(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】定インピーダンスコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
H01R13/533 A
(21)【出願番号】P 2020517287
(86)(22)【出願日】2018-05-29
(86)【国際出願番号】 US2018034851
(87)【国際公開番号】W WO2018222576
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-02-07
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519427491
【氏名又は名称】ザ フェニックス カンパニー オブ シカゴ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【氏名又は名称】川成 渉
(72)【発明者】
【氏名】マトゥール、ジョン イー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー、ロバート エム
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-180392(JP,A)
【文献】実公昭60-019380(JP,Y1)
【文献】特開昭62-015783(JP,A)
【文献】特表2008-507086(JP,A)
【文献】特開2015-060655(JP,A)
【文献】特開2013-080648(JP,A)
【文献】特開平04-262382(JP,A)
【文献】特開平05-129054(JP,A)
【文献】特開2016-004653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/72
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段ステージを介して信号ケーブルに伝送するための接続システムであって、少なくとも1段のステージは、
第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1の定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を有する第1の信号ケーブルと、
第1の信号ケーブルを固定するための第1のコネクタハウジングと、
第1のプレートに装着されるヘッダハウジングであって、該ヘッダハウジングが第1の側に装着される第1のヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1のヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタと、第1の側に対向する第2の側に装着される第2のヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第2のヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタとを有し、第1のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第1の側にヘッダハウジングを取り付けるように、第1の側の第1のヘッダハウジングコネクタが第1の信号ケーブルの第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1の定インピーダンスプラグコネクタと機械的に相補的な形態で嵌合する、ヘッダハウジングと、
第2の信号ケーブルを包覆する第2のコネクタハウジングであって、第2の信号ケーブルが第2の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第2の定インピーダンスプラグコネクタにより終端された中心導体を有し、第2のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第2の側にヘッダハウジングを結合するように、第2の信号ケーブルの第2のコネクタハウジングが第2の側のヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタと機械的に相補的な形態で嵌合するコネクタである、第2のコネクタハウジングと
を含む、接続システム。
【請求項2】
前記第1および第2の側の前記ヘッダハウジングコネクタ間に配置され、そこを通過する前記中心導体をシーリングするためのシールを含む、請求項1に記載の接続システム。
【請求項3】
前記ヘッダハウジングは、前記第1および第2の信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために、一端が前記ヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタに、他端が前記ヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタに接続された取り外し可能なアッテネータまたはフィルタ構成要素を含む、請求項1に記載の接続システム。
【請求項4】
前記第1のプレートが、定インピーダンスのコネクタ、アッテネータ、および/またはフィルタのためのヒートシンクまたは接地電位、あるいはその両方である、請求項1に記載の接続システム。
【請求項5】
前記第1のプレートが冷却プレートである、請求項1に記載の接続システム。
【請求項6】
前記第1ケーブルの前記第1定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは前記第1定インピーダンスプラグコネクタは、前記第1および第2信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために埋め込まれたアッテネータまたはフィルタ構成要素を含む、請求項1に記載の接続システム。
【請求項7】
前記第2ケーブルの前記第2定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは前記第2定インピーダンスプラグコネクタは、前記第1および第2信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために埋め込まれたアッテネータまたはフィルタ構成要素を含む、請求項1に記載の接続システム。
【請求項8】
追加の接続システムステージが前記少なくとも1つのステージに接続される、請求項1に記載の接続システム。
【請求項9】
多段ステージを介して信号ケーブルに伝送するための接続システムであって、
複数の第1の信号ケーブルであって、該複数の第1の信号ケーブルの少なくとも1つが定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を含む、第1の信号ケーブルと、
第1の信号ケーブルの各々を固定するための第1のコネクタハウジングと、
第1のプレートに装着されるヘッダハウジングであって、該ヘッダハウジングは第1の側に装着される定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタと第1の側に対向する第2の側に装着される定インピーダンスプラグコネクタまたは定インピーダンスレセプタクルコネクタとを有し、第1のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第1の側にヘッダハウジングを取り付けるように、第1の側のヘッダハウジングコネクタと複数の第1の信号ケーブルのうちの少なくとも1つの定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタとが機械的に相補的な形態で嵌合しているコネクタを形成する、ヘッダハウジングと、
