(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】格子結合光導波路、ディスプレイシステム、および集光を利用する方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220420BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20220420BHJP
G02B 30/33 20200101ALI20220420BHJP
【FI】
F21S2/00 433
F21S2/00 441
G02B27/02 Z
G02B30/33
(21)【出願番号】P 2020517854
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(86)【国際出願番号】 US2017054153
(87)【国際公開番号】W WO2019066873
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】リ,シュエジアン
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】アイエータ,フランセスコ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/111707(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0081360(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0013361(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0300960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02B 27/02
G02B 30/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子結合光導波路であって、
光を誘導するように構成された光導波路と、
集中光を提供するために光源から光を集光するように構成された集光器と、
前記光導波路の入力にある格子カプラであって、前記格子カプラは、第1広がり角および第2広がり角を有する導波光として、非ゼロ伝播角度で前記光導波路に前記集中光を回折により方向変更させるように構成されている、格子カプラと、
を備え、
前記集光器および格子カプラの特性は、組み合わせて、前記光導波路内の前記導波光の前記非ゼロ伝播角度、前記第1広がり角、および前記第2広がり角を決定するように構成されており、前記第1広がり角は前記第2広がり角に対して直交している、格子結合光導波路。
【請求項2】
前記集光器は、前記光源からの前記光の広がり角を低減し、前記格子カプラによって占有された領域に対応する領域で前記光を集光するように構成された、自由曲面光学系を備える、請求項1に記載の格子結合光導波路。
【請求項3】
前記集光器はテーパコリメータを備える、請求項1または2に記載の格子結合光導波路。
【請求項4】
前記集光器は反射屈折コリメータを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の格子結合光導波路。
【請求項5】
前記集光器は反射ターニングコリメータを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の格子結合光導波路。
【請求項6】
前記格子カプラは、前記光源に隣接する前記光導波路の表面に透過モード回折格子を備える透過型格子カプラであり、前記透過モード回折格子は、前記回折格子を透過した光を回折により方向変更させるためのものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の格子結合光導波路。
【請求項7】
前記格子カプラは、前記光源に隣接する光導波路表面の反対側の前記光導波路の表面に反射モード回折格子を備える反射型格子カプラであり、前記反射モード回折格子は、反射回折を使用して前記光導波路内に光を回折により方向変更させるためのものである、請求項1から6のいずれか一項に記載の格子結合光導波路。
【請求項8】
前記光源によって提供された光の円錐角は
、60度より大きく、前記集光器は、前記集中光を提供するために、前記光源によって提供された前記光の前記円錐角を低減するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の格子結合光導波路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の前記格子結合光導波路を備えるマルチビューバックライトであって、前記マルチビューバックライトは、
前記光導波路から、複数の指向性光ビームとして前記導波光の一部を散乱するように構成されたマルチビーム素子であって、前記複数の指向性光ビームにおける指向性光ビームは、互いに異なる主極大角度方向を有する、マルチビーム素子
をさらに備える、マルチビューバックライト。
【請求項10】
前記マルチビーム素子は、
前記複数の指向性光ビームとして前記導波光の前記一部を回折により散乱するように構成された、回折格子、
前記複数の指向性光ビームとして前記導波光の前記一部を反射により散乱するように構成された、マイクロ反射素子、および
前記複数の指向性光ビームとして前記導波光の前記一部を屈折により散乱するように構成された、マイクロ屈折素子
のうちの1つ以上を備える、請求項9に記載のマルチビューバックライト。
【請求項11】
前記指向性光ビームの前記異なる主極大角度方向は、マルチビューディスプレイの複数の異なるビューのそれぞれのビュー方向に対応する、請求項9または10に記載のマルチビューバックライト。
【請求項12】
格子結合ディスプレイシステムであって、
第1方向に光を提供するように構成された光源と、
前記第1方向に直交する第2方向を有する導波光として光を案内するための光導波路と、
集中光を提供するために、前記光源から受け取った前記光を集光するように構成された集光器と、
前記第2方向を有する前記導波光として、前記光導波路内に前記集中光を回折により方向変更させるように構成された格子カプラと、
前記光導波路から放射された光を変調し、表示画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、
を備え、
前記集光器および格子カプラの両方の特性は、前記光導波路内の前記導波光の非ゼロ伝播角度および所定の広がり角を協同的に決定するように構成されている、格子結合ディスプレイシステム。
【請求項13】
前記集光器は、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上を備える、請求項12に記載の格子結合ディスプレイシステム。
【請求項14】
前記格子カプラは、前記光源に隣接する前記光導波路の表面にある透過モード回折格子、および前記光源に隣接する光導波路表面の反対側の前記光導波路の表面にある反射モード回折格子の一方または両方を備える、請求項12または13に記載の格子結合ディスプレイシステム。
【請求項15】
前記光導波路と光学的に結合されたマルチビーム素子のアレイであって、前記マルチビーム素子アレイのマルチビーム素子は、前記光導波路から、複数の指向性光ビームとして前記導波光の一部を散乱するように構成されており、前記複数の指向性光ビームにおける指向性光ビームは、互いに異なる主極大角度方向を有する、マルチビーム素子のアレイ
をさらに備え、
前記光導波路から放射された前記光は、前記複数の指向性光ビームを備える、
請求項12から14のいずれか一項に記載の格子結合ディスプレイシステム。
【請求項16】
前記マルチビーム素子アレイのマルチビーム素子は、回折格子、マイクロ反射素子、およびマイクロ屈折素子のうちの1つ以上を備え、前記マルチビーム素子のサイズは、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの半分より大きく、前記ライトバルブサイズの2倍未満である、請求項15に記載の格子結合ディスプレイシステム。
【請求項17】
前記回折格子は、複数の回折格子を備える、請求項16に記載の格子結合ディスプレイシステム。
【請求項18】
前記指向性光ビームの前記異なる主極大角度方向は、マルチビューディスプレイの複数の異なるビューのそれぞれのビュー方向に対応し、前記格子結合ディスプレイシステムはマルチビューディスプレイであり、前記表示画像はマルチビュー画像を表す、請求項15から17のいずれか一項に記載の格子結合ディスプレイシステム。
【請求項19】
光導波路に光を結合する方法であって、前記方法は、
光源を使用して光を生成するステップと、
集中光を生成するために、集光器を使用して前記光源からの前記光を集光するステップと、
格子カプラを使用して前記光導波路に前記集中光を
回折により結合
し、方向変更するステップと、
第1広がり角および第2広がり角を有する導波光として、非ゼロ伝播角度で前記光導波路に前記結合光を誘導するステップであって、前記第2広がり角は前記第1広がり角に対して直交する方向になっている、ステップと、
を備え、
前記光導波路内の前記導波光の前記非ゼロ伝播角度、前記第1広がり角、および前記第2広がり角は、前記集光器および前記格子カプラの両方の特性によって決定される、方法。
【請求項20】
前記集光器は、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上を備える、請求項19に記載の光導波路に光を結合する方法。
【請求項21】
互いに異なる主極大角度方向を有する複数の指向性光ビームを生成するために前記光導波路と光学的に結合されたマルチビーム素子を使用して、前記光導波路から前記導波光の一部を散乱させるステップと、
対応する複数のライトバルブを使用して前記複数の指向性光ビームを変調するステップであって、変調された光ビームは表示画像のピクセルを形成する、ステップと、
をさらに備える、請求項19または20に記載の光導波路に光を結合する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
非該当
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
非該当
【背景技術】
【0003】
スラブ型光導波路とも呼ばれる導光板は、様々な光学用途および光子用途で使用される。たとえば、導光板は、電子ディスプレイのバックライトで利用され得る。特に、導光板は、電子ディスプレイのピクセルに光を分配するために使用され得る。ピクセルは、たとえば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルまたは二次元(2D)ディスプレイの2Dピクセルであってもよい。別の例では、導光板はタッチセンシティブパネルとして利用されてもよい。導光板の表面の接触に関連する漏れ全反射は、たとえば、導光板がどこでどの程度の圧力で触れられたかを検出するために使用され得る。
【0004】
導光板の様々な光学用途および光子用途において、光源からの光は、導波光として伝播するために、導光板内に導入または結合されなければならない。さらに、多くの用途において、導光または光結合は、特定の所定の伝播特性を有する導光板の中に導波光を供給するように構成されている。たとえば、光結合によって生成された導波光は、特定のまたは所定の伝播角度で、特定のまたは所定の方向に、伝播し得る。さらに、導波光またはそのビームは、所定の1つまたは複数の広がり角を有し得る。たとえば、導波光は、導光板の入力端から出力端まで伝播する、実質的に平行なビームであってもよい。加えて、導波光のビームは、光ビームが導光板の前面と後面との間で「跳ね返る」ように、導光板の平面に対して所定の伝播角度で導光板内を移動し得る。
【発明の概要】
【0005】
光源から導光板に光を導入または結合するための様々な光カプラには、レンズ、バッフル、ミラー、および様々な関連する反射器(たとえば、パラボラ反射器、成形反射器など)、ならびにこれらの組み合わせがある。残念ながら、このような光カプラを使用するには、導波光の所望の伝播特性が得られるように光カプラを作成および正確に実現するために、しばしば厳密な製造作業を必要とする。さらに、光カプラの製造は、導光板の作成とは切り離されていることが多い。さらに複雑なこととして、これらの別個に製造された光カプラは、追加の費用と製造の複雑さをもたらす所望の光結合を提供するために、通常、導光板に正確に位置合わせされ、次いでこれに固定されなければならない。
【0006】
本開示は、以下の[1]から[21]を含む。
[1]格子結合光導波路であって、
光を誘導するように構成された光導波路と、
集中光を提供するために光源から光を集光するように構成された集光器と、
上記光導波路の入力にある格子カプラであって、上記格子カプラは、第1広がり角および第2広がり角を有する導波光として、非ゼロ伝播角度で上記光導波路に上記集中光を回折により方向変更させるように構成されている、格子カプラと、
を備え、
上記集光器および格子カプラの特性は、組み合わせて、上記光導波路内の上記導波光の上記非ゼロ伝播角度、上記第1広がり角、および上記第2広がり角を決定するように構成されており、上記第1広がり角は上記第2広がり角に対して直交している、格子結合光導波路。
