的治療/陽性対照薬剤(シクロホスファミド)または化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)で処置した。化合物124(5または15mg/kg)を1日から毎日経口投与(PO)した。動物の体重および状態を毎日記録し、腫瘍を月曜日、水曜日、および金曜日に測定した。
【0387】
図3Bは、時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、Z-138異種移植片を有してビヒクルで処置されたマウスと比較して、Z-138異種移植片を有して化合物124で処置されたマウスにおいて、平均腫瘍体積が低下したことを示す。特に、15mg/kg用量の化合物124から得られた結果は、シクロホスファミドを使用して得られた結果と比較して遜色がない。
【0388】
さらに別の試験では、Hep3B肝細胞がん異種移植SCIDマウスモデルを使用して、腫瘍成長に対する化合物124の効果を評価した。Hep3B細胞(ATCC#HTB-8064)肝細胞がん細胞は、ATCCから得られた。これらの細胞は、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン、およびストレプトマイシンを添加したDMEM培地中で培養された。細胞を1:4の比率で希釈して、二次培養した。Hep3B細胞を遠心分離によって収集し、血球計を使用して計数した。5×107細胞/mLの濃度で、細胞をPBSに再懸濁した。細胞を氷上に載せて、次に等容積のMatrigel(商標)(BD Biosciences CB-40234)と混合した。この混合物を氷上に保持して、1マウスあたり5×106個の細胞に相当する0.2mL容積をマウスの左側腹部に注射した。32匹のSCIDマウスの左側腹部に、5×106個のHep3B細胞を皮下接種した。腫瘍が103.7mm3(標準偏差±30mm3、範囲17~183mm3)の平均体積に達したら処置を開始した。各群の平均腫瘍体積が95~104mm3の範囲内になるように、マウスを8匹の4群に割り当てた。マウスをビヒクル、標準的治療対照(ドキソルビシン)、または化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)で処置した。(IP投与された)ドキソルビシンを除く、全ての化合物は、強制経口投与によって投与された。化合物124(5または15mg/kg)は、毎日経口投与した(PO)。動物の体重および状態を毎日記録し、腫瘍を月曜日、水曜日、および金曜日に測定した。
【0389】
図3BCは、時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、Hep3B異種移植片を有してビヒクルで処置されたマウスと比較して、Hep3B異種移植片を有して化合物124で処置されたマウスにおいて、平均腫瘍体積が低下したことを示す。化合物124、特に15mg/kg用量の化合物124による処置から得られた結果は、ドキソルビシンを使用して得られた結果と比較して遜色がない。
【0390】
別の試験では、COLO205結腸直腸がん異種移植SCIDマウスモデルを使用して、腫瘍成長に対する化合物124の効果を評価した。COLO205(CCL-222)結腸直腸がん細胞は、ATCCから得られた。これらの細胞は、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン、およびストレプトマイシンを添加したRPMI-1640培地中で培養された。浮遊細胞を新しいフラスコに移し、付着細胞をトリプシン処理してから植え継ぎして、細胞を1:4の比率で二次培養した。COLO205細胞を遠心分離によって収集し、血球計を使用して計数した。5×107細胞/mLの濃度で、細胞をPBSに再懸濁した。細胞を氷上に載せて、次に等容積のMatrigel(商標)(BD Biosciences CB-40234)と混合した。この混合物を氷上に保持して、1マウスあたり5×106個の細胞に相当する0.2mL容積をマウスの左側腹部に注射した。32匹のSCIDマウスの左側腹部に、5×106個のCOLO205細胞を皮下接種した。腫瘍が103.7mm3(標準偏差±30mm3、範囲17~183mm3)の平均体積に達したら処置を開始した。各群の平均腫瘍体積が95~104mm3の範囲内になるように、マウスを8匹の4群に割り当てた。マウスをビヒクル、標準的治療対照(5-FU、5-フルオロウラシル)、および化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)で処置した。(1および3日目にIP投与された)5-FUを除く、全ての化合物は、強制経口投与によって投与された。化合物124(5または15mg/kg)は、毎日経口投与した(PO)。動物の体重および状態を毎日記録し、腫瘍を月曜日、水曜日、および金曜日に測定した。