複数の第2の信号ケーブルを有する第2のコネクタハウジングであって、複数の第2の信号ケーブルの少なくとも1つが定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を有し、第2のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第2の側にヘッダハウジングを取り付けるように、第2の信号ケーブルの第2のコネクタハウジングと第2の側のヘッダハウジングコネクタの定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタとが機械的に相補的な形態で嵌合しているコネクタを形成する、第2のコネクタハウジングと
を含む、接続システム。
【請求項10】
上方部分および下方部分を有する下方ハウジングステージであって、下方ハウジングステージが第2のプレートに装着され、ヘッダハウジングから第2の側に延びる複数の第2の信号ケーブルに接続するように、下方ハウジングステージの上方部分が複数の修正された定インピーダンスコネクタを含む、請求項9に記載の接続システム。
【請求項11】
前記修正された定インピーダンスコネクタは、信号減衰または電気信号フィルタリングのために埋め込まれたアッテネータまたはフィルタ構成要素をそれぞれ含み、前記下方ハウジングステージ下部は、複数の第3の信号ケーブルで終端する定インピーダンスコネクタレセプタクルまたは定インピーダンスプラグを含む、請求項10に記載の接続システム。
【請求項12】
前記第2のプレートは、前記修正された定インピーダンスコネクタのためのヒートシンクまたは接地電位、あるいはその両方である、請求項10に記載の接続システム。
【請求項13】
前記第2のプレートは冷却プレートである、請求項10に記載の接続システム。
【請求項14】
前記下方ハウジングステージの上部および下方ハウジングステージの下部に、それぞれ、前記第2のプレートに取り付けられたクランプに取り付けるための延長リブを含む、請求項10に記載の接続システム。
【請求項15】
前記修正された定インピーダンスコネクタアッテネータまたはフィルタは、前記下方ハウジングステー
ジの上部または前記下方ハウジングステージの下部に圧入される、請求項11に記載の接続システム。
【請求項16】
複数の第2の信号ケーブルを終端するためのプラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックであって、プラグハウジングブロックが複数の第2の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第2の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスレセプタクルコネクタ、或いはそれらの組合せを含む、プラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックと、
アッテネータハウジング、フィルタハウジング、または両者を装着するための複数の開口を有するアダプタハウジングであって、アッテネータハウジングおよび/またはフィルタハウジングの各々が複数の第2の信号ケーブルの1つの信号ケーブルと関連され、プラグハウジングブロックの相反的定インピーダンスコネクタと結合するように、アダプタハウジングの第1の側に機械的に相補的な形態で嵌合する定インピーダンスコネクタを有する、アダプタハウジングと、
第2の側にアダプタハウジングを結合するためのレセプタクルハウジングブロックであって、複数の第2の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第2の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスレセプタクルコネクタ、或いはそれらの組合せを含み、そしてそこから延びる複数の第3の信号ケーブルを有する、レセプタクルハウジングブロックと
を含み、
レセプタクルハウジングブロックの定インピーダンスコネクタがアダプタハウジングの第2側に機械的に相補的な形態で嵌合する定インピーダンスコネクタを結合するように、レセプタクルハウジングブロックがアダプタハウジングの第2の側にアダプタハウジングを結合される、
請求項9に記載の接続システム。
【請求項17】
前記アッテネータハウジング、前記フィルタハウジング、またはその両方が、それぞれ、前記ハウジングアダプタの各開口の内壁への電気的連通関係、熱的連通関係、電磁干渉保護、またはそれらの任意の組み合わせのための弾性コンポーネントを含む、請求項16に記載の接続システム。
【請求項18】
第2下部ハウジングステージを取り付けるための少なくとも1つの追加プレートと、前記複数の第3信号ケーブルと電気通信する第2の組の複数の修正された定インピーダンスコネクタを備えた前記下方ハウジングステージと、信号減衰または電気信号フィルタリングのために、それぞれに埋め込まれた第2のアッテネータまたは第2のフィルタ構成要素を備えた第2の組の修正された定インピーダンスコネクタとを含む、請求項11に記載の接続システム。
【請求項19】
追加のプレートと、
少なくとも1つの追加のプレートに第3の信号ケーブルに電気的に接続して装着される第2のプラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックであって、プラグハウジングブロックが複数の第3の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第3の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスレセプタクルコネクタ、或いはそれらの組合せを含む、第2のプラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックと、
第2のアッテネータハウジング、第2のフィルタハウジング、または両者を装着するための複数の開口を有する第2のアダプタハウジングであって、第2のアッテネータハウジングおよび/または第2のフィルタハウジングの各々が複数の第3の信号ケーブルの1つの信号ケーブルと接続され、そして第2のプラグハウジングブロックの相反的定インピーダンスコネクタと結合するための第2のアダプタハウジングの第1の側に機械的に相補的な形態で嵌合する定インピーダンスコネクタを有する、第2のアダプタハウジングと、
第2のアダプタハウジングの第2の側に結合するための第2のレセプタクルハウジングブロックであって、複数の第3の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第3の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスレセプタクルプラグコネクタ、或いはそれらの組合せを含み、そしてそこから延びる複数の第4の信号ケーブルを有する、第2のレセプタクルハウジングブロックと
を含み、
第2のレセプタクルハウジングブロックの定インピーダンスコネクタが第2のアダプタハウジングの第2の側の機械的に相補的な形態で嵌合する定インピーダンスコネクタに結合するように、第2のレセプタクルハウジングブロックが第2のアダプタハウジングの第2の側で第2のアダプタハウジングに結合される、
請求項16に記載の接続システム。
【請求項20】
前記アッテネータは、最大40dBの減衰を提供する、請求項11に記載の接続システム。
【請求項21】
前記第2のアッテネータは、40dB未満の減衰を提供する、請求項18に記載の接続システム。
【請求項22】
前記定インピーダンスコネクタが非磁性材料を含む、請求項9に記載の接続システム。
【請求項23】
