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特許7061304ゴルフショット撮影装置、ゴルフショット解析システム及びボールスピン計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】ゴルフショット撮影装置、ゴルフショット解析システム及びボールスピン計測装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20220421BHJP
【FI】
A63B69/36 541S
A63B69/36 541W
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017180197
(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公開番号】P2019054951
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-09-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日本最大級のスポーツ・健康産業総合展示会 SPORTEC2017、平成29年7月25日、平成29年7月26日、平成29年7月27日(博覧会) 清水商事株式会社(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-7-11)、平成29年4月14日(販売) 有限会社南筑波ゴルフ場(茨城県つくば市島名784)、平成29年5月31日(販売) 株式会社クリエイトL&S(神奈川県平塚市代官町3-8)、平成29年6月19日(販売) 有限会社ルシール(東京都港区白金台6-16-42)、平成29年7月10日(販売)
(73)【特許権者】
【識別番号】501389246
【氏名又は名称】株式会社ディテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】浮谷 卓匡
(72)【発明者】
【氏名】澤田 啓次
(72)【発明者】
【氏名】玉置 郁
(72)【発明者】
【氏名】清水 圭介
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-291824(JP,A)
【文献】特開2003-117044(JP,A)
【文献】特開平08-024389(JP,A)
【文献】特開2016-086952(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192493(JP,U)
【文献】特開2016-013287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフショットを撮影するゴルフショット撮影装置であって、
撮像面に結像された画像を撮影するカメラと、
光路変更光学系を備え、
前記カメラは、当該カメラに直接入射する、ゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアの像が、当該カメラの撮像面の第1の領域に結像するように配置されており、
前記光路変更光学系は、前記カメラの位置と異なる位置に入射する、前記撮像エリアの像の光路を、当該像が、前記カメラの撮像面の前記第1の領域と異なる領域である第2の領域に結像するように変更することを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載のゴルフショット撮影装置であって、
前記第1の領域は前記撮像面の下半分の領域と上半分の領域とのうちの一方の領域であり、前記第2の領域は前記撮像面の下半分の領域と上半分の領域とのうちの前記第1の領域でない方の領域であることを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のゴルフショット撮影装置であって、
前記撮像エリアを照明する照明パネルを備え、
前記照明パネルは、複数のLEDと、各LEDに一対一に対応して設けた、対応するLEDの光を前記撮像エリアに集光する複数のレンズとを備え、
前記LEDと当該LEDに対応するレンズとは、照明パネルの周縁に近いLEDほど、LEDの光軸がレンズの光軸に対して照明パネルの周縁方向に大きくずれるように配置されていることを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のゴルフショット撮影装置と、
前記カメラが撮影した画像を解析して、撮像エリアで行われたゴルフショットの属性を算定する解析装置とを備えたことを特徴とするゴルフショット解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、プレイヤのゴルフショットのようすを撮影した画像より、ユーザのゴルフショットの特性を解析する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレイヤのゴルフショットのようすを撮影した画像より、ユーザのゴルフショットの特性を解析する技術としては、複数台のカメラでプレイヤのゴルフショットのようすを撮影し、各カメラで撮影した画像を用いて、ゴルフボールやクラブヘッドの三次元の挙動を解析するシステムが知られている(たとえば、特許文献1、2、3)。