[2]上記集光器は、上記光源からの上記光の広がり角を低減し、上記格子カプラによって占有された領域に対応する領域で上記光を集光するように構成された、自由曲面光学系を備える、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[3]上記集光器はテーパコリメータを備える、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[4]上記集光器は反射屈折コリメータを備える、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[5]上記集光器は反射ターニングコリメータを備える、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[6]上記格子カプラは、上記光源に隣接する上記光導波路の表面に透過モード回折格子を備える透過型格子カプラであり、上記透過モード回折格子は、上記回折格子を透過した光を回折により方向変更させるためのものである、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[7]上記格子カプラは、上記光源に隣接する光導波路表面の反対側の上記光導波路の表面に反射モード回折格子を備える反射型格子カプラであり、上記反射モード回折格子は、反射回折を使用して上記光導波路内に光を回折により方向変更させるためのものである、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[8]上記光源によって提供された光の円錐角は、約60度より大きく、上記集光器は、上記集中光を提供するために、上記光源によって提供された上記光の上記円錐角を低減するように構成されている、上記[1]に記載の格子結合光導波路。
[9]上記[1]に記載の上記格子結合光導波路を備えるマルチビューバックライトであって、上記マルチビューバックライトは、
上記光導波路から、複数の指向性光ビームとして上記導波光の一部を散乱するように構成されたマルチビーム素子であって、上記複数の指向性光ビームにおける指向性光ビームは、互いに異なる主極大角度方向を有する、マルチビーム素子
をさらに備える、マルチビューバックライト。
[10]上記マルチビーム素子は、
上記複数の指向性光ビームとして上記導波光の上記一部を回折により散乱するように構成された、回折格子、
上記複数の指向性光ビームとして上記導波光の上記一部を反射により散乱するように構成された、マイクロ反射素子、および
上記複数の指向性光ビームとして上記導波光の上記一部を屈折により散乱するように構成された、マイクロ屈折素子
のうちの1つ以上を備える、上記[9]に記載のマルチビューバックライト。
[11]上記指向性光ビームの上記異なる主極大角度方向は、マルチビューディスプレイの複数の異なるビューのそれぞれのビュー方向に対応する、上記[9]に記載のマルチビューバックライト。
[12]格子結合ディスプレイシステムであって、
第1方向に光を提供するように構成された光源と、
上記第1方向に直交する第2方向を有する導波光として光を案内するための光導波路と、
集中光を提供するために、上記光源から受け取った上記光を集光するように構成された集光器と、
上記第2方向を有する上記導波光として、上記光導波路内に上記集中光を回折により方向変更させるように構成された格子カプラと、
上記光導波路から放射された光を変調し、表示画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、
を備え、
上記集光器および格子カプラの両方の特性は、上記光導波路内の上記導波光の非ゼロ伝播角度および所定の広がり角を協同的に決定するように構成されている、格子結合ディスプレイシステム。
[13]上記集光器は、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上を備える、上記[12]に記載の格子結合ディスプレイシステム。
[14]上記格子カプラは、上記光源に隣接する上記光導波路の表面にある透過モード回折格子、および上記光源に隣接する光導波路表面の反対側の上記光導波路の表面にある反射モード回折格子の一方または両方を備える、上記[12]に記載の格子結合ディスプレイシステム。
[15]上記光導波路と光学的に結合されたマルチビーム素子のアレイであって、上記マルチビーム素子アレイのマルチビーム素子は、上記光導波路から、複数の指向性光ビームとして上記導波光の一部を散乱するように構成されており、上記複数の指向性光ビームにおける指向性光ビームは、互いに異なる主極大角度方向を有する、マルチビーム素子のアレイ
をさらに備え、
上記光導波路から放射された上記光は、上記複数の指向性光ビームを備える、
上記[12]に記載の格子結合ディスプレイシステム。
[16]上記マルチビーム素子アレイのマルチビーム素子は、回折格子、マイクロ反射素子、およびマイクロ屈折素子のうちの1つ以上を備え、上記マルチビーム素子のサイズは、上記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの半分より大きく、上記ライトバルブサイズの2倍未満である、上記[15]に記載の格子結合ディスプレイシステム。
[17]上記回折格子は、複数の回折格子を備える、上記[16]に記載の格子結合ディスプレイシステム。
[18]上記指向性光ビームの上記異なる主極大角度方向は、マルチビューディスプレイの複数の異なるビューのそれぞれのビュー方向に対応し、上記格子結合ディスプレイシステムはマルチビューディスプレイであり、上記表示画像はマルチビュー画像を表す、上記[15]に記載の格子結合ディスプレイシステム。
[19]光導波路に光を結合する方法であって、上記方法は、
光源を使用して光を生成するステップと、
集中光を生成するために、集光器を使用して上記光源からの上記光を集光するステップと、
格子カプラを使用して上記光導波路に上記集中光を結合するステップと、
第1広がり角および第2広がり角を有する導波光として、非ゼロ伝播角度で上記光導波路に上記結合光を誘導するステップであって、上記第2広がり角は上記第1広がり角に対して直交する方向になっている、ステップと、
を備え、
上記光導波路内の上記導波光の上記非ゼロ伝播角度、上記第1広がり角、および上記第2広がり角は、上記集光器および上記格子カプラの両方の特性によって決定される、方法。
[20]上記集光器は、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上を備える、上記[19]に記載の光導波路に光を結合する方法。
[21]互いに異なる主極大角度方向を有する複数の指向性光ビームを生成するために上記光導波路と光学的に結合されたマルチビーム素子を使用して、上記光導波路から上記導波光の一部を散乱させるステップと、
対応する複数のライトバルブを使用して上記複数の指向性光ビームを変調するステップであって、変調された光ビームは表示画像のピクセルを形成する、ステップと、
をさらに備える、上記[19]に記載の光導波路に光を結合する方法。
本明細書に記載される原理による例および実施形態の様々な特徴は、築地の参照番号が類似の構造要素を指定する以下の添付図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することで、より容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0008】
【
図1B】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主極大角度方向を有する光ビームの角度成分の図表示を示す。
【0009】
【
図2】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0010】
【
図3A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路(grating-coupled light guide)の断面図を示す。
【0011】
【
図3B】本明細書に記載される原理と一致する別の例による、格子結合光導波路の断面図を示す。
【0012】
【
図4】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路の一部の断面図を示す。
【0013】
【
図5A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における集光器の断面図を示す。
【0014】
【
図5B】本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例における集光器の断面図を示す。
【0015】
【
図5C】本明細書に記載される原理と一致するさらに別の実施形態による、一例における集光器の断面図を示す。
【0016】
【
図6A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路の表面上の格子カプラの平面図を示す。
【0017】
【
図6B】本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例における格子結合光導波路の表面上の格子カプラの平面図を示す。
【0018】
【
図7A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路の一部の断面図を示す。
【0019】
【
図7B】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路の一部の断面図を示す。
【0020】
【
図8A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路の一部の断面図を示す。
【0021】
【
図8B】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路の一部の断面図を示す。
【0022】
【
図9A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの断面図を示す。
【0023】
【
図9B】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの平面図を示す。
【0024】
【
図9C】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの斜視図を示す。
【0025】
【
図10A】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0026】
【
図10B】本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の別の断面図を示す。
【0027】
【
図11A】本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0028】
【
図11B】本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の別の断面図を示す。
【0029】
【
図12】本明細書に記載される原理と一致するさらに別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の別の断面図を示す。
【0030】
【
図13】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合ディスプレイシステムのブロック図を示す。
【0031】
【
図14】本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における光導波路に光を結合する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特定の例および実施形態は、上記で参照された図に示される特徴に追加されるかまたはこれに代わる別の特徴を有する。これらまたは別の特徴は、上記で参照された図を参照して、以下で詳述される。
【0033】
本明細書に記載される原理と一致する例および実施形態は、光導波路への光の集光および回折結合を提供する。具体的には、光は、集光器と回折格子を含む格子カプラとの組み合わせを使用して、導光板に結合される。さらに、光は、様々な例により、実質的に非平行な光を所定の伝播特性を有する光導波路内の導波光に変換できるような方法で、結合される。たとえば、導波光は、光導波路内で所定の伝播角度を有してもよい。加えて、光導波路内の導波光は、所定の広がり角を有してもよい。たとえば、導波光がコリメート光ビームとなるように、導波光の水平広がり角(たとえば、導光板の表面に平行)および導波光の垂直広がり角(たとえば、導光板の表面に直交)の両方が約ゼロであってもよい。別の例では、扇形ビームパターンに対応する水平広がり角および垂直広がり角の一方または両方を有する導波光(たとえば、約30度の広がり角から約90度超の広がり角を有するビーム)が、光導波路内に提供され得る。
【0034】
本明細書に記載される原理の様々な実施形態による、光導波路(たとえば、格子結合光導波路)への光の結合は、電子ディスプレイ(たとえば、マルチビューディスプレイ)のバックライトを含むがこれに限定されない、様々な用途において有用であり得る。本明細書に記載される原理による様々な実施形態を利用する電子ディスプレイの使用は、携帯電話(たとえば、スマートフォン)、腕時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(たとえば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータおよびコンピュータモニタ、車載ディスプレイコンソール、カメラディスプレイ、および様々なその他のモバイルならびに非モバイルディスプレイ用途および装置を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向のマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成された電子ディスプレイまたはディスプレイシステムとして定義される。
図1Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。
図1Aに示されるように、マルチビューディスプレイ10は、視聴すべきマルチビュー画像を表示するためのスクリーン12を備える。スクリーン12は、たとえば電話(たとえば、携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラディスプレイ、または実質的にその他いずれの装置の電子ディスプレイの表示画面であってもよい。
