(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-19
(45)【発行日】2022-04-27
(54)【発明の名称】調温マット
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20220420BHJP
【FI】
A47C27/00 F
A47C27/00 C
(21)【出願番号】P 2021066459
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2021-05-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-01
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321003418
【氏名又は名称】大海 弘喜
(74)【代理人】
【識別番号】100154483
【氏名又は名称】山田 和寛
(72)【発明者】
【氏名】大海 弘喜
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】八木 誠
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-248234(JP,A)
【文献】特開2003-125900(JP,A)
【文献】特開2014-113195(JP,A)
【文献】特開平11-332696(JP,A)
【文献】特開2002-142920(JP,A)
【文献】特開2006-255010(JP,A)
【文献】特開2012-66025(JP,A)
【文献】特開2004-81519(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183218(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3224649(JP,U)
【文献】登録実用新案第3169036(JP,U)
【文献】登録実用新案第3226754(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C27/00-27/22, 31/00-31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封された袋体中にジェルが充填されてなるジェルマットと、
前記ジェルマットの内部に通されて液体が流通するチューブと、
前記チューブ中を流通する液体の流量および温度を制御する制御部と、
を備え、
前記ジェルマットは、
長手方向に区分けされて複数のジェル層で構成されており、ジェル層ごとに前記チューブ中を流通する液体の流路が分けられて別々に液体の流量および温度を制御する構成であり、
前記ジェルマットの各ジェル層の間が断熱層で区切られており、
前記断熱層が気層である、調温マット。
【請求項2】
前記袋体および前記チューブが、ゴム素材で構成されている、請求項1に記載の調温マット。
【請求項3】
前記断熱層が前記ジェルマットの折り畳み位置になる、請求項1または請求項2に記載の調温マット。
【請求項4】
前記チューブは、前記ジェルマットの内部の厚さ方向における中途位置に通されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の調温マット。
【請求項5】
前記ジェルマットは、
その内部に、厚さ方向の上下間を連結する連結部を有しており、前記チューブは、前記連結部の中途位置に固定されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の調温マット。
【請求項6】
寝具用、首巻用、着衣用、枕用または座椅子用である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の調温マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調温マットに関し、さらに詳しくは、軟らかいジェルマットにあって適温に温度管理可能な調温マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
寝具などにおいて、夏の暑さに対して冷やしたり、冬の寒さに対して温めたりすることで、快適な生活を送ることができる。例えば特許文献1には、スポンジ材からなるマット基材内に液媒流路をなすホース体が配された調温マット装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の調温マット装置は、スポンジ材からなるマット基材内に液媒流路をなすホース体が配されていることから、ホース体を流れる液媒の冷たさや温かさを直接受けるものではなく、空気などを媒介として液媒の冷たさや温かさを受けるものである。また、ホース体はマットを構成するスポンジ材に覆われており、スポンジ材が断熱効果を有するものであるため、ホース体からの熱が伝わりにくく、熱伝導性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、マットとしての軟らかさを確保しつつ熱伝導性に優れる調温マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調温マットは、密封された袋体中にジェルが充填されてなるジェルマットと、前記ジェルマットの内部に通されて液体が流通するチューブと、前記チューブ中を流通する液体の流量および温度を制御する制御部と、を備えたものである。
