(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】アンダーランプロテクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 19/56 20060101AFI20220421BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
B60R19/56
B62D25/08 D
B62D25/08 M
(21)【出願番号】P 2018046050
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 尚宜
(72)【発明者】
【氏名】山田 章司
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】徳武 将也
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-188072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076846(US,A1)
【文献】特開2013-203129(JP,A)
【文献】特開2016-199182(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139773(JP,U)
【文献】特開2010-195082(JP,A)
【文献】特開2002-126819(JP,A)
【文献】独国実用新案第202006016034(DE,U1)
【文献】特開2003-276536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/56
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向の一側の端部の下方で車幅方向に延び、内部に内部空間を区画する筒状のアンダーランプロテクタであって、
車幅方向に長尺に形成され、前記内部空間の少なくとも前記一側を区画する第1部材と、
車幅方向に長尺に形成され、前記第1部材の前後方向の他側で前記第1部材の延設方向に沿って延びて前記第1部材に対して固定され、前記内部空間の少なくとも前記他側を区画する第2部材と、
前記第1部材の前記延設方向の外端を前記延設方向の外側から覆う前記一側の第1領域と、前記第2部材の前記延設方向の外端を前記延設方向の外側から覆う前記他側の第2領域とを有し、前記第1部材及び前記第2部材に支持されるキャップと、を備え、
前記第2部材の前記延設方向の両端は、前記第1部材の前記延設方向の両端よりも前記延設方向の内側に配置され
、
前記キャップの前記第2領域の前記延設方向の外端は、前記キャップの前記第1領域の前記延設方向の外端よりも外側に配置される
ことを特徴とするアンダーランプロテクタ。
【請求項2】
車両の前後方向の一側の端部の下方で車幅方向に延び、内部に内部空間を区画する筒状のアンダーランプロテクタであって、
車幅方向に長尺に形成され、前記内部空間の少なくとも前記一側を区画する第1部材と、
車幅方向に長尺に形成され、前記第1部材の前後方向の他側で前記第1部材の延設方向に沿って延びて前記第1部材に対して固定され、前記内部空間の少なくとも前記他側を区画する第2部材と、を備え、
前記第2部材の前記延設方向の両端は、前記第1部材の前記延設方向の両端よりも前記延設方向の内側に配置され、
前記第1部材は、前後方向と交叉して前記内部空間の前記一側を区画する第1縦板部と、前記第1縦板部の上下の端縁から前記他側へ延びて上下方向と交叉した状態で相対向する上下1対の第1横板部とを有する断面略コ字状に形成され、
前記第2部材は、前後方向と交叉して前記内部空間の前記他側を区画する第2縦板部と、前記第2縦板部の上下の端縁から前記一側へ延びて上下方向と交叉した状態で相対向する上下1対の第2横板部とを有する断面略コ字状に形成され、前記上下の第2横板部の前記一側の端縁部を前記上下の第1横板部の前記他側の端縁部に対して上下方向に重ねた状態で前記第1部材に対して固定され、
前記第2縦板部及び前記上下の第2横板部の前記延設方向の両端は、前記第1縦板部の前記延設方向の両端よりも、前記延設方向の内側に配置され、
前記上下の第1横板部のうちの少なくとも一方の第1横板部の前記延設方向の外端部は、前記一方の第1横板部の前記他側の他端縁に対して傾斜した状態で前記他端縁から前記延設方向の外側の前記一側へ向かって前記一方の第1横板部の前記延設方向の外端まで延びる傾斜端縁を有し、