【0036】
マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16のマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主極大角度方向(または単に異なる方向)に延在する矢印として示され、異なるビュー14は、矢印の終端(すなわち、ビュー方向16を表す)における斜線の多角形ボックスとして示され、4つのビュー14および4つのビュー方向16のみが示されており、いずれも例示であって限定ではない。なお、異なるビュー14は
図1Aにおいてスクリーンより上に示されているが、ビュー14は実際には、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10上に表示されているときにはスクリーン12上またはその近傍に現れることに留意されたい。スクリーン12の上方にビュー14を描いているのは、単に説明を簡単にするためであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれからマルチビューディスプレイ10を見ることを表すことを意味している。
【0037】
ビュー方向、または同等にマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、一般に、本明細書の定義では、角度成分{θ、φ}によって与えられる主極大角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では、光ビームの「仰角成分」または「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」または「方位角」と呼ばれる。定義では、仰角θは垂直平面(たとえば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して垂直)内の角度であり、その一方で方位角φは、水平平面(たとえば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面と平行)内の角度である。
【0038】
図1Bは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(たとえば、
図1Aのビュー方向16)に対応する特定の主極大角度方向または「方向」を有する光ビーム20の角度成分{θ、φ}の図表示を示す。加えて、光ビーム20は、本明細書の定義では、特定の点から放射または発する。つまり、定義では、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心線を有する。
図1Bは、光ビーム(またはビュー方向)の原点Oも示している。
【0039】
さらに本明細書では、用語「マルチビュー画像」および「マルチビューディスプレイ」において使用される用語「マルチビュー」は、異なる視点を表す、または複数ビューのビュー間の角度の相違を含む、複数のビューとして定義される。加えて、本明細書で用語「マルチビュー」は明確に、本明細書の定義では、3つ以上の異なるビュー(すなわち、最低3つのビューであって通常は4つ以上のビュー)を含む。したがって、本明細書で使用される「マルチビューディスプレイ」は、場面または画像を表す2つのみの異なるビューを含む立体ディスプレイとは明確に区別される。しかしながら、マルチビュー画像およびマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含むものの、本明細書の定義では、マルチビュー画像は、同時に見るためにマルチビュービューのうちの2つのみ(たとえば、片目につき1つのビュー)を選択することによる立体画像のペアとして(たとえば、マルチビューディスプレイ上で)視聴され得ることに、留意されたい。
【0040】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの類似の複数の異なるビューの各々の「ビュー」ピクセルを表すサブピクセルのセットとして定義される。具体的には、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューの各々のビューピクセルに対応するかまたはこれを表す個々のサブピクセルを有し得る。また、マルチビューピクセルのサブピクセルは、定義では、サブピクセルの各々が、異なるビューの対応する1つの所定のビュー方向に関連付けられている点において、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な例および実施形態によれば、マルチビューピクセルのサブピクセルによって表された異なるビューピクセルは、異なるビューの各々において同等または少なくとも類似の位置または座標を有し得る。たとえば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューの各々の{x1,y1}に位置するビューピクセルに対応する個々のサブピクセルを有することができ、その一方で第2のマルチビューピクセルは、異なるビューの各々の{x2,y2}に位置するビューピクセルに対応する個々のサブピクセルを有することができる、などである。
【0041】
いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル内のサブピクセルの数は、マルチビューディスプレイのビューの数に等しくてもよい。たとえば、マルチビューピクセルは、64個の異なるビューを有するマルチビューディスプレイに関連付けられた64個のサブピクセルを提供し得る。別の例では、マルチビューディスプレイは、8×4のビューのアレイ(すなわち、32個のビュー)を提供し、マルチビューピクセルは32個のサブピクセル(すなわち、各ビューに1つずつ)を含み得る。加えて、各異なるサブピクセルは、たとえば、64個の異なるビューに対応するビュー方向の異なる1つに対応する関連の方向(たとえば、光ビーム方向)を有し得る。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの数は、マルチビューディスプレイビューにおける「ビュー」ピクセル(すなわち、選択されたビューを構成するピクセル)の数と実質的に等しくてもよい。たとえば、ビューが640×480のビューピクセル(すなわち、640×480ビュー解像度)を含む場合、マルチビューディスプレイは、30万7千2百個(307,200個)のマルチビューピクセルを有することができる。別の例では、ビューが100×100ピクセルを含むとき、マルチビューディスプレイは合計1万個(すなわち、100×100=10,000個)のマルチビューピクセルを含み得る。
【0042】
本明細書では、「光導波路」は、全内反射を使用して構造内の光を誘導する構造として定義される。具体的には、光導波路は、光導波路の動作波長で実質的に透明のコアを含み得る。様々な例では、用語「光導波路」は一般に、光導波路の誘電体材とこの光導波路を包囲する材料または媒体との間の界面で光を誘導するために全内反射を利用する、誘電体光導波管を指す。定義では、全内反射の条件は、光導波路の屈折率が、光導波路材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率よりも高いことである。いくつかの実施形態では、光導波路は、全内反射をさらに促進するために、上述の屈折率に加えて、またはその代わりに、コーティングを含んでもよい。コーティングは、たとえば反射コーティングであってもよい。光導波路は、板状またはスラブガイドおよびストリップガイドの一方または両方を含むがこれらに限定されない、いくつかの光導波路のいずれであってもよい。
【0043】
さらに本明細書では、「導光板」と同様に光導波路に適用されるときの用語「板」は、区分的または特異的に平坦な層またはシートとして定義され、「スラブ」ガイドと呼ばれることもある。特に、導光板は、光導波路の上面および底面(すなわち、対抗する面)によって区切られた2つの実質的に直交する方向に光を誘導するように構成された光導波路として、定義される。さらに、本明細書の定義では、上面および底面は両方とも互いに分離されており、少なくとも特異的な意味において互いに実質的に平行であってもよい。つまり、導光板のあらゆる特異的に小さいセクション内で、上面および底面は、実質的に平行または同一平面上にある。
【0044】
いくつかの実施形態では、導光板は、実質的に平坦(すなわち、平面に限定)であってもよく、したがって、導光板は平面光導波路である。別の実施形態では、導光板は、1つまたは2つの直交する次元で湾曲していてもよい。たとえば、導光板は、円筒形の導光板を形成するために、一次元で湾曲していてもよい。しかしながら、いずれの曲率も、光を誘導するために導光板内で全内反射が維持されることを保証するのに十分に大きい曲率半径を有する。
【0045】
本明細書に記載される様々な実施形態によれば、光を光導波路に結合するために、格子カプラが使用される。格子カプラは、本明細書の定義では、入射光から回折格子によって生成される光ビームの角度方向性および角度広がりの一方または両方を制御するためにその特性または特徴(すなわち、「回折特徴」)が使用され得る、回折格子を含む。角度方向性および角度広がりを制御するために使用され得る特性は、格子長、格子ピッチ(特徴間隔)、回折特徴の形状(たとえば、正弦波、長方形、三角形、鋸歯など)、回折特徴のサイズ(たとえば、溝またはリッジの幅)、および格子の配向のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、制御に使用される様々な特性は、生成された光ビームの原点ならびに回折格子上の光の1つまたは複数の入射点の近傍に局所的な特性であり得る。
【0046】
本明細書では、「回折格子」は一般に、回折格子に入射する光の回折を提供するように配置された複数の特徴(すなわち、回折特徴)として定義される。いくつかの例では、複数の特徴は、周期的または準周期的に配置され得る。たとえば、回折格子は、一次元(1D)アレイに配置された複数の特徴(たとえば、材料表面の複数の溝またはリッジ)を含み得る。別の例では、回折格子は、特徴の二次元(2D)アレイであってもよい。回折格子は、たとえば材料表面のバンプまたは穴の2Dアレイであってもよい。
【0047】
したがって、本明細書の定義では、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折を提供する構造である。光が光導波路から回折格子に入射する場合、提供される回折または回折散乱は、回折格子が回折によって光導波路からの光を結合することがあり、その点において「回折結合」と呼ばれ得る。回折格子はまた、回折によって(すなわち、回折角度で)光の角度を方向変更または変化させる。特に、回折の結果として、回折格子を離れる光は一般に、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝播方向とは異なる伝播方向を有する。回折による光の伝播方向の変化は、「回折方向変更」と呼ばれる。したがって、回折格子は、回折格子に入射する光を回折により方向変更させる回折特徴を含む構造であると理解されてもよく、光が光導波路から入射する場合、回折格子は、光導波路からの光を回折により結合することもできる。
【0048】
さらに、本明細書の定義では、回折格子の特徴は、「回折特徴」と呼ばれ、たとえば、光導波路の表面(すなわち、2つの材料間の境界)の、その中の、および上の1つ以上であり得る。表面は、たとえば、光導波路の表面であってもよい。回折特徴は、表面の、その中の、またはその上の、溝、リッジ、穴、およびバンプのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、光を回折する様々な構造のいずれかを含み得る。たとえば、回折格子は、材料表面の複数の実質的に平行な溝を含んでもよい。別の例では、回折格子は、材料表面から隆起する複数の平行なリッジを含んでもよい。回折特徴(たとえば、溝、リッジ、穴、バンプなど)は、正弦波プロファイル、長方形プロファイル(たとえば、バイナリ回折格子)、三角形プロファイル、および鋸歯状プロファイル(たとえば、ブレーズド格子)のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、回折を提供する様々な断面形状またはプロファイルのいずれかを有し得る。
【0049】
本明細書に記載される様々な例によれば、回折格子(たとえば、以下で説明されるような、マルチビーム素子の回折格子)は、光ビームとして光導波路(たとえば、導光板)からの光を回折により散乱または結合するために利用され得る。具体的には、極所周期回折格子の、またはこれにより提供される回折角θ
mは、以下の式(1)によって与えられる。
【数1】
ここで、λは光の波長、mは回折次数、nは光導波路の屈折率、dは回折格子の特徴間の距離または間隔、θ
iは回折格子への光の入射角である。簡潔にするために、式(1)は、回折格子が光導波路の表面に隣接し、光導波路の外側の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、n
out=1)と仮定している。一般に、回折次数mは整数で与えられる。回折格子によって生成された光ビームの回折角θ
mは、回折次数が正の数(たとえば、m>0)である式(1)によって与えられてもよい。たとえば、回折次数mが1に等しいとき(すなわち、m=1)、一次回折が提供される。
【0050】
図2は、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。たとえば、回折格子30は、光導波路40の表面上に位置してもよい。加えて、
図2は、入射角θ
iで回折格子30に入射する光ビーム50を示す。入射光ビーム50は、光導波路40内の導波光ビームであってもよい。また、
