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特許7061264プラズマ制御システム及びプラズマ制御システム用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】プラズマ制御システム及びプラズマ制御システム用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220421BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H05H1/46 R
C23C16/505
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018052234
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019164934
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】岩苔 翼
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161715(JP,A)
【文献】特開2010-157511(JP,A)
【文献】特開2013-105543(JP,A)
【文献】特開2015-62181(JP,A)
【文献】特開2012-74464(JP,A)
【文献】特開2012-74200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0097480(US,A1)
【文献】特開2008-251358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源と、
一端部が前記高周波電源に接続された第1アンテナと、
一端部が前記第1アンテナの他端部に接続された第2アンテナと、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間に設けられ、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第1リアクタンス可変素子と、
前記第1リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第1駆動部と、
前記第2アンテナの他端部に接続され、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第2リアクタンス可変素子と、
前記第2リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第2駆動部と、
前記第1アンテナの一端部に流れる電流を検出する第1電流検出部と、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間を流れる電流を検出する第2電流検出部と、
前記第2アンテナの他端部に流れる電流を検出する第3電流検出部と、
前記第1電流検出部により得られる第1電流値、前記第2電流検出部により得られる第2電流値、及び前記第3電流検出部により得られる第3電流値が互いに等しくなるように、前記第1駆動部及び前記第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力する制御装置とを具備する、プラズマ制御システム。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記第1検出値及び前記第2検出値を比較する第1比較部と、
前記第2検出値及び前記第3検出値を比較する第2比較部と、
前記第1比較部の比較結果に基づいて、前記第1電流値及び前記第2電流値が等しくなるように前記第1駆動部を制御するための制御信号を出力するとともに、前記第2比較部の比較結果に基づいて、前記第2電流値及び前記第3電流値が等しくなるように前記第2駆動部を制御するための制御信号を出力する制御部とを備える、請求項1記載のプラズマ制御システム。
【請求項3】
前記制御装置が、
前記第1電流値、前記第2電流値、及び前記第3電流値の大小関係を表す複数種類の基準電流値パターン、及び、それぞれの基準電流値パターンに対応して予め定められており、前記各電流値が互いに等しくなるように前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御するための制御パターンを結び付けたパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部と、
前記第1電流値、前記第2電流値、及び前記第3電流値の実際の大小関係である実電流値パターンを判断する実電流値パターン判断部と、
前記実電流値パターンに対応する前記基準電流値パターンを判断するとともに、当該基準電流値パターンに結び付いた前記制御パターンに基づいて、前記第1駆動部及び前記第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力する制御部とを備える、請求項1記載のプラズマ制御システム。
【請求項4】
前記制御装置が、
前記第1電流値及び前記第2電流値が互いに異なる場合に、前記第1電流値を前記第2電流値に近づけるように前記第1駆動部を制御するための制御信号を出力し、
前記第2電流値及び前記第3電流値が互いに異なる場合に、前記第3電流値を前記第2電流値に近づけるように前記第2駆動部を制御するための制御信号を出力するように構成されている、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載のプラズマ制御システム。
【請求項5】
前記第1リアクタンス可変素子が、
前記第1アンテナに電気的に接続される第1の固定電極と、
前記第2アンテナに電気的に接続される第2の固定電極と、
前記第1の固定電極との間で第1のコンデンサを形成するとともに、前記第2の固定電極との間で第2のコンデンサを形成する前記可動要素である可動電極とを有し、
前記可動電極が所定の回転軸周りに回転することによって、その静電容量を変更できるように構成された可変コンデンサであり、
前記制御装置が、前記可動電極の回転角度が所定の閾値となった場合に、前記可動電極の回転を停止させる制御停止部を備える、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のプラズマ制御システム。
【請求項6】
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナが、基板を収容する真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、前記各アンテナの同じ側の端部の間に介在する接続導体によって直列接続されており、
前記各アンテナは、内部に冷却液が流れる流路を有しており、
前記接続導体が、
前記第1リアクタンス可変素子である第1可変コンデンサと、
前記第1可変コンデンサと前記第1アンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部から流出する前記冷却液を前記第1可変コンデンサに導く第1の接続部と、
前記第1可変コンデンサと前記第2アンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部に前記第1可変コンデンサを通過した前記冷却液を導く第2の接続部とを有し、
前記冷却液が前記第1可変コンデンサの誘電体である、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のプラズマ制御システム。
【請求項7】