【0003】
また、複数台のカメラでプレイヤのゴルフショットのようすを撮影し、各カメラで撮影した画像からゴルフボールの表面のマークの三次元座標を算出すると共に、マークの三次元座標の変化よりゴルフボールの回転速度や回転軸の傾きを計測するシステムも知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-117044号公報
【文献】特開2016-86952号公報
【文献】特開2012-170532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した複数台のカメラを用いてユーザのゴルフショットの特性を解析するシステムによれば、複数台のカメラを配置する必要があるため、システムが大型化、高額化してしまい易い。
【0006】
また、上述した複数のカメラで撮影した画像からゴルフボールの表面のマークの三次元座標を算出して、ゴルフボールの回転速度や回転軸の傾きを計測する技術によれば、三次元座標演算が必要となるため、ゴルフボールの回転速度や回転軸の傾きを計測するための処理の負荷が過大となり易い。また、複数のカメラが必要となると共に、システムが大型化、高額化してしまい易い。また、スピンの計測の精度が、カメラの撮影速度によって制限されてしまうという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザのゴルフショットの特性を解析するシステムを、小型、または、低コストに構成することを課題とする。
また、併せて、本発明は、より簡易な構成、または、処理によってゴルフボールのスピンを計測することを課題とする。
また、併せて、本発明は、ゴルフボールのスピンの計測の精度を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、ゴルフショットを撮影するゴルフショット撮影装置として、撮像面に結像された画像を撮影するカメラと、当該カメラの撮像面の第1の領域に、ゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアを第1の方向から観察した像を結像し、前記カメラの撮像面の前記第1の領域と異なる領域である第2の領域に、前記撮像エリアを前記第1の方向と異なる方向である第2の方向から観察した像を結像する光学系とを備えたゴルフショット撮影装置を提供する。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、ゴルフショットを撮影するゴルフショット撮影装置に、撮像面に結像された画像を撮影するカメラと、光路変更光学系を備えものである。ここで、前記カメラは、当該カメラに直接入射する、ゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアの像が、当該カメラの撮像面の第1の領域に結像するように配置されており、前記光路変更光学系は、前記カメラの位置と異なる位置に入射する、前記撮像エリアの像の光路を、当該像が、前記カメラの撮像面の前記第1の領域と異なる領域である前記第2の領域に結像するように変更するものである。
【0010】
ここで、以上のような、ゴルフショット撮影装置においては、前記第1の領域を前記撮像面の下半分の領域と上半分の領域とのうちの一方の領域とし、前記第2の領域は前記撮像面の下半分の領域と上半分の領域とのうちの前記第1の領域でない方の領域としてもよい。
【0011】
以上のようなゴルフショット撮影装置によれば、複数のカメラを用いることなく単一のカメラを用いて、異なる方向から撮像エリアを撮影することができるので、このようなゴルフショット撮影装置を用いることにより、ユーザのゴルフショットの特性を解析するシステムを、小型、または、低コストに構成することができる。
【0012】
また、本発明は、併せて、ゴルフショットを撮影するゴルフショット撮影装置として、ゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアを撮影するカメラと、前記撮像エリアを照明する照明パネルとを備えたゴルフショット撮影装置も提供する。ここで、前記照明パネルは、複数のLEDと、各LEDに一対一に対応して設けた、対応するLEDの光を前記撮像エリアに集光する複数のレンズとを備え、前記LEDと当該LEDに対応するレンズとは、照明パネルの周縁に近いLEDほど、LEDの光軸がレンズの光軸に対して照明パネルの周縁方向に大きくずれるように配置されている。
【0013】
このようなゴルフショット撮影装置によれば、ゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアを比較的均一に照明することができる。
また、本発明は、以上のゴルフショット撮影装置と、前記カメラが撮影した画像を解析して、撮像エリアで行われたゴルフショットの属性を算定する解析装置とを備えたゴルフショット解析システムも提供する。
【0014】