前記一方の第1横板部の前記傾斜端縁は、前記第2横板部の前記延設方向の外端縁よりも外側に設けられる
ことを特徴とするアンダーランプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダーランプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体前部側のプロテクタ片と、車体後部側のプロテクタ片とから構成される中空のプロテクタ本体を有するフロントアンダーランプロテクタが記載されている。前後のプロテクタ片には、車幅方向に延びる薄肉の鋼板が用いられている。前後のプロテクタ片は、車体の全幅寸法に対応した長さ寸法をもつ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)において前後のプロテクタ片に鋼板が用いられるように、一般的にアンダーランプロテクタは剛性の高い金属等の材質により形成されるので重量が重くなる。このため、アンダーランプロテクタの重量を抑制するために、アンダーランプロテクタの軽量化を図る場合がある。この場合、前後のプロテクタ片等の部材の板厚を薄肉にすることによって軽量化を図ると、アンダーランプロテクタの剛性が低下してしまうおそれがある。また、アンダーランプロテクタの車幅方向の長さを短くすることによって軽量化を図ると、車両の下方への潜り込みを防止可能な範囲が短くなってしまう。
【0005】
そこで、本開示は、剛性の低下を抑制し、所望の長さを確保しつつ軽量化をすることが可能なアンダーランプロテクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、車両の前後方向の一側の端部の下方で車幅方向に延び、内部に内部空間を区画する筒状のアンダーランプロテクタであって、第1部材と第2部材とを備える。第1部材は、車幅方向に長尺に形成され、内部空間の少なくとも上記一側を区画する。第2部材は、車幅方向に長尺に形成され、第1部材の前後方向の他側で第1部材の延設方向に沿って延びて第1部材に対して固定され、内部空間の少なくとも上記他側を区画する。第2部材の延設方向の両端は、第1部材の延設方向の両端よりも延設方向の内側に配置される。
【0007】
上記構造では、車両の前後方向の一側の端部の下方で車幅方向に延びるアンダーランプロテクタは、前後方向の一側の第1部材と前後方向の他側の第2部材とを備え、第2部材の延設方向の両端が、第1部材の延設方向の両端よりも延設方向の内側に配置される。例えば、車両の前側(一側)の端部の下方で車幅方向に延びるフロントアンダーランプロテクタでは、後側(他側)の第2部材の延設方向の両端が、前側の第1部材の延設方向の両端よりも延設方向の内側に配置される。すなわち、他の車両等との衝突時に他の車両が衝突しない側(他側)の第2部材の延設方向の長さ(以下、単に長さという。)が、他の車両が衝突する側(一側)の第1部材の長さよりも短い。このため、一側の第1部材の長さを、他の車両との衝突時に車両の下方への他の車両の潜り込みを防止可能な範囲(車幅方向の範囲)を確保した所望の長さに設定した状態で、他側の第2部材の長さを短くして、アンダーランプロテクタの軽量化を図ることができる。
【0008】
また、第2部材の延設方向の両端を、第1部材の延設方向の両端よりも延設方向の内側に配置するので、第2部材の延設方向の長さを適切に設定することによって、アンダーランプロテクタの軽量化によってアンダーランプロテクタの剛性が低下する可能性がある領域を、アンダーランプロテクタの剛性への影響が低い延設方向の外端部のみに抑えることができる。
【0009】
従って、剛性の低下を抑制し、所望の長さを確保しつつ軽量化をすることができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のアンダーランプロテクタであって、第1部材は、前後方向と交叉して内部空間の上記一側を区画する第1縦板部と、第1縦板部の上下の端縁から上記他側へ延びて上下方向と交叉した状態で相対向する上下1対の第1横板部とを有する断面略コ字状に形成される。第2部材は、前後方向と交叉して内部空間の上記他側を区画する第2縦板部と、第2縦板部の上下の端縁から上記一側へ延びて上下方向と交叉した状態で相対向する上下1対の第2横板部とを有する断面略コ字状に形成され、上下の第2横板部の上記一側の端縁部を上下の第1横板部の上記他側の端縁部に対して上下方向に重ねた状態で第1部材に対して固定される。第2縦板部及び上下の第2横板部の延設方向の両端は、第1縦板部の延設方向の両端よりも、延設方向の内側に配置される。上下の第1横板部のうちの少なくとも一方の第1横板部の延設方向の外端部は、上記一方の第1横板部の上記他側の他端縁に対して傾斜した状態で他端縁から延設方向の外側の上記一側へ向かって上記一方の第1横板部の延設方向の外端まで延びる傾斜端縁を有する。一方の第1横板部の傾斜端縁は、第2横板部の延設方向の外端縁よりも外側に設けられる。