高周波電源と、一端部が前記高周波電源に接続された第1アンテナと、一端部が前記第1アンテナの他端部に接続された第2アンテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間に設けられ、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第1リアクタンス可変素子と、前記第1リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第1駆動部と、前記第2アンテナの他端部に接続され、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第2リアクタンス可変素子と、前記第2リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第2駆動部と、前記第1アンテナの一端部に流れる電流を検出する第1電流検出部と、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間を流れる電流を検出する第2電流検出部と、前記第2アンテナの他端部に流れる電流を検出する第3電流検出部と、を具備するプラズマ制御システムに用いられるプログラムであって、
前記第1電流検出部により得られる第1電流値、前記第2電流検出部により得られる第2電流値、及び前記第3電流検出部により得られる第3電流値が互いに等しくなるように、前記第1駆動部及び前記第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力する機能をコンピュータに発揮させる、プラズマ制御システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに高周波電流を流して発生させる誘導結合型のプラズマを制御するプラズマ制御システム及びこのプラズマ制御システムに用いられるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
誘導結合型のプラズマ(略称ICP)を発生させるものとして、特許文献1に示すように、複数本のアンテナを真空容器内の基板の四方に配置して、これらのアンテナに高周波電流を流すように構成されたプラズマ処理装置が知られている。
【0003】
より詳細に説明すると、このプラズマ処理装置は、複数のアンテナそれぞれに接続された可変インピーダンス素子と、複数のアンテナそれぞれの給電側に設けられたピックアップコイル又はキャパシタとを備えている。そして、ピックアップコイル又はキャパシタからの出力値に基づいて可変インピーダンス素子のインピーダンス値をフィードバック制御することで、それぞれのアンテナの周囲に発生するプラズマの密度を所定範囲内に制御して、真空容器に発生させるプラズマ密度の空間的な均一化を図っている。
【0004】
ところが、基板が大型なものになると、特許文献1のプラズマ処理装置に用いられているような比較的短尺なアンテナを基板の四方に配置したのでは対応することができず、この場合には特許文献2に示すような長尺状のアンテナが用いられる。
【0005】
このような長尺状のアンテナを真空容器内に配置して誘導結合型プラズマを生成する場合、アンテナとプラズマとの間で生じる静電結合により、プラズマを介してアンテナと真空容器の壁との間で電流が流れたり、プラズマを介して互いに隣り合うアンテナ間で電流が流れたりする。
その結果、アンテナの長手方向に沿った電流量の分布が均一にならず、アンテナの長手方向に沿ったプラズマ密度が不均一になるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-228354号公報
【文献】特開2016-138598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、長尺状のアンテナを用いて基板の大型化に対応することができるようにしつつ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係るプラズマ制御システムは、高周波電源と、一端部が前記高周波電源に接続された第1アンテナと、一端部が前記第1アンテナの他端部に接続された第2アンテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間に設けられ、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第1リアクタンス可変素子と、前記第1リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第1駆動部と、前記第2アンテナの他端部に接続され、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第2リアクタンス可変素子と、前記第2リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第2駆動部と、前記第1アンテナの一端部に流れる電流を検出する第1電流検出部と、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間を流れる電流を検出する第2電流検出部と、前記第2アンテナの他端部に流れる電流を検出する第3電流検出部と、前記第1電流検出部により得られる第1電流値、前記第2電流検出部により得られる第2電流値、及び前記第3電流検出部により得られる第3電流値が互いに等しくなるように、前記第1駆動部及び前記第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力する制御装置とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
このようなプラズマ制御システムによれば、制御装置が、第1電流値、第2電流値、及び第3電流値が互いに等しくなるように、第1駆動部及び第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力するので、第1アンテナ及び第2アンテナに流れる電流を長手方向に沿って可及的に均一にすることができる。
その結果、長尺状のアンテナを用いて基板の大型化に対応できるようにしつつ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることが可能となる。
なお、本発明における「第1電流値、第2電流値、及び第3電流値が互いに等しくなる」とは、第1電流値、第2電流値、及び第3電流値が同一となる場合の他、第1アンテナ及び第2アンテナに流れる電流を長手方向に沿って可及的に均一にするうえで、第1電流値、第2電流値、及び第3電流値の間に無視できる誤差や検出不能な誤差が生じている場合も含む意味である。
【0010】
第1電流値、第2電流値、及び第3電流値を互いに等しくするための制御装置の具体的な構成としては、前記第1検出値及び前記第2検出値を比較する第1比較部と、前記第2検出値及び前記第3検出値を比較する第2比較部と、前記第1比較部の比較結果に基づいて、前記第1電流値及び前記第2電流値が等しくなるように前記第1駆動部を制御するための制御信号を出力するとともに、前記第2比較部の比較結果に基づいて、前記第2電流値及び前記第3電流値が等しくなるように前記第2駆動部を制御するための制御信号を出力する制御部とを備える構成を挙げることができる。
このような構成であれば、第1電流値及び第2電流値を等しくするとともに、第2電流値及び第3電流値を等しくすることができ、その結果として、第1電流値、第2電流値、及び第3電流値を互いに等しくすることができる。
【0011】
制御装置の別の構成としては、前記第1電流値、前記第2電流値、及び前記第3電流値の大小関係を表す複数種類の基準電流値パターン、及び、それぞれの基準電流値パターンに対応して予め定められており、前記各電流値が互いに等しくなるように前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御するための制御パターンを結び付けたパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部と、前記第1電流値、前記第2電流値、及び前記第3電流値の実際の大小関係である実電流値パターンを判断する実電流値パターン判断部と、前記実電流値パターンに対応する前記基準電流値パターンを判断するとともに、当該基準電流値パターンに結び付いた前記制御パターンに基づいて、前記第1駆動部及び前記第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力する制御部とを備える構成を挙げることができる。