【0007】
前記袋体および前記チューブは、ゴム素材で構成されているとよい。前記ジェルマットは、面方向に区分けされて複数のジェル層で構成されており、ジェル層ごとに前記チューブ中を流通する液体の流路が分けられて別々に液体の流量および温度を制御する構成であってもよい。前記ジェルマットの各ジェル層の間は断熱層で区切られているとよい。前記断熱層は気層であるとよい。前記断熱層は前記ジェルマットの折り畳み位置になるとよい。前記チューブは、前記ジェルマットの内部の厚さ方向における中途位置に通されているとよい。前記ジェルマットは、前記チューブが通される位置の内部に、厚さ方向の上下間を連結する連結部を有しており、前記チューブは、前記連結部の中途位置に固定されているとよい。前記調温マットは、寝具用、首巻用、着衣用、枕用または座椅子用として好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る調温マットによれば、密封された袋体中にジェルが充填されてなるジェルマットと、前記ジェルマットの内部に通されて液体が流通するチューブと、前記チューブ中を流通する液体の流量および温度を制御する制御部と、を備えたものであることから、ジェルマット内部に温度管理された液体を流して年間を通して適温で過ごすことができる。温度管理された液体が流通するチューブはジェルマット内部に通されているので、温度管理された液体からチューブを経てジェルマットのジェルに効率よく伝熱されるため、温められた、あるいは冷やされたジェルによって温かさや冷たさを効率よく受けることができる。また、効率よく伝熱されるので、ジェルマットを厚く構成してもジェルによって温かさや冷たさを効率よく受けることができるため、マットとしての軟らかさも十分に確保することができる。したがって、マットとしての軟らかさを確保しつつ熱伝導性に優れる。
【0009】
ここで、前記袋体および前記チューブがゴム素材で構成されていると、マットとしての軟らかさに特に優れる。そして、マットとしての軟らかさが高められても、特段、熱伝導性が低下するおそれがない。
【0010】
そして、前記ジェルマットが、面方向に区分けされて複数のジェル層で構成されており、ジェル層ごとに前記チューブ中を流通する液体の流路が分けられて別々に液体の流量および温度を制御する構成であると、ジェルマットのジェル層ごとに温度設定することができる。この際、ジェルマットの各ジェル層の間が断熱層で区切られていると、各部間での伝熱が抑えられるため、ジェルマットのジェル層ごとに温度設定しやすい。そして、その断熱層が気層であると、断熱性に優れる。また、断熱層をジェルマットの折り畳み位置に設定しやすい。そして、その断熱層がジェルマットの折り畳み位置になると、ジェルマットをコンパクトに収納しやすい。
【0011】
そして、前記チューブが、前記ジェルマットの内部の厚さ方向における中途位置に通されていると、ジェルマットに体圧が加わってもチューブが潰れにくい。このとき、前記ジェルマットは、前記チューブが通される位置の内部に、厚さ方向の上下間を連結する連結部を有しており、前記チューブは、前記連結部の中途位置に固定されていると、確実に、ジェルマットの内部の厚さ方向における中途位置にチューブを通すことができる。
【0012】
そして、本発明に係る調温マットは、寝具用、首巻用、着衣用、枕用または座椅子用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る調温マットの外観模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る調温マットについて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調温マットの外観模式図である。
図2は、
図1のA部断面図である。
図3は、
図1のB部断面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る調温マット10は、ジェルマット12と、チューブ14,16,18と、制御部20と、を備えている。
【0016】