また、前記課題達成のために、本発明は、ゴルフショットによるゴルフボールの挙動の属性を計測するゴルフショット解析システムに、ゴルフショットが行われるエリアである前記撮像エリアを所定の波長帯の光で照明する照明装置と、前記撮像エリアの前記所定の波長帯の光による像のみを撮影するカメラと、前記カメラが1フレームの画像を撮影する期間をフレーム期間として、前記照明装置が、第1のフレーム期間に、フレーム期間の終了直前のタイミングでの照明の点灯を行い、前記第1のフレーム期間の直後のフレーム期間である第2のフレーム期間に、フレーム期間の開始直後のタイミングでの照明の点灯を行うように前記照明装置を制御する照明制御手段と、前記第1のフレーム期間に前記カメラが撮影した画像に含まれるゴルフボールの像と、その直後の、前記第2のフレーム期間に前記カメラが撮影した画像に含まれるゴルフボールの像との相違に基づいて、ゴルフボールのスピンを計測するスピン計測部とを備えたものである。
【0015】
ここで、このようなゴルフショット解析システムには、さらに、前記カメラによって1フレーム期間離れたフレーム期間に撮影された画像に含まれるゴルフボールの像の位置の相違に基づいて、前記ゴルフボールの移動速度と移動方向を計測する移動計測部を設けるようにしてもよい。
【0016】
このようなゴルフショット解析システムによれば、カメラのフレーム期間よりも短い時間間隔で撮影した画像を用いてゴルフボールのスピンを計測することができるので、より精度の良いスピンの計測を行うことができるようになる。
【0017】
また、前記課題達成のために、本発明は、ゴルフショットによるゴルフボールのスピンを計測するゴルフショット解析システムに、水平、かつ、ゴルフボールの軌道がストレートであると見なす方向を前後方向、水平かつ前記前後方向と垂直な方向を左右方向として、ゴルフショットのようすを、左右方向から撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像から、前記ゴルフボールの表面上の複数の部分の前後方向の移動速度の垂直方向の分布において、正の移動速度の分布範囲と負の移動速度の分布範囲の境界となる垂直方向の座標を算定し、算定した座標から前記ゴルフボールの回転軸の、前記左右方向からの前記前後方向の軸回りの傾きを算定する回転軸傾斜算定手段とを設けたものである。
【0018】
ここで、このようなゴルフショット解析システムには、さらに、前記前後方向と前記左右方向とに垂直な方向を上下方向として、前記カメラが撮影した画像と、前記回転軸傾斜算定手段が算定した前記ゴルフボールの回転軸の傾きとより、前記ゴルフボールの前記左右方向の軸回りの回転速度をバックスピン量として算定し、前記ゴルフボールの前記上下方向の軸回りの回転速度をサイドスピン量として算定するスピン量算定手段を設けるようにしてもよい。
【0019】
また、前記課題達成のために、本発明は、ゴルフショットによるゴルフボールのスピンを計測するゴルフショット解析システムに、水平、かつ、ゴルフボールの軌道がストレートであると見なす方向を前後方向、水平かつ前記前後方向と垂直な方向を左右方向、前記前後方向と前記左右方向とに垂直な方向を上下方向として、ゴルフショットのようすを、左右方向から撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像から、前記ゴルフボールの表面上の複数の部分の前後方向の移動速度の垂直方向の分布において、正の移動速度の分布範囲と負の移動速度の分布範囲の境界となる垂直方向の座標と、前記ゴルフボールの表面上の複数の部分の垂直方向の移動速度の前後方向の分布において、正の移動速度の分布範囲と負の移動速度の分布範囲の境界となる前後方向の座標とを算定し、算定した前記垂直方向の座標と算定した前記前後方向の座標とから前記ゴルフボールの回転軸の、前記左右方向からの前記前後方向の軸回りの傾きと、前記左右方向からの前記上下方向の軸回りの傾きとを算定する回転軸傾斜算定手段とを設けたものである。
【0020】
ここで、このようなゴルフショット解析システムには、さらに、前記前後方向と前記左右方向とに垂直な方向を上下方向として、前記カメラが撮影した画像と、前記回転軸傾斜算定手段が算定した前記ゴルフボールの回転軸の傾きとより、前記ゴルフボールの前記左右方向の軸回りの回転速度をバックスピン量として算定し、前記ゴルフボールの前記上下方向の軸回りの回転速度をサイドスピン量として算定するスピン量算定手段を設けるようにしてもよい。
【0021】
ここで、以上のような回転軸の傾きを算定する各ゴルフショット解析システムにおいて、前記ゴルフボールの表面上の複数の部分の各々はゴルフボールのディンプルとしてもよい。
【0022】
また、
これらのようなゴルフショット解析システムによれば、比較的処理負荷の大きい三次元座標演算を必要とせずに、ゴルフボールの回転軸の傾きや回転速度を計測することができるようになる。また、単一のカメラによってゴルフボールの回転軸の傾きや回転速度を計測できるので、ゴルフショット解析システムの小型化や低コスト化を実現することができる。
【0023】
また、併せて、本発明は、以上のようなゴルフショット解析システムにおけるスピン計測の技術をボール一般に適用したボールスピン計測装置も提供する。