前記の定インピーダンスレセプタクルコネクタは、整合されたインピーダンスを促進するために中心導体の周りに安定化ボビンを含む、請求項9に記載の接続システム。
【請求項24】
前記第1および第2のアッテネータまたはフィルタがケーシング内にあり、当該ケーシングが前記修正された定インピーダンスコネクタハウジングの内部空洞内に固定されている、請求項18に記載の接続システム。
【請求項25】
複数の第2の信号ケーブルまたは前記複数の第3の信号ケーブル、またはその両方が超伝導ケーブル材料から成る、請求項11に記載の接続システム。
【請求項26】
多段ステージ接続システムにおける電気ケーブルの接続方法であって、
定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を有する第1の信号ケーブルを、相補的に受容する第1の定インピーダンスレセプタクルまたはプラグコネクタを有するヘッダハウジングに接続し、
ヘッダハウジングの第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第1の定インピーダンスプラグコネクタをヘッダハウジングの第1の側に取り付け、
第1の側に対向するヘッダハウジングの第2の側に、ヘッダハウジングの第2の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第2の定インピーダンスプラグコネクタを取り付け、そこにおいて、第1の信号ケーブルが定インピーダンスケーブル接続でヘッダハウジングの第1の側に結合するように、第1の側のヘッダハウジングの第1のコネクタが第1の信号ケーブルのヘッダハウジングの第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第1の定インピーダンスプラグコネクタと機械的に相補的な形態で嵌合させ、
ヘッダハウジングを第1のプレートに取り付け、
ヘッダハウジングに第2の信号ケーブルを接続し、そこにおいて、第2の信号ケーブルが定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタによって終端された中心導体を有し、第2の信号ケーブルが定インピーダンスケーブル接続でヘッダハウジングの第2の側に結合するように、第2の信号ケーブルの定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第2の信号ケーブルの定インピーダンスプラグコネクタが第2の側でヘッダハウジングの第2の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第2の定インピーダンスプラグコネクタと機械的に相補的な形態で嵌合するコネクタであり、そして
第2のコネクタハウジングをヘッダハウジングに取り付ける
ことにより第1のステージ接続を形成することを含む、接続方法。
【請求項27】
前記第1および第2の側の前記ヘッダハウジングコネクタ間に位置するシールを挿入して、そこを通過する前記中心導体をシールする、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1および第2の信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために、一端で前記ヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタに、および反対の端で前記ヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタに、取り外し可能なアッテネータまたはフィルタ構成要素を接続する、請求項
26に記載の方法。
【請求項29】
アダプタハウジング内の取り外し可能であり挿入可能なアダプタ内に減衰またはフィルタリングコンポーネントまたはその両方を埋め込む、請求項
26に記載の方法。
【請求項30】
前記アダプタハウジングの一端を前記ヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタに接続し、反対側の端を前記ヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタに接続する、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
第2のステージ接続を前記第1のステージ接続に電気的に接続する、請求項
26に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のステージ接続は、第2のステージ上部コネクタハウジング、プレートに取り付けられた第2のステージヘッダハウジング、および第2のステージ下部コネクタハウジングを含み、機械的に相補的な形態で嵌合する定インピーダンスプラグおよびレセプタクルが前記第2のステージ上部に取り付けられ、前記第2のステージヘッダハウジング、および前記第2のステージ下部コネクタハウジングは、そこを通過する信号ケーブルのための定インピーダンス電気接続を形成する、請求項
31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既知の定インピーダンスコネクタの特性を利用する定インピーダンスコネクタシステムに関するものであり、減衰および/またはフィルタリングコンポーネントが埋め込まれているものを含むものである。定インピーダンスコネクタシステムは、コンピュータテクノロジーで使用するため、および量子コンピュータの接続システム用に設計されており、より具体的には、本発明は、極低温に冷却された量子コンピュータでの使用に適合させることができるものであり、定インピーダンスコネクタは、交換可能なアダプタ形状とすることができるものである。
【背景技術】
【0002】
今日のコンピュータは、0または1の2つの状態のいずれかに存在するビットを操作することにより動作している。対して、量子コンピュータは2つの状態に限定されず、重ね合わせて存在できる量子ビット又はキュービットとして情報をエンコードするものである。キュービットは、原子、イオン、光子、または電子と、コンピュータメモリおよび/またはプロセッサとして機能するように連係して動作するそれぞれの制御デバイスを表す。量子コンピュータにはこれらの複数の状態を同時に含めることができるため、今日の最も強力なスーパーコンピュータよりも数百倍も強力になる可能性がある。
【0003】
キュービットのこの重ね合わせは、量子コンピュータに固有の並列性を与えるものである。この並列性により、量子コンピュータは一度に100万の計算を処理できる。
【0004】
キュービットの物理的属性が進歩し続けると共に、量子マシンを実現するという課題に対処するには、今日のシステムをはるかに超える複雑な新しいハードウェアおよび制御アーキテクチャのエンジニアリングが必要である。そのようなシステムの進歩の1つは、超伝導体ベースのコンポーネントを使用した極低温での計算の実装である。極低温操作には多くの利点があり、そのいくつかを挙げると、キャリアの移動度と飽和速度の増加、より高い動作速度につながること、より低いノイズレベル、導電率の増加、統合密度の増加、熱的に活性化される分解プロセスの抑制がある。極低温操作の欠点としては、適切な冷却システムの必要性、低温動作に最適化された材料とコンポーネントの選択、そして、とりわけ、「冷えた」電子機器と「暖かい」電子機器の間のインターフェースの側面がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来技術の問題と欠陥を念頭に置いて、本発明の目的は、外部環境または暖かい環境から内部環境または寒い環境まで作動する能力を備えた極低温環境で動作可能な接続システムを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、現在の最先端の部品よりも高密度なケーブルを実現する接続システムを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、送信された信号電力から生じる熱エネルギーを低減するために、極低温環境におけるシステムの電気的減衰に対応することである。