ジェルマット12は、密封された袋体24中にジェル26が充填されたもので構成されている。ジェルマット12は、平面矩形の厚板状の外観からなる。袋体24は、ゴム・樹脂・エラストマーなどの柔軟で破れにくい素材により構成されている。ジェルマット12は、面方向に区分けされており、複数のジェル層12a,12b,12cで構成されている。より具体的には、ジェルマット12は、平面矩形の長手方向に3分割されている。ジェルマット12の第1のジェル層12aと第2のジェル層12bの間や第2のジェル層12bと第3のジェル層12cの間には断熱層28(28a,28b)が配置されており、ジェルマット12の各ジェル層12a,12b,12cの間は断熱層28(28a,28b)で区切られている。断熱層28(28a,28b)は気層で構成されており、この部分にはジェルは充填されていない。この断熱層28(28a,28b)は気層で構成されていることから、この位置でジェルマット12は折り曲げ可能となっており、ジェルマット12は折り畳み可能となっている。そして、断熱層28(28a,28b)がジェルマット12の折り畳み位置となっている。
【0017】
図2に示すように、ジェルマット12は、チューブ14が通される位置の内部に、厚さ方向の上下間を連結する連結部36を有している。連結部36は、ジェルマット12の厚さ方向に延びる充実柱状で、袋体24の上側と下側の両方に一体となっている。連結部36は、袋体24と同じ材質の柔軟で破れにくい素材で構成されている。連結部36は、各ジェル層12a,12b,12cのそれぞれにおいて、チューブ14,16,18が通される位置の複数個所に配置されている(例えば、ジェル層12aの内部に8か所、ジェル層12bの内部に8か所、ジェル層12cの内部に8か所など。)。
【0018】
ジェルマット12に充填されるジェル26は、物質が高い粘性を持って流動性を失い、固体・半固体になったものである。液体のような柔軟性と固体のような弾力を持ち、潰れやすい性質をもつものである。ジェル26は、例えば高分子ジェルであり、高吸水性ポリマーをベースとし、水やアルコールなどの溶媒を高吸水性ポリマーが吸収して体積が増加したものである。使用する冷熱環境下において凍結したり気化したりしないものである。ジェル26は、熱伝導性に優れるものからなる。ジェルマット12は、内部に充填される材料がジェル26であるため、内部の隅々まで材料を均一に充填しやすい。また、ジェルマット12は、内部に充填される材料がジェル26であるため、冷たさや温かさを伝えやすい。
【0019】
チューブ14,16,18は、ジェルマット12の内部に通されて液体が流通するものである。チューブ14,16,18は、ゴム・樹脂・エラストマーなどの柔軟で破れにくい素材で構成されている。チューブ14,16,18としては、ゴム素材で構成されているとよい。ゴム素材としては、シリコーンゴムなどが挙げられる。チューブ14,16,18は、ジェルマット12の内部において、平面矩形の短手方向に延びて折り返した後、逆方向に延びて再び折り返すといった、蛇行状に配置されている。第1のチューブ14は、制御部20から出て第1のジェル層12aの内部を通った後、制御部20まで戻る第1の流路を構成している。第2のチューブ16は、制御部20から出て第2のジェル層12bの内部を通った後、制御部20まで戻る第2の流路を構成している。第3のチューブ18は、制御部20から出て第3のジェル層12cの内部を通った後、制御部20まで戻る第3の流路を構成している。このように、チューブ14,16,18によって、ジェル層12a,12b,12cごとに流路が分けられている。
図2に示すように、チューブ14,16,18は、連結部36の中途位置に固定されており、ジェルマット12の内部の厚さ方向における中途位置に通されている。
【0020】
チューブ14,16,18中を流通する液体としては、特に限定されるものではないが、クーラント液などを好適に用いることができる。チューブ14,16,18中を流通する液体としては、温度調節範囲(例えば0℃から35℃の範囲など)において凍結したり気化したりしないものを用いるとよい。
【0021】
制御部20には、チューブ14,16,18中を流通する液体の温度を制御する温度調節部32が設けられている。温度調節部32は、ペルチェ素子などによって構成される。温度調節部32は、ジェル層12a,12b,12cごとに分けられた流路の数に応じて、3つの温度調節部32a,32b,32cに分けられている。各ジェル層12a,12b,12c内の温度は、各ジェル層12a,12b,12c内に配置された熱電対などの各温度センサー22(22a,22b,22c)で計測され、計測された温度をもとに、各ジェル層12a,12b,12cが温度調節されるようになっている。また、制御部20には、チューブ14,16,18中を流通する液体の流量を制御する流量調節部34が設けられている。流量調節部34は、送液ポンプなどによって構成される。流量調節部34は、ジェル層12a,12b,12cごとに分けられた流路の数に応じて、3つの流量調節部34a,34b,34cに分けられている。各温度調節部32a,32b,32c、各温度センサー22a,22b,22c、各流量調節部34a,34b,34cは、それぞれ図示しないコントロール部に接続されコントロール部で調節されるようになっている。
【0022】
以上の構成の調温マット10は、断熱層28によってジェルマット12が平面矩形の長手方向に3分割されており、ジェルマット12は複数のジェル層12a,12b,12cで構成されている。ジェルマット12の内部に通されて液体が流通するチューブ14,16,18は、ジェル層12a,12b,12cごとに流路が分けられている。制御部20は、流量調節部34および温度調節部32が、ジェル層12a,12b,12cごとに分けられた流路の数に応じて、それぞれ3つに分けられている。