すなわち、本発明は、ボールのスピンを計測するボールスピン計測装置として、ボールを所定の波長帯の光で照明する照明装置と、前記ボールの前記所定の波長帯の光による像のみを撮影するカメラと、前記カメラが1フレームの画像を撮影する期間をフレーム期間として、前記照明装置が、第1のフレーム期間に、フレーム期間の終了直前のタイミングでの照明の点灯を行い、前記第1のフレーム期間の直後のフレーム期間である第2のフレーム期間に、フレーム期間の開始直後のタイミングでの照明の点灯を行うように前記照明装置を制御する照明制御手段と、前記第1のフレーム期間に前記カメラが撮影した画像に含まれるボールの像と、その直後の、前記第2のフレーム期間に前記カメラが撮影した画像に含まれるボールの像との相違に基づいて、ボールのスピンを計測するスピン計測部とを備えたボールスピン計測装置を提供する。
【0024】
また、本発明は、ボールのスピンを計測するボールスピン計測装置として、ボールを撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像から、前記ボールの表面上の複数の部分の画像の第1の方向の移動速度の前記画像の前記第1の方向と垂直な第2の方向の分布において、正の移動速度の分布範囲と負の移動速度の分布範囲の境界となる前記第2の方向の座標軸上の座標を算定し、算定した座標から前記ボールの回転軸の、前記カメラの光軸方向からの、前記画像の前記第1の方向の軸回りの傾きを算定する回転軸傾斜算定手段とを備えたボールスピン計測装置を提供する。
【0025】
また、本発明は、ボールのスピンを計測するボールスピン計測装置として、ボールを撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像から、前記ボールの表面上の複数の部分の画像の第1の方向の移動速度の前記画像の前記第1の方向と垂直な第2の方向の分布において、正の移動速度の分布範囲と負の移動速度の分布範囲の境界となる前記第2の方向の座標軸上の座標と、前記ボールの表面上の複数の部分の画像の前記第2の方向の移動速度の前記画像の前記第1の方向の分布において、正の移動速度の分布範囲と負の移動速度の分布範囲の境界となる前記第1の方向の座標軸上の座標とを算定し、算定した座標から前記ボールの回転軸の傾きを算定する回転軸傾斜算定手段とを備えたボールスピン計測装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、ユーザのゴルフショットの特性を解析するシステムを、小型、または、低コストに構成することができるようになる。
また、本発明によれば、より簡易な構成、または、処理によってゴルフボールの回転速度や回転軸の傾きを計測することができるようになる。
また、本発明によれば、ゴルフボールのスピンの計測の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るゴルフショット解析システムを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るゴルフショット解析システムの機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係るゴルフショット解析システムの撮像タイミングを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る計測の手順を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るスピン計測の手順を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るスピン計測の手順を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係るスピン計測の手順を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係るスピン計測の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るゴルフショット解析システムの構成を示す。
図示するように、ゴルフショット解析システムは、ユーザがゴルフショット動作を行うエリアである撮像エリア3の横に配置された計測装置1、計測装置1に接続されたデータ処理装置2とを備えている。
【0029】
次に、図2b1に前面側からみた計測装置1の外観を、図2b2に左側面側からみた計測装置1の外観を示す。図示するように、計測装置1の前面には上下に配置した光学窓101、102が設けられている
ここで、このような計測装置1は、前面を撮像エリア3に向けて配置されており、ユーザの撮像エリア3におけるゴルフショット動作を撮影する機能と、撮像エリア3を照明する機能と、ユーザの撮像エリア3におけるゴルフショット動作時のクラブヘッドの速度を計測する機能とを備えている。
【0030】
以下、このような各機能を担う計測装置1の構成について説明する。
まず、計測装置1の、ユーザの撮像エリア3におけるゴルフショット動作を撮影する機能を担う計測装置1の構成について説明する。