このような構成であれば、実電流値パターンに応じた制御パターンに基づいて第1駆動部及び第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力することで、第1電流値、第2電流値、及び第3電流値を互いに等しくすることができる。
【0012】
ところで、第1アンテナ及び第2アンテナが、基板を収容する真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、各アンテナの同じ側の端部を電気的に接続して直列接続させる構成において、各リアクタンス素子のリアクタンスを変更した場合、第1電流値や第3電流値の変動に比べて、第2電流値の変動は小さい。これは、第1アンテナ及び第2アンテナの間を流れる電流が、各アンテナに流れる電流よりもプラズマの影響を受け難いからであると考えられる。
そこで、前記制御装置が、前記第1電流値及び前記第2電流値が互いに異なる場合に、前記第1電流値を前記第2電流値に近づけるように前記第1駆動部を制御するための制御信号を出力し、前記第2電流値及び前記第3電流値が互いに異なる場合に、前記第3電流値を前記第2電流値に近づけるように前記第2駆動部を制御するための制御信号を出力するように構成されていることが好ましい。
このような構成であれば、第1電流値や第3電流値を比較的安定している第2電流値に近づけるようにしているので、第1電流値、第2電流値、及び第3電流値を比較的短時間で互いに等しくすることができる。
【0013】
前記第1リアクタンス可変素子としては、前記第1アンテナに電気的に接続される第1の固定電極と、前記第2アンテナに電気的に接続される第2の固定電極と、前記第1の固定電極との間で第1のコンデンサを形成するとともに、前記第2の固定電極との間で第2のコンデンサを形成する前記可動要素である可動電極とを有し、前記可動電極が所定の回転軸周りに回転することによって、その静電容量を変更できるように構成された可変コンデンサを挙げることができる。
このような構成において、例えば静電容量がゼロ、すなわち可動電極と各固定電極とが平面視のおいて重なり合わない状態とした場合に、可動電極と各固定電極との間に隙間が生じると、その隙間にアーク放電が生じることがあり、容量素子の破損を招く恐れがある。
そこで、上記構成において、前記制御装置が、前記可動電極の回転角度が所定の閾値となった場合に、前記可動電極の回転を停止させる制御停止部を備えることが好ましい。
このような構成であれば、アーク放電が生じ得る回転角度に到る前に可動電極の回転を停止させることができ、アーク放電の発生を防ぐことができる。
【0014】
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナが、基板を収容する真空容器の対向する側壁それぞれを貫通するとともに、前記各アンテナの同じ側の端部の間に介在する接続導体によって直列接続されており、前記各アンテナは、内部に冷却液が流れる流路を有しており、前記接続導体が、前記第1リアクタンス可変素子である第1可変コンデンサと、前記第1可変コンデンサと前記第1アンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部から流出する前記冷却液を前記第1可変コンデンサに導く第1の接続部と、前記第1可変コンデンサと前記第2アンテナの端部とを接続するとともに、その端部に形成された開口部に前記第1可変コンデンサを通過した前記冷却液を導く第2の接続部とを有し、前記冷却液が前記第1可変コンデンサの誘電体であることが好ましい。
このような構成であれば、高周波電流に対するリアクタンスは、簡単に言えば、アンテナの誘導性リアクタンスから第1可変コンデンサの容量性リアクタンスを差し引いたものとなるので、一対のアンテナを直列接続しつつも、アンテナのインピーダンスを低減させることができる。その結果、アンテナを長くする場合でもそのインピーダンスの増大を抑えることができ、アンテナに高周波電流が流れやすくなり、プラズマを効率良く発生させることができる。しかも、アンテナの冷却液を第1可変コンデンサの誘電体として用いているので、第1可変コンデンサを冷却しつつその静電容量の不意の変動を抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係るプラズマ制御システム用プログラムは、高周波電源と、一端部が前記高周波電源に接続された第1アンテナと、一端部が前記第1アンテナの他端部に接続された第2アンテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間に設けられ、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第1リアクタンス可変素子と、前記第1リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第1駆動部と、前記第2アンテナの他端部に接続され、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第2リアクタンス可変素子と、前記第2リアクタンス可変素子の前記可動要素を動かす第2駆動部と、前記第1アンテナの一端部に流れる電流を検出する第1電流検出部と、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの間を流れる電流を検出する第2電流検出部と、前記第2アンテナの他端部に流れる電流を検出する第3電流検出部と、を具備するプラズマ制御システムに用いられるプログラムであって、前記第1電流検出部により得られる第1電流値、前記第2電流検出部により得られる第2電流値、及び前記第3電流検出部により得られる第3電流値が互いに等しくなるように、前記第1駆動部及び前記第2駆動部それぞれを制御するための制御信号を出力する機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラムである。
このようなプラズマ制御システム用プログラムによれば、上述したプラズマ制御システムと同様の作用効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、長尺状のアンテナを用いて基板の大型化に対応することができるようにしつつ、アンテナの長手方向に沿って均一なプラズマを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態のプラズマ制御システムの構成を示す模式図である。
図2】同実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
図3】同実施形態のプラズマ処理装置の構成を模式的に示す横断面図である。
図4】同実施形態の接続導体を模式的に示す横断面図である。
図5】同実施形態の接続導体を模式的に示す縦断面図である。
図6】同実施形態の可変コンデンサを導入ポート側から見た側面図である。
図7】同実施形態の固定金属板及び可動金属板が対向しない状態を示す模式図である。
図8】同実施形態の固定金属板及び可動金属板が対向した状態を示す模式図である。
図9】同実施形態の制御装置の機能を示す機能ブロック図である。
図10】同実施形態の制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】第2実施形態の制御装置の機能を示す機能ブロック図である。
図12】第2実施形態の基準電流値パターンを説明するための図である。
図13】その他の実施形態におけるプラズマ制御システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るプラズマ制御システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
<システム構成>