【0011】
上記構成では、第1部材の一方の第1横板部の延設方向の外端部は、一方の第1横板部の前後方向の他側の他端縁に対して傾斜した状態で他端縁から延設方向の外側の一側へ向かって一方の第1横板部の前記延設方向の外端まで延びる傾斜端縁を有する。すなわち、第1横板部の延設方向の外端部は、他側の角部を切り欠いた形状となるので、その分だけさらに軽量化することができる。
【0012】
また、第1横板部の傾斜端縁は、第2横板部の延設方向の外端縁よりも外側に設けられるので、車両の衝突時等に第1部材の第1縦板部に入力する荷重は、第1横板部の外端部を介して第2部材の第2横板部の外端部へ伝達される。このため、第1横板部の傾斜端縁の他側の端部を第2横板部の延設方向の外端縁よりも内側に配置する場合とは異なり、車両の衝突時等に第1部材を他側から支持する部材として第2部材の第2横板部の外端部を有効に機能させることができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様または上記第2の態様のアンダーランプロテクタであって、キャップを備える。キャップは、第1部材の延設方向の外端を延設方向の外側から覆う上記一側の第1領域と、第2部材の延設方向の外端を延設方向の外側から覆う上記他側の第2領域とを有し、第1部材及び第2部材に支持される。キャップの第2領域の延設方向の外端は、キャップの第1領域の延設方向の外端よりも外側に配置される。
【0014】
上記構成では、キャップの第1領域が第1部材の延設方向の外端を延設方向の外側から覆い、キャップの第2領域が第2部材の延設方向の外端を延設方向の外側から覆い、キャップの第2領域の延設方向の外端が、キャップの第1領域の延設方向の外端よりも外側に配置される。このため、第1部材の長さを、車両の下方への他の車両の潜り込みを防止可能な上記所望の長さに設定した状態で、アンダーランプロテクタ全体の長さをさらに長く確保したい場合に、第1部材や第2部材を延長する場合とは異なり、キャップの第2領域の長さを適切に設定することによって重量の増加を抑制しつつアンダーランプロテクタの長さを確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、剛性の低下を抑制し、所望の長さを確保しつつアンダーランプロテクタを軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るアンダーランプロテクタを備える車両の外観側面図である。
【
図2】
図1の車両の要部を斜め前上方から視た斜視図である。
【
図3】
図1のFUPを斜め後下方から視た斜視図である。
【
図4】
図3のFUPの要部を上方から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中の矢印FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両1の前後方向を意味し、左右方向は車両1の前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る車両1は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)の上方に位置するキャブオーバー型の車両1であって、車両1の前端部(前後方向の一側の端部)の下方で車幅方向に延びるフロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)10(以下、FUP10と称する)を有する。FUP10は、車両1の車体フレーム3の前端部に左右1対のブラケット4を介して支持される。本実施形態に係るFUP10は、車幅方向の直線状に延びる中央領域10aと、中央領域10aの車幅方向両端から車幅方向外側の後方へ中央領域10aに対して傾斜して延びる左右の外側領域10bとによって構成される。中央領域10aの車幅方向両端部の後面には、左右のブラケット4の一端側が固定される。左右のブラケット4の他端側は、車体フレーム3の前端部に固定される。
