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特許7061198分散型エネルギー生成システムの調整方法及び分散型エネルギー生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】分散型エネルギー生成システムの調整方法及び分散型エネルギー生成システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220420BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220420BHJP
   H02J 3/16 20060101ALI20220420BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20220420BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220420BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/38 110
H02J3/16
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02M7/48 R
H02J3/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020543101
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019054187
(87)【国際公開番号】W WO2019166293
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】102018104666.9
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プレム,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フュッテラー,コーネリアス
(72)【発明者】
【氏名】グリッツァ,オリバー
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/224596(WO,A1)
【文献】特表2015-526053(JP,A)
【文献】国際公開第2014/012789(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2662944(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007044601(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0004781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0300118(US,A1)
【文献】米国特許第11217997(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/38
H02J 3/14-3/16
H02J 3/46
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインバータ(IN)を用いる分散型エネルギー生成システム(1)を調整する方法において、グリッド(2)へのインフィードは、中央制御ユニット(PPC)により駆動することにより決定され、前記中央制御ユニット(PPC)は、前記エネルギー生成システムのグリッド接続点(PCC)における有効電力、無効電力、及び電圧振幅を検出し、前記エネルギー生成システムの通常動作モードにおいて、前記中央制御ユニット(PPC)が、規定されるターゲット値を前記複数のインバータ(IN)の個々のターゲット規定に分割し、個々のターゲット規定を前記インバータ(IN)に通信することにより、グリッドオペレータにより規定される前記ターゲット値に前記無効電力及び前記有効電力を調整し、
以下の3つの基準:
規定された第1の閾値を超えた前記電圧振幅の低下、
規定された第2の閾値を超えた有効電力の増加、及び
不足励起方向における規定された第3の閾値を超えない無効電力変化
が、規定される時間間隔で前記グリッド接続点(PCC)に存在する場合、前記エネルギー生成システム(1)の特定の動作モードに変更し、