本実施形態のプラズマ制御システム200は、図1に示すように、誘導結合型のプラズマを用いて基板に処理を施すプラズマ処理装置100と、そのプラズマを制御するための制御装置Xを少なくとも具備している。
【0020】
まず、プラズマ処理装置100について説明する。
プラズマ処理装置100は、図2に示すように、基板Wに、例えばプラズマCVD法による膜形成、エッチング、アッシング、スパッタリング等の処理を施すものである。基板Wは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。
なお、このプラズマ処理装置100は、プラズマCVD法によって膜形成を行う場合はプラズマCVD装置、エッチングを行う場合はプラズマエッチング装置、アッシングを行う場合はプラズマアッシング装置、スパッタリングを行う場合はプラズマスパッタリング装置とも呼ばれる。
【0021】
具体的にプラズマ処理装置100は、真空排気され且つガスGが導入される真空容器2と、真空容器2内に配置された長尺状のアンテナ3と、真空容器2内に誘導結合型のプラズマPを生成するための高周波をアンテナ3に印加する高周波電源4とを備えている。なお、アンテナ3に高周波電源4から高周波を印加することによりアンテナ3には高周波電流IRが流れて、真空容器2内に誘導電界が発生して誘導結合型のプラズマPが生成される。
【0022】
真空容器2は、例えば金属製の容器であり、その内部は真空排気装置5によって真空排気される。真空容器2はこの例では電気的に接地されている。
【0023】
真空容器2内に、例えば流量調整器(図示省略)及び真空容器2の側壁に形成されたガス導入口21を経由して、ガスGが導入される。ガスGは、基板Wに施す処理内容に応じたものにすれば良い。
【0024】
また、真空容器2内には、基板Wを保持する基板ホルダ6が設けられている。この例のように、基板ホルダ6にバイアス電源7からバイアス電圧を印加するようにしても良い。バイアス電圧は、例えば負の直流電圧、負のパルス電圧等であるが、これに限られるものではない。このようなバイアス電圧によって、例えば、プラズマP中の正イオンが基板Wに入射する時のエネルギーを制御して、基板Wの表面に形成される膜の結晶化度の制御等を行うことができる。基板ホルダ6内に、基板Wを加熱するヒータ61を設けておいても良い。
【0025】
アンテナ3は、ここでは直線状のものであり、真空容器2内における基板Wの上方に、基板Wの表面に沿うように(例えば、基板Wの表面と実質的に平行に)複数配置されている。
【0026】
アンテナ3の両端部付近は、真空容器2の相対向する側壁をそれぞれ貫通している。アンテナ3の両端部を真空容器2外へ貫通させる部分には、絶縁部材8がそれぞれ設けられている。この各絶縁部材8を、アンテナ3の両端部が貫通しており、その貫通部は例えばパッキン91によって真空シールされている。各絶縁部材8と真空容器2との間も、例えばパッキン92によって真空シールされている。なお、絶縁部材8の材質は、例えば、アルミナ等のセラミックス、石英、又はポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック等である。
【0027】
さらに、アンテナ3において、真空容器2内に位置する部分は、直管状の絶縁カバー10により覆われている。この絶縁カバー10の両端部は絶縁部材8によって支持されている。なお、絶縁カバー10の材質は、例えば、石英、アルミナ、フッ素樹脂、窒化シリコン、炭化シリコン、シリコン等である。
【0028】
そして、複数のアンテナ3は、内部に冷却液CLが流通する流路3Sを有する中空構造のものである。本実施形態では、直管状をなす金属パイプである。金属パイプの材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等である。
【0029】
なお、冷却液CLは、真空容器2の外部に設けられた循環流路11によりアンテナ3を流通するものであり、前記循環流路11には、冷却液CLを一定温度に調整するための熱交換器などの温調機構111と、循環流路11において冷却液CLを循環させるためのポンプなどの循環機構112とが設けられている。冷却液CLとしては、電気絶縁の観点から、高抵抗の水が好ましく、例えば純水またはそれに近い水が好ましい。その他、例えばフッ素系不活性液体などの水以外の液冷媒を用いても良い。
【0030】
また、複数のアンテナ3は、図3に示すように、接続導体12によって接続されて1本のアンテナ構造となるように構成されている。つまり、互いに隣接するアンテナ3における真空容器2の外部に延出した端部同士を接続導体12によって電気的に接続している。より具体的に説明すると、本実施形態では2本のアンテナ3が接続導体12により接続されており、一方のアンテナ3(以下、第1アンテナ3Aともいう)の端部と他方のアンテナ3(以下、第2アンテナ3Bともいう)の端部とが電気的に接続されている。
【0031】
ここで、接続導体12により接続される第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bの端部は同じ側壁側に位置する端部である。これにより、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bに互いに逆向きの高周波電流IRが流れる。
【0032】
そして、接続導体12は内部に流路を有しており、その流路に冷却液CLが流れように構成されている。具体的には、接続導体12の一端部は、第1アンテナ3Aの流路と連通しており、接続導体12の他端部は、第2アンテナ3Bの流路と連通している。これにより、互いに隣接するアンテナ3A、3Bにおいて第1アンテナ3Aを流れた冷却液CLが接続導体12の流路を介して第2アンテナ3Bに流れる。これにより、共通の冷却液CLにより複数のアンテナ3を冷却することができる。また、1本の流路によって複数のアンテナ3を冷却することができるので、循環流路11の構成を簡略化することができる。
【0033】
各アンテナ3A、3Bのうち接続導体12で接続されていない一方の端部(ここでは、第1アンテナ3Aの一端部)が給電側端部3a1となり、当該給電側端部3a1には、整合回路41を介して高周波電源4が接続される。また、他方の端部(ここでは、第2アンテナ3Bの他端部)である終端部3b2は可変コンデンサVC2を介して接地されている。なお、可変コンデンサVC2としては種々の構成のものを用いて良いが、一例としては、固定電極(不図示)と、この固定電極との間でコンデンサを形成する可動要素たる可動電極(不図示)とを備え、可動電極が所定の回転軸周りに回転することによって、その静電容量が変更できるように構成されたものである。
【0034】
上記構成によって、高周波電源4から、整合回路41を介して、アンテナ3に高周波電流IRを流すことができる。高周波の周波数は、例えば、一般的な13.56MHzであるが、これに限られるものではない。
【0035】
<接続導体12の構成>
次に接続導体12について、図4図8を参照して詳細に説明する。なお、図4及び図5などにおいて一部のシール部材などは記載を省略している。
【0036】
接続導体12は、図4及び図5に示すように、各アンテナ3A、3Bに電気的に接続される可変コンデンサVC1と、当該可変コンデンサVC1と第1アンテナ3Aの他端部3a2とを接続する第1の接続部14と、可変コンデンサVC1と第2アンテナ3Bの一端部3b1とを接続する第2の接続部15とを有している。なお、この可変コンデンサVC1と、図1及び図2に示す第2アンテナ3Bの終端部3b2に接続された可変コンデンサVC2とを区別すべく、以下、前者を第1可変コンデンサVC1と呼ぶ、後者を第2可変コンデンサVC2と呼ぶ。
【0037】
第1の接続部14は、第1アンテナ3Aの他端部3a2を取り囲むことによって、該アンテナ3Aに電気的に接触するとともに、該アンテナ3Aの他端部3a2に形成された開口部3Hから冷却液CLを第1可変コンデンサVC1に導くものである。
【0038】
第2の接続部15は、第2アンテナ3Bの一端部3b1を取り囲むことによって、該アンテナ3Bに電気的に接触するとともに、第1可変コンデンサVC1を通過した冷却液CLを該アンテナ3Bの一端部3b1に形成された開口部3Hに導くものである。