図2には、入射光ビーム50の回折の結果として回折格子30によって回折により生成または結合された、指向性光ビーム60も示されている。指向性光ビーム60は、式(1)で与えられるような回折角θ
m(または本明細書では「主極大角度方向」)を有する。回折角θ
mは、たとえば、回折格子30の回折次数「m」に対応し得る。
【0051】
本明細書では、「等角散乱特徴」または同等に「等角散乱体」は、散乱光において特徴または散乱体に入射する光の角度広がりを実質的に保存するような方法で光を散乱するように構成された、任意の特徴または散乱体である。具体的には、定義では、等角散乱特徴によって散乱した光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσの関数である(すなわち、σs=f(σ))。いくつかの実施形態では、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりまたはコリメーション係数の一次関数である(たとえば、σs=a・σ、ここでaは整数)。つまり、等角散乱特徴によって散乱した光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりまたはコリメーション係数σに実質的に比例し得る。たとえば、散乱光の角度広がりσsは、入射光角度広がりσと実質的に等しくてもよい(たとえば、σs≒σ)。均一な回折格子(すなわち、実質的に均一または一定の回折特徴間隔または格子ピッチを有する回折格子)は、等角散乱特徴の一例である。対照的に、ランバート散乱体または反射器、ならびに一般的なディフューザ(たとえば、ランバート散乱を有するかまたはこれに近似するもの)は、本明細書の定義では、等角散乱体ではない。
【0052】
本明細書の定義では、「マルチビーム素子」は、複数の光ビームを含む光を生成するバックライトまたはディスプレイの構造または素子である。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、光導波路内で誘導された光の一部を結合することによって複数の光ビームを提供するために、バックライトの光導波路と光学的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、光ビームとして放射される光を生成してもよい(たとえば、光源を備えてもよい)。さらに、マルチビーム素子によって生成された複数の光ビームのうちの光ビームは、本明細書の定義では、互いに異なる主極大角度方向を有する。具体的には、定義では、複数のうちの光ビームは、複数の光ビームの別の光ビームとは異なる所定の主極大角度方向を有する。さらに、複数の光ビームは、明視野を表してもよい。たとえば、複数の光ビームは、空間の実質的に円錐形の領域に閉じ込められるか、または複数の光ビームにおいて異なる主極大角度方向の光ビームを含む所定の角度広がりを有してもよい。したがって、所定の角度広がりの光ビームの組み合わせ(すなわち、複数の光ビーム)は、明視野を表すことができる。
【0053】
様々な実施形態によれば、複数の様々な光ビームの異なる主極大角度方向は、マルチビーム素子のサイズ(たとえば、長さ、幅、面積など)を含むがこれらに限定されない特性によって決定される。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、本明細書の定義では、「拡張点光源」、すなわち、マルチビーム素子の範囲全体に分布する複数の点光源と見なされてもよい。さらに、マルチビーム素子によって生成された光ビームは、本明細書の定義では、
図1Bを参照して上記で説明したように、角度成分{θ、φ}によって与えられる主極大角度方向を有する。
【0054】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された、実質的にあらゆる光学デバイスまたは装置として定義される。様々な実施形態によれば、コリメータによって提供されるコリメーションの量は、実施形態ごとに所定の程度または量で異なってもよい。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(たとえば、垂直方向および水平方向)の一方または両方でコリメーションを提供するように構成されてもよい。つまり、コリメータは、いくつかの実施形態によれば、光コリメーションを提供する2つの直交する方向の一方または両方の形状を含むことができる。
【0055】
本明細書では、「コリメーション係数」は、光がコリメートされる度合として定義される。具体的には、本明細書の定義では、コリメーション係数は、コリメートされた光のビーム内の光線の角度広がりを定義する。たとえば、コリメーション係数σは、コリメート光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり(たとえば、コリメート光ビームの中心または主極大角度方向から+/-σ度)の範囲内であることを指定し得る。いくつかの例によれば、コリメート光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、角度広がりは、コリメート光ビームのピーク強度の半分で決定された角度であってもよい。
【0056】
本明細書では、「光源」は、光の供給源(たとえば、光を生成および放射するように構成された光エミッタ)として定義される。たとえば、光源は、起動またはオンにされたときに光を放射する発光ダイオード(LED)などの光エミッタを備え得る。特に、本明細書では、光源は、実質的にいずれの光の供給源であってもよく、または発光ダイオード(LED)、レーザー、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベース光エミッタ、蛍光灯、白熱灯、および事実上あらゆるその他の光の供給源の1つ以上を含むがこれらに限定されない、実質的にあらゆる光エミッタを備え得る。光源によって生成された光は、色を有してもよく(すなわち、特定の波長の光を含んでもよく)、またはある波長の範囲(たとえば、白色光)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光エミッタを備えてもよい。たとえば、光源は、光エミッタのうちの少なくとも1つが、セットまたはグループの少なくとも1つの別の光エミッタによって生成された光の色または波長とは異なる、色または同等に波長を有する光を生成する、光エミッタのセットまたはグループを含んでもよい。異なる色は、たとえば原色(たとえば、赤、緑、青)を含み得る。
【0057】
さらに、本明細書で使用される際に、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ以上」を有するように意図される。たとえば、「格子」は1つ以上の格子を意味し、したがって本明細書では、「格子」は「1つまたは複数の格子」を意味する。また、本明細書における「上」、「底」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、「前」、「後」、「第1」、「第2」、「左」、または「右」のあらゆる言及は、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、ある値に適用されるときの用語「約」は一般に、その値を生成するために使用された機器の公差範囲内を意味し、またはいくつかの例では、別途明確に指定されない限り、プラスマイナス10%、またはプラスマイナス5%、またはプラスマイナス1%を意味する。さらに、本明細書で使用される用語「実質的に」は、大部分、またはほぼ全て、または全て、またはたとえば約51%から約100%までの範囲内の量を意味する。また、本明細書の例は、説明のみを意図しており、限定ではなく議論の目的で提示されている。
【0058】
本明細書に記載される原理のいくつかの例によれば、格子結合光導波路が提供される。
図3Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の断面図を示す。
図3Bは、本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例における格子結合光導波路100の断面図を示す。格子結合光導波路100は、光102を受け取り、導波光104として格子結合光導波路100に回折により結合するように、構成されている。たとえば、光102は、以下により詳細に説明されるように、光源106(たとえば実質的にコリメートされていない光源)によって提供され得る。様々な例によれば、格子結合光導波路100は、比較的高い結合効率を提供し得る。また、格子結合光導波路100は、様々な実施形態によれば、光源106から受け取った光102を、格子結合光導波路100内の所定の広がり角またはコリメーション係数σを有する導波光104(たとえば、導波光のビーム)に変換し得る。
【0059】
具体的には、いくつかの実施形態によれば、約20パーセント(20%)を超える結合効率が達成され得る。たとえば、透過構成(以下に記載)では、格子結合光導波路100の結合効率は、約30パーセント(30%)超、または約35パーセント(35%)超であってもよい。たとえば、最大約40パーセント(40%)の結合効率が達成され得る。反射構成では、格子結合光導波路100の結合効率は、たとえば、約50パーセント(50%)、または約60パーセント(60%)、もしくは約70パーセント(70%)もの高さであり得る。
【0060】
様々な実施形態によれば、格子結合光導波路100によってその中で提供される所定の広がり角またはコリメーション係数σは、制御された、または所定の伝播特性を有する導波光104のビームを生じることができる。具体的には、格子結合光導波路100は、「垂直」方向、すなわち格子結合光導波路100の表面の平面に対して垂直な平面内に、制御された、または所定の第1広がり角を提供し得る。同時に、格子結合光導波路100は、水平方向、すなわち格子結合光導波路表面と平行な平面内に、制御された、または所定の第2広がり角を提供し得る。さらに、光102は、格子結合光導波路100の平面に対して実質的に垂直な角度で光源106から受け取られ、次いで格子結合光導波路100内の非ゼロ伝播角度、たとえば格子結合光導波路100内の全内反射の臨界角と一致する非ゼロ伝播角度を有する導波光104に変換され得る。
【0061】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、格子結合光導波路100は、光導波路110を備える。光導波路110は、いくつかの実施形態によれば、導光板であってもよい。しかしながら、本明細書では、用語「光導波路」は、議論を容易にするために使用されている。光導波路110は、格子結合光導波路100の導波光104として光導波路110の長さまたは範囲に沿って光を誘導するように構成されている。
【0062】
図示される格子結合光導波路100は、集光器120をさらに備える。集光器120は、様々な実施形態によれば、集中光102’を提供するために、光を集光またはコリメートするように構成されている。たとえば、光源106は、実質的に非集中または非コリメート光102’’として光102を提供し得る。次に、提供された非集中または非コリメート光102’’は、集中光102’を提供するために、集光器120によって集光される。
【0063】
図3Aから
図3Bに示される格子結合光導波路100は、光導波路110の入力に位置する、たとえばその入力端に隣接して位置する、格子カプラ130をさらに備える。様々な実施形態によれば、格子カプラ130は、導波光104として集中光102’を光導波路110内に回折により方向変更させるように構成されている。具体的には、光は、非ゼロ伝播角度で光導波路110内に回折により方向変更される。さらに、導波光104は、第1広がり角および第2広がり角を有し、第1広がり角は、第2広がり角に対して直交している。様々な実施形態によれば、集光器120および格子カプラ130の特性は、組み合わせて、光導波路110内の導波光104の非ゼロ伝播角度、第1広がり角、および第2広がり角を決定するように構成されている。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、光導波路110は、全内反射を使用して導波光104を誘導するように構成された、光学的に透明な誘電体材料の、延伸された実質的に平坦なシートを備える、スラブまたは板状光導波管であってもよい。たとえば、光学的に透明な誘電体材料の平坦なシートは、誘電体光導波管の周りの媒体の第2の屈折率よりも高い第1の屈折率を有し得る。屈折率の差は、光導波路110の1つ以上の誘導モードにしたがって、導波光104の全内反射を促進するように構成されている。様々な例によれば、光導波路110の光学的に透明な材料は、様々なタイプのガラス(たとえば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)の1つ以上、および実質的に光学的に透明なプラスチックまたはポリマー(たとえば、ポリ(メタクリル酸メチル)または「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のいずれかを含むかまたはこれらにより構成されてもよい。いくつかの例では、光導波路110は、光導波路110の表面(たとえば、上面および底面の一方または両方)の少なくとも一部に、クラッド層(図示せず)をさらに含んでもよい。クラッド層は、いくつかの例によれば、全内反射をさらに促進するために使用され得る。
【0065】
さらに、いくつかの実施形態によれば、光導波路110は、光導波路110の第1表面112(たとえば、「後」面または側)と第2表面114(たとえば、「前」面または側)との間の非ゼロ伝播角度での全内反射にしたがって導波光104を誘導するように構成されている。具体的には、導波光104は、非ゼロ伝播角度で光導波路110の第1表面112と第2表面114との間を反射または「跳ね返る」ことによって伝播する。いくつかの実施形態では、異なる色の光を備える複数の導波光ビームが、導波光104として光導波路110によって誘導されてもよく、導波複数の光ビームの各異なる色の導波光ビームは、異なる色固有の非ゼロ伝播角度を有する。なお、説明を簡潔にするために、非ゼロ伝播角度は