前記特定の動作モードにおいて、前記中央制御ユニット(PPC)は、前記規定されたターゲット値と比較して、前記グリッド接続点(PCC)において提供される前記有効電力の低減を行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記特定の動作モードにおいて、前記中央制御ユニット(PPC)は、前記規定されたターゲット値から独立して、過励起方向において前記グリッド接続点(PCC)において提供される前記無効電力の変化を更に行うことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記電圧振幅の低下及び前記有効電力の増加を突き止めることは、前記規定された時間間隔の開始時及び終了時における実際の値の差を前記閾値のそれぞれと比較することにより実行されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の方法において、前記中央制御ユニット(PPC)は、前記個々のターゲット規定と比較して対応して変更される個々の特定のターゲット規定を前記インバータ(IN)に通信することにより、前記グリッド接続点(PCC)において提供される前記有効電力の低減及び/又は過励起方向における前記グリッド接続点(PCC)において提供される前記無効電力の変更を行うことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法において、前記エネルギー生成システム(1)の前記特定の動作モードへの前記変更は、前記グリッドオペレータに通知されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法において、前記通常動作モードへの復帰は、前記グリッドオペレータの制御信号が前記中央制御ユニット(PPC)に通信されることにより行われることを特徴とする方法。
【請求項7】
複数のインバータ(IN)と、前記複数のインバータ(IN)を駆動するように構成された中央制御ユニット(PPC)とを有する分散型エネルギー生成システムにおいて、前記駆動することは、通常動作モードにおいて、前記分散型エネルギー生成システムのグリッド接続点(PCC)を介してグリッド(2)への有効電力及び無効電力のインフィードについてグリッドオペレータにより規定されるターゲット値に応じて分割し、個々のターゲット規定を前記複数のインバータ(IN)に通信することを含み、
前記中央制御ユニット(PPC)は、以下の3つの基準:
規定された第1の閾値分の電圧振幅の低下、
規定された第2の閾値分の有効電力の増加、及び
不足励起方向における規定された第3の閾値を超えない無効電力変化
が、規定される時間間隔で前記グリッド接続点(PCC)に存在する場合、前記ターゲット値と比較した前記グリッド接続点(PCC)において提供される前記有効電力の低減を行うことにより、前記エネルギー生成システム(1)の特定の動作モードへの変更を行うように構成されることを特徴とする分散型エネルギー生成システム。
【請求項8】
請求項7に記載の分散型エネルギー生成システムにおいて、前記エネルギー生成システムの可能な最大有効電力出力は、前記グリッド(2)に接続された他のグリッド参加者の電力交換を考慮した、前記グリッド接続点(PCC)に接続された前記グリッド(2)の最大許容可能有効電力取り込み能力よりも大きいことを特徴とする分散型エネルギー生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインバータを有する分散型エネルギー生成システムを調整する方法及びそのようなエネルギー生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
分散型エネルギー生成システム、例えば、光起電アレイ又はウィンドパークでは、複数の発電機が相互接続され、グリッド接続点を介して、発電された電力を接続されたグリッドに出力する。制御目的で、エネルギー生成システムは、グリッドオペレータにより規定される有効電力及び無効電力の特定の現在ターゲット値がグリッド接続点において提供されることを保証する、パークレギュレータとも呼ばれる中央制御ユニットを備える。中央制御ユニットは複数のインバータを駆動して、上記ターゲット値を提供し、発電機がそれぞれインバータに割り当てられ、インバータは、発電機により発電された電力をグリッド準拠AC電圧に変換する。
【0003】
各インバータの周波数ドループP(f)及び/又は電圧ドループQ(U)を規定し、任意選択的に、グリッド接続点において全てのインバータによりまとめて提供される有効電力及び/又は無効電力がターゲット値に対応するようにP(F)及び/又はQ(U)を変更する中央制御ユニットにより、グリッド接続点におけるターゲット値への準拠を達成することができることが知られている。同時に、このような分散型エネルギー生成システムは、安定したグリッド状態を得るように、すなわち、グリッド周波数f及び/又はそれぞれ電圧振幅Uの許容幅に準拠するように努める。