【0023】
第1のチューブ14を流通する液体は、制御部20の第1の流量調節部34aによって第1の温度調節部32aに送られ、第1の温度調節部32aにおいて設定された温度に基づいて加熱または冷却される。次いで、制御部20の端部a1から第1のチューブ14の流路14aを通ってジェルマット12の第1のジェル層12aの端部a2に送られる。次いで、第1のジェル層12aの内部に通された第1のチューブ14の流路14bを通り、第1のジェル層12aの端部a3に送られる。次いで、第1のチューブ14の流路14cを通り、流路14cのa4を経由して、制御部20の端部a5に送られ、制御部20の第1の流量調節部34に戻る。第1のチューブ14を流通する液体は、このように循環する。第1のチューブ14を流通する液体によって、第1のジェル層12aの内部のジェル26が、温められたり、冷やされたりする。
【0024】
同様に、第2のチューブ16を流通する液体は、制御部20の第2の流量調節部34bによって第2の温度調節部32bに送られ、第2の温度調節部32bにおいて設定された温度に基づいて加熱または冷却される。次いで、制御部20の端部b1から第2のチューブ16の流路16aを通ってジェルマット12の第2のジェル層12bの端部b2に送られる。次いで、第2のジェル層12bの内部に通された第2のチューブ16の流路16bを通り、第2のジェル層12bの端部b3に送られる。次いで、第2のチューブ16の流路16cを通り、流路16cのb4を経由して、制御部20の端部b5に送られ、制御部20の第2の流量調節部34bに戻る。第2のチューブ16を流通する液体は、このように循環する。第2のチューブ16を流通する液体によって、第2のジェル層12bの内部のジェル26が、温められたり、冷やされたりする。
【0025】
同様に、第3のチューブ18を流通する液体は、制御部20の第3の流量調節部34cによって第3の温度調節部32cに送られ、第3の温度調節部32cにおいて設定された温度に基づいて加熱または冷却される。次いで、制御部20の端部c1から第3のチューブ18の流路18aを通ってジェルマット12の第3のジェル層12cの端部c2に送られる。次いで、第3のジェル層12cの内部に通された第3のチューブ18の流路18bを通り、第3のジェル層12cの端部c3に送られる。次いで、第3のチューブ18の流路18cを通り、流路18cのc4を経由して、制御部20の端部c5に送られ、制御部20の第3の流量調節部34cに戻る。第3のチューブ18を流通する液体は、このように循環する。第3のチューブ18を流通する液体によって、第3のジェル層12cの内部のジェル26は、温められたり、冷やされたりする。
【0026】
以上の構成の調温マット10によれば、密封された袋体24中にジェル26が充填されてなるジェルマット12と、ジェルマット12の内部に通されて液体が流通するチューブ14,16,18と、チューブ14,16,18中を流通する液体の流量および温度を制御する制御部20と、を備えたものであることから、ジェルマット12の内部に温度管理された液体を流して年間を通して適温で過ごすことができる。温度管理された液体が流通するチューブ14,16,18はジェルマット12の内部に通されているので、温度管理された液体からチューブ14,16,18を経てジェルマット12のジェル26に効率よく伝熱されるため、温められた、あるいは冷やされたジェル26によって温かさや冷たさを効率よく受けることができる。また、効率よく伝熱されるので、ジェルマット12を厚く構成してもジェル26によって温かさや冷たさを効率よく受けることができるため、マットとしての軟らかさも十分に確保することができる。したがって、マットとしての軟らかさを確保しつつ熱伝導性に優れる。
【0027】
また、ジェルマット12は、面方向に区分けされて複数のジェル層12a,12b,12cで構成されており、ジェル層12a,12b,12cごとにチューブ14,16,18中を流通する液体の流路が分けられて別々に液体の流量および温度を制御する構成であるため、ジェルマット12のジェル層12a,12b,12cごとに温度設定することができる。そして、ジェルマット12のジェル層12a,12b,12cの間が断熱層28(28a,28b)で区切られているため、ジェルマット12のジェル層12a,12b,12cごとに温度設定しやすい。そして、その断熱層28(28a,28b)が気層であるため、断熱性に優れる。また、断熱層28(28a,28b)をジェルマット12の折り畳み位置に設定することができる。そして、その断熱層28(28a,28b)がジェルマット12の折り畳み位置になるため、ジェルマット12をコンパクトに収納することができる。
【0028】
そして、チューブ14,16,18は、ジェルマット12の内部の厚さ方向における中途位置に通されているため、ジェルマット12に体圧が加わってもチューブ14,16,18が潰れにくい。そして、ジェルマット12は、チューブ14,16,18が通される位置の内部に、厚さ方向の上下間を連結する連結部36を有しており、チューブ14,16,18は、連結部36の中途位置に固定されているため、確実に、ジェルマット12の内部の厚さ方向における中途位置にチューブ14,16,18を通すことができる。