ここで、図2a1に前面側からみた計測装置1の内部構成を、図2a2に左側面側からみた計測装置1の内部構成を示す。
図示するように、計測装置1には、カメラ11と、カメラ11の上方に配置された第1ミラー12と、第2ミラー13とを収容している。また、カメラ11には、対物レンズなどの結像用の光学系の他に、青色光のみを透過するバンドパス型の光学フィルタ111が設けられており、カメラ11はフィルタを透過した青色光による画像を撮影する。
【0031】
また、図示するように、カメラ11の撮像面の下半分には撮像エリア3の像が光学窓101を透過して直接入射するようにカメラ11は配置されている。また、第1ミラー12と第2ミラー13とは光路を変更する光学系を構成しており、光学窓102を透過して第1ミラー12に入射した撮像エリア3の像が、第1ミラー12、第2ミラー13の順に反射して、カメラ11の撮像面の上半分に入射するように第1ミラー12、第2ミラー13は配置されている。
【0032】
したがって、カメラ11が撮影した画像100は、図2bに示すように、カメラ11の位置から直接観察した撮像エリア3の画像を下半分の画像101として、第1ミラー12の位置から観察した撮像エリア3の画像を上半分の画像102として含むものとなる。そして、カメラ11が撮影した画像100の下半分の画像101と上半分の画像102は異なる角度から撮像エリア3を撮影したものとなる。すなわち、第1ミラー12はカメラ11よりも上方に配置されているので、カメラ11が撮影した画像100の上半分の画像102は下半分の画像101に比べ、より上方から撮像エリア3を撮影した画像となる。
【0033】
したがって、本計測装置によれば、複数のカメラ11を用いることなく単一のカメラ11を用いて、異なる方向から撮像エリア3で行われるゴルフショットのようす撮影することができる。
【0034】
次に、撮像エリア3を照明する機能を担う計測装置1の構成について説明する。
ここで、図3a1に前面側からみた計測装置1の内部構成を、図3a2に左側面側からみた計測装置1の内部構成を示す。
図示するように、計測装置1の前面の近くに、光源パネル141とレンズパネル142とよりなる照明パネル14が配置されている。
そして、図3bに示すように、光源パネル141には、複数の青色LED1411が前方に向けて青色光を出射するように上下左右に配列されている。
また、レンズパネル142には、各青色LED1411に一対一に対応して設けた複数の平凸のレンズ1421が、各レンズ1421を対応する青色LED1411の前方に配置した形態で配列されている。そして、各レンズ1421の前面側は計測装置1の前面に露出しており、対応する青色LED1411から出射された青色光を計測装置1の前方の撮像エリア3に集光する。
【0035】
ここで、図3bに示すように、青色LED1411と当該青色LED1411に対応するレンズ1421との相対的な配置は、照明パネル14の周縁に近い青色LED1411ほど、青色LED1411の光軸がレンズ1421の光軸に対して照明パネル14の周縁方向に大きくずれるようにしている。
【0036】
このように青色LED1411とレンズ1421とを配置することにより、図3cに、青色LED1411とレンズ1421のセットが3つである場合について模式的に示したように、撮像エリア3を均一に青色光で照明することができるようになる。
【0037】
次に、ユーザの撮像エリア3におけるゴルフショット動作時のクラブヘッドの速度を計測する機能を担う計測装置1の構成について説明する。
図3a1、図3a2に示すように、計測装置1の前面側の下部には、レーザドップラ速度計15が設けられており、レーザドップラ速度計15は撮像エリア3におけるクラブヘッドの速度を計測する。
【0038】
以下、以上のようなゴルフショット解析システムの機能構成について説明する。
図4に、ゴルフショット解析システムの機能構成を示す。
図示するように計測装置1には、上述した構成に加え、照明パネル14による照明とカメラ11の撮影とを同期させる同期制御部16、カメラ11が撮影した画像100や、レーザドップラ速度計15で計測した速度を表す速度データのデータ処理装置2への転送等を行う通信インタフェース17を備えている。
【0039】
また、データ処理装置2は、計測装置1から転送された画像や速度データの受信等を行う通信インタフェース21、通信インタフェース21が受信した速度データを格納する速度データメモリ22、通信インタフェース21が受信した画像を格納する画像メモリ23、ヘッド計測部24、ボール計測部25、スピン計測部26、表示装置27、入力装置28、以上各部を制御する制御部29とを備えている。ただし、データ処理装置2はコンピュータを用いて構成してもよく、この場合、ヘッド計測部24、ボール計測部25、スピン計測部26、制御部29等は、所定のコンピュータプログラムをコンピュータが実行することにより実現されるものとしてよい。
【0040】
このようなゴルフショット解析システムの機能構成において、計測装置1の同期制御部16は、図5に示すように、照明パネル14による照明とカメラ11の撮影とを同期させる。
【0041】