【0004】
さらに、供給電力についてのグリッドの取り込み能力が限られており、図1に例として示されるように、いわゆる「ノーズカーブ」によって記述することができることが知られている。図1中、グリッド接続点において供給される有効電力はX軸にプロットされ、一方、グリッド接続点における電圧振幅はY軸にプロットされている。異なるグリッド状態に対応するI、IIによって示される2つの「ノーズカーブ」に基づいて、グリッド電圧UCritにグリッドの最大有効電力取り込み点Pmaxがあることが明かである。この点は、グリッドが安定している、最大有効電力取り込み点Pmaxに割り当てられた電圧UCritよりも大きなグリッド電圧を有する第1の値範囲を、グリッドが不安定である、最大有効電力取り込み点Pmaxに割り当てられた電圧UCrit未満のグリッド電圧を有する第2の値範囲から分ける。したがって、安定したグリッド動作には、最大有効電力取り込み点Pmaxに達しないか、又はPmaxを超えないように、第1の値範囲で分散型エネルギー生成システムを動作させる必要があり、その理由は、Pmaxでの動作又はPmaxを超えての動作はグリッド故障を生じさせる恐れがあるためである。
【0005】
特に分散型エネルギー生成システム自体の無効電力提供の変化を理由として「ノーズカーブ」のプロファイルは経時変化するため、最大有効電力取り込み点Pmaxもシフトし、且つ/又はそれぞれ割り当てられた電圧UCritもシフトする。したがって、単純な電力基準又は電圧基準に基づいて分散型エネルギー生成システムの安定したインフィード動作を保証することは可能ではない。むしろ、従来技術では、分散型エネルギー生成システムは、全てのグリッド状況下での可能な最大有効電力インフィードが、グリッドの考えられ得る全ての動作状況を考慮して、グリッド接続点における最小の最大有効電力取り込みPmax未満である場合のみ、認められる。これには、特に、時折のみ弱いグリッドリンクを有するグリッド領域であっても、認めることができる分散型エネルギーシステムはないか、又は少なくともごく小さなものであるという影響がある。したがって、このようなグリッドへの分散型電力提供の可能性は限られる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、分散型エネルギー生成システムの調整方法及び所与のグリッド状況下で、有効電力インフィードが接続されたグリッドの電力取り込み能力を超える恐れがあることを容易に認識することができ、その場合、生じる全てのグリッド状況下で安定したインフィード動作が保証されるように適宜独立して反応することができる分散型エネルギー生成システムを示すことである。
【0007】
この目的は、独立クレーム1の特徴を含む方法により及びそれぞれ独立クレーム6の特徴を含む分散型エネルギー生成システムにより達成される。方法及びそれぞれエネルギー生成システムの好ましい実施形態は従属クレームに記載されている。
【0008】
本発明の一態様は、複数のインバータを用いる分散型エネルギー生成システムを調整する方法であって、グリッドへのインフィードは、中央制御ユニットにより駆動することにより決定される、方法に関する。この場合、エネルギー生成システムの通常動作では、中央制御ユニットは、エネルギー生成システムのグリッド接続点における有効電力、無効電力、及び電圧振幅を検出し、中央制御ユニットがターゲット値を複数のインバータの個々のターゲット規定に分割し、上記個々のターゲット規定をインバータに通信することにより、グリッドオペレータにより規定される上記ターゲット値に調整する。例として、中央制御ユニットは、インバータに、ターゲット値の関数として周波数ドループP(f)及び/又は電圧ドループQ(U)を規定し、すなわち、インバータは、測定されたグリッド周波数fの関数として供給有効電力Pを変更し、且つ/又はそれぞれ、測定された電圧振幅Uの関数として無効電力Qを採用する。
【0009】
本発明による調整方法は、以下の3つのイベント:
1.規定された第1の閾値を超えた電圧振幅の低下、
2.規定された第2の閾値を超えた有効電力の増加、及び
3.不足励起方向における規定された第3の閾値を超えない無効電力変化
が、規定される時間間隔でグリッド接続点において確認される場合、エネルギー生成システムの特定の動作モードに変更することを特徴とする。
【0010】