【0008】
本発明の別の目的は、システムのケーブル敷設に従ってハーメティックシールを確立することである。
【0009】
本発明の別の目的は、量子コンピュータオペレーティングシステム内に設置することができ、ケーブルの極小直径中心導体を損傷することなくコンピュータシステムに容易に取り付けることができる接続システムを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、導体に結合された外部の電気信号(ノイズ)を低減するために、極低温環境でのシステム電気フィルタリングに対応することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記並びに当業者にとって明らかなその他の目的は、本発明が提示する、多段ステージを介して信号ケーブルに伝送するための接続システムであって、少なくとも1段のステージが、第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1の定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を有する第1の信号ケーブルと、第1の信号ケーブルを固定するための第1のコネクタハウジングと、第1のプレートに装着されるヘッダハウジングであって、該ヘッダハウジングが第1の側に装着される第1のヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1のヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタと、第1の側に対向する第2の側に装着される第2のヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第2のヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタとを有し、第1のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第1の側にヘッダハウジングを取り付けるように、第1の側の第1のヘッダハウジングコネクタが第1の信号ケーブルの第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1の定インピーダンスプラグコネクタと相補的である、ヘッダハウジングと、第2の信号ケーブルを包覆する第2のコネクタハウジングであって、第2の信号ケーブルが第2の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第2の定インピーダンスプラグコネクタにより終端された中心導体を有し、第2のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第2の側にヘッダハウジングを結合するように、第2の信号ケーブルの第2のコネクタハウジングが第2の側のヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタと相補的なコネクタである、第2のコネクタハウジングとを含む、接続システムによって達成される。
【0012】
接続システムは、第1および第2の側のヘッダハウジングコネクタ間に配置され、そこを通過する中心導体をシーリングするためのシールを含み得る。
【0013】
ヘッダハウジングは、第1および第2の信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために、一端がヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタに、他端がヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタに接続された取り外し可能なアッテネータまたはフィルタ構成要素を含むこともできる。
【0014】
第1のプレートは、定インピーダンスのコネクタ、アッテネータ、および/またはフィルタのためのヒートシンクまたは接地電位、あるいはその両方であり得る。
【0015】
第1のプレートが冷却プレートであってもよい。
【0016】
第1ケーブルの第1定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第1定インピーダンスプラグコネクタは、第1および第2信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために埋め込まれたアッテネータまたはフィルタ構成要素を含み得る。
【0017】
第2ケーブルの第2定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは前第2定インピーダンスプラグコネクタは、第1および第2信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために埋め込まれたアッテネータまたはフィルタ構成要素を含む。
【0018】
追加の接続システムステージは、少なくとも1つのステージに接続されてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様において、接続システムは、多段ステージを介して信号ケーブルに伝送するための接続システムであって、複数の第1の信号ケーブルであって、該複数の第1の信号ケーブルの少なくとも1つが定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を含む、第1の信号ケーブルと、第1の信号ケーブルの各々を固定するための第1のコネクタハウジングと、第1のプレートに装着されるヘッダハウジングであって、該ヘッダハウジングは第1の側に装着される定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタと第1の側に対向する第2の側に装着される定インピーダンスプラグコネクタまたは定インピーダンスレセプタクルコネクタとを有し、第1のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第1の側にヘッダハウジングを取り付けるように、第1の側のヘッダハウジングコネクタと複数の第1の信号ケーブルのうちの少なくとも1つの定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタとが相補的なコネクタを形成する、ヘッダハウジングと、複数の第2の信号ケーブルを有する第2のコネクタハウジングであって、複数の第2の信号ケーブルの少なくとも1つが定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を有し、第2のコネクタハウジングが定インピーダンスケーブル接続で第2の側にヘッダハウジングを取り付けるように、第2の信号ケーブルの第2のコネクタハウジングと第2の側のヘッダハウジングコネクタの定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタとが相補的なコネクタを形成する、第2のコネクタハウジングとを含む。
【0020】
接続システムは、上方部分および下方部分を有する下方ハウジングステージであって、下方ハウジングステージが第2のプレートに装着され、ヘッダハウジングから第2の側に延びる複数の第2の信号ケーブルに接続するように、下方ハウジングステージの上方部分が複数の修正された定インピーダンスコネクタを含む。
【0021】