すなわち、カメラ11の画像1フレームの撮像期間の境界を表すフレーム同期信号と同期して、同期制御部16は、照明パネル14をフラッシュ的に短時間点灯する。すなわち、図5におけるLED ON信号がHの期間にのみ、照明パネル14を点灯させる。
【0042】
照明パネル14の点灯タイミングは、フレーム同期信号によって区切られる時間長Tの期間をフレーム期間として、1フレーム期間毎に、フレーム期間の終了直前のタイミングでの点灯と、フレーム期間の開始直後のタイミングでの点灯を、交互に繰り返す。
【0043】
すなわち、たとえば、奇数番目のフレーム期間では、フレーム期間の終了直前のタイミングで照明パネル14をフラッシュ的に短時間点灯し、偶数番目のフレーム期間では、フレーム期間の開始直後のタイミングで照明パネル14をフラッシュ的に短時間点灯する。
【0044】
ここで、上述のようにカメラ11は青色光の画像のみを撮影するので、青色光による照明を行う照明パネル14が点灯している期間にのみ、カメラ11には撮像エリア3の画像が撮像される。
【0045】
そして、図5に示したタイミングで照明パネル14を点灯させることにより、撮像時刻の時間差の時間長が、フレーム期間に比べて充分に小さい時間長TLとなる2フレームの画像のセットが、2フレーム期間毎に得られることとなる。
【0046】
次に、ボール計測部25は、図6に示すように、画像メモリ23に格納されたカメラ11が撮影した1フレームおきの画像、すなわち、奇数フレームの画像か偶数フレームの画像のいずれかを対象画像とし、対象画像を用いて、ゴルフボールの移動速度や移動方向を求めるボール計測を行う。なお、対象画像の時間間隔は、2フレーム期間で一定となる。
【0047】
すなわち、ボール計測部25は、各対象画像の下半分の画像101と上半分の画像102とのそれぞれについて、画像中のゴルフボールの領域を抽出し、抽出したゴルフボールの重心の位置を算定する。そして、下半分の画像101中の重心の位置と、上半分の画像102中の重心の位置とから、ステレオ法によって、ゴルフボールの重心の位置の三次元座標を算定する。
【0048】
なお、上述のようにカメラ11が撮影した画像100の下半分の画像101と上半分の画像102とは、異なる撮影方向から撮像エリア3を撮影した画像であるので、下半分の画像101と上半分の画像102から撮影エリア3内にあるゴルフボールの三次元座標をステレオ法によって算定することができる。
【0049】
そして、各対象画像について算定した三次元座標の推移から、ゴルフボールの速度(初速)と、仰角(打ち出し角)や左右方向の角度(フック方向の角度、スライス方向の角度)などの移動方向とを算定する。
【0050】
さて、ここで、以上のようなボール計測において、上述した時間長TLのような時間差があまりに小さい撮影時刻の画像を用いてゴルフボールの速度や移動方向を算出すると、画像間のゴルフボールの移動量が小さすぎて適正な算出を行えない場合がある。しかし、本実施形態では、撮影時刻の時間差が2フレーム期間となる画像を用いてゴルフボールの速度や移動方向を算出するので、ゴルフボールの速度や移動方向を良好に算出することができる。
【0051】
次に、ヘッド計測部24は、速度データメモリ22に格納された速度データから、クラブヘッドの速度を算定したり、上述した対象画像の下半分の画像101と上半分の画像102のそれぞれについて、画像中のクラブヘッドを認識して、クラブヘッドのフェース面の姿勢(ロフト角方向の角度、ライ角方向の角度、フェース角など)を算定する処理等を行う。
【0052】
そして、スピン計測部26は、図6に示すように、画像メモリ23に格納された、撮像時刻の時間差(照明パネル14の点灯の時間差)の時間長が時間長TLとなる隣接する2フレームの画像のセットを対象セットとして、ゴルフボールのスピンを計測するスピン計測を行う。
【0053】
すなわち、スピン計測部26は、まず、対象セットの二つの画像の下半分の画像101間での、ゴルフボールの各ディンプルの移動ベクトルを求める。
たとえば、対象セットの撮影時刻の時間差が時間長TLである二つの画像の下半分の画像101のうちの、撮影時刻が前の画像に含まれているゴルフボールの画像が図7a1に示すものであり、撮影時刻が後の画像に含まれているゴルフボールの画像が図7a2に示すものである場合には、図7bに、いくつかのディンプルについて例示したように、各ディンプルについて、当該ディンプルの移動方向と移動距離を表す、図中に矢印で示した移動ベクトルを算出する。
【0054】
なお、図7a2、bでは、便宜上、対象セットの二つの画像の下半分の画像101のうちの撮影時刻が後の画像に含まれているゴルフボールの画像を、撮影時刻が前の画像に含まれているゴルフボールの画像との区別のために点線で示している。
【0055】
ここで、二つの画像の撮像時刻の時間差が大きくなると、画像間のゴルフボールのディンプルの移動量も大きくなり、ディンプルの追跡、すなわち、二つの画像中のいずれのディンプルが同じディンプルであるのかの識別が困難となり、移動ベクトルを正しく算出できなくなることがある。
【0056】
しかし、本実施形態では、撮像時刻の時間差(照明パネル14の点灯の時間差)が、カメラ11のフレーム期間Tに対して充分に短い時間長TLとなる2つの画像のセットを用いて移動ベクトルを算出するので、ディンプルの追跡を良好に行って、移動ベクトルを適正に算出することができる。