図3Aから
図3Bには示されていないことに留意されたい。しかしながら、伝播方向103を示す太矢印は、
図3Aから
図3Bの光導波路長に沿った導波光104の一般的な伝播方向を示している。
【0066】
本明細書で定義される際に、「非ゼロ伝播角度」は、光導波路110の表面(たとえば、第1表面112または第2表面114)に対する角度である。さらに、非ゼロ伝播角度は、様々な実施形態によれば、ゼロより大きく、かつ光導波路110内の全内反射の臨界角よりも小さい。たとえば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度から約50度の間、またはいくつかの例では、約20度から約40度の間、または約25度から約35度の間であってもよい。たとえば、非ゼロ伝播角度は、約30度であってもよい。別の例では、非ゼロ伝播角度は、約20度、または約25度、または約35度であってもよい。また、特定の非ゼロ伝播角度が光導波路110内の全内反射の臨界角よりも小さくなるよう選択される限り、特定の非ゼロ伝播角度は、特定の実施について(たとえば任意に)選択されてもよい。非ゼロ伝播角度は、いくつかの実施形態によれば、光導波路110の長さにわたって実質的に一定であってもよい。
【0067】
集光器120に関して、凸レンズまたは両凸レンズ、パラボラ反射器、および半パラボラまたは成形反射器を含むがこれらに限定されない、光の集光またはコリメーション(たとえば、部分コリメーション)を提供するように構成された様々な光学構造のいずれかが利用され得る。具体的には、いくつかの実施形態では、集光器120は、光源106からの光の広がり角を縮小するように構成された、自由曲面光学系を備える。自由曲面光学系は、格子結合光導波路100の表面の所定領域に光を集光するように、さらに構成され得る。たとえば、所定領域は、格子結合光導波路100の格子カプラ130によって占有された領域に対応し得る。別の実施形態では、集光器120は、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、または反射ターニングコリメータを備えてもよい。集光器120のいくつかの実施形態は、自由曲面光学系、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上の組み合わせを備えてもよい。
【0068】
図4は、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の一部の断面図を示す。具体的には、
図4には、光源106、集光器120、光導波路110の一部、および光導波路部分の入力に位置する格子カプラ130が示されている。また、光源106によって提供される非集中光102’’および集光器120によって提供される集中光102’も示されている。図示されるように、集光器120は、集中光102’として非集中光102’’を集光するように構成された自由曲面光学系122を備える。さらに、集光器120の自由曲面光学系122は、図示されるように、格子カプラ130によって占有された領域に対応する領域Aに集中光102’を提供するように構成されている。なお、図示および定義により、集中光102’のビーム角γ
cは非集中光102’’のビーム角γ
uよりも小さいこと
(すなわち、γ
c<γ
u)に留意されたい。
【0069】
図5Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における集光器120の断面図を示す。具体的には、
図5Aは、テーパコリメータ124を備える集光器120を示す。図示されるように、テーパコリメータ124は、全内反射によって光を反射するように構成されたテーパ側壁を有する光導波路を備える。テーパ側壁組み合わせた全内反射は、テーパコリメータ124内を伝播する光を選択的に集光またはコリメートする。具体的には、光源106からの非集中光102’’は、テーパコリメータ124の狭い端部に侵入し、集中光102’として出力端部まで全内反射にしたがって伝播および反射する。
図5Aの矢印は、テーパコリメータ124内の光の光ビームを示す。
【0070】
図5Bは、本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例における集光器120の断面図を示す。具体的には、
図5Bは、反射屈折コリメータ126を備える集光器120を示す。図示されるように、反射屈折コリメータ126は、その内側ビーム部分に対応する非集中光102’’の一部をコリメートするためのコリメーションレンズとして構成された、第1の部分126aを備える。反射屈折コリメータ126は、非集中光102’’の外側ビーム部分をコリメートするためのコリメート反射器として構成された、第2の部分126bをさらに備える。
図5Bでは、矢印は、非集中光102’’内の光ビームを示す。非集中光102’’の内側ビーム部分の光ビームは、コリメーションレンズの結果として第1の部分126a内の屈折によって透過し、集中またはコリメートされ、その一方で外側ビーム部分の光ビームは、反射屈折コリメータ126に侵入し、第2の部分126bのコリメート反射器からの反射によって集中またはコリメートされる。様々な実施形態において、反射屈折コリメータ126は、透明な誘電体材料を備え得る。第2の部分126bの外表面は、いくつかの実施形態では、光ビームの反射を強化するために、反射材料または層(たとえば、反射金属)で被覆されてもよい。
【0071】
図5Cは、本明細書に記載される原理と一致するさらに別の実施形態による、一例における集光器120の断面図を示す。具体的には、
図5Cは、反射ターニングコリメータ128を備える集光器120を示す。反射ターニングコリメータ128は、集中光102’を提供するために非集中光102’’を反射により集中させるように構成された反射
面を備える。たとえば、反射
面は、パラボラまたは半パラボラ反射器(たとえば、成形パラボラ反射器)であってもよい。
図5Cの矢印は、集光を示すための反射ターニングコリメータ128内の光ビームを表す。
【0072】
再び
図3Aおよび
図3Bを参照すると、格子結合光導波路100の格子カプラ130は、回折を使用して、光源106および集光器120からの光102を光導波路110に結合するように構成されている。具体的には、格子カプラ130は、集光器120から集中光102’を受け取り、集中光102’を導波光104として非ゼロ伝播角度で光導波路110内に回折により方向変更(すなわち、回折により結合)するように、構成されている。上述のように、格子カプラ130によって光導波路110に回折により方向変更または結合された導波光104は、様々な例によれば、制御された、または所定の伝播特性(すなわち、広がり角)を有する。
【0073】
特に、上述のように、集光器および格子カプラ130の両方の特性は、導波光104またはその光ビームの伝播特性を決定するように、協同的に構成されている。集光器120および格子カプラ130によって決定された伝播特性は、導波光104の非ゼロ伝播角度、第1広がり角、および第2広がり角のうちの1つ以上を含み得る。「第1広がり角」は、本明細書の定義では、光導波路110の表面(たとえば、第1表面112または第2表面114)に対して実質的に垂直な平面内の導波光104の所定の広がり角である。さらに、第1広がり角は、本明細書の定義では、導波光104の光ビームが非ゼロ伝播角度によって定義された方向に伝播する際のビーム広がりの角度を表す(たとえば、垂直平面におけるビーム広がり)。「第2広がり角」は、本明細書の定義では、光導波路表面と実質的に平行な平面内の角度である。第2広がり角は、導波光104が、光導波路表面(たとえば、水平平面内)と実質的に平行な方向に(すなわち、平面内)伝播する際の、導波光ビームの所定の広がり角を表す。
【0074】
様々な例によれば、格子カプラ130は、複数の離間した回折特徴を有する回折格子132を含む。導波光104の第1広がり角および非ゼロ伝播角度は、いくつかの例によれば、回折格子132の回折特徴のピッチ、およびある程度まで横形状によって、制御または決定され得る。つまり、導波光104の一般的な伝播方向に対応する方向の回折格子132のピッチを選択することによって、回折格子132の回折角は、非ゼロ伝播角度を生成するために使用され得る。加えて、いくつかの例によれば、格子カプラ130の回折格子132の長さに沿って幅にわたって回折特徴のピッチおよびその他の態様を変化させることによって、導波光104の第1の角度広がりが、すなわち所定の第1の角度広がりを提供するように、制御され得る。
【0075】
さらに、いくつかの例によれば、導波光104の所定の第2広がり角は、格子カプラ130の回折格子132の横形状または幅の変化によって制御され得る。たとえば、回折格子132の第1の端部から第2の端部に向かって幅が増加する回折格子132(すなわち、扇形格子)は、方向変更された導波光104の比較的大きい第2広がり角を生じ得る(すなわち、扇形の光学ビーム)。特に、いくつかの実施形態によれば、所定の第2広がり角は、格子カプラ130の回折格子132の幅が増加する角度に実質的に比例し得る。別の例では、比較的小さい幅の変化を有する(たとえば、実質的に平行な辺を有する)回折格子132は、導波光104の光ビームの比較的小さい第2広がり角を提供し得る。比較的小さい第2広がり角(たとえば、実質的にゼロの広がり角)は、たとえば、光導波路表面と平行または同一平面上の水平方向でコリメートされるか、または少なくとも実質的にコリメートされた、導波光104を提供し得る。
【0076】
図6Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の表面上の格子カプラ130の平面図を示す。
図6Bは、本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例における格子結合光導波路100の表面上の格子カプラ130の平面図を示す。具体的には、
図6Aは、光導波路110の表面(たとえば、上面または底面)から見たときに、扇形の回折格子132を有する格子カプラ130を示す。扇形回折格子132は、回折格子132の第1の端部から第2の端部に向かって増加する幅を有し、ここで幅の増加は扇角φを定義する。図示されるように、回折格子の扇角φは、約80度である。扇形回折格子132は、様々な例によれば、扇角φに比例する所定の第2広がり角を有する導波光104の扇形光学ビーム(たとえば、太矢印を使用して示される)を提供し得る。
【0077】
一方、
図6Bは、導光板表面から見たときに、長方形の回折格子132を有する(たとえば、約ゼロに等しい扇角φを有する)格子カプラ130を示す。長方形の回折格子132は、導波光104の実質的にコリメートされた光学ビーム、すなわち、約ゼロの所定の第2広がり角を有する導波光104の光学ビームを生成し得る。導波光104の実質的にコリメートされた光学ビームは、
図6Bにおいて平行な太矢印を使用して示されている。したがって、回折格子132の扇角φは、様々な実施形態によれば、導波光104の第2広がり角を制御または決定するために使用され得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、格子カプラ130は透過型格子カプラ130(すなわち、透過モード回折格子カプラ)であってもよく、一方、別の例では、格子カプラ130は反射型格子カプラ130(すなわち、反射モード回折格子カプラ)であってもよい。具体的には、
図3Aに示されるように、格子カプラ130は、光源106および集光器120に隣接する光導波路110の表面に透過モード回折格子132’を含み得る。たとえば、格子カプラ130の透過モード回折格
子132
’は、光導波路110の底(または第1)面112にあってもよく、光源106は、底部から集光器120を通じて格子カプラ130を照らしてもよい。
図3Aに示されるように、格子カプラ130の透過モード回折格子132’は、回折格子132を透過または通過した集中光102’を回折により方向変更させるように構成されている。
【0079】
あるいは、
図3Bに示されるように、格子カプラ130は、光源106および集光器120に隣接する表面の反対側の光導波路110の第2表面114に反射モード回折格子132’’を有する、反射型格子カプラ130であってもよい。たとえば、格子カプラ130の反射モード回折格子132’’は、光導波路110の上(または第2)面114にあってもよく、光源106は、図示されるように、集光器を通じて、次いで光導波路110の底(または第1)面112の一部を通じて、格子カプラ130を照らしてもよい。反射モード回折格子132’’は、
図3Bに示されるように、反射回折(すなわち、反射および回折)を使用して、光導波路110に光102を回折により方向変更させるように構成されている。
【0080】
様々な例によれば、格子カプラ130の回折型格子132は、光導波路110の表面112、114の上または中に形成または別途設けられた溝、隆起、または回折格子の類似の回折特徴を含み得る。たとえば、溝またはリッジは、透過型格子カプラ130の透過モード回折格子132’として機能するために、光導波路110の光源に隣接する第1表面112(たとえば、底面)の中または上に形成され得る。同様に、溝またはリッジは、たとえば、反射型格子カプラ130の反射モード回折格子132’’として機能するために、光源に隣接する第1表面112の反対側の光導波路110の第2表面114の中または上に形成または別途設けられ得る。
【0081】