【0019】
図2~
図4に示すように、FUP10は、前側(前後方向の一側)の前方部材(第1部材)11と、後側(前後方向の他側)の後方部材(第2部材)12と、左右一対のキャップ13とを備える。FUP10は、前方部材11と後方部材12とによって車幅方向に長尺の矩形筒状に形成され、内部に内部空間14を区画する。
【0020】
前方部材11は、前板部(第1縦板部)15と上板部(第1横板部)16と下板部(第1横板部)17とによって後方に開口するように断面コ字状に車幅方向に長尺に形成され、FUP10の左側の外側領域10bから中央領域10aを介して右側の外側領域10bまで一体成形される。すなわち、前方部材11の延設方向は、FUP10の中央領域10aでは車幅方向であり、FUP10の左右の外側領域10bでは車幅方向内側から外側の後方へ向かって車幅方向に対して傾斜する方向である。前板部15は、前後方向と交叉してFUP10の内部空間14の前方を区画する。上板部16は、前板部15の上端縁から後方へ延びて上下方向と交叉する。下板部17は、前板部15の下端縁から後方へ延びて上下方向と交叉した状態で上板部16と対向する。前板部15、上板部16、及び下板部17の延設方向の外端縁は、延設方向の同じ位置に配置され、前方部材11の延設方向の外端22を規定する。上板部16、及び下板部17の延設方向の両側の外端部には、後述する傾斜端縁23が設けられる。前方部材11の延設方向の長さ(以下、単に長さという。)は、他の車両等との衝突時に車両の下方への他の車両の潜り込みを防止可能な範囲(車幅方向の範囲)を確保した所望の長さに設定される。
【0021】
後方部材12は、後板部(第2縦板部)18と上板部(第2横板部)19と下板部(第2横板部)20とによって前方に開口するように断面コ字状に車幅方向に長尺に形成され、FUP10の左側の外側領域10bから中央領域10aを介して右側の外側領域10bまで一体成形される。すなわち、後方部材12の延設方向は、FUP10の中央領域10aでは車幅方向であり、FUP10の左右の外側領域10bでは車幅方向内側から外側の後方へ向かって車幅方向に対して傾斜する方向である。後方部材12は、前方部材11の後方で前方部材11の延設方向に沿って延びて前方部材11に対して固定される。後板部18は、前後方向と交叉してFUP10の内部空間14の後方を区画する。上板部19は、後板部18の上端縁から前方へ延びて上下方向と交叉する。上板部19の前端縁部(前後方向の一側の端縁部)19aは、前方部材11の上板部16の後端縁部(前後方向の他側の端縁部)16aに下方から重なった状態で溶接等によって固定される。上板部19は、前方部材11の上板部16と共に内部空間14の上方を区画する。下板部20は、後板部18の下端縁から前方へ延びて上下方向と交叉した状態で上板部19と対向する。下板部20の前端縁部(図示省略)は、前方部材11の下板部17の後端縁部17aに上方から重なった状態で溶接等によって固定される。下板部20は、前方部材11の下板部17と共に内部空間14の下方を区画する。後方部材12の長さは、前方部材11の長さより短い。後板部18、上板部19、及び下板部20の延設方向の外端縁は、延設方向の同じ位置に配置され、後方部材12の延設方向の外端21を規定する。後方部材12の延設方向の両側の外端21は、前方部材11の延設方向の両側の外端22よりも延設方向の内側(延設方向に沿った車幅方向の内側)にそれぞれ配置される。すなわち、後方部材12の上板部19、及び下板部20の延設方向の両端(外端21)は、前方部材11の前板部15の延設方向の両端(外端22)よりも延設方向の内側に配置される。
【0022】
後方部材12及び前方部材11には、後方部材12の両側の外端21及び前方部材11の両側の外端22を延設方向の外側から覆うように左右のキャップ13が取り付けられる。なお、FUP10の延設方向の両側の外端部の構造は、左右対称的であり、略同じ構成を有するため、以下では左側について説明し、右側の説明を省略する。また、前方部材11の上板部16、及び下板部17の傾斜端縁23は上下に対称的に設けられ、略同じ構成を有するため、以下では、前方部材11の上板部16の傾斜端縁23について説明し、下板部17の傾斜端縁23の説明を省略する。