修正された定インピーダンスコネクタはそれぞれ、信号減衰または電気信号フィルタリングのために埋め込まれたアッテネータまたはフィルタ構成要素を含み、下方ハウジングステージ下部は、複数の第3の信号ケーブルで終端する定インピーダンスコネクタレセプタクルまたは定インピーダンスプラグを含む。
【0022】
第2のプレートは、修正された定インピーダンスコネクタのためのヒートシンクまたは接地電位、あるいはその両方とすることができる。
【0023】
下方ハウジングステージの上部および下方ハウジングステージの下部に、それぞれ、前記第2のプレートに取り付けられたクランプに取り付けるための延長リブを含むこともできる。
【0024】
修正された定インピーダンスコネクタアッテネータまたはフィルタは、下方ハウジングステーの上部または下方ハウジングステージの下部に圧入されるのが好ましい。
【0025】
接続システムは、更に、複数の第2の信号ケーブルを終端するためのプラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックであって、プラグハウジングブロックが複数の第2の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第2の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスレセプタクルコネクタ、或いはそれらの組合せを含む、プラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックと、アッテネータハウジング、フィルタハウジング、または両者を装着するための複数の開口を有するアダプタハウジングであって、アッテネータハウジングおよび/またはフィルタハウジングの各々が複数の第2の信号ケーブルの1つの信号ケーブルと関連され、プラグハウジングブロックの相補的な定インピーダンスコネクタと結合するように、アダプタハウジングの第1の側に相補的な定インピーダンスコネクタを有する、アダプタハウジングと、第2の側にアダプタハウジングを結合するためのレセプタクルハウジングブロックであって、複数の第2の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第2の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスレセプタクルコネクタ、或いはそれらの組合せを含み、そしてそこから延びる複数の第3の信号ケーブルを有する、レセプタクルハウジングブロックとを含み、レセプタクルハウジングブロックの相補的な定インピーダンスコネクタがアダプタハウジングの第2側に相補的な定インピーダンスコネクタを結合するように、レセプタクルハウジングブロックがアダプタハウジングの第2の側にアダプタハウジングを結合される。
【0026】
接続システムは、アッテネータハウジング、フィルタハウジング、またはその両方が、それぞれ、ハウジングアダプタの各開口の内壁への電気的連通関係、熱的連通関係、電磁干渉保護、またはそれらの任意の組み合わせのための弾性コンポーネントを含む。
【0027】
接続システムは更に、第2下部ハウジングステージを取り付けるための少なくとも1つの追加プレートと、複数の第3信号ケーブルと電気通信する第2の組の複数の修正された定インピーダンスコネクタを備えた下方ハウジングステージと、信号減衰または電気信号フィルタリングのために、それぞれに埋め込まれた第2のアッテネータまたは第2のフィルタ構成要素を備えた第2の組の修正された定インピーダンスコネクタとを含む。
【0028】
接続システムは、以下の構成をすることもできる。追加のプレートと、少なくとも1つの追加のプレートに第3の信号ケーブルに電気的に接続して装着される第2のプラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックであって、プラグハウジングブロックが複数の第3の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第3の信号ケーブルの各々のための定インピーダンスレセプタクルコネクタ、或いはそれらの組合せを含む、第2のプラグハウジングブロックまたはレセプタクルハウジングブロックと、第2のアッテネータハウジング、第2のフィルタハウジング、または両者を装着するための複数の開口を有する第2のアダプタハウジングであって、第2のアッテネータハウジングおよび/または第2のフィルタハウジングの各々が複数の第3の信号ケーブルの1つの信号ケーブルと接続され、そして第2のプラグハウジングブロックの相反的定インピーダンスコネクタと結合するための第2のアダプタハウジングの第1の側に相補的な定インピーダンスコネクタを有する、第2のアダプタハウジングと、第2のアダプタハウジングの第2の側に結合するための第2のレセプタクルハウジングブロックであって、複数の第3の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスプラグコネクタ、または複数の第3の信号ケーブルと電気的に接続する定インピーダンスレセプタクルプラグコネクタ、或いはそれらの組合せを含み、そしてそこから延びる複数の第4の信号ケーブルを有する、第2のレセプタクルハウジングブロックとを含み、第2のレセプタクルハウジングブロックの相補的な定インピーダンスコネクタが第2のアダプタハウジングの第2の側の相補的な定インピーダンスコネクタに結合するように、第2のレセプタクルハウジングブロックが第2のアダプタハウジングの第2の側で第2のアダプタハウジングに結合される。
アッテネータは、最大40dBの減衰を提供することができる。
【0029】
定インピーダンスレセプタクルコネクタは、整合されたインピーダンスを促進するために中心導体の周りに安定化ボビンを含むこともできる。
【0030】
第1および第2のアッテネータまたはフィルタがケーシング内にあり、当該ケーシングが前記修正された定インピーダンスコネクタハウジングの内部空洞内に固定されていてもよい。
【0031】
複数の第2の信号ケーブルまたは前記複数の第3の信号ケーブル、またはその両方は、超伝導ケーブル材料からなってもよい。
【0032】
本発明の第3の態様において、定インピーダンスコネクタは、接続システムにおける電気信号の電気的減衰または電気的フィルタリングのための定インピーダンスコネクタであって、上方本体部分と下方本体部分とを有するハウジングを含み、上方本体部分が第1の中心導体と接続する定インピーダンスレセプタクルまたはプラグ端部を有し、下方本体部分が第2の中心導体と接続する定インピーダンスプラグまたはレセプタクル端部を有し、第2のハウジング部分が第1のハウジング部分に着脱自在に取付け可能であり、ハウジング上方本体部分、ハウジング下方本体部分、または両者がその中に組み込まれるアッテネータまたはフィルタ構成要素を固定するための内部空洞を形成し、アッテネータまたはフィルタ構成要素が第1および第2の中心導体における電気信号を減衰またはフィルタリングする。
【0033】
本発明の第4の態様において、アダプタは、両端が定インピーダンスレセプタクルまたは定インピーダンスプラグで終端されたアダプタハウジング内に、アッテネータコンポーネントまたはフィルタ構成要素を備え、アッテネータまたはフィルタを定インピーダンス信号ケーブルに実装するためのアダプタである。
【0034】
アダプタは、一方の側で前記アダプタハウジングと機械的、電気的、および/または熱的に連通関係を有し、他方の側でアダプタハウジング取付け構造と機械的、電気、および/または熱的に連通関係を有する弾性部品を含むことができ、それにより、 前記アダプタハウジング取付け構造と接続する前記弾性部品は、前記アダプタを通過する信号のために、ヒートシンク、接地電位、電磁干渉保護、またはそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0035】