いくつかの例によれば、格子カプラ130は、導光板表面の上または中に格子材料(たとえば、格子材料の層)を含んでもよい。いくつかの例では、格子材料は、光導波路110の材料と実質的に類似していてもよいが、別の例では、格子材料は、導光板材料と異なってもよい(たとえば、異なる屈折率を有してもよい)。いくつかの例では、導光板表面の回折型格子溝は、格子材料で満たされてもよい。たとえば、透過型格子カプラ130または反射型格子カプラ130のいずれかの回折格子132の溝は、光導波路110の材料とは異なる誘電体材料(すなわち、格子材料)で満たされてもよい。いくつかの例によれば、格子カプラ130の格子材料は、たとえば窒化ケイ素を含んでもよく、その一方で光導波路110はガラスであってもよい。酸化インジウムスズ(ITO)を含むがこれに限定されない、別の格子材料もまた使用され得る。
【0082】
別の例では、透過型格子カプラ130または反射型格子カプラ130のいずれかは、特定の回折格子132として機能するために、光導波路110のそれぞれの表面上に堆積、形成、または別途設けられたリッジ、バンプ、または類似の回折特徴を含み得る。リッジまたは類似の回折特徴は、たとえば、光導波路110のそれぞれの表面上に堆積された誘電体材料層(すなわち、格子材料)内に(たとえば、エッチング、成形などにより)形成されてもよい。いくつかの例では、反射型格子カプラ130の格子材料は、反射金属を含み得る。たとえば、反射型格子カプラ130は、反射モード回折格子132’’による反射を促進するために、金、銀、アルミニウム、銅、およびスズなどの、ただしこれらに限定されない反射金属の層であるか、またはこれを含んでもよい。
【0083】
様々な例によれば、格子カプラ130(すなわち、透過型格子カプラまたは反射型格子カプラのいずれか)は、導波光104の出力位相プロファイルと光源106から入射する光102の入力位相プロファイルとの差である格子空間位相関数を生成するように構成されている。たとえば、集光器120を通じて見た光源106が透過型格子カプラ130から距離fの点光源に近接している場合、光の入力位相プロファイルφ
inは式(2)によって与えられ、
【数2】
ここで、xおよびyは透過型格子カプラ130の空間座標であり、λは自由空間(すなわち、真空)での波長である。透過型格子カプラ130は、角度θで格子カプラ130の任意の中心点(x
0,y
0)から離れて伝播する導波光104のビームを生成するように構成され得る。したがって、透過型格子カプラ130によって生成された導波光104の出力位相プロファイルφ
outは式(3)によって与えられ、
【数3】
ここで、nは光導波路110の屈折率である。透過型格子カプラ130の格子空間位相関数は、式(2)と式(3)との差から決定され得る。加えて、様々な例によれば、(たとえば、x-y平面における)水平広がり角は、透過モード回折格子カプラ130の回折格子132の包絡関数によって決定され得る。反射型格子カプラ130を検討するとき、光導波路110の光源に隣接する第1表面112(たとえば、底面)(すなわち、反射)および光導波路110の材料の両方を通るだけでなく、集光器も通る光102の伝播もまた、考慮される。さらに、反射型格子カプラ130では、任意選択的な金属化(たとえば、金属または金属層の使用)は、格子効率を向上できる(たとえば、反射格子カプラ130の回折格子の0次透過回折次数を効率的に排除することによって)。
【0084】
図7Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の一部の断面図を示す。
図7Bは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の一部の断面図を示す。具体的には、
図7Aおよび
図7Bはいずれも、格子カプラ130を含む
図3Aの格子結合光導波路100の一部を示す。さらに、
図7Aから
図7Bに示される格子カプラ130は、透過モード回折格子132’を含む透過型格子カプラ130である。
【0085】
図7Aに示されるように、透過型格子カプラ130は、透過モード回折格子132’を形成するために光導波路110の底(または光源隣接)面112に形成された溝(すなわち、回折特徴)を含む。さらに、
図7Aに示される透過型格子カプラ130の透過モード回折格子132’は、やはり溝内に堆積された格子材料134(たとえば、窒化ケイ素)の層を含む。
図7Bは、透過モード回折格子132’を形成するために光導波路110の底面または光源隣接面112上に格子材料134のリッジ(すなわち、回折特徴)を含む、透過型格子カプラ130を示す。たとえば、格子材料134の堆積層をエッチングまたは成形することで、リッジを作成し得る。いくつかの例では、
図7Bに示されるリッジを構成する格子材料134は、光導波路110の材料と実質的に類似の材料を含み得る。別の例では、格子材料134は、光導波路110の材料と異なってもよい。たとえば、光導波路110は、ガラスまたはプラスチック/ポリマーシートを含んでもよく、格子材料134は、光導波路110上に堆積される、窒化ケイ素などの、ただしこれに限定されない、異なる材料であってもよい。
【0086】
図8Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の一部の断面図を示す。
図8Bは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合光導波路100の一部の断面図を示す。具体的には、
図8Aおよび
図8Bはいずれも、格子カプラ130を含む
図3Bの格子結合光導波路100の一部を示し、格子カプラ130は、反射モード回折格子132’’を有する反射型格子カプラ130である。図示されるように、反射型格子カプラ130(すなわち、反射モード回折格子カプラ)は、光源および光コリメータ、たとえば
図3Bに示される光源106および集光器120に隣接する第1表面112の反対側の光導波路110の第2表面114(すなわち、光源対向第2表面114)に、またはその上にある。
【0087】
図8Aでは、反射型格子カプラ130の反射モード回折格子132’’は、光導波路110を通る入射集中光102’を反射により回折および方向変更させるために、光導波路110の光源対向第2表面114(たとえば、上面)内に形成された溝(回折特徴)を含む。図示されるように、溝は、追加の反射を提供して図示される反射型格子カプラ130の回折効率を改善するために、金属材料の層136で満たされ、さらにこれによって裏打ちされる。言い換えると、格子材料134は、図示されるように、金属層136を含む。別の例(図示せず)では、溝は、たとえば、格子材料(たとえば、窒化ケイ素)で満たされ、次いで金属層によって裏打ちされるかまたは実質的に覆われてもよい。
【0088】
図8Bは、反射モード回折格子132’’を作成するために光導波路110の第2表面114上に格子材料134で形成されたリッジ(回折特徴)を含む、反射型格子カプラ130を示す。リッジは、たとえば、窒化ケイ素の層(すなわち、格子材料)からエッチングされてもよい。いくつかの例では、たとえば、反射を増加して回折効率を改善するために、反射モード回折格子132’’のリッジを実質的に覆うための金属層136が設けられる。
【0089】
いくつかの例では、格子結合光導波路100は、光源106をさらに備えてもよい(たとえば、
図3Aおよび
図3Bに示される)。上述のように、いくつかの例では、光源106は、非コリメート光源106であってもよい。たとえば、光源106は、回路基板上に実装され、回路基板上のLEDチップに隣接した(たとえば、上の)空間を照らすように構成された、面発光LEDチップであってもよい。いくつかの例では、光源106は、点光源に近接してもよい。具体的には、光源106は、広い円錐角によって特徴付けられた照明を有するかまたは呈してもよい。たとえば、光源106の円錐角は、約90度より大きくてもよい。別の例では、円錐角は、約80度より大きくてもよく、または約70度より大きくてもよく、または約60度より大きくてもよい。たとえば、円錐角は、約45度であってもよい。様々な例によれば、集光器120を通過した後の光源106からの光102の中心線は、光導波路110の表面に実質的に直交する角度で格子カプラ130に入射するように構成されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、非コリメート光源106によって生成された実質的に非平行の光102’’は、集光器120と、コリメートされた導波光104として格子カプラ130によって提供される回折方向変更との組み合わせによって、実質的にコリメートされる。別の実施形態では、回折により方向変更された導波光104は、少なくとも1つの方向で(たとえば、扇形ビームが生成されるとき)、実質的にコリメートされない。さらに別の例では、導波光104は、(たとえば、非ゼロ伝播角度付近の第1広がり角に対応する)第1方向に、集光器120と格子カプラ130との組み合わせによって実質的にコリメートされ、(たとえば、第2広がり角に対応する)第2方向には実質的にコリメートされなくてもよい。たとえば、格子カプラ130と組み合わせた集光器120は、導光板表面と平行な水平方向の扇形ビーム、および光導波路表面と直交する垂直方向または平面内の実質的に平行なビーム(すなわち、約ゼロに等しい広がり角)を提供し得る。
【0091】
本明細書に記載される原理のいくつかの実施形態では、格子結合光導波路システムが提供される。格子結合光導波路システムは、様々な用途を有する。たとえば、格子結合光導波路システムは、マルチビューバックライトであってもよい。マルチビューバックライトは、たとえば、三次元(3D)またはマルチビューディスプレイで利用され得る。別の実施形態では、格子結合光導波路システムは、プライバシーディスプレイのバックライトとして使用され得る。さらに別の実施形態では、格子結合光導波路システムの光導波路など、格子結合光導波路システムの一部は、漏れ全反射(FTIR)を使用して、タッチパネルに触れた場所、およびタッチした圧力の一方または両方を感知するために、タッチセンシティブパネルにおいて利用され得る。
【0092】
図9Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト200の断面図を示す。
図9Bは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト200の平面図を示す。
図9Cは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト200の斜視図を示す。図示されるように、マルチビューバックライト200は、限定ではなく例として、光導波路110、集光器120、およびたとえば
図3Aと類似の透過型格子カプラ130として示される格子カプラ130を含む、格子結合光導波路100を備える。
図9Aには、コリメーション係数σを有する導波光104および光導波路110内の伝播方向103、ならびに光源106も示されている。
【0093】
図9Aから
図9Cに示されるマルチビューバックライト200は、アレイまたは複数のマルチビーム素子210をさらに備える。様々な実施形態によれば、複数のマルチビーム素子の各マルチビーム素子210は、複数の指向性光ビーム202として、導波光104の一部を光導波路110から散乱させるように構成されている。複数の指向性光ビームにおける指向性光ビーム202は、様々な実施形態によれば、互いに異なる主極大角度方向を有する。さらに、指向性光ビーム202の異なる主極大角度方向は、いくつかの実施形態によれば、マルチビューバックライト200を備えるマルチビューディスプレイのそれぞれの異なるビュー方向に対応し得る。
図9Aおよび
図9Cでは、指向性光ビーム202は、光導波路110の第2表面114(前面)から離れる方向に描かれた複数の広がる矢印として示されている。
【0094】
様々な実施形態によれば、複数のマルチビーム素子におけるマルチビーム素子210は、光導波路110の長さに沿って互いに離間していてもよい。具体的には、マルチビーム素子210は、有限の空間によって互いに分離され、光導波路の長さに沿って別個の異なる素子を表し得る。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビーム素子210は一般に、互いに交差、重複、または別途接触しない。つまり、複数のマルチビーム素子の各マルチビーム素子210は一般に、マルチビーム素子210の他のものとは異なり、分離している。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、複数のマルチビーム素子210は、一次元(1D)アレイまたは二次元(2D)アレイのいずれかで配置され得る。たとえば、複数のマルチビーム素子210は、線形1Dアレイとして配置されてもよい。別の例では、複数のマルチビーム素子210は、長方形2Dアレイまたは円形2Dアレイとして配置されてもよい。さらに、アレイ(すなわち、1Dまたは2Dアレイ)は、いくつかの例では、規則的または均一なアレイであってもよい。具体的には、マルチビーム素子210間の素子間距離(たとえば、中心間距離または間隔)は、アレイ全体にわたって実質的に均一または一定であり得る。別の例では、マルチビーム素子210間の素子間距離は、アレイ全体にわたって、および光導波路110の長さに沿っての一方または両方で、異なってもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子210のサイズは、マルチビューバックライト200を利用するマルチビューディスプレイのライトバルブのサイズに相当し得る。本明細書では、「サイズ」は、長さ、幅、または面積を含むがこれらに限定されないような様々な方法のいずれかで定義され得る。たとえば、ライトバルブのサイズはその長さであってもよく、マルチビーム素子210の相当するサイズもまた、マルチビーム素子210の長さであってもよい。別の例では、サイズは、マルチビーム素子210の面積がライトバルブの面積に相当するように、面積を指してもよい。別の例では、ライトバルブサイズは、隣接するライトバルブ間の距離(たとえば、中心間距離)として定義されてもよい。たとえば、ライトバルブは、ライトバルブアレイにおけるライトバルブ間の中心間距離より小さくてもよい。ライトバルブサイズは、たとえば、隣接するライトバルブ間の中心間距離に対応するサイズとして定義されてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子210のサイズは、マルチビーム素子サイズがビューピクセルサイズの約50パーセント(50%)から約200パーセント(200%)の間となるように、ライトバルブサイズに相当する。別の例では、マルチビーム素子サイズは、ライトバルブサイズの約60パーセント(60%)超、またはライトバルブサイズの約70パーセント(70%)超、またはライトバルブサイズの約80パーセント(80%)超、またはライトバルブサイズの約90パーセント(90%)超であり、マルチビーム素子210は、ライトバルブサイズの約180パーセント(180%)未満、またはライトバルブサイズの約160パーセント(160%)未満、またはライトバルブサイズの約140パーセント(140%)未満、またはライトバルブサイズの約120パーセント(120%)未満である。たとえば、「相当するサイズ」では、マルチビーム素子サイズは、ライトバルブサイズの約75パーセント(75%)から約150パーセント(150%)の間であってもよい。別の例では、マルチビーム素子210は、マルチビーム素子サイズがライトバルブサイズの約125パーセント(125%)から約85パーセント(85%)の間となるライトバルブのサイズに相当し得る。いくつかの実施形態によれば、マルチビーム素子210およびライトバルブの相当するサイズは、同時にマルチビューディスプレイのビューの間重複を低減、またはいくつかの例では最小限に抑えながら、マルチビューディスプレイのビュー間の暗いゾーンを低減、またはいくつかの例では最小限に抑えるように、選択され得る。