【0029】
そして、袋体24およびチューブ14,16,18がゴム素材で構成されていると、マットとしての軟らかさに特に優れる。また、マットとしての軟らかさが高められても、特段、熱伝導性が低下するおそれがない。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0031】
例えば上記実施形態では、ジェルマット12は面方向に区分けされて複数のジェル層12a,12b,12cで構成されているが、ジェルマット12は1つのジェル層で構成されていてもよい。また、ジェルマット12は面方向に区分けされて複数のジェル層12a,12b,12cで構成されており、ジェル層12a,12b,12cごとにチューブ14,16,18中を流通する液体の流路が分けられて別々に液体の流量および温度を制御する構成であるが、ジェルマット12が面方向に区分けされて複数のジェル層12a,12b,12cで構成されている場合でも、チューブ14,16,18中を流通する液体の流路を分けないで1つの流路とし、液体の流量および温度を1つの温度調節部32や流量調節部34で制御する構成であってもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、複数のジェル層12a,12b,12cの間が断熱層28(28a,28b)で区切られているが、複数のジェル層12a,12b,12cの間は、断熱層28(28a,28b)で区切られていなくてもよい。例えば、袋体24と同じ素材の薄い仕切りがあるだけでもよい。また、上記実施形態では、断熱層28(28a,28b)は気層で構成されているが、断熱層28(28a,28b)は気層に限られず、例えば断熱性に優れる素材で構成されていてもよい。断熱性に優れる素材としては、ウレタンなどが挙げられる。ウレタンで構成される断熱層は、袋体24の厚みよりも厚く構成するとよい。また、上記実施形態では、断熱層28(28a,28b)がジェルマットの折り畳み位置となっているが、ジェルマット12は断熱層28(28a,28b)において折り畳みできない構成であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、ジェルマット12は、チューブ14,16,18が通される位置の内部に厚さ方向の上下間を連結する連結部36を有しているが、このような連結部36を有していなくてもよい。ジェル26の弾力性によっては、他の部材で固定していなくてもジェル26の弾力性などによって所定の位置にチューブ14,16,18を維持できる場合もある。そして、ジェルマット12において、チューブ14,16,18は、厚さ方向の中途位置に通されていてもよいし、表面近くに通されていてもよい。
【0034】
本発明に係る調温マットは、寝具用、首巻用、着衣用、枕用、座椅子用などとして好適に用いることができる。
【0035】
寝具用の調温マットは、特に限定されるものではないが、人が横になるのに十分な大きさ(例えば90cm×180cmなど)や厚み(例えば10cmなど)を有していればよい。
【0036】
首巻用の調温マットは、特に限定されるものではないが、人の首を1周巻くのに適した長さや幅(例えば50cm×5cmなど)や厚み(例えば1cmなど)を有していればよい。首巻用の調温マットは、寝具用の調温マットよりも大きさや部材がより簡素化・小型化されたものとなる。首巻用の調温マットは、チューブ中を流通する液体の流路が1つであるとよい。首巻用の調温マットは、制御部をウェストベルトなどで固定できる構成であるとよい。
【0037】
着衣用の調温マットとしては、ベストのように着衣するものなどが挙げられる。座椅子用の調温マットとしては、座布団タイプのもの、背あてタイプのもの、座布団と背あてが一体となったものなどを挙げることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 調温マット
12 ジェルマット
14,16,18 チューブ
20 制御部
22 センサー
24 袋体
26 ジェル
28 断熱層
32 温度調節部
34 流量調節部
36 連結部
【要約】
【課題】マットとしての軟らかさを確保しつつ熱伝導性に優れる調温マットを提供する。
【解決手段】密封された袋体24中にジェル26が充填されてなるジェルマット12と、ジェルマット12の内部に通されて液体が流通するチューブ14,16,18と、チューブ14,16,18中を流通する液体の流量および温度を制御する制御部20と、を備えた調温マット10とする。調温マット10は、寝具用、首巻用、着衣用、枕用または座椅子用とすることができる。ジェルマット12は、面方向に区分けされて複数のジェル層12a,12b,12cで構成され、ジェル層12a,12b,12cごとにチューブ14,16,18中を流通する液体の流路が分けられて別々に液体の流量および温度を制御する構成であってもよい。
【選択図】
図1