【0023】
前方部材11の上板部16の延設方向の外端部の傾斜端縁23は、上板部16の後側で延設方向に沿って直線状に延びる後端縁(他端縁)24に対して傾斜した状態で、後端縁24の外端から延設方向の外側の前方へ向かって上板部16の延設方向の外端縁25(前方部材11の外端22)まで延びる。後方部材12の延設方向の外端21は、前方部材11の上板部16の傾斜端縁23の後端と延設方向の略同じ位置に配置される。すなわち、前方部材11の上板部16の傾斜端縁23は、後方部材12の上板部19の延設方向の外端縁26よりも延設方向の外側に設けられる。
【0024】
キャップ13は、前方部材11の外端22を延設方向の外側から覆う前側領域(第1領域)13aと、後方部材12の外端21を延設方向の外側から覆う後側領域(第2領域)13bとを一体的に有する。キャップ13の車幅方向の内端部は、前方部材11の延設方向の外端部及び後方部材12の延設方向の外端部に固定され、キャップ13が前方部材11及び後方部材12に支持される。キャップ13は、FUP10の内部空間14を車幅方向外側から塞ぐ。後側領域13bの延設方向の長さは、前側領域13aの延設方向の長さよりも長い。キャップ13の延設方向の外端面13cは、前方から車幅方向外側の後方へ延び、前後方向に対して傾斜している。すなわち、後側領域13bの延設方向の外端28は、前側領域13aの延設方向の外端27よりも延設方向の外側に配置される。
【0025】
上記のように構成されたFUP10では、後方部材12の延設方向の両側の外端21が、前方部材11の延設方向の両側の外端22よりも延設方向の内側にそれぞれ配置される。すなわち、他の車両等との衝突時に他の車両が衝突しない後側の後方部材12の長さが、他の車両が衝突する前側の前方部材11の長さよりも短い。また、前方部材11の長さが、他の車両等との衝突時に車両の下方への他の車両の潜り込みを防止可能な範囲(車幅方向の範囲)を確保した所望の長さに設定される。このように、前方部材11の長さを、他の車両等との衝突時に車両の下方への他の車両の潜り込みを防止可能な所望の長さに設定した状態で、後方部材12の長さを短くしてFUP10の軽量化を図ることができる。
【0026】
また、後方部材12の延設方向の両側の外端21を、前方部材11の延設方向の両側の外端22よりも延設方向の内側にそれぞれ配置するので、後方部材12の長さを適切に設定することによって、FUP10の軽量化によってFUP10の剛性が低下する可能性がある領域を、FUP10の剛性への影響が低い延設方向の外端部のみに抑えることができる。
【0027】
また、前方部材11の上板部16及び下板部17(以下、上下の板部16,17という。)の延設方向の両側の外端部には、傾斜端縁23が設けられ、傾斜端縁23は、前方部材11の上下の板部16,17の後側で延設方向に沿って直線状に延びる後端縁24に対して傾斜した状態で、後端縁24から延設方向の外側の前方へ向かって前方部材11の上下の板部16,17の延設方向の外端縁25まで延びる。すなわち、前方部材11の上下の板部16,17の延設方向の外端部は、後側の角部29(
図4に2点鎖線で示す)を切り欠いた形状となるので、その分だけさらにFUP10を軽量化することができる。
【0028】
また、前方部材11の上下の板部16,17の傾斜端縁23は、後方部材12の上板部19及び下板部20(以下、上下の板部19,20という。)の延設方向の外端縁26よりも延設方向の外側に設けられるので、車両1の衝突時等に前方部材11の前板部15に入力する荷重は、前方部材11の上下の板部16,17の外端部を介して後方部材12の上下の板部19,20の外端部へ伝達される。このため、上下の板部16,17の傾斜端縁23の後端部を後方部材12の上下の板部19,20の外端縁26よりも延設方向の内側に配置する場合とは異なり、車両1の衝突時等に前方部材11を後方から支持する部材として後方部材12の上下の板部19,20の外端部を有効に機能させることができる。従って、後方部材12による前方部材11の支持剛性を確保しつつ、前方部材11の上下の板部16,17の角部29を切り欠いて、FUP10を軽量化することができる。
【0029】
また、キャップ13の後側領域13bの延設方向の外端28が、前側領域13aの延設方向の外端27よりも延設方向の外側に配置される。このため、前方部材11の長さを、車両1の下方への他の車両の潜り込みを防止可能な上記所望の長さに設定した状態で、FUP10全体の長さをさらに長く確保したい場合に、前方部材11や後方部材12を延長する場合とは異なり、キャップ13の後側領域13bの長さを適切に設定することによって重量の増加を抑制しつつFUP10の長さを確保することができる。