図9Aから
図9Cはまた、議論を容易にする目的のため、マルチビューバックライト200と共にマルチビューピクセル206も示す。
図9Aから
図9Bでは、マルチビーム素子サイズは「s」で示され、ライトバルブサイズは「S」で示される。
【0098】
図9Aから
図9Cは、複数の指向性光ビームのうちの指向性光ビーム202を変調するように構成されたライトバルブ208のアレイをさらに示す。ライトバルブアレイは、たとえばマルチビューバックライト200を利用するマルチビューディスプレイの一部であってもよく、本明細書での議論を容易にする目的のため、マルチビューバックライト200と共に
図9Aから
図9Cに示されている。
図9Cでは、ライトバルブ208のアレイは、ライトバルブアレイの下にある光導波路110およびマルチビーム素子210の視覚化を可能にするために、部分的に切り取られている。様々な実施形態では、ライトバルブアレイのライトバルブ208として、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、およびエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、異なるタイプのライトバルブが利用され得る。
【0099】
図9Aから
図9Cに示されるように、指向性光ビーム202の異なるものが、ライトバルブアレイのライトバルブ208の異なるものを通過し、これによって変調され得る。さらに、図示されるように、アレイのライトバルブ208はビューピクセルに対応し、ライトバルブ208のセットはマルチビューディスプレイのマルチビューピクセルに対応する。具体的には、ライトバルブアレイのライトバルブ208の異なるセットは、マルチビーム素子210の異なるものから指向性光ビーム202を受け取って変調するように構成され、すなわち、図示されるように、各マルチビーム素子210に1つの固有のライトバルブ208がある。
【0100】
図9Aに示されるように、第1のライトバルブセット208aは、第1のマルチビーム素子210aから指向性光ビーム202を受け取って変調するように構成され、第2のライトバルブセット208bは、第2のマルチビーム素子210bから指向性光ビーム202を受け取って変調するように構成されている。したがって、
図9Aに示されるように、ライトバルブアレイ内のライトバルブセット(たとえば、第1および第2のライトバルブセット208a、208b)は、それぞれ異なるマルチビューピクセルに対応し、ライトバルブセットの個々のライトバルブ208は、それぞれのマルチビューピクセルのビューピクセルに対応している。
【0101】
いくつかの実施形態では、複数のマルチビーム素子210と対応するマルチビューピクセル(たとえば、ライトバルブ208のセット)との関係は、一対一の関係であってもよい。つまり、同数のマルチビューピクセルおよびマルチビーム素子210があってもよい。
図9Bは、例として、ライトバルブ208の異なるセットを備える各マルチビューピクセルが破線で囲まれて示されている、一対一の関係を明確に示している。別の実施形態(図示せず)では、マルチビューピクセル206およびマルチビーム素子210の数は、互いに異なってもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、複数のうちの隣接するマルチビーム素子210のペア間の素子間距離(たとえば、中心間距離)は、たとえばライトバルブセットによって表される、マルチビューピクセルの対応する隣接ペア間のピクセル間距離(たとえば、中心間距離)と等しくてもよい。たとえば、
図9Aに示されるように、第1のマルチビーム素子210aと第2のマルチビーム素子210bとの間の中心間距離dは、第1のライトバルブセット208aと第2のライトバルブセット208bとの間の中心間距離Dと実質的に等しい。別の実施形態(図示せず)では、マルチビーム素子210のペアおよび対応するライトバルブセットの相対的な中心間距離は異なってもよく、たとえば、マルチビーム素子210は、マルチビューピクセルを表すライトバルブセット間の間隔(すなわち、中心間距離D)よりも大きいかまたは小さい素子間間隔(すなわち、中心間距離d)を有してもよい。
【0103】
さらに(たとえば、
図9Aに示されるように)、各マルチビーム素子210は、いくつかの実施形態によれば、唯一のマルチビューピクセルに指向性光ビーム202を提供するように構成されている。具体的には、マルチビーム素子210の所与のものについて、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主極大角度方向を有する指向性光ビーム202は、
図9Aに示されるように、単一の対応するマルチビューピクセル、すなわちマルチビーム素子210に対応するライトバルブ208の単一のセットに実質的に閉じ込められる。したがって、マルチビューバックライト200の各マルチビーム素子210は、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主極大角度方向のセットを有する指向性光ビーム202の対応するセットを提供する。
【0104】
様々な実施形態によれば、マルチビーム素子210は、導波光104の一部を散乱または結合するように構成された、いくつかの異なる散乱構造のいずれかを備え得る。異なる散乱構造は、回折格子、マイクロ反射素子、マイクロ屈折素子、またはこれらの様々な組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。これらの散乱構造の各々は、等角散乱体であり得る。いくつかの実施形態では、回折格子を備えるマルチビーム素子210は、異なる主極大角度方向を有する複数の指向性光ビーム202として導波光部分を回折により結合するように構成されている。別の実施形態では、マイクロ反射素子を備えるマルチビーム素子210は、複数の指向性光ビーム202として導波光部分を反射により結合するように構成され、またはマイクロ屈折素子を備えるマルチビーム素子210は、屈折によって、または屈折を使用して、複数の指向性光ビーム202として導波光部分を結合する用に構成されている(すなわち、屈折により導波光部分を結合する)。
【0105】
図10Aは、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビーム素子210を含むマルチビューバックライト200の一部の断面図を示す。
図10Bは、本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子210を含むマルチビューバックライト200の一部の断面図を示す。具体的には、
図10Aから
図10Bは、回折格子212を備えるマルチビューバックライト200のマルチビーム素子210を示す。回折格子212は、複数の指向性光ビーム202として、導波光104の一部を回折により結合するように構成されている。回折格子212は、回折特徴間隔によって互いに離間した複数の回折特徴、もしくは導波光部分からの回折結合を提供するように構成された回折特徴または格子ピッチを備える。様々な実施形態によれば、回折格子212内の回折特徴の間隔または格子ピッチは、サブ波長(すなわち、導波光の波長未満)であってもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子210の回折格子212は、光導波路110の表面に、またはこれと隣接した位置にあってもよい。たとえば、回折格子212は、
図10Aに示されるように、光導波路110の第2表面114に、またはこれと隣接していてもよい。光導波路第2表面114の回折格子212は、指向性光ビーム202として第2表面114を通る導波光部分を回折により結合するように構成された、透過モード回折格子であってもよい。別の例では、
図10Bに示されるように、回折格子212は、光導波路110の第1表面112に、またはこれと隣接した位置にあってもよい。第1表面112に位置するとき、回折格子212は反射モード回折格子であり得る。反射モード回折格子として、回折格子212は、回折により結合した回折光ビーム202として第2表面21
4を通じて出射するために、導波光部分を回折し、かつ回折した導波光部分を第2表面114に向けて反射するように構成されている。別の実施形態(図示せず)では、回折格子は、たとえば透過モード回折格子および反射モード回折格子の一方または両方として、光導波路110の表面の間に位置してもよい。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、回折格子212の回折特徴は、互いに離間した溝およびリッジの一方または両方を備えてもよい。溝またはリッジは、光導波路110の材料を備えてもよく、たとえば、光導波路110の表面に形成されてもよい。別の例では、溝またはリッジは、光導波路材料以外の材料、たとえば、光導波路110の表面上の別の材料の膜または層から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子210の回折格子212は、回折特徴間隔が回折格子212全体にわたって実質的に一定または不変である、均一な回折格子である。
【0108】
別の実施形態では、回折格子212はチャープ回折格子である。定義では、「チャープ」回折格子は、チャープ回折格子の範囲または長さにわたって変化する回折特徴の回折間隔(すなわち、格子ピッチ)を呈するかまたは有する回折格子である。いくつかの実施形態では、チャープ回折格子は、距離とともに直線的に変化する回折特徴間隔のチャープを有するかまたは呈してもよい。したがって、チャープ回折格子は、定義では、「線形チャープ」回折格子である。別の実施形態では、マルチビーム素子210のチャープ回折格子は、回折特徴間隔の非線形チャープを呈し得る。指数チャープ、対数チャープ、または別の、実質的に不均一またはランダムだが依然として単調な方法で変化するチャープを含むがこれらに限定されない、様々な非線形チャープが使用され得る。正弦波チャープまたは三角形または鋸歯状チャープなどの、ただしこれらに限定されない、非単調チャープもまた利用され得る。これらのタイプのチャープのいずれかの組み合わせもまた利用され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子210または同等に回折格子212は、複数の回折格子を備えてもよい。複数の回折格子はまた、回折格子212の複数の「副格子」とも呼ばれ得る。複数の回折格子(または副格子)は、複数の指向性光ビーム202として導波光104の一部を散乱または回折により結合するために、いくつかの異なる構成で配置され得る。具体的には、マルチビーム素子210の複数の回折格子は、第1の回折格子および第2の回折格子(または同等に、第1の副格子および第2の副格子)を備え得る。第1の回折格子は、複数の指向性光ビーム202の第1の光ビームを提供するように構成されてもよく、第2の回折格子は、複数の指向性光ビーム202の第2の光ビームを提供するように構成されてもよい。様々な実施形態によれば、第1および第2の光ビームは、異なる主極大角度方向を有し得る。また、いくつかの実施形態によれば、複数の回折格子は、第3の回折格子、第4の回折格子などを備えてもよく、各回折格子は、別の指向性光ビーム202を提供するように構成されている。
【0110】
図11Aは、本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子210を含むマルチビューバックライト200の一部の断面図を示す。
図11Bは、本明細書に記載される原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子210を含むマルチビューバックライト200の一部の断面図を示す。具体的には、
図11Aおよび
図11Bは、マイクロ反射素子を備えるマルチビーム素子210の実施形態を示す。マルチビーム素子210として使用される、またはこれに含まれるマイクロ反射素子は、反射材料またはその層(たとえば、反射金属)を利用する反射器、もしくは全内反射(TIR)に基づく反射器を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば(たとえば、