グリッド接続点における上述した電気特性変数のモニタリングは、好ましくは、中央制御ユニットにより実行される。この特定の動作モードでは、供給有効電力及び/又はそれぞれの無効電力は、もはやターゲット値に基づいて決定されない。代わりに、中央制御ユニットは、例えば、通常動作モードと比較して変更された様式でインバータを分割することにより、特に対応して変更された個々の特定のターゲット規定を複数のインバータに通信することにより、グリッド接続点において提供される有効電力の低減を行う。しかしながら、これは、それに付随して、グリッド接続点において提供される有効電力がなおターゲット値により決定されること、すなわち、例えば、電力が規定された絶対値又は上記ターゲット値の規定された係数により低減されることを除外せず、これは同様に考えることができる。
【0011】
好ましい一実施形態では、特定の動作モードでは、有効電力の低減に加えて、中央制御ユニットは、ターゲット値から独立して、過励起方向におけるグリッド接続点において提供される無効電力の増大を、例えば、それに対応して変更された無効電力の個々の特定のターゲット規定もインバータに通信することにより行う。この方策はグリッドの安定化を追加することになる。
【0012】
特定の動作モードへの分散型エネルギー生成システムの変更はグリッドオペレータに通知することができる。通常動作モードへの復帰も同様に、グリッドオペレータに通知することができる。通常動作モードへの復帰は、グリッドオペレータにより規定されるターゲット値に従ったインフィードが安定したグリッド状態を危うくしないことが保証される場合、行われる。例として、グリッド接続点における電圧振幅を観測しながら、対応するターゲット値の方向に分散型エネルギー生成システムの供給有効電力を段階的に又は連続して増大させ、このターゲット値に達した場合、通常動作モードに戻ることが可能である。
【0013】
代替的には、グリッドオペレータは、ターゲット値に対応する分散型エネルギー生成システムのインフィードが不安定なグリッド状態にならないことを確信する場合、適した制御信号を中央制御ユニットに通信することができ、適した制御信号が通信されると、中央制御ユニットは、分散型エネルギー生成システムを通常動作モードに戻す。
【0014】
有利な一態様では、電圧振幅の低下を突き止めること及び有効電力の増加を突き止めることは、規定された時間間隔の開始時及び終了時における実際の値の差を閾値のそれぞれと比較することにより実行される。しかしながら、例えば、差の形成に、規定された時間間隔内の各最大値及び各最小値を使用することも考えることができる。実際の値の代わりに適宜平均された値を使用することも可能なことは言うまでもない。
【0015】
規定された時間間隔の持続時間は、好ましくは、1秒~10分に選ばれ、間隔が短いほど、分散型エネルギー生成システムの反応時間は高速になるが、特定の動作モードが誤って開始される確率は上がる。
【0016】
本発明による方法の一変更では、特定の動作モードに変更する基準が満たされたか否かをチェックするために長さの異なる複数の時間間隔、例えば2つの時間間隔を提供することを考えることもでき、長さの異なる時間間隔にはまた、異なる第1~第3の閾値が割り当てられる。特定の動作モードへの変更は、基準が時間間隔のいずれか1つにわたり満たされる場合、又は基準が同時に若しくは十分に短い時系列で複数の又は全ての時間間隔で満たされる場合、行うことができる。
【0017】
本発明の更なる態様では、複数のインバータを有する分散型エネルギー生成システムは、複数のインバータを駆動するように構成された中央制御ユニットを備え、駆動することは、通常動作モードにおいて、分散型エネルギー生成システムのグリッド接続点を介してグリッドへの有効電力及び無効電力のインフィードについてグリッドオペレータにより規定されるターゲット値に応じて分割し、個々のターゲット規定、例えば周波数ドループQ(U)及び/又は電圧ドループP(f)を複数のインバータに通信することを含む。本発明による分散型エネルギー生成システムは、中央制御ユニットが、以下の3つのイベント:
1.規定された第1の閾値分の電圧振幅の低下、
2.規定された第2の閾値分の有効電力の増加、及び
3.不足励起方向における規定された第3の閾値を超えない無効電力変化
が規定される時間間隔でグリッド接続点において突き止められる場合、通常動作モードと比較して変更された様式でインバータを駆動することによりターゲット値と比較してグリッド接続点において提供される有効電力の低減を行うことによりエネルギー生成システムの特定の動作モードへの変更を行うように構成されることを特徴とする。
【0018】