【0057】
さて、次にスピン計測部26は、ゴルフボール200の回転軸の向きと、回転速度を求める。
まず、ゴルフボール200のライフルスピンはほとんど生じないので、ゴルフボール200のライフルスピンを無視して、簡易的に、ゴルフボール200のバックスピンとサイドスピンの回転速度を求める場合の、スピン計測部26の動作について説明する。
【0058】
さて、この場合、図7cに示すように、画像の上下方向の軸をz軸、画像の左右方向の軸をy軸、画像中のゴルフボールの中心を原点oとして、算出した各ディンプルの移動ベクトルをz方向の移動ベクトルとy方向の移動ベクトルに分解し、分解したy方向の移動ベクトルから、各ディンプルのy方向の移動速度Vyを算定する。
【0059】
なお、実空間の水平な一方向を基準方向として、カメラ11で撮影される画像の左右方向が実空間の基準方向に一致し、カメラ11で撮影される画像の上下方向が実空間の上下方向に一致するように計測装置1は配置する。また、実空間の基準方向は、水平かつ、基準方向にゴルフショットされたゴルフボールが進んだ場合に、ゴルフボールの軌道がストレートであると見なす方向、すなわち、プレイヤがスクエアスタンスをとったときの、左右の足を結ぶラインに平行な方向のうちの、ゴルフボールが打ち出される側の方向とする。
【0060】
そして、図7dに示すように、z方向の座標がznであるディンプルの移動速度Vyは、座標znに位置する移動速度Vyであるものとして、各ディンプルのy方向の移動速度Vyのz方向の分布を求める。
【0061】
そして、次に、求めたy方向の移動速度Vyのz方向の分布より、ゴルフボールの回転軸の傾きを算出する。
ここで、図8a1に示すように、z軸とy軸に垂直なx軸がゴルフボール200の回転軸Jである場合、図8a2に示すように、カメラ11によって撮影されるゴルフボール200の表面における回転軸Jの位置はゴルフボール200の中心となり、図8a3に示すように、y方向の移動速度Vyのz方向の分布は、z座標が原点oより大きい範囲の移動速度Vyと、z座標が原点oよりり小さい範囲の移動速度Vyとで、移動速度Vyの正負が逆となる分布となる。
【0062】
すなわち、ゴルフボール200の回転が正のバックスピンの成分のみからなる場合には、図8a3に示すように、z座標が原点oより大きい範囲の移動速度Vyは負となり、z座標が原点oより小さい範囲の移動速度Vyは正となる。
【0063】
いま、x軸がゴルフボール200の回転軸Jである場合の原点oのように、移動速度Vyのz方向の分布上、そのz座標値より大きいz座標の範囲と、そのz座標値より小さいz座標の範囲とで、移動速度Vyの正負が逆となるz座標値を境界座標と呼ぶこととする。
【0064】
すると、この境界座標は、上述のようにゴルフボール200のy軸回りの回転(ライフルスピン)を無視し、ゴルフボール200の回転軸Jのz軸回りのx軸からの回転角は常に0と仮定すると、ゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りの回転角に伴って変化する。
【0065】
さて、たとえば、図8b1、c1に示すように、ゴルフボール200の回転軸Jがx軸をy軸回りにθ回転させた軸である場合には、カメラ11によって撮影されるゴルフボール200の表面における回転軸Jの位置は、図8b2、c2に示すように、ゴルフボール200の半径と、θに応じた距離、ゴルフボール200の中心から上下にずれた位置となる。そして、これにより、図8b3、c3に示すように、境界座標zjは原点oからゴルフボール200の半径とθに応じた距離dz、原点oからずれたz座標値となる。
【0066】
そして、ゴルフボール200の半径rは既知であるので、この境界座標zjの原点oからの距離dzより、dz=r×sinθに従ってゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りのx軸からの回転角θが求まる。
【0067】
そこで、スピン計測部26は、y方向の移動速度Vyのz方向の分布を求めたならば、当該分布より、そのz座標値を境界として移動速度Vyの正負が逆となる境界座標zjを求め、境界座標zjの原点oからの距離dzを算出し、算出した距離dzより、ゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りのx軸からの回転角θを、ゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りの傾きとして求める。
【0068】
ここで、ゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りの傾きθが定まれば、各ディンプルと回転軸Jの位置関係も定まる。そこで、次に、スピン計測部26は、ディンプルの移動ベクトルから、回転軸J回りの回転速度を求める。そして、回転軸J回りの回転速度を、回転軸Jの傾きに基づいて、図8dに示すゴルフボール200のx軸回りの回転Rx(バックスピン)の回転速度と、z軸回りの回転Rz(サイドスピン)の回転速度の成分に分解することにより各回転速度を求める。