【0039】
これらの接続部14、15の材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等である。
【0040】
本実施形態の各接続部14、15は、アンテナ3の端部において、開口部3Hよりも真空容器2側でOリングなどのシール部材Saを介して液密に装着されるものであり、開口部3Hよりも外側は拘束しないように構成されている(図4参照)。これにより、接続部14、15に対するアンテナ3の若干の傾きを許容する構成としている。
【0041】
第1可変コンデンサVC1は、第1アンテナ3Aに電気的に接続される第1の固定電極16と、第2アンテナ3Bに電気的に接続される第2の固定電極17と、第1の固定電極16との間で第1のコンデンサを形成するとともに、第2の固定電極17との間で第2のコンデンサを形成する可動要素たる可動電極18とを有している。
【0042】
本実施形態の第1可変コンデンサVC1は、可動電極18が所定の回転軸C周りに回転することによって、その静電容量を変更できるように構成されている。そして、第1可変コンデンサVC1は、第1の固定電極16、第2の固定電極17及び可動電極18を収容する絶縁性を有する収容容器19を備えている。
【0043】
収容容器19は、第1アンテナ3Aからの冷却液CLを導入する導入ポートP1と、冷却液Clを第2アンテナ3Bに導出する導出ポートP2とを有している。導入ポートP1は、収容容器134の一方の側壁(図4では左側壁)に形成され、導出ポートP2は収容容器19の他方の側壁(図4では右側壁)に形成されており、導入ポートP1及び導出ポートP2は互いに対向した位置に設けられている。なお、本実施形態の収容容器19は、内部に中空部を有する概略直方体形状をなすものであるが、その他の形状であってもよい。
【0044】
第1の固定電極16及び第2の固定電極17は、可動電極18の回転軸C周りに互いに異なる位置に設けられている。本実施形態では、第1の固定電極16は、収容容器19の導入ポートP1から収容容器19の内部に挿入して設けられている。また、第2の固定電極17は、収容容器19の導出ポートP2から収容容器19の内部に挿入して設けられている。これにより、第1の固定電極16及び第2の固定電極17は、回転軸Cに関して対称となる位置に設けられている。
【0045】
第1の固定電極16は、図5及び図6に示すように、互いに対向するように設けられた複数の第1の固定金属板161を有している。また、第2の固定電極17は、互いに対向するように設けられた複数の第2の固定金属板171を有している。これら固定金属板161、171はそれぞれ、回転軸Cに沿って互いに略等間隔に設けられている。
【0046】
そして、複数の第1の固定金属板161は、互いに同一形状をなすものであり、第1のフランジ部材162に支持されている。第1のフランジ部材162は、収容容器19の導入ポートP1が形成された左側壁に固定される。ここで、第1のフランジ部材162には、導入ポートP1に連通する貫通孔162Hが形成されている。また、複数の第2の固定金属板171は、互いに同一形状をなすものであり、第2のフランジ部材172に支持されている。第2のフランジ部材172は、収容容器19の導出ポートP2が形成された右側壁に固定される。ここで、第2のフランジ部材172には、導出ポートP2に連通する貫通孔172Hが形成されている。これら複数の第1の固定金属板161及び複数の第2の固定金属板171は、収容容器19に固定された状態で、回転軸Cに関して対称となる位置に設けられる。
【0047】
また、第1の固定金属板161及び第2の固定金属板171は平板状をなすものであり、図7に示すように、平面視において、回転軸Cに向かうに従って幅が縮小する形状をなしている。そして、各固定金属板161、171において、幅が縮小する端辺161a、171aは回転軸Cの径方向に沿って形成されている。なお、互いに対向する端辺161a、171aのなす角度は、90度である。また、各固定金属板161、171の回転軸C側の先端辺161b、171bは円弧状をなしている。
【0048】
可動電極18は、図4及び図5に示すように、収容容器19の側壁(図4では前側壁)に回転軸C周りに回転可能に軸支される回転軸体181と、当該回転軸体181に支持されて第1の固定電極16に対向する第1の可動金属板182と、回転軸体181に支持されて第2の固定電極17に対向する第2の可動金属板183とを有している。
【0049】
回転軸体181は、回転軸Cに沿って延びる直線状をなすものである。この回転軸体181は、その一端部が収容容器19の前側壁から外部に延出するように構成されている。そして、この収容容器19の前側壁においてOリングなどのシール部材Sbにより回転可能に支持される。ここでは、前側壁において2つのOリングにより2点支持されている。また、回転軸体181の他端部は、収容容器19の内面に設けられた位置決め凹部191に回転可能に接触している。
【0050】
また、回転軸体181は、第1の可動金属板182及び第2の可動金属板183を支持する部分181xが金属製などの導電材料から形成され、収容容器19から外部に延出した部分181yが樹脂製などの絶縁材料から形成されている。
【0051】
第1の可動金属板182は、第1の固定金属板161に対応して複数設けられている。なお、第1の可動金属板182はそれぞれ同一形状をなすものである。また、第2の可動金属板183は、第2の固定金属板171に対応して複数設けられている。なお、第2の可動金属板183はそれぞれ同一形状をなすものである。これら可動金属板182、183はそれぞれ、回転軸Cに沿って互いに略等間隔に設けられている。また、本実施形態では、各可動金属板182、183が各固定金属板161、171の間に挟まれる構成としてある。図4では、固定金属板161、171を6枚とし、可動金属板182、183を5枚としているが、これに限られない。なお、可動金属板182、183と固定金属板161、171とのギャップは例えば1mmである。
【0052】
第1の可動金属板182及び第2の可動金属板183は、図5に示すように、回転軸Cに関して対称となる位置に設けられるとともに、互いに同一形状をなすものである。具体的に各可動金属板182、183は、図7に示すように、平面視において、回転軸Cから径方向外側に行くに従って拡開する扇形状をなすものである。本実施形態では、中心角が90度の扇形状をなすものである。
【0053】
このように構成された第1可変コンデンサVC1において可動電極18を回転させることによって、図8に示すように、第1の固定金属板161及び第1の可動金属板182の対向面積(第1の対向面積A1)が変化し、第2の固定金属板171及び第2の可動金属板183の対向面積(第2の対向面積A2)が変化する。本実施形態では、第1の対向面積A1と第2の対向面積A2とは同じように変化する。また、各固定金属板161、171の回転軸C側の先端辺161b、171bが円弧状であり、可動電極18を回転させることによって、第1の対向面積A1と第2の対向面積A2とは、可動電極18の回転角度θに比例して変化する。
【0054】
また、本実施形態では、図7に示すように、各固定金属板161、171及び各可動金属板182、183が対向しない状態では、平面視において、可動金属板182、183の拡開する端辺182a、183aと、固定金属板161、171の縮小する端辺161a、171aとの間に隙間Zを設けている。これにより、可動電極18を軸方向に取り外し可能にしている。本実施形態では、可動電極18を支持している前側壁を軸方向に沿って取り外すことによって可動電極18が取り外される。
【0055】
上記の構成において、収容容器19の導入ポートP1から冷却液CLが流入すると、収容容器19の内部が冷却液CLにより満たされる。このとき、第1の固定金属板161及び第1の可動金属板182の間が冷却液CLで満たされるとともに、第2の固定金属板171及び第2の可動金属板183の間が冷却液CLで満たされる。これにより、冷却液CLが第1のコンデンサの誘電体及び第2のコンデンサの誘電体となる。本実施形態では、第1のコンデンサの静電容量と第2のコンデンサの静電容量とは同じである。また、このように構成される第1のコンデンサ及び第2のコンデンサは直列に接続されており、第1可変コンデンサVC1の静電容量は、第1のコンデンサ(又は第2のコンデンサ)の静電容量の半分となる。