そのような分散型エネルギーは、可能な最大有効電力出力が、グリッドに接続された他のグリッド参加者の電力交換を考慮した、グリッド接続点に接続されたグリッドの最大許容可能有効電力取り込み能力よりも大きいような寸法であることができる。そのような最大許容可能有効電力取り込み能力は、グリッド接続点における最大有効電力取り込みPmaxが最悪事例シナリオ状況で、任意選択的に追加の安全マージンを考慮して有することができる最小値によって決まる。これにより、グリッドの生じ得る不安定化を理由にして従来技術による調整方法を使用しては認められないような高い最大インフィード電力を有する分散型エネルギー生成システムの接続が可能になる。
【0019】
本発明の動作原理について図を参照して更に詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、いわゆる「ノーズカーブ」の典型的なプロファイルを示す。
図2図2は、本発明によるエネルギー生成システムを示す。
図3図3は、「ノーズカーブ」の変形及び本発明による調整方法を例示的に説明するためのこれらの「ノーズカーブ」上の本発明によるエネルギー生成システムのインフィードの運用点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2は本発明によるエネルギー生成システム1を示し、エネルギー生成システム1は、グリッド2、この場合、高電圧グリッドへの電力インフィードのために、グリッド接続点PCCにおいてグリッド2に接続されている。エネルギー生成システム1は、複数の発電機PV、この場合、光起電発電機を備え、これらはそれぞれ割り当てられたインバータINに接続される。出力側において、インバータINは中電圧変圧器MVTを介して互いに接続され、中電圧変圧器MVTは高電圧変圧器HVTの1次側に接続される。高電圧HVTの2次側はグリッド接続点PCCに接続される。高電圧変圧器HVTの2次側とグリッド接続点との間には測定点3が配置され、測定点3は、グリッド2のグリッドパラメータエネルギー生成システム1のインフィードパラメータを特定し、中央制御ユニットPPCに通信する。グリッドパラメータは、グリッド2の電圧及び周波数を含むことができ、インフィードパラメータはエネルギー生成システム1の有効電力及び無効電力を含むことができる。エネルギー生成システム1の空間的広がり及び定格電力に応じて、変圧器の追加又は省略によりシステム内でより多数又はより少数の電圧レベルを実現することも可能である。
【0022】
測定点3により特定されるパラメータの他に、制御ユニットPPCは、エネルギー生成システム1の有効電力及び/又は無効電力のターゲット値を受信するように更に構成され、上記ターゲット値はグリッドオペレータにより規定される。エネルギー生成システム1の通常動作モードでは、制御ユニットPPCは、上記制御ユニットがターゲット値を各インバータINのそれぞれの個々のターゲット規定に変換し、破線で示されるように、上記個々のターゲット規定を対応するインバータINに通信することにより、グリッド接続点PCCにおいて供給される無効電力及び有効電力を規定されたターゲット値に調整する。
【0023】
グリッドオペレータの規定されたターゲット値及び複数のインバータINの個々のターゲット規定は両方とも、異なるフォーマットを有することができる。例として、絶対電力値、現在利用可能な電力に関連した相対電力値、又は例えばパラメータ形態の特性曲線を規定することが可能である。これに関して、有効電力は、相対であれ絶対であれ、例えば、特性曲線、P(f)=P-c (f-f)として規定することができ、式中、Pは基準電量であり、fは基準周波数であり、fは測定点3により特定されるグリッド周波数であり、cは特性曲線勾配である。それに対応して、無効電力の場合、基準電力Q、基準電圧U、測定点3により特定されるグリッド電圧振幅U、及び特性曲線勾配cを有する特性曲線Q(U)=Q+c (U-U)を規定することが可能である。しかしながら、超えることが許されず、且つ/又はそれぞれ到達することが許されない限界値のみをターゲット値又はターゲット規定として通信することを考えることも可能である。ターゲット値の規定の更なる既知の形態も同様に考えることが可能である。
【0024】