図11Aから
図11Bに示されるように)、マイクロ反射素子を備えるマルチビーム素子210は、光導波路110の表面(たとえば、第1表面112)に、またはこれと隣接した位置にあってもよい。別の実施形態(図示せず)では、マイクロ反射素子は、第1および第2表面114、112の間の光導波路110内に位置してもよい。
【0111】
たとえば、
図11Aは、光導波路110の第1表面112に隣接した位置にある反射ファセットを有するマイクロ反射素子214(たとえば、「プリズム」マイクロ反射素子)を備えるマルチビーム素子210を示す。図示されるプリズムマイクロ反射素子214のファセットは、光導波路110からの導波光104の一部を反射(すなわち、反射により結合)するように構成されている。ファセットは、たとえば、光導波路110からの導波光部分を反射するために、導波光104の伝播方向に対して偏向または傾斜していてもよい(すなわち、傾斜角を有する)。ファセットは、様々な実施形態によれば、(たとえば、
図11Aに示されるように)光導波路110内で反射材料を使用して形成されてもよく、または第1表面112のプリズムキャビティの表面であってもよい。いくつかの実施形態では、プリズムキャビティが利用されるとき、キャビティ表面における屈折率変化が反射(たとえば、TIR反射)を提供してもよく、もしくはファセットを形成するキャビティ表面が、反射を提供するために反射材料で被覆されてもよい。
【0112】
別の例では、
図11Bは、半球状のマイクロ反射素子214などの、ただしこれに限定されない、実質的に平滑な曲面を有するマイクロ反射素子214を備えるマルチビーム素子210を示す。マイクロ反射素子214の特定の表面曲線は、たとえば、導波光104が接触する曲面の入射点に応じて異なる方向に導波光部分を反射するように構成されてもよい。
図11Aおよび
図11Bに示されるように、限定ではなく例として、光導波路110から反射により結合された導波光部分は、第2表面114から出射または放射される。
図11Aのプリズムマイクロ反射素子214と同様に、限定ではなく例として、
図11Bに示されるように、
図11Bのマイクロ反射素子214は、光導波路110内の反射材料、または第1表面112に形成されたキャビティ(たとえば、半円形キャビティ)であってもよい。
【0113】
図12は、本明細書に記載される原理と一致するさらに別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子210を含むマルチビューバックライト200の一部の断面図を示す。具体的には、
図12は、マイクロ屈折素子216を備えるマルチビーム素子210を示す。様々な実施形態によれば、マイクロ屈折素子216は、光導波路110からの導波光104の一部を屈折により結合するように構成されている。つまり、マイクロ屈折素子216は、
図12に示されるように、指向性光ビーム202として光導波路110からの導波光部分を結合するために、屈折(たとえば、回折または反射とは対照的に)を利用するように構成されている。マイクロ屈折素子216は、半球形、長方形、または角柱形(すなわち、傾斜したファセットを有する形状)を含むがこれらに限定されない、様々な形状を有し得る。様々な実施形態によれば、マイクロ屈折素子216は、図示されるように、光導波路110の表面(たとえば、第2表面114)から延伸または突起してもよく、もしくは表面内のキャビティ(図示せず)であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、マイクロ屈折素子216は、光導波路110の材料を備えてもよい。別の実施形態では、マイクロ屈折素子216は、光導波路表面に隣接し、いくつかの例では接触している、別の材料を備えてもよい。
【0114】
図13は、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における格子結合ディスプレイシステム300のブロック図を示す。
図13に示される格子結合ディスプレイシステム300は、第1方向に光302を提供するように構成された光源310を備える。いくつかの実施形態では、光源310は、格子結合光導波路100に関して上記で説明した光源106と実質的に類似であってもよい。たとえば、光源310によって提供される光302は、非集中光または非コリメート光であってもよい。さらに、第1方向に提供された光302は、上記の
図3Aから
図3Bに示されるように、z方向の中心線を含んでもよい。
【0115】
図13に示される格子結合ディスプレイシステム300は、光導波路320をさらに備える。光導波路320は、導波光304として光を誘導するように構成されている。導波光304は、光導波路320内で第2方向を有するか、または第2方向に誘導される。様々な実施形態によれば、第2方向は、第1方向に直交する。いくつかの実施形態では、光導波路320は、上述の格子結合光導波路100の光導波路110と実質的に類似であってもよい。たとえば、光導波路320は導光板であってもよい。第2方向は、たとえば、
図3Aから
図3Bで上に示されるように、x方向であってもよい。
【0116】
様々な実施形態によれば、
図13において、格子結合ディスプレイシステム300は、集光器330をさらに備える。集光器330は、集中光306を提供するために、光源310から受け取った光302を集光するように構成されている。いくつかの実施形態では、集光器330は、上述の格子結合光導波路100の集光器120と実質的に類似であってもよい。具体的には、様々な実施形態によれば、集光器330は、集光器120に関して上記で説明したように、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上を備えてもよい。
【0117】
図13に示されるように、格子結合ディスプレイシステム300は、格子カプラ340をさらに備える。格子カプラ340は、第2方向を有する導波光304として集中光306を光導波路320内に回折により方向変更させるように構成されている。いくつかの実施形態では、格子カプラ340は、格子結合光導波路100に関して上記で説明した格子カプラ130と実質的に類似であってもよい。具体的には、いくつかの実施形態では、格子カプラ340は、光源310に隣接する光導波路320の表面にある透過モード回折格子、および光源310に隣接する光導波路表面の反対側の光導波路320の表面にある反射モード回折格子の一方または両方を備えてもよい。様々な実施形態によれば、集光器330および格子カプラ340の両方の特性は、光導波路内の導波光の非ゼロ伝播角度および所定の広がり角を協同的に決定するように構成されている。
【0118】
図13に示される格子結合ディスプレイシステム300は、ライトバルブ350のアレイをさらに備える。ライトバルブ350のアレイは、表示画像として光導波路から放射された光308を変調するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、ライトバルブ350のアレイは、上述のマルチビューバックライト200の複数のライトバルブ208と実質的に類似であってもよい。たとえば、ライトバルブアレイのライトバルブ350は、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、およびエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。変調された放射光308’(たとえば、指向性光ビーム)は、ライトバルブアレイによる変調を強調するために、
図13の破線矢印として示されている。
【0119】
いくつかの実施形態(図示せず)では、格子結合ディスプレイシステム300は、光導波路320と光学的に結合されたマルチビーム素子のアレイをさらに備える。マルチビーム素子アレイのマルチビーム素子は、複数の指向性光ビームとして、導波光304の一部を光導波路320から散乱させるように構成されている。複数の指向性光ビームにおける指向性光ビームは、様々な実施形態によれば、互いに異なる主極大角度方向を有する。これらの実施形態では、光導波路320によってまたはそこから放射されてライトバルブ350のアレイによって変調された光は、複数の指向性光ビームを備える。
【0120】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子アレイのマルチビーム素子は、上述の、マルチビューバックライト200のマルチビーム素子210と実質的に類似であってもよい。具体的には、マルチビーム素子は、回折格子、マイクロ反射素子、およびマイクロ屈折素子のうちの1つ以上を備えてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、マルチビーム素子のサイズはライトバルブアレイのライトバルブのサイズの半分より大きく、ライトバルブサイズの2倍未満であってもよい。いくつかの実施形態では、指向性光ビームの異なる主極大角度方向は、マルチビューディスプレイの複数の異なるビューのそれぞれのビュー方向に対応し得る。したがって、いくつかの実施形態では、格子結合ディスプレイシステム300はマルチビューディスプレイであってもよく、表示画像はマルチビュー画像を表してもよい。
【0121】
本明細書に記載される原理の実施形態および例によれば、光導波路に光を結合する方法が提供される。
図14は、本明細書に記載される原理と一致する一実施形態による、一例における光導波路に光を結合する方法400のフローチャートを示す。
図14に示されるように、光導波路に光を結合する方法400は、光源を使用して光を生成するステップ410を備える。いくつかの実施形態では、光源は非コリメート光源であり、生成410された光は実質的に集中光またはコリメート光である。たとえば、光を生成するステップ410で使用される光源は、点光源に近似していてもよい。いくつかの実施形態では、光を生成410するために使用される光源は、格子結合光導波路100に関して上記で説明した光源106と実質的に類似であってもよい。
【0122】
図14に示されるように、導光板に光を結合する方法400は、集光器を使用して光源から光を集光するステップ420をさらに備える。集光器によって光を集光するステップ420は、集中光を生成する。いくつかの実施形態によれば、光を集光420するために使用される集光器は、上述の格子結合光導波路100の集光器120と実質的に類似であってもよい。たとえば、集光器は、テーパコリメータ、反射屈折コリメータ、および反射ターニングコリメータのうちの1つ以上を備えてもよい。別の例では、集光器は、集光レンズを備える。
【0123】
図14に示される導光板に光を結合する方法400は、格子カプラを使用して光導波路に集中光を結合するステップ430と、導波光として非ゼロ伝播角度で光導波路に結合光を誘導するステップ440とをさらに備える。様々な実施形態によれば、導波光は、第1広がり角および第2広がり角を有し、第2広がり角は、第1広がり角に対して直交する方向になっている。たとえば、導波光は、光導波路の表面に垂直な平面内の所定の第1広がり角と、光導波路の表面と実質的に平行な平面内の所定の第2広がり角とを有する格子カプラによって非ゼロ伝播角度に向けられた、伝播光ビームを含み得る。様々な実施形態によれば、光導波路内の導波光の非ゼロ伝播角度、第1広がり角、および第2広がり角は集光器および格子カプラの両方の特性によって決定される。
【0124】
いくつかの例では、光を結合430するために使用される格子カプラは、格子結合光導波路100に関して上記で説明した格子カプラ130と実質的に類似であってもよい。具体的には、いくつかの例では、格子カプラは、光源に隣接する光導波路の表面に透過型格子を含む。いくつかの例では、格子カプラは、導光板の光源隣接面の反対側の光導波路の表面に反射型格子を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、光導波路に光を結合する方法400は、画像または類似の上方を表示するための電子ディスプレイの動作で使用される。具体的には、いくつかの例(図示せず)によれば、光導波路に光を結合する方法400は、互いに異なる主極大角度方向を有する複数の指向性光ビームを生成するために光導波路と光学的に結合されたマルチビーム素子を使用して、光導波路から導波光の一部を散乱させるステップをさらに備える。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、上述のように、マルチビューバックライト200のマルチビーム素子210と実質的に類似であってもよい。さらに、いくつかの実施形態(やはり図示せず)では、光導波路に光を結合する方法400は、対応する複数のライトバルブを使用して複数の指向性光ビームを変調するステップをさらに備え、変調された光ビームは表示画像のピクセルを形成する。たとえば、表示画像はマルチビュー画像であってもよく、指向性光ビームは、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応する方向を有し得る。さらに、ライトバルブは液晶ライトバルブを含み得る。別の例では、ライトバルブは、エレクトロウェッティングライトバルブまたは電気泳動ライトバルブを含むがこれらに限定されない、別のタイプのライトバルブであってもよい。
【0126】
このように、非ゼロ伝播角度で伝播し、所定の広がり角を有する導波光を生成するために格子カプラおよび集光器を利用する、格子結合光導波路、格子結合ディスプレイシステム、および光導波路に光を結合する方法の例が記載されてきた。上記の例が、単に本明細書に記載される原理を表す多くの具体例のいくつかを表すに過ぎないことは、理解されるべきである。明らかに、当業者は、以下の請求項で定義される範囲を逸脱することなく、その他多くの構成を容易に考案することができる。