本発明の第5の態様は、多段ステージ接続システムにおける電気ケーブルの接続方法であって、定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタにより終端される中心導体を有する第1の信号ケーブルを、相補的に受容する第1の定インピーダンスレセプタクルまたはプラグコネクタを有するヘッダハウジングに接続し、ヘッダハウジングの第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第1の定インピーダンスプラグコネクタをヘッダハウジングの第1の側に取り付け、
第1の側に対向するヘッダハウジングの第2の側に、ヘッダハウジングの第2の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第2の定インピーダンスプラグコネクタを取り付け、そこにおいて、第1の信号ケーブルが定インピーダンスケーブル接続でヘッダハウジングの第1の側に結合するように、第1の側のヘッダハウジングの第1のコネクタが第1の信号ケーブルのヘッダハウジングの第1の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第1の定インピーダンスプラグコネクタと相補的であり、 ヘッダハウジングを第1のプレートに取り付け、 ヘッダハウジングに第2の信号ケーブルを接続し、そこにおいて、第2の信号ケーブルが定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは定インピーダンスプラグコネクタによって終端された中心導体を有し、第2の信号ケーブルが定インピーダンスケーブル接続でヘッダハウジングの第2の側に結合するように、第2の信号ケーブルの定インピーダンスレセプタクルコネクタまたは第2の信号ケーブルの定インピーダンスプラグコネクタが第2の側でヘッダハウジングの第2の定インピーダンスレセプタクルコネクタまたはヘッダハウジングの第2の定インピーダンスプラグコネクタと相補的なコネクタであり、そして第2のコネクタハウジングをヘッダハウジングに取り付けることにより第1のステージ接続を形成することを含む、接続方法である。
【0036】
本発明の接続方法は、第1および第2の側の前記ヘッダハウジングコネクタ間に位置するシールを挿入して、そこを通過する前記中心導体をシールすることを含む。
【0037】
本接続方法は更に、第1および第2の信号ケーブルの信号減衰および/または電気信号フィルタリングのために、一端でヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタに、および反対の端でヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタに、取り外し可能なアッテネータまたはフィルタ構成要素を接続することを含む。
【0038】
アダプタハウジング内の取り外し可能であり挿入可能なアダプタ内に減衰またはフィルタリングコンポーネントまたはその両方を埋め込んでもよい。
【0039】
アダプタハウジングの一端を前記ヘッダハウジング定インピーダンスプラグコネクタに接続し、反対側の端を前記ヘッダハウジング定インピーダンスレセプタクルコネクタに接続してもよい。
【0040】
本接続方法は更に、第2のステージ接続を前記第1のステージ接続に電気的に接続することを含む。第2のステージ接続は、第2のステージ上部コネクタハウジング、プレートに取り付けられた第2のステージヘッダハウジング、および第2のステージ下部コネクタハウジングを含み、相補的な定インピーダンスプラグおよびレセプタクルが前記第2のステージ上部に取り付けられ、前記第2のステージヘッダハウジング、および前記第2のステージ下部コネクタハウジングは、そこを通過する信号ケーブルのための定インピーダンス電気接続を形成する。
【0041】
新規であると考えられる本発明の特徴および本発明の特徴的な要素は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。図は説明のみを目的としており、縮尺通りに描かれているわけではない。しかしながら、本発明の構成および動作方法については、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明のコネクタシステムの一実施形態の斜視図である。
【
図2】ハーメティックヘッダハウジングが取り付けられた
図1のコネクタシステムの上部プレートの断面図である。
【
図3】
図2のトッププレートに接続するためのコネクタハウジングを備えた入力ケーブルの例を示す図である。
【
図4】信号の減衰が達成されるコネクタシステムの中央ステージを示す図である。
【
図5】それぞれの開口内にある複数のアッテネータまたはフィルタ構成要素を囲むアダプタハウジングの分解斜視図である。
【
図6】
図5のアダプタハウジング内に挿入可能なアッテネータまたはフィルター部品の断面図である。
【
図7】
図5のアダプタハウジングの分解斜視図である。尚、アダプタハウジングに挿入されたアッテネータまたはフィルタ構成要素を露出させるために開口部の一部は省略されている。
【
図8】
図5のアダプタハウジングの一方の側に取り付けられたプラグハウジングブロックと、アダプタハウジングの他方の側に取り付けられたレセプタクルハウジングブロックを示す図である。
【
図9】減衰アダプタおよびプラグコネクタを備えたアダプタハウジングに結合されたハウジングブロックの断面を示す図である。
【
図10】減衰アダプタの交換のためのハウジングブロックの分離、およびそこから取り外された減衰アダプタを示す図である。
【
図11】分離されたハウジングブロックと、新しい減衰アダプタまたは他のコンポーネントの交換を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の好ましい実施形態を
図1から
図11を参照しながら説明する。同じ符号は、本発明の同じ特徴を示している。
【0044】
本発明は、電気信号の接続システムを提供する。本発明は、コンピュータアーキテクチャ、好ましくは量子コンピュータアーキテクチャに用いられるが、コンピュータアーキテクチャ以外の使用を禁止するものではない。例示の目的で、本発明の接続システムの適用はコンピュータアーキテクチャで実証されている。ただし、接続システムを使用した電気信号保護の他の用途を除外するものではない。
【0045】
一の実施形態では、本発明は、極低温環境での動作に有用であるが、本発明は極低温環境の用途に限定されない。それ以外の場合は内部システムに熱影響を与える入力電力を削減する必要性は、専用の定インピーダンスコネクタのハウジングに埋め込まれた、または定インピーダンス接続を延長するように設計されたアダプタとして形成されたアッテネータの導入により軽減される。両方の場合において、コネクタは、冷却プレートなどのヒートシンク要素に直接熱接続するように設計されている。同様に、本発明は、アッテネータの代わりに、またはアッテネータに加えて、専用の定インピーダンスコネクタのハウジング内に埋め込まれるか、定インピーダンス接続を延長するアダプタとして取り付けられるフィルタにも対応し得る。
【0046】
アッテネータの埋め込みまたは定インピーダンスコネクタを延長する減衰アダプタを提供する設計は、コネクタまたはアダプタハウジング内のフィルタリングコンポーネントの実装に役立ち、信号線における不当な接続を低減する。このようにして、電気的に接続されたノイズの少なくとも一部を、極低温に冷却された環境のより冷たい部分に移動する前に接地することにより、ライン上の外部電力がさらに削減される。
【0047】