本発明による方法、特にエネルギー生成システム1の特定の動作モードへの変更に関連する3つの基準が存在するか否かのチェックは、好ましくは、中央制御ユニットPPCにおいて実行される。このために、制御ユニットPPCは、規定された時間間隔内の評価のために有効電力及び無効電力の電圧振幅の値-測定点3により検出される-を記憶する。当然ながら、測定誤差を低減するために、検出された値は適宜フィルタリング又は平均することができる。評価内で、制御ユニットPPCは、例えば、有効電力及び無効電力の電圧振幅の最小値及び最大値を特定し、それらから差の形成により時間間隔内のそれらの値の増大又はそれぞれの低減を計算し、計算された増大又はそれぞれの低減を記憶された対応する閾値と比較する。時間間隔内で3つ全ての基準が満たされる場合、中央制御ユニットPPCは特定の動作モードに変わる。特定の動作モードにおいて、エネルギー生成システム1の供給有効電力は、グリッド2の取り込み能力を超える有効電力のインフィードが除外されるような程度に低減される。この場合、低減は、大きさの絶対値として、定格電力若しくはエネルギー生成システム1の現在利用可能な電力の割合として、又は何らかの他の方法で規定することができる。
【0025】
特定の動作モードへの変更は、対応する通信信号によりグリッドオペレータに通信することができる。特定の動作モードへの変更は同様に、グリッドオペレータの通信信号により行うこともできる。特定の動作モードでは、中央制御ユニットPPCがなお、グリッドオペレータからのターゲット値の変更に応答しながら、それに従って有効電力及び/又は無効電力のインフィードを適合することを考えることができる。
【0026】
通常動作モードに復帰する場合、制御ユニットPPCは、グリッドオペレータにより規定されたターゲット値まで供給有効電力を段階的に又は連続して増大させ、その過程で、測定点3を用いてグリッドパラメータを常時監視することを試みることができる。生じるグリッドパラメータの値を妨げずに規定されたターゲット値に達する場合、エネルギー生成システム1は通常動作モードに戻ることができる。この復帰も同様に、対応する通信信号によりグリッドオペレータに通信することができ、又は通常動作モードへの復帰は、グリッドオペレータの通信信号により行うことができる。
【0027】
図3は、供給される電力Pの関数としての種々の力率cosφの「ノーズカーブ」の理想的なプロファイルを示す。これに関して、ノーズカーブ5は力率cosφ=1の場合に生じるプロファイルであり、ノーズカーブ6は過励起力率cosφ=0.9に割り当てられ、ノーズカーブ6は不足励起力率cosφ=0.9に割り当てられる。この場合、電力P及び電圧Uは正規化されてプロットされている。各ノーズカーブは最大電力点9を有し、異なる力率でのその位置は曲線10で表され、これは同時に、グリッドにおけるエネルギー生成システム1の安定動作範囲を不安定動作範囲から分ける。安定したグリッド状況を保証するために、供給される電力はこの最大電力点を超えることが許されない。このために、運用点が最大電力点近傍に近づくときを突き止めることが必要である。
【0028】
ノーズカーブ5上の運用点7は、特定の動作モードに変更するために選ばれた3つの基準を示すために選ばれた。
【0029】
現在の運用点が最大電力点近傍にあるか否か及び最大電力点に近づいているか否かを突き止めるために、時間間隔内でのグリッド接続点PCCにおいて供給される電圧振幅及び有効電力の変化が特定される。これは、現在の運用点が、電圧振幅の低下及び有効電力の増加の両方が同時に、割り当てられた閾値を超えるのに十分に高い負勾配(ここではノーズカーブ5上の運用点7)を有するノーズカーブの領域にある場合のみである。これは、電圧振幅の低下ΔU及び供給される電圧の増加ΔPが表される運用点7から運用点7’への遷移により図3に示される。
【0030】
しかしながら、電圧振幅の低下は、不足励起方向における無効電力変化によって生じることもできる。これはノーズカーブ4により示され、ノーズカーブの安定領域におけるその電圧値Uは、有効電力Pの達成可能な全ての値で、ノーズカーブ5の電圧値の下にある。この原因を除外するために、電圧振幅の低下を生じさせたか、又は付随して低下を生じさせた可能性がある不足励起方向での無効電力変化があるか否かに関して基準がチェックされる。これが該当しない場合のみ、特定の動作モードへの変更が実行される。
【0031】
3つの基準が最大電力点へのあらゆる接近を確実には識別せず、したがって、ノーズカーブの不安定領域に変わるリスクが考えられるが、実際には、閾値及び時間間隔が適宜選択される場合、基準は、エネルギー生成システムの安定した動作状況を保証するのに十分である。
【0032】
参照符号のリスト
1 エネルギー生成システム
2 グリッド
3 測定点
4~6 ノーズカーブ
7、7’運用点
9 最大電力点
10 カーブ
PCC グリッド接続点
HVT 高電圧変圧器
MVT 中電圧変圧器
IN インバータ
PV 発電機
PPC 制御ユニット
図1
図2
図3