【0056】
ここで、本実施形態では、第1の固定電極16及び第2の固定電極17と可動電極18との対向方向が、導入ポートP1及び導出ポートP2の対向方向と直交するように構成されている。つまり、固定金属板161、171及び可動金属板182、183が導入ポートP1及び導出ポートP2の対向方向に沿って設けられている。この構成により、収容容器19の内部を冷却液CLが流れやすくなる。その結果、収容容器19内の冷却液CLの置換が容易となり、第1可変コンデンサVC1の冷却を効率良く行うことができる。また、導入ポートP1から流入した冷却液CLは固定金属板161、171及び可動金属板182、183の間に流入しやすく、固定金属板161、171及び可動金属板182、183の間から流出しやすい。その結果、固定金属板161、171及び可動金属板182、183の間の冷却液の置換が容易となり、誘電体となる冷却液CLの温度変化が抑えられる。これにより、第1可変コンデンサVC1の静電容量を一定に維持しやすくなる。さらに、固定金属板161、171及び可動金属板182、183の間に気泡が滞留しにくくなる。
【0057】
然して、本実施形態のプラズマ制御システム200は、図1に示すように、第1アンテナ3Aの一端部3a1(すなわち、上述した給電側端部3a1)に流れる電流を検出する第1電流検出部S1と、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bの間を流れる電流を検出する第2電流検出部S2と、第2アンテナ3Bの他端部3b2(すなわち、上述した終端部3b2)に流れる電流を検出する第3電流検出部S3と、第1可変コンデンサVC1及び第2可変コンデンサVC2を制御する制御装置Xとをさらに具備している。なお、説明の便宜上、図1においては、真空容器2等のアンテナ3の周辺構造の記載を省略している。
【0058】
第1電流検出部S1は、第1アンテナ3Aの一端部3a1又はその近傍に取り付けられた例えばカレントトランス等のカレントモニタである。この第1電流検出部S1により検出された検出信号は、直流変換回路101により交流から直流に変換され、AD変換器102によりアナログ信号からデジタル信号に変換されて、制御装置Xに出力される。
【0059】
第2電流検出部S2は、第1可変コンデンサVC1及び第2アンテナ3Bの一端部3b1の間に設けられた例えばカレントトランス等のカレントモニタである。この第2電流検出部S2により検出された検出信号は、直流変換回路101により交流から直流に変換され、AD変換器102によりアナログ信号からデジタル信号に変換されて、制御装置Xに出力される。なお、第2電流検出部S2は、第1アンテナ3Aの他端部3a2及び第1可変コンデンサVC1の間に設けられ、第1アンテナ3Aの他端部3a2に流れる電流の大きさに応じた検出信号を出力するものであっても良い。
【0060】
第3電流検出部S3は、第2アンテナ3Bの他端部3b2又はその近傍に取り付けられた例えばカレントトランス等のカレントモニタである。この第3電流検出部S3により検出された検出信号は、直流変換回路101により交流から直流に変換され、AD変換器102によりアナログ信号からデジタル信号に変換されて、制御装置Xに出力される。
【0061】
制御装置Xは、第1可変コンデンサVC1の静電容量及び第2可変コンデンサVC2の静電容量を制御するものである。ここで、図1に示すように、第1可変コンデンサVC1の可動電極18は第1駆動部M1たるモータにより駆動し、第2可変コンデンサVC2の図示しない可動要素は第2駆動部M2たるモータにより駆動する。各モータM1、M2は、モータ駆動回路103からの駆動信号によって回転するものであり、このモータ駆動回路103が制御装置Xにより制御される。
【0062】
この制御装置Xは、物理的にはCPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えたPLC等のコンピュータであり、前記メモリに記憶されたプログラムが実行され、各機器が協業することで、図9に示すように、電流値取得部X1、第1比較部X2、第2比較部X3、及び制御部X4としての機能を発揮するように構成されている。
以下、各部について説明する。
【0063】
電流値取得部X1は、各電流検出部S1~S3により検出された電流の大きさを示す信号を取得するものである。
具体的にこの電流取得部X1は、第1電流検出部S1により検出された第1電流値I1を示すデジタル信号、第2電流検出部S2により検出された第2電流値I2を示すデジタル信号、及び第3電流検出部S3により検出された第3電流値I3を示すデジタル信号を取得する。そして、第1電流値I1及び第2電流値I2を第1比較部X2に出力し、第2電流値I2及び第3電流値I3を第2比較部X3に出力する。
【0064】
第1比較部X2は、第1電流値I1及び第2電流値I2を比較するものである。具体的には、第2電流値I2から第1電流値I1を差し引いた第1電流差ΔI1が、0より大きいか否かを判断するように構成されている。
【0065】
第2比較部X3は、第2電流値I2及び第3電流値I3を比較するものである。具体的には、第2電流値I2から第3電流値I3を差し引いた第2電流差ΔI2が、0より大きいか否かを判断するように構成されている。
【0066】
制御部X4は、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3に基づいて、第1可変コンデンサVC1の静電容量及び第2可変コンデンサVC2の静電容量をフィードバック制御するものである。具体的には、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3が互いに等しくなるように、モータ駆動回路103に制御信号を出力する。
以下、より詳細な制御内容について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0067】
まず第1比較部X2が、第2電流値I2が第1電流値I1よりも大きいか否か、すなわち第1電流差ΔI1が0よりも大きいか否かを判断する(S1)。
【0068】
S1において、第1電流差ΔI1が0より大きいと判断した場合、制御部X4は、第1可変コンデンサVC1の静電容量が大きくなるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力する(S2)。そして、この制御信号に基づいた駆動信号がモータ駆動回路103から第1駆動部M1に出力される。
一方、S1において、第1電流差ΔI1が0より大きくはないと判断した場合、すなわち第1電流差ΔI1が0以下である場合、制御部X4は、第1可変コンデンサVC1の静電容量が小さくなるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力する。(S3)。そして、この制御信号に基づいた駆動信号がモータ駆動回路103から第1駆動部M1に出力される。
S2、S3において、第1可変コンデンサVC1の静電容量を変更した場合、第2電流値I2の変化は比較的小さく、第1電流値I1が第2電流値I2に近づくように比較的大きく増減する。これは、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bの間を流れる電流が、第1アンテナ3Aに流れる電流よりもプラズマの影響を受け難いからであると考えられる。
【0069】
次に第2比較部X3が、第2電流値I2が第3電流値I1よりも大きいか否か、すなわち第2電流差ΔI2が0よりも大きいか否かを判断する(S4)。
【0070】
S4において、第2電流差ΔI2が0より大きいと判断した場合、制御部X4は、第2可変コンデンサVC2の静電容量が小さくなるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力する(S5)。そして、この制御信号に基づいた駆動信号がモータ駆動回路103から第2駆動部M2に出力される。