標準化された定インピーダンスコネクタは、モジュラーアプリケーションに見られる大きな半径方向および軸方向の位置ずれ許容値に適応する。シカゴのフェニックス社の関連会社であるコネチカット州ノーガタックのPalco Connector, Inc. のPkZ(商標)コネクタに見られる定インピーダンス技術は、低挿入力で内部係合バネなしに定インピーダンスを保証する。これらのコネクタは、システムとコネクタの公差の問題によって引き起こされる、より大きなZ軸の嵌合ギャップにわたって定インピーダンスを維持することにより、一貫したパフォーマンスを提供する。これは、一般にねじが切られており、低温でのコンポーネントの動きに対応できない先行技術のSMAコネクタよりも有利である。この設計では、Palco PkZ(商標)コネクタが、厳しい環境で信号の整合性を維持する模範的な定インピーダンスコネクタとして実装されている。
【0048】
動作信号は、通常40GHz未満の周波数のRF信号またはデジタル信号のいずれかであるが、約1ワットの最大電力で40GHzから60GHzの高さになる場合がある。 これは、20GHz未満のオーダーで動作する当技術分野で現在見られるSMAコネクタとは対照的である。
【0049】
図1は、本発明のコネクタシステム1の一実施形態の斜視図である。入力信号は、ケーブルを取り付けて接続するブロックを介してコネクタシステム1を通過する。上部プレート2は、低度な温度制御環境のような、外部の制御されていない環境またはあまり制御されていない環境からの入力ケーブル20を受け取る。ケーブルの中心導体は、ハーメティックシールを固定および維持する方法で上部プレート2を通過する。上部プレート2を通過した後、信号は少なくとも1つの追加プレート4を通る配線を介して運ばれる。追加のプレート4は、ヒートシンクに使用されるプレートであり、より好ましくは、複数のプレートであり、極低温用に温度を低下し維持する。このようなプレートは、熱エネルギーのヒートシンクとして機能し、熱エネルギーがコネクタシステムに更に伝わらないようにするのに役立つ。次に、信号はケーブルを介して、上部プレート2の下流にあり、PkZ(商標)コネクタなどの修正された定インピーダンスコネクタを使用する下部ハウジングステージ8に接続される。次に、信号線は底部ハウジングステージ10まで移動し、そこを通って信号線が内部コンピュータ電子機器に進む。
【0050】
以下で更に詳細に説明するように、定インピーダンス接続の変更は、異なる個別の設計および異なる段階で提示されてもよい。例えば、第1の実施形態では、アッテネータまたはフィルタは、定インピーダンスコネクタレセプタクルまたはプラグのいずれかに埋め込まれている。
図4に示すように、コネクタレセプタクルはレセプタクルハウジングブロック9aに取り付けられ、コネクタプラグはプラグハウジングブロック9bに取り付けられ、それにより、レセプタクルハウジングブロック9aがプラグハウジングブロック9bに嵌合すると、レセプタクルおよびプラグコネクタも嵌合する。このことは、適切な接続位置合わせとハウジングブロックを介した熱放散とを可能にする。
【0051】
第2の実施形態では、アッテネータコンポーネントまたはフィルタ構成要素アダプタは、それ自体のアダプタ本体内で使用され、その後、好ましくは複数のアダプタ本体を収容するアダプタハウジングに取り付けられる。次に、アダプタハウジングを冷蔵プレートなどのプレートに取り付ける。アダプタハウジングは、一方の側にレセプタクルハウジングブロックからのコネクタを、他方の側にプラグハウジングブロックからのコネクタを接続される。アダプタハウジングは、両側のレセプタクルハウジングブロックからコネクタを、または両側のプラグハウジングブロックからコネクタを受け入れるように設計することもできる。これにより、どちらの実施形態でも、アダプタハウジングの両側で定インピーダンス接続が行われる。
【0052】
アッテネータは、シグナルインテグリティを変えることなく、各中心導体の電力を下げる。冷却用途では、減衰された信号からの過剰な熱エネルギーは、そのとき、ハウジングを介して冷却プレートなどのヒートシンクに放散される。システムは、複数のそのようなヒートシンクを収容するように設計されている。追加のプレートには、更に信号を調整するための減衰コンポーネントが追加される場合がある。そして、外部ケーブルは、下部ハウジングステージ10からコンピュータの内部電子機器、そして最終的にはプロセッサまで延びている。
【0053】
他の用途では、非磁性材料は不要であろうが、量子コンピュータアプリケーション内の接続システムの最適な動作のために、接続システムの材料のほとんどまたはほぼ全てが非磁性材料で設計されていることに留意すべきである。
【0054】
図2は、ハーメティックヘッダハウジング21を備えたコネクタシステム1のトッププレート2の断面図である。上部プレート2は、信号線にハーメティックシールを導入する。これは、上部プレート2にハーメティックヘッダハウジング21を取り付けることで実現される。ハーメティックヘッダハウジング21は、上部プレート2の開口部を貫通する。このようにして、下流の信号ケーブルと電子機器は外部環境から密閉される。本実施形態では、上部プレート2の片側で、入ってくるケーブル20がコネクタハウジング22aに取り付けられている。コネクタハウジング22aは、定インピーダンスレセプタクルコネクタ24aで信号ケーブルを終端する。あるいは、設計機能を損なうことなくレセプタクルとプラグを交換できるため、信号ケーブルは定インピーダンスプラグコネクタで終端することができる。次に、コネクタハウジング22aは、ハーメティックヘッダハウジング21の上側に接続する。その上部側のハーメティックヘッダハウジング21は、コネクタハウジング22aの定インピーダンスレセプタクル24aと嵌合するためのレセプタクルインピーダンスプラグ24bを有する。中心導体25は、ハーメティックヘッダハウジング21内の気密シール材料27を通っている。ハーメティックヘッダハウジング21の底面と相関する上部プレート2の底面には、各信号線に対して定インピーダンスのプラグ24cが設置されている。次に、コネクタハウジング22bは、ハーメティックヘッダハウジング21の底面に接続する。コネクタハウジング22bは、定インピーダンスプラグ24cと嵌合するレセプタクル定インピーダンスレセプタクルコネクタ24dを有する。
【0055】
図3は、コネクタハウジング22に設置するための入力ケーブル20の例示的な実施形態を示している。第1の標準的な定インピーダンスレセプタクル24aが取り付けられている。標準のPkZ(商標)レセプタクルは、パルココネクタ社から入手可能なものなどの市販のタイプの定インピーダンスコネクタ、またはその同等物であることが好ましい。レセプタクルを用いる場合にはプラグコネクタを、プラグコネクタを用いる場合にはレセプタクルコネクタを、定インピーダンス接続を劣化させることなく使用できることに注意すべきである。
【0056】
以下でさらに詳細に説明するように、他の実施形態では、第2の定インピーダンスレセプタクルと嵌合する第2の定インピーダンス嵌合プラグを導入することができる。第2のレセプタクルは、異なるケーブルを収容するための異なる内部終端を必要とするため、上記の第1のレセプタクルから変更され、一般的なケーブル配線材料からケーブル32(超電導ケーブル配線材料)に接続を進めることができる。
【0057】
外部環境から低温冷却環境への信号ケーブル配線に続いて、ハーメティックシールステージを介して、ケーブル配線はコネクタハウジング22bから下部ハウジングステージ8まで延びている。
図4は、下部ハウジングステージ8の一部の断面図を示している。この実施形態では、定インピーダンスコネクタのアッテネータは、レセプタクルハウジング9a内に圧入されており、したがって交換可能ではなく、容易に修理することもできない。他の実施形態では、アッテネータは、クリップリングまたは機械的保持固定リングによって固定されてもよい。第2の実施形態に示されるように、アッテネータまたはフィルタアダプタは交換可能であり、各端でそれぞれの定インピーダンスレセプタクルまたはプラグに接続される。