【0069】
以上、ゴルフボール200のライフルスピン(y軸回りの回転)を無視して、簡易的に、ゴルフボール200のバックスピン(x軸回りの回転)とサイドスピン(z軸回りの回転)の回転速度を求める場合の、スピン計測部26の動作について説明した。
【0070】
次に、ゴルフボール200のライフルスピン(y軸回りの回転)も含めて、ゴルフボール200のゴルフボール200の回転速度を求める場合のスピン計測部26の動作について説明する。
【0071】
この場合、上述のように算出した図9aに示す各ディンプルの移動ベクトルをz方向の移動ベクトルとy方向の移動ベクトルに分解し、分解したy方向の移動ベクトルから、各ディンプルのy方向の移動速度Vyを算定し、分解したz方向の移動ベクトルから、各ディンプルのz方向の移動速度Vzを算定しする。
【0072】
そして、図9bに示すように、z方向の座標がznであるディンプルの移動速度Vyは、座標znに位置する移動速度Vyであるものとして、各ディンプルのy方向の移動速度Vyのz方向の分布を求める。
【0073】
また、図9cに示すように、y方向の座標がynであるディンプルの移動速度Vzは、座標ynに位置する移動速度Vzであるものとして、各ディンプルのz方向の移動速度Vzのy方向の分布を求める。
【0074】
そして、次に、移動速度Vyのz方向の分布上、そのz座標値より大きいz座標の範囲と、そのz座標値より小さいz座標の範囲とで、移動速度Vyの正負が逆となるz座標値をz境界座標と呼び、移動速度Vzのy方向の分布上、そのy座標値より大きいy座標の範囲と、そのy座標値より小さいy座標の範囲とで、移動速度Vzの正負が逆となるy座標値をy境界座標と呼ぶこととして、カメラ11によって撮影されるゴルフボール200の表面における回転軸Jの位置(yj、zj)を、(yj、zj)=(y境界座標、y境界座標)により求める。
【0075】
ここで、y境界座標は、z境界座標は、図9図10a、bに示すように、ゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りの回転角に伴って変化し、y境界座標は、図10a、bに示すように、ゴルフボール200の回転軸Jのz軸回りの回転角に伴って変化する。
【0076】
そこで、次に、ゴルフボール200の半径rは既知であるので、zjの原点oからの距離dzより、dz=r×sinθに従ってゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りのx軸からの回転角θを求め、yjの原点oからの距離dyより、dy=r×sinφに従ってゴルフボール200の回転軸Jのz軸回りのx軸からの回転角φを求める。
【0077】
ここで、ゴルフボール200の回転軸Jのy軸回りの傾きθとz軸回りの傾きφからゴルフボール200の回転軸Jの傾きが三次元的に定まり、回転軸Jの傾きが定まれば、各ディンプルと回転軸Jの位置関係も定まる。そこで、次に、スピン計測部26は、ディンプルの移動ベクトルから、回転軸J回りの回転速度を求める。そして、回転軸J回りの回転速度を、回転軸Jの傾きに基づいて、図10cに示す、ゴルフボール200のx軸回りの回転Rx(バックスピン)の回転速度と、z軸回りの回転Rz(サイドスピン)の回転速度と、y軸回りの回転Ry(ライフルスピン)の回転速度の成分に分解することにより、各回転速度を算定する。
【0078】
以上、ゴルフボール200のライフルスピン(y軸回りの回転)も含めて、ゴルフボール200のゴルフボール200の回転速度を求める場合のスピン計測部26の動作について説明した。
【0079】
さて、次に、制御部29は、以上のようにしてカメラ11で撮影された画像や、ボール計測部25で計測されたゴルフボール200の速度や移動方向や、ヘッド計測部24で計測されたクラブヘッドのフェース面の姿勢や、スピン計測部26で計測されたスピン(回転軸Jの傾き、バックスピンの回転速度、サイドスピンの回転速度、ライフルスピンの回転速度)を表示装置27に表示する処理などを行う。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、本実施形態で示したゴルフボール200を計測する技術は、ゴルフボール200以外のボールのスピンを計測する場合について同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…計測装置、2…データ処理装置、3…撮像エリア、11…カメラ、12…第1ミラー、13…第2ミラー、14…照明パネル、15…レーザドップラ速度計、16…同期制御部、17…通信インタフェース、21…通信インタフェース、22…速度データメモリ、23…画像メモリ、24…ヘッド計測部、25…ボール計測部、26…スピン計測部、27…表示装置、28…入力装置、29…制御部、101…光学窓、102…光学窓、111…光学フィルタ、141…光源パネル、142…レンズパネル、200…ゴルフボール、1411…青色LED、1421…レンズ。
図1
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