一方、S4において、第2電流差ΔI2が0より大きくはないと判断した場合、すなわち第2電流差ΔI2が0以下である場合、制御部X4は、第2可変コンデンサVC2の静電容量が大きくなるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力する(S6)。そして、この制御信号に基づいた駆動信号がモータ駆動回路103から第2駆動部M2に出力される。
S5、S6において、第2可変コンデンサVC2の静電容量を変更した場合、第2電流値I2の変化は比較的小さく、第3電流値I3が第2電流値I2に近づくように比較的大きく増減する。これは、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bの間を流れる電流が、第2アンテナ3Bに流れる電流よりもプラズマの影響を受け難いからであると考えられる。
【0071】
以下、制御部X4は、S1~S6を繰り返し、第1電流値I1及び第2電流値I2が互いに等しく、且つ、第2電流値I2及び第3電流値I3が互いに等しくなるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力し続ける。
【0072】
さらに、本実施形態の制御装置Xは、図9に示すように、制御停止部X5としての機能を備えている。
この制御停止部X5は、少なくとも第1可変コンデンサVC1の可動電極18の回転角度が所定の閾値となった場合に、可動電極18の回転を停止させるものである。
【0073】
より具体的に説明すると、可動電極18には例えばエンコーダ等の図示しない角度検出部が設けられており、この角度検出部から制御停止部X5に可動電極18の回転角度を示す検出角度信号が出力される。なお、ここでの回転角度は、例えば図7及び図8に示すように、平面視において各可動金属板182、183が各固定金属板161、171と重なり合わない状態、すなわち静電容量がゼロの状態を0度とした場合の回転角度θである。
【0074】
上述した閾値は、平面視において各可動金属板182、183の一部が第1の固定金属板161や第2の固定金属板171の一部と重なり合っている状態の角度に設定されている。
【0075】
具体的に閾値は、各可動金属板182、183を各固定金属板161、171と重なり合わない0度から回転させていき、各可動金属板182、183が第1の固定金属板161や第2の固定金属板171と重なり始めてから90度に到るまでの回転角度であり、例えば10度である。なお、ここでは可動金属板182、183が0度と90度との間で正逆回転する構成を想定しており、可動金属板182、183が90度を超えて回転する構成においては、閾値として上限値及び下限値を設定しても良い。
【0076】
そして、可動電極18の回転角度が閾値よりも大きい場合は、上述した制御部X4による制御が行われ、可動電極18の回転角度を小さくしていき閾値に達した場合に、制御停止部X5が、制御部X4による判断に関わらず、モータ駆動回路103に停止信号を出力して可動電極18の回転を強制的に停止させる。
【0077】
なお、制御停止部X5は、第1可変コンデンサVC1と同様に、第2可変コンデンサVC2の図示しない可動電極の回転角度が所定の閾値となった場合に、当該可動電極の回転を停止するように構成されていても良い。
【0078】
<本実施形態の効果>
このように、本実施形態のプラズマ制御システム200によれば、制御部X4が、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3が互いに等しくなるように、第1駆動部M1及び第2駆動部M2それぞれを制御するための制御信号をモータ駆動回路103に出力するので、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bに流れる高周波電流IRを長手方向に沿って可及的に均一にすることができる。
その結果、長尺状のアンテナ3を用いて基板Wの大型化に対応できるようにしつつ、アンテナ3の長手方向に沿って均一なプラズマPを発生させることが可能となる。
なお、ここでいう「第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3が互いに等しくなる」とは、上述した第1電流差ΔI1及び第2電流差ΔI2が、それぞれ実質的にゼロとなれば良く、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bに流れる電流を長手方向に沿って可及的に均一にできるのであれば、第1電流差ΔI1や第2電流差ΔI2がゼロよりも若干大きい又は若干小さくても構わない。
【0079】
また、可動電極18の回転角度が閾値に達した場合に、制御停止部X5が可動電極18の回転を停止させるので、平面視において各可動金属板182、183と各固定金属板161、171との間に隙間Zが生じる前に可動電極18の回転が停止する。これにより、プラズマPの発生中にアーク放電が発生し得る上記の隙間Zが生じず、アーク放電による第1可変コンデンサVC1の破損を防ぐことができる。
【0080】
さらに、アンテナ導体3を冷却液CLにより冷却することができるので、プラズマPを安定して発生させることができる。また、第1可変コンデンサVC1の誘電体をアンテナ導体3を流れる冷却液CLにより構成しているので、第1可変コンデンサVC1を冷却しつつその静電容量の不意の変動を抑えることができる。
【0081】
さらに加えて、第1の固定電極16及び第2の固定電極17が回転軸C周りにおいて互いに異なる位置に設けられているので、回転軸Cの軸方向における寸法をコンパクトにすることができる。
【0082】
そのうえ、各固定電極16、17が複数の固定金属板161、171を有し、可動電極が複数の可動金属板182、183を有するので、固定金属板161、171及び可動金属板182、183の面積を大きくすることなく、電極間の対向面積の最大値を大きくすることができる。
【0083】
<第2実施形態>
第2実施形態におけるプラズマ制御システム200は、制御装置Xの構成が前記実施形態とは異なる。
【0084】
具体的に第2実施形態における制御装置Xは、図11に示すように、電流値取得部X1、パターンデータ記憶部X6、実電流値パターン判断部X7、制御部X4、及び制御停止部X5としての機能を備えている。
以下、各部について説明するが、電流値取得部X1及び制御停止部X5は、前記実施形態と同様の機能であるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
パターンデータ記憶部X6は、制御装置Xを構成するメモリの所定領域に設定されており、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3の大小関係を表す複数種類の基準電流値パターン、及び、それぞれの基準電流値パターンに対応して予め定められた第1駆動部M1及び第2駆動部M2を制御するための制御パターンを結び付けたパターンデータを記憶している。
【0086】
複数種類の基準電流値パターンは、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3の大小関係として想定し得る互いに異なるパターンであり、ここでは図12に示す4つの基準電流値パターンであり、具体的には以下である。
【0087】
[第1基準電流値パターン]
第1電流値I1<第2電流値I2<第3電流値I3
[第2基準電流値パターン]
第1電流値I1>第2電流値I2<第3電流値I3
[第3基準電流値パターン]
第1電流値I1>第2電流値I2>第3電流値I3
[第4基準電流値パターン]
第1電流値I1<第2電流値I2>第3電流値I3
なお、第1電流値I1=第2電流値I2の場合や第2電流値I2=第3電流値I3の場合などを考慮して、基準電流値パターンをさらに多くの種類に場合分けしても良い。
【0088】