【0058】
図4のレセプタクルハウジングブロック9aは、埋め込まれたアッテネータ38を利用してケーブル信号を減衰する。ケーブル配線32には、定インピーダンス[PkZ(商標)]レセプタクル36が含まれている。PkZ(商標)レセプタクル36は、内部にアッテネータ38を含むように変更されている。アッテネータ38は、個別のアッテネータ電子部品から形成されてもよい。PkZ(商標)コネクタ上部ハウジング本体部42および下部ハウジング本体部43など、上部本体部と下部本体部を備えた修正定インピーダンスコネクタハウジング内に挿入できる寸法であれば、他のアッテネータコンポーネントを使用できる。アッテネータ38は、システム要件に応じて任意のレベルの減衰ができる。一の実施形態では、20dBアッテネータが使用される。アッテネータ38は、変更されたPkZ(商標)レセプタクル36内に固定されたアッテネータハウジング40内に閉じ込められる。
【0059】
ケーブル信号を減衰させることにより、ケーブルからエネルギーが除去され、アッテネータを介して隣接するプレートに分流される。このようにして、熱エネルギーは下流の内部コンピュータ電子機器から遠ざけられる。
【0060】
次に、定インピーダンスのレセプタクル36は、嵌合プラグハウジングブロック9b内に挿入されて固定される嵌合プラグ44に嵌合される。嵌合プラグ44は、信号導体をケーブル46まで延長し、ケーブル46は、特定の状況下では超伝導ケーブルであってもよい。ケーブル46は、必ずしもケーブル32と同じ材料である必要はなく、任意の嵌合プラグは、超伝導ケーブル材料を含む異なる導電性ケーブル材料に適合するように設計され得る。
【0061】
レセプタクルおよびプラグハウジングブロック9a、9bは、専用のクランプ50a、bを介して下部ハウジングステージ8に取り付けられ、熱連通している。
クランプ50a、bはそれぞれ、各ハウジングブロック9a、bの周囲に延長リブ48a、bを保持するようにそれぞれ設計されている。クランプ50a、bは、ねじまたは他の取り外し可能な取り付け方式を介して、一方の側で下部ハウジングステージ8に機械的に固定されている。クランプ50bの底面は、下部ハウジングステージ8と熱的に伝通している。
【0062】
ケーブル46は、プラグハウジングブロック9bから延び、ヒートシンクを利用することができ、上記と同じ方法で構成することができる1つ以上のプレートを横断することができる。
【0063】
図5は、それぞれがそれぞれの開口部74内にある複数のアッテネータまたはフィルタ構成要素72を囲むアダプタハウジング70の分解斜視図を示している。
図5において、円筒形の開口部として示されているが、本発明はこの形状に限定されない。アダプタハウジング70は、好ましくはヒートシンクプレート、または熱エネルギーを伝達するための熱伝導、フィルタリングされた信号ノイズを除去するための接地電位、またはその両方を提供する金属構造であるプレート76に取り付けられる。プラグハウジングブロック78が一方の側でアダプタハウジング70に取り付けられ、レセプタクルハウジングブロック80が他方の側でアダプタハウジング70に取り付けられる。プラグおよびレセプタクルハウジングブロック78、80は、それぞれ、各側のアダプタハウジング70へのケーブル接続のために、それぞれレセプタクルまたはプラグポーションコンポーネント82、84の定インピーダンスコネクタの嵌合部を収容する。
【0064】
このようにして、レセプタクルまたはプラグポーションコンポーネント82、84の一端は、定インピーダンス接続が形成されるように、相補アッテネータまたはフィルタ構成要素72と嵌合するように設計された嵌合定インピーダンスコネクタレセプタクルまたはプラグである。嵌合アタッチメントは、アッテネータまたはフィルタ構成要素72の受信アタッチメントにスライド可能に接続される。この設計により、アッテネータまたはフィルタ構成要素72は、アッテネータコンポーネントがフィルタ構成要素で置き換えられ得る限り、交換可能であり、逆もまた同様である。実例として、プラグハウジングブロック78はPkZ(商標)プラグで描かれ、レセプタクルハウジングブロック80はPkZ(商標)レセプタクルで描かれている。本発明は、定インピーダンス接続が依然として維持されるように、プラグとレセプタクルの交換にも対応することができる。
【0065】
図6は、アッテネータまたはフィルタ部品72の部分断面図を示している。このコンポーネントは、各端に導電接続96、98を備えたそれ自体の取り外し可能なケーシング90に含まれるアッテネータまたはフィルタ回路を含む。このアッテネータまたはフィルタ構成要素72は、アダプタハウジング70の開口部74内に挿入可能である。
【0066】
弾性のある熱伝導性および/または導電性のコンポーネント100は、アッテネータまたはフィルタ構成要素72の外側に取り付けられ、挿入時にアッテネータまたはフィルタ構成要素72から開口部74の内壁に熱エネルギーを伝達する。弾性のある熱伝導性または導電性のコンポーネント100は、開口部74の内壁に対してスライド可能で圧縮可能な接続を形成するためにばねまたは他の弾性構造に形成できる。弾性のあるコンポーネント100は、熱伝導性および/または電磁干渉保護の改善を保証しながら、圧入装置(上記の第1の実施形態によって示されているような)が提供できない動きおよび柔軟性を提供する。
【0067】
図7は、そこに挿入されたアッテネータまたはフィルタ構成要素72を露出させるために開口部74の一部が省略されて示されているアダプタハウジング70の分解斜視図を示している。ここに示されているように、弾性コンポーネント100は、コンポーネント72の最外側が開口部74の内壁に圧着して嵌合するように、アッテネータまたはフィルタ構成要素72の円周方向に取り付けられている。
【0068】
図8から11は、コンピュータアプリケーションで接続システムを結合する方法の手順を示している。
図8に示すように、固定具を用いて、アダプタハウジング70の一方の側にプラグハウジングブロック78が取り付けられ、アダプタハウジング70の他方の側にレセプタクルハウジングブロック80が取り付けられる。アダプタハウジング70には減衰アダプタが装着されている。
【0069】
図9は、減衰アダプタ72およびプラグコネクタ82、84と共に、アダプタハウジング70に嵌合されたプラグハウジングブロック78、80の断面を示している。
【0070】
減衰アダプタ72を交換するために、プラグハウジングブロックとレセプタクルハウジングブロックの両方の固定具が取り外されている。その後、コネクタハウジングを取り外し、減衰アダプタを取り外して交換される。
図10は、減衰アダプタの交換のために分離されたハウジングブロックと、そこから除去された減衰アダプタを示している。
【0071】
コネクタハウジングを分離した後、適切なツールを使用して減衰アダプタを取り外すことができる。この時点で、接続システム環境外で作業するためにハウジング全体を取り外したり、異なる減衰アダプタおよび/または他のコンポーネントを含む別のハウジングに交換したりできる。
【0072】
図11は、分離されたハウジング78、80、および新しい減衰アダプタまたは他のコンポーネント85の交換を示してい
る。
【0073】
好ましい実施態様とともに本発明を特に説明したが、先述の説明に照らして、多くの代替、修正および変形が当業者にとって明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲および精神に含まれるものとして、そのような代替、修正、および変形を包含すると考えられる。