【0030】
従って、本実施形態によれば、剛性の低下を抑制し、所望の長さを確保しつつ軽量化をすることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、FUP10を、中央領域10aと左右の外側領域10bとによって構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、車幅方向の両端間で車幅方向に直線状に延びるFUPであってもよい。
【0032】
また、本実施形態では、断面コ字状の前方部材11と断面コ字状の後方部材12とによってFUP10を筒状に構成したが、前方部材11及び後方部材12の断面形状はこれに限定されるものではない。前方部材11は、FUP10の内部空間14の少なくとも前方を区画していればよく、また、後方部材12は、FUP10の内部空間14の少なくとも後方を区画していればよい。例えば、断面半円弧状の前方部材11及び後方部材12であってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、後方部材12の上板部19の前端縁部19aを、前方部材11の上板部16の後端縁部16aに下方から重ねたが、後方部材12の上板部19の前端縁部19aを、前方部材11の上板部16の後端縁部16aに上方から重ねてもよい。また、本実施形態では、下板部20の前端縁部を、前方部材11の下板部17の後端縁部17aに上方から重ねたが、下板部20の前端縁部を、前方部材11の下板部17の後端縁部17aに下方から重ねてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、前方部材11の上下の板部16,17の双方に傾斜端縁23を設けたが、前方部材11の上下の板部16,17のいずれか一方の板部に傾斜端縁23を設けてもよい。或いは、前方部材11の上下の板部16,17の双方に傾斜端縁23を設けなくてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、FUP10の延設方向の両端部に左右のキャップ13を設けたが、左右のキャップ13を設けなくてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、本開示に係るアンダーランプロテクタを、車両1の前端部の下方で車幅方向に延びるFUP10に適用したが、これに限定されるものではなく、車両1の後端部(前後方向の一側の端部)の下方で車幅方向に延びるリアアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)30(
図1参照)に適用してもよい。この場合、後側が前後方向の一側であり、前側が前後方向の他側である。
【0037】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、本開示に係るアンダーランプロテクタを、キャブオーバー型の車両1に適用したが、キャブオーバー型の車両1以外の車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の車両のアンダーランプロテクタは、トラックその他の車両に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:車両
10:フロントアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)
11:前方部材(第1部材)
12:後方部材(第2部材)
13:キャップ
13a:キャップの前側領域(第1領域)
13b:キャップの後側領域(第2領域)
14:内部空間
15:前方部材の前板部(第1縦板部)
16:前方部材の上板部(第1横板部)
17:前方部材の下板部(第1横板部)
18:後方部材の後板部(第2縦板部)
19:後方部材の上板部(第2横板部)
20:後方部材の下板部(第2横板部)
21:後方部材の外端
22:前方部材の外端
23:傾斜端縁
24:前方部材の後端縁(第1部材の第1横板部の他端縁)
26:後方部材の外端縁(第2部材の第2横板部の外端縁)
30:リアアンダーランプロテクタ(アンダーランプロテクタ)