制御パターンは、電流値I1、I2、I3を互いに等しくするために必要な第1可変コンデンサVC1及び第2可変コンデンサVC2のリアクタンスの増減方向(言い換えれば、静電容量の増減方向)を、各基準電流値パターンに対して予め定めたものである。具体的に、第1~第4基準電流値パターンに対する第1~第4制御パターンは以下である。
【0089】
[第1制御パターン]
第1可変コンデンサVC1のリアクタンスを小さくし、第2可変コンデンサVC2のリアクタンスを小さくする。換言すれば、第1可変コンデンサVC1の静電容量を小さくし、第2可変コンデンサVC2の静電容量を小さくする。
[第2制御パターン]
第1可変コンデンサVC1のリアクタンスを大きくし、第2可変コンデンサVC2のリアクタンスを小さくする。換言すれば、第1可変コンデンサVC1の静電容量を大きくし、第2可変コンデンサVC2の静電容量を小さくする。
[第3制御パターン]
第1可変コンデンサVC1のリアクタンスを大きくし、第2可変コンデンサVC2のリアクタンスを大きくする。換言すれば、第1可変コンデンサVC1の静電容量を大きくし、第2可変コンデンサVC2の静電容量を大きくする。
[第4制御パターン]
第1可変コンデンサVC1のリアクタンスを小さくし、第2可変コンデンサVC2のリアクタンスを大きくする。換言すれば、第1可変コンデンサVC1の静電容量を小さくし、第2可変コンデンサVC2の静電容量を大きくする。
なお、各制御パターンにおいて、第1可変コンデンサVC1の静電容量を変更した後に、第2可変コンデンサVC2の静電容量を変更しても良いし、逆に、第2可変コンデンサVC2の静電容量を変更した後に、第1可変コンデンサVC1の静電容量を変更しても良い。
【0090】
実電流値パターン判断部X7は、電流値取得部X1が出力した第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3に基づいて、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3の実際の大小関係である実電流値パターンを判断するものである。
具体的に実電流値パターン判断部X7は、第1電流値I1及び第2電流値I2の大小関係を判断するとともに、第2電流値I2及び第3電流値I3の大小関係を判断する。
【0091】
制御部X4は、実電流値パターンに対応する基準電流値パターンを判断するとともに、この基準電流値パターンに結び付いた制御パターンに基づいて、モータ駆動回路103に制御信号を出力する。そして、この制御信号に基づいて、モータ駆動回路103が第1駆動部M1及び第2駆動部M2それぞれに駆動信号を出力する。
具体的には、まず上述した複数種類の基準電流値パターンのうち、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3の大小関係と合致する基準電流値パターンを選択する。
そして、第1可変コンデンサ及び第2可変コンデンサの静電容量の増減方向が、選択した基準電流値パターンに結び付いた制御パターンの示す増減方向となるように、モータ駆動回路103に制御信号を出力する。より詳細には、第1電流値I1及び第2電流値I2が互いに異なる場合は、第1電流値I1を第2電流値I2に近づけるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力し、第2電流値I2及び第3電流値I3が互いに異なる場合は、第3電流値I3を第2電流値I2に近づけるようにモータ駆動回路103に制御信号を出力する。
【0092】
上述した構成によれば、実電流値パターンの大小関係に合致した基準電流値パターンを判断し、この基準電流値パターンに結び付いた制御パターンに基づいてモータ駆動回路103に制御信号を出力するので、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3を互いに等しくすることができる。
【0093】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0094】
例えば、前記実施形態ではプラズマ制御システム200が、アンテナ3を2本備えたものであったが、図13に示すように、直列接続された複数本(例えば2本)のアンテナ3が複数組並列に設けられていても良い。なお、直列接続されるアンテナ3の本数は3本以上であっても良い。
さらに、図13に示すプラズマ制御システム200は、第1アンテナ3Aの給電側端部3a1それぞれに接続された第3可変コンデンサVC3をさらに備えている。
【0095】
このような構成であれば、前記実施形態と同様に、第1電流値I1、第2電流値I2、及び第3電流値I3が等しくなるように、第1可変コンデンサVC1の静電容量及び第2可変コンデンサVC2の静電容量を制御することで、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bの長手方向に沿って均一なプラズマPを発生させることができる。
【0096】
さらに、各第1アンテナ3Aの給電側端部3a1に流れる第1電流値I1を第1電流検出部S1により検出しているので、複数の第1アンテナ3Aに対する高周波電流IRの分配比を把握することができる。従って、各第1電流値I1に基づき各第3可変コンデンサVC3の静電容量を変更することで、各第1のアンテナ3Aに対して供給される高周波電流IRの分配比を調整することができる。
【0097】
その結果、第1アンテナ3A及び第2アンテナ3Bに流れる高周波電流IRを長手方向に沿って均一化しつつ、並列に設けられた各第1アンテナ3Aに高周波電源4からの高周波電流IRを均等に分配することができ、空間的に均一なプラズマPを発生させることが可能となる。
【0098】
前記実施形態の第1可変コンデンサでは、可動電極18が回転軸C周りに回転するものであったが、可動電極が一方向にスライド移動するものであってもよい。ここで、可動電極がスライドする構成としては、可動電極が固定電極との対向方向に直交する方向にスライドして対向面積が変化するものであってもよいし、可動電極が固定電極との対向方向に沿ってスライドして対向距離が変化するものであってもよい。
この構成において、第1駆動部としては、前記実施形態のようにモータであっても良いし、シリンダ等であっても良い。
なお、第2可変コンデンサにおいても同様に、可動電極が一方向にスライド移動するものであっても良いし、この場合に第2駆動部としてシリンダ等を用いても良い。
【0099】
前記実施形態における第1可変コンデンサの代わりに、可変インピーダンス素子や可変抵抗素子など、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第1リアクタンス可変素子を用いても良い。
また、前記実施形態における第2可変コンデンサの代わりに、可変インピーダンス素子や可変抵抗素子など、可動要素が動くことによりリアクタンスが変わる第2リアクタンス可変素子を用いても良い。
【0100】
前記実施形態では、アンテナは直線状をなすものであったが、湾曲又は屈曲した形状であっても良い。この場合、金属パイプが湾曲又は屈曲した形状であっても良いし、絶縁パイプが湾曲又は屈曲した形状であっても良い。
【0101】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
200・・・プラズマ制御システム
100・・・プラズマ処理装置
W ・・・基板
P ・・・誘導結合型プラズマ
IR ・・・高周波電流
2 ・・・真空容器
3A ・・・第1アンテナ
3a1・・・一端部
3a2・・・他端部
3B ・・・第2アンテナ
3b1・・・一端部
3b2・・・他端部
VC1・・・第1可変コンデンサ
18 ・・・可動電極(可動要素)
VC2・・・第2可変コンデンサ
M1 ・・・第1駆動部
M2 ・・・第2駆動部
CL ・・・冷却液(液体の誘電体)
S1 ・・・第1検出部
S2 ・・・第2検出部
S3 ・・・第3検出部
X ・・・制御装置
X1 ・・・電流値取得部
X2 ・・・第1比較部
X3 ・・・第2比較部
X4 ・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13