【0391】
図3Dは、時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、COLO205異種移植片を有してビヒクルで処置されたマウスと比較して、COLO205異種移植片を有して化合物124で処置されたマウスにおいて、平均腫瘍体積が低下したことを示す。化合物124、特に15mg/kg用量の化合物124による処置から得られた結果は、5-FUを使用して得られた結果と比較して遜色がない。
【0392】
別の試験では、をMOLT4急性リンパ芽球性白血病異種移植SCIDマウスモデル使用して、腫瘍成長に対する化合物124の効果を評価した。MOLT4(CRL-1582)急性リンパ芽球性白血病細胞は、ATCCから得られた。これらの細胞は、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン、およびストレプトマイシンを添加したRPMI-1640培地中で培養された。浮遊細胞を新しいフラスコに移し、付着細胞をトリプシン処理してから植え継ぎして、細胞を1:4の比率で二次培養した。MOLT4細胞を遠心分離によって収集し、血球計を使用して計数した。5×107細胞/mLの濃度で、細胞をPBSに再懸濁した。細胞を氷上に載せて、次に等容積のMatrigel(商標)(BD Biosciences CB-40234)と混合した。この混合物を氷上に保持して、1マウスあたり5×106個の細胞に相当する0.2mL容積をマウスの左側腹部に注射した。32匹のSCIDマウスの左側腹部に、5×106個のMOLT4細胞を皮下接種した。腫瘍が106.5mm3(標準偏差±33.9mm3、CV31.9%、範囲43~181mm3)の平均体積に達したら処置を開始した。各群の平均腫瘍体積が102~111mm3の範囲内になるように、マウスを8匹の4群、5匹の1群、4匹の1群に割り当てた。マウスをビヒクル、標準的治療対照(ドキソルビシン5mg/kgIP日間1および15)または化合物124(5mg/kgまたは15mg/kg)で処置した。(IP投与された)ドキソルビシンを除く、全ての化合物は、強制経口投与によって投与された。化合物124(5または15mg/kg)は、毎日経口投与した(PO)。動物の体重および状態を毎日記録し、腫瘍を月曜日、水曜日、および金曜日に測定した。
【0393】
図3Eは、時間の関数としての平均腫瘍体積のグラフであり、MOLT4異種移植片を有してビヒクルで処置されたマウスと比較して、MOLT4異種移植片を有して化合物124で処置されたマウスにおいて、平均腫瘍体積が低下したことを示す。
【0394】
実施例5.神経膠芽腫
細胞(U87MGおよびU251MG)を剥離させて、1×105細胞/mLに再懸濁した。5,000個の細胞を懸滴プレート(3D Biomatrixカタログ番号:HDP1096)に装入して、5日間(37°C;5%CO2)培養して、球状体を形成させた。24ウェルプレート内の1ウェルあたり300μLのMatrix Gel(Corning Matrigelカタログ番号354234;ロット番号3330622)を播種して、30分間インキュベートした。球状体を懸滴プレートから取り出して、Matrigel(商標)中に播種した(1ウェルあたり1個の球状体)。球状体を15分間にわたり培養し、次に460μLの培地を添加した。球状体を一晩培養した後、1μMの化合物124を1mL/ウェルの最終容積に添加した。40×および20×の位相差顕微鏡を使用して、プレートをいくつかの時点で分析し、球状体の写真を撮影した。
【0395】
図4は、U87MGおよびU251MG対照球状体およびU87MGおよび1μMの化合物124で処置されたU251MG球状体の画像であり、2つの神経膠芽腫細胞系に対する化合物124による処置の効果が示される。化合物124(1μM)で処理されたU87MG球状体は、球面からの細胞のいかなる拡散または増殖も示すことなく、対照と比較して細胞増殖の有意な低下が実証された。しかし化合物124で処置されたU251球状体では、対照と比較した細胞増殖の有意な低下に加えて、球面からのいかなる細胞増殖も完全に排除された球状体の縮小が気付かれた。顕微鏡的分析に基づいて、これらの細胞の完全な破壊が観察された。
【0396】
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【0397】
本明細書に引用された、全ての特許、公開出願、および参考文献の教示は、その内容全体を参照によって援用する。
【0398】
その実施形態例に言及して、本発明を具体的に示して説明した一方で、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更を加えてもよいことが、当業者には理